説明

アルカリ可溶性樹脂層除去方法、レジストパターンの形成方法及び回路基板の製造方法

【課題】回路基板の貫通孔の孔径の大小に係わらず、サイドエッチ量が変わらず、かつ現像残渣の発生がないレジスト像を形成することができるアルカリ可溶性樹脂層除去方法、レジストパターンの形成方法及び回路基板の製造方法を提供する。
【解決手段】アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ化合物のうち少なくともいずれか1種を高濃度で含み、さらに、硫酸塩または亜硫酸塩のうち少なくともいずれか1種を適量含むアルカリ可溶性樹脂層処理液を用いたアルカリ可溶性樹脂層除去方法と、このアルカリ可溶性樹脂層除去方法を用いたレジストパターンの形成方法及び回路基板の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ可溶性樹脂層除去方法、レジストパターンの形成方法及び回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板を製造する方法は、サブトラクティブ法、アディティブ法、セミアディティブ法等がある。サブトラクティブ法は、表面に導電層を設けた絶縁性基板の回路部にエッチングレジスト層を設け、露出している非回路部の導電層をエッチング除去して回路を形成する方法である。アディティブ法は、絶縁性基板の表面の非回路部にめっきレジスト層を設け、回路部に相当する部分に無電解めっき処理等で導電層を形成する方法である。セミアディティブ法は、薄い導電層を表面に有する絶縁性基板の非回路部にめっきレジスト層を設け、回路部に相当する部分に電解めっき処理で導電層を形成し、非回路部のめっきレジスト層を除去した後、フラッシュエッチング処理によって、非回路部の薄い導電層を除去して回路を形成する方法である。
【0003】
エッチングレジスト層およびめっきレジスト層は、スクリーン印刷法、感光性材料を用いた露光現像工程を有するフォトファブリケーション法、インクジェット法等によって形成される。ランドレスや狭小ランド幅の孔を製造しようとする場合、孔の穴開け加工やスクリーン印刷法、露光工程、インクジェット法等の工程における位置合わせが重要であり、特に、高密度回路基板で要求されるランドレスおよび狭小ランド幅の孔では、非常に高い位置合わせ精度が必要となる。ランドは、図22のように、孔の全方向に均一な幅を有する形、つまり孔とランドが同心円である場合が最も望ましいが、位置合わせが不正確であると、図23(a)(b)のそれぞれ右の図のように、孔とランドは同心円とならなくなるという問題があった。
【0004】
図23は(a)狭小ランド幅、(b)広大ランド幅の孔において、距離Xの位置ずれが発生した場合の孔とランドの位置ずれを表した平面概略図である。図23(b)広大ランド幅の孔では、孔の周囲にランドが形成された状態となるが、図23(a)狭小ランド幅の孔では、ランドが孔部分から切れてしまい、全ての外周に渡って狭小ランドが存在する孔を形成することができないという問題が発生している。穴開け加工の精度、基板の伸縮、露光用フォトマスクの寸法変化等が原因となって、位置合わせ精度には限界があるのが実情である。また、高密度回路基板上に形成される孔の径は多種類で、孔数も極めて多いため、全ての孔に対して精確に位置合わせを行うことは非常に困難である。従って、高密度回路基板ではランドレスや狭小ランド幅の孔が求められているにもかかわらず、ランド幅を大きく設計しなくてはならないという問題が発生している(例えば、特許文献1)。
【0005】
このような位置合わせが原因となっていたランドと孔の位置ずれの問題を解決し、回路基板の高密度化のために要求されているランドレスや狭小ランド幅の孔を有する回路基板を製造する方法として、貫通孔を有する基板の第1面に樹脂層及びマスク層を形成する工程と、基板の第1面とは反対側の第2面から樹脂層除去液を供給して、第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の樹脂層を除去する工程を含むレジストパターンの形成方法及び回路基板の製造方法がある(特願2005−336827号公報)。
【0006】
上記のレジストパターンの形成方法及び回路基板の製造方法においては、貫通孔を有する基板の片面(第1面とする)に貫通孔を塞ぐように樹脂層及びマスク層を設け(図2)、反対面(第2面とする)から供給した樹脂層除去液により、貫通孔上及び貫通孔周辺部の樹脂層を除去する(図3)。第2面より供給された樹脂層除去液は、貫通孔を通って、第1面の樹脂層に達し、貫通孔上及び貫通孔周辺部の樹脂層を溶解除去する。マスク層は、この樹脂層除去液に対して不溶性の成分からなり、従って、樹脂層除去液は、樹脂層の貫通孔上及び貫通孔周辺部のみを正確かつ選択的に精度良く除去できる。これにより、貫通孔及び貫通孔周辺部のみ基板の露出した樹脂層を極めて精度良く形成することができ、その後の工程により、ランドレス及び狭小ランド幅のパターンの形成が容易に可能となる。
【0007】
上記のレジストパターンの形成方法及び回路基板の製造方法では、位置合わせを必要としない工程のみで、貫通孔及び貫通孔周辺部に対して正確かつ選択的にめっきレジスト層が存在しない状態を形成することができ、かつランド幅も任意にコントロールできる。
【0008】
ここで、上記の樹脂層は有機溶剤またはアルカリ水溶液を噴霧し不要部分を溶解除去させるのが一般的である。しかし、環境面や経済面の点から、有機溶剤による除去は好ましくなく、樹脂層はアルカリ可溶性樹脂層を使用し、樹脂層除去液はアルカリ水溶液を使用することが求められている。
【0009】
上記のレジストパターンの形成方法や回路基板の製造方法において、基板に孔径の異なる貫通孔が混在する場合、炭酸ナトリウム水溶液等の通常の低濃度のアルカリ水溶液を使用すると、アルカリ水溶液が貫通孔を通ってアルカリ可溶性樹脂層に達し、貫通孔上及び貫通孔周辺部のアルカリ可溶性樹脂層を溶解除去する際、孔径が大きくなるほど溶解が過度に促進されるため、サイドエッチと呼ばれるアルカリ水溶液の回り込みによるアルカリ可溶性樹脂層の浸食が大きくなる。図24に示すように、孔径が小さい場合には溶解除去されるアルカリ可溶性樹脂層の幅は小さいが、孔径が大きくなるにつれてサイドエッチが大きくなり、溶解除去幅が広がってしまうという問題がある。このサイドエッチによるアルカリ可溶性樹脂層の浸食は、回路基板の貫通孔のようにアルカリ水溶液の通過する部分の体積が大きいものでより顕著に起こる。一方、アルカリ可溶性樹脂層の溶解除去幅のばらつきを最小限に抑えるために、例えばアルカリ水溶液による処理時間を短くすると、アルカリ可溶性樹脂層の溶解が不足気味になり現像残渣が発生しやすく、エッチング不良やめっき不良発生の原因になる。本来ランド幅は、高密度化、高精細化に対してより小さく設定することが好ましいが、穴開けドリルの加工精度や基板の伸縮、フォトマスクの寸法変化などの位置ずれの問題があり、最低限ある一定の幅を設ける必要がある。以上の説明のように、基板に異なる孔径の貫通孔が混在するような場合、孔径の違いによってランド幅が異なってしまうと、広大ランドに起因して基板パターン上にショート欠陥が多発するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平07−007265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、回路基板の貫通孔の孔径の大小に係わらず、サイドエッチ量が変わらず、一様に揃った溶解除去幅を持ったレジストパターンを形成することができるアルカリ可溶性樹脂層除去方法、レジストパターンの形成方法及び回路基板の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、
(1)(α)アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物のうち少なくともいずれか1種を含み、該無機アルカリ性化合物の含有量が5〜20質量%であるアルカリ可溶性樹脂層処理液を用いたアルカリ可溶性樹脂層処理工程、(β)アルカリ可溶性樹脂層除去液を用いたアルカリ可溶性樹脂層処理工程を含むことを特徴とするアルカリ可溶性樹脂層除去方法。
(2)アルカリ可溶性樹脂層処理液が、硫酸塩または亜硫酸塩のうち少なくともいずれか1種を0.05〜0.8モル/L含むことを特徴とする上記(1)に記載のアルカリ可溶性樹脂層除去方法。
(3)アルカリ可溶性樹脂層除去液が、水または3質量%以下のアルカリ金属炭酸塩を含む水溶液であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のアルカリ可溶性樹脂層除去方法。
(4)アルカリ可溶性樹脂が光架橋性樹脂であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のアルカリ可溶性樹脂層除去方法。
(5)貫通孔を有する基板の第1面にアルカリ可溶性樹脂層及びマスク層を形成する工程と基板の第1面とは反対側の第2面からアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物のうち少なくともいずれか1種を含み、該無機アルカリ性化合物の含有量が5〜20質量%であるアルカリ可溶性樹脂層処理液を供給し、次いでアルカリ可溶性樹脂層除去液を供給して、第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部のアルカリ可溶性樹脂層を除去する工程を含むレジストパターンの形成方法。
(6)アルカリ可溶性樹脂層処理液が、硫酸塩または亜硫酸塩のうち少なくともいずれか1種を0.05〜0.8モル/L含むことを特徴とする上記(5)に記載のレジストパターンの形成方法。
(7)アルカリ可溶性樹脂が光架橋性樹脂であることを特徴とする上記(5)または(6)に記載のレジストパターンの形成方法。
(8)(a)貫通孔を有する絶縁性基板の第1面及び第1面とは反対側の第2面並びに貫通孔内壁に第1導電層を有する絶縁性基板を準備する工程、
(b)第1面に光架橋性樹脂層及びマスク層を形成して、第1面の第1導電層及び貫通孔開口部を光架橋性樹脂層及びマスク層で覆う工程、
(c)第2面よりアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物のうち少なくともいずれか1種を含み、該無機アルカリ性化合物の含有量が5〜20質量%であるアルカリ可溶性樹脂層処理液を供給し、次いでアルカリ可溶性樹脂層除去液を供給して、第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層を除去し、第1面の貫通孔周辺部の第1導電層を露出する工程、
(d)第1面の光架橋性樹脂層をパターン露光する工程、
(e)第2面に光架橋性樹脂層及びマスク層を形成して、第2面の第1導電層及び貫通孔開口部を光架橋性樹脂層及びマスク層で覆う工程、
(f)第1面のマスク層を除去する工程、
(g)第1面よりアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物のうち少なくともいずれか1種を含み、該無機アルカリ性化合物の含有量が5〜20質量%であるアルカリ可溶性樹脂層処理液を供給し、次いでアルカリ可溶性樹脂層除去液を供給して、第1面の未硬化光架橋性樹脂層並びに第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層を除去し、第1面上の第1導電層及び第2面の貫通孔周辺部の第1導電層を露出する工程、
(h)第2面の光架橋性樹脂層をパターン露光する工程、
(i)第2面のマスク層を除去する工程、
(j)第2面より未硬化光架橋性樹脂層現像液を供給して、第2面の未硬化光架橋性樹脂層を除去し、第2面上の第1導電層を露出する工程、
(k)貫通孔内壁及び貫通孔周辺部、並びに第1面上及び第2面上に露出している第1導電層上に電解めっき処理により第2導電層を形成する工程、
(l)第1面上及び第2面上の硬化光架橋性樹脂層を除去して、第1面上及び第2面上の第1導電層を露出する工程、
(m)露出する第1導電層をフラッシュエッチングして除去する工程
をこの順で含む回路基板の製造方法。
(9)(g)工程が、(g1)第1面より未硬化光架橋性樹脂層現像液を供給して、第1面の未硬化光架橋性樹脂層を除去し、第1面上の第1導電層を露出する工程と、(g2)第1面よりアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物のうち少なくともいずれか1種を含み、該無機アルカリ性化合物の含有量が5〜20質量%であるアルカリ可溶性樹脂層処理液を供給し、次いでアルカリ可溶性樹脂層除去液を供給して、第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層を除去し、第2面の貫通孔周辺部の第1導電層を露出する工程とからなり、(e)工程を(g1)工程と(g2)工程の間で行う、上記(8)に記載の回路基板の製造方法。
(10)アルカリ可溶性樹脂層処理液が、硫酸塩または亜硫酸塩のうち少なくともいずれか1種を0.05〜0.8モル/L含むことを特徴とする上記(8)または(9)に記載の回路基板の製造方法。
を見出した。
【発明の効果】
【0013】
レジストパターンの形成方法や回路基板の製造方法において、エッチング、めっき、サンドブラスト等に用いられるレジスト材料の現像に低濃度のアルカリ水溶液を用いた場合、アルカリ水溶液に可溶なカルボキシル基等を含む高分子バインダーなど界面活性剤機能を有する化合物をアルカリ可溶性樹脂層に使用し、アルカリ水溶液中にミセルを形成させてエマルジョン状態で微分散させることによりアルカリ可溶性樹脂層を溶解拡散する。アルカリ可溶性樹脂層が光架橋性樹脂層の場合には、同様にアルカリ水溶液に可溶なカルボキシル基等を含む高分子バインダーなど界面活性剤機能を有する化合物を使用し、光重合性不飽和化合物や光重合開始剤などの未溶解成分を中心に有するミセルを形成させて光架橋性樹脂層を溶解拡散する。このような溶解現象では、低濃度のアルカリ水溶液を用いた場合、基板に孔径の異なる貫通孔が混在すると、アルカリ水溶液が貫通孔を通ってアルカリ可溶性樹脂層に達し、貫通孔上及び貫通孔周辺部のアルカリ可溶性樹脂層を溶解除去する際、孔径が大きくなるほど溶解が過度に促進されサイドエッチが進行しやすい。本発明のアルカリ可溶性樹脂層処理液は、無機アルカリ性化合物の濃度が5〜20質量%であり、高濃度のアルカリ水溶液である。高濃度のアルカリ水溶液を用いると、溶解除去途中でミセル化されたアルカリ可溶性樹脂層成分を一旦不溶化させ、溶解拡散することを防止しつつ処理液の回り込みによるサイドエッチを抑制することができる。つまり、アルカリ可溶性樹脂層の過度の溶解が抑制され、溶解除去幅を均一に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係わるレジストパターンの形成方法の一工程を表す断面図。
【図2】本発明に係わるレジストパターンの形成方法の一工程を表す断面図。
【図3】本発明に係わるレジストパターンの形成方法の一工程を表す断面図。
【図4】本発明に係わる回路基板の製造方法の一工程を表す断面図。
【図5】本発明に係わる回路基板の製造方法の一工程を表す断面図。
【図6】本発明に係わる回路基板の製造方法の一工程を表す断面図。
【図7】本発明に係わる回路基板の製造方法の一工程を表す断面図。
【図8】本発明に係わる回路基板の製造方法の一工程を表す断面図。
【図9】本発明に係わる回路基板の製造方法の一工程を表す断面図。
【図10】本発明に係わる回路基板の製造方法の一工程を表す断面図。
【図11】本発明に係わる回路基板の製造方法の一工程を表す断面図。
【図12】本発明に係わる回路基板の製造方法の一工程を表す断面図。
【図13】本発明に係わる回路基板の製造方法の一工程を表す断面図。
【図14】本発明に係わる回路基板の製造方法の一工程を表す断面図。
【図15】本発明に係わる回路基板の製造方法の一工程を表す断面図。
【図16】本発明に係わる回路基板の製造方法の一工程を表す断面図。
【図17】本発明に係わる回路基板の製造方法の一工程を表す断面図。
【図18】本発明に係わる回路基板の製造方法の一工程を表す断面図。
【図19】本発明に係わるレジストパターンの形成方法における孔開け加工時の貫通孔径、めっき加工時の貫通孔径及びアルカリ可溶性樹脂層除去部の径を示す断面図。
【図20】本発明に係わる回路基板の製造方法における孔開け加工時の貫通孔径、めっき加工時の貫通孔径及び光架橋性樹脂層除去部の径を示す断面図。
【図21】本発明に係わる回路基板の孔ランド部を示す断面図。
【図22】孔とランドを表した概略図。
【図23】孔とランドの位置ずれを表した概略図。
【図24】孔径とランド幅を表した概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、アルカリ可溶性樹脂層除去方法、レジストパターンの形成方法及び回路基板の製造方法について詳細に説明する。
【0016】
本発明のアルカリ可溶性樹脂層処理液(I)は、リチウム、ナトリウムまたはカリウムの炭酸塩または重炭酸塩等のアルカリ金属炭酸塩、カリウム、ナトリウムのリン酸塩等のアルカリ金属リン酸塩、リチウム、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物等のアルカリ金属水酸化物、カリウム、ナトリウムのケイ酸塩等のアルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物のうち少なくともいずれか1種を含む。このうち特に好ましい化合物としては、アルカリ金属炭酸塩が挙げられる。
【0017】
本発明のアルカリ可溶性樹脂層処理液(I)は、上記無機アルカリ性化合物を処理液に対し5〜20質量%、より好ましくは6〜18質量%、さらに好ましくは7.5〜15質量%含有する。5質量%未満では、ミセルが不溶化し難く溶解除去途中で可溶化されたミセルが溶解拡散しやすい傾向がある。また、20質量%を超えると、析出が起こりやすく液の経時安定性、作業性に劣る傾向がある。特に、光架橋性樹脂層を現像する場合、高濃度のアルカリ水溶液を用いると、硬化光架橋性樹脂層に膨潤が発生しやすい傾向がある。硬化光架橋性樹脂層の膨潤は、基材との密着性や解像度の低下を引き起こすため好ましくない。アルカリ可溶性樹脂層処理液が水溶液の場合、溶液のpHは9〜12の範囲とすることが好ましい。また、界面活性剤、消泡剤等を適宜少量混入することもできる。
【0018】
本発明のアルカリ可溶性樹脂層処理液(II)のように、硫酸塩または亜硫酸塩の少なくともいずれか1種を含有するとさらに好ましい。硫酸塩または亜硫酸塩としては、リチウム、ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属硫酸塩または亜硫酸塩、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属硫酸塩または亜硫酸塩が挙げられる。このうちアルカリ金属硫酸塩または亜硫酸塩が特に好適に用いられる。硫酸塩または亜硫酸塩に含まれる硫酸イオンまたは亜硫酸イオンは、離液順列の大きな多価アニオンであり塩析効果が大きい。本発明の回路基板の製造方法(8)において、(g)工程では、未硬化光架橋性樹脂層と硬化光架橋性樹脂層が混在する状態で未硬化光架橋性樹脂層を除去する。この(g)工程では、硬化光架橋性樹脂層はアルカリ可溶性樹脂層処理液に溶解されたり、膨潤されたりしてはならない。本発明のアルカリ可溶性樹脂層処理液(II)では、離液順列の大きな多価アニオンを添加し、塩析による水和を引き起こすことにより、硬化光架橋性樹脂層の溶解、膨潤を抑制することができる。
【0019】
本発明のアルカリ可溶性樹脂層処理液(II)は、上記硫酸塩または亜硫酸塩の少なくともいずれか1種を0.05〜0.8モル/L、より好ましくは0.1〜0.6モル/L、さらに好ましくは0.15〜0.4モル/L含有する。0.05モル/L未満では、塩析力が弱く水和度が小さいため、光架橋性樹脂層を現像する場合、硬化光架橋性樹脂層の膨潤が起こりやすい傾向がある。また、0.8モル/Lを超えると、過度の水和が起こりミセルの溶解拡散が阻害されるために溶解不良が起こりやすい傾向がある。
【0020】
本発明のアルカリ可溶性樹脂層処理液(I)〜(II)における溶媒は、上記成分を安定して分散溶解し得るものであれば特に限定されないが、水が好適に用いられる。水としては、工業用水、水道水、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。また、上記成分をより安定化するため、あるいは溶解除去速度の調整のために適当量の有機溶剤を含有してもよい。
【0021】
本発明に係わるアルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ水溶液に可溶な重合体であればよく、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂の有機高分子を挙げられる。このうち、エチレン性不飽和二重結合を有した単量体(重合性単量体)を重合(ラジカル重合等)して得られたものであることが好ましい。また、アルカリ現像性を考慮すると、アクリル系樹脂又はメタクリル系樹脂が好ましい。これらのアルカリ水溶液に可溶な重合体は、単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。このようなエチレン性不飽和二重結合を有した単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン等のスチレン誘導体;ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド;アクリロニトリル;ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸モノエステル;マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸系単量体;フマル酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等が挙げられる。
【0022】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、下記一般式(I):
CH=C(R)―COOR (I)
[式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示す。]
で示される化合物及びこれらの化合物のアルキル基に水酸基、エポキシ基、ハロゲン原子等が置換した化合物等が挙げられる。また、上記一般式(I)中のRで示される炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、およびこれらの構造異性体が挙げられる。
【0023】
本発明に係わるアルカリ可溶性樹脂は、アルカリ水溶液への溶解性を考慮すると、カルボキシル基を含有していることが好ましい。従って、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体をラジカル重合させる。カルボキシル基を有する重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸二量体等を挙げることができる。このうち、(メタ)アクリル酸が最も好ましい。また、(メタ)アクリル酸の含量は、アルカリ水溶液に可溶な重合体において、モノマー組成比で25質量%以上含まれていることが好ましい。
【0024】
本発明に係わるアルカリ可溶性樹脂に用いることができるアルカリ水溶液に可溶な重合体は、単独で、もしくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。2種類以上を組み合わせて用いる場合のアルカリ水溶液に可溶な重合体の組み合わせとしては、例えば、異なる共重合成分を有する2種類以上のアルカリ水溶液に可溶な重合体の組み合わせ、異なる重量平均分子量を有する2種類以上のアルカリ水溶液に可溶な重合体の組み合わせ、異なる分散度(重量平均分子量/数平均分子量)を有する2種類以上のアルカリ水溶液に可溶な重合体の組み合わせが挙げられる。
【0025】
本発明に係わるアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、10,000〜300,000であることが好ましく、10,000〜150,000であることがより好ましい。重量平均分子量が、10,000未満では樹脂の可撓性が低下する傾向がある。また、アルカリ水溶液を用いて光架橋性樹脂層を現像する場合、硬化光架橋性樹脂層の密着性が低下する傾向がある。他方、重量平均分子量が300,000を超えると形成されたミセルがアルカリ水溶液中に溶解拡散し難くなり、処理時間が長くなる傾向がある。
【0026】
本発明に係わるアルカリ可溶性樹脂の酸価は30〜300mgKOH/gであることが好ましい。酸価が30mgKOH/g未満では、可溶化ミセルを安定に形成させるのが難しく、溶解性が著しく低下する傾向がある。また、300mgKOH/gを超えると、樹脂のガラス転移温度が高くなり、熱溶融させるのにさらに高温が必要になる。また、樹脂の可撓性が低下する傾向がある。さらに、アルカリ水溶液を用いて光架橋性樹脂層を現像する場合、硬化光架橋性樹脂層の密着性が低下する傾向がある。
【0027】
本発明に係わるアルカリ可溶性樹脂には、必要に応じて、前述のアルカリ水溶液に可溶な重合体以外の成分を含有してもよい。このような成分としては、膜物性をコントロールするために添加するジブチルフタレート、ポリエチレングリコール、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、視認性向上のために添加するマラカイトグリーン等の染料、その他、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤等が挙げられ、アルカリ水溶液に可溶な上記重合体100質量部に対して、各々0.01〜20質量部程度含有することができる。このような成分は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、本発明のアルカリ可溶性樹脂は、必要に応じて、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−ブタノール、n−ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−n−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル等のエステル類、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解して固形分30〜60質量%程度の溶液として、塗布することができる。
【0028】
本発明に係わるアルカリ可溶性樹脂は、キャリアーフィルム上に形成されたアルカリ可溶性樹脂層と、場合によっては、アルカリ可溶性樹脂層上に保護フィルムを備えた、いわゆるドライフィルムの形状で使用される。
【0029】
キャリアーフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性および耐溶剤性を有する重合体フィルムが好適に用いられる。キャリアーフィルムの厚みは、5〜25μmであることが好ましく、8〜20μmであることがより好ましく、10〜16μmであることが特に好ましい。キャリアーフィルムの厚みが5μm未満では、キャリアーフィルム剥離の際にキャリアーフィルム自体が破れることがある。また、キャリアーフィルムの厚みが25μmを超えると、解像度が低下する傾向がある。さらに、キャリアーフィルムのヘーズ(JIS K 7105準拠)は、0.001〜5.0であることが好ましく、0.001〜2.0であることがより好ましく、0.01〜1.8であることが特に好ましい。このヘーズが2.0を超えると、解像度が低下する傾向がある。
【0030】
アルカリ可溶性樹脂層の厚みは、乾燥後の厚みで1〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。この厚みが、1μm未満では工業的に塗布困難な傾向があり、他方、100μmを超えると基材との密着性が低下する傾向がある。
【0031】
本発明に係わるアルカリ可溶性樹脂を前記溶剤に溶解して固形分30〜60質量%程度の溶液とした後に、係る溶液を支持体上に塗布し、乾燥することによりドライフィルムを得ることができる。上記塗布方法としては、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法を採用することができる。また、乾燥処理は、例えば70〜150℃、5〜30分間程度で行うことができる。
【0032】
保護フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムが好適に用いられる。このような保護フィルムの厚みは、5〜30μmであることが好ましく、10〜28μmであることがより好ましく、15〜25μmであることが特に好ましい。この厚みが5μm未満ではラミネートの際、保護フィルムが破れやすくなる傾向があり、他方、この厚みが30μmを超えると廉価性に劣る傾向がある。
【0033】
また、保護フィルムおよびキャリアーフィルムは、後にアルカリ可溶性樹脂層から除去可能でなくてはならないため、除去が不可能となるような表面処理が施されたものでないほうが好ましい。しかしながら、必要に応じてコロナ放電処理等の表面処理を行ってもよい。また、キャリアーフィルムおよび保護フィルムは必要に応じて帯電防止処理が施されていてもよい。
【0034】
本発明に係わるアルカリ可溶性樹脂は、光架橋性樹脂であってもよい。光架橋性樹脂の基本組成は、(A)バインダーポリマー、(B)分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物(以下、光重合性化合物とする)、(C)光重合開始剤である。
【0035】
本発明に係わる光架橋性樹脂に用いることができる(A)バインダーポリマーとしては、アルカリ水溶液に可溶な重合体であればよく、前記に記載のアルカリ可溶性樹脂と同等のものを使用できる。
【0036】
本発明に係わる光架橋性樹脂に係わる(B)光重合性化合物としては、分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合可能な化合物であればよい。例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物;グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー;ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート;γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β′−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物;(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらの光重合性化合物は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
本発明に係わる光架橋性樹脂に係わる光重合開始剤(C)としては、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物等が挙げられる。上記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体における2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は、同一であって対象な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用される。
【0038】
本発明に係わる光架橋性樹脂において、(A)バインダーポリマーの配合量は、(A)成分および(B)成分の総量中40〜80質量%であることが好ましく、45〜70質量%であることがより好ましい。(A)成分の配合量が、40質量%未満では光架橋した部分の機械的強度が低くなる。また、被膜性が悪くなるという問題がある。80質量%を超えると光重合性が低下する。
【0039】
(B)光重合性化合物の配合量は、(A)成分および(B)成分の総量中20〜60質量%であることが好ましく、30〜55質量%であることがより好ましい。このような配合量が、20質量%未満では光重合性が不充分となる傾向があり、他方、60質量%を超えると光架橋物が脆くなる傾向がある。なお、(B)成分中に前記ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物が含有される場合、その配合量は前記(B)成分中、3〜90質量%であることが好ましく、5〜70質量%であることがより好ましい。前記ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物の配合量は前記(B)成分中、3質量%未満では解像度が劣る傾向があり、他方、90質量%を超えると硬化光架橋性樹脂層の剥離時間が長くなる傾向がある。
【0040】
更に、(C)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の混合物100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.2〜10質量部であることがより好ましい。配合量が、0.1質量部未満では光重合性が不充分となる。一方、20質量部を超えると、露光の際に組成物の表面での吸収が増大して内部の光架橋が不充分となる傾向がある。
【0041】
本発明に係わる光架橋性樹脂には、必要に応じて、前述の(A)〜(C)成分以外の成分を含有してもよい。このような成分としては、マラカイトグリーン等の染料、トリブロモフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤等が挙げられ、(A)成分及び(B)成分の混合物100質量部に対して、各々0.01〜20質量部程度含有することができる。このような成分は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
本発明に係わる光架橋性樹脂は、必要に応じて、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−ブタノール、n−ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−n−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル等のエステル類、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解して固形分30〜60質量%程度の溶液として、塗布することができる。
【0043】
本発明に係わる光架橋性樹脂は、アルカリ可溶性樹脂と同様にキャリアーフィルム上に形成された光架橋性樹脂層と、該光架橋性樹脂層上に保護フィルムを備えた、いわゆるドライフィルムレジストの形状で使用される。ドライフィルムレジストとしては、従来市販のものを使用できる。
【0044】
本発明において、アルカリ可溶性樹脂層を溶解除去するための処理方式には、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スクレーピング等があり、高圧スプレー方式が樹脂層除去性向上、残渣除去のためには最も適している。また、必要に応じて2種以上の除去方式を併用してもよい。
【0045】
本発明において、アルカリ可溶性樹脂層を溶解除去するための処理条件(温度、スプレー圧、時間)は、アルカリ可溶性樹脂層のミセルの形成と溶解除去性に合わせて適宜調整される。具体的には、処理温度は10〜50℃、より好ましくは15〜40℃、さらに好ましくは15〜35℃である。また、スプレー圧は0.05〜0.5MPaとするのが好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.3MPaである。
【0046】
続いて、本発明のアルカリ可溶性樹脂層除去方法(1)を処理工程に順じて説明する。本発明におけるアルカリ可溶性樹脂層除去方法は、少なくとも2つの処理工程よりなり、処理工程(α)では、高濃度のアルカリ可溶性樹脂層処理液を過剰に供給することにより、形成されたアルカリ可溶性樹脂のミセルを不溶化させて処理液中に溶解拡散するのを防止する。次いで、処理工程(α)の後に行う処理工程(β)において、アルカリ可溶性樹脂層除去液を供給して、処理工程(α)で不溶化されたミセルを再分散させて溶解除去する。
【0047】
本発明のアルカリ可溶性樹脂層除去方法(3)において、アルカリ可溶性樹脂層除去液としては、水またはアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、モノエタノールアミン等のうち濃度3質量%以下の水溶液を用いることができる。このうち、水または3質量%以下のアルカリ金属炭酸塩を含む水溶液を特に好適に用いることができる。水または低濃度のアルカリ可溶性樹脂層除去液で処理することにより、不溶化したミセルの再分散性が良くなり迅速な処理が可能になる。アルカリ金属炭酸塩の濃度が3質量%を超えると、不溶化したミセルを再分散させることが難しくなり、処理時間が長くなる傾向があるため好ましくない。
【0048】
本発明のレジストパターンの形成方法(5)では、絶縁性基板1の貫通孔を有する基板の片面(第1面とする)に貫通孔を塞ぐようにアルカリ可溶性樹脂層5及びマスク層4を設け(図2(a))、第1面とは反対の面(第2面とする)から本発明のアルカリ可溶性樹脂層処理液を供給し、次いで本発明のアルカリ可溶性樹脂層除去液を供給して、第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部のアルカリ可溶性樹脂層5を除去する(図3(a))。また、絶縁性基板1の表面にのみ導電層2がある場合(図2(b))、絶縁性基板1の表面および孔内壁に導電層2がある場合(図2(c))も同様の工程で第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部のアルカリ可溶性樹脂層が除去される(図3(b)、図3(c))。
【0049】
本発明の回路基板の製造方法(8)では、セミアディティブ工法により回路基板を製造する。図4〜図18を用いて詳細に説明する。
【0050】
まず絶縁性基板1(図4)に貫通孔3を形成する(図5)。次いで、絶縁性基板1の表面及び貫通孔3の内壁に第1導電層6を設ける(図6)。その後、第1面に光架橋性樹脂層8を貫通孔にテンティングするように設ける(図7)。その際、光架橋性樹脂層8上には、マスク層4が光架橋性樹脂層8と接触するように形成してある。次いで、第1面と反対側の第2面から本発明のアルカリ可溶性樹脂層処理液を供給し、次いでアルカリ可溶性樹脂層除去液を供給して、第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層8を溶解除去する(図8)。除去液の種類と濃度、除去処理の時間と温度、スプレー使用の場合は除去液のスプレー圧、吐出量等の除去処理の条件を調整して、貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層8の除去量を調整することができ、第1導電層の露出幅をコントロールすることができる。従って、ランドレスから狭小ランド、広大ランドまでその後のランド幅のコントロールが可能となる。必要な場合には乾燥を行い、その後、第1面の光架橋性樹脂層8に対してパターン露光を行う(図9)。
【0051】
第1面に施したのと同様な方法で、第2面にも光架橋性樹脂層8及びマスク層4を形成する(図10)。第1面のマスク層4を除去した後(図11)、再度、アルカリ可溶性樹脂層処理液及びアルカリ可溶性樹脂層除去液による処理を行う。少なくとも第1面より本発明のアルカリ可溶性樹脂層処理液を供給し、次いでアルカリ可溶性樹脂層除去液を供給して、第1面表面の未硬化光架橋性樹脂層8を溶解除去するとともに、貫通孔を通して、第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層8を溶解除去する(図12)。この際、第1面の処理と同様にして、第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層8の除去量を調整することができ、第1導電層6の露出幅をコントロールすることができる。必要な場合には乾燥を行い、その後、第2面の光架橋性樹脂層8に対してパターン露光を行って、非回路部の光架橋性樹脂を硬化させる(図13)。
【0052】
パターン露光された第2面のマスク層4を除去した後(図14)、未硬化光架橋性樹脂層現像液による処理を行う。少なくとも第2面より現像液を供給するようにし、第2面の表面の未硬化光架橋性樹脂層8を溶解除去する(図15)。
【0053】
これにより、第1面、第2面両面に、めっきレジスト層として機能する硬化光架橋性樹脂9からなるレジストパターンを形成することができる。次いで、露出している第1導電層6上に電解めっき処理により第2導電層7を形成(図16)し、その後、第1面及び第2面の硬化光架橋性樹脂層9を除去(図17)し、露出したままの第1導電層6をフラッシュエッチングすることにより、ランドレス又は狭小ランド幅を有する回路基板を製造することができる(図18)。
【0054】
本発明に係わる絶縁性基板としては、紙基材フェノール樹脂やガラス基材エポキシ樹脂の基板、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、液晶高分子フィルム等を使用することができる。導電層としては、銅、銀、金、アルミニウム、ステンレス、42アロイ、ニクロム、タングステン、ITO、導電性高分子、各種金属錯体等を使用することができる。これらの例は「プリント回路技術便覧」(社団法人日本プリント回路工業会編、日刊工業新聞社、1987年)に記載されている。
【0055】
本発明に係わる絶縁性基板に第1導電層を設ける方法としては、スパッタリング法、蒸着法、無電解めっき法、絶縁性基板に金属箔等の極薄導電層を張り合わせる方法や、導電層を張り合わせた積層板の導電層をエッチング処理によって薄膜とする方法などがある。絶縁性基板に貫通孔を開けた後に、絶縁性基板の表面及び貫通孔の内壁に第1導電層を設けることもできるし、また、絶縁性基板表面に第1導電層を設けた後に、貫通孔を開け、再度、表面及び貫通孔内壁に第1導電層を設けてもよい。また、第2導電層は、第1導電層に対する電解めっき法によって形成することができる。
【0056】
本発明に係わる無電解めっき処理、電解めっき処理は、例えば、「プリント回路技術便覧」(社団法人日本プリント回路工業会編、日刊工業新聞社、1987年)に記載されているものを使用することができる。
【0057】
パターン露光は、レーザ直接描画、フォトマスクを介した密着露光、プロキシミティ露光、投影露光等によって行われる。光源としては、各種レーザ光源の他、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を使用することができる。このパターン露光により、非回路部の光架橋性樹脂を硬化させる。
【0058】
第1面のマスク層の除去は、第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層の除去工程の後であれば、第2面の光架橋性樹脂層及びマスク層の形成以前に行ってもよい。第2面の光架橋性樹脂層及びマスク層の形成時に、第1面の損傷、汚染の可能性がある場合には、第2面の光架橋性樹脂層及びマスク層の形成の後に第1面のマスク層の除去を行ったほうが、パターン露光後の第1面をマスク層により保護できるので好ましい。一方、第1面からのアルカリ可溶性樹脂層除去液を供給した後、マスク層を除去してから、乾燥、露光等を行うこともできる。さらに、第1面の未硬化光架橋性樹脂層を除去した後、第2面の光架橋性樹脂層及びマスク層の形成を行い、次いで、第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層を除去してもよい。これにより、第1面と第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層の除去工程が全く同一になる。つまり、除去すべき光架橋性樹脂層の量が少なくて済むため、液のランニング性が良くなり、ランド幅の均一性も向上する。
【0059】
上記の未硬化光架橋性樹脂層現像液は、光架橋性樹脂層に未硬化部分と硬化部分が存在する場合に未硬化部分の光架橋性樹脂層を除去するための現像液である。本発明のアルカリ可溶性樹脂層処理液および除去液は、硬化部分が存在しない光架橋性樹脂層における未硬化部分の光架橋性樹脂層の処理および除去において用いることができる点で、未硬化光架橋性樹脂層現像液とは本質的に目的、作用が異なる。未硬化光架橋性樹脂層現像液としては、従来公知のものが使用でき、0.3〜3質量%の炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等の低濃度溶液が好適に用いられる。未硬化光架橋性樹脂層現像液のpHは9〜12の範囲とすることが好ましく、その温度はアルカリ可溶性樹脂層の溶解除去性に合わせて調整される。また、界面活性剤、消泡剤等を適宜少量混入することもできる。
【0060】
本発明の回路基板の製造方法において、めっきレジスト層として使用した硬化光架橋性樹脂層を除去する方法としては、高pHのアルカリ性水溶液、有機溶剤等で除去する方法が挙げられる。
【0061】
本発明に係わる第1導電層のフラッシュエッチングに使用するエッチング液は、第1導電層6を溶解除去できるものであればよい。例えば、アルカリ性アンモニア、硫酸−過酸化水素、塩化第二銅、過硫酸塩、塩化第二鉄等の一般的なエッチング液を使用できる。また、装置や方法としては、例えば、水平スプレーエッチング、浸漬エッチング等の装置や方法を使用できる。これらの詳細は、「プリント回路技術便覧」(社団法人日本プリント回路工業会編、日刊工業新聞社、1987年)に記載されている。
【実施例】
【0062】
以下実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0063】
(実施例1)
ガラス基材エポキシ樹脂基板(面積340mm×510mm、基材厚み0.1mm)に、0.1mmφ、0.2mmφ、0.3mmφ、0.5mmφ、1.0mmφ、3.0mmφ、5.0mmφの孔径の異なる貫通孔をドリル加工機を使用して開けた後、デスミア処理を施し、次いで無電解銅めっき処理を行い、貫通孔内壁を含む表面に厚さ約0.5μmの無電解銅めっき層を第1導電層として設けた。ここで、それぞれの孔径について、貫通孔はドリル径だけを変えて作製し、銅めっき層の厚みは変えていない。ドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、表1に記載のアルカリ可溶性樹脂(膜厚25μm)および12μmのマスク層(支持体フィルム、材質:ポリエステル)よりなる、アルカリ可溶性樹脂フィルムを基板の片面(第1面とする)に熱圧着し、アルカリ可溶性樹脂層及びマスク層(支持体フィルム)を設けた。
【0064】
【表1】

【0065】
次に、表2に記載のアルカリ可溶性樹脂層処理液(22℃)を用いて、基板の第2面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを30秒間当てて、第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部のアルカリ可溶性樹脂層のミセルを不溶化させた。この時、アルカリ可溶性樹脂層の溶解拡散を目視で観察したところ、溶解は全く観察されず、アルカリ可溶性樹脂層のミセルが不溶化していることが確認できた。
【0066】
【表2】

【0067】
続いて、表2に記載のアルカリ架橋性樹脂層除去液(30℃)を用いて、基板の第2面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを10秒間当てて、第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部のアルカリ可溶性樹脂層の不溶化ミセルを再び可溶化させて溶解除去した。それぞれ孔径の異なる貫通孔及び貫通孔周辺部を光学顕微鏡で観察したところ、貫通孔周辺部のアルカリ可溶性樹脂層は、貫通孔と同心円状に除去されていた。また、最小0.1mmφから最大5.0mmφまでの異径貫通孔に対するアルカリ可溶性樹脂層除去部の径L3は、孔径が大きくなるにつれて増加していく傾向が見られたが、最小孔径0.1mmφと最大孔径5.0mmφ間のアルカリ可溶性樹脂層除去部の径の差は18μmと最小限に抑えられていた。結果を表5に示す。図19に示す貫通孔についての各種パラメータは、穴開け加工時の貫通孔径L1(=貫通孔ドリル径)、めっき加工時の貫通孔径L2(=L1−1μm)、アルカリ可溶性樹脂層除去部の径L3である。
【0068】
(実施例2〜15)
実施例11および実施例12以外は、実施例1に記載のアルカリ可溶性樹脂層処理液を表2に記載のアルカリ可溶性樹脂層処理液に、実施例11および実施例12は、実施例1に記載のアルカリ可溶性樹脂層除去液を表2に記載のアルカリ可溶性樹脂層除去液に換えた以外は実施例1と同じ方法で貫通孔上及び貫通孔周辺部のアルカリ可溶性樹脂層を除去した。ここで、それぞれの孔径について、貫通孔はドリル径だけを変えて作製し、銅めっき層の厚みは変えていない。それぞれ孔径の異なる貫通孔及び貫通孔周辺部を光学顕微鏡で観察したところ、貫通孔周辺部のアルカリ可溶性樹脂層は、貫通孔と同心円状に除去されていた。最小孔径0.1mmφと最大孔径5.0mmφ間のアルカリ可溶性樹脂層除去部の径の差を表5に示す。
【0069】
(実施例16)
ガラス基材エポキシ樹脂基板(面積340mm×510mm、基材厚み0.1mm)に、0.1mmφ、0.2mmφ、0.3mmφ、0.5mmφ、1.0mmφ、3.0mmφ、5.0mmφの孔径の異なる貫通孔をドリル加工機を使用して開けた後、デスミア処理を施し、次いで無電解銅めっき処理を行い、貫通孔内壁を含む表面に厚さ約0.5μmの無電解銅めっき層を第1導電層として設けた。ここで、それぞれの孔径について、貫通孔はドリル径だけを変えて作製し、銅めっき層の厚みは変えていない。ドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、ニチゴー・モートン株式会社製ドライフィルムフォトレジスト(アルフォNIT225(乾燥膜厚;25μm)を基板の片面(第1面とする)に熱圧着し、光架橋性樹脂層及びマスク層(支持体フィルム)を設けた。
【0070】
次に、表3に記載の第1面のアルカリ可溶性樹脂層処理液(22℃)を用いて、基板の第2面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを60秒間当てて、第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層のミセルを不溶化させた。この時、光架橋性樹脂層の溶解拡散を目視で観察したところ、溶解は全く観察されず、光架橋性樹脂層のミセルが不溶化していることが確認できた。
【0071】
【表3】

【0072】
続けて、表4に記載のアルカリ架橋性樹脂層除去液(30℃)を用いて、基板の第2面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを30秒間当てて、第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層の不溶化ミセルを再び可溶化させて溶解除去した。それぞれ孔径の異なる貫通孔及び貫通孔周辺部を光学顕微鏡で観察したところ、貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層は、貫通孔と同心円状に除去されていた。また、最小0.1mmφから最大5.0mmφまでの異径貫通孔に対する光架橋性樹脂層除去部の径L6は、孔径が大きくなるにつれて増加していく傾向が見られたが、最小孔径0.1mmφと最大孔径5.0mmφ間の光架橋性樹脂層除去部の径の差は14μmと最小限に抑えられていた。結果を表6に示す。図20に示す貫通孔についての各種パラメータは、穴開け加工時の貫通孔径L4(=貫通孔ドリル径)、めっき加工時の貫通孔径L5(=L4−1μm)、光架橋性樹脂層除去部の径L6である。
【0073】
【表4】

【0074】
【表5】

【0075】
【表6】

【0076】
回路パターンを描画したフォトマスク(導体幅及び間隙:35μm)を基板の第1面に載せ、吸引密着機構を有する焼付用高圧水銀灯光源装置(ユニレックURM300、ウシオ電機製)を用いて、30秒間紫外線パターン露光を行った。
【0077】
次いで、露光処理が終了した基板の第2面に、ドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、第1面と同一の回路形成用ドライフィルムフォトレジストを熱圧着して、光架橋性樹脂層及びマスク層を設けた。その後、第1面のマスク層を剥がして除去した。
【0078】
次に、表3に記載の第2面のアルカリ可溶性樹脂層処理液(22℃)を用いて、基板の第1面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを30秒間当てて、第1面の光架橋性樹脂層の未硬化部分および第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層のミセルを不溶化させた。この時、第1面の光架橋性樹脂層の未硬化部分及び第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層の溶解拡散を目視で観察したところ、溶解は全く観察されず、光架橋性樹脂層のミセルが不溶化していることが確認できた。
【0079】
続いて、表4に記載のアルカリ可溶性樹脂層除去液(30℃)を用いて、基板の第1面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを10秒間当てて、第1面の光架橋性樹脂層の未硬化部分及び第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層の不溶化ミセルを再び可溶化させて溶解除去した。第2面のそれぞれ孔径の異なる貫通孔及び貫通孔周辺部を光学顕微鏡で観察したところ、貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層は、貫通孔と同心円状に除去されていた。また、最小0.1mmφから最大5.0mmφまでの異径貫通孔に対する光架橋性樹脂層除去部の径L6は、孔径が大きくなるにつれて増加していく傾向が見られたが、最小孔径0.1mmφと最大孔径5.0mmφ間の光架橋性樹脂層除去部の径の差は11μmと最小限に抑えられていた。さらに、第1面の硬化光架橋性樹脂層に膨潤は全く見られなかった。
【0080】
回路パターンを描画したフォトマスク(導体幅及び間隙:35μm)を基板の第2面に載せ、吸引密着機構を有する焼付用高圧水銀灯光源装置(ユニレックURM300、ウシオ電機製)を用いて、30秒間紫外線パターン露光を行った。その後、第2面のマスク層を剥がして除去した。
【0081】
次に、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液(30℃)を用いて、基板の第2面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを30秒間当てて、第2面の光架橋性樹脂層の部分を除去した。
【0082】
第1面、第2面の硬化光架橋性樹脂層からなるレジストパターンを観察した結果、貫通孔及び貫通孔周辺部には、同心円状に精度良く第1導電層が露出されるようにレジストパターンが形成されており、基板表面のレジストパターンにも膨潤は見られず良好に形成されていた。
【0083】
次いで、電解銅めっきを行って、第1導電層上に厚さ約12μmの電解銅めっき層を、第2導電層として形成した。続いて、3質量%の水酸化ナトリウム水溶液で処理し、めっきレジスト層として使用した光架橋性樹脂の架橋部を剥離除去した。
【0084】
さらに、硫酸−過酸化水素系のエッチング液(三菱ガス化学製、製品名CPE、30℃、スプレー圧 0.2MPa)で処理し、露出している第1導電層を除去した。得られた回路基板を光学顕微鏡で観察したところ、それぞれ孔径の異なる貫通孔におけるランドは貫通孔と同心円状に形成されていた。また、最小0.1mmφから最大5.0mmφまでの異径貫通孔に対するランド径の差は20μm以下に抑えられており、第1面および第2面のそれぞれの孔径におけるランド径もほとんど変わらなかった。得られた回路基板に断線は見られず、基板内に異なる孔径の貫通孔が混在する場合においても、均一なランド幅を持った回路基板を作製することができた。第1面および第2面の孔径0.10mmφのランド径L9の測定結果を表6に示す。図21に示す貫通孔についての各種パラメータは、穴開け加工時の貫通孔径L7(=貫通孔ドリル径)、フラッシュエッチング後の貫通孔径L8(L7−24μm)、第1面のランド径L9、第2面のランド径L10である。
【0085】
(実施例17〜30)
実施例16に記載の第2面のアルカリ可溶性樹脂層処理液を表3に記載のアルカリ可溶性樹脂層処理液に換えた以外は実施例16と同じ方法で回路基板を作製した。ここで、それぞれの孔径について、貫通孔はドリル径だけを変えて作製し、銅めっき層の厚みは変えていない。電解銅めっきを行う直前の貫通孔及び貫通孔周辺部を第1面、第2面それぞれ光学顕微鏡で観察したところ、貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層は、貫通孔と同心円状に除去されていた。また、最小0.1mmφから最大5.0mmφまでの異径貫通孔に対する光架橋性樹脂層除去部の径の差は20μm以下に抑えられていた。実施例23では、亜硫酸イオン濃度が低く、多価アニオンによる塩析効果が十分でなかったため、基板の第1面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを60秒間当てて第2面の光架橋性樹脂層の未硬化部分及び第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層を除去する際、第1面の硬化光架橋性樹脂層に部分的に膨潤が観察された。実施例24では、亜硫酸イオン濃度が高く、多価アニオンによる塩析効果が過剰になったため、基板の第1面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを60秒間当てて第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層を除去する際、第2面の光架橋性樹脂層の膜収縮が進み、溶解除去幅が縮小した。つまり、実施例23および実施例24では、第1面と第2面の各孔径における光架橋性樹脂層除去部の径に差が発生した。他の実施例においては、第1面の硬化光架橋性樹脂層の膨潤や第2面の光架橋性樹脂層の膜収縮による溶解除去幅の縮小は見られなかった。第1面、第2面それぞれにおける最小孔径0.1mmφと最大孔径5.0mmφ間の光架橋性樹脂層除去部の径の差を表6に示す。
【0086】
実施例16と同様の処理を行い、フラッシュエッチング処理後に得られた回路基板を光学顕微鏡で観察したところ、ランドは貫通孔と同心円状に除去されていた。また、最小0.1mmφから最大5.0mmφまでの異径貫通孔に対するランド径の差は20μm以下に抑えられていた。実施例23および実施例24以外の実施例では、第1面および第2面のそれぞれの孔径におけるランド径はほとんど変わらなかった。実施例23および実施例24では、第1面と第2面の各孔径におけるランド径に20μm以上の差が発生したが、全ての実施例で得られた回路基板に断線は見られず、基板内に異なる孔径の貫通孔が混在する場合においても、均一なランド幅を持った回路基板を作製することができた。第1面および第2面の孔径0.10mmφのランド径L9の測定結果を表6に示す。
【0087】
(実施例31)
実施例16において、第1面の露光処理が終了した基板の第2面に、ドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、第1面と同一の回路形成用ドライフィルムフォトレジストを熱圧着して、光架橋性樹脂層及びマスク層を設ける前に、未硬化光架橋性樹脂層現像液として1質量%の炭酸ナトリウム水溶液(30℃)を用いて、第1面の露光処理が終了した基板の第1面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを30秒間当てて、第1面の未硬化光架橋性樹脂層を溶解除去してから、ドライフィルムレジスト用ラミネータを用いて、基板の第2面に第1面と同一の回路形成用ドライフィルムフォトレジストを熱圧着して、光架橋性樹脂層及びマスク層を設け、第2面のマスク層を剥がして除去した後、第1面より表3に記載の第2面のアルカリ可溶性樹脂層処理液(22℃)を用いて、基板の第1面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを30秒間当てて、第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層のミセルを不溶化させ、続いて、表4に記載のアルカリ可溶性樹脂層除去液(30℃)を用いて、基板の第1面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを10秒間当てて、第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層の不溶化ミセルを再び可溶化させて溶解除去する以外は実施例16と同じ方法で回路基板を作製した。ここで、それぞれの孔径について、貫通孔はドリル径だけを変えて作製し、銅めっき層の厚みは変えていない。電解銅めっきを行う直前の貫通孔及び貫通孔周辺部を第1面、第2面それぞれ光学顕微鏡で観察したところ、貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層は、貫通孔と同心円状に除去されていた。また、最小0.1mmφから最大5.0mmφまでの異径貫通孔に対する光架橋性樹脂層除去部の径の差は20μm以下に抑えられていた。第1面、第2面それぞれにおける最小孔径0.1mmφと最大孔径5.0mmφ間の光架橋性樹脂層除去部の径の差を表6に示す。
【0088】
実施例16と同様の処理を行い、フラッシュエッチング処理後に得られた回路基板を光学顕微鏡で観察したところ、ランドは貫通孔と同心円状に除去されていた。また、最小0.1mmφから最大5.0mmφまでの異径貫通孔に対するランド径の差は20μm以下に抑えられており、第1面および第2面のそれぞれの孔径におけるランド径もほとんど変わらず、最良のランド均一性が得られた。得られた回路基板に断線は見られず、基板内に異なる孔径の貫通孔が混在する場合においても、均一なランド幅を持った回路基板を作製することができた。第1面および第2面の孔径0.10mmφのランド径L9の測定結果を表6に示す。
【0089】
(比較例1〜11)
実施例1に記載のアルカリ可溶性樹脂層処理液を表7に記載のアルカリ可溶性樹脂層処理液に、比較例9はアルカリ可溶性樹脂層処理液だけでなくアルカリ可溶性樹脂層除去液も表6に記載のアルカリ可溶性樹脂層除去液に換えた以外は実施例1と同じ方法で貫通孔上及び貫通孔周辺部のアルカリ可溶性樹脂層を除去した。ここで、それぞれの孔径について、貫通孔はドリル径だけを変えて作製し、銅めっき層の厚みは変えていない。
【0090】
【表7】

【0091】
比較例1、2、4、6、8、10では、基板の第2面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを60秒間当てて第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層を除去する際、光架橋性樹脂層のミセルが不溶化せず、第1面の光架橋性樹脂層の未硬化部分及び第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層が溶解拡散した。その結果、貫通孔の孔径が増加するにつれて、具体的には、貫通孔の孔径が0.5mmφより大きくなると、光架橋性樹脂層除去部の径が3倍以上に拡大した。さらに、貫通孔の孔径が1.0mmφよりも大きくなると、貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層は、貫通孔と同心円状に除去されておらず、光架橋性樹脂層除去部の径を測定できなかった。フラッシュエッチング処理後の回路基板において、ショート欠陥の多発を引き起こした。
【0092】
比較例3、5、7、9、11では、無機アルカリ性化合物の濃度が高くなりすぎ、液温22℃において塩の析出が発生し、水溶液を所望の濃度で調製することができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、回路基板、半導体装置等の製造や金属の精密加工、プラズマディスプレイ背面板などの加工分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 絶縁性基板
2 導電層
3 貫通孔
4 マスク層
5 アルカリ可溶性樹脂層
6 第1導電層
7 第2導電層
8 光架橋性樹脂層
9 硬化部
10 貫通孔
11 ランド部導電層
12 孔
13 ランド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(α)アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物のうち少なくともいずれか1種を含み、該無機アルカリ性化合物の含有量が5〜20質量%であるアルカリ可溶性樹脂層処理液を用いたアルカリ可溶性樹脂層処理工程、(β)アルカリ可溶性樹脂層除去液を用いたアルカリ可溶性樹脂層処理工程を含むことを特徴とするアルカリ可溶性樹脂層除去方法。
【請求項2】
アルカリ可溶性樹脂層処理液が、硫酸塩または亜硫酸塩のうち少なくともいずれか1種を0.05〜0.8モル/L含むことを特徴とする請求項1に記載のアルカリ可溶性樹脂層除去方法。
【請求項3】
アルカリ可溶性樹脂層除去液が、水または3質量%以下のアルカリ金属炭酸塩を含む水溶液であることを特徴とする請求項1または2に記載のアルカリ可溶性樹脂層除去方法。
【請求項4】
アルカリ可溶性樹脂が光架橋性樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアルカリ可溶性樹脂層除去方法。
【請求項5】
貫通孔を有する基板の第1面にアルカリ可溶性樹脂層及びマスク層を形成する工程と基板の第1面とは反対側の第2面からアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物のうち少なくともいずれか1種を含み、該無機アルカリ性化合物の含有量が5〜20質量%であるアルカリ可溶性樹脂層処理液を供給し、次いでアルカリ可溶性樹脂層除去液を供給して、第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部のアルカリ可溶性樹脂層を除去する工程を含むレジストパターンの形成方法。
【請求項6】
アルカリ可溶性樹脂層処理液が、硫酸塩または亜硫酸塩のうち少なくともいずれか1種を0.05〜0.8モル/L含むことを特徴とする請求項5に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項7】
アルカリ可溶性樹脂が光架橋性樹脂であることを特徴とする請求項5または6に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項8】
(a)貫通孔を有する絶縁性基板の第1面及び第1面とは反対側の第2面並びに貫通孔内壁に第1導電層を有する絶縁性基板を準備する工程、
(b)第1面に光架橋性樹脂層及びマスク層を形成して、第1面の第1導電層及び貫通孔開口部を光架橋性樹脂層及びマスク層で覆う工程、
(c)第2面よりアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物のうち少なくともいずれか1種を含み、該無機アルカリ性化合物の含有量が5〜20質量%であるアルカリ可溶性樹脂層処理液を供給し、次いでアルカリ可溶性樹脂層除去液を供給して、第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層を除去し、第1面の貫通孔周辺部の第1導電層を露出する工程、
(d)第1面の光架橋性樹脂層をパターン露光する工程、
(e)第2面に光架橋性樹脂層及びマスク層を形成して、第2面の第1導電層及び貫通孔開口部を光架橋性樹脂層及びマスク層で覆う工程、
(f)第1面のマスク層を除去する工程、
(g)第1面よりアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物のうち少なくともいずれか1種を含み、該無機アルカリ性化合物の含有量が5〜20質量%であるアルカリ可溶性樹脂層処理液を供給し、次いでアルカリ可溶性樹脂層除去液を供給して、第1面の未硬化光架橋性樹脂層並びに第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層を除去し、第1面上の第1導電層及び第2面の貫通孔周辺部の第1導電層を露出する工程、
(h)第2面の光架橋性樹脂層をパターン露光する工程、
(i)第2面のマスク層を除去する工程、
(j)第2面より未硬化光架橋性樹脂層現像液を供給して、第2面の未硬化光架橋性樹脂層を除去し、第2面上の第1導電層を露出する工程、
(k)貫通孔内壁及び貫通孔周辺部、並びに第1面上及び第2面上に露出している第1導電層上に電解めっき処理により第2導電層を形成する工程、
(l)第1面上及び第2面上の硬化光架橋性樹脂層を除去して、第1面上及び第2面上の第1導電層を露出する工程、
(m)露出する第1導電層をフラッシュエッチングして除去する工程
をこの順で含む回路基板の製造方法。
【請求項9】
(g)工程が、(g1)第1面より未硬化光架橋性樹脂層現像液を供給して、第1面の未硬化光架橋性樹脂層を除去し、第1面上の第1導電層を露出する工程と、(g2)第1面よりアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物のうち少なくともいずれか1種を含み、該無機アルカリ性化合物の含有量が5〜20質量%であるアルカリ可溶性樹脂層処理液を供給し、次いでアルカリ可溶性樹脂層除去液を供給して、第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層を除去し、第2面の貫通孔周辺部の第1導電層を露出する工程とからなり、(e)工程を(g1)工程と(g2)工程の間で行う、請求項8に記載の回路基板の製造方法。
【請求項10】
アルカリ可溶性樹脂層処理液が、硫酸塩または亜硫酸塩のうち少なくともいずれか1種を0.05〜0.8モル/L含むことを特徴とする請求項8または9に記載の回路基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−286851(P2010−286851A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178263(P2010−178263)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【分割の表示】特願2006−114072(P2006−114072)の分割
【原出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】