説明

カメラ付携帯型ナビゲーション装置

【課題】 車両設置時の良好な撮影を可能とするカメラ付携帯型ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 筐体101内に、制御部110と記憶装置115とGPS機能部113と通信部114とを備え、対向する筐体面102,103にタッチパネル116を備えた表示部130とカメラ部111を配置し、クレードル200を介して、車両300に着脱可能に取り付けられ、前記制御部110は、カメラ部111で撮影された画像を前記表示部130に表示し、前記タッチパネル116を介して前記表示部130の所定の位置を受け付けて、この所定の位置をカメラ部11の照度の基準の値として判定してカメラ部111の絞りを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ装置による録画再生と、GPS機能による移動体の位置を地図上に表示することができる携帯型のナビゲーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、GPS機能により移動体の位置を確認して、この移動体の位置を地図上に表示するナビゲーションシステムが広く普及している。特に、カーナビと呼ばれる車載用ナビゲーションシステムは車を運転する利用者の生活にとって欠かせないものとなっている。
【0003】
一方、近年の小型化技術の発展により、カメラ機能を備えた多用途の携帯型の情報処理装置や携帯電話装置は、携帯可能に小型化され、GPS機能を備えて、装置自身の位置を地図上に表示可能とするものが提案されている。そして、これらのGPS機能を備えた携帯型の情報処理装置では、車から電源供給を受けるクレードルを介して、車内のダッシュボード上部に着脱可能に取り付けることで、携帯型情報処理装置とカーナビ装置との兼用が図れるカメラ付携帯型ナビゲーション装置が提案されている。また、このカメラ付携帯型ナビゲーション装置では、カーナビとして使用する場合には、そのカメラ機能により車外の風景などを撮影し、これを位置座標と組み合わせることができるものも提案されている。
【0004】
他方、カメラ付のナビゲーション装置では、現在の車が走行する道路情報を走行環境情報として取得して、車両の走行環境に対応した適切な映像表示を可能とするものが提案されている。即ち、ナビゲーション情報から車両が走行する道路を判定し、カーブの多い山道では撮影映像を通常より暗くなるように出力し、あるいは、高速道路では通常より明るくなるように出力する。
【0005】
また、一般的なナビゲーションシステムでは、車両のライトの点灯に対応して、表示画面を、明るい表示の昼間モードと、暗い表示の夜間モードに切り替えることで、運転者の視認性を高めている。前記従来例において、これらのモード表示に加えて走行環境情報から、天候などの情報を取得して、走行環境に対応した適切な映像表示を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−15078号公報
【特許文献2】特開2004−123061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年の携帯型情報処理装置は、携帯性の良い小型の外観でありながら大容量の画像を記録することができる。このような大容量の記憶容量を備えていれば、走行中の風景の静止画像や動画像を大量に撮影することができる。しかしながら、車内のダッシュボード上部に簡易的に取り付けられるカメラ付携帯型ナビゲーション装置においては、ダッシュボード上部に簡単に着脱可能に取り付けられる反面、カメラの撮影範囲にダッシュボードの一部が写ってしまったり、水平位置が取れず傾いた撮影画像となったりするなどの課題がある。また、自動焦点や自動絞りを備えたカメラにおいては、手前のダッシュボードが障害となる課題もある。
【0008】
そこで、この発明の目的とするところは、車両設置時の良好な撮影を可能とするカメラ付携帯型ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るカメラ付携帯型ナビゲーション装置は、前記目的を達成するために、筐体内に、制御部と記憶装置とGPS機能部と通信部とを備え、対向する筐体面にタッチパネル表示部とカメラ部を配置し、クレードルを介して、車両に着脱可能に取り付けられ、前記制御部は、カメラ部で撮影された画像を前記表示部に表示し、前記タッチパネルを介して前記表示部の所定の位置を受け付けて、この所定の位置をカメラ部の照度の基準の値として判定してカメラ部の絞りを設定するようにする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両設置時の良好な撮影を可能とするカメラ付携帯型ナビゲーション装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この実施例に係るカメラ付携帯型ナビゲーション装置を車両に設置した状態のシステム構成図である。
【図2】モバイル端末とクレードルの装置構成図である。
【図3】モバイル端末の第1階層のメニュー画面図である。
【図4】モバイル端末の第2階層の初期設定画面図である。
【図5】明るさ検知範囲を指定する設定画面図である。
【図6】表示範囲や録画範囲を設定する設定画面図である。
【図7】水平線を設定する設定画面図である。
【図8】録画状態を示す表示画面図である。
【図9】モバイル端末の動作状態を示す動作フロー図である。
【図10】モバイル端末の動作状態を示す動作フロー図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図1から図10を参照して、この発明に係るカメラ付携帯型ナビゲーション装置を具体的に説明する。なお、同一部位や矢印などは同一符号をもって示し重複した説明を省略する。
【0013】
先ず、図1を参照して、この実施例に係るカメラ付携帯型ナビゲーション装置を具体的に説明する。ここで、図1は、この実施例に係るカメラ付携帯型ナビゲーション装置を車両に設置した状態のシステム構成図である。
【0014】
先ず、符号1で総括的に示すナビゲーションシステム1は、クレードル200を介して利用者の車両300に設置されるカメラ付携帯型ナビゲーション装置(以下モバイル端末という)100と、このモバイル端末100に無線通信網50を介して各種の情報を提供するナビゲーション管理サーバ(以下カーナビ管理サーバという)20と、モバイル端末100やカーナビ管理サーバ20に道路事情を提供する道路情報提供サーバ30とを含んで構成される。
【0015】
この実施例に係るモバイル端末100は、携帯可能な薄い筐体101内に、このモバイル端末100を統括的に制御する端末制御部110と、カメラ部111と、このモバイル端末100を操作するための操作部112と、全地球測位システム(GPS)を用いたGPS部113と、通信網50と接続するための通信部114と、各種の情報を表示する薄型の表示部120と、地図情報を格納した記憶部115とを含んで構成される。前記操作部112は、表示部130の前面に配置されるタッチパネル116と、筐体101の外面に設けられる複数のハードキー117とを含んで構成される。
【0016】
このモバイル端末100は、GPS部113を介して、自身の位置情報を判定し、この位置を表示部130に表示される地図上に表示することができる。したがって、このモバイル端末100を携帯する利用者は、自身の位置をこのモバイル端末100の表示部130に表示される地図で把握することができる。なお、この実施例では、端末制御部110が、GPS部113を介して取得した位置情報に基づいて、記憶装置115に格納された地図を検索し、この検索された地図上に自身の位置を表示することができるが、通信部114を介して接続されるカーナビ管理サーバ20からナビゲーション情報を取得することもできる。即ち、前記カーナビ管理サーバ20は、ルート検索部21を備えたカーナビ管理制御部22と、地図情報管理データベース23や会員管理データベース24を格納する記憶装置25とを備えている。したがって、モバイル端末100からの目的地までのルート情報の検索要求に基づいて、このモバイル端末100にルート情報を提供することができる。
【0017】
なお、この実施例のモバイル端末100は、目的地までのルートを前記カーナビ管理サーバ20に依頼して、その検索ルートを取得し、この取得したルートに基づいてナビゲーションを行うシステムで説明する。しかし、これに限定されるものではない。つまり、このモバイル端末100の端末制御部110に図示しないルート検索部を備え、このルート検索部で検索したルートに基づいてナビゲーションを行うようにしても良い。
【0018】
また、このモバイル端末100は、通信部114を介して、各種の情報提供サイト40に接続することで、通常の携帯電話や情報端末装置のように、各種の情報を取得して、これを表示部130に表示することもできる。
【0019】
そして、このモバイル端末100の大きな特徴の1つは、利用者が携帯した状態での携帯モードと、この携帯型のモバイル端末100を、クレードル200を介して、車両300に設置することで、通常のカーナビゲーション装置としても使用できる車載モードを備えた点にある。
【0020】
即ち、このモバイル端末100は、車両300のダッシュボード301に設置されるクレードル200に着脱可能に取り付けることができる。このクレードル200は、粘着テープやネジなどを介してダッシュボード301上に取り付けられ、車両300から提供される電源をこのモバイル端末100に提供する。また、車両300から車輪の回転情報やライトの点灯情報などの各種の車両の状態情報を取得して、モバイル端末100に提供することもできる。また、車両300はモバイル端末100から各種の情報を取得することもできる。
【0021】
この実施例に係るモバイル端末100では、通常の状態では携帯モードに設定され、このモバイル端末100をクレードル200に装着することで車載モードに切り替えることができる。
【0022】
また、このモバイル端末100の他の大きな特徴1つは、車両300に設置した状態で、各種の設定や、この設定に基づく撮影が可能な点にある。
【0023】
即ち、このモバイル端末100は、表示部130とカメラ部111を薄い筐体101の対向する筐体面に設けている。このため、クレードル200に設置した状態では、表示内容を確認しながらフロントガラス越しに車外を撮影することができる。
【0024】
また、表示部130の所定の範囲を指定することで、表示範囲や録画範囲を自動設定することができる。即ち、このようなダッシュボード301上に簡易的に設置する場合、車両300の種類によっては、ダッシュボード301がカメラ部111の撮影範囲に入ってしまうことが課題である。この実施例では、初期設定において、表示部130に表示される撮影画像の所定の範囲を指定することで、表示部130に表示される撮影画像をトリミングされた修正画像に置き換えて表示することができる。そして、このトリミングされた修正画像を録画することもできる。例えば、図1に示すように、タッチパネル116を備えた表示部130の「B」「C」「D」「E」をタッチすることで、この4点で囲まれた範囲を指定範囲として、表示範囲や録画範囲とすることできる。
【0025】
また、表示部130の所定の範囲を指定することで、この所定の範囲の照度を撮影照度として設定することができる。即ち、このようなダッシュボード301上に簡易的に設置する場合、ダッシュボード301と、その奥の風景とは照度に大きな差が生じる。そこで、この実施の形態では、撮影照度の基準とする所定の範囲を予め設定することで、撮影状態を良好なものとすることができる。例えば、図1において、タッチパネル116を備えた表示部130の所定の位置「A」をタッチすることで、このタッチ位置「A」の近傍の照度を基準照度とすることができる。もちろん、前記「B」「C」「D」「E」のような4点のタッチ位置で指定される所定の範囲を指定して、その範囲の平均の照度を基準値とするようにしてもよい。
【0026】
また、表示部130の所定の直線を指定して、この所定の直線を水平線とするように、通常表示される表示画像を補正して表示することができる。これにより、モバイル端末100の設置上の傾きを補正することができる。例えば、図1において、タッチパネル116を備えた表示部130の所定の位置「D」「E」をタッチすることで、水平線を設定することができる。この設定により、前記設定した水平線を矩形状の表示画面の下辺(上辺)と平行と成るように通常表示での表示角度と録画角度を補正することができる。
【0027】
以下、図2から図10を参照して、この実施例に係るモバイル端末を更に詳細に説明する。ここで、図2はモバイル端末とクレードルの装置構成図である。図3はモバイル端末の第1階層のメニュー画面図である。図4はモバイル端末の第2階層の初期設定画面図である。図5は明るさ検知範囲を指定する設定画面図である。図6は表示範囲や録画範囲を設定する設定画面図である。図7は水平線を設定する設定画面図である。図8は録画状態を示す表示画面図である。図9と図10はモバイル端末の動作状態を示す動作フロー図である。
【0028】
先ず、図2において、モバイル端末100の筐体101は、奥行寸法Dより高さ寸法Hが大きく、この高さ寸法Hより横幅寸法Wが大きい薄型扁平な箱形の外観形状を備えている。この筐体101の対向する2つの広い筐体面102と103には、表示部130とカメラ部111とが対向する関係で配置されている。また、表示部130を備えた広い筐体面102には、一方の片側にハードキー117が配置されるように、表示部130を他方の片側に片寄って配置している。ハードキー117は、録画を開始または停止させるための録画キー117aと、メニュー画面を表示させるメニューキー117bと、地図マップを表示させるマップキー117cとを含んで構成する。
【0029】
また、筐体101の底面となる周側面104には、クレードル200と電気的に接続するための接続端子部118が配置され、側面となる周側面105には他の微調整つまみやパソコンなどとの接続端子が配置される。
【0030】
一方、クレードル200の底面は、車両300のダッシュボード301の上部に粘着材やネジなどを介して取り付けるための取付面201を備え、その上面には、モバイル端末100の周側面104を着脱可能に保持するための保持部202が設けられている。そして、この保持部202には、モバイル端末100を保持した状態で、前記接続端子部118と、構造的かつ電気的に接続するための接続端子部203を備えている。
【0031】
前記接続端子部203には、車両300の車輪の回転数検知部302と、車両200のライトのON/OFFスイッチ303と、車両300のバッテリ304と接続するためのコード305が接続されている。したがって、モバイル端末100は、クレードル200に取り付けることにより、接続端子部203と接続端子部118が電気的に接続され、車両300から車輪の回転数とライトのON/OFF情報と電源供給を受けることができる。更には、車両300のキー操作に伴って、モバイル端末100の電源のON/OFFを連動させることができる。
【0032】
この実施例に係るモバイル端末100の端末制御部110は、接続端子部118と接続端子部203とが電気的に接続されることにより、各種の初期設定を携帯モードから車載モードに切り替える。なお、この切り替えは、電気的な接続に限定されるものではない。例えば、接続端子部118と接続端子部203の物理的な接続により動作する図示しない切り替えスイッチを介して切り替えるようにしてもよい。更に、同様な図示しない切り替えスイッチを保持部202と周側面104との間に設けるようにしても良い。
【0033】
このように、この実施例のモバイル端末100は、ダッシュボード301に取り付けられるクレードル200に装着することにより、フロントガラス越しで車外を撮影することができるとともに、その撮影された画像をフロントガラスの手前に設置されるモバイル端末100の表示部130に表示させることができる。
【0034】
次に、図3から図8を参照して、このモバイル端末100の大きな特徴となっている車載モードの初期設定を図3から図8の画面遷移を参照して説明する。
【0035】
先ず、この実施例に係るモバイル端末100では、クレードル200に装着されると車載モードが設定される。この車載モードでは、車両300の電源がON状態になると、端末制御部110がモバイル端末100をON状態として、図8(b)図に示すような地図マップを表示部130に表示する。この地図マップの状態から、メニューキー117bを操作することで、図3に示すような他の機能の選択や各種の初期設定を行うことができる第1階層のメニュー画面400を表示することができる。
【0036】
このメニュー画面400は、初期設定において(a)図に示すリスト形式のメニュー画面400aと、(b)図に示すアイコン形式のメニュー画面400bの一方を選択することができる。この2つのメニュー画面は400a、400bは、何れも、最上部に配置されるタイトルバー401と、その下部に配置されるワークエリア402とを含んで構成される。タイトルバー401には画面タイトルと時計表示が配置される。
【0037】
一方、メニュー画面400aのワークエリア402aには、各種の選択機能がリスト形式で表示されるリスト表示部403と、このリスト表示部403をスクロールさせる一対のスクロールスイッチ404が配置される。他方、メニュー画面400bのワークエリア402bには、各種の機能選択部がアイコン形式で一方向に並べて表示される。このワークエリア402bは、一方向に擦る操作で画面をスクロールすることができる。この2つのメニュー画面400a、400bは、何れも、1つの選択機能をタッチすることで選択操作することができる。
【0038】
この実施例では、選択機能として、「音楽プレー」や「TV」、「カメラ」「行き先」などの各種機能を選択することができる。ここでは、この実施例の特徴である「設定」のアイコン405や機能選択部を選択した状態を説明する。
【0039】
図4は、図3の第1階層のメニュー画面400から「設定」のアイコン405や選択機能を選択することで表示される第2階層のメニュー画面410を示している。このメニュー画面410は、タイトルバー401とワークエリア402とから構成される。ここで、第2階層を示すメニュー画面410を示すワークエリア402には、カメラ部111の初期設定を行うリスト表示部411が設けられている。このリスト表示部411には、カメラ部111で明るさを検知する検知範囲を設定する機能選択部111aと、カメラ部111の表示または録画範囲を設定する機能選択部111bと、水平線を設定する機能選択部111cと、走行中の画面の表示設定を行う機能選択部111dと、画質を設定する機能選択部111eを含んで構成される。
【0040】
図5は、図4のメニュー画面410から機能選択部111aを選択した設定画面430を示している。この設定画面430では、カメラ部111で撮影された画像がそのまま表示部130の表示画面に表示される。例えば、この事例では、表示画面の下部に斜線部で示すダッシュボード301が映った状態となっている。この設定画面430では、端末制御部110がタッチパネル116のタッチ位置を監視している。(a)図に示すように、端末制御部110は、タッチパネル116の1箇所がタッチされると、そのタッチ位置Aの所定の範囲を明るさを検知する検知範囲である判定する。しかし、これに限定されるものではなく、(b)図のように、「B」「C」「D」「E」の4箇所のタッチ位置で指定される範囲を検知範囲に設定しても良い。
【0041】
なお、この実施例では、初期値として検知範囲が所定の位置、例えば、画面中央に設定されている。このため、設定画面430により検知範囲が指定されない場合は、端末制御部110は、前記初期値を検知範囲として動作させる。
【0042】
また、図6は、図4のメニュー画面410から機能選択部111bを選択した設定画面440を示している。この設定画面440では、カメラ部111で撮影された画像がそのまま表示部130の表示画面に表示される。例えば、この事例では、表示画面の下部に斜線部で示すダッシュボード301が映った状態となっている。この設定画面440では、端末制御部110がタッチパネル116のタッチ位置を監視している。この実施例では、(a)図に示すように、タッチパネル116の4箇所がタッチされると、端末制御部110が、そのタッチ位置「B」「C」「D」「E」で指定される所定の範囲をカメラ部111の表示または録画範囲であると判定する。しかし、これに限定されるものではなく、(b)図のように、1つのタッチ位置「F1」からタッチ状態を維持したまま離脱位置F2で指定される範囲をカメラ部111の表示または録画範囲に端末制御部110が判定するようにしてもよい。
【0043】
また、図7の(a)図は、図4のメニュー画面410から機能選択部111cを選択した設定画面450を示している。この設定画面450でも、カメラ部111で撮影された画像がそのまま表示部130の表示画面に表示される。例えば、この(a)図の事例では、ダッシュボード301の形状の関係でクレードル200を介して設置されるモバイル端末100が傾いて設置される状態の表示画面を示している。この状態で、録画を行うと、水平状態のモバイル端末100で再生すると撮影物が傾いた状態となる。しかし、この実施例では、(b)図に示すように設定した水平線を矩形状の表示画面の下辺と平行な状態で表示させることができる。
【0044】
この設定画面450では、端末制御部110がタッチパネル116のタッチ位置を監視している。この実施例では、(a)図に示すように、タッチパネル116の2箇所がタッチされると、そのタッチ位置「B」「C」で指定される直線を端末制御部110が水平線と判定する。端末制御部110は、この水平線が設定されると、(b)図に示すように設定した水平線を矩形状の表示画面の下辺と平行な状態となるように録画する映像を補正して記録する。
【0045】
ここで、この実施例では、カメラ部111で撮影する映像を表示部130に表示する場合、カメラ部111で撮影する範囲よりも表示部130に表示する範囲を小さく設定している。つまり、表示部130に表示される映像はカメラ部111で撮影する範囲の一部をトリミングした状態で表示される。これにより、前記水平線を設定することで、録画画像が回転されても修正画像の一部が欠けるのを防いでいる。もちろん、カメラ部111で撮影する範囲をそのまま録画して再生するようにしてもよい。あるいは再生時にトリミングをかけるようにしてもよい。
【0046】
図8は、走行中の録画状態の表示例を示したものであり、(a)図が録画画面を全画面表示にした画面図であり、(b)図が録画画面を通常の地図マップにサブ表示として表示する画面図を示している。
【0047】
この実施例では、走行中における録画画面460を、(a)図に示す全画面表示画面460aと、地図マップ録画画面460bとを含む画面例から1つを選択することができる。この選択に当たっては、図4のメニュー画面410から機能選択部111dを選択することにより、前記複数の画面例から1つを選択して設定する図示しない設定画面を表示して、この設定画面から所定の1つを選択設定することができる。
【0048】
ここで、(a)図に示す全画面表示画面460aでは、録画する映像を表示部130の表示画面全体に全画面表示する。この全画面表示画面460aでは、録画状態を示す「REC」表示を行うものとする。また、地図マップ録画画面460bでは、通常の地図マップに小さなサブウインドウ461を表示して、このサブウインドウ461内に録画する映像を表示させる。このサブウインドウ461内にも「REC」表示を行うものとする。
【0049】
次に、前記設定画面で設定される動作内容について、図9の動作フロー図を参照して説明する。図9はカメラ部111に関する動作フロー図である。
【0050】
図9において、端末制御部110は車両300が電源ONされるか否かを監視しており(ステップ500)、車両300のキーが操作されてエンジンが始動すると、その信号がクレードル200を介してモバイル端末100に伝達され、端末制御部110やカメラ部111などを含むモバイル端末100全体が起動する。そして、端末制御部110は表示部130の表示画面に地図マップを表示する(ステップ502)。この地図マップは図8(b)図のサブウインドウ461が表示されない通常のカーナビの画面表示である。端末制御部110は、GPS部113を介して、自身の位置を判定して、その位置を地図上に表示する。これにより、通常のカーナビゲーションの機能を達成することができる。
【0051】
端末制御部110は、地図上での自身の位置を表示しつつ、録画キー117aが操作されるか否かを監視している(ステップ504)。録画キー117aが操作されると、明るさの検知範囲が修正されているか否かを判定する(ステップ506)。修正されていない場合は、初期値として設定されている検知範囲の明るさを検出して(ステップ508)、カメラ部111の絞りを設定する(ステップ510)。一方、ステップ506において、新たに明るさの検知範囲が設定されていると、この検出範囲の明るさを検出して(ステップ509)、カメラ部111の絞りを設定する(ステップ510)。
【0052】
次に、端末制御部110は、画像範囲が設定されているか否かを判定し(ステップ512)、画像範囲が設定されていなければ、表示される撮影範囲をそのまま録画範囲とする(ステップ514)。一方、ステップ512において、画像範囲が設定されていれば、新たに設定される範囲を録画範囲としてトリミング処理を行う(ステップ515)。
【0053】
次に、端末制御部110は、水平線が設定されているか否かを判定し(ステップ516)、水平線が設定されていなければ、録画範囲をそのままとし(ステップ518)、水平線が設定されていれば、設定された水平線を表示画面に合わせて回転補正する(ステップ519)。
【0054】
次に、端末制御部110は、走行中の画面の設定を判定し(ステップ520)、全画面表示であれば、図8(a)図の形式で全画面表示し(ステップ522)、全画面表示でなければ図8(b)図の形式の表示画面を表示する(ステップ523)。
【0055】
そして、端末制御部110は、録画する画質を設定された値として(ステップ524)、録画を開始する(ステップ526)。また、録画を開始すると、端末制御部110は、録画キー117aが操作されたかを監視し(ステップ528)、録画キー117aが操作されれば録画を中止しする(ステップ530)。
【0056】
そして、車両300のキーが操作されて電源がOFFされたかを判定し(ステップ532)、電源がOFFされなければステップ502に移行し、電源がOFFされれば、この端末モバイル100の電源をOFF状態として(ステップ534)処理を終了する。
【0057】
このように、この実施例では、事前設定により、明るさ(照度)の検知位置や、録画範囲、あるいは録画する画像の回転補正及び走行中の録画画面などを自動的に設定することができる。これにより、運転者の負担を軽減することができるとともに、車両設置時の良好な撮影を可能とすることができる。
【0058】
なお、前記説明では、明るさの検知位置、録画範囲、録画する画像の回転補正及び走行中の録画画面を順位説明したが、この順番を限定するものではない。
【0059】
次に、図10の動作フロー図を元に、カメラ部111を用いた表示部130の表示画面の切り替えについて説明する。図10は、ライトのON/OFFスイッチに伴うモバイル端末の動作フロー図である。
【0060】
従来から、カーナビゲーション装置においては、車両300のライトのON/OFFスイッチ303に連動して、表示部130の表示モードを、昼間モードからライトを付けた状態で切り替えられる夜間モードに設定することが一般的となっている。しかしながら、この実施例では、カメラ部111を光センサとして利用している。これを図10を参照して説明する。
【0061】
図10において、端末制御部110は、車両300が電源ONされるか否かを監視しており(ステップ500)、車両300のキーが操作されてエンジンが始動すると、表示部130の表示画面に地図マップを表示する(ステップ502)。そして、端末制御部110は、車両300のON/OFFスイッチ303がONされたか否かを監視している(ステップ554)。端末制御部110は、ON/OFFスイッチ303がONされない状態では、昼間モードとして、表示部130の表示画面に表示される地図マップなどを明るい状態で表示し、ON/OFFスイッチ303がONされた状態では、夜間モードとして、表示部130の表示画面に表示される地図マップなどを白黒反転画像で表示する(ステップ570)。
【0062】
端末制御部110は、この夜間モードが設定されると、車両300のON/OFFスイッチ303が操作されたか否かを監視し(ステップ572)、ON/OFFスイッチ303のON状態が維持されれば夜間モードを継続し、ON/OFFスイッチ303がOFF状態となると、ステップ554に移行する。
【0063】
さて、端末制御部110は、昼間モードでは、カメラ部111で撮影される光の検出範囲の照度が規定値より小さくなったか否かを監視する(ステップ556)。この照度が規定値より小さくなると、端末制御部110は表示部130の表示モードを夜間モードにする(ステップ558)とともに、この夜間モードが設定されたことを車両に知らせる(ステップ560)。この夜間モードは、カメラ部111で撮影される光の検出範囲の照度が規定値より大きくなったことが判定されると解除される(ステップ562)。そして、端末制御部110は、車両300が電源OFFされたか否かを判定し(ステップ564)、OFFされなければステップ554に移行し、OFFされれば、このモバイル端末100の電源をOFF状態として(ステップ566)処理を終了する。
【0064】
ここで、ステップ560において、車両300は、モバイル端末100が夜間モードになったことをクレードル200を介して知ることができる。この信号により、車両300のライトの点灯を連動させることにより、トンネルなどで一々ライトの点灯操作を行うことを軽減することができる。
【0065】
このように、この実施例に係るカメラ付携帯型ナビゲーション装置は、筐体内に、制御部と記憶装置とGPS機能部と通信部とを備え、対向する筐体面にタッチパネル表示部とカメラ部を配置し、クレードルを介して、車両に着脱可能に取り付けられ、前記制御部は、カメラ部で撮影された画像を前記表示部に表示し、前記タッチパネルを介して前記表示部の所定の位置を受け付けて、この所定の位置をカメラ部の照度の基準の値として判定してカメラ部の絞りを設定することができる。
【0066】
この場合、前記制御部は、タッチパネルで所定の範囲を受け付けて、この所定の範囲を録画範囲として受け付けることができ、また、前記制御部は、タッチパネルで所定の範囲を受け付けて、この所定の範囲を録画範囲としてトリミング処理を実行することができる。
【0067】
更に、前記制御部は、タッチパネルで所定の直線を受け付けて、この直線を矩形状の録画範囲と平行となるように回転処理して録画することができる。
【0068】
加えて、前記制御部は、クレードルを介して、車両のライトの点灯スイッチのON/OFF信号を受け付けて、このON/OFF信号に連動して前記表示部の表示モードを夜間モードと昼間モードに設定し、前記昼間モードでは、前記予め設定された所定の位置の照度を監視し、この照度が所定値より小さい状態では夜間モードに設定することができる。
【符号の説明】
【0069】
1…ナビゲーションシステム、20…ナビゲーション管理サーバ(カーナビ管理サーバ)、21…ルート検索部、22…カーナビ管理制御部、23…地図情報管理データベース、24…会員管理データベース、25…記憶装置、30…道路情報提供サーバ、40…情報提供サイト、50…無線通信網、100…カメラ付携帯型ナビゲーション装置(モバイル端末)、101…筐体、103…広い筐体面102、104…底面となる周側面、105…側面となる周側面、110…端末制御部、111…カメラ部、112…操作部、113…GPS部、114…通信部、115…記憶部、116…タッチパネル、117…ハードキー、117a…録画キー、117b…メニューキー、117c…マップキー、118…接続端子部、119…水準センサ、130…表示部、200…クレードル、201…取付面、202…保持部、203…接続端子部、300…車両、301…ダッシュボード、302…回転数検知部、303…ON/OFFスイッチ、304…バッテリ、305…コード、400…メニュー画面、401…タイトルバー、402…ワークエリア、403…リスト表示部、404…スクロールスイッチ、405…設定、410…メニュー画面、411…リスト表示部、111a…機能選択部、111b…機能選択部、111c…機能選択部、111d…機能選択部、111e…機能選択部、430…設定画面、440…設定画面、450…設定画面、460…録画画面、460a…全画面表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に、制御部と記憶装置とGPS機能部と通信部とを備え、対向する筐体面にタッチパネル表示部とカメラ部を配置し、クレードルを介して、車両に着脱可能に取付可能なカメラ付携帯型ナビゲーション装置において、
前記制御部は、カメラ部で撮影された画像を前記表示部に表示し、前記タッチパネルを介して前記表示部の所定の位置を受け付けて、この所定の位置をカメラ部の照度の基準の値として判定してカメラ部の絞りを設定する
ことを特徴とするカメラ付携帯型ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記請求項1記載のカメラ付携帯型ナビゲーション装置において、
前記制御部は、タッチパネルで所定の範囲を受け付けて、この所定の範囲を録画範囲として受け付ける
ことを特徴とするカメラ付携帯型ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記請求項1記載のカメラ付携帯型ナビゲーション装置において、
前記制御部は、タッチパネルで所定の範囲を受け付けて、この所定の範囲を録画範囲としてトリミング処理を実行する
ことを特徴とするカメラ付携帯型ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記請求項1から3記載の何れかのカメラ付携帯型ナビゲーション装置において、
前記制御部は、タッチパネルで所定の直線を受け付けて、この直線を矩形状の録画範囲と平行となるように回転処理して録画する
ことを特徴とするカメラ付携帯型ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記請求項1から4記載の何れかのカメラ付携帯型ナビゲーション装置において、
前記制御部は、クレードルを介して、車両のライトの点灯スイッチのON/OFF信号を受け付けて、このON/OFF信号に連動して前記表示部の表示モードを夜間モードと昼間モードに設定し、
前記昼間モードでは、前記予め設定された所定の位置の照度を監視し、この照度が所定値より小さい状態では夜間モードに設定する
ことを特徴とするカメラ付携帯型ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−163114(P2010−163114A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8372(P2009−8372)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】