説明

カナクギノキ由来抽出物、分画物または、化合物を含有する皮膚美白用組成物

本発明は、カナクギノキ由来抽出物、分画物または、化合物を含有する皮膚美白用組成物に関し、より詳細にはカナクギノキをエタノールで抽出して得たエタノール抽出物、それから得た溶媒分画物または、それから分離精製した化合物を有効成分とする皮膚美白用組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カナクギノキ由来抽出物、分画物または、化合物を含有する皮膚美白用組成物に関し、より詳細にはカナクギノキをエタノールで抽出して得たエタノール抽出物、それから得た溶媒分画物または、それから分離精製した化合物を有効成分とする皮膚美白用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
天然物からの生理活性物質に関する研究が活発に進行しており、疾病に対する治療および予防剤または、健康補助剤として植物資源が広く用いられている。天然抗酸化剤としては、α−トコフェロール、ビタミンC、カロテノイド、フラボノイドなどが知られているが、このような抗酸化効果がある物質などは、動植物に広く分布しており、特に多くの研究が行われた分野は、植物由来物質である。植物由来の2次代謝産物などは、自由遊離基(free radical)と活性酸素の生成を抑制且つ除去して酸化による細胞損傷を防止するということが生体実験の結果、明らかになった。
【0003】
現在まで報告された殆どの天然抗酸化剤は、植物から由来したものであって、主にポリフェノール化合物であると知られており、特にフラボノイドは、脂質の酸化、活性酸素の消去および酸化的ストレスを防ぐ役割をすることによって、老化防止、癌および心臓疾患などを予防且つ遅延する効果があるため、現時の食品、医薬品、化粧品など多くの分野で活用されている。また、メラニン(melanin)は、紫外線から生体を保護する重要な防御手段として動物、植物、および微生物に広く存在するフェノール類の高分子天然色素である。
【0004】
メラニンは、紫外線、乾燥、極限温度などに対する生存能力を高め、コーヒー、お茶、タバコなどの品質を向上させるが、過度なメラニン合成は、人体にシミ、ソバカス、皮膚斑点を形成し、皮膚老化を促進し、皮膚癌の誘発に関与するものとして知られている。メラニン色素の生合成は、チロシナーゼ酵素をはじめとして様々な酵素などによって調節されており、そのうち、チロシナーゼは、チロシンを基質としてL−ドパキノンに転移する初期生合成の過程以後にジヒドロキシインドールの酸化に作用する。したがって、チロシナーゼ活性抑制剤を見付ける研究が美白剤の開発において重要な部分を占めており、現在に続けて知られているチロシナーゼ阻害剤として、ヒドロキノン(hydroquinone)、4−ヒドロキシアニソール(4-hydroxyanisole)、アスコルビン酸誘導体、コウジ酸、アゼライン酸(azelaic acid)、コルチコステロイド(corticosteroid)、レチノイド類、アルブチン(arbutin)、カテキン、3,4,5−トリメトキシシンナマートチモールエステル(3,4,5-trimethoxy cinnamate thymol ester)などがあるが、それらの安全性と経済性などに問題が多くて使用において困難さがある。
【0005】
カナクギノキ(Lindera erythrocarpa)は、クスノキ科(Lauraceae)の植物であって、世界的に45属1,500種余りが分布し、大韓民国には6属12種が自生していることが知られている。カナクギノキは、雌雄異株で4月から5月に淡い黄色の花が咲き、9月に8mm程度の赤色実が実る。大韓民国の南部地方をはじめとして日本、中国の暖かい地域に自生する高さ5mの落葉樹である。乾燥された実は、特異な芳香と苦味を有しており、日本では胃腸薬と神経痛の鎮痛剤として使用されている。また、カナクギノキの葉と実から抽出したエタノール抽出物と、シクロペンタジオン系化合物中の一つであるルシドン(lucidone)は、高い抗炎効果を奏すると報告され(Wang et al.,2008)、カナクギノキから分離したシクロペンタジオン化合物は、抗癌効果を有すると報告された(Oh et al.,2005;大韓民国特許10-0658519号)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、カナクギノキ抽出物、その溶媒分画物または、それから分離精製したシクロペンタジオン化合物または、その誘導体を有効成分として含有する皮膚美白用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これに本発明者らは、前記のようなことに鑑みて大韓民国の済州道のカナクギノキ(Lindera erythrocarpa)を用いてエタノール抽出物、溶媒による順次分画物およびシクロペンタジオン化合物または、その誘導体を得て抗酸化活性を検索し、B16F10マウスメラノーマ細胞およびRAW264.7細胞を処理してメラニン生合成抑制活性を調査することによって、それらが皮膚美白機能性化粧料、食品または、薬学的組成物の有用資源として活用可能性があることを確認することによって本発明を完成することになった。
【発明の効果】
【0008】
本発明のカナクギノキ由来抽出物、分画物または、化合物を含有する皮膚美白用組成物は、シクロペンタジオン化合物または、その誘導体を有効成分として含有することによって、既に美白剤として知られていたアルブチン(arbutin)より更に高いメラニン阻害活性を見せる非常に優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明によりカナクギノキからエタノール抽出物およびその溶媒分画物を得る過程を簡略に示したフローチャートである。
【図2】図2は、本発明のカナクギノキエタノール抽出物に対するHPLC分析結果を示したものである。
【図3】図3は、本発明のカナクギノキエタノール抽出物のn−ヘキサン分画に対するHPLC分析結果を示したものである。
【図4】図4は、本発明のカナクギノキエタノール抽出物の塩化メチレン分画に対するHPLC分析結果を示したものである。
【図5】図5は、本発明のカナクギノキエタノール抽出物のエチルアセテート分画に対するHPLC分析結果を示したものである。
【図6】図6は、本発明のカナクギノキエタノール抽出物のn−ブタノール分画に対するHPLC分析結果を示したものである。
【図7】図7は、本発明のカナクギノキエタノール抽出物の水分画に対するHPLC分析結果を示したものである。
【図8】図8は、化合物1の定量分析のための高性能液体クロマトグラフィーの結果である。
【図9】図9は、化合物1のH、13C−NMRスペクトラムを示したものである。
【図10】図10は、化合物2の定量分析のための高性能液体クロマトグラフィーの結果である。
【図11】図11は、化合物2のH、13C−NMRスペクトラムを示したものである。
【図12】図12は、化合物3の定量分析のための高性能液体クロマトグラフィーの結果である。
【図13】図13は、化合物3のH、13C−NMRスペクトラムを示したものである。
【図14】図14は、化合物4の定量分析のための高性能液体クロマトグラフィーの結果である。
【図15】図15は、化合物4のH、13C−NMRスペクトラムを示したものである。
【図16】図16は、化合物5の定量分析のための高性能液体クロマトグラフィーの結果である。
【図17】図17は、化合物5のH、13C−NMRスペクトラムを示したものである。
【図18】図18は、化合物6の定量分析のための高性能液体クロマトグラフィーの結果である。
【図19】図19は、化合物6のH、13C−NMRスペクトラムを示したものである。
【図20】図20は、化合物7の定量分析のための高性能液体クロマトグラフィーの結果である。
【図21】図21は、化合物7のH、13C−NMRスペクトラムを示したものである。
【図22】図22は、化合物8の定量分析のための高性能液体クロマトグラフィーの結果である。
【図23】図23は、化合物8のH、13C−NMRスペクトラムを示したものである。
【図24】図24は、化合物9の定量分析のための高性能液体クロマトグラフィーの結果である。
【図25】図25は、化合物9のH、13C−NMRスペクトラムを示したものである。
【図26】図26は、B16F10細胞でカナクギノキエタノール抽出物とその溶媒分画物が表する細胞生存率を示すグラフである。この時のデータは、3回測定した後に得た平均±SD値である。
【図27】図27は、B16F10細胞でカナクギノキエタノール抽出物とその溶媒分画物が表するメラニン生成阻害活性を示すグラフである。この時のデータは、3回測定した後に得た平均±SD値である。
【図28】図28は、B16F10細胞でカナクギノキエタノール抽出物とその溶媒分画物が表する細胞チロシナーゼ阻害活性を示すグラフである。この時のデータは、3回測定した後に得た平均±SD値である。
【図29】図29は、B16F10細胞でルシドンが表する細胞生存率を示したグラフである。この時のデータは、3回測定した後に得た平均±SD値である。
【図30】図30は、B16F10細胞でメチルリンデロンが表する細胞生存率を示すグラフである。この時のデータは、3回測定した後に得た平均±SD値である。
【図31】図31は、B16F10細胞でカナクギオールが表する細胞生存率を示すグラフである。この時のデータは、3回測定した後に得た平均±SD値である。
【図32】図32は、B16F10細胞でルシドンが表するメラニン生成抑制活性を示すグラフである。この時のデータは、3回測定した後に得た平均±SD値である。
【図33】図33は、B16F10細胞でメチルリンデロンが表するメラニン生成抑制活性を示すグラフである。この時のデータは、3回測定した後に得た平均±SD値である。
【図34】図34は、B16F10細胞でカナクギオールが表するメラニン生成抑制活性を示すグラフである。この時のデータは、3回測定した後に得た平均±SD値である。
【図35】図35は、B16F10細胞でルシドンが表するチロシナーゼ阻害活性を示すグラフである。この時のデータは、3回測定した後に得た平均±SD値である。
【図36】図36は、本発明のカナクギノキ由来の化学式10の化合物がB16F10細胞の細胞生存率に及ぼす影響を示すグラフである。
【図37】図37は、本発明のカナクギノキ由来の化学式10の化合物がB16F10細胞でメラニン生成抑制に及ぼす影響を示したグラフである。
【図38】図38は、本発明のカナクギノキ由来の化学式10の化合物がB16F10細胞でチロシナーゼ、TRP−1およびTRP−2遺伝子の発現を抑制する様相を示したものである。この時、Cは対照区を、Arbはアルブチンを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一つの態様として、本発明は、カナクギノキ抽出物または、その溶媒分画物を有効成分として含有する皮膚美白用組成物を提供する。
【0011】
本発明において、前記カナクギノキ抽出物は、水、エタノール、メタノールのような低級アルコールまたは、それらの混合溶媒から選択された溶媒、好ましくは、エタノールで抽出したものを含む。また、本発明において、前記抽出物には、抽出処理によって得られる抽出液、抽出液の希釈液または、濃縮液、抽出液を乾燥して得られる乾燥物、または、それらの粗精製物または、精製物のうち、いずれか一つも含むことにする。
【0012】
本発明の一実施例として、前記カナクギノキ抽出物は、カナクギノキを熱風乾燥し、粉砕して得た粉砕物を70%のエタノールに沈積させて3日間室温で撹拌して浸出し、ろ過した後、減圧濃縮することによって収得することができる。
【0013】
本発明において、カナクギノキ抽出物の溶媒分画物は、カナクギノキ抽出物を蒸溜水に懸濁した後、非極性溶媒からn−ヘキサン(n-hexane;n-Hex)、塩化メチレン(methylene chloride;CH2Cl2)、エチルアセテート(ethyl acetate;EtOAc)、およびn−ブタノール(n-butanol;n-BuOH)を用いて分画することによって収得することができる。
【0014】
本発明の一実施例として、カナクギノキ抽出物の溶媒分画物は、カナクギノキエタノール抽出物を蒸溜水に懸濁し、分液ロートで非極性溶媒からn−ヘキサン(n-Hex)、塩化メチレン(CH2Cl2)、エチルアセテート(EtOAc)、n−ブタノール(n-BuOH)を用いて分画した後、ろ過、減圧濃縮して、それぞれ溶媒別に分画物を得た。
【0015】
他の一つの態様として、本発明は、下記化学式1〜10で表される化合物よりなる群から選択される1種以上の化合物を有効成分として含有する皮膚美白用組成物を提供する。
【0016】
【化1】

【0017】
【化2】

【0018】
【化3】

【0019】
【化4】

【0020】
【化5】

【0021】
【化6】

【0022】
【化7】

【0023】
【化8】

【0024】
【化9】

【0025】
【化10】

【0026】
本発明において、前記化合物などは、カナクギノキから分離精製して使用することができる。また、本発明において、前記化合物のうち、化学式10の化合物を除いては市販の製品を入手して使用するか、公知の合成方法によって製造して使用することもできる。
【0027】
本発明の好ましい態様として、本発明の組成物は、化粧料組成物である。
【0028】
本発明の化粧料組成物に含まれる成分は、有効成分としてのカナクギノキ抽出物、その溶媒分画物または、それから分離した化合物以外に化粧品組成物に通常的に用いられる成分などを含み、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料および香料のような通常的な補助剤、および、担体を含むことができる。また、前記化粧料組成物は、その効果を増進させるために皮膚吸収促進物質を更に含むことができる。
【0029】
本発明の化粧料組成物は、当業界における通常的に製造されるどんな剤形としても製造されることができ、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤−含有クレンジング、オイル、粉末ファウンデーション、乳濁液ファウンデーション、ワックスファウンデーション、および、スプレーなどで剤形化されることができ、これに限られない。具体的には、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、スプレーまたは、パウダーの剤形で製造され得る。
【0030】
本発明の剤形がペースト、クリームまたは、ゲルの場合には、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは、酸化亜鉛などが利用され得る。
【0031】
本発明の剤形がパウダーまたは、スプレーの場合には、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、ケイ酸カルシウムまたは、ポリアミドパウダーが用いられ、特にスプレーの場合には、更にフロン(chlorofluorohydrocarbon)、プロパン/ブタンまたは、ジメチルエーテルのような推進剤を含むことができる。
【0032】
本発明の剤形が溶液または、乳濁液の場合には、担体成分として溶媒、溶解化剤または、乳濁化剤が用いられ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカルボナート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジル安息香酸、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタン脂肪酸エステルがある。
【0033】
本発明の剤形が懸濁液の場合には、担体成分として水、エタノールまたは、プロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガーまたはトラガントなどが利用され得る。
【0034】
本発明の剤形が界面活性剤含有クレンジングの場合には、担体成分として脂肪族アルコールスルフェート、脂肪族アルコールエーテルスルフェート、スルフォコハク酸モノエステル、イセチオン酸塩、イミダゾールリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシン、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体またはエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが利用され得る。
【0035】
本発明の好ましい態様として、本発明の組成物は、薬剤学的組成物である。
【0036】
本発明の組成物が薬剤学的組成物として製造される場合、本発明の薬剤学的組成物は、薬剤学的に許容される担体を含む。本発明の薬剤学的組成物に含まれる薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通常的に用いられるものとして、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルジネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウムおよびミネラルオイルなどを含み、これに限られない。本発明の薬剤学的組成物は、前記成分など以外に潤滑剤、湿潤制、甘美剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などを更に含むことができる。
【0037】
本発明の薬剤学的組成物は、経口または、非経口などの様々な経路で投与することができ、例えば、経口または、経皮によって投与することができる。しかし、好ましくは、非経口投与のうち、経皮投与、より好ましくは、塗布による局所投与(topical application)経路に適用される。
【0038】
本発明の薬剤学的組成物の適合した投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性、病的状態、飲食、投与時間、投与経路、排泄速度および反応感応性のような要因などに応じて様々に処方され得る。本発明のカナクギノキ抽出物、その溶媒分画物または、それから分離した化合物は、経口型剤形の場合、成人基準として5〜30mg/kg、好ましくは10mg/kgの量で1日当り1回〜数回投与することができ、外用剤の場合には、成人基準として1日当り1.0〜3.0mlの量で1日当り1回〜5回塗布して1ヶ月以上続けるのが良い。
【0039】
本発明の薬剤学的組成物は、当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができる方法により、薬剤学的に許容される担体および/または、賦形剤を用いて製剤化することによって単位容量形態で製造されるかまたは、多容量容器内に内入させて製造され得る。この時、剤形は、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルション、シロップ、エアロゾルなどの経口型剤形、軟膏、クリームなどの外用剤などをはじめとして薬剤学的製剤に適合したどんな形態でも使用することができ、分散剤または、安定化剤を更に含むことができる。
【0040】
本発明の好ましい態様として、本発明の組成物は、食品組成物である。
【0041】
本発明の組成物が食品組成物として製造される場合、有効成分としてカナクギノキ抽出物、その分画物または、それから分離した化合物だけでなく、食品製造時に通常的に添加される成分を含み、例えば、蛋白質、炭水化物、脂肪、栄養素、調味剤および香味剤を含む。前述した炭水化物の例としては、モノサッカライド、例えば、ブドウ糖、果糖など;ジサッカライド、例えば、マルトース、スクロース、オリゴ糖など;およびポリサッカライド、例えば、デキストリン、シクロデキストリンなどのような通常の糖およびキシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールである。香味剤として天然香味剤[タウマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウディオサイドA、グリチルリジンなど)]および合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を使用することができる。
【0042】
他の一つの態様として、本発明は、下記化学式10の化合物を提供する。
【0043】
【化11】

【0044】
本発明において、前記化学式10の化合物は、カナクギノキから分離することができ、好ましくはカナクギノキの薄皮部分から分離することができる。
【0045】
他の一つの態様として、本発明は、カナクギノキから化学式10の化合物の分離方法を提供する。
【0046】
【化12】

【0047】
好ましい態様として、前記化学式10の化合物の分離方法は、下記の段階を含むことができる:
カナクギノキを水、C〜Cの低級アルコールまたは、それらの混合溶媒から選択された溶媒で抽出してカナクギノキ抽出物を得る段階;
前記カナクギノキ抽出物をヘキサン、塩化メチレン、エチルアセテートおよびブタノールで分画して各溶媒分画物を得る段階;
前記カナクギノキ溶媒分画物を、溶出溶媒としてヘキサンとエチルアセテートを溶媒グラジエントとして用いて、1次シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って分画する段階;および
前記1次シリカゲルカラムクロマトグラフィー分画物を、溶出溶媒としてヘキサンとエチルアセテートとの混合溶媒を用いて2次シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って、化学式10の新規ポリメトキシフェノール化合物を分離する段階。
【0048】
本発明において、前記カナクギノキは、カナクギノキの薄皮部分である。
【0049】
本発明において、前記カナクギノキ抽出物は、水、エタノール、メタノールのようなC〜Cの低級アルコールまたは、それらの混合溶媒から選択された溶媒、好ましくはエタノールで抽出して得ることができる。また、本発明において、前記抽出物には、抽出処理によって得られる抽出液、抽出液の希釈液または、濃縮液、抽出液を乾燥して得られる乾燥物、または、それらの粗精製物または、精製物のうち、いずれか一つを含むことができる。
【0050】
本発明の一実施例として、前記カナクギノキ抽出物は、カナクギノキを熱風乾燥し、粉砕して得た粉砕物を70%のエタノールに沈積させて3日間室温で撹拌して浸出し、ろ過した後、減圧濃縮することによって収得することができる。
【0051】
本発明において、カナクギノキ抽出物の溶媒分画物は、カナクギノキ抽出物を蒸溜水に懸濁した後、非極性溶媒からn−ヘキサン(n-hexane;n-Hex)、塩化メチレン(methylene chloride;CH2Cl2)、エチルアセテート(ethyl acetate;EtOAc)、およびn−ブタノール(n-butanol;n-BuOH)を用いて分画することによって収得することができる。
【0052】
本発明の一実施例として、カナクギノキ抽出物の溶媒分画物は、カナクギノキエタノール抽出物を蒸溜水に懸濁し、分液ロートで非極性溶媒からn−ヘキサン(n-Hex)、塩化メチレン(CH2Cl2)、エチルアセテート(EtOAc)、n−ブタノール(n-BuOH)を用いて分画した後、ろ過、減圧濃縮して、それぞれ溶媒別に分画物を得た。
【実施例】
【0053】
以下、実施例を介して本発明の構成および効果をさらに具体的に説明しようとするが、これらの実施例は本発明の例示的な記載だけであり、本発明の範囲がこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0054】
実施例1:カナクギノキ抽出物の製造
本実施例において用いられた植物試料のカナクギノキ(Lindera erythrocarpa)は、大韓民国の(財)済州ハイテク産業振興院抽出物銀行から分譲を受けて使用した。
先ず、カナクギノキ(Lindera erythrocarpa Makino.)を流水で洗浄した後、3日間40℃で熱風乾燥して粉砕機で粉砕した。乾燥された試料200gを70%エタノールに沈積させて3日間室温で撹拌して浸出し、この浸出物をろ過器でろ過し、浸出ろ過過程を3回再び繰り返した後、このろ過液を減圧濃縮することによって60gのエタノール抽出物を収得した。
【0055】
実施例2:カナクギノキ抽出物由来溶媒分画物の分離
本実施例において試料の抽出に用いた溶媒などは、Merk Co.、Junsei Co.、Hyman Co.社の製品を使用した。
カナクギノキのエタノール抽出物に対する溶媒分画は、下記のように行った。
先ず、前記実施例1で製造したカナクギノキエタノール抽出物(70% ethanol extract)60gのうち、42gを蒸溜水に懸濁して、分液ロートを用い、n−ヘキサン(n-Hex)、塩化メチレン(CH2Cl2)、エチルアセテート(EtOAc)、n−ブタノール(n-BuOH)を使用して分画した後、ろ過、減圧濃縮して、それぞれ溶媒別に分画物n−Hex 8.56g、CHCl 1.47g、EtOAc 4.14g、n−BuOH 10.2g、HO 14.58gを得た(図1参照).
前記のように得た各抽出物および分画物に対してHPLC分析を行った。 その結果を図2〜図7に示した。
【0056】
以後の実験では、粉末としたヘキサンと塩化メチレン、エチルアセテートの分画物は、100%エタノールに溶かし、ブタノールおよび水分画物は、100%エタノールと1×リン酸緩衝生理食塩水(Phosphate Buffered Saline:PBS,pH 7.4)を1:1で混合した溶媒を加えて完全に溶解させた後、ろ過して使用した。
【0057】
実施例3:カナクギノキエタノール抽出物の溶媒分画物から化合物の分離および構造の同定
エチルアセテート分画層(4.0g)を、セライトを用い、塩化メチレン、エチルエーテル、エチルアセテート、アセトンを用いて分画を分け、そのうち、エチルエーテル分画物を用いて、順相シリカゲルにてクロロホルムとメタノールを展開溶媒として使用して分画を分け、そのうち、分画−5より順相シリカゲルにてクロロホルムとメタノールを用いて分画−1で化合物1を、分画−3で化合物2を得た。分画−2より、Prep−HPLCを用いて30%メタノール水溶液を使用して化合物3と化合物4を得た。
【0058】
塩化メチレン分画層(2.53g)を持って順相シリカゲルにてヘキサンとエチルアセテートを溶媒グラジエント条件として使用して、10個の分画を得た。分画−2を、順相シリカゲルを使用してヘキサンとエチルアセテートを展開溶媒として精製して、化合物5を得、分画−5より順相シリカゲルを使用してクロロホルムとメタノールを展開溶媒として化合物6を得た。分画−6より再結晶法を用いて化合物7を得、分画−7より再結晶法を用いて化合物8を得た。分画−8より順相シリカゲルを使用してクロロホルムとメタノールを展開溶媒として2個の分画を得、そのうち、分画−8−2で化合物9を得た。得られた9個の化合物はHPLC分析およびNMRを用いて確認した結果、純粋に分離されたことを確認した。
【0059】
最終的に、カナクギノキの葉200gを70%エタノールで抽出して抽出物60gを得て、それから9個の化合物を純粋に分離精製した。
【0060】
分離した各分画物および化合物に対する収率は下記の表1の通りであった。
【0061】
【表1】

【0062】
核磁気共鳴器(Bruker Co.500MHz,NMR)を用いてH、13C、COSY、HMQC、HMBCスペクトラムを得、それらのスペクトラムを総合的に分析して構造を決め、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて定量分析を行った。
各化合物の高性能液体クロマトグラフィーの結果とH、13C−NMRスペクトラムを図8〜図25に示した。
その結果、化合物1は、下記化学式1のケルセチン(quercetin)と同定された。
【0063】
【化13】

【0064】
化合物2は、下記化学式2のクエルシトリン(quercitrin)と同定された。
【0065】
【化14】

【0066】
化合物3は、下記化学式3のケンフェロール3−O−ラムノピラノシド (kaempferol-3-O-rhamnopyranoside)と同定された。
【0067】
【化15】

【0068】
化合物4は、下記化学式4のケルセチン3−O−アラビノフラノシド(quercetin-3-O-arabinofuranoside)と同定された。
【0069】
【化16】

【0070】
化合物5は、下記化学式5のコーヒー酸エチルエステル(caffeic acid ethyl ester)と同定された。
【0071】
【化17】

【0072】
化合物6は、下記化学式6の桂皮酸メチルエステル(cinamic acid methyl ester)と同定された。
【0073】
【化18】

【0074】
化合物7は、下記化学式7のルシドン(lucidone)と同定された。
【0075】
【化19】

【0076】
化合物8は、下記化学式8のメチルリンデロン(methyl linderone)と同定された。
【0077】
【化20】

【0078】
化合物9は、下記化学式9のカナクギオール(kanakugiol)と同定された。
【0079】
【化21】

【0080】
実験例1:本発明のカナクギノキ抽出物および分画物の抗酸化活性測定
1)1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)自由遊離基消去実験
電子供与能(electron donating ability)測定は、Blosis方法によるDPPH自由遊離基消去法に応じて測定した。すなわち、エタノールに溶かした様々な濃度の試料を96ウェルプレート(Well Plate)に100μlずつ分取し、0.4mMのDPPH溶液を同量添加して室温で10分間放置した後、517nmで吸光度を測定した。この時、陽性対照群としては、ブチル化ヒドロキシアニソール (butylated hydroxy anisole,BHA)を使用した。DPPH自由遊離基消去活性は下記の数学式1から算出し、DPPHの吸光度が50%減少する時に表される試料の濃度(IC50)で示した。
【0081】
【数1】

【0082】
前記の式において、
sample=試料を添加した反応液の吸光度であり、
control=試料の代わりにエタノールを添加した反応液の吸光度である。
【0083】
カナクギノキのエタノール抽出物と順次分画物の抗酸化活性に対する結果を下記の表2に示した。DPPHの自由遊離基消去活性は、エタノール抽出物と順次分画物のいずれも処理濃度に応じて濃度依存的に増加した。順次分画物のうち、エチルアセテート分画物でDPPHの自由遊離基消去活性の対照群であるBHAより高い活性を示し、塩化メチレンとヘキサン分画物を除いた残りの分画物なども顕著に良い活性を有しており、この時のIC50値は、それぞれ7.43μg/ml(エチルアセテート)、16.88μg/ml(エタノール)、18.54μg/ml(ブタノール)、66.77μg/ml(水)と示された(表2)。
【0084】
2)キサンチン酸化酵素抑制および過酸化物消去活性測定
キサンチン酸化酵素(xanthine oxidase)による尿酸(uric acid)生成は、290nmで増加した吸光度によって測定し、対照群としてアロプリノール(allopurinol)(Sigma)を使用した。過酸化物(superoxide)の量は、ニトロブルーテトラゾリウム(nitroblue tetrazolium,NBT)還元方法によって560nmで測定した。反応液は、各試料の様々な濃度と0.5mMのキサンチンと1mMのEDTAを200mMのリン酸塩緩衝液(phosphate buffer)(pH 7.5)100μlで用意し、50mU/mlキサンチン酸化酵素を添加して尿酸の生成を誘導した。過酸化物消去活性は、前記の反応液に0.5mMのNBTを添加して反応させた。キサンチン酸化酵素抑制および過酸化物消去活性は、それぞれ生成された尿酸と過酸化物の吸光度が50%減少する時に表される試料の濃度(IC50)で示し、各試料は、3回繰返し実験の後に平均値を求めた。
【0085】
カナクギノキエタノール抽出物および順次分画物のキサンチン酸化酵素抑制活性および過酸化物ラジカル(superoxide radical)消去活性に対する結果も表2に示した。カナクギノキエタノール抽出物および順次分画物のいずれも濃度依存的にキサンチン酸化酵素抑制活性を示し、ヘキサン分画物(>1000ug/ml)と塩化メチレン(IC5086.21μg/ml)は、多少低い活性を示したが、他の分画物などのIC50値は5.55〜9.79μg/mlで高い抑制活性を示した(表2)。また、過酸化物ラジカル消去活性においてもIC50値は、それぞれ16.86μg/ml(エチルアセテート)と示され、対照群のアロプリノール(IC50=3.82μg/ml)に比べて僅かに低い活性を示した(表2)。
【0086】
このような効果は、すでに報告されたように、脂質の酸化、活性酸素の消去および酸化的ストレスを防ぐ役割をすることによって、老化防止、癌および心臓疾患などを予防且つ遅延する効果で、現時の食品、医薬品、化粧品など多くの分野においてこれらの効果を活用している。したがって、カナクギノキは抗酸化効果を基にして判断すると、生体内で生じる多くの酸化的なストレスおよび損傷の予防に有用に使用され得る。
【0087】
【表2】

【0088】
実験例2:本発明のカナクギノキ抽出物および分画物のMTTアッセイ(assay)を用いた細胞毒性測定
本実験例に使用されたB16F10マウスメラノーマ細胞は、米国細胞株銀行(ATCC)から分譲を受けた。B16F10細胞を10%ウシ胎児血清(fetal bovine serum)(FBS,Gibco)、1%抗生剤(Antibiotic-Antimycotic)(Gibco)、L−グルタミンと炭酸水素ナトリウム(sodium bicarbonate)が含有されたDMEM培地(Gibco)を使用して37℃、5%CO細胞培養器で培養した。また、RAW 264.7細胞は、マウスの大食細胞細胞株(murine macrophage cell line)であって、KCLB(Korean Cell Line Bank)から分譲を受けて10%FBSと100unit/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンが含まれたDMEM培地(Gibco)を使用して37℃、5%CO細胞培養器で培養した。
【0089】
B16F10細胞を24ウェルプレートにウェル当たり2×10個の細胞を接種し、24時間の間37℃、5%CO細胞培養器で培養した後、試料をそれぞれのウェルに12.5μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、および、100μg/mlの濃度で処理して72時間培養した。それに2mg/mlの濃度で製造したMTT溶液200μlを添加して同様の培養条件で4時間培養し、培地を除去して細胞をPBSで2回洗浄した。各ウェル当たりDMSO200μlを加えてELISA reader(μQuant,USA)を用いて570nmで吸光度を測定した。
【0090】
カナクギノキ(Lindera erythrocarpa)エタノール抽出物および順次分画物がB16F10細胞株の細胞生存率に及ぼす影響を調べてみるために、12.5μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、および、100μg/mlまでの様々な濃度で3日間処理して培養した後、MTT方法によって細胞の生存率を観察した。図2からわかるように対照群の細胞生存率を100%とした際に、カナクギノキエタノール抽出物およびそれぞれの順次分画物濃度などのうち、12.5、25、50、100μg/ml濃度でほとんど81〜103%で、対照群に比べて僅かに減少するか増加した。このように対照群に比べて、12.5μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、100μg/mlの濃度などでは、僅かの差があるが留意するほどの変化を示さなかったので、本発明のカナクギノキエタノール抽出物および順次分画物は細胞毒性が低く、美白剤として使用され得ることが確認できた。
【0091】
実験例3:本発明のカナクギノキ抽出物および分画物のメラニン生成阻害活性測定
24ウェルプレートにウェル当たり2×10個のB16F10細胞を接種して、24時間の間37℃、5%CO細胞培養器で培養した後、試料をそれぞれのウェルに12.5μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、および、100μg/mlの濃度で処理して3日間試料処理後、培地を除去して細胞をPBSで2回洗浄した。各ウェル当たり500μlの1N NaOHを加えて56℃で30分溶解した後、ELISA reader(μQuant,USA)を用いて405nmで吸光度を測定した。
【0092】
前記の実験例2で細胞毒性のないものとして観察されたカナクギノキエタノール抽出物および順次分画物の12.5μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、100μg/mlまでの様々な濃度で3日間処理した後、メラニン生成阻害活性を測定した。図3からわかるように対照群であって美白剤として知られている合成物質のアルブチン(Arbutin)100μg/ml処理時に31%のメラニン生成抑制活性を示し、それぞれ12.5μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、100μg/ml濃度までの処理時に、カナクギノキエタノール抽出物は、0.6%、7.9%、31.6%、45.8%の阻害活性を示した。また、それぞれの順次分画物などの100μg/ml濃度において33%、49%、24%、31%、28%と、対照群より高いメラニン阻害活性を示し、天然植物における美白剤として極めて卓越した結果を示した。したがって、本発明のカナクギノキエタノール抽出物および順次分画物は、メラニン生成を減らしながら細胞毒性が低く、美白剤として使用され得ることが確認できた。
【0093】
実験例4:本発明のカナクギノキ抽出物および分画物のチロシナーゼ阻害活性測定
24ウェルプレートにウェル当たり2×10個のB16F10細胞を接種して24時間の間37℃、5%CO細胞培養器で培養した後、試料をそれぞれのウェルに12.5μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、および、100μg/mlの濃度で処理して3日間試料処理後、培地を除去して細胞をPBSで2回洗浄した後、ウェルの細胞を遠心分離して細胞沈殿物を作り、リシスバッファー(lysis buffer)(0.1M sodinm phosphate buffer,0.2mM PMSF,1% Triton X-100)を加えた。氷に放置して細胞を破壊して遠心分離した後、上層液を取って酵素活性測定に使用した。各試料を反応液(12.5mM L-Dopa,1.5mM L-Tyrosine,67mM sodium phosphate buffer(pH6.8))に入れて37℃で1時間反応させた後、ELISA reader(μQuant,USA)を用いて405nmで吸光度を測定した。
【0094】
カナクギノキエタノール抽出物および順次分画物処理後、最終メラニン量が阻害されたことは、メラニン合成に関与する酵素などの活性と関連があるということを示すので、B16F10細胞においてチロシナーゼ活性を、それぞれ12.5μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、100μg/mlの様々な濃度で3日間処理した結果、図4のように対照群のアルブチン処理時に19%のチロシナーゼ阻害活性を示し、カナクギノキエタノール抽出物および順次分画物のそれぞれ12.5μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、100μg/ml濃度での処理時に、エタノール抽出物は13.9%、15.9%、36.8%、42.5%の高い阻害活性を示した。また、それぞれの分画物なども100μg/ml濃度において40%、21%、19%、41%、26%を示して、対照群より高いチロシナーゼ阻害活性を示した。このような結果から見る時、B16F10細胞株におけるカナクギノキエタノール抽出物および順次分画物などによるメラニン生成減少は、チロシナーゼ阻害活性によるものであることが主要な原因のうちの一つとして判断された。
【0095】
実験例5:本発明のカナクギノキ由来シクロペンタジオン化合物のMTTアッセイを用いた細胞毒性測定
1)ルシドン(Lucidone)(化合物1)
ルシドンとして分離した単一物質を用いてB16F10細胞株の細胞生存率に及ぼす影響を調べてみるために、1.25μg/ml、2.5μg/ml、5μg/ml、および、10μg/mlまでの様々な濃度で3日間処理して培養した後に、MTT方法によって細胞の生存率を観察した。図29からわかるように対照群の細胞生存率を100%とした際に、コーヒー酸(caffeic acid)の1.25、2.5、5、10μg/ml濃度においてほとんど96〜106%で、対照群に比べて僅かに減少するか増加した。このように対照群に比べて1.25μg/ml、2.5μg/ml、5μg/ml、および、10μg/mlの濃度などは、僅かの差があるが留意するほどの変化を示さなかったので、本発明のルシドンとして分離した単一物質は、細胞毒性が低く、美白剤として使用され得ることが確認できた。
【0096】
2)メチルリンデロン(Methyllinderone)(化合物2)
メチルリンデロンとして分離した単一物質を用いてB16F10細胞株の細胞生存率に及ぼす影響を調べてみるために、1.25μg/ml、2.5μg/ml、5μg/ml、および、10μg/mlまでの様々な濃度で3日間処理して培養した後に、MTT方法によって細胞の生存率を観察した。図30からわかるように対照群の細胞生存率を100%とした際に、コーヒー酸(caffeic acid)の1.25、2.5、5、10μg/ml濃度においてほとんど93〜99%で、対照群に比べて僅かに減少した。このように対照群に比べて1.25μg/ml、2.5μg/ml、5μg/ml、および、10μg/mlの濃度などは、僅かの差があるが留意するほどの変化を示さなかったので、本発明のメチルリンデロンとして分離した単一物質は、細胞毒性が低く、美白剤として使用され得ることが確認できた。
【0097】
3)カナクギオール(Kanakugiol)(化合物3)
カナクギオールとして分離した単一物質を用いてB16F10細胞株の細胞生存率に及ぼす影響を調べてみるために、1.25μg/ml、2.5μg/ml、5μg/ml、および、10μg/mlまでの様々な濃度で3日間処理して培養した後に、MTT方法によって細胞の生存率を観察した。図31からわかるように対照群の細胞生存率を100%とした際に、コーヒー酸の1.25、2.5、5、10μg/mlの濃度においてほとんど91〜96%で、対照群に比べて僅かに減少した。このように対照群に比べて1.25μg/ml、2.5μg/ml、5μg/ml、および、10μg/mlの濃度などは、僅かの差があるが留意するほどの変化を示さなかったので、本発明のカナクギオールとして分離した単一物質は、細胞毒性が低く、美白剤として使用され得ることが確認できた。
【0098】
実験例6:本発明のカナクギノキ由来シクロペンタジオン化合物のメラニン生成抑制効果測定
1)ルシドン(Lucidone)(化合物1)
ルシドンとして分離した単一物質を用いてB16F10細胞株に対するメラニン生成抑制効果を測定するために、それぞれ1.25μg/ml、2.5μg/ml、5μg/ml、および、10μg/mlまでの様々な濃度で3日間処理した後、メラニン生成阻害活性を測定した。
その結果、図32からわかるように、対照群であって美白剤として知られているアルブチン50μg/ml処理時に23.5%のメラニン生成抑制活性を示し、それぞれ1.25μg/ml、2.5μg/ml、5μg/ml、10μg/mlの濃度までの処理時にルシドンは、3%、19%、37%、53%の高い阻害活性を示した。したがって、対照群であるアルブチンより高いメラニン阻害活性を示し、天然植物における美白剤として良い結果を示した。
【0099】
2)メチルリンデロン(Methyllinderone)(化合物2)
メチルリンデロンとして分離した単一物質を用いてB16F10細胞株に対するメラニン生成抑制効果を測定するために、それぞれ1.25μg/ml、2.5μg/ml、5μg/ml、および、10μg/mlまでの様々な濃度で3日間処理した後、メラニン生成阻害活性を測定した。
その結果、図33からわかるように、対照群であって美白剤として知られているアルブチン50μg/ml処理時に23.5%のメラニン生成抑制活性を示し、それぞれ1.25μg/ml、2.5μg/ml、5μg/ml、10μg/mlの濃度までの処理時にメチルリンデロンは、1%、14%、38%、62%の高い阻害活性を示した。したがって、対照群であるアルブチンより高いメラニン阻害活性を示し、天然植物における美白剤として良い結果を示した。
【0100】
3)カナクギオール(Kanakugiol)(化合物3)
カナクギオールとして分離した単一物質を用いてB16F10細胞株に対するメラニン生成抑制効果を測定するために、それぞれ1.25μg/ml、2.5μg/ml、5μg/ml、および、10μg/mlまでの様々な濃度で3日間処理した後、メラニン生成阻害活性を測定した。
その結果、図34からわかるように、対照群であって美白剤として知られているアルブチン50μg/ml処理時に23.5%のメラニン生成抑制活性を示し、それぞれ1.25μg/ml、2.5μg/ml、5μg/ml、10μg/mlの濃度までの処理時にカナクギオールは、2%、16%、29%、61%の高い阻害活性を示した。したがって、対照群であるアルブチンより高いメラニン阻害活性を示し、天然植物における美白剤として良い結果を示した。
【0101】
実験例7:本発明のカナクギノキ由来シクロペンタジオン化合物のチロシナーゼ阻害活性測定
B16F10細胞においてチロシナーゼ活性をそれぞれ1.25μg/ml、2.5μg/ml、5μg/ml、10μg/mlの様々な濃度で3日間処理した結果、図35のように、対照群のアルブチン処理時に19%のチロシナーゼ阻害活性を示し、ルシドンのそれぞれ1.25μg/ml、2.5μg/ml、5μg/ml、10μg/mlの濃度による処理時に、10%、17%、26.4%、48.9%と、対照群より高いチロシナーゼ阻害活性を示した。このような結果から見る時、B16F10細胞株におけるカナクギノキより分離したルシドン単一化合物によるメラニン生成減少は、チロシナーゼ阻害活性によるものであることが主要な原因の一つとして判断された。
【0102】
実施例4:カナクギノキの葉と薄皮との抽出物の製造およびそれからの溶媒分画物の分離
本実施例において用いられた陸上植物試料のカナクギノキ(Lindera erythrocarpa)は、大韓民国の(財)済州ハイテク産業振興院抽出物銀行から分譲を受けて使用し、試料の抽出に用いられた溶媒は、Merk Co.社の製品を使用した。
カナクギノキの生葉を流水で洗浄した後、3日間40℃で熱風乾燥して粉砕機で粉砕した。乾燥粉末試料200gを70%エタノールに沈積させて3日間室温で24時間撹拌して抽出し、この浸出物をろ過器でろ過した。浸出ろ過過程を3回再び繰り返した後、得られたろ過液を減圧濃縮した。得られた抽出物(70%エタノール抽出物)60gのうち、42gを蒸溜水に懸濁して、分液ロートを用いてn−ヘキサン(n-Hex)、塩化メチレン(CH2Cl2)、エチルアセテート(EtOAc)、n−ブタノール(n-BuOH)を使用して分画した後、ろ過、減圧濃縮して、それぞれ溶媒別の分画物n−ヘキサン8.56g、塩化メチレン1.47g、エチルアセテート4.14g、n−ブタノール10.2g、水14.58gを得た。
一方、カナクギノキの薄皮も葉と同様な方法によって乾燥した後、粉砕し、乾燥粉末試料560gを用いて同様な条件で抽出して得た70%エタノール抽出物68.2gを用いて極性別の溶媒分画を行い、それぞれの分画物を得た。
【0103】
実施例5:カナクギノキ溶媒分画物から化合物の分離および構造の同定
本実施例の分離過程で使用された充填剤としては、順相シリカゲル60(normal-phase silica gel 60)(0.063-0.200mm,Merck Co.)が用いられた。分析過程で使用した機器としては、HPLC(Alliance2695,Waters Co.)を用い、XTerra(登録商標) C18 3.5μm 4.6×100mmを装着して使用し、分析に使用した検出器としては、Waters社の2998モデルのPDAを用いた。実験に使用した溶媒および試薬としては、HPLC gradeを用い、構造分析に使用した機器としては、NMR(Nuclear Magnetic Resonance)はBurker(German Co.)のJNM−LA500を用い、NMR測定時に使用した溶媒としては、メタノール−d、クロロホルム−dを用いた。
【0104】
前記の実施例4で得たカナクギノキの葉の塩化メチレン分画層(2.5g)に対して順相シリカゲル(ヘキサン/エチルアセテート)(v/v)、溶媒グラジエント(gradient)条件で分画することによって、10個の分画を得た。そのうち、分画−6から再結晶法を用いて化合物10(21.8mg)を得た。
一方、前記実施例4で得たカナクギノキの薄皮の塩化メチレン分画層(7.0g)に対して順相シリカゲル(ヘキサン/エチルアセテート)(v/v)、溶媒グラジエント条件で分画することによって、8個の分画を得た。前記分画のうち、分画−2を用いて順相シリカゲル(ヘキサン/エチルアセテート)(3/2)条件でクロマトグラフィーを行い、そのうち、分画−2−2から化合物12(59.6mg)を得、分画−2−3から化合物11を得た。
【0105】
前記のように得られた化合物10〜12に対してHPLC、NMR、(1D、2D NMR)、LR/HR FAB−MSを介して化合物分析および構造確認を行い、HPLCを用いて化合物の純度およびエタノール抽出物内の含有量を確認した。
その結果、化合物10はシクロペンタジオン(cyclopentadione)系列のルシドン(lucidone)と同定され、化合物11は同じ系列のメチルリンデロン(methyllinderone)、化合物12は下記化学式10のシクロペンタジオン(cyclopentadione)系列から変形された誘導体化合物である、現在まで報告されたことのない新規化合物(N2)と同定された。前記新規化合物のIUPAC名は、2,3,4,5−テトラメトキシ−6−(1−メトキシ−3−フェニルプロピル)フェノール[2,3,4,5-tetramethoxy-6-(1-methoxy-3-phenylpropyl)phenol]であり、一般名は、チェジュ−ポリメトキシフェノール(jeju-polymethoxy-phenol)と命名した。化合物12の1Dおよび2D NMRデータを下記の表3に示した。
【0106】
【化22】

【0107】
化合物の特性
1)IUPAC名:2,3,4,5−tetramethoxy−6−(1−methoxy−3−phenylpropyl)phenol
2)色:濃い緑色
3)香り:弱い腐敗性の臭い
4)溶解性:メタノール、アセトン、クロロホルムなどの有機溶媒
5)カナクギノキの薄皮のみに分布
6)一般名:jeju−polymethoxy−phenol
【0108】
【表3】

【0109】
カナクギノキの葉および薄皮のエタノール抽出物と各溶媒別の分画物並びに化学式10の化合物の収率を下記の表4に示した。
【0110】
【表4】

【0111】
前記の表4を介してわかるように、化学式10の化合物は、葉では発見されなかったが、薄皮において0.71%と高く観察された。
【0112】
前記カナクギノキより分離した単一化合物は、DMSO溶媒を加えて完全に溶解させた後、ろ過して以後の実験に使用した。
【0113】
実験例8:本発明の化学式10の化合物のMTTアッセイを用いた細胞毒性測定
現在、知られていない新規化合物を用いてB16F10細胞株の細胞生存率に及ぼす影響を調べてみるために、下記のような実験を行った。
本実験例に使用されたB16F10マウスメラノーマ細胞は、米国細胞株銀行(ATCC)から分譲を受けた。B16F10細胞を10%ウシ胎児血清(FBS,Gibco)、1%抗生剤(Antibiotic-Antimycotic)(Gibco)、L−グルタミンと炭酸水素ナトリウムが含有されたDMEM培地(Gibco)を使用して37℃、5%CO細胞培養器で培養した。
B16F10細胞を24ウェルプレートにウェル当り2×10個の細胞を接種して24時間の間37℃、5%CO細胞培養器で培養した後、試料をそれぞれのウェルにて5μg/ml、10μg/ml、20μg/ml、および、30μg/mlまでの様々な濃度で3日間処理して72時間培養した。それに2mg/mlの濃度で製造したMTT溶液200μlを添加して同様な培養条件で4時間培養して培地を除去し、細胞をPBSで2回洗浄した。各ウェル当りDMSO 200μlを加えてELISA reader(μQuant,USA)を用いて570nmで吸光度を測定した。
【0114】
その結果、図36からわかるように、対照群の細胞生存率を100%とした際に、化学式10の化合物は、5、10、20、30μg/mlの濃度においてほとんど97〜103%と、対照群に比べて僅かに減少させるか増加させた。このように対照群に比べて5μg/ml、10μg/ml、20μg/ml、および、30μg/mlの濃度などでは、僅かの差はあるが留意するほどの変化を示さなかったので、本発明の化学式10の化合物は、細胞毒性が低く、美白剤として使用され得ることが確認できた。
【0115】
実験例9:本発明の化学式10の化合物のメラニン生成阻害活性測定
24ウェルプレートにウェル当たり2×10個のB16F10細胞を接種して24時間の間37℃、5%CO細胞培養器で培養した後、試料をそれぞれのウェルにて処理して3日間試料処理後、培地を除去して細胞をPBSで2回洗浄した。各ウェル当たり500μlの1N NaOHを加えて56℃で30分溶解した後、ELISA reader(μQuant,USA)を用いて405nmで吸光度を測定した。
【0116】
その結果、図37からわかるように、対照群であって美白剤として知られているアルブチン50μg/ml処理時には33.6%のメラニン生成抑制活性を示し、本発明の新規化合物は、それぞれ5μg/ml、10μg/ml、20μg/ml、30μg/mlの濃度までによる処理時に、19%、32%、51%、59%の高い阻害活性を示した。したがって、対照群であるアルブチンより約2倍さらに高いメラニン阻害活性を示し、天然植物における美白剤として良い結果を示した。
【0117】
実験例10:本発明の化学式10の化合物のメラニン生成に関与するmRNA発現阻害活性測定
本実験例に使用されたB16F10マウスメラノーマ細胞は、米国細胞株銀行(ATCC)から分譲を受けた。B16F10細胞を10%ウシ胎児血清(FBS,Gibco)、1%抗生剤(Antibiotic-Antimycotic)(Gibco)、L−グルタミンと炭酸水素ナトリウムを含有するDMEM培地(Gibco)を使用して37℃、5%CO細胞培養器で培養した。
培養が済んだ細胞を2〜3回PBSで洗浄した後、総RNA(total RNA)抽出は、TRIzol−reagent(Invitrogen,USA)を用いて分離した。細胞にTRIzol−reagentを添加して均質化した後、クロロホルムを添加して遠心分離(12,000rpm,15min)した。上澄液に同量のイソプロパノールを添加して遠心分離(12,000rpm,10min)してRNAを沈殿させて75%のジエチルピロカルボネート(diethylpyrocarbonate,DEPC)処理されたエタノールで洗浄した後、乾燥させてDEPC処理された蒸溜水に溶かした。260nmの吸光度を測定してRNAを定量し、A260/A280nmの比率が1.6〜1.9の範囲内の値を有するRNAを実験に使用した。cDNA合成は、Improm−IITM cDNA kit(Promega,USA)を用い、1μgの総RNA(total RNA)をオリゴ(dT)プライマー(oligo (dT) primer)、dNTP(0.5μM)、1unit RNase inhibitor、および、Improm−IITM reverse transcriptase(2U)で25℃で5分、37℃で60分、そして、70℃で10分間ヒーティングすることによって反応を中止させた。重合酵素連鎖反応(polymerase chain reaction,PCR)は、合成されたcDNAからチロシナーゼ、TRP−1、TRP−2、β−アクチンを増幅させるために、1μlのcDNA、4μMの5’と3’primer、10×buffer (10mM Tris-HCl,pH8.3,50mM KCl,0.1% Triton X-100)、250μMのdNTP、25mMのMgCl、1unit Taq polymerase(Promega,USA)を混ぜて、3次蒸溜水で最終25μlに合わせた後、パーキンエルマーサーマルサイクラー(Perkin-Elmer Thermal Cycler)を用いて行った。この時、PCRの条件は、94℃/30秒、50〜55℃/45秒、72℃/45秒で20〜25回であり、PCRによって生成された産物は1.2%アガロースゲル(agarose gel)で電気泳動を行い、エチジウムブロマイド(ethidium bromide)で染色して特定バンド(band)を確認した。
メラニン細胞は、紫外線によって角質形成細胞などから生成されたNOがcGMP経路を通じてメラニン生成を増加させ、チロシナーゼとTRP−1を増加させ、チロシナーゼ活性のmRNA発現を誘導する過程に関与することが知られている。B16F10マウスメラノーマ細胞において毒性を見せない濃度でカナクギノキから分離した単一化合物などのメラニン抑制効果がmRNA発現抑制によるものであるかを確認するためにRT−PCRを行った。メラニン生成の主要な酵素として知られているチロシナーゼ以外のTRP−1、TRP−2遺伝子の発現抑制の様相を確認した。
【0118】
その結果、図38からわかるように、チロシナーゼ、TRP−1 mRNAの発現量が濃度依存的に減少することが示された。通常のメラニン合成過程でTRP−2は、ドパクロム(dopachrome)をカルボキシル化誘導体(carboxylated derivative)である5,6−ジヒドロキシインドール−2−カルボン酸(5,6-dihydroxyindole-2-carboxylic acid,DHICA)に転換させる機能を有すると報告されているが、TRP−2 mRNA遺伝子の発現を確認した結果、TRP−2 mRNA発現は濃度に関係なく一定であった。
したがって、カナクギノキから分離した新規化合物は、TRP−2と関係なく、チロシナーゼとTRP−1のmRNA発現を減少させることによって、メラニン合成を阻害することが確認された(図38)。以上の結果からカナクギノキから分離した新規化合物がB16F10黒種細胞に対して優れたメラニン色素生成抑制およびチロシナーゼ抑制効果を有しているものとして確認され、これより美白関連機能性素材としての活用価値のあることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0119】
以上、前記実施例および実験例を介して説明したように、本発明のカナクギノキ由来抽出物、分画物または、化合物を含有する皮膚美白用組成物は、シクロペンタジオン化合物または、その誘導体を有効成分として含有することによって、優れたメラニン生成阻害活性およびチロシナーゼ阻害活性を表するので、化粧品、製薬および食品産業に有用に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カナクギノキ(Lindera erythrocarpa)抽出物または、その溶媒分画物を有効成分として含有する皮膚美白用組成物。
【請求項2】
前記のカナクギノキ抽出物は、エタノール抽出物であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚美白用組成物。
【請求項3】
前記の溶媒分画物は、ヘキサン分画物、塩化メチレン分画物、エチルアセテート分画物、ブタノール分画物、水分画物、または、その組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の皮膚美白用組成物。
【請求項4】
下記の化学式1〜化学式10で表される化合物よりなる群から選択される1種以上の化合物を有効成分として含有する皮膚美白用組成物:
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【請求項5】
前記の化合物は、カナクギノキから分離精製されたことを特徴とする請求項4に記載の皮膚美白用組成物。
【請求項6】
前記の皮膚美白用組成物は、化粧料組成物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の皮膚美白用組成物。
【請求項7】
前記の皮膚美白用組成物は、薬剤学的組成物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の皮膚美白用組成物。
【請求項8】
前記の皮膚美白用組成物は、食品組成物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の皮膚美白用組成物。
【請求項9】
下記の化学式10で表される化合物:
【化11】

【請求項10】
前記化学式10の化合物は、カナクギノキから分離したものであることを特徴とする請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
前記化学式10の化合物は、カナクギノキの薄皮から分離したものであることを特徴とする請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
カナクギノキを水、C〜Cの低級アルコールまたは、それらの混合溶媒から選択された溶媒で抽出してカナクギノキ抽出物を得る段階;
前記のカナクギノキ抽出物をヘキサン、塩化メチレン、エチルアセテートおよびブタノールで分画して各溶媒分画物を得る段階;
前記のカナクギノキ溶媒分画物を、溶出溶媒としてヘキサンとエチルアセテートを溶媒グラジエントにて使用して、1次シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行って分画する段階;および
前記の1次シリカゲルカラムクロマトグラフィー分画物を、溶出溶媒としてヘキサンとエチルアセテートの混合溶媒を使用して、2次シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行う段階を含む、カナクギノキから請求項9項の化合物を分離する方法。
【請求項13】
前記のカナクギノキは、カナクギノキの薄皮部分であることを特徴とする請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公表番号】特表2012−502022(P2012−502022A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525981(P2011−525981)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【国際出願番号】PCT/KR2009/005027
【国際公開番号】WO2010/027221
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(511058213)
【Fターム(参考)】