2次元固体撮像装置
【課題】入射電磁波によって励起される表面プラズモン・ポラリトンに基づき発生した近接場光を応用し、色情報を確実に再現し得る2次元固体撮像装置を提供する。
【解決手段】2次元固体撮像装置は、2次元マトリクス状に配置された画素領域を有し、各画素領域は、複数の副画素領域から構成されており、入射電磁波の波長よりも小さい開口径を有する開口部が設けられた金属層30及び光電変換素子21が絶縁膜31を挟んで配置されており、開口部に対して少なくとも1つの光電変換素子21が配置されており、開口部31の射影像は光電変換素子21の受光領域内に含まれており、開口部31は入射電磁波によって励起される表面プラズモン・ポラリトンに基づき共鳴状態を発生させるように配列されており、共鳴状態により開口部近傍において発生する近接場光を光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【解決手段】2次元固体撮像装置は、2次元マトリクス状に配置された画素領域を有し、各画素領域は、複数の副画素領域から構成されており、入射電磁波の波長よりも小さい開口径を有する開口部が設けられた金属層30及び光電変換素子21が絶縁膜31を挟んで配置されており、開口部に対して少なくとも1つの光電変換素子21が配置されており、開口部31の射影像は光電変換素子21の受光領域内に含まれており、開口部31は入射電磁波によって励起される表面プラズモン・ポラリトンに基づき共鳴状態を発生させるように配列されており、共鳴状態により開口部近傍において発生する近接場光を光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元固体撮像装置に関し、より詳しくは、入射電磁波によって励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴によって発生した近接場光を検出する2次元固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラやビデオカメラ、カムコーダ(ビデオカメラといった撮影部と録画部とを一体型にしたもので、カメラ・アンド・レコーダの略称)等、被写体を2次元固体撮像素子から成る光電変換素子にて撮影して画像化する2次元固体撮像装置が増えている。そして、現在主流の固体撮像素子であるCCD撮像素子やCMOS撮像素子の画素サイズは微細化が進んでおり、1画素の物理的サイズは可視光の波長の2倍程度にまでなっている。ここで、これらの光電変換素子にあっては、光電変換素子への入射電磁波の入射面積が小さくなると、即ち、入射電磁波に対する光電変換素子の開口面積が小さくなると、光電変換素子全体としての感度は低下する。オンチップ・レンズによる集光効率の改善(例えば、特開平9−148549参照)や、トランジスタの共有による開口面積の確保(例えば、文献:高橋秀和 著、映像情報メディア学会誌 Vol.60, No.3, p.295-298, 2006 参照)、裏面照射型構造の採用による導波路における光学的ロスの軽減(特許第4124190号参照)といった種々の対策はなされているものの、これらの方法は、「入射電磁波に対して光電変換素子の実効的な開口面積が小さくなると、各画素における光電変換素子の感度は低下する」といった問題の根本的解決策にはなっていない。
【0003】
一方、特定の周期パターンを有する金属面に光を照射すると、その周期パターンに相当する周波数成分の電磁波によって金属表面に共鳴モード[表面プラズモン・ポラリトン(SPP)]が発生し、プラズモン共振によって通常光よりも102乃至103倍も強い電場(近接場光)が生じることが知られている(例えば、文献:L. Salomon et al., Physical Review Letters, Vol.86, No.6, p.1110-1113, 2001、書籍:「光ナノテクノロジーの基礎」、福井萬壽夫・大津元一(オーム社)ISBN4-274-19713-1 参照)。
【0004】
近接場光とは、物質に電磁波(光)を照射したとき、その電磁波の波長に比べて微小距離だけしか物質表面から離れていない領域に生じる、閉じた電気力線に起因した非伝播の光である。物質から入射電磁波の波長程度以上離れた領域では、近接場光は指数関数的に減衰して、観測できなくなる。従って、表面プラズモン・ポラリトンが励起されている領域の極近傍に光電変換素子を配置することによってのみ、近接場光を電気信号として検出することができる。近接場光は、入射電磁波の波長によって一意に決まる回折限界よりも小さい構造に感度を有し、また、回折限界よりも小さいスポットに集光させることができる。そして、その電場強度は、近接場光の発生ポイントに近いほど強く、発生ポイントから10nm程度の極近傍領域では、伝播光に比べて2桁〜3桁も強くなる。このため、入射電磁波に対する光電変換素子の開口面積を小さくしても電場強度を高めることが可能となる。従って、発生ポイントに光電変換素子を近づけることによって、「光電変換素子の実効的な開口面積が小さくなると、各画素における光電変換素子の感度は低下する」という従来の技術の問題に対する根本的な解決策となり得る。
【0005】
例えば、近接場光を応用した光検出素子が、特開2008−233049に開示されている。この特許公開公報に開示された技術にあっては、微小共振器301がSiから成る基板302上に、例えば厚さ5nmのSiO2から成る絶縁膜303を挟んで形成されている。微小共振器301及び絶縁膜303は、例えば、平面形状が不等辺三角形のナノドットから構成されている。そして、微小共振器301に入射した光が局在表面プラズモン共鳴を生じさせる結果、金属ナノドットの3つの頂点で電場増強が生じ、強い近接場光が生じる。この金属ナノドットの頂点の部分近傍にはフォトダイオード領域304が形成されており、3つの頂点のそれぞれの近傍の光強度を独立に受光する。フォトダイオード領域304は電場強度の強さを電荷として出力し、この電荷が蓄積された後に増幅トランジスタ305で増幅され、さらに行選択トランジスタ306によって位置情報を持って出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−148549
【特許文献2】特許第4124190号
【特許文献3】特開2008−233049
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】高橋秀和、映像情報メディア学会誌 Vol.60, No.3, p.295-298, 2006
【非特許文献2】L. Salomon et al., Physical Review Letters, Vol.86, No.6, p.1110-1113, 2001
【非特許文献3】「光ナノテクノロジーの基礎」、福井萬壽夫・大津元一(オーム社)ISBN4-274-19713-1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特開2008−233049に開示された技術にあっては、不等辺三角形のナノドットといった構造に基づき、赤色、緑色、青色の三原色の色情報を取得しているが、複数の共振波長によって混在した色情報が1点に集約される。即ち、不等辺三角形の或る頂点Aに生じる光強度は、赤色の光が頂点Aにつくる光強度と、緑色の光が頂点Aにつくる光強度と、青色の光が頂点Aにつくる光強度が混在した状態になっている。従って、色情報の再現性が不十分になる虞がある。また、特定の偏光成分を検出する技術は開示されていない。更には、2次元固体撮像素子を実現するための具体的な2次元画素配置に関する記載は無い。
【0009】
従って、本発明の第1の目的は、入射電磁波によって励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴によって発生した近接場光を検出し、しかも、色情報を確実に再現し得る2次元固体撮像装置を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、本発明の第1の目的に加え、特定の偏光成分を検出し得る構成、構造を有する2次元固体撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の第1の目的を達成するための本発明の2次元固体撮像装置は、
2次元マトリクス状に配置された画素領域を有し、
各画素領域は、複数の副画素領域から構成されており、
入射電磁波の波長よりも小さい開口径を有する開口部が設けられた金属層、及び、光電変換素子が、絶縁膜を挟んで配置されており、
各副画素領域に含まれる金属層の部分に設けられた開口部に対して、少なくとも1つの光電変換素子が配置されており、
開口部の射影像は、光電変換素子の受光領域内に含まれており、
開口部は、入射電磁波によって励起される表面プラズモン・ポラリトンに基づき共鳴状態を発生させるように配列されており、
該共鳴状態により開口部近傍において発生する近接場光を光電変換素子にて電気信号に変換する。尚、このような本発明の2次元固体撮像装置を、便宜上、『本発明の第1の態様に係る2次元固体撮像装置』と呼ぶ。
【0011】
上記の第2の目的を達成するための本発明の2次元固体撮像装置は、本発明の第1の態様に係る2次元固体撮像装置において、
金属層の部分に設けられた1つの開口部に対して、複数の光電変換素子が配置されており、
開口部の射影像が光電変換素子の受光領域内に含まれる代わりに、開口部縁部の射影像が複数の光電変換素子の受光領域内に含まれており、
入射電磁波波長及び周期的な開口部の分布パターンに基づく共鳴状態により開口部近傍において発生する近接場光を複数の光電変換素子にて電気信号に変換し、以て、入射電磁波の偏光に関する情報を取得する。尚、このような本発明の2次元固体撮像装置を、便宜上、『本発明の第2の態様に係る2次元固体撮像装置』と呼ぶ。
【発明の効果】
【0012】
本発明の2次元固体撮像装置にあっては、入射電磁波によって励起される表面プラズモン・ポラリトンに基づき共鳴状態を発生させ、係る共鳴状態により開口部近傍(より具体的には、開口部縁部の近傍)において発生する近接場光を光電変換素子にて電気信号に変換するので、高感度、且つ、微小開口径を有する2次元固体撮像装置を実現することができる。しかも、画素領域は複数の副画素領域から構成されており、各副画素領域に含まれる金属層の部分には開口部が設けられているので、即ち、隣接する開口部と開口部とによって一種の微小共振器が構成され、開口部間の距離を最適化することで、副画素領域のそれぞれにおいて異なる波長成分に対応する近接場光を検出し、色情報を確実に再現することが可能となる。尚、カラーフィルター等の従来の色分離システムとは異なり、金属層の構造それ自体によって色情報を検出するので、紫外線や高エネルギー線といった入射電磁波に起因した特性劣化が少なく、安定して色情報を得ることができる。更には、1つの開口部に対して複数の光電変換素子を配置することで、特定の偏光成分を検出することが可能である。
【0013】
また、入射光をシリコン基板で光電変換する従来の固体撮像素子にあっては、入射電磁波は、波長に応じた基板の深さの所で光電変換される。つまり、可視光波長帯において、青色の光(波長約400nm)はシリコン基板の0.2μm程度の深さの所で光電変換され、赤色の光(波長約700nm)はシリコン基板の2μm程度の深さの所で光電変換される。従って、可視光波長帯に感度を有する固体撮像素子にあっては、少なくとも数μmの基板厚さが必要とされる。一方、近接場光を検出する本発明の2次元固体撮像装置にあっては、金属層に設けられた開口部間の距離に基づいて近接場光を励起し、検出するので、光電変換素子の厚さと検出波長との間には何らの関係が無い。近接場光は入射電磁波波長程度の領域にしか到達しないが故に、光電変換素子の厚さを充分に薄くすること、具体的には、1μm程度にまで薄型化することが可能である。
【0014】
また、シリコン基板をベースにした従来の固体撮像素子においては、そのエネルギーバンドギャップが1.1eVであることから、1.1μmよりも長波長の赤外線を検出することが不可能であった。一方、表面プラズモン・ポラリトン共鳴によって近接場光を発生させ、検出する本発明の2次元固体撮像装置にあっては、金属層に設けられた開口部間の距離に基づいた入射波長に対応する近接場光が生じるため、開口部間の距離を調整することで任意の電磁波波長を検出することが可能である。つまり、1.1μmよりも長波長の赤外線を、シリコン基板ベースの光電変換素子で検出することが可能となる。
【0015】
しかも、従来の2次元固体撮像装置に比べて光電変換素子の開口面積を小さくすることが可能になり、これにより、光電変換素子全体の面積を保ちつつ、単位面積当たりの画素数を飛躍的に増加させることができる。また、光電変換素子の開口面積が小さくてよいので、光電変換素子と光電変換素子との間に各画素領域用の記憶装置等を配置するなど、光電変換素子の多機能化を図ることができる。更には、信号配線等の設計自由度の増加を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1の(A)及び(B)は、実施例1の2次元固体撮像装置の模式的な一部断面図である。
【図2】図2は、実施例1の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示す図である。
【図3】図3の(A)は、図2の矢印に沿って実施例1の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域を切断したときの模式的な一部端面図であり、図3の(B)は、実施例1の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置に関する概念図であり、図3の(C)は、実施例1の2次元固体撮像装置における1つの副画素領域の等価回路図であり、図3の(D)は、図5の矢印に沿って実施例1の2次元固体撮像装置の変形例における画素領域及び副画素領域を切断したときの模式的な一部端面図である。
【図4】図4の(A)〜(D)は、金属層の厚さ方向と平行な仮想平面で開口部を切断したときの開口部の断面形状を示す模式的な一部断面図である。
【図5】図5は、実施例1の2次元固体撮像装置の変形例における画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示す図である。
【図6】図6は、実施例2の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示す図である。
【図7】図7は、実施例3の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示す図である。
【図8】図8は、実施例5の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示す図である。
【図9】図9は、実施例6の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示す図である。
【図10】図10は、実施例6の2次元固体撮像装置の変形例における画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示す図である。
【図11】図11の(A)及び(B)は、実施例7の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示す図であり、図11の(C)は、図11の(B)の矢印に沿って実施例7の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域を切断したときの模式的な一部端面図である。
【図12】図12は、実施例7の2次元固体撮像装置における1つの副画素領域の等価回路図である。
【図13】図13は、実施例7の2次元固体撮像装置における開口部の平面形状の変形例を示す図である。
【図14】図14は、実施例7の2次元固体撮像装置の別の変形例における画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示す図である。
【図15】図15は、実施例5の2次元固体撮像装置の変形例における画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示す図である。
【図16】図16の(A)は、光電変換素子としてPINダイオードを用いた2次元固体撮像装置を模式的な一部断面図にて概念図として示す図であり、図16の(B)及び(C)は、部分的な配置図(開口部を上方から眺めた模式図)である。
【図17】図17の(A)〜(D)は、光電変換素子として埋め込み型フォトダイオードを用いた2次元固体撮像装置を模式的な一部断面図にて概念図として示す図である。
【図18】図18の(A)は、光電変換素子として水平方向のPN接合により構成されたフォトダイオードを用いた2次元固体撮像装置を模式的な一部断面図にて概念図として示す図であり、図18の(B)及び(C)は、光電変換素子として閾値変調型イメージセンサ(CMD)を用いた2次元固体撮像装置を模式的な一部断面図にて概念図として示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本発明の第1の態様及び第2の態様に係る2次元固体撮像装置、全般に関する説明
2.実施例1(本発明の第1の態様に係る2次元固体撮像装置、第1の構成)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.実施例3(実施例1の別の変形)
5.実施例4(実施例1の更に別の変形)
6.実施例5(実施例1の変形、第2の構成)
7.実施例6(実施例5の変形)
8.実施例7(本発明の第2の態様に係る2次元固体撮像装置、その他)
【0018】
[本発明の第1の態様及び第2の態様に係る2次元固体撮像装置、全般に関する説明]
本発明の第2の態様に係る2次元固体撮像装置にあっては、1つの開口部に対して複数(P0個)の光電変換素子を配置することで、P0種類の入射電磁波の偏光に関する情報を取得することができるが、1つの開口部に対して2P0個の光電変換素子が環状に配置されており、第p番目の光電変換素子(但し、pは1,2・・・P0)と第(p+P0)番目の光電変換素子とを一対として、入射電磁波の偏光に関する情報を取得する形態とすることで、より一層確実にP0種類の入射電磁波の偏光に関する情報を取得することができる。ここで、P0の値として、2、3又は4を挙げることができる。
【0019】
上記の好ましい形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る2次元固体撮像装置において、絶縁膜の厚さは1×10-7m(100nm)以下である形態とすることが望ましい。絶縁膜の厚さは薄ければ薄い程好ましい。シリコン酸化膜を用いる場合、金属層と光電変換素子との間の絶縁耐力等を考慮すると、絶縁膜の厚さは5×10-9m(5nm)以上であることが望ましい。また、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ランタン(La2O)、HfSiON等の所謂High−k材料を用いることが、絶縁膜間のリーク電流を軽減することができ、好適である。
【0020】
上記の好ましい形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る2次元固体撮像装置において、
各画素領域は、第1番目の副画素領域、及び、第1番目の副画素領域に隣接するM個の副画素領域から構成されており、
各副画素領域は1つの開口部を有し、
第1番目の副画素領域を構成する開口部の中心から、第m番目の副画素領域[但し、mは、2,3・・・(M+1)]を構成する開口部の中心までの距離をLmとしたとき、
入射電磁波の波長成分及び距離Lmに依存した波長成分に対応する近接場光を光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。尚、便宜上、『第1の構成の2次元固体撮像装置』と呼ぶ。
【0021】
そして、第1の構成の2次元固体撮像装置においては、入射電磁波のq種類(但し、qは2以上、M以下のいずれかの自然数)の波長成分及びq’種類(但し、q’は2以上、M以下のいずれかの自然数)の距離Lmに依存した波長成分に対応する近接場光を、少なくとも第m番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。あるいは又、このような構成を含む第1の構成の2次元固体撮像装置にあっては、Mの値は3であり、1つの画素領域において、4つの副画素領域における開口部の中心は、仮想正方形、仮想長方形又は仮想平行四辺形の頂点に位置する構成とすることができる。
【0022】
具体的には、1つの画素領域において4つの副画素領域における開口部の中心が仮想正方形の頂点に位置する場合、入射電磁波のq種類(但し、q=2又は3)の波長成分及び2種類の距離Lm(具体的には、例えば、m=2及び4、並びに、m=3)に依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因したq種類の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第m番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。尚、この場合、P0の値として3を挙げることができ、入射電磁波の偏光に関して最大4種類の情報を取得することができる。具体的には、仮想正方形ABCDとしたとき、各画素領域において、辺ABと平行に一対の光電変換素子を配置し、この辺ABと直交する辺ADと平行に一対の光電変換素子を配置すればよいし、更には、場合によっては、線分ACと平行に一対の光電変換素子を配置し、線分BDと平行に一対の光電変換素子を配置すればよい。また、P0の値として1を用いることで、任意の偏光成分を区別せずに取得することも可能である。この場合、仮想正方形ABCDを成す開口部に1つの光電変換素子を配置すればよい。
【0023】
あるいは又、1つの画素領域において4つの副画素領域における開口部の中心が仮想長方形の頂点に位置する場合、入射電磁波の3種類の波長成分及び3種類の距離Lm(m=2,m=3、並びに、m=4)に依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した3種類の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第m番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。尚、この場合、この場合、P0の値として3を挙げることができ、入射電磁波の偏光に関して最大4種類の情報を取得することができる。具体的には、仮想長方形ABCDとしたとき、各画素領域において、辺ABと平行に一対の光電変換素子を配置し、この辺ABと交わる辺ADと平行に一対の光電変換素子を配置し、線分ACと平行に残りの一対の光電変換素子を配置すればよいし、更には、場合によっては、線分BDと平行に一対の光電変換素子を配置すればよい。また、P0の値として1を用いることで、任意の偏光成分を区別せずに取得することも可能である。この場合、仮想長方形ABCDを成す開口部に1つの光電変換素子を配置すればよい。
【0024】
あるいは又、1つの画素領域において4つの副画素領域における開口部の中心が仮想平行四辺形の頂点に位置する場合、入射電磁波のq種類(但し、q=3又は4)の波長成分及びq種類の距離Lmに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因したq種類の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第m番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。尚、この場合、この場合、P0の値としてqを挙げることができ、入射電磁波の偏光に関するq種類の情報を取得することができる。具体的には、仮想平行四辺形ABCDとしたとき、各画素領域において、辺ABと平行に一対の光電変換素子を配置し、この辺ABと交わる辺ADと平行に一対の光電変換素子を配置し、線分ACと平行に残りの一対の光電変換素子を配置すればよく(q=3の場合)、更には、場合によっては、線分BDと平行に更に一対の光電変換素子を配置すればよい(q=4の場合)。また、P0の値として1を用いることで、任意の偏光成分を区別せずに取得することも可能である。この場合、仮想平行四辺形ABCDを成す開口部に1つの光電変換素子を配置すればよい。
【0025】
あるいは又、上記の好ましい形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る2次元固体撮像装置において、
各画素領域は、第1番目の副画素領域、及び、第1番目の副画素領域を取り囲むN個の副画素領域から構成されており、
各副画素領域は1つの開口部を有し、
第1番目の副画素領域を構成する開口部の中心から、第n番目の副画素領域[但し、nは、2,3・・・(N+1)]を構成する開口部の中心までの距離をLnとしたとき、
入射電磁波の波長成分及び距離Lnに依存した波長成分に対応する近接場光を光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。尚、便宜上、『第2の構成の2次元固体撮像装置』と呼ぶ。
【0026】
そして、第2の構成の2次元固体撮像装置においては、入射電磁波のq種類(但し、qは1以上、N以下のいずれかの自然数)の波長成分及びq’種類(但し、q’は1以上、N以下のいずれかの自然数)の距離Lnに依存した波長成分に対応する近接場光を、少なくとも第n番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。あるいは又、このような構成を含む第2の構成の2次元固体撮像装置にあっては、Nの値は6であり、1つの画素領域において、第1番目の副画素領域を取り囲むN個の副画素領域における開口部の中心は、仮想正六角形の頂点に位置し、第1番目の副画素領域における開口部の中心は、仮想正六角形の中心に位置する構成とすることができる。あるいは又、このような構成を含む第2の構成の2次元固体撮像装置にあっては、Nの値は8であり、1つの画素領域において、隣接する4つの副画素領域における開口部の中心は、仮想正方形、仮想長方形又は仮想平行四辺形の頂点、あるいは、仮想正八角形の頂点に位置する構成とすることもできる。
【0027】
具体的には、Nの値は6であり、1つの画素領域において、第1番目の副画素領域を取り囲むN個の副画素領域における開口部の中心が仮想正六角形の頂点に位置し、第1番目の副画素領域における開口部の中心が仮想正六角形の中心に位置する場合、入射電磁波の1種類以上、N種類以下の波長成分及び1種類の距離Lmに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した1種類以上、N種類以下の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第n番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。尚、この場合、P0の値として3を挙げることができ、入射電磁波の偏光に関する3種類の情報を取得することができる。具体的には、仮想正六角形ABCDEFとしたとき、各画素領域において、辺ADと平行に一対の光電変換素子を配置し、辺BEと平行に一対の光電変換素子を配置し、辺CFと平行に残りの一対の光電変換素子を配置すればよい。また、P0の値として1を用いることで、任意の偏光成分を区別せずに取得することも可能である。この場合、仮想正六角形ABCDEFを成す開口部に1つの光電変換素子を配置すればよい。
【0028】
あるいは又、具体的には、Nの値は8であり、1つの画素領域において隣接する4つの副画素領域における開口部の中心が仮想正方形の頂点に位置する場合、入射電磁波の2種類以上、N種類以下の波長成分及び2種類の距離Lm(具体的には、例えば、n=2,4,6,8、並びに、n=3,5,7,9)に依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した2種類以上、N種類以下の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第n番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。尚、この場合、P0の値として4を挙げることができ、入射電磁波の偏光に関する4種類の情報を取得することができる。具体的には、仮想正方形ABCD、仮想正方形ADEF、仮想正方形AFGH、仮想正方形AHIBとしたとき、各画素領域において、辺AB,AEと平行に一対の光電変換素子を配置し、これらの辺AB,AEと直交する辺AD,AEと平行に一対の光電変換素子を配置し、線分AC,AGと平行に一対の光電変換素子を配置し、線分AE,AIと平行に残りの一対の光電変換素子を配置すればよい。
【0029】
あるいは又、Nの値は8であり、1つの画素領域において、隣接する4つの副画素領域における開口部の中心が仮想長方形の頂点に位置する場合、入射電磁波の3種類以上、N種類以下の波長成分及び3種類の距離Lmに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した3種類以上、N種類以下の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第n番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。尚、この場合、P0の値として4を挙げることができ、入射電磁波の偏光に関する4種類の情報を取得することができる。具体的には、仮想長方形ABCD、仮想長方形ADEF、仮想長方形AFGH、仮想長方形AHIBとしたとき、各画素領域において、辺AB,AEと平行に一対の光電変換素子を配置し、これらの辺AB,AEと直交する辺AD,AEと平行に一対の光電変換素子を配置し、線分AC,AGと平行に一対の光電変換素子を配置し、線分AE,AIと平行に残りの一対の光電変換素子を配置すればよい。
【0030】
あるいは又、Nの値は8であり、1つの画素領域において、隣接する4つの副画素領域における開口部の中心が仮想平行四辺形の頂点に位置する場合、入射電磁波の3種類以上、N種類以下の波長成分及びq’種類(但し、q’=3又は4)の距離Lmに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した3種類以上、N種類以下の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第n番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。尚、この場合、P0の値としてq’を挙げることができ、入射電磁波の偏光に関するq’種類の情報を取得することができる。具体的には、仮想平行四辺形ABCD、仮想平行四辺形ADEF、仮想平行四辺形AFGH、仮想平行四辺形AHIBとしたとき、各画素領域において、辺AB,AEと平行に一対の光電変換素子を配置し、これらの辺AB,AEと交わる辺AD,AEと平行に一対の光電変換素子を配置し、線分AC,AGと平行に一対の光電変換素子を配置し(q=3の場合)、必要に応じて、線分AE,AIと平行に残りの一対の光電変換素子を配置すればよい(q=4の場合)。
【0031】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成、第1の構成の2次元固体撮像装置、第2の構成の2次元固体撮像装置を含む本発明の2次元固体撮像装置において、開口部の光入射側には、屈折率変化層が設けられている構成とすることができる。ここで、屈折率変化層を構成する材料として、入射する光に対して透明な絶縁材料、具体的には、酸化シリコン(SiO2)や、SiO2を主成分とする複合素材が好適である。また、その他、フッ化マグネシウム(MgF2)、窒化シリコン(SiN)、酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化ハフニウム(HfO2)等の酸化物や窒化物を挙げることもできる。あるいは又、屈折率変化層は、入射電磁波の波長よりも小さい凹凸周期構造を有する構成とすることができる。この場合、酸化シリコン(SiO2)、フッ化マグネシウム(MgF2)若しくは空気を低屈折率の媒質とすればよいし、窒化シリコン(SiN)、 酸化チタン(TiO2)、 酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化ハフニウム(HfO2)を高屈折率の媒質とすればよい。そして、これらの媒質を入射電磁波よりも有意に小さい物理的スケールで1次元的若しくは2次元的に周期的に配置することで、実効的な屈折率は、双方の媒質が有する屈折率を体積比率で平均化した値となる。つまり、低屈折率の媒質と高屈折率の媒質の中間の屈折率であれば任意の屈折率を得ることができる。
【0032】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成、第1の構成の2次元固体撮像装置、第2の構成の2次元固体撮像装置を含む本発明の2次元固体撮像装置(以下、これらを総称して、『本発明の2次元固体撮像装置等』と呼ぶ場合がある)にあっては、光電変換素子として、具体的には、CCD型、CMOS型、CMD(Charge Modulation Device)型の信号増幅型イメージセンサーを挙げることができるし、PINダイオードを挙げることもできる。また、ボロメーター等の熱検出型のセンサーを挙げることもできる。従来のCCD型信号増幅型イメージセンサーにあっては、長波長(赤色:700nm程度)の光電変換がシリコン基板の深部あるいは2μm程度の深さの所で生じるが故に、シリコンの光吸収係数をベースにした深さ方向で光電変換を行う従来のイメージセンサーにあっては、その厚さを数μm以下にすることは技術的に不可能であった。本発明の2次元固体撮像装置にあっては、開口部縁部(エッジ部分)において発生する近接場光を検出して光電変換するので、シリコン基板の厚さが薄くても問題はない。具体的には、光電変換素子は、シリコン基板に形成されており、シリコン基板の表面から1μm以下の浅い領域で光電変換を行う構造とすることができる。また、低温ポリシリコンを用いたTFTを用いることも可能である。本発明の2次元固体撮像装置等として、表面照射型の2次元固体撮像装置あるいは裏面照射型の2次元固体撮像装置を挙げることができる。本発明の2次元固体撮像装置等から、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ、カムコーダを構成することができる。また、光通信機器、情報通信システム、車車間通信や路車間通信のための光情報送受信装置システムを構成することができる。
【0033】
場合によっては、近接場光を効率良く検出するために、光電変換素子の受光領域の中央部を凸状とし、光電変換素子の受光領域の頂面と金属層との間の距離、あるいは、光電変換素子の受光領域の頂面と開口部縁部(エッジ部分)との間の距離の短縮化を図ってもよい。また、開口部縁部(エッジ部分)に発生する近接場光を効率良く検出するために、開口部縁部(エッジ部分)の下方あるいは直下に光電変換素子の受光領域の中心を配置してもよい。
【0034】
本発明の2次元固体撮像装置等において、複数の画素領域は、全体としてX方向及びY方向の2次元マトリクス状に配列されている。
【0035】
本発明の2次元固体撮像装置等にあっては、入射電磁波として、波長0.4μm乃至0.7μmの可視光を挙げることができるし、あるいは又、波長0.4μm以下の紫外線、波長0.7μm以上の赤外線を挙げることもできる。
【0036】
開口部の開口径dは、検出すべき入射電磁波の波長よりも小さいことが望ましく、可視光波長帯の検出にあっては、開口部の開口径dは0.1μm〜0.3μm程度であることが好ましい。あるいは又、開口部の開口径dは、光電変換素子が検出する電磁波の波長における回折限界でのスポット広がりの半分以下であることが望ましい。隣接する副画素領域における開口部の中心間の距離Dは、検出すべき電磁波の波長と同程度とすればよく、可視光波長帯の検出にあっては、0.4μm〜0.8μm程度とすることが好ましい。開口部を、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等の入射電磁波に対して透明な媒質(例えば、誘電体材料から成る屈折率変化層)で充填してもよい。尚、この場合には、媒質の屈折率をn0としたとき、開口部の中心間の距離Dは、開口部を媒質で充填しない場合の距離Dの、例えば(1/n0)倍とすればよい。一例として、可視光波長を考えた場合、赤色、緑色、青色のそれぞれの波長λR,λG,λBはおおよそ、
λR:600nm〜800nm
λG:500nm〜600nm
λB:380nm〜500nm
であるので、媒質の屈折率を1.5とした場合の開口部の中心間の距離(赤色の光を検出する副画素領域における開口部の中心間の距離DR、緑色の光を検出する副画素領域における開口部の中心間の距離DG、青色の光を検出する副画素領域における開口部の中心間の距離DB)を、例えば、
DR:400nm〜530nm
DG:330nm〜400nm
DB:250nm〜330nm
とすればよい。このように、「開口部の中心間の距離D」には、媒質の屈折率が考慮された、所謂、実効的な距離も包含される。また、この場合の媒質の比誘電率は、光電変換素子を構成する材料の有する比誘電率と同じ値、あるいは、近い値であることが好ましい。
【0037】
開口部の射影像は、光電変換素子の法線方向から眺めた射影像である。開口部の平面形状として、円形、三角形、四角形、六角形、八角形、菱形、楕円形、星形、十字形状等、任意の平面形状とすることができ、可視光波長〜近赤外線波長領域で表面プラズモン・ポラリトン(SPP)を励起できる周期構造を備えていれば、平面形状は特には限定されない。金属層の厚さ方向と平行な仮想平面で開口部を切断したときの開口部の断面形状として、矩形形状(金属層の上面における開口部の平面形状と、金属層の下面における開口部の平面形状とが同じ形状)とすることもできるし、あるいは又、金属層の上面から下面に向かって階段状に断面積が小さくなるステップ状の断面形状(ステップの数は1以上であればよい)、金属層の上面から下面に向かって単調に断面積が小さくなるスロープ状の断面形状を挙げることができる。尚、金属層の上面から電磁波が入射するとする。ステップ状あるいはスロープ状の断面形状とすることで、金属層の異なる深さで異なる開口径を実現することができるので、表面プラズモン・ポラリトンに基づき発生する共鳴状態における共鳴波長の広帯域化を図ることが可能となる。
【0038】
金属層を構成する材料として、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)等のプラズモン損失が小さい貴金属の他、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、酸化チタン等の導電材料を挙げることができる。あるいは又、例えばシリコン系材料の表面をこれらの導電材料で被覆した構造とすることもできるし、ナノロッド、ナノワイヤー等の線状素材やナノ粒子等の球状粒子若しくは誘電体微小球をこれらの導電材料で被覆した構造とすることもできる。金属層の厚さとして、1×10-8m(10nm)乃至1×10-6m(1μm)、具体的には、50nm程度を例示することができる。
【0039】
絶縁膜は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、HfSiONといった絶縁性に優れ、薄膜化に適した材料から構成することが望ましく、絶縁膜の厚さは薄ければ薄いほど好ましい。具体的には、絶縁膜の厚さは、上述したとおり、1×10-7m以下であることが望ましい。
【0040】
金属層における開口部の作製方法として、金属層の成膜技術、並びに、リソグラフィ技術とエッチング技術(例えば、四フッ化炭素ガス、六フッ化硫黄ガス、トリフルオロメタンガス、二フッ化キセノンガス等を用いた異方性ドライエッチング技術や、物理的エッチング技術)による金属層のパターニング技術との組合せ、あるいは又、所謂リフトオフ技術を挙げることができる。金属層の成膜方法として、各種の真空蒸着法やスパッタリング法といった物理的気相成長法(PVD法)だけでなく、化学的気相成長法(CVD法)、メッキ法、MOCVD法、MBE法を挙げることができる。リソグラフィ技術として、フォトリソグラフィ技術(高圧水銀灯のg線、i線、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ等を光源として用いたリソグラフィ技術)、電子線リソグラフィ技術、X線リソグラフィを挙げることができる。あるいは又、フェムト秒レーザ等の極短時間パルスレーザによる微細加工技術や、ナノインプリント法に基づき、開口部を有する金属層を形成することもできる。
【実施例1】
【0041】
実施例1は、本発明の第1の態様に係る2次元固体撮像装置に関し、更には、第1の構造の2次元固体撮像装置に関する。実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例7における2次元固体撮像装置は、複数の画素領域が、全体としてX方向及びY方向の2次元マトリクス状に配列されている。
【0042】
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例7の2次元固体撮像装置の模式的な一部断面図を図1の(A)あるいは(B)に示す。また、実施例1の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置を図2に模式的に示し、図2の矢印に沿って画素領域及び副画素領域を切断したときの模式的な一部端面図を図3の(A)に示し、更には、画素領域及び副画素領域の配置に関する概念図を図3の(B)に示し、1つの副画素領域の等価回路図を図3の(C)に示す。尚、図3の(C)において、光電変換素子(受光素子)を点線で囲んで示した。また、その他の図面においては、光電変換素子(受光素子)を実線の四角形で示した。
【0043】
実施例1の2次元固体撮像装置は、2次元マトリクス状に配置された画素領域を有し、各画素領域は、複数の副画素領域10から構成されている。ここで、図面においては、画素領域を一点鎖線で囲み、副画素領域10を点線で囲っている。そして、入射電磁波の波長よりも小さい開口径を有する開口部31が設けられた金属層30、及び、光電変換素子(受光素子)21が、絶縁膜32を挟んで配置されており、各副画素領域10に含まれる金属層30の部分に設けられた開口部31に対して、少なくとも1つの光電変換素子21が配置されている。実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例6にあっては、開口部31に対して1つの光電変換素子21が配置されている。そして、開口部31の射影像は、光電変換素子21の受光領域内に含まれており、開口部31は、入射電磁波によって励起される表面プラズモン・ポラリトンに基づき共鳴状態を発生させるように配列されており、この共鳴状態により開口部31近傍において発生する近接場光を光電変換素子21にて電気信号に変換する。即ち、開口部31は、入射電磁波に基づき表面プラズモン・ポラリトン共鳴が生じるように配列されており、この表面プラズモン・ポラリトン共鳴により開口部31近傍において発生する近接場光を光電変換素子21にて電気信号に変換する。ここで、より具体的には、近接場光は開口部縁部の近傍において発生するが、開口部31の射影像が光電変換素子21の受光領域内に含まれているが故に、即ち、開口部縁部の下方には必ず光電変換素子21の受光領域が存在するが故に、近接場光を光電変換素子21において確実に検出することができる。
【0044】
更には、実施例1の2次元固体撮像装置にあっては、各画素領域は、第1番目の副画素領域、及び、第1番目の副画素領域に隣接するM個の副画素領域から構成されており、各副画素領域10は1つの開口部31を有している。そして、第1番目の副画素領域101を構成する開口部31の中心から、第m番目の副画素領域10m[但し、mは、2,3・・・(M+1)]を構成する開口部31の中心までの距離をLmとしたとき、入射電磁波の波長成分及び距離Lmの周期構造に依存した波長成分に対応する近接場光を光電変換素子21にて電気信号に変換する。即ち、隣接する開口部31と開口部31とによって一種の微小共振器が構成されている。
【0045】
具体的には、実施例1にあっては、入射電磁波のq種類(但し、qは2以上、M以下のいずれかの自然数)の波長成分及びq’種類(但し、q’は2以上、M以下のいずれかの自然数)の距離Lmに依存した波長成分に対応する近接場光を、少なくとも第m番目の副画素領域10mにおける光電変換素子21にて電気信号に変換する。ここで、実施例1にあっては、Mの値は3であり、1つの画素領域において、4つの副画素領域における開口部31の中心は仮想正方形の頂点に位置する。
【0046】
より具体的には、概念図を図3の(B)に示すように、1つの画素領域において4つの副画素領域における開口部31の中心が仮想正方形の頂点に位置しており、入射電磁波の2種類の波長成分及び2種類の距離Lmの周期構造(具体的には、例えば、m=2及び4、並びに、m=3)に依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した2種類の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第m番目の副画素領域10mにおける光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0047】
即ち、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第2番目の副画素領域102における開口部31の中心との間の距離L2、及び、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第4番目の副画素領域104における開口部31の中心との間の距離L4によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第1の距離D1が規定され、更には、入射電磁波の第1の波長成分が規定され、これらの第1の距離D1と入射電磁波の第1の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第1の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101、第2番目の副画素領域102及び第4番目の副画素領域104における光電変換素子21にて電気信号に変換する。また、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第3番目の副画素領域103における開口部31の中心との間の距離L3によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第2の距離D2(≠D1)が規定され、更には、入射電磁波の第2の波長成分が規定され、これらの第2の距離D2と入射電磁波の第2の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第2の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第3番目の副画素領域103における光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0048】
第1の波長成分に対応する近接場光及び第2の波長成分に対応する近接場光を各副画素領域における光電変換素子21にて電気信号に変換するが、第1の波長成分に対応する近接場光に基づく電気信号と、第2の波長成分に対応する近接場光に基づく電気信号との分離に関しては、実施例7にて説明する。
【0049】
第2番目の副画素領域を第1番目の副画素領域101と見做したときも同様であるし、第3番目の副画素領域を第1番目の副画素領域101と見做したときも同様であるし、第4番目の副画素領域を第1番目の副画素領域101と見做したときも同様である。以下の説明においても同様である。
【0050】
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例7にあっては、絶縁膜32の厚さは1×10-7m以下、具体的には、例えば10nmである。ここで、絶縁膜32はSiO2から成る。また、金属層30は、厚さ50nmの金(Au)層から成る。開口部31の平面形状を円形とした。但し、絶縁膜32、金属層30、開口部31の形状は、これらに限定するものではない。また、実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例7にあっては、入射電磁波として、波長0.4μm乃至0.7μmの可視光を挙げることができるし、あるいは又、波長0.4μm以下の紫外線、波長0.7μm以上の赤外線を挙げることもできる。
【0051】
ここで、実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例7にあっては、光電変換素子21をCMOS型の信号増幅型イメージセンサーから構成したが、これに限定するものではなく、その他、CCD型、CMD型の信号増幅型イメージセンサーを採用してもよいし、PINダイオードを採用してもよい。実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例7の2次元固体撮像装置にあっては、光電変換素子21が検出(受光)する電磁波は、例えば、可視光である。CMOS型の信号増幅型イメージセンサーを採用する場合、素子分離として、LOCOS構造、EDI(Expanding Photodiode Design for Isolation)構造、STI(Shallow Trench Isolation)構造等の、周知の構造を採用すればよい。
【0052】
ここで、図1の(A)に示す2次元固体撮像装置は、表面照射型の2次元固体撮像装置であり、図1の(B)に示す2次元固体撮像装置は、裏面照射型の2次元固体撮像装置である。図1の(A)に示す表面照射型の2次元固体撮像装置にあっては、オンチップ・マイクロ凸レンズから成る集光素子24によって集光された光は、SiO2やSiNといった透明な物質から成る平滑化層22を通過する。そして、金属層30に衝突する結果、金属層30に設けられた開口部31近傍において近接場光が発生し、この近接場光が光電変換素子21に導かれる。尚、金属層30は、所謂遮光層を兼ねている。そして、近接場光は、光電変換により電荷として蓄積された後、電気信号として外部に読み出される。尚、参照番号11はシリコン基板から成る基板を示し、参照番号23はアルミニウム(Al)から構成された配線層を示す。光電変換素子21は基板11に形成されている。尚、金属層30に設けられた開口部31は、実際には、平滑化層22によって充填されている。一方、図1の(B)に示す裏面照射型の2次元固体撮像装置にあっては、集光素子24によって集光された光は基板11を通過する。そして,金属層30に衝突する結果、金属層30に設けられた開口部31近傍において近接場光が発生し、この近接場光が光電変換素子21に導かれる。そして、近接場光は、光電変換により電荷として蓄積された後、電気信号として外部に読み出される。尚、開口部31は、入射電磁波に対して透明な媒質33によって充填されている。集光素子を、オンチップ・マイクロ凸レンズの他にも、光電変換素子21に入射する電磁波(例えば、可視光)の波長よりも小さい物理スケールの周期構造を有するサブ波長レンズ(Sub-Wavelength Lens:SWLL)から構成することができる。
【0053】
金属層30の厚さ方向と平行な仮想平面で開口部31を切断したときの開口部31の断面形状は、図3の(A)に示し、あるいは、図4の(A)に示すように、矩形形状(金属層30の上面における開口部31の平面形状と、金属層30の下面における開口部31の平面形状とが同じ形状)とすることができる。あるいは又、図4の(B)、(C)に模式的に図示するように、金属層30の上面から下面に向かって階段状に断面積が小さくなるステップ状の断面形状(ステップの数は1以上であればよい)としてもよいし、図4の(D)に模式的に図示するように、金属層30の上面から下面に向かって単調に断面積が小さくなるスロープ状の断面形状としてもよい。
【0054】
また、画素領域及び副画素領域の配置を図5に模式的に示し、図5の矢印に沿って画素領域及び副画素領域を切断したときの模式的な一部端面図を図3の(D)に示すように、開口部31の開口径を副画素領域によって異ならせてもよい。
【0055】
実施例1の2次元固体撮像装置は、開口部31を有する金属層30を絶縁膜32上に形成する点を除き、従来の2次元固体撮像装置と基本的に同じ方法にて製造することができるし、金属層30の微細加工は、半導体装置の製造技術を転用することで容易に達成することができる。それ故、実施例1の2次元固体撮像装置の製造方法の説明は省略する。後述する実施例2〜実施例7の2次元固体撮像装置においても同様である。
【0056】
実施例1の2次元固体撮像装置にあっては、入射電磁波によって励起される表面プラズモン・ポラリトンに基づき共鳴状態を発生させ(表面プラズモン・ポラリトン共鳴の発生)、係る共鳴状態により開口部31近傍において発生する近接場光(表面プラズモン・ポラリトン共鳴により発生する近接場光)を光電変換素子21にて電気信号に変換する。それ故、高感度、且つ、微小開口径を有する2次元固体撮像装置を実現することができる。しかも、画素領域は複数の副画素領域10から構成されており、各副画素領域10に含まれる金属層30の部分には開口部31が設けられているので、開口部間の距離を最適化することで、副画素領域10のそれぞれにおいて異なる波長成分の近接場光を検出し、色情報を確実に再現することができる。また、実施例1の2次元固体撮像装置にあっては、金属層30に設けられた開口部間の距離に基づいて近接場光を励起し、検出するので、光電変換素子21の厚さと検出波長との間には何らの関係も無い。近接場光は電磁波波長程度の領域にしか到達しないが故に、光電変換素子21の厚さを充分に薄くすることが可能である。しかも、開口部31の開口径は入射電磁波の波長よりも小さいので、従来の2次元固体撮像装置に比べて光電変換素子21の開口面積を小さくすることが可能になり、これにより、光電変換素子全体の面積を保ちつつ、単位面積当たりの画素数を飛躍的に増加させることができる。
【実施例2】
【0057】
実施例2は、実施例1の変形である。実施例1にあっては、1つの画素領域において4つの副画素領域における開口部31の中心が仮想正方形の頂点に位置するとした。一方、実施例3にあっては、Mの値は3であり、1つの画素領域において、4つの副画素領域における開口部31の中心は、仮想長方形の頂点に位置する。
【0058】
より具体的には、画素領域及び副画素領域の配置を図6に模式的に示すように、1つの画素領域において4つの副画素領域における開口部31の中心が仮想長方形の頂点に位置しており、入射電磁波の3種類の波長成分及び3種類の距離Lm(具体的には、例えば、m=2,m=3、並びに、m=4)に依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した3種類の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第m番目の副画素領域10mにおける光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0059】
即ち、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第2番目の副画素領域102における開口部31の中心との間の距離L2によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第1の距離D1が規定され、更には、入射電磁波の第1の波長成分が規定され、これらの第1の距離D1と入射電磁波の第1の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第1の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第2番目の副画素領域102における光電変換素子21にて電気信号に変換する。また、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第3番目の副画素領域103における開口部31の中心との間の距離L3によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第2の距離D2(≠D1)が規定され、更には、入射電磁波の第2の波長成分が規定され、これらの第2の距離D2と入射電磁波の第2の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第2の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第3番目の副画素領域103における光電変換素子21にて電気信号に変換する。更には、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第4番目の副画素領域104における開口部31の中心との間の距離L4によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第3の距離D3(≠D1,≠D2)が規定され、更には、入射電磁波の第3の波長成分が規定され、これらの第3の距離D3と入射電磁波の第3の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第3の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第4番目の副画素領域104における光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0060】
第2番目の副画素領域を第1番目の副画素領域101と見做したときも同様であるし、第3番目の副画素領域を第1番目の副画素領域101と見做したときも同様であるし、第4番目の副画素領域を第1番目の副画素領域101と見做したときも同様である。
【0061】
以上の点を除き、実施例2の2次元固体撮像装置の構成、構造は、実施例1の2次元固体撮像装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例3】
【0062】
実施例3も、実施例1の変形である。実施例3にあっては、Mの値は3であり、1つの画素領域において、4つの副画素領域における開口部31の中心は、仮想平行四辺形の頂点に位置する。
【0063】
より具体的には、画素領域及び副画素領域の配置を図7に模式的に示すように、1つの画素領域において4つの副画素領域における開口部31の中心が仮想平行四辺形の頂点に位置しており、入射電磁波の3種類の波長成分及び3種類の距離Lm(具体的には、例えば、m=2,m=3、並びに、m=4)に依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した3種類の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第m番目の副画素領域10mにおける光電変換素子21にて電気信号に変換する。このような例は、上述した実施例2の1つの画素領域において4つの副画素領域における開口部31の中心が仮想長方形の頂点に位置する場合と同じである。
【0064】
あるいは又、隣接する副画素領域における開口部の中心間の距離の更なる最適化を図ることで、以下に説明する形態とすることもできる。即ち、入射電磁波の4種類の波長成分及び4種類の距離Lm(具体的には、例えば、m=2,m=3、並びに、m=4)に依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した4種類の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第m番目の副画素領域10mにおける光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0065】
具体的には、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第2番目の副画素領域102における開口部31の中心との間の距離L2によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第1の距離D1が規定され、更には、入射電磁波の第1の波長成分が規定され、これらの第1の距離D1と入射電磁波の第1の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第1の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第2番目の副画素領域102における光電変換素子21にて電気信号に変換する。また、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第3番目の副画素領域103における開口部31の中心との間の距離L3によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第2の距離D2(≠D1)が規定され、更には、入射電磁波の第2の波長成分が規定され、これらの第2の距離D2と入射電磁波の第2の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第2の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第3番目の副画素領域103における光電変換素子21にて電気信号に変換する。更には、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第4番目の副画素領域104における開口部31の中心との間の距離L4によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第3の距離D3(≠D1,≠D2)が規定され、更には、入射電磁波の第3の波長成分が規定され、これらの第3の距離D3と入射電磁波の第3の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第3の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第4番目の副画素領域104における光電変換素子21にて電気信号に変換する。また、第2番目の副画素領域102における開口部31の中心と第4番目の副画素領域104における開口部31の中心との間の距離L2-4(図7参照)によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第4の距離D4(≠D1,≠D2,≠D3)が規定され、更には、入射電磁波の第4の波長成分が規定され、これらの第4の距離D4と入射電磁波の第4の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第4の波長成分に対応する近接場光を、第2番目の副画素領域102及び第4番目の副画素領域104における光電変換素子21にて電気信号に変換する。尚、この場合、P0の値として3を挙げることができ、この場合、距離L2,L3,L4によって規定される距離D2,D3,D4により励起される近接場光に相当する波長成分を、各々の光電変換素子によって電気信号に変換する。また、P0の値として1を挙げることができ、この場合、光電変換素子は、各開口間距離とそれぞれに対応する電磁波波長との共鳴状態に起因する近接場光を、混在した状態で検出する。
【0066】
第3番目の副画素領域を第1番目の副画素領域101と見做し、第4番目の副画素領域を第2番目の副画素領域102と見做したときも同様である。
【0067】
以上の点を除き、実施例4の2次元固体撮像装置の構成、構造は、実施例1の2次元固体撮像装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例4】
【0068】
実施例4も、実施例1の変形である。実施例4にあっては、Mの値は3であり、1つの画素領域において、4つの副画素領域における開口部31の中心は、不規則な四辺形の頂点に位置する。ここで、不規則な四辺形とは、四辺形ABCDにおいて、ABの長さ、ACの長さ、ADの長さ、BCの長さ、CDの長さ、BDの長さが、相互に異なっており、例えば、以下に説明するように近接場光を検出する。
【0069】
即ち、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第2番目の副画素領域102における開口部31の中心との間の距離L2によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第1の距離D1が規定され、更には、入射電磁波の第1の波長成分が規定され、これらの第1の距離D1と入射電磁波の第1の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第1の波長成分に対応する近接場光を、第2番目の副画素領域102における光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0070】
また、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第3番目の副画素領域103における開口部31の中心との間の距離L3によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第2の距離D2(≠D1)が規定され、更には、入射電磁波の第2の波長成分が規定され、これらの第2の距離D2と入射電磁波の第2の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第2の波長成分に対応する近接場光を、第3番目の副画素領域103における光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0071】
更には、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第4番目の副画素領域104における開口部31の中心との間の距離L4によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第3の距離D3(≠D1,≠D2)が規定され、更には、入射電磁波の第3の波長成分が規定され、これらの第3の距離D3と入射電磁波の第3の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第3の波長成分に対応する近接場光を、第4番目の副画素領域104における光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0072】
以上の点を除き、実施例4の2次元固体撮像装置の構成、構造は、実施例1の2次元固体撮像装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例5】
【0073】
実施例5も、実施例1の変形であるが、第2の構成に関する。実施例5の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置を図8に模式的に示す。
【0074】
実施例5あるいは後述する実施例6〜実施例7の2次元固体撮像装置にあっては、
各画素領域は、第1番目の副画素領域101、及び、第1番目の副画素領域101を取り囲むN個の副画素領域から構成されており、
各副画素領域は1つの開口部31を有し、
第1番目の副画素領域を構成する開口部31の中心から、第n番目の副画素領域[但し、nは、2,3・・・(N+1)]を構成する開口部31の中心までの距離をLnとしたとき、
入射電磁波の波長成分及び距離Lnに依存した波長成分に対応する近接場光を光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0075】
ここで、実施例5あるいは後述する実施例6〜実施例7の2次元固体撮像装置においては、入射電磁波のq種類(但し、qは1以上、N以下のいずれかの自然数)の波長成分及びq’種類(但し、q’は1以上、N以下のいずれかの自然数)の距離Lnに依存した波長成分に対応する近接場光を、少なくとも第n番目の副画素領域における光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0076】
また、実施例5の2次元固体撮像装置にあっては、Nの値は6であり、1つの画素領域において、第1番目の副画素領域を取り囲むN個の副画素領域における開口部31の中心は、仮想正六角形の頂点に位置し、第1番目の副画素領域における開口部31の中心は、仮想正六角形の中心に位置する。
【0077】
具体的には、実施例5にあっては、入射電磁波の1種類以上、N種類以下(例えば、1種類)の波長成分及び1種類の距離Lmに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した1種類以上、N種類以下(例えば、1種類)の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第n番目の副画素領域における光電変換素子21にて電気信号に変換する。このような実施例5の2次元固体撮像装置は、単一の色に対して感度を有する。尚、2種類以上の波長成分に対応する近接場光を得ようとする場合には、副画素領域における開口部31を充填する媒質(屈折率変化層)を異ならせればよい。以下の説明においても同様である。
【0078】
即ち、例えば、第2番目の副画素領域102及び第5番目の副画素領域105における開口部31を充填する媒質、第3番目の副画素領域103及び第6番目の副画素領域106における開口部31を充填する媒質、第4番目の副画素領域104及び第7番目の副画素領域107における開口部31を充填する媒質を、適宜、変えることで、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第2番目の副画素領域102及び第5番目の副画素領域105における開口部31の中心との間の距離L2によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第1の距離D1が規定され、更には、入射電磁波の第1の波長成分が規定され、これらの第1の距離D1と入射電磁波の第1の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第1の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101、第2番目の副画素領域102及び第5番目の副画素領域105における光電変換素子21にて電気信号に変換する。また、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第3番目の副画素領域103及び第6番目の副画素領域106における開口部31の中心との間の距離L3によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第2の距離D2(≠D1)が規定され、更には、入射電磁波の第2の波長成分が規定され、これらの第2の距離D2と入射電磁波の第2の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第2の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101、第3番目の副画素領域103及び第6番目の副画素領域106における光電変換素子21にて電気信号に変換する。更には、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第4番目の副画素領域104及び第7番目の副画素領域107における開口部31の中心との間の距離L4によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第3の距離D3(≠D1,≠D2)が規定され、更には、入射電磁波の第3の波長成分が規定され、これらの第3の距離D3と入射電磁波の第3の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第3の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101、第4番目の副画素領域104及び第7番目の副画素領域107における光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0079】
以上の点を除き、実施例5の2次元固体撮像装置の構成、構造は、実施例1の2次元固体撮像装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例6】
【0080】
実施例6は、実施例5の変形である。実施例6にあっては、Nの値は8であり、1つの画素領域において、隣接する4つの副画素領域における開口部31の中心は、仮想正方形、仮想長方形又は仮想平行四辺形の頂点に位置する。実施例6の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置を、図9(仮想正方形の頂点に位置する例)、あるいは、図10(仮想平行四辺形の頂点に位置する例)に模式的に示す。
【0081】
具体的には、Nの値は8であり、1つの画素領域において隣接する4つの副画素領域における開口部31の中心が仮想正方形の頂点に位置する場合(図9参照)、入射電磁波の2種類以上、N種類以下の波長成分及び2種類の距離Lm(具体的には、例えば、n=2,4,6,8、並びに、n=3,5,7,9)に依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した2種類以上、N種類以下の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第n番目の副画素領域における光電変換素子21にて電気信号に変換する構成とすることができる。
【0082】
ここで、1つの画素領域は、第1番目の副画素領域101、第2番目の副画素領域102、第3番目の副画素領域103、第4番目の副画素領域104、第5番目の副画素領域105、第6番目の副画素領域106、第7番目の副画素領域107、第8番目の副画素領域108、及び、第9番目の副画素領域109から構成されている。更には、1つの画素領域において隣接する4つの副画素領域は、(第1番目の副画素領域101,第2番目の副画素領域102,第3番目の副画素領域103,第4番目の副画素領域104)の組である。また、(第1番目の副画素領域101,第4番目の副画素領域104,第5番目の副画素領域105,第6番目の副画素領域106)の組である。また、(第1番目の副画素領域101,第6番目の副画素領域106,第7番目の副画素領域107,第8番目の副画素領域108)の組である。また、(第1番目の副画素領域101,第8番目の副画素領域108,第9番目の副画素領域109,第2番目の副画素領域102)の組である。以下の説明においても同様である。
【0083】
即ち、例えば、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第2番目の副画素領域102における開口部31の中心との間の距離L2、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第4番目の副画素領域104における開口部31の中心との間の距離L4、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第6番目の副画素領域106における開口部31の中心との間の距離L6、及び、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第8番目の副画素領域108における開口部31の中心との間の距離L8によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第1の距離D1が規定され、更には、入射電磁波の第1の波長成分が規定され、これらの第1の距離D1と入射電磁波の第1の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第1の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101、第2番目の副画素領域102、第4番目の副画素領域104、第6番目の副画素領域106及び第8番目の副画素領域108における光電変換素子21にて電気信号に変換する。また、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第3番目の副画素領域103における開口部31の中心との間の距離L3、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第5番目の副画素領域105における開口部31の中心との間の距離L5、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第7番目の副画素領域107における開口部31の中心との間の距離L7、及び、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第9番目の副画素領域109における開口部31の中心との間の距離L9によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第2の距離D2(≠D1)が規定され、更には、入射電磁波の第2の波長成分が規定され、これらの第2の距離D2と入射電磁波の第2の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第2の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101、第3番目の副画素領域103、第5番目の副画素領域105、第7番目の副画素領域107及び第9番目の副画素領域109における光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0084】
あるいは又、Nの値は8であり、1つの画素領域において、隣接する4つの副画素領域における開口部31の中心が仮想長方形の頂点に位置する場合、入射電磁波の3種類以上、N種類以下の波長成分及び3種類の距離Lmに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した3種類以上、N種類以下の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第n番目の副画素領域における光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0085】
即ち、例えば、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第2番目の副画素領域102における開口部31の中心との間の距離L2、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第6番目の副画素領域106における開口部31の中心との間の距離L6によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第1の距離D1が規定され、更には、入射電磁波の第1の波長成分が規定され、これらの第1の距離D1と入射電磁波の第1の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第1の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101、第2番目の副画素領域102及び第6番目の副画素領域106における光電変換素子21にて電気信号に変換する。また、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第4番目の副画素領域104における開口部31の中心との間の距離L4、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第8番目の副画素領域108における開口部31の中心との間の距離L8によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第2の距離D2(≠D1)が規定され、更には、入射電磁波の第2の波長成分が規定され、これらの第2の距離D2と入射電磁波の第2の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第2の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101、第4番目の副画素領域104及び第8番目の副画素領域108における光電変換素子21にて電気信号に変換する。更には、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第3番目の副画素領域103における開口部31の中心との間の距離L3、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第5番目の副画素領域105における開口部31の中心との間の距離L5、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第7番目の副画素領域107における開口部31の中心との間の距離L7、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第9番目の副画素領域109における開口部31の中心との間の距離L9によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第3の距離D3(≠D1,≠D2)が規定され、更には、入射電磁波の第3の波長成分が規定され、これらの第3の距離D3と入射電磁波の第3の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第3の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101、第3番目の副画素領域103、第5番目の副画素領域105、第7番目の副画素領域107及び第9番目の副画素領域109における光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0086】
あるいは又、Nの値は8であり、1つの画素領域において、隣接する4つの副画素領域における開口部31の中心が仮想平行四辺形の頂点に位置する場合(図10参照)、入射電磁波の3種類以上、N種類以下の波長成分及び3種類又は4種類の距離Lmに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した3種類以上、N種類以下の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第n番目の副画素領域における光電変換素子21にて電気信号に変換する構成とすることができる。尚、このような例は、基本的には、上述した1つの画素領域において8つの副画素領域における開口部31の中心が仮想長方形の頂点に位置する場合と同様とすることができるし、あるいは、実施例3にて説明したと同様とすることができる。
【0087】
尚、実施例6あるいは前述した実施例5にあっては、隣接する画素領域間において表面プラズモン・ポラリトンに基づき共鳴状態が生じないように、隣接する副画素領域における開口部の中心間の距離Dが決められている。但し、これに限定するものではなく、隣接する画素領域間において表面プラズモン・ポラリトンに基づき共鳴状態が生じるように、隣接する副画素領域における開口部の中心間の距離Dを決めてもよい。この場合には、例えば、図9に示した例にあっては、第1番目の副画素領域101、第2番目の副画素領域102、第3番目の副画素領域103及び第4番目の副画素領域104から構成された第1画素領域、第1番目の副画素領域101、第4番目の副画素領域104、第5番目の副画素領域105及び第6番目の副画素領域106から構成された第2画素領域、第1番目の副画素領域101、第6番目の副画素領域106、第7番目の副画素領域107及び第8番目の副画素領域108から構成された第3画素領域、並びに、第1番目の副画素領域101、第8番目の副画素領域108、第9番目の副画素領域109及び第2番目の副画素領域102から構成された第4画素領域の4つの画素領域から画素領域群が構成され、この画素領域群を、実施例6における画素領域と見做せばよい。他の副画素領域の配置においても同様である。
【0088】
以上の点を除き、実施例6の2次元固体撮像装置の構成、構造は、実施例1の2次元固体撮像装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例7】
【0089】
実施例7は、実施例1の変形であるが、本発明の第2の態様に係る2次元固体撮像装置に関する。実施例7の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置を図11の(A)及び(B)に模式的に示し、図11の(B)の矢印に沿って画素領域及び副画素領域を切断したときの模式的な一部端面図を図11の(C)に示す。また、1つの副画素領域の等価回路図を図12に示すが、このような回路に限定するものではない。
【0090】
入射電磁波の縦偏光成分・横偏光成分を考えると、近接場光はTMモードなので、それぞれの偏光成分に平行な金属薄膜層の周期構造によって表面プラズモン・ポラリトン(SPP)が励起される。また、表面プラズモン・ポラリトンにより発生する近接場光は、開口部縁部(エッジ部分)で強い電場強度を有することが知られている。即ち、直線上に並ぶ複数の開口部において、近接場光の電場強度が最も強くなるのは開口部直下の数10nm程度の広がりを持つスポット領域であり、しかも、開口部の配列方向によって検出できる偏光成分が異なってくる。従って、各々の開口部の中心を通る直線が2つの開口部の縁部(エッジ部分)と交わる部分の内の少なくとも一方の部分の下方、望ましくは、両方の部分(尚、これらの部分は相互に対向している)の下方に、光電変換素子の受光領域を配置すれば、2つの開口部の中心を通る直線と平行な偏光成分を、光電変換素子にて検出することができる。
【0091】
実施例7の2次元固体撮像装置においては、
金属層30の部分に設けられた1つの開口部31に対して、複数の光電変換素子21が配置されており、
開口部31の射影像が光電変換素子21の受光領域内に含まれる代わりに、開口部31縁部の射影像が複数の光電変換素子21の受光領域内に含まれており、
共鳴状態により開口部31近傍において発生する近接場光を複数の光電変換素子21にて電気信号に変換し、以て、入射電磁波の偏光に関する情報を取得する。更には、開口部31の周期的な間隔に対応する入射電磁波の波長(色)に関する情報を取得する。
【0092】
実施例7にあっては、副画素領域の配置を実施例5にて説明した配置と同様とした。そして、1つの開口部31に対して、2P0個の光電変換素子21が環状に配置されており、第p番目の光電変換素子21(但し、pは1,2・・・P0)と第(p+P0)番目の光電変換素子21とを一対として、入射電磁波の波長・偏光に関する情報を取得する。
【0093】
図11の(A)に示す例は実施例5の変形であり、N個(6個)の副画素領域における開口部の中心が仮想正六角形の頂点に位置している。ここで、2P0の値は6である。即ち、1つの副画素領域に配置する2P0個の光電変換素子21の数は6である。尚、図11の(A)及び(B)においては、1つの副画素領域における2P0個の光電変換素子21を図示している。
【0094】
そして、第1番目の副画素領域101、第2番目の副画素領域102及び第5番目の副画素領域105における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき2箇所)の下方に光電変換素子Aの受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこの直線と平行な第1の偏光成分を、光電変換素子Aにて検出することができる。また、第1番目の副画素領域101、第3番目の副画素領域103及び第6番目の副画素領域106における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき2箇所)の下方に光電変換素子Bの受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこの直線と平行な第2の偏光成分を、光電変換素子Bにて検出することができる。更には、第1番目の副画素領域101、第4番目の副画素領域104及び第7番目の副画素領域107における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき2箇所)の下方に光電変換素子Cの受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこの直線と平行な第3の偏光成分を、光電変換素子Cにて検出することができる。そして、こうして得られた入射電磁波の偏光に関する3種類の情報(偏光成分)を演算することで、画素領域に入射する光の偏光最大強度IPL-max、偏光最小強度IPL-min、画素領域に入射する光の偏光最大強度IPL-maxが得られる偏光方向θPL-max、偏光成分に関する強度である偏光成分強度IPLを得ることができる。
【0095】
尚、表面プラズモン・ポラリトンによって発生する近接場光は、先端が尖った形状の頂点に強い電場を形成する傾向がある。この傾向は、先端が尖った形状の頂点では電子が動き回れる領域が狭くなり電場が集中することに起因すると考えられている。そのため、開口部の平面形状を、図13に示すように、各々の頂点に発生した強い近接場光を検出できるように、星形とすることも有効である。また、N個(8個)の副画素領域における開口部の中心が仮想正八角形の頂点に位置している構成とすることもできる。
【0096】
あるいは又、図11の(B)に示す例は実施例6の変形であり、N=8であり、1つの画素領域において隣接する4つの副画素領域における開口部31の中心が仮想正方形の頂点に位置している。ここで、1つの副画素領域に配置する2P0個の光電変換素子21の数は8である。
【0097】
そして、第1番目の副画素領域101、第2番目の副画素領域102及び第6番目の副画素領域106における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき2箇所)の下方に光電変換素子の受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこの直線と平行な第1の偏光成分、及び、主に第1の波長成分に対応する近接場光を、光電変換素子にて検出することができる。また、第1番目の副画素領域101、第3番目の副画素領域103及び第7番目の副画素領域107における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき2箇所)の下方に光電変換素子の受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこの直線と平行な第2の偏光成分、及び、主に第2の波長成分に対応する近接場光を、光電変換素子にて検出することができる。更には、第1番目の副画素領域101、第4番目の副画素領域104及び第8番目の副画素領域108における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき2箇所)の下方に光電変換素子の受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこの直線と平行な第3の偏光成分、及び、主に第3の波長成分に対応する近接場光を、光電変換素子にて検出することができる。また、第1番目の副画素領域101、第5番目の副画素領域105及び第9番目の副画素領域109における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき2箇所)の下方に光電変換素子の受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこの直線と平行な第4の偏光成分、及び、主に第4の波長成分に対応する近接場光を、光電変換素子にて検出することができる。そして、こうして得られた入射電磁波の偏光に関する4種類の情報(偏光成分)を演算することで、画素領域に入射する光の偏光最大強度IPL-max、偏光最小強度IPL-min、画素領域に入射する光の偏光最大強度IPL-maxが得られる偏光方向θPL-max、偏光成分に関する強度である偏光成分強度IPLを得ることができる。更には、第1の波長成分に対応する近接場光、第2の波長成分に対応する近接場光、第3の波長成分に対応する近接場光及び第4の波長成分に対応する近接場光を分離した状態を得ることができる。
【0098】
1つの画素領域において隣接する4つの副画素領域における開口部31の中心が、仮想長方形の頂点に位置し、あるいは又、仮想平行四辺形の頂点に位置するといった実施例6の変形例に対しても、同様に、1つの副画素領域に2P0個(=8)の光電変換素子21を配置することができる。
【0099】
また、実施例7を実施例1にて説明した2次元固体撮像装置に適用した場合の画素領域及び副画素領域の配置を模式的に図14に示す。この場合にあっては、第1番目の副画素領域101には3つの光電変換素子A,B,Cが配置されており、第2番目の副画素領域102、第3番目の副画素領域103、及び、第4番目の副画素領域104のそれぞれにも3つの光電変換素子A,B,Cが配置されている。
【0100】
そして、第1番目の副画素領域101及び第2番目の副画素領域102における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき1箇所)の下方に光電変換素子Aの受光領域を配置し、第3番目の副画素領域103及び第4番目の副画素領域104における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき1箇所)の下方に光電変換素子Fの受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこれら直線と平行な第1の偏光成分、及び、主に第1の波長成分に対応する近接場光を、光電変換素子A,Fにて検出することができる。また、第1番目の副画素領域101及び第3番目の副画素領域103における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき1箇所)の下方に光電変換素子Bの受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこの直線と平行な第2の偏光成分、及び、主に第2の波長成分に対応する近接場光を、光電変換素子Bにて検出することができる。更には、第1番目の副画素領域101及び第4番目の副画素領域104における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき1箇所)の下方に光電変換素子Cの受光領域を配置し、第2番目の副画素領域102及び第3目の副画素領域103における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき1箇所)の下方に光電変換素子Eの受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこれらの直線と平行な第3の偏光成分、及び、主に第3の波長成分に対応する近接場光を、光電変換素子C,Eにて検出することができる。また、第2番目の副画素領域102及び第4番目の副画素領域104における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき1箇所)の下方に光電変換素子Dの受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこの直線と平行な第4の偏光成分、及び、主に第4の波長成分に対応する近接場光を、光電変換素子Dにて検出することができる。更には、第1の波長成分に対応する近接場光、第2の波長成分に対応する近接場光、第3の波長成分に対応する近接場光及び第4の波長成分に対応する近接場光を分離した状態を得ることができる。
【0101】
更には、同様に、実施例7を実施例2〜実施例4にて説明した2次元固体撮像装置に適用することができる。
【0102】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例においては、例えば、可視光波長帯を検出する固体撮像素子を説明したが、赤外線や紫外線を検出する固体撮像素子の場合、それらの波長に応じて、開口部間の距離を拡大・縮小することで、任意の波長帯で機能する2次元固体撮像装置を得ることができる。開口部31の平面形状は円形や星形に限定されず、その他、三角形、四角形、六角形、八角形、菱形、楕円形、十字形状等、任意の平面形状とすることができる。また、開口部31の光入射側に、入射電磁波の波長よりも小さい周期を有する凹凸周期構造を有する構成(サブ波長構造体とも呼ばれ、例えば、特開2001−108812や、WO 2005/101067 A1参照)の屈折率変化層を設けてもよい。
【0103】
実施例5においては、単一の色に対して感度を有する2次元固体撮像装置を説明したが、実施例5における金属層及び開口部の構成、構造を、例えば、ベイヤ配列に適用し、図15に画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示すように、4つの副画素領域の内、1つの副画素領域10Rにおいては赤色を検出し得る金属層及び開口部の構成、構造とし、1つの副画素領域10Bにおいては青色を検出し得る金属層及び開口部の構成、構造とし、残りの2つの副画素領域10Gにおいては緑色を検出し得る金属層及び開口部の構成、構造とすることもできる。この場合、各副画素領域10R,10B,10Gのそれぞれに、1つの光電変換素子(受光素子)を設ければよい。尚、開口部を充填する媒質の屈折率をn0としたとき、赤色を検出する副画素領域10Rにおいては、開口部間の距離を、例えば、700/n0(nm)とすればよいし、緑色を検出する副画素領域10Gにおいては、開口部間の距離を、例えば、550/n0(nm)とすればよいし、青色を検出する副画素領域10Bにおいては、開口部間の距離を、例えば、400/n0(nm)とすればよい。尚、開口部31を充填する媒質を、各副画素領域10R,10B,10Gにおいて変えてもよい。更には、ベイヤ配列に限らず、3種類以上の任意の波長成分を検出する副画素領域を任意に配列、配置してもよい。
【0104】
図16の(A)に模式的な一部断面図にて概念図を示し、図16の(B)及び(C)に部分的な配置図(開口部を上方から眺めた模式図)として示すように、実施例1〜実施例7にて説明した2次元固体撮像装置において、光電変換素子としてPINダイオードを用いることもできる。ここで、PINダイオードの絶縁部42は、金属層30に設けられた開口部31の縁部の射影像を含む位置に配置されている。PINには逆バイアス電圧が印加されている。金属層30の開口部縁部で発生した近接場光は絶縁部42で吸収され、電子−正孔対が生成される。そして、生成した電子−正孔対は、各々が反対方向にドリフトして、負荷抵抗の両端で信号電圧として検出される。実施例1と同様に、開口部31に1つのPINダイオードを配置する場合、図16の(B)に示すように、リング状及び円形状にn型半導体領域41及びp型半導体領域43のそれぞれを配置すればよい。また、実施例7と同様に、開口部31に複数のPINダイオードを配置する場合、図16の(C)に示すように、複数のn型半導体領域41が円形状のp型半導体領域43を円環状に取り囲むように、n型半導体領域41及びp型半導体領域43を配置すればよい。尚、図中、点線は、開口部31の縁部の射影像を示す。
【0105】
図17の(A)〜(D)に模式的な一部断面図にて概念図を示すように、実施例1〜実施例7にて説明した2次元固体撮像装置において、光電変換素子として埋め込み型フォトダイオードを用いることもできる。図17の(A)は、表面照射型の2次元固体撮像装置であり、図17の(B)は、裏面照射型の2次元固体撮像装置であり、それぞれ、実施例1と同様に、開口部に1つの埋め込み型フォトダイオードを配置する場合を示している。ここで、参照番号50はP型ウエルを意味し、参照番号51、参照番号52、及び、参照番号53は、埋め込み型フォトダイオードを構成するp型半導体層、n型半導体層、及び、p型半導体層を意味し、参照番号56は層間絶縁層を意味し、参照番号57は絶縁層を意味し、参照番号58は半導体層を意味する。近接場光は埋め込み型フォトダイオード中で電子−正孔対を生成させ、電子が蓄積される。蓄積された電子はゲート部54を介してFD領域(フローティング・ディフュージョン領域)55にて電位として読み出される。図17の(C)は、表面照射型の2次元固体撮像装置であり、図17の(D)は、裏面照射型の2次元固体撮像装置であり、それぞれ、実施例7と同様に、開口部に複数の埋め込み型フォトダイオードを配置する場合を示している。
【0106】
図18の(A)に模式的な一部断面図にて概念図を示すように、実施例1〜実施例7にて説明した2次元固体撮像装置において、光電変換素子として水平方向のPN接合により構成されたフォトダイオードを用いることもできる。ここで、参照番号60はP型ウエルを意味し、参照番号61及び参照番号62は、フォトダイオードを構成するn型半導体領域及びp型半導体領域を意味し、参照番号66は層間絶縁層を意味する。金属層30の開口部31の縁部で発生した近接場光は、フォトダイオード中で電子−正孔対を生成させ、電子がn型半導体領域61に蓄積される。更には、蓄積された電子はゲート部64を介してFD領域65にて電位として読み出される。
【0107】
図18の(B)及び(C)に模式的な一部断面図にて概念図を示すように、実施例1〜実施例7にて説明した2次元固体撮像装置において、光電変換素子として閾値変調型イメージセンサ(CMD)を用いることもできる。図18の(B)は、実施例1と同様に、開口部に1つの閾値変調型イメージセンサを配置する場合を示す。ここで、参照番号71及び参照番号72は、閾値変調型イメージセンサを構成するn型半導体層及びp型半導体層を意味し、参照番号73、参照番号74、参照番号75、参照番号76は、それぞれ、n型半導体層、ゲート部、n+半導体領域から成るドレイン領域、及び、n+半導体領域から成るソース領域を意味する。近接場光は、閾値変調型イメージセンサ中で電子−正孔対を生成させる。そして、生成された電子若しくは正孔は、画素トランジスタの閾値電圧を変調させるので、その変化量を蓄積信号量として読み出すことができる。図18の(C)は、実施例7と同様に、開口部に複数の閾値変調型イメージセンサを配置した例を示している。
【符号の説明】
【0108】
10・・・副画素領域、21・・・光電変換素子、22・・・平滑化層、23・・・配線層、24・・・集光素子、30・・・金属層、31・・・開口部、32・・・絶縁膜、33・・・媒質、41・・・n型半導体領域、42・・・絶縁部、43・・・p型半導体領域、51・・・p型半導体層、52・・・n型半導体層、54・・・ゲート部、55・・・FD領域、56・・・層間絶縁層、58・・・半導体層、60・・・P型ウエル、61・・・n型半導体領域、62・・・p型半導体領域、64・・・ゲート部、65・・・FD領域、66・・・層間絶縁層、71・・・n型半導体層、72・・・p型半導体層、73・・・n型半導体層、74・・・ゲート部、75・・・ドレイン領域、76・・・ソース領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元固体撮像装置に関し、より詳しくは、入射電磁波によって励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴によって発生した近接場光を検出する2次元固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラやビデオカメラ、カムコーダ(ビデオカメラといった撮影部と録画部とを一体型にしたもので、カメラ・アンド・レコーダの略称)等、被写体を2次元固体撮像素子から成る光電変換素子にて撮影して画像化する2次元固体撮像装置が増えている。そして、現在主流の固体撮像素子であるCCD撮像素子やCMOS撮像素子の画素サイズは微細化が進んでおり、1画素の物理的サイズは可視光の波長の2倍程度にまでなっている。ここで、これらの光電変換素子にあっては、光電変換素子への入射電磁波の入射面積が小さくなると、即ち、入射電磁波に対する光電変換素子の開口面積が小さくなると、光電変換素子全体としての感度は低下する。オンチップ・レンズによる集光効率の改善(例えば、特開平9−148549参照)や、トランジスタの共有による開口面積の確保(例えば、文献:高橋秀和 著、映像情報メディア学会誌 Vol.60, No.3, p.295-298, 2006 参照)、裏面照射型構造の採用による導波路における光学的ロスの軽減(特許第4124190号参照)といった種々の対策はなされているものの、これらの方法は、「入射電磁波に対して光電変換素子の実効的な開口面積が小さくなると、各画素における光電変換素子の感度は低下する」といった問題の根本的解決策にはなっていない。
【0003】
一方、特定の周期パターンを有する金属面に光を照射すると、その周期パターンに相当する周波数成分の電磁波によって金属表面に共鳴モード[表面プラズモン・ポラリトン(SPP)]が発生し、プラズモン共振によって通常光よりも102乃至103倍も強い電場(近接場光)が生じることが知られている(例えば、文献:L. Salomon et al., Physical Review Letters, Vol.86, No.6, p.1110-1113, 2001、書籍:「光ナノテクノロジーの基礎」、福井萬壽夫・大津元一(オーム社)ISBN4-274-19713-1 参照)。
【0004】
近接場光とは、物質に電磁波(光)を照射したとき、その電磁波の波長に比べて微小距離だけしか物質表面から離れていない領域に生じる、閉じた電気力線に起因した非伝播の光である。物質から入射電磁波の波長程度以上離れた領域では、近接場光は指数関数的に減衰して、観測できなくなる。従って、表面プラズモン・ポラリトンが励起されている領域の極近傍に光電変換素子を配置することによってのみ、近接場光を電気信号として検出することができる。近接場光は、入射電磁波の波長によって一意に決まる回折限界よりも小さい構造に感度を有し、また、回折限界よりも小さいスポットに集光させることができる。そして、その電場強度は、近接場光の発生ポイントに近いほど強く、発生ポイントから10nm程度の極近傍領域では、伝播光に比べて2桁〜3桁も強くなる。このため、入射電磁波に対する光電変換素子の開口面積を小さくしても電場強度を高めることが可能となる。従って、発生ポイントに光電変換素子を近づけることによって、「光電変換素子の実効的な開口面積が小さくなると、各画素における光電変換素子の感度は低下する」という従来の技術の問題に対する根本的な解決策となり得る。
【0005】
例えば、近接場光を応用した光検出素子が、特開2008−233049に開示されている。この特許公開公報に開示された技術にあっては、微小共振器301がSiから成る基板302上に、例えば厚さ5nmのSiO2から成る絶縁膜303を挟んで形成されている。微小共振器301及び絶縁膜303は、例えば、平面形状が不等辺三角形のナノドットから構成されている。そして、微小共振器301に入射した光が局在表面プラズモン共鳴を生じさせる結果、金属ナノドットの3つの頂点で電場増強が生じ、強い近接場光が生じる。この金属ナノドットの頂点の部分近傍にはフォトダイオード領域304が形成されており、3つの頂点のそれぞれの近傍の光強度を独立に受光する。フォトダイオード領域304は電場強度の強さを電荷として出力し、この電荷が蓄積された後に増幅トランジスタ305で増幅され、さらに行選択トランジスタ306によって位置情報を持って出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−148549
【特許文献2】特許第4124190号
【特許文献3】特開2008−233049
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】高橋秀和、映像情報メディア学会誌 Vol.60, No.3, p.295-298, 2006
【非特許文献2】L. Salomon et al., Physical Review Letters, Vol.86, No.6, p.1110-1113, 2001
【非特許文献3】「光ナノテクノロジーの基礎」、福井萬壽夫・大津元一(オーム社)ISBN4-274-19713-1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特開2008−233049に開示された技術にあっては、不等辺三角形のナノドットといった構造に基づき、赤色、緑色、青色の三原色の色情報を取得しているが、複数の共振波長によって混在した色情報が1点に集約される。即ち、不等辺三角形の或る頂点Aに生じる光強度は、赤色の光が頂点Aにつくる光強度と、緑色の光が頂点Aにつくる光強度と、青色の光が頂点Aにつくる光強度が混在した状態になっている。従って、色情報の再現性が不十分になる虞がある。また、特定の偏光成分を検出する技術は開示されていない。更には、2次元固体撮像素子を実現するための具体的な2次元画素配置に関する記載は無い。
【0009】
従って、本発明の第1の目的は、入射電磁波によって励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴によって発生した近接場光を検出し、しかも、色情報を確実に再現し得る2次元固体撮像装置を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、本発明の第1の目的に加え、特定の偏光成分を検出し得る構成、構造を有する2次元固体撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の第1の目的を達成するための本発明の2次元固体撮像装置は、
2次元マトリクス状に配置された画素領域を有し、
各画素領域は、複数の副画素領域から構成されており、
入射電磁波の波長よりも小さい開口径を有する開口部が設けられた金属層、及び、光電変換素子が、絶縁膜を挟んで配置されており、
各副画素領域に含まれる金属層の部分に設けられた開口部に対して、少なくとも1つの光電変換素子が配置されており、
開口部の射影像は、光電変換素子の受光領域内に含まれており、
開口部は、入射電磁波によって励起される表面プラズモン・ポラリトンに基づき共鳴状態を発生させるように配列されており、
該共鳴状態により開口部近傍において発生する近接場光を光電変換素子にて電気信号に変換する。尚、このような本発明の2次元固体撮像装置を、便宜上、『本発明の第1の態様に係る2次元固体撮像装置』と呼ぶ。
【0011】
上記の第2の目的を達成するための本発明の2次元固体撮像装置は、本発明の第1の態様に係る2次元固体撮像装置において、
金属層の部分に設けられた1つの開口部に対して、複数の光電変換素子が配置されており、
開口部の射影像が光電変換素子の受光領域内に含まれる代わりに、開口部縁部の射影像が複数の光電変換素子の受光領域内に含まれており、
入射電磁波波長及び周期的な開口部の分布パターンに基づく共鳴状態により開口部近傍において発生する近接場光を複数の光電変換素子にて電気信号に変換し、以て、入射電磁波の偏光に関する情報を取得する。尚、このような本発明の2次元固体撮像装置を、便宜上、『本発明の第2の態様に係る2次元固体撮像装置』と呼ぶ。
【発明の効果】
【0012】
本発明の2次元固体撮像装置にあっては、入射電磁波によって励起される表面プラズモン・ポラリトンに基づき共鳴状態を発生させ、係る共鳴状態により開口部近傍(より具体的には、開口部縁部の近傍)において発生する近接場光を光電変換素子にて電気信号に変換するので、高感度、且つ、微小開口径を有する2次元固体撮像装置を実現することができる。しかも、画素領域は複数の副画素領域から構成されており、各副画素領域に含まれる金属層の部分には開口部が設けられているので、即ち、隣接する開口部と開口部とによって一種の微小共振器が構成され、開口部間の距離を最適化することで、副画素領域のそれぞれにおいて異なる波長成分に対応する近接場光を検出し、色情報を確実に再現することが可能となる。尚、カラーフィルター等の従来の色分離システムとは異なり、金属層の構造それ自体によって色情報を検出するので、紫外線や高エネルギー線といった入射電磁波に起因した特性劣化が少なく、安定して色情報を得ることができる。更には、1つの開口部に対して複数の光電変換素子を配置することで、特定の偏光成分を検出することが可能である。
【0013】
また、入射光をシリコン基板で光電変換する従来の固体撮像素子にあっては、入射電磁波は、波長に応じた基板の深さの所で光電変換される。つまり、可視光波長帯において、青色の光(波長約400nm)はシリコン基板の0.2μm程度の深さの所で光電変換され、赤色の光(波長約700nm)はシリコン基板の2μm程度の深さの所で光電変換される。従って、可視光波長帯に感度を有する固体撮像素子にあっては、少なくとも数μmの基板厚さが必要とされる。一方、近接場光を検出する本発明の2次元固体撮像装置にあっては、金属層に設けられた開口部間の距離に基づいて近接場光を励起し、検出するので、光電変換素子の厚さと検出波長との間には何らの関係が無い。近接場光は入射電磁波波長程度の領域にしか到達しないが故に、光電変換素子の厚さを充分に薄くすること、具体的には、1μm程度にまで薄型化することが可能である。
【0014】
また、シリコン基板をベースにした従来の固体撮像素子においては、そのエネルギーバンドギャップが1.1eVであることから、1.1μmよりも長波長の赤外線を検出することが不可能であった。一方、表面プラズモン・ポラリトン共鳴によって近接場光を発生させ、検出する本発明の2次元固体撮像装置にあっては、金属層に設けられた開口部間の距離に基づいた入射波長に対応する近接場光が生じるため、開口部間の距離を調整することで任意の電磁波波長を検出することが可能である。つまり、1.1μmよりも長波長の赤外線を、シリコン基板ベースの光電変換素子で検出することが可能となる。
【0015】
しかも、従来の2次元固体撮像装置に比べて光電変換素子の開口面積を小さくすることが可能になり、これにより、光電変換素子全体の面積を保ちつつ、単位面積当たりの画素数を飛躍的に増加させることができる。また、光電変換素子の開口面積が小さくてよいので、光電変換素子と光電変換素子との間に各画素領域用の記憶装置等を配置するなど、光電変換素子の多機能化を図ることができる。更には、信号配線等の設計自由度の増加を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1の(A)及び(B)は、実施例1の2次元固体撮像装置の模式的な一部断面図である。
【図2】図2は、実施例1の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示す図である。
【図3】図3の(A)は、図2の矢印に沿って実施例1の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域を切断したときの模式的な一部端面図であり、図3の(B)は、実施例1の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置に関する概念図であり、図3の(C)は、実施例1の2次元固体撮像装置における1つの副画素領域の等価回路図であり、図3の(D)は、図5の矢印に沿って実施例1の2次元固体撮像装置の変形例における画素領域及び副画素領域を切断したときの模式的な一部端面図である。
【図4】図4の(A)〜(D)は、金属層の厚さ方向と平行な仮想平面で開口部を切断したときの開口部の断面形状を示す模式的な一部断面図である。
【図5】図5は、実施例1の2次元固体撮像装置の変形例における画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示す図である。
【図6】図6は、実施例2の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示す図である。
【図7】図7は、実施例3の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示す図である。
【図8】図8は、実施例5の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示す図である。
【図9】図9は、実施例6の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示す図である。
【図10】図10は、実施例6の2次元固体撮像装置の変形例における画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示す図である。
【図11】図11の(A)及び(B)は、実施例7の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示す図であり、図11の(C)は、図11の(B)の矢印に沿って実施例7の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域を切断したときの模式的な一部端面図である。
【図12】図12は、実施例7の2次元固体撮像装置における1つの副画素領域の等価回路図である。
【図13】図13は、実施例7の2次元固体撮像装置における開口部の平面形状の変形例を示す図である。
【図14】図14は、実施例7の2次元固体撮像装置の別の変形例における画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示す図である。
【図15】図15は、実施例5の2次元固体撮像装置の変形例における画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示す図である。
【図16】図16の(A)は、光電変換素子としてPINダイオードを用いた2次元固体撮像装置を模式的な一部断面図にて概念図として示す図であり、図16の(B)及び(C)は、部分的な配置図(開口部を上方から眺めた模式図)である。
【図17】図17の(A)〜(D)は、光電変換素子として埋め込み型フォトダイオードを用いた2次元固体撮像装置を模式的な一部断面図にて概念図として示す図である。
【図18】図18の(A)は、光電変換素子として水平方向のPN接合により構成されたフォトダイオードを用いた2次元固体撮像装置を模式的な一部断面図にて概念図として示す図であり、図18の(B)及び(C)は、光電変換素子として閾値変調型イメージセンサ(CMD)を用いた2次元固体撮像装置を模式的な一部断面図にて概念図として示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本発明の第1の態様及び第2の態様に係る2次元固体撮像装置、全般に関する説明
2.実施例1(本発明の第1の態様に係る2次元固体撮像装置、第1の構成)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.実施例3(実施例1の別の変形)
5.実施例4(実施例1の更に別の変形)
6.実施例5(実施例1の変形、第2の構成)
7.実施例6(実施例5の変形)
8.実施例7(本発明の第2の態様に係る2次元固体撮像装置、その他)
【0018】
[本発明の第1の態様及び第2の態様に係る2次元固体撮像装置、全般に関する説明]
本発明の第2の態様に係る2次元固体撮像装置にあっては、1つの開口部に対して複数(P0個)の光電変換素子を配置することで、P0種類の入射電磁波の偏光に関する情報を取得することができるが、1つの開口部に対して2P0個の光電変換素子が環状に配置されており、第p番目の光電変換素子(但し、pは1,2・・・P0)と第(p+P0)番目の光電変換素子とを一対として、入射電磁波の偏光に関する情報を取得する形態とすることで、より一層確実にP0種類の入射電磁波の偏光に関する情報を取得することができる。ここで、P0の値として、2、3又は4を挙げることができる。
【0019】
上記の好ましい形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る2次元固体撮像装置において、絶縁膜の厚さは1×10-7m(100nm)以下である形態とすることが望ましい。絶縁膜の厚さは薄ければ薄い程好ましい。シリコン酸化膜を用いる場合、金属層と光電変換素子との間の絶縁耐力等を考慮すると、絶縁膜の厚さは5×10-9m(5nm)以上であることが望ましい。また、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ランタン(La2O)、HfSiON等の所謂High−k材料を用いることが、絶縁膜間のリーク電流を軽減することができ、好適である。
【0020】
上記の好ましい形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る2次元固体撮像装置において、
各画素領域は、第1番目の副画素領域、及び、第1番目の副画素領域に隣接するM個の副画素領域から構成されており、
各副画素領域は1つの開口部を有し、
第1番目の副画素領域を構成する開口部の中心から、第m番目の副画素領域[但し、mは、2,3・・・(M+1)]を構成する開口部の中心までの距離をLmとしたとき、
入射電磁波の波長成分及び距離Lmに依存した波長成分に対応する近接場光を光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。尚、便宜上、『第1の構成の2次元固体撮像装置』と呼ぶ。
【0021】
そして、第1の構成の2次元固体撮像装置においては、入射電磁波のq種類(但し、qは2以上、M以下のいずれかの自然数)の波長成分及びq’種類(但し、q’は2以上、M以下のいずれかの自然数)の距離Lmに依存した波長成分に対応する近接場光を、少なくとも第m番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。あるいは又、このような構成を含む第1の構成の2次元固体撮像装置にあっては、Mの値は3であり、1つの画素領域において、4つの副画素領域における開口部の中心は、仮想正方形、仮想長方形又は仮想平行四辺形の頂点に位置する構成とすることができる。
【0022】
具体的には、1つの画素領域において4つの副画素領域における開口部の中心が仮想正方形の頂点に位置する場合、入射電磁波のq種類(但し、q=2又は3)の波長成分及び2種類の距離Lm(具体的には、例えば、m=2及び4、並びに、m=3)に依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因したq種類の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第m番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。尚、この場合、P0の値として3を挙げることができ、入射電磁波の偏光に関して最大4種類の情報を取得することができる。具体的には、仮想正方形ABCDとしたとき、各画素領域において、辺ABと平行に一対の光電変換素子を配置し、この辺ABと直交する辺ADと平行に一対の光電変換素子を配置すればよいし、更には、場合によっては、線分ACと平行に一対の光電変換素子を配置し、線分BDと平行に一対の光電変換素子を配置すればよい。また、P0の値として1を用いることで、任意の偏光成分を区別せずに取得することも可能である。この場合、仮想正方形ABCDを成す開口部に1つの光電変換素子を配置すればよい。
【0023】
あるいは又、1つの画素領域において4つの副画素領域における開口部の中心が仮想長方形の頂点に位置する場合、入射電磁波の3種類の波長成分及び3種類の距離Lm(m=2,m=3、並びに、m=4)に依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した3種類の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第m番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。尚、この場合、この場合、P0の値として3を挙げることができ、入射電磁波の偏光に関して最大4種類の情報を取得することができる。具体的には、仮想長方形ABCDとしたとき、各画素領域において、辺ABと平行に一対の光電変換素子を配置し、この辺ABと交わる辺ADと平行に一対の光電変換素子を配置し、線分ACと平行に残りの一対の光電変換素子を配置すればよいし、更には、場合によっては、線分BDと平行に一対の光電変換素子を配置すればよい。また、P0の値として1を用いることで、任意の偏光成分を区別せずに取得することも可能である。この場合、仮想長方形ABCDを成す開口部に1つの光電変換素子を配置すればよい。
【0024】
あるいは又、1つの画素領域において4つの副画素領域における開口部の中心が仮想平行四辺形の頂点に位置する場合、入射電磁波のq種類(但し、q=3又は4)の波長成分及びq種類の距離Lmに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因したq種類の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第m番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。尚、この場合、この場合、P0の値としてqを挙げることができ、入射電磁波の偏光に関するq種類の情報を取得することができる。具体的には、仮想平行四辺形ABCDとしたとき、各画素領域において、辺ABと平行に一対の光電変換素子を配置し、この辺ABと交わる辺ADと平行に一対の光電変換素子を配置し、線分ACと平行に残りの一対の光電変換素子を配置すればよく(q=3の場合)、更には、場合によっては、線分BDと平行に更に一対の光電変換素子を配置すればよい(q=4の場合)。また、P0の値として1を用いることで、任意の偏光成分を区別せずに取得することも可能である。この場合、仮想平行四辺形ABCDを成す開口部に1つの光電変換素子を配置すればよい。
【0025】
あるいは又、上記の好ましい形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る2次元固体撮像装置において、
各画素領域は、第1番目の副画素領域、及び、第1番目の副画素領域を取り囲むN個の副画素領域から構成されており、
各副画素領域は1つの開口部を有し、
第1番目の副画素領域を構成する開口部の中心から、第n番目の副画素領域[但し、nは、2,3・・・(N+1)]を構成する開口部の中心までの距離をLnとしたとき、
入射電磁波の波長成分及び距離Lnに依存した波長成分に対応する近接場光を光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。尚、便宜上、『第2の構成の2次元固体撮像装置』と呼ぶ。
【0026】
そして、第2の構成の2次元固体撮像装置においては、入射電磁波のq種類(但し、qは1以上、N以下のいずれかの自然数)の波長成分及びq’種類(但し、q’は1以上、N以下のいずれかの自然数)の距離Lnに依存した波長成分に対応する近接場光を、少なくとも第n番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。あるいは又、このような構成を含む第2の構成の2次元固体撮像装置にあっては、Nの値は6であり、1つの画素領域において、第1番目の副画素領域を取り囲むN個の副画素領域における開口部の中心は、仮想正六角形の頂点に位置し、第1番目の副画素領域における開口部の中心は、仮想正六角形の中心に位置する構成とすることができる。あるいは又、このような構成を含む第2の構成の2次元固体撮像装置にあっては、Nの値は8であり、1つの画素領域において、隣接する4つの副画素領域における開口部の中心は、仮想正方形、仮想長方形又は仮想平行四辺形の頂点、あるいは、仮想正八角形の頂点に位置する構成とすることもできる。
【0027】
具体的には、Nの値は6であり、1つの画素領域において、第1番目の副画素領域を取り囲むN個の副画素領域における開口部の中心が仮想正六角形の頂点に位置し、第1番目の副画素領域における開口部の中心が仮想正六角形の中心に位置する場合、入射電磁波の1種類以上、N種類以下の波長成分及び1種類の距離Lmに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した1種類以上、N種類以下の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第n番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。尚、この場合、P0の値として3を挙げることができ、入射電磁波の偏光に関する3種類の情報を取得することができる。具体的には、仮想正六角形ABCDEFとしたとき、各画素領域において、辺ADと平行に一対の光電変換素子を配置し、辺BEと平行に一対の光電変換素子を配置し、辺CFと平行に残りの一対の光電変換素子を配置すればよい。また、P0の値として1を用いることで、任意の偏光成分を区別せずに取得することも可能である。この場合、仮想正六角形ABCDEFを成す開口部に1つの光電変換素子を配置すればよい。
【0028】
あるいは又、具体的には、Nの値は8であり、1つの画素領域において隣接する4つの副画素領域における開口部の中心が仮想正方形の頂点に位置する場合、入射電磁波の2種類以上、N種類以下の波長成分及び2種類の距離Lm(具体的には、例えば、n=2,4,6,8、並びに、n=3,5,7,9)に依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した2種類以上、N種類以下の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第n番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。尚、この場合、P0の値として4を挙げることができ、入射電磁波の偏光に関する4種類の情報を取得することができる。具体的には、仮想正方形ABCD、仮想正方形ADEF、仮想正方形AFGH、仮想正方形AHIBとしたとき、各画素領域において、辺AB,AEと平行に一対の光電変換素子を配置し、これらの辺AB,AEと直交する辺AD,AEと平行に一対の光電変換素子を配置し、線分AC,AGと平行に一対の光電変換素子を配置し、線分AE,AIと平行に残りの一対の光電変換素子を配置すればよい。
【0029】
あるいは又、Nの値は8であり、1つの画素領域において、隣接する4つの副画素領域における開口部の中心が仮想長方形の頂点に位置する場合、入射電磁波の3種類以上、N種類以下の波長成分及び3種類の距離Lmに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した3種類以上、N種類以下の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第n番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。尚、この場合、P0の値として4を挙げることができ、入射電磁波の偏光に関する4種類の情報を取得することができる。具体的には、仮想長方形ABCD、仮想長方形ADEF、仮想長方形AFGH、仮想長方形AHIBとしたとき、各画素領域において、辺AB,AEと平行に一対の光電変換素子を配置し、これらの辺AB,AEと直交する辺AD,AEと平行に一対の光電変換素子を配置し、線分AC,AGと平行に一対の光電変換素子を配置し、線分AE,AIと平行に残りの一対の光電変換素子を配置すればよい。
【0030】
あるいは又、Nの値は8であり、1つの画素領域において、隣接する4つの副画素領域における開口部の中心が仮想平行四辺形の頂点に位置する場合、入射電磁波の3種類以上、N種類以下の波長成分及びq’種類(但し、q’=3又は4)の距離Lmに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した3種類以上、N種類以下の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第n番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する構成とすることができる。尚、この場合、P0の値としてq’を挙げることができ、入射電磁波の偏光に関するq’種類の情報を取得することができる。具体的には、仮想平行四辺形ABCD、仮想平行四辺形ADEF、仮想平行四辺形AFGH、仮想平行四辺形AHIBとしたとき、各画素領域において、辺AB,AEと平行に一対の光電変換素子を配置し、これらの辺AB,AEと交わる辺AD,AEと平行に一対の光電変換素子を配置し、線分AC,AGと平行に一対の光電変換素子を配置し(q=3の場合)、必要に応じて、線分AE,AIと平行に残りの一対の光電変換素子を配置すればよい(q=4の場合)。
【0031】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成、第1の構成の2次元固体撮像装置、第2の構成の2次元固体撮像装置を含む本発明の2次元固体撮像装置において、開口部の光入射側には、屈折率変化層が設けられている構成とすることができる。ここで、屈折率変化層を構成する材料として、入射する光に対して透明な絶縁材料、具体的には、酸化シリコン(SiO2)や、SiO2を主成分とする複合素材が好適である。また、その他、フッ化マグネシウム(MgF2)、窒化シリコン(SiN)、酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化ハフニウム(HfO2)等の酸化物や窒化物を挙げることもできる。あるいは又、屈折率変化層は、入射電磁波の波長よりも小さい凹凸周期構造を有する構成とすることができる。この場合、酸化シリコン(SiO2)、フッ化マグネシウム(MgF2)若しくは空気を低屈折率の媒質とすればよいし、窒化シリコン(SiN)、 酸化チタン(TiO2)、 酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化ハフニウム(HfO2)を高屈折率の媒質とすればよい。そして、これらの媒質を入射電磁波よりも有意に小さい物理的スケールで1次元的若しくは2次元的に周期的に配置することで、実効的な屈折率は、双方の媒質が有する屈折率を体積比率で平均化した値となる。つまり、低屈折率の媒質と高屈折率の媒質の中間の屈折率であれば任意の屈折率を得ることができる。
【0032】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成、第1の構成の2次元固体撮像装置、第2の構成の2次元固体撮像装置を含む本発明の2次元固体撮像装置(以下、これらを総称して、『本発明の2次元固体撮像装置等』と呼ぶ場合がある)にあっては、光電変換素子として、具体的には、CCD型、CMOS型、CMD(Charge Modulation Device)型の信号増幅型イメージセンサーを挙げることができるし、PINダイオードを挙げることもできる。また、ボロメーター等の熱検出型のセンサーを挙げることもできる。従来のCCD型信号増幅型イメージセンサーにあっては、長波長(赤色:700nm程度)の光電変換がシリコン基板の深部あるいは2μm程度の深さの所で生じるが故に、シリコンの光吸収係数をベースにした深さ方向で光電変換を行う従来のイメージセンサーにあっては、その厚さを数μm以下にすることは技術的に不可能であった。本発明の2次元固体撮像装置にあっては、開口部縁部(エッジ部分)において発生する近接場光を検出して光電変換するので、シリコン基板の厚さが薄くても問題はない。具体的には、光電変換素子は、シリコン基板に形成されており、シリコン基板の表面から1μm以下の浅い領域で光電変換を行う構造とすることができる。また、低温ポリシリコンを用いたTFTを用いることも可能である。本発明の2次元固体撮像装置等として、表面照射型の2次元固体撮像装置あるいは裏面照射型の2次元固体撮像装置を挙げることができる。本発明の2次元固体撮像装置等から、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ、カムコーダを構成することができる。また、光通信機器、情報通信システム、車車間通信や路車間通信のための光情報送受信装置システムを構成することができる。
【0033】
場合によっては、近接場光を効率良く検出するために、光電変換素子の受光領域の中央部を凸状とし、光電変換素子の受光領域の頂面と金属層との間の距離、あるいは、光電変換素子の受光領域の頂面と開口部縁部(エッジ部分)との間の距離の短縮化を図ってもよい。また、開口部縁部(エッジ部分)に発生する近接場光を効率良く検出するために、開口部縁部(エッジ部分)の下方あるいは直下に光電変換素子の受光領域の中心を配置してもよい。
【0034】
本発明の2次元固体撮像装置等において、複数の画素領域は、全体としてX方向及びY方向の2次元マトリクス状に配列されている。
【0035】
本発明の2次元固体撮像装置等にあっては、入射電磁波として、波長0.4μm乃至0.7μmの可視光を挙げることができるし、あるいは又、波長0.4μm以下の紫外線、波長0.7μm以上の赤外線を挙げることもできる。
【0036】
開口部の開口径dは、検出すべき入射電磁波の波長よりも小さいことが望ましく、可視光波長帯の検出にあっては、開口部の開口径dは0.1μm〜0.3μm程度であることが好ましい。あるいは又、開口部の開口径dは、光電変換素子が検出する電磁波の波長における回折限界でのスポット広がりの半分以下であることが望ましい。隣接する副画素領域における開口部の中心間の距離Dは、検出すべき電磁波の波長と同程度とすればよく、可視光波長帯の検出にあっては、0.4μm〜0.8μm程度とすることが好ましい。開口部を、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜等の入射電磁波に対して透明な媒質(例えば、誘電体材料から成る屈折率変化層)で充填してもよい。尚、この場合には、媒質の屈折率をn0としたとき、開口部の中心間の距離Dは、開口部を媒質で充填しない場合の距離Dの、例えば(1/n0)倍とすればよい。一例として、可視光波長を考えた場合、赤色、緑色、青色のそれぞれの波長λR,λG,λBはおおよそ、
λR:600nm〜800nm
λG:500nm〜600nm
λB:380nm〜500nm
であるので、媒質の屈折率を1.5とした場合の開口部の中心間の距離(赤色の光を検出する副画素領域における開口部の中心間の距離DR、緑色の光を検出する副画素領域における開口部の中心間の距離DG、青色の光を検出する副画素領域における開口部の中心間の距離DB)を、例えば、
DR:400nm〜530nm
DG:330nm〜400nm
DB:250nm〜330nm
とすればよい。このように、「開口部の中心間の距離D」には、媒質の屈折率が考慮された、所謂、実効的な距離も包含される。また、この場合の媒質の比誘電率は、光電変換素子を構成する材料の有する比誘電率と同じ値、あるいは、近い値であることが好ましい。
【0037】
開口部の射影像は、光電変換素子の法線方向から眺めた射影像である。開口部の平面形状として、円形、三角形、四角形、六角形、八角形、菱形、楕円形、星形、十字形状等、任意の平面形状とすることができ、可視光波長〜近赤外線波長領域で表面プラズモン・ポラリトン(SPP)を励起できる周期構造を備えていれば、平面形状は特には限定されない。金属層の厚さ方向と平行な仮想平面で開口部を切断したときの開口部の断面形状として、矩形形状(金属層の上面における開口部の平面形状と、金属層の下面における開口部の平面形状とが同じ形状)とすることもできるし、あるいは又、金属層の上面から下面に向かって階段状に断面積が小さくなるステップ状の断面形状(ステップの数は1以上であればよい)、金属層の上面から下面に向かって単調に断面積が小さくなるスロープ状の断面形状を挙げることができる。尚、金属層の上面から電磁波が入射するとする。ステップ状あるいはスロープ状の断面形状とすることで、金属層の異なる深さで異なる開口径を実現することができるので、表面プラズモン・ポラリトンに基づき発生する共鳴状態における共鳴波長の広帯域化を図ることが可能となる。
【0038】
金属層を構成する材料として、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)等のプラズモン損失が小さい貴金属の他、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、酸化チタン等の導電材料を挙げることができる。あるいは又、例えばシリコン系材料の表面をこれらの導電材料で被覆した構造とすることもできるし、ナノロッド、ナノワイヤー等の線状素材やナノ粒子等の球状粒子若しくは誘電体微小球をこれらの導電材料で被覆した構造とすることもできる。金属層の厚さとして、1×10-8m(10nm)乃至1×10-6m(1μm)、具体的には、50nm程度を例示することができる。
【0039】
絶縁膜は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、HfSiONといった絶縁性に優れ、薄膜化に適した材料から構成することが望ましく、絶縁膜の厚さは薄ければ薄いほど好ましい。具体的には、絶縁膜の厚さは、上述したとおり、1×10-7m以下であることが望ましい。
【0040】
金属層における開口部の作製方法として、金属層の成膜技術、並びに、リソグラフィ技術とエッチング技術(例えば、四フッ化炭素ガス、六フッ化硫黄ガス、トリフルオロメタンガス、二フッ化キセノンガス等を用いた異方性ドライエッチング技術や、物理的エッチング技術)による金属層のパターニング技術との組合せ、あるいは又、所謂リフトオフ技術を挙げることができる。金属層の成膜方法として、各種の真空蒸着法やスパッタリング法といった物理的気相成長法(PVD法)だけでなく、化学的気相成長法(CVD法)、メッキ法、MOCVD法、MBE法を挙げることができる。リソグラフィ技術として、フォトリソグラフィ技術(高圧水銀灯のg線、i線、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ等を光源として用いたリソグラフィ技術)、電子線リソグラフィ技術、X線リソグラフィを挙げることができる。あるいは又、フェムト秒レーザ等の極短時間パルスレーザによる微細加工技術や、ナノインプリント法に基づき、開口部を有する金属層を形成することもできる。
【実施例1】
【0041】
実施例1は、本発明の第1の態様に係る2次元固体撮像装置に関し、更には、第1の構造の2次元固体撮像装置に関する。実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例7における2次元固体撮像装置は、複数の画素領域が、全体としてX方向及びY方向の2次元マトリクス状に配列されている。
【0042】
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例7の2次元固体撮像装置の模式的な一部断面図を図1の(A)あるいは(B)に示す。また、実施例1の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置を図2に模式的に示し、図2の矢印に沿って画素領域及び副画素領域を切断したときの模式的な一部端面図を図3の(A)に示し、更には、画素領域及び副画素領域の配置に関する概念図を図3の(B)に示し、1つの副画素領域の等価回路図を図3の(C)に示す。尚、図3の(C)において、光電変換素子(受光素子)を点線で囲んで示した。また、その他の図面においては、光電変換素子(受光素子)を実線の四角形で示した。
【0043】
実施例1の2次元固体撮像装置は、2次元マトリクス状に配置された画素領域を有し、各画素領域は、複数の副画素領域10から構成されている。ここで、図面においては、画素領域を一点鎖線で囲み、副画素領域10を点線で囲っている。そして、入射電磁波の波長よりも小さい開口径を有する開口部31が設けられた金属層30、及び、光電変換素子(受光素子)21が、絶縁膜32を挟んで配置されており、各副画素領域10に含まれる金属層30の部分に設けられた開口部31に対して、少なくとも1つの光電変換素子21が配置されている。実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例6にあっては、開口部31に対して1つの光電変換素子21が配置されている。そして、開口部31の射影像は、光電変換素子21の受光領域内に含まれており、開口部31は、入射電磁波によって励起される表面プラズモン・ポラリトンに基づき共鳴状態を発生させるように配列されており、この共鳴状態により開口部31近傍において発生する近接場光を光電変換素子21にて電気信号に変換する。即ち、開口部31は、入射電磁波に基づき表面プラズモン・ポラリトン共鳴が生じるように配列されており、この表面プラズモン・ポラリトン共鳴により開口部31近傍において発生する近接場光を光電変換素子21にて電気信号に変換する。ここで、より具体的には、近接場光は開口部縁部の近傍において発生するが、開口部31の射影像が光電変換素子21の受光領域内に含まれているが故に、即ち、開口部縁部の下方には必ず光電変換素子21の受光領域が存在するが故に、近接場光を光電変換素子21において確実に検出することができる。
【0044】
更には、実施例1の2次元固体撮像装置にあっては、各画素領域は、第1番目の副画素領域、及び、第1番目の副画素領域に隣接するM個の副画素領域から構成されており、各副画素領域10は1つの開口部31を有している。そして、第1番目の副画素領域101を構成する開口部31の中心から、第m番目の副画素領域10m[但し、mは、2,3・・・(M+1)]を構成する開口部31の中心までの距離をLmとしたとき、入射電磁波の波長成分及び距離Lmの周期構造に依存した波長成分に対応する近接場光を光電変換素子21にて電気信号に変換する。即ち、隣接する開口部31と開口部31とによって一種の微小共振器が構成されている。
【0045】
具体的には、実施例1にあっては、入射電磁波のq種類(但し、qは2以上、M以下のいずれかの自然数)の波長成分及びq’種類(但し、q’は2以上、M以下のいずれかの自然数)の距離Lmに依存した波長成分に対応する近接場光を、少なくとも第m番目の副画素領域10mにおける光電変換素子21にて電気信号に変換する。ここで、実施例1にあっては、Mの値は3であり、1つの画素領域において、4つの副画素領域における開口部31の中心は仮想正方形の頂点に位置する。
【0046】
より具体的には、概念図を図3の(B)に示すように、1つの画素領域において4つの副画素領域における開口部31の中心が仮想正方形の頂点に位置しており、入射電磁波の2種類の波長成分及び2種類の距離Lmの周期構造(具体的には、例えば、m=2及び4、並びに、m=3)に依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した2種類の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第m番目の副画素領域10mにおける光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0047】
即ち、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第2番目の副画素領域102における開口部31の中心との間の距離L2、及び、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第4番目の副画素領域104における開口部31の中心との間の距離L4によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第1の距離D1が規定され、更には、入射電磁波の第1の波長成分が規定され、これらの第1の距離D1と入射電磁波の第1の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第1の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101、第2番目の副画素領域102及び第4番目の副画素領域104における光電変換素子21にて電気信号に変換する。また、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第3番目の副画素領域103における開口部31の中心との間の距離L3によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第2の距離D2(≠D1)が規定され、更には、入射電磁波の第2の波長成分が規定され、これらの第2の距離D2と入射電磁波の第2の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第2の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第3番目の副画素領域103における光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0048】
第1の波長成分に対応する近接場光及び第2の波長成分に対応する近接場光を各副画素領域における光電変換素子21にて電気信号に変換するが、第1の波長成分に対応する近接場光に基づく電気信号と、第2の波長成分に対応する近接場光に基づく電気信号との分離に関しては、実施例7にて説明する。
【0049】
第2番目の副画素領域を第1番目の副画素領域101と見做したときも同様であるし、第3番目の副画素領域を第1番目の副画素領域101と見做したときも同様であるし、第4番目の副画素領域を第1番目の副画素領域101と見做したときも同様である。以下の説明においても同様である。
【0050】
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例7にあっては、絶縁膜32の厚さは1×10-7m以下、具体的には、例えば10nmである。ここで、絶縁膜32はSiO2から成る。また、金属層30は、厚さ50nmの金(Au)層から成る。開口部31の平面形状を円形とした。但し、絶縁膜32、金属層30、開口部31の形状は、これらに限定するものではない。また、実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例7にあっては、入射電磁波として、波長0.4μm乃至0.7μmの可視光を挙げることができるし、あるいは又、波長0.4μm以下の紫外線、波長0.7μm以上の赤外線を挙げることもできる。
【0051】
ここで、実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例7にあっては、光電変換素子21をCMOS型の信号増幅型イメージセンサーから構成したが、これに限定するものではなく、その他、CCD型、CMD型の信号増幅型イメージセンサーを採用してもよいし、PINダイオードを採用してもよい。実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例7の2次元固体撮像装置にあっては、光電変換素子21が検出(受光)する電磁波は、例えば、可視光である。CMOS型の信号増幅型イメージセンサーを採用する場合、素子分離として、LOCOS構造、EDI(Expanding Photodiode Design for Isolation)構造、STI(Shallow Trench Isolation)構造等の、周知の構造を採用すればよい。
【0052】
ここで、図1の(A)に示す2次元固体撮像装置は、表面照射型の2次元固体撮像装置であり、図1の(B)に示す2次元固体撮像装置は、裏面照射型の2次元固体撮像装置である。図1の(A)に示す表面照射型の2次元固体撮像装置にあっては、オンチップ・マイクロ凸レンズから成る集光素子24によって集光された光は、SiO2やSiNといった透明な物質から成る平滑化層22を通過する。そして、金属層30に衝突する結果、金属層30に設けられた開口部31近傍において近接場光が発生し、この近接場光が光電変換素子21に導かれる。尚、金属層30は、所謂遮光層を兼ねている。そして、近接場光は、光電変換により電荷として蓄積された後、電気信号として外部に読み出される。尚、参照番号11はシリコン基板から成る基板を示し、参照番号23はアルミニウム(Al)から構成された配線層を示す。光電変換素子21は基板11に形成されている。尚、金属層30に設けられた開口部31は、実際には、平滑化層22によって充填されている。一方、図1の(B)に示す裏面照射型の2次元固体撮像装置にあっては、集光素子24によって集光された光は基板11を通過する。そして,金属層30に衝突する結果、金属層30に設けられた開口部31近傍において近接場光が発生し、この近接場光が光電変換素子21に導かれる。そして、近接場光は、光電変換により電荷として蓄積された後、電気信号として外部に読み出される。尚、開口部31は、入射電磁波に対して透明な媒質33によって充填されている。集光素子を、オンチップ・マイクロ凸レンズの他にも、光電変換素子21に入射する電磁波(例えば、可視光)の波長よりも小さい物理スケールの周期構造を有するサブ波長レンズ(Sub-Wavelength Lens:SWLL)から構成することができる。
【0053】
金属層30の厚さ方向と平行な仮想平面で開口部31を切断したときの開口部31の断面形状は、図3の(A)に示し、あるいは、図4の(A)に示すように、矩形形状(金属層30の上面における開口部31の平面形状と、金属層30の下面における開口部31の平面形状とが同じ形状)とすることができる。あるいは又、図4の(B)、(C)に模式的に図示するように、金属層30の上面から下面に向かって階段状に断面積が小さくなるステップ状の断面形状(ステップの数は1以上であればよい)としてもよいし、図4の(D)に模式的に図示するように、金属層30の上面から下面に向かって単調に断面積が小さくなるスロープ状の断面形状としてもよい。
【0054】
また、画素領域及び副画素領域の配置を図5に模式的に示し、図5の矢印に沿って画素領域及び副画素領域を切断したときの模式的な一部端面図を図3の(D)に示すように、開口部31の開口径を副画素領域によって異ならせてもよい。
【0055】
実施例1の2次元固体撮像装置は、開口部31を有する金属層30を絶縁膜32上に形成する点を除き、従来の2次元固体撮像装置と基本的に同じ方法にて製造することができるし、金属層30の微細加工は、半導体装置の製造技術を転用することで容易に達成することができる。それ故、実施例1の2次元固体撮像装置の製造方法の説明は省略する。後述する実施例2〜実施例7の2次元固体撮像装置においても同様である。
【0056】
実施例1の2次元固体撮像装置にあっては、入射電磁波によって励起される表面プラズモン・ポラリトンに基づき共鳴状態を発生させ(表面プラズモン・ポラリトン共鳴の発生)、係る共鳴状態により開口部31近傍において発生する近接場光(表面プラズモン・ポラリトン共鳴により発生する近接場光)を光電変換素子21にて電気信号に変換する。それ故、高感度、且つ、微小開口径を有する2次元固体撮像装置を実現することができる。しかも、画素領域は複数の副画素領域10から構成されており、各副画素領域10に含まれる金属層30の部分には開口部31が設けられているので、開口部間の距離を最適化することで、副画素領域10のそれぞれにおいて異なる波長成分の近接場光を検出し、色情報を確実に再現することができる。また、実施例1の2次元固体撮像装置にあっては、金属層30に設けられた開口部間の距離に基づいて近接場光を励起し、検出するので、光電変換素子21の厚さと検出波長との間には何らの関係も無い。近接場光は電磁波波長程度の領域にしか到達しないが故に、光電変換素子21の厚さを充分に薄くすることが可能である。しかも、開口部31の開口径は入射電磁波の波長よりも小さいので、従来の2次元固体撮像装置に比べて光電変換素子21の開口面積を小さくすることが可能になり、これにより、光電変換素子全体の面積を保ちつつ、単位面積当たりの画素数を飛躍的に増加させることができる。
【実施例2】
【0057】
実施例2は、実施例1の変形である。実施例1にあっては、1つの画素領域において4つの副画素領域における開口部31の中心が仮想正方形の頂点に位置するとした。一方、実施例3にあっては、Mの値は3であり、1つの画素領域において、4つの副画素領域における開口部31の中心は、仮想長方形の頂点に位置する。
【0058】
より具体的には、画素領域及び副画素領域の配置を図6に模式的に示すように、1つの画素領域において4つの副画素領域における開口部31の中心が仮想長方形の頂点に位置しており、入射電磁波の3種類の波長成分及び3種類の距離Lm(具体的には、例えば、m=2,m=3、並びに、m=4)に依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した3種類の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第m番目の副画素領域10mにおける光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0059】
即ち、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第2番目の副画素領域102における開口部31の中心との間の距離L2によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第1の距離D1が規定され、更には、入射電磁波の第1の波長成分が規定され、これらの第1の距離D1と入射電磁波の第1の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第1の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第2番目の副画素領域102における光電変換素子21にて電気信号に変換する。また、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第3番目の副画素領域103における開口部31の中心との間の距離L3によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第2の距離D2(≠D1)が規定され、更には、入射電磁波の第2の波長成分が規定され、これらの第2の距離D2と入射電磁波の第2の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第2の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第3番目の副画素領域103における光電変換素子21にて電気信号に変換する。更には、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第4番目の副画素領域104における開口部31の中心との間の距離L4によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第3の距離D3(≠D1,≠D2)が規定され、更には、入射電磁波の第3の波長成分が規定され、これらの第3の距離D3と入射電磁波の第3の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第3の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第4番目の副画素領域104における光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0060】
第2番目の副画素領域を第1番目の副画素領域101と見做したときも同様であるし、第3番目の副画素領域を第1番目の副画素領域101と見做したときも同様であるし、第4番目の副画素領域を第1番目の副画素領域101と見做したときも同様である。
【0061】
以上の点を除き、実施例2の2次元固体撮像装置の構成、構造は、実施例1の2次元固体撮像装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例3】
【0062】
実施例3も、実施例1の変形である。実施例3にあっては、Mの値は3であり、1つの画素領域において、4つの副画素領域における開口部31の中心は、仮想平行四辺形の頂点に位置する。
【0063】
より具体的には、画素領域及び副画素領域の配置を図7に模式的に示すように、1つの画素領域において4つの副画素領域における開口部31の中心が仮想平行四辺形の頂点に位置しており、入射電磁波の3種類の波長成分及び3種類の距離Lm(具体的には、例えば、m=2,m=3、並びに、m=4)に依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した3種類の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第m番目の副画素領域10mにおける光電変換素子21にて電気信号に変換する。このような例は、上述した実施例2の1つの画素領域において4つの副画素領域における開口部31の中心が仮想長方形の頂点に位置する場合と同じである。
【0064】
あるいは又、隣接する副画素領域における開口部の中心間の距離の更なる最適化を図ることで、以下に説明する形態とすることもできる。即ち、入射電磁波の4種類の波長成分及び4種類の距離Lm(具体的には、例えば、m=2,m=3、並びに、m=4)に依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した4種類の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第m番目の副画素領域10mにおける光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0065】
具体的には、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第2番目の副画素領域102における開口部31の中心との間の距離L2によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第1の距離D1が規定され、更には、入射電磁波の第1の波長成分が規定され、これらの第1の距離D1と入射電磁波の第1の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第1の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第2番目の副画素領域102における光電変換素子21にて電気信号に変換する。また、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第3番目の副画素領域103における開口部31の中心との間の距離L3によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第2の距離D2(≠D1)が規定され、更には、入射電磁波の第2の波長成分が規定され、これらの第2の距離D2と入射電磁波の第2の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第2の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第3番目の副画素領域103における光電変換素子21にて電気信号に変換する。更には、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第4番目の副画素領域104における開口部31の中心との間の距離L4によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第3の距離D3(≠D1,≠D2)が規定され、更には、入射電磁波の第3の波長成分が規定され、これらの第3の距離D3と入射電磁波の第3の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第3の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101及び第4番目の副画素領域104における光電変換素子21にて電気信号に変換する。また、第2番目の副画素領域102における開口部31の中心と第4番目の副画素領域104における開口部31の中心との間の距離L2-4(図7参照)によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第4の距離D4(≠D1,≠D2,≠D3)が規定され、更には、入射電磁波の第4の波長成分が規定され、これらの第4の距離D4と入射電磁波の第4の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第4の波長成分に対応する近接場光を、第2番目の副画素領域102及び第4番目の副画素領域104における光電変換素子21にて電気信号に変換する。尚、この場合、P0の値として3を挙げることができ、この場合、距離L2,L3,L4によって規定される距離D2,D3,D4により励起される近接場光に相当する波長成分を、各々の光電変換素子によって電気信号に変換する。また、P0の値として1を挙げることができ、この場合、光電変換素子は、各開口間距離とそれぞれに対応する電磁波波長との共鳴状態に起因する近接場光を、混在した状態で検出する。
【0066】
第3番目の副画素領域を第1番目の副画素領域101と見做し、第4番目の副画素領域を第2番目の副画素領域102と見做したときも同様である。
【0067】
以上の点を除き、実施例4の2次元固体撮像装置の構成、構造は、実施例1の2次元固体撮像装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例4】
【0068】
実施例4も、実施例1の変形である。実施例4にあっては、Mの値は3であり、1つの画素領域において、4つの副画素領域における開口部31の中心は、不規則な四辺形の頂点に位置する。ここで、不規則な四辺形とは、四辺形ABCDにおいて、ABの長さ、ACの長さ、ADの長さ、BCの長さ、CDの長さ、BDの長さが、相互に異なっており、例えば、以下に説明するように近接場光を検出する。
【0069】
即ち、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第2番目の副画素領域102における開口部31の中心との間の距離L2によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第1の距離D1が規定され、更には、入射電磁波の第1の波長成分が規定され、これらの第1の距離D1と入射電磁波の第1の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第1の波長成分に対応する近接場光を、第2番目の副画素領域102における光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0070】
また、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第3番目の副画素領域103における開口部31の中心との間の距離L3によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第2の距離D2(≠D1)が規定され、更には、入射電磁波の第2の波長成分が規定され、これらの第2の距離D2と入射電磁波の第2の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第2の波長成分に対応する近接場光を、第3番目の副画素領域103における光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0071】
更には、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第4番目の副画素領域104における開口部31の中心との間の距離L4によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第3の距離D3(≠D1,≠D2)が規定され、更には、入射電磁波の第3の波長成分が規定され、これらの第3の距離D3と入射電磁波の第3の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第3の波長成分に対応する近接場光を、第4番目の副画素領域104における光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0072】
以上の点を除き、実施例4の2次元固体撮像装置の構成、構造は、実施例1の2次元固体撮像装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例5】
【0073】
実施例5も、実施例1の変形であるが、第2の構成に関する。実施例5の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置を図8に模式的に示す。
【0074】
実施例5あるいは後述する実施例6〜実施例7の2次元固体撮像装置にあっては、
各画素領域は、第1番目の副画素領域101、及び、第1番目の副画素領域101を取り囲むN個の副画素領域から構成されており、
各副画素領域は1つの開口部31を有し、
第1番目の副画素領域を構成する開口部31の中心から、第n番目の副画素領域[但し、nは、2,3・・・(N+1)]を構成する開口部31の中心までの距離をLnとしたとき、
入射電磁波の波長成分及び距離Lnに依存した波長成分に対応する近接場光を光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0075】
ここで、実施例5あるいは後述する実施例6〜実施例7の2次元固体撮像装置においては、入射電磁波のq種類(但し、qは1以上、N以下のいずれかの自然数)の波長成分及びq’種類(但し、q’は1以上、N以下のいずれかの自然数)の距離Lnに依存した波長成分に対応する近接場光を、少なくとも第n番目の副画素領域における光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0076】
また、実施例5の2次元固体撮像装置にあっては、Nの値は6であり、1つの画素領域において、第1番目の副画素領域を取り囲むN個の副画素領域における開口部31の中心は、仮想正六角形の頂点に位置し、第1番目の副画素領域における開口部31の中心は、仮想正六角形の中心に位置する。
【0077】
具体的には、実施例5にあっては、入射電磁波の1種類以上、N種類以下(例えば、1種類)の波長成分及び1種類の距離Lmに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した1種類以上、N種類以下(例えば、1種類)の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第n番目の副画素領域における光電変換素子21にて電気信号に変換する。このような実施例5の2次元固体撮像装置は、単一の色に対して感度を有する。尚、2種類以上の波長成分に対応する近接場光を得ようとする場合には、副画素領域における開口部31を充填する媒質(屈折率変化層)を異ならせればよい。以下の説明においても同様である。
【0078】
即ち、例えば、第2番目の副画素領域102及び第5番目の副画素領域105における開口部31を充填する媒質、第3番目の副画素領域103及び第6番目の副画素領域106における開口部31を充填する媒質、第4番目の副画素領域104及び第7番目の副画素領域107における開口部31を充填する媒質を、適宜、変えることで、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第2番目の副画素領域102及び第5番目の副画素領域105における開口部31の中心との間の距離L2によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第1の距離D1が規定され、更には、入射電磁波の第1の波長成分が規定され、これらの第1の距離D1と入射電磁波の第1の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第1の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101、第2番目の副画素領域102及び第5番目の副画素領域105における光電変換素子21にて電気信号に変換する。また、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第3番目の副画素領域103及び第6番目の副画素領域106における開口部31の中心との間の距離L3によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第2の距離D2(≠D1)が規定され、更には、入射電磁波の第2の波長成分が規定され、これらの第2の距離D2と入射電磁波の第2の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第2の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101、第3番目の副画素領域103及び第6番目の副画素領域106における光電変換素子21にて電気信号に変換する。更には、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第4番目の副画素領域104及び第7番目の副画素領域107における開口部31の中心との間の距離L4によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第3の距離D3(≠D1,≠D2)が規定され、更には、入射電磁波の第3の波長成分が規定され、これらの第3の距離D3と入射電磁波の第3の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第3の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101、第4番目の副画素領域104及び第7番目の副画素領域107における光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0079】
以上の点を除き、実施例5の2次元固体撮像装置の構成、構造は、実施例1の2次元固体撮像装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例6】
【0080】
実施例6は、実施例5の変形である。実施例6にあっては、Nの値は8であり、1つの画素領域において、隣接する4つの副画素領域における開口部31の中心は、仮想正方形、仮想長方形又は仮想平行四辺形の頂点に位置する。実施例6の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置を、図9(仮想正方形の頂点に位置する例)、あるいは、図10(仮想平行四辺形の頂点に位置する例)に模式的に示す。
【0081】
具体的には、Nの値は8であり、1つの画素領域において隣接する4つの副画素領域における開口部31の中心が仮想正方形の頂点に位置する場合(図9参照)、入射電磁波の2種類以上、N種類以下の波長成分及び2種類の距離Lm(具体的には、例えば、n=2,4,6,8、並びに、n=3,5,7,9)に依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した2種類以上、N種類以下の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第n番目の副画素領域における光電変換素子21にて電気信号に変換する構成とすることができる。
【0082】
ここで、1つの画素領域は、第1番目の副画素領域101、第2番目の副画素領域102、第3番目の副画素領域103、第4番目の副画素領域104、第5番目の副画素領域105、第6番目の副画素領域106、第7番目の副画素領域107、第8番目の副画素領域108、及び、第9番目の副画素領域109から構成されている。更には、1つの画素領域において隣接する4つの副画素領域は、(第1番目の副画素領域101,第2番目の副画素領域102,第3番目の副画素領域103,第4番目の副画素領域104)の組である。また、(第1番目の副画素領域101,第4番目の副画素領域104,第5番目の副画素領域105,第6番目の副画素領域106)の組である。また、(第1番目の副画素領域101,第6番目の副画素領域106,第7番目の副画素領域107,第8番目の副画素領域108)の組である。また、(第1番目の副画素領域101,第8番目の副画素領域108,第9番目の副画素領域109,第2番目の副画素領域102)の組である。以下の説明においても同様である。
【0083】
即ち、例えば、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第2番目の副画素領域102における開口部31の中心との間の距離L2、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第4番目の副画素領域104における開口部31の中心との間の距離L4、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第6番目の副画素領域106における開口部31の中心との間の距離L6、及び、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第8番目の副画素領域108における開口部31の中心との間の距離L8によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第1の距離D1が規定され、更には、入射電磁波の第1の波長成分が規定され、これらの第1の距離D1と入射電磁波の第1の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第1の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101、第2番目の副画素領域102、第4番目の副画素領域104、第6番目の副画素領域106及び第8番目の副画素領域108における光電変換素子21にて電気信号に変換する。また、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第3番目の副画素領域103における開口部31の中心との間の距離L3、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第5番目の副画素領域105における開口部31の中心との間の距離L5、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第7番目の副画素領域107における開口部31の中心との間の距離L7、及び、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第9番目の副画素領域109における開口部31の中心との間の距離L9によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第2の距離D2(≠D1)が規定され、更には、入射電磁波の第2の波長成分が規定され、これらの第2の距離D2と入射電磁波の第2の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第2の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101、第3番目の副画素領域103、第5番目の副画素領域105、第7番目の副画素領域107及び第9番目の副画素領域109における光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0084】
あるいは又、Nの値は8であり、1つの画素領域において、隣接する4つの副画素領域における開口部31の中心が仮想長方形の頂点に位置する場合、入射電磁波の3種類以上、N種類以下の波長成分及び3種類の距離Lmに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した3種類以上、N種類以下の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第n番目の副画素領域における光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0085】
即ち、例えば、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第2番目の副画素領域102における開口部31の中心との間の距離L2、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第6番目の副画素領域106における開口部31の中心との間の距離L6によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第1の距離D1が規定され、更には、入射電磁波の第1の波長成分が規定され、これらの第1の距離D1と入射電磁波の第1の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第1の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101、第2番目の副画素領域102及び第6番目の副画素領域106における光電変換素子21にて電気信号に変換する。また、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第4番目の副画素領域104における開口部31の中心との間の距離L4、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第8番目の副画素領域108における開口部31の中心との間の距離L8によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第2の距離D2(≠D1)が規定され、更には、入射電磁波の第2の波長成分が規定され、これらの第2の距離D2と入射電磁波の第2の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第2の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101、第4番目の副画素領域104及び第8番目の副画素領域108における光電変換素子21にて電気信号に変換する。更には、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第3番目の副画素領域103における開口部31の中心との間の距離L3、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第5番目の副画素領域105における開口部31の中心との間の距離L5、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第7番目の副画素領域107における開口部31の中心との間の距離L7、第1番目の副画素領域101における開口部31の中心と第9番目の副画素領域109における開口部31の中心との間の距離L9によって、隣接する副画素領域における開口部の中心間の第3の距離D3(≠D1,≠D2)が規定され、更には、入射電磁波の第3の波長成分が規定され、これらの第3の距離D3と入射電磁波の第3の波長成分とに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した第3の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域101、第3番目の副画素領域103、第5番目の副画素領域105、第7番目の副画素領域107及び第9番目の副画素領域109における光電変換素子21にて電気信号に変換する。
【0086】
あるいは又、Nの値は8であり、1つの画素領域において、隣接する4つの副画素領域における開口部31の中心が仮想平行四辺形の頂点に位置する場合(図10参照)、入射電磁波の3種類以上、N種類以下の波長成分及び3種類又は4種類の距離Lmに依存して励起される表面プラズモン・ポラリトン共鳴に起因した3種類以上、N種類以下の波長成分に対応する近接場光を、第1番目の副画素領域及び第n番目の副画素領域における光電変換素子21にて電気信号に変換する構成とすることができる。尚、このような例は、基本的には、上述した1つの画素領域において8つの副画素領域における開口部31の中心が仮想長方形の頂点に位置する場合と同様とすることができるし、あるいは、実施例3にて説明したと同様とすることができる。
【0087】
尚、実施例6あるいは前述した実施例5にあっては、隣接する画素領域間において表面プラズモン・ポラリトンに基づき共鳴状態が生じないように、隣接する副画素領域における開口部の中心間の距離Dが決められている。但し、これに限定するものではなく、隣接する画素領域間において表面プラズモン・ポラリトンに基づき共鳴状態が生じるように、隣接する副画素領域における開口部の中心間の距離Dを決めてもよい。この場合には、例えば、図9に示した例にあっては、第1番目の副画素領域101、第2番目の副画素領域102、第3番目の副画素領域103及び第4番目の副画素領域104から構成された第1画素領域、第1番目の副画素領域101、第4番目の副画素領域104、第5番目の副画素領域105及び第6番目の副画素領域106から構成された第2画素領域、第1番目の副画素領域101、第6番目の副画素領域106、第7番目の副画素領域107及び第8番目の副画素領域108から構成された第3画素領域、並びに、第1番目の副画素領域101、第8番目の副画素領域108、第9番目の副画素領域109及び第2番目の副画素領域102から構成された第4画素領域の4つの画素領域から画素領域群が構成され、この画素領域群を、実施例6における画素領域と見做せばよい。他の副画素領域の配置においても同様である。
【0088】
以上の点を除き、実施例6の2次元固体撮像装置の構成、構造は、実施例1の2次元固体撮像装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例7】
【0089】
実施例7は、実施例1の変形であるが、本発明の第2の態様に係る2次元固体撮像装置に関する。実施例7の2次元固体撮像装置における画素領域及び副画素領域の配置を図11の(A)及び(B)に模式的に示し、図11の(B)の矢印に沿って画素領域及び副画素領域を切断したときの模式的な一部端面図を図11の(C)に示す。また、1つの副画素領域の等価回路図を図12に示すが、このような回路に限定するものではない。
【0090】
入射電磁波の縦偏光成分・横偏光成分を考えると、近接場光はTMモードなので、それぞれの偏光成分に平行な金属薄膜層の周期構造によって表面プラズモン・ポラリトン(SPP)が励起される。また、表面プラズモン・ポラリトンにより発生する近接場光は、開口部縁部(エッジ部分)で強い電場強度を有することが知られている。即ち、直線上に並ぶ複数の開口部において、近接場光の電場強度が最も強くなるのは開口部直下の数10nm程度の広がりを持つスポット領域であり、しかも、開口部の配列方向によって検出できる偏光成分が異なってくる。従って、各々の開口部の中心を通る直線が2つの開口部の縁部(エッジ部分)と交わる部分の内の少なくとも一方の部分の下方、望ましくは、両方の部分(尚、これらの部分は相互に対向している)の下方に、光電変換素子の受光領域を配置すれば、2つの開口部の中心を通る直線と平行な偏光成分を、光電変換素子にて検出することができる。
【0091】
実施例7の2次元固体撮像装置においては、
金属層30の部分に設けられた1つの開口部31に対して、複数の光電変換素子21が配置されており、
開口部31の射影像が光電変換素子21の受光領域内に含まれる代わりに、開口部31縁部の射影像が複数の光電変換素子21の受光領域内に含まれており、
共鳴状態により開口部31近傍において発生する近接場光を複数の光電変換素子21にて電気信号に変換し、以て、入射電磁波の偏光に関する情報を取得する。更には、開口部31の周期的な間隔に対応する入射電磁波の波長(色)に関する情報を取得する。
【0092】
実施例7にあっては、副画素領域の配置を実施例5にて説明した配置と同様とした。そして、1つの開口部31に対して、2P0個の光電変換素子21が環状に配置されており、第p番目の光電変換素子21(但し、pは1,2・・・P0)と第(p+P0)番目の光電変換素子21とを一対として、入射電磁波の波長・偏光に関する情報を取得する。
【0093】
図11の(A)に示す例は実施例5の変形であり、N個(6個)の副画素領域における開口部の中心が仮想正六角形の頂点に位置している。ここで、2P0の値は6である。即ち、1つの副画素領域に配置する2P0個の光電変換素子21の数は6である。尚、図11の(A)及び(B)においては、1つの副画素領域における2P0個の光電変換素子21を図示している。
【0094】
そして、第1番目の副画素領域101、第2番目の副画素領域102及び第5番目の副画素領域105における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき2箇所)の下方に光電変換素子Aの受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこの直線と平行な第1の偏光成分を、光電変換素子Aにて検出することができる。また、第1番目の副画素領域101、第3番目の副画素領域103及び第6番目の副画素領域106における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき2箇所)の下方に光電変換素子Bの受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこの直線と平行な第2の偏光成分を、光電変換素子Bにて検出することができる。更には、第1番目の副画素領域101、第4番目の副画素領域104及び第7番目の副画素領域107における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき2箇所)の下方に光電変換素子Cの受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこの直線と平行な第3の偏光成分を、光電変換素子Cにて検出することができる。そして、こうして得られた入射電磁波の偏光に関する3種類の情報(偏光成分)を演算することで、画素領域に入射する光の偏光最大強度IPL-max、偏光最小強度IPL-min、画素領域に入射する光の偏光最大強度IPL-maxが得られる偏光方向θPL-max、偏光成分に関する強度である偏光成分強度IPLを得ることができる。
【0095】
尚、表面プラズモン・ポラリトンによって発生する近接場光は、先端が尖った形状の頂点に強い電場を形成する傾向がある。この傾向は、先端が尖った形状の頂点では電子が動き回れる領域が狭くなり電場が集中することに起因すると考えられている。そのため、開口部の平面形状を、図13に示すように、各々の頂点に発生した強い近接場光を検出できるように、星形とすることも有効である。また、N個(8個)の副画素領域における開口部の中心が仮想正八角形の頂点に位置している構成とすることもできる。
【0096】
あるいは又、図11の(B)に示す例は実施例6の変形であり、N=8であり、1つの画素領域において隣接する4つの副画素領域における開口部31の中心が仮想正方形の頂点に位置している。ここで、1つの副画素領域に配置する2P0個の光電変換素子21の数は8である。
【0097】
そして、第1番目の副画素領域101、第2番目の副画素領域102及び第6番目の副画素領域106における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき2箇所)の下方に光電変換素子の受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこの直線と平行な第1の偏光成分、及び、主に第1の波長成分に対応する近接場光を、光電変換素子にて検出することができる。また、第1番目の副画素領域101、第3番目の副画素領域103及び第7番目の副画素領域107における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき2箇所)の下方に光電変換素子の受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこの直線と平行な第2の偏光成分、及び、主に第2の波長成分に対応する近接場光を、光電変換素子にて検出することができる。更には、第1番目の副画素領域101、第4番目の副画素領域104及び第8番目の副画素領域108における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき2箇所)の下方に光電変換素子の受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこの直線と平行な第3の偏光成分、及び、主に第3の波長成分に対応する近接場光を、光電変換素子にて検出することができる。また、第1番目の副画素領域101、第5番目の副画素領域105及び第9番目の副画素領域109における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき2箇所)の下方に光電変換素子の受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこの直線と平行な第4の偏光成分、及び、主に第4の波長成分に対応する近接場光を、光電変換素子にて検出することができる。そして、こうして得られた入射電磁波の偏光に関する4種類の情報(偏光成分)を演算することで、画素領域に入射する光の偏光最大強度IPL-max、偏光最小強度IPL-min、画素領域に入射する光の偏光最大強度IPL-maxが得られる偏光方向θPL-max、偏光成分に関する強度である偏光成分強度IPLを得ることができる。更には、第1の波長成分に対応する近接場光、第2の波長成分に対応する近接場光、第3の波長成分に対応する近接場光及び第4の波長成分に対応する近接場光を分離した状態を得ることができる。
【0098】
1つの画素領域において隣接する4つの副画素領域における開口部31の中心が、仮想長方形の頂点に位置し、あるいは又、仮想平行四辺形の頂点に位置するといった実施例6の変形例に対しても、同様に、1つの副画素領域に2P0個(=8)の光電変換素子21を配置することができる。
【0099】
また、実施例7を実施例1にて説明した2次元固体撮像装置に適用した場合の画素領域及び副画素領域の配置を模式的に図14に示す。この場合にあっては、第1番目の副画素領域101には3つの光電変換素子A,B,Cが配置されており、第2番目の副画素領域102、第3番目の副画素領域103、及び、第4番目の副画素領域104のそれぞれにも3つの光電変換素子A,B,Cが配置されている。
【0100】
そして、第1番目の副画素領域101及び第2番目の副画素領域102における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき1箇所)の下方に光電変換素子Aの受光領域を配置し、第3番目の副画素領域103及び第4番目の副画素領域104における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき1箇所)の下方に光電変換素子Fの受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこれら直線と平行な第1の偏光成分、及び、主に第1の波長成分に対応する近接場光を、光電変換素子A,Fにて検出することができる。また、第1番目の副画素領域101及び第3番目の副画素領域103における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき1箇所)の下方に光電変換素子Bの受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこの直線と平行な第2の偏光成分、及び、主に第2の波長成分に対応する近接場光を、光電変換素子Bにて検出することができる。更には、第1番目の副画素領域101及び第4番目の副画素領域104における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき1箇所)の下方に光電変換素子Cの受光領域を配置し、第2番目の副画素領域102及び第3目の副画素領域103における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき1箇所)の下方に光電変換素子Eの受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこれらの直線と平行な第3の偏光成分、及び、主に第3の波長成分に対応する近接場光を、光電変換素子C,Eにて検出することができる。また、第2番目の副画素領域102及び第4番目の副画素領域104における開口部31を結ぶ直線が、これらの開口部31の縁部(エッジ部分)のそれぞれと交わる部分(各開口部につき1箇所)の下方に光電変換素子Dの受光領域を配置すれば、開口部の中心を通るこの直線と平行な第4の偏光成分、及び、主に第4の波長成分に対応する近接場光を、光電変換素子Dにて検出することができる。更には、第1の波長成分に対応する近接場光、第2の波長成分に対応する近接場光、第3の波長成分に対応する近接場光及び第4の波長成分に対応する近接場光を分離した状態を得ることができる。
【0101】
更には、同様に、実施例7を実施例2〜実施例4にて説明した2次元固体撮像装置に適用することができる。
【0102】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例においては、例えば、可視光波長帯を検出する固体撮像素子を説明したが、赤外線や紫外線を検出する固体撮像素子の場合、それらの波長に応じて、開口部間の距離を拡大・縮小することで、任意の波長帯で機能する2次元固体撮像装置を得ることができる。開口部31の平面形状は円形や星形に限定されず、その他、三角形、四角形、六角形、八角形、菱形、楕円形、十字形状等、任意の平面形状とすることができる。また、開口部31の光入射側に、入射電磁波の波長よりも小さい周期を有する凹凸周期構造を有する構成(サブ波長構造体とも呼ばれ、例えば、特開2001−108812や、WO 2005/101067 A1参照)の屈折率変化層を設けてもよい。
【0103】
実施例5においては、単一の色に対して感度を有する2次元固体撮像装置を説明したが、実施例5における金属層及び開口部の構成、構造を、例えば、ベイヤ配列に適用し、図15に画素領域及び副画素領域の配置を模式的に示すように、4つの副画素領域の内、1つの副画素領域10Rにおいては赤色を検出し得る金属層及び開口部の構成、構造とし、1つの副画素領域10Bにおいては青色を検出し得る金属層及び開口部の構成、構造とし、残りの2つの副画素領域10Gにおいては緑色を検出し得る金属層及び開口部の構成、構造とすることもできる。この場合、各副画素領域10R,10B,10Gのそれぞれに、1つの光電変換素子(受光素子)を設ければよい。尚、開口部を充填する媒質の屈折率をn0としたとき、赤色を検出する副画素領域10Rにおいては、開口部間の距離を、例えば、700/n0(nm)とすればよいし、緑色を検出する副画素領域10Gにおいては、開口部間の距離を、例えば、550/n0(nm)とすればよいし、青色を検出する副画素領域10Bにおいては、開口部間の距離を、例えば、400/n0(nm)とすればよい。尚、開口部31を充填する媒質を、各副画素領域10R,10B,10Gにおいて変えてもよい。更には、ベイヤ配列に限らず、3種類以上の任意の波長成分を検出する副画素領域を任意に配列、配置してもよい。
【0104】
図16の(A)に模式的な一部断面図にて概念図を示し、図16の(B)及び(C)に部分的な配置図(開口部を上方から眺めた模式図)として示すように、実施例1〜実施例7にて説明した2次元固体撮像装置において、光電変換素子としてPINダイオードを用いることもできる。ここで、PINダイオードの絶縁部42は、金属層30に設けられた開口部31の縁部の射影像を含む位置に配置されている。PINには逆バイアス電圧が印加されている。金属層30の開口部縁部で発生した近接場光は絶縁部42で吸収され、電子−正孔対が生成される。そして、生成した電子−正孔対は、各々が反対方向にドリフトして、負荷抵抗の両端で信号電圧として検出される。実施例1と同様に、開口部31に1つのPINダイオードを配置する場合、図16の(B)に示すように、リング状及び円形状にn型半導体領域41及びp型半導体領域43のそれぞれを配置すればよい。また、実施例7と同様に、開口部31に複数のPINダイオードを配置する場合、図16の(C)に示すように、複数のn型半導体領域41が円形状のp型半導体領域43を円環状に取り囲むように、n型半導体領域41及びp型半導体領域43を配置すればよい。尚、図中、点線は、開口部31の縁部の射影像を示す。
【0105】
図17の(A)〜(D)に模式的な一部断面図にて概念図を示すように、実施例1〜実施例7にて説明した2次元固体撮像装置において、光電変換素子として埋め込み型フォトダイオードを用いることもできる。図17の(A)は、表面照射型の2次元固体撮像装置であり、図17の(B)は、裏面照射型の2次元固体撮像装置であり、それぞれ、実施例1と同様に、開口部に1つの埋め込み型フォトダイオードを配置する場合を示している。ここで、参照番号50はP型ウエルを意味し、参照番号51、参照番号52、及び、参照番号53は、埋め込み型フォトダイオードを構成するp型半導体層、n型半導体層、及び、p型半導体層を意味し、参照番号56は層間絶縁層を意味し、参照番号57は絶縁層を意味し、参照番号58は半導体層を意味する。近接場光は埋め込み型フォトダイオード中で電子−正孔対を生成させ、電子が蓄積される。蓄積された電子はゲート部54を介してFD領域(フローティング・ディフュージョン領域)55にて電位として読み出される。図17の(C)は、表面照射型の2次元固体撮像装置であり、図17の(D)は、裏面照射型の2次元固体撮像装置であり、それぞれ、実施例7と同様に、開口部に複数の埋め込み型フォトダイオードを配置する場合を示している。
【0106】
図18の(A)に模式的な一部断面図にて概念図を示すように、実施例1〜実施例7にて説明した2次元固体撮像装置において、光電変換素子として水平方向のPN接合により構成されたフォトダイオードを用いることもできる。ここで、参照番号60はP型ウエルを意味し、参照番号61及び参照番号62は、フォトダイオードを構成するn型半導体領域及びp型半導体領域を意味し、参照番号66は層間絶縁層を意味する。金属層30の開口部31の縁部で発生した近接場光は、フォトダイオード中で電子−正孔対を生成させ、電子がn型半導体領域61に蓄積される。更には、蓄積された電子はゲート部64を介してFD領域65にて電位として読み出される。
【0107】
図18の(B)及び(C)に模式的な一部断面図にて概念図を示すように、実施例1〜実施例7にて説明した2次元固体撮像装置において、光電変換素子として閾値変調型イメージセンサ(CMD)を用いることもできる。図18の(B)は、実施例1と同様に、開口部に1つの閾値変調型イメージセンサを配置する場合を示す。ここで、参照番号71及び参照番号72は、閾値変調型イメージセンサを構成するn型半導体層及びp型半導体層を意味し、参照番号73、参照番号74、参照番号75、参照番号76は、それぞれ、n型半導体層、ゲート部、n+半導体領域から成るドレイン領域、及び、n+半導体領域から成るソース領域を意味する。近接場光は、閾値変調型イメージセンサ中で電子−正孔対を生成させる。そして、生成された電子若しくは正孔は、画素トランジスタの閾値電圧を変調させるので、その変化量を蓄積信号量として読み出すことができる。図18の(C)は、実施例7と同様に、開口部に複数の閾値変調型イメージセンサを配置した例を示している。
【符号の説明】
【0108】
10・・・副画素領域、21・・・光電変換素子、22・・・平滑化層、23・・・配線層、24・・・集光素子、30・・・金属層、31・・・開口部、32・・・絶縁膜、33・・・媒質、41・・・n型半導体領域、42・・・絶縁部、43・・・p型半導体領域、51・・・p型半導体層、52・・・n型半導体層、54・・・ゲート部、55・・・FD領域、56・・・層間絶縁層、58・・・半導体層、60・・・P型ウエル、61・・・n型半導体領域、62・・・p型半導体領域、64・・・ゲート部、65・・・FD領域、66・・・層間絶縁層、71・・・n型半導体層、72・・・p型半導体層、73・・・n型半導体層、74・・・ゲート部、75・・・ドレイン領域、76・・・ソース領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元マトリクス状に配置された画素領域を有し、
各画素領域は、複数の副画素領域から構成されており、
入射電磁波の波長よりも小さい開口径を有する開口部が設けられた金属層、及び、光電変換素子が、絶縁膜を挟んで配置されており、
各副画素領域に含まれる金属層の部分に設けられた開口部に対して、少なくとも1つの光電変換素子が配置されており、
開口部の射影像は、光電変換素子の受光領域内に含まれており、
開口部は、入射電磁波によって励起される表面プラズモン・ポラリトンに基づき共鳴状態を発生させるように配列されており、
該共鳴状態により開口部近傍において発生する近接場光を光電変換素子にて電気信号に変換する2次元固体撮像装置。
【請求項2】
絶縁膜の厚さは1×10-7m以下である請求項1に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項3】
各画素領域は、第1番目の副画素領域、及び、第1番目の副画素領域に隣接するM個の副画素領域から構成されており、
各副画素領域は1つの開口部を有し、
第1番目の副画素領域を構成する開口部の中心から、第m番目の副画素領域[但し、mは、2,3・・・(M+1)]を構成する開口部の中心までの距離をLmとしたとき、
入射電磁波の波長成分及び距離Lmに依存した波長成分に対応する近接場光を光電変換素子にて電気信号に変換する請求項1に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項4】
入射電磁波のq種類(但し、qは2以上、M以下のいずれかの自然数)の波長成分及びq’種類(但し、q’は2以上、M以下のいずれかの自然数)の距離Lmに依存した波長成分に対応する近接場光を、少なくとも第m番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する請求項3に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項5】
Mの値は3であり、
1つの画素領域において、4つの副画素領域における開口部の中心は、仮想正方形、仮想長方形又は仮想平行四辺形の頂点に位置する請求項3に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項6】
各画素領域は、第1番目の副画素領域、及び、第1番目の副画素領域を取り囲むN個の副画素領域から構成されており、
各副画素領域は1つの開口部を有し、
第1番目の副画素領域を構成する開口部の中心から、第n番目の副画素領域[但し、nは、2,3・・・(N+1)]を構成する開口部の中心までの距離をLnとしたとき、
入射電磁波の波長成分及び距離Lnに依存した波長成分に対応する近接場光を光電変換素子にて電気信号に変換する請求項1に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項7】
入射電磁波のq種類(但し、qは1以上、N以下のいずれかの自然数)の波長成分及びq’種類(但し、q’は1以上、N以下のいずれかの自然数)の距離Lnに依存した波長成分に対応する近接場光を、少なくとも第n番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する請求項6に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項8】
Nの値は6であり、
1つの画素領域において、第1番目の副画素領域を取り囲むN個の副画素領域における開口部の中心は、仮想正六角形の頂点に位置し、第1番目の副画素領域における開口部の中心は、仮想正六角形の中心に位置する請求項6に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項9】
Nの値は8であり、
1つの画素領域において、隣接する4つの副画素領域における開口部の中心は、仮想正方形、仮想長方形又は仮想平行四辺形の頂点に位置する請求項6に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項10】
金属層の部分に設けられた1つの開口部に対して、複数の光電変換素子が配置されており、
開口部の射影像が光電変換素子の受光領域内に含まれる代わりに、開口部縁部の射影像が複数の光電変換素子の受光領域内に含まれており、
入射電磁波波長及び周期的な開口部の分布パターンに基づく共鳴状態により開口部近傍において発生する近接場光を複数の光電変換素子にて電気信号に変換し、以て、入射電磁波の偏光に関する情報を取得する請求項1に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項11】
1つの開口部に対して、2P0個の光電変換素子が環状に配置されており、
第p番目の光電変換素子(但し、pは1,2・・・P0)と第(p+P0)番目の光電変換素子とを一対として、入射電磁波の偏光に関する情報を取得する請求項10に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項12】
P0の値は、2、3又は4である請求項11に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項13】
開口部の光入射側には、屈折率変化層が設けられている請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項14】
光電変換素子は、CMOS型、CCD型、PINダイオード又はCMD型の信号増幅型イメージセンサーから成る請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項15】
入射電磁波は、波長0.4μm乃至0.7μmの可視光である請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項16】
入射電磁波は、波長0.4μm以下の紫外線、又は、波長0.7μm以上の赤外線である請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項1】
2次元マトリクス状に配置された画素領域を有し、
各画素領域は、複数の副画素領域から構成されており、
入射電磁波の波長よりも小さい開口径を有する開口部が設けられた金属層、及び、光電変換素子が、絶縁膜を挟んで配置されており、
各副画素領域に含まれる金属層の部分に設けられた開口部に対して、少なくとも1つの光電変換素子が配置されており、
開口部の射影像は、光電変換素子の受光領域内に含まれており、
開口部は、入射電磁波によって励起される表面プラズモン・ポラリトンに基づき共鳴状態を発生させるように配列されており、
該共鳴状態により開口部近傍において発生する近接場光を光電変換素子にて電気信号に変換する2次元固体撮像装置。
【請求項2】
絶縁膜の厚さは1×10-7m以下である請求項1に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項3】
各画素領域は、第1番目の副画素領域、及び、第1番目の副画素領域に隣接するM個の副画素領域から構成されており、
各副画素領域は1つの開口部を有し、
第1番目の副画素領域を構成する開口部の中心から、第m番目の副画素領域[但し、mは、2,3・・・(M+1)]を構成する開口部の中心までの距離をLmとしたとき、
入射電磁波の波長成分及び距離Lmに依存した波長成分に対応する近接場光を光電変換素子にて電気信号に変換する請求項1に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項4】
入射電磁波のq種類(但し、qは2以上、M以下のいずれかの自然数)の波長成分及びq’種類(但し、q’は2以上、M以下のいずれかの自然数)の距離Lmに依存した波長成分に対応する近接場光を、少なくとも第m番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する請求項3に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項5】
Mの値は3であり、
1つの画素領域において、4つの副画素領域における開口部の中心は、仮想正方形、仮想長方形又は仮想平行四辺形の頂点に位置する請求項3に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項6】
各画素領域は、第1番目の副画素領域、及び、第1番目の副画素領域を取り囲むN個の副画素領域から構成されており、
各副画素領域は1つの開口部を有し、
第1番目の副画素領域を構成する開口部の中心から、第n番目の副画素領域[但し、nは、2,3・・・(N+1)]を構成する開口部の中心までの距離をLnとしたとき、
入射電磁波の波長成分及び距離Lnに依存した波長成分に対応する近接場光を光電変換素子にて電気信号に変換する請求項1に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項7】
入射電磁波のq種類(但し、qは1以上、N以下のいずれかの自然数)の波長成分及びq’種類(但し、q’は1以上、N以下のいずれかの自然数)の距離Lnに依存した波長成分に対応する近接場光を、少なくとも第n番目の副画素領域における光電変換素子にて電気信号に変換する請求項6に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項8】
Nの値は6であり、
1つの画素領域において、第1番目の副画素領域を取り囲むN個の副画素領域における開口部の中心は、仮想正六角形の頂点に位置し、第1番目の副画素領域における開口部の中心は、仮想正六角形の中心に位置する請求項6に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項9】
Nの値は8であり、
1つの画素領域において、隣接する4つの副画素領域における開口部の中心は、仮想正方形、仮想長方形又は仮想平行四辺形の頂点に位置する請求項6に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項10】
金属層の部分に設けられた1つの開口部に対して、複数の光電変換素子が配置されており、
開口部の射影像が光電変換素子の受光領域内に含まれる代わりに、開口部縁部の射影像が複数の光電変換素子の受光領域内に含まれており、
入射電磁波波長及び周期的な開口部の分布パターンに基づく共鳴状態により開口部近傍において発生する近接場光を複数の光電変換素子にて電気信号に変換し、以て、入射電磁波の偏光に関する情報を取得する請求項1に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項11】
1つの開口部に対して、2P0個の光電変換素子が環状に配置されており、
第p番目の光電変換素子(但し、pは1,2・・・P0)と第(p+P0)番目の光電変換素子とを一対として、入射電磁波の偏光に関する情報を取得する請求項10に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項12】
P0の値は、2、3又は4である請求項11に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項13】
開口部の光入射側には、屈折率変化層が設けられている請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項14】
光電変換素子は、CMOS型、CCD型、PINダイオード又はCMD型の信号増幅型イメージセンサーから成る請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項15】
入射電磁波は、波長0.4μm乃至0.7μmの可視光である請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の2次元固体撮像装置。
【請求項16】
入射電磁波は、波長0.4μm以下の紫外線、又は、波長0.7μm以上の赤外線である請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の2次元固体撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−271049(P2010−271049A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120579(P2009−120579)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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