説明

エージェント装置、エージェント機能付車載用ナビゲーション装置、エージェント出力方法

【課題】 時間が経過しても飽きが来ないようにする。
【解決手段】 プログラム記憶部28に、目的地の場所、季節等の状況別に、内容が種々異なるユーザ性格判別用の質問と、エージェントの性格別の容姿・仕草を画像表示するためのアニメーション画像データを用意しておく。また、会話文のテキスト音声合成を行う音声合成部30に性格別のイントネーションデータベース群303を用意し、エージェントの社交性、協調性、活動性、情緒性等の性格を変更可能としておく。走行中でエージェントが空いた時間に、エージェント処理部27は目的地の場所、季節等の状況情報を入手し、表示装置1とスピーカ3を用いて画像と音声により現出させたエージェントにより状況に応じた違和感の無いユーザ性格判別用の質問をさせ、マイク入力されたユーザの回答結果からユーザの性格を判別し、ユーザの性格に合わせてエージェントの性格を可変させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエージェント装置、エージェント機能付車載用ナビゲーション装置、エージェント出力方法に係り、とくにエージェントの性格が可変するエージェント装置、エージェント機能付車載用ナビゲーション装置、エージェント出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車載用ナビゲーション装置では、ユーザがキー操作をする手間を省くとともにエンターテイメント性を持たせるために音声と画像により擬人化したエージェントを現出させ、エージェントとの対話でユーザが各種の指示を与えることができるようになっている。例えば、近くの食事のできるお店を検索して経路誘導させたい場合、ユーザが「お腹が空いた」とマイクに話すと、音声認識部で「お腹」、「が」、「空いた」と単語に分解して認識され、自然言語解析部で名詞、動詞、形容詞、形容動詞等の主要品詞別の単語が抽出され、エージェント処理部で表1の如く単語別カテゴリ分類表に基づき、今回の会話文のカテゴリーが「食事」であると解析されて、食事への誘導会話フローに移行する。
【表1】

まずエージェント処理部は音声または画像と音声でエージェントを現出し、「食事に行く?」と質問する。ユーザが「うん」、「はい」と返事すると、エージェント処理部で肯定と解析され、続いて、「何がいい?」と質問し、「お寿司」と返事すると、エージェント処理部で「お寿司」が希望食と決定される。エージェント処理部は地点検索部に現在地近くのお寿司屋の検索を指令し、地点検索部は地点情報を参照して現在地に一番近いお寿司屋を検索し、エージェント処理部に店名、住所を伝え、エージェント処理部がエージェントに「○○屋、××区△丁目○番があるけど、どう?」と質問させる。ユーザが「いいよ」と返事すると、エージェント処理部で肯定と解析され、続いて、「経路誘導する?」と質問し、「うん」と返事すると、エージェント処理部は経路探索・経路誘導部に現在地から今回検索したお寿司屋までの経路誘導を指令する。経路探索・経路誘導部は道路データを用いて現在地から○○屋までを最短で結ぶ経路探索を行い、探索した経路誘導データを誘導経路記憶部に記憶させて現在地から目的地まで経路誘導を行う。経路誘導中、現在地を中心とする地図上に誘導経路を表示し、誘導経路上の各主要交差点の内、次に進路変更すべき交差点(案内対象交差点)に500m以内に近づく度に、該案内対象交差点での進路案内画像を地図画面の一部に重ねて表示する。これと平行して、次の案内対象交差点までの距離と誘導進路をエージェント処理部に伝え、現在地から案内対象交差点までの距離が500m、300m、100mと変化する度にエージェントにより「500m先交差点右折です」、「300m先交差点右折です」、「100m先交差点右折です」との音声による案内(音声経路誘導)をさせる。これにより、ユーザは所望のお寿司屋に迅速に到達できる。
【0003】
同様にして、「プールに行きたいな」、「遊園地に行きたいな」、「映画を見たいな」などと話し始めることで、近くのプール、遊園地、映画館などの所望地点を検索し経路誘導させることができる。このようにユーザはエージェントとの対話で所望地点の検索と経路誘導を指示できるほか、パワーウインドウの開閉指示、ワイパのオン/オフ、ラジオ/CDのオーディオ出力/停止など車両各部に対する制御指示も行える。例えば、ユーザが「暑いな」(「寒いな」)と話したとき、エージェントは表1に従いカテゴリーが機器制御のウインドウ開である御と分析し、「窓を開ける?」(「窓を閉める?」)と質問し、ユーザが「うん」と回答したあと、エージェント処理部はパワーウインドウを制御しウインドウを開け(閉め)させる。また、「雨だな」(「止んだな」)と話すとエージェントは「ワイパをオンする?」(「ワイパを止める?」)と質問し、「うん」と回答すると、エージェント処理部はワイパを制御してワイパを稼働(停止)させる。また、「暗くなってきたな」(「明るくなってきたな」)と話すとエージェントは「ライトを点ける?」(「ライトを消す?」)と質問し、「うん」と回答すると、エージェント処理部はヘッドライトを制御してライトを点灯(消灯)させる。
また、「ラジオが聞きたいな」(「ラジオを止めたい」)とに話すとエージェントは「ラジオを点ける?」(ラジオを止める?」)と質問し、ユーザが「うん」と返事すると、エージェント処理部はオーディオ部を制御してラジオ放送を出力させる(ラジオを止めさせる)。また、「CDが聞きたいな」(「CDを止めたい」)とに話すとエージェントは「CDを再生する?」(CDを止める?」)と質問し、ユーザが「うん」と返事すると、エージェント処理部はオーディオ部を制御してCDを再生させる(CDの再生を止めさせる)。
【0004】
ところで、従来のエージェント機能付車載用ナビゲーション装置におけるエージェントは社交性、協調性等の性格の異なる複数種のタイプの中からユーザが最初に設定したタイプから変更できないため、長期にわたり使用するとエンターテイメント性が欠ける欠点があった。
【0005】
【特許文献1】特開平11−259271号公報
【特許文献2】特開2002−213986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記した従来技術の問題に鑑み、エンターテイメント性が持続するエージェント装置、エージェント機能付車載用ナビゲーション装置、エージェント出力方法を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、ユーザと対話するエージェントを音声または音声と画像で現出させながらユーザの指示を認識し、各種指令を発するエージェント手段を含むエージェント装置において、エージェント手段に、ユーザとの対話からユーザの性格を判別する性格判別手段と、ユーザの性格に適したエージェントの性格に可変するエージェント可変手段と、を設けたことを特徴としている。
性格判別手段は、ユーザの性格判別用の質問をエージェントにさせたときの回答結果からユーザの性格判別するようにしても良い。この場合、季節、時間帯、天候の内、1または任意の複数の組合せの情報取得手段を設け、ユーザの性格判別用の質問は、季節、時間帯、天候の内、任意の組合せに合致した内容とすると良い。若し、ユーザに性格判別用の質問をしたとき無回答であれば、ユーザは協調性が低い性格と判別すると良い。
また、性格判別手段は、エージェントに対するユーザの指示頻度が一定以上大きいとき、ユーザは支配性が高いと判別するようにしてもよく、また、音楽ジャンルデータが付属する音楽データを再生出力するオーディオ手段から入力した音楽ジャンルデータも参照してユーザの性格を判別するようにしても良い。
エージェント可変手段は、性格の異なる複数のエージェントの中からユーザが選択したエージェントを初期設定するようにしても良い。
電源が一旦OFFされ、再びONされたときにするようにしても良い。
エージェントを音声と画像で現出させる場合、エージェント可変手段は、エージェントの性格を可変する際、容姿も合わせて可変させるようにしても良い。
【0008】
請求項9記載の発明では、現在位置を検出する現在位置検出手段と、現在位置情報に基づき地図データを参照して現在位置マーク付の地図画像を描画し表示したり、ユーザ所望の地点の検索、ユーザ所望地点までの経路探索・経路誘導をするナビゲーション手段と、ユーザと対話するエージェントを音声および/または画像で現出させながらユーザの指示を認識し、ナビゲーション手段および/または車両各部に各種指令を与えるエージェント手段と、を含むエージェント機能付車載用ナビゲーション装置において、エージェント手段に、ユーザとの対話からユーザの性格を判別する性格判別手段と、ユーザの性格に適したエージェントの性格に可変するエージェント可変手段と、を設けたことを特徴としている。
性格判別手段は、ユーザの性格判別用の質問をエージェントにさせたときの回答結果からユーザの性格判別するようにしても良い。この場合、目的地または走行中の場所、季節、時間帯、天候の内、1または任意の複数の組合せの情報取得手段を設け、ユーザの性格判別用の質問は、目的地または走行中の場所、季節、時間帯、天候の内、任意の組合せに合致した内容とすると良い。若し、ユーザに性格判別用の質問をしたとき無回答であれば、ユーザは協調性が低い性格と判別すると良い。
また、性格判別手段は、エージェントに対するユーザの指示頻度が一定以上大きいとき、ユーザは支配性が高いと判別するようにしてもよく、また、音楽ジャンルデータが付属する音楽データを再生出力するオーディオ手段から入力した音楽ジャンルデータも参照してユーザの性格を判別するようにしても良い。
エージェント可変手段は、性格の異なる複数のエージェントの中からユーザが選択したエージェントを初期設定するようにしても良い。
また、車載用ナビゲーション装置が目的地までの経路誘導を行う経路誘導手段と、誘導経路に沿って走行したか監視する監視手段とを備えている場合、性格判別手段は、ユーザが誘導経路に沿って走行しないとき、ユーザは協調性が低いと判別するようにしても良い。
また、エージェント可変手段は、性格の異なる複数のエージェントの中からユーザが選択したエージェントを初期設定するようにしても良い。
また、エージェント可変手段は、エンジン停止後所定の一定時間以上経過したあと再びエンジンが始動されたときに、エージェントの性格を可変するようにしても良い。
エージェントが音声と画像で現出される場合、エージェント可変手段は、エージェントの性格を可変する際、容姿も合わせて可変させるようにしても良い。
請求項11の発明では、音響手段まはた音響手段と表示手段を用いて、ユーザと対話するエージェントを音声または音声と画像で出力するエージェント出力方法において、予めエージェントの性格を可変可能としておき、ユーザとの対話からユーザの性格を判別し、ユーザの性格に適したエージェントの性格に可変するようにしたこと、を特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のエージェント装置、エージェント出力方法によれば、ユーザがエージェントの質問に答えるなど、エージェントと対話するだけでエージェントの性格が自動的に変わるためユーザは飽きの来ないエンターテイメント性を楽しめる。エージェントの性格はユーザの性格に合致するように可変するため愛着も湧く。ユーザへ性格判別用の質問する場合、季節・時間帯、天候など、現在の状況に因んだものとすることで違和感が生じないようにできる。エージェントに対するユーザの指示頻度が一定以上大きいとき、ユーザは支配性が高いと判別したり、ユーザの聴取する音楽のジャンルからユーザの性格を判別するようにした場合、ユーザが特に会話しなくてもエージェントの性格を可変させることができる。また、性格の異なる複数のエージェントの中からユーザが選択したエージェントを初期設定するようにした場合、一層、エンターテイメント性が高まる。電源が一旦OFFされた後、一定時間以上経過したあと再び電源ONされたときに、エージェントの性格を可変することで、短時間での性格変化に驚かないようにすることもできる。
【0010】
本発明のエージェント機能付車載用ナビゲーション装置によれば、ユーザがエージェントの質問に答えるなど、エージェントと対話するだけでエージェントの性格が自動的に変わるためユーザは飽きの来ないエンターテイメント性を楽しめる。エージェントの性格はユーザの性格に合致するように可変するため愛着も湧く。ユーザへ性格判別用の質問する場合、目的地または走行中の場所、季節・時間帯、天候など、現在の状況に因んだものとされるので違和感が生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
エージェント機能付車載用ナビゲーション装置において、プログラム記憶部に、目的地または走行中の場所、季節、時間帯、天候等の状況別に、内容が種々異なるユーザ性格判別用の質問と、エージェントの性格別の容姿・仕草を画像表示するためのアニメーション画像データを用意しておく。また、会話文のテキスト音声合成を行う音声合成部に性格別のイントネーションデータベース群を用意し、社交性、協調性、活動性、情緒性、支配性の5つの性格要素が異なる多種類の性格のエージェントに変更可能としておく。走行中でエージェントが空いた時間に、エージェント処理部は目的地または走行中の場所、季節、時間帯、天候等の状況情報を入手し、画像と音声により現出させたエージェントにより過去の質問と重ならず、状況に応じた違和感の無いユーザ性格判別用の質問をさせ、ユーザの回答結果からユーザの性格を判別し、ユーザの性格に合わせてエージェントの性格を可変させる。イントネーションユーザ性格判別用の質問は走行中で、エージェント処理部が前後に通常のエージェント処理をしない空いた時間を選んでなされるので、運転中のエンターテイメント性が高まる。エージェントの性格の可変は、ACC電源が一旦OFFされたあと再びONされたときとされる。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明の一つの実施例に係るエージェント機能付車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
1は表示装置であり、現在地周辺の地図画像、経路誘導用の交差点進路案内画像、エージェント画像などを表示する。2はアンプ、3はスピーカであり、経路誘導用の交差点進路案内音声、音楽、エージェント音声などを音響出力する。4は衛星航法により現在位置と現在方位を検出するGPS受信機、5は地図描画用の地図データ、経路探索用の道路データ、ガソリンスタンド、コンビニエンスストア、レストラン、映画館、遊園地、プール、競技場、海水浴場、病院、温泉旅館、史跡等の多種類の案内地点の種別、名称、位置、住所、電話番号等の案内地点データを記録したハードディスク等の大容量記憶装置である。6はナビゲーション部であり、地図データを用いて現在位置周辺の画像を描画し、表示装置に表示させたり、走行軌跡を記録したりする。ナビゲーション部6は後述するエージェント部の指令に従い、地点検索、経路探索、経路誘導なども行う。このナビゲーション部6の構成を図2に示す。図2の内、7は表示装置1の1画面分の地図画像を記憶可能な画像記憶部、8は地図データを用いて現在地周辺の地図画像を画像記憶部に描画する地図描画部、9は合成部であり、地図画像の上に後述する経路探索・経路誘導部の描画した交差点誘導進路案内画像または/及び後述するエージェント部で描画されたエージェント画像を合成し、映像信号に変換して表示装置1へ出力する。10はイグニッションスイッチがオンされてからオフされるまでを1回分の走行として、各走行毎に走行軌跡データ(現在位置の時系列変化)を大容量記憶装置5に追加して記録する走行軌跡記録部である。
【0013】
11は案内地点の検索指令を受けると案内地点データを参照して現在地に近い所望種別の案内地点を検索する地点検索部、12は経路探索・経路誘導部であり、道路データを参照して現在地を出発地として所望の目的地までを結ぶ最適な経路を探索し、該最適経路上で進路変更を伴う経由地交差点が出発地側から順にn個存在するとき、最適経路を構成する出発地の位置、第1経由地交差点の位置と交差点形状と誘導進路、第2経由地交差点の位置と交差点形状と誘導進路、・・、第n経由地交差点の位置と交差点形状と誘導進路、目的地の位置を順に並べた誘導経路データを誘導経路記憶部13に記憶させ、経路誘導データの中で現在地から見て目的地寄りにある次に進路変更すべき経由地交差点を案内対象交差点として決定するとともに、現在地−案内対象交差点間の距離を計算し、案内対象交差点が現在地から1km以内に入ると、案内対象交差点の拡大画像に誘導進路を示す矢印と現在地−交差点間距離を重ねて交差点進路案内画像記憶部14に描画する。交差点進路案内画像記憶部14の記憶領域の大きさは縦×横が画像記憶部7の半分ずつの大きさである。経路探索・経路誘導部12は案内対象交差点の誘導進路と現在地−案内対象交差点間の距離を後述するエージェント処理部へ出力する。15は走行監視部であり、経路探索・経路誘導部12で決定した案内対象交差点付近での誘導経路と車両の実際の走行ルートとを比較し、一致しなかった場合に後述するエージェント部へルート外れ警告指令を出力するとともに警告した日時を大容量記憶装置5に追加して記憶し、更に再探索指令を与えて経路探索・経路誘導部12にその時の現在地から所望の目的地までを最短で結ぶ新たな最適経路を再探索させる。
【0014】
図1に戻って16はACCスイッチとイグニッションスイッチのオン・オフ、車速などを検出する検出部、17はラジオ/CDのオーディオ部、18は加算器、19はパワーウインドウ、20はワイパ、21はヘッドライトである。
【0015】
22はユーザが音声入力するマイク、23はエージェント部であり、表示装置1とスピーカ3を用いて、ユーザと対話する擬人化したエージェントを音声と画像で現出させ、ユーザの指示を認識してナビゲーション部に対する各種指令や車両各部に対する各種制御をしたり、経路誘導モード中に案内対象交差点の誘導進路を音声案内したりする。この実施例ではエージェント部23はユーザと対話しながらユーザの性格を判別し、判別したユーザの性格に合わせてエージェントの性格と容姿が可変するようになっている。このエージェント部23は図3に示す如く構成されている。この内、24はマイク入力された音声から単語を認識する音声認識部、25は自然言語解析部であり、音声認識された単語の内、名詞、動詞、形容詞等の主要品詞を抽出する。26は社交性S、協調性C、活動性A、情緒性M、支配性Oの5つの性格要素が異なる多種類の性格のエージェントの容姿、仕草を映像で表現するために必要なアニメーション画像データを記憶したエージェントデータ記憶部である。各性格要素の度合いdを0〜8まで9段階に分け(0が一番弱く8が一番強い)、社交性Sをsa(d=0〜2)、sb(d=3〜5)、sc(d=6〜8)の3群、協調性Cをca(d=0〜2)、cb(d=3〜5)、cc(d=6〜8)の3群、活動性Aをaa(d=0〜2)、ab(d=3〜5)、ac(d=6〜8)の3群、情緒性Mをma(d=0〜2)、mb(d=3〜5)、mc(d=6〜8)の3群、支配性Oをoa(d=0〜2)、ob(d=3〜5)、oc(d=6〜8)の3群に分けたときの性格要素の組合せ毎に性格の異なる35 種類のエージェントAg{si,cj,ak,mx,oy}(但し、i,j,k,x,yは各々a,b,cの中の任意の1つ)の各々について、個別にアニメーション画像データが記憶されている。エージェントの性格は要素の組合せ{sd,cd,ad,md,od}={s4,c4,a4,m4,o4}が標準的な性格である。
【0016】
27はエージェント処理部であり、プログラム記憶部28に予め記憶された通常のエージェント処理プログラムに従い、プログラム記憶部28に予め記憶された通常の会話文群を用いて、ユーザと対話する擬人化したエージェントを画像と音声で現出させ、ユーザ所望の指示を分析するとともに(分析には表1の如き単語別カテゴリ分類表を参照する)、ナビゲーション部6にユーザ所望地点の検索指令、経路探索指令、経路誘導指令等の各種指令を与えたり、ナビゲーション部6から所望地点の検索結果、経路誘導用の案内対象交差点誘導進路情報等の各種データを取得したり、検出部16から各種検出データを入力したり、オーディオ部17、パワーウインドウ19、ワイパ20、ヘッドライト21に対し各種制御をしたりする(通常のエージェント処理)。また、エージェント処理部27はプログラム記憶部28に記憶されたエージェント性格可変処理プログラムに従い、プログラム記憶部28に予め記憶されたエージェント性格可変処理用会話文群(ユーザ判別用質問群を含む)を用いて、所定の空き時間にユーザの性格判別用の対話を行ってユーザの性格を判別するとともにユーザの性格に合ったエージェントの性格を決定し、画像と音声で現出するエージェントの種類を変更させる(エージェント性格可変処理)。なお、ここでは、通常のエージェント処理とエージェント性格可変処理で用いる会話文はどのエージェントでも共通に使用するものとするが、同じ意味を表す会話文をエージェントの性格毎に用意しても良い。
29はエージェント処理部27により描画されるエージェント画像を記憶するエージェント画像記憶部、30はエージェント処理部27から入力したエージェントの会話文をテキスト音声合成方式により音声合成する音声合成部であり、テキストの解析、エージェントの性格に合わせたイントネーションの設定、音声素片の選択・接続をして音声合成を行う。具体的には、単語辞書301と文法辞書302を用いて会話文の単語を同定した後、読み・アクセントを決定し、次にエージェントの性格別に用意されたイントネーションデータベース群303を用いて読みと構文を参考にして会話文に対しエージェントの性格に合うようにイントネーションやポーズの挿入位置を設定し、多種類の音声素片データ(音声波形データ)を記憶した音声データベース304の中からイントネーションや読みに対して適切な音声素片を検索・接続し、音声合成を行うことで、種々の性格の話し方を現出できるようになっている。31は日時の計時を行うタイマ、32は外部の情報センタと無線で接続されて渋滞、通行止め等の道路交通情報、天候情報等を受信する情報受信部である。
【0017】
図4乃至図6はプログラム記憶部28に記憶された場所、ジャンル、季節、時間帯、天候の組合せ別の種々のユーザ性格判別用質問文と回答結果に対応するユーザの性格特徴及び回答結果から可変するエージェントの性格要素と可変段階数の関係の一例を示す説明図、図7はエージェント処理部27が実行する通常のエージェント処理を示すフローチャート、図8と図9はエージェント処理部27が実行するエージェント性格可変処理を示すフローチャートであり、以下、これらの図を参照して図1に示す車載用ナビゲーション装置の動作を説明する。図4乃至図6中の「不」は不問の意味である。
なお、予め、経路誘導モードはオフしているものとし、大容量記憶装置5には前回の走行までk回分の走行軌跡データが記憶されているものとする。また、エージェント処理部27では最初、現在エージェント性格データAG=次エージェント性格データAG´=A{s4,c4,a4,m4,o4}が設定されているものとする。また、通常のエージェント処理とエージェント性格可変処理は平行処理されるものとする。
ユーザが運転を開始するためイグニッションキーを回してまずACCスイッチをオンすると車載用ナビゲーション装置の電源がオンし、更にイグニッションスイッチをオンしてエンジンを始動すると、検出部16からACCスイッチON信号とイグニッションスイッチON信号がナビゲーション部6、エージェント処理部27に出力される。
【0018】
電源オンでナビゲーション部6はナビゲーションモードとなり、GPS受信機4が定期的に車両の現在位置と現在方位を検出する。現在位置または車両方位が変化する度に、地図描画部8は地図データを用いて現在位置を中心とする車両進行方向を上向きとした所定の縮尺の地図画像を画像記憶部7に描画する。画像記憶部7の地図画像は合成部9により読み出され、映像信号に変換されて表示装置1へ出力され画面表示される。一方、走行軌跡記録部10はイグニッションスイッチON信号が入力されると、以降、OFF信号が入力されるまでの間にGPS受信機4から出力される現在位置データ列を1回分の走行の走行軌跡データとして大容量記憶装置5に追加する。
【0019】
<通常のエージェント処理>
(1)地点探索・経路探索・経路誘導
ユーザが例えば「お腹が空いた」とマイク22に話すと、音声認識部24で「お腹」、「が」、「空いた」と単語に分解して認識され、自然言語解析部25で名詞、動詞等の主要品詞の単語が抽出され、品詞名付きでエージェント処理部27に入力される。エージェント処理部27は図7に示す通常のエージェント処理プログラムに従い、自然言語解析部25からの入力からユーザの会話のカテゴリーが「食事」であると分析し(ステップS10〜S12)、食事場所への地点検索への誘導会話フローに移行する。エージェントデータ記憶部26の内、現在エージェントAGに対応する標準的な性格のエージェントAg{sb,cb,ab,mb,ob}のエージェントデータを用い、エージェント画像(動画またはスライド画像)をエージェント画像記憶部29に描画し、ナビゲーション部6の合成部9に合成指令を与えて地図画像の上に標準的な性格・容姿のエージェント画像を重ねながら映像信号に変換させ画面表示させるとともに、「食事に行く?」との会話文データを標準的な性格のエージェントAg{sb,cb,ab,mb,ob}の音声出力指令とともに音声合成部30へ出力する。音声合成部30は単語辞書301と文法辞書302を用いて会話文の単語を同定した後、読み・アクセントを決定し、次に標準的な性格のエージェントAg{sb,cb,ab,mb,ob}に対応するイントネーションデータベースを用いて読みと構文を参考にして会話文に対し標準的な性格に合うようにイントネーションやポーズの挿入位置を設定し、音声データベース304の中からイントネーションや読みに対して適切な音声素片を検索・接続し、音声合成を行うことで標準的な性格の音声による音声信号を加算器18を介しアンプ2へ出力し、スピーカ3から音響再生させる。以降、次にエージェントの性格が変更されるまでエージェントは標準的な性格に維持される。ユーザが「はい」と返事すると、エージェント処理部27で肯定と解析し、エージェント処理部27はエージェントに「何がいい?」と質問させ、ユーザが「お寿司」と返事すると、エージェント処理部27は「お寿司」を希望食と決定する。そして、エージェント処理部27はエージェントに「お寿司屋を探す?」と質問させ、ユーザが「うん」と返事すると、ナビゲーション部6の地点検索部11に現在地近くのお寿司屋の検索を指令する。該指令を受けた地点検索部11はGPS受信機4から現在地を入力し、大容量記憶装置5の案内地点情報を参照して現在地に一番近いお寿司屋を検索し、エージェント処理部27に店名、住所、種別を伝え、エージェント処理部27はエージェントに「○○屋、××区△丁目○番があるけど、どう?」と質問させる。ユーザが「いいよ」と返事すると、エージェント処理部27は肯定と解析し、続いて、エージェント処理部27はエージェントに「経路誘導する?」と質問させ、ユーザが「うん」と返事すると、エージェント処理部27は肯定と解析し、経路探索・経路誘導部12に現在地から今回検索したお寿司屋までの経路探索・経路誘導を指令する。このようにして一連の対話が終るとエージェント処理部27はエージェントの画像と音声による現出を止める(ステップS13)。
【0020】
経路探索・経路誘導の指令を受けた経路探索・経路誘導部12は大容量記憶装置5の道路データを用いて現在地から○○屋までを最短で結ぶ経路探索を行い、探索した経路誘導データを誘導経路記憶部13に記憶させたあと、経路誘導モードをオンし、現在地から目的地まで経路誘導を行う。なお、経路誘導モードは車両が目的地に達するか、ユーザが経路誘導の中止を指示したときオフする。経路誘導モードオン時、経路探索・経路誘導部12は地図描画部8に誘導経路の描画を指示し、地図描画部8は画像記憶部7に現在地マーク付の地図画像を描画する際、誘導経路記憶部13に記憶された誘導経路データを用いて地図画像上に重ねて誘導経路を赤等の強調した配色で描画したあと、中心に現在地マークを描画する。一方、経路探索・経路誘導部12は経路誘導データの中で現在地から見て目的地寄りにある次に進路変更すべき経由地交差点を案内対象交差点として決定するとともに、現在地−案内対象交差点間の距離を計算し、案内対象交差点に1km以内に近づくと案内対象交差点の拡大画像に誘導進路を示す矢印と現在地−交差点間距離を重ねた交差点進路案内画像を交差点進路案内画像記憶部14に描画し、合成部9に合成指令を与えて地図画像の上に交差点進路案内画像を重ねながら映像信号に変換して表示装置1へ出力させ、現在地を中心とする地図画像の上に交差点進路案内画像を重ねて表示させる。経路探索・経路誘導部12は現在地−交差点間距離が変化すると交差点進路案内画像中の現在地−交差点間距離も変化させる。また、経路探索・経路誘導部12は次に進路変更すべき経由地交差点を案内対象交差点として決定すると、エージェント処理部27に現在地−案内対象交差点間の距離と誘導進路を伝え、エージェント処理部27は現在地−案内対象交差点間の距離が700m、500m、300mに成った各時点で標準的な性格のエージェントの音声により「700m先交差点右折です」、「500m先交差点右折です」、「300m先交差点右折です」の音声案内をさせる(ステップS14、S15)。このようにして、音声と画像により経路誘導が行われることで、ユーザは所望のお寿司屋に迅速に到達できる。
【0021】
なお、経路誘導モードで走行中に交差点進路案内画像が表示されると、走行監視部15は案内対象交差点での誘導進路と車両の実際の走行ルートとを比較し、一致しなかった場合にエージェント処理部27へルート外れ警告指令を出力するとともに警告した日時を大容量記憶装置5に追加して記憶し、再探索指令を経路探索・経路誘導部12に与える。ルート外れ警告指令を受けたエージェント処理部27はエージェントに音声により「ルートを外れたよ」との警告をさせる(ステップS16、S17)。再探索指令を受けた経路探索・経路誘導部12はその時点の現在地から○○屋までを最短で結ぶ経路探索を行い、探索した新たな経路誘導データで誘導経路記憶部13を書き換えて以降、新たな経路誘導データに基づき経路誘導を行う。
【0022】
(2)窓の開閉
ユーザが例えば「暑いな」(「寒いな」)とマイク22に話すと、音声認識部24で「暑い」、「な」(「寒い」、「な」)と単語に分解して認識され、自然言語解析部25で名詞、動詞、形容詞、形容動詞等の主要品詞の単語が抽出され、品詞名付きでエージェント処理部27に入力される。エージェント処理部27は通常のエージェント処理プログラムに従い、自然言語解析部25からの入力を表1の単語別カテゴリ分類表と照合して今回の会話分のカテゴリーが機器制御の内の「ウインドウ開(ウインドウ閉)」であると分析し、ウインドウ制御への誘導会話フローに移行する。エージェントデータ記憶部26の内、現在エージェントAGに対応するAg{sb,cb,ab,mb,ob}のエージェントデータを用い、画像と音声で標準的なエージェントを現出させて「窓を開ける?」(窓を閉める?」)と質問させ、ユーザが「うん」と返事すると、エージェント処理部27は肯定と解析し、パワーウインドウ19を制御して窓を閉めさせる(開けさせる)処理をする(ステップS10〜S12、S18)。
(3)ヘッドライトのオン/オフ
ユーザが例えば「暗いな」(「明るいな」)とマイク22に話すと、音声認識部24で「暗い」、「な」(「明るい」、「な」)と単語に分解して認識され、自然言語解析部25で名詞、動詞、形容詞、形容動詞等の主要品詞の単語が抽出され、品詞名付きでエージェント処理部27に入力される。エージェント処理部27は自然言語解析部25からの入力からカテゴリーが「ライトオン(ライトオフ)」であると分析し、ライト制御への誘導会話フローに移行する。画像と音声で標準的な性格のエージェントを現出させて「ヘッドライトを点ける?」(ヘッドライトを消す?」)と質問させ、ユーザが「うん」と返事すると、エージェント処理部27は肯定と解析し、ヘッドライト21を制御して点灯させる(消灯させる)処理をする(ステップS10〜S12、S18)。
【0023】
(4)ワイパのオン/オフ
ユーザが例えば「雨だね」(「雨が止んだね」)とマイク22に話すと、音声認識部24で「雨」、「だね」(「雨」、「が」、「止ん」、「だね」)と単語に分解して認識され、自然言語解析部25で名詞、動詞、形容詞、形容動詞等の主要品詞の単語が抽出され、品詞名付きでエージェント処理部27に入力される。エージェント処理部27は自然言語解析部25からの入力からカテゴリーが「ワイパオン(ワイパオフ)」であると分析し(「雨が止んだね」の場合、表1では、「雨」のカテゴリであるワイパオンと「止ん」のカテゴリであるワイパオフの反対のカテゴリが見出されるが、こういう場合にはオフ側を採用する)、ワイパ制御への誘導会話フローに移行する。画像と音声で標準的な性格のエージェントを現出させて「ワイパをオンする?」(ワイパを止める?」)と質問させ、ユーザが「うん」と返事すると、エージェント処理部27は肯定と解析し、ワイパ20を制御して動かさせる(停止させる)処理をする(ステップS10〜S12、S18)。
(5)オーディオ
ユーザが例えば「ラジオが聞きたい」(「ラジオを止めたい」)とマイク22に話すと、音声認識部24で「ラジオ」、「が」、「聞き」、「たい」(「ラジオ」、「を」、「止め」、「たい」)と単語に分解して認識され、自然言語解析部25で名詞、動詞、形容詞、形容動詞等の主要品詞の単語が抽出され、品詞名付きでエージェント処理部27に入力される。エージェント処理部27は自然言語解析部25からの入力からカテゴリーが「ラジオオン(ラジオオフ)」であると解析し、ラジオ制御への誘導会話フローに移行する。標準的な性格のエージェントにより「ラジオを点ける?」(ラジオを止める?」)と質問させ、ユーザが「うん」と返事すると、エージェント処理部27は肯定と解析し、オーディオ部17を制御してラジオをオンさせる(ラジオを止めさせる)。ラジオがオンしてオーディオ部17から出力されたラジオ音声信号はアンプ2に入力されスピーカ3より音響再生される(ステップS10〜S12、S18)。
【0024】
また、ユーザが例えば「CDが聞きたい」(「CDを止めたい」)とマイク22に話すと、音声認識部24で「CD」、「が」、「聞き」、「たい」(「CD」、「を」、「止め」、「たい」)と単語に分解して認識され、自然言語解析部25で名詞、動詞、形容詞、形容動詞等の主要品詞の単語が抽出され、品詞名付きでエージェント処理部27に入力される。エージェント処理部27は自然言語解析部25からの入力からカテゴリーが「CDオン(CDオフ)」であると解析し、ラジオ制御への誘導会話フローに移行する。標準的な性格のエージェントにより「CDを再生する?」(CDを止める?」)と質問させ、ユーザが「うん」と返事すると、エージェント処理部27は肯定と解析し、オーディオ部17を制御してCDを再生させる(CDの再生を止めさせる)処理をする(ステップS10〜S12、S18)。CDが再生されてオーディオ部17から出力されたCD再生信号はアンプ2に入力されスピーカ3より音響再生される。
このようにして、ユーザはエージェントの対話により、地点探索、経路探索・経路誘導のほか、窓の開閉、ワイパのオン・オフ、ヘッドライトの点灯、消灯、ラジオのオン・オフ、CDの再生/停止等の各種の指示を行うことができる。
【0025】
<エージェントの性格可変処理>
(1)ユーザの性格判別用質問のタイミング
ところで、長い期間にわたりエージェントの性格が固定したままの場合、飽きが来てエンタテイメント性が無くなってくるが、本実施例では時々エージェントの性格が可変するため、エンターテイメント性が持続するようになっている。
すなわち、エージェント処理部27は、図8、図9のエージェント性格変更プログラムに基づき、まず現在、図7の通常のエージェント処理プログラムに基づく対話中かチェックし(図8のステップS20)、NOであれば初めてのユーザ性格判別用の質問または前回、ユーザの性格判別用質問をしてから所定時間T0(T0は5時間、1日など)経過したかチェックする(ステップS21)。ここでは初めての質問なのでYESと判断し、続いて検出部16の車速出力から走行中かチェックし(ステップS22)、YESであれば更にスピーカ出力中かチェックし(ステップS23)、NOであれば所定時間T1(例えば、T1=30分)以上の時間エージェントの音声出力が無かったかチェックする(ステップS24)。YESのときナビゲーション部6が経路誘導モードオンかチェックし(ステップS25)、NOであれば後述するステップS30へ進み、YESであれば次の案内対象交差点まで所定の一定距離L0(例えば、L0=2km)以上離れており、次の案内対象交差点の誘導進路の音声案内まで間があるかチェックする(ステップS26)。ここでもYESのとき、エージェント処理部27はとくに運転上支障がなく、また、ユーザの気分転換にも役立つタイミングであるとしてユーザの性格判別用質問をする。
【0026】
(2)ユーザの性格判別用質問の決定
この際、エージェント処理部27はエージェントデータ記憶部26に記憶されたユーザの性格判別用質問群の中から、目的地の場所または現在走行中の場所、季節、時間帯、天候を参考にして1つの質問を選択する。具体的には目的地が地点検索されたものであるときはまず目的地の種別(海水浴場、港、プール、スキー場、温泉場、レストラン等)を判別し(種別は大容量記憶装置5に記憶された地点データに含まれており、地点検索時にナビゲーション部6から通知済である。若し種別が不明の場合、地図データ等を参照して目的地が海辺、山間地、河畔のいずれか判ればそれを目的地の種別としても良い)、判別出来た場合、外部情報受信部32を制御して外部の情報センタから現在の天候を受信させて入力するとともにタイマ31から現在の日時を入力し、目的地の種別に対応して図4乃至図6の質問表に登録されたジャンル群から前回質問時とジャンルが異なり、現在の季節・時間帯・天候に条件が合致し、かつ過去に同一内容の質問をしていない質問をランダムに1つ選択する(ステップS27〜S29)。該当する質問が見つかった場合(図9のステップS40でYES)、ステップS41に進んで質問を実行する。
【0027】
若し、誘導経路中でないか、目的地の種別が不明だった場合、現在地を大容量記憶装置5に記憶された走行軌跡データと比較し、現在地を中心とする半径rkm(rは例えば、30km)の範囲を過去に走行した回数が一定値より以下のときは、普段走行しない地域を走行中と判断し、地図データを参照して現在地が海辺、山間地、河畔のいずれかか判れば走行中の場所と判別する。そして、目的地の種別に対応して図4乃至図6の質問表に登録されたジャンル群から前回質問時とジャンルが異なり、現在の季節・時間帯・天候に条件が合致し、かつ過去に同一内容の質問をしていない質問をランダムに1つ選択する(図8のステップS30〜S33)。該当する質問が見つかった場合(図9のステップS40でYES)、ステップS41に進んで質問を実行する。ステップS30またはS32でNOの場合、図4乃至図6の中で場所を問わない質問群の中から、前回質問時とジャンルが異なり、現在の季節・時間帯・天候に条件が合致し、かつ過去に同一内容の質問をしていない質問をランダムに1つ選択する(図9のステップS42)。該当する質問が見つかった場合(図9のステップS42でYES)、ステップS41に進んで質問を実行する。ここでは、図4の質問08が選択されたものとして説明する。
【0028】
(3)ユーザの性格判別とエージェントの性格変更準備
質問が決定すると、エージェント処理部27はエージェントデータ記憶部26の内、現在エージェントAGに対応するエージェントAg{sb,cb,ab,mb,ob}のエージェントデータを用い、画像と音声で標準的な性格のエージェントを現出させて「泳ぐのは好き?」と質問させ、ユーザが例えば「うん」(「いや」)と返事すると、エージェント処理部27は肯定(否定)と分析し、質問と回答に対応付けられたユーザ性格特徴から活動性が高いと判別する(ステップS41)。そして、ユーザの性格特徴に合わせるため次エージェントAG´の性格要素の内、活動性Aを1ポイント上げてAg{s4,c4,a5,m4,o4}(1ポイント下げてAg{s4,c4,a3,m4,o4})とする(ステップS44)。なお、ユーザが例えば「大好き」(「大嫌い」)と返事すしたとき、エージェント処理部27が強肯定(強否定)と分析し、活動性を2倍の2ポイント上げてAg{s4,c4,a6,m4,o4}(活動性を2ポイント下げてAg{s4,c4,a2,m4,o4})としても良い。
若しユーザが一定時間内に返事をしなかった場合は、非協調的と判別し、ユーザの性格特徴に合わせるため次エージェントAG´の性格要素の内、協調性を1ポイント上げるようにしても良い。
このようにして、ユーザの性格に合わせて次エージェントAG´の性格要素が可変する。但し、可変した性格が実際のエージェントに反映されるのはユーザがイグニッションキーを回してエンジン停止、ACCスイッチオフとしたあと、一定時間T2(T2は例えば12時間)以上経過してから再度イグニッションキーを回してACCスイッチオンした後とされ、運転中にエージェントの性格が変わり戸惑いを覚えることがないようになっている。
【0029】
イグニッションキーを回す前(ACCスイッチがオフする前)に、再度、ユーザの性格判別用質問タイミングとなったとき、エージェント処理部27は前述と同様にしてエージェントデータ記憶部26に記憶されたユーザの性格判別用質問群の中から、目的地または走行中の場所、季節、時間帯、天候を参考にするなどして1つの質問を選択する。ここでは、図4の質問02になったとすると、エージェントデータ記憶部26の内、現在エージェントAGに対応するエージェントAg{sb,cb,ab,mb,ob}のエージェントデータを用い、画像と音声で標準的な性格のエージェントを現出させて「夕焼けっていいよね?」と質問させ、ユーザが「うん」(「いや」)と返事すると、エージェント処理部27は肯定(否定)と解析し、質問と回答に対応付けられたユーザ性格特徴を情緒性高い(情緒性低い)と判別し、ユーザの性格特徴に合わせるため次エージェントAG´の性格要素の内、情緒性を1ポイント上げてAg{s4,c4,a5,m5,o4}とする(情緒性を1ポイント下げてAg{s4,c4,a5,m3,o4}とする)。
【0030】
(4)エージェントの性格変更
以下では、次エージェントAG´=Ag{s4,c4,a6,m6,o4}として説明する。トイレ休憩等で一時的に停車したためイグニッションキーが回されてエンジン停止、ACCスイッチオフとされたが、T2時間内に再びイグニッションキーが回されてACCスイッチオンとされたとき、現エージェントAGは変化しない(ステップS45とS46でYES、S47でNO)。これにより、トイレ休憩などで比較的短い時間停車しただけの場合に、運転再開後、エージェントの性格が急に変わって戸惑いを覚えることが防止される。
目的地等への運転が終わり、イグニッションキーが回されてエンジンが停止されるとともに一旦ACCスイッチオフされT2時間以上経過後に再びACCスイッチオンとされたとき、現エージェントAGは次エージェントAG´で置換えられる(ステップS48でNO)。よって、以降、エージェント処理部27がエージェントを現出させる際、現エージェントAGに対応するエージェントAg{sb,cb,ac,mc,ob}のエージェントデータを用いてエージェント画像を表示させる。また、音声合成部30に対し会話文とともにエージェントAg{sb,cb,ac,mc,ob}の音声出力指令を与え、音声合成部30は単語辞書301と文法辞書302を用いて会話文の単語を同定した後、読み・アクセントを決定し、次にエージェントAg{sb,cb,ac,mc,ob}に対応するイントネーションデータベースを用いて読みと構文を参考にして会話文に対し現エージェントAGの性格に合うようにイントネーションやポーズの挿入位置を設定し、音声データベース304の中からイントネーションや読みに対して適切な音声素片を検索・接続し、音声合成を行う。この結果、エージェントの性格は活動性と協調性の増したものとなり、ユーザの性格に合致した愛着の湧くものとなる。
【0031】
この実施例によれば、ユーザがエージェントからの質問に答えるだけで、エージェントの性格が自動的に変わるためユーザは面倒な操作等をしなくても飽きの来ないエンターテイメント性を楽しめる。エージェントの性格はユーザに合致するように可変するため、愛着が湧き、また、質問は走行中で、エージェントが直前・直後に通常のエージェント処理をしない空いた時間を選んでなされるので、運転中のエンターテイメント性が高まる。質問は目的地または走行中の場所、季節・時間帯、天候など、現在の状況に因んだものとされるので違和感が生じない。イグニッションキーが回されてACCスイッチオフとされたあと所定の一定時間以上経過したあと再びACCスイッチがオンされたときに、エージェントの性格が可変するため、運転途中での性格変化に戸惑ったり、前回エージェントと対話してから間の無い性格変化で戸惑ったりすることがない。
【0032】
なお、エージェント処理部は或る任意の対話後、「もっと話しません」と質問し、「うん」など(「あとで」など)肯定的(否定的)な返事があればユーザの社交性が高い(低い)と判断し、次エージェントAG´の社交性を上げ(下げ)ても良い。
また、質問とは別に、ユーザが或る一定時間内にエージェントに指示を与える回数を計測することで頻度を計測し、一定以上の場合にユーザが支配性を持つと判断し、次エージェントAG´の支配性を下げ、協調性を上げて従順な性格に変わるようにしても良い。
また、経路誘導モードオン後、次にオフするまでに走行監視部が記録された経路外れした回数が一定値を越えたとき、ユーザの協調性が乏しいと判断し、次エージェントAG´の支配性を上げるなどしてユーザの協調性を促すような性格に変わるようにしても良い。
また、渋滞中や過去に複数回走行した場所を走行中などに、エージェントデータ記憶部の35 種類のエージェントからランダムに選択した1つのエージェントAgを一時エージェントAG0とし、「こんにちは」などの挨拶をさせ、ユーザが応答しなければ現在エージェントAGと次エージェントAG´は変化させず、「やあ」など挨拶を返したとき、一時エージェントAG0を気に入ったとして現在エージェントAGと次エージェントAG´を変更し、以降、変更後のエージェントが前述と同様にユーザに性格判別用質問をし、ユーザの返答に応じてエージェントの性格が可変するようにしても良い。
これとは別に、エージェント処理部はユーザが聞いている楽曲のジャンルにより性格を判別し、エージェントの性格変更を行うようにしても良い。例えばユーザがCD音楽を聴取するとき、オーディオ部でCDの管理情報を読み取らせ、管理情報中の音楽ジャンルを入力し、該音楽ジャンルがロックのときはユーザの活動性が高いと判断し、次エージェントAG´の性格要素の内、活動性Aを1ポイント上げ、音楽ジャンルがクラシックのときはユーザの情緒性が高いと判断し、次エージェントAG´の性格要素の内、情緒性を1ポイント上げるようにする。この際、楽曲が変わる毎にジャンルを判別して次エージェントAG´の性格変更をしても良く、或いは、或るジャンルの楽曲が所定回数(例えば10回)再生された場合に、当該或るジャンルに合致するように次エージェントAG´の性格変更をしても良い。
また、エージェントの性格変更は次にACCスイッチがオンした後実行されるようにしたが、ユーザの性格判別が終ったあと、ユーザの性格に応じたエージェントでAGを書き換えて、リアルタイムで可変するようにしても良い。
また、音声合成部の備える音声データベースは性格別に用意するようにしても良い。
また、エージェントの性格要素は社交性、協調性、活動性、情緒性、支配性の5つとしたが、本発明は何らこれに限定されず、例えば、前記5つの内の任意の4つ以下の組み合わせとしたり、他の要素も加えた6以上としたりしても良い。
また、音声合成部の音声データベースをエージェントの性格別に用意するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、車載用ナビゲーション装置を初めとして、車載用又は家庭用電気機器、介護ロボット、ゲーム機器等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るエージェント機能付車載用ナビゲーション装置の構成をブロック図である(実施例1)。
【図2】図1中のナビゲーション部の構成を示すブロック図である。
【図3】図1中のエージェント部の構成を示すブロック図である。
【図4】ユーザ性格質問群と回答結果に対するユーザ性格特徴及びエージェント性格可変要素を示す説明図である。
【図5】ユーザ性格質問群と回答結果に対するユーザ性格特徴及びエージェント性格可変要素を示す説明図である。
【図6】ユーザ性格質問群と回答結果に対するユーザ性格特徴及びエージェント性格可変要素を示す説明図である。
【図7】図1中のエージェント部による通常のエージェント処理を示すフローチャートである。
【図8】図1中のエージェント部によるエージェント性格可変処理を示すフローチャートである。
【図9】図1中のエージェント部によるエージェント性格可変処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
1 表示装置
3 スピーカ
4 GPS受信機
5 大容量記憶装置
6 ナビゲーション部
22 マイク
23 エージェント部
26 エージェントデータ記憶部
27 エージェント処理部
28 プログラム記憶部
29 エージェント画像記憶部
30 音声合成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザと対話するエージェントを音声または音声と画像で現出させながらユーザの指示を認識し、各種指令を発するエージェント手段を含むエージェント装置において、
エージェント手段に、ユーザとの対話からユーザの性格を判別する性格判別手段と、
ユーザの性格に適したエージェントの性格に可変するエージェント可変手段と、
を設けたことを特徴とするエージェント装置。
【請求項2】
性格判別手段は、ユーザの性格判別用の質問をエージェントにさせたときの回答結果からユーザの性格判別するようにしたこと、
を特徴とする請求項1記載のエージェント装置。
【請求項3】
性格判別手段に、季節、時間帯、天候の内、1または任意の複数の組合せの情報取得手段を設け、
ユーザの性格判別用の質問は、季節、時間帯、天候の内、任意の組合せに合致した内容としたこと、
を特徴とする請求項2記載のエージェント装置。
【請求項4】
性格判別手段は、ユーザに性格判別用の質問をしたとき無回答であれば、ユーザは協調性が低い性格と判別するようにしたこと、
を特徴とする請求項2または3記載のエージェント装置。
【請求項5】
性格判別手段は、エージェントに対するユーザの指示頻度が一定以上大きいとき、ユーザは支配性が高いと判別するようにしたこと、
を特徴とする請求項1または2記載のエージェント装置。
【請求項6】
性格判別手段は、音楽ジャンルデータが付属する音楽データを再生出力するオーディオ手段から入力した音楽ジャンルデータも参照してユーザの性格を判別するようにしたこと、
を特徴とする請求項1または2記載のエージェント装置。
【請求項7】
エージェント可変手段は、性格の異なる複数のエージェントの中からユーザが選択したエージェントを初期設定するようにしたこと、
を特徴とする請求項1記載のエージェント装置。
【請求項8】
電源が一旦OFFされ、再びONされたときにエージェントの性格を可変するようにしたこと、
を特徴とする請求項1記載のエージェント装置。
【請求項9】
現在位置を検出する現在位置検出手段と、現在位置情報に基づき地図データを参照して現在位置マーク付の地図画像を描画し表示したり、ユーザ所望の地点の検索、ユーザ所望地点までの経路探索・経路誘導をするナビゲーション手段と、ユーザと対話するエージェントを音声および/または画像で現出させながらユーザの指示を認識し、ナビゲーション手段および/または車両各部に各種指令を与えるエージェント手段と、を含むエージェント機能付車載用ナビゲーション装置において、
エージェント手段に、ユーザとの対話からユーザの性格を判別する性格判別手段と、
ユーザの性格に適したエージェントの性格に可変するエージェント可変手段と、
を設けたことを特徴とするエージェント機能付車載用ナビゲーション装置。
【請求項10】
性格判別手段に、目的地または走行中の場所、季節、時間帯、天候の内、1または任意の複数の組合せの情報取得手段を設け、
ユーザの性格判別用の質問は、目的地または走行中の場所、季節、時間帯、天候の内、任意の組合せに合致した内容としたこと、
を特徴とする請求項9記載のエージェント機能付車載用ナビゲーション装置。
【請求項11】
音響手段まはた音響手段と表示手段とを用いて、ユーザと対話するエージェントを音声または音声と画像で出力するエージェント出力方法において、
予めエージェントの性格を可変可能としておき、
ユーザとの対話からユーザの性格を判別し、
ユーザの性格に適したエージェントの性格に可変するようにしたこと、
を特徴とするエージェント出力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−133728(P2007−133728A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327189(P2005−327189)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】