説明

ウエハボート組立体、このようなウエハボート組立体を含む搬入装置及び縦型炉への搬入方法

【課題】縦型炉内にカバーボート内の平面状の薄型半導体基板を搬入する改良型搬入装置を提供する。
【解決手段】バッチ処理用に構成される縦型炉において半導体基板を搬入する搬入装置に用いられるウエハボート組立体であって、半導体基板を保持するウエハボートと、これらの基板を実質的に取り巻くように構成されるカバーとを含むウエハボート組立体において:
ベース部と、ベース部に取り付けられる第1のカバー部分であって、少なくとも部分的にベース部上側周縁部に沿って延在する第1のカバー部分とを有する第1のウエハボート部分と;
第1のウエハボート部分に取外し可能に配設されると共に第1のカバー部分と協働するように構成される第2のカバー部分であって、少なくとも1つの加工処理対象の半導体基板を受ける受入れスロットを含む第2のカバー部分を有する第2のウエハボート部分とを具備するウエハボート組立体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平面状の薄型半導体基板の加工処理の分野に関し、特にバッチ処理用に構成される縦型炉内への半導体基板の搬入に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板がシリコンウェーハの表面上における薄膜形成のような加工処理を手段として製造されることは公知である。このような加工処理は、縦型炉内で行われることもある。こうした縦型炉は周知であって、一般に、縦型炉内において自身の中心軸が縦型炉の中心軸と実質的に一致するか、又は少なくとも実質的に同様の方向に延在するように配置される加工処理室を含む。縦型炉は通常的に、それぞれのウェーハの加工処理時に各基板の表面全体が加工処理を受けることができるように離間して配置された100〜150枚のウェーハを収容できる大きさを有する。縦型炉内におけるウェーハの加工処理に先立って、ウェーハは搬入構成に配置されて、実質的に水平方向に配向されると共に互いに垂直方向に離間し、ウェーハの中心点が加工処理室の略中心軸上に配置される。この搬入構成は、複数のウェーハを受けるようになっているウエハボートによって達成される。多くの成膜工程において、ウェーハ上に形成される膜はウェーハの縁領域で相対的に厚くなることがある。ウェーハ上における成膜厚さの均一性を高めるために、ウエハボートは、実質的にウェーハの周縁部全体を取り巻くボートカバーにより覆われることがある。このカバーはパターン状の開口、例えば円形の穴又は細長スリットを有して、ガスをボート内に流入させて加工処理対象の全てのウェーハが均一な反応ガス流の供給を受けることができるようにする。
【0003】
特許文献1により、複数のウェーハ等の円盤状の物体を保持するボートを含む熱処理装置が周知である。ウェーハは同軸をなして且つ所定の間隔をおいて配置される。この熱処理装置は更に、複数のガスポートを有する中空円筒状カバーを含む。カバーは複数の部分からなってよい。例えば、これらの部分の内の2つをボートに固着することができる。ウェーハをボート内に搬入するためには、ウェーハをそれぞれのカバー部分の間に設けられる2つの開口の一方を介して挿入しなければならない。ボートに取り付けられたカバー部分間の開口は、2つの取外し可能なカバー部材を手段として覆われる。第1の取外し可能なカバー部材は好ましくは弓形断面を有し、第2の取外し可能なカバー部材は平板を含んでよい。ボートにウェーハを搬入するために、受け台上に配置されたボートはボートエレベータを手段として加工処理室から取り出される。ウェーハは、ボートエレベータに隣接するウェーハ搬入装置によりボート内に搬入される。全てのウェーハがボート内に配置されると、取外し可能なカバー部材がボートに取り付けられて、固着されたカバー部分間の開口を覆う。取外し可能なカバー部材がボートに取り付けられた後に、ボートが持ち上げられて加工処理室内に導入される。
【0004】
特許文献2により、加熱器と外側管と内側管と自身上にウェーハを載せた状態で内側管内に導入されるようになっているボートとを含む半導体製造装置に用いられる縦型炉が周知である。ボートは、永久的に内側管の内部に同心的に配置されるボートカバーを含む。このボートカバーは、自身の長手方向に延在するある量のスリット状孔部を有するボートカバー本体を含む。ボートカバーは更に、このボートカバー本体に接続される補助カバー板を含んでおり、スリット状孔部は補助カバー板により覆われて補助カバー板とボートカバー本体との間にガス流路が形成されるようになっている。ボートカバーは、一方が永久的に内側管内に留置される2つの半円筒状半分体に分離可能であってよい。ボートは、天井板と底板とこれらの板を接続する支柱とによって構成される。支柱は所定のピッチで溝を備えて、半導体基板を保持する。
【0005】
このため、ボートカバーを少なくとも部分的に縦型炉の内側管等の管内に取り付けることができる。ボートへのウェーハの搬入/搬出のためには、受け台上に配置されるボートを縦型炉の内側管から炉の底部の搬入用開口を介して取り出す一方で、ボートカバーを内側管内に残しておくことができる。受け台上のボートを加工処理対象のシリコンウェーハで満たし、ウェーハを載せたボートを炉の内側管内に再び挿入して、ボートが内側管内においてボートカバーにより覆われるようにする。これで基板を加工処理するための用意が整う。
【0006】
この設計の欠点は、内側管を擦ることなしにウエハボートを内側管内に挿入するために必要とされるウェーハ縁部とカバーとの間の隙間が、ウェーハ上において最適な均一性の膜厚を得るために必要とされる隙間より有意に大きくなるところにある。また他の設計においては、カバーが手作業にボートに取り付けられる。この設計ではウェーハ縁部とカバーとの間の隙間を小さくすることができるが、手作業によるカバー板の取扱いは製造環境とは相容れない。カバーを自動的に配置するためには複雑なロボットシステムが必要になり、こうしたロボットシステムはシステム全体の複雑さを有意に増大させる。
【0007】
薄型半導体基板に対する需要の増加により、縦型炉で処理される基板のスループットを向上させると共に、カバーボート内のウェーハを加工処理する、生産に適した方法を提供することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,556,275号
【特許文献2】米国特許第5,902,103号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
よって、本発明の目的は、縦型炉においてカバーボート内の平面状の薄型半導体基板を搬入する改良型搬入装置を提供することにある。特に、本発明の目的は、縦型炉においてカバーボート内の半導体基板を完全に自動化された方法で搬入する単純な搬入装置であって、搬入時間が最小限に抑えられ、且つ炉内へのウエハボートの挿入時にウエハボートにより加工処理室壁部を擦る危険性を伴うことなしにウェーハ縁部とカバーとの間において小さい隙間を達成することができる単純な搬入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの態様に従って、バッチ処理用に構成された縦型炉内に半導体基板を搬入する搬入装置に用いられるウエハボート組立体を提供する。このウエハボート組立体は、半導体基板を保持するウエハボートと、少なくとも基板の加工処理時に基板を実質的に取り巻くように構成されるカバーとを含んでよい。ウエハボート組立体は、ベース部と、ベース部に取り付けられる第1のカバー部分であって、好ましくは少なくとも部分的にベース部上側周縁部に沿って延在する第1のカバー部分とを有する第1のウエハボート部分を備えてよい。ウエハボート組立体は、第1のウエハボート部分に取外し可能に設けられると共に第1のカバー部分と協働するように構成される第2のカバー部分を有する第2のウエハボート部分を含んでよい。第2のカバー部分は、少なくとも1つの加工処理対象の半導体基板を受ける受入れスロットを有してよい。好ましくは、受入れスロットは、使用時に半導体基板が実質的に水平方向に配向されると共に実質的に垂直方向に離間するように設けられる。
【0011】
本発明のまた他の態様に従って、バッチ処理用に構成された縦型炉に半導体基板を搬入する搬入装置を提供する。この搬入装置は、上述のウエハボート組立体を内蔵してよい。搬入装置は、ウエハボート組立体、即ち第1及び第2のボート部分の組立と分解とを行うボート組立位置を有してよい。
【0012】
本発明のウエハボート組立体を内蔵する本発明の搬入装置を用いることにより、ウェーハ縁部とカバーとの間の小さい隙間を実現することができ、半導体基板の搬入を相対的に単純な方法で自動化して、その結果として縦型炉への搬入に必要な時間を相対的に短くすることができる。搬入工程の自動化は、ウエハボート組立体の相対的に小さい部分の変位を手段として可能になる。ウエハボート組立体の取扱いは、第2のウエハボート部分の寸法及び重さが最小限に抑えられることにより相対的に容易になる。その結果として、この改良型搬入装置を用いることにより、縦型炉内における加工処理対象の半導体基板のスループットの向上を達成することができる。
【0013】
このような利点は更にまた、上述の搬入装置を用いてバッチ処理用の縦型炉に半導体基板を搬入する、本発明の更に他の態様に従った方法により達成可能である。この方法は、ボート組立位置に配設された第1のウエハボート部分からウエハボート部分を分離させる段階を含んでよい。この方法は更に、第2のウエハボート部分をボート組立位置に隣接するウェーハ取扱い装置の方へと変位させて、この第2のウエハボート部分のウェーハ受入れ開口がウェーハ取扱い装置に面するようにする段階を含んでよい。次に、第2のウエハボート部分に少なくとも1つ、好ましくは複数の半導体基板を搬入して、基板が第2のカバー部分の受入れスロット内に受けられるようにする。その後、第2のウエハボート部分を第1のウエハボート部分の方へと変位させると共に第1のウエハボート部分に取り付ける。最後に、少なくとも1つ、好ましくは複数のウェーハを載せたウエハボート組立体を縦型炉内に挿入する。
【0014】
本発明の上記及びその他の特徴と利点とは、本発明を制限することではなしに例証することを意図した添付図面と以下の本発明の特定の実施形態の詳細な説明とにより更に十分に理解されよう。
【0015】
異なる図面における同一の又は対応する要素は同一の又は対応する符号により示されることに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1a】第1の位置にある本発明に従ったウエハボート組立体の一例の略側面図である。
【図1b】図1aに示すウエハボート組立体の略断面図である。
【図2a】第2の位置にある本発明に従ったウエハボート組立体の一例の略側面図である。
【図2b】図2aに示すウエハボート組立体の略断面図である。
【図3a】第3の位置にある本発明に従ったウエハボート組立体の一例の略側面図である。
【図3b】図3aに示すウエハボート組立体の略断面図である。
【図4a】第4の位置にある本発明に従ったウエハボート組立体の一例の略側面図である。
【図4b】図4aに示すウエハボート組立体の略断面図である。
【図5】ウエハボート組立体の一部分が搬入位置にある、本発明に従った搬入装置の略上面図である。
【図6】加工処理の用意が整ったウェーハ積載済みウエハボート組立体を有する、本発明に従った搬入装置の略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1a〜4bに、縦型炉に半導体基板Sを搬入する搬入装置20(図5〜6参照)に用いられるウエハボート組立体1の一例が搬入操作中の様々な位置において示されている。ウエハボート組立体1は、実質的に円筒状の加工処理室を有する縦型炉内において受けられるように構成される。半導体基板Sの加工処理中は、この加工処理室の中心軸はウエハボート組立体の中心軸2と実質的に一致する。縦型炉は、例えば蒸着工程を手段として半導体基板Sの少なくとも1つの表面上に薄膜を施すように構成されてよい。
【0018】
図2a、3a及び4aに示すように、ウエハボート組立体1は、受け台等のベース部4と第1のカバー部分5とを有する第1のウエハボート部分3を含んでよい。第1のカバー部分5はベース部4に取り付けられると共に、例えば図2bに示すように、少なくとも部分的にこのベース部4の上側周縁部6に沿って延在する。ベース部4は、好ましくは縦型炉(図示せず)の搬入位置27(図5及び6参照)に面する加工処理室の第1の端部の受入れ開口と協働するように構成されてよい。ウエハボート組立体1は更に、第1のウエハボート部分3に取外し可能に配設される第2のカバー部分8を有する第2のウエハボート部分7を含む。両方のカバー部分5、8は互いに協働して、ウエハボート内に収容された基板を実質的に取り巻くと共に人工的成膜環境を創出するように構成される。このため、カバー部分5、8はパターン状の開口9を備えて、ガスをウエハボートに流入させると共に、ウエハボート組立体1内の全ての半導体基板Sに均一な反応ガス流を供給して、少なくとも1つの半導体基板表面上における均一な薄膜形成を可能にする。パターン状の開口9の設計は縦型炉内において行われる加工処理の種類に依存してよく、例えばこれらの開口は図面に示すような円形の開口であってよく、又はこれらの開口は細長スリットであってもよく、又はこれらの開口は矩形や長円形等といったような何らかのその他の適切な形状を有してもよい。第1及び第2のカバー部分5、8は、好ましくは、ウエハボート組立体内に受けられる半導体基板の外側周縁部Pから例えば約4〜6mmであるか又はウエハボート内に収容されるウェーハのウェーハ相互間隔に略等しい小距離dに配設される(図4b参照)。
【0019】
第2のカバー部分8は、加工処理対象のそれぞれの半導体基板Sを実質的に水平な搬入構成で且つ垂直方向に離間させて受けるように構成される受入れスロット10(図1b、2b、3b及び4b参照)を備える。第2のカバー部分8は、実質的に円弧状の形状を有すると共に、この第2のカバー部分8の2つの対向する長手縁部12間に挿入口11を形成する。挿入口11は、基板Sを容易に搬入することができるように、基板の直径より実質的に大きくなっている。相対的に小型且つ軽量の第2のカバー部分8により、ウエハボート組立体内への半導体基板Sの搬入及び搬出を容易に達成することができる。
【0020】
図5及び6に、本発明に従った搬入装置20を示す。この搬入装置20は、第1及び第2のボート部分の組立/分解を行うボート組立位置21と2つのボート搬入位置27とボート冷却位置25とを有する回転式搬入コンベヤ22を備える。搬入装置20の上の領域に、縦型炉の1つ以上の加工処理室(図示せず)を配置して、実質的に垂直方向に見たときに、搬入位置27が加工処理室の受入れ開口の下に配置されるようにすることができる。回転式コンベヤ22は自身の中心軸26の周りにおいて方向R1に回転して、ウエハボート組立体1をボート組立位置21と搬入位置27と冷却位置25とのいずれの間でも移動させることができる。第1のウエハボート部分3はボート組立位置21に配置されると共に、以下により詳細に説明するように、第2のウエハボート部分7内へのウェーハの搬入中はこの位置に維持される。第2のウエハボート部分7は、この第1のウエハボート部分3に取外し可能に配設される。
【0021】
搬入装置20は更に、ボート組立位置21に隣接して設けられて第2のウエハボート部分7を第1のウエハボート部分3に対して、例えば方向R2に変位させるグリッパアーム23を含む。図5及び6に示す例では、グリッパアーム23は、ウエハボート組立体1の中心軸2に対して実質的に平行に延在する枢軸28の周りで回転可能なグリッパベース24(図1a、2a、3a及び4aも参照)を含む。グリッパアーム23は更に、第2のウエハボート部分7と係合するようになっているグリッパ担持要素29を含む。グリッパ担持要素29はグリッパアーム23に対して方向R3に回転可能に設けられて、第2のカバー部分8の挿入口11をウェーハ取扱い装置30に対向させて配置することができるようになっている。グリッパアーム23は更に、第2のウエハボート部分7をウエハボート組立体1の中心軸2に対して実質的に軸方向の方向R4に変位させるように構成されてよい(図2a参照)。
【0022】
ウェーハ取扱い装置30は、半導体基板を基板供給部32から取り出すと共に、この基板Sを第2のカバー部分8内に挿入して、受入れスロット10にそれぞれの基板Sを実質的に水平な配向に所定のピッチで保持させるようにする。
【0023】
次に、図5及び6を参照して、本発明に従った縦型炉への搬入方法を説明する。
【0024】
複数の位置を有する回転式搬入コンベヤ22を搬入装置20に設けることにより、半導体基板Sの加工処理のスループットの向上を達成することができる。ボート組立位置21において、個々のウエハボート組立体1に複数の半導体基板Sが搬入される。回転式コンベヤ22は、その後、ウェーハを載せたボート組立体1を搬入位置27に移送する。次に、ウェーハ積載済みウエハボート組立体1が持ち上げられてそれぞれの搬入位置27の上に配置される加工処理室(図示せず)内に送り込まれる。加工処理後に、ウエハボート組立体1は加工処理室から取り出されると共に、搬入位置に戻される。その後、回転式搬入コンベヤ22を該回転式コンベヤ22の中心軸26の周りにおいて回転方向R1に回転させて、ウエハボート組立体を冷却位置25に移動させるようにする。冷却後に、ボートはボート組立位置21に移送されて、ウエハボート組立体1が分解されると共に、ボート組立体からウェーハが取り出される。
【0025】
次に、ボート組立位置21に配置されるウエハボート組立体への基板Sの搬入を更に説明する。最初に、ボート組立位置21に隣接して設けられるグリッパアーム23をグリッパベース24の枢軸28の周りにおいて回転方向R2に回転させることにより第2のウエハボート部分7の方へと移動させる。グリッパ担持要素29を第2のボート部分7と係合させる。第2のボート部分7を第1のボート部分3から方向R4に若干持ち上げると共に、第2のボート部分7がウェーハ取扱い装置30に隣接して配置されるまで第1のウエハボート部分3に対して方向R2に変位させる。更にグリッパ担持要素29を該要素の中心軸31の周りにおいて方向R3に回転させて、第2のカバー部分8の挿入口11が取扱い装置30に対向して配置されるようにする。第2のボート部分7の第2のカバー部分8は、挿入口11をカバー部分8の長手縁部12間に形成する円弧状の形状をなすため、半導体基盤Sを容易に受入れスロット10内に挿入することができる(図1a及び1bも参照)。第2のウエハボート部分7への搬入が完了し、以って第2のカバー部分8の全ての受入れスロット10が基板Sにより満たされると、グリッパアーム23は、第2のウエハボート部分7を取扱い装置30の方に向かわせる移動とは逆の方向に第2のカバー部分8を第1のウエハボート部分3の方へと変位させる。この段階は、図2a及び2bにわかりやすく示されている。一旦第1のウエハボート部分3に到達すると、第2のウエハボート部分7を実質的に下方向R4に変位させて(図2a、3a参照)、第2のウエハボート部分7がベース部4上に配置されるようにする。その後、第2のウエハボート部分7と第1のウエハボート部分3とが相互接続されるか、又は少なくとも互いに嵌合位置につく(図4a及び4b参照)。図4aに示す相互接続位置において、両方のウェーハカバー部分5、8は実質的にベース部4の上側周縁部6に沿って延在すると共に、実質的に基板Sの外側周縁部全体を取り巻く。これで、搬入済み半導体基板Sを取り巻くカバー部分5、8を有するベース部4を搬入位置27に移送して加工処理室内に挿入する用意が整う。
【0026】
図5及び6に示す例に従ったウェーハ搬入装置は、オランダ王国アルメールのASMインターナショナル株式会社(ASM International N.V.)が供給するA412(商標)炉において有利に使用可能である。従って、本発明は更に、例えばA412炉において用いられる周知の搬入装置を改良して本発明に従った搬入装置にする方法に関する。このような方法は:
グリッパ担持要素29を第2のボート部分7に係合させることができるように適合させる段階と;
グリッパ担持要素を回転させて第2のボート部分7をウェーハ取扱い装置30に面する位置及び第1のボート部分3と嵌合する位置に配置することができるように適合させる段階とを含む。
【0027】
このように、周知の搬入装置の周知のグリッパ担持要素を適合済みグリッパ担持要素29に交換して、ドア板を含むボートスタック全体ではなしに第2のボート部分と協働させるようにすることができる。これに代わる方法として、周知のグリッパ担持要素の部品のみを交換して本発明に従ったグリッパ担持要素29に改変することにより、周知のグリッパ担持要素の構成を変更することもできる。
【0028】
上記に、部分的に添付図面を参照して、本発明の例証的な実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に制限されないことを理解されたい。当業者は、特許請求に記載の本発明を実施するにあたって、図面と開示と添付の特許請求の範囲とを検討することにより、開示の実施形態の変形態様を理解し且つ実施することができる。例えば、それぞれのカバー部分が異なる寸法や、縦型炉の内部で行われる様々な種類の加工処理に用いるために異なる種類の開口を有してもよいことは明らかであろう。更に、ウエハボート組立体を異なる構成の搬入装置と一緒に用いてもよい。また、回転式搬入コンベヤを異なる構成にしてもよい。例えば、回転式搬入コンベヤを有さない搬入装置を設けて、ボート組立位置が炉の真下に位置し、ボート組立体を持ち上げて直接ボート組立位置から炉内に送り込むことができるようにしてもよい。
【0029】
加えて、グリッパアームは異なる構成を有してよく、取扱い装置及び基板供給部も同様である。
【0030】
本明細書全体を通じて、「1つの実施形態」又は「実施形態」は、その実施形態と関連付けて記載される特定の特徴、構造又は特性が本発明において少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。このため、本明細書全体を通じて様々な部分に記載されている「1つの実施形態において」又は「実施形態において」という表現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すわけではない。更に、1つ以上の実施形態の特定の特徴、構造又は特性を何らかの適切な態様で組み合わせて、明示されていない新規な実施形態を形成させることができることがわかる。
【符号の説明】
【0031】
1・・・ウエハボート組立体
2・・・中心軸
3・・・第1のウエハボート部分
4・・・ベース部
5・・・第1のカバー部分
6・・・上側周縁部
7・・・第2のウエハボート部分
8・・・第2のカバー部分
9・・・開口
10・・・受入れスロット
11・・・挿入口
12・・・長手縁部
20・・・搬入装置
21・・・ボート組立位置
22・・・回転式搬入コンベヤ
23・・・グリッパアーム
24・・・グリッパベース
25・・・ボート冷却位置
26・・・中心軸
27・・・搬入位置
28・・・枢軸
29・・・グリッパ担持要素
30・・・ウェーハ取扱い装置
31・・・中心軸
32・・・基板供給部
d・・・距離
P・・・外側周縁部
R1・・・方向
R2・・・方向
R3・・・方向
R4・・・方向
S・・・半導体基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッチ処理用に構成される縦型炉内において半導体基板を搬入する搬入装置に用いられるウエハボート組立体であって、半導体基板を保持するウエハボートと前記基板を実質的に取り巻くように構成されるカバーとを含むウエハボート組立体において、
ベース部と、前記ベース部に取り付けられる第1のカバー部分であって、少なくとも部分的にベース部上側周縁部に沿って延在する第1のカバー部分とを有する第1のウエハボート部分と、
前記第1のウエハボート部分に取外し可能に配設されると共に前記第1のカバー部分と協働するように構成される第2のカバー部分であって、少なくとも1つの加工処理対象の半導体基板を受ける受入れスロットを含む第2のカバー部分を有する第2のウエハボート部分と、
を具備することを特徴とするウエハボート組立体。
【請求項2】
前記それぞれのカバー部分は開口を備えて、実質的に均一な薄膜形成を可能にする請求項1に記載のウエハボート組立体。
【請求項3】
前記第1及び第2のカバー部分は、使用時において、ウエハボート組立体内において受けられる前記半導体基板の外側周縁部から、例えば4〜6mmの小距離に配設される請求項1に記載のウエハボート組立体。
【請求項4】
バッチ処理用に構成される縦型炉内において半導体基板を搬入する搬入装置において、
ウエハボート組立体の組立と分解とを行うボート組立位置を有する請求項1又は2に記載のウエハボート組立体を含むことを特徴とする搬入装置。
【請求項5】
前記第1のウエハボート部分はボート組立位置に配設される請求項4に記載の搬入装置。
【請求項6】
前記第2のウエハボート部分は前記第1のウエハボート部分に取外し可能に結合されて、使用時において、前記第2のウエハボート部分を取り外して前記第2のウエハボート部分内に半導体基板を搬入することができるようになっている請求項5に記載の搬入装置。
【請求項7】
前記ボート組立位置は、少なくとも1つの搬入位置を有する回転式搬入コンベアに設けられ、前記又は各搬入位置は、後に前記縦型炉内に挿入するためにウエハボート組立体を受けるように構成される請求項5に記載の搬入装置。
【請求項8】
前記ボート組立位置に隣接してグリッパアームが設けられて、前記第2のウエハボート部分を前記第1のウエハボート部分に対して変位させる請求項4に記載の搬入装置。
【請求項9】
前記グリッパアームは、前記搬入位置に隣接して設けられるウェーハ取扱い装置に対して前記第2のウエハボート部分を接近方向及び離反方向に変位させるように構成される請求項4に記載の搬入装置。
【請求項10】
前記グリッパアームはグリッパベースとグリッパ担持要素とを含み、前記グリッパベースは自身の中心軸の周りにおいて回転可能である請求項8に記載の搬入装置。
【請求項11】
前記グリッパ担持要素は前記グリッパベースに枢動可能に接続されて、使用時において前記グリッパ担持要素の回転を手段として前記第1のウエハボート部分に対する前記第2のウエハボート部分の配向を調節することができるようになっている請求項10に記載の搬入装置。
【請求項12】
前記グリッパアームは前記第2のウエハボート部分を前記第2のウエハボート部分の中心軸に対して軸方向に変位させるように構成される請求項8に記載の搬入装置。
【請求項13】
請求項4に記載の搬入装置又は請求項1に記載のウエハボート組立体及び前記ウエハボート組立体内に配置された半導体基板を加工処理する縦型炉を含む半導体製造装置。
【請求項14】
請求項4に記載の搬入装置を用いて半導体基板をバッチ処理する縦型炉内に前記半導体基板を搬入する方法において、
前記第2のウエハボート部分をボート組立位置に配置された前記第1のウエハボート部分から分離する段階と、
前記第2のウエハボート部分を前記ボート組立位置に隣接するウェーハ取扱い装置の方へと変位させて、前記第2のウエハボート部分のウェーハ受入れ開口が前記ウェーハ取扱い装置に面するようにする段階と、
少なくとも1つ、好ましくは複数の半導体基板を前記第2のウエハボート部分内に搬入して、前記基板が前記第2のカバー部分の受入れスロット内に受けられるようにする段階と、
前記第2のウエハボート部分を前記第1のウエハボート部分の方へと変位させる段階と、
前記第2のウエハボート部分を前記第1のウエハボート部分に取り付ける段階と、
少なくとも1つ、好ましくは複数のウェーハを載せた前記ウエハボート組立体を前記縦型炉内に挿入する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記第1のウエハボート部分に対して前記第2のウエハボート部分を実質的に円弧状の軌跡に沿って変位させる段階を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のウエハボート部分を好ましくは自身の中心軸の周りにおいて回転させる段階を含む請求項14に記載の方法。
【請求項17】
基板を載せた前記ウエハボート組立体を前記ボート組立位置から前記搬入位置に移送する段階と、前記ボート組立体を持ち上げて前記搬入位置から前記縦型炉内に送り込む段階とを含む請求項14に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−182458(P2012−182458A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−47277(P2012−47277)
【出願日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【出願人】(510283650)エーエスエム インターナショナル エヌ. ヴェー. (8)
【氏名又は名称原語表記】ASM International N.V.
【Fターム(参考)】