説明

カーナビとカメラ画像付バックミラー

【課題】車走行中のカーナビ表示と安全監視用ビデオカメラ表示を、顔や目線を頻繁に動かすことなく、またハンドルから手を離すことのない、安全で快適な運転操作を提供する。
【解決手段】カーナビ表示画面部11と車外監視用のビデオカメラ画像表示部24の両方を一体化してカーナビ付カメラ画像表示装置3とし、室内バックミラーの上から被せて固定する。また表示画像調整用スイッチ類はハンドル裏側で操作できるように設ける。これにより顔は正面を向いたまま目線をわずかに上にずらすだけでカーナビ及びビデオカメラ映像を見ることができるようになり、画像調整のために頻繁にハンドルから手をはなすこともない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車室内の運転援助機器に関し、より詳しくは、カーナビゲーション(カーナビ)とデジタルカメラによる車外情景撮像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年自動車運転用の支援機器としてカーナビゲーション(カーナビ)装置が普
及しており送行目的地の地図や自車位置情報表示更には交通情報を素早く音声
や表示により得られるようになり便利になっている。一方全ての自動車には車
外走行中の後方の他車位置を見る車内外バックミラー,車外のサイドミラー、
バンパーミラーが常備されており、その中でも大型トレーラーや長距離バスの
運手席周辺にはバック走行時に車体後部周辺の監視用にデジタルカメラ画像表
示装置も搭載されて利用されている。
【0003】
カーナビ装置は一般的に運転席斜め前のダッシュボード位置に格納され表示板も電子機器本体についている。ドライブを支援する装置として地図ばかりでなく文字情報も表示され、走行途中では音声による走行指示が流され、渋滞情報なども取り込まれ便利になっている。一方カーナビには各種多様な機能がついているが、それらの操作は電子機器本体についているスイッチ類で行うか、リモートスイッチボックスにより行っている。また、デジタルカメラ映像による車外状況の監視は小型で廉価なCCDカメラが使用されるようになりバスやトレーラートラックの運転死角の解消に用いられている。
【0004】
画像表示装置はバスや大型トラックにおいて車両の後測方の視界を監視する目的で利用される。バスの到着を待つ乗客がたむろする停留所や、荷物の集荷場で車両位置を変更するために前後進を繰り返す作業場では極めて有用で安全運転に役立っている。特許文献1はこのような装置であって、運転席左側窓外に設けられたバックミラーのステーにカメラを取り付ける構造が説明されている。
特許文献2には特に夜間の使用時に写りの良い赤外ランプ照明による赤外線カメラを使用する技術が開示されており、特許文献3も赤外線ビデオカメラを車輌の後測方に配置し、その出力ビデを画像を運転席台に置く表示装置が提案されている。
【特許文献1】特開2002-172978
【特許文献2】特開2004-156787
【特許文献3】特開2005-014810これらのビデオ画像表示装置の置き場所は運転席のダッシュボードに格納させた本体機器で行うか、表示部だけ分離してダッシュボード周辺かフロントグラスの下辺の台に乗せて設置している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドライブ中の車内で自分の現在位置と目的地の場所が一目で分かるカーナビ表示装置は大変便利であるが、その表示部は運転手の斜め下横にあるダッシュボード近辺に組み込まれているか、後付け機種の場合はフロントガラスの下辺の台付近に設置している。走行中の運転手の視線は殆どが正面のフロントグラスを透した前方と、時々ウォッチする車前方や運転台脇のバックミラー及び送行計器類を見ており、自車後方の車輌の確認のためには室内バックミラーで見るため斜め上方を眺めることになる。ダッシュボード脇のカーナビ表示機を眺める時とバックミラーや前方を眺める時には目線の位置が異なるので顔の上げ下げと視線の移動が必要となる。同様のことはビデオカメラによる車外監視の表示機を見る場合も、カーナビ表示機と同様の視線の移動を伴うことになる。以上の理由から車内にカーナビとビデオカメラの表示装置を置いて快適な運転と機器操作をするには、それらをダッシュボード近辺に設置するのは好ましくない。
【0006】
カーナビでもビデオカメラ画像でも、その画面の機能を最適化するために各種のスイッチ操作が必須である。カーナビにはリモートスイッチボックスを用意していることが多い。ビデオカメラも一つの画面だけでなく前後左右の画面を単体の画念にしたり組合せ画面にするには、切り替え操作のスイッチ操作を頻繁に行うことが必要になる。運転中にハンドルから手を離してリモートスイッチを操作したり、組み込み機器のスイッチ操作をすることは煩わしいし、安全の観点から見ると好ましくない。
【0007】
車内の数箇所にビデオカメラを置き、その画像を組合せ合成を行い最適画質を表示するように調節を行うには、表示機の近くに全ての画像信号を集中することになる。そのときカメラと信号制御部は3〜5m以上離れてしまい、その間の画像信号転送はケーブルを使用しているが、ビデオ信号のノイズ防止対策上好ましくない。色々な電子機器が車に搭載されるようになると、そこにつながるコード、電線が増えてくる。自動車内特に運転席周りの見える範囲には、電線などコード類は見えないようにしたい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本特許の目的とするところは、大変便利な自動車運転支援システムであるカーナビの表示機及び車外情景のビデオカメラ映像表示機を一体化して、その一体物を室内バックミラーに被せて簡単に取り付けることにある。
また、カーナビやビデオカメラの画像調整スイッチ動作は、ハンドルバーの裏側に設けられているスイッチ類を使用する。こうすることによって従来の課題であった画像表示部がダッシュボード近辺にあるので頻繁に目線を下向きにしていたことが、顔は正面を向いたまま目線をわずか上にずらすだけでカーナビ及びビデオカメラ映像を見るができるようになり、画像調整のために頻繁にハンドルから手を離すこともない。
【0009】
カメラと機器本体が離れてノイズを避けるために、ワイヤレス伝送を使用する。こうすることで車内のビデオ信号コードの引き回しがなくなる。
【0010】
ビデオカメラの後方車輌監視は、レンズ機器にフィルタ機能を持たせることにより赤外線領域の画像を見ることができるようになる。
【発明の効果】
【0011】
カーナビ表示もビデオカメラ表示も個々の機器として有用であるが、同時に利用する場合は視線をそのたびに移さねばならずかえって運転に不便になる。本特許においては両映像表示を同時に利用するために表示部を一体化する。このことにより、運転者がサイドミラーや室内バックミラー、送行計器を見ることの他、サイドボードのカーナビ画面及びカメラ監視表示を頻繁に見回す煩雑さから開放され、安全でリラックスした運転ができるようになる。また2台の表示機が一箇所にまとまり、置場所も従来使用していた室内バックミラーの上に被せて設置するので、運転台周辺の場所をとらずすっきりした室内に保つことができる。
【0012】
同様に両機器の機器操作スイッチ類を、運転者が常に握っているハンドルの裏側で操作できるので操作しやすく、手をハンドルから離してダッシュボードにある機器スイッチに触らずに操作できるのでリラックスした姿勢で運転ができ安全性が向上することになる。
【0013】
ビデオカメラによる映像表示は運転者の死角となっている車外周辺を監視できるので、安全性が増し、またカメラの映像をRF無線で転送するので電線コードの引き回しがなくなりノイズのない鮮明な画像を得られる。
ビデオカメラのレンズ周辺光学部品に僅かの機能を持たせることにより赤外光領域の画像を得ることができるようになる。この効果は昼間では後方車輌などを遠方まではっきり見えるようになり、夜間では可視光の強い眩しさの妨害を軽減し、暗部の撮像が見えやすくする効果を生む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
カーナビも、ワイヤレスビデオカメラ無線伝送技術もすでに商品化され、表示部品などは任意の形状のものが容易に入手できる。また従来のバックミラーの視野を広げるための一廻り大きい補助バックミラーも市販されている。これらの市販技術をそのまま取り込み利用してカーナビ付カメラ画像表示装置を作ることができ、これをバックミラーに簡単に取り付けることによって製作時間も製作コストも低減できる。
【実施例】
【0015】
具体的に試作した実施例を以下に記す。図1はカーナビ表示部4とビデオカメラ表示部5を一体に纏めたカーナビ付カメラ画像表示装置3の作動中の図である。本発明を用いて施策した実施例では市販されている補助バックミラー(縦80x横250x8)の筐体を利用し、その筐体の中にカーナビ表示部とビデオカメラ表示部(LCD製)を取り付けた。
ビデオカメラ表示部5には外部情景を写す1台目のカメラ21の画像を表示してもよいし、表示画面に2台目のカメラ22、または3台目のカメラ23の画像を組み合わせて表示することもできる。
【0016】
このカーナビ付カメラ画像表示装置3に信号などを送る機器配置図を図2に示す。カーナビの本体部1をダッシュボードに格納し、機能切り替えや画面制御スイッチ類4はハンドルの裏側に取り付けた。スイッチ類4と本体1の間はコード6によって結線されている。本体1とカーナビ付カメラ画像表示装置3の中の画像表示部11はコード5で結線され、結線はダッシュボードから車体の金属製窓枠を通って天井裏をとおり、室内バックミラーの位置に取り付けた表示装置3につながっている。
【0017】
ビデオカメラ画像撮像装置の本体部2も、カーナビ本体と同様にダッシュボードに格納し、ハンドルの裏側に取り付けた機能切り替えや画面制御スイッチ類4とはコード6で結線されている。カメラ画像撮像装置本体2とカーナビ付カメラ画像表示装置3の中の画像表示部24はコード5で結線され、カーナビの信号伝送と同様にコード5はダッシュボードから車体の金属製窓枠を通って天井裏をとおり、室内バックミラーの位置に取り付けた表示装置3につながっている。
【0018】
車外の情景を監視用に撮影し、映像をワイヤレスで伝送するビデオカメラ21,22,23,24をそれぞれ車体の右後方を写す位置、左後方を写す位置、車体後部の直下を写す位置および車体後方を写す位置に置いた。
ワイヤレス信号はダッシュボードにある本体部2で受信され、希望するカメラの選択や画面組み合わせ、画面調整を行った後の画面が表示部11に表示される。
本特許の発明品を搭載した車両の運転は、機器類の監視や操作に煩わされず、快適で安全な走行ができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本特許は 一般常用車でカーナビを頼りに不案内な目的地へ走行する場合に、地図表示を目線をあまり動かすことなくまたハンドルから手を話すことなく容易に運転することができ、安全走行に役立つ。また運転者にとって車の死角になる領域をカメラの撮像で監視することにより、安全な作業ができる。特にバスやトレーラー車、また荷物の積載に活躍するフォークリフト、駅構内の荷物レッカー車にカメラ監視をするときに安全な作業ができるようになり、産業上の利用利便性が増すものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】カーナビ付カメラ画像表示装置の概観図
【図2】車載するカーナビ付カメラ画像表示装置電子機器の配置図
【符号の説明】
【0021】
1・・・・カーナビ本体
2・・・・ビデオカメラ撮像機本体
3・・・・カーナビ付カメラ画像表示装置
4・・・・表示画像調整用スイッチ類
5・・・・表示信号伝送コード
6・・・・表示画面調整用スイッチと本体間の制御コード
7・・・・フック
11・・・カーナビ表示画面部
24・・・カメラ画像表示部
21,22,23,24・・・ワイヤレス式ビデオカメラ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の運転席にある室内バックミラーの位置に、右側半分に車外の情景が表示される映像装置と左側半分にカーナビゲーション表示装置が一体となって備えられたカーナビ付カメラ画像表示装置。
【請求項2】
車外の複数箇所に取り付けられたビデオカメラの撮像はワイヤレス無線送信によって車内に転送されることを特徴とする請求項1のカーナビ付カメラ画像表示装置。
【請求項3】
カメラ画像の表示は、全画面を1台のカメラ画像を表示したり、表示部を分割分けして複数のカメラ画像を同時に表示したり、カメラ画像を任意に組み合わせて同時に表示できるようにした請求項1のカーナビ付カメラ画像表示装置。
【請求項4】
カメラのレンズ部や防塵透明板に赤外線透過用無反射コーティングを施している請求項1のカーナビ付カメラ画像表示装置
【請求項5】
カーナビゲーションの各種ファンクション表示の切り替えや、外部カメラ映像の各種の画面操作を、運転手のハンドルバ-の裏側に設けられているスイッチ類によって行うことを特徴とする請求項1のカーナビ付カメラ画像表示装置。
【請求項6】
カーナビゲーションの本体装置からの信号やカメラ映像の本体装置からの信号、及び画面表示用電源を伝送するコード腺は、室内バックミラー上部の天井ボード側から引き出すようにしたことを特徴とする請求項1のカーナビ付カメラ画像表示装置。


【図2】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−89705(P2010−89705A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263443(P2008−263443)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(593116973)
【Fターム(参考)】