説明

インクジェットヘッドアセンブリー及びその製造方法

【課題】本発明は、インクジェットヘッドアセンブリーに関する。
【解決手段】本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーは、内部にインク流路が形成され、上部にインク吐出のための駆動力を提供するアクチュエーターが形成されたインクジェットヘッドプレートと、上記アクチュエーターに電圧を印加するためのフレキシブル印刷回路基板(FPCB)と、上記アクチュエーターと上記フレキシブル印刷回路基板を電気的に連結するように提供され、上記アクチュエーターと接合する第1接合部より上記フレキシブル印刷回路基板と接合する第2接合部が上記インクジェットヘッドプレートの幅方向において内側に形成される中間基板とを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドアセンブリーに関し、より詳細には、インクジェットヘッドの駆動のために圧電アクチュエーターに電圧を印加するFPCBの連結構造を改善し、インクジェットヘッドの幅を減少させることにより、インクジェットヘッドの生産性が向上されたインクジェットヘッドアセンブリー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にインクジェットヘッドは、電気信号を物理的な力に変換し、小さいノズルを介してインクが液滴(droplet)の形態に吐出されるようにする構造体である。このようなインクジェットヘッドは、インク吐出方式によって大きく二つに分けられることができる。その一つは、熱源を利用してインクにバブル(bubble)を発生させ、そのバブルの膨張力によってインクを吐出させる熱駆動方式のインクジェットヘッドであり、他の一つは、圧電体を利用し、その圧電体の変形によってインクに加えられる圧力によってインクを吐出させる圧電方式のインクジェットヘッドである。
【0003】
圧電方式のインクジェットヘッドを駆動するためには、アクチュエーターに電気的信号を印加しなければならないが、一般的にアクチュエーターにフレキシブル印刷回路基板(Flexible Printed Circuit Board、FPCB)を連結し、これをインクジェットヘッドの駆動ドライバーに連結することにより、アクチュエーターに電圧を印加している。
【0004】
一般的に、アクチュエーターの外側にインクジェットヘッドにインクを供給するためのインクタンクが配置されるため、アクチュエーターにFPCBを連結する時、FPCBがアクチュエーターの連結部から上記インクタンクの上部に曲がるための空間が必要になる。これは、インクジェットヘッドの幅を増加させ、ウエハーレベルで製造されるインクジェットヘッドにおいて、一つのウエハーに製造可能なインクジェットヘッドの数が減少して、加工収率の低下及び製造コストの上昇など、生産性の低下に繋がるという問題点がある。
【0005】
また、FPCBの撓み変形によってFPCBに加えられる物理的なストレスが増加し、FPCBの弾性によってアクチュエーターとの接合部で電気的に短絡されるなど、接合不良が発生するという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は上述のような従来技術の問題点を解決するためのものであり、インクジェットヘッドとFPCBの連結構造を改善することにより、インクジェットヘッドの全体幅を減少させ、一つのウエハーに製造可能なインクジェットヘッドの数が増加して、加工収率の上昇及び製造コストの低減など、生産性が向上されたインクジェットヘッドアセンブリー及びその製造方法を提供することをその目的とする。
【0007】
また、本発明はインクジェットヘッドにFPCBを連結する時、FPCBに加えられる物理的なストレスを軽減し、FPCBの接合特性を改善することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーは、内部にインク流路が形成され、上部にインク吐出のための駆動力を提供するアクチュエーターが形成されたインクジェットヘッドプレートと、上記アクチュエーターに電圧を印加するためのフレキシブル印刷回路基板(FPCB)と、上記アクチュエーターと上記フレキシブル印刷回路基板を電気的に連結するように提供され、上記アクチュエーターと接合する第1接合部より上記フレキシブル印刷回路基板と接合する第2接合部が上記インクジェットヘッドプレートの幅方向において内側に形成される中間基板とを含むことができる。
【0009】
また、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーにおいて、上記中間基板には、上記第1接合部と上記第2接合部を連結する導体パターンが形成されることができる。
【0010】
この際、上記導体パターンの上記第1接合部及び上記第2接合部に対応する位置に、第1端子電極及び第2端子電極が夫々形成されることができる。
【0011】
また、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーにおいて、上記中間基板は、上記中間基板の一面に形成される配線パターンと、上記第1接合部及び上記第2接合部のうち何れか一つから上記中間基板を貫通するように形成され、上記配線パターンと連結されるビア導体とを含むことができる。
【0012】
また、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーにおいて、上記中間基板の下部には、上記アクチュエーターの振動空間を確保するためのキャビティが形成されることができる。
【0013】
また、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーにおいて、上記第1接合部及び上記第2接合部はACF(anisotrofic conductive film)であることができる。
【0014】
また、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーにおいて、上記中間基板はFR−4(ガラスエポキシ)基板であることができる。
【0015】
一方、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法は、内部にインク流路が形成され、上部にインク吐出のための駆動力を提供するアクチュエーターが形成されたインクジェットヘッドプレートを準備する段階と、上記アクチュエーターに電圧を印加するためのフレキシブル印刷回路基板を準備する段階と、上記アクチュエーターと上記フレキシブル印刷回路基板を電気的に連結するように、中間基板に導体パターンを形成する段階と、上記アクチュエーターの上部に第1接合部を形成し、上記第1接合部と上記中間基板の下部を接合する段階と、上記中間基板の上部に上記第1接合部より上記インクジェットヘッドプレートの幅方向において内側に第2接合部を形成する段階と、上記第2接合部に上記フレキシブル印刷回路基板を接合する段階とを含むことができる。
【0016】
また、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法において、上記中間基板に導体パターンを形成する段階は、上記第1接合部及び上記第2接合部のうち何れか一つに対応する位置に、上記中間基板を貫通するようにビアを形成する段階と、上記ビアに導電性物質を充填してビア導体を形成する段階と、上記中間基板の一面に、上記第1接合部及び上記第2接合部のうち他の一つと上記ビア導体の一端部を連結する配線パターンを形成する段階とを含むことができる。
【0017】
また、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法は、上記中間基板の下部に上記アクチュエーターの振動空間を確保するためのキャビティを形成する段階をさらに含むことができる。
【0018】
また、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法において、上記キャビティを形成する段階は、エッチング方法によって行われることができる。
【0019】
また、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法において、上記第1接合部及び上記第2接合部はACF(anisotrofic conductive film)であることができる。
【0020】
また、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法において、上記中間基板はFR−4(ガラスエポキシ)基板であることができる。
【0021】
また、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法において、上記中間基板に導体パターンを形成する段階は、上記導体パターンの上記第1接合部及び上記第2接合部に対応する位置に、第1端子電極及び第2端子電極を夫々形成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によるインクジェットヘッドアセンブリー及びその製造方法によると、インクジェットヘッドの全体幅が減少するため、一つのウエハーに製造可能なインクジェットヘッドの数が増加することにより、加工収率の上昇及び製造コストの低減など、生産性が向上される。
【0023】
さらに、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーは、FPCB連結時にFPCBに加えられる物理的ストレスが軽減されるため、FPCB接合特性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーを示す概略分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーを示す概略切開斜視図である。
【図3】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーを示す概略断面図である。
【図4】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの中間基板の拡大断面図である。
【図5a】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーのうちインクジェットヘッドプレートの製造方法を示す工程図である。
【図5b】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーのうちインクジェットヘッドプレートの製造方法を示す工程図である。
【図6a】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーのうち中間基板の製造方法を示す工程図である。
【図6b】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーのうち中間基板の製造方法を示す工程図である。
【図6c】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーのうち中間基板の製造方法を示す工程図である。
【図7a】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの組立方法を示す工程図である。
【図7b】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの組立方法を示す工程図である。
【図7c】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの組立方法を示す工程図である。
【図7d】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの組立方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。但し、本発明の思想は提示される実施形態に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は、同一の思想の範囲内で他の構成要素の追加、変更、削除等によって、退歩的な他の発明や本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施形態を容易に提案することができるが、これもまた本発明の思想の範囲内に含まれるとすべきであろう。
【0026】
また、各実施形態の図面に示す同一の思想の範囲内の機能が同一の構成要素は、同一または類似の参照番号を用いて説明する。
【0027】
図1から図3は本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーを示す概略分解斜視図、概略切開斜視図及び概略断面図であり、図4は本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの中間基板の拡大断面図である。
【0028】
図1から図3を参照すると、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリー100は、内部にインク流路が形成されたインクジェットヘッドプレート110と、インクジェットヘッドプレート110にインク吐出のための駆動力を提供する圧電アクチュエーター120と、インクジェットヘッドプレート110のインク流路にインクを供給するためのインクタンク130と、圧電アクチュエーター120に電圧を印加するためのFPCB(フレキシブル印刷回路基板)140と、上記圧電アクチュエーター120とFPCB140の電気的連結のための中間基板150とを含むことができる。
【0029】
インクジェットヘッドアセンブリー100において一つのインクジェットヘッドは、インクジェットヘッドの性能に応じて96個、256個などのノズルを備える多数のヘッドセルが一つのセットをなし、本実施例におけるインクジェットヘッドアセンブリー100は、二つのセットのインクジェットヘッドがインクジェットヘッドプレート110の幅方向に配置されている構造である。
【0030】
ここで、インクジェットヘッドプレート110の方向を定義すると、長さ方向は多数のヘッドセルにおいて一つのヘッドセルから他のヘッドセルに向かう方向を示し、幅方向はインクジェットヘッドプレート110の水平面における上記長さ方向に垂直な方向を示す。また幅方向は、インクジェットヘッドプレート110の水平面におけるインク流路が形成される方向、すなわちインクジェットヘッドプレート110の水平面におけるインクタンク130からノズルにインクが向かう方向と定義してもよい。
【0031】
インクジェットヘッドプレート110は、インクが流入されるインク流入口111と、インク流入口111に流入されるインクを各ヘッドセルのインク流路に移送するマニホールド112と、圧電アクチュエーター120が装着される位置の下部に備えられる多数の圧力チャンバ114と、インクを吐出する多数のノズル116とを含むことができる。マニホールド112と圧力チャンバ114の間には、インクが吐出される時、圧力チャンバ114のインクがマニホールド112に逆流することを抑制するための多数のリストリクター113が形成されることができる。また、圧力チャンバ114とノズル116は、多数のダンパー115によって連結されることができる。
【0032】
インクジェットヘッドプレート110は、上述のインク流路を形成する構成要素を上部基板及び下部基板に適切に形成した後、上部基板及び下部基板をシリコーン直接接合(SDB)などの方式に利用して接合することにより形成することができる。この際、上部基板は単結晶シリコーン基板やSOI基板からなり、下部基板はSOI基板からなることができる。また、インクジェットヘッドプレート110はこれに限らず、より多くの基板を用いてインク流路を構成することができ、場合によっては一つの基板を用いて具現することもできる。インク流路を形成する構成要素も例示的なものに過ぎず、求められる条件及び設計仕様に応じて多様な構成のインク流路が形成されることができる。
【0033】
圧電アクチュエーター120は、インクジェットヘッドプレート110の圧力チャンバ114に対応するようにインクジェットヘッドプレート110の上部に形成され、圧力チャンバ114に流入されたインクをノズル116に吐出するための駆動力を提供する。例えば、圧電アクチュエーター120は、共通電極の役割をする下部電極と、電圧の印加に応じて変形される圧電膜と、駆動電極の役割をする上部電極とを含んで構成されることができる。
【0034】
下部電極はインクジェットヘッドプレート110の全表面に形成されることができ、一つの導電性金属物質からなることができるが、チタン(Ti)と白金(Pt)からなる二つの金属薄膜層で構成されることが好ましい。下部電極は共通電極の役割だけでなく、圧電膜とインクジェットヘッドプレート110の間の相互拡散を防止する拡散防止層の役割もするようになる。圧電膜は下部電極上に形成され、多数の圧力チャンバ114の夫々の上部に位置するように配置される。このような圧電膜は、圧電物質、好ましくはPZT(Lead Zirconate Titanate)セラミックス材料からなることができる。上部電極は圧電膜上に形成され、Pt、Au、Ag、Ni、Ti及びCuなどの物質のうち何れか一つの物質からなることができる。
【0035】
本実施例では、圧電アクチュエーター120を用いた圧電駆動方式によってインクが吐出される構成を例として説明しているが、インク吐出方式によって本発明が制限または限定されるものではなく、求められる条件に応じて熱駆動方式などの多様な方式でインクが吐出されるように構成されることができる。
【0036】
インクタンク130は、インクジェットヘッドプレート110のインク流路にインクを供給するようにインク流入口111と連結され、インクジェットヘッドプレート110の幅方向において上記圧電アクチュエーター120の外側に配置される。
【0037】
中間基板150は圧電アクチュエーター120とFPCB140を電気的に連結するためのものであり、中間基板150には一定の形態の導体パターンが形成されている。
【0038】
図4を参照すると、中間基板150の下面には圧電アクチュエーター120と接合するための第1接合部151が形成され、上面にはFPCB140と接合するための第2接合部152が形成される。上記第2接合部152は、上記第1接合部151より上記インクジェットヘッドプレート110の幅方向において内側に形成されることができる。
【0039】
中間基板150は、一面に導体パターンが印刷された印刷回路基板からなり、エポキシ樹脂系基板、例えばFR−4(ガラスエポキシ)基板からなることができる。
【0040】
中間基板150に形成される導体パターンは、第1接合部151から中間基板150を貫通するビア153に充填されるビア導体154と、中間基板150の上面に第2接合部152から上記ビア導体154の上端まで形成される配線パターン155とを含むことができる。即ち、上記ビア導体154の下端は第1接合部151に、上端は配線パターン155に夫々連結されることができる。
【0041】
中間基板150にビア153を形成するためには、印刷回路基板に機械的な穿孔またはレーザーを利用した穿孔工程を利用することができ、上記ビア導体154は電気メッキ法(electroplating)を利用してビア153に金属をメッキすることにより形成されることができる。これに用いられる金属としては、Pt、Au、Ag、Ni、Ti及びCuなどの物質のうち何れか一つの物質であることができる。
【0042】
この際、中間基板150に形成される導体パターンは、第1及び第2接合部151、152と連結される部分に、電気的連結を確実にするための端子電極を含むことができる。即ち、第1接合部151と連結される上記ビア導体154の下端には第1端子電極156が形成され、第2接合部152と連結される上記配線パターン155の部分には第2端子電極157が形成されることができる。
【0043】
第1接合部151及び第2接合部152は電気的に短絡されない水準の接合力を有する通電媒体からなり、例えば、半田ボール(solder ball)または半田バンプなどの突起型連結部材、ACF(Anisotrofic Conductive Film、異方性導電フィルム)で構成されることができ、その他にも多様な荷重印加通電型媒体を利用することもできる。本実施例では、上記第1接合部151及び第2接合部152としてACFを用いる場合を想定している。
【0044】
第2接合部152を中間基板150に接合する時、中間基板150の上面に形成された配線パターン155を保護するために、上記配線パターン155の上部に高分子フィルム(未図示)が塗布されることができる。
【0045】
中間基板150の下部には、圧電アクチュエーター120の振動空間を確保するためのキャビティ158が形成されることができる。即ち、上記キャビティ158は、圧電アクチュエーター120の振動時、上記中間基板150によって振動が妨害を受けないようにするための空間である。
【0046】
上記キャビティ158はエッチング工程によって形成されることができ、具体的には、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)を利用した反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)のような乾式エッチング方法や、シリコーン用エッチング液(etchant)として、例えばテトラメチル水酸化アンモニウム(TMAH:Tetramethyl Ammonium Hydroxide)または水酸化カリウム(KOH)を利用した湿式エッチング方法を利用することができる。
【0047】
本実施例では、中間基板150の下部にキャビティ158が形成されることを図示して説明しているが、本発明はこれに限らず、キャビティ158が形成されないことも可能である。これは、圧電アクチュエーター120の振動において、振幅の1/2が第1接合部151と第1端子電極156の厚さを合わせた程度を超えないためである。
【0048】
FPCB140は上記第2接合部152と結合して中間基板150に接合される。この際、第2接合部152が第1接合部151よりインクジェットヘッドプレート110の幅方向において内側、即ち、中心部付近に配置されるため、第2接合部152から圧電アクチュエーター120の外側までに至る撓み変形空間を確保することができる。なお、本実施例におけるインクジェットヘッドアセンブリー100は、二つのセットのインクジェットヘッドがインクジェットヘッドプレート110の幅方向に配置されている構造なので、第2接合部152が第1接合部151よりインクジェットヘッドプレート110の幅方向における中心部付近に配置される形態を説明している。本実施例による効果は、第2接合部152がインクジェットヘッドプレート110の幅方向において第1接合部151よりもノズルに近くに配置されていれば、得ることができる。
【0049】
これにより、圧電アクチュエーター120とインクタンク130の間にFPCB140の曲げのための空間を別に備えることが不要になるため、インクジェットヘッドアセンブリーの全体幅を約25%程度減少させることができる。仮に中間基板150が介在されなかった場合、圧電アクチュエーターがFPCBと接続される箇所は、本実施例の第1接合部151が形成される箇所になる。したがって、FPCBの曲げのための撓み変形空間を確保するためには、本実施例の第1接合部151が形成される箇所とは離れた箇所にインクタンクを配置せざるを得ず、インクジェットヘッドアセンブリーの全体幅は増大する。
【0050】
また、FPCB140と圧電アクチュエーター120の間に中間基板150が介在されるため、FPCB140がインクタンク130の上部に曲がる高さが中間基板150の厚さだけ減少される。
【0051】
従って、FPCB140の撓み変形時、FPCB140が緩い曲線状に曲がることにより、FPCB140に加えられる物理的ストレスが顕著に減少し、FPCB140の接合が確実になされるため、弾性を有するFPCB140の特性上、第2接合部152で電気的短絡が発生することを防止することができる。
【0052】
以下、上述の構成を有する本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーを製造する方法を説明する。
【0053】
まず、本発明の好ましい製造方法を概略的に説明すると、ウエハー上にインク流路を形成してインクジェットヘッドプレートを製造し、基板に導体パターンを形成して中間基板を製造し、上記インクジェットヘッドプレート上に上記中間基板を積層して接合した後、上記中間基板にフレキシブル印刷回路基板(FPCB)を接合することにより、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーが完成される。一方、中間基板とインクジェットヘッドプレートを製造する段階は順番に関係なく行われることができる。即ち、中間基板とインクジェットヘッドプレートのうち何れか一つが先に製造されることもでき、中間基板とインクジェットヘッドプレートが同時に製造されることもできる。但し、以下では説明の便宜上、インクジェットヘッドプレートを製造する工程を先に説明する。また、インクジェットヘッドプレートを製造する段階は、一般的に一つ以上のウエハーにインク流路を形成する段階であり、以下では説明の便宜上、インクジェットヘッドプレートを製造する段階に対する詳細な説明は省略する。
【0054】
図5aから図5bは本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーのうちインクジェットヘッドプレートの製造方法を示す工程図であり、図6aから図6cは本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーのうち中間基板の製造方法を示す工程図であり、図7aから図7dは本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの組立方法を示す工程図である。
【0055】
まず、図5aに図示されたように、インクジェットヘッドプレート110にインク流路を形成する。インク流路の構成要素には、インクが流入されるインク流入口111と、インク流入口111に流入されるインクを各ヘッドセルのインク流路に移送するマニホールド112と、圧電アクチュエーター120が装着される位置の下部に備えられる多数の圧力チャンバ114と、インクを吐出する多数のノズル116とを含むことができる。マニホールド112と圧力チャンバ114の間には、インクが吐出される時、圧力チャンバ114のインクがマニホールド112に逆流することを抑制するための多数のリストリクター113が形成されることができ、圧力チャンバ114とノズル116の間には多数のダンパー115が形成されることができる。
【0056】
これらインク流路の構成要素は、単結晶シリコーン基板やSOI基板からなるインクジェットヘッドプレート110にエッチング工程によって形成されることができ、具体的には、ICPを利用した反応性イオンエッチング(RIE)のような乾式エッチング方法や、TMAHまたはKOHを利用した湿式エッチング方法を利用することができる。
【0057】
図5bに図示されたように、インク流路が形成されたインクジェットヘッドプレート110の上部に、圧電アクチュエーター120を形成することができる。圧電アクチュエーター120は、圧力チャンバ114に対応する位置に形成され、共通電極の役割をする下部電極と、電圧の印加に応じて変形される圧電膜と、駆動電極の役割をする上部電極とが形成されることができる。
【0058】
次に、図6aに図示されたように、中間基板150を形成するための基板を準備する。中間基板150としてはエポキシ樹脂系基板を用いることができ、例えばFR−4基板を用いることができる。
【0059】
図6bに図示されたように、中間基板150にビア153を形成するための孔及びキャビティ158を形成するための溝を形成する。これは、エッチング工程によって行われることができ、具体的には、ICPを利用した反応性イオンエッチング(RIE)のような乾式エッチング方法や、TMAHまたはKOHを利用した湿式エッチング方法を利用することができる。
【0060】
図6cに図示されたように、上記ビア153に導電性物質を充填してビア導体154を形成し、中間基板150の上面に配線パターン155を形成する。ビア導体154の形成は電気メッキ法(electroplating)を利用してビア153に金属をメッキすることにより行われることができ、これに用いられる金属としては、Pt、Au、Ag、Ni、Ti及びCuなどの物質のうち何れか一つの物質であることができる。また、配線パターン155の形成は上記金属物質を印刷したり、スパッタリングすることにより行われることができる。
【0061】
ビア導体154の下端部には、圧電アクチュエーター120との接合を確実にするための第1端子電極156が形成されることができ、配線パターン155のFPCB側端部には上記FPCB140との接合を確実にするための第2端子電極157が形成されることができる。
【0062】
また、中間基板150の上面には、第2端子電極157が形成された部分を除いて、上記配線パターン155を保護するための高分子フィルム(未図示)が塗布されることができる。
【0063】
一方、本実施例では、ビア導体154が第1接合部151に連結され、配線パターン155が第2接合部152に連結されることを図示して説明しているが、本発明はこれに限らず、中間基板150の下面に第1接合部151と連結されるように配線パターンが形成され、ビア導体が第2接合部152と連結されるように形成されることもでき、その他にも求められる条件及び設計仕様に応じて多様に変更されることができることは勿論である。
【0064】
次に、図7aから図7dを参照して本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリー100の組立方法を説明すると、図7aに図示されたように、圧電アクチュエーター120の上面に第1接合部151を形成する。第1接合部151は、インクジェットヘッドプレート110の幅方向において圧電アクチュエーター120の外側に形成され、第1端子電極156上に形成されることができる。
【0065】
図7bに図示されたように、上記第1接合部151の位置と中間基板150のビア導体154が形成された位置を整列して配置し、インクジェットヘッドプレート110上に中間基板150を結合する。この際、上記第1接合部151による上記結合は、熱圧着を利用して仮接合した後、超音波(ultrasonic)を利用して本接合することにより行われることができる。
【0066】
図7cに図示されたように、中間基板150の配線パターン155の一端部にFPCB140との結合のための第2接合部152を形成する。即ち、第2接合部152は、インクジェットヘッドプレート110の幅方向において中心部付近に形成され、上記配線パターン155の第2端子電極157上に形成されることができる。
【0067】
図7dに図示されたように、中間基板150上にFPCB140を整列してして配置し、上記第2接合部152を介して結合する。この際、上記結合は熱圧着による仮接合及び超音波による本接合によって行われることができる。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施例を詳細に説明したが、これは例示に過ぎず、当該分野における通常の知識を有する者であれば、これらから多様な変形及び均等な他の実施例を想到し得るということを理解するであろう。例えば、本発明でインクジェットヘッドアセンブリーの中間基板にビア導体及び配線パターンを形成する方法は単なる例示に過ぎず、多様な方法が適用されることができ、製造方法の各段階の順序も例示されたものと異にすることができる。従って、本発明の真の技術的保護範囲は添付された特許請求の範囲によって決まるべきであろう。
【符号の説明】
【0069】
100 インクジェットヘッドアセンブリー
110 インクジェットヘッドプレート
120 圧電アクチュエーター
130 インクタンク
140 FPCB
150 中間基板
151 第1接合部
152 第2接合部
153 ビア
154 ビア導体
155 配線パターン
156、157 第1及び第2端子電極
158 キャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にインク流路が形成され、上部にインク吐出のための駆動力を提供するアクチュエーターが形成されたインクジェットヘッドプレートと、
前記アクチュエーターに電圧を印加するためのフレキシブル印刷回路基板(FPCB)と、
前記アクチュエーターと前記フレキシブル印刷回路基板を電気的に連結するように提供され、前記アクチュエーターと接合する第1接合部と、前記フレキシブル印刷回路基板と接合する第2接合部とが、前記インクジェットヘッドプレートの幅方向における異なる箇所に形成される中間基板と
を含むインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項2】
前記中間基板には、前記第1接合部と前記第2接合部を連結する導体パターンが形成されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項3】
前記導体パターンの前記第1接合部及び前記第2接合部に対応する位置に、第1端子電極及び第2端子電極が夫々形成されることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項4】
前記導体パターンは、
前記中間基板の一面に形成される配線パターンと、
前記第1接合部及び前記第2接合部のうち何れか一つから前記中間基板を貫通するように形成され、前記配線パターンと連結されるビア導体と
を含むことを特徴とする請求項2または3に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項5】
前記中間基板の下部には、前記アクチュエーターの振動空間を確保するためのキャビティが形成されることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項6】
前記第1接合部及び前記第2接合部はACF(anisotrofic conductive film)であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項7】
前記中間基板はFR−4(ガラスエポキシ)基板であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項8】
内部にインク流路が形成され、上部にインク吐出のための駆動力を提供するアクチュエーターが形成されたインクジェットヘッドプレートを準備する段階と、
前記アクチュエーターに電圧を印加するためのフレキシブル印刷回路基板を準備する段階と、
前記アクチュエーターと前記フレキシブル印刷回路基板を電気的に連結するように、中間基板に導体パターンを形成する段階と、
前記アクチュエーターの上部に第1接合部を形成し、前記第1接合部と前記中間基板の下部を接合する段階と、
前記中間基板の上部に、前記インクジェットヘッドプレートの幅方向における、前記第1接合部が形成されている箇所と異なる箇所に第2接合部を形成する段階と、
前記第2接合部に前記フレキシブル印刷回路基板を接合する段階と
を含むインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法。
【請求項9】
前記中間基板に導体パターンを形成する段階は、
前記第1接合部及び前記第2接合部のうち何れか一つに対応する位置に、前記中間基板を貫通するようにビアを形成する段階と、
前記ビアに導電性物質を充填してビア導体を形成する段階と、
前記中間基板の一面に、前記第1接合部及び前記第2接合部のうち他の一つと前記ビア導体の一端部を連結する配線パターンを形成する段階と
を含むことを特徴とする請求項8に記載のインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法。
【請求項10】
前記中間基板の下部に前記アクチュエーターの振動空間を確保するためのキャビティを形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項8または9に記載のインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法。
【請求項11】
前記キャビティを形成する段階は、エッチング方法によって行われることを特徴とする請求項10に記載のインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法。
【請求項12】
前記第1接合部及び前記第2接合部はACF(anisotrofic conductive film)であることを特徴とする請求項8から11の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法。
【請求項13】
前記中間基板はFR−4(ガラスエポキシ)基板であることを特徴とする請求項8から12の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法。
【請求項14】
前記中間基板に導体パターンを形成する段階は、前記導体パターンの前記第1接合部及び前記第2接合部に対応する位置に、第1端子電極及び第2端子電極を夫々形成することを特徴とする請求項8から13の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【公開番号】特開2012−30572(P2012−30572A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81884(P2011−81884)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】