説明

ACF貼付状態検査装置

【課題】フレキシブル基板の表面のACFの貼付状態の検出精度を向上させる。
【解決手段】ACFが貼付されたフレキシブル基板10に対して、フレキシブル基板10の表面と所定の角度を持って照明光を照射する照明部1と、フレキシブル基板10の表面と所定の角度を持って配置されて、フレキシブル基板10の表面から照明光が反射した反射光を撮像する撮像部4,5とを備える。さらに、照明部1とフレキシブル基板10の表面との間、又はフレキシブル基板10の表面と撮像部4,5との間の少なくとも一方に偏光フィルタ3を配置する。その上で、照明部1を、フレキシブル基板10のプリント回路基板との接続部11側に近づけて配置し、撮像部4,5を、フレキシブル基板10の表示パネルとの接続部12側に近づけて配置し、フレキシブル基板の表示パネルとの接続部が、プリント回路基板との接続部よりも近い距離で撮像されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルに取り付けられる基板としての被貼付物に貼付された、透明又は半透明のフレキシブル基板であるACF(異方性導電フィルム)の貼付状態を検出するACF貼付状態検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置やプラズマ表示装置などのFPD(Flat Panel Display)は、画像表示を行う表示パネルに、複数の処理ステーションによって、その周囲に様々な電子部品が接続又は実装される。実装される電子部品の具体例としては、駆動ICの搭載やCOF(Chip on Film)、FPC(Flexible Printed Circuit)などのいわゆるTAB(Tape Automated Bonding)及び、PCB(回路基板:Printed Circuit Board)が挙げられる。また、表示パネルとPCB基板との接続には、TCP(Tape Carrier Package)が用いられている。
【0003】
具体的な例については実施の形態の説明で詳細を述べるが、液晶表示パネルの周縁部には、非常に狭いピッチで電極が配置されたリード部を備え、そのリード部に、ICチップを搭載したフレキシブル基板からなるCOFの一方の端部が接続される。さらに、そのCOFの他方の端部には、プリント基板であるPCBが接続される。
COFやPCBの接続部分についても、狭いピッチで電極が配置されたリード部を備える。そして、液晶表示パネルとCOFとの接続、及び、COFとPCBとの接続は、ACF(異方性導電フィルム、Anisotropic Conductive Film)を使用するようにしてある。
【0004】
このACFは、粘着性のある電気絶縁物質からなる熱硬化性樹脂(バインダ樹脂)に導電性を持つ微細な金属粒子を分散させてフィルム状に成形したものである。
液晶表示パネルとCOFとの接続、及び、COFとPCBとの接続を行う際には、まず、ACFをCOFの一方及び他方のリード部に貼付する。そして、ACFを貼付したCOFの一方のリード部を、液晶表示パネルの周縁部のリード部に重ねるように配置し、熱圧着処理を行い、液晶表示パネルの周縁部にCOFを接着させる。さらに、ACFを貼付したCOFの他方のリード部を、PCBのリード部に重ねるように配置し、熱圧着処理を行い、COFとPCBを接着させる。
【0005】
この熱圧着処理時には、ACF内に分散された導電粒子が、PCB又は液晶表示パネルのリード部とCOFのリード部とを導通させ、PCB側又は液晶表示パネル側の各電極とCOF側の各電極とが電気的に個別に接続される。そして、ACFのバインダ樹脂が硬化して、PCB又は液晶表示パネルとCOFが、ACFを介して一体に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−69199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
異方性導電フィルムであるACFは、実装装置を使用してCOFの電極部分に配置されるが、COFの表面にACFが配置された位置が適切な位置であるか検査する必要がある。
ここで、フレキシブル基板であるACFは、透明又は半透明であるため、被貼付物であるプリント基板のリード部との輝度差が少なかった。その結果、特許文献1に開示されている技術では、貼り付けられた箇所と貼り付けられていない箇所との反射光のコントラストの差が大きく表れず、フレキシブル基板の貼付状態の検出精度が低くなっていた。
【0008】
本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、COFなどのフレキシブル基板の表面のACFの貼付状態の検出精度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、表示パネルのリード部にACFを介して一方が接続され、プリント回路基板のリード部にACFを介して他方が接続されるフレキシブル基板に対して、ACFの貼付状態を検査するACF貼付状態検査装置に適用される。
装置構成としては、ACFが貼付されたフレキシブル基板に対して、フレキシブル基板の表面と所定の角度を持って照明光を照射する照明部と、フレキシブル基板の表面と所定の角度を持って配置されて、フレキシブル基板の表面から照明光が反射した反射光を撮像する撮像部とを備える。さらに、照明部とフレキシブル基板の表面との間、又はフレキシブル基板の表面と撮像部との間の少なくとも一方に偏光フィルタを配置する。
その上で、照明部を、フレキシブル基板のプリント回路基板との接続部側に近づけて所定の角度で傾斜させて配置し、撮像部を、フレキシブル基板の表示パネルとの接続部側に近づけて所定の角度で傾斜させて配置する。このように配置することで、撮像部で、フレキシブル基板の表示パネルとの接続部が、プリント回路基板との接続部よりも近い距離で撮像されるようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、偏光フィルタによって、特定の偏光を有する光のみを透過させることで、撮像部で受光される光のうち特定の光を軽減することができる。そのため、フレキシブル基板と被貼付物であるACFとの輝度差を大きくすることができ、ACF貼付箇所と貼付していない箇所とのコントラスト比を大きくすることができる。ここで本発明においては、原理上、ある程度の角度を持って撮像部でフレキシブル基板を撮像することになるが、表示パネルとの接続部が、プリント回路基板との接続部よりも近い位置で撮像される。表示パネルとの接続部は、プリント回路基板との接続部よりも電極の配置ピッチが狭く、双方の接続部で、確実にACF貼付箇所を検出できるようになり、フレキシブル基板の貼付状態の検出精度を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態の例のACF貼付状態検査装置構成を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態の例のACF貼付状態検査装置構成を示す構成図である。
【図3】本発明の一実施の形態の例の装置で検査するTCPの構成例を示す斜視図である。
【図4】表示パネルにCOF及びPCBが取り付けられた状態の例を示す正面図である。
【図5】表示パネルとCOF及びPCBとの接続状態を示す斜視図である。
【図6】P偏光とS偏光におけるガラスへの反射率を示す特性図である。
【図7】本発明の一実施の形態の例の検査処理工程を示すフローチャートである。
【図8】COFの配置状況によるコントラストの変化例を示す特性図である。
【図9】COFのPCB側の貼付位置で検出される輝度値のヒストグラムの例を示す特性図である。
【図10】COFの表示パネル側の貼付位置で検出される輝度値のヒストグラムの例を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のACF貼付状態検査装置の一実施の形態の例を、添付図面を参照して以下の順序で説明する。
1.COFの構成の説明(図3−図5)
2.検査装置構成の説明(図1,図2)
3.コントラスト比の測定例(図6)
4.検査処理の流れの例(図7)
5.適正に検出できることの説明(図8−図10)
6.変形例
【0013】
[1.COFの構成の説明]
まず、図3を参照して、本実施の形態の装置で検査するCOFの構成について説明する。
図3に示すように、樹脂製の透明又は半透明なフレキシブル基板で構成されるCOF10は、一方の端部の表面に、PCB側リード部11が配置してあり、他方の端部の表面に、パネル側リード部12が配置してある。COF10の表面又は裏面には、ICチップ(図3では図示せず)が配置される。COF10の一辺のサイズは、例えば約45mm程度である。
【0014】
それぞれのリード部11,12は、非常に狭いピッチで電極を、端面と直交する方向に平行に複数配置した構成としてある。PCB側リード部11とパネル側リード部12では、電極を配置するピッチ及び電極幅が異なる。
即ち、PCB側リード部11は、プリント回路基板であるPCBのリード部の電極配置間隔に対応して、50μm〜100μm程度の間隔で配置してある。一方、パネル側リード部12は、表示パネルを構成するガラス基板上のリード部の電極配置間隔に対応して、20μm〜30μm程度の間隔で配置してある。
【0015】
このように、1枚のCOF10で、一方の端部のリード部11の電極配置間隔と、他方の端部のリード部12の電極配置間隔は異なり、パネル側リード部12の方が狭い間隔になっている。このパネル側リード部12の方が狭いのは、PCBの最小の電極配置間隔よりも、表示パネルを構成するガラス基板に形成可能な最小の電極配置間隔の方が狭くできるためである。通常、COFやPCBなどの基板やフレキシブル基板は、表示装置本体を小型化するために、最小限の面積で構成させてあり、各部材のリード部への電極の配置状況についても、小型化のために最小のピッチで配置させてあるのが一般的であり、COF10については、PCB側リード部11とパネル側リード部12とで電極の配置ピッチが異なっている。
【0016】
そして、異方性導電フィルムであるACF21、22を、PCB側リード部11及びパネル側リード部12の各電極を跨ぐように配置する。本実施の形態の例の検査装置は、この異方性導電フィルムであるACF21、22の有無、及び正しい位置に配置されたことを検査するものである。
【0017】
ここで、図4及び図5を参照して、表示パネルにCOF10が取り付けられる状態の例について説明する。
図4は、液晶表示パネルを示す正面図で、図5は、液晶表示パネルとPCBとの接続状態を示す斜視図である。
図4に示すように、液晶表示パネル100は、カラーフィルタ基板101とTFT(Thin Film Transistor)アレイ基板102と、この2つのTFTアレイ基板の間に封入される液晶とから構成されている。このTFTアレイ基板102の少なくとも1辺には、ICチップ13を搭載したフレキシブル基板からなる複数のCOF10を介して、PCB(プリント回路基板)110が取り付けられている。
【0018】
図5に示すように、TFTアレイ基板102の端部には、電極が狭いピッチで配置されたリード部103が形成されている。そして、このリード部103には、COF10が接続されている。更に、複数のCOF10には、PCB110が接続されている。また、PCB110における複数のCOF10と接続される箇所には、所定の間隔を開けて複数のリード部111が設けられている。
【0019】
PCB110とCOF10との接続、ならびに、液晶表示パネル100とCOF10との接続は、異方性導電フィルムであるACF21,22によって、対向した電極同士が電気的に導通した状態で接着固定される。即ち、ACF21,22は、粘着性のある電気絶縁物質からなる熱硬化性樹脂(バインダ樹脂)に導電性を持つ微細な金属粒子を分散させてフィルム状に成形したものであり、通常、透明又は半透明のフィルム状に形成されている。
【0020】
ACF21,22を使用した接続は、熱圧着処理を行うことで、ACF21,22を構成するバインダ樹脂が硬化して固定接着される。そして、その熱圧着処理時に、ACF21,22内に分散された導電粒子が、圧力を加えた上下方向で対向した電極配置部分の間で接触するようになり、電極間の導通が確保される。一方、圧着のために圧力を加えた上下方向とは異なる方向の横方向では、絶縁性が保たれるものである。
なお、図4及び図5に示すように、COF10の表面(図3で裏面となる面)のほぼ中央には、ICチップ13が取り付けてある。
【0021】
[2.検査装置構成の説明]
次に、図1及び図2を参照して、ここまで説明したような表示装置の表示パネルに取り付けられるCOF10に、ACF21,22が配置されたことを検査する検査装置の構成について説明する。図1は検査装置の原理構成を示した斜視図であり、図2は側面図である。
【0022】
本例のACF貼付状態検査装置は、図1に示すように、ベース2の表面に載せたCOF10の表面に、面照明部1からの照明光を、ベース2の表面と直交する軸に対して、所定の角度をもって照射させる構成としてある。ここではこの角度を、図1に示すように約60°としてある。面照明部1は、例えば光源からの光を拡散板などでほぼ均一な強度の光として照射させるものである。有機EL光源などの、光源そのものがある程度の面積を持って発光するものであれば、拡散板などは必要ない。また、照明として面照明を採用して、COF10の表面にほぼ均一な強度の光が照射されるようにしたが、面照明以外の光源を使用してもよい。
ベース2の表面2a(図2)は、この例では鏡面としてある。このベース2の表面の鏡面は、例えばベース2を構成する金属素材の表面にクロムメッキを施すことで実現してある。このようにベース2の表面を鏡面仕上げとしてあることで、測定時のコントラスト向上に貢献する。
【0023】
COF10の表面で反射した照明光の反射光は、レンズ4が取り付けられたカメラ5で撮像する。COF10の表面の中心からレンズ4までの距離は、例えば200mm程度の距離とする。
COF10の表面で反射した反射光がレンズ4に届くまでの光路の途中には、偏光フィルタ3が配置してある。この偏光フィルタ3が配置してあることで、カメラ5で撮像される像光は、反射光の内の特定の偏光成分のみの光からなる像光となる。この例では、偏光フィルタ3は、P偏光成分の光のみを透過するP偏光フィルタとしてある。
なお、P偏光とは、入射面に対する光の入射光と入射面の法線方向が作る面内で振動している直線偏光であり、このP偏光と垂直な方向に振動する光をS偏光と呼んでいる。
【0024】
撮像部であるカメラ5は、レンズ4の光軸を、反射光の角度とほぼ等しくなるように、所定の角度をもって配置してある。照明光の角度が約60°であるので、カメラ5の配置角度も、図1に示すように同じ角度の約60°となる。
この角度を持たせる意味については後述する。
【0025】
そして本実施の形態の例においては、図1及び図2に示すように、ベース2にCOF10を配置する際には、PCB側リード部11を、面照明部1に近い側とし、パネル側リード部12を、カメラ5に近い側として、PCB側リード部11とパネル側リード部12とが一緒に撮像されるようにする。従って、COF10の表面と直交する軸に対して約60°の角度をもって配置されたカメラ5で撮像する際には、パネル側リード部12が近距離(手前側)で撮像され、PCB側リード部11が遠距離(奥側)で撮像される。カメラ5に装着されたレンズ4は、例えばCOF10の表面の中央部にフォーカス位置を合わせてある。
このようなCOF10の向きで、ベース2に配置する処理は、例えばCOF10が搬送装置で自動的にベース2の上に搬送させる際に、正しい向きで配置されるように搬送させることで実現する。
【0026】
そして、カメラ5で撮像して得た静止画像データを、画像処理部6に供給し、画像処理部6での画像解析から、ACF21,22の有無や適正な位置であるのかなどを判断する。画像処理部6での画像解析時には、画像データ中の各部の輝度などから、ACF21,22の配置状態を判断する。画像処理部6は、ACFの貼付状態検出を行う専用の処理装置として構成してもよいが、例えば汎用のコンピュータ装置に、対応した画像処理を行うプログラムを実装させて、同様の機能を実現させてもよい。
【0027】
[3.コントラスト比の測定例]
次に、本実施の形態の構成で、ACF21,22の有無や位置を検出する原理について説明する。
図6は、P偏光の光とS偏光の光を、ガラスに反射させたときの、入射角度による反射率の変化を示した図である。
図6に示すように、P偏光の光は、屈折率nがACF21,22とほぼ等しいガラス(n=1.5)に、空気中から約60°の入射角で入射すると、その反射率がほぼ0となることがわかる。この反射率が0となる角度をブリュースター角という。よって、P偏光の光がACF21,22のブリュースター角で入射されると、その反射率が0であるため、ACF21,22が貼付された箇所では、ACF表面での反射は検出されない。
【0028】
ここで、本例では、既に図1,図2で説明したように、面照明部1からの照明光は、約60°でCOF10の表面に入射させ、その表面からのP偏光の反射光を、カメラ5で撮像する構成としてある。即ち、光源からの照明光は、貼付箇所に対して約60°の角度で光が入射するように設定されており、カメラ5は、貼付箇所から約60°の角度で反射された光を撮像するように設定されている。
【0029】
そのため、ACF21,22を貼付した箇所では、反射光が大幅に軽減され、ACF21,22を貼付した箇所の反射光と、ACF21,22が貼付されていない箇所の反射光との輝度差が大きくなる。その結果、光のコントラスト比も大きくなるため、ACF21,22の貼付状態を正確に把握することができ、貼付状態の検出精度の向上を図ることが可能である。
【0030】
なお、本例では、面照明部1からの照明光を、貼付箇所に対して約60°の角度で入射するように設定し、カメラ5を貼付箇所から約60°の角度で反射された光を撮像するように設定した例を説明したが、これに限定されるものではない。光源から貼付箇所への照射角度及びカメラが撮像する反射光の角度は、貼付状態を検出するフレキシブル基板のP偏光のブリュースター角によって適宜設定されるものである。
【0031】
ここで、空気の屈折率をn1とし、透明又は半透明のフレキシブル基板の屈折率をn2とすると、このフレキシブル基板のP偏光のブリュースター角θは、下記式1から算出される。
[式1]
tanθ=n2/n1
【0032】
また、空気の屈折率は、n1≒1であるため、式1を下記式2に変換することができる。
[式2]
tanθ=n2
【0033】
このため、光源2による貼付箇所への照射角度及び撮像装置3が撮像する反射光の角度は、式2で算出した角度に設定することが好ましい。
【0034】
[4.検査処理の流れの例]
次に、本例のACF貼付状態検査装置の画像処理部6で取り込んだ画像から検査を行う流れを、図7のフローチャートを参照して説明する。
まず、カメラ5で撮像して得られた静止画像データを、画像処理部6で取り込む(ステップS11)。このとき、カメラ5は図1に示したようにCOF10を約60°の角度で斜めから撮像した画像であり、四角形のCOFが台形に変形した画像として撮像される。このため、射影変換にて座標変換を行い、四角形のCOFとして扱えるように座標変換を行う(ステップS12)。そして、COF10の表面に設けられたアライメントマークなどを画像認識で判別して、撮像画像中のCOFの外形の位置を判別する(ステップS13)。なお、このCOFの外形の位置の判別を行う際には、アライメントマークを使用する処理の他に、COF10そのもののエッジ検出で4辺を検出して外形の4頂点を求めて、COFの外形の位置を判別する処理でもよい。また、この外形の位置の判別を行う際には、パネル側リード部12が手前側でPCB側リード部11が奥側になる、図1及び図2に示した向きでCOF10が配置されていることについても確認することもできる。
【0035】
そして、上述したように、P偏光のブリュースター角θで、ACF21,22が貼付された箇所で反射が検出されない点を利用したコントラスト比から、ACFの貼付位置が正しい位置か否か判断する。
具体的には、例えば、パネル側リード部12の上のACF22の貼付位置が予め設定された貼付位置の許容範囲内であるか否か判断する(ステップS14)。この判断で、パネル側リード部12の上のACF22の貼付位置が許容範囲内である場合には、PCB側リード部11の上のACF21の貼付位置が予め設定された貼付位置の許容範囲内であるか否か判断する(ステップS15)。
【0036】
PCB側リード部11の上のACF21についても貼付位置が許容範囲内である場合には、画像処理部6に接続された表示部(図示せず)で、ACF貼付が適正であることの結果を表示させ、1回のACFの検査を終了する。
【0037】
ステップS14又はステップS15のいずれかで、貼付位置が許容範囲を超えた場合や、貼付そのものが検出されない場合には、画像処理部6に接続された表示部で、ACF貼付が不良であることの結果を表示させる。
【0038】
なお、検査結果がCOF10の搬送装置と連動している場合には、ACF貼付が適正と判断された場合には、該当するCOFをパネルに圧着させる工程の処理部に搬送させ、ACF貼付不良と判断された場合には、該当するCOFをパネルに圧着させる工程の処理部には送らずに、別の場所に搬送させるようにする。あるいは、以後の処理をスルーするようにする。
【0039】
[5.適正に検出できることの説明]
次に、本実施の形態のACF貼付状態検査装置で、COFの表面を撮像する際に、表示パネルとの接続部であるリード部12が、プリント回路基板であるPCBとの接続部であるリード部11よりも近い距離で撮像される構成としたことで、良好にACFの貼付状態を検出できる点について説明する。
図8は、ベース2上の配置位置でのコントラストの変化状態を示した特性図である。
図8の縦軸は輝度の評価値であり、評価値α以上の輝度が検出されるとき、撮像された画像からACFの有無を正しく検出できる。
図8の横軸は、ベース2上の配置位置を示し、手前側(図2での右側)から奥側(図2での左側)に、リード部11,12の位置を動かして、輝度の変化を示したものである。
【0040】
図8に示した特性L1は、パネル側リード部12の輝度変化を示したものであり、特性L2は、PCB側リード部11の輝度変化を示したものであり、それぞれ位置a,b,c,dと4カ所で輝度を実測した例である。実際に図1に示すようにCOF10をベース2に配置したときには、図8の位置bが、パネル側リード部12の位置に相当し、位置cが、PCB側リード部11の位置に相当する。
【0041】
この図8から判るように、電極の配置ピッチが狭いパネル側リード部12については、電極の配置ピッチが広いPCB側リード部11よりも、輝度コントラストが小さい。このため、例えばパネル側リード部12が奥側の位置cとして測定した場合には、輝度の評価値が、閾値α以下の値L1−3となって、適正に検査できない可能性がある。これに対して、本実施の形態の場合には、パネル側リード部12は、常に手前側の位置L1−2となり、閾値α以上の評価値が得られ、適正に検査が行える。
電極の配置ピッチが広いPCB側リード部11については、奥側の位置cであっても、比較的良好にコントラストが検出でき、閾値α以上の値L2−3となって、適正に検査できる。
【0042】
図9及び図10は、実際に測定を行った場合の、PCB側リード部11の輝度値のヒストグラム(図9)と、パネル側リード部12の輝度値のヒストグラム(図10)を示したものである。図9及び図10の輝度値は、検出された輝度値を0から255の評価値としたものである。
図9のPCB側リード部11の輝度値は、ACFのある場合とない場合とで、輝度値が2つの群に分かれており、良好にACFの有無を検出できる。図10のパネル側リード部12の輝度値についても、ACFのある場合とない場合とで、輝度値が2つの群に分かれており、良好にACFの有無を検出できる。特に図10のパネル側リード部12の場合には、ACFのある状態と、ACFのない状態のいずれでも、高いピークを持った頻度値が得られ、非常に良好にACFの有無を検出できていることが判る。
【0043】
従って、本実施の形態のACF貼付状態検査装置によると、COF10上の一端部及び他端部の2つのACF21,22を、いずれも安定して検出でき、簡単な構成で、一度に適正に検査することができる。
【0044】
なお、検査時に検出されるコントラストは、下記式3で検出される。
[式3]
[コントラスト値]
=(ACF無しの輝度−ACFありの輝度)/(ACF無しの輝度+ACFありの輝度)
【0045】
また、本実施の形態の検査装置においては、ベース2の表面を鏡面としたことで、さらに検出されるコントラスト値を向上させることができ、より良好な検査が可能になる。
【0046】
[6.変形例]
なお、上述した実施の形態では、COF10の表面とレンズ4との間に偏光フィルタ3を設けた例を説明したが、面照明部1とCOF10の表面との間の照明光の光路の途中に偏光フィルタを配置してもよい。或いは、面照明部1とCOF10の表面との間の照明光の光路と、COF10の表面とレンズ4との間の反射光の光路の双方に、偏光フィルタを配置してもよい。
【0047】
また、照明光は、面照明を使用したが、その他の照明を使用してもよい。例えば、平行光を照射する照明部としてもよい。
また、図1,図2の例では、検査装置で検査を行う際に、COF10上に2つのACF21,22が配置された状態としたが、いずれか1つのACFだけが配置された状態を検査する場合にも適用可能である。
【0048】
また、上述した実施の形態においては、検査装置で検査を行うACFが貼付されたCOFとして、図4や図5に示したような比較的大型のテレビジョン用表示装置などの表示パネルに接続されるCOFを例として説明したが、その他の各種表示パネルに、ACFを使用してフレキシブル基板を接続する場合にも適用可能である。例えば、携帯電話端末装置の表示パネルに接続されるフレキシブル基板を、ACFで接続する場合において、そのACFの貼付状態を、同様の検査装置で検査するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…面照明部、2…ベース、2a…ベース表面、3…偏光フィルタ、4…レンズ、5…カメラ、6…画像処理部、10…COF(フレキシブル基板)、11…PCB側リード部、12…パネル側リード部、13…ICチップ、21,22…ACF(異方性導電フィルム)、100…液晶表示パネル、101…カラーフィルタ基板、102…TFTアレイ基板、103…リード部、110…PCB(プリント回路基板)、111…リード部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルのリード部にACFを介して一方が接続され、プリント回路基板のリード部にACFを介して他方が接続されるフレキシブル基板に対して、前記ACFの貼付状態を検査するACF貼付状態検査装置において、
ACFが貼付された前記フレキシブル基板に対して、前記フレキシブル基板の表面と所定の角度を持って照明光を照射する照明部と、
前記フレキシブル基板の表面と所定の角度を持って配置されて、前記フレキシブル基板の表面から前記照明光が反射した反射光を撮像する撮像部と、
前記照明部と前記フレキシブル基板の表面との間、又は前記フレキシブル基板の表面と前記撮像部との間の少なくとも一方に設けられた偏光フィルタとを備え、
前記照明部を、前記フレキシブル基板の前記プリント回路基板との接続部側に近づけて前記所定の角度で傾斜させて配置し、前記撮像部を、前記フレキシブル基板の前記表示パネルとの接続部側に近づけて前記所定の角度で傾斜させて配置し、前記撮像部で、前記フレキシブル基板の前記表示パネルとの接続部が、前記プリント回路基板との接続部よりも近い距離で撮像されるようにしたことを特徴とするACF貼付状態検査装置。
【請求項2】
前記照明光は、前記ACFの貼付箇所に対して前記フレキシブル基板のP偏光の略ブリュースター角で光が入射するように設定され、
前記撮像部は、前記貼付箇所から前記フレキシブル基板のP偏光の略ブリュースター角で反射された光を撮影するように設定されていることを特徴とする請求項1記載のACF貼付状態検査装置。
【請求項3】
表面が鏡面とされたベース材を備え、
前記ベース材の表面に配置された前記フレキシブル基板に対して前記照明光を照射し、その反射光を前記撮像部が撮像することを特徴とする請求項1又は2記載のACF貼付状態検査装置。
【請求項4】
前記フレキシブル基板の前記表示パネルと接続されるリード部の電極配置ピッチは、前記フレキシブル基板の前記プリント回路基板と接続されるリード部の電極配置ピッチよりも狭くしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のACF貼付状態検査装置。
【請求項5】
前記フレキシブル基板の前記プリント回路基板との接続部と前記フレキシブル基板の前記表示パネルとの接続部を前記撮像部で一緒に撮像することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のACF貼付状態検査装置。
【請求項6】
前記照明光は、ほぼ均一な強度の光として照射させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のACF貼付状態検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−112876(P2012−112876A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263675(P2010−263675)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】