説明

エピタキシャルウェーハの製造装置

【課題】本発明の目的は、ガス管内部に堆積したシリコン化合物を、容易かつ確実に除去することができるエピタキシャルウェーハの製造装置を提供することにある。
【解決手段】エピタキシャル炉10と、該エピタキシャル炉10から排出された排ガス中に含まれる有害物質を除去するための排ガス処理手段20と、前記エピタキシャル炉10と前記排ガス処理手段20とを連結し、前記排ガスが移動するための密閉空間をもつガス管30とを具えるエピタキシャルウェーハの製造装置1であり、前記ガス管30は、冷却された前記排ガスが液状化したシリコン化合物40を回収するための少なくとも1つのシリコン化合物捕獲手段31を具え、前記エピタキシャル炉10及び排ガス処理手段20からそれぞれ前記シリコン化合物捕獲手段31へ向かって下方に連続的に傾斜してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エピタキシャルウェーハの製造装置、特に、エピタキシャル炉と、該エピタキシャル炉から排出された排ガス中に含まれるシリコン化合物を除去するための排ガス処理手段と、前記エピタキシャル炉と前記排ガス処理手段とを連結し、前記排ガスが移動するための密閉空間をもつガス管とを具えるエピタキシャルウェーハの製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なエピタキシャルウェーハの製造方法としては、CVD法が挙げられる。この方法は、所定のエピタキシャル炉の中でシリコン基板を高温に加熱した後、エピタキシャル炉内に所定のキャリアによってエピタキシャル成長用ガスを供給し、前記シリコン基板上での反応を通じて、シリコン単結晶からなるエピタキシャル膜を、堆積・成長させるというものである。また、前記エピタキシャル成長用ガスは、前記エピタキシャル炉内に供給された後、エピタキシャル炉と連結したガス管を通じて外部へと排出される。
【0003】
ただし、前記エピタキシャル成長用ガス(例えば、シラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン等)は、毒性が強く、可燃性が高いことから、通常、スクラバー等の排ガス処理手段によって、処理された上で外部へと排出される。
【0004】
ここで、前記エピタキシャル炉から排出されたエピタキシャル成長用ガス(以下、「排ガス」という。)は、その一部がガス管の内部において、液化又は固化することでシリコン化合物を生成し、堆積するという問題があった。堆積したシリコン化合物は、排出したガスの流れを阻害し、最終的にはガス管の内部全体を塞ぐ恐れや、固化したシリコン化合物等の何らかの反応で発生した物質が前記ガス管を逆流し、前記エピタキシャル膜表面に付着することで、汚染や欠陥を引き起こす恐れがある。
【0005】
そのため、上述の問題を解決することを目的として、例えば特許文献1では、ガス管の内部において、半導体製造装置から排出された排ガスが液化したシリコン化合物を、排気配管に連結された側管に導き、そのシリコン化合物を不活性物質層を通過させた後に、水層に導くことで、水と反応させ、固体生成物を形成させるシリコン化合物の処理方法が開示されている。
また、特許文献2では、反応炉と、反応炉で発生する排ガスを散水タンク内で溶解処理するスクラバーとを備えており、該スクラバーは散水タンク内に排ガスを導入するガス導入管の内部に管軸方向に移動可能に挿入された管状の掻き出し部材を用いた管内清掃機構を装備するエピタキシャルウェーハの製造設備が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−313857号公報
【特許文献2】特開2001−7034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の方法では、ガス管内部に形成されたシリコン化合物を水層にまで導くことができた場合には、一定の効果を奏するものの、実際に前記シリコン化合物を水層へと導くことは困難であり、ガス管内部に堆積したシリコン化合物を十分に排出・除去できない。
【0008】
また、特許文献2の設備では、前記シリコン化合物を除去するため掻き出し部材の制御が複雑になること、さらに、スクラバーに隣接したガス管部分についてはシリコン化合物を除去できるものの、その他の部分のガス管部分については内部に形成されたシリコン化合物を有効に除去できないことが問題である。
【0009】
本発明の目的は、排ガスが移動するためのガス管の適正化を図ることによって、ガス管内部に堆積したシリコン化合物を、容易かつ確実に除去することができるエピタキシャルウェーハの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、エピタキシャル炉と、該エピタキシャル炉から排出された排ガス中に含まれる有害物質を除去するための排ガス処理手段と、前記エピタキシャル炉と前記排ガス処理手段とを連結し、前記排ガスが移動するための密閉空間をもつガス管とを具えるエピタキシャルウェーハの製造装置について、上記の課題を解決するため検討を重ねた結果、前記ガス管を、冷却された前記排ガスが液状化したシリコン化合物を回収するための少なくとも1つのシリコン化合物捕獲手段を具え、前記エピタキシャル炉及び排ガス処理手段からそれぞれ前記シリコン化合物捕獲手段へ向かって下方に連続的に傾斜してなるようにすることで、シリコン化合物捕獲手段によって容易かつ確実にシリコン化合物の回収ができることを見出した。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)エピタキシャル炉と、該エピタキシャル炉から排出された排ガス中に含まれる有害物質を除去するための排ガス処理手段と、前記エピタキシャル炉と前記排ガス処理手段とを連結し、前記排ガスが移動するための密閉空間をもつガス管とを具えるエピタキシャルウェーハの製造装置であって、前記ガス管は、冷却された前記排ガスが液状化したシリコン化合物を回収するための少なくとも1つのシリコン化合物捕獲手段を具え、前記エピタキシャル炉及び排ガス処理手段からそれぞれ前記シリコン化合物捕獲手段へ向かって下方に連続的に傾斜してなることを特徴とするエピタキシャルウェーハの製造装置。
【0012】
(2)前記シリコン化合物捕獲手段は、前記排ガスを冷却するための冷却手段を有する上記(1)記載のエピタキシャルウェーハの製造装置。
【0013】
(3)前記冷却手段は、前記排ガスの温度が10〜30℃の範囲となるまで冷却を行う上記(2)記載のエピタキシャルウェーハの製造装置。
【0014】
(4)前記ガス管は、2以上の管部材を連結部材で連結してなり、全箇所において実質的に同一の内径を有する上記(1)、(2)又は(3)記載のエピタキシャルウェーハの製造装置。
【0015】
(5)前記ガス管は、傾斜角度が2〜90°の範囲である上記(1)〜(4)のいずれか1項記載のエピタキシャルウェーハの製造装置。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、ガス管内部に堆積したシリコン化合物を、容易かつ確実に除去することができるエピタキシャルウェーハの製造装置の提供が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のエピタキシャルウェーハの製造装置の構成を模式的に示した図である。
【図2】エピタキシャル炉を示した図であり、(a)は縦型エピタキシャル炉、(b)はシリンダ型エピタキシャル炉、(c)は枚葉型エピタキシャル炉を示す。
【図3】本発明ガス管の傾斜角度を説明するための図である。
【図4】本発明のガス管を構成する各管部材の連結部分を模式的に示した断面図である。
【図5】本発明のシリコン化合物捕獲手段を模式的に示した図である。
【図6】エピタキシャルウェーハの製造装置の使用日数(日)と、Fe−B濃度(atoms/cm3)及び排圧との関係を示したグラフである。
【図7】実施例のエピタキシャルウェーハ製造装置の使用期間(日)と、ロットあたりの最大LPD数(個)の関係を示したグラフである。
【図8】比較例のエピタキシャルウェーハ製造装置の使用期間(日)とロットあたりの最大LPD数(個)の関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明によるエピタキシャルウェーハの製造装置について、図面を参照しながら説明する。
本発明のエピタキシャルウェーハの製造装置は、図1に示すように、エピタキシャル炉10と、該エピタキシャル炉10から排出された排ガス中に含まれる有害物質を除去するための排ガス処理手段20と、前記エピタキシャル炉10と前記排ガス処理手段20とを連結し、前記排ガスが移動するための密閉空間をもつガス管30とを具えるエピタキシャルウェーハの製造装置1である。なお、説明の便宜のため、図1に記載されたエピタキシャル製造装置の構成は、実際の装置の構成に比べて簡素化して示している。
【0019】
ここで、前記エピタキシャル炉10とは、所望のエピタキシャル膜を成長させるための成長炉のことであり、炉内へエピタキシャル成長用ガス及びキャリアガスを導入し、基板上にエピタキシャル膜を成長させる。エピタキシャル炉10の具体的な種類については、通常用いられているものであれば、特に限定はしない。例えば、図2(a)〜(c)に示すように、ワークコイル111の上にドーナツ状のサセプタ112上に複数の基板113を載置する縦型エピタキシャル炉(図2(a))や、多角錐台状のサセプタ114に複数の基板113を載置するシリンダ型のエピタキシャル炉(図2(b))、円盤状のサセプタ115に1枚の基板113を載置する枚葉型のエピタキシャル炉(図2(c))などを用いることが可能である。
【0020】
また、前記エピタキシャル炉10から排出される排ガスとは、エピタキシャル膜の成長のために用いられたエピタキシャル成長用のガスのことである。エピタキシャル成長用ガスについては、通常用いられるものであれば特に限定はせず、例えば、シラン、ジクロロシラン、トリクロロロシラン、テトラクロロシラン等を用いることができる。
【0021】
また、前記排ガス処理手段20とは、前記排ガス中に含まれる有害物質を除去するための手段である。その構成については、有害物質を有効に除去できるものであれば、特に限定はない。例えば、水などの液体を洗浄液として、前記排ガスに対して噴射したり、前記洗浄液に排ガスをくぐらせたりすることで前記有害物質を回収するスクラバーなどを用いることが可能である。
【0022】
ここで、前記排ガス処理手段20によって除去すべき有害物質とは、例えば、HCl、クロロシラン、B2H6等のことである。
【0023】
本発明のガス管30とは、前記エピタキシャル炉10と前記排ガス処理手段20とを連結し、前記排ガスが移動するための密閉空間をもつ配管のことである。そして本発明では、図1に示すように、前記ガス管30は、冷却された前記排ガスが液状化したシリコン化合物40を回収するための少なくとも1つのシリコン化合物捕獲手段31を具え、前記エピタキシャル炉10及び排ガス処理手段20からそれぞれ前記シリコン化合物捕獲手段31へ向かって下方に連続的に傾斜してなることを特徴とする。
【0024】
上記構成を採用することで、前記配管30の傾斜によって、容易に前記シリコン化合物40を前記シリコン化合物捕獲手段31へと導くことが可能となり、さらに、シリコン化合物捕獲手段31によって前記シリコン化合物40を確実に回収できる。
【0025】
ここで、前記ガス管30が下方に傾斜するとは、図1に示すように、前記ガス管30が水平方向Eから重力方向へ向かって、所定の角度αだけ傾斜していることをいう。また、前記ガス管30が下方に連続的に傾斜するとは、水平となる部分や、上方向へ向かって傾斜する部分が全くなく、前記ガス管30のすべての部分について、角度αの大小に関わらず下方へ傾斜していることをいう。なお、図1のエピタキシャル製造措置は、前記シリコン化合物捕獲手段31と前記エピタキシャル炉10及び前記排ガス処理手段20との位置関係をわかりやすくするために、実際の装置構成を簡略化して示している。
【0026】
また、図3に示すように、前記ガス管30は、その部分によって種々の傾斜角度(図3ではα1、α2、α3)を有するが、傾斜角度α1、α2、α3は、いずれも2〜90°の範囲であることが好ましい。傾斜角度が2°未満の場合、傾斜が十分でないため、前記配管30中で発生したシリコン生成物40を前記シリコン化合物捕獲手段31へと導くことができない恐れがあるからである。
【0027】
さらに、前記ガス管30は、図4に示すように、2つ以上の管部材32、33を連結部材34で連結してなるが、前記ガス管30の全箇所において実質的に同一の内径を有する(B1=B2)ことが好ましい。各管部材32、33の内径B1、B2が異なる場合、前記管部材32、33の連結部に前記シリコン化合物40が堆積する恐れがあるからである。なお、前記管部剤32、33の外径A1、A2については特に限定はなく、その大きさが異なっても構わない。
【0028】
ここで、図6は従来のエピタキシャルウェーハの製造装置を20日間使用したときの、使用日数(日)と、エピタキシャル膜表面のFe−B濃度(atoms/cm3)及び製造装置の排圧(基準値100に対する指数で表示)との関係を示したものである。図6から、使用日数が経過するに連れて、Fe−B濃度及び排圧のいずれも増加することわかる。前記シリコン化合物40が前記ガス管30中に残存するため、ガス管の一部が何らかの反応によって腐食し、Feを含有する金属物質が前記エピタキシャル成長炉内へと逆流する結果、前記エピタキシャル膜表面に付着する恐れがある。そのため、本発明のように、前記シリコン化合物40を確実に回収することができれば、上述の問題を解消できる。
【0029】
本発明のシリコン化合物捕獲手段31は、前記ガス管30を通して、前記シリコン化合物40を回収するための手段であり、具体的な構成については、確実に前記シリコン化合物40を回収することができれば特に限定はしない。例えば、水を溜めたタンクを用い、前記シリコン化合物40を該タンク内へ導き、タンク内で前記シリコン化合物40の固体生成物を浮上させることによって回収を行うことができる。また、安全に前記シリコン化合物40の処理を行う点から、前記ガス管30と前記シリコン化合物捕獲手段31の連結部は外気に触れることなく密閉空間であることが好ましい。
【0030】
ここで、前記シリコン化合物40とは、前記排ガスが冷却されることによって、液化された化合物である。エピタキシャル成長用ガスにトリクロロシランを用いた場合の、シリコン化合物40(SixCly)が生成するメカニズムを以下に示す。
SiHCl3 → SiCl2+HCl ・・・(1)
SiCl2+2HCl → SixCly+H2 ・・・(2)
このシリコン化合物40が前記ガス管30の内部に堆積することで、前記排ガスの流れを阻害したり、固化して前記エピタキシャル膜の表面付着や副生成物が何らかの反応で生じた物質でウェーハの汚染等の問題を引き起こしたりする。
【0031】
また、図5に示すように、前記シリコン化合物捕獲手段31は、前記排ガスを冷却するための冷却手段35を有することが好ましい。前記シリコン化合物40は、前記排ガスが冷却されることによって生じることから、前記シリコン化合物捕獲手段31を通過する前後に、前記排ガスを冷却する冷却手段35を設ければ、効率的に前記シリコン化合物40の回収が可能となるからであり、前記冷却手段35を設けない場合、十分に前記シリコン化合物40を回収できない恐れがある。
【0032】
さらに、前記冷却手段35は、前記排ガスの温度が10〜30℃の範囲となるまで冷却を行うことが好ましい。10℃未満の場合、前記排ガスの温度が低すぎるため、前記排ガスが固化し、前記シリコン化合物捕獲手段31によって回収することができない恐れがあり、一方、30℃を超えると、前記排ガスの温度が高すぎるため、前記排ガスをシリコン化合物40へと変えることができず、十分に前記シリコン化合物40の回収ができない恐れがあるからである。なお、本発明では、前記排ガスの温度については、前記ガス管30の温度を測定することによって得られる温度のことをいう。
【0033】
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
【実施例】
【0034】
(実施例)
実施例として、図1に示すように、エピタキシャル炉10と、該エピタキシャル炉10から排出された排ガス中に含まれる有害物質を除去するための排ガス処理手段20と、前記エピタキシャル炉10と前記排ガス処理手段20とを連結し、前記排ガスが移動するための密閉空間をもつガス管30とを具えるエピタキシャルウェーハの製造装置1を用いてエピタキシャルウェーハの製造を行った。
なお、前記ガス管30は、冷却された前記排ガスが液状化したシリコン化合物40を回収するためのシリコン化合物捕獲手段31を2つ具え、前記エピタキシャル炉10及び排ガス処理手段20からそれぞれ前記シリコン化合物捕獲手段31へ向かって下方に連続的に傾斜(2〜90°)してなり、前記ガス管30の内径は、図4に示すように、全箇所において実質的に同一である。また、前記シリコン化合物捕獲手段31は、図5に示すように前記排ガスの温度が10〜30℃の範囲となるまで冷却を行う冷却手段35を有する。
【0035】
(比較例)
比較例として、前記ガス管30が連続的に下方へ傾斜していないことと連続的に配管冷却し、液状化したシリコン化合物を回収するためのシリコン化合物捕獲手段31以外は、実施例と同様の条件のエピタキシャルウェーハの製造装置を用いてエピタキシャルウェーハの製造を行った。
【0036】
(評価方法)
(1)エピタキシャルウェーハの汚染について
実施例及び比較例によって製造されたエピタキシャルウェーハのエピタキシャル膜表面に付着した異物(主に、ガス管30に堆積したシリコン化合物が固化し、ガス管30を逆流してエピタキシャル膜表面に付着したもの)の量について、SP1(Spinner 1)を用いて、配管洗浄前後のLPD(0.25μm以上)の数を測定した。実施例の装置の使用期間(日)とロット内の最大LPD数(個)との関係を示したグラフを図7、比較例の装置の使用期間(日)とロット内の最大LPD数(個)との関係を示したグラフを図8に示す。
また、実施例及び比較例のエピタキシャルウェーハ製造を1年間行ったときの、各装置の排ガス配管の洗浄回数(回/年)を計測し、その結果を表1に示す。
【0037】
(2)排ガス処理手段にかかる負荷について
実施例及び比較例のエピタキシャルウェーハ製造装置の使用を1年間行ったときの、排ガス処理手段20(スクラバー)の洗浄回数(回/年)を計測し、その結果を表1に示す。なお、洗浄回数については、回数が少ないほどスクラバーがクリーンな状態で作動しており、排ガス処理手段20(スクラバー)にかかる負荷が少ないことがわかる。
【0038】
【表1】

【0039】
図7及び図8から、実施例で製造されたウェーハは、比較例で製造されたウェーハに比べてLPDの数が少なく、ガス管に堆積したシリコン化合物に起因した汚染が低減されていることがわかる。
また、表1から、実施例の装置を用いてエピタキシャルウェーハの製造を行った場合、比較例に比べて、ガス管の洗浄回数が大幅に少なく、シリコン化合物を有効に回収できていることがわかる。
さらに、表1から、実施例では、スクラバーの洗浄回数が比較例に比べて少ないため、シリコン化合物を有効に回収できており、それによって有害物質を除去するための排ガス処理手段にかかる負荷を低減できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この発明によれば、ガス管内部に堆積したシリコン化合物を、容易かつ確実に除去することができるエピタキシャルウェーハの製造装置を提供することが可能になった。
【符号の説明】
【0041】
1 エピタキシャルウェーハの製造装置
10 エピタキシャル炉
20 排ガス処理手段
30 ガス管
31 シリコン化合物捕獲手段
32、33 管部材
34 連結部材
35 冷却手段
40 シリコン化合物
111 ワークコイル
112、114、115 サセプタ
113 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エピタキシャル炉と、該エピタキシャル炉から排出された排ガス中に含まれる有害物質を除去するための排ガス処理手段と、前記エピタキシャル炉と前記排ガス処理手段とを連結し、前記排ガスが移動するための密閉空間をもつガス管とを具えるエピタキシャルウェーハの製造装置であって、
前記ガス管は、冷却された前記排ガスが液状化したシリコン化合物を回収するための少なくとも1つのシリコン化合物捕獲手段を具え、前記エピタキシャル炉及び排ガス処理手段からそれぞれ前記シリコン化合物捕獲手段へ向かって下方に連続的に傾斜してなることを特徴とするエピタキシャルウェーハの製造装置。
【請求項2】
前記シリコン化合物捕獲手段は、前記排ガスを冷却するための冷却手段を有する請求項1に記載のエピタキシャルウェーハの製造装置。
【請求項3】
前記冷却手段は、前記排ガスの温度が10〜30℃の範囲となるまで冷却を行う請求項2に記載のエピタキシャルウェーハの製造装置。
【請求項4】
前記ガス管は、2以上の管部材を連結部材で連結してなり、全箇所において実質的に同一の内径を有する請求項1、2又は3に記載のエピタキシャルウェーハの製造装置。
【請求項5】
前記ガス管は、傾斜角度が2〜90°の範囲である請求項1〜4に記載のエピタキシャルウェーハの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−142257(P2011−142257A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2872(P2010−2872)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(302006854)株式会社SUMCO (1,197)
【Fターム(参考)】