BWR及びPWRのクラッドフレークの現場分析の方法及び道具
本発明は、核燃料棒上のクラッドの分析を遂行する方法及び道具を提供する。該方法は、核燃料棒の外面上にクラッドの層を有する核燃料棒を用意し、この燃料棒から該クラッドをクラッド掻取り道具で掻き取り、そしてこのクラッド掻取り道具からクラッドフレークを採集すると述べられる。該方法はまた、該クラッドフレークを粒子画分に分別し、そして走査電子顕微鏡で該クラッドを分析することを備え、しかも該掻取り道具は、クラッド付着物の予想剪断強さに合っている剛性を備えたブレードを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッド(CRUD)分析の方法及び道具に関する。より特定的には、本発明は、核燃料棒の外面上に付着したクラッドの物理的性質を決定するために、クラッド分析方法論及び核燃料棒用掻取り道具を提供する。
【0002】
背景情報
加圧水炉及び沸騰水炉のような原子炉は、炉心中に収容された核燃料集合体の使用によって原子力を発生する。燃料集合体は、濃縮二酸化ウラン物質のペレットを含有する細長い中空金属製管状燃料棒で構成される。原子力工業において被覆管として普通知られている中空金属製燃料用管状棒は、燃料棒の内部からの二酸化ウラン及び核分裂気体のような物質の逃散を防ぐ。被覆管は、一般に、ジルコニウムを含む種々の金属の合金から形作られる。これらの合金は、主としてジルコニウムの低い中性子捕獲特性の故に用いられる。低い中性子捕獲特性の結果として、原子炉における核反応がかかる使用により最も少なく妨害されるので、これらの合金は原子力工業において大規模に用いられてきた。
【0003】
炉心の運転に因り照射されてきたそして濃縮二酸化ウラン分が減損されてきた燃料棒は、しばしば、壊変熱を除去するために冷却水のプール中に貯蔵される。時間が経過するにつれて、物質がジルコニウムベースの合金の外面上にたまり得る。更に、ジルコニウム合金は燃料棒の外面部分にて反り得及び膨れ得、しかして下にある健全なジルコニウム合金基材上に更なる物質層を生じさせ得る。ジルコニウムベースの合金の外面上にたまる物質は、チョークリバー未同定付着物(Chalk River Unidentified Deposit)又は「CRUD(クラッド)」として普通知られている。燃料集合体の燃料棒の外面上にあるクラッドは、一般に、下にある基材に強くくっつき得るところの一緒に集合した固体粒子で作られている。燃料集合体中の放射化二酸化ウラン物質に対するクラッドの近さの故、クラッドは通常高度に放射性である。燃料棒上のクラッドは、燃料集合体が浸されているところの流水により、下にあるジルコニウム合金基材から押し離されるようになり得る。その結果として、クラッドは原子動力プラントにおける水系の配管に入りそしてこれらの系に沿って移動し得、しかして常態では放射線学的に放射性でないプラント区域において職員の偶発的照射を引き起こし得る。
【0004】
クラッドは非均質物質であるけれども、クラッドは、一般にいくつかの元素成分で作られていると分かっている。クラッドの主成分は、たとえば、鉄、コバルト、亜鉛、シリカ、クロム及びマンガンを包含し得る。原子力プラントの燃料性能は燃料補給及び保守のための停止の帰結及び経済性だけでなく、常態のプラント運転中のクラッド付着により影響されるので、付着物の特質及び量を決定するために、クラッドの存在について燃料集合体を分析することが必要である。たとえば、核燃料棒が容易に押し離されるようになり得る高放射性クラッド層を有すると決定されたならば、その場合には作業員の放射線学的関心事は、燃料棒が清浄にされる必要があり得る場所にある。その清浄化方法は、通常、ゆるいクラッド蓄積物を除去するために燃料棒の外面を超音波で又は化学的に清浄にすることによってのように多数の手段により行われる。
【0005】
燃料集合体上に付着したクラッドの分析を遂行するために、燃料棒の外面を機械的に掻き取ることにより、サンプルが採取されねばならない。この機械的掻取りを遂行するために用いられるシステムは、燃料棒が押し付けられるところの硬質部材を含み、それにより燃料棒が硬質部材上で動かされる時にゆるいクラッドを核燃料棒の残部から剪断する。
【0006】
燃料棒を機械的に掻き取る装置は、2つのサブクラスに分けられ得る。核燃料棒の外面からクラッドを除去するために、手動装置が用いられ得る。かかる装置はシャフトの端における掻取りヘッドから成り、しかして掻取りヘッドは、燃料棒の外面からゆるいクラッドを押し離すために用いられる。照射された燃料棒から付着物を除去するために、自動装置も用いられ得る。燃料棒は遠隔制御掻取り装置により掻き取られ、しかも掻き取られたサンプルは内部溜めに運ばれる。
【0007】
両副分類の以前の装置は、除去装置の効能を制限するいくつかの欠点を有する。現存の手動装置は、燃料棒の外側から容易に押し離され得る物質を除去するためにのみしか用いられない。核燃料棒によりしっかりとくっついているクラッド付着物は、現存の手動道具を用いて除去されることができない。その結果として、用いられる手動道具は、燃料棒の全深さにおいて存在し得るクラッド物質の正確な表示量を提供せず、何故ならサンプリングは全クラッド付着物の外側の部分区域においてのみしか行われないからである。一方、機械化装置は、燃料棒表面の一部から全クラッド付着物が除去されるように核燃料棒を掻き取るだけでなく、核燃料棒の外面部分の反ったジルコニウム合金も掻き取る。核燃料棒の外面部分の反ったジルコニウム合金の除去は、燃料棒を損傷する。これにより、燃料棒の圧力保持能力が重度に弱化されているかどうかを決定するために、大規模な工学分析が必要とされる。機械化装置を用いた後に燃料棒の外面の物質構成成分がサンプリングされる場合、該棒から不適切に除去されたジルコニウム合金が、物質分析の結果を歪曲する。燃料棒の外面上のクラッド付着物を除去するための現存の機械化装置の別の欠点は、これらの装置が製造するのに経済的に高価であり、またしばしば操作のために有意な保守を要求することである。加えて、機械化装置の放射性部品に対して保守活動を遂行することは、作業員の放射線被曝を増加する。
【0008】
それ故、原子炉の運営者にとってコスト効率的であるクラッド除去道具を提供する必要がある。
【0009】
クラッドの除去中において核燃料棒の潜在損傷を制限するクラッド除去道具も必要である。
【0010】
掻き取られた燃料棒から得られたクラッドを適切に類別するところのクラッド付着物の分析方法も必要である。
【0011】
要約
本発明の目的は、記載及び図示されたように達成される。本発明は、核燃料棒上のクラッドの分析を遂行する方法を提供する。該方法は、核燃料棒の外面上にクラッドの層を有する核燃料棒を用意し、この燃料棒から該クラッドをクラッド掻取り道具で掻き取り、そしてこのクラッド掻取り道具からクラッドフレークを採集すると述べられる。該方法はまた、該クラッドフレークを粒子画分に分別し、そして走査電子顕微鏡を含む多数の分析道具で該クラッドを分析することを備え、しかも該掻取り道具は、クラッド付着物の予想剪断強さに合っている剛性を備えたブレードを有する。
【0012】
本発明は、更に、核燃料棒上のクラッドフレークの分析を遂行する方法を提供する。該方法は、電子後方散乱パターン装置を走査電子顕微鏡に装備し、そして他の点では、該フレークの現場の一部に属する結晶系、単位格子の格子パラメーター及び群結晶の点を決定するために該走査電子顕微鏡装置を操作することを備える。
【0013】
本発明は、更に、核燃料棒上のクラッドフレークの断面の分析方法を提供する。この方法は、該フレークの結晶のモルホロジーを決定し、該フレークの結晶のサイズを決定し、該フレークの様々な場所における該フレークの元素分布を相関させ、しかもこれらの分布はエネルギー分散型分光器が取り付けられた走査電子顕微鏡でもって得られ、該元素分布により該結晶中のたとえば鉄濃縮の減損並びに/あるいは亜鉛及びケイ素の濃縮を決定し、そして鉄濃縮の減損並びに亜鉛及びケイ素の濃縮を該結晶のサイズ及びモルホロジーと相関させると述べられる。
【0014】
本発明はまた、核燃料棒上のクラッドフレークの断面の分析方法を提供する。この発明は、該フレークの結晶のモルホロジーを決定し、該フレークの結晶のサイズを決定し、該フレークの様々な場所における該フレークの元素分布を相関させ、しかもこれらの分布はエネルギー分散型分光器が取り付けられた走査電子顕微鏡でもって得られ、該元素分布により該結晶中の鉄濃縮の減損並びに亜鉛及びケイ素の濃縮を決定し、そして鉄濃縮の減損並びに亜鉛及びケイ素の濃縮を該結晶のサイズ及びモルホロジーと相関させる諸工程を備える。
【0015】
詳細な説明
図1を参照すると、クラッド除去装置10が図示されている。クラッド除去装置10は、安全な制御環境中でクラッドを核燃料棒24の外面から除去され得るようにする。クラッド除去装置10は、原子力施設の核燃料プール中で、たとえばゆるい又は強固にくっついたクラッドが押し離され得るように、クラッドを除去され得るようにする。クラッド除去装置10、更に、安定化ジルカロイ基材から反ったジルカロイ物質を除去することなしにクラッドが押し離され得るようにする。装置10は、潜在腐食を阻止するために、ステンレス鋼のような物質で作られ得る。クラッド層の除去を容易にするために、ブレード40は、燃料棒24がブレード40上を走行するようにクラッド除去装置10中に置かれる。ただ1つのブレード40として示されているけれども、多数のブレードが用いられ得る。ハウジング12は、燃料棒24をハウジング12内に部分的に含有され得るようにする内容積22を画定する。燃料棒24は、ハウジング12の漏斗溶接物用開口16中に置かれている漏斗溶接物18を通ってハウジング12を貫通する。燃料棒24は燃料棒上端28から燃料棒端26に延び、そして該棒がハウジング12を並進通過される掻取り操作中において、燃料棒上端28と燃料棒端26の間の燃料棒24の部分がハウジング12を通過され得る。
【0016】
図2を参照すると、ハウジング12における漏斗溶接物用開口16及び端開口14が更に図示されている。燃料棒24がハウジング12中に置かれそして燃料棒24がハウジング12から延出する時、ハウジング12内の物質がハウジング12から開口14を通じて逃散するのを棒シールが防ぐように、端開口14は、棒シールを備えるように形作られ得る。その代わりに、端開口14は燃料棒14の周りにぴったり合うような大きさにされ得、それにより物質がハウジング12から逃散するのを防ぐ。数本の燃料棒24の多数の掻取り物を含むいかなる容積のクラッドもハウジング12の諸部材により閉じ込められ得るように、ハウジング12は形作られ得る。具体的態様例において、燃料棒24から押し離されるクラッドの予想容積がハウジング12により画定された内容積22中に十分に収容され得るように、ハウジング12は形作られる。
【0017】
図3を参照すると、クラッド除去装置10用のブレード40が図示されている。核燃料棒24の外面からクラッド物質を除去する及び/又は押し離すために、ブレード40は刃面を備える。除去されたフレーク物質は、クラッドの物質構成成分を決定するために集められ得る。ブレード40は、刃頂44が半円弧における高い点からから下へ刃底42まで延びる上面を有する。加えて、ブレード40は、刃底42から別の刃頂44まで再び延びて該弧を完成する。燃料棒24の外縁がクラッドの除去のためにブレード40上に置かれ得るように、該弧は形作られる。ブレード40は、刃頂44から下へ延びる側面46を備えるように形作られる。側面46は、ブレード40が可撓性を備えるように長く又は短くされ得る。ブレード40の剛性は、予想されるクラッド付着物の剪断強さに従って選ばれ得る。ブレード40は、燃料棒24が刃面上に接触される時に剛性でないように設計され、それにより優れたクラッド除去能力を可能にする。側面46は、掻取り操作中において燃料棒24に加えられるべき予想される力並びにブレード40の総厚に基づいて長く又は短くされ得る。側面46は、ブレード40の所要可撓性を可能にする幅の減少52だけ、全幅について減少され得る。ブレード40はハウジング12に、ブレード40における支持棒穴48を通って延びる支持棒によって取り付けられ得る。種々のサイズの支持棒がブレード40と共に用いられ得るように、支持棒穴48の大きさは調整され得る。支持棒穴48は支持棒とブレード40の間のぴったりした連結を与えて、ブレード40が押し離されるようになる又は過度の量傾くようになることなしに、ブレード40を掻取り操作のために利用され得るようにする。ブレード底50がハウジング12と接触するようにブレード底50がハウジング12上に置かれ、それにより掻取り操作中においてブレード40の回転を防ぐ。平らな底として示されているけれども、ブレード底50は、ハウジング12の対応する底と合ういかなる変型にも形作られ得る。
【0018】
図4を参照すると、漏斗溶接物18の側面断面図が図示されている。漏斗溶接物18は、開口58から出口端20に延びる円錐体54で構成される。漏斗溶接物18は、掻取り操作中においてハウジング12内における燃料棒24の精確な配置を可能にする開口58を通じて、燃料棒24をハウジング12中に挿入され得るようにする。物質がハウジング12から出て行くのを制限するために、シールが溶接物18の周りに且つハウジング12中に置かれ得る。案内路60が燃料棒24をハウジング12中の所望通路に沿って導くように、出口端20の位置が定められ得る。案内路60が燃料棒24の外周の周りにぴったりと合うように、案内路60は角度づけられ得る。掻き取られた物質がハウジング12から出て行かないように燃料棒24を漏斗溶接物18内に置かれ得るようにするために、案内路60はまた、内部シール62を備えるように形作られ得る。
【0019】
クラッド掻取り道具10は燃料プール中の構造物に、該道具10が使用後に燃料プール環境から取り去られ得るように取り付けられ得る。ハウジング12は開放され得、そして掻き取られた粒子は下記に記載される走査電子顕微鏡を用いての更なる分析のために取り出され得る。掻取り道具10はまた、掻取り中ほぐされたクラッド物質がハウジング12の出口近くに又は出口に設置されたフィルターハウジング中に集められ得るように、脱塩水用の取入れ口及び出口を有し得る。
【0020】
新規なクラッドフレーク分析方法論
新規なクラッドフレーク分析方法論もまた、SEM/EDS、XRD及びICP/MSを含めて伝統的な分析技法を用いて、BWR及びPWRのクラッドについて開発された。クラッドのモルホロジー及び汚染物種の空間的分布のより明確な理解を得るために、評価の焦点はバルク性質からクラッドフレーク分析に移動される。そうするために、すべての分析は無傷のフレークに関して行われる。
【0021】
クラッドフレーク調査の目的は次のとおりである。すなわち、
・クラッドモルホロジーを物理的に特徴づけるため、
・燃料側の表面におけるクラッド沸騰ポケットの存在、大きさ及び形状を決定するため、
・水蒸気煙突及び毛管の存在、大きさ及び形状を決定するため、
・付着物の総合的な多孔度/密度を決定するため、
・クラッド沸騰ポケット内における及び燃料側の表面にあるクラッドの他の場所における顕微EDS元素分析を提供するため、
・更なる分析のためにクラッド沸騰ポケットの特徴的モルホロジー的累層を単離しようとするため。
【0022】
これらの調査は、普通のクラッド/燃料の酸化物金属の総濃度についての誘導結合プラズマ(ICP)分光法、マイクロ写真術、固体バルクサンプル中の主要な結晶質成分を定性的に同定するX線回折(XRD)、エネルギー分散型分光法(EDS)を含む走査電子顕微鏡法(SEM)、並びに多孔度及び密度の測定を含んでいた。サンプリングの方法及びバルクサンプルに関してのクラッド特質に因り、これらの分析はすべて、今日までPWR又はBWRのバルク燃料クラッドについて遂行されてきた。
【0023】
SEM/EDSは定性及び定量分析、元素分布及び表面トポグラフィーを提供し、また高倍率における画像から他の分析を案内する。また、金属について分析されるクラッドサンプルの比バルク放射能を決定するために、ガンマ分光法が遂行された。
【0024】
バルク分析のすべてのタイプについて、不利が知られている。たとえば、XRDにおいて、クラッド移動は、フィルターの一部から付着物を手動で取り去り、この付着物を水・メタノール混合物を有する容器に移し、そしてこの溶液をガラス棒でもって手動で撹拌して液中に懸濁させることから成っていた。生じたスラリーは、5ミクロンフィルターを通じて濾過された。X線回折のために、濾過固体はスライドガラスに移されそして固定された。フィルター物質のスペクトルがクラッド物質のスペクトルを妨害した故、該移動それ自体が必要とされた。
【0025】
この分析の別の知られた不利は、X線回折(XRD)がバルクサンプル中の酸化物(たとえば、マグネタイト、ヘマタイト、アルファ鉄、等)のような固体サンプル中の主要な結晶質成分を定性的に同定するために用いられたことである。
【0026】
別の知られた不利は、試験において用いられるべきサンプル物質の選択が無作為であるので、得られるXRDプロットがサンプルの全体性を真に表す確証がないことである。
【0027】
バルク分析方法の別の知られた不利は、クラッドサンプルの適切な均質混合を保証するために、採集固体物質の量(フレーク掻取り方法による)が多くなければならないことである。それは、クラッド中に存在する化学種のいくつかがサンプル中に含有され得ないすなわち検出され得ないことが起こり得るようにする。
【0028】
別の知られた不利は、存在する微量は小さいサンプルサイズの故にXRDにより同定され得ないことである。無定形相は、XRD技法により決定されない。
【0029】
別の知られた不利は、所与化合物についてのXRDの感度が密度、結晶化度、粒子サイズ及び他の構成成分からの強い線の一致並びに諸成分の諸原子の種類及び配置のような因子の組合わせと共に変動することである。高分率の鉄が存在する場合(たいていのクラッド付着物の場合のように)、いくつかの構成成分は、鉄の高い質量吸収係数の故に検出することが困難である。その結果として、これらの構成成分についての検出感度は減少し、そしてそれらの検出限界(LOD)及び定量限界(LOQ)は増加する。
【0030】
XRDは一般に定量分析技法と考えられないけれども、検出される化合物の相対割合は確定され得、そして大レベル(25%より大きい)、中レベル(10%〜25%)、小レベル(5〜10%)及び微量レベル(5%より小さい)と特徴づけられ得る。いくつかの場合において、サンプル中のそれらの割合をおおよそ+5%まで推定するために、関心のある1種又はそれ以上の化学種の既知量を用いて検量線が作られ得る。最小感度は、約0.1パーセントくらいの低さであり得る。
【0031】
XRD、SEM/EDS分析、等について今日適用されるようなバルク技法の追加的制約は、分析のための適切なスペクトルを得るために、サンプルが微粉砕されそして混合されねばならないことである。その結果として、クラッド付着物の成層に関する重要な情報は失われる。クラッドの物理的構造は核燃料性能に対するその影響を決定するのに重要でありそしてたぶん一層重要である故、この情報の喪失は、以前の利用可能な分析技法の重大な制約である。
【0032】
上記の論考は、燃料フレーク分析について、XRD法はクラッド中に存在する化学種の指摘しか提供しない、ということを再び強調する。更なる確認作業が、SEM/EDSによって行われねばならない。
【0033】
クラッドの現場分析に適応させるべきSEM/EDS法用フレークの準備における変更
現場分析について有意なデータを提供するために、クラッドフレーク分析の一部として、SEM/EDS技法を修正して精緻にした。SEM/EDSデータを解釈するのを助けるために、標準的なICP、XRD及びガンマ分光技法を用いた。
【0034】
燃料フレークを現場法によって調査するために、特殊な放射線対策が取られる。これらのサンプルのいくつかは、大きいβ及びガンマ放射線場を有する。被曝を制御するために、これらのサンプルとの接触を注意深く監視した。すべての活動を厳しい放射線防護方法論下で行った。これらのサンプルの偶発的な取扱いミスは、汚染の広がり及びホットスポットの発生をもたらすことになり得る。これらのサンプルを取り扱っている間、すべての作業区域に非常線を張り、そして各操作後直ちにすっかり清浄にした。
【0035】
フレークの予備選定は、所与濾紙上の多数の同定される濾過掻取り物から、より大きく且つより頑丈に見えるものを選択することにあった。それらの大きい掻取り物サンプルの多くは、無定形物質たいていヘマタイトの単純な集塊であり得る。軽く触れる時、これらの集塊は崩壊する。
【0036】
より頑丈に見え且つ挙動する掻取り物を最初に、このサンプルがフレークと考えられ得るかどうか及びそれがゆるいヘマタイトについてどのくらい不含であるかを調べるために、顕微鏡下で調査した。図6は、重度にヘマタイトで覆われた潜在的に受容可能なフレークサンプルを示す。図6の場合においてようにヘマタイトがサンプルにくっついていたならば、逐次的な洗浄とスクラビングの併用により、この潜在フレークサンプルは図8に示されているように究極的に清浄にされる。図6及び7は、洗浄前及び洗浄後の同じ潜在フレークサンプルを示す、ということが留意される。
【0037】
図7の潜在フレークサンプルの顕微鏡下での逐次調査により、このフレークは実際には2個のフレークから成る(図8参照)ことが明らかにされた。これらのサンプルの一つは垂直に、そして別のものは水平に載置された。
【0038】
フレークサンプルの準備におけるその次の工程は配向についての光学調査であり、しかしてフレークのID及びODの確実な同定を可能にするために多数の工程を行った。これらの工程は、サンプルの各側の一連の顕微鏡写真を撮り、有意差を観察し、そして次いでクローズアップ顕微鏡写真にすることにあった。後者の調査により、表面の曲率及び平滑度によって、真正なID(燃料ピン側)又はOD(流体側)フレーク表面が同定されたかどうかが明らかにされた。この方法は、試行錯誤法により得る。従って、これらの工程のいくつかは、被検フレークの状態/タイプの初めの観察に基づいて修正された。
【0039】
成功的フレークは、フレークのID(燃料ピン側)及びOD側(流体側)の両方が明確に同定され且つそれらの特徴が前のフレークの取扱い又は異物によって変えられていない。図9及び10は、受容可能なフレークサンプルのID及びOD表面の顕微鏡写真を示す。両表面における特徴は、明確に同定可能である。
【0040】
修正走査電子顕微鏡法−エネルギー分散型分光器分析
図10は、例示的な受容可能なフレークサンプルの流体側の面の写真である。図11は、走査電子顕微鏡ビームに対してフレークを傾ける前のフレークの写真である。図12は、より明確な写真を提供するために、傾けた後のフレークの写真である。図13は、フレークサンプルの元素マップ・SEM顕微鏡写真である。図14は、破損燃料棒中の結晶質物質の写真である。
【0041】
修正組合わせ走査電子顕微鏡−エネルギー分散型分光器(SEM/EDS)が、本明細書に記載された新規なフレーク分析方法論に用いられ得る。クラッドからのデータの集合中の局所クラッド特性の決定的に重要な情報を外挿しそして統合するために、それは以前の利用可能なバルク技法(ICP、XRD及びガンマ分光法)と共に用いられる。
【0042】
採集燃料クラッドサンプルが小さいサイズである故、具体的態様例におけるすべてのバルク分析(ICP、XRD及びガンマ分光法)は、高度の不確定性を有する。これらの技法の感度及び採集サンプルの無作為性の両方共、採集クラッドの量が非常に少ない場合、マイナス的に影響される。
【0043】
実質的に無制限の被写界深度と共に高い倍率(本研究において20,000×まで)にて画像を形成させるために、SEMは、精密に集束された電子ビームを用いる。電子ビームは、それがサンプルの表面を横切って走査されるにつれて、二次電子、後方散乱電子及び特性X線を発生する。二次及び後方散乱電子は、サンプルの可視画像を形成させるために用いられ、しかしてわずか数ナノメートル(nm)幅の特徴の非常に正確な表面トポグラフィー画像を生成する。いくつかの場合には、本研究において、200ナノメートルより大きくない特徴が、クラッド付着物の諸部分の結晶質組成について同定されねばならなかった。クラッドのバルク導電率の関数。SEM画像の倍率がクラッドのバルク導電率に依存して増加するにつれて、表面帯電が起こり得る。これは、時々、関心のある領域において達成可能な倍率を制約した。
【0044】
SEMへエネルギー分散型分光器(EDS)を取り付けて、検体上における集束電子ビームによって発生されたX線信号のエネルギー又は波長及び強度分布を測定することにより、クラッドフレークサンプルの化学分析(微量分析)を遂行した。小さいフレークの分析のためにSEM/EDS組合わせを用いることの利点は、非常に精確な及び正確な化学分析(相対誤差1〜2%)が0.5〜3マイクロメートルの直径より大きくない固体の域から得られ得ることであった。これは、特定の局所状態を評価するためにクラッドフレークに関して遂行されるクレバス分析の信頼性にとって重要である。
【0045】
電子後方散乱パターン(EBSP)の装置及び方法であるSEMへの更に別の取付けは、フレークの現場の特定部分(クレバス)に属する結晶系、単位格子の格子パラメーター及び従って結晶の群に対する点を成功的に決定するために用いられ得る。
【0046】
特殊なフレーク検体準備(適切なサンプルの同定、トランプ物質の清浄化、壊れやすい検体の載置、及び調査のための「初期状態の」表面の注意深い暴露)により、個々のフレークの各々についてSEM/EDSの方法論を修正した。開発された方法論による分析の要約は、以下のとおりである(該準備は先に記載されている)。
【0047】
フレークの燃料側及び流体側のSEM調査
フレークの燃料側及び流体側を、妥当な平坦域を見つけるために低い倍率にて調査した。該域を拡大し、そして100〜1000Xの倍率においてEDS・元素マップを撮影した。該平坦域におけるクレバス、クラック又は穴として見える該域の特定の特徴を、各場合において同定した。最大容積(該特徴の大きい直径及び/又は深さ)を有する特徴(モルホロジーを示す)の高倍率顕微鏡写真を撮影した。最も大きい特徴の二つについて、EDS・元素マップを遂行した。基準面を形成するのに十分に平坦な表面を選択するように、観察された特徴の近くの平坦性を分析した。更なる評価のために可能である場合、立体画像を撮影した。
【0048】
フレークの縁のSEM調査
フレークの縁のSEM/EDS調査の正しさ及び正確さは、良好で清浄な破断縁が入手可能であるか又は生成され得るかどうかに依存した。
【0049】
フレークを弱い箇所で分割することから生じる縁は特徴に富み、従って提供された例において、フレークはその独特の特性を反映すように載置されねばならない。多くの場合において、フレークが成功的に適所に置かれるまで、逐次載置を遂行した。フレークの縁域を、平滑/平坦域について低い倍率にて調査した。500〜1000の倍率において、EDS・元素マップを撮影した。クレバス、水蒸気チャネル及び毛管のようなフレークの縁の特定の特徴を同定した。BWRの燃料クラッドモデルの発現について将来の発現を裏づけるために、最大容積を有する特徴(モルホロジーを示す)の高倍率顕微鏡写真を撮影した。
【0050】
断面分析方法の原理は、特定のすなわち個々の結晶中の鉄の減損並びにZn及びSiの濃縮を追跡するためにそしてこの化学情報を該結晶のサイズ及びモルホロジーと並びにそれらの結晶学と相関させるために、クラッドの断面の様々な場所におけるSEM/EDS元素分布を相関させることにある。
【0051】
フレークを一層正確に分析するために、多孔度の尺度としてボイド域パーセントを測定する方法を開発した。
【0052】
この例において、フレークの燃料ピン側から良好なSEMデータを得ることは、その傾斜に因り全く困難であった。しかしながら、フレークを傾けて、燃料ピン側の最良の写真(図12)を得た。対策として、最良写真が得られるまでサンプルを傾ける。
【0053】
傾けることの更に別の応用は、個々の結晶のSEM画像と、小さいプローブを用いてのすなわちスポット方式での同じ結晶からのEDXSスペクトルとを相関させることであり、従って化学が個々の結晶のサイズ/モルホロジーと相関され得る。これはSEMにおいて、結晶モルホロジーを調査するために、すなわち結晶が正方形又は六角形の形状及びそれ故4回(立方又は正方晶系)又は6回(六方晶系)の回転軸を有するかどうかを調べるために、結晶を傾けることを要求し得る。
【0054】
非常に小さいサイズ(直径について数ミクロン)のクラッドサンプルを傾けることは、たとえば特殊支柱又は単純ニカワを用いて行われ得る。
【0055】
以前に古典的方法を用いて見られなかった現象を同定するべき現場方法は、いくつかの利点がある。これらは、次のものを包含する。
a)結晶質構造をクラッド中のそれらの累層の場所にて同定し、そしてそれらをカタログ累層と比較する。小域電子回折技法のSAED又は他の方法を用いての近代的局所結晶分析も遂行され得る。
【0056】
例として、亜鉛及びシリカのみを含有する結晶マトリックス内の独立した集塊において、銅が現場にて同定され得る。この観察は、別個のクラッドフレークの元素マッピング及び顕微鏡写真並びに同じ域の20,000×におけるEDS分析によって可能である。
【0057】
結晶のモルホロジーは、更に既知結晶と比較され得る。我々の平面図/顕微鏡写真例において、鉱物結晶ウイレマイトを有する結晶累層が示され得る。ウイレマイトは、細長い六角柱結晶において正荷電亜鉛イオンによって個々のシリカ四面体を連結することにより形成されたネソケイ酸塩(ケイ酸亜鉛Zn2SiO4)である。結晶累層のこれらのタイプの同定は原子力プラント水の化学を評価する際に重要であり、何故ならそれは原子力プラントの運転中においてクラッドの累層及び変換に影響を及ぼすからである。
【0058】
・結晶の視覚的類似性は著しいけれども、決定的な結晶同定は、結晶の厳密な結晶質相を必要とする。これは、小域電子回折(SAED)によって遂行される個々の結晶の元素分析と組み合わせて行われ得る。フレークを分析する際のその利点は、クレバス及び水蒸気煙突現象の両方のはるかによりよい理解に通じ得る現場SAEDがそれにより可能にされることである。
【0059】
b)たいていのクラッド付着物において発生するような小部分の結晶質構造と大部分の緊密構造の共存を観察しそして理解する。
【0060】
フレーク断面場所のOD側はかかる場合を指摘して、シリカ結晶又はケイ酸塩がクラッド付着物中にいかに組み込まれるかを説明する。
【0061】
フレークの縁のOD及びID場所は、高倍率調査が内部クラッド特性を同定する際に最も有益である場所である。図15中の場所番号1は燃料ピン側クレバスの上部且つ水蒸気煙突の始まり部分の3000×顕微鏡写真である。図15中の場所番号2は、水蒸気煙突におけるある場所の中間の水蒸気室である。このタイプの分析解明により、かかる中間の水蒸気室の壁上における付着に寄与する元素の査定が可能にされる。図16中の3つの場所(クラッドフレーク断面の流体側の5000×顕微鏡写真)のすべてが、付着物中へのシリカ結晶の組込みのメカニズムを潜在的に説明する。
【0062】
フレークの比較的「大きい」サイズと関連したいくつかの障害物及びその結果としてこのフレークから得られる比較的大きい放射能が存在し、そしてこれは高倍率におけるEDS・顕微鏡写真の質に影響を及ぼす。フレークサンプルによる強いガンマ放出は、SEM/EDS検出器を「盲目」にし得及び/又はEDS結果を歪曲し得る。この影響を補償する方法が開発され、そして以下に述べられる。
【0063】
サンプルのX線「グロー」現場処理を記録した。この情報から、クラッドフレークの55Fe及び65Zn(化学種のうちでとりわけ)の壊変に因る高強度X線放出がEDSデータ評価をわずかに偏らせることが明らかであった。この場合において、フレーク組成の現実的査定を提示するために、EDSスペクトルの結果を調整した。他の元素は、それらの分析を除外するような「グロー」を示し得る。
【0064】
c)独特の現象の観察−ゆるい表面クラッド中へのバルクからの構造物の挿入。
【0065】
図17は、クラッドフレークのOD側における場所番号1の顕微鏡写真を示す。ここでは、鎖状ケイ酸塩の2個の結晶すなわちバルク水中で形成されたと最も思われる直径がおおよそ0.2μmの針状構造物が、ゆるい表面クラッド中への流入によって挿入されているのが分かる。
【0066】
以上の明細な記載において、本発明は、その特定の例示的具体的態様に関して記載されてきた。しかしながら、様々な改変及び変更が、そこにおいて且つ添付の請求項に述べられたとおりの本発明のより広い精神及び範囲から逸脱することなくなされ得る、ということが明白であろう。従って、本明細書及び図面は、制限される意味にあるとみなされるよりむしろ説明的であるとみなされるべきである。
【0067】
フレークの多孔度及び密度
フレーク状粒子について、密度と多孔度の間に相関があり、そして密度又は多孔度の値の一方が既知であるならば、他方の値は算出され得る。密度及び多孔度の両方が測定される場合、測定するモルホロジーについての誤差相関も決定され得る。しかしながら、核燃料棒からのフレークについて、比較的小さいクラッド粒子の密度測定は、各棒から得られ得る粒子が少数である故に成し遂げられ得ない。加えて、フレークサンプルが極めて小容積である故、伝統的な多孔度測定方法は用いられ得ない。本発明はこれらの制約を軽減し、何故ならフレーク多孔度はフレークの走査電子顕微鏡(SEM)画像に基づいて推定されるからである。SEMを用いて多孔度を算出する方法は、最初に基準物質に関してSEMによって得られた可視データを検量して基準物質の密度測定を確定することにより成し遂げられる。測定値と計算値の間の誤差は、直接的密度測定から「実密度」を介して決定された平均多孔度とフレーク断面の様々な場所においてSEM画像で決定された多孔度を平均することにより得られる計算平均多孔度との百分率差として表される。「実密度」は、我々の想定原子組成を用いたサンプル密度と定義される。サンプル中に存在する元素がそのサンプルの体積の100%を分け合うならば、これにより基準点の確定が可能にされる。
【0068】
典型的なSEM画像は、SEMイオンビームがサンプル表面を横切ってラスター化される場合生成される。イオンビームはサンプル表面と相互作用するので、二次電子の放出が該表面から起こる。これらの放出電子は検出器を有するSEMにより検出されて、これらの電子放出が記録される。電子がクラッドサンプルのトポグラフィー的に高い部分に当たる時、イオンビームエネルギーのより大きい割合が放出二次電子に移される。より多いエネルギーを担持するこれらの二次電子は、これらの電子がより強い二次電子信号を与えるようにSEMにより検出される。その場合には、SEMはこれらの二次電子の高いエネルギーをトポグラフィー的に高い域と解釈する。
【0069】
SEM電子ビームがクラッドサンプルを横切ってラスター化されるにつれて、数多くの別個のピクセルを含有する画像が生成される。各ピクセルはイオンビームが集束された1つの別個の場所に対応し、そして各ピクセルの輝度はその場所におけるサンプルのトポグラフィー的高さに比例する。より明るい(すなわち、白)ピクセルは「高い」高度を表し、一方より暗いピクセルは「低い」高度を表す。
【0070】
検量方法
SEM顕微鏡写真画像は、高い(明るい)及び低い(暗い)域の分布を有する。しかしながら、SEM顕微鏡写真画像は、より明るいシェード(すなわち、黒域がないか又はより低いシェード)の方へ歪曲され得る。SEM画像のこの歪曲すなわち喰違いは、画像ごとに変動する。
【0071】
SEM画像コントラスト(最も暗い点と最も明るい点の間の分布)を標準化するために、最も暗い点を純黒になるようにそして最も明るい点を純白になるようにすることにより、SEM画像は調整される。この調整により、サンプルの特定のトポグラフィー的分布に対して画像のコントラストが「検量」される。画像が適正に検量されると、この検量された画像を多孔度測定のために用いることが可能である。SEM画像を用いて多孔度測定を遂行するために、前もって測定された密度値を用いて画像データを検量することが必要である。
【0072】
直接的な(実験による)密度測定をするために、少なくとも1個のクラッドフレークは、秤量のために十分な質量を有することが要求される。フレークを秤量した後、この少なくとも1個のフレークの代表的側の面積が、SEM画像により提供された情報から算出される。フレークの縁画像も得られ、しかしてフレークについて一様な厚さの算出が可能にされる。フレークが厚さについてその域のすべての幅にて一様であると仮定すると、次にフレークの体積が算出される。次に、フレークの密度が、次のように算出される。すなわち、
測定密度=重量/体積
【0073】
多孔度を決定するために、フレークの「実密度」が算出される。「実密度」についての計算方法は、SEM分析により提供された原子組成を利用する。原子組成データを用いて、標準化モル組成が、想定化合物混合物に基づいて算出される。加えて、各元素の平均密度寄与量及び総平均実密度が算出される。
【0074】
実密度と多孔度の間の関係は、次のとおりである。すなわち、
【数1】
【0075】
無限小的に小さい単位深さについては、多孔度は、次のとおり表面積の関数として表され得る。すなわち、
【数2】
【0076】
多孔度測定方法のその次の工程は、フレークSEM画像の切断が上記に決定された多孔度について総標準化SEM表面積に対するボイド表面積の関数として表される多孔度をもたらすことになるところのバーチャル面を確定することである。すべてのピクセルについての「ベースライン」グレースケール値が、決定される(ベースライングレースケール値より小さいか又は等しい値が、SEM画像の全画像ピクセルの近似百分率多孔度の説明となる)。
【0077】
47.77%の多孔度を有するフレークが図示されている図5にて提供されたような例示的具体的態様において、SEM画像のベースライングレースケールは92の値と測定され、何故ならピクセルの47.77%がこのグレースケール値より暗いか又は等しいからである。最大グレースケール値は、たとえば、255である。高い多孔度を有する物質については、この物質はより多数の「0」位置に近い点を有し、何故なら該物質は更に多いクレバス(平均グレースケール値92より下の値)を有するからである。より低度の多孔質の物質の場合においては、0に近い点の数は減少され、そして「255」位置に近い点の数はより多くなる。
【0078】
測定結果
この方法を用いて、他のクラッドフレークの多孔度が推定され得る。遂行されたサンプル分析において、クラッドは核燃料棒の破損領域において未破損領域よりもはるかに緻密であり得る、ということが決定された。平均測定データと比較して平均コンピューター計算データについて、おおよそ+/−14.5%の誤差幅がある、ということも決定された。
【0079】
上記に提示された方法論を用いて、次の原理工程を遂行する。
1. 結果に影響し得る標識を排除するように、SEM画像をトリミングする。
2. 最も暗い点が純黒になりそして最も明るい点が純白になるように、SEM画像のコントラストを調整する。
3. 少なくとも1個のフレークサンプルの密度を実験による測定によって及びそのサンプルの多孔度についての「実密度」概念によって決定する。
4. そのサンプルについて、実験による密度データから決定されるような多孔度に等価なグレースケール値を有するピクセルのパーセントを決定する。
5. このグレースケール当量をフレークサンプル断面の残部に適用する。
6. 該グレースケール値より暗いか又は等しいピクセルの百分位数は、サンプルの近似多孔度に等しい。
7. 多孔度値から、フレークの密度がもたらされることになる(フレークサンプルの密度を決定するために、多孔度及び実密度が用いられる)。
【0080】
表1は、仮想のクラッドフレークサンプルについての実密度の計算例を提示する。
【表1】
注記: EDS原子%値を用いて例示的フレークについて遂行された計算
【0081】
表2は、表1にて提供された仮想のクラッドフレークサンプルについての理想化多孔度計算を提示する。
【表2】
*平均測定多孔度と平均コンピューター計算多孔度の間において、+/−14.5%の誤差幅が考慮されるべきである。測定多孔度は、実験により測定されたフレーク密度から得られた。
【0082】
表3は、SEM画像に基づいて表示するための例示的計算を提示する。
【表3】
*フレーク測定密度とフレーク平均コンピューター計算密度の間において、+/−14.5%の誤差幅が考慮されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、本発明の具体的態様例に従う燃料棒掻取り道具の平面図である。
【図2】図2は、図1の道具ハウジングの平面図である。
【図3】図3は、図1の燃料棒掻取り道具の掻取りブレードの立面図である。
【図4】図4は、図1の掻取り道具の漏斗溶接物の断面図である。
【図5】図5は、多孔度の検量中において用いられた沸騰水炉のクラッドフレークの走査電子顕微鏡写真である。
【図6】図6は、洗浄前の受容可能なフレークサンプルの写真である。
【図7】図7は、洗浄後の受容可能なフレークサンプルの写真である。
【図8】図8は、洗浄及び成分への分離後の潜在フレークサンプルである。
【図9】図9は、受容可能なフレークサンプルの燃料ピン側の面の写真である。
【図10】図10は、受容可能なフレークサンプルの流体側の面の写真である。
【図11】図11は、フレークを電子ビームに対して傾ける前のフレークサンプルのSEM写真である。
【図12】図12は、フレークを電子ビームに対して傾けた後のフレークのSEM写真である。
【図13】図13は、分析のためのフレークサンプルの元素マップSEM顕微鏡写真である。
【図14】図14は、破損燃料棒フレーク中の結晶質物質のSEM写真である。
【図15】図15は、3000×におけるフレーク断面のIO側のSEM写真である。
【図16】図16は、5000×におけるフレーク断面のOD側のSEM写真である。
【図17】図17は、フレークのより低いスパンの断面のOD側のSEM写真である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッド(CRUD)分析の方法及び道具に関する。より特定的には、本発明は、核燃料棒の外面上に付着したクラッドの物理的性質を決定するために、クラッド分析方法論及び核燃料棒用掻取り道具を提供する。
【0002】
背景情報
加圧水炉及び沸騰水炉のような原子炉は、炉心中に収容された核燃料集合体の使用によって原子力を発生する。燃料集合体は、濃縮二酸化ウラン物質のペレットを含有する細長い中空金属製管状燃料棒で構成される。原子力工業において被覆管として普通知られている中空金属製燃料用管状棒は、燃料棒の内部からの二酸化ウラン及び核分裂気体のような物質の逃散を防ぐ。被覆管は、一般に、ジルコニウムを含む種々の金属の合金から形作られる。これらの合金は、主としてジルコニウムの低い中性子捕獲特性の故に用いられる。低い中性子捕獲特性の結果として、原子炉における核反応がかかる使用により最も少なく妨害されるので、これらの合金は原子力工業において大規模に用いられてきた。
【0003】
炉心の運転に因り照射されてきたそして濃縮二酸化ウラン分が減損されてきた燃料棒は、しばしば、壊変熱を除去するために冷却水のプール中に貯蔵される。時間が経過するにつれて、物質がジルコニウムベースの合金の外面上にたまり得る。更に、ジルコニウム合金は燃料棒の外面部分にて反り得及び膨れ得、しかして下にある健全なジルコニウム合金基材上に更なる物質層を生じさせ得る。ジルコニウムベースの合金の外面上にたまる物質は、チョークリバー未同定付着物(Chalk River Unidentified Deposit)又は「CRUD(クラッド)」として普通知られている。燃料集合体の燃料棒の外面上にあるクラッドは、一般に、下にある基材に強くくっつき得るところの一緒に集合した固体粒子で作られている。燃料集合体中の放射化二酸化ウラン物質に対するクラッドの近さの故、クラッドは通常高度に放射性である。燃料棒上のクラッドは、燃料集合体が浸されているところの流水により、下にあるジルコニウム合金基材から押し離されるようになり得る。その結果として、クラッドは原子動力プラントにおける水系の配管に入りそしてこれらの系に沿って移動し得、しかして常態では放射線学的に放射性でないプラント区域において職員の偶発的照射を引き起こし得る。
【0004】
クラッドは非均質物質であるけれども、クラッドは、一般にいくつかの元素成分で作られていると分かっている。クラッドの主成分は、たとえば、鉄、コバルト、亜鉛、シリカ、クロム及びマンガンを包含し得る。原子力プラントの燃料性能は燃料補給及び保守のための停止の帰結及び経済性だけでなく、常態のプラント運転中のクラッド付着により影響されるので、付着物の特質及び量を決定するために、クラッドの存在について燃料集合体を分析することが必要である。たとえば、核燃料棒が容易に押し離されるようになり得る高放射性クラッド層を有すると決定されたならば、その場合には作業員の放射線学的関心事は、燃料棒が清浄にされる必要があり得る場所にある。その清浄化方法は、通常、ゆるいクラッド蓄積物を除去するために燃料棒の外面を超音波で又は化学的に清浄にすることによってのように多数の手段により行われる。
【0005】
燃料集合体上に付着したクラッドの分析を遂行するために、燃料棒の外面を機械的に掻き取ることにより、サンプルが採取されねばならない。この機械的掻取りを遂行するために用いられるシステムは、燃料棒が押し付けられるところの硬質部材を含み、それにより燃料棒が硬質部材上で動かされる時にゆるいクラッドを核燃料棒の残部から剪断する。
【0006】
燃料棒を機械的に掻き取る装置は、2つのサブクラスに分けられ得る。核燃料棒の外面からクラッドを除去するために、手動装置が用いられ得る。かかる装置はシャフトの端における掻取りヘッドから成り、しかして掻取りヘッドは、燃料棒の外面からゆるいクラッドを押し離すために用いられる。照射された燃料棒から付着物を除去するために、自動装置も用いられ得る。燃料棒は遠隔制御掻取り装置により掻き取られ、しかも掻き取られたサンプルは内部溜めに運ばれる。
【0007】
両副分類の以前の装置は、除去装置の効能を制限するいくつかの欠点を有する。現存の手動装置は、燃料棒の外側から容易に押し離され得る物質を除去するためにのみしか用いられない。核燃料棒によりしっかりとくっついているクラッド付着物は、現存の手動道具を用いて除去されることができない。その結果として、用いられる手動道具は、燃料棒の全深さにおいて存在し得るクラッド物質の正確な表示量を提供せず、何故ならサンプリングは全クラッド付着物の外側の部分区域においてのみしか行われないからである。一方、機械化装置は、燃料棒表面の一部から全クラッド付着物が除去されるように核燃料棒を掻き取るだけでなく、核燃料棒の外面部分の反ったジルコニウム合金も掻き取る。核燃料棒の外面部分の反ったジルコニウム合金の除去は、燃料棒を損傷する。これにより、燃料棒の圧力保持能力が重度に弱化されているかどうかを決定するために、大規模な工学分析が必要とされる。機械化装置を用いた後に燃料棒の外面の物質構成成分がサンプリングされる場合、該棒から不適切に除去されたジルコニウム合金が、物質分析の結果を歪曲する。燃料棒の外面上のクラッド付着物を除去するための現存の機械化装置の別の欠点は、これらの装置が製造するのに経済的に高価であり、またしばしば操作のために有意な保守を要求することである。加えて、機械化装置の放射性部品に対して保守活動を遂行することは、作業員の放射線被曝を増加する。
【0008】
それ故、原子炉の運営者にとってコスト効率的であるクラッド除去道具を提供する必要がある。
【0009】
クラッドの除去中において核燃料棒の潜在損傷を制限するクラッド除去道具も必要である。
【0010】
掻き取られた燃料棒から得られたクラッドを適切に類別するところのクラッド付着物の分析方法も必要である。
【0011】
要約
本発明の目的は、記載及び図示されたように達成される。本発明は、核燃料棒上のクラッドの分析を遂行する方法を提供する。該方法は、核燃料棒の外面上にクラッドの層を有する核燃料棒を用意し、この燃料棒から該クラッドをクラッド掻取り道具で掻き取り、そしてこのクラッド掻取り道具からクラッドフレークを採集すると述べられる。該方法はまた、該クラッドフレークを粒子画分に分別し、そして走査電子顕微鏡を含む多数の分析道具で該クラッドを分析することを備え、しかも該掻取り道具は、クラッド付着物の予想剪断強さに合っている剛性を備えたブレードを有する。
【0012】
本発明は、更に、核燃料棒上のクラッドフレークの分析を遂行する方法を提供する。該方法は、電子後方散乱パターン装置を走査電子顕微鏡に装備し、そして他の点では、該フレークの現場の一部に属する結晶系、単位格子の格子パラメーター及び群結晶の点を決定するために該走査電子顕微鏡装置を操作することを備える。
【0013】
本発明は、更に、核燃料棒上のクラッドフレークの断面の分析方法を提供する。この方法は、該フレークの結晶のモルホロジーを決定し、該フレークの結晶のサイズを決定し、該フレークの様々な場所における該フレークの元素分布を相関させ、しかもこれらの分布はエネルギー分散型分光器が取り付けられた走査電子顕微鏡でもって得られ、該元素分布により該結晶中のたとえば鉄濃縮の減損並びに/あるいは亜鉛及びケイ素の濃縮を決定し、そして鉄濃縮の減損並びに亜鉛及びケイ素の濃縮を該結晶のサイズ及びモルホロジーと相関させると述べられる。
【0014】
本発明はまた、核燃料棒上のクラッドフレークの断面の分析方法を提供する。この発明は、該フレークの結晶のモルホロジーを決定し、該フレークの結晶のサイズを決定し、該フレークの様々な場所における該フレークの元素分布を相関させ、しかもこれらの分布はエネルギー分散型分光器が取り付けられた走査電子顕微鏡でもって得られ、該元素分布により該結晶中の鉄濃縮の減損並びに亜鉛及びケイ素の濃縮を決定し、そして鉄濃縮の減損並びに亜鉛及びケイ素の濃縮を該結晶のサイズ及びモルホロジーと相関させる諸工程を備える。
【0015】
詳細な説明
図1を参照すると、クラッド除去装置10が図示されている。クラッド除去装置10は、安全な制御環境中でクラッドを核燃料棒24の外面から除去され得るようにする。クラッド除去装置10は、原子力施設の核燃料プール中で、たとえばゆるい又は強固にくっついたクラッドが押し離され得るように、クラッドを除去され得るようにする。クラッド除去装置10、更に、安定化ジルカロイ基材から反ったジルカロイ物質を除去することなしにクラッドが押し離され得るようにする。装置10は、潜在腐食を阻止するために、ステンレス鋼のような物質で作られ得る。クラッド層の除去を容易にするために、ブレード40は、燃料棒24がブレード40上を走行するようにクラッド除去装置10中に置かれる。ただ1つのブレード40として示されているけれども、多数のブレードが用いられ得る。ハウジング12は、燃料棒24をハウジング12内に部分的に含有され得るようにする内容積22を画定する。燃料棒24は、ハウジング12の漏斗溶接物用開口16中に置かれている漏斗溶接物18を通ってハウジング12を貫通する。燃料棒24は燃料棒上端28から燃料棒端26に延び、そして該棒がハウジング12を並進通過される掻取り操作中において、燃料棒上端28と燃料棒端26の間の燃料棒24の部分がハウジング12を通過され得る。
【0016】
図2を参照すると、ハウジング12における漏斗溶接物用開口16及び端開口14が更に図示されている。燃料棒24がハウジング12中に置かれそして燃料棒24がハウジング12から延出する時、ハウジング12内の物質がハウジング12から開口14を通じて逃散するのを棒シールが防ぐように、端開口14は、棒シールを備えるように形作られ得る。その代わりに、端開口14は燃料棒14の周りにぴったり合うような大きさにされ得、それにより物質がハウジング12から逃散するのを防ぐ。数本の燃料棒24の多数の掻取り物を含むいかなる容積のクラッドもハウジング12の諸部材により閉じ込められ得るように、ハウジング12は形作られ得る。具体的態様例において、燃料棒24から押し離されるクラッドの予想容積がハウジング12により画定された内容積22中に十分に収容され得るように、ハウジング12は形作られる。
【0017】
図3を参照すると、クラッド除去装置10用のブレード40が図示されている。核燃料棒24の外面からクラッド物質を除去する及び/又は押し離すために、ブレード40は刃面を備える。除去されたフレーク物質は、クラッドの物質構成成分を決定するために集められ得る。ブレード40は、刃頂44が半円弧における高い点からから下へ刃底42まで延びる上面を有する。加えて、ブレード40は、刃底42から別の刃頂44まで再び延びて該弧を完成する。燃料棒24の外縁がクラッドの除去のためにブレード40上に置かれ得るように、該弧は形作られる。ブレード40は、刃頂44から下へ延びる側面46を備えるように形作られる。側面46は、ブレード40が可撓性を備えるように長く又は短くされ得る。ブレード40の剛性は、予想されるクラッド付着物の剪断強さに従って選ばれ得る。ブレード40は、燃料棒24が刃面上に接触される時に剛性でないように設計され、それにより優れたクラッド除去能力を可能にする。側面46は、掻取り操作中において燃料棒24に加えられるべき予想される力並びにブレード40の総厚に基づいて長く又は短くされ得る。側面46は、ブレード40の所要可撓性を可能にする幅の減少52だけ、全幅について減少され得る。ブレード40はハウジング12に、ブレード40における支持棒穴48を通って延びる支持棒によって取り付けられ得る。種々のサイズの支持棒がブレード40と共に用いられ得るように、支持棒穴48の大きさは調整され得る。支持棒穴48は支持棒とブレード40の間のぴったりした連結を与えて、ブレード40が押し離されるようになる又は過度の量傾くようになることなしに、ブレード40を掻取り操作のために利用され得るようにする。ブレード底50がハウジング12と接触するようにブレード底50がハウジング12上に置かれ、それにより掻取り操作中においてブレード40の回転を防ぐ。平らな底として示されているけれども、ブレード底50は、ハウジング12の対応する底と合ういかなる変型にも形作られ得る。
【0018】
図4を参照すると、漏斗溶接物18の側面断面図が図示されている。漏斗溶接物18は、開口58から出口端20に延びる円錐体54で構成される。漏斗溶接物18は、掻取り操作中においてハウジング12内における燃料棒24の精確な配置を可能にする開口58を通じて、燃料棒24をハウジング12中に挿入され得るようにする。物質がハウジング12から出て行くのを制限するために、シールが溶接物18の周りに且つハウジング12中に置かれ得る。案内路60が燃料棒24をハウジング12中の所望通路に沿って導くように、出口端20の位置が定められ得る。案内路60が燃料棒24の外周の周りにぴったりと合うように、案内路60は角度づけられ得る。掻き取られた物質がハウジング12から出て行かないように燃料棒24を漏斗溶接物18内に置かれ得るようにするために、案内路60はまた、内部シール62を備えるように形作られ得る。
【0019】
クラッド掻取り道具10は燃料プール中の構造物に、該道具10が使用後に燃料プール環境から取り去られ得るように取り付けられ得る。ハウジング12は開放され得、そして掻き取られた粒子は下記に記載される走査電子顕微鏡を用いての更なる分析のために取り出され得る。掻取り道具10はまた、掻取り中ほぐされたクラッド物質がハウジング12の出口近くに又は出口に設置されたフィルターハウジング中に集められ得るように、脱塩水用の取入れ口及び出口を有し得る。
【0020】
新規なクラッドフレーク分析方法論
新規なクラッドフレーク分析方法論もまた、SEM/EDS、XRD及びICP/MSを含めて伝統的な分析技法を用いて、BWR及びPWRのクラッドについて開発された。クラッドのモルホロジー及び汚染物種の空間的分布のより明確な理解を得るために、評価の焦点はバルク性質からクラッドフレーク分析に移動される。そうするために、すべての分析は無傷のフレークに関して行われる。
【0021】
クラッドフレーク調査の目的は次のとおりである。すなわち、
・クラッドモルホロジーを物理的に特徴づけるため、
・燃料側の表面におけるクラッド沸騰ポケットの存在、大きさ及び形状を決定するため、
・水蒸気煙突及び毛管の存在、大きさ及び形状を決定するため、
・付着物の総合的な多孔度/密度を決定するため、
・クラッド沸騰ポケット内における及び燃料側の表面にあるクラッドの他の場所における顕微EDS元素分析を提供するため、
・更なる分析のためにクラッド沸騰ポケットの特徴的モルホロジー的累層を単離しようとするため。
【0022】
これらの調査は、普通のクラッド/燃料の酸化物金属の総濃度についての誘導結合プラズマ(ICP)分光法、マイクロ写真術、固体バルクサンプル中の主要な結晶質成分を定性的に同定するX線回折(XRD)、エネルギー分散型分光法(EDS)を含む走査電子顕微鏡法(SEM)、並びに多孔度及び密度の測定を含んでいた。サンプリングの方法及びバルクサンプルに関してのクラッド特質に因り、これらの分析はすべて、今日までPWR又はBWRのバルク燃料クラッドについて遂行されてきた。
【0023】
SEM/EDSは定性及び定量分析、元素分布及び表面トポグラフィーを提供し、また高倍率における画像から他の分析を案内する。また、金属について分析されるクラッドサンプルの比バルク放射能を決定するために、ガンマ分光法が遂行された。
【0024】
バルク分析のすべてのタイプについて、不利が知られている。たとえば、XRDにおいて、クラッド移動は、フィルターの一部から付着物を手動で取り去り、この付着物を水・メタノール混合物を有する容器に移し、そしてこの溶液をガラス棒でもって手動で撹拌して液中に懸濁させることから成っていた。生じたスラリーは、5ミクロンフィルターを通じて濾過された。X線回折のために、濾過固体はスライドガラスに移されそして固定された。フィルター物質のスペクトルがクラッド物質のスペクトルを妨害した故、該移動それ自体が必要とされた。
【0025】
この分析の別の知られた不利は、X線回折(XRD)がバルクサンプル中の酸化物(たとえば、マグネタイト、ヘマタイト、アルファ鉄、等)のような固体サンプル中の主要な結晶質成分を定性的に同定するために用いられたことである。
【0026】
別の知られた不利は、試験において用いられるべきサンプル物質の選択が無作為であるので、得られるXRDプロットがサンプルの全体性を真に表す確証がないことである。
【0027】
バルク分析方法の別の知られた不利は、クラッドサンプルの適切な均質混合を保証するために、採集固体物質の量(フレーク掻取り方法による)が多くなければならないことである。それは、クラッド中に存在する化学種のいくつかがサンプル中に含有され得ないすなわち検出され得ないことが起こり得るようにする。
【0028】
別の知られた不利は、存在する微量は小さいサンプルサイズの故にXRDにより同定され得ないことである。無定形相は、XRD技法により決定されない。
【0029】
別の知られた不利は、所与化合物についてのXRDの感度が密度、結晶化度、粒子サイズ及び他の構成成分からの強い線の一致並びに諸成分の諸原子の種類及び配置のような因子の組合わせと共に変動することである。高分率の鉄が存在する場合(たいていのクラッド付着物の場合のように)、いくつかの構成成分は、鉄の高い質量吸収係数の故に検出することが困難である。その結果として、これらの構成成分についての検出感度は減少し、そしてそれらの検出限界(LOD)及び定量限界(LOQ)は増加する。
【0030】
XRDは一般に定量分析技法と考えられないけれども、検出される化合物の相対割合は確定され得、そして大レベル(25%より大きい)、中レベル(10%〜25%)、小レベル(5〜10%)及び微量レベル(5%より小さい)と特徴づけられ得る。いくつかの場合において、サンプル中のそれらの割合をおおよそ+5%まで推定するために、関心のある1種又はそれ以上の化学種の既知量を用いて検量線が作られ得る。最小感度は、約0.1パーセントくらいの低さであり得る。
【0031】
XRD、SEM/EDS分析、等について今日適用されるようなバルク技法の追加的制約は、分析のための適切なスペクトルを得るために、サンプルが微粉砕されそして混合されねばならないことである。その結果として、クラッド付着物の成層に関する重要な情報は失われる。クラッドの物理的構造は核燃料性能に対するその影響を決定するのに重要でありそしてたぶん一層重要である故、この情報の喪失は、以前の利用可能な分析技法の重大な制約である。
【0032】
上記の論考は、燃料フレーク分析について、XRD法はクラッド中に存在する化学種の指摘しか提供しない、ということを再び強調する。更なる確認作業が、SEM/EDSによって行われねばならない。
【0033】
クラッドの現場分析に適応させるべきSEM/EDS法用フレークの準備における変更
現場分析について有意なデータを提供するために、クラッドフレーク分析の一部として、SEM/EDS技法を修正して精緻にした。SEM/EDSデータを解釈するのを助けるために、標準的なICP、XRD及びガンマ分光技法を用いた。
【0034】
燃料フレークを現場法によって調査するために、特殊な放射線対策が取られる。これらのサンプルのいくつかは、大きいβ及びガンマ放射線場を有する。被曝を制御するために、これらのサンプルとの接触を注意深く監視した。すべての活動を厳しい放射線防護方法論下で行った。これらのサンプルの偶発的な取扱いミスは、汚染の広がり及びホットスポットの発生をもたらすことになり得る。これらのサンプルを取り扱っている間、すべての作業区域に非常線を張り、そして各操作後直ちにすっかり清浄にした。
【0035】
フレークの予備選定は、所与濾紙上の多数の同定される濾過掻取り物から、より大きく且つより頑丈に見えるものを選択することにあった。それらの大きい掻取り物サンプルの多くは、無定形物質たいていヘマタイトの単純な集塊であり得る。軽く触れる時、これらの集塊は崩壊する。
【0036】
より頑丈に見え且つ挙動する掻取り物を最初に、このサンプルがフレークと考えられ得るかどうか及びそれがゆるいヘマタイトについてどのくらい不含であるかを調べるために、顕微鏡下で調査した。図6は、重度にヘマタイトで覆われた潜在的に受容可能なフレークサンプルを示す。図6の場合においてようにヘマタイトがサンプルにくっついていたならば、逐次的な洗浄とスクラビングの併用により、この潜在フレークサンプルは図8に示されているように究極的に清浄にされる。図6及び7は、洗浄前及び洗浄後の同じ潜在フレークサンプルを示す、ということが留意される。
【0037】
図7の潜在フレークサンプルの顕微鏡下での逐次調査により、このフレークは実際には2個のフレークから成る(図8参照)ことが明らかにされた。これらのサンプルの一つは垂直に、そして別のものは水平に載置された。
【0038】
フレークサンプルの準備におけるその次の工程は配向についての光学調査であり、しかしてフレークのID及びODの確実な同定を可能にするために多数の工程を行った。これらの工程は、サンプルの各側の一連の顕微鏡写真を撮り、有意差を観察し、そして次いでクローズアップ顕微鏡写真にすることにあった。後者の調査により、表面の曲率及び平滑度によって、真正なID(燃料ピン側)又はOD(流体側)フレーク表面が同定されたかどうかが明らかにされた。この方法は、試行錯誤法により得る。従って、これらの工程のいくつかは、被検フレークの状態/タイプの初めの観察に基づいて修正された。
【0039】
成功的フレークは、フレークのID(燃料ピン側)及びOD側(流体側)の両方が明確に同定され且つそれらの特徴が前のフレークの取扱い又は異物によって変えられていない。図9及び10は、受容可能なフレークサンプルのID及びOD表面の顕微鏡写真を示す。両表面における特徴は、明確に同定可能である。
【0040】
修正走査電子顕微鏡法−エネルギー分散型分光器分析
図10は、例示的な受容可能なフレークサンプルの流体側の面の写真である。図11は、走査電子顕微鏡ビームに対してフレークを傾ける前のフレークの写真である。図12は、より明確な写真を提供するために、傾けた後のフレークの写真である。図13は、フレークサンプルの元素マップ・SEM顕微鏡写真である。図14は、破損燃料棒中の結晶質物質の写真である。
【0041】
修正組合わせ走査電子顕微鏡−エネルギー分散型分光器(SEM/EDS)が、本明細書に記載された新規なフレーク分析方法論に用いられ得る。クラッドからのデータの集合中の局所クラッド特性の決定的に重要な情報を外挿しそして統合するために、それは以前の利用可能なバルク技法(ICP、XRD及びガンマ分光法)と共に用いられる。
【0042】
採集燃料クラッドサンプルが小さいサイズである故、具体的態様例におけるすべてのバルク分析(ICP、XRD及びガンマ分光法)は、高度の不確定性を有する。これらの技法の感度及び採集サンプルの無作為性の両方共、採集クラッドの量が非常に少ない場合、マイナス的に影響される。
【0043】
実質的に無制限の被写界深度と共に高い倍率(本研究において20,000×まで)にて画像を形成させるために、SEMは、精密に集束された電子ビームを用いる。電子ビームは、それがサンプルの表面を横切って走査されるにつれて、二次電子、後方散乱電子及び特性X線を発生する。二次及び後方散乱電子は、サンプルの可視画像を形成させるために用いられ、しかしてわずか数ナノメートル(nm)幅の特徴の非常に正確な表面トポグラフィー画像を生成する。いくつかの場合には、本研究において、200ナノメートルより大きくない特徴が、クラッド付着物の諸部分の結晶質組成について同定されねばならなかった。クラッドのバルク導電率の関数。SEM画像の倍率がクラッドのバルク導電率に依存して増加するにつれて、表面帯電が起こり得る。これは、時々、関心のある領域において達成可能な倍率を制約した。
【0044】
SEMへエネルギー分散型分光器(EDS)を取り付けて、検体上における集束電子ビームによって発生されたX線信号のエネルギー又は波長及び強度分布を測定することにより、クラッドフレークサンプルの化学分析(微量分析)を遂行した。小さいフレークの分析のためにSEM/EDS組合わせを用いることの利点は、非常に精確な及び正確な化学分析(相対誤差1〜2%)が0.5〜3マイクロメートルの直径より大きくない固体の域から得られ得ることであった。これは、特定の局所状態を評価するためにクラッドフレークに関して遂行されるクレバス分析の信頼性にとって重要である。
【0045】
電子後方散乱パターン(EBSP)の装置及び方法であるSEMへの更に別の取付けは、フレークの現場の特定部分(クレバス)に属する結晶系、単位格子の格子パラメーター及び従って結晶の群に対する点を成功的に決定するために用いられ得る。
【0046】
特殊なフレーク検体準備(適切なサンプルの同定、トランプ物質の清浄化、壊れやすい検体の載置、及び調査のための「初期状態の」表面の注意深い暴露)により、個々のフレークの各々についてSEM/EDSの方法論を修正した。開発された方法論による分析の要約は、以下のとおりである(該準備は先に記載されている)。
【0047】
フレークの燃料側及び流体側のSEM調査
フレークの燃料側及び流体側を、妥当な平坦域を見つけるために低い倍率にて調査した。該域を拡大し、そして100〜1000Xの倍率においてEDS・元素マップを撮影した。該平坦域におけるクレバス、クラック又は穴として見える該域の特定の特徴を、各場合において同定した。最大容積(該特徴の大きい直径及び/又は深さ)を有する特徴(モルホロジーを示す)の高倍率顕微鏡写真を撮影した。最も大きい特徴の二つについて、EDS・元素マップを遂行した。基準面を形成するのに十分に平坦な表面を選択するように、観察された特徴の近くの平坦性を分析した。更なる評価のために可能である場合、立体画像を撮影した。
【0048】
フレークの縁のSEM調査
フレークの縁のSEM/EDS調査の正しさ及び正確さは、良好で清浄な破断縁が入手可能であるか又は生成され得るかどうかに依存した。
【0049】
フレークを弱い箇所で分割することから生じる縁は特徴に富み、従って提供された例において、フレークはその独特の特性を反映すように載置されねばならない。多くの場合において、フレークが成功的に適所に置かれるまで、逐次載置を遂行した。フレークの縁域を、平滑/平坦域について低い倍率にて調査した。500〜1000の倍率において、EDS・元素マップを撮影した。クレバス、水蒸気チャネル及び毛管のようなフレークの縁の特定の特徴を同定した。BWRの燃料クラッドモデルの発現について将来の発現を裏づけるために、最大容積を有する特徴(モルホロジーを示す)の高倍率顕微鏡写真を撮影した。
【0050】
断面分析方法の原理は、特定のすなわち個々の結晶中の鉄の減損並びにZn及びSiの濃縮を追跡するためにそしてこの化学情報を該結晶のサイズ及びモルホロジーと並びにそれらの結晶学と相関させるために、クラッドの断面の様々な場所におけるSEM/EDS元素分布を相関させることにある。
【0051】
フレークを一層正確に分析するために、多孔度の尺度としてボイド域パーセントを測定する方法を開発した。
【0052】
この例において、フレークの燃料ピン側から良好なSEMデータを得ることは、その傾斜に因り全く困難であった。しかしながら、フレークを傾けて、燃料ピン側の最良の写真(図12)を得た。対策として、最良写真が得られるまでサンプルを傾ける。
【0053】
傾けることの更に別の応用は、個々の結晶のSEM画像と、小さいプローブを用いてのすなわちスポット方式での同じ結晶からのEDXSスペクトルとを相関させることであり、従って化学が個々の結晶のサイズ/モルホロジーと相関され得る。これはSEMにおいて、結晶モルホロジーを調査するために、すなわち結晶が正方形又は六角形の形状及びそれ故4回(立方又は正方晶系)又は6回(六方晶系)の回転軸を有するかどうかを調べるために、結晶を傾けることを要求し得る。
【0054】
非常に小さいサイズ(直径について数ミクロン)のクラッドサンプルを傾けることは、たとえば特殊支柱又は単純ニカワを用いて行われ得る。
【0055】
以前に古典的方法を用いて見られなかった現象を同定するべき現場方法は、いくつかの利点がある。これらは、次のものを包含する。
a)結晶質構造をクラッド中のそれらの累層の場所にて同定し、そしてそれらをカタログ累層と比較する。小域電子回折技法のSAED又は他の方法を用いての近代的局所結晶分析も遂行され得る。
【0056】
例として、亜鉛及びシリカのみを含有する結晶マトリックス内の独立した集塊において、銅が現場にて同定され得る。この観察は、別個のクラッドフレークの元素マッピング及び顕微鏡写真並びに同じ域の20,000×におけるEDS分析によって可能である。
【0057】
結晶のモルホロジーは、更に既知結晶と比較され得る。我々の平面図/顕微鏡写真例において、鉱物結晶ウイレマイトを有する結晶累層が示され得る。ウイレマイトは、細長い六角柱結晶において正荷電亜鉛イオンによって個々のシリカ四面体を連結することにより形成されたネソケイ酸塩(ケイ酸亜鉛Zn2SiO4)である。結晶累層のこれらのタイプの同定は原子力プラント水の化学を評価する際に重要であり、何故ならそれは原子力プラントの運転中においてクラッドの累層及び変換に影響を及ぼすからである。
【0058】
・結晶の視覚的類似性は著しいけれども、決定的な結晶同定は、結晶の厳密な結晶質相を必要とする。これは、小域電子回折(SAED)によって遂行される個々の結晶の元素分析と組み合わせて行われ得る。フレークを分析する際のその利点は、クレバス及び水蒸気煙突現象の両方のはるかによりよい理解に通じ得る現場SAEDがそれにより可能にされることである。
【0059】
b)たいていのクラッド付着物において発生するような小部分の結晶質構造と大部分の緊密構造の共存を観察しそして理解する。
【0060】
フレーク断面場所のOD側はかかる場合を指摘して、シリカ結晶又はケイ酸塩がクラッド付着物中にいかに組み込まれるかを説明する。
【0061】
フレークの縁のOD及びID場所は、高倍率調査が内部クラッド特性を同定する際に最も有益である場所である。図15中の場所番号1は燃料ピン側クレバスの上部且つ水蒸気煙突の始まり部分の3000×顕微鏡写真である。図15中の場所番号2は、水蒸気煙突におけるある場所の中間の水蒸気室である。このタイプの分析解明により、かかる中間の水蒸気室の壁上における付着に寄与する元素の査定が可能にされる。図16中の3つの場所(クラッドフレーク断面の流体側の5000×顕微鏡写真)のすべてが、付着物中へのシリカ結晶の組込みのメカニズムを潜在的に説明する。
【0062】
フレークの比較的「大きい」サイズと関連したいくつかの障害物及びその結果としてこのフレークから得られる比較的大きい放射能が存在し、そしてこれは高倍率におけるEDS・顕微鏡写真の質に影響を及ぼす。フレークサンプルによる強いガンマ放出は、SEM/EDS検出器を「盲目」にし得及び/又はEDS結果を歪曲し得る。この影響を補償する方法が開発され、そして以下に述べられる。
【0063】
サンプルのX線「グロー」現場処理を記録した。この情報から、クラッドフレークの55Fe及び65Zn(化学種のうちでとりわけ)の壊変に因る高強度X線放出がEDSデータ評価をわずかに偏らせることが明らかであった。この場合において、フレーク組成の現実的査定を提示するために、EDSスペクトルの結果を調整した。他の元素は、それらの分析を除外するような「グロー」を示し得る。
【0064】
c)独特の現象の観察−ゆるい表面クラッド中へのバルクからの構造物の挿入。
【0065】
図17は、クラッドフレークのOD側における場所番号1の顕微鏡写真を示す。ここでは、鎖状ケイ酸塩の2個の結晶すなわちバルク水中で形成されたと最も思われる直径がおおよそ0.2μmの針状構造物が、ゆるい表面クラッド中への流入によって挿入されているのが分かる。
【0066】
以上の明細な記載において、本発明は、その特定の例示的具体的態様に関して記載されてきた。しかしながら、様々な改変及び変更が、そこにおいて且つ添付の請求項に述べられたとおりの本発明のより広い精神及び範囲から逸脱することなくなされ得る、ということが明白であろう。従って、本明細書及び図面は、制限される意味にあるとみなされるよりむしろ説明的であるとみなされるべきである。
【0067】
フレークの多孔度及び密度
フレーク状粒子について、密度と多孔度の間に相関があり、そして密度又は多孔度の値の一方が既知であるならば、他方の値は算出され得る。密度及び多孔度の両方が測定される場合、測定するモルホロジーについての誤差相関も決定され得る。しかしながら、核燃料棒からのフレークについて、比較的小さいクラッド粒子の密度測定は、各棒から得られ得る粒子が少数である故に成し遂げられ得ない。加えて、フレークサンプルが極めて小容積である故、伝統的な多孔度測定方法は用いられ得ない。本発明はこれらの制約を軽減し、何故ならフレーク多孔度はフレークの走査電子顕微鏡(SEM)画像に基づいて推定されるからである。SEMを用いて多孔度を算出する方法は、最初に基準物質に関してSEMによって得られた可視データを検量して基準物質の密度測定を確定することにより成し遂げられる。測定値と計算値の間の誤差は、直接的密度測定から「実密度」を介して決定された平均多孔度とフレーク断面の様々な場所においてSEM画像で決定された多孔度を平均することにより得られる計算平均多孔度との百分率差として表される。「実密度」は、我々の想定原子組成を用いたサンプル密度と定義される。サンプル中に存在する元素がそのサンプルの体積の100%を分け合うならば、これにより基準点の確定が可能にされる。
【0068】
典型的なSEM画像は、SEMイオンビームがサンプル表面を横切ってラスター化される場合生成される。イオンビームはサンプル表面と相互作用するので、二次電子の放出が該表面から起こる。これらの放出電子は検出器を有するSEMにより検出されて、これらの電子放出が記録される。電子がクラッドサンプルのトポグラフィー的に高い部分に当たる時、イオンビームエネルギーのより大きい割合が放出二次電子に移される。より多いエネルギーを担持するこれらの二次電子は、これらの電子がより強い二次電子信号を与えるようにSEMにより検出される。その場合には、SEMはこれらの二次電子の高いエネルギーをトポグラフィー的に高い域と解釈する。
【0069】
SEM電子ビームがクラッドサンプルを横切ってラスター化されるにつれて、数多くの別個のピクセルを含有する画像が生成される。各ピクセルはイオンビームが集束された1つの別個の場所に対応し、そして各ピクセルの輝度はその場所におけるサンプルのトポグラフィー的高さに比例する。より明るい(すなわち、白)ピクセルは「高い」高度を表し、一方より暗いピクセルは「低い」高度を表す。
【0070】
検量方法
SEM顕微鏡写真画像は、高い(明るい)及び低い(暗い)域の分布を有する。しかしながら、SEM顕微鏡写真画像は、より明るいシェード(すなわち、黒域がないか又はより低いシェード)の方へ歪曲され得る。SEM画像のこの歪曲すなわち喰違いは、画像ごとに変動する。
【0071】
SEM画像コントラスト(最も暗い点と最も明るい点の間の分布)を標準化するために、最も暗い点を純黒になるようにそして最も明るい点を純白になるようにすることにより、SEM画像は調整される。この調整により、サンプルの特定のトポグラフィー的分布に対して画像のコントラストが「検量」される。画像が適正に検量されると、この検量された画像を多孔度測定のために用いることが可能である。SEM画像を用いて多孔度測定を遂行するために、前もって測定された密度値を用いて画像データを検量することが必要である。
【0072】
直接的な(実験による)密度測定をするために、少なくとも1個のクラッドフレークは、秤量のために十分な質量を有することが要求される。フレークを秤量した後、この少なくとも1個のフレークの代表的側の面積が、SEM画像により提供された情報から算出される。フレークの縁画像も得られ、しかしてフレークについて一様な厚さの算出が可能にされる。フレークが厚さについてその域のすべての幅にて一様であると仮定すると、次にフレークの体積が算出される。次に、フレークの密度が、次のように算出される。すなわち、
測定密度=重量/体積
【0073】
多孔度を決定するために、フレークの「実密度」が算出される。「実密度」についての計算方法は、SEM分析により提供された原子組成を利用する。原子組成データを用いて、標準化モル組成が、想定化合物混合物に基づいて算出される。加えて、各元素の平均密度寄与量及び総平均実密度が算出される。
【0074】
実密度と多孔度の間の関係は、次のとおりである。すなわち、
【数1】
【0075】
無限小的に小さい単位深さについては、多孔度は、次のとおり表面積の関数として表され得る。すなわち、
【数2】
【0076】
多孔度測定方法のその次の工程は、フレークSEM画像の切断が上記に決定された多孔度について総標準化SEM表面積に対するボイド表面積の関数として表される多孔度をもたらすことになるところのバーチャル面を確定することである。すべてのピクセルについての「ベースライン」グレースケール値が、決定される(ベースライングレースケール値より小さいか又は等しい値が、SEM画像の全画像ピクセルの近似百分率多孔度の説明となる)。
【0077】
47.77%の多孔度を有するフレークが図示されている図5にて提供されたような例示的具体的態様において、SEM画像のベースライングレースケールは92の値と測定され、何故ならピクセルの47.77%がこのグレースケール値より暗いか又は等しいからである。最大グレースケール値は、たとえば、255である。高い多孔度を有する物質については、この物質はより多数の「0」位置に近い点を有し、何故なら該物質は更に多いクレバス(平均グレースケール値92より下の値)を有するからである。より低度の多孔質の物質の場合においては、0に近い点の数は減少され、そして「255」位置に近い点の数はより多くなる。
【0078】
測定結果
この方法を用いて、他のクラッドフレークの多孔度が推定され得る。遂行されたサンプル分析において、クラッドは核燃料棒の破損領域において未破損領域よりもはるかに緻密であり得る、ということが決定された。平均測定データと比較して平均コンピューター計算データについて、おおよそ+/−14.5%の誤差幅がある、ということも決定された。
【0079】
上記に提示された方法論を用いて、次の原理工程を遂行する。
1. 結果に影響し得る標識を排除するように、SEM画像をトリミングする。
2. 最も暗い点が純黒になりそして最も明るい点が純白になるように、SEM画像のコントラストを調整する。
3. 少なくとも1個のフレークサンプルの密度を実験による測定によって及びそのサンプルの多孔度についての「実密度」概念によって決定する。
4. そのサンプルについて、実験による密度データから決定されるような多孔度に等価なグレースケール値を有するピクセルのパーセントを決定する。
5. このグレースケール当量をフレークサンプル断面の残部に適用する。
6. 該グレースケール値より暗いか又は等しいピクセルの百分位数は、サンプルの近似多孔度に等しい。
7. 多孔度値から、フレークの密度がもたらされることになる(フレークサンプルの密度を決定するために、多孔度及び実密度が用いられる)。
【0080】
表1は、仮想のクラッドフレークサンプルについての実密度の計算例を提示する。
【表1】
注記: EDS原子%値を用いて例示的フレークについて遂行された計算
【0081】
表2は、表1にて提供された仮想のクラッドフレークサンプルについての理想化多孔度計算を提示する。
【表2】
*平均測定多孔度と平均コンピューター計算多孔度の間において、+/−14.5%の誤差幅が考慮されるべきである。測定多孔度は、実験により測定されたフレーク密度から得られた。
【0082】
表3は、SEM画像に基づいて表示するための例示的計算を提示する。
【表3】
*フレーク測定密度とフレーク平均コンピューター計算密度の間において、+/−14.5%の誤差幅が考慮されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、本発明の具体的態様例に従う燃料棒掻取り道具の平面図である。
【図2】図2は、図1の道具ハウジングの平面図である。
【図3】図3は、図1の燃料棒掻取り道具の掻取りブレードの立面図である。
【図4】図4は、図1の掻取り道具の漏斗溶接物の断面図である。
【図5】図5は、多孔度の検量中において用いられた沸騰水炉のクラッドフレークの走査電子顕微鏡写真である。
【図6】図6は、洗浄前の受容可能なフレークサンプルの写真である。
【図7】図7は、洗浄後の受容可能なフレークサンプルの写真である。
【図8】図8は、洗浄及び成分への分離後の潜在フレークサンプルである。
【図9】図9は、受容可能なフレークサンプルの燃料ピン側の面の写真である。
【図10】図10は、受容可能なフレークサンプルの流体側の面の写真である。
【図11】図11は、フレークを電子ビームに対して傾ける前のフレークサンプルのSEM写真である。
【図12】図12は、フレークを電子ビームに対して傾けた後のフレークのSEM写真である。
【図13】図13は、分析のためのフレークサンプルの元素マップSEM顕微鏡写真である。
【図14】図14は、破損燃料棒フレーク中の結晶質物質のSEM写真である。
【図15】図15は、3000×におけるフレーク断面のIO側のSEM写真である。
【図16】図16は、5000×におけるフレーク断面のOD側のSEM写真である。
【図17】図17は、フレークのより低いスパンの断面のOD側のSEM写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核燃料棒上のクラッド(CRUD)の分析を遂行する方法であって、
核燃料棒の外面上にクラッドの層を有する核燃料棒を用意し、
この燃料棒から該クラッドをクラッド掻取り道具で掻き取り、しかも該掻取り取り道具は、クラッド付着物の予想剪断強さに合っている剛性を備えたブレードを有し、
このクラッド掻取り道具からクラッドフレークを採集し、
これらのクラッドフレークを粒子画分に分別し、そして
そのクラッドを走査電子顕微鏡で分析する
ことを含む方法。
【請求項2】
道具が、燃料棒を受け入れる漏斗を有する、請求項1に記載の核燃料棒上のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項3】
道具が、道具のハウジングにより画定された内容積にクラッドフレークを閉じ込める棒シールを有する、請求項1に記載の核燃料棒上のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項4】
更に
クラッドフレークを採集する前に、道具のハウジング中に流入する脱塩水の流れを与え、そしてクラッドフレークの採集を道具中のフィルターで成し遂げる
ことを含む、請求項1に記載の核燃料棒上のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項5】
クラッドフレークを粒子画分に分別する工程が、濾紙上の多数の濾過掻取り物から掻取り物の最大サイズ群を選別することを含む、請求項1に記載の核燃料棒上のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項6】
選別された最大掻取り物を、これらの掻取り物がフレークであるかどうかを決定するだけでなくこれらの最大掻取り物上におけるゆるいヘマタイトの存在を決定するために調査する、請求項5に記載のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項7】
掻取り物にゆるいヘマタイトの存在があると決定された場合は、これらの掻取り物を逐次的な洗浄とスクラビングの併用により清浄にする、請求項6に記載のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項8】
更に
燃料ピン側の面及び流体側の面の確実な同定を決定するために、フレークを配向について光学的に調査する
ことを含む、請求項7に記載のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項9】
フレークの各側の一連の顕微鏡写真を撮りそしてこれらの一連の顕微鏡写真の間の相違を観察することにより、光学調査を決定する、請求項8に記載のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項10】
燃料ピン側の面及び流体側の面の同定を、掻取り物の表面の曲率及び平滑度により決定する、請求項8に記載のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項11】
成功的フレーク分析が、燃料ピン側の面及び流体側の面が確実に決定される場合に起こる、請求項10に記載のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項12】
核燃料棒上のクラッドフレークの分析を遂行する方法であって、
電子後方散乱パターン装置を走査電子顕微鏡に装備し、そして
該フレークの現場の一部に属する結晶系、単位格子の格子パラメーター及び群結晶の点を決定するために該走査電子顕微鏡装置を操作する
ことを含む方法。
【請求項13】
核燃料棒上のクラッドフレークの断面の分析方法であって、
該フレークの結晶のモルホロジーを決定し、
該フレークの結晶のサイズを決定し、
該フレークの様々な場所における該フレークの元素分布を相関させ、しかもこれらの分布はエネルギー分散型分光器が取り付けられた走査電子顕微鏡でもって得られ、
該元素分布により該結晶中の化学元素(たとえば、鉄濃縮の減損並びに/あるいは亜鉛及びケイ素の濃縮)を決定し、そして
鉄濃縮の減損並びに亜鉛及びケイ素の濃縮を該結晶のサイズ及びモルホロジーと相関させる
ことを含む方法。
【請求項14】
更に
走査電子顕微鏡からのビームに対してフレークを傾ける
ことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
更に
個々の結晶のEDXSスペクトルを得、そして
SEMのビームに対して結晶を傾けて結晶モルホロジーを調べる
ことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
できるだけ多くの支柱の一つ及び/又はニカワを用いて、傾けることを行う、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
更に
結晶に関して小域電子回折を遂行する
ことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
クラッドを分析する工程が
走査電子顕微鏡画像をトリミングし、
該画像の最も暗い点が純黒になりそして最も明るい点が純白になるように、該画像のコントラストを調整し、
少なくとも1個のフレーク基準サンプルの密度を決定し、
該密度から決定される多孔度に等価なグレースケール値を有するピクセルのパーセントを決定し、
グレースケール当量をフレークサンプルの残部に適用し、
該グレースケール値より暗いか又は等しいグレースケール値であるピクセルの百分率を決定して多孔度を決定し、そして
この多孔度に基づいてフレークサンプルの残部の密度を決定する
ことを含む、請求項1に記載の核燃料棒上のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項19】
核燃料棒からクラッドを掻き取る道具であって、
内容積を画定するハウジング、
該ハウジング中に置かれたブレード、しかも該ブレードはクラッドの予想剪断強さに合った剛性を備えるように形作られており、及び
漏斗溶接物
を含む道具。
【請求項20】
漏斗溶接物が、ハウジング中の漏斗用開口溶接物を通じてハウジング内に部分的に置かれている、請求項19に記載の道具。
【請求項21】
漏斗溶接物が、ハウジングまでの部分外面において円錐形状である、請求項20に記載の道具。
【請求項22】
ハウジングが、端開口中に置かれた棒シールを有する、請求項19に記載の道具。
【請求項23】
ブレードが、弧の形に作られた刃面を有する、請求項19に記載の道具。
【請求項1】
核燃料棒上のクラッド(CRUD)の分析を遂行する方法であって、
核燃料棒の外面上にクラッドの層を有する核燃料棒を用意し、
この燃料棒から該クラッドをクラッド掻取り道具で掻き取り、しかも該掻取り取り道具は、クラッド付着物の予想剪断強さに合っている剛性を備えたブレードを有し、
このクラッド掻取り道具からクラッドフレークを採集し、
これらのクラッドフレークを粒子画分に分別し、そして
そのクラッドを走査電子顕微鏡で分析する
ことを含む方法。
【請求項2】
道具が、燃料棒を受け入れる漏斗を有する、請求項1に記載の核燃料棒上のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項3】
道具が、道具のハウジングにより画定された内容積にクラッドフレークを閉じ込める棒シールを有する、請求項1に記載の核燃料棒上のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項4】
更に
クラッドフレークを採集する前に、道具のハウジング中に流入する脱塩水の流れを与え、そしてクラッドフレークの採集を道具中のフィルターで成し遂げる
ことを含む、請求項1に記載の核燃料棒上のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項5】
クラッドフレークを粒子画分に分別する工程が、濾紙上の多数の濾過掻取り物から掻取り物の最大サイズ群を選別することを含む、請求項1に記載の核燃料棒上のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項6】
選別された最大掻取り物を、これらの掻取り物がフレークであるかどうかを決定するだけでなくこれらの最大掻取り物上におけるゆるいヘマタイトの存在を決定するために調査する、請求項5に記載のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項7】
掻取り物にゆるいヘマタイトの存在があると決定された場合は、これらの掻取り物を逐次的な洗浄とスクラビングの併用により清浄にする、請求項6に記載のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項8】
更に
燃料ピン側の面及び流体側の面の確実な同定を決定するために、フレークを配向について光学的に調査する
ことを含む、請求項7に記載のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項9】
フレークの各側の一連の顕微鏡写真を撮りそしてこれらの一連の顕微鏡写真の間の相違を観察することにより、光学調査を決定する、請求項8に記載のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項10】
燃料ピン側の面及び流体側の面の同定を、掻取り物の表面の曲率及び平滑度により決定する、請求項8に記載のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項11】
成功的フレーク分析が、燃料ピン側の面及び流体側の面が確実に決定される場合に起こる、請求項10に記載のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項12】
核燃料棒上のクラッドフレークの分析を遂行する方法であって、
電子後方散乱パターン装置を走査電子顕微鏡に装備し、そして
該フレークの現場の一部に属する結晶系、単位格子の格子パラメーター及び群結晶の点を決定するために該走査電子顕微鏡装置を操作する
ことを含む方法。
【請求項13】
核燃料棒上のクラッドフレークの断面の分析方法であって、
該フレークの結晶のモルホロジーを決定し、
該フレークの結晶のサイズを決定し、
該フレークの様々な場所における該フレークの元素分布を相関させ、しかもこれらの分布はエネルギー分散型分光器が取り付けられた走査電子顕微鏡でもって得られ、
該元素分布により該結晶中の化学元素(たとえば、鉄濃縮の減損並びに/あるいは亜鉛及びケイ素の濃縮)を決定し、そして
鉄濃縮の減損並びに亜鉛及びケイ素の濃縮を該結晶のサイズ及びモルホロジーと相関させる
ことを含む方法。
【請求項14】
更に
走査電子顕微鏡からのビームに対してフレークを傾ける
ことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
更に
個々の結晶のEDXSスペクトルを得、そして
SEMのビームに対して結晶を傾けて結晶モルホロジーを調べる
ことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
できるだけ多くの支柱の一つ及び/又はニカワを用いて、傾けることを行う、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
更に
結晶に関して小域電子回折を遂行する
ことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
クラッドを分析する工程が
走査電子顕微鏡画像をトリミングし、
該画像の最も暗い点が純黒になりそして最も明るい点が純白になるように、該画像のコントラストを調整し、
少なくとも1個のフレーク基準サンプルの密度を決定し、
該密度から決定される多孔度に等価なグレースケール値を有するピクセルのパーセントを決定し、
グレースケール当量をフレークサンプルの残部に適用し、
該グレースケール値より暗いか又は等しいグレースケール値であるピクセルの百分率を決定して多孔度を決定し、そして
この多孔度に基づいてフレークサンプルの残部の密度を決定する
ことを含む、請求項1に記載の核燃料棒上のクラッドの分析を遂行する方法。
【請求項19】
核燃料棒からクラッドを掻き取る道具であって、
内容積を画定するハウジング、
該ハウジング中に置かれたブレード、しかも該ブレードはクラッドの予想剪断強さに合った剛性を備えるように形作られており、及び
漏斗溶接物
を含む道具。
【請求項20】
漏斗溶接物が、ハウジング中の漏斗用開口溶接物を通じてハウジング内に部分的に置かれている、請求項19に記載の道具。
【請求項21】
漏斗溶接物が、ハウジングまでの部分外面において円錐形状である、請求項20に記載の道具。
【請求項22】
ハウジングが、端開口中に置かれた棒シールを有する、請求項19に記載の道具。
【請求項23】
ブレードが、弧の形に作られた刃面を有する、請求項19に記載の道具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2007−533996(P2007−533996A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509534(P2007−509534)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/012998
【国際公開番号】WO2005/101997
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(503008941)アレバ エヌピー インコーポレイティド (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/012998
【国際公開番号】WO2005/101997
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(503008941)アレバ エヌピー インコーポレイティド (4)
【Fターム(参考)】
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