説明

高性能/高スループット複数チャンバMOCVD成長装置

【課題】反応チャンバにおいて反応体メモリーを防止しながら、複数工程複数チャンバ化学気相堆積を行う方法を提供する。
【解決手段】第一気相堆積チャンバ24において気相堆積を用いて基板上に半導体材料の層を堆積させる工程、次いで、堆積成長後及び前記チャンバ24を開ける前に、前記第一堆積チャンバ24中に残留している気相堆積原料ガスを減少させるために成長チャンバ24から排気する工程を含む。第二堆積チャンバ26から第一堆積チャンバ24を分離して第一堆積チャンバ24中に存在する反応体が第二堆積チャンバ26における堆積に影響を及ぼさないようにしながら、また、成長停止効果を最小限に抑えるか又は排除する環境を維持しながら、基板を第二堆積チャンバ26へと搬送する。搬送工程の後、異なる半導体材料の追加の層を、第二チャンバ26において、気相堆積によって第一堆積層の上に堆積させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、半導体材料の気相堆積成長と、その関連装置及び方法とに関する。更に詳しくは、本発明は、ウェーハ処理装置と、前記装置のチャンバにおいて反応体メモリ(reactant memory)を減少させるためのウェーハ処理方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気からの結晶成長は、半導体技術、特に、半導体ウェーハ上にエピタキシャル層を生成させるための半導体技術で用いられている。エピタキシーという用語は、典型的には、単結晶基板(一般的には半導体材料の基板ウェーハ)の平面界面上での単結晶層の成長を意味している。
【0003】
エピタキシャル成長は、化学気相堆積(CVD)をCVD反応器で用いることによって、しばしば実行される。前記プロセスでは、まず最初に、半導体ウェーハを、加熱し、次いで、プロセスガスと呼ばれるガス混合物に暴露する。プロセスガス混合物は、典型的には、原料ガス、キャリヤーガス、及び必要に応じてドーパントガスから成る。原料ガス(一種又は複数種)は、所望の半導体を形成する成分;例えば、窒化ガリウムを形成するトリメチルガリウム及びアンモニアを提供する。ドーパントガスは、p型又はn型の導電性をエピタキシャル層に付与する元素(典型的には化合物として);例えば、p型窒化ガリウムを得るためのマグネシウムを運ぶ。原料ガス及びドーパントガスは、熱い基板表面上又はその近傍で反応して、所望のエピタキシャル層を形成する。
【0004】
典型的なCVD法では、反応体ガス(しばしば、キャリヤーガス中で希釈される)は、室温で反応チャンバに入る。ガス混合物は、堆積表面に接近するにつれて加熱され、放射加熱されるか又は加熱基板上に配置される。プロセス条件及び運転条件にしたがって、反応体ガスは、堆積表面に当てる前に、気相で均一化学反応することができる。表面の近くでは、ガス流が熱くなり、粘性抵抗に起因してガス流が失速し、また化学組成が変化するときに、熱、運動量、及び化学濃度の境界層が生じる。原料ガス又は反応中間体種(均質な熱分解から形成される)の不均一反応は、堆積材料を形成する堆積表面で起こる。その時、ガス状反応副生物は、反応チャンバから出される。
【0005】
pn接合は多くの半導体デバイスの基本的な要素であるので、しばしば、典型的には成長プロセスの間に所望の時点でドーパントガスの組成を変えることによって、逆の導電型のエピタキシャル層を、基板上に互いに連続させて成長させる。同様に、CVDを用いてヘテロ構造を製造するときも、原料ガスの組成は同様に変えられる。
【0006】
原料ガス又はドーパントガスの組成の上記変化によって、「反応体メモリー」と呼ばれる問題が起こり得る。用語「反応体メモリー(reactant memory)」とは、前の堆積工程からチャンバ中に残留している原料又はドーパントの組成物又は元素によるプロセスガスの望ましくない汚染を意味している。高温では、ドーパント組成物及びソース組成物は、反応器壁に粘着することができ、そして、次のエピタキシャル層堆積の間に、潜在的に再蒸発し得る。例えば、ドーパントが再蒸発するとき、ドーパントは、次のエピタキシャル層中に含まれるか又は取り込まれる可能性がある。前記層において、ドーパントは、不純物として作用できるか又は層及びその後に得られるデバイスの電子特性を変えることができる。この効果は、SiCエピタキシーでは、窒素よりもアルミニウム及び硼素によってしばしばより顕著に認められる。また、その効果は、GaAsエピタキシーにおけるテルルと亜鉛及びGaNエピタキシーにおけるマグネシウムによって顕著に認められる。
【0007】
ドーピング制御は、エピタキシャル成長法では複雑である。バックグラウンドドーピング(background doping)は、精製ガスと、反応器の重要な一部にハイグレードの材料とを用いることによって、制限できる。ドーパントが意図的に導入される初期成長工程に由来するメモリー効果も問題である。
【0008】
反応体メモリーと関連のある問題を解決するためにいくつかの試みが成されてきた。その一つの試みは、サイトコンペティションエピタキシー(site−competition epitaxy)である。サイトコンペティションエピタキシーは、例えば、SiCと、成長しているSiC結晶表面上の利用可能な置換格子部位のためのドーパント原料ガスとの間の競争に基づく。この場合、ドーパントの取り込みは、これらの部位、すなわち、SiC結晶の活性成長表面上に位置している炭素格子部位(C部位)又は珪素格子部位(Si部位)のいずれかの中に取り込まれるドーパント原子の量に影響を及ぼす成長反応器内のSi:C比を適当に調整することによって、制御される。この技術は、また、砒化物及び燐化物の成長にも用いられてきた。サイトコンペティションエピタキシーを用いることにより、エピタキシャル層の不純物レベルはC:Si比を調整することによって制御でき、n型ドーパントの窒素は低C:Si比では増加する。而して、低ドープ材料を成長させるためには、支配ドーパント(domination dopant)を制限するようにC:Si比を選択しなければならず、また、意図的にドープされた材料は、選択されたドーパントに最も適するC:Si比の下で成長させなければならない。
【0009】
反応体メモリーを防止する従来の方法は、各堆積後に反応器を清浄にする工程、反応器をベークアウトする工程、反応器壁を再被覆することによってドーパントを埋め込む工程も含んでいた。効果を制御する別の方法は、各ドープ層が成長した後、例えば水素又は塩酸を用いて反応器壁をエッチングする工程を含む。エッチングと活性C:Si比との組み合わせも用いて、反応体メモリーの問題を回避してきた。しかしながら、これらの解決法には、いくつかの欠点がある。各方法は、時間が掛かるので生産量が落ち、また、追加の処理工程が必要となる。また、これらの方法には、成長停止効果があるので、層間の接着が不良となる場合がある。更に、反応体メモリーの問題に対して提案された様々な問題解決法は、所望のデバイスの製造においてコストも増加させることがある。
【0010】
充填前の現場外において及び成長シーケンスの一部として現場においての両方で、成長前に清浄手順を最適化することによって、欠陥制御をかなり向上させることができる。しかしながら、いくつかのプロセスにおいて多層の効率的な低ドーピングエピタキシャル成長を可能にするためのこれらの技術では、反応体メモリーは充分に減少しなかった。而して、反応体メモリーによって引き起される欠陥を防止すると共に、エピタキシャル成長のための改良された且つより効率的な技術を開発することは望ましいと考えられる。
【発明の開示】
【0011】
発明の概要
一つの態様では、本発明は、反応チャンバにおいて反応体メモリーを防止しながら、複数工程複数チャンバ化学気相堆積を行う方法である。本発明方法は、第一堆積チャンバにおいて気相堆積によって基板上に半導体材料の層を堆積させる工程、次いで、堆積成長後及び前記チャンバを開ける前に、前記第一堆積チャンバ中に残留している気相堆積原料ガスを減少させるために成長チャンバから排気する工程を含む。第二堆積チャンバから第一堆積チャンバを分離して第一堆積チャンバ中に存在する反応体が第二堆積チャンバにおける堆積に影響を及ぼさないようにしながら、また、成長停止効果を最小限に抑えるか又は排除する環境を維持しながら、基板を第二堆積チャンバへと搬送する。搬送工程の後、第二チャンバにおいて、異なる半導体材料の追加の層を、気相堆積によって第一堆積層の上に堆積させる。
【0012】
第二の態様では、本発明は、反応チャンバにおいて反応体メモリーを防止しながら、複数工程複数半導体化学気相堆積を行う方法である。本発明方法は、第一堆積チャンバにおいて気相堆積によって基板上に第一半導体材料の層を堆積させる工程、次いで、堆積成長後及び前記チャンバを開ける前に、前記第一堆積チャンバ中に残留している気相堆積原料ガスを減少させるために成長チャンバから排気する工程を含む。第二堆積チャンバから第一堆積チャンバを分離して第一堆積チャンバ中に存在する反応体が第二堆積チャンバにおける堆積に影響を及ぼさないようにしながら、また、成長停止効果を最小限に抑えるか又は排除する環境を維持しながら、基板を第二堆積チャンバへと搬送する。搬送工程の後、第二チャンバにおいて、異なる半導体材料の第二の層を、気相堆積によって基板の上に堆積させる。第二層の堆積後且つ第二堆積チャンバを開ける前に、気相堆積原料ガスを第二堆積チャンバから排気して、堆積成長後に第二堆積チャンバ中に残留している気相堆積原料ガスを減少させ、そして次に、第一堆積チャンバから第二堆積チャンバを分離して第二堆積チャンバ中に存在する反応体が第一堆積チャンバにおける堆積に影響を及ぼさないようにしながら、また、成長停止効果を最小限に抑えるか又は排除する環境を維持しながら、基板を第一堆積チャンバへと搬送する。搬送工程の後、第一チャンバにおいて、第一半導体材料の追加の層を、気相堆積によって第二堆積層の上に堆積させる。
【0013】
別の態様では、本発明は、半導体材料の化学気相堆積成長の間に、反応体メモリーを減少させるための装置である。本発明の装置は、基板上への半導体材料の化学気相堆積を行うための2つの気相堆積成長処理チャンバと;該チャンバのうちの一つから他のチャンバへと基板を直接搬送せずに、該堆積チャンバ間で基板を搬送するために、該堆積チャンバの間にあって且つ該堆積チャンバと連絡しているトランスファーチャンバとを含む。本発明の装置は、2つのプロセス分離バルブを含んでおり、該バルブのそれぞれは、各堆積チャンバのうちの一つと連絡しており、また、該バルブの両方は、該チャンバにおける気相堆積成長中に、該トランスファーチャンバから該堆積チャンバを分離するためのトランスファーチャンバと連絡している。また、本発明の装置は、堆積チャンバのうちの一つからトランスファーチャンバへと基板を運び、またその後で、トランスファーチャンバから堆積チャンバのもう一方へと基板を搬送する手段も含む。
【0014】
異なる態様では、半導体材料の化学気相堆積成長の間に反応体メモリーを減少させるための装置を提供する。本発明の装置は、基板上又は先に堆積させた層の上でn型エピタキシャル層の化学気相堆積を行うための少なくとも一つの気相堆積処理チャンバと、基板上又は先に堆積させた層の上でp型エピタキシャル層の化学気相堆積を行うための少なくとも一つの気相堆積処理チャンバとを含む。本発明の装置は、該気相堆積処理チャンバと少なくとも2つのプロセス分離バルブとの間で基板を搬送するための少なくとも1つのトランスファーチャンバも含み、前記バルブのそれぞれは、各堆積チャンバのうちの一つと連絡しており、また、該バルブの両方は、該チャンバにおける気相堆積成長中に、該トランスファーチャンバから該堆積チャンバを分離するためのトランスファーチャンバと連絡している。また、本発明の装置は、該堆積チャンバのうちの一つから該トランスファーチャンバへと基板を搬送し、またその後で、該トランスファーチャンバから該堆積チャンバのもう一方へと基板を搬送する手段も含む。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
反応チャンバにおいて反応体メモリーを防止しながら、複数工程複数チャンバ化学気相堆積を行う方法であって、該方法が:
第一堆積チャンバにおける気相堆積を用いて基板上に半導体材料の層を堆積させる工程;
堆積成長後及び該第一堆積チャンバを開ける前に、該第一堆積チャンバ中に残留している気相堆積原料ガスを減少させるために該第一堆積チャンバをパージする工程;
該第一堆積チャンバを第二堆積チャンバから分離し、それにより該第一堆積チャンバ中に存在する反応体が該第二堆積チャンバにおける堆積に影響を及ぼさないようにしながら、また、成長停止効果を最小限に抑えるか又は排除する環境中に基板を保持しながら、該基板を該第二堆積チャンバへと搬送する工程;及び
その後で、該第二チャンバにおいて、異なる半導体材料の追加の層を、気相堆積を用いて第一堆積層の上に堆積させる工程
を含む前記方法。
(項目2)
異なる半導体材料を堆積させる該工程が、異なるドーパントを有する同じ材料を堆積させることを含む項目1記載の堆積法。
(項目3)
該チャンバを分離しながら、該基板を搬送する該工程が:
該第二堆積チャンバをトランスファーチャンバから分離しながら、該第一堆積チャンバから該トランスファーチャンバまで該基板を搬送する工程;及び
その後で、該第一堆積チャンバを該トランスファーチャンバから分離しながら、該トランスファーチャンバから該第二堆積チャンバまで該基板を搬送する工程
を含む項目1又は2記載の堆積法。
(項目4)
該第一及び第二堆積チャンバを該第三堆積チャンバから分離し、それにより、該第一及び第二チャンバ中に存在する反応体が該第三堆積チャンバにおける堆積に影響を及ぼさないようにしながら、また、成長停止効果を最小限に抑えるか又は排除する環境中に該基板を保持しながら、該基板を該第三堆積チャンバへと搬送する工程;及び
その後で、該第三チャンバにおいて、半導体材料の追加の層を気相堆積によって該基板上に堆積させる工程
を更に含む項目1〜3のいずれかに記載の堆積法。
(項目5)
半導体材料の追加の層を堆積させる該工程が、先に堆積させた材料のうちのただ一つと異なる半導体材料を堆積させることを含む項目4記載の堆積法。
(項目6)
単一ガスシステムを用いて該堆積チャンバにガスを供給し、それによって、該堆積チャンバ及び該トランスファーチャンバのそれぞれの中に一定の雰囲気を提供して、より早い搬送時間を可能にする工程を含む項目1〜4のいずれかに記載の堆積法。
(項目7)
異なるガスシステムから該堆積チャンバにガスを供給し、それによって、該堆積チャンバのそれぞれの中に異なる雰囲気を提供する工程を含む項目1〜4のいずれかに記載の堆積法。
(項目8)
アンモニア、アルシン、フォスフィン、対称ジメチルヒドラジン、非対称ジメチルヒドラジン、t−ブチルヒドラジン、それらの砒素及び燐の等価物、及びそれらの混合物から成る群より選択されるV族原料ガスを導入し、そしてIII−V族窒化物半導体材料を堆積させる工程;
トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、ハロゲン化ガリウム、ハロゲン化ジエチルガリウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化ジエチルアルミニウム、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム、ハロゲン化インジウム、ハロゲン化ジエチルインジウム、トリメチルアミンアラン、及びそれらの混合物から成る群より選択されるIII族原料ガスを導入し、そして
III−V族半導体材料を堆積させる工程
を含む項目6又は7記載の堆積法。
(項目9)
第一、第二又は第三の堆積チャンバにおいて気相堆積によって基板上に半導体材料の層を堆積させる工程が、原料ガスと、Si、Ge、Sn、S、Se、Te、及びそれらの混合物から成る群より選択される原子を含むn型ドーパントガス又はBe、Mg、Zn、Ca、Mn、Sr、C、及びそれらの混合物から成る群より選択される原子を含むp型ドーパントガスとを、該第一、第二又は第三の堆積チャンバの中に導入することを含む項目1〜4のいずれかに記載の堆積法。
(項目10)
該基板を、ウェーハキャリアー上に配置する項目1〜9のいずれかに記載の堆積法。
(項目11)
複数の基板を、該ウェーハキャリアー上に配置する項目10記載の堆積法。
(項目12)
該基板を、第二のウェーハキャリアーへと搬送する項目10記載の堆積法。
(項目13)
複数の基板を処理する項目1〜11のいずれかに記載の堆積法。
(項目14)
少なくとも一つの基板が、少なくとも一つの他の基板に比べて異なる処理段階にある項目1〜11のいずれかに記載の堆積法。
(項目15)
該第一堆積チャンバから該第二堆積チャンバを分離し、それによって、該第二チャンバ中に存在する反応体が該第一堆積チャンバにおける堆積に影響を及ぼさないようにしながら、また、成長停止効果を最小限に抑えるか又は排除する環境中に該基板を保持しながら、該基板を該第一堆積チャンバへと搬送する工程;及び
その後で、該第一チャンバにおいて、該第一半導体材料の追加の層を、気相堆積によって該第二堆積層の上に堆積させる工程
を更に含む項目1〜14のいずれかに記載の堆積法。
(項目16)
基板上又は先に堆積させた層の上でn型エピタキシャル層の化学気相堆積を行うための少なくとも一つの気相堆積処理チャンバ、
基板上又は先に堆積させた層の上でp型エピタキシャル層の化学気相堆積を行うための少なくとも一つの気相堆積処理チャンバ、
該気相堆積処理チャンバ間で基板を搬送するための少なくとも一つのトランスファーチャンバ、
少なくとも2つのプロセス分離バルブであって、それらのそれぞれが、該各堆積チャンバのうちの一つと連絡しており、また、それらの両方が、該チャンバにおける気相堆積成長中に該トランスファーチャンバから該堆積チャンバを分離するために該トランスファーチャンバと連絡している前記バルブ、
該堆積チャンバのうちの一つから該トランスファーチャンバへと基板を搬送し、またその後で、該トランスファーチャンバから該堆積チャンバのもう一方へと基板を搬送する手段
を含む、半導体材料の化学気相堆積成長中に反応体メモリーを減少させるための装置。
(項目17)
化学気相堆積を行うための少なくとも第三の気相堆積成長処理チャンバと、該第三の気相堆積成長処理チャンバと連絡していて且つ該第三の堆積チャンバにおける気相堆積成長
中に該トランスファーチャンバから該第三の堆積チャンバを分離するために該トランスファーチャンバと連絡している第三のプロセス分離バルブとを更に含む項目16記載の気相堆積装置。
(項目18)
該堆積チャンバを排気するための少なくとも一つの真空ポンプを更に含む項目16又は17記載の気相堆積装置。
(項目19)
該トランスファーチャンバと連絡しているロードロックチャンバを更に含む項目16、17又は18のいずれかに記載の気相堆積装置。
(項目20)
該堆積チャンバのそれぞれに対する共通の原料ガス出力を含む項目16、17、18、又は19のいずれかに記載の気相堆積装置。
【0015】
本発明は、以下に記載した詳細な説明及び本発明の好ましい態様に関する添付の図面から更に完全に理解される。しかしながら、図面は、特定の態様に本発明を限定することを意図しておらず、単に説明及び理解を助けるためのものである。
【0016】
例示的態様の詳細な説明
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の好ましい態様を示し、更に完全に本発明を説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施できるので、本明細書に記載される態様に限定されると解釈すべきではなく;むしろ、これらの態様は、詳細で完全であり、また、当業者に本発明の範囲を完全に伝達するために提供される。図面では、層及び領域の厚さは、明確にするために強調されている。層、領域又は基板のような要素が別の要素の「上」にあると言及されるとき、前記要素は、他の要素の上に直接存在できるか又は介在要素が存在できることも了解される。対照的に、要素が別の要素の「直上」にあると言及されるとき、介在要素は存在しない。「ウェーハ」とは、一つのウェーハ、ならびに複数のウェーハを包含していること、また、ウェーハキャリアーは、ウェーハに関するいかなる言及においても任意に包含される場合があることも了解される。更に、ウェーハは、処理工程中、異なるウエハキャリアーへと搬送できる。
【0017】
本明細書で説明される発明は、ウェーハ処理装置と、前記装置のチャンバにおいて反応体メモリーを減少させるためのウェーハ処理方法である。図1には、代表的な被処理ウェーハ、例えば、本発明の態様にしたがって形成された半導体デバイス前駆体10が記載してある。図1に示してあるように、n−GaN層12は、SiC基板14上に位置している。p−GaN層16は、n−GaN層12上に位置している。記載の構造は、本発明よって成長させることができる構造の単なる代表例であり、また、任意の方法で得られる構造を限定することを意図してはいない。詳しくは、得られる構造は、SiC基板に限定されないが、GaN基板又はサファイヤ基板又は当業において公知の他の基板も含むことができる。同様に、基板上で成長される層は、図示されている層と異なっていてもよい。適当な層としては、III−V族の層、ならびに当業において公知の他の層が挙げられ、ドープ層に限定されない。本明細書で使用しているように、「基板」という用語は、基板と、ならびにその上に1種以上の異なる材料から成る1種以上の堆積層を有する基板とを指している。用語「基板」及び「ウェーハ」は、本明細書を通じて同義である。
【0018】
窒化ガリウムから成る2つ又は3つの層(n型及びp型)を含む構造が図示してあるが、当業者には、デバイスが、1つ以上の量子井戸、又は超格子構造又はその両方を含むことができること、また、活性層(単数又は複数)は窒化ガリウム単独に比べて更に広範なIII−V族化合物を含むことができることが了解される。しかしながら、本発明を明確に理解するために、これらの変体を詳細に説明する必要はないので、本明細書では詳細に検討しない。而して、より詳細なデバイスの関連部分は、本発明の範囲から逸脱せずに、「活性層」、「ダイオード部分」、「ダイオード領域」又は「ダイオード構造」と呼ぶこともできる。
【0019】
多くの理由から、バッファー層は、炭化珪素基板と第一窒化ガリウム(又は他のIII−V族)層との間に、構造の一部としてしばしば含まれる。多くの場合において、バッファー層は、窒化アルミニウム(AN)、AlGaNの固定組成物、又は炭化珪素基板近傍のより高いアルミニウム濃度から、窒化ガリウムエピタキシャル層との界面におけるより高い窒化ガリウム濃度まで推移する窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)の濃度傾斜層を含むことができる。適当なバッファー層は、共有の米国特許第6,373,077号及び第6,630,690号でも開示されている。このタイプのデバイス中に組み込むことができ且つ本発明が特に適する他の構造部分としては、デバイスの全体的な結晶安定性を高めるための超格子構造、光の出力を増強するか若しくは特定の周波数に同調させるための量子井戸、又は追加の数の活性層とそれらの間の関係を提供することによってデバイスの明るさを増強するための多重量子井戸が挙げられる。更に、環境保全のために、デバイスのエピタキシャル層の暴露面を不動態化することが望ましい場合がある。
【0020】
図2A及び2Bには、多層デバイスを形成するための本発明による装置20に関する概略図と、その使用法とが記載してある。装置は、2つの化学気相堆積チャンバ24、26と連絡しているトランスファーチャンバ22を含む。また、装置20は、それぞれがCVDチャンバ24,26及びトランスファーチャンバ22と連絡している2つの分離バルブ28,30;トランスファーチャンバ22と連絡している充填バルブ32;及びロードロックチャンバ33も含む。ロードロックチャンバ33は、乾燥ガス(すなわちAr,N)でパージされたグローブボックス又は充填バルブ32を開ける前にバージできる真空チャンバ又は前記2つの組み合わせであることができる。ロードロックチャンバ33と連絡している入力バルブ35、ならびに搬送手段34及び少なくとも一つのガス入口36が含まれる。分離バルブ28,30、充填バルブ32、及び入力バルブ35は、選択的に開閉することができ、それにより、チャンバを、他のチャンバから且つ外部雰囲気から分離できる。図2A及び2Bに示してある装置20は、3つのガス入口36,38,40を含む。ガス入口36,38,40それぞれは、望み通りに入口を開閉するために、好ましくはバルブ46,48,50を含む。ガス入口としては、トランスファーチャンバ入口36及び反応チャンバ入口38,40が挙げられるが、それらに限定されない。装置は、好ましくは、トランスファーチャンバ排気42及び反応チャンバ排気43,44も含む。排気42,43,44それぞれは、望み通りに排気42,43,44を開閉するために、好ましくはバルブ52,53,54を含む。装置は、追加のチャンバ、例えば、堆積チャンバ、冷却チャンバ、又は当業において公知の他のチャンバも含み得ると考えられることに注目すべきである。更に、装置は、図2A及び2Bに示した数よりも少ない入口及び排気を含むこともできると考えられる。同様に、装置は、記載されている数よりも多い入口及び排気を含むことができると考えられる。
【0021】
本発明の一つの態様では、ウェーハ56、例えばSiCウェーハを、充填バルブ32を閉位置に保ちながら入力バルブ35を経由してロードロックチャンバ33の中に配置する。ウェーハ56は、任意に、ウェーハキャリアー上に置くことができる。ウェーハ56をロードロックチャンバ33の中に配置した後、入力バルブ35を閉じ、ロードロックチャンバ33を、例えばNで排気又はパージして、ロードロックチャンバ33から、O及び水分ならびにできる限り多くの他の不純物を除去する。次に、分離バルブ28,30を閉じながら、ウェーハ56を、充填バルブ32を経由してトランスファーチャンバ22に配置する。この場合、複数のウェーハを搬送できる。図2Aに示してあるように、分離バルブ30を閉じることによって、第二チャンバ26をトランスファーチャンバ22から分離し、そして、本明細書で検討される適当な環境を維持しながら、ウェーハ56を第一チャンバ24へと搬送する。ウェーハを搬送するための手段は、アームを含む。ウェーハ56を第一チャンバ24へと搬送した後、第一チャンバ24とトランスファーチャンバ22との間にある分離バルブ28を好ましくは処理中閉じる。次に、第一チャンバ24における化学気相堆積によって、エピタキシャル層、例えばn型エピタキシャル層をウェーハ56上に堆積させる。
【0022】
堆積させた後、第一チャンバ24をパージして、堆積後にチャンバ24に残留している気相堆積原料ガス及びドーパントを減少させ、次に、その被処理基板58を、成長停止効果を最小限に抑えながら、分離バルブ28を経由してトランスファーチャンバ22へと搬送する。本明細書で使用している「パージする」という用語は、チャンバを排気する工程、ならびに、チャンバ中に存在しているガスを別のガスで置換する工程を含む。成長停止効果は、H、N、貴ガス、又はV族ガスのような適当な環境を用いることによって、最小限に抑えられる。気相堆積成長技術に適する圧力を用いることもできる。搬送中、トランスファーチャンバ22と第二チャンバ26との間にある分離バルブ30を閉じたままにして、第一チャンバ24に存在する該ドーパントガスが、第二チャンバ26に入って、第二チャンバ26における後の堆積に影響を及ぼさないようにする。成長停止効果の最小化は、成長停止効果を最小限に抑える環境中に基板を保持することによって得られる。成長停止効果は、好ましくは、装置全体にわたって、反応体ガスのポジティブフロー(positive flow)を維持することによって、最小限に抑えられる。
【0023】
第二のエピタキシャル層の堆積は、図2Bに図示してある。図に示してあるように、第一チャンバ24とトランスファーチャンバ22との間にある分離バルブ28を閉じ、そして、トランスファーチャンバ22と第二チャンバ26との間にある分離バルブ30を開ける。次に、ウェーハ58を、トランスファー手段34を経由して、第二チャンバ26に搬送する。ウェーハ58を第二チャンバ26へと搬送した後、第二チャンバ26とトランスファーチャンバ30との間にある分離バルブ30を、好ましくは、エピタキシャル成長中閉じる。次に、第二チャンバ26における化学気相堆積によって、エピタキシャル層、例えばp型エピタキシャル層を第一エピタキシャル層の上に堆積させる。
【0024】
堆積させた後、第二チャンバ26をパージして、堆積後にチャンバ26に残留している気相堆積ガス及びドーパントの存在を減少させ、次に、その得られたデバイス60を、成長停止効果を最小限に抑えながら、分離バルブ30を経由してトランスファーチャンバ22へと搬送する。成長停止効果は、H、N、貴ガス、又はV族ガスのような適当な環境を用いることによって、最小限に抑えられる。気相堆積成長技術に適する圧力を用いることもできる。搬送中、トランスファーチャンバ22と第一チャンバとの間にある分離バルブ28を閉じたままにして、第二チャンバ26に存在するドーパントガスが、第一チャンバ24に入って、第一チャンバ24における後の堆積に影響を及ぼさないようにする。
【0025】
所望の数の成長階段が完了したら、被処理ウェーハを、充填バルブ32を経由して、トランスファーチャンバ22からロードロックチャンバ33へと搬送し、そして充填バルブ32を閉じる。入力バルブ35は、この搬送の間、閉じたままである。ロードロックチャンバ33が適当な雰囲気に戻されたら、入力バルブ35を開き、被処理ウェーハをロードロックチャンバ33から取り出す。
【0026】
図3には、本発明の追加の態様にしたがって成長させた例えば半導体デバイス前駆体のような多層構造62が示してある。図1と同様に、図3は、本発明よって成長させることができる構造の単なる代表例であり、また、任意の方法で得られる構造を限定することを意図してはいない。詳しくは、得られる構造は、SiC基板に限定されないが、GaN基板又はサファイヤ基板又は当業において公知の他の基板も含むことができる。同様に、基板上で成長される層は、図示されている層と異なっていてもよい。適当な層としては、III−V族の層、ならびに当業において公知の他の層が挙げられ、ドープ層に限定されない。図3に示してあるように、n−GaN層64は、SiC基板66上に位置している。p−GaN層68はn−GaN層64上に位置しており、追加のn−GaN層70はp−GaN層68上に位置している。
【0027】
一つの態様では、図3に図示されている追加のn−GaN層70は、第二チャンバ26をトランスファーチャンバ22から分離しながら、被処理基板60を、分離バルブ28を経由してトランスファーチャンバ22から第一チャンバ24の中に搬送することによって、図2A及び2Bの装置において形成できる。搬送後、堆積工程を第一チャンバ24で行って、被処理ウェーハ60上へと所望の層を成長させることができる。
【0028】
堆積させた後、第一チャンバ24をパージして、堆積後にチャンバ24に残留している気相堆積ガス及びドーパントを減少させ、次に、その基板を、成長停止効果を最小限に抑えながら、分離バルブ28を経由してトランスファーチャンバ22へと搬送する。成長停止効果は、H、N、貴ガス、又はV族ガスのような適当な環境を用いることによって、最小限に抑えられる。気相堆積成長技術に適する圧力を用いることもできる。搬送中、トランスファーチャンバ22と第二チャンバ26との間にある分離バルブ30を閉じたままにして、第一チャンバ24に存在するドーパントガスが、第二チャンバ26に入って、第二チャンバ26における後の堆積に影響を及ぼさないようにする。
【0029】
別の態様において、図3に図示してある追加のn−GaN層70は、第三の堆積チャンバで堆積させる。図4A−4Cは、多層デバイスを形成するための本発明による装置72に関する概略図と、その使用法である。装置72は、3つの化学気相堆積チャンバ76,78,80それぞれと連絡するトランスファーチャンバ74を含む。また、装置72は、それぞれがCVDチャンバ76,78,80及びトランスファーチャンバ74と連絡している3つの分離バルブ82,84,86;トランスファーチャンバ74と連絡している充填バルブ88;及びロードロックチャンバ89も含む。ロードロックチャンバ89は、乾燥ガス(すなわちN、Ar)でパージされたグローブボックス又は充填バルブ88を開ける前にバージできる真空チャンバであることができる。ロードロックチャンバ89と連絡している入力バルブ91、ならびに搬送手段84及び少なくとも一つのガス入口90が含まれる。分離バルブ82,84,86;充填バルブ88;及び入力バルブ91は、選択的に開閉することができ、それにより、チャンバ74,76,78,80を互いに分離できる。図4A−4Cに図示してある装置72は、4つのガス入口90,92,94,96を含む。ガス入口90,92,94,96は、好ましくは、それぞれ、入口90,92,94,96を望み通りに開閉するためにバルブ102,104,106,108を含む。ガス入口としては、トランスファーチャンバ入口90及び反応チャンバ入口92,94,96が挙げられるが、それらに限定されない。また、装置は、好ましくは、トランスファーチャンバ排気98及び反応チャンバ排気99,100,101も含む。排気98,99,100,101は、好ましくは、それぞれ、排気98,99,100,101を望み通りに開閉するためにバルブ109,110,111,112を含む。装置72は、追加のチャンバ、例えば、堆積チャンバ、冷却チャンバ、又は当業において公知の他のチャンバ、ならびに追加の又はより少ない数の入口及び排気も含み得ると考えられることに注目すべきである。
【0030】
本発明の態様では、ウェーハ114、例えばSiCウェーハを、充填バルブ88を閉位置に保ちながら入力バルブ91を介してロードロックチャンバ89の中に配置する。ウェーハ114は、任意に、ウェーハキャリアー上に置くことができる。ウェーハ114をロードロックチャンバ89の中に配置した後、入力バルブ91を閉じ、ロードロックチャンバ89を、例えばNでパージして、ロードロックチャンバ89から、O及び水分ならびに他のすべての不純物を除去する。次に、分離バルブ82,84,86を閉じながら、ウェーハ114を、充填バルブ88を経由してトランスファーチャンバ74に配置する。この時、複数のウェーハを搬送できる。図4Aに示してあるように、分離バルブ84,86を閉じることによって、第二及び第三チャンバ78,80をトランスファーチャンバ74から分離し、そして、本明細書で検討される適当な環境を維持しながら、ウェーハ114を第一チャンバ76へと搬送する。ウェーハ114を第一チャンバ76へと搬送した後、第一チャンバ76とトランスファーチャンバ74との間にある分離バルブ82を、好ましくは、処理中閉じる。次に、第一チャンバ76における化学気相堆積によって、エピタキシャル層、例えばn型エピタキシャル層をウェーハ116上に堆積させる。
【0031】
堆積させた後、第一チャンバ76をパージして、堆積後にチャンバ76に残留している気相堆積原料ガス及びドーパントを減少させ、次に、被処理基板116を、成長停止効果を最小限に抑えながら、分離バルブ82を経由してトランスファーチャンバ74へと搬送する。成長停止効果は、H、N、貴ガス、又はV族ガスのような適当な環境を用いることによって、最小限に抑えられる。気相堆積成長技術に適する圧力を用いることもできる。搬送中、トランスファーチャンバ74と第二及び第三チャンバ78,80との間にある分離バルブ84,86を閉じたままにして、第一チャンバ76に存在する該ドーパントガスが、第二及び第三チャンバ78,80に入って、第二及び第三チャンバ78,80における後の堆積に影響を及ぼさないようにする。
【0032】
第二エピタキシャル層の堆積は、図4Bに図示してある。図に示してあるように、トランスファーチャンバ74と第一及び第三チャンバ76,80との間にある分離バルブ82,86を閉じ、そして、トランスファーチャンバ74と第二チャンバ78との間にある分離バルブ84を開ける。次に、ウェーハ116を、トランスファー手段118を経由して、第二チャンバ78に搬送する。ウェーハ116を第二チャンバ78へと搬送した後、第二チャンバ78とトランスファーチャンバ74との間にある分離バルブ84を、好ましくは、処理中閉じる。次に、第二チャンバ78において、化学気相堆積によって、エピタキシャル層、例えばp型エピタキシャル層を第一エピタキシャル層の上に堆積させる。
【0033】
堆積させた後、第二チャンバ78をパージして、堆積後にチャンバ78に残留している気相堆積ガス及びドーパントの存在を減少させ、次に、その得られたデバイス120を、成長停止効果を最小限に抑えながら、分離バルブ84を経由してトランスファーチャンバ74へと搬送する。成長停止効果は、H、N、貴ガス、又はV族ガスのような適当な環境を用いることによって、最小限に抑えられる。気相堆積成長技術に適する圧力を用いることもできる。搬送中、トランスファーチャンバ74と第一及び第三チャンバ76,80との間にある分離バルブ82,86を閉じたままにして、第二チャンバ78に存在する該ドーパントガスが、第一及び第三チャンバ76,80に入って、後の堆積に影響を及ぼさないようにする。
【0034】
第三のエピタキシャル層の堆積は、図4Cに示してある。図に示してあるように、トランスファーチャンバ74と第一及び第二チャンバ76,78との間にある分離バルブ82,84を閉じ、そして、トランスファーチャンバ74と第三チャンバ80との間にある分離バルブ86を開ける。次に、ウェーハ120を、トランスファー手段122を経由して、第三チャンバ80に搬送する。ウェーハ120を第三チャンバ80へと搬送した後、第三チャンバ80とトランスファーチャンバ74との間にある分離バルブ86を、好ましくは、処理中閉じる。次に、第三チャンバ80において、化学気相堆積によって、エピタキシャル層、例えばn型エピタキシャル層を第一エピタキシャル層の上に堆積させる。
【0035】
堆積させた後、第三チャンバ80をパージして、堆積後にチャンバ80に残留している気相堆積ガス及びドーパントの存在を減少させ、次に、その得られたデバイス124を、成長停止効果を最小限に抑えながら、分離バルブ86を経由してトランスファーチャンバ74へと搬送する。追加の堆積工程を行う必要がある場合、成長停止効果は、適当な環境、例えばH、N、貴ガス、又はV族ガスを用いることによって、最小限に抑えることができる。気相堆積成長技術に適する圧力を用いることもできる。搬送中、トランスファーチャンバ74と第一及び第二チャンバ76,78との間にある分離バルブ82,84を閉じたままにして、第三チャンバ80に存在する該ドーパントガスが、第一及び第二チャンバ76,78に入って、後の堆積に影響を及ぼさないようにする。
【0036】
好ましい担体(又はフロー)ガスは、貴ガス、窒素、アルゴン及び水素を含む。Ill−V族エピタキシャル層を形成するための好ましいIII族原料ガスは、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、ハロゲン化ガリウム、ハロゲン化ジエチルガリウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化ジエチルアルミニウム、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム、ハロゲン化インジウム、ハロゲン化ジエチルインジウム、トリメチルアミンアラン及びそれらの混合物である。当業において公知の他のIII族原料ガスも、本発明における使用に適すると考えられる。III−V族エピタキシャル層を形成するための好ましいV族原料ガスは、アンモニア、アルシン、フォスフィン、対称形ジメチルヒドラジン、非対称ジメチルヒドラジン、t−ブチルヒドラジン、それらの砒素及び燐の等価物及びそれらの混合物から成る群より選択される。当業において公知の他のV族原料ガスも、本発明における使用に適すると考えられる。反応体ガスとしてトリメチルガリウム及びアンモニアを選択するとき、得られるエピタキシャル層はGaN層である。III−V族エピタキシャル層について本発明を説明してきたが、当業において公知の他のエピタキシャル層も、本発明によって形成されるデバイスで使用するのに適すると考えられる。
【0037】
エピタキシャル層は、選択的に、ドープ又はアンドープであることができる。例えば、化学気相堆積チャンバを、共ドープ層(例えば、Si及びZnでドープされたGaN)を堆積させるために用いる必要がある場合、各化学気相堆積チャンバは、好ましくは、単一のドーパントガス又はドーパントガスの組み合わせを使用するために供される。化学気相堆積チャンバそれぞれを単一ドーパントに供することによって、得られるデバイス中の反応体メモリーは減少する。ドーパントは、それらのアクセプター又はドナー能力に関して選択される。ドナードーパントはn型導電性を有するドーパントであり、また、アクセプタドーパントはp型導電性を有するドーパントである。III−V族エピタキシャル層に関して、適当なp型ドーパントは、Be、Mg、Zn、Ca、Mn、Sr、C、及びそれらの混合物から成る群より選択される(しかし、必ずしもそれらに限定されない)。また、III−V族エピタキシャル層に関して、適当なn型ドーパントは、Si、Ge、Sn、S、Se、及びTc、それらの混合物から成る群より選択される。ドーパントは、所望のドーパント原子を含むドーパントガス供給源を用いることによって、システムに供給する。もちろん、III−V族層以外の他のエピタキシャル層を実装する場合、それらの層に適するp型及びn型ドーパントも本発明の方法では企図される。
【0038】
本発明によって堆積されるエピタキシャル層は、同じか又は異なるIII−V族化合物から独立に形成できる。異なる層が同じIll−V族化合物から形成されるとき、それらの層に関して異なるドーピングを行うことができる。各堆積チャンバは好ましくは単一のドーパント原子に供されるが、III族及びV族反応体ガスは、堆積中に、各堆積チャンバで変えることができる。また、III族及びV族反応体ガスは、異なる堆積処理工程中に、特定のチャンバ内で変えることができる。
【0039】
本発明の装置は、単一のガスシステム、同じガスシステム、類似のガスシステム又は分離ガスシステムを含む。スループットを最大にするための分離ガスシステムは、特に好ましい。更に、トランスファーチャンバを用いることによって、真空、N/H、貴ガス、及びV族超過圧を含む異なる環境間の搬送が可能となる。
【0040】
既に検討したように、本発明の装置は、3つのCVD処理チャンバに限定されない。コスト、空間、及び要求制約条件によって許容される場合、装置は多数の処理チャンバを含むことができる。
【0041】
他の態様では、供される処理チャンバに比べてより多くのドーパントが必要とされる場合、別の堆積チャンバで堆積を行いながら、それとは別のチャンバでベークアウト工程を行うことができる。成長堆積チャンバにおけるメモリー効果を排除するための他の工程としては、別のチャンバで堆積を行いながら、関連のチャンバをコーティングし、エッチングし、且つ/又はパージする工程が挙げられる。そのプロセスによって、ベークアウト手順中に成長停止効果及び処理時間の損失を招かずに堆積を継続できる。更に、追加のドーパントを、望み通りにデバイスの異なる層に導入してもよい。
【0042】
別の態様では、複数の堆積成長工程が、異なる成長チャンバで同時に起こり得る。例えば、第一堆積チャンバ24においてn型層を基板上に堆積させている間に、第二堆積チャンバ26においてp型層を異なる基板上に堆積できると考えられる。異なる堆積工程を、堆積チャンバのそれぞれにおいて、同時に実行できると考えられる。更に、堆積工程の開始及び停止時間は、各堆積チャンバにおいて同じか又は異なっていることができる。更に、複数のウェーハを、エピタキシャル成長の間に任意の堆積チャンバ中に又はトランスファーチャンバ中に存在させることができる。
【0043】
図面及び明細書において、本発明の典型的な態様を開示し、また特定の用語を用いたが、それらは、単に一般的及び説明的な意味で用いたのであって、本発明を限定するために用いたのではない。本発明の範囲は請求の範囲において規定される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一つの態様にしたがって形成された被処理ウェーハの概略図である。
【図2A】本発明による2チャンバ装置と、その使用法とに関する概略図である。
【図2B】本発明による2チャンバ装置と、その使用法とに関する概略図である。
【図3】本発明の別の態様にしたがって形成された被処理ウェーハの概略図である。
【図4A】本発明による3チャンバ装置と、その使用法とに関する概略図である。
【図4B】本発明による3チャンバ装置と、その使用法とに関する概略図である。
【図4C】本発明による3チャンバ装置と、その使用法とに関する概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の堆積ャンバにおいて反応体メモリーを防止しながら、複数工程複数チャンバ気相堆積を行う方法であって、
第一堆積チャンバにおける気相堆積を用いて基板上に第一導電型の半導体材料の層を堆積させるステップと、
堆積成長後及び第一堆積チャンバを開ける前に、該第一堆積チャンバ中に残留している気相堆積原料ガスを減少させるために該第一堆積チャンバをパージするステップと、
第一堆積チャンバを第二堆積チャンバから分離し、それにより該第一堆積チャンバ中に存在する反応体が該第二堆積チャンバにおける堆積に影響を及ぼさないようにしながら、また、成長停止効果を最小限に抑えるか又は排除する環境中に基板を保持しながら、該基板を該第二堆積チャンバへと搬送するステップであって、第一及び第二堆積チャンバはそれぞれ、n型導電性のドナードーパント及びp型導電性のアクセプタドーパントの一方に専用である、ステップと、
その後で、第二堆積チャンバにおいて、第二導電型の半導体材料の追加の層を、気相堆積を用いて第一堆積層の上に堆積させるステップと、を含む堆積方法。
【請求項2】
異なる半導体材料を堆積させるステップが、異なるドーパントを有する同じ材料を堆積させることを含む請求項1記載の堆積法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の堆積方法において、基板を搬送するステップは、
第二堆積チャンバをトランスファーチャンバから分離しながら、第一堆積チャンバから該トランスファーチャンバまで基板を搬送するステップと、
その後で、第一堆積チャンバをトランスファーチャンバから分離しながら、該トランスファーチャンバから第二堆積チャンバまで基板を搬送するステップとを含む堆積方法。
【請求項4】
請求項1〜3いずれかに記載の堆積方法において、該方法はさらに、
第一及び第二堆積チャンバを第三堆積チャンバから分離し、それにより、該第一及び第二チャンバ中に存在する反応体が該第三堆積チャンバにおける堆積に影響を及ぼさないようにしながら、また、成長停止効果を最小限に抑えるか又は排除する環境中に基板を保持しながら、該基板を該第三堆積チャンバへと搬送するステップと、
その後で、第三チャンバにおいて、半導体材料の追加の層を気相堆積によって基板上に堆積させるステップとを含む堆積方法。
【請求項5】
請求項4記載の堆積方法において、半導体材料の追加の層を堆積させるステップは、先に堆積させた材料のうちのただ一つと異なる半導体材料を堆積させることを含む堆積方法。
【請求項6】
請求項1〜4いずれかに記載の堆積方法において、該方法は、異なるガスシステムから該堆積チャンバにガスを供給し、それによって、該堆積チャンバのそれぞれの中に異なる雰囲気を提供するステップを含む堆積方法。
【請求項7】
請求項6記載の堆積方法において、該方法は、
アンモニア、アルシン、フォスフィン、対称ジメチルヒドラジン、非対称ジメチルヒドラジン、t−ブチルヒドラジン、砒素及び燐、及びそれらの混合物から成る群より選択されるV族原料ガスを導入し、そしてIII−V族窒化物半導体材料を堆積させるステップと、
トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、ハロゲン化ガリウム、ハロゲン化ジエチルガリウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化ジエチルアルミニウム、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム、ハロゲン化インジウム、ハロゲン化ジエチルインジウム、トリメチルアミンアラン、及びそれらの混合物から成る群より選択されるIII族原料ガスを導入し、そしてIII−V族半導体材料を堆積させるステップとを含む堆積方法。
【請求項8】
請求項1〜4いずれかに記載の堆積方法において、第一、第二又は第三の堆積チャンバにおいて気相堆積によって基板上に半導体材料の層を堆積させるステップは、原料ガスと、Si、Ge、Sn、S、Se、Te、及びそれらの混合物から成る群より選択される原子を含むn型ドーパントガス又はBe、Mg、Zn、Ca、Mn、Sr、C、及びそれらの混合物から成る群より選択される原子を含むp型ドーパントガスとを、該第一、第二又は第三の堆積チャンバの中に導入することを含む堆積方法。
【請求項9】
請求項1〜8いずれかに記載の堆積方法において、基板がウェーハキャリアー上に配置される、堆積方法。
【請求項10】
請求項9記載の堆積方法において、複数の基板がウェーハキャリアー上に配置される、堆積方法。
【請求項11】
請求項10記載の堆積方法において、基板が第二のウェーハキャリアーへと搬送される、堆積方法。
【請求項12】
請求項1〜11いずれかに記載の堆積方法において、複数の基板が処理される、堆積方法。
【請求項13】
半導体材料の気相堆積成長中に反応体メモリーを減少させるための気相堆積装置であって、
基板上又は先に堆積させた層の上でn型エピタキシャル層の化学気相堆積を専用に行うための少なくとも一つの気相体積処理チャンバと、
基板上又は先に堆積させた層の上でp型エピタキシャル層の化学気相堆積を専用に行うための少なくとも一つの気相堆積処理チャンバと、
該気相堆積処理チャンバ間で基板を搬送するための少なくとも一つのトランスファーチャンバと、
少なくとも2つのプロセス分離バルブであって、それらのそれぞれが、該各堆積チャンバのうちの一つと連絡しており、また、それらの両方が、該チャンバにおける気相堆積成長中に、該トランスファーチャンバから該堆積チャンバを分離するために該トランスファーチャンバと連絡しているバルブと、
該堆積チャンバのうちの一つからトランスファーチャンバへと基板を搬送し、またその後で、該トランスファーチャンバから該堆積チャンバのもう一方へと基板を搬送する手段とを含む気相堆積装置。
【請求項14】
請求項13記載の気相堆積装置において、該装置はさらに、化学気相堆積を行うための少なくとも第三の気相堆積成長処理チャンバと、該第三の気相堆積成長処理チャンバと連絡していて且つ該第三の堆積チャンバにおける気相堆積成長中に該トランスファーチャンバから該第三の堆積チャンバを分離するために該トランスファーチャンバと連絡している第三のプロセス分離バルブを含む気相堆積装置。
【請求項15】
請求項13記載の気相堆積装置において、該装置はさらに、該堆積チャンバを排気するための少なくとも一つの真空ポンプを含む気相堆積装置。
【請求項16】
請求項13−15いずれかに記載の気相堆積装置において、該装置はさらに、トランスファーチャンバと連絡しているロードロックチャンバを含む気相堆積装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公開番号】特開2013−58787(P2013−58787A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−253111(P2012−253111)
【出願日】平成24年11月19日(2012.11.19)
【分割の表示】特願2005−237022(P2005−237022)の分割
【原出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】