説明

アルミニウム含有感光性樹脂組成物およびパターン形成方法

【課題】抵抗値が低いパターンを形成可能な、安価なアルミニウム含有感光性樹脂組成物、および該感光性樹脂組成物を用いたパターン形成方法を提供すること。
【解決手段】(A)アルミニウム粉末、(C)(メタ)アクリル酸由来の構成単位を5〜20重量%、アクリル酸エステル由来の構成単位を25〜95重量%、およびメタクリル酸エステル由来の構成単位を0〜70重量%の範囲で有するアルカリ可溶性樹脂、(D)多官能(メタ)アクリレート、ならびに(E)光重合開始剤を含有することを特徴とするアルミニウム含有感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム含有感光性樹脂組成物およびパターン形成方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、フラットパネルディスプレイなどのディスプレイパネルの部材、電子部品の高度実装材料の部材および太陽電池の部材を製造する際に用いられるアルミニウム含有感光性樹脂組成物ならびに該樹脂組成物を用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回路基板やディスプレイパネルにおけるパターン加工に対して、高密度化および高精細化の要求が高まっている。このような要求が高まっているディスプレイパネルの中でも、特にプラズマディスプレイパネル(以下「PDP」ともいう。)やフィールドエミッションディスプレイ(以下「FED」ともいう。)などのフラットパネルディスプレイ(以下「FPD」ともいう。)が注目されている。
【0003】
図1は交流型のPDPの断面形状を示す模式図である。図1において、101および102は対抗配置されたガラス基板、103および111は隔壁であり、ガラス基板101、ガラス基板102、背面隔壁103および前面隔壁111によりセルが区画形成されている。104はガラス基板101に固定された透明電極であり、105は透明電極104の抵抗を下げる目的で該透明電極104上に形成されたバス電極であり、106はガラス基板102に固定されたアドレス電極である。107はセル内に保持された蛍光体であり、108は透明電極104およびバス電極105を被覆するようガラス基板101の表面に形成された誘電体層であり、109はアドレス電極106を被覆するようガラス基板102の表面に形成された誘電体層であり、110は例えば酸化マグネシウムからなる保護層である。
【0004】
また、カラーFPDにおいては、コントラストの高い画像を得るため、ガラス基板と誘電体層との間に、カラーフィルター(赤色・緑色・青色)やブラックマトリックスなどを設けることがある。
【0005】
上述の構成を有するPDPや図2に示されるFEDに代表されるFPDにおいては、パネルの大型化および高精細化が進んでおり、それに伴ってパターン加工技術の向上が要望されている。しかしながら、このようなパネルの大型化および高精細化に伴い、パターン精度の要求が非常に厳しくなり、従来の工法であるスクリーン印刷法では対応できないという問題がある。
【0006】
そこで、現在ではフォトリソグラフィー法によるパターン形成が主に用いられている。例えば電極を製造する場合には、前記フォトリソグラフィー法において、感光性銀ペーストを用いることにより、スクリーン印刷法では対応できなかった問題である大型および高精細なパターン形成が可能となっている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0007】
しかしながら、銀は貴金属であるため高価である。このため、感光性銀ペーストも高価な導電性ペーストになっている。また、感光性銀ペーストの欠陥として、高温多湿環境下でマイグレーションを起こし、銀表面において硫化が発生するという性質が挙げられる。
【0008】
従って、現在では高価な銀に代わる導電性粒子としてアルミニウムを用いることが検討されている。しかしながら、アルミニウムは銀よりも酸化されやすいため、焼成工程においてパターンの抵抗値が上昇してしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平09−306343号公報
【特許文献2】特開2008−001070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものである。すなわち、本発明は、抵抗値が低いパターンを形成可能な、安価なアルミニウム含有感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、前記アルミニウム含有感光性樹脂組成物を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、導電性粒子としてアルミニウムを用い、結着樹脂としてメタクリル酸エステルを主体とするアルカリ可溶性樹脂を用いた場合には、焼成工程においてパターンの抵抗値が上昇してしまうことがわかった。この点について、特許文献2では、結着樹脂としてメタクリル酸エステルを主体とするアルカリ可溶性樹脂が好ましいとされており(段落[0028]、実施例など)、アルカリ可溶性樹脂のさらなる検討はなされていない。
【0012】
本発明者らは上記知見をもとにさらに鋭意検討を行った。その結果、アルミニウム粉末とともに、アルカリ可溶性樹脂としてアクリル酸エステルを主体とする樹脂を用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明およびその好適な態様は、以下の[1]〜[5]に関する。
[1](A)アルミニウム粉末、(C)(メタ)アクリル酸由来の構成単位を5〜20重量%、アクリル酸エステル由来の構成単位を25〜95重量%、およびメタクリル酸エステル由来の構成単位を0〜70重量%の範囲で有するアルカリ可溶性樹脂、(D)多官能(メタ)アクリレート、ならびに(E)光重合開始剤を含有することを特徴とするアルミニウム含有感光性樹脂組成物。
【0014】
[2]前記アルカリ可溶性樹脂(C)が、(メタ)アクリル酸由来の構成単位を15〜20重量%、アクリル酸エステル由来の構成単位を50〜85重量%、およびメタクリル酸エステル由来の構成単位を0〜35重量%の範囲で有するアルカリ可溶性樹脂であることを特徴とする前記[1]に記載のアルミニウム含有感光性樹脂組成物。
【0015】
[3](B)ガラス粉末をさらに含有し、前記ガラス粉末(B)の50重量%平均粒子径(D50)が0.2〜4.0μmであることを特徴とする前記[1]または[2]に記載のアルミニウム含有感光性樹脂組成物。
【0016】
[4]前記ガラス粉末(B)の軟化点が350〜700℃であり、かつ前記ガラス粉末(B)を感光性樹脂組成物全体に対して0.5〜40重量%の範囲で含有することを特徴とする前記[3]に記載のアルミニウム含有感光性樹脂組成物。
【0017】
[5](1)前記[1]〜[4]の何れかに記載のアルミニウム含有感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を基板上に形成する工程、(2)前記樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程、(3)前記樹脂層を現像処理してパターンを形成する工程、および(4)前記パターンを焼成処理する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、抵抗値が低いパターンを形成可能な、安価なアルミニウム含有感光性樹脂組成物が提供される。また、本発明によれば、前記アルミニウム含有感光性樹脂組成物を用いたパターン形成方法が提供される。
【0019】
本発明のアルミニウム含有感光性樹脂組成物は、上記特性を有するため、FPDなどのディスプレイパネルの部材、電子部品の高度実装材料の部材および太陽電池の部材などの形成材料、特に電極の形成材料として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、交流型のPDPの断面形状を示す模式図である。
【図2】図2は、一般的なFEDの断面形状を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のアルミニウム含有感光性樹脂組成物(以下、単に「感光性樹脂組成物」ともいう。)およびパターン形成方法について、好ましい態様も含めて詳細に説明する。なお、以下の説明では、前記感光性樹脂組成物を用いて形成される露光前の層を「感光性樹脂層」、該樹脂層を露光・現像して得られたパターンや焼成後のパターンを総称して単に「パターン」ともいう。
【0022】
〔感光性樹脂組成物〕
本発明の感光性樹脂組成物は、以下に説明するアルミニウム粉末(A)、アルカリ可溶性樹脂(C)、多官能(メタ)アクリレート(D)および光重合開始剤(E)を含有する。また、本発明の感光性樹脂組成物は、前記各成分以外に、ガラス粉末(B)や他の添加剤を含有してもよい。
【0023】
《アルミニウム粉末(A)》
アルミニウム粉末(A)としては、アルミニウム粉末およびアルミニウム合金粉末から選択される少なくとも1種の金属粉末が挙げられる。また、前記金属粉末は、脂肪酸により包接されていてもよい。このような金属粉末または脂肪酸により包接された金属粉末は、例えばFPDなどのディスプレイパネルを構成する電極を形成する場合に好適である。
【0024】
上記アルミニウム合金粉末としては、Al−Cu系合金粉末、Al−Mg系合金粉末、Al−Sn系合金粉末、Al−Cu−Si系合金粉末、Al−Si系合金粉末、Al−Si−Mg系合金粉末、Al−Mn系合金粉末、Al−Mg−Mn系合金粉末、Al−Zn−Mg系合金粉末、Al−Zn−Mg−Cu系合金粉末、Al−Si−Cu−Mg系合金粉末、Al−Cu−Ni−Mg系合金粉末、Al−Si−Cu−Ni−Mg系合金粉末などが挙げられる。
【0025】
上記脂肪酸としては、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ぺラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトイル酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセレン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などが挙げられる。
【0026】
アルミニウム粉末(A)の50重量%平均粒子径(D50)は、2.0〜20.0μmであることが好ましく、5.0〜15.0μmであることがより好ましい。D50が前記範囲にあると、露光工程における露光光が感光性樹脂層の底部まで充分到達し、高精細なパターンを得ることができる。なお、本発明において、平均粒子径はレーザー回折法によって測定される値であり、他の粉末においても同様である。また、D50とは、粒度分布を有する粉末において、該粉末を粒子径の小さいものから累積して、累積量が全粉末量の50重量%になる粒子径をいう。
【0027】
また、アルミニウム粉末(A)の形状は特に限定されないが、球状、フレーク状または不定形であることが好ましく、球状またはフレーク状であることがより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物において、アルミニウム粉末(A)は、通常は15〜70重量%、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは50〜70重量%の範囲で含まれる。アルミニウム粉末(A)の含有量が前記範囲にあると、焼成工程においてアルミニウム粉末(A)の酸化を防止することができ、低抵抗かつ高精細なパターンを製造できる。
【0028】
また、アルミニウム粉末(A)とともに、本発明の目的を損なわない範囲で、他の金属系粉末(例えば、Pt、Au、Ag、Cu、Sn、Ni、Fe、Zn、W、Moまたはこれらの化合物からなる粉末)を用いてもよい。例えば、前記他の金属系粉末は、アルミニウム粉末(A)100重量部に対して、25重量部以下の量で用いることができる。
【0029】
《ガラス粉末(B)》
本発明の感光性樹脂組成物は、焼成後のパターン密着性の観点から、ガラス粉末(B)を含有することが好ましい。ガラス粉末(B)は、本発明の感光性樹脂組成物により形成されるパターンの用途(FPDの部材、電子部品の高度実装材料の部材など)に応じて適宜選択することができる。
【0030】
ガラス粉末(B)の好適な具体例としては、
1.酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素の混合物(PbO−B23−SiO2系);
2.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素の混合物(ZnO−B23−SiO2系);
3.酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウムの混合物
(PbO−B23−SiO2−Al23系);
4.酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素の混合物
(PbO−ZnO−B23−SiO2系);
5.酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化ケイ素の混合物
(Bi23−B23−SiO2系);
6.酸化亜鉛、酸化リン、酸化ケイ素の混合物(ZnO−P25−SiO2系);
7.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化カリウムの混合物(ZnO−B23−K2O系);
8.酸化リン、酸化ホウ素、酸化アルミニウムの混合物
(P25−B23−Al23系);
9.酸化亜鉛、酸化リン、酸化ケイ素、酸化アルミニウムの混合物
(ZnO−P25−SiO2−Al23系);
10.酸化亜鉛、酸化リン、酸化チタンの混合物(ZnO−P25−TiO2系);
11.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カリウムの混合物
(ZnO−B23−SiO2−K2O系);
12.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カリウム、酸化カルシウムの混合物
(ZnO−B23−SiO2−K2O−CaO系);
13.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウムの混合物(ZnO−B23−SiO2−K2O−CaO−Al23系);
14.酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウムの混合物
(B23−SiO2−Al23系);
15.酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化ナトリウムの混合物
(B23−SiO2−Na2O系);
16.酸化ホウ素、酸化ケイ素の混合物(B23−SiO2系);などが挙げられる。
これらの中では、環境に配慮した無鉛ガラスが特に好ましい。
【0031】
ガラス粉末(B)の平均粒子径は、形成しようとするパターンの形状を考慮して適宜選択されるが、50重量%平均粒子径(D50)が0.2〜4.0μmであることが好ましく、0.5〜3.8μmであることがより好ましい。また、10重量%平均粒子径(D10)が0.05〜0.5μm、90重量%平均粒子径(D90)が10〜20μmであることが好ましい。ガラス粉末(B)の平均粒子径が前記範囲にあると、露光工程における露光光が感光性樹脂層の底部まで充分到達し、高精細なパターンを得ることができる。
【0032】
ガラス粉末(B)の軟化点は、350〜700℃であることが好ましく、400〜620℃であることがより好ましい。このような軟化点を有するガラス粉末は、例えばFPDなどのディスプレイパネルを構成する電極を形成する場合に好適である。なお、本発明において、ガラス粉末(B)の軟化点は、DSC測定により、後述する実施例での測定条件下で測定される値である。
【0033】
ガラス粉末(B)の軟化点が上記範囲を下回ると、パターンの焼成工程において、アルカリ可溶性樹脂(C)などの有機物質が完全に分解除去されない段階でガラス粉末が溶融することがある。このため、形成される焼成パターン中に有機物質の一部が残留し、結果としてパターンの抵抗値が上昇する傾向がある。一方、ガラス粉末(B)の軟化点が上記範囲を上回ると、その軟化点以上の高温でパターンを焼成する必要があるために、ガラス基板などの支持体に歪みなどが発生しやすい。
【0034】
ガラス粉末(B)は、従来公知の方法および装置を用いて、所定の組成および軟化点を有するように原料酸化物を混合・溶融・固化させた後、所定の平均粒子径となるように粉砕することにより得ることができる。また、ガラス粉末(B)の形状は、不定形など特に限定されない。
【0035】
粉砕方法としては、媒体撹拌ミル、コロイドミル、湿式ボールミルなどの湿式粉砕方法;ジェットミル、乾式ボールミル、ロールクラッシャーなどの乾式粉砕方法などが挙げられ、複数の粉砕方法を組み合せて用いてもよい。また、粉砕して得られる粉末の平均粒子径を調整するために分級処理を行ってもよい。分級処理としては、風力式分級機や篩い分け装置などを用いることができる。
【0036】
本発明の感光性樹脂組成物において、ガラス粉末(B)は、好ましくは0.5〜40重量%、より好ましくは0.5〜25重量%、特に好ましくは1.0〜20重量%の範囲で含まれる。ガラス粉末(B)の含有量が前記範囲にあると、抵抗値上昇の影響が少なく、焼成後の密着性に優れたパターンを形成することができる。
【0037】
《アルカリ可溶性樹脂(C)》
本発明では、下記構成単位を下記範囲で有するアルカリ可溶性樹脂(C)が用いられる。このようなアルカリ可溶性樹脂(C)を用いることで、アルミニウムを含有する樹脂組成物であっても、焼成工程におけるパターンの抵抗値の上昇を防ぐことができる。
【0038】
アルカリ可溶性樹脂(C)は、(メタ)アクリル酸由来の構成単位を5〜20重量%、アクリル酸エステル由来の構成単位を25〜95重量%、およびメタクリル酸エステル由来の構成単位を0〜70重量%の範囲で有し;(メタ)アクリル酸由来の構成単位を10〜20重量%、アクリル酸エステル由来の構成単位を35〜90重量%、およびメタクリル酸エステル由来の構成単位を0〜55重量%の範囲で有することが好ましく;(メタ)アクリル酸由来の構成単位を15〜20重量%、アクリル酸エステル由来の構成単位を50〜85重量%、およびメタクリル酸エステル由来の構成単位を0〜35重量%の範囲で有することが特に好ましい。但し、アルカリ可溶性樹脂(C)の全構成単位を100重量%とする。
【0039】
また、上記記載の各構成単位の割合を、アルカリ可溶性樹脂(C)を合成する際の、原料モノマー100重量%に対する(メタ)アクリル酸、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの仕込み割合としてもよい。
【0040】
なお、本発明において「アルカリ可溶性」とは、目的とする現像処理が可能な程度に、アルカリ現像液に溶解する性質をいう。上記のようなアルカリ可溶性樹脂(C)は、従来公知の方法に従って合成することができる。
【0041】
アルカリ可溶性樹脂(C)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルカリ可溶性樹脂(C)は、(メタ)アクリル酸、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル由来の構成単位以外の、他のモノマー由来の構成単位を有していてもよいが、(メタ)アクリル酸、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル由来の構成単位のみからなることが好ましい。
【0042】
<(メタ)アクリル酸>
(メタ)アクリル酸由来の構成単位の含有量が上記範囲にあることで、樹脂に良好なアルカリ可溶性を付与することができる。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸由来の構成単位の含有量は、アクリル酸由来の構成単位およびメタクリル酸由来の構成単位の双方が含まれる場合には、これらの合計の含有量である。
【0043】
<アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル>
アクリル酸エステル由来の構成単位の含有量が上記範囲にあることで、樹脂に良好な可塑性を付与することができるとともに、このようなアルカリ可溶性樹脂を用いることで、低抵抗なパターンを形成することができる。
【0044】
また、メタクリル酸エステル由来の構成単位の含有量が上記範囲にあることで、樹脂に良好な燃焼性を付与することができるとともに、このようなアルカリ可溶性樹脂を用いることで、低抵抗なパターンを形成することができる。
【0045】
以下、上記アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの具体例を示すが、これらを合わせて単に(メタ)アクリル酸エステルと記載する。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;
グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)などのカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル;
ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、トリチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートなどの環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
<他の構成単位>
アルカリ可溶性樹脂(C)は、(メタ)アクリル酸、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル由来の構成単位の含有量が上記範囲にあり、かつ本発明の目的を損なわない範囲であれば、スチレンなどから得られるポリマーの一方の鎖末端に、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基などの重合性不飽和基を有するマクロモノマー;マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸などのカルボキシル基含有モノマー類、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどのフェノール性水酸基含有モノマー類、(α−ヒドロキシメチル)アクリレートなどのアルカリ可溶性官能基と不飽和結合とを有するモノマーなどに由来する構成単位を有していてもよい。
【0047】
<ラジカル重合開始剤>
アルカリ可溶性樹脂(C)は、上記モノマーを共重合することにより得られるが、共重合の際、ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、ビニル単量体の重合に用いられるラジカル重合開始剤を使用できる。ラジカル重合開始剤としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチルニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1'−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)などのアゾ化合物;t−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、クミルパーオキシ2−エチルヘキサノエートなどのパーオキシエステル類などの有機過酸化物などが挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ラジカル重合開始剤の使用量は、上記共重合に使用する全モノマー(マクロモノマーを含む。)100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。
【0048】
<連鎖移動剤>
アルカリ可溶性樹脂(C)は、上記モノマーを共重合することにより得られるが、共重合の際、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、α−メチレンスチレンダイマー、t−ドデシルメルカプタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオン酸)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタンなどが挙げられる。これらの連鎖移動剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
本発明において、アルカリ可溶性樹脂(C)はSH基を有することが好ましい(以下、当該樹脂を「SH基含有樹脂」ともいう。)。光照射により、前記SH基含有樹脂は多官能(メタ)アクリレート(D)とエン−チオール反応して、樹脂自体がさらに重合する。このため、SH基含有樹脂はSH基を有しない樹脂に比べて高感度である。さらに、この重合により樹脂の分子量が大きくなるため、現像後のパターン形状が良好となる。
【0050】
上記SH基含有樹脂は、連鎖移動剤として1分子中に少なくとも2つのSH基を有する化合物(例:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオン酸)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン)を用いることにより合成することができる。
上記連鎖移動剤の使用量は、上記共重合に使用する全モノマー(マクロモノマーを含む。)100重量部に対して、通常は0.1〜10重量部程度である。
【0051】
<アルカリ可溶性樹脂(C)の物性>
アルカリ可溶性樹脂(C)の重量平均分子量(以下「Mw」ともいう。)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値で、好ましくは5000〜100000、より好ましくは10000〜80000である。Mwは、上記モノマーの共重合割合、連鎖移動剤、重合温度などの条件を適宜選択することにより制御することができる。Mwが前記範囲を下回ると、現像後の膜荒れが発生しやすくなり、また、Mwが前記範囲を上回ると、未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、解像度が低下する場合がある。
【0052】
アルカリ可溶性樹脂(C)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−40〜120℃、より好ましくは−20〜100℃である。ガラス転移温度が前記範囲を下回ると、塗膜にタックを生じやすく、ハンドリングがしにくい傾向にある。また、ガラス転移温度が前記範囲を上回ると、感光性樹脂層とガラス基板などの支持体との密着性が悪くなる傾向にある。なお、ガラス転移温度は、上記モノマーの共重合割合を変更することによって適宜調節することがでる。
【0053】
アルカリ可溶性樹脂(C)の酸価は、好ましくは20〜200mgKOH/g、より好ましくは30〜160mgKOH/gである。酸価が前記範囲を下回ると未露光部分をアルカリ現像液で除去しにくく、高精細なパターン形成が困難となる傾向にある。また、酸価が前記範囲を上回ると露光光によって硬化した露光部分もアルカリ現像液に浸食されやすくなり、高精細なパターン形成が困難となる傾向にある。
【0054】
本発明の感光性樹脂組成物において、アルカリ可溶性樹脂(C)は、好ましくは5〜90重量%、より好ましくは10〜75重量%、特に好ましくは15〜50重量%の範囲で含まれる。
【0055】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、5〜90重量%の感光性樹脂成分と95〜10重量%の無機粒子とからなることが好ましい。無機粒子とは、アルミニウム粉末(A)、他の金属系粉末、ガラス粉末(B)および無機系顔料などを指し;感光性樹脂成分とは、感光性樹脂組成物から前記無機粒子を除いた成分をいう。
【0056】
上記感光性樹脂成分には、アルカリ可溶性樹脂(C)、多官能(メタ)アクリレート(D)および光重合開始剤(E)が含まれ、さらに後述する他の添加剤が含まれていてもよい。
【0057】
《多官能(メタ)アクリレート(D)》
多官能(メタ)アクリレート(D)としては、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、2,5−ヘキサンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート類;
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(プロピレンオキサイド変性)トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(エチレンオキサイド変性)トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ベンジルメルカプタントリ(メタ)アクリレートなどの3官能以上の(メタ)アクリレート類;
上記化合物が有する芳香環に結合した水素原子のうち、1〜5個を塩素原子または臭素原子に置換したモノマーなどが挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレート(D)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0058】
本発明の感光性樹脂組成物において、多官能(メタ)アクリレート(D)は、露光光に対する感度の点から、上記感光性樹脂成分に対して、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15〜60重量%となる範囲で含まれる。多官能(メタ)アクリレート(D)の含有量が前記範囲を上回ると、焼成パターンの形状が劣化することがある。
【0059】
また、本発明の目的を損なわない範囲で、多官能(メタ)アクリレート(D)とともに、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、塩素化スチレン、臭素化スチレン、α−メチルスチレン、塩素化α−メチルスチレン、臭素化α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、カルボシキメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルカルバゾール、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドンなどを用いてもよい。
【0060】
<光重合開始剤(E)>
光重合開始剤(E)としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、4−アジドベンザルアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、メチレンアントロン、ジベンゾスベロン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2'−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、カンファーキノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシムなどのカルボニル化合物;
ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド系化合物;
ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、および、エオシンやメチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンなどの還元剤との組み合せが挙げられる。これらの光重合開始剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0061】
また、上記光重合開始剤(E)とともに、感光性樹脂層の露光感度を向上させるために、増感剤を用いてよい。前記増感剤としては、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミニベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾールなどが挙げられる。前記増感剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、前記増感剤の中には光重合開始剤としても作用するものがある。
【0062】
本発明の感光性樹脂組成物において、光重合開始剤(E)(増感剤も用いる場合は、光重合開始剤および増感剤の合計)は、多官能(メタ)アクリレート(D)100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜40重量部の範囲で含まれる。光重合開始剤(E)の含有量が前記範囲を上回ると、焼成パターンの形状が劣化することがある。
【0063】
《他の添加剤》
本発明の感光性樹脂組成物は、上記各成分以外に、紫外線吸収剤、重合禁止剤、酸化防止剤、有機溶剤、密着助剤、溶解促進剤、増感助剤、分散剤、増粘剤、可塑剤、レベリング剤および沈殿防止剤などの他の添加剤を含有してもよい。
【0064】
<紫外線吸収剤>
本発明の感光性樹脂組成物には、紫外線吸収剤を配合してもよい。紫外線吸収効果の高い化合物を配合することによって、高アスペクト比、高精細、高解像度なパターンが得られる。紫外線吸収剤としては、有機系染料または無機系顔料を用いることができ、中でも350〜450nmの波長範囲で高UV吸収係数を有する有機系染料または無機系顔料が好ましく用いられる。
【0065】
紫外線吸収剤の具体例としては、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アミノケトン系染料、アントラキノン系染料、ベンゾフェノン系染料、ジフェニルシアノアクリレート系染料、トリアジン系染料、p−アミノ安息香酸系染料などの有機系染料;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムなどの無機系顔料が挙げられる。これらの中では、FPDの信頼性の観点から、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムなどの無機系顔料がより好ましい。
【0066】
本発明の感光性樹脂組成物において、紫外線吸収剤は、ガラス粉末(B)100重量部に対して、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜1重量部の範囲で含まれる。紫外線吸収剤の含有量が前記範囲を下回ると紫外線吸収剤を配合した効果が減少することがあり、前記範囲を上回ると紫外線吸収剤を配合した効果が大きく感光性樹脂層の底部まで露光光が届かなくなり、パターンを形成できなくなることや成膜強度を保てないことがある。
【0067】
<有機溶剤>
本発明の感光性樹脂組成物には、その粘度を調整するために、有機溶剤を配合してもよい。有機溶剤としては、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピネニルアセテート、リモネン、カルベオール、カルビニルアセテート、シトロネロール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メトキシプロピルアセテート、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などが挙げられる。有機溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明の感光性樹脂組成物において、有機溶剤は、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜40重量%の範囲で含まれる。
【0068】
<重合禁止剤>
本発明の感光性樹脂組成物には、保存時の熱安定性を向上させるために、重合禁止剤を配合してもよい。重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロラニール、ピロガロールなどが挙げられる。本発明の感光性樹脂組成物において、重合禁止剤は、好ましくは0.001〜1重量%の範囲で含まれる。
【0069】
<酸化防止剤>
本発明の感光性樹脂組成物には、保存時におけるアルカリ可溶性樹脂(C)の酸化を防ぐために、酸化防止剤を配合してもよい。酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−4−エチルフェノール、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス[3,3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、ジラウリルチオジプロピオナート、トリフェニルホスファイトなどが挙げられる。本発明の感光性樹脂組成物において、酸化防止剤は、好ましくは0.001〜1重量%の範囲で含まれる。
【0070】
<密着助剤>
本発明の感光性樹脂組成物には、感光性樹脂層とガラス基板などの支持体との密着性を向上させるために、密着助剤を配合してもよい。密着助剤としては、シラン化合物が好適に用いられる。
【0071】
シラン化合物としては、n−プロピルジメチルメトキシシラン、n−ブチルジメチルメトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルメトキシシラン、n−イコサンジメチルメトキシシラン、n−プロピルジエチルメトキシシラン、n−ブチルジエチルメトキシシラン、n−デシルジエチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルメトキシシラン、n−イコサンジエチルメトキシシラン、n−ブチルジプロピルメトキシシラン、n−デシルジプロピルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルメトキシシラン、n−イコサンジプロピルメトキシシラン、n−プロピルジメチルエトキシシラン、n−ブチルジメチルエトキシシラン、n−デシルジメチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルエトキシシラン、n−イコサンジメチルエトキシシラン、n−プロピルジエチルエトキシシラン、n−ブチルジエチルエトキシシラン、n−デシルジエチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルエトキシシラン、n−イコサンジエチルエトキシシラン、n−ブチルジプロピルエトキシシラン、n−デシルジプロピルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルエトキシシラン、n−イコサンジプロピルエトキシシラン、n−プロピルジメチルプロポキシシラン、n−ブチルジメチルプロポキシシラン、n−デシルジメチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルプロポキシシラン、n−イコサンジメチルプロポキシシラン、n−プロピルジエチルプロポキシシラン、n−ブチルジエチルプロポキシシラン、n−デシルジエチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルプロポキシシラン、n−イコサンジエチルプロポキシシラン、n−ブチルジプロピルプロポキシシラン、n−デシルジプロピルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルプロポキシシラン、n−イコサンジプロピルプロポキシシラン、n−プロピルメチルジメトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、n−デシルメチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジメトキシシラン、n−イコサンメチルジメトキシシラン、n−プロピルエチルジメトキシシラン、n−ブチルエチルジメトキシシラン、n−デシルエチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジメトキシシラン、n−イコサンエチルジメトキシシラン、n−ブチルプロピルジメトキシシラン、n−デシルプロピルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジメトキシシラン、n−イコサンプロピルジメトキシシラン、n−プロピルメチルジエトキシシラン、n−ブチルメチルジエトキシシラン、n−デシルメチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジエトキシシラン、n−イコサンメチルジエトキシシラン、n−プロピルエチルジエトキシシラン、n−ブチルエチルジエトキシシラン、n−デシルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジエトキシシラン、n−イコサンエチルジエトキシシラン、n−ブチルプロピルジエトキシシラン、n−デシルプロピルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジエトキシシラン、n−イコサンプロピルジエトキシシラン、n−プロピルメチルジプロポキシシラン、n−ブチルメチルジプロポキシシラン、n−デシルメチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジプロポキシシラン、n−イコサンメチルジプロポキシシラン、n−プロピルエチルジプロポキシシラン、n−ブチルエチルジプロポキシシラン、n−デシルエチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジプロポキシシラン、n−イコサンエチルジプロポキシシラン、n−ブチルプロピルジプロポキシシラン、n−デシルプロピルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジプロポキシシラン、n−イコサンプロピルジプロポキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−イコサントリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−イコサントリエトキシシラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキサデシルトリプロポキシシラン、n−イコサントリプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N,N'−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンなどが挙げられる。これらのシラン化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0072】
本発明の感光性樹脂組成物において、密着助剤は、アルカリ可溶性樹脂(C)100重量部に対して、好ましくは0.05〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部の範囲で含まれる。
【0073】
<溶解促進剤>
本発明の感光性樹脂組成物には、後述する現像液への充分な溶解性を発現させる目的で、溶解促進剤を配合してもよい。溶解促進剤としては、界面活性剤が好ましく用いられる。このような界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、脂肪酸などが挙げられる。
【0074】
上記フッ素系界面活性剤の市販品としては、BM CHIMIE社製「BM−1000」、「BM−1100」;大日本インキ化学工業(株)社製「メガファックF142D」、「同F172」、「同F173」、「同F183」;住友スリーエム(株)社製「フロラードFC−135」、「同FC−170C」、「同FC−430」、「同FC−431」;旭硝子(株)社製「サーフロンS−112」、「同S−113」、「同S−131」、「同S−141」、「同S−145」、「同S−382」、「同SC−101」、「同SC−102」、「同SC−103」、「同SC−104」、「同SC−105」、「同SC−106」などが挙げられる。
【0075】
上記シリコーン系界面活性剤の市販品としては、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製「SH−28PA」、「SH−190」、「SH−193」、「SZ−6032」、「SF−8428」、「DC−57」、「DC−190」;信越化学工業(株)社製「KP341」;新秋田化成(株)社製「エフトップEF301」、「同EF303」、「同EF352」などが挙げられる。
【0076】
上記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシエチレンジアルキルエステル類などが挙げられる。
【0077】
上記ノニオン系界面活性剤の市販品としては、花王(株)社製「エマルゲンA−60」、「A−90」、「A−550」、「B−66」、「PP−99」;共栄社化学(株)社製「(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57」、「同No.90」などが挙げられる。
【0078】
上記脂肪酸としては、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ぺラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトイル酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセレン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などが挙げられる。
【0079】
上記界面活性剤の中では、現像時に未露光部分の感光性樹脂層の除去が容易であることから、ノニオン系界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアリールエーテル類がより好ましく、特に下記式(1)で表される化合物が好ましい。
【0080】
【化1】

上記式(1)中、R1は炭素数1〜5のアルキル基、好ましくはメチル基であり、pは1〜5の整数であり、sは1〜5の整数、好ましくは2であり、tは1〜100の整数、好ましくは10〜20の整数である。
【0081】
本発明の感光性樹脂組成物において、溶解促進剤は、アルカリ可溶性樹脂(C)100重量部に対して、好ましくは0.001〜20重量部、より好ましくは0.01〜15重量部、特に好ましくは0.1〜10重量部の範囲で含まれる。溶解促進剤の含有量が前記範囲にあることにより、現像液への溶解性に優れた樹脂組成物が得られる。
【0082】
<感光性樹脂組成物の調製>
本発明の感光性樹脂組成物は、アルミニウム粉末(A)、アルカリ可溶性樹脂(C)、多官能(メタ)アクリレート(D)および光重合開始剤(E)と、好ましく用いられるガラス粉末(B)と、必要に応じて用いられる他の添加剤とを所定の組成比となるように調合した後、3本ロールや混練機で均質に混合分散して調製される。
【0083】
本発明の感光性樹脂組成物は、ペースト状、固体状、液体状など何れの形状の組成物でも構わないが、成形性などの観点から、ペースト状組成物であることが好ましい。例えば、上記のようにして調製される感光性樹脂組成物の粘度は、100〜500000cps(センチ・ポイズ)であることが好ましい。なお、粘度は、無機粒子、増粘剤、有機溶剤、可塑剤および沈殿防止剤などの配合量によって適宜調整することができる。
【0084】
〔パターン形成方法〕
本発明のパターン形成方法は、(1)上記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を基板上に形成する工程(感光性樹脂層形成工程)、(2)前記樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程(露光工程)、(3)前記樹脂層を現像処理してパターンを形成する工程(現像工程)、および(4)前記パターンを焼成処理する工程(焼成工程)を含むことを特徴とする。
【0085】
(1)感光性樹脂層形成工程
この工程では、上記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を基板上に形成する。感光性樹脂層の形成方法としては、上記感光性樹脂組成物を基板上に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて形成する方法などが挙げられる。
【0086】
上記感光性樹脂組成物を基板上に塗布する方法としては、膜厚が大きく(例えば20μm以上)、かつ、均一性に優れた塗膜を効率よく形成することができる方法であれば特に限定されない。例えば、ナイフコーターによる塗布方法、ロールコータによる塗布方法、ドクターブレードによる塗布方法、カーテンコータによる塗布方法、ダイコータによる塗布方法、ワイヤーコータによる塗布方法、スクリーン印刷装置によるスクリーン印刷法などが挙げられる。
【0087】
塗膜の乾燥条件は、乾燥後における有機溶剤の残存割合が2重量%以内となるように適宜調整すればよく、例えば、乾燥温度が50〜150℃で乾燥時間が0.5〜60分間程度である。
【0088】
上記のようにして形成された感光性樹脂層の厚みは、好ましくは3〜300μm、より好ましくは5〜200μmである。なお、感光性樹脂組成物の塗布をn回繰り返すことで、n層(nは2以上の整数を示す)の感光性樹脂層を有する積層体を形成してもよい。
【0089】
(2)露光工程
上記感光性樹脂層形成工程により基板上に感光性樹脂層を形成した後、露光装置を用いて露光を行う。露光は通常のフォトリソグラフィーで行われるように、露光用マスクを用いてマスク露光する方法を採用することができる。露光用マスクの露光パターンは、目的によって異なるが、例えば、10〜500μm幅のストライプまたは格子である。
【0090】
また、露光用マスクを用いずに、赤色や青色の可視光レーザー光、Arイオンレーザーなどで直接描画する方法を用いてもよい。
感光性樹脂層の表面に、露光用マスクを介して、紫外線などの露光光を選択的に照射(露光)して、該樹脂層にパターンの潜像を形成する。露光装置としては、平行光露光機、散乱光露光機、ステッパー露光機、プロキシミティ露光機などを用いることができる。また、大面積の露光を行う場合は、ガラス基板などの基板上に感光性樹脂組成物を塗布した後に、該基板を搬送しながら露光を行うことによって、小さな露光面積の露光機で、大きな面積を露光することができる。
【0091】
露光光としては、可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザー光などが挙げられるが、これらの中では紫外線が好ましく;露光光の光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプなどが挙げられるが、これらの中では超高圧水銀灯が好ましい。
【0092】
露光条件は、塗布厚みによって異なるが、例えば1〜100mW/cm2出力の超高圧水銀灯を用いて0.05〜1分間露光を行う。この場合、波長フィルターを用いて露光光の波長領域を狭くすることによって、光の散乱を抑制し、パターン形成性を向上させることができる。具体的には、i線(365nm)の光をカットするフィルター、あるいは、i線およびh線(405nm)の光をカットするフィルターを用いて、パターン形成性を向上させることができる。
【0093】
(3)現像工程
上記露光後、感光部分と非感光部分との現像液に対する溶解度差を利用して、感光性樹脂層を現像してパターンを形成する。現像方法(例えば、浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法、ブラシ法など)および現像処理条件(例えば、現像液の種類・組成・濃度、現像時間、現像温度など)などは、感光性樹脂層の種類に応じて適宜選択、設定すればよい。
【0094】
現像工程で用いられる現像液としては、感光性樹脂層中にアルカリ可溶性樹脂(C)が存在するため、アルカリ水溶液などのアルカリ現像液を使用できる。また、感光性樹脂層中の有機物質を溶解可能な有機溶剤も使用できる。なお、前記有機溶剤にその溶解力が失われない範囲で水を添加してもよい。
【0095】
上記感光性樹脂層には、アルミニウム粉末(A)などの無機粒子が含まれており、該無機粒子はアルカリ可溶性樹脂(C)により均一に分散されているため、アルカリ可溶性樹脂(C)を現像液で溶解させて洗浄することにより、該無機粒子も同時に除去される。
【0096】
上記アルカリ水溶液としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニア水溶液、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0097】
上記アルカリ水溶液のアルカリ濃度は、通常は0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。アルカリ濃度が低すぎると可溶部が除去されず、アルカリ濃度が高すぎると、パターン部を剥離させ、また非可溶部を腐食させるおそれがある。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
【0098】
上記アルカリ水溶液には、ノニオン系界面活性剤や有機溶剤などの添加剤が含有されていてもよい。なお、アルカリ現像液による現像処理がなされた後は、通常、水洗処理が施される。
【0099】
(4)焼成工程
焼成雰囲気は感光性樹脂組成物や基板の種類によって異なる。例えば、空気、オゾン、窒素、水素などの雰囲気中で本工程は実施される。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用いることができる。
【0100】
焼成処理条件は、感光性樹脂層残留部中の有機物質が焼失することが必要であるため、通常は、焼成温度が300〜1000℃、焼成時間が10〜90分間である。例えば、ガラス基板上にパターン形成する場合は、350〜600℃の温度で10〜60分間保持して焼成を行う。
【0101】
これらの工程を含む本発明のパターン形成方法により、FPDなどのディスプレイパネルの部材、電子部品の高度実装材料の部材および太陽電池の部材など、特に電極を形成することができる。なお、上記感光性樹脂層形成、露光、現像、焼成の各工程中に、乾燥または予備反応の目的で、50〜300℃の加熱工程を導入してもよい。
【0102】
本発明のパターン形成方法は、FPDの電極、特にPDPの電極の製造に適している。
【実施例】
【0103】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例における「部」および「%」は、特に断りのない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を示す。
まず、物性の測定方法および評価方法について説明する。
【0104】
〔50重量%平均粒子径(D50)の測定方法〕
アルミニウム粉末およびガラス粉末の50重量%平均粒子径(D50)は、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所(株)製「SALD−2000J」)を用いて測定された。
【0105】
〔重量平均分子量(Mw)の測定方法〕
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製「HLC−8220GPC」)により測定したポリスチレン換算の値である。なお、GPC測定は、GPCカラムとして東ソー(株)製「TSKguardcolumn SuperHZM−M」を用い、テトラヒドロフラン(THF)溶媒、測定温度40℃の条件で行った。
【0106】
〔ガラス粉末(B)の軟化点の測定方法〕
ガラス粉末(B)を試料ホルダーに封入し、示差走査熱量計(TA Instruments社製 2920NDSC)を用い、窒素雰囲気下に10℃/分で30℃から700℃まで昇温して、得られた吸熱ピークトップの温度をガラス粉末(B)の軟化点とした。
【0107】
〔焼成後膜厚の測定方法〕
焼成後のパネルを切断してパネルの試験片(10mm×10mm×1.8mm)を作製し、パネル上に形成された硬化層の切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製「S4200」)で観察して、硬化層の焼成後膜厚を測定した。
【0108】
〔電気抵抗率(体積抵抗率)の測定方法〕
NPS社製の「Resistivity Proccessor ModelΣ−5」を用いて、測定温度25℃・測定湿度50%の条件下で、パネル上に形成された硬化層の体積抵抗率(μΩ・cm)を測定した。
【0109】
〔合成例1〕
原料モノマーとしてメタクリル酸15部、n−ブチルアクリレート40部および2−メトキシエチルアクリレート45部;ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1部;連鎖移動剤としてペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオン酸)(堺化学工業(株)製)5部を攪拌機付きオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下において、ターピネオール150部中で均一になるまで攪拌した。
【0110】
次に、80℃で4時間重合させ、さらに100℃で1時間重合反応を継続させた後、室温まで冷却してSH基を有するアルカリ可溶性樹脂(C1)を得た。前記アルカリ可溶性樹脂(C1)の重合率は98%であり、アルカリ可溶性樹脂(C1)の重量平均分子量は21400であった。
【0111】
〔合成例2〜8〕
合成例1において、表1記載の原料モノマーを用いたこと以外は合成例1と同様にして、アルカリ可溶性樹脂(C2)〜(C5)およびアルカリ可溶性樹脂(1)〜(3)を合成した。
【0112】
[実施例1]
アルミニウム粉末(A)としてアルミニウム粉末(D50=2.0μm)を103.5部、ガラス粉末(B)として酸化ホウ素・酸化ケイ素系ガラス(B23−SiO2系、D50=2.0μm、軟化点=520℃)のガラス粉末を12部、アルカリ可溶性樹脂(C)として合成したアルカリ可溶性樹脂(C1)を30部、多官能(メタ)アクリレート(D)としてポリプロピレングリコールジアクリレート(n≒7)(商品名M225、東亜合成(株)製)を10部、光重合開始剤(E)として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパン−1−オンを2部、増感剤として2,4−ジエチルチオキサントンを0.5部、混練機で混練してペースト状組成物(以下「感光性ペースト」ともいう。)を調製した。
【0113】
上記感光性ペーストを、ガラス基板(150mm×150mm×1.8mm)からなるパネル上に100mm角の大きさにベタに印刷し、100℃で20分間保持して乾燥させて、膜厚10μmの感光性樹脂層を形成した。
【0114】
次に、25mW/cm2出力の超高圧水銀灯により、上面から感光性樹脂層を紫外線露光した。露光量は1000mJ/cm2であった。紫外線照射後の感光性樹脂層を580℃で30分間焼成し、硬化層を得た。この硬化層について、焼成後膜厚および体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0115】
[実施例2〜5、比較例1〜3]
実施例1において、アルカリ可溶性樹脂(C)として表2記載のアルカリ可溶性樹脂を用いて感光性ペーストを調製したこと以外は実施例1と同様にして、硬化層を得た。この硬化層について、焼成後膜厚および体積抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
【0116】
【表1】

【0117】
【表2】

【符号の説明】
【0118】
101 ガラス基板
102 ガラス基板
103 背面隔壁
104 透明電極
105 バス電極
106 アドレス電極
107 蛍光体
108 誘電体層
109 誘電体層
110 保護層
111 前面隔壁
201 ガラス基板
202 ガラス基板
203 絶縁層
204 透明電極
205 エミッタ
206 カソード電極
207 蛍光体
208 ゲート
209 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルミニウム粉末、
(C)(メタ)アクリル酸由来の構成単位を5〜20重量%、
アクリル酸エステル由来の構成単位を25〜95重量%、および
メタクリル酸エステル由来の構成単位を0〜70重量%
の範囲で有するアルカリ可溶性樹脂、
(D)多官能(メタ)アクリレート、ならびに
(E)光重合開始剤
を含有することを特徴とするアルミニウム含有感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記アルカリ可溶性樹脂(C)が、
(メタ)アクリル酸由来の構成単位を15〜20重量%、
アクリル酸エステル由来の構成単位を50〜85重量%、および
メタクリル酸エステル由来の構成単位を0〜35重量%
の範囲で有するアルカリ可溶性樹脂
であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム含有感光性樹脂組成物。
【請求項3】
(B)ガラス粉末をさらに含有し、
前記ガラス粉末(B)の50重量%平均粒子径(D50)が0.2〜4.0μmである
ことを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム含有感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記ガラス粉末(B)の軟化点が350〜700℃であり、かつ前記ガラス粉末(B)を感光性樹脂組成物全体に対して0.5〜40重量%の範囲で含有することを特徴とする請求項3に記載のアルミニウム含有感光性樹脂組成物。
【請求項5】
(1)請求項1〜4の何れかに記載のアルミニウム含有感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を基板上に形成する工程、
(2)前記樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程、
(3)前記樹脂層を現像処理してパターンを形成する工程、および
(4)前記パターンを焼成処理する工程
を含むことを特徴とするパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−210864(P2010−210864A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56120(P2009−56120)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】