OCTの結合プローブおよび一体化システム
【課題】OCT分析におけるプローブに対する機械的な運動および歪みの影響を最小限にする、光コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)のプローブおよびシステムを提供する。
【解決手段】光コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)のプローブ100の干渉信号ファイバカプラ112が、コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)分析システムから光コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)信号を受信し、このOCT信号を参照光ファイバアーム130と信号光ファイバアーム132に分配する。
【解決手段】光コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)のプローブ100の干渉信号ファイバカプラ112が、コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)分析システムから光コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)信号を受信し、このOCT信号を参照光ファイバアーム130と信号光ファイバアーム132に分配する。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2008年5月15日出願の米国特許仮出願番号第61/053,241号の、米国特許法第119条(e)項に基づく利益を主張するものであり、上記出願の全開示内容は参照により本明細書に引用したものとする。
【背景技術】
【0002】
光コヒーレンス分析では、参照波と試験波の間の干渉現象、または試験波の2つの部分間の干渉現象を利用することにより、距離および厚さを測定し、対象物の屈折率を計算する。光コヒーレンストモグラフィ(OCT)は、例えば、顕微鏡スケールでリアルタイムに、生物組織の構造のような対象物の画像を提供できる、一般に断面の高解像度の画像化を実行するのに用いられる技法の一例である。光波が、対象物を通過して送られ、そしてコンピュータが、光波がいかに変化したかについての情報を使用することにより、対象物の断面画像を生成する。
【0003】
当初のOCT画像化技法は時間領域OCT(TD−OCT)であり、この技法ではマイケルソン干渉計装置における可動参照ミラーを用いている。別の種類の光コヒーレンス分析は、フーリエ領域のOCT(FD−OCT)と称される。他のOCT技法は、時間符号化周波数領域OCTおよび波長走査型(swept source)OCTである。これらの技法は、場合によっては時間符号化のFD‐OCTつまりTEFD‐OCTと称される、波長掃引光源および単一の検出器を使用するか、または、場合によってはスペクトル符号化FD‐OCTつまりSEFD‐OCTと称される、広帯域光源およびスペクトル分解検出器システムを使用する。FD‐OCTは、速度および信号対雑音比(SNR)において、時間領域OCT(TD‐OCT)に勝る利点を有する。
【0004】
TEFD‐OCTは、いくつかの点においてSEFD‐OCTに勝る利点を有する。スペクトル成分は、空間的分離による符号化はされないが、時間で符号化される。スペクトルは、連続的な周波数ステップでフィルタリングされるか生成され、フーリエ変換前に再構成(復元)される。
【0005】
プローブの設計はOCTシステムの設計の重要な側面であり、特に、医学的診断システムのような人体を分析することを目的としたシステムの設計の重要な側面である。一方で、プローブは、医師、看護師および臨床現場の技術者などの医療提供者による使用(反復使用もありうる)に耐えるように機械的に堅牢でなければならない。プローブはまた、意図する用途での使用によって生じる雑音に対しても強くなければならない。例えば、血管内分析用途用のOCTプローブシステムは、典型的には長く、大腿動脈のような少なくともアクセス箇所から、走査される冠状動脈または頸動脈まで延びることができる。さらに、多くの場合、プローブは、対象である動脈部分を通して引き戻される間にシース(外装)内において高速で回転し、円筒走査を発生する。ファイバに加わる何らかの付随する機械的応力によって、ファイバの長さは変化し、ねじれによって複屈折が生じる可能性がある。歯科用途のプローブは、典型的には、ハンドピース/光インターフェースをOCT分析システムまたはコンソールと接続する長いアンビリカルケーブル(導管(umbilical))を有する。OCT分析においては、アンビリカルケーブルとハンドピース/光インターフェースの両方への機械的衝撃によって発生する雑音は最小限にされるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、OCTシステムに加わる機械的運動および歪みの影響に起因する雑音と干渉を最小限にする、プローブおよびOCTシステムの設計に関する。本発明はまた、OCTレーザ光源からの振幅雑音に対して強い(堅牢な)光学設計に関する。各実施形態において、このような光学設計は、ハンドピース自体において、OCT干渉計の参照アーム(参照辺)と信号アーム(信号辺)からのOCT信号を結合する(組み合わせる)ことによって達成される。容易に小型のハンドピースに組み込まれるファイバカップラであって、走査ユニットおよびファイバ参照アームに接続されるファイバカップラによって、この結合は実行される。したがって、分析システムをプローブに接続するアンビリカルケーブルのようなシステムに対する運動および応力に起因する雑音は、その雑音が通常の雑音であって、干渉計の参照アームまたは信号アームのみに現れる雑音ではないので、OCT分析および/または画像化を無効にすることはない(損なうことはない)。いくつかの例では、振幅参照が実行されて、干渉信号に遅延合わせされることにより、アンビリカルケーブルなどの素子に付随する光遅延を補償する。また、偏光高感度型OCTシステムとともに、小型で堅牢な電気光機械的システムを実現する、一体型OCTシステムプローブも含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般に、一態様によると、本発明は、ハンドピース収容体、ハンドピース収容体内の参照アーム反射器、ハンドピース収容体内の干渉信号ファイバカプラ、およびハンドピース収容体に設けられた光学窓を備えた、光コヒーレンス・トモグラフィのプローブを特徴とする。前記干渉信号ファイバカプラは、コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)分析システムから光コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)信号を受信し、このOCT信号を参照光ファイバアーム(参照光ファイバ辺)と信号光ファイバアーム(信号光ファイバ辺)の間で分配するものである。前記光学窓を通して、信号光ファイバアームからのOCT信号が対象物(対象の物体)に送出され、また、前記光学窓を通して、対象物のOCT信号(物体OCT信号)が対象物から受信されて、信号光ファイバアームに結合される。対象物のOCT信号は、参照アーム反射器によって反射された参照光ファイバアームからのOCT信号と混合つまり結合されて、ハンドピース収容体からOCT分析システムに送信される干渉信号を生成する。
【0008】
一般に、別の態様によると、本発明は、光コヒーレンス・トモグラフィ法を特徴とする。この方法は、ハンドピース収容体内に配置された干渉信号ファイバカプラにおいてOCT分析システムからのOCT信号を受信して、参照光ファイバアームと信号光ファイバアームにOCT信号を分配する工程と、信号光ファイバアーム上のOCT信号を、ハンドピース収容体から対象物に送出し、ハンドピース収容体において対象物からの対象物OCT信号を受信し、対象物OCT信号を信号光ファイバアームに結合する工程と、対象物OCT信号を参照光ファイバアームからのOCT信号と結合して、干渉信号を生成する工程と、干渉信号をハンドピース収容体からOCT分析システムに伝送する工程とを備える。
【0009】
一般に、さらに別の態様によると、本発明は、光コヒーレンス・トモグラフィシステムを特徴とする。このシステムは、掃引レーザ光源、検出器システム、および制御器を備える。前記掃引レーザ光源は、ハンドピースに送出されるOCT信号を生成するものである。検出器システムは、ハンドピースから受信された干渉信号を検出するものである。制御器は、検出器システムの応答信号を用いて、対象物の画像を生成するものである。
【0010】
一般に、別の態様によると、本発明は、OCTプローブによって生成される干渉信号を検出する一体型光学システムを特徴とする。一体型光学システムは、密封パッケージ、この密封パッケージ内の光学ベンチ、検出器システム、およびビームスプリッタシステムを備える。前記検出器システムは、干渉信号を検出するベンチに取り付けられている。前記ビームスプリッタシステムは、ベンチに取り付けられており、掃引レーザ光源からのOCT信号をOCTプローブに結合し、OCTプローブからの干渉信号を検出器システムに結合するものである。
【0011】
一般に、別の態様によると、本発明は、一体型OCTシステムを特徴としている。このシステムは、光学窓を有する密封パッケージ、この密封パッケージ内の光学ベンチ、光学ベンチに取り付けられた掃引レーザ光源システム、および光学ベンチに取り付けられた検出器システムを備える。前記掃引レーザ光源システムは、OCT信号を生成するものである。前記検出器システムは、干渉信号を検出するものである。ビームスプリッタシステムがベンチに取り付けられている。ビームスプリッタシステムは、掃引レーザ光源からのOCT信号を、光学窓を通して対象物に結合し、OCT信号の一部を参照アームに結合し、参照アームから戻る光を検出器システムに結合し、対象物から戻る光を検出器システムに導く。
【0012】
部品の構成および組み合わせの様々な新規な詳細項目を含む、本発明の上記および他の特徴と、他の利点とを、添付図面を参照して次により詳細に説明し、特許請求の範囲に示す。本発明を具体化する特定の方法および装置は、例証として示され、本発明を制限するものではない。本発明の原理および特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく様々な実施形態において採用されてもよい。
【0013】
添付図面においては、参照符号は、異なる図面であっても同一部品を指す。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本発明の原理を示すことに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる光コヒーレンストモグラフィ(OCT)プローブの概略図である。
【図2】本発明の第2の実施形態にかかるOCTプローブの概略図である。
【図3】本発明の第3の実施形態にかかるOCTプローブの概略図である。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかるOCTシステムの概略図である。
【図5】本発明の第2の実施形態にかかるOCTシステムの概略図である。
【図6】本発明の第3の実施形態にかかるOCTシステムの概略図である。
【図7】本発明の第4の実施形態にかかるOCTシステムの概略図である。
【図8A】本発明の第1の実施形態にかかる偏光感度を提供するOCTプローブ(偏光プローブ)の概略図である。
【図8B】入力信号、参照信号および戻り信号の偏光を示す図である。
【図8C】本発明の第2の実施形態にかかる偏光感度を提供するOCTプローブ(偏光プローブ)の概略図である。
【図9】一体化された参照経路を含むOCTプローブの光学部品の平面図である。
【図10A】本発明の第1の実施形態にかかる偏光高感度型OCTシステム(偏光システム)の概略図である。
【図10B】本発明の第2の実施形態にかかる偏光高感度型OCTシステム(偏光システム)の概略図である。
【図11A】本発明にかかる一体型OCTエンジンの概略平面図である。
【図11B】本発明にかかる一体型OCTエンジンの斜視図である。
【図12】本発明にかかる一体型OCTエンジン/プローブの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の原理に従って構成されている、光コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)プローブ100Aを示す(第1の実施形態にかかるプローブ)。
【0016】
一般に、プローブ100は、ハンドピース収容体(ハンドピースハウジング)160を備えている。このハンドピース収容体は、典型的には、OCTシステムのオペレータによって把持されものである。ハンドピース収容体はOCT分析ユニットに接続される剛性部分によって特徴付けられるものであり、可撓性または屈曲性(articulated)のアンビリカルケーブルが介在している。
【0017】
収容体160は光学窓素子164を備え、この光学窓素子164は、OCTシステムにスプリアス反射が戻るのを防ぐために、典型的には、傾けられ、反射防止コーティングされている。この光学窓素子164は、OCTシステムが作動する光周波数に対して透過性を有する。一例においては、OCTシステムは近赤外線で作動する。いくつかの実施形態では、光学窓164はまた、可視光周波数に対して透過性を有し、これにより、可視照準ビームが光学窓を通過して、目に見えない赤外線OCT信号が対象物10を照射している箇所を示すことができる。
【0018】
一実施例におけるハンドピース160は、電気光コネクタ110を有する。この電気光プローブコネクタ110によって、オペレータは、OCT分析システムに対する接続およびOCT分析システムからの切断を行うことができる。一例では、この電気光プローブコネクタ110は、電気制御信号とともに、プローブシステム100と分析システムの間で、OCT信号および干渉信号を提供する。
【0019】
他の実施形態では、アンビリカルケーブルがプローブと一体化されており、コネクタ110は使用されない。
【0020】
より詳細には、波長走査型レーザ(掃引レーザ光源(swept source laser))からの光のようなOCT信号は、コネクタ110を介してOCT分析システムから受信され、OCT/干渉信号光ファイバ106に結合される。OCT/干渉信号ファイバ106は、OCT分析システムから受信したOCT信号を干渉/OCT信号カプラ112に結合する。一例では、この干渉/OCT信号カプラ112は、90/10%の(90%と10%に分割する)ファイバカプラであるため、2つの出力ポートの間で光を均等に分配するわけではない。詳細には、干渉/OCT信号カプラ112は、OCT/干渉信号ファイバ106で受信したOCT信号を参照アーム光ファイバ130および信号アーム光ファイバ132に提供するが、この例では、大部分の光(すなわち、90%以上)は信号アーム光ファイバ132上にある。
【0021】
参照アーム光ファイバ130は、好ましくは完全にハンドピース収容体160内に組み込まれた干渉計の参照アームを構成する。詳細には、参照アーム光ファイバ130は反射器116で終端する。一例では、反射器116は、参照アーム光ファイバ130の端部における単なる高反射コーティングである。例示的な高反射コーティングには、参照アーム光ファイバ130の端面に蒸着(付着)された誘電体積層コーティングおよび金属化端面コーティングが含まれる。他の例では、反射器116は、別個のミラー素子として実現され、場合によっては、参照アーム光ファイバ130の端面と反射ミラーの間で光を平行にし(コリメートし)、結合するための別個のレンズを含む。
【0022】
信号アーム光ファイバ132は、受信したOCT信号を走査ユニット150に伝送する。走査ユニット150は、対象物10と信号アーム光ファイバ132の間でOCT信号を結合する。
【0023】
図示された実施形態においては、走査ユニット150は、信号アーム光ファイバ132の端面に固定された(取り付けられた)、ガラスまたは透過性の付加的なスペーサ152を備える。このスペーサ152が、信号アーム光ファイバ132の端面を、GRIN(勾配屈折率(graded refractive index))レンズ素子154から間隔を空けている。GRINレンズ素子154は、寄生反射を防ぐために、傾斜した出力ファセットを有する。このGRINレンズ154は、信号アーム光ファイバ132からのOCT信号をサンプル10に上に集束する。自由空間光ビーム156が折り返しミラー(偏向ミラー)158に導かれ、折り返しミラー158は、光学窓164を通してOCT信号ビーム156を対象物10に導く。次に、対象物10から戻る光が、光学窓164を通って戻って結合して、折り返しミラー158で反射し、GRINレンズ154とスペーサ素子152とを通って信号アーム光ファイバ132内に戻って結合する。
【0024】
好ましい実施形態では、折り返しミラー158は走査ミラーである。詳細には、折り返しミラー158は、矢印134で示されているように、x軸およびy軸方向に傾き、傾斜する(tip and tilt)ように駆動される。一実施形態では、折り返しミラー158は微小電気機械システム(MEMS(micro-electro-mechanical system))ミラーであり、このMEMSミラーは、対象物10の3次元画像を生成するために、OCT信号ビーム156を対象物10全体にわたって走査(例えば、ラスタ走査)する。
【0025】
典型的な実施形態においては、ハンドピース収容体160はまた、1つ以上の電気制御スイッチ162を支持している。これら制御スイッチ162は、制御線170を経由して光電気コネクタ110を介しOCT分析システムに結合されている。オペレータはこれらスイッチを用いて、対象物10のOCT分析中に、OCT走査を開始および終了させ、可視照準レーザを起動する。好ましくは、スイッチ162を用いて、走査ミラー158を電子的に駆動および制御する。
【0026】
信号アーム光ファイバ132上で対象物10から戻る光は、干渉/OCT信号カプラ112において、参照アーム光ファイバ130で反射器116から戻る光と結合される。この結合によって、電気光コネクタ110を介して、OCT/干渉信号光ファイバ106上でOCT分析システムに送信される干渉信号が生成される。
【0027】
典型的なファイバカプラは4ポートシステムであるため、干渉信号光の一部はまた、終端部114で終端する第4のアームに結合される。この光は、この例示的な実施形態では利用されない。別の方法では、3ポートカプラが他の実施例において用いられる。参照アーム光ファイバ130の長さは、対象物の走査深さを制御するのに重要である。詳細には、平面175が、OCTシステムのゼロ距離の仮想基準面となるように、参照アーム光ファイバ130の長さが選択される。このため、参照アーム光ファイバ130の光路長は、信号アーム光ファイバ132の光路長、透過性スペーサ152の光路長、GRINレンズ素子154の光路長、および窓164を含む基準面175までの自由空間経路の光路長の合計に等しくされる。
【0028】
プローブ100は、ある意味では「共通経路」プローブであり、OCTシステムに戻る1つのファイバ接続を備える。これは、典型的には、何らかの相対強度雑音(RIN)低減システムにおいて用いられるであろう。1つのオプションは、一方の検出器においてプローブからの入力を受信し、他方の検出器においてレーザ振幅信号を受信するために、平衡型受光器を用いることである(2009年2月19日にKempらによって出願された米国特許公開公報第2009/0046295A1号の図13)。別のオプションは、レーザ出力モニタの信号に対するプローブ信号の比率を求めることである(”Normalization detection scheme for high-speed optical frequency-domain imaging and reflectometry”、Sucbei MoonおよびDug Young Kim著、2007年11月12日、OPTICS EXPRESS 15129、第15巻、23号)。
【0029】
図2は、第2の実施形態にかかるOCTプローブ100Bを示す。この実施形態は、第1の実施形態にかかるプローブとほぼ同一であるが、2つのOCT/干渉信号ファイバ106、108を用いて、OCTプローブ100をOCT分析システムに光学的に接続している点が異なる。このプローブは、標準的な平衡型受光器/相対強度雑音(RIN)低減方式に適合しており、また、それ自体と干渉するサンプル信号からの自己相関アーチファクトを抑制する。
【0030】
より詳細には、OCT分析システムからのOCT信号は、典型的には、第1のOCT/干渉信号ファイバ106および第2のOCT/干渉信号ファイバ108、またはこれらのファイバ106,108のうちの一方のみの可撓性のアンビリカルケーブルを通して、電気光コネクタ110を介して受信される。
【0031】
次に、光は、参照アーム光ファイバ130と信号アーム光ファイバ132の間の50/50干渉/OCT信号カプラ112(参照アーム光ファイバ130に50%で、信号アーム光ファイバ132に50%の比率で分割するカプラ)によって結合される。
【0032】
参照アーム光ファイバ上のOCT信号は、部分反射器118に伝送される。一例では、この部分反射器118は、参照アーム光ファイバ130で伝搬されるOCT信号光の10%未満(例えば、4%以下)を反射して戻す。一例では、この部分反射器118は、光ファイバ130の端面の誘電体積層または金属コーティングとして実現される。
【0033】
信号アーム光ファイバ132上の光は、走査ユニット150に伝送される。このユニット150は、先に説明したように、光学窓164を通して光を対象物10に導く。戻ってきた光は、次に、光学窓164を通過し、走査ユニット150によって、信号アーム光ファイバ132に結合される。
【0034】
参照アーム光ファイバ130で戻るOCT信号と、信号アーム光ファイバ132で戻る対象物からの光とが、50/50干渉/OCT信号カプラ112内で結合される(組み合わされる)。この結合によって干渉信号が生成され、干渉信号は、第1のOCT/干渉信号ファイバ106および第2のOCT/干渉信号ファイバ108で、OCT分析システムに電気光コネクタ110を介して送り返される。
【0035】
図3は、第3の実施形態にかかるOCTプローブシステム100Cを示す。この実施形態は、図2の第2の実施形態にかかるOCTプローブシステムと同様である。第3の実施形態が第2の実施形態と異なる点は、参照アームの構成である。この例では、参照アーム光ファイバ130は、参照アーム光ファイバ130で伝搬されるOCT信号を減衰させる減衰器120を含む。減衰器120を通過した光は、次に、高反射性の端面116で反射される。高反射性の端面は、典型的には、図1の第1の実施形態にかかるプローブに関して説明したように実現されている。反射器116から戻るOCT光は、減衰器120を介してから参照アーム光ファイバ130を通過して、干渉/OCT信号カプラ112に達する。
【0036】
図2の実施形態に関連する潜在的な問題は、部分反射器118を透過した光が分散することである。この透過した光は、その後ハンドピース収容体160内に存在する可能性があり、干渉源として作用する可能性がある。すなわち、透過光は参照アーム光ファイバ130に戻されて結合してマルチパス干渉を形成するか、または、対象物10に伝送されて対象物10から戻されるOCT信号と干渉する可能性がある。この潜在的な問題は、減衰器120を用いて、参照アームにおける余分なOCT信号光を吸収し、干渉を確実に生じさせないことを保証することによって、図3の実施形態で解決される。いくつかの例では、減衰器120は、ファイバのマイクロベンディング、損失性ファイバ接合、またはその他の手段によって実現される損失素子である。
【0037】
図4は、図1のOCTプローブに適合するOCT分析システム200Aを示す。詳細には、OCT分析システム200Aは、典型的には、可撓性または屈曲性のアンビリカルケーブル205によって、プローブ100に電気的および光学的に接続される。詳細には、このアンビリカルケーブルは、OCT分析システムの電気光コネクタ218とプローブコネクタ110の間を延びる。この可撓性アンビリカルケーブル205によって、参照プローブ100は、患者のような対象物の周りを移動されるため、その患者の対象領域(例えば、いくつかの例では、患者の歯または皮膚)の分析が可能になる。
【0038】
プローブ100で受信されるOCT信号は、好ましい実施形態では、掃引レーザ光源212によって生成される。例示的な光源として、2009年3月2日に出願され、発明の名称が”Optical Coherence Tomography Laser with Integrated Clock(一体型クロックを備えた光コヒーレンストモグラフィ用レーザ光源)”のFlandersらによる米国特許出願第12/396,099号に記載されている光源がある。上記出願は参照により本明細書に引用したものとする。
【0039】
掃引レーザ光源によって生成されたOCT信号は、掃引光源光ファイバ235における50/50OCT/振幅基準ファイバカプラ214に伝送される。この50/50カプラ214によって、掃引光源212からのOCT信号が、振幅基準ファイバ216とOCTプローブ光ファイバ240とに分配される。このOCTプローブ光ファイバ240は、50/50カプラ214からユニットコネクタ218にOCT信号を伝送する。同様に、参照プローブ100から戻る干渉信号は、プローブ光ファイバ240におけるユニットコネクタ218を介して受信され、その後、50/50OCT/振幅基準ファイバカプラ214によって分配される。
【0040】
パスマッチ(経路合致(pass match))光ファイバ216は、OCT/振幅基準ファイバカプラ214と参照プローブ110の間の光遅延と、カプラ214から干渉信号フォトダイオード検出器230への遅延との和の2倍に相当する長さを有する。このようにして、パスマッチ光ファイバによって生じた遅延は、プローブ100へのOCT信号とプローブから光ファイバ240に戻る干渉信号とに関連している合計遅延に一致する。次に、パスマッチ光ファイバ216を通して伝送されたOCT信号光は、振幅基準フォトダイオード検出器220によって検出される。検出器220によって検出されたOCT信号光は、制御器210によってサンプリングされ、システム内の振幅雑音を掃引光源212から除去するのに用いられる。
【0041】
OCTプローブ100から戻り、OCTプローブ光ファイバ240で受信された干渉信号は、50/50OCT/振幅基準ファイバカプラ214を通して干渉信号検出器230に伝送される。この検出器は、制御器210によってその後にサンプリングされる光を検出する。
【0042】
一例では、振幅基準検出器220と干渉検出器230とは組み合わされて平衡型検出器システムとなり、干渉信号内の掃引光源212からの振幅雑音を除去する。この場合、2つの検出器における光出力レベルのバランスを取る必要がある(例えば、2009年2月19日にKempらによって出願された米国特許公開公報第2009/0046295A1号の図13における同様のRIN低減方式を参照のこと)。代わりに、RIN低減のために、振幅基準検出器220からの信号が、例えば、検出器230からの干渉信号によって、制御器212内でデジタル的に除算されてもよい(”Normalization detection scheme for high-speed optical frequency-domain imaging and reflectometry”、Sucbei MoonおよびDug Young Kim著、2007年11月12日、OPTICS EXPRESS 15129、第15巻、23号)。
【0043】
図5は、図1のプローブに適合可能なOCT分析システムについての第2の実施形態にかかるシステム200Bを示す。このシステムは、利用可能な光出力をより効率的に利用するが、より高価な構成部品を含む。
【0044】
第2の実施形態にかかるシステム200Bは、不均衡型のOCT/振幅基準ファイバカプラ214を用いて、掃引光源212からのOCT信号を、振幅基準パスマッチファイバ216とOCTプローブ光ファイバ240に分配する。OCTプローブ光ファイバ240におけるOCT信号光は、干渉信号サーキュレータ242を通過して、ユニットの電気光コネクタ218を介して参照プローブ100に伝送される。次に、参照プローブ100から戻る干渉信号は、サーキュレータ242によって、干渉信号検出器230に導かれる。
【0045】
サーキュレータ242を用いることによって、図4と比べて、光学的により効率のよいシステムとなる。なぜならば、この実施形態の95/5%のOCT/振幅基準ファイバカプラ214によって、振幅基準を生成するのには少量のOCT信号しか用いずに、掃引光源212によって生成されるOCT信号の大部分(90%よりも多く、好ましくは95%以上)を、対象物に導くことができるからである。
【0046】
図6は、図2および図3のプローブに適合可能な第3の実施形態にかかるOCT分析システム200Cを示す。この例では、掃引光源212によって生成されるOCT信号は、掃引光源光ファイバ235で干渉信号サーキュレータ242に伝送され、次に、OCTプローブ光ファイバ240で、ユニットコネクタ218を介して光プローブ100に伝送される。OCTプローブからの干渉信号は、次に、干渉信号光ファイバ244およびOCTプローブ光ファイバ240で受信される。OCTプローブ光ファイバ240に戻る干渉信号光は、干渉信号サーキュレータ242によって、平衡型検出器248に導かれる。干渉信号光ファイバ244で受信された干渉信号は、平衡型検出器248に直接結合される。
【0047】
平衡型受光器は、システムの信号対雑音比に対するRINの影響を軽減する。図4および図5における共通経路プローブシステムは、また、RINの影響を軽減する方法を有する。2つのファイバプローブ(図2および図3)ならびにこれらファイバプローブに対応するシステム(図6)の主な利点は、自己相関画像(それ自体と干渉するサンプル光)が大幅に減衰されることである。
【0048】
各実施例では、平衡型受光器248は、自動平衡型受光器である(一例として、New Focus社製造の部品番号2017がある)。自動平衡型受光器は、2つの検出器に入射する不整合な(不一致の)光波信号が存在する場合であっても、自動的に、この2つの検出器からの電気信号を均衡させる(電気信号のパランスを取る)。
【0049】
図7は、2つのファイバプローブの実施形態に対して、2つのサーキュレータ252、254を用いる、第4の変形実施形態にかかるOCTシステムの200Dを示す。この構成は、図6の構成と同様である。異なる点は、この構成では、「ダミー」のサーキュレータ254(1つのポートは使用していない)を組み込むことにより、平衡型受光器248の2つの検出器に現れる光波信号を均衡させるのに役立つ。干渉信号サーキュレータ252、254が厳密に一致している場合は、波長に対して同様の光損失を有し、2つの検出器に対する光波信号がほぼ等しくなる。干渉信号サーキュレータ252、254がより厳密に一致していると、自己相関画像の信号対雑音性能および減衰が改善される。追加の循環(サーキュレーション)、つまり追加のサーキュレータ254によって一致がより良好になることは、費用および性能に関して、自動平衡型検出器を用いるよりも好ましいであろう。
【0050】
図8Aは、OCTプローブ100の第1の実施形態にかかる偏光高感度型のプローブ100Dを示す。一般に、このOCTプローブは、図1の第1の実施形態にかかるプローブと同様であるため、図1に関する説明がここで当てはまる。異なる点として、このプローブ100Dは、偏光依存または偏光高感度型のOCT分析が可能な点である。詳細には、プローブ100Dによって、対象物10のOCT信号および偏光特性の分析が可能となる。
【0051】
より詳細には、OCT/干渉信号ファイバ106で受信されたOCT信号は、半導体外部キャビティレーザシステムからの信号のような、高度に偏光された信号である。偏光を維持するために、OCT/干渉信号ファイバ106は偏光保持光ファイバである。
【0052】
詳細には、図8Bに示すように、掃引光源OCT信号の偏光が、OCT/干渉信号ファイバ106に用いられる偏光保持(PM)ファイバ106の1つの遅軸(遅相軸(slow axis))に従って偏光される。偏光190を参照のこと。
【0053】
偏光されたOCT信号は、50/50偏光保持ファイバカプラである干渉/OCT信号カプラ112によって分配つまり分割される。偏光されたOCT光は、PMファイバである参照アーム光ファイバ130で反射器116に伝送される。この実施形態では、4分の1波長板(1/4波長板)810が介在している。この介在によって、光の偏光が22(1/2)度、つまり22.5度回転する。その結果、戻ってきたOCT信号光は、入力されたOCT信号に対して平行に偏光される部分と、入力されたOCT信号に垂直に偏光される部分の両方を有する。図8Bの偏光192を参照のこと。
【0054】
PM干渉/OCT信号カプラ112を通して、PM光ファイバである信号アーム光ファイバ132に伝送されるOCT光は、先に説明したように、走査システム150によって、対象物10に導かれる。
【0055】
しかし、対象物10から戻る光は、ここで、対象物10の複屈折特性に従って、場合によっては偏光されるため、軸190およびさらには速軸(速相軸(fast axis))194に沿って調整された偏光を有する。図8Bを参照のこと。次に、対象物10から戻る信号光は、PMカプラ112によって、参照アーム光ファイバ130から戻る2つの偏光と結合される。したがって、この光は、次に、OCT信号/干渉信号光ファイバ106で、OCT分析システムに戻る。ここでは、干渉信号は2つの偏光を有するため、対象物についての偏光依存OCT分析が可能になる。
【0056】
図8Cは、図2および図3の2つのファイバプローブと類似する第2の実施形態にかかる偏光高感度型のプローブ100Eを示す。この偏光高感度型のプローブ100Eは、標準的な平衡型受光器/相対強度雑音(RIN)低減方式に適合し、また、それ自体と干渉するサンプル信号からの自己相関アーチファクトを抑制する。
【0057】
より詳細には、OCT分析システムからのOCT信号は、第1のOCT/干渉信号ファイバ106および第2のOCT/干渉信号ファイバ108、またはこれらファイバ106,108のうちの一方で伝搬される。これらファイバ106,108はPMファイバである。
【0058】
次に、光は、参照アーム光ファイバ130と信号アーム光ファイバ132(いずれもPMファイバで構成されている)の間の50/50干渉/OCT信号PMファイバカプラ112によって結合される。
【0059】
参照アーム光ファイバ130上のOCT信号は、部分反射器118に伝送される。一例では、この部分反射器118は、参照アーム光ファイバ130で伝搬されるOCT信号光の10%未満(例えば、4%以下)を反射して戻す。代わりに、高反射率反射器と組み合わせて、減衰器120が用いられてもよい。いずれの場合も、4分の1波長板810が介在し、偏光をシフトさせ、戻ってくるOCT信号が、PMファイバの各軸に沿った偏光成分を有するようにする。
【0060】
信号アームPM光ファイバ132上の光は、走査ユニット150に伝送される。走査ユニット150は、先に説明したように、光学窓164を通して、対象物10に光を導く。戻ってきた光は、次に、光学窓164を通過して、走査ユニット150によって、信号アームPM光ファイバ132に結合される。
【0061】
参照アーム光ファイバ130上の戻ってきたOCT信号と、信号アーム光ファイバ132上の戻ってきた対象物からの光とが、50/50干渉/OCT PMファイバカプラ112内で結合される。この結合によって、各偏光に対する干渉信号が生成され、この干渉信号は、第1および第2のOCT/干渉PMファイバ106、108上で、電気光コネクタ110を介してOCT分析システムに送り返される。
【0062】
図9は、一体型参照アームを含むOCTプローブ100Fを示す。この例においては、掃引レーザ光源からのOCT信号は、OCT/干渉信号光ファイバ410で伝送される。OCT信号は、プローブ本体422に結合される。好ましい実施形態においては、勾配屈折率ファイバ(graded index fiber)420が介在し、OCT/干渉信号光ファイバ410をプローブ本体422に接続(連結)する。勾配屈折率ファイバ420は、OCT信号を平行にし(コリメートし)、光プローブ本体422を介して伝送されるビーム440が平行光になるようにする。光が界面(インターフェース(interface))424を通過して、矢印134のように走査する走査折り返しミラー158に導かれる。これにより、OCT信号ビーム156は、対象物10の全体にわたって走査される。
【0063】
対象物から戻る光は、走査折り返しミラー158によって、界面424を介して導かれ、勾配屈折率420を介してOCT/干渉信号ファイバ410に戻るように導かれる。
【0064】
プローブ本体422は、一体型参照アームを有する。詳細には、界面424は部分反射器であるため、OCT信号ビーム440の一部(典型的には10%未満)が、透過性プローブ本体422内にある参照アームに導かれ、高反射コーティングを有する界面428に導かれる。界面428は光を反射して界面424に戻して、対象物から戻る光を混合つままり結合することにより、干渉信号を生成する。この干渉信号は、勾配屈折率ファイバ420を介してOCT/干渉信号ファイバ410に結合される。
【0065】
一実施形態においては、この一体型OCTプローブは、偏光依存OCT分析を行う。この例では、4分の1波長板430が、界面428でプローブ本体422に取り付けられている。4分の1波長板430は、光が両方の軸に沿って偏光されるように、光を回転させる。そして、OCT/干渉信号ファイバ410は偏光保持ファイバである。
【0066】
図10Aは、図8Aおよび図9の偏光高感度型の共通経路プローブに適合可能な、掃引光源を有する偏光高感度型OCTシステム200Eの第1の実施形態を示す。この実施形態では、システム内の光ファイバの全てが、偏光保持ファイバである。
【0067】
より詳細には、掃引レーザ光源212は、システムのPMファイバ、特に掃引光源光ファイバ235に用いられるPMファイバの遅軸と整列した(合致した)、線形偏光された出力を提供する。OCT/振幅基準ファイバカプラ214も同様に、振幅パスマッチファイバ216とOCTプローブのPMファイバ240に光を分配するPMファイバカプラである。好ましくは、OCT/振幅基準ファイバカプラ214は、不平衡(均等に分配しない(unbalanced))カプラであるため、OCT信号の大部分(すなわち、90%超、好ましくは95%以上)がサンプルに送出される。OCTプローブ光ファイバ240上のOCT信号光は、干渉信号サーキュレータ242を通過し、OCTプローブ光ファイバ240、ならびに、場合によっては、ユニット光コネクタ218、アンビリカルケーブル205およびプローブコネクタ110を介して、参照プローブ100に伝送される。
【0068】
次に、参照プローブ100から戻る干渉信号は、検出器のPM光ファイバ910の全長を通過するようにサーキュレータ242によって導かれる。このファイバ910は、光検出器918、920と、検出器の信号をサンプリングするのに用いられる制御器210のアナログデジタル変換器との間に存在するアンチエイリアシングフィルタ912によって遮断される周波数において、平行な偏光と垂直な偏光との混合が発生するような長さを有する。例えば、アンチエイリアシングフィルタ912が5mmよりも大きい変位のOCT画像情報を除去する場合、遅軸および速軸の光に対する戻りが伝搬距離において5mmよりも大きく分離するだけ、ファイバは十分な長さでなければならない。典型的なファイバ長さは、数mの変位に対して、数十メートルである。
【0069】
ファイバ型光部品またはバルク型光部品を用いて実現できる、干渉信号偏光スプリッタ914は、異なる偏光の2つの信号を分離し、それら信号を別個の検出器、すなわち、平行偏光検出器918と垂直偏光検出器920とに振り分ける。
【0070】
システム制御器210は、2つの偏光の干渉信号を別個に処理することによって、2つの画像を生成して表示する。すなわち、第1の画像は、サンプル10から散乱した光が掃引光源212によって生成された照射光と同一の偏光を有し(つまり平行光を有する画像)、第2の画像は、散乱した光がその照射光に対して垂直に偏光されている場合の画像である。
【0071】
図10Bは、図8Cにおける偏光依存性の2ファイバのプローブと適合可能な偏光高感度型OCT分析システム200Fを示す。
【0072】
この例では、掃引光源212によって生成されたOCT信号は、掃引光源光ファイバ235で、干渉信号サーキュレータ252に伝送され、OCTプローブ光ファイバ240で、場合によっては、ユニット光コネクタ218、アンビリカルケーブル205、およびプローブコネクタ110を介して、光プローブ100に伝送される。OCTプローブからの干渉信号は、次に、干渉信号光ファイバ244およびOCTプローブ光ファイバ240で受信される。OCTプローブ光ファイバ240で戻る干渉信号光は、サーキュレータ252によって検出器に導かれる。干渉信号光ファイバ244上で受信される干渉信号は、サーキュレータ254によって検出器に導かれる。
【0073】
図10Aの実施形態と同様に、各検出器への光路には長いPMファイバ910a、910bを用いて、平行波と垂直波との交差混合(クロスミキシング(cross mixing))を防止する。一方、PM検出器ファイバ910a、910bは、一致した長さを有する必要がある。
【0074】
第1の干渉信号偏光スプリッタ914aは、干渉信号サーキュレータ252から受信した干渉信号の偏光を分離する。第2の干渉信号偏光スプリッタ914bは、干渉信号サーキュレータ254から受信した干渉信号の偏光を分離する。
【0075】
各スプリッタ914a、914bからの垂直偏光干渉信号は、垂直平衡検出器248bによって検出され、平行偏光干渉信号は、平行偏光平衡検出器248aによって検出される。
【0076】
このシステムは、平衡検出を用いることで、図2および図3の偏光不感受性のシステム(偏光を検出しないシステム)のRIN低減特性および自己相関画像抑制特性を有する。上述した偏光混合(平衡偏光と垂直偏光が混ざること)を防ぐために、PMファイバ910a、910bは大きい長さを有する必要がある。PMファイバ910a、910bの長さをほぼ同一にする必要があり、これによって、伝搬遅延差が、検出器システムで生じる電気信号の最高周波数の逆数よりも大幅に小さくなる。
【0077】
図11Aは、本発明の原理に従って構成された一体型の偏光依存型OCTシステム500を示し、図8Aおよび図9のOCTプローブに適合可能である。
【0078】
一般に、一体型の偏光依存型OCTシステム500は、波長または周波数の同調光信号を生成する可変掃引レーザ光源サブシステム510と、レーザ510のOCT信号または放射が、スペクトル走査帯全体にわたってスペクトル同調されると、間隔を空けた周波数増分でkクロック信号を生成するクロックサブシステム520と、振幅基準および干渉信号検出器を含む検出器サブシステム530とを備える。kクロック信号は、アナログ/デジタル変換器(A/D)システム505のサンプリング(一般にはOCTサンプリング)を開始するのに用いられる。
【0079】
一体型偏光依存型OCTシステム500の検出器サブシステム530およびクロックサブシステム520は、共通の光学ベンチ550上に共に組み込まれている。このベンチは、微小光学ベンチ(マイクロ光学ベンチ)と称され、標準的なバタフライまたはDIP(デュアルインラインピン)密封パッケージ560内に収まるように、典型的には、20mm×30mmよりも小さく、好ましくは、10mm×20mmよりも小さい寸法である。一実施例においては、このベンチは窒化アルミニウムから作製されている。ベンチ550の温度を制御するために、好ましくは、ベンチ550とパッケージ560の間に熱電冷却器561が配置されている(ベンチ550の裏側およびパッケージ560の内側の底面パネルの両方に取付け/はんだ結合される)。
【0080】
可変同調レーザ(tunable laser)510から偏光保持ファイバ512を経由してきたOCT信号光を集光し、平行に(コリメート)するために、入口のレンズ構造体514が用いられる。好ましくは、入口のレンズ構造体514は、設置後の位置合わせを可能にするように変形可能であるLIGA取付構造体と、レンズが形成されている透過性基材とを備える。この透過性基材は一般に、取付構造体にはんだまたは熱圧着で結合されており、この取付構造体は光学ベンチ550にはんだ結合されている。
【0081】
入口のレンズ構造体514は、レーザ510からの光を、入力ビームスプリッタ516として機能する部分反射10/90基材に結合する。大部分のビームが検出器サブシステム530に入り、残りのビームが、クロックサブシステム520に導かれる。一例では、レーザ510からの入力ビームのうち90%を超えるビームが検出器サブシステム530に導かれる。
【0082】
OCT信号光は、好ましくは、50/50スプリッタであるクロックビームスプリッタ522によってクロックサブシステム内で分配(分割)される。クロックビームスプリッタ522は、クロックエタロン524とkクロック検出器526に光を分配する。スプリッタ522によって反射されない光は、ビームダンプ素子に導かれる。このビームダンプ素子は光を吸収し、密封パッケージ560内の寄生反射を防止する。
【0083】
クロックエタロン524は、スペクトルフィルタとして機能する。このエタロン524のスペクトル形状(スペクトルの特徴)は、周波数が周期的であり、クロックエタロン524の構成材料(一例では石英ガラス)の屈折率およびクロックエタロン524の物理的長さに関係した、周波数増分(自由スペクトル領域(FSR)と称される)だけ、スペクトル的に間隔を空けている。代替方法では、エタロンは、小型化のために、シリコンのような他の高屈折率で高透過性の材料から作製されてもよいが、材料の光分散は、制御器/DSP505内部における追加処理によって補償される必要がある場合もある。また、ほとんど分散のなりエアギャップエタロンはさらなる代替物である。
【0084】
エタロンのスペクトル形状のコントラストは、対向する端面の反射率によって決定される。一例では、エタロンの端面における反射率は、エタロンの構成材料と周囲の気体または真空との間の屈折率の不連続性によって定まる。他の例では、対向する端面は、金属でコーティングされるか、または、好ましくは誘電体スタックミラーであり、これにより、高い屈折率が実現され、そのためコントラストは周期的なスペクトル形状となる。
【0085】
図示の例では、クロックエタロン524は反射作用する。クロックエタロンのFSRは、OCTシステムにおいて要求される走査深さに基づいて選択される。サンプルレートを定義する、クロックエタロンの周期的な周波数間隔は、サンプルの最大周波数周期成分の2倍であり、これにより、要求される画像深さを2倍にするように、クロックエタロンの光学的厚さを設定することを、ナイキスト基準は要求している。しかし、一般には、クロック発振器が用いられて、周期的な波形は電気的に2倍、3倍などの周波数にされるか(逓倍器528を参照)、または半分の周波数にして、所望のサンプルレートを得ることができるため、取り扱いに便利な長さのエタロンであって、パッケージ560内で光学ベンチ550上に容易に取り付けられる長さのエタロンが選択される。厚いエタロンは、高精度のサンプルレートのため、薄いエタロンに比べて、周波数走査の非線形性を良好に補償することができるが、寸法が大きくなって製造がより困難になるため、レーザの同調の直線性、システムの奥行き(depth)の必要条件および製造公差に応じて、妥協点が見出される。さらに、厚いエタロンは、安定性のあるクロックパルスを生成するのに匹敵するコヒーレンス長のレーザを必要とするため、レーザコヒーレンス長もエタロンの厚さの設計を決定するのに有効である。
【0086】
クロックエタロン524から戻るがビームスプリッタ522によって反射されない光は、検出器526により検出される。クロックエタロン524によって提供される反射トラフ/反射ピークを通して同調信号の周波数が走査すると、検出器526で検出された光は、出力の低下および増加によって特徴付けられる。
【0087】
検出器の光電流が増幅されて調節される。クロック信号は、OCTシステムの用途およびバタフライ型パッケージ560内の適当なエタロン(または他のクロック干渉計)の寸法についての必要条件に応じて、逓倍器/分周器528によって周波数が逓倍または分周される。いくつかの実施形態では、デジタル遅延線をさらに逓倍器回路528に加えて、プローブ400までの往復の光遅延を補償する。
【0088】
入力ビームスプリッタ516を透過したOCT信号は、検出器サブシステム530に入る。検出器サブシステム530は、OCT信号の一部(典型的には、10%未満)を振幅基準検出器564に導く振幅基準スプリッタ562を備えている。検出器564は、OCT信号内の振幅雑音を検出するために用いられる。
【0089】
振幅基準スプリッタ562を透過した光は、平行検出器スプリッタ566、偏光ビームスプリッタ568を通過し、出口のレンズ構造体518によってOCT/干渉信号光ファイバ410に結合され、偏光依存型のOCTプローブ400に達する。
【0090】
OCTプローブ400から戻る干渉信号は、偏光ビームスプリッタ568によって、2つの偏光に分離される。干渉信号のうち、レーザ510からのOCT信号の偏光に垂直な部分が、垂直干渉信号検出器570の方向に導かれて検出される。干渉信号のうち、レーザ510からのOCT信号の偏光に平行で、かつ偏光ビームスプリッタ568を通過する偏光を有する部分が、平行検出器スプリッタ566により導かれ、平行干渉信号検出器572によって検出される。
【0091】
kクロック信号が、サンプリングクロックとして、デジタル信号処理およびアナログ検出器サンプリングシステム505によって用いられ、振幅基準信号、平行検出器信号、および垂直検出器信号のサンプリングを開始する。この情報を用いてフーリエ変換が実行され、2つの偏光における偏光依存型のOCT画像を含む、対象物の画像が再構成される。
【0092】
図11Bは、バタフライ型パッケージ560内の一体化された偏光依存型OCTシステム500の1つの物理的な実施例を示す。この例においては、パッケージ560の蓋を取り除いて、ベンチ560の構成部品を見えるようにしている。この図はまた、レンズ基材Lをベンチ560に取り付けるLIGA構造体Sも示している。
【0093】
図12は、本発明の原理に従って構成された、別の一体型OCTシステム600を示す。このシステムは、掃引光源610、kクロックシステム520、検出器システム530および参照アーム660を、密封パッケージ560内のベンチ550上に組み込んでいる。
【0094】
一般に、一体型レーザクロックシステム600は、可変同調レーザ掃引光源サブシステム610、クロックサブシステム520、および検出器サブシステム530を備える。可変同調レーザ掃引光源サブシステム610は、波長つまり周波数の同調OCT信号を生成するものである。クロックサブシステム520は、レーザ610の同調信号つまり放射がスペクトル走査帯全体にわたってスペクトル同調されると、間隔を空けた周波数増分でkクロック信号を生成するものである。クロック信号は、一般には、検出器システムのサンプリングを開始する(引き起こす)のに用いられる。
【0095】
可変同調レーザサブシステム610、クロックサブシステム520および検出器サブシステム530は、共通の光学ベンチ550上に共に組み込まれている。このベンチは、微小光学ベンチ(マイクロ光学ベンチ)と称され、標準的なバタフライまたはDIP(デュアルインラインピン)密封パッケージ560内に収まるように、通常は、20mm×30mmよりも小さく、好ましくは、10ミリメートル(mm)×20mmよりも小さい寸法である。一実施形態においては、このベンチは窒化アルミニウムから作製されている。ベンチ550の温度を制御するために、ベンチ550とパッケージ560の間に熱電冷却器562が配置されている(ベンチ550の裏面およびパッケージ560の内側の底面パネルの両方に取付け/はんだ結合される)。
【0096】
より詳細には、好ましい実施形態における可変同調レーザ610は、米国特許第7,415,049B2号に開示された可変同調レーザの設計に基づいている。上記特許の全内容は参照により本明細書に引用したものとする。
【0097】
本実施形態においては、可変同調レーザ610は半導体ゲインチップ652を備え、この半導体ゲインチップ652は、外部キャビティレーザ(ECL)を生成するように、微小電気機械(MEMS(micro-electro-mechanical))の傾斜した(角度を付けられた)反射型ファブリペロー可変同調フィルタ(tunable filter)654と対になっている。反射型ファブリペロー可変同調フィルタ654はキャビティ内同調素子であり、かつ可変同調ECLのレーザキャビティの1端または後側反射器を構成している。
【0098】
レーザキャビティ内には半導体光増幅器(SOA)チップ652が配置されている。本実施形態では、SOAチップ52の両ファセットは、チップ652に沿って長手方向に延びたリッジ導波路に対して傾斜し、SOAのバックファセット651とフロントファセット655は反射防止(AR)コーティングされている。部分反射基材662が反射体として作用し、レーザキャビティの前側反射器を構成する。
【0099】
SOA652の各端面ファセットから出る光を集光して平行に(コリメート)するために、2つのレンズ構造体660、662が使用される。レンズ構造体660、662は、それぞれ、設置後の位置合わせを可能にするように変形可能であるLIGA取付構造体と、レンズが形成される透過性基材とを備える。透過性部材は一般に、取付構造体にはんだまたは熱圧着で結合されており、この取付構造体は光学ベンチ550にはんだ結合されている。
【0100】
第1レンズ素子660は、SOA652のバックファセット(後面ファセット)と可変同調フィルタ654の間の光を結合する。SOA652のフロントファセット(前面ファセット)を出る光は、第2レンズ素子662によって、検出器サブシステム530に結合されている。
【0101】
傾斜した反射型ファブリペローフィルタ654は、多重空間モードの可変同調フィルタであり、このフィルタは湾曲した平板の光共振キャビティを有する。この光共振キャビティは、角度依存性の反射スペクトル応答であって、レーザキャビティに戻る応答を提供する。このフィルタの作用は、本願に引用して含めている米国特許第7,415,049B2号明細書に、より詳細に記載されている。引用した実施形態では、湾曲ミラーは、MEMS膜上に存在し、かつレーザキャビティに隣接するフィルタ654の一方側上に位置する。平面ミラーは他方側上に位置し、かつレーザキャビティと対向している。この平面ミラーは、好ましくは、湾曲ミラーよりも高い反射率を有する。ここで、反射における所望の反射率およびフィルタ654に必要な線幅を得るために、典型的には、平面ミラーの反射率は99.98%で湾曲ミラーの反射率は99.91%である。
【0102】
可変同調フィルタ654を透過した光はレーザキャビティの外部に出て、折り返しミラー614によって、クロックサブシステム520に入る。この折り返しミラーは、ベンチ550にはんだ結合された反射コーティング基材であり、可変同調レーザサブシステム610からの光ビームを折り返す。このため、システムの小型化が可能になる。
【0103】
次に、光は、好ましくは、クロックエタロン524に対して50/50スプリッタである、ビームスプリッタ522に達する。スプリッタ522を透過した光は、好ましくは、ビームダンプ素子に導かれ、ビームダンプ素子は光を吸収し、密封パッケージ560内の寄生反射を防止し、光がレーザキャビティおよび検出器に入るのを防ぐ。
【0104】
クロックエタロン524から戻る光は、検出器526によって検出され、kクロック信号を形成する。
【0105】
検出器サブシステム530は、可変同調レーザサブシステム610からOCT信号を受信する。このOCT信号は、振幅基準スプリッタ562および干渉/参照スプリッタ620を通過する。OCT信号は、出口のレンズ622によって対象物10上に集束される。OCT信号は、パッケージ560の側面に設けられた透過性窓630を通って密封パッケージ560を出る。
【0106】
干渉/参照スプリッタ620によって反射されたOCT信号は、参照アーム660に導かれる。この参照アーム660は、参照アームミラー626への参照アーム折り返しミラー624を含む。
【0107】
参照アームミラー624から戻る光は、干渉/参照スプリッタ620において、窓630によって受光されてレンズ622によって集束された、サンプル10からの光と混合または結合されて、干渉信号検出器628で検出される干渉信号を形成する。
【0108】
RINの影響を低減することによる信号対雑音比(SNR)の改善は、FFT処理の前に、検出器628からの干渉信号を検出器564からの振幅基準信号でデジタル的に除算することによって実行される。このOCTシステム600はA走査を実行するために小型のシステムであるが、パッケージ560またはサンプル10を移動させることによって、B走査も実行できる。さらに、いくつかの実施例においては、パッケージの出口のレンズの前にMEMSミラースキャナを組み込んで,サンプルまたはパッケージを移動することなくこの機能を実行してもよい。
【0109】
本発明を、本発明の好ましい実施形態を参照して詳細に示し、説明してきたが、当業者であれば、添付の特許請求項に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および細部において種々の変更が可能なことが理解されよう。
【符号の説明】
【0110】
112 干渉信号ファイバカプラ
160 ハンドピース収容体
164 光学窓
【関連出願】
【0001】
本願は、2008年5月15日出願の米国特許仮出願番号第61/053,241号の、米国特許法第119条(e)項に基づく利益を主張するものであり、上記出願の全開示内容は参照により本明細書に引用したものとする。
【背景技術】
【0002】
光コヒーレンス分析では、参照波と試験波の間の干渉現象、または試験波の2つの部分間の干渉現象を利用することにより、距離および厚さを測定し、対象物の屈折率を計算する。光コヒーレンストモグラフィ(OCT)は、例えば、顕微鏡スケールでリアルタイムに、生物組織の構造のような対象物の画像を提供できる、一般に断面の高解像度の画像化を実行するのに用いられる技法の一例である。光波が、対象物を通過して送られ、そしてコンピュータが、光波がいかに変化したかについての情報を使用することにより、対象物の断面画像を生成する。
【0003】
当初のOCT画像化技法は時間領域OCT(TD−OCT)であり、この技法ではマイケルソン干渉計装置における可動参照ミラーを用いている。別の種類の光コヒーレンス分析は、フーリエ領域のOCT(FD−OCT)と称される。他のOCT技法は、時間符号化周波数領域OCTおよび波長走査型(swept source)OCTである。これらの技法は、場合によっては時間符号化のFD‐OCTつまりTEFD‐OCTと称される、波長掃引光源および単一の検出器を使用するか、または、場合によってはスペクトル符号化FD‐OCTつまりSEFD‐OCTと称される、広帯域光源およびスペクトル分解検出器システムを使用する。FD‐OCTは、速度および信号対雑音比(SNR)において、時間領域OCT(TD‐OCT)に勝る利点を有する。
【0004】
TEFD‐OCTは、いくつかの点においてSEFD‐OCTに勝る利点を有する。スペクトル成分は、空間的分離による符号化はされないが、時間で符号化される。スペクトルは、連続的な周波数ステップでフィルタリングされるか生成され、フーリエ変換前に再構成(復元)される。
【0005】
プローブの設計はOCTシステムの設計の重要な側面であり、特に、医学的診断システムのような人体を分析することを目的としたシステムの設計の重要な側面である。一方で、プローブは、医師、看護師および臨床現場の技術者などの医療提供者による使用(反復使用もありうる)に耐えるように機械的に堅牢でなければならない。プローブはまた、意図する用途での使用によって生じる雑音に対しても強くなければならない。例えば、血管内分析用途用のOCTプローブシステムは、典型的には長く、大腿動脈のような少なくともアクセス箇所から、走査される冠状動脈または頸動脈まで延びることができる。さらに、多くの場合、プローブは、対象である動脈部分を通して引き戻される間にシース(外装)内において高速で回転し、円筒走査を発生する。ファイバに加わる何らかの付随する機械的応力によって、ファイバの長さは変化し、ねじれによって複屈折が生じる可能性がある。歯科用途のプローブは、典型的には、ハンドピース/光インターフェースをOCT分析システムまたはコンソールと接続する長いアンビリカルケーブル(導管(umbilical))を有する。OCT分析においては、アンビリカルケーブルとハンドピース/光インターフェースの両方への機械的衝撃によって発生する雑音は最小限にされるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、OCTシステムに加わる機械的運動および歪みの影響に起因する雑音と干渉を最小限にする、プローブおよびOCTシステムの設計に関する。本発明はまた、OCTレーザ光源からの振幅雑音に対して強い(堅牢な)光学設計に関する。各実施形態において、このような光学設計は、ハンドピース自体において、OCT干渉計の参照アーム(参照辺)と信号アーム(信号辺)からのOCT信号を結合する(組み合わせる)ことによって達成される。容易に小型のハンドピースに組み込まれるファイバカップラであって、走査ユニットおよびファイバ参照アームに接続されるファイバカップラによって、この結合は実行される。したがって、分析システムをプローブに接続するアンビリカルケーブルのようなシステムに対する運動および応力に起因する雑音は、その雑音が通常の雑音であって、干渉計の参照アームまたは信号アームのみに現れる雑音ではないので、OCT分析および/または画像化を無効にすることはない(損なうことはない)。いくつかの例では、振幅参照が実行されて、干渉信号に遅延合わせされることにより、アンビリカルケーブルなどの素子に付随する光遅延を補償する。また、偏光高感度型OCTシステムとともに、小型で堅牢な電気光機械的システムを実現する、一体型OCTシステムプローブも含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般に、一態様によると、本発明は、ハンドピース収容体、ハンドピース収容体内の参照アーム反射器、ハンドピース収容体内の干渉信号ファイバカプラ、およびハンドピース収容体に設けられた光学窓を備えた、光コヒーレンス・トモグラフィのプローブを特徴とする。前記干渉信号ファイバカプラは、コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)分析システムから光コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)信号を受信し、このOCT信号を参照光ファイバアーム(参照光ファイバ辺)と信号光ファイバアーム(信号光ファイバ辺)の間で分配するものである。前記光学窓を通して、信号光ファイバアームからのOCT信号が対象物(対象の物体)に送出され、また、前記光学窓を通して、対象物のOCT信号(物体OCT信号)が対象物から受信されて、信号光ファイバアームに結合される。対象物のOCT信号は、参照アーム反射器によって反射された参照光ファイバアームからのOCT信号と混合つまり結合されて、ハンドピース収容体からOCT分析システムに送信される干渉信号を生成する。
【0008】
一般に、別の態様によると、本発明は、光コヒーレンス・トモグラフィ法を特徴とする。この方法は、ハンドピース収容体内に配置された干渉信号ファイバカプラにおいてOCT分析システムからのOCT信号を受信して、参照光ファイバアームと信号光ファイバアームにOCT信号を分配する工程と、信号光ファイバアーム上のOCT信号を、ハンドピース収容体から対象物に送出し、ハンドピース収容体において対象物からの対象物OCT信号を受信し、対象物OCT信号を信号光ファイバアームに結合する工程と、対象物OCT信号を参照光ファイバアームからのOCT信号と結合して、干渉信号を生成する工程と、干渉信号をハンドピース収容体からOCT分析システムに伝送する工程とを備える。
【0009】
一般に、さらに別の態様によると、本発明は、光コヒーレンス・トモグラフィシステムを特徴とする。このシステムは、掃引レーザ光源、検出器システム、および制御器を備える。前記掃引レーザ光源は、ハンドピースに送出されるOCT信号を生成するものである。検出器システムは、ハンドピースから受信された干渉信号を検出するものである。制御器は、検出器システムの応答信号を用いて、対象物の画像を生成するものである。
【0010】
一般に、別の態様によると、本発明は、OCTプローブによって生成される干渉信号を検出する一体型光学システムを特徴とする。一体型光学システムは、密封パッケージ、この密封パッケージ内の光学ベンチ、検出器システム、およびビームスプリッタシステムを備える。前記検出器システムは、干渉信号を検出するベンチに取り付けられている。前記ビームスプリッタシステムは、ベンチに取り付けられており、掃引レーザ光源からのOCT信号をOCTプローブに結合し、OCTプローブからの干渉信号を検出器システムに結合するものである。
【0011】
一般に、別の態様によると、本発明は、一体型OCTシステムを特徴としている。このシステムは、光学窓を有する密封パッケージ、この密封パッケージ内の光学ベンチ、光学ベンチに取り付けられた掃引レーザ光源システム、および光学ベンチに取り付けられた検出器システムを備える。前記掃引レーザ光源システムは、OCT信号を生成するものである。前記検出器システムは、干渉信号を検出するものである。ビームスプリッタシステムがベンチに取り付けられている。ビームスプリッタシステムは、掃引レーザ光源からのOCT信号を、光学窓を通して対象物に結合し、OCT信号の一部を参照アームに結合し、参照アームから戻る光を検出器システムに結合し、対象物から戻る光を検出器システムに導く。
【0012】
部品の構成および組み合わせの様々な新規な詳細項目を含む、本発明の上記および他の特徴と、他の利点とを、添付図面を参照して次により詳細に説明し、特許請求の範囲に示す。本発明を具体化する特定の方法および装置は、例証として示され、本発明を制限するものではない。本発明の原理および特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく様々な実施形態において採用されてもよい。
【0013】
添付図面においては、参照符号は、異なる図面であっても同一部品を指す。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本発明の原理を示すことに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる光コヒーレンストモグラフィ(OCT)プローブの概略図である。
【図2】本発明の第2の実施形態にかかるOCTプローブの概略図である。
【図3】本発明の第3の実施形態にかかるOCTプローブの概略図である。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかるOCTシステムの概略図である。
【図5】本発明の第2の実施形態にかかるOCTシステムの概略図である。
【図6】本発明の第3の実施形態にかかるOCTシステムの概略図である。
【図7】本発明の第4の実施形態にかかるOCTシステムの概略図である。
【図8A】本発明の第1の実施形態にかかる偏光感度を提供するOCTプローブ(偏光プローブ)の概略図である。
【図8B】入力信号、参照信号および戻り信号の偏光を示す図である。
【図8C】本発明の第2の実施形態にかかる偏光感度を提供するOCTプローブ(偏光プローブ)の概略図である。
【図9】一体化された参照経路を含むOCTプローブの光学部品の平面図である。
【図10A】本発明の第1の実施形態にかかる偏光高感度型OCTシステム(偏光システム)の概略図である。
【図10B】本発明の第2の実施形態にかかる偏光高感度型OCTシステム(偏光システム)の概略図である。
【図11A】本発明にかかる一体型OCTエンジンの概略平面図である。
【図11B】本発明にかかる一体型OCTエンジンの斜視図である。
【図12】本発明にかかる一体型OCTエンジン/プローブの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の原理に従って構成されている、光コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)プローブ100Aを示す(第1の実施形態にかかるプローブ)。
【0016】
一般に、プローブ100は、ハンドピース収容体(ハンドピースハウジング)160を備えている。このハンドピース収容体は、典型的には、OCTシステムのオペレータによって把持されものである。ハンドピース収容体はOCT分析ユニットに接続される剛性部分によって特徴付けられるものであり、可撓性または屈曲性(articulated)のアンビリカルケーブルが介在している。
【0017】
収容体160は光学窓素子164を備え、この光学窓素子164は、OCTシステムにスプリアス反射が戻るのを防ぐために、典型的には、傾けられ、反射防止コーティングされている。この光学窓素子164は、OCTシステムが作動する光周波数に対して透過性を有する。一例においては、OCTシステムは近赤外線で作動する。いくつかの実施形態では、光学窓164はまた、可視光周波数に対して透過性を有し、これにより、可視照準ビームが光学窓を通過して、目に見えない赤外線OCT信号が対象物10を照射している箇所を示すことができる。
【0018】
一実施例におけるハンドピース160は、電気光コネクタ110を有する。この電気光プローブコネクタ110によって、オペレータは、OCT分析システムに対する接続およびOCT分析システムからの切断を行うことができる。一例では、この電気光プローブコネクタ110は、電気制御信号とともに、プローブシステム100と分析システムの間で、OCT信号および干渉信号を提供する。
【0019】
他の実施形態では、アンビリカルケーブルがプローブと一体化されており、コネクタ110は使用されない。
【0020】
より詳細には、波長走査型レーザ(掃引レーザ光源(swept source laser))からの光のようなOCT信号は、コネクタ110を介してOCT分析システムから受信され、OCT/干渉信号光ファイバ106に結合される。OCT/干渉信号ファイバ106は、OCT分析システムから受信したOCT信号を干渉/OCT信号カプラ112に結合する。一例では、この干渉/OCT信号カプラ112は、90/10%の(90%と10%に分割する)ファイバカプラであるため、2つの出力ポートの間で光を均等に分配するわけではない。詳細には、干渉/OCT信号カプラ112は、OCT/干渉信号ファイバ106で受信したOCT信号を参照アーム光ファイバ130および信号アーム光ファイバ132に提供するが、この例では、大部分の光(すなわち、90%以上)は信号アーム光ファイバ132上にある。
【0021】
参照アーム光ファイバ130は、好ましくは完全にハンドピース収容体160内に組み込まれた干渉計の参照アームを構成する。詳細には、参照アーム光ファイバ130は反射器116で終端する。一例では、反射器116は、参照アーム光ファイバ130の端部における単なる高反射コーティングである。例示的な高反射コーティングには、参照アーム光ファイバ130の端面に蒸着(付着)された誘電体積層コーティングおよび金属化端面コーティングが含まれる。他の例では、反射器116は、別個のミラー素子として実現され、場合によっては、参照アーム光ファイバ130の端面と反射ミラーの間で光を平行にし(コリメートし)、結合するための別個のレンズを含む。
【0022】
信号アーム光ファイバ132は、受信したOCT信号を走査ユニット150に伝送する。走査ユニット150は、対象物10と信号アーム光ファイバ132の間でOCT信号を結合する。
【0023】
図示された実施形態においては、走査ユニット150は、信号アーム光ファイバ132の端面に固定された(取り付けられた)、ガラスまたは透過性の付加的なスペーサ152を備える。このスペーサ152が、信号アーム光ファイバ132の端面を、GRIN(勾配屈折率(graded refractive index))レンズ素子154から間隔を空けている。GRINレンズ素子154は、寄生反射を防ぐために、傾斜した出力ファセットを有する。このGRINレンズ154は、信号アーム光ファイバ132からのOCT信号をサンプル10に上に集束する。自由空間光ビーム156が折り返しミラー(偏向ミラー)158に導かれ、折り返しミラー158は、光学窓164を通してOCT信号ビーム156を対象物10に導く。次に、対象物10から戻る光が、光学窓164を通って戻って結合して、折り返しミラー158で反射し、GRINレンズ154とスペーサ素子152とを通って信号アーム光ファイバ132内に戻って結合する。
【0024】
好ましい実施形態では、折り返しミラー158は走査ミラーである。詳細には、折り返しミラー158は、矢印134で示されているように、x軸およびy軸方向に傾き、傾斜する(tip and tilt)ように駆動される。一実施形態では、折り返しミラー158は微小電気機械システム(MEMS(micro-electro-mechanical system))ミラーであり、このMEMSミラーは、対象物10の3次元画像を生成するために、OCT信号ビーム156を対象物10全体にわたって走査(例えば、ラスタ走査)する。
【0025】
典型的な実施形態においては、ハンドピース収容体160はまた、1つ以上の電気制御スイッチ162を支持している。これら制御スイッチ162は、制御線170を経由して光電気コネクタ110を介しOCT分析システムに結合されている。オペレータはこれらスイッチを用いて、対象物10のOCT分析中に、OCT走査を開始および終了させ、可視照準レーザを起動する。好ましくは、スイッチ162を用いて、走査ミラー158を電子的に駆動および制御する。
【0026】
信号アーム光ファイバ132上で対象物10から戻る光は、干渉/OCT信号カプラ112において、参照アーム光ファイバ130で反射器116から戻る光と結合される。この結合によって、電気光コネクタ110を介して、OCT/干渉信号光ファイバ106上でOCT分析システムに送信される干渉信号が生成される。
【0027】
典型的なファイバカプラは4ポートシステムであるため、干渉信号光の一部はまた、終端部114で終端する第4のアームに結合される。この光は、この例示的な実施形態では利用されない。別の方法では、3ポートカプラが他の実施例において用いられる。参照アーム光ファイバ130の長さは、対象物の走査深さを制御するのに重要である。詳細には、平面175が、OCTシステムのゼロ距離の仮想基準面となるように、参照アーム光ファイバ130の長さが選択される。このため、参照アーム光ファイバ130の光路長は、信号アーム光ファイバ132の光路長、透過性スペーサ152の光路長、GRINレンズ素子154の光路長、および窓164を含む基準面175までの自由空間経路の光路長の合計に等しくされる。
【0028】
プローブ100は、ある意味では「共通経路」プローブであり、OCTシステムに戻る1つのファイバ接続を備える。これは、典型的には、何らかの相対強度雑音(RIN)低減システムにおいて用いられるであろう。1つのオプションは、一方の検出器においてプローブからの入力を受信し、他方の検出器においてレーザ振幅信号を受信するために、平衡型受光器を用いることである(2009年2月19日にKempらによって出願された米国特許公開公報第2009/0046295A1号の図13)。別のオプションは、レーザ出力モニタの信号に対するプローブ信号の比率を求めることである(”Normalization detection scheme for high-speed optical frequency-domain imaging and reflectometry”、Sucbei MoonおよびDug Young Kim著、2007年11月12日、OPTICS EXPRESS 15129、第15巻、23号)。
【0029】
図2は、第2の実施形態にかかるOCTプローブ100Bを示す。この実施形態は、第1の実施形態にかかるプローブとほぼ同一であるが、2つのOCT/干渉信号ファイバ106、108を用いて、OCTプローブ100をOCT分析システムに光学的に接続している点が異なる。このプローブは、標準的な平衡型受光器/相対強度雑音(RIN)低減方式に適合しており、また、それ自体と干渉するサンプル信号からの自己相関アーチファクトを抑制する。
【0030】
より詳細には、OCT分析システムからのOCT信号は、典型的には、第1のOCT/干渉信号ファイバ106および第2のOCT/干渉信号ファイバ108、またはこれらのファイバ106,108のうちの一方のみの可撓性のアンビリカルケーブルを通して、電気光コネクタ110を介して受信される。
【0031】
次に、光は、参照アーム光ファイバ130と信号アーム光ファイバ132の間の50/50干渉/OCT信号カプラ112(参照アーム光ファイバ130に50%で、信号アーム光ファイバ132に50%の比率で分割するカプラ)によって結合される。
【0032】
参照アーム光ファイバ上のOCT信号は、部分反射器118に伝送される。一例では、この部分反射器118は、参照アーム光ファイバ130で伝搬されるOCT信号光の10%未満(例えば、4%以下)を反射して戻す。一例では、この部分反射器118は、光ファイバ130の端面の誘電体積層または金属コーティングとして実現される。
【0033】
信号アーム光ファイバ132上の光は、走査ユニット150に伝送される。このユニット150は、先に説明したように、光学窓164を通して光を対象物10に導く。戻ってきた光は、次に、光学窓164を通過し、走査ユニット150によって、信号アーム光ファイバ132に結合される。
【0034】
参照アーム光ファイバ130で戻るOCT信号と、信号アーム光ファイバ132で戻る対象物からの光とが、50/50干渉/OCT信号カプラ112内で結合される(組み合わされる)。この結合によって干渉信号が生成され、干渉信号は、第1のOCT/干渉信号ファイバ106および第2のOCT/干渉信号ファイバ108で、OCT分析システムに電気光コネクタ110を介して送り返される。
【0035】
図3は、第3の実施形態にかかるOCTプローブシステム100Cを示す。この実施形態は、図2の第2の実施形態にかかるOCTプローブシステムと同様である。第3の実施形態が第2の実施形態と異なる点は、参照アームの構成である。この例では、参照アーム光ファイバ130は、参照アーム光ファイバ130で伝搬されるOCT信号を減衰させる減衰器120を含む。減衰器120を通過した光は、次に、高反射性の端面116で反射される。高反射性の端面は、典型的には、図1の第1の実施形態にかかるプローブに関して説明したように実現されている。反射器116から戻るOCT光は、減衰器120を介してから参照アーム光ファイバ130を通過して、干渉/OCT信号カプラ112に達する。
【0036】
図2の実施形態に関連する潜在的な問題は、部分反射器118を透過した光が分散することである。この透過した光は、その後ハンドピース収容体160内に存在する可能性があり、干渉源として作用する可能性がある。すなわち、透過光は参照アーム光ファイバ130に戻されて結合してマルチパス干渉を形成するか、または、対象物10に伝送されて対象物10から戻されるOCT信号と干渉する可能性がある。この潜在的な問題は、減衰器120を用いて、参照アームにおける余分なOCT信号光を吸収し、干渉を確実に生じさせないことを保証することによって、図3の実施形態で解決される。いくつかの例では、減衰器120は、ファイバのマイクロベンディング、損失性ファイバ接合、またはその他の手段によって実現される損失素子である。
【0037】
図4は、図1のOCTプローブに適合するOCT分析システム200Aを示す。詳細には、OCT分析システム200Aは、典型的には、可撓性または屈曲性のアンビリカルケーブル205によって、プローブ100に電気的および光学的に接続される。詳細には、このアンビリカルケーブルは、OCT分析システムの電気光コネクタ218とプローブコネクタ110の間を延びる。この可撓性アンビリカルケーブル205によって、参照プローブ100は、患者のような対象物の周りを移動されるため、その患者の対象領域(例えば、いくつかの例では、患者の歯または皮膚)の分析が可能になる。
【0038】
プローブ100で受信されるOCT信号は、好ましい実施形態では、掃引レーザ光源212によって生成される。例示的な光源として、2009年3月2日に出願され、発明の名称が”Optical Coherence Tomography Laser with Integrated Clock(一体型クロックを備えた光コヒーレンストモグラフィ用レーザ光源)”のFlandersらによる米国特許出願第12/396,099号に記載されている光源がある。上記出願は参照により本明細書に引用したものとする。
【0039】
掃引レーザ光源によって生成されたOCT信号は、掃引光源光ファイバ235における50/50OCT/振幅基準ファイバカプラ214に伝送される。この50/50カプラ214によって、掃引光源212からのOCT信号が、振幅基準ファイバ216とOCTプローブ光ファイバ240とに分配される。このOCTプローブ光ファイバ240は、50/50カプラ214からユニットコネクタ218にOCT信号を伝送する。同様に、参照プローブ100から戻る干渉信号は、プローブ光ファイバ240におけるユニットコネクタ218を介して受信され、その後、50/50OCT/振幅基準ファイバカプラ214によって分配される。
【0040】
パスマッチ(経路合致(pass match))光ファイバ216は、OCT/振幅基準ファイバカプラ214と参照プローブ110の間の光遅延と、カプラ214から干渉信号フォトダイオード検出器230への遅延との和の2倍に相当する長さを有する。このようにして、パスマッチ光ファイバによって生じた遅延は、プローブ100へのOCT信号とプローブから光ファイバ240に戻る干渉信号とに関連している合計遅延に一致する。次に、パスマッチ光ファイバ216を通して伝送されたOCT信号光は、振幅基準フォトダイオード検出器220によって検出される。検出器220によって検出されたOCT信号光は、制御器210によってサンプリングされ、システム内の振幅雑音を掃引光源212から除去するのに用いられる。
【0041】
OCTプローブ100から戻り、OCTプローブ光ファイバ240で受信された干渉信号は、50/50OCT/振幅基準ファイバカプラ214を通して干渉信号検出器230に伝送される。この検出器は、制御器210によってその後にサンプリングされる光を検出する。
【0042】
一例では、振幅基準検出器220と干渉検出器230とは組み合わされて平衡型検出器システムとなり、干渉信号内の掃引光源212からの振幅雑音を除去する。この場合、2つの検出器における光出力レベルのバランスを取る必要がある(例えば、2009年2月19日にKempらによって出願された米国特許公開公報第2009/0046295A1号の図13における同様のRIN低減方式を参照のこと)。代わりに、RIN低減のために、振幅基準検出器220からの信号が、例えば、検出器230からの干渉信号によって、制御器212内でデジタル的に除算されてもよい(”Normalization detection scheme for high-speed optical frequency-domain imaging and reflectometry”、Sucbei MoonおよびDug Young Kim著、2007年11月12日、OPTICS EXPRESS 15129、第15巻、23号)。
【0043】
図5は、図1のプローブに適合可能なOCT分析システムについての第2の実施形態にかかるシステム200Bを示す。このシステムは、利用可能な光出力をより効率的に利用するが、より高価な構成部品を含む。
【0044】
第2の実施形態にかかるシステム200Bは、不均衡型のOCT/振幅基準ファイバカプラ214を用いて、掃引光源212からのOCT信号を、振幅基準パスマッチファイバ216とOCTプローブ光ファイバ240に分配する。OCTプローブ光ファイバ240におけるOCT信号光は、干渉信号サーキュレータ242を通過して、ユニットの電気光コネクタ218を介して参照プローブ100に伝送される。次に、参照プローブ100から戻る干渉信号は、サーキュレータ242によって、干渉信号検出器230に導かれる。
【0045】
サーキュレータ242を用いることによって、図4と比べて、光学的により効率のよいシステムとなる。なぜならば、この実施形態の95/5%のOCT/振幅基準ファイバカプラ214によって、振幅基準を生成するのには少量のOCT信号しか用いずに、掃引光源212によって生成されるOCT信号の大部分(90%よりも多く、好ましくは95%以上)を、対象物に導くことができるからである。
【0046】
図6は、図2および図3のプローブに適合可能な第3の実施形態にかかるOCT分析システム200Cを示す。この例では、掃引光源212によって生成されるOCT信号は、掃引光源光ファイバ235で干渉信号サーキュレータ242に伝送され、次に、OCTプローブ光ファイバ240で、ユニットコネクタ218を介して光プローブ100に伝送される。OCTプローブからの干渉信号は、次に、干渉信号光ファイバ244およびOCTプローブ光ファイバ240で受信される。OCTプローブ光ファイバ240に戻る干渉信号光は、干渉信号サーキュレータ242によって、平衡型検出器248に導かれる。干渉信号光ファイバ244で受信された干渉信号は、平衡型検出器248に直接結合される。
【0047】
平衡型受光器は、システムの信号対雑音比に対するRINの影響を軽減する。図4および図5における共通経路プローブシステムは、また、RINの影響を軽減する方法を有する。2つのファイバプローブ(図2および図3)ならびにこれらファイバプローブに対応するシステム(図6)の主な利点は、自己相関画像(それ自体と干渉するサンプル光)が大幅に減衰されることである。
【0048】
各実施例では、平衡型受光器248は、自動平衡型受光器である(一例として、New Focus社製造の部品番号2017がある)。自動平衡型受光器は、2つの検出器に入射する不整合な(不一致の)光波信号が存在する場合であっても、自動的に、この2つの検出器からの電気信号を均衡させる(電気信号のパランスを取る)。
【0049】
図7は、2つのファイバプローブの実施形態に対して、2つのサーキュレータ252、254を用いる、第4の変形実施形態にかかるOCTシステムの200Dを示す。この構成は、図6の構成と同様である。異なる点は、この構成では、「ダミー」のサーキュレータ254(1つのポートは使用していない)を組み込むことにより、平衡型受光器248の2つの検出器に現れる光波信号を均衡させるのに役立つ。干渉信号サーキュレータ252、254が厳密に一致している場合は、波長に対して同様の光損失を有し、2つの検出器に対する光波信号がほぼ等しくなる。干渉信号サーキュレータ252、254がより厳密に一致していると、自己相関画像の信号対雑音性能および減衰が改善される。追加の循環(サーキュレーション)、つまり追加のサーキュレータ254によって一致がより良好になることは、費用および性能に関して、自動平衡型検出器を用いるよりも好ましいであろう。
【0050】
図8Aは、OCTプローブ100の第1の実施形態にかかる偏光高感度型のプローブ100Dを示す。一般に、このOCTプローブは、図1の第1の実施形態にかかるプローブと同様であるため、図1に関する説明がここで当てはまる。異なる点として、このプローブ100Dは、偏光依存または偏光高感度型のOCT分析が可能な点である。詳細には、プローブ100Dによって、対象物10のOCT信号および偏光特性の分析が可能となる。
【0051】
より詳細には、OCT/干渉信号ファイバ106で受信されたOCT信号は、半導体外部キャビティレーザシステムからの信号のような、高度に偏光された信号である。偏光を維持するために、OCT/干渉信号ファイバ106は偏光保持光ファイバである。
【0052】
詳細には、図8Bに示すように、掃引光源OCT信号の偏光が、OCT/干渉信号ファイバ106に用いられる偏光保持(PM)ファイバ106の1つの遅軸(遅相軸(slow axis))に従って偏光される。偏光190を参照のこと。
【0053】
偏光されたOCT信号は、50/50偏光保持ファイバカプラである干渉/OCT信号カプラ112によって分配つまり分割される。偏光されたOCT光は、PMファイバである参照アーム光ファイバ130で反射器116に伝送される。この実施形態では、4分の1波長板(1/4波長板)810が介在している。この介在によって、光の偏光が22(1/2)度、つまり22.5度回転する。その結果、戻ってきたOCT信号光は、入力されたOCT信号に対して平行に偏光される部分と、入力されたOCT信号に垂直に偏光される部分の両方を有する。図8Bの偏光192を参照のこと。
【0054】
PM干渉/OCT信号カプラ112を通して、PM光ファイバである信号アーム光ファイバ132に伝送されるOCT光は、先に説明したように、走査システム150によって、対象物10に導かれる。
【0055】
しかし、対象物10から戻る光は、ここで、対象物10の複屈折特性に従って、場合によっては偏光されるため、軸190およびさらには速軸(速相軸(fast axis))194に沿って調整された偏光を有する。図8Bを参照のこと。次に、対象物10から戻る信号光は、PMカプラ112によって、参照アーム光ファイバ130から戻る2つの偏光と結合される。したがって、この光は、次に、OCT信号/干渉信号光ファイバ106で、OCT分析システムに戻る。ここでは、干渉信号は2つの偏光を有するため、対象物についての偏光依存OCT分析が可能になる。
【0056】
図8Cは、図2および図3の2つのファイバプローブと類似する第2の実施形態にかかる偏光高感度型のプローブ100Eを示す。この偏光高感度型のプローブ100Eは、標準的な平衡型受光器/相対強度雑音(RIN)低減方式に適合し、また、それ自体と干渉するサンプル信号からの自己相関アーチファクトを抑制する。
【0057】
より詳細には、OCT分析システムからのOCT信号は、第1のOCT/干渉信号ファイバ106および第2のOCT/干渉信号ファイバ108、またはこれらファイバ106,108のうちの一方で伝搬される。これらファイバ106,108はPMファイバである。
【0058】
次に、光は、参照アーム光ファイバ130と信号アーム光ファイバ132(いずれもPMファイバで構成されている)の間の50/50干渉/OCT信号PMファイバカプラ112によって結合される。
【0059】
参照アーム光ファイバ130上のOCT信号は、部分反射器118に伝送される。一例では、この部分反射器118は、参照アーム光ファイバ130で伝搬されるOCT信号光の10%未満(例えば、4%以下)を反射して戻す。代わりに、高反射率反射器と組み合わせて、減衰器120が用いられてもよい。いずれの場合も、4分の1波長板810が介在し、偏光をシフトさせ、戻ってくるOCT信号が、PMファイバの各軸に沿った偏光成分を有するようにする。
【0060】
信号アームPM光ファイバ132上の光は、走査ユニット150に伝送される。走査ユニット150は、先に説明したように、光学窓164を通して、対象物10に光を導く。戻ってきた光は、次に、光学窓164を通過して、走査ユニット150によって、信号アームPM光ファイバ132に結合される。
【0061】
参照アーム光ファイバ130上の戻ってきたOCT信号と、信号アーム光ファイバ132上の戻ってきた対象物からの光とが、50/50干渉/OCT PMファイバカプラ112内で結合される。この結合によって、各偏光に対する干渉信号が生成され、この干渉信号は、第1および第2のOCT/干渉PMファイバ106、108上で、電気光コネクタ110を介してOCT分析システムに送り返される。
【0062】
図9は、一体型参照アームを含むOCTプローブ100Fを示す。この例においては、掃引レーザ光源からのOCT信号は、OCT/干渉信号光ファイバ410で伝送される。OCT信号は、プローブ本体422に結合される。好ましい実施形態においては、勾配屈折率ファイバ(graded index fiber)420が介在し、OCT/干渉信号光ファイバ410をプローブ本体422に接続(連結)する。勾配屈折率ファイバ420は、OCT信号を平行にし(コリメートし)、光プローブ本体422を介して伝送されるビーム440が平行光になるようにする。光が界面(インターフェース(interface))424を通過して、矢印134のように走査する走査折り返しミラー158に導かれる。これにより、OCT信号ビーム156は、対象物10の全体にわたって走査される。
【0063】
対象物から戻る光は、走査折り返しミラー158によって、界面424を介して導かれ、勾配屈折率420を介してOCT/干渉信号ファイバ410に戻るように導かれる。
【0064】
プローブ本体422は、一体型参照アームを有する。詳細には、界面424は部分反射器であるため、OCT信号ビーム440の一部(典型的には10%未満)が、透過性プローブ本体422内にある参照アームに導かれ、高反射コーティングを有する界面428に導かれる。界面428は光を反射して界面424に戻して、対象物から戻る光を混合つままり結合することにより、干渉信号を生成する。この干渉信号は、勾配屈折率ファイバ420を介してOCT/干渉信号ファイバ410に結合される。
【0065】
一実施形態においては、この一体型OCTプローブは、偏光依存OCT分析を行う。この例では、4分の1波長板430が、界面428でプローブ本体422に取り付けられている。4分の1波長板430は、光が両方の軸に沿って偏光されるように、光を回転させる。そして、OCT/干渉信号ファイバ410は偏光保持ファイバである。
【0066】
図10Aは、図8Aおよび図9の偏光高感度型の共通経路プローブに適合可能な、掃引光源を有する偏光高感度型OCTシステム200Eの第1の実施形態を示す。この実施形態では、システム内の光ファイバの全てが、偏光保持ファイバである。
【0067】
より詳細には、掃引レーザ光源212は、システムのPMファイバ、特に掃引光源光ファイバ235に用いられるPMファイバの遅軸と整列した(合致した)、線形偏光された出力を提供する。OCT/振幅基準ファイバカプラ214も同様に、振幅パスマッチファイバ216とOCTプローブのPMファイバ240に光を分配するPMファイバカプラである。好ましくは、OCT/振幅基準ファイバカプラ214は、不平衡(均等に分配しない(unbalanced))カプラであるため、OCT信号の大部分(すなわち、90%超、好ましくは95%以上)がサンプルに送出される。OCTプローブ光ファイバ240上のOCT信号光は、干渉信号サーキュレータ242を通過し、OCTプローブ光ファイバ240、ならびに、場合によっては、ユニット光コネクタ218、アンビリカルケーブル205およびプローブコネクタ110を介して、参照プローブ100に伝送される。
【0068】
次に、参照プローブ100から戻る干渉信号は、検出器のPM光ファイバ910の全長を通過するようにサーキュレータ242によって導かれる。このファイバ910は、光検出器918、920と、検出器の信号をサンプリングするのに用いられる制御器210のアナログデジタル変換器との間に存在するアンチエイリアシングフィルタ912によって遮断される周波数において、平行な偏光と垂直な偏光との混合が発生するような長さを有する。例えば、アンチエイリアシングフィルタ912が5mmよりも大きい変位のOCT画像情報を除去する場合、遅軸および速軸の光に対する戻りが伝搬距離において5mmよりも大きく分離するだけ、ファイバは十分な長さでなければならない。典型的なファイバ長さは、数mの変位に対して、数十メートルである。
【0069】
ファイバ型光部品またはバルク型光部品を用いて実現できる、干渉信号偏光スプリッタ914は、異なる偏光の2つの信号を分離し、それら信号を別個の検出器、すなわち、平行偏光検出器918と垂直偏光検出器920とに振り分ける。
【0070】
システム制御器210は、2つの偏光の干渉信号を別個に処理することによって、2つの画像を生成して表示する。すなわち、第1の画像は、サンプル10から散乱した光が掃引光源212によって生成された照射光と同一の偏光を有し(つまり平行光を有する画像)、第2の画像は、散乱した光がその照射光に対して垂直に偏光されている場合の画像である。
【0071】
図10Bは、図8Cにおける偏光依存性の2ファイバのプローブと適合可能な偏光高感度型OCT分析システム200Fを示す。
【0072】
この例では、掃引光源212によって生成されたOCT信号は、掃引光源光ファイバ235で、干渉信号サーキュレータ252に伝送され、OCTプローブ光ファイバ240で、場合によっては、ユニット光コネクタ218、アンビリカルケーブル205、およびプローブコネクタ110を介して、光プローブ100に伝送される。OCTプローブからの干渉信号は、次に、干渉信号光ファイバ244およびOCTプローブ光ファイバ240で受信される。OCTプローブ光ファイバ240で戻る干渉信号光は、サーキュレータ252によって検出器に導かれる。干渉信号光ファイバ244上で受信される干渉信号は、サーキュレータ254によって検出器に導かれる。
【0073】
図10Aの実施形態と同様に、各検出器への光路には長いPMファイバ910a、910bを用いて、平行波と垂直波との交差混合(クロスミキシング(cross mixing))を防止する。一方、PM検出器ファイバ910a、910bは、一致した長さを有する必要がある。
【0074】
第1の干渉信号偏光スプリッタ914aは、干渉信号サーキュレータ252から受信した干渉信号の偏光を分離する。第2の干渉信号偏光スプリッタ914bは、干渉信号サーキュレータ254から受信した干渉信号の偏光を分離する。
【0075】
各スプリッタ914a、914bからの垂直偏光干渉信号は、垂直平衡検出器248bによって検出され、平行偏光干渉信号は、平行偏光平衡検出器248aによって検出される。
【0076】
このシステムは、平衡検出を用いることで、図2および図3の偏光不感受性のシステム(偏光を検出しないシステム)のRIN低減特性および自己相関画像抑制特性を有する。上述した偏光混合(平衡偏光と垂直偏光が混ざること)を防ぐために、PMファイバ910a、910bは大きい長さを有する必要がある。PMファイバ910a、910bの長さをほぼ同一にする必要があり、これによって、伝搬遅延差が、検出器システムで生じる電気信号の最高周波数の逆数よりも大幅に小さくなる。
【0077】
図11Aは、本発明の原理に従って構成された一体型の偏光依存型OCTシステム500を示し、図8Aおよび図9のOCTプローブに適合可能である。
【0078】
一般に、一体型の偏光依存型OCTシステム500は、波長または周波数の同調光信号を生成する可変掃引レーザ光源サブシステム510と、レーザ510のOCT信号または放射が、スペクトル走査帯全体にわたってスペクトル同調されると、間隔を空けた周波数増分でkクロック信号を生成するクロックサブシステム520と、振幅基準および干渉信号検出器を含む検出器サブシステム530とを備える。kクロック信号は、アナログ/デジタル変換器(A/D)システム505のサンプリング(一般にはOCTサンプリング)を開始するのに用いられる。
【0079】
一体型偏光依存型OCTシステム500の検出器サブシステム530およびクロックサブシステム520は、共通の光学ベンチ550上に共に組み込まれている。このベンチは、微小光学ベンチ(マイクロ光学ベンチ)と称され、標準的なバタフライまたはDIP(デュアルインラインピン)密封パッケージ560内に収まるように、典型的には、20mm×30mmよりも小さく、好ましくは、10mm×20mmよりも小さい寸法である。一実施例においては、このベンチは窒化アルミニウムから作製されている。ベンチ550の温度を制御するために、好ましくは、ベンチ550とパッケージ560の間に熱電冷却器561が配置されている(ベンチ550の裏側およびパッケージ560の内側の底面パネルの両方に取付け/はんだ結合される)。
【0080】
可変同調レーザ(tunable laser)510から偏光保持ファイバ512を経由してきたOCT信号光を集光し、平行に(コリメート)するために、入口のレンズ構造体514が用いられる。好ましくは、入口のレンズ構造体514は、設置後の位置合わせを可能にするように変形可能であるLIGA取付構造体と、レンズが形成されている透過性基材とを備える。この透過性基材は一般に、取付構造体にはんだまたは熱圧着で結合されており、この取付構造体は光学ベンチ550にはんだ結合されている。
【0081】
入口のレンズ構造体514は、レーザ510からの光を、入力ビームスプリッタ516として機能する部分反射10/90基材に結合する。大部分のビームが検出器サブシステム530に入り、残りのビームが、クロックサブシステム520に導かれる。一例では、レーザ510からの入力ビームのうち90%を超えるビームが検出器サブシステム530に導かれる。
【0082】
OCT信号光は、好ましくは、50/50スプリッタであるクロックビームスプリッタ522によってクロックサブシステム内で分配(分割)される。クロックビームスプリッタ522は、クロックエタロン524とkクロック検出器526に光を分配する。スプリッタ522によって反射されない光は、ビームダンプ素子に導かれる。このビームダンプ素子は光を吸収し、密封パッケージ560内の寄生反射を防止する。
【0083】
クロックエタロン524は、スペクトルフィルタとして機能する。このエタロン524のスペクトル形状(スペクトルの特徴)は、周波数が周期的であり、クロックエタロン524の構成材料(一例では石英ガラス)の屈折率およびクロックエタロン524の物理的長さに関係した、周波数増分(自由スペクトル領域(FSR)と称される)だけ、スペクトル的に間隔を空けている。代替方法では、エタロンは、小型化のために、シリコンのような他の高屈折率で高透過性の材料から作製されてもよいが、材料の光分散は、制御器/DSP505内部における追加処理によって補償される必要がある場合もある。また、ほとんど分散のなりエアギャップエタロンはさらなる代替物である。
【0084】
エタロンのスペクトル形状のコントラストは、対向する端面の反射率によって決定される。一例では、エタロンの端面における反射率は、エタロンの構成材料と周囲の気体または真空との間の屈折率の不連続性によって定まる。他の例では、対向する端面は、金属でコーティングされるか、または、好ましくは誘電体スタックミラーであり、これにより、高い屈折率が実現され、そのためコントラストは周期的なスペクトル形状となる。
【0085】
図示の例では、クロックエタロン524は反射作用する。クロックエタロンのFSRは、OCTシステムにおいて要求される走査深さに基づいて選択される。サンプルレートを定義する、クロックエタロンの周期的な周波数間隔は、サンプルの最大周波数周期成分の2倍であり、これにより、要求される画像深さを2倍にするように、クロックエタロンの光学的厚さを設定することを、ナイキスト基準は要求している。しかし、一般には、クロック発振器が用いられて、周期的な波形は電気的に2倍、3倍などの周波数にされるか(逓倍器528を参照)、または半分の周波数にして、所望のサンプルレートを得ることができるため、取り扱いに便利な長さのエタロンであって、パッケージ560内で光学ベンチ550上に容易に取り付けられる長さのエタロンが選択される。厚いエタロンは、高精度のサンプルレートのため、薄いエタロンに比べて、周波数走査の非線形性を良好に補償することができるが、寸法が大きくなって製造がより困難になるため、レーザの同調の直線性、システムの奥行き(depth)の必要条件および製造公差に応じて、妥協点が見出される。さらに、厚いエタロンは、安定性のあるクロックパルスを生成するのに匹敵するコヒーレンス長のレーザを必要とするため、レーザコヒーレンス長もエタロンの厚さの設計を決定するのに有効である。
【0086】
クロックエタロン524から戻るがビームスプリッタ522によって反射されない光は、検出器526により検出される。クロックエタロン524によって提供される反射トラフ/反射ピークを通して同調信号の周波数が走査すると、検出器526で検出された光は、出力の低下および増加によって特徴付けられる。
【0087】
検出器の光電流が増幅されて調節される。クロック信号は、OCTシステムの用途およびバタフライ型パッケージ560内の適当なエタロン(または他のクロック干渉計)の寸法についての必要条件に応じて、逓倍器/分周器528によって周波数が逓倍または分周される。いくつかの実施形態では、デジタル遅延線をさらに逓倍器回路528に加えて、プローブ400までの往復の光遅延を補償する。
【0088】
入力ビームスプリッタ516を透過したOCT信号は、検出器サブシステム530に入る。検出器サブシステム530は、OCT信号の一部(典型的には、10%未満)を振幅基準検出器564に導く振幅基準スプリッタ562を備えている。検出器564は、OCT信号内の振幅雑音を検出するために用いられる。
【0089】
振幅基準スプリッタ562を透過した光は、平行検出器スプリッタ566、偏光ビームスプリッタ568を通過し、出口のレンズ構造体518によってOCT/干渉信号光ファイバ410に結合され、偏光依存型のOCTプローブ400に達する。
【0090】
OCTプローブ400から戻る干渉信号は、偏光ビームスプリッタ568によって、2つの偏光に分離される。干渉信号のうち、レーザ510からのOCT信号の偏光に垂直な部分が、垂直干渉信号検出器570の方向に導かれて検出される。干渉信号のうち、レーザ510からのOCT信号の偏光に平行で、かつ偏光ビームスプリッタ568を通過する偏光を有する部分が、平行検出器スプリッタ566により導かれ、平行干渉信号検出器572によって検出される。
【0091】
kクロック信号が、サンプリングクロックとして、デジタル信号処理およびアナログ検出器サンプリングシステム505によって用いられ、振幅基準信号、平行検出器信号、および垂直検出器信号のサンプリングを開始する。この情報を用いてフーリエ変換が実行され、2つの偏光における偏光依存型のOCT画像を含む、対象物の画像が再構成される。
【0092】
図11Bは、バタフライ型パッケージ560内の一体化された偏光依存型OCTシステム500の1つの物理的な実施例を示す。この例においては、パッケージ560の蓋を取り除いて、ベンチ560の構成部品を見えるようにしている。この図はまた、レンズ基材Lをベンチ560に取り付けるLIGA構造体Sも示している。
【0093】
図12は、本発明の原理に従って構成された、別の一体型OCTシステム600を示す。このシステムは、掃引光源610、kクロックシステム520、検出器システム530および参照アーム660を、密封パッケージ560内のベンチ550上に組み込んでいる。
【0094】
一般に、一体型レーザクロックシステム600は、可変同調レーザ掃引光源サブシステム610、クロックサブシステム520、および検出器サブシステム530を備える。可変同調レーザ掃引光源サブシステム610は、波長つまり周波数の同調OCT信号を生成するものである。クロックサブシステム520は、レーザ610の同調信号つまり放射がスペクトル走査帯全体にわたってスペクトル同調されると、間隔を空けた周波数増分でkクロック信号を生成するものである。クロック信号は、一般には、検出器システムのサンプリングを開始する(引き起こす)のに用いられる。
【0095】
可変同調レーザサブシステム610、クロックサブシステム520および検出器サブシステム530は、共通の光学ベンチ550上に共に組み込まれている。このベンチは、微小光学ベンチ(マイクロ光学ベンチ)と称され、標準的なバタフライまたはDIP(デュアルインラインピン)密封パッケージ560内に収まるように、通常は、20mm×30mmよりも小さく、好ましくは、10ミリメートル(mm)×20mmよりも小さい寸法である。一実施形態においては、このベンチは窒化アルミニウムから作製されている。ベンチ550の温度を制御するために、ベンチ550とパッケージ560の間に熱電冷却器562が配置されている(ベンチ550の裏面およびパッケージ560の内側の底面パネルの両方に取付け/はんだ結合される)。
【0096】
より詳細には、好ましい実施形態における可変同調レーザ610は、米国特許第7,415,049B2号に開示された可変同調レーザの設計に基づいている。上記特許の全内容は参照により本明細書に引用したものとする。
【0097】
本実施形態においては、可変同調レーザ610は半導体ゲインチップ652を備え、この半導体ゲインチップ652は、外部キャビティレーザ(ECL)を生成するように、微小電気機械(MEMS(micro-electro-mechanical))の傾斜した(角度を付けられた)反射型ファブリペロー可変同調フィルタ(tunable filter)654と対になっている。反射型ファブリペロー可変同調フィルタ654はキャビティ内同調素子であり、かつ可変同調ECLのレーザキャビティの1端または後側反射器を構成している。
【0098】
レーザキャビティ内には半導体光増幅器(SOA)チップ652が配置されている。本実施形態では、SOAチップ52の両ファセットは、チップ652に沿って長手方向に延びたリッジ導波路に対して傾斜し、SOAのバックファセット651とフロントファセット655は反射防止(AR)コーティングされている。部分反射基材662が反射体として作用し、レーザキャビティの前側反射器を構成する。
【0099】
SOA652の各端面ファセットから出る光を集光して平行に(コリメート)するために、2つのレンズ構造体660、662が使用される。レンズ構造体660、662は、それぞれ、設置後の位置合わせを可能にするように変形可能であるLIGA取付構造体と、レンズが形成される透過性基材とを備える。透過性部材は一般に、取付構造体にはんだまたは熱圧着で結合されており、この取付構造体は光学ベンチ550にはんだ結合されている。
【0100】
第1レンズ素子660は、SOA652のバックファセット(後面ファセット)と可変同調フィルタ654の間の光を結合する。SOA652のフロントファセット(前面ファセット)を出る光は、第2レンズ素子662によって、検出器サブシステム530に結合されている。
【0101】
傾斜した反射型ファブリペローフィルタ654は、多重空間モードの可変同調フィルタであり、このフィルタは湾曲した平板の光共振キャビティを有する。この光共振キャビティは、角度依存性の反射スペクトル応答であって、レーザキャビティに戻る応答を提供する。このフィルタの作用は、本願に引用して含めている米国特許第7,415,049B2号明細書に、より詳細に記載されている。引用した実施形態では、湾曲ミラーは、MEMS膜上に存在し、かつレーザキャビティに隣接するフィルタ654の一方側上に位置する。平面ミラーは他方側上に位置し、かつレーザキャビティと対向している。この平面ミラーは、好ましくは、湾曲ミラーよりも高い反射率を有する。ここで、反射における所望の反射率およびフィルタ654に必要な線幅を得るために、典型的には、平面ミラーの反射率は99.98%で湾曲ミラーの反射率は99.91%である。
【0102】
可変同調フィルタ654を透過した光はレーザキャビティの外部に出て、折り返しミラー614によって、クロックサブシステム520に入る。この折り返しミラーは、ベンチ550にはんだ結合された反射コーティング基材であり、可変同調レーザサブシステム610からの光ビームを折り返す。このため、システムの小型化が可能になる。
【0103】
次に、光は、好ましくは、クロックエタロン524に対して50/50スプリッタである、ビームスプリッタ522に達する。スプリッタ522を透過した光は、好ましくは、ビームダンプ素子に導かれ、ビームダンプ素子は光を吸収し、密封パッケージ560内の寄生反射を防止し、光がレーザキャビティおよび検出器に入るのを防ぐ。
【0104】
クロックエタロン524から戻る光は、検出器526によって検出され、kクロック信号を形成する。
【0105】
検出器サブシステム530は、可変同調レーザサブシステム610からOCT信号を受信する。このOCT信号は、振幅基準スプリッタ562および干渉/参照スプリッタ620を通過する。OCT信号は、出口のレンズ622によって対象物10上に集束される。OCT信号は、パッケージ560の側面に設けられた透過性窓630を通って密封パッケージ560を出る。
【0106】
干渉/参照スプリッタ620によって反射されたOCT信号は、参照アーム660に導かれる。この参照アーム660は、参照アームミラー626への参照アーム折り返しミラー624を含む。
【0107】
参照アームミラー624から戻る光は、干渉/参照スプリッタ620において、窓630によって受光されてレンズ622によって集束された、サンプル10からの光と混合または結合されて、干渉信号検出器628で検出される干渉信号を形成する。
【0108】
RINの影響を低減することによる信号対雑音比(SNR)の改善は、FFT処理の前に、検出器628からの干渉信号を検出器564からの振幅基準信号でデジタル的に除算することによって実行される。このOCTシステム600はA走査を実行するために小型のシステムであるが、パッケージ560またはサンプル10を移動させることによって、B走査も実行できる。さらに、いくつかの実施例においては、パッケージの出口のレンズの前にMEMSミラースキャナを組み込んで,サンプルまたはパッケージを移動することなくこの機能を実行してもよい。
【0109】
本発明を、本発明の好ましい実施形態を参照して詳細に示し、説明してきたが、当業者であれば、添付の特許請求項に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および細部において種々の変更が可能なことが理解されよう。
【符号の説明】
【0110】
112 干渉信号ファイバカプラ
160 ハンドピース収容体
164 光学窓
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドピース収容体と、
前記ハンドピース収容体内の干渉信号ファイバカプラであって、OCT分析システムからOCT信号を受信し、このOCT信号を参照光ファイバアームと信号光ファイバアームに分配する、干渉信号ファイバカプラと、
前記ハンドピース収容体の光学窓であって、この光学窓を通して前記信号光ファイバアームからの前記OCT信号が対象の物体に送出され、前記光学窓を通して物体OCT信号が前記対象の物体から受信されて、前記信号光ファイバアームに結合される、光学窓とを備えた、光コヒーレンス・トモグラフィプローブであって、
前記ハンドピース収容体から前記OCT分析システムに送出される干渉信号を生成するように、前記物体OCT信号は、前記参照光ファイバアームからの前記OCT信号と混合される、プローブ。
【請求項2】
請求項1において、さらに、
前記ハンドピース収容体をアンビリカルケーブルに結合するハンドピースカプラであって、前記アンビリカルケーブルは、前記OCT信号を前記OCT分析システムから前記ハンドピース収容体に伝達し、前記干渉信号を前記ハンドピース収容体から前記OCT分析システムに伝達する、ハンドピースカプラを備えた、プローブ。
【請求項3】
請求項1において、さらに、
前記ハンドピース収容体上に、前記OCTプローブを制御する少なくとも1つの制御スイッチを備えた、プローブ。
【請求項4】
請求項1において、前記参照光ファイバアームの反射器は部分反射器であり、この部分反射器は、前記参照光ファイバアームに戻る前記OCT信号のうちの10%未満を反射するものである、プローブ。
【請求項5】
請求項1において、前記参照光ファイバアームの反射器は高反射率の反射器であり、この高反射率の反射器は、前記参照光ファイバアームに戻る前記OCT信号のうちの90%よりも多くの信号を反射するものである、プローブ。
【請求項6】
請求項5において、さらに、
前記参照光ファイバアームにおける減衰器であって、前記OCT信号を90%よりも多く減衰する減衰器を備えた、プローブ。
【請求項7】
請求項1において、さらに、
前記信号光ファイバアームから前記OCT信号を受信して、前記OCT信号を前記対象の物体上で走査する走査ユニットを備えた、プローブ。
【請求項8】
請求項7において、前記走査ユニットは、前記OCT信号を前記対象の物体に導く走査ミラーを有する、プローブ。
【請求項9】
請求項7において、前記走査ユニットは、前記OCT信号を平行にする勾配屈折率レンズを有する、プローブ。
【請求項10】
請求項1において、前記干渉信号ファイバカプラは、50/50ファイバカプラではない、プローブ。
【請求項11】
請求項1において、2つのOCT信号光ファイバが、前記干渉信号を前記干渉信号ファイバカプラから前記OCT分析システムに伝達する、プローブ。
【請求項12】
請求項1において、前記干渉信号ファイバカプラは、50/50ファイバカプラである、プローブ。
【請求項13】
請求項1において、前記干渉信号ファイバカプラは、偏光保持ファイバカプラであり、前記参照光ファイバアームは、この参照光ファイバアーム上で前記OCT信号の偏光を回転させる偏光回転要素を有する、プローブ。
【請求項14】
請求項13において、前記偏光回転要素は4分の1波長板である、プローブ。
【請求項15】
ハンドピース収容体内に配置された干渉信号ファイバカプラにおいて、OCT分析システムからのOCT信号を受信し、このOCT信号を参照光ファイバアームと信号光ファイバアームに分配する工程と、
前記信号光ファイバアーム上の前記OCT信号を、前記ハンドピース収容体から対象の物体に送出し、前記対象の物体から前記ハンドピース収容体に戻る物体OCT信号を受信して、前記物体OCT信号を前記信号光ファイバアームに結合する工程と、
干渉信号を生成するように、前記物体OCT信号を前記参照光ファイバアームからの前記OCT信号と結合する工程と、
前記干渉信号を前記ハンドピース収容体から前記OCT分析システムに送出する工程とを備えた、光コヒーレンス・トモグラフィ法。
【請求項16】
ハンドピースに伝送されるOCT信号を生成する掃引レーザ光源と、
前記ハンドピースから受信した干渉信号を検出する検出器システムと、
対象の物体の画像を生成するように、前記検出器システムの応答を用いる制御器とを備えた、光コヒーレンス・トモグラフィシステム。
【請求項17】
請求項16において、さらに、
振幅基準検出器と、
前記掃引レーザ光源と前記振幅基準検出器との間におけるパスマッチファイバであって、前記検出器システムによって検出される前記OCT信号を、前記ハンドピースまでの光遅延および前記ハンドピースからの光遅延に一致する期間遅延させる、パスマッチファイバとを備えた、システム。
【請求項18】
請求項17において、さらに、
前記掃引レーザ光源から前記OCT信号を受信し、前記パスマッチファイバと前記ハンドピースに前記OCT信号を分配するファイバカプラを備えた、システム。
【請求項19】
請求項16において、前記検出器システムは、
前記干渉信号を2つの偏光に分離する偏光ビームスプリッタ、
前記掃引レーザ光源に対して平行に偏光された前記干渉信号を検出する平行検出器、および、
前記掃引レーザ光源からの前記OCT信号に対して垂直に偏光された前記干渉信号を検出する垂直検出器を有する、システム。
【請求項20】
請求項16において、さらに、
前記平行検出器および前記垂直検出器の出力をフィルタリングするアンチエイリアシングを備えた、システム。
【請求項21】
OCTプローブによって生成される干渉信号を検出する一体型光学システムであって、
密封パッケージと、
前記密封パッケージ内の光学ベンチと、
前記光学ベンチに取り付けられ、前記干渉信号を検出する検出器システムと、
前記光学ベンチに取り付けられたビームスプリッタシステムであって、OCT信号を掃引レーザ光源から前記OCTプローブに結合し、前記干渉信号を前記OCTプローブから前記検出器システムに結合する、ビームスプリッタシステムとを備えた、一体型光学システム。
【請求項22】
請求項21において、前記ビームスプリッタシステムは、
第1偏光の前記干渉信号の第1の部分を、前記検出器システムの第1の干渉検出器に導き、第2偏光の前記干渉信号の第2の部分を、前記検出器システムの第2の検出器に導く、偏光ビームスプリッタを含む、システム。
【請求項23】
請求項21において、さらに、
前記掃引レーザ光源から受信された前記OCT信号の一部を検出する振幅検出器を備えた、システム。
【請求項24】
請求項21において、さらに、
前記光学ベンチに取り付けられ、前記OCT信号をスペクトルフィルタリングするkクロック光参照と、
kクロック信号を生成するように、前記kクロック光参照によってフィルタリングされた前記OCT信号を検出するkクロック検出器とを備えた、システム。
【請求項25】
請求項21において、さらに、
前記密封パッケージ内の熱電冷却器であって、前記光学ベンチの温度を制御する熱電冷却器を備えた、システム。
【請求項26】
光学窓を有する密封パッケージと、
前記密封パッケージ内の光学ベンチと、
前記光学ベンチ上に実装されて、OCT信号を生成する掃引レーザ光源システムと、
干渉信号を検出するために前記ベンチに取り付けられた検出器システムと、
前記光学ベンチに取り付けられたビームスプリッタシステムであって、前記掃引レーザ光源からの前記OCT信号を、前記光学窓を通して対象の物体に結合し、前記OCT信号の一部を参照アームに結合し、前記参照アームから戻る光を前記検出器システムに結合し、前記対象の物体から戻る光を前記検出器システムに導く、ビームスプリッタシステムとを備えた、一体型OCTシステム。
【請求項27】
請求項26において、さらに、
前記光学ベンチに取り付けられ、前記掃引レーザ光源システムからの前記OCT信号の一部を検出する振幅検出器を備えた、システム。
【請求項28】
請求項26において、さらに、
前記光学ベンチに取り付けられ、前記OCT信号をスペクトルフィルタリングするkクロック光参照と、
kクロック信号を生成するように、前記kクロック光参照によってフィルタリングされた前記OCT信号を検出するkクロック検出器とを備えた、システム。
【請求項29】
請求項26において、さらに、
前記密封パッケージ内の熱電冷却器であって、前記光学ベンチの温度を制御する熱電冷却器を備えた、システム。
【請求項30】
請求項26において、前記ビームスプリッタシステムは、
前記光学ベンチに取り付けられた単一のビームスプリッタのみを含む、システム。
【請求項31】
プローブ本体のハンドピース収容体と、
前記ハンドピース収容体内の干渉信号ファイバカプラであって、光OCT分析システムからOCT信号を受信し、前記OCT信号を参照光ファイバアームと信号光ファイバアームに分配する、干渉信号ファイバカプラと、
前記ハンドピース収容体の光学窓であって、この光学窓を通して前記信号光ファイバアームからの前記OCT信号が対象の物体に送出され、前記光学窓を通して物体OCT信号が前記対象の物体から受信されて、前記信号光ファイバアームに結合される、光学窓とを備え、
前記ハンドピース収容体から前記OCT分析システムに送出される干渉信号を生成するように、前記物体OCT信号は、前記参照光ファイバアームからの前記OCT信号と混合される、偏光高感度型光コヒーレンス・トモグラフィプローブ。
【請求項1】
ハンドピース収容体と、
前記ハンドピース収容体内の干渉信号ファイバカプラであって、OCT分析システムからOCT信号を受信し、このOCT信号を参照光ファイバアームと信号光ファイバアームに分配する、干渉信号ファイバカプラと、
前記ハンドピース収容体の光学窓であって、この光学窓を通して前記信号光ファイバアームからの前記OCT信号が対象の物体に送出され、前記光学窓を通して物体OCT信号が前記対象の物体から受信されて、前記信号光ファイバアームに結合される、光学窓とを備えた、光コヒーレンス・トモグラフィプローブであって、
前記ハンドピース収容体から前記OCT分析システムに送出される干渉信号を生成するように、前記物体OCT信号は、前記参照光ファイバアームからの前記OCT信号と混合される、プローブ。
【請求項2】
請求項1において、さらに、
前記ハンドピース収容体をアンビリカルケーブルに結合するハンドピースカプラであって、前記アンビリカルケーブルは、前記OCT信号を前記OCT分析システムから前記ハンドピース収容体に伝達し、前記干渉信号を前記ハンドピース収容体から前記OCT分析システムに伝達する、ハンドピースカプラを備えた、プローブ。
【請求項3】
請求項1において、さらに、
前記ハンドピース収容体上に、前記OCTプローブを制御する少なくとも1つの制御スイッチを備えた、プローブ。
【請求項4】
請求項1において、前記参照光ファイバアームの反射器は部分反射器であり、この部分反射器は、前記参照光ファイバアームに戻る前記OCT信号のうちの10%未満を反射するものである、プローブ。
【請求項5】
請求項1において、前記参照光ファイバアームの反射器は高反射率の反射器であり、この高反射率の反射器は、前記参照光ファイバアームに戻る前記OCT信号のうちの90%よりも多くの信号を反射するものである、プローブ。
【請求項6】
請求項5において、さらに、
前記参照光ファイバアームにおける減衰器であって、前記OCT信号を90%よりも多く減衰する減衰器を備えた、プローブ。
【請求項7】
請求項1において、さらに、
前記信号光ファイバアームから前記OCT信号を受信して、前記OCT信号を前記対象の物体上で走査する走査ユニットを備えた、プローブ。
【請求項8】
請求項7において、前記走査ユニットは、前記OCT信号を前記対象の物体に導く走査ミラーを有する、プローブ。
【請求項9】
請求項7において、前記走査ユニットは、前記OCT信号を平行にする勾配屈折率レンズを有する、プローブ。
【請求項10】
請求項1において、前記干渉信号ファイバカプラは、50/50ファイバカプラではない、プローブ。
【請求項11】
請求項1において、2つのOCT信号光ファイバが、前記干渉信号を前記干渉信号ファイバカプラから前記OCT分析システムに伝達する、プローブ。
【請求項12】
請求項1において、前記干渉信号ファイバカプラは、50/50ファイバカプラである、プローブ。
【請求項13】
請求項1において、前記干渉信号ファイバカプラは、偏光保持ファイバカプラであり、前記参照光ファイバアームは、この参照光ファイバアーム上で前記OCT信号の偏光を回転させる偏光回転要素を有する、プローブ。
【請求項14】
請求項13において、前記偏光回転要素は4分の1波長板である、プローブ。
【請求項15】
ハンドピース収容体内に配置された干渉信号ファイバカプラにおいて、OCT分析システムからのOCT信号を受信し、このOCT信号を参照光ファイバアームと信号光ファイバアームに分配する工程と、
前記信号光ファイバアーム上の前記OCT信号を、前記ハンドピース収容体から対象の物体に送出し、前記対象の物体から前記ハンドピース収容体に戻る物体OCT信号を受信して、前記物体OCT信号を前記信号光ファイバアームに結合する工程と、
干渉信号を生成するように、前記物体OCT信号を前記参照光ファイバアームからの前記OCT信号と結合する工程と、
前記干渉信号を前記ハンドピース収容体から前記OCT分析システムに送出する工程とを備えた、光コヒーレンス・トモグラフィ法。
【請求項16】
ハンドピースに伝送されるOCT信号を生成する掃引レーザ光源と、
前記ハンドピースから受信した干渉信号を検出する検出器システムと、
対象の物体の画像を生成するように、前記検出器システムの応答を用いる制御器とを備えた、光コヒーレンス・トモグラフィシステム。
【請求項17】
請求項16において、さらに、
振幅基準検出器と、
前記掃引レーザ光源と前記振幅基準検出器との間におけるパスマッチファイバであって、前記検出器システムによって検出される前記OCT信号を、前記ハンドピースまでの光遅延および前記ハンドピースからの光遅延に一致する期間遅延させる、パスマッチファイバとを備えた、システム。
【請求項18】
請求項17において、さらに、
前記掃引レーザ光源から前記OCT信号を受信し、前記パスマッチファイバと前記ハンドピースに前記OCT信号を分配するファイバカプラを備えた、システム。
【請求項19】
請求項16において、前記検出器システムは、
前記干渉信号を2つの偏光に分離する偏光ビームスプリッタ、
前記掃引レーザ光源に対して平行に偏光された前記干渉信号を検出する平行検出器、および、
前記掃引レーザ光源からの前記OCT信号に対して垂直に偏光された前記干渉信号を検出する垂直検出器を有する、システム。
【請求項20】
請求項16において、さらに、
前記平行検出器および前記垂直検出器の出力をフィルタリングするアンチエイリアシングを備えた、システム。
【請求項21】
OCTプローブによって生成される干渉信号を検出する一体型光学システムであって、
密封パッケージと、
前記密封パッケージ内の光学ベンチと、
前記光学ベンチに取り付けられ、前記干渉信号を検出する検出器システムと、
前記光学ベンチに取り付けられたビームスプリッタシステムであって、OCT信号を掃引レーザ光源から前記OCTプローブに結合し、前記干渉信号を前記OCTプローブから前記検出器システムに結合する、ビームスプリッタシステムとを備えた、一体型光学システム。
【請求項22】
請求項21において、前記ビームスプリッタシステムは、
第1偏光の前記干渉信号の第1の部分を、前記検出器システムの第1の干渉検出器に導き、第2偏光の前記干渉信号の第2の部分を、前記検出器システムの第2の検出器に導く、偏光ビームスプリッタを含む、システム。
【請求項23】
請求項21において、さらに、
前記掃引レーザ光源から受信された前記OCT信号の一部を検出する振幅検出器を備えた、システム。
【請求項24】
請求項21において、さらに、
前記光学ベンチに取り付けられ、前記OCT信号をスペクトルフィルタリングするkクロック光参照と、
kクロック信号を生成するように、前記kクロック光参照によってフィルタリングされた前記OCT信号を検出するkクロック検出器とを備えた、システム。
【請求項25】
請求項21において、さらに、
前記密封パッケージ内の熱電冷却器であって、前記光学ベンチの温度を制御する熱電冷却器を備えた、システム。
【請求項26】
光学窓を有する密封パッケージと、
前記密封パッケージ内の光学ベンチと、
前記光学ベンチ上に実装されて、OCT信号を生成する掃引レーザ光源システムと、
干渉信号を検出するために前記ベンチに取り付けられた検出器システムと、
前記光学ベンチに取り付けられたビームスプリッタシステムであって、前記掃引レーザ光源からの前記OCT信号を、前記光学窓を通して対象の物体に結合し、前記OCT信号の一部を参照アームに結合し、前記参照アームから戻る光を前記検出器システムに結合し、前記対象の物体から戻る光を前記検出器システムに導く、ビームスプリッタシステムとを備えた、一体型OCTシステム。
【請求項27】
請求項26において、さらに、
前記光学ベンチに取り付けられ、前記掃引レーザ光源システムからの前記OCT信号の一部を検出する振幅検出器を備えた、システム。
【請求項28】
請求項26において、さらに、
前記光学ベンチに取り付けられ、前記OCT信号をスペクトルフィルタリングするkクロック光参照と、
kクロック信号を生成するように、前記kクロック光参照によってフィルタリングされた前記OCT信号を検出するkクロック検出器とを備えた、システム。
【請求項29】
請求項26において、さらに、
前記密封パッケージ内の熱電冷却器であって、前記光学ベンチの温度を制御する熱電冷却器を備えた、システム。
【請求項30】
請求項26において、前記ビームスプリッタシステムは、
前記光学ベンチに取り付けられた単一のビームスプリッタのみを含む、システム。
【請求項31】
プローブ本体のハンドピース収容体と、
前記ハンドピース収容体内の干渉信号ファイバカプラであって、光OCT分析システムからOCT信号を受信し、前記OCT信号を参照光ファイバアームと信号光ファイバアームに分配する、干渉信号ファイバカプラと、
前記ハンドピース収容体の光学窓であって、この光学窓を通して前記信号光ファイバアームからの前記OCT信号が対象の物体に送出され、前記光学窓を通して物体OCT信号が前記対象の物体から受信されて、前記信号光ファイバアームに結合される、光学窓とを備え、
前記ハンドピース収容体から前記OCT分析システムに送出される干渉信号を生成するように、前記物体OCT信号は、前記参照光ファイバアームからの前記OCT信号と混合される、偏光高感度型光コヒーレンス・トモグラフィプローブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【公表番号】特表2011−523460(P2011−523460A)
【公表日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509758(P2011−509758)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/044179
【国際公開番号】WO2009/140617
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(506128400)アクサン・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】AXSUN TECHNOLOGIES,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/044179
【国際公開番号】WO2009/140617
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(506128400)アクサン・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】AXSUN TECHNOLOGIES,INC.
【Fターム(参考)】
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