説明

S1P受容体モジュレーターとして有用なベンズアミド

本発明は、遊離形または塩形の式


〔式中、すべての記号は本明細書に定義のとおりである〕
で示される新規芳香族化合物、その製造、薬物としてのその使用およびそれを含む薬物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規芳香族化合物、その製造、薬物としてのその使用およびそれを含む薬物に関する。
【発明の概要】
【0002】
さらに特に、本発明は遊離形または塩形の式
【化1】

〔式中、
およびRは、それぞれの場合において、両方同一の意味を有し、C−C−アルキル;C−C−アルコキシ;Cl;Br;またはCFであり;
およびRは、それぞれの場合において、両方同一の意味を有し、水素;C−C−アルキル;C−C−アルコキシ;F;Cl;Br;またはCFであり;
は水素;C−C−アルコキシ;F;Cl;CF;OCF;または所望によりモノ−もしくはジ−置換されているC−C−アルキル基であり、該アルキル基の所望により存在する置換基は独立してニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択され;
【0003】
は水素;C−C−アルキル;非芳香族ヘテロシクリルオキシ基;または所望によりモノ−もしくはジ−置換されているC−C−アルコキシ基からなる群から選択され、該アルコキシ基の所望により存在する置換基は独立してヒドロキシ、C−C−アルコキシ、所望によりモノ−もしくはジ−置換されているC−C−アルキル、C−C−アルケニルまたはC−C−シクロアルキル基(該アルキル、アルケニルまたはシクロアルキル基の所望により存在する置換基は独立してハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される)、所望によりモノ−もしくはジ−置換されているヘテロアリール基(該ヘテロアリール基の所望により存在する置換基は独立してハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、HO−C(=O)−、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキル、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される)、ヘテロアリール部分で所望によりモノ−もしくはジ−置換されているヘテロアリール−C−C−アルキル基(該ヘテロアリール部分の所望により存在する置換基は独立してハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、HO−C(=O)−、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキル、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される)、所望によりモノ−もしくはジ−置換されているフェニル基(該フェニル基の所望により存在する置換基は独立してシアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、HO−C(=O)−、C−C−アルコキシカルボニル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される)および所望によりモノ−もしくはジ−置換されている非芳香族ヘテロシクリル基(該ヘテロシクリル基の所望により存在する置換基は独立してC−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキル、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、ホルミルアミノおよびC−C−アルキルカルボニルアミノからなる群から選択される)からなる群から選択され;
【0004】
は水素;ハロゲン;C−C−アルコキシ;所望によりモノ−もしくはジ−置換されているC−C−アルキル、C−C−アルケニルまたはC−C−シクロアルキル基(該アルキル、アルケニルまたはシクロアルキル基の所望により存在する置換基は独立してハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される);所望によりモノ−もしくはジ−置換されているヘテロアリール基(該ヘテロアリール基の所望により存在する置換基は独立してハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、CF、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、HO−C(=O)−、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキル、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される);ヘテロアリール部分で所望によりモノ−もしくはジ−置換されているヘテロアリール−C−C−アルキル基(該ヘテロアリール部分の所望により存在する置換基は独立してハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、HO−C(=O)−、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキル、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される);所望によりモノ−もしくはジ−置換されているフェニル基(該フェニル基の所望により存在する置換基は独立してシアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、HO−C(=O)−、C−C−アルコキシカルボニル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される);または所望によりモノ−もしくはジ−置換されている非芳香族ヘテロシクリル基(該ヘテロシクリル基の所望により存在する置換基は独立してC−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキル、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、ホルミルアミノおよびC−C−アルキルカルボニルアミノからなる群から選択される)であり;そして、
は水素;C−C−アルキル;C−C−アルコキシ;F;またはClである〕
で示される化合物に関する。
【0005】
例えば、1個以上の不斉炭素原子が式Iの化合物に存在するとき、対応する式Iの化合物は純粋な光学活性形態または光学異性体の混合物の形態、例えば、ラセミ混合物の形態で存在し得る。すべてのこのような純粋な光学異性体およびラセミ混合物を含むそれらの混合物は本発明の一部である。
【0006】
式Iの化合物は遊離形または塩形で、例えば、塩基性化合物は酸付加塩形態でまたは酸性化合物は塩基との塩の形態で存在し得る。すべてのこのような遊離化合物および塩は本発明の一部である。
【0007】
式Iの化合物は互変異性体形態で存在し得る。すべてのこのような互変異性体は本発明の一部である。
ハロゲンはフッ素、臭素、塩素またはヨウ素を示す。
【0008】
ヘテロアリール基または部分は、1、2または3個の環原子が独立してO、NおよびSから選択されるヘテロ原子である芳香族5もしくは6員環、例えば、フリル、ピロリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリダジニル、ピリミジルまたはピリジル、好ましくはピラゾリルまたはイミダゾリルであり、そしてこれらの環は、また、フェニル環と縮合し、例えば、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリルまたはキノリルであり得る。
【0009】
非芳香族ヘテロシクリル基または部分は、1、2または3個の環原子が独立してO、NおよびSから選択されるヘテロ原子である非芳香族5もしくは6員環、例えば、チオピラニル、ピロリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチエニル、ピペリジル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニルまたはモルホリニル、好ましくはテトラヒドロピラニルである。
【0010】
何らかの非環状炭素を含む2個以上の炭素原子を有する基または部分は、直鎖または分岐鎖である。
【0011】
他に定義のない限り、炭素を含む基、部分または分子は1から8個、好ましくは1から6個、さらに好ましくは1から4個、さらに好ましくは1または2個の炭素原子を含む。
【0012】
好ましい態様において、本発明は遊離形または塩形の式I、ここで、
(1)RおよびRは、それぞれの場合において、両方同一の意味を有し、C−C−アルキル;C−C−アルコキシ;Cl;Br;またはCFであり;
好ましくはC−C−アルキル;またはClであり;
好ましくはC−C−アルキル;またはClであり;
好ましくはエチル;またはCl;または、好ましくは、メチルであり;
【0013】
(2)RおよびRは、それぞれの場合において、両方同一の意味を有し、水素;C−C−アルキル;C−C−アルコキシ;F;Cl;Br;またはCFであり;
好ましくは水素であり;
【0014】
(3)Rは水素;C−C−アルコキシ;F;Cl;CF;OCF;または所望によりモノ−もしくはジ−置換されているC−C−アルキル基であり、該アルキル基の所望により存在する置換基は独立してニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択され;
好ましくは水素;F;Cl;CF;OCF;またはC−C−アルキルであり;
好ましくは水素;F;Cl;CF;OCF;またはC−C−アルキルであり;
【0015】
(4)Rは水素;C−C−アルキル;非芳香族ヘテロシクリルオキシ基;または所望によりモノ−もしくはジ−置換されているC−C−アルコキシ基であり、該アルコキシ基の所望により存在する置換基は独立してヒドロキシ、C−C−アルコキシ、所望によりモノ−もしくはジ−置換されているC−C−アルキル、C−C−アルケニルまたはC−C−シクロアルキル基(該アルキル、アルケニルまたはシクロアルキル基の所望により存在する置換基は独立してハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される)、所望によりモノ−もしくはジ−置換されているヘテロアリール基(該ヘテロアリール基の所望により存在する置換基は独立してハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、HO−C(=O)−、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキル、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される)、ヘテロアリール部分で所望によりモノ−もしくはジ−置換されているヘテロアリール−C−C−アルキル基(該ヘテロアリール部分の所望により存在する置換基は独立してハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、HO−C(=O)−、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキル、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される)、所望によりモノ−もしくはジ−置換されているフェニル基(該フェニル基の所望により存在する置換基は独立してシアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、HO−C(=O)−、C−C−アルコキシカルボニル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される)および所望によりモノ−もしくはジ−置換されている非芳香族ヘテロシクリル基(該ヘテロシクリル基の所望により存在する置換基は独立してC−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキル、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、ホルミルアミノおよびC−C−アルキルカルボニルアミノからなる群から選択される)からなる群から選択され;
好ましくは水素;C−C−アルキル;非芳香族ヘテロシクリルオキシ基;または所望によりモノ−もしくはジ−置換されているC−C−アルコキシ基(該アルコキシ基の所望により存在する置換基は独立してヒドロキシおよびC−C−アルコキシからなる群から選択される)であり;
好ましくは水素;C−C−アルキル;テトラヒドロピラニルオキシ;または所望によりモノ−置換されているC−C−アルコキシ基(該アルコキシ基の所望により存在する置換基は独立してヒドロキシおよびC−C−アルコキシからなる群から選択される)であり;
【0016】
(5)Rは水素;ハロゲン;C−C−アルコキシ;所望によりモノ−もしくはジ−置換されているC−C−アルキル、C−C−アルケニルまたはC−C−シクロアルキル基(該アルキル、アルケニルまたはシクロアルキル基の所望により存在する置換基は独立してハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される);所望によりモノ−もしくはジ−置換されているヘテロアリール基(該ヘテロアリール基の所望により存在する置換基は独立してハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、CF、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、HO−C(=O)−、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキル、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される);ヘテロアリール部分で所望によりモノ−もしくはジ−置換されているヘテロアリール−C−C−アルキル基(該ヘテロアリール部分の所望により存在する置換基は独立してハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、HO−C(=O)−、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキル、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される);所望によりモノ−もしくはジ−置換されているフェニル基(該フェニル基の所望により存在する置換基は独立してシアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、HO−C(=O)−、C−C−アルコキシカルボニル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される);または所望によりモノ−もしくはジ−置換されている非芳香族ヘテロシクリル基(該ヘテロシクリル基の所望により存在する置換基は独立してC−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキル、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、ホルミルアミノおよびC−C−アルキルカルボニルアミノからなる群から選択される)であり;
好ましくは水素;ハロゲン;C−C−アルコキシ;C−C−アルキル;C−C−アルケニル;C−C−シクロアルキル;または所望によりモノ−もしくはジ−置換されているヘテロアリール基であり、該ヘテロアリール基の所望により存在する置換基は独立してC−C−アルキルおよびCFからなる群から選択され;
好ましくは水素;ハロゲン;C−C−アルコキシ;C−C−アルキル;C−C−アルケニル;C−C−シクロアルキル;またはモノ−もしくはジ−置換されているヘテロアリール基であり、該ヘテロアリール基の置換基は独立してC−C−アルキルおよびCFからなる群から選択され;
好ましくは水素;ハロゲン;C−C−アルコキシ;C−C−アルキル;C−C−アルケニル;C−C−シクロアルキル;またはモノ−もしくはジ−置換されているヘテロアリール基(該ヘテロアリール基の置換基は独立してC−C−アルキルおよびCFからなる群から選択され、そして該ヘテロアリール基は独立してピラゾリルおよびイミダゾリルからなる群から選択される)であり;
(6)Rは水素;C−C−アルキル;C−C−アルコキシ;F;またはClであり;
好ましくは水素;またはC−C−アルキルであり;
好ましくは水素;またはメチルである、
化合物に関する。
【0017】
好ましい態様(1)から(6)は、独立して、集合して、または任意の組合せもしくは部分的な組合せで好ましい。
【0018】
とりわけ好ましい態様において、本発明は1種以上の遊離形または塩形の下記実施例に記載の式Iの化合物に関する。
【0019】
さらなる局面において、本発明は、遊離形または塩形の式Iの化合物を製造する方法であって、遊離形または塩形の式
【化2】

〔式中、R、R、R、R、R、R、RおよびRは式Iに対して定義のとおりである〕で示される化合物をアンモニアと反応させ、
所望により、次に得られた化合物を還元、酸化または他の官能化および/または所望により存在する全ての保護基を開裂し、
そして、そうして得られた、遊離形または塩形の式Iの化合物を回収する
工程を含む方法に関する。
【0020】
該反応は、例えば、実施例に記載されているように、慣用の方法にしたがって実施できる。
反応混合物の後処理およびこのようにして得られる化合物の精製は既知の方法にしたがって実施され得る。
塩は既知の方法で遊離化合物から製造でき、逆もまた同様である。
【0021】
式Iの化合物は、また、例えば、実施例に記載されているとおり、さらなる慣用の方法(この方法は本発明のさらなる局面である)により製造することができる。
【0022】
式IIの出発物質は既知であるか、または、例えば、実施例に記載されているとおり、既知の化合物から出発する慣用の方法にしたがって製造され得る。
【0023】
下記遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物はしばしば“本発明の薬物”を意味し、インビトロまたはインビボで試験したとき重要な薬理学的特性を示し、したがって薬物として有用である。
【0024】
例えば、本発明の薬物はスフィンゴシン−1−ホスフェート(S1P)受容体のモジュレーターである。S1Pは造血細胞により分泌され、活性化血小板において貯蔵され、そこから放出される、生物活性スフィンゴ脂質代謝物である。S1PはGタンパク質共役受容体(S1P受容体)のファミリーのアゴニストとして作用し、とりわけ、血小板凝集ならびに細胞増殖、形態、分化、走化性、生存、移動および運動性を調節する。5種のS1P受容体サブタイプが同定されている:それぞれS1P、S1P、S1P、S1PおよびS1P受容体。S1P受容体は、例えば、T細胞輸送を調節し、S1PおよびS1P受容体のリガンド誘導活性化は、例えば、血管形成および走化性を促進する。S1P受容体のアゴニズムは、例えば、神経突起退縮を促進し、走化性を抑制する。S1P受容体は造血細胞および組織に局在する。S1P受容体は主に、例えば、オリゴデンドロサイトおよびその前駆体で発現され、リンパ組織およびNK細胞で少し発現するニューロン受容体であり、例えば、腫瘍細胞のDNA合成、増殖および移動ならびにNK細胞の炎症臓器への動員に関連する。S1Pは血管成長および分化を刺激するが、また心血管作用、例えば、心拍数および血圧の減少も示し、これが治療的有用性を限定し、全5種のS1P受容体サブタイプに対する強力なアゴニスト活性と関連すると報告されている。したがって、例えば、治療的不利益がより少ないさらなるS1P受容体のモジュレーターの必要性が残っている。驚くべきことに、本発明の薬物は、例えば、1種または数種のS1P受容体サブタイプに対して1種または数種の他のS1P受容体サブタイプを越える所望のアゴニスト選択性を有する、S1P受容体の改良されたモジュレーターとして良い効力を有する。例えば、本発明の薬物は、1種のS1P受容体サブタイプの選択的強アゴニストであると同時に、他のS1P受容体サブタイプに対して、調節特性、例えば、アンタゴニスト、逆アゴニスト、非調節または弱いアゴニスト特性のみを有し得る。本発明の薬物は、したがって、S1P受容体の調節が役割を果たす状態、疾患または障害を処置または予防するために有用である。
【0025】
本発明の薬物のS1P受容体を調節する特性は、例えば、下記の試験において評価することができる。
【0026】
試験1:35S−GTPγS結合アッセイ
本発明の薬物のS1P受容体を調節する特性をヒトS1P、S1P、S1P、S1PおよびS1P各々の受容体サブタイプで試験する。機能的受容体活性化を、適当なS1P受容体サブタイプを安定に発現するトランスフェクト異種細胞から製造される膜タンパク質に結合する化合物誘導35S−GTPγSを定量することにより評価する。CHO細胞(CHO−K1、チャイニーズハムスター、ATCC番号CCL 61)を使用する[RH7777細胞(ラットモーリス肝癌、ATCC番号CRL 1601)も使用され得る]。膜タンパク質を野生型細胞および適当なS1P受容体サブタイプを発現する種々の細胞クローンから製造する。使用するアッセイ技術はSPA(シンチレーション近接ベースアッセイ)である。試験化合物のDMSO溶液を連続希釈し、S1P受容体サブタイプを発現する膜タンパク質(1から20μg/ウェル)を固定したSPA−ビーズ(Amersham−Pharmacia)に、50mMのHEPES、100mMのNaCl、10mMのMgCl、10μMのGDP、0.1%の無脂肪BSAおよび0.2nMの35S−GTPγS(1200Ci/mmol)(pH7.4)の存在下で加える。96ウェルマイクロタイタープレートで室温で120分インキュベーション後、非結合35S−GTPγSを遠心により分離する。膜と35S−GTPγSの結合により引き起こされるSPAビーズの発光をTOPcountプレートリーダー(Packard)で定量する。S1P受容体調節を評価するために、ベースラインと比較した刺激(%)を化合物の存在下の結合をリガンドの非存在下の結合で割り、100をかけて計算する。用量応答曲線を非直線回帰曲線適合プログラムを使用して作成し、EC50を最大刺激の50%に必要である化合物の濃度と定義する。好ましくは、この試験において本発明の薬物のEC50値は10’000nM以下である。S1P受容体サブタイプに対する化合物の選択度をそれぞれの異なるS1P受容体サブタイプに対する、それぞれの異なる膜タンパク質を使用する化合物の存在下の35S−GTPγS結合のレベルを測定することにより決定する。
【0027】
試験1で見出された結果は、例えば、実施例27に記載の本発明の薬物について、受容体サブタイプS1Pにおいて495nM(85%効力)、S1PおよびS1Pにおいて>10’000nM、S1Pにおいて106nM(130%効力)およびS1Pにおいて25nM(93%効力);実施例36に記載の本発明の薬物について、受容体サブタイプS1Pにおいて305nM(87%効力)、S1PおよびS1Pにおいて>10’000nM、S1Pにおいて210nM(126%効力)およびS1Pにおいて80nM(64%効力);および、実施例37に記載の本発明の薬物について受容体サブタイプにおいてS1P150nM(93%効力)、S1PおよびS1Pにおいて>10’000nM、S1Pにおいて160nM(109%効力)およびS1Pにおいて90nM(66%効力)である。
【0028】
試験2:FLIPRアッセイ
所望のS1P受容体サブタイプを発現する、CHO(CHO−K1、チャイニーズハムスター、ATCC番号CCL 61)またはRH7777(ラットモーリス肝癌、ATCC番号CRL 1601)細胞を、黒色Costarプレート(それぞれ96または384ウェル、50,000または12,500細胞)に培養培地[CHO細胞:RPMI 1640培地(Gibco、Invitrogen Corporation)、10%のFBS(非働化、Gibco)、50μg/mlのゲンタマイシン(50mg/ml、Gibco)または10’000単位/mlのペニシリンおよび10mg/mlのストレプトマイシン;RH7777細胞:DMEM(Gibco)、10%のFBS(非働化、Gibco)、50μg/mlのゲンタマイシン(50mg/ml、Gibco)]中に播種し、20から24時間37℃でCOインキュベーターで培養する。RH7777細胞の場合、プレートをポリ−D−Lysでコーティングする。培養培地の除去後、細胞を2μMのFluo4AM(Molecular Probes、番号F−1241;DMSO中で1mg/mlのストック)および5mMのプロベネシドを含むHBSS培地で1時間37℃でインキュベートし、HBSSバッファーおよび2.5mMのプロベネシドで濯ぎ、同じ培地(96ウェルプレートに対して75μl、384ウェルプレートに対して50μl)に置く。プレートをFLIPRに移す。ベースラインを40秒測定後、HBSS中の試験化合物を加え、蛍光を2秒間隔で3から5分間測定する。高質シグナルを得るために、S1P受容体サブタイプを発現するCHO細胞を試験化合物を加える20から30分前に10μMのATPとプレインキュベートする。また、細胞を5時間50ng/mlの百日咳毒素(Sigma、番号P2980)で前処理することができる。小胞体から放出されるブロッカーである2−アミノエトキシジフェニルボレート(Calbiochem、番号100065)を測定の20から40分前に細胞培地に直接加える(50または150μM)。EC50の計算を、例えば、Origin 7 RS2ソフトウェアパッケージ(Origin LabCorporation)において提供されるような、非直線回帰曲線適合プログラムを使用して行う。
【0029】
試験3:多発性硬化症モデル
多発性硬化症モデルとして、齧歯動物実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルは、例えば、慢性進行性EAEのSJL/Jマウスモデルを使用してもよい。0日目、メスSJL/Jマウスを完全フロインドアジュバント中で乳化した、500μgのウシミエリン塩基性タンパク質(MBP)を含む200μlの移植片で皮下のわき腹に注射により免疫処置する。9日目、マウスを2回目のMBP注射およびさらなる200ngの百日咳菌毒素からなる静脈内アジュバント注射によりブーストさせる。最後の百日咳菌注射は11日目に与える。ほとんどのMBP免疫化マウスは21日目までにEAEの重度の発作を示す。これは約25日目に始まる回復期に続き、その間マウスは約20日間無症状を維持する。45−47日までに、約50%のマウスは疾患の進行期に入る。疾患が十分に確立されたときである21日目に試験化合物で治療を始め、70日目まで続ける。組換えマウスインターフェロンベータ(Calbiochem/Biosciences)を塩水に溶解し、腹膜内注射で1週間あたり3回与える。試験化合物は胃管栄養法により1週間あたり5回で投与される。賦形剤コンロール群のマウスはMBP免疫処置され、水で処置される。それぞれの実験群は、0から3の範囲のスケールを使用して、臨床的EAE症状に関して毎日試験される10匹のマウスからなる。疾患発病率およびEAE発症の日も記録される。処置開始後に起こる疾患関連死亡率は3の最大スコアで記録する。このモデルにおいて、試験化合物を約1から約100mg/kgの用量で投与するとき、有利な効果を見ることができる。
【0030】
これらのS1P受容体調節活性によって、本発明の薬物は、例えば、S1P受容体の調節が役割を果たす、種々の精神医学的、精神、神経学的、自己免疫性、免疫調節性または炎症性の状態、障害または疾患の処置または予防において、例えば、急性もしくは慢性移植片拒絶反応の阻害のために移植において、または、癌または腫瘍、例えば、神経膠腫、リンパ腫または白血病の処置のための化学療法レジメンの一部として有用である。
【0031】
該精神医学的、精神または神経学的状態、障害または疾患は、例えば、不安症、例えば、広場恐怖を伴うもしくは伴わないパニック障害、パニック障害の既往歴のない広場恐怖、動物もしくは社会恐怖症を含む他の特異的な恐怖症、社会不安障害、不安、強迫障害、外傷後もしくは急性ストレス障害を含むストレス障害または全般性もしくは物質誘発性不安障害;神経症;発作;癲癇、とりわけ部分発作、単純、複雑または二次性全般化発作もしくは全般化発作に進行する部分発作[欠神(定型もしくは非定型)、ミオクローヌス、間代、強直、強直間代もしくは無緊張発作];痙攣;偏頭痛;抑鬱もしくは双極性障害、例えば、単極性もしくは反復性大鬱病性障害、大鬱病、気分変調性障害、気分変調症、抑鬱障害NOS、双極性I型もしくは双極性II型躁鬱病または気分循環性障害を含む情動障害;統合失調症を含む精神障害;脳虚血から生じる神経変性;神経系の急性、外傷性もしくは慢性変性および/または脱髄過程、例えば、パーキンソン病、ダウン症候群、老人性認知症、認知障害、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、視神経脊髄炎、急性播種性脳脊髄炎、アレルギー性脳脊髄炎、マルキアファーヴァ・ビニャミ病、進行性多巣性白質脳症、感染後脳炎、橋中央ミエリン溶解、副腎白質ジストロフィー、クラッベ病、異染性白質萎縮症、アレキサンダー病、カナバン病、コケイン症候群、ペリツェウス・メルツバッハー病、ハーラー病、ロウ症候群、脊髄損傷、横断性脊髄炎、ギラン・バレー症候群、フェニルケトン尿症、レフサム病、シャルコー・マリー・トゥース病、ゴーシェ病、多発性硬化症、脆弱性X症候群または局所性脱髄性疾患;注意障害、例えば、注意欠陥過活動性障害;トゥレット症候群;吃音症を含む発話障害;例えば、時差ぼけもしくは交代勤務の影響により引き起こされる対象における概日リズム障害;疼痛もしくは侵害受容性疼痛;そう痒症;急性、遅発性もしくは先行性嘔吐、例えば、化学療法もしくは放射線療法、乗り物酔いにより誘発される嘔吐または術後悪心嘔吐を含む嘔吐;拒食症もしくは神経性過食症を含む摂食障害;月経前症候群;例えば、対麻痺患者における筋痙攣または痙直;聴覚障害、例えば、耳鳴もしくは加齢聴覚障害;尿失禁;または薬物、例えば、アルコール禁断障害を含む薬物濫用または依存症を含む薬物関連障害を含む。本発明の薬物は、また、例えば、認知症状態、例えば、アルツハイマー病に罹患している対象における認知増強において;または、麻酔または簡単な処置、例えば、胃内視鏡検査を含む内視鏡検査の前投薬として有用であり得る。
【0032】
該自己免疫性、免疫調節または炎症性状態、障害または疾患は、例えば、サルコイドーシス、類繊維肺(類繊維肺(fibroid lung))疾患、特発性間質性肺炎、例えば、喘息、内因性喘息、外因性喘息、塵埃喘息、慢性喘息、難治性喘息、遅発性喘息、気道過敏性、気管支炎、気管支喘息または小児喘息を含む閉塞性気道疾患、アレルギー性リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、ネフローゼ症候群狼瘡、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、I型糖尿病およびそれに関連する合併症、II型成人発症糖尿病、ブドウ膜炎、ネフローゼ症候群、ステロイド依存性ネフローゼ、ステロイド抵抗性ネフローゼ、掌蹠膿疱症、糸球体腎炎、乾癬、乾癬性関節炎、アトピー性湿疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎または他の湿疹様皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管浮腫、脈管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、アクネ、円形脱毛症、好酸球性筋膜炎、アテローム性動脈硬化症、結膜炎、角結膜炎、角膜炎、春季結膜炎、ベーチェット病に関連するブドウ膜炎、ヘルペス性角膜炎、円錐性角膜、角膜内皮ジストロフィー、角膜白斑、眼球天疱瘡、蚕食性角膜潰瘍、強膜炎、グレーブス眼症、重症眼球内炎症、粘膜もしくは血管の炎症、例えば、ロイコトリエンB4−介在疾患、胃潰瘍、虚血性疾患または血栓症に起因する血管損傷、虚血性腸疾患、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、壊死性腸炎、腎臓疾患、例えば、間質性腎炎、グッドパスチャー症候群、溶血性尿毒症症候群または糖尿病性腎症、多発性筋炎、メニエール疾患および神経根障害から選択される神経疾患、膠原疾患、強皮症、ウェゲナー肉芽腫、シェーグレン症候群、慢性自己免疫性肝臓疾患、例えば、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変または硬化性胆管炎、部分的肝臓切除、急性肝臓壊死、例えば、毒素、ウイルス性肝炎、ショックもしくは無酸素に起因する壊死、B型肝炎、非A/非B型肝炎および肝硬変症、劇症肝炎、膿疱性乾癬、ベーチェット病、活動性慢性肝炎、エバンス症候群、花粉症、特発性上皮小体機能低下症、アジソン病、自己免疫性萎縮性胃炎、ルポイド肝炎、尿細管間質性腎炎、膜性腎症またはリウマチ性熱を含む。
【0033】
上記適応に対する適当な用量は、例えば、使用される化合物、宿主、投与経路、状態、障害または疾患の性質および重症度、または所望の効果に依存して変化する。一般的に、動物において満足のいく結果が動物の体重あたり約0.1から約100mg/kg、好ましくは約1から約50mg/kgの1日用量で得られることが示される。大型哺乳動物、例えば、ヒトで示される1日用量は本発明の薬物において約0.5から約2000mg、好ましくは約2から約200mgの範囲で、例えば、1日に4回までの分割投与で、または、遅滞形態で好都合に投与される。
【0034】
本発明の薬物は任意の慣用の経路で、特に経腸的に、好ましくは経口的に、例えば、錠剤またはカプセルの形態で、または非経腸的に、例えば、注射用溶液または懸濁液の形態で、局所的に、例えば、ローション、ゲル、軟膏またはクリームの形態で、または点鼻または坐薬の形態で投与され得る。
【0035】
前記にしたがって、さらなる局面において、本発明は、例えば、S1P受容体の調節が役割を果たす状態、疾患または障害を処置または予防するための薬物として使用するための本発明の薬物に関する。
【0036】
さらなる局面において、本発明は、例えば、S1P受容体の調節が役割を果たす状態、疾患または障害を処置または予防するための薬物における活性成分としての本発明の薬物の使用に関する。
【0037】
さらなる局面において、本発明は活性成分として本発明の薬物を少なくとも1種の医薬担体または希釈剤と共に含む医薬組成物に関する。このような組成物は慣用の方法で、例えば、その成分を混合することによって製造され得る。単位投与形態は、例えば、約0.1から約1000mg、好ましくは約1から約500mgの本発明の薬物を含む。
【0038】
本発明の薬物は、活性成分単独でまたは精神医学的、精神、神経学的、自己免疫性、免疫調節性もしくは炎症性状態、上記のとおりのS1P受容体の調節が役割を果たす障害または疾患の処置または予防において、例えば、移植、例えば、急性もしくは慢性移植片拒絶反応の阻害において薬学的に有効な少なくとも1種の他の活性成分と組み合わせて、または、癌もしくは腫瘍、例えば、神経膠腫、リンパ腫もしくは白血病の処置のための化学療法レジメンの一部として投与することができる。このような医薬組合せは、あらかじめ決められた量の少なくとも2種の活性成分を少なくとも1種の医薬担体もしくは希釈剤と共に含む単位投与形態であり得る。あるいは、組合せは少なくとも2種の活性成分を別々に含むパッケージの形態、例えば、別々に製造される2種の活性成分の同時のまたは別々の投与のために適応させたパッケージまたはディスペンサー装置の形態であり得る。さらなる局面において、本発明はこのような医薬組合せに関する。
【0039】
例えば、本発明の薬物は、カルシニューリン阻害剤、例えば、シクロスポリン、アスコマイシンまたはそれらの免疫抑制性類似体または誘導体、例えば、シクロスポリンA、ISA−Tx247、FK−506、ABT−281またはASM−981;mTOR阻害剤、例えば、ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、CCI779、ABT578またはラパログ、例えば、AP23464、AP23573、AP23675、AP23841、TAFA−93、バイオリムス7またはバイオリムス9;コルチコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプレン;メトトレキサート;S1P受容体モジュレーター、例えば、FTY720またはそれらの類似体;レフルノミドまたはその類似体;ミゾルビン;ミコフェノール酸またはその塩、例えば、ナトリウム塩;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスペルグアリンまたはその類似体;PKC阻害剤、例えば、WO−02/38561またはWO−03/82859に記載されているもの;免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば、白血球受容体、例えば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD11a/CD18、CD25、CD27、CD40、CD45、CD58、CD137、CD150(SLAM)、B7、ICOS、OX40、4−1BBまたはそれらのリガンド、例えば、CD154に対する抗体;または他の免疫調節化合物、例えば、少なくとも1つのCTLA4の細胞外ドメインの部分またはそれらの変異体、例えば、非CTLA4タンパク質配列に結合した少なくとも1つのCTLA4の細胞外部分またはそれらの変異体を有する組換え結合分子、例えば、CTLA4Ig(ATCC 68629)またはそれらの変異体、例えば、LEA29Y、または他の接着分子阻害剤、例えば、モノクローナル抗体または低分子量阻害剤、例えば、LFA−1アンタゴニスト、セレクチンアンタゴニストまたはVLA−4アンタゴニストと組み合わせて使用し得る。
【0040】
さらなる局面において、本発明はS1P受容体の調節が役割を果たす状態、疾患または障害を処置または予防するための薬物を製造するための本発明の薬物の使用に関する。
【0041】
さらなる局面において、本発明は処置を必要とする対象におけるS1P受容体の調節が役割を果たす状態、疾患または障害を処置または予防するための方法であって、治療有効量の本発明の薬物をこのような対象に投与することを含む方法に関する。
【0042】
下記実施例は本発明の説明であるが、本発明を限定はしない。
【実施例】
【0043】
実施例
略語
【表1】

【0044】
一般的なHPLC情報
系:Gilson UV/VIS 152検出器およびFinnigan AQA質量分析計(ESI)と接続したGilson 331ポンプ;50μLループの注入バルブ
カラム寸法:50×4.6mm
カラムタイプ:Waters XTerra MS C18 3.5μm
溶離剤:A)水+0.05vol.−%のTFA
B)アセトニトリル+0.05vol.−%のTFA
勾配:5%から90%のB
【0045】
中間体a):2−ブロモ−6−(2,4,6−トリメチル−フェニルアミノ)−安息香酸
THF(15mL)中のジイソプロピルアミン(5.45mL、38.4mmol)の溶液に0℃でn−ブチルリチウム(24mL、ヘキサン中で1.6M)を加える。混合物を15分0℃で撹拌し、次に−78℃に冷却する。2,4,6−トリメチルアニリン(3.77mL、26.85mmol)をこの温度で加える。10分撹拌後、THF(10mL)中の2−ブロモ−6−フルオロ−安息香酸(2.8g、12.78mmol)を−78℃で加える。反応混合物を室温にし、一晩撹拌し、濃縮し、10%のHCl水溶液でpH1に酸性化し、酢酸エチルに抽出する。有機相をNaSOで乾燥させ、真空蒸発させる。残渣をヘキサンでトリチュレートし、固体を濾取し、真空乾燥させ、2−ブロモ−6−(2,4,6−トリメチル−フェニルアミノ)−安息香酸を褐色がかった固体として得る。
ESI−MS:334.3[M+H];室温=6.01分。
【0046】
中間体b):2−エトキシ−6−(2,4,6−トリメチル−フェニルアミノ)−安息香酸
NaH(0.09g、2.25mmol;油中で60%)を0℃でEtOH(2.7mL)に注意深く加える。懸濁液を0℃で30分撹拌する。次に2−ブロモ−6−(2,4,6−トリメチル−フェニルアミノ)−安息香酸(0.25g、0.75mmol)を加え、次にCu(0.019g、0.30mmol)を加える。反応混合物を80℃で18時間撹拌し、次に室温に冷却し、セライトパッドを介して濾過する。濾液を真空濃縮する。残渣を水に取り、混合物を濃HClでpH<3に酸性化し、DCMに抽出する。有機相をNaSOで乾燥させ、真空蒸発させる。残渣を溶離剤としてヘキサンからヘキサン/酢酸エチル 7:3を使用するフラッシュ−クロマトグラフィーにより精製し、2−エトキシ−6−(2,4,6−トリメチル−フェニルアミノ)−安息香酸を橙色の固体として得る。
ESI−MS:300.3[M+H];室温=6.31分。
【0047】
中間体c):3−ブロモ−2−エトキシ−6−(2,4,6−トリメチル−フェニルアミノ)−安息香酸
2−エトキシ−6−(2,4,6−トリメチル−フェニルアミノ)−安息香酸(0.02g、0.067mmol)をDCMに溶解する。N−ブロモスクシンイミド(0.012g、0.067mmol)を加える。反応混合物を18時間暗下で撹拌し、次に酢酸エチルで希釈し、2NのHClで洗浄する。有機相をNaSOで乾燥させ、真空蒸発させる。残渣をジエチルエーテルおよびヘキサンの混合物でトリチュレートし、固体を濾取し、真空乾燥させ、3−ブロモ−2−エトキシ−6−(2,4,6−トリメチル−フェニルアミノ)−安息香酸を橙色の固体として得る。
ESI−MS:378.4[M+H];室温=6.88分。
【0048】
実施例1:3−ブロモ−2−イソプロポキシ−6−(2,4,6−トリメチル−フェニルアミノ)−ベンズアミド
3−ブロモ−2−イソプロポキシ−6−(2,4,6−トリメチル−フェニルアミノ)−安息香酸(0.17g、0.43mmol)をDMF(2.6mL)に溶解する。HATU(0.329g、0.87mmol)を加え、混合物を室温で3日間撹拌する。NHOH(0.26mL、4.3mmol)を加え、反応が完了するまで反応混合物を撹拌する。2NのNaOHを加え、混合物を酢酸エチルに抽出する。有機相をNaSOで乾燥させ、真空蒸発させる。残渣を溶離剤としてヘキサンからヘキサン/酢酸エチル 7:3を使用するフラッシュ−クロマトグラフィーにより精製し、3−ブロモ−2−イソプロポキシ−6−(2,4,6−トリメチル−フェニルアミノ)−ベンズアミドを白色の固体として得る。
ESI−MS:393.4[M+H];室温=7.14分。
【0049】
実施例2:2−イソプロポキシ−6−(2,4,6−トリメチル−フェニルアミノ)−ベンズアミド
2−イソプロポキシ−6−(2,4,6−トリメチル−フェニルアミノ)−安息香酸(0.235g、0.75mmol)をTHF(2.25mL)に溶解し、2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン(0.158g、0.90mmol)およびN−メチルモルホリン(0.25mL、2.25mmol)を加える。混合物を2時間室温で撹拌する。沈殿を濾取し、NHOHを濾液に加える。反応混合物を30分室温で撹拌し、次に濾過する。酢酸エチルおよび2NのNaOHを濾液に加える。有機相をNaSOで乾燥させ、真空蒸発させる。残渣をヘキサンでトリチュレートし、固体を濾取し、真空乾燥させ、2−イソプロポキシ−6−(2,4,6−トリメチル−フェニルアミノ)−ベンズアミドを黄色の固体として得る。
ESI−MS:313.4[M+H];室温=6.31分。
【0050】
実施例3:5−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−(2,4,6−トリメチル−フェニルアミノ)−ベンズアミド
5−ブロモ−2−(2,4,6−トリメチル−フェニルアミノ)−ベンズアミド(0.186g、0.56mmol)、2−メチル−2H−ピラゾール−3−ボロン酸(0.141g、1.12mmol)、CsCO(0.459g、1.39mmol)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.023g、0.028mmol)をジメトキシエタン(2mL)を含むオーブン乾燥用フラスコに入れる。フラスコを膜で密閉する。反応混合物を70℃で一晩撹拌し、次に濾過する。沈殿を蒸発させ、残渣を溶離剤としてヘキサンからヘキサン/酢酸エチル 7:3を使用するフラッシュ−クロマトグラフィーにより精製し、粗生成物を得る。酢酸エチルを加え、沈殿を濾取し、乾燥させ、5−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−(2,4,6−トリメチル−フェニルアミノ)−ベンズアミドを黄色の固体として得る。
ESI−MS:335.4[M+H];室温=5.08分。
【0051】
実施例4から42:
実施例4から42の化合物を上記の方法と類似の方法で製造することができる。
【表2】

【表3】

【表4】

【0052】
【表5】

【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離形または塩形の式
【化1】

〔式中、
およびRは、それぞれの場合において、両方同一の意味を有し、C−C−アルキル;C−C−アルコキシ;Cl;Br;またはCFであり;
およびRは、それぞれの場合において、両方同一の意味を有し、水素;C−C−アルキル;C−C−アルコキシ;F;Cl;Br;またはCFであり;
は水素;C−C−アルコキシ;F;Cl;CF;OCF;または所望によりモノ−もしくはジ−置換されているC−C−アルキル基であり、該アルキル基の所望により存在する置換基は独立してニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択され;
は水素;C−C−アルキル;非芳香族ヘテロシクリルオキシ基;または所望によりモノ−もしくはジ−置換されているC−C−アルコキシ基であり、該アルコキシ基の所望により存在する置換基は独立してヒドロキシ、C−C−アルコキシ、所望によりモノ−もしくはジ−置換されているC−C−アルキル、C−C−アルケニルまたはC−C−シクロアルキル基(該アルキル、アルケニルまたはシクロアルキル基の所望により存在する置換基は独立してハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される)、所望によりモノ−もしくはジ−置換されているヘテロアリール基(該ヘテロアリール基の所望により存在する置換基は独立してハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、HO−C(=O)−、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキル、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される)、ヘテロアリール部分で所望によりモノ−もしくはジ−置換されているヘテロアリール−C−C−アルキル基(該ヘテロアリール部分の所望により存在する置換基は独立してハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、HO−C(=O)−、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキル、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される)、所望によりモノ−もしくはジ−置換されているフェニル基(該フェニル基の所望により存在する置換基は独立してシアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、HO−C(=O)−、C−C−アルコキシカルボニル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される)および所望によりモノ−もしくはジ−置換されている非芳香族ヘテロシクリル基(該ヘテロシクリル基の所望により存在する置換基は独立してC−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキル、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、ホルミルアミノおよびC−C−アルキルカルボニルアミノからなる群から選択される)からなる群から選択され;
は水素;ハロゲン;C−C−アルコキシ;所望によりモノ−もしくはジ−置換されているC−C−アルキル、C−C−アルケニルまたはC−C−シクロアルキル基(該アルキル、アルケニルまたはシクロアルキル基の所望により存在する置換基は独立してハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される);所望によりモノ−もしくはジ−置換されているヘテロアリール基(該ヘテロアリール基の所望により存在する置換基は独立してハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、CF、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、HO−C(=O)−、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキル、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される);ヘテロアリール部分で所望によりモノ−もしくはジ−置換されているヘテロアリール−C−C−アルキル基(該ヘテロアリール部分の所望により存在する置換基は独立してハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、HO−C(=O)−、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキル、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される);所望によりモノ−もしくはジ−置換されているフェニル基(該フェニル基の所望により存在する置換基は独立してシアノ、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、HO−C(=O)−、C−C−アルコキシカルボニル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、C−C−アルキルアミノ、2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ、ピロリジル、ピペリジル、モルホリニル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシカルボニルアミノからなる群から選択される);または所望によりモノ−もしくはジ−置換されている非芳香族ヘテロシクリル基(該ヘテロシクリル基の所望により存在する置換基は独立してC−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−(C−C−アルキル)アミノ部分において2個の同一のまたは異なるC−C−アルキル部分を有するジ−(C−C−アルキル)アミノ−C−C−アルキル、ピロリジル−C−C−アルキル、ピペリジル−C−C−アルキル、モルホリニル−C−C−アルキル、ホルミル、C−C−アルキルカルボニル、ホルミルオキシ、C−C−アルキルカルボニルオキシ、ホルミルアミノおよびC−C−アルキルカルボニルアミノからなる群から選択される)であり;そして、
は水素;C−C−アルキル;C−C−アルコキシ;F;またはClである〕
で示される化合物。
【請求項2】
遊離形または塩形の請求項1に定義の式Iの化合物を製造する方法であって、遊離形または塩形の式
【化2】

〔式中、R、R、R、R、R、R、RおよびRは式Iに対して定義のとおりである〕で示される化合物をアンモニアと反応させ、
所望により、次に得られた化合物を還元、酸化または他の官能化および/または所望により存在する全ての保護基を開裂し、
そして、そうして得られた、遊離形または塩形の式Iの化合物を回収する
工程を含む方法。
【請求項3】
治療有効量の遊離形または薬学的に許容される塩形の請求項1に定義の式Iの化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む、S1P受容体の調節が役割を果たす状態、疾患または障害を処置または予防するための方法。
【請求項4】
活性成分として遊離形または薬学的に許容される塩形の請求項1に定義の式Iの化合物を、医薬担体または希釈剤と共に含む医薬組成物。
【請求項5】
薬物として使用するための遊離形または薬学的に許容される塩形の請求項1に定義の式Iの化合物。
【請求項6】
S1P受容体の調節が役割を果たす状態、疾患または障害を処置または予防するための遊離形または薬学的に許容される塩形の請求項1に定義の式Iの化合物。
【請求項7】
同時にまたは連続して投与するための、治療有効量の遊離形または薬学的に許容される塩形の請求項1に定義の式Iの化合物および第2の薬物を含む組合せ。
【請求項8】
S1P受容体の調節が役割を果たす状態、疾患または障害を処置または予防するための薬物の製造のための、遊離形または薬学的に許容される塩形の、請求項1に定義の式Iの化合物の使用。
【請求項9】
薬物における活性成分としての、遊離形または薬学的に許容される塩形の、請求項1に定義の式Iの化合物の使用。
【請求項10】
S1P受容体の調節が役割を果たす状態、疾患または障害を処置または予防するための、遊離形または薬学的に許容される塩形の、請求項1に定義の式Iの化合物の使用。

【公表番号】特表2010−527958(P2010−527958A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508825(P2010−508825)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056175
【国際公開番号】WO2008/142073
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】