説明

オゾン分解装置及びプロセスシステム

【課題】エネルギー的に効率よく紫外光を有効的に利用し且つ清潔にオゾンを分解する。
【解決手段】オゾン分解装置14は、筐体41内において、オゾンガスを流通させる配管42,47を備えたガス流路と、このガス流路内のオゾンガスのガス流に対して紫外光を透過させる光透過管(光透過部材)44と、前記ガス流を迂回させるガス流迂回板(ガス流迂回部材)46とを備える。光透過管44は円筒状を成すと共に筐体41内に同軸に格納される。ガス流迂回板46は光透過管44内に複数配置される。筐体41の内面は鏡面処理するとよい。オゾン分解装置14はオゾンガスを用いて基板の酸化処理を行うプロセスシステムに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は高純度オゾンガス適用分野、特にポリシリコンTFT用ゲート酸化膜、FET素子に例示される半導体素子のゲート酸化膜、オゾンを用いた低温酸化膜作製技術、その他、レジスト除去などオゾンを用いる半導体製造プロセスの全般的な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体分野において、オゾン技術が注目されている。オゾンは強い酸化力を持つので、ゲート酸化をはじめとする酸化膜の作製温度の低温化に有効である。また、エッチング・表面改質・クリーニングなど酸化膜作製以外の工程においても適用可能である。また、オゾンガスは最終的に酸素ガスに分解されるため、排ガスの環境負荷が低いのも大きな利点である。
【0003】
また、近年のオゾン濃度の高濃度化技術が進歩している。これは酸素ガスから放電によってオゾンは生成される関係で、従来のオゾンガス濃度は2〜10%程度であった。これに対しオゾン液化現象やシリカゲルによるオゾン吸着現象を利用することでオゾンガス濃度を高めることに成功し、100%近い濃度でオゾンガスを供給できるようになった。このようにしてできた高濃度オゾンガスは、従来の低濃度オゾンガスよりもプロセスに大きな効果をもたらすことが分かってきている。例えば、特許文献1や特許文献2によると、ポリシリコンの室温での酸化や低温作製オゾンCVD膜の膜質向上が図られている。以上から高濃度オゾンガスは、半導体プロセスに導入される期待が高まっている。
【0004】
オゾンガスは人体や生物に有害であり、使用したオゾンガスは十分分解させてから酸素等の無害なガスとして排出する必要が生じる。従ってプロセスチャンバで十分にオゾンガスを消費できなかった場合、オゾンを分解するための除筒体を設置しなければならない。用いるオゾンガスの濃度が高濃度に成るほど除筒体に工夫が必要になる。
【0005】
一般にオゾンを分解する方法には、(1)熱を用いた熱分解法(2)光(紫外光)を用いた分解法(例えば特許文献3、特許文献4等)、(3)酸化対象物との酸化反応(触媒反応)分解法(例えば特許文献4等)がある。
【特許文献1】特開2006−80474号公報
【特許文献2】特開2003−209108号公報
【特許文献3】特許第3224402号公報
【特許文献4】特公平7−22681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
オゾンの熱分解はオゾン濃度が高くなるほど起きにくくなる。これはオゾン分子同士の衝突では分解反応が起きないためである。
【0007】
高濃度オゾンを用いるプロセスではオゾン分解装置が必須である。オゾン分解装置の原理としては前記(1)〜(3)のいずれかの方法を採用しなければならない。
【0008】
(1)の熱分解法は用いた材料の関係(主に金属材料:Al、SUS等)で上限温度の制約を受ける。(3)の分解方法は反応副生成物(水、酸化物等)が、プロセスチャンバを汚染するという問題が生じる。
【0009】
一方、(2)の光分解反応法は加熱機構が不要・系を汚さないという利点がある。光分解反応法の一例として特許文献3のオゾン分解装置があるが、紫外光をさらに有効的に利用し、より一層エネルギー的に効率よく且つ清潔にオゾンを分解できるオゾン分解装置及びこれを備えたプロセスシステムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、請求項1のオゾン分解装置は、オゾンガスを流通させるガス流路と、このガス流路内のオゾンガスのガス流に対して紫外光を透過させる光透過部材と、前記ガス流を迂回させるガス流迂回部材とを備える。
【0011】
請求項2のオゾン分解装置は、請求項1のオゾン分解装置において、前記光透過部材は円筒状を成すと共に円筒状の筐体内に同軸に格納され、前記ガス流迂回部材は前記ガス流路内に複数配置される。
【0012】
請求項3のオゾン分解装置は、請求項1オゾン分解装置において、前記光透過部材は円筒状を成し、前記ガス流路は前記光透過部材が円筒状の筐体内に同軸に格納されたことで形成され、前記ガス流迂回部材は前記紫外光を透過させる材料からなると共に円筒状を成し、前記ガス流迂回部材は前記ガス流路内に前記筐体と同軸に複数設けられる。
【0013】
請求項4のオゾン分解装置は、請求項1のオゾン分解装置において、前記光透過部材及びガス流迂回部材は板状を成し、前記ガス流路は前記光透過部材が直方体状の筐体内に設けられたことで形成され、前記ガス迂回部材はその主面が前記光透過部材の主面と平行となるように前記ガス流路内に複数配置される。
【0014】
請求項5のオゾン分解装置は、請求項1のオゾン分解装置において、前記光透過部材は異径の管路を成し、この管路の下流側管部は上流側管部よりも大径となっており、前記下流側管部に照射される紫外光の照度は前記上流側管部に照射される紫外光よりも高く制御される。
【0015】
請求項6のオゾン分解装置は、請求項1のオゾン分解装置において、前記光透過部材及びガス流迂回部材は板状を成し、前記ガス流路は前記光透過部材が直方体状の筐体内に設けられたことで形成され、前記ガス迂回部材はその主面が前記光透過部材の主面と垂直となるように前記ガス流路内に複数配置される。
【0016】
請求項7のオゾン分解装置は、請求項2から6のいずれかのオゾン分解装置において、前記筐体の内面は鏡面処理される。
【0017】
請求項8のプロセスシステムは、オゾンガスを用いて基板の酸化処理を行うプロセスシステムであって、前記基板の酸化処理に供したオゾンガスが供給される請求項1から7のいずれかのオゾン分解装置を備える。
【0018】
以上の請求項1〜7の発明によればオゾンガスは光分解処理されることで無害な酸素分子に変換される。このとき酸素以外の反応副生成物は生成しない。高濃度オゾンガスにも有効である。紫外光の光源を用いるだけでよいので加熱手段が不要となる。光源以外の消耗品がない。光分解方式は熱分解式よりも熱エネルギー的に効率よくオゾンを分解できる。そして、ガス流迂回板が設けられたことで、ガス流路内のガス滞留時間が増加し、紫外光の有効利用とガス流速の制御も可能となる。
【0019】
特に、請求項4及び請求項6の発明は紫外光の光源が筐体の底部付近に配置できるので光源の交換が容易であり、メンテナンスも容易となる。
【0020】
また、請求項5の発明は下流側管部内においては下流側管部内のガス流は上流側管部内のガス流よりもオゾン濃度が低くなっているので前記下流側管部に対する紫外光の照射量を増加させればさらに効率的にオゾンを分解できる。尚、下流側管部内においては紫外光の照射量の制御によって発火現象を起こさせればガス流に含まれるオゾン濃度をより一層低減させることができる。
【0021】
さらに、請求項7の発明は筐体の内面が鏡面加工されて紫外光の反射効率が高まっているので紫外光をより一層有効利用できる。
【0022】
請求項1〜7の発明に係る光分解処理は大気圧よりも低圧の雰囲気でも行えるので請求項8の発明のようにオゾンを用いた基板の酸化処理プロセスに安全に適用できる。
【発明の効果】
【0023】
したがって、以上の発明によればエネルギー的に効率よく紫外光を有効的に利用し且つ清潔にオゾンを分解できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に述べる実施形態1では高濃度オゾンを処理する発明に係るオゾン分解装置の構成及び動作実証を例示する。また、実施形態2〜5は実施形態1のオゾン分解装置の動作結果を応用し、優れた性能を有するオゾン分解装置の構成を提供するものである。
【0025】
実施形態1〜5で例示するオゾン装置は、すべて光分解を原理として用いているオゾン分子は200〜300nmの波長帯に大きな吸収端(ハートリーバンド)を有し、この波長帯の光によって、分解反応が起きる。この反応を化学式で書くと以下の通りである。
【0026】
3⇒O(1D)+O2…(1)
O(1D)は励起状態の原子状酸素を表し、非常に酸化力が強い反面、生成後すぐにオゾンと再結合し酸素分子になりやすい。実施形態1〜3に係るオゾン分解装置の光源にはこの波長帯を含むものを用いる。また、対象オゾンガス濃度は、0.1%から〜100%とする。
【0027】
(実施形態1)
初めに本実施形態に係るオゾン分解装置14を評価するための装置構成及びオゾン処理を行うときのプロセスシステム1とオゾン分解装置14との関係を示す。次に、オゾン分解装置14の概要を説明し、動作結果について述べる。本実施例は光励起オゾン酸化にオゾン濃度計を用いた系においてSi基板を酸化する例である。
【0028】
図2は発明の実施形態に係るプロセスシステムのシステム構成図である。
【0029】
プロセスシステム1はオゾンガス供給装置11と酸化処理チャンバ12とオゾン濃度計13とオゾン分解装置14とオゾン濃度計15と排気ポンプ16とを備える。これらの装置を連通させる配管系は真空対応とする。減圧下(0.01Pa〜100000Pa)で使用できる仕様のものが採用される。高濃度オゾンガスが大気圧以下の爆発限界圧力をもつためである。
【0030】
前記配管系でのオゾン分解を防ぐには、配管を高温(例えば<100℃)にしない状態で、配管の内壁に反応物がなくクリーンな状態に加工(例えば内壁を電界研磨したSUS管もしくは洗浄済の石英管)を用いるのが望ましい。輸送中のオゾンガスの損失を防ぐためである。
【0031】
オゾンガス供給装置11としては例えばオゾンガスボンベまたはオゾン発生装置が挙げられる。供給するオゾンガスの濃度は2〜100%とする。実施例ではオゾン濃度約100%のオゾンガスを供給できるオゾン発生装置(明電舎製、ピュアオゾンジェネレーター、MPOG−SM1C1)が採用されている。
【0032】
酸化処理チャンバ12はオゾンを用いた基板の酸化処理プロセスを実行する。前記プロセスとしては例えば基板の製膜プロセス、洗浄、エッチングなどが挙げられる。
【0033】
酸化処理チャンバ12はオゾンガスの導入口と排気口とを備える。また、酸化処理チャンバ12には圧力計を設けることが望ましい。この圧力計の仕様は圧力範囲が0.1Pa〜1000Paであるとなおよい。
【0034】
酸化処理チャンバ12は減圧処理方式を採用している。1Pa〜1000Paの範囲処理可能であるように設計される。従って、チャンバの材質は、アルミ金属、SUS金属または石英ガラスによる真空対応のものに限る。また、減圧の際、外壁から汚染物質を排出しないようにチャンバ内表面加工処理が施される。前記加工としては例えば電界研磨処理等が挙げられる。
【0035】
酸化処理チャンバ12においては、オゾン熱分解を減らすためコールドウォール方式が採用される。この場合、適宜に水冷及び空冷システムが兼ね備えられる。
【0036】
処理対象である基板を加熱する場合にはホットプレートまたはランプ加熱方式が採用される。このとき、酸化処理チャンバ12内で基板付近の暖まり易い部位には水冷や空冷システムが導入されて基板以外の場所が高温になるのを防ぐ必要がある。
【0037】
さらに、紫外光プロセスが併用される場合、酸化処理チャンバ12には紫外光光源およびこの光源から供された光を導入するための透過窓が設置される。紫外光源は200nm〜300nmの波長帯を発するものが採用される。前記光源は300nm以上の波長帯を含んでも構わない。また、前記光源はレーザータイプ、ランプタイプのいずれの仕様を用いても問題はない。前記透過窓を構成する材料には石英ガラスやMgF2などの結晶材が望まれる。紫外光は試料の表面付近もしくは表面に照射するように配置する。これはオゾンから分解生成される励起状酸素原子(励起オゾン)は、寿命が短いため、発生から失活までの時間にほとんど拡散できない(10nm以下)であるためである。失活した励起オゾンは、酸素分子となり紫外光の影響を受けなくなる。
【0038】
オゾンガス供給装置11と酸化処理チャンバ12との間の詳しい構成は例えば特開2006−80474に示された態様が挙げられる。
【0039】
オゾン濃度計13はオゾン分解装置14の上流側に配置される一方でオゾン濃度計15はオゾン分解装置14の下流側に配置される。オゾン濃度計13は実プロセスで必ずしも必要でないが、プロセスの制御性を高めるために備えていた方が望ましい。(特開2007−294492号公報)。本実施例ではオゾン分解装置14の特性評価に用いる。
【0040】
オゾン濃度計13はオゾン酸化処理チャンバ12とオゾン分解装置14とを連結した配管21に設置されている。オゾン酸化処理チャンバ12とオゾン濃度計13との間には可変バルブV1が配置される一方でオゾン濃度計13とオゾン分解装置14の間には可変バルブV2が配置されている。配管21にはオゾン濃度計13の圧力調整用のバイパス経路18が接続されている。バイパス経路18は可変バルブV5を備えている。バイパス経路18の一端は酸化処理チャンバ12,可変バルブV1間の配管21に接続され、他端は可変バルブV2,オゾン分解装置14間の配管21に接続されている。
【0041】
オゾン濃度計13及びオゾン分解装置15に滞在するオゾン含有ガスの量及び圧力は可変バルブV1,V5によって調節される。これにより後述のオゾン濃度計13の光透過強度測定系に供されるオゾンガスの分量範囲が制限される。具体的には分流範囲がオゾン濃度の測定許容範囲となるようにオゾンガスのガス流が可変バルブV1,V5によって制御される。
【0042】
オゾン濃度計15はオゾン分解装置14と排気ポンプ16とを連結した配管22に設置されている。オゾン分解装置14とオゾン濃度計15との間には可変バルブV3が配置される一方でオゾン濃度計15と排気ポンプ16との間には可変バルブV4が配置されている。配管22にはオゾン濃度計15の圧力調整用のバイパス経路19が接続されている。バイパス経路19は可変バルブV6を備えている。バイパス経路19の一端はオゾン分解装置14,可変バルブV3間の配管22に接続され、他端は排気ポンプ17に接続されている。
【0043】
バイパス経路19のようにオゾン濃度計15の下流に排気ポンプ17が配置されるのが望ましい。オゾン分解装置14より下流側に位置するオゾン濃度計15ではオゾン分量が小さく、高精度な測定が求められるためである。また、バイパス経路19と配管22の接続部からのガス流の逆流による干渉を防ぐこともできる。
【0044】
図3はオゾン濃度計13,15の概略構成図である。
【0045】
オゾン濃度計13,15はガス流通管31とガス圧力計32と紫外光源33と紫外光検出器34と紫外光透過窓35,36とから成る。ガス流通管31には配管17、配管18、ガス圧力計32が接続されている。紫外光源33は紫外光がガス流と平行に照射されるようにガス流通管31に配置される。紫外光透過窓35は紫外光源33から照射された紫外光をガス流通管31内に導入するための窓である。紫外光透過窓36は紫外光検出器34に供給するための窓である。紫外光透過窓35,36は合成石英等で構成するのが望ましい。
【0046】
ガス流通管31の光路長Dは、ガスのオゾン濃度並びに圧力、紫外光の強度及び光感度検出器の性能によって、適切な長さが決まる。後述の実施例では、オゾンガスの濃度は100〜10%、オゾン圧力10〜1000Paの範囲で、光路長Dは約10cmに設定されている。
【0047】
紫外光が通過するガス流通管31の径dは光照射径よりも十分大きいことが望ましい。光の散乱やガス流通管31の内壁面の影響を除外するため。後述の実施例では光照射径が1cm以下に対し、径dは3cm以下程度に設定されている。
【0048】
オゾン濃度計13の測定原理について述べる。
【0049】
オゾン濃度はオゾン雰囲気中を透過した紫外光強度によって算出される。
【0050】
紫外光強度はオゾン雰囲気中を通過すると下記(2)式のように紫外光強度が指数関数的に減少する。
【0051】
I=I0exp(−σ0nD)…(2)
I:透過検出強度(波長254nm),I0:入射光照度,D:光路長,σ0:吸収断面積(σ0=1.1×10-17[cm2]),n:オゾン数密度
予め濃度が分かっているオゾンガスを校正用として用い、nを変えてIとI0の関係を調べておく。このIとI0の関係を用いて、濃度が分からないオゾンガスのI0を測定することでこのオゾンガスのnを求めることができる。オゾン濃度(%)はオゾン数密度nと圧力計32の圧力値に基づく算出される。
【0052】
光路長Dや配管径d等の設計が変更された時は、その都度に校正ガスを用いてIとI0の関係を求め直す必要が生じる。また、光源33は連続発振光式、パルス発振光式のいずれも適用できるが、光強度は長時間に渡って安定なものでなくてはならない。後述の実施例では光源33に低圧水銀ランプが使用され、発振強度は10mW/cm2程度に設定されている。
【0053】
図1(a)は発明の実施形態に係るオゾン分解装置14の構成を示した概略断面図である。図1(b)はオゾン分解装置14のA−A断面図である。図1(c)はオゾン分解装置14のB−B断面図である。
【0054】
オゾン分解装置14は筐体41と配管42,47と紫外光光源43と光透過管44とガス流迂回板46とを備える。
【0055】
筐体41は図1(a)〜図1(c)に示されたように光を漏洩させないように円筒状に形成されている。筐体41の内面は光反射しやすい表面処理をすることで反射光の二次利用ができるためである。さらに、外部からの衝撃を防ぐことと、光透過管44やガス流迂回板46等のガラスまたは結晶材の破損に伴う外部への散乱を防ぐことによる安全確保のためである。筐体41の材質としてはアルミニウム材やステンレス素材など光を通さなく機械的に丈夫なものが望ましい。アルミニウム材は紫外光の反射率が高く、内側を研磨することで紫外光の内面鏡として用いることができる。
【0056】
配管42は筐体41の外部から導入したオゾンガスを光透過管44に供給するための配管である。配管42は図1(a)及び図1(b)に示したように筐体41と同軸にその上流側端部に気密に接続されている。筐体41内に引き込まれた配管42の一端にはフランジ48が設けられている。フランジ48は真空対応のためにOリングやガスケットに例示される封止部材45を介して光透過管44の上流側端部に気密に接続されている。
【0057】
配管47は光透過管44内のオゾン分解処理ガスを筐体41の外部に排出するための配管である。配管47は筐体41と同軸にその下流側端部に気密に接続されている。筐体41内に引き込まれている配管47の一端にはフランジ49が設けられている。フランジ49は真空対応のためにOリングやガスケットに例示される封止部材45を介して光透過管44の下流側端部に気密に接続されている。
【0058】
紫外光源43は少なくとも波長200〜300nmを有する光を発する。前記光は波長300nm以上の可視光を含んでもかまわない。照射方式も連続型、パルス発振型のいずれかの機能を有していてもよい。200nm以下波長の光は、酸素分子からオゾンを生成する反応を起こすので注意を要する。波長200nm以下の光がオゾンガスに照射されないようにこの波長帯を通さない材質で構成された光遮蔽板を設置し、オゾンガスへの照射を防ぐ工夫が生じる。
【0059】
紫外光光源43は図1(a)及び図1(c)に示されたように直管型のものを適用するとよい。紫外光光源43は直管型に形成された場合には光透過管44の全長方向に配置される。また、紫外光光源43の照射領域は光透過管44の有効全長L41よりも長く設定される。単一の紫外光光源43が光透過管44の有効全長L41よりも短い場合、紫外光光源43は複数直列に配置すればよい。オゾンガスに対して大きな面積で照射できるためである。大気圧下の雰囲気に設置するのが望ましい。紫外光を発する光源は大気圧下での使用を想定されていることおよびオゾンガス空間に入れることによる電極等の酸化を防ぐためである。
【0060】
紫外光光源43は複数備えるとよい。紫外光光源43の設置数が増えることによって紫外光が光透過管44に向かって様々な方向から入射されるので、より多くのオゾンが分解されることが期待される。しかし、設置数が増えることにより、オゾン分解装置14の構成が複雑になるため実際に用いられる個数は制限される。実施例では同仕様(同一の光強度の型式)の紫外光光源43の設置数を2つ用意し、両者の紫外光光源43は図1(c)に示したように上下方向から光透過管44を挟むように配置した。
【0061】
光透過管44は紫外光光源43から照射された紫外光をオゾンガスに供するための部材である。光透過管44は紫外光を透過する材料(例えば合成石英およびF系結晶材MgF2など)によって円筒状に形成されている。光透過管44は筐体41内にこれと同軸に配置されている。光透過管44は内部にガス流迂回板46を備えることでオゾンのガス流を乱し、オゾンガスの滞留時間が多く確保できるようにするよい。
【0062】
光透過管44の内径D41は、紫外光光源43の光強度、オゾンガス濃度、オゾンガス圧力等のガス流条件によって最適値が決まる。内径D41が大きく設定される程、オゾンガス流量が増大するが、光透過管44の中心付近に到達できる光量が減少する。オゾンの分解に伴って光強度が減衰するためである。また、粘性流では筐体41から最遠の部位でガス流速が最大になる。図1(c)のB−B断面図では光透過管44の中心軸でガス流が最大となる。この部位は先に述べたように光がもっとも届きにくい。内径D41の大きさにより流速が大きく変化することからも内径D41の大きさは重要である。また、ガス流迂回板46の設置の仕方を工夫することによりガス流を多く乱すことが重要である。
【0063】
ガス流迂回板46はガス流を散乱させて光透過管44におけるオゾンガスの滞留時間を多く確保するための部材である。ガス流迂回板46は光透過管44内に複数配置される。個々のガス流迂回板46は主面がガス流に対して垂直となるように設置されている。ガス流迂回板46はステンレスや石英板に例示される酸化されにくい材料で構成するよい。光透過管44内ではオゾン分子が大量に消費され酸化反応が起こりやすい状態になるので、酸化されやすい材料では長時間使えないためである。ガス流迂回板46は光の妨げる配置にしないのが望ましい。図1(a)に示されたようにガス流迂回板46は紫外光光源43の光路に対して平行に設置することで、紫外光光源43から光の照射受ける面積が最小限に抑えられている。
【0064】
ガス流迂回板46は、ステンレスや石英板に例示される酸化されにくい材料からなるジグを使って、固定されるように設置する。例えば棒状に加工されたジグとガス流迂回板46を接合し、ジグは光透過管44またはガス出入り口の配管42,47と接合させることにより、ガス流迂回板46は中空に固定される。ジグ棒は光照射を遮蔽しないよう細い形状が望ましい。例えば、径7mmのアルミ製棒が望ましい。前記アルミ製棒とガス流迂回板46との接合および外壁との接合は、ネジ止めまたは溶接によって行えばよい。
【0065】
以上説明した光分解式のオゾン分解装置14の実施例について述べる。オゾン供給装置11に明電舎製のピュアオゾンジェネレーター(MPOG−SM1C1)を採用した。また、酸化処理チャンバ12ではオゾン処理をしないでオゾン供給装置11からオゾン濃度100%のオゾンガスをオゾン分解装置14に供給して評価を行った。この配置は、オゾン処理プロセスにおけるオゾン分解装置14の能力を最も必要とするタイミングに相当する。この状態でオゾン分解装置14を評価することで、実用的にオゾン分解装置14が適用可能かどうか判別できる目安となる。
【0066】
図4はプロセスシステム1のオゾン濃度計15のオゾン濃度と紫外光光源33の光強度(紫外光照度)との関係を示した特性図である。縦軸のオゾン濃度はオゾン分解装置14によって分解された後のオゾン濃度である。このオゾン濃度が小さな値であるほど、オゾン分解装置14でのオゾン分解がたくさん起きていることを意味する。オゾン濃度は光照度が強くなるに従って小さくなる。これは光が強くなると光子が大量発生することにより、光子がオゾン分子と衝突する頻度が高くなることにより、光分解反応の頻度が大きくなるためである。この実施例で評価したオゾン分解装置14の紫外光光源43及びオゾンガスでは、光の照射強度から算出される光子数がオゾン分子数と同程度若しくは光子数の方が多い状態であることを述べておく。つまり、光照度は、オゾンガス空間の中を通過できる程度の大きさであることに注意する。
【0067】
図4によると光照度が大きい程、横軸の光照度の変化に対して縦軸の濃度変化が緩やかになる。この現象は図4に示された直線で外沿した破線の傾きが横軸の数値が大きな範囲で緩やかになっていることに相当する。オゾン濃度の低下に伴いオゾン分子密度が小さくなるので、光子との衝突確率が小さくなり反応頻度が減少するためである。
【0068】
以上の図4から明らかなように光分解式のオゾン分解装置14は、オゾンキラーとして機能すること、光強度を強くする程、より効果的に動作すること、オゾンガスが高濃度になる程、有効に動作することも確認された。
【0069】
一方、オゾン分解装置14での光分解を低濃度域でより促進させるためには以下の改良が必要である。
【0070】
第一の改良は反応頻度を高めるすなわち光子密度を高めるために紫外光光源43の光強度を高める必要がある。この光源の改造については、光強度が強い光源になる程、コスト及び消費電力が飛躍的に高くなるだけでなく、ランプ冷却の追加やランプ寿命の低下に伴い装置が複雑になる。
【0071】
第二の改良はオゾン分解装置14内でのガスの滞在時間を高めるためにガス流路長(光透過管44)の全長の増大若しくはガス流速の減少によるガス流条件の設定である。このガス流条件の設定については、オゾン分解装置14内のガス流を制御するしきり壁(ガス流迂回板46)を導入及び構造を工夫することによって解決できる。
【0072】
光分解の特性を活用して、オゾンガス流を最適化した光分解式のオゾン分解装置は後述の実施形態2〜5で実現する。
【0073】
図5はオゾンガス流速とオゾン濃度計15のオゾン濃度測定値との関係を示した特性図である。ガス流速の増大に伴い、オゾン濃度が増大することが確認である。つまり、ガス流速が増大するとオゾン分解装置14の分解効率が落ちていることがわかる。この結果からオゾンを効果的に分解させるには、オゾン分解装置14におけるガス滞留時間を長くする必要が生じることを確認できる。可変バルブV1,V5の開閉によりオゾン分解装置14に供給するガスの流量を調節することでガス流速を制御できる。しかし、この手法でオゾン流速を低減させると処理できるオゾンガス量の低下が起きる。
【0074】
大量のオゾンガスを効果的に分解処理するには流速を低減させない代わりにガス流路長を大きくすることが重要である。以上の図5の特性図からガス流速を大きくする程、オゾンの分解効率が低減すること及びガス流路の増大すなわちガスの滞留時間を増大させることによってオゾンの分解効率を向上できることが示された。
【0075】
次に熱分解式オゾン分解装置と発明に係るオゾン分解装置との性能比較を以下に示した。
【0076】
図6及び図7は熱分解式オゾン分解系と光分解式オゾン分解系のオゾン分解効率を比較したものである。熱分解式オゾン分解系はオゾンが供される系内を加熱によって高温にし、ガスを加熱することにより熱分解反応を経由してオゾン分解を起こさせている。熱分解式オゾン分解系は光を用いないため光透過材(石英ガラス、結晶材)を用いずに、金属材料(アルミニウム材、SUS)から成る。但し、アルミニウム材は熱に弱く、実施例で用いた熱分解式オゾン分解系は全てSUS304で構成した。熱分解式オゾン分解系の評価は、図1に示されたプロセスシステム1のオゾン分解装置14に代えて熱分解式のオゾン分解装置を配置し、この装置の下流側に配置されているオゾン濃度計15のオゾン濃度測定値に基づき行った。
【0077】
図6は熱分解式オゾン分解系と光分解式オゾン分解系の温度依存性を示した特性図である。具体的には温度条件と各オゾン分解系の下流側のオゾン濃度との関係を示す。加熱温度の増加に伴い、オゾン濃度は減少する。一般にオゾンの熱分解の反応頻度は、温度に対して指数関数的に増加することが知られており、実際に図6の結果によると実線で示されたように高温でオゾンの高い分解頻度が起きていることが確認できる。一方、光分解式のオゾン分解系での濃度を図6中の水平破線で示した。光分解式のオゾン分解系での分解効率は、500℃に加熱した熱分解式オゾン分解系の分解効率よりも高い。熱分解式オゾン分解系を500℃以上に加熱することで、更に分解効率を高めることができるが、材質(SUS304)の融解及び劣化の問題により加熱温度に上限がある。オゾンガスのような強い酸化ガス中で用いる場合、SUS304は酸化を防ぐため400℃以下で使うのが望ましい。以上のことから光分解式オゾン分解系は熱分解方式オゾン分解系よりも高い効率でオゾンを分解できることが確認できた。
【0078】
図7は熱分解式オゾン分解系と光分解式オゾン分解系のオゾンガス流量依存性を示した特性図である。具体的にはオゾンガス流量と各オゾン分解系の下流側のオゾン濃度との関係を示す。両者のオゾン分解系ともオゾン流量の増大にともない、オゾン分解効率が低下する。しかし、評価した流量域(オゾン濃度100%オゾンガス 20〜180sccm)において、光分解式オゾン分解系のオゾン分解性能が、500℃に加熱された熱分解式オゾン分解系のものよりも高いことが確認できる。
【0079】
以上の図6及び図7の結果から図1で例示した光分解式のオゾン分解装置14は熱分解式のオゾン分解装置よりも優れた特性を有することが示された。
【0080】
(実施形態2)
本実施形態では、実施形態1で得られた光分解に関する知見を考慮し、実施形態1に係る光分解式のオゾン分解装置の改良型を提供する。ここで本実施形態のオゾン分解装置の設計に反映させる実施形態1から得られた光分解式に関する知見は以下の通りである。
【0081】
オゾン分解量は紫外光の強さで決まる。
【0082】
高濃度オゾンを低濃度オゾンに分解するには弱い光で充分である。
【0083】
低濃度オゾンを更に分解するには、強い光が必要である。
【0084】
オゾンガスの滞留時間を多く確保することが必要である。
【0085】
本実施形態のオゾン分解装置は以上の知見を反映させている。
【0086】
図8(a)は本実施形態に係るオゾン分解装置の構成を示した概略断面図である。図8(b)はオゾン分解装置のA−A断面図である。図8(c)はオゾン分解装置のB−B断面図である。
【0087】
オゾン分解装置2は筐体51と配管52a,52b,57a,57bと光透過管53と光透過管54a,54bと紫外光光源56とを備える。
【0088】
筐体51は光を漏洩させないようにアルミニウム材、SUSに例示される金属材によって円筒状に形成されている。筐体51の内面は研磨し紫外光反射強度を高めるようにする。例えばアルミニウム材を用いた場合、紫外光の反射率が高いが、さらに筐体41の内面は電界研磨等によって鏡面加工して光の反射率を高めるとよい。
【0089】
配管52a,52bはオゾンガスを導入するための配管である。配管52a,52bは筐体51の上流側端部の縁部寄りに気密に接続されている。配管52bと配管52bは筐体51の軸線を挟んで前記端部の同一直径上に配置されている。
【0090】
配管57a,57bはオゾン分解処理ガスを筐体51から排出するための配管である。配管52a,52bは筐体51の下流側端部に気密に接続されている。配管57bと配管57bは図8(b)に示されたように筐体51の軸線を挟んで前記端部の同一直径上に配置されている。尚、配管57b,配管57bは図8(a)に示されたように配管52b,配管52bよりも筐体51の軸線寄りに配置されている。
【0091】
光透過管53は紫外光光源56から照射された紫外光をオゾンガスに供するための部材である。光透過管53は図8(a)及び図8(c)に示されたように筐体51内にこれと同軸に配置される。光透過管53内には紫外光光源96が着脱自在に収納されている。光透過管53は紫外光を透過する材質(例えば合成石英、F系結晶材等)で構成される。筐体51、光透過管53間はOリングに例示される封止部材55が介在することでオゾンガス空間と光源空間とが真空的に仕切られている。
【0092】
光透過管54a,54bはガス流を制御するためのガス流迂回部材である。光透過管54a,54bは筐体51内に収納されている。図8(c)に示されたように光透過管54aの内径D53は光透過管54bの外径より大きく且つ筐体51の内径よりも小さく形成されている。また、図8(a)に示されたように光透過管54aはその一端のみが筐体51の上流側端部の内面に接続されている。一方、光透過管54bの内径D52は光透過管53の内径D51及び外径より大きく且つ筐体51の内径よりも小さく形成されている。光透過管54bはその一端のみが筐体51の下流側端部の内面に接続されている。光透過管54a,54bは光透過管53と同様に紫外光を透過する材料(例えば合成石英、F系結晶材等)で構成される。
【0093】
図8(a)に示されたようにガス流迂回部材として機能する光透過管54a,54bを設置することで矢印のようにガス流が生じ、ガス流路長(オゾンガスの滞留時間)が長く確保される。光透過管54a,54bを設けるとガスの滞留時間はガス流路長がない場合に比べて3倍になる。光透過管54の数は特に制限しない。つまり、折り返し構造を複数設置すれば、流路長を5倍、7倍、・・・と任意に設定できる。ガス流の迂回形態は多重折り返し構造になっていればその態様は特に限定しない。本実施形態に係るガス流路は筐体51と同心円状に分布しているが、この形態に限定する必要はない。
【0094】
紫外光光源56は直管型のものが採用されている。紫外光光源56は図8(a)及び図8(c)に示されたように筐体51の軸線上に配置されるように光照射管53内に収納される。紫外光光源56に関する発光波長帯の制約および発振型は実施形態1に係る紫外光光源43と同じ仕様でよい。
【0095】
図8を参照しながらオゾン分解装置2の作用について述べる。
【0096】
オゾン分解装置2によればオゾンガスに対して照射される紫外光の強度が変化する。すなわち、筐体51内に導入されたばかりのオゾンガス(高濃度オゾンガス)に照射される紫外光は光透過管53、光透過管54a,54bを透過しているので紫外光の強度が弱くなっている。そして、筐体51の出口付近を流通するガスすなわち配管57に向かって光透過管53と光透過管54bによって仕切られた空間を流通するオゾン濃度が低濃度のガスに照射される紫外光は光透過管53のみを介しているので紫外光の強度が強くなっている。このように筐体51内に滞留するガスのオゾン濃度に応じた紫外光の照射が可能となっている。
【0097】
また、光透過管53、光透過管54a,54bから成るガス流の折り返し構造により、ガス迂回路を有しないオゾン分解装置よりもオゾンガスの滞留時間が長く確保されている。
【0098】
さらに、紫外光光源56が筐体51と同心に配置され、筐体51の内面は紫外光の反射強度を高まっているので、反射光を有効利用できる。
【0099】
また、図8(c)に示された内径D51〜D53を変えることにより、折り返し流路ごとにオゾン流速を変えることができる。例えば紫外光光源56に最も近いオゾン流路は、分解がある程度進んだ低濃度オゾンガスを更に低濃度にする役割を果たすので、ガス流速を遅くするように設計するよい。具体的に光透過管53の内径D51を小さくし光透過管54bの内径D52、光透過管54aの内径D53を大きく設定することにより、紫外光光源56に最も近いオゾン流路を流れるオゾンガスの流速を下げることができる。
【0100】
(実施形態3)
実施形態3に係るオゾン分解装置3は実施形態2に係るオゾン分解装置2を改良したものである。オゾン分解装置2は実施形態1で得られた光分解の特性を考慮したものであるのに対し、オゾン分解装置3は構造の単純化、メンテナンス等を考慮したより実用的なものとなっている。
【0101】
図9(a)はオゾン分解装置3の構成を示した概略断面図である。図9(b)はオゾン分解装置3のA−A断面図である。図9(c)はオゾン分解装置3のB−B断面図である。
【0102】
オゾン分解装置3は筐体61と配管62,67と光透過板63と光透過板64a,64bと紫外光光源66とを備える。
【0103】
筐体61は図9(a)及び図9(c)に示されたように光を漏洩させないようにアルミニウム材、SUSに例示される金属材によって直方体の箱型に形成されている。筐体61の内面は研磨されることで紫外光反射強度が高められている。筐体61の材料にアルミニウム材を用いた場合、紫外光の反射率が高いが、さらに筐体41の内面を電界研磨等によって鏡面加工すると光の反射率が高まる。
【0104】
配管62はオゾンガスを導入するための配管である。配管42は筐体61の上流側端部の上辺付近に気密に接続されている。一方、配管67は筐体61内に滞留するオゾン分解処理ガスを排出するための配管である。配管67は筐体61の下流側端部の略中央部に気密に接続されている。
【0105】
光透過板63は紫外光光源66から照射された紫外光をオゾンガスに供するための部材である。光透過板63は紫外光光源66を有する光源空間と光透過板64a,64bを有するガス流空間が形成されるように筐体61内に設置される。すなわち、光透過板63が筐体61の内面に設けられた枠体68にOリングに例示される封止部材65を介して接続されることにより、前記光源空間と前記ガス流空間とが真空的に仕切られている。
【0106】
光透過板64a,64bは筐体61内のガス流を制御するためのガス流迂回部材である。紫外光光源66から照射された紫外光を透過する材質(例えば合成石英、F系結晶材等)からなる。光透過板64a,64bの全長は筐体61内の空間の全長よりも小さく設定されている。光透過板64a,64bは光透過板63よりも上位且つこれと平行に設置されている。特に、光透過板64aは図9(a)に示されたように配管62の接続部位よりも低位であると共に筐体61の底面及び光透過板63の面と平行に配置され、且つ筐体61の下流側端部の内面と離間するように設置されている。一方、光透過管64bは配管67の接続部位よりも高位であると共に筐体61の底面、光透過板64a及び光透過板63の面と平行に配置され、且つ図9(b)に示したように筐体61の上流側端部の内面と離間するように設置されている。光透過板64a,64bは光透過管53と同様に紫外光を透過する材料(例えば合成石英、F系結晶材等)で構成される。尚、当然であるが光透過板64a,64bと筐体61の内面とは気密に接続されている。
【0107】
このようにガス流迂回部材として機能する光透過板64a,64bを設置することで矢印のようにガス流が生じ、ガス流路長(オゾンガスの滞留時間)が長く確保される。光透過板64a,64bを設けるとガスの滞留時間はガス流路長がない場合に比べて3倍になる。光透過板64の数は特に制限しない。つまり、折り返し構造を複数設置すれば、流路長を5倍、7倍、・・・と任意に設定できる。また、図9(c)に示されたガス流路の高さD61、D62、D63は同一に設定する必要はない。ガス流路の高さを個別に設定することにより各ガス流路でのガス流速が任意に調整可能となる。
【0108】
紫外光光源66はその発光波長帯の制約、発振型及び設置数は実施形態1で述べた紫外光光源と同様の趣旨である。紫外光光源66は直管型のものが採用されている。紫外光光源66はガス流の流れ方向に沿うように筐体61の底面に付近において着脱自在に設置される。
【0109】
以上のオゾン分解装置3によると、図8を参照して説明したオゾン分解装置2の作用に加えて、オゾンガスが滞留する筐体61が直方体構造となっているのでオゾン分解装置1,2と比べて材料加工手間が大幅軽減する。また、ガス流迂回部材が円筒状でなく板状となっているので、材料費及び加工費が大幅に低減する。さらに、紫外光光源66は筐体61の底面付近に配置されており、取り扱い易い部位に設置されているので、交換作業の利便性が向上する。
【0110】
(実施形態4)
本実施形態では、実施形態1で得られた光分解に関する知見を考慮し、実施形態1に係る光分解式のオゾン分解装置の改良型を提供する。ここで本実施形態のオゾン分解装置の設計に反映させる実施形態1から得られた光分解式に関する知見は以下の通りである。
【0111】
オゾン分解量は紫外光の強さで決まる。
【0112】
高濃度オゾンを低濃度オゾンに分解するには弱い光で充分である。
【0113】
低濃度オゾンを更に分解するには、強い光が必要である。
【0114】
本実施形態のオゾン分解装置は以上の知見を反映させている。
【0115】
図10は本実施形態に係るオゾン分解装置4の構成を示した概略断面図である。
【0116】
オゾン分解装置4は筐体71と配管72,78と紫外光光源73,74と光透過管76とガス流迂回板77とを備える。
【0117】
筐体71は光を漏洩させないように円筒状に形成されている。筐体71の内面は光反射しやすい表面処理をすることで反射光の二次利用ができるためである。筐体71の材質としてはアルミニウム材やステンレス素材など光を通さなく機械的に丈夫なものが望ましい。アルミアルミニウム材は紫外光の反射率が高く、内側を研磨することで紫外光の内面鏡として用いることができる。
【0118】
配管72は筐体71の外部から導入したオゾンガスを光透過管76に供給するための配管である。配管72は筐体71と同軸にその上流側端部に気密に接続されている。筐体71内に引き込まれた配管72の一端にはフランジ79が設けられている。フランジ78は真空対応のためにOリングやガスケットに例示される封止部材75を介して光透過管76の上流側端部に気密に接続されている。
【0119】
配管78は光透過管76内のオゾン分解処理ガスを排出するための配管である。配管78は筐体71と同軸にその下流側端部に気密に接続されている。また、筐体71内に引き込まれている配管78の一端にはフランジ80が設けられている。フランジ80は真空対応のためにOリングやガスケットに例示される封止部材75を介して光透過管76の下流側端部に気密に接続されている。
【0120】
紫外光光源73は光透過管76の管部76aに紫外光を照射するための光源である。一方、紫外光光源74は光透過管76の管部76bに紫外光を照射するための光源である。紫外光光源73,74はその発光波長帯の制約、発振型及び設置数は実施形態1で述べた紫外光光源46と同様の趣旨とする。
【0121】
紫外光光源73,74は独立に照度出力が制御可能となっている。すなわち、紫外光光源74は紫外光光源73よりも強い照射出力を有する。光透過管76の管部76bに滞留するガスは光透過管76の管部76bに滞留するガスよりもオゾン濃度が低くなっているので、紫外光光源74は管部76b内に滞留するガスに対して外光光源73よりも強い照射強度で紫外光を照射するようにしている。
【0122】
紫外光光源73,74は実施形態1と同様に直管型のものが採用されている。紫外光光源66はガス流の流れ方向に沿うように筐体61の底面に付近において着脱自在に設置される。紫外光光源73に関する発光波長帯の制約および発振型は実施形態1に係る紫外光光源43と同じ仕様でよい。
【0123】
光透過管76の管部76bにおいて点火による連鎖オゾン分解を行う場合には紫外光光源74に極めて強い紫外光源を採用し、管部76bの照射幅L72は光透過管76の管部76bの照射幅L71よりも短くしてもよい。点火方式は連鎖反応を引き起こすので、一般的に危険であるが、紫外光光源73によるオゾン分解を経た低濃度オゾンガスを紫外光光源74によって処理するようにしているので、点火による反応制御が可能である。
【0124】
光透過管76は紫外光光源73から照射された紫外光をオゾンガスに供するための部材である。光透過管76は紫外光を透過する材料(例えば合成石英およびF系結晶材MgF2など)からなる。光透過管76は管部76a,76bを有する異径配管構造となっている。すなわち、上流側の管部76aの内径D71は下流側の管部76bの内径D72よりも小さく設定されている。光透過管76は筐体71内にこれと同軸に配置されている。尚、内径D71,D72は適宜に設定されることで紫外光光源73,74の紫外光に供されるオゾンガスの流速調節が可能となる。
【0125】
ガス流迂回板77はオゾンのガス流を散乱させてオゾンガスの滞留時間が多く確保させるための部材である。ガス流迂回板77は光透過管44内に複数配置される。個々のガス流迂回板46は主面がガス流に対して垂直となるように設置されている。ガス流迂回板46はステンレスや石英板に例示される酸化されにくい材料で構成するよい。光透過管44内ではオゾン分子が大量に消費され酸化反応が起こりやすい状態になるので、酸化されやすい材料では長時間使えないためである。ガス流迂回板46は光の妨げる配置にしないのが望ましい。図2ではガス流迂回板46は光路に対して平行に設置することで、紫外光光源43から光の照射受ける面積が最小限に抑えられている。
【0126】
以上のオゾン分解装置4によればオゾンガスに対して照射される紫外光の強度が変化する。すなわち、光透過管76の管路76a内を流通する高濃度オゾンガス(光透過管76の入り口付近に滞留するオゾンガス)に対しては紫外光光源74よりも照射強度の弱い紫外光が紫外光光源73から照射される。また、低濃度オゾンガス(光透過管76の出口付近のオゾンガス)に対しては紫外光光源73よりも照射強度の強い紫外光が紫外光光源74から照射される。このように光出力が異なる複数の紫外光光源が具備されたことで、前記光源ごとにオゾン分解段階を分割可能となる。また、大出力で大面積照射可能な大型光源の導入を必要としない。さらに、複数の光源により点火による連鎖オゾン分解を安全に適用できるのでオゾン濃度を極めて低濃度に低減させることができる。
【0127】
(実施形態5)
本実施形態では、実施形態1で得られた光分解に関する知見を考慮し、実施形態1に係る光分解式のオゾン分解装置の改良型を提供する。ここで本実施形態のオゾン分解装置の設計に反映させる実施形態1から得られた光分解式に関する知見は以下の通りである。
【0128】
長いガス流路(ガス滞留時間)が必要である。
【0129】
実施形態1のオゾン分解装置14に対し構造の単純化及びメンテナンス等を考慮する。
【0130】
本実施形態に係るオゾン分解装置は以上の知見を反映させている。
【0131】
図11(a)は本実施形態に係るオゾン分解装置5の構成を示した概略断面図である。図11(b)はオゾン分解装置5のA−A断面図である。図11(c)はオゾン分解装置5のB−B断面図である。
【0132】
オゾン分解装置5は筐体81と配管82,87と光透過板83とガス流迂回板84と紫外光光源86とを備える。
【0133】
筐体81は図11(a)〜図11(c)に示されたように光を漏洩させないようにアルミニウム材、SUSに例示される金属材によって直方体の箱型に形成されている。筐体81の内面は研磨されることで紫外光反射強度が高められている。筐体81の材料にアルミニウム材を用いた場合、紫外光の反射率が高いが、さらに、筒体81の内面を電界研磨等によって鏡面加工すると光の反射率が高まる。
【0134】
配管82はオゾンガスを導入するための配管である。配管82は筐体81の上流側端部の上辺付近に気密に接続されている。一方、配管87は筐体81内に滞留するオゾン分解処理ガスを排出するための配管である。配管87は筐体81の下流側端部の上辺付近に気密に接続されている。
【0135】
光透過板83は紫外光光源86から照射された紫外光をオゾンガスに供するための部材である。光透過板83は紫外光を透過する材料(例えば合成石英およびF系結晶材MgF2など)からなる。光透過板83は紫外光光源86を有する光源空間とガス流迂回板84を有するガス流空間が形成されるように筐体81内に設置される。光透過板83は筐体81の内面に設けられた枠体88にOリングに例示される封止部材85を介して接続されることで前記光源空間と前記ガス流空間とが真空的に仕切られている。
【0136】
ガス流迂回板84は筐体81内のガス流を制御するためのガス流迂回部材である。ガス流迂回板84は紫外光を透過しない材料(例えばSUS、アルミニウム材等)から成る。ガス流迂回板84は筐体81内に複数設置される。複数のガス流迂回板84のうち、いくつかのガス流迂回板84が筐体81の天井面に等間隔に配置され、いくつかのガス流迂回板84が光透過板83の上面に等間隔に配置されている。個々のガス流迂回板84は図11(b)及び(c)に示されたように下端面または上端面以外の側面が筐体81の内面と気密に接続さるように設置されている。また、図11(a)に示されたように前記天井面のガス流迂回板84と光透過板83上のガス流迂回板84は交互に配置されている。このようにガス流迂回板84が複数配置されることで図11(a)に示された矢印のようにガス流が生じ、ガス流路長(オゾンガスの滞留時間)が長く確保される。ガス流迂回板84の数は特に制限しない。ガス流迂回板84は紫外光の光路に対して平行に設置されることでオゾンガス空間への紫外光の導入を妨げられないようになっている。尚、ガスの滞留時間はガス流迂回板84の適宜設置枚数を増減させることで任意に設定される。
【0137】
紫外光光源86はその発光波長帯の制約、発振型及び設置数は実施形態1で述べた紫外光光源と同様の趣旨である。紫外光光源86は直管型のものが採用されている。紫外光光源66はガス流の流れ方向に沿うように筐体81の底面に付近において着脱自在に設置される。
【0138】
以上のオゾン分解装置5によるとオゾン分解装置3と同様にオゾンガスが滞留する筐体81が直方体構造となっているのでオゾン分解装置1,2と比べて材料加工手間が大幅軽減する。また、ガス流迂回部材84が円筒状でなく板状となっているので、材料費及び加工費が大幅に低減する。さらに、ガス流迂回部材84は光不透過材で構成されているので、光透過材料の使用量の低減ができる。また、紫外光光源66は筐体61の底面付近に配置されており、取り扱い易い部位に設置されているので、交換作業の利便性が向上する。
【0139】
また、以下に説明する実施形態6〜8も、実施形態1で得られた光分解に関する知見を考慮し、実施形態1に係る光分解式のオゾン分解装置の改良型を提供する。ここで本実施形態のオゾン分解装置の設計に反映させる実施形態1から得られた光分解式に関する知見は以下の通りである。
【0140】
長いガス流路(ガス滞留時間)が必要である。
【0141】
実施形態1のオゾン分解装置14に対し構造の単純化及びメンテナンス等を考慮する。
【0142】
実施形態6〜8に係るオゾン分解装置は以上の知見を反映させている。
【0143】
(実施形態6)
図12(a)は実施形態6に係るオゾン分解装置6の構成を示した概略断面図である。図12(b)はオゾン分解装置6のA−A断面図である。図12(c)はオゾン分解装置6のB−B断面図である。
【0144】
オゾン分解装置6は筐体91と配管92,97と光透過板93とガス流迂回板94と紫外光光源96とを備える。
【0145】
筐体91は光が漏洩しないようにアルミニウム材、SUSに例示される金属材によって直方体の箱型に形成されている。筐体91の内面は研磨されることで紫外光反射強度が高められている。筐体91の材料にアルミニウム材を用いた場合、紫外光の反射率が高いが、さらに、筒体91の内面を電界研磨等によって鏡面加工すると光の反射率が高まる。
【0146】
配管92はオゾンガスを導入するための配管である。配管92は筐体91の上流側端部の上辺付近に気密に接続されている。一方、配管97は筐体91内に滞留するオゾン分解処理ガスを排出するための配管である。配管97は筐体91の下流側端部の上辺付近に気密に接続されている。
【0147】
光透過板93は紫外光光源96から照射された紫外光をオゾンガスに供するための部材である。光透過板93は紫外光を透過する材料(例えば合成石英およびF系結晶材MgF2など)からなる。光透過板93は紫外光光源96を有する光源空間とガス流迂回板94を有するガス流空間が形成されるように筐体91内に設置される。光透過板93と筐体91との間にはOリングに例示される封止部材95を介在させることで前記ガス流空間からの気体の漏洩が防止されている。
【0148】
ガス流迂回板94は筐体91内のガス流を制御するためのガス流迂回部材である。ガス流迂回板94は紫外光を透過しない材料(例えばSUS、アルミニウム材等)から成る。ガス流迂回板94は筐体91内に複数設置される。複数のガス流迂回板94のうち、いくつかのガス流迂回板94が筐体91の天井面に等間隔に配置され、いくつかのガス流迂回板84が筐体91の底面部に等間隔に配置されている。また、図12(a)に示されたように前記天井面のガス流迂回板94と前記底面上のガス流迂回板94は交互に配置されている。このようにガス流迂回板94が複数配置されることで図12(a)に示された矢印のようなガス流が生じ、ガス流路長(オゾンガスの滞留時間)が長く確保される。ガス流迂回板94の数は特に制限しない。ガス流迂回板94は紫外光の光路に対して平行に設置されることでオゾンガス空間への紫外光の導入を妨げられないようになっている。尚、ガスの滞留時間はガス流迂回板94の適宜設置枚数を増減させることで任意に設定される。
【0149】
紫外光光源96はその発光波長帯の制約、発振型及び設置数は実施形態1で述べた紫外光光源と同様の趣旨である。紫外光光源96は直管型のものが採用されている。紫外光光源96は筐体91の内側面の長手方向に沿って着脱自在に設置される。
【0150】
(実施形態7)
図13(a)は実施形態7に係るオゾン分解装置7の構成を示した概略断面図である。図13(b)はオゾン分解装置7のA−A断面図である。
【0151】
オゾン分解装置7は筐体101と配管102,107と光透過板103とガス流迂回板104と紫外光光源106とを備える。
【0152】
筐体101は光が漏洩しないようにアルミニウム材、SUSに例示される金属材によって直方体の箱型に形成されている。筐体101の材料にアルミニウム材を用いた場合、紫外光の反射率が高くなるが、さらに、筒体101の内面を電界研磨等によって鏡面加工すると光の反射率が高まる。
【0153】
配管102はオゾンガスを導入するための配管である。配管102は筐体101の上流側端部の下辺付近に気密に接続されている。一方、配管107は筐体101内に滞留するオゾン分解処理ガスを排出するための配管である。配管107は筐体101の下流側端部の下辺付近に気密に接続されている。
【0154】
光透過板103は紫外光光源106から照射された紫外光をオゾンガスに供するための部材である。光透過板103は紫外光を透過する材料(例えば合成石英およびF系結晶材MgF2など)からなる。光透過板103は紫外光光源106を有する光源空間とガス流迂回板104を有するガス流空間が形成されるように筐体101内に設置される。光透過板103にはOリングに例示される封止部材105が付帯されることで前記ガス流空間からの気体の漏洩が防止されている。
【0155】
ガス流迂回板104は筐体101内のガス流を制御するためのガス流迂回部材である。ガス流迂回板104は紫外光を透過しない材料(例えばSUS、アルミニウム材等)から成る。ガス流迂回板104は筐体101内に複数設置される。複数のガス流迂回板104のうち、いくつかのガス流迂回板104が筐体101の一方の内側面に等間隔に配置され、いくつかのガス流迂回板104が筐体101の他方の内側面に等間隔に配置されている。個々のガス流迂回板104は上端が光透過板103の下面に気密に接続される一方で下端が筐体101の底面に気密に接続されている。また、図13(b)に示されたように前記一方の内側面のガス流迂回板104と前記他方の内側面のガス流迂回板104は交互に配置されている。このようにガス流迂回板104が複数配置されることで図13(b)に示された矢印のようなガス流が生じ、ガス流路長(オゾンガスの滞留時間)が長く確保される。ガス流迂回板104の数は特に制限しない。ガス流迂回板104は紫外光の光路に対して平行に設置されることでオゾンガス空間への紫外光の導入を妨げられないようになっている。尚、ガスの滞留時間はガス流迂回板104の適宜設置枚数を増減させることで任意に設定される。
【0156】
紫外光光源106はその発光波長帯の制約、発振型及び設置数は実施形態1で述べた紫外光光源と同様の趣旨である。紫外光光源106は直管型のものが採用されている。紫外光光源106は筐体101の天井面の長手方向に沿って着脱自在に設置される。
【0157】
(実施形態8)
図14(a)は発明の実施形態8に係るオゾン分解装置8の構成を示した概略断面図である。図14(b)はオゾン分解装置のA−A断面図である。図14(c)はオゾン分解装置のB−B断面図。
【0158】
オゾン分解装置8は筐体111と配管112,117と光透過板113とガス流迂回板114a,114bと紫外光光源116とを備える。
【0159】
筐体61は図14(a)及び図14(c)に示されたように光を漏洩させないようにアルミニウム材、SUSに例示される金属材によって直方体の箱型に形成されている。筐体111の内面は研磨されることで紫外光反射強度が高められている。筐体111の材料にアルミニウム材を用いた場合、紫外光の反射率が高いが、さらに筐体111の内面を電界研磨等によって鏡面加工すると光の反射率が高まる。
【0160】
配管112はオゾンガスを導入するための配管である。配管112は筐体111の上流側端部の上辺付近に気密に接続されている。一方、配管117は筐体111内に滞留するオゾン分解処理ガスを排出するための配管である。配管117は筐体111の下流側端部の下辺付近に気密に接続されている。
【0161】
光透過板113は紫外光光源116から照射された紫外光をオゾンガスに供するための部材である。光透過板113は紫外光光源116を有する光源空間とガス流迂回板114a,114bを有するガス流空間が形成されるように筐体111内に設置される。すなわち、光透過板113と筐体111との間にはOリングに例示される封止部材115を介在させることで前記ガス流空間からの気体の漏洩が防止されている。
【0162】
ガス流迂回板114a,114bは筐体111内のガス流を制御するためのガス流迂回部材である。紫外光光源116から照射された紫外光を透過する材質(例えば合成石英、F系結晶材等)からなる。ガス流迂回板114a,114bの全長は筐体111内の空間の全長よりも小さく設定されている。ガス流迂回板114a,114bは光透過板113よりも上位且つこれと平行に設置されている。特に、ガス流迂回板114aは図14(a)に示されたように配管112の接続部位よりも低位であると共に筐体111の底面及び光透過板113の面と垂直に配置され、且つ筐体111の下流側端部の内面と離間するように設置されている。一方、ガス流迂回板114bは配管117の接続部位よりも高位であると共に筐体111の底面、ガス流迂回板114aと平行である一方で光透過板113の面と垂直に配置されている。また、ガス流迂回板114bは図14(b)に示したように筐体111の上流側端部の内面と離間するように設置されている。光透過板114a,114bは光透過管53と同様に紫外光を透過する材料(例えば合成石英、F系結晶材等)で構成される。尚、当然であるがガス流迂回板114a,114bと筐体61の内面とは気密に接続されている。
【0163】
このようにガス流迂回部材114a,114bが設置されることで図14(a)に示された矢印のようにガス流が生じ、ガス流路長(オゾンガスの滞留時間)が長く確保される。ガス流迂回板114a,114bを設けるとガスの滞留時間はガス流路長がない場合に比べて3倍になる。ガス流迂回板114の数は特に制限しない。つまり、折り返し構造を複数設置すれば、流路長を5倍、7倍、・・・と任意に設定できる。また、ガス流迂回部材114a,114bによって形成されるガス流路の高さは同一に設定する必要はない。ガス流路の高さを個別に設定することにより各ガス流路でのガス流速が任意に調整可能となる。
【0164】
紫外光光源116はその発光波長帯の制約、発振型及び設置数は実施形態1で述べた紫外光光源と同様の趣旨である。紫外光光源116は直管型のものが採用されている。紫外光光源116は筐体111の内側面の長手方向に沿って着脱自在に設置される。
【0165】
オゾン分解装置6〜8はオゾン分解装置3と同様にオゾンガスが滞留する筐体81が直方体構造となっているのでオゾン分解装置1,2と比べて材料加工手間が大幅軽減する。また、ガス流迂回部材が円筒状でなく板状となっているので、材料費及び加工費が大幅に低減する。さらに、ガス流迂回部材は光不透過材で構成されているので、光透過材料の使用量の低減ができる。また、紫外光光源は筐体の底面付近に配置されており、取り扱い易い部位に設置されているので、交換作業の利便性が向上する。さらに、紫外光光源がガス流迂回路の上方または側面に配置されることで前記光源からの光が光透過板一枚透過するだけでオゾンガスに到達することができるので、光透過板による光減衰の影響が少ない。
【0166】
以上説明した実施形態1〜8に係るオゾン分解装置はオゾン濃度が0.1〜100%であるオゾンガスに対応できる。また、紫外光光源以外に消耗品を必要としない保守性に優れる。オゾンが分解されるにあたり酸素以外の反応副生成物が生成しないいので半導体全般におけるオゾンを使ったプロセスに対して清潔且つ安全に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】(a)発明の第一の実施形態に係るオゾン分解装置の概略断面図,(b)オゾン分解装置のA−A断面図,(c)オゾン分解装置のB−B断面図。
【図2】発明の実施形態に係るプロセスシステムのシステム構成図。
【図3】発明の実施形態に係るプロセスシステムに具備されたオゾン濃度計の概略構成図。
【図4】発明の実施形態に係るオゾン分解装置の紫外光光源の光強度(紫外光照度)とオゾン分解装置の下流側のオゾン濃度との関係を示した特性図。
【図5】オゾンガス流速とオゾン分解装置の下流側のオゾン濃度との関係を示した特性図。
【図6】熱分解式オゾン分解系と光分解式オゾン分解系の温度依存性(温度条件と各オゾン分解系の下流側のオゾン濃度との関係)を示した特性図。
【図7】熱分解式オゾン分解系と光分解式オゾン分解系のオゾンガス流量依存性(オゾンガス流量と各オゾン分解系の下流側のオゾン濃度との関係)を示した特性図。
【図8】(a)発明の第二の実施形態に係るオゾン分解装置の構成を示した概略断面図,(b)オゾン分解装置のA−A断面図,(c)オゾン分解装置のB−B断面図。
【図9】(a)発明の第三の実施形態に係るオゾン分解装置の構成を示した概略断面図,(b)オゾン分解装置のA−A断面図,(c)オゾン分解装置のB−B断面図。
【図10】発明の第四の実施形態に係るオゾン分解装置の構成を示した概略断面図。
【図11】(a)発明の第五の実施形態に係るオゾン分解装置の構成を示した概略断面図,(b)オゾン分解装置のA−A断面図,(c)オゾン分解装置のB−B断面図。
【図12】(a)発明の第六の実施形態に係るオゾン分解装置の構成を示した概略断面図,(b)オゾン分解装置のA−A断面図,(c)オゾン分解装置のB−B断面図。
【図13】(a)発明の第七の実施形態に係るオゾン分解装置の構成を示した概略断面図,(b)オゾン分解装置のA−A断面図。
【図14】(a)発明の第八の実施形態に係るオゾン分解装置の構成を示した概略断面図,(b)オゾン分解装置のA−A断面図,(c)オゾン分解装置のB−B断面図。
【符号の説明】
【0168】
1…プロセスシステム
14,2,3,4,5,6,7,8…オゾン分解装置
41,51,61,71,81,91,101,111…筐体
43,56,66,73,74,86,96,106,116…紫外光光源
44,53,54a,54b,76…光透過管(光透過部材)、76a,76b…管部
46,77,84,94,104,114…ガス流迂回板(ガス流迂回部材)
63,64a,64b,83,93,103,113…光透過板(光透過部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾンガスを流通させるガス流路と、
このガス流路内のオゾンガスのガス流に対して紫外光を透過させる光透過部材と、
前記ガス流を迂回させるガス流迂回部材と
を備えたこと
を特徴とするオゾン分解装置。
【請求項2】
前記光透過部材は円筒状を成すと共に円筒状の筐体内に同軸に格納され、
前記ガス流迂回部材は前記ガス流路内に複数配置されたこと
を特徴とする請求項1に記載のオゾン分解装置。
【請求項3】
前記光透過部材は円筒状を成し、
前記ガス流路は前記光透過部材が円筒状の筐体内に同軸に格納されたことで形成され、
前記ガス流迂回部材は前記紫外光を透過させる材料からなると共に円筒状を成し、
前記ガス流迂回部材は前記ガス流路内に前記筐体と同軸に複数設けられたこと
を特徴とする請求項1に記載のオゾン分解装置。
【請求項4】
前記光透過部材及びガス流迂回部材は板状を成し、
前記ガス流路は前記光透過部材が直方体状の筐体内に設けられたことで形成され、
前記ガス迂回部材はその主面が前記光透過部材の主面と平行となるように前記ガス流路内に複数配置されること
を特徴とする請求項1に記載のオゾン分解装置。
【請求項5】
前記光透過部材は異径の管路を成し、
この管路の下流側管部は上流側管部よりも大径となっており、
前記下流側管部に照射される紫外光の照度は前記上流側管部に照射される紫外光よりも高く制御されること
を特徴とする請求項1に記載のオゾン分解装置。
【請求項6】
前記光透過部材及びガス流迂回部材は板状を成し、
前記ガス流路は前記光透過部材が直方体状の筐体内に設けられたことで形成され、
前記ガス迂回部材はその主面が前記光透過部材の主面と垂直となるように前記ガス流路内に複数配置されること
を特徴とする請求項1に記載のオゾン分解装置。
【請求項7】
前記筐体の内面は鏡面処理されたことを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載のオゾン分解装置。
【請求項8】
オゾンガスを用いて基板の酸化処理を行うプロセスシステムにおいて、
前記基板の酸化処理に供したオゾンガスが供給される請求項1から7のいずれか1項に記載のオゾン分解装置を備えたことを特徴とするプロセスシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−206474(P2009−206474A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222501(P2008−222501)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】