説明

ざ瘡を治療するための組成物及び方法

本発明は、ざ瘡、特に重症のざ瘡の治療に有用な抗ざ瘡キットを提供する。上記抗ざ瘡キットは血管収縮剤及び抗ざ瘡剤を含有し、且つ必要に応じて、ざ瘡病変の治癒を促進する美白剤、シーリング層、皮膚洗浄剤、収斂剤、皮膚浸透促進剤、日焼け防止剤、及び栄養補助剤を1つ以上含有する。本発明はまた、抗ざ瘡剤と組み合わせて血管収縮剤を使用することによるざ瘡の治療方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ざ瘡は、皮脂腺の毛包(しばしば毛穴と呼ばれる)の疾患である。各毛包の基には、皮脂を産生する皮脂腺という腺がある。皮脂は皮膚の湿度と柔軟性を保つ油性の物質であり、通常の環境下では毛包に沿って皮膚の表面に移動する。染み(blemishes)は、皮膚の表面に現れる約2〜3週間前に始まる。皮膚が自分自身を再生するときに、古い細胞が死んで剥がれ落ちる。細胞が不均等に落ちて皮脂と共に凝集すると、栓を形成する。通常なら表面に流れ出す皮脂が詰まり、細菌が増殖を始める。細菌の急速な増殖と皮脂の貯留が一緒になって毛包を広げ、その結果、面皰という非炎症性のざ瘡が軽度に形成される。白色面皰及び黒色面皰は両方とも「マイクロコメド」として始まり、その後、面皰と呼ばれる皮膚の染みになる(白色面皰又は黒色面皰)。ざ瘡とは、詰まった毛包中で増殖する細菌(Propionibacterium Acnes)及び溜まった皮脂である。皮脂腺は、顔、胸、背中、首、及び頭皮に最も多く、従って、これらはざ瘡が最も現れる部位である。ざ瘡を引き起こす最も一般的な要因は、ホルモン、皮脂産生の増加、細菌(Propionibacterium Acnes)、及び毛包内の変化である。ざ瘡は赤い炎症性のざ瘡病変に進行することがあり、この赤い炎症性のざ瘡病変は丘疹、膿疱、及び小結節(nodules)と呼ばれる。
【0002】
ざ瘡には多くの種類があり、その重症度は、軽度のものから見た目を著しく損なうものまである。尋常性ざ瘡(Acne vulgaris)は最も一般的なざ瘡の形態で、様々な種類のにきびが含まれる。これらのざ瘡病変には、黒色面皰、白色面皰、丘疹、膿疱、小結節、及び嚢腫が含まれる。
【0003】
軽度から中程度の尋常性ざ瘡は、白色面皰、黒色面皰、丘疹、及び膿疱で特徴付けられる。白色面皰は、毛穴が完全につまり、皮脂、細菌及び皮膚の死細胞が皮膚表面の下に溜まったときに形成され、表面では白い外観を生じる。白色面皰は通常黒色面皰よりライフサイクルが短い。黒色面皰は、毛穴の一部だけが詰まり、溜まった皮脂、細菌、及び皮膚の死細胞の一部がゆっくりと表面に流出するときに形成される。黒い色は皮膚自身の色素であるメラニンが空気中の酸素と反応することによる。黒色面皰は安定な構造をとる傾向がある。黒色面皰は、内容物が非常にゆっくりと表面に流れ出すために、取り除くのに長期間かかることが多い。丘疹は、小さな、赤い、圧通のある(tender)頭部のない隆起である。丘疹は、典型的な「にきび」と通常考えられているものの発達における最も初期の段階である。丘疹はざ瘡の進行のうち、非炎症性の段階と炎症性の段階の中間にある。丘疹は白色面皰に似ているが、炎症を起こしており、白色又は黄色の中心をもつ赤い円形を呈する。
【0004】
重症な尋常性ざ瘡の特徴は、小結節及び嚢腫である。結節性ざ瘡は、非常に大きくかなりの痛みを伴うことのある且つ何ヶ月にも続くことがあるざ瘡点(acne spots)からなる。小結節は、皮膚表面下の大きく硬い隆起である。通常、小結節は瘢痕化を伴う。嚢腫性ざ瘡(acne cyst)は、見た目は小結節と似ているが、膿が詰まっている。また、直径5mm以上であると説明することができる。これらは痛みを伴い、嚢腫性ざ瘡(cystic acne)では瘢痕化を伴うのが普通である。
【0005】
酒さ性ざ瘡は、上記の尋常性ざ瘡に似て見え、これらの2種類のざ瘡はときどき混同される。酒さを発症する人は数百万人にのぼり、そのほとんどは30歳を超えている。赤い発疹のように見え、通常は頬、鼻、額、及び顎にのみ見られる。上記の赤い発疹はしばしば隆起、にきび、及び皮膚の染みを伴う。皮膚の上に血管がより見えるようになることがある。黒色面皰は酒さの一部ではない。酒さは女性でよく見られるが、男性で見つかった場合、より重症になることが多い。治療しないでおくと、鼻の腫れ及び過剰な組織の成長(鼻瘤と呼ばれる状態)を引き起こす。
【0006】
集簇性ざ瘡は、尋常性ざ瘡の最も重症な形態であり、通常、男性でより多く見られる。特徴として、相互に連結することもある多数の大きな病変、及び広範囲に及び黒色面皰がある。集簇性ざ瘡は、皮膚に重篤な取り返しのつかないダメージを与えて醜い瘢痕の原因になることがある。このざ瘡は、顔、胸、背中、臀部、上腕、及び大腿部に見られる。集簇性ざ瘡の発症年齢は通常、18〜30歳の間であり、この状態は長年続くことがある。
【0007】
電撃性ざ瘡は突発性の集簇性ざ瘡であり、通常、発症するのは若い男性である。重篤な結節性嚢腫(nodulocystic)の症状(しばしば潰瘍性のざ瘡(ulcerating acne))が現れる。集簇性ざ瘡と同じく、普通、非常に醜い瘢痕が見られる。電撃性ざ瘡は熱及び関節の痛みをも伴う点で独特である。
【0008】
グラム陰性毛嚢炎(follicultis)は、膿疱及び嚢腫を特徴とする細菌感染症であり、長期間に渡る抗生物質による尋常性ざ瘡の治療の結果、合併症として起こることがある。これは稀な病気で、男性と女性の間の罹患率は不明である。
【0009】
顔面性膿皮症は女性(通常20〜40歳)だけに発症する重度の顔面性ざ瘡(facial acne)であり、瘢痕を残すことのある痛みを伴う大きな小結節、膿疱、及び腫れが特徴である。顔面性膿皮症は突然発症し、過去に一度もざ瘡が無かった女性の皮膚にも発症することがある。顔面性膿皮症は顔だけに限定され、通常1年を超えて続くことはないが、とても短い期間でも大きなダメージを与え得る。
【0010】
若年性(青年)ざ瘡(teenage (adolescent) acne):治療を必要とするざ瘡はほとんどの場合9〜19歳で発症する。男児と女児は同様に発症するものの、通常、男児の方が症状が重い。ざ瘡にかかりやすい民族集団というのは無いが、例えば油性の化粧用品(grooming agent)の使用といったある種の化粧習慣によって、特異的な病変の傾向が生じることがある。青年期のざ瘡を引き起こす内部要因として、内因性ホルモン(アンドロゲン、プロゲステロン)、及び特定薬剤(経口避妊薬、イソニアジド、フェニトイン、コルチコステロイド、リチウム含有化合物)等を挙げることができる。外因性の要因としては、皮膚細菌(特にプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acne))、工業用化学物質(石油、動物油、及び植物油)、油又はロウを含有する化粧品、脂肪性の日焼け防止剤(greasy sunscreen or suntan preparation)、及びヘッドバンド、肩パッド、又はヘルメットのような物からの局所的圧迫等を挙げることができる。過剰な発汗や感情的ストレスもざ瘡を悪化させる。アンドロゲン(例えば、テストステロン)は皮脂腺のサイズを大きくし、ざ瘡にかかりやすい人においては皮脂の産生を増加させる。女性では、月経周期中のエストロゲンの変動が、アンドロゲンに対する皮脂腺の感受性を変化させる。思春期の間は、毛包の内側を覆っている皮膚細胞がより急速に脱落し、増加した皮脂と混ざり、毛穴が詰まる可能性が高まる。
【0011】
成人性ざ瘡(adult acne):成人人口の20%(そのほとんどは女性)が成人性ざ瘡を発症する。現代の仕事が関係するストレス、汚染、栄養不良、及び粗悪な化粧品が特に主な要因である。成人性ざ瘡に共通する症例には、黒色面皰及び白色面皰があり、その他には発達した炎症性ざ瘡である丘疹や膿疱がある。
【0012】
世界中で約85%の人々が人生のどこかの時点でざ瘡に罹患し、いつどんな瞬間でも、1億300万人以上の人々が罹患していることになる。米国の約1700万人がざ瘡を有し、その結果、毎年約550万人が医師を訪れている。
【0013】
尋常性ざ瘡は、西洋化した社会では、人口の最大95%で発症し、青年人口の79%〜95%で発症するほとんど世界共通の皮膚病である。26歳以上の男女においては、40%〜54%がある程度の顔面性ざ瘡をもっており、女性の12%、男性の3%が臨床的な顔面性ざ瘡を中年までもち続ける(非特許文献1)。
【0014】
現在ある薬剤・薬物療法(medication)として、抗生物質、抗感染薬、抗炎症薬、ホルモン療法、角質溶解薬、及びレチノイドなどの、様々な局所療法及び全身療法を挙げることができる。市販の薬物としては、過酸化ベンゾイル、サリチル酸、硫黄、及びレゾルシノール等を挙げることができる。
【0015】
過酸化ベンゾイルによる薬物療法は、ざ瘡の原因となる細菌を非常に効果的に殺菌する。過酸化ベンゾイルは1930年代に初めて使用され、その効果が証明され、今でもざ瘡治療の主流である。実際、過酸化ベンゾイルは今日までのところ、市販されている他のどの薬(処方薬でも、そうでないものも)よりも効果的にプロピオニバクテリウム・アクネス(P. acnes)を殺す。過酸化ベンゾイルは処方箋なしで、2.5%、5%、及び10%の濃度のものが利用できる。
【0016】
過酸化ベンゾイル等の多くの抗ざ瘡剤は皮膚中への流入が速い。この浸透は初期の適用中には利点となるが、その後に皮膚中で急速に拡散するということは、治療するざ瘡病変から抗ざ瘡剤が拡散していってしまうことを意味する(「流出」(”outflow”)として知られる現象)。そして、このことは、ざ瘡病変部位に抗ざ瘡剤が留まる時間が比較的短くなるため、抗ざ瘡剤の効果が弱められることを意味する。しがたって、ざ瘡病変部位からの抗ざ瘡剤の流出を少なくする方法やキットがあれば都合がよい。
【非特許文献1】Cordain L, Lindeberg S, Hurtado M, Hill K, Eaton SB, Brand-Miller J. Acne vulgaris: a disease of Western civilization. Arch Dermatol 2002 Dec;138(12):1584-90
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、ざ瘡、特に重度のざ瘡を治療するための方法及びキットを提供する。本発明は、抗ざ瘡剤と組み合わせて血管収縮剤を使用し、ざ瘡病変を治療することからなる。好ましい実施形態においては、血管収縮剤は抗ざ瘡剤の前に適用され、治療するざ瘡病変からの抗ざ瘡剤の流出を少なくするのに役立つ。血管収縮剤は同時にざ瘡病変の腫れ及び発赤をも和らげる。したがって、血管収縮剤は、ざ瘡病変部位の抗ざ瘡剤濃度を高く保ちつつ、ざ瘡病変を隠すのに役立つ。それがひいては治癒を促進し、更なるざ瘡の発生を防ぐのに役立つ。
【0018】
血管収縮剤及び抗ざ瘡剤に加えて、本発明のキットは、存在するざ瘡病変の治癒を促進し、且つ/又はざ瘡病変を隠すのに役立つ成分を含有していてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、本発明の目的の1つは、ざ瘡治療用のキットを提供することである。上記キットは、血管収縮剤並びに抗ざ瘡剤、並びに必要に応じて、美白剤(skin lightening therapeutic)及び/又はシーリング層(sealing layer)を含む。
【0020】
本発明の他の目的は、ざ瘡の治療方法を提供することである。上記方法は、血管収縮剤続く抗ざ瘡剤の適用からなる。望ましい場合には、美白剤及び/又はシーリング層も適用してよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、局所的な抗ざ瘡剤の効果を高めることで、ざ瘡(重度のざ瘡を含む)を治療するものである。本発明はざ瘡病変への血管収縮剤の適用を含み、血管収縮剤は通常、抗ざ瘡剤の前に適用する。特定の科学的理論に限定されることはないが、血管収縮剤と共に用いたときに見られる局所的な抗ざ瘡剤の効果の亢進は、ざ瘡病変からの抗ざ瘡剤の流出が少なくなる結果であると考えられる。したがって、抗ざ瘡剤が局部に留まる時間が、血管収縮剤を適用しなかった場合と比べて増加し、所定の投与量の抗ざ瘡剤で、より大きな抗ざ瘡効果が観察される。血管収縮剤はまた、ざ瘡病変の腫れと発赤を緩和し(通常、適用後数分以内)、ざ瘡病変を隠すのに役立つという有益な効果を有する。
【0022】
したがって、本発明は、ざ瘡治療用の抗ざ瘡キットを提供する。上記抗ざ瘡キットは、少なくとも血管収縮剤及び抗ざ瘡剤を含む。上記抗ざ瘡キットは、必要に応じて、ざ瘡病変を隠すのに役立つ美白剤及び/又は蒸発を最小限に抑え、ある程度の密封性を提供するシーリング層を含んでもよい。その他の成分でキットの一部であってもよいものとしては、シーリング層、皮膚洗浄剤、皮膚の浸透促進剤、及び栄養補助剤、として作用する組成物又はパッチ等を挙げることができる。スポット処置用とより広い処置用、肌質の違い、夜の処置用と昼の処置用に合わせて異なる抗ざ瘡キットを作ってもよい。本発明の抗ざ瘡キットはまた、目的に合わせて作られた洗浄剤、肌洗浄用化粧液(toners)、バランサー(balancers)、保湿剤(moisturizer)、及び/若しくは様々な部分化粧品若しくは局所治療薬を含んでいるもっと大きなキット又はスキンケア療法の一部として追加的に含まれてもよい。
【0023】
血管収縮剤
本発明に包含される血管収縮剤としては、特に限定されることなく、血管収縮作用及び皮膚浸透能を有するあらゆる化合物が含まれる。好ましい実施形態では、血管収縮剤はその特有な化学的特性によって容易に皮膚に浸透できる。しかし、本発明には、血管収縮剤を他の成分と組み合わせることで、血管収縮剤の皮膚への浸透能を調節することも含まれる。本明細書に開示しているように、例えば通常では経皮的流入が少ない血管収縮剤の皮膚浸透能を、皮膚浸透剤の使用によって高めることができる。逆に、所望であれば血管収縮剤の皮膚浸透能を意図的に減少させることもできる。例えば、血管収縮剤を、血管収縮剤の浸透を遅くする効果のある適当な乳剤と混ぜても良い。
【0024】
本発明に包含される血管収縮物質の例として、限定されるものではないが、0.05%塩酸テトラヒドロゾリン、0.03%塩酸ナファゾリン、0.025%塩酸オキシメタゾリン、グアバエキス、エラグ酸、カフェイン、サイプレス油、ハマメリス(ウィッチヘーゼル)、ペパーミントエキス、カモミール油、及びビューグルウィード(bugleweed)を挙げることができる。一般的に、本発明の血管収縮剤は、薬学的に又は化粧品として許容される適当な溶剤に溶解させて、直接皮膚に適用してもよい。しかし、好ましい実施形態では、より容易に血管収縮剤の適用を局部にとどめ、制御できるように、血管収縮剤をクリーム基剤又はゲル基剤と組み合わせる。薬学的に又は化粧品として許容されるあらゆるゲル基剤又はクリーム基剤を使用することができる。好適なゲルとしては、例えばセルロースベースのゲル(例、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、及びカルボキシメチルセルロース(CMC))、及びアクリレート共重合体等を挙げることができる。好適なクリーム基剤としては、保湿剤の水相から作られた乳剤、粘度安定剤及び水、脂肪酸アルコールの油相、半固体状の石油炭化水素及び乳化剤、並びに安定化剤−緩衝剤水溶液中に分散させた本発明の血管収縮剤を含む相等を挙げることができる。所望であれば、安定化剤を添加してもよい。従来のあらゆる安定化剤を本発明に用いることができる。血管収縮剤を含有するクリーム基剤を用いた薬学的処方薬は例えば、脂肪酸アルコールを含有する水性乳剤、半固体状石油炭化水素、1,2−エチレングリコール、並びに乳化剤から構成される。
【0025】
血管収縮剤はそれ自体が、ざ瘡病変に関連した腫れ及び発赤を緩和するのに役立つが、本発明は発赤及び変色を更に目立たなくするための美白剤も提供する。これらの美白剤は、発赤及び変色を隠すという血管収縮剤による美容的効果を高め、通常は血管収縮剤の後に適用される。しかし、血管収縮剤と同時の適用も本発明に含まれる。美白剤には、ほんの一例として、アルバチン、アルブチン、ベアベリーエキス、マルベリーエキス、カンゾウ(licorice)エキス、タツナミソウ(skull cap)、アゼライン(azelaic)、グルコサミンアスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビン酸、フキタンポポ(coltsfoot)エキス、没食子酸、ナツメグ、桑枝(ramulus mori)エキス、及びコジック酸が含まれる。
【0026】
抗ざ瘡剤
本発明の抗ざ瘡キットはまた、局所的抗ざ瘡剤を含む。本明細書において抗ざ瘡剤とは、殺菌特性及び/又は抗炎症特性を有するあらゆる化合物であって、ざ瘡に関係する細菌の殺菌及び/又はざ瘡病変の炎症を軽減するものである。好適な抗ざ瘡剤の例として、限定されるものではないが、過酸化ベンゾイル、サリチル酸、グルコースオキシダーゼ、水酸化マグネシウム、ラクトペルオキシダーゼ、塩酸ピリドキシン、グルコン酸マグネシウム、ウスニン酸、及びトリクロサンを挙げることができる。しかし、本発明はハーブエキス由来の抗ざ瘡剤の使用をも包含する。好適なハーブエキスの例として、限定されるものではないが、ユーパトリウム・アヤパナ(eupatorium ayapana)エキス、カラクサケマン(fumaria officinalis)エキス、オーク根エキス、カンショウ(spikenard)、オランダセンニチ(spilanthes acmella)エキス、カホクザンショウ(szechuan pepper)、エチウム・リコプシス(echium lycopsis)エキス、レモングラスエキス、オレガノ、ハマウツボ・セルヌア(orobanche cernua)エキス、ターミナリア・セリセア(terminalia sericea)、アルカンナ・ティンクトリア(alkanna tinctoria)エキス、アニス(anise)、メギ(barberry)、キンセンカ(calendula)エキス、センテラ・アジアティカ(centella asiatica)、キトサン、コリアンダー、エキナセア、ユーカリ(eucalyptus)エキス、ファルネソール、ゲンチアナ・バイオレット(gentian violet)エキス、ヒドラスチス(goldenseal)、グレープシードエキス、茯苓(hoelen)、ホップ、ヒソップ(hyssop)、ラブダナム(labdanum)油、ラクトフェリン、シイタケ(lentinus edodes)エキス、マヌカ油、メラレウカ・カユプテ(melaleuca cajeputi)油、ミルラ(myrrh)、ニアウリ(niaouli)油、パリエタリア(parietaria officinalis)エキス、松かさ(pine cone)エキス、ヒメリュウキンカ(ranunculus ficaria)エキス、レッド・ラズベリーエキス、ムチヤギ(sea whip)エキス、シャボンソウ(soapwort)、硫黄、ニオイヒバ(thuja occidentalis)エキス、ベチベル油又はエキス、ガノダーマ・ルシダム(ganoderma lucidum)エキス、ウィッチヘーゼル、メリロート(melilot)、キュウリエキス、アロエベラ、アロエエキス、ビンロウジエキス、緑茶エキス、グレープフレーツ種子エキス、ブラッククミン、ガーリックオイル又はエキス、ラベンダーエキス、レモンピールエキス、クルミエキス、アルニカエキス、アンゼリカ根エキス、ベイベリー(bayberry)エキス、エキナセア(echinacea)、カシア(quassia)エキス、セージ油又はエキス、タイム油又はエキス、ローズマリーエキス、セイヨウキズタ(ivy)エキス、セージエキス、ビャクダン(sandalwood)エキス、イラクサ(nettle)エキス、ベアベリーエキス、及びカンゾウエキスを挙げることができる。
【0027】
好ましい実施形態では、抗ざ瘡剤は血管収縮剤の適用に続いて適用される。この順番は、ざ瘡病変部位から抗ざ瘡剤が流出するのを防ぐためである。抗ざ瘡剤は、血管収縮剤の適用後すぐに適用される場合もあるが、血管収縮剤の適用と抗ざ瘡剤の適用の間に猶予時間(delay period)を置く場合もある。好ましい猶予時間の例としては、15秒〜30分、より好ましくは45秒〜15分、さらにより好ましくは1分〜5分を挙げることができる。しかし、本発明は、血管収縮剤と抗ざ瘡剤の連続適用に限定されるものではないことに留意していただきたい。本発明は血管収縮剤と抗ざ瘡剤の同時適用をも包含する。このような実施例が有効な例として、使用者に複数の段階を行う時間がないか、或いは、又はそれに加えて、血管収縮剤が効く時間のスケールでは抗ざ瘡剤の流出が深刻ではない場合を挙げることができる。
【0028】
シーリング層
本発明のある実施形態は、抗ざ瘡剤適用後の局所シーリング層を提供する。このシーリング層は任意であるが、治療部位を隠すため及び/又は治療部位を密封することで組織内濃度を上げるために用いることができる。例えば、シーリング層は夜間の治療における一時的なパッチの役割を果たす一時的な密封バリアーになり得る。上記パッチは、例えばシリコーン、ポリテトラフルロエチレン(PTFE)、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ペトロラタム、又はアクリレート共重合体を含んでもよい。
【0029】
或いは、シーリング層は、(例えば日中の治療において)美容効果を与えつつ保護バリアーを創り出す、局所的に適用される乳剤であってもよい。美容効果は、例えば、回折能、屈折能、若しくは反射能のある薬剤(例えばマイカ)を上記乳剤に含ませること、及び/又は染みのない皮膚の色に合うように上記乳剤を着色することで達成され得る。血管収縮剤の効果が弱まった後にも残るので、上記の美容効果は有用である。
【0030】
皮膚洗浄剤
本発明のある実施形態では、血管収縮剤の適用前に皮膚洗浄剤を使用する。皮膚洗浄剤は、過剰な脂、細菌、及び毛穴を詰まらせる死んだ皮膚などの、ざ瘡を促進する要素(pro-acne factors)を減らすために使用される。
【0031】
好適な皮膚洗浄剤は特に限定されるものではなく、化粧品として許容される洗浄剤であればよい。例えば、皮膚洗浄剤は、約8〜約30個の炭素原子を有する炭素鎖、より好ましくは約12〜約20個の炭素原子を有する炭素鎖のような疎水性部分と、更に硫酸塩、スルホン酸塩、炭酸塩、リン酸塩、若しくはカルボン酸塩のような親水性部分とを有するアニオン性の界面活性剤を含んでもよい。疎水性炭素鎖は、特定の物理的特性を付与するために(水への溶解性の増加、アニオン性界面活性剤の表面張力を減少させる等)、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等でエーテル化されてもよい。
【0032】
好適なアニオン性界面活性剤として、限定されるものではないが、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、アルキルフェノキシポリオキシエチレンエタノールの硫酸エステル、アルファオレフィンスルホン酸塩、ベータアルコキシアルカンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルモノグリセリド硫酸塩、アルキルモノグリセリドスルホン酸塩、炭酸アルキル、アルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸、スルホコハク酸、サルコシン塩、リン酸オクトキシノール若しくはリン酸ノノキシノール、タウリン塩、脂肪タウリド(fatty taurides)、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド硫酸塩、イセチオン酸塩、又はこれらの混合物を挙げることができる。McCutcheon's Emulsifiers and Detergents, 1993 Annuals, McCutcheon Division, MC Publishing Co., Glen Rock; N.J., pp. 263-266には、更にアニオン性界面活性剤は記載されており、この文献を本願に引用して援用する。その他にも多数のアニオン性界面活性剤、及びアニオン性活性剤の種類がLaughlin et alの米国特許第3,929,678号に開示されており、この文献を本願に引用して援用する。
【0033】
適切なアニオン性界面活性剤として、C−C18アルキル硫酸塩、C−C18脂肪酸塩、エトキシ化C−C18アルキルエーテル硫酸塩、C−C18アルカミンオキシド、C−C18アルキルサルコシン塩、C−C18スルホ酢酸塩、C−C18スルホコハク酸塩、C−C18アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸塩、C−C18アルキルカルボン酸塩、C−C18アルファオレフィンスルホン酸塩、メチルエステルスルホン酸塩、及びこれらの混合物等を挙げることができる。C−C18アルキル基は、直鎖(例えばラウリル)であってもよいし、又は分枝(例えば2−エチルヘキシル)であってもよい。アニオン性界面活性剤のカチオンは、アルカリ金属(好ましくはナトリウム又はカリウム)、アンモニウム、C−Cアルキルアンモニウム(モノ−,ジ−,トリ)、又はC−Cアルカノールアンモニウム(モノ−,ジ−,トリ−)であってもよい。
【0034】
本発明の皮膚洗浄剤に適切な界面活性剤の例として、ラウリル硫酸、オクチル硫酸、2−エチルヘキシル硫酸塩、ラウラミンオキシド、デシル硫酸塩、トリデシル硫酸塩、ココエート(cocoates)、ラウロイルサルコシン塩、ラウリルスルホコハク酸、直鎖C10ジフェニルオキシドジスルホン酸塩、ラウリルスルホコハク酸、ラウリルエーテル硫酸塩、ミリスチル硫酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、トール油脂肪酸塩(tallates)、コカミンオキシド、デシルアミンオキシド、ミリスタミンオキシド(myristamine oxide)、リシノール酸塩、セチル硫酸塩、及び同様なアニオン性界面活性剤を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本発明に包含される皮膚洗浄剤はまた、毛穴の閉塞軽減を促進するために、角質除去剤と組み合わせてもよい。好適な角質除去剤の例として、シリカ微粒子、及びポリマー微粒子等を挙げることができる。
【0036】
皮膚浸透促進剤
本発明のある実施形態では、後で適用する血管収縮剤の浸透を促進するために、ざ瘡病変を含む皮膚領域を、洗浄ステップの間又はその直後に浸透促進剤で処置する。好適な浸透促進剤の例として、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ポロキサマー(231、182、184)、Tween(20、40、60、80)及びレシチン(米国特許第4,783,450号)等の界面活性剤;1置換アザシクロヘプタン−2−オン、特に1−n−ドデシルシクラザシクロヘプタン−2−オン;エタノール、プロパノール、オクタノール、ベンジルアルコール等のアルコール;ラウリン酸、オレイン酸、バレリアン酸等の脂肪酸;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、及びオレイン酸エチル等の脂肪酸エステル;ポリオール、並びにプロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール、及びモノラウリン酸ポリエチレングリコール等のポリオールエステル;アミド並びにウレア、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、エタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等のその他の窒素化合物;テルペン;アルカノン;有機酸、特にサリチル酸及びサリチル酸塩、クエン酸及びコハク酸を挙げることができる。
【0037】
経口投与用栄養補助剤
本発明はまた、本明細書に開示される抗ざ瘡剤と組み合わせた経口投与用の栄養補助剤の使用を包含する。例えば栄養補助剤は、創傷治癒を促進することが知られているビタミン及びミネラルを含むマルチビタミンの錠剤やカプセル剤といった形態であってもよい。特に好ましい実施形態では、そのようなビタミン及びミネラルは、ビタミンA,ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、及び亜鉛からなる群から選択される。ビタミン又はミネラルの具体的な剤形は、薬学的に許容されるものであれば限定されるものではない。例えば、ビタミンAは、ビタミンAパルミテート又はベータカロテンとして投与することができる。別の例として、亜鉛は、アスコルビン酸亜鉛又はアミノ酸キレート亜鉛として投与することができる。
【0038】
創傷治癒に有益なその他の非ビタミン性のサプリメントも本発明に包含される。そのような非ビタミン性サプリメントとして、例えばオルニチンアルファケトグルタル酸(OKG)、グルコサミン硫酸塩、コンドロイチン硫酸塩、アロエベラ、ゴツコーラエキス、及びエキナセアを挙げることができる。
【0039】
収斂剤
本発明のある実施形態では、肌を引き締めたり、若しくは肌の色合いを良くするために、又は皮脂の産生の減少若しくは皮膚の洗浄を促進するために、収斂剤を用いる。大抵の場合、収斂剤は血管収縮剤の前に適用される。本明細書に記載されているように、収斂剤は、皮膚洗浄剤と組み合わせて、或いは皮膚洗浄剤の代わりに使用しても良い。収斂剤の例として、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、カレンデュラエキス、サンブカス(sambucus)エキス、ビャクダンエキス、オーク樹皮(oak bark)エキス、ホワイトリリーエキス、アルニカエキス、オオバコ(plantain)エキス、セイヨウオトギリソウ(St. John’s wort)エキス、セイヨウノコギリソウ(yarrow)エキス、セージエキス、パッションフルーツエキス、クルミエキス、カモミールエキス、キュウリエキス、マルベリーのグリコールエキス、ゲンチアナ(gentian)根エキス、レモンエキス、バラつぼみエキス、ウィッチヘーゼルエキス、コンフリー(comfrey)エキス、ゼラニウムエキス、ミントエキス、ローズマリーエキス、ミルラエキス、リンゴエキス、ベイベリーエキス、ビルベリーエキス、クラリーセージ(clary sage)エキス、コーンフラワー(cornflower)エキス、クレーンズビル(cranesbill)エキス、サンザシ(hawthorn)エキス、セイヨウトチノキ(horse chestnut)エキス、ラズベリー濃縮物、レッドラズベリーエキス、ローズオイル及びローズエキス、トクサ(horsetail)エキス、セイヨウキヅタエキス、カバ(birch)樹皮エキス、ウォータークレスエキス、アルファルファエキス、ゲッケイジュ(bay)オイル、セイヨウバラ(cabbage rose)、シトラスエキス、タンポポ(dandelion)エキス、ヒドラスチス(goldenseal)エキス、ホップエキス、オレンジエキス、ティーツリー油、アレッポ没食子(aqleppo gall)、ビンロウジ(areca nut)エキス、セイヨウノコギリソウエキス、エレキャンペーン(elecampane)、イラクサエキス、コゴメグサ(eyebright)エキス、ジュニパー(juniper)油、タマリンド、コーラ(kola)エキス、レモングラス油、ダイオウ(rhubarb)エキス、オリーブ葉エキス、ギシギシ(sorrel)エキス、ウルシ(sumac)エキスを挙げることができるが、これらの限定されるものではない。
【0040】
鎮痛剤
本発明のある実施形態では、ざ瘡病変に関連した痛みを和らげるために鎮痛剤を使用する。鎮痛剤は、本発明のキットの個別成分であってもよいし、他の成分と組み合わせてもよい。いくつかの実施形態では、鎮痛剤は、ざ瘡治療の初期の段階において痛みを軽減するために血管収縮剤と組み合わせられる。しかし他に、シーリング層の一部として鎮痛剤を適用する場合がある。鎮痛剤の例として、インディアン・オリバナム(Indian olibanum)、サンザシの実(thorn apple)エキス、カバカバエキス、アフリカマンゴノキの仁(Irvingia gabonensis kernel)エキス、ポーチュラカ・オレラセア(Portulaca Oleracea)エキス、ポピーシード(poppy seed)、ペパーミントエキス、ツリーティー油、大麻(Cannabis sativa (hemp))エキス、芥子(Papaver somniferum)エキス、カプシカム(Capsicum)エキス、及びヤナギ(柳樹皮)(Salix(Willobark))エキス、クローバー葉エキス、コリアンダー葉エキス、レモンバームエキス、及び根茎(根生姜(ginger root))エキスを挙げることができるが、これらの限定されるものではない。
【0041】
日焼け防止剤
本発明のある実施形態では日焼け防止剤が用いられ、これは有害な紫外線を吸収若しくは遮蔽することで皮膚を太陽から保護するため、又は長時間太陽にさらされることによるダメージを減らすのを助けるため、又は日焼けを防止するために使用される。さらに、日焼け防止剤はアロエベラ及びキュウリのような抗炎症剤と組み合わせて用いてもよい。順番を限定するわけではないが、一般的に日焼け防止剤は抗ざ瘡剤の後に適用される。本発明に包含される日焼け防止剤の例としては、限定されるものではないが、PABA、ベンゾフェノン、アボベンゾン、ホモサレート(homosalate)、オクチノキセート(octinoxate)、オクチサレート(octisalate)、オキシベンゾン、二酸化チタン、アミノ安息香酸、パディメート(padimate)、オクトリレン(octocrylene)、サリチル酸オクチル、メトキシケイ皮酸オクチル、ジオキシベンゾン、アントラニン酸メンチル、リサジメート(lisadimate)、フェニルベンズイミダゾール、スリソベンゾン(sulisobenzone)、酸化亜鉛、サリチル酸トロラミン、ロキサジマート(roxadimate)、ブメトリゾール(bumetrizole)、オクトクリレン、チノソーブS(Tinosorb S)、チノソーブM(Tinosorb M)、アゼライン酸、ビタミンC、カイネチン、セイヨウトチノキ樹皮エキス、アレッポ没食子、シアバター、ククイナッツ(kukui nut)油、エバーラスティング(everlasting)オイル、エスクリン、コジック酸、カリテバター(karite butter)、酸化チタン、ケイ酸マグネシウム、カリン(kalin)、酸化鉄、レッド・ペトロラタム、及び酸化マグネシウムを挙げることができる。

[実施例]
【実施例1】
【0042】
[2ステップからなるざ瘡の治療法]
本実施例は、2ステップからなるざ瘡の治療法を提供する。第1ステップは、治療するざ瘡病変に局所的に血管収縮成分を適用することからなる。好適な血管収縮成分として、適用しやすいようにHPCを含ませて粘性を増大させた水性基剤中の、0.05%塩酸テトラヒドロゾリン、0.03%塩酸ナファゾリン、又は0.025%塩酸オキシメタゾリン等を挙げることができる。血管収縮成分を適用すると、ざ瘡病変の発赤及び腫れが減少し、ざ瘡病変がより目立たなくなる。約5分後に、水中油型保湿剤基剤に含有させた5%過酸化ベンゾイルの局所的適用からなる第2ステップを行う。本実施例において、5%過酸化ベンゾイルは、使用者の肌の色合いに合わせて着色されているが、この着色は任意である。2日以内に、ざ瘡病変は大幅に治癒される。
【実施例2】
【0043】
[夜間の使用向けの3ステップからなるざ瘡の治療法]
本実施例は、夜間における3ステップからなるざ瘡の治療法を提供する。第1ステップは、治療するざ瘡病変に局所的に血管収縮剤を適用することからなる。好適な血管収縮成分として、適用しやすいようにHPCを含ませて粘性を増大させた水性基剤中の、0.05%塩酸テトラヒドロゾリン、0.03%塩酸ナファゾリン、又は0.025%塩酸オキシメタゾリン等を挙げることができる。血管収縮成分を適用するとざ瘡病変の発赤及び腫れが減少し、ざ瘡病変がより目立たなくなる。約5分後に、水中油型保湿剤基剤に含有させた5%過酸化ベンゾイルの局所的適用からなる第2ステップを行う。その後、皮膚側にシリコーンを含むパッチでざ瘡病変を覆う。このパッチを一晩当てておき、朝に取り除く。
【0044】
次の夜、この3ステップからなるざ瘡の治療法を繰り返す。最初の処置から2日以内には、ざ瘡病変の顕著な改善が見られる。
【実施例3】
【0045】
[日中の使用向けの3ステップからなるざ瘡の治療法]
本実施例は、日中の使用に適した、3ステップからなるざ瘡の治療法を提供する。第1ステップは、治療するざ瘡病変に血管収縮成分を局所的に適用することからなる。好適な血管収縮成分の例として、適用しやすいようにHPCを含ませて粘性を増大させた水性基剤中の、0.05%塩酸テトラヒドロゾリン、0.03%塩酸ナファゾリン、又は0.025%塩酸オキシメタゾリン等を挙げることができる。血管収縮成分を適用するとざ瘡病変の発赤及び腫れが減少し、ざ瘡病変がより目立たなくなる。約5分後に、水中油型保湿剤基剤に含有させた5%過酸化ベンゾイルの局所的適用からなる第2ステップを行う。次に、蒸発を最小限に抑え且つその部位を密封するのを助けるために、油中水型保湿剤を適用する。
【0046】
本治療法は1日2回繰り返す。2日後には、ざ瘡病変の顕著な治癒が見られる。
【実施例4】
【0047】
[マイカと任意の着色を用いた3ステップからなるざ瘡の治療法]
本実施例は、ざ瘡病変をより目立たなくする成分を含む、3ステップからなる日中用のざ瘡の治療法を提供する。第1ステップは、治療するざ瘡病変に局所的に血管収縮剤を適用することからなる。好適な血管収縮成分として、適用しやすいようにHPCを含ませて粘性を増大させた水性基剤中の、0.05%塩酸テトラヒドロゾリン、0.03%塩酸ナファゾリン、又は0.025%塩酸オキシメタゾリン等を挙げることができる。血管収縮成分を適用すると、ざ瘡病変の発赤及び腫れが減少し、ざ瘡病変がより目立たなくなる。約5分後に、水中油型保湿剤基剤に含有させた5%過酸化ベンゾイルの局所的適用からなる第2ステップを行う。次に、蒸発を最小限に抑え且つその部位を密封するのを助けるために、油中水型保湿剤を適用する。上記の油中水型保湿剤はマイカを含有し、病変への又は病変からの光の透過を妨げることで、外見上、ざ瘡による染みを見えにくくする。着色化合物もざ瘡病変を隠すのを助けるために存在しているが、これらの化合物は任意である。
【0048】
本治療法は1日2回繰り返す。2日後には、ざ瘡病変の顕著な治癒が見られる。
【実施例5】
【0049】
[日中用の3ステップからなるざ瘡の治療法と洗浄剤]
実施例3に開示されているざ瘡治療法の前に皮膚洗浄剤を使用してもよい。一般的に、皮膚洗浄剤は肌質及び解剖学的位置に合わせて作られる。本実施例では、皮膚洗浄剤は、過剰な皮脂を除去することでざ瘡促進成分を少なくするデシル硫酸ベースの皮膚洗浄剤である。皮膚洗浄剤はまた、血管収縮剤及び抗ざ瘡治療法のその他の成分の浸透性を増大させるために、皮膚の浸透性を増大させる浸透促進剤としてトリエタノールアミンを含有してもよい。
【実施例6】
【0050】
[日中用の3ステップからなるスポット治療法と洗浄剤及び保湿剤]
実施例5に開示されている抗ざ瘡治療法は、肌の保湿、柔軟性、若しくは外観を向上させるために、又は患部以外の場所に新たにざ瘡病変が形成されにくくなるように、保湿剤と組み合わせて利用してもよい。この保湿剤は、必要に応じて美容上の利点のために色素が添加されていてもよい。通常、洗浄剤が最初に適用され、血管収縮剤及び抗ざ瘡剤が続く。次に、肌を柔軟にし且つその部位を密封するのを助けるために、保湿剤が適用される。顕著な肌の柔軟性の向上及びざ瘡病変の重症度の減少を達成するために、本治療法を1日2回繰り返してもよい。
【実施例7】
【0051】
[日中用の3ステップからなるざ瘡の治療法と日焼け防止剤含有保湿剤]
実施例3に開示されている抗ざ瘡治療法は、太陽からの紫外線ダメージから肌を保護し、肌の保湿、柔軟性、若しくは外観を向上させるために、又は患部以外の場所に新たにざ瘡病変が形成されにくくなるように、日焼け防止剤含有保湿剤と組み合わせて利用してもよい。この保湿剤は、必要に応じて美容上の利点のために色素が添加されていてもよい。通常、血管収縮成分が局所的に適用され、その後抗ざ瘡剤が適用される。次に、太陽から保護するために、7.5%オクチノキセート(メトキシケイ皮酸オクチル)及び3.0%酸化亜鉛並びにキュウリエキス及びビタミンCを含有する油中水型保湿剤を適用する。本治療法は、顕著な肌の柔軟性の向上及びざ瘡病変の重症度の緩和を達成するために1日2回繰り返してもよい。太陽に曝される前に毎朝及び1日を通して、日焼け防止剤含有保湿剤を使用してもよい。
【実施例8】
【0052】
[日中用の3ステップからなる治療法とマイカ及び経口ビタミン剤]
本明細書に記載されている抗ざ瘡治療法は、ざ瘡病変の治癒を早めるか又は新たなざ瘡病変の形成を防ぐ栄養補助剤と組み合わせて利用してもよい。栄養補助剤は、例えば経口マルチビタミンであってもよい。本実施例では、実施例3の抗ざ瘡治療法を、創傷治癒を促進することがよく知られている栄養補助剤である亜鉛、ビタミンC、及びビタミンAと組み合わせて用いる。アミノ酸キレート亜鉛10mg、アスコルビン酸(ビタミンC)250mg、及びベータカロテン(ビタミンA)5000IUを含有する経口マルチビタミンを、実施例3の抗ざ瘡治療法と共に用いて毎日摂取する。2日後には、ざ瘡病変の顕著な改善が見られる。
【実施例9】
【0053】
[敏感肌のための抗ざ瘡治療法]
本実施例は、敏感肌用の抗ざ瘡治療法を提供する。粘性を増大させるためにアクリレート共重合体を含有させた水性基剤中にグアバエキス及びウィッチヘーゼルと共に0.025%塩酸オキシメタゾリンを含有する血管収縮成分が本治療法に含まれる。治療するざ瘡病変に局所的に血管収縮成分を適用する。適用すると、処置した部位の血管壁が収縮して、病変の発赤及び腫れが緩和される。敏感肌用のこの特別なざ瘡治療法では、抗ざ瘡剤は過酸化ベンゾイルではなくトリクロサンである。なぜなら、局所的な過酸化ベンゾイルの適用は、人口の約10%で皮膚アレルギーを発症させるからである。しかし、過酸化ベンゾイルを含まないあらゆる抗ざ瘡剤が使用されてよい。抗ざ瘡剤は、最初の血管収縮成分の適用から約15分後に適用する。必要に応じて、コンシーラー剤(concealing agent)(例えばマイカ)又は着色を含んだ3番目の成分を適用する。
【実施例10】
【0054】
[日中用の2ステップからなるざ瘡の治療法]
本実施例は2ステップからなるざ瘡の治療法を提供する。第1ステップでは、水性基剤中にグアバエキス及びウィッチヘーゼルと共に0.025%塩酸オキシメタゾリンを含有する組成物を、治療するざ瘡病変に局所的に適用する。上記組成物は、適用しやすいようにHPCで粘性を増大させてクリーム状又はゲル様の基剤にする。第1ステップで適用する血管収縮剤は、ざ瘡病変の発赤及び腫れを緩和し、その後適用する抗ざ瘡剤が病変から拡散するのを防ぐのに役立つ。第2ステップは第1ステップの約15分後に行われ、5%グレープシードエキスと油中水型保湿剤とを含有する基剤中に5%過酸化ベンゾイル(抗ざ瘡剤)を含有する組成物を、ざ瘡病変に適用する。上記基剤はマイカも含有し、必要に応じて、第1ステップの血管収縮剤が落ちたときに病変の外観を隠すために着色される。
【実施例11】
【0055】
[日中用の3ステップからなるざ瘡の治療法]
本実施例は3ステップからなるざ瘡の治療法を提供する。第1ステップでは、水性基剤中に0.025%塩酸オキシメタゾリン、グアバエキス、及びウィッチヘーゼルを含有する組成物を、治療するざ瘡病変に局所的に適用する。上記組成物は、適用しやすいように、HPCで粘性を調節してクリーム状又はゲル様の基剤にする。第1ステップで適用する血管収縮剤はざ瘡病変の発赤及び腫れを緩和し、その後に適用する抗ざ瘡剤が病変から拡散するのを防ぐのに役立つ。第2ステップは第1ステップの約15分後に行われ、5%グレープシードエキスを含んだ油中水型保湿剤中に(抗ざ瘡剤として)5%過酸化ベンゾイルを含有する組成物を、ざ瘡病変に適用する。本治療法の第3ステップは、病変への抗ざ瘡剤の流入を増やすために、続く油中水保湿剤の適用からなり、この保湿剤は蒸発防止に役立ち且つある程度の閉塞を与える。上記油中水型保湿剤はマイカを含有し、必要に応じて、ざ瘡病変を隠すのを助けるために着色されていてもい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ざ瘡の治療用のキットであって、
血管収縮剤、
抗ざ瘡剤、並びに
必要に応じて、美白剤、皮膚洗浄剤、収斂剤、日焼け防止剤、及びシーリング層からなる群から選択される1又は複数の成分を含む、前記キット。
【請求項2】
血管収縮剤が、0.05%塩酸テトラヒドロゾリン、0.03%塩酸ナファゾリン、0.025%塩酸オキシメタゾリン、グアバエキス、エラグ酸、カフェイン、サイプレス油、ウィッチヘーゼル、ペパーミントエキス、カモミール油、及びビューグルウィードからなる群から選択される、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
抗ざ瘡剤が、過酸化ベンゾイル及びサリチル酸からなる群から選択される、請求項1に記載のキット。
【請求項4】
美白剤が、アルバチン、アルブチン、ベアベリーエキス、マルベリーエキス、カンゾウエキス、タツナミソウ、アゼライン、グルコサミンアスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビン酸、フキタンポポエキス、没食子酸、ナツメグ、桑枝エキス、及びコジック酸からなる群から選択される、請求項1に記載のキット。
【請求項5】
シーリング層がマイカを含んでいる、請求項1に記載のキット。
【請求項6】
ざ瘡の治療方法であって、
血管収縮剤を適用すること、
続いて抗ざ瘡剤を適用すること、並びに
必要に応じて、前記抗ざ瘡剤の適用後に、美白剤、皮膚洗浄剤、収斂剤、日焼け防止剤、及びシーリング層からなる群から選択される1又は複数の成分を適用することを含む、前記方法。
【請求項7】
血管収縮剤が、0.05%塩酸テトラヒドロゾリン、0.03%塩酸ナファゾリン、0.025%塩酸オキシメタゾリン、グアバエキス、エラグ酸、カフェイン、サイプレス油、ウィッチヘーゼル、ペパーミントエキス、カモミール油、及びビューグルウィードからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
抗ざ瘡剤が、過酸化ベンゾイル及びサリチル酸からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
美白剤が、アルバチン、アルブチン、ベアベリーエキス、マルベリーエキス、リコリスエキス、タツナミソウ、アゼライン、グルコサミンアスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビン酸、フキタンポポエキス、没食子酸、ナツメグ、桑枝エキス、及びコジック酸からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
シーリング層がマイカを含んでいる、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
敏感肌で生じているざ瘡の治療用の抗ざ瘡キットであって、
血管収縮剤、
トリクロサン又はハーブエキスである抗ざ瘡剤、並びに
必要に応じて、美白剤、皮膚洗浄剤、収斂剤、日焼け防止剤及びシーリング層からなる群から選択される1又は複数の成分を含む、前記キット。

【公表番号】特表2008−534614(P2008−534614A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504451(P2008−504451)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/012095
【国際公開番号】WO2006/105450
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(504319459)ルバンス セラピュティックス インク. (12)
【Fターム(参考)】