アクチュエータの角度伝達誤差補償方法
【課題】波動歯車減速機を備えたアクチュエータの角度伝達誤差に含まれている非線形弾性変形成分を効果的に抑制可能な補償方法を提案すること。
【解決手段】波動歯車減速機付きアクチュエータの角度伝達誤差に含まれる非線形弾性変形成分は、モータ軸の回転方向が変化した際に、可撓性外歯歯車の弾性変形により発生する角度伝達誤差の成分であるので、モータを正弦波状に駆動し解析を行うことができる。この解析結果から得られた非線形弾性変形成分モデル(非線形モデル)を用いて、モータ制御装置内にその補償のための関数あるいはデータを記憶させ、非線形弾性変形成分補償(θHys)をフィードフォワード補償用の補償入力(Nθ*TE)として、モータ軸角度指令(θ*M)に加える。この結果、非線形弾性変形成分(θHys)を効果的に低減でき、アクチュエータの位置決め精度を向上させることができる。
【解決手段】波動歯車減速機付きアクチュエータの角度伝達誤差に含まれる非線形弾性変形成分は、モータ軸の回転方向が変化した際に、可撓性外歯歯車の弾性変形により発生する角度伝達誤差の成分であるので、モータを正弦波状に駆動し解析を行うことができる。この解析結果から得られた非線形弾性変形成分モデル(非線形モデル)を用いて、モータ制御装置内にその補償のための関数あるいはデータを記憶させ、非線形弾性変形成分補償(θHys)をフィードフォワード補償用の補償入力(Nθ*TE)として、モータ軸角度指令(θ*M)に加える。この結果、非線形弾性変形成分(θHys)を効果的に低減でき、アクチュエータの位置決め精度を向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの出力回転を波動歯車減速機を介して減速して出力するように構成されているアクチュエータに関する。さらに詳しくは、波動歯車減速機の可撓性外歯歯車の弾性変形に起因する角度伝達誤差成分(非線形弾性変形成分)を除去あるいは低減可能なアクチュエータの角度伝達誤差補償方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(波動歯車減速機付きアクチュエータにおける角度伝達誤差補償の現状)
従来においては、波動歯車減速機付きアクチュエータの位置決め応答を劣化させる角度伝達誤差の成分としては、モータ軸(入力軸)の回転に同期する成分である、モータ軸同期成分(固定成分)、可撓性外歯歯車(FS)および波動発生器(WG)の相対回転に起因するFS−WG相対回転同期成分(移動成分)、および、アクチュエータ出力軸の回転に同期する成分である、負荷軸同期成分が知られている。これらのうち、モータ軸同期成分の補償は積極的に行われてきた。
【0003】
特許文献1では、波動歯車減速機を備えたアクチュエータにおいて、モータ回転軸一回転分の各回転位置に対するアクチュエータ出力軸の角度伝達誤差データを測定し、これに基づき、アクチュエータ出力軸の位置フィードバック制御を行っている。特許文献2においても、同様なアクチュエータ出力軸の位置決めのためのフィードバック制御が提案されている。また、特許文献3においては、波動歯車減速機を備えたアクチュエータを用いてインデックステーブルの割り出し動作を行う割り出しシステムが提案されている。この割り出しシステムでは、定まった割り出し動作パターンにしたがってアクチュエータが駆動制御されて、インデックステーブルの割り出し動作が行われる。また、記憶されている動作パターンは、可撓性外歯歯車の弾性に起因するアクチュエータの加減速時に発生する振動を回避あるいは抑制可能なものであり、位置決めを短時間で行うことが可能である。
【特許文献1】特開2002−175120号公報
【特許文献2】特開2002−244740号公報
【特許文献3】特開2006−039958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
波動歯車減速機付きアクチュエータにおける角度伝達誤差には、波動歯車減速機の可撓性外歯歯車が弾性変形することにより発生する回転に非同期な非線形弾性変形成分が含まれている。表1に示すように、波動歯車減速機付きアクチュエータにおけるオーバーシュート発生時の角度伝達誤差は、モータ軸同期成分(固定成分)と非線形弾性変形成分の割合が大きい。したがって、アクチュエータ出力軸の位置決め精度を高めるためには、非線形弾性変形成分を除去あるいは低減することが必要である。
【0005】
【表1】
【0006】
従来では、特許文献1、2において提案されているように、位置指令または位置フィードバックにモータ軸に同期した成分の補正量を加えることにより、モータ軸同期成分(固定成分)を低減あるいは除去して、位置決め精度の向上を図っていた。しかしながら、可撓性外歯車が弾性変形することにより発生する回転に非同期な非線形弾性変形成分の補償に関しては、有効な補償方法が提案されていない。僅かに、特許文献3において、定型の動作パターンについて、事前に可撓性外歯歯車の弾性を考慮した動作制御を行う方法が提案されているのみである。
【0007】
なお、FS−WG相対回転同期成分(移動成分)は測定結果に再現性がない。また、負荷軸同期成分は負荷の組み付け状態に依存して振幅が変化し、負荷軸絶対角度を測定する手段が無い。したがって、FS−WG相対回転同期成分(移動成分)および負荷軸同期成分に関しては補償を行うことは不可能である。
【0008】
したがって、波動歯車減速機付きアクチュエータの位置決め精度を高めるためには、モータ軸同期成分と共に、非線形弾性変形成分を補償することが必要である。
【0009】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、波動歯車減速機を備えたアクチュエータの角度伝達誤差に含まれている非線形弾性変形成分を効果的に除去あるいは抑制可能なアクチュエータの角度伝達誤差補償方法を提案することにある。
【0010】
また、本発明の課題は、現状の角度伝達誤差補償に非線形弾性変形成分補償を加えることにより、更なる位置決め精度の向上が可能なアクチュエータの角度伝達誤差補償方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
波動歯車減速機付きアクチュエータの角度伝達誤差に含まれる非線形弾性変形成分は、モータ軸の回転方向が変化した際に、可撓性外歯歯車の弾性変形により発生する角度伝達誤差の成分であるので、モータを正弦波状に駆動し解析を行うことができる。本発明では、この解析結果から得られた非線形弾性変形成分モデル(非線形モデル)を用いて、モータ制御装置内にその補償のための関数あるいはデータを記憶させ、非線形弾性変形成分補償(θHys)をフィードフォワード補償用の補償入力(Nθ*TE)として、モータ軸角度指令(θ*M)に加えるようにしている。この結果、本発明によれば、非線形弾性変形成分(θHys)を効果的に低減でき、アクチュエータの位置決め精度を向上させることができる。
【0012】
すなわち、本発明は、モータおよび波動歯車減速機を備えたアクチュエータの角度伝達誤差補償方法において、
前記アクチュエータの角度伝達誤差に含まれる前記波動歯車減速機の可撓性外歯歯車の弾性変形に起因して発生する非線形弾性変形成分の動特性を、(1)〜(3)式により示す数学モデルからなる非線形モデルによって規定し、
【0013】
【数1】
【0014】
【数2】
【0015】
【数3】
但し、θr :非定常領域幅
n :ヒステリシスの膨らみを表す定数
δ :回転方向反転後の回転距離
θ´Hys :回転方向反転時の非線形弾性変形成分θHys(δ)
θdef :方向依存変形角度(オフセット成分)
δ0 :回転方向反転時のモータ軸角度θM
【0016】
前記モータ軸角度θMおよび前記非線形モデルを用いて、モータ軸回転方向反転時の非線形弾性変形成分θHysを求め、
フィードフォワード補償として、モータ軸角度指令θ*Mに、補償入力NθHys(N:波動歯車減速機の減速比)を加えることにより、前記アクチュエータの出力軸の角度伝達誤差に含まれる前記非線形弾性変形成分を補償することを特徴としている。
【0017】
また、本発明のアクチュエータの角度伝達誤差補償方法は、
前記モータを時計回りおよび反時計回りに回転させて、モータ軸の回転に同期して発生する各モータ軸角度θMにおける角度伝達誤差成分であるモータ軸同期成分(固定成分)を測定し、前記モータの時計回りおよび反時計回りの測定値の平均値θTEMotorを算出し、
フィードフォワード補償として、モータ軸角度指令θ*Mに、前記非線形弾性変形成分の補償値θHysおよび前記モータ軸同期成分(固定成分)の補償値θTEMotorを含む補償入力Nθ*TEを加えることにより、前記アクチュエータの出力軸の角度伝達誤差に含まれる前記非線形弾性変形成分および前記モータ軸同期成分(固定成分)を補償することを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の角度伝達誤差補償方法によれば、オーバーシュートの発生などにより位置決め方向が変化した際に顕著に発生する角度伝達誤差に対し、非線形弾性変形成分モデルを用いて補償することで、オーバーシュートが発生した場合においても、従来に比べて位置決め精度を向上できることが確認された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明による波動歯車減速機付きアクチュエータの角度伝達誤差補償方法を詳細に説明する。
【0020】
(角度伝達誤差における非線形弾性変形成分)
波動歯車減速機付きアクチュエータの位置決め応答においてオーバーシュートが発生すると、モータ回転方向が変化し、可撓性外歯歯車の弾性変形による非線形弾性変形成分の影響から大きな角度伝達誤差が発生する。図1および図2は、オーバーシュートの有無による角度伝達誤差のバラツキを示したものであり、オーバーシュートによるバラツキが約170%と大きくなっている。
【0021】
(非線形弾性変形成分モデル)
非線形弾性変形成分は、モータ回転方向が変化した際に可撓性外歯歯車の弾性変形により発生する角度伝達誤差の成分である。よって、図3に示すように、モータを正弦波状に駆動して、非線形弾性変形成分の解析を行うことができる。図4には、モータ軸角度を横軸に、角度伝達誤差を縦軸にとった場合の非線形弾性変形成分特性を示してある。図4から、非線形弾性変形成分がモータ軸角度に依存する特性を示すことが確認できる。
【0022】
そこで、非線形弾性変形成分特性を、微小変位・速度領域や速度反転時における可撓性外歯歯車の弾性変形による非線形な角度伝達誤差特性を想定した非線形モデルで表現する。図5に示すように、非線形弾性変形成分の動特性を、
(a)モータ軸角度θMおよびモータ速度ωMに依存して角度伝達誤差が変化する
(b)モータ回転方向が反転すると角度伝達誤差が非線形に変化する非定常領域θrが存在する
(c)非定常領域内で動作した場合にもヒステリシスを形成する
ものと定義し、(1)〜(3)式に示す数学モデルとして表現する。
【0023】
【数1】
【0024】
【数2】
【0025】
【数3】
但し、θr :非定常領域幅
n :ヒステリシスの膨らみを表す定数
δ :回転方向反転後の回転距離
θ´Hys :回転方向反転時の非線形弾性変形成分θHys(δ)
θdef :方向依存変形角度(オフセット成分)
δ0 :回転方向反転時のモータ位置θM
【0026】
ここで、本モデルの妥当性を検証するために実機非線形弾性変形成分特性を模擬するように各パラメータを決定し、比較を行った。図6および図7は、モータ軸を±90degの振幅を持つ正弦波で駆動した際の角度伝達誤差の時間応答と非線形弾性変形特性を示したものである。図中、実線で実機波形、破線でシミュレーション波形を示している。これらの図から、設定したヒステリシス成分モデルが実機(波動歯車減速機付きアクチュエータ)の角度伝達誤差を良く再現できていることが確認できる。なお、シミュレーションでは非線形弾性変形成分だけでなく、角度伝達誤差のモータ軸同期成分(固定成分)モデルも用いて再現を行っている。
【0027】
(非線形弾性変形成分補償方法)
本発明では、上記のように構築した非線形弾性変形成分モデルを用いて、非線形弾性変形成分補償を行う。非線形弾性変形成分補償は、モータ軸同期成分(固定成分)の補償法と同様に、図8に制御系を示すように、フィードフォワード補償としてモータ軸角度指令に補償入力を加えることで行う。
【0028】
ここで、角度伝達誤差補償の概念を数式で明らかにしておく。角度伝達誤差θTEは負荷軸角度θL、モータ軸角度θM、減速比Nを用いて、(4)式にように定義される。本発明の手法では、角度伝達誤差の補償入力Nθ*TEをモータ軸角度指令θ*Mに加えるので、P−PI制御器に入力される位置偏差eは(5)式となる。
θTE=θL−θM/N (4)
e=θ*M−Nθ*TE−θM (5)
(5)式に(4)式を代入すると
θTE−θ*TE=θL−(θ*M−e)/N (6)
【0029】
なお、角度伝達誤差の推定値θ*TEが実機角度伝達誤差を十分に表現し、θTE=θ*TEとでき、モータを任意に応答させ、e=0が実現できたとするならば(7)式が成立する。
θ*M/N=θL (7)
すなわち、モータ軸角度指令から計算される負荷軸角度と実測負荷軸角度が一致する。しかしながら、このような負荷軸角度が指令値に一致するのはe=0の条件を満たさなければならず、現実的にはモータが静止し、e=0となる位置決め完了時のみ補償が行えることとなる。
【実施例】
【0030】
(実験方法)
割り出し盤などにおけるインデックス動作においてオーバーシュートが発生した際の負荷軸(アクチュエータ出力軸)角度のバラツキの低減を目指し、非線形弾性変形成分補償を行った。表2、表3および表4に、それぞれ、実験条件、角度伝達誤差補償条件、および非線形弾性変形成分モデルのパラメータを示す。なお、モータ軸同期成分(固定成分)補償を行う際のモデルについてはモータを時計方向および反時計方向に回転させ測定したモータ軸同期成分(固定成分)の時計方向および反時計方向モデルの平均値であるMidモデル(図9における一点鎖線)を用いた。
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
(実験結果)
図10および図11は、オーバーシュートの発生する240回のインデックス動作に対して、非線形弾性変形成分モデルを用いて角度伝達誤差を補償した際の結果を示してある。図より、非線形弾性変形成分補償を行うことにより、負荷軸応答のバラツキが大幅に抑制されていることが確認できる。
【0035】
表5は、定量的に角度伝達誤差補償効果を確認したものである。補償無し((a)、図10)に比べて、従来のモータ軸同期成分(固定成分)補償Mid(曲線(b))のみの場合には、バラツキを約65%に低減できる。これに対して、非線形弾性変形成分補償を加えた(モータ軸同期成分(固定成分)補償(Mid)+非線形弾性変形成分補償)((d)、図11)では、バラツキを約32%まで低減できている。
【0036】
【表5】
【0037】
(評価指標について)
本実験では位置決めが完了し、負荷軸が停止する図11の2sにおける負荷軸の目標角度と実測角度の際を「定常偏差」と定義し評価を行った。
定常偏差平均値:位置決め応答の定常偏差(オフセット)の評価指標
定常偏差3σ:位置決め応答のバラツキの評価指標であり、標準偏差σの3倍の値である。
バラツキが正規分布に従う場合は平均から±3σ以上離れた値の出現する
確率は0.3%となる。従って、±3%がバラツキの取り得る範囲である
と考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】アクチュエータにおけるオーバーシュート無しの場合の角度伝達誤差のバラツキを示すグラフである。
【図2】アクチュエータにおけるオーバーシュート有りの場合の角度伝達誤差のバラツキを示すグラフである。
【図3】アクチュエータのモータを正弦波状に駆動した場合のモータ軸応答特性を示すグラフである。
【図4】アクチュエータのモータを正弦波状に駆動した場合の非線形弾性変形成分特性を示すグラフである。
【図5】非線形弾性変形成分モデルを示すグラフである。
【図6】モータ軸を±90degの振幅を持つ正弦波で駆動した際の角度伝達誤差の時間応答特性を示すグラフである。
【図7】モータ軸を±90degの振幅を持つ正弦波で駆動した際の角度伝達誤差の非線形弾性変形特性を示すグラフである。
【図8】アクチュエータの角度伝達誤差補償のための制御系を示すブロック線図である。
【図9】アクチュエータの角度伝達誤差に含まれるモータ軸同期成分(固定成分)を示すグラフである。
【図10】オーバーシュートの発生する240回のインデックス動作に対して、角度伝達誤差を補償しない場合の結果を示すグラフである。
【図11】オーバーシュートの発生する240回のインデックス動作に対して、非線形弾性変形成分モデルを用いて角度伝達誤差を補償した場合の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0039】
θM モータ軸角度
θL 負荷軸(アクチュエータ出力軸)角度
θ*M モータ軸角度指令
θ*TE 角度伝達誤差の推定値
N 波動歯車減速機の減速比
θHys 角度伝達誤差の非線形弾性変形成分
θTEMotor 角度伝達誤差のモータ軸同期成分
e 位置偏差
ωM モータ軸速度
P P制御器
PI PI制御器
Plant 制御対象
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの出力回転を波動歯車減速機を介して減速して出力するように構成されているアクチュエータに関する。さらに詳しくは、波動歯車減速機の可撓性外歯歯車の弾性変形に起因する角度伝達誤差成分(非線形弾性変形成分)を除去あるいは低減可能なアクチュエータの角度伝達誤差補償方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(波動歯車減速機付きアクチュエータにおける角度伝達誤差補償の現状)
従来においては、波動歯車減速機付きアクチュエータの位置決め応答を劣化させる角度伝達誤差の成分としては、モータ軸(入力軸)の回転に同期する成分である、モータ軸同期成分(固定成分)、可撓性外歯歯車(FS)および波動発生器(WG)の相対回転に起因するFS−WG相対回転同期成分(移動成分)、および、アクチュエータ出力軸の回転に同期する成分である、負荷軸同期成分が知られている。これらのうち、モータ軸同期成分の補償は積極的に行われてきた。
【0003】
特許文献1では、波動歯車減速機を備えたアクチュエータにおいて、モータ回転軸一回転分の各回転位置に対するアクチュエータ出力軸の角度伝達誤差データを測定し、これに基づき、アクチュエータ出力軸の位置フィードバック制御を行っている。特許文献2においても、同様なアクチュエータ出力軸の位置決めのためのフィードバック制御が提案されている。また、特許文献3においては、波動歯車減速機を備えたアクチュエータを用いてインデックステーブルの割り出し動作を行う割り出しシステムが提案されている。この割り出しシステムでは、定まった割り出し動作パターンにしたがってアクチュエータが駆動制御されて、インデックステーブルの割り出し動作が行われる。また、記憶されている動作パターンは、可撓性外歯歯車の弾性に起因するアクチュエータの加減速時に発生する振動を回避あるいは抑制可能なものであり、位置決めを短時間で行うことが可能である。
【特許文献1】特開2002−175120号公報
【特許文献2】特開2002−244740号公報
【特許文献3】特開2006−039958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
波動歯車減速機付きアクチュエータにおける角度伝達誤差には、波動歯車減速機の可撓性外歯歯車が弾性変形することにより発生する回転に非同期な非線形弾性変形成分が含まれている。表1に示すように、波動歯車減速機付きアクチュエータにおけるオーバーシュート発生時の角度伝達誤差は、モータ軸同期成分(固定成分)と非線形弾性変形成分の割合が大きい。したがって、アクチュエータ出力軸の位置決め精度を高めるためには、非線形弾性変形成分を除去あるいは低減することが必要である。
【0005】
【表1】
【0006】
従来では、特許文献1、2において提案されているように、位置指令または位置フィードバックにモータ軸に同期した成分の補正量を加えることにより、モータ軸同期成分(固定成分)を低減あるいは除去して、位置決め精度の向上を図っていた。しかしながら、可撓性外歯車が弾性変形することにより発生する回転に非同期な非線形弾性変形成分の補償に関しては、有効な補償方法が提案されていない。僅かに、特許文献3において、定型の動作パターンについて、事前に可撓性外歯歯車の弾性を考慮した動作制御を行う方法が提案されているのみである。
【0007】
なお、FS−WG相対回転同期成分(移動成分)は測定結果に再現性がない。また、負荷軸同期成分は負荷の組み付け状態に依存して振幅が変化し、負荷軸絶対角度を測定する手段が無い。したがって、FS−WG相対回転同期成分(移動成分)および負荷軸同期成分に関しては補償を行うことは不可能である。
【0008】
したがって、波動歯車減速機付きアクチュエータの位置決め精度を高めるためには、モータ軸同期成分と共に、非線形弾性変形成分を補償することが必要である。
【0009】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、波動歯車減速機を備えたアクチュエータの角度伝達誤差に含まれている非線形弾性変形成分を効果的に除去あるいは抑制可能なアクチュエータの角度伝達誤差補償方法を提案することにある。
【0010】
また、本発明の課題は、現状の角度伝達誤差補償に非線形弾性変形成分補償を加えることにより、更なる位置決め精度の向上が可能なアクチュエータの角度伝達誤差補償方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
波動歯車減速機付きアクチュエータの角度伝達誤差に含まれる非線形弾性変形成分は、モータ軸の回転方向が変化した際に、可撓性外歯歯車の弾性変形により発生する角度伝達誤差の成分であるので、モータを正弦波状に駆動し解析を行うことができる。本発明では、この解析結果から得られた非線形弾性変形成分モデル(非線形モデル)を用いて、モータ制御装置内にその補償のための関数あるいはデータを記憶させ、非線形弾性変形成分補償(θHys)をフィードフォワード補償用の補償入力(Nθ*TE)として、モータ軸角度指令(θ*M)に加えるようにしている。この結果、本発明によれば、非線形弾性変形成分(θHys)を効果的に低減でき、アクチュエータの位置決め精度を向上させることができる。
【0012】
すなわち、本発明は、モータおよび波動歯車減速機を備えたアクチュエータの角度伝達誤差補償方法において、
前記アクチュエータの角度伝達誤差に含まれる前記波動歯車減速機の可撓性外歯歯車の弾性変形に起因して発生する非線形弾性変形成分の動特性を、(1)〜(3)式により示す数学モデルからなる非線形モデルによって規定し、
【0013】
【数1】
【0014】
【数2】
【0015】
【数3】
但し、θr :非定常領域幅
n :ヒステリシスの膨らみを表す定数
δ :回転方向反転後の回転距離
θ´Hys :回転方向反転時の非線形弾性変形成分θHys(δ)
θdef :方向依存変形角度(オフセット成分)
δ0 :回転方向反転時のモータ軸角度θM
【0016】
前記モータ軸角度θMおよび前記非線形モデルを用いて、モータ軸回転方向反転時の非線形弾性変形成分θHysを求め、
フィードフォワード補償として、モータ軸角度指令θ*Mに、補償入力NθHys(N:波動歯車減速機の減速比)を加えることにより、前記アクチュエータの出力軸の角度伝達誤差に含まれる前記非線形弾性変形成分を補償することを特徴としている。
【0017】
また、本発明のアクチュエータの角度伝達誤差補償方法は、
前記モータを時計回りおよび反時計回りに回転させて、モータ軸の回転に同期して発生する各モータ軸角度θMにおける角度伝達誤差成分であるモータ軸同期成分(固定成分)を測定し、前記モータの時計回りおよび反時計回りの測定値の平均値θTEMotorを算出し、
フィードフォワード補償として、モータ軸角度指令θ*Mに、前記非線形弾性変形成分の補償値θHysおよび前記モータ軸同期成分(固定成分)の補償値θTEMotorを含む補償入力Nθ*TEを加えることにより、前記アクチュエータの出力軸の角度伝達誤差に含まれる前記非線形弾性変形成分および前記モータ軸同期成分(固定成分)を補償することを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の角度伝達誤差補償方法によれば、オーバーシュートの発生などにより位置決め方向が変化した際に顕著に発生する角度伝達誤差に対し、非線形弾性変形成分モデルを用いて補償することで、オーバーシュートが発生した場合においても、従来に比べて位置決め精度を向上できることが確認された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明による波動歯車減速機付きアクチュエータの角度伝達誤差補償方法を詳細に説明する。
【0020】
(角度伝達誤差における非線形弾性変形成分)
波動歯車減速機付きアクチュエータの位置決め応答においてオーバーシュートが発生すると、モータ回転方向が変化し、可撓性外歯歯車の弾性変形による非線形弾性変形成分の影響から大きな角度伝達誤差が発生する。図1および図2は、オーバーシュートの有無による角度伝達誤差のバラツキを示したものであり、オーバーシュートによるバラツキが約170%と大きくなっている。
【0021】
(非線形弾性変形成分モデル)
非線形弾性変形成分は、モータ回転方向が変化した際に可撓性外歯歯車の弾性変形により発生する角度伝達誤差の成分である。よって、図3に示すように、モータを正弦波状に駆動して、非線形弾性変形成分の解析を行うことができる。図4には、モータ軸角度を横軸に、角度伝達誤差を縦軸にとった場合の非線形弾性変形成分特性を示してある。図4から、非線形弾性変形成分がモータ軸角度に依存する特性を示すことが確認できる。
【0022】
そこで、非線形弾性変形成分特性を、微小変位・速度領域や速度反転時における可撓性外歯歯車の弾性変形による非線形な角度伝達誤差特性を想定した非線形モデルで表現する。図5に示すように、非線形弾性変形成分の動特性を、
(a)モータ軸角度θMおよびモータ速度ωMに依存して角度伝達誤差が変化する
(b)モータ回転方向が反転すると角度伝達誤差が非線形に変化する非定常領域θrが存在する
(c)非定常領域内で動作した場合にもヒステリシスを形成する
ものと定義し、(1)〜(3)式に示す数学モデルとして表現する。
【0023】
【数1】
【0024】
【数2】
【0025】
【数3】
但し、θr :非定常領域幅
n :ヒステリシスの膨らみを表す定数
δ :回転方向反転後の回転距離
θ´Hys :回転方向反転時の非線形弾性変形成分θHys(δ)
θdef :方向依存変形角度(オフセット成分)
δ0 :回転方向反転時のモータ位置θM
【0026】
ここで、本モデルの妥当性を検証するために実機非線形弾性変形成分特性を模擬するように各パラメータを決定し、比較を行った。図6および図7は、モータ軸を±90degの振幅を持つ正弦波で駆動した際の角度伝達誤差の時間応答と非線形弾性変形特性を示したものである。図中、実線で実機波形、破線でシミュレーション波形を示している。これらの図から、設定したヒステリシス成分モデルが実機(波動歯車減速機付きアクチュエータ)の角度伝達誤差を良く再現できていることが確認できる。なお、シミュレーションでは非線形弾性変形成分だけでなく、角度伝達誤差のモータ軸同期成分(固定成分)モデルも用いて再現を行っている。
【0027】
(非線形弾性変形成分補償方法)
本発明では、上記のように構築した非線形弾性変形成分モデルを用いて、非線形弾性変形成分補償を行う。非線形弾性変形成分補償は、モータ軸同期成分(固定成分)の補償法と同様に、図8に制御系を示すように、フィードフォワード補償としてモータ軸角度指令に補償入力を加えることで行う。
【0028】
ここで、角度伝達誤差補償の概念を数式で明らかにしておく。角度伝達誤差θTEは負荷軸角度θL、モータ軸角度θM、減速比Nを用いて、(4)式にように定義される。本発明の手法では、角度伝達誤差の補償入力Nθ*TEをモータ軸角度指令θ*Mに加えるので、P−PI制御器に入力される位置偏差eは(5)式となる。
θTE=θL−θM/N (4)
e=θ*M−Nθ*TE−θM (5)
(5)式に(4)式を代入すると
θTE−θ*TE=θL−(θ*M−e)/N (6)
【0029】
なお、角度伝達誤差の推定値θ*TEが実機角度伝達誤差を十分に表現し、θTE=θ*TEとでき、モータを任意に応答させ、e=0が実現できたとするならば(7)式が成立する。
θ*M/N=θL (7)
すなわち、モータ軸角度指令から計算される負荷軸角度と実測負荷軸角度が一致する。しかしながら、このような負荷軸角度が指令値に一致するのはe=0の条件を満たさなければならず、現実的にはモータが静止し、e=0となる位置決め完了時のみ補償が行えることとなる。
【実施例】
【0030】
(実験方法)
割り出し盤などにおけるインデックス動作においてオーバーシュートが発生した際の負荷軸(アクチュエータ出力軸)角度のバラツキの低減を目指し、非線形弾性変形成分補償を行った。表2、表3および表4に、それぞれ、実験条件、角度伝達誤差補償条件、および非線形弾性変形成分モデルのパラメータを示す。なお、モータ軸同期成分(固定成分)補償を行う際のモデルについてはモータを時計方向および反時計方向に回転させ測定したモータ軸同期成分(固定成分)の時計方向および反時計方向モデルの平均値であるMidモデル(図9における一点鎖線)を用いた。
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
(実験結果)
図10および図11は、オーバーシュートの発生する240回のインデックス動作に対して、非線形弾性変形成分モデルを用いて角度伝達誤差を補償した際の結果を示してある。図より、非線形弾性変形成分補償を行うことにより、負荷軸応答のバラツキが大幅に抑制されていることが確認できる。
【0035】
表5は、定量的に角度伝達誤差補償効果を確認したものである。補償無し((a)、図10)に比べて、従来のモータ軸同期成分(固定成分)補償Mid(曲線(b))のみの場合には、バラツキを約65%に低減できる。これに対して、非線形弾性変形成分補償を加えた(モータ軸同期成分(固定成分)補償(Mid)+非線形弾性変形成分補償)((d)、図11)では、バラツキを約32%まで低減できている。
【0036】
【表5】
【0037】
(評価指標について)
本実験では位置決めが完了し、負荷軸が停止する図11の2sにおける負荷軸の目標角度と実測角度の際を「定常偏差」と定義し評価を行った。
定常偏差平均値:位置決め応答の定常偏差(オフセット)の評価指標
定常偏差3σ:位置決め応答のバラツキの評価指標であり、標準偏差σの3倍の値である。
バラツキが正規分布に従う場合は平均から±3σ以上離れた値の出現する
確率は0.3%となる。従って、±3%がバラツキの取り得る範囲である
と考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】アクチュエータにおけるオーバーシュート無しの場合の角度伝達誤差のバラツキを示すグラフである。
【図2】アクチュエータにおけるオーバーシュート有りの場合の角度伝達誤差のバラツキを示すグラフである。
【図3】アクチュエータのモータを正弦波状に駆動した場合のモータ軸応答特性を示すグラフである。
【図4】アクチュエータのモータを正弦波状に駆動した場合の非線形弾性変形成分特性を示すグラフである。
【図5】非線形弾性変形成分モデルを示すグラフである。
【図6】モータ軸を±90degの振幅を持つ正弦波で駆動した際の角度伝達誤差の時間応答特性を示すグラフである。
【図7】モータ軸を±90degの振幅を持つ正弦波で駆動した際の角度伝達誤差の非線形弾性変形特性を示すグラフである。
【図8】アクチュエータの角度伝達誤差補償のための制御系を示すブロック線図である。
【図9】アクチュエータの角度伝達誤差に含まれるモータ軸同期成分(固定成分)を示すグラフである。
【図10】オーバーシュートの発生する240回のインデックス動作に対して、角度伝達誤差を補償しない場合の結果を示すグラフである。
【図11】オーバーシュートの発生する240回のインデックス動作に対して、非線形弾性変形成分モデルを用いて角度伝達誤差を補償した場合の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0039】
θM モータ軸角度
θL 負荷軸(アクチュエータ出力軸)角度
θ*M モータ軸角度指令
θ*TE 角度伝達誤差の推定値
N 波動歯車減速機の減速比
θHys 角度伝達誤差の非線形弾性変形成分
θTEMotor 角度伝達誤差のモータ軸同期成分
e 位置偏差
ωM モータ軸速度
P P制御器
PI PI制御器
Plant 制御対象
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータおよび波動歯車減速機を備えたアクチュエータの角度伝達誤差補償方法において、
前記アクチュエータの角度伝達誤差に含まれる前記波動歯車減速機の可撓性外歯歯車の弾性変形に起因して発生する非線形弾性変形成分の動特性を、(1)〜(3)式により示す数学モデルからなる非線形モデルによって規定し、
【数1】
【数2】
【数3】
但し、θr :非定常領域幅
n :ヒステリシスの膨らみを表す定数
δ :回転方向反転後の回転距離
θ´Hys :回転方向反転時の非線形弾性変形成分θHys(δ)
θdef :方向依存変形角度(オフセット成分)
δ0 :回転方向反転時のモータ軸角度θM
前記モータ軸角度θMおよび前記非線形モデルを用いて、モータ軸回転方向反転時の非線形弾性変形成分θHysを求め、
フィードフォワード補償として、モータ軸角度指令θ*Mに、補償入力NθHys(N:波動歯車減速機の減速比)を加えることにより、前記アクチュエータの出力軸の角度伝達誤差に含まれる前記非線形弾性変形成分を補償することを特徴とするアクチュエータの角度伝達誤差補償方法。
【請求項2】
請求項1に記載のアクチュエータの角度伝達誤差補償方法において、
前記モータを時計回りおよび反時計回りに回転させて、モータ軸の回転に同期して発生する各モータ軸角度θMにおける角度伝達誤差成分であるモータ軸同期成分(固定成分)を測定し、前記モータの時計回りおよび反時計回りの測定値の平均値θTEMotorを算出し、
フィードフォワード補償として、モータ軸角度指令θ*Mに、前記非線形弾性変形成分の補償値θHysおよび前記モータ軸同期成分(固定成分)の補償値θTEMotorを含む補償入力Nθ*TEを加えることにより、前記アクチュエータの出力軸の角度伝達誤差に含まれる前記非線形弾性変形成分および前記モータ軸同期成分(固定成分)を補償することを特徴とするアクチュエータの角度伝達誤差補償方法。
【請求項1】
モータおよび波動歯車減速機を備えたアクチュエータの角度伝達誤差補償方法において、
前記アクチュエータの角度伝達誤差に含まれる前記波動歯車減速機の可撓性外歯歯車の弾性変形に起因して発生する非線形弾性変形成分の動特性を、(1)〜(3)式により示す数学モデルからなる非線形モデルによって規定し、
【数1】
【数2】
【数3】
但し、θr :非定常領域幅
n :ヒステリシスの膨らみを表す定数
δ :回転方向反転後の回転距離
θ´Hys :回転方向反転時の非線形弾性変形成分θHys(δ)
θdef :方向依存変形角度(オフセット成分)
δ0 :回転方向反転時のモータ軸角度θM
前記モータ軸角度θMおよび前記非線形モデルを用いて、モータ軸回転方向反転時の非線形弾性変形成分θHysを求め、
フィードフォワード補償として、モータ軸角度指令θ*Mに、補償入力NθHys(N:波動歯車減速機の減速比)を加えることにより、前記アクチュエータの出力軸の角度伝達誤差に含まれる前記非線形弾性変形成分を補償することを特徴とするアクチュエータの角度伝達誤差補償方法。
【請求項2】
請求項1に記載のアクチュエータの角度伝達誤差補償方法において、
前記モータを時計回りおよび反時計回りに回転させて、モータ軸の回転に同期して発生する各モータ軸角度θMにおける角度伝達誤差成分であるモータ軸同期成分(固定成分)を測定し、前記モータの時計回りおよび反時計回りの測定値の平均値θTEMotorを算出し、
フィードフォワード補償として、モータ軸角度指令θ*Mに、前記非線形弾性変形成分の補償値θHysおよび前記モータ軸同期成分(固定成分)の補償値θTEMotorを含む補償入力Nθ*TEを加えることにより、前記アクチュエータの出力軸の角度伝達誤差に含まれる前記非線形弾性変形成分および前記モータ軸同期成分(固定成分)を補償することを特徴とするアクチュエータの角度伝達誤差補償方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−187404(P2009−187404A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28195(P2008−28195)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(390040051)株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ (91)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(390040051)株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ (91)
【Fターム(参考)】
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