説明

ガスシール機構及び動力システム

【課題】水とアンモニアとを混合してなる非共沸混合媒体の溶液を加熱してなる作動蒸気により回転駆動する蒸気タービンのガスシール機構において、シールガスの外部への放出による大気汚染や出力軸に連結された発電機の故障、シールガスの作動蒸気への混入による蒸気タービンの性能低下等の問題を回避することができる技術を提供する点にある。
【解決手段】ガスシール部61における蒸気タービン2側に配置された内側ガスシール部61aに、シールガスとして水蒸気Swを導入する水蒸気導入手段Xと、ガスシール部61における内側ガスシール部61aよりも外部側に配置された外側ガスシール部61bに、シールガスとして空気Aを導入する空気導入手段Yとを備え、ガスシール部61に、シールガスを排出するドレン部62が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水とアンモニアとを混合してなる非共沸混合媒体の溶液を加熱してなる作動蒸気により回転駆動する蒸気タービンにおいて、前記蒸気タービンの出力軸と当該出力軸を回転自在に支持する軸受部材との隙間のガスシール部にシールガスを導入して、前記蒸気タービン側の作動蒸気が前記隙間を通じて外部へ放出されることを防止するガスシール機構に関する。
【背景技術】
【0002】
発電用のエンジンなどから排出される排熱を回収して、発電機等を駆動するための軸動力を得るための動力システムが知られている。
この種の動力システムは、上記作動蒸気発生器において、エンジン排ガス等の排熱により供給ポンプにより供給された所定の溶液を加熱して作動蒸気を発生し、上記蒸気タービンにおいて、その作動蒸気により得た軸動力により発電機等を駆動し、上記復水器において、蒸気タービンを回転駆動した後に流出した作動蒸気を溶液に復水させるという動力回路を備える。
【0003】
更に、上記動力システムとして、エンジン排ガスとして排出される高温排熱や、エンジン冷却水として排出される低温排熱等の、2種類の排熱から効果的に軸動力を得ることができる動力システムとして、アンモニアと水とを混合してなる水−アンモニア系の非共沸混合媒体を用い、吸収式冷凍機の原理を利用したものが知られている(例えば、特許文献1及び非特許文献1を参照。)。
この種の動力システムは、復水器で復水したアンモニア濃度が高い濃溶液を、濃溶液流路に設けられた供給ポンプにより昇圧して再生器に送出し、その濃溶液を再生器において原動機の低温排熱(冷却水)により加熱して濃溶液からアンモニア蒸気を分離してアンモニア濃度が低い希溶液とし、その希溶液を希溶液流路に設けられた減圧部により減圧して復水器に送出するという再生回路を備え、更に、その再生器で分離したアンモニア蒸気を蒸気タービンに供給される作動蒸気に合流させるように構成されている。
そして、このような動力システムにおいて、再生器で分離した高濃度のアンモニア蒸気については、一部を作動蒸気発生器に供給される直前の溶液に吸収させ、更に残部を蒸気タービンに供給される直前の作動蒸気に加える形態で、蒸気タービンに供給される前の非共沸混合媒体に合流させることで、蒸気タービンの軸出力を増加させることができ、これは、再生器に供給した低温排熱の熱エネルギを、蒸気タービンの軸動力に変換して回収し得ることを意味する。
また、上述したような動力システムを適用して、蒸気タービンの軸出力により数1000kW以下の発電を行う場合には、小型の蒸気タービンを高速(例えば数万rpm)で回転駆動させて、高効率化が図られる。
【0004】
そして、このように高速で回転駆動する蒸気タービンにおいて、蒸気タービン側の作動蒸気が隙間を通じて外部へ放出されることを防止するためのシール機構として、蒸気タービンの出力軸と当該出力軸を回転自在に支持する軸受部材との隙間のガスシール部に、所定のシールガスを導入する所謂ガスシール機構が知られている(例えば、特許文献2,3,4を参照。)。
【0005】
上記特許文献2に記載のガスシール機構では、空気圧縮機で圧縮した空気を、上記ガスシール部に導入するように構成されている。
一方、上記特許文献3及び4に記載のガスシール機構では、蒸気タービンの作動蒸気としてアンモニア等の低沸点媒体の蒸気を利用する場合において、その蒸気タービンの入口側の作動蒸気の一部を取り出して、その取り出した蒸気を、上記ガスシール部に導入するように構成されている。
更に、上記特許文献3に記載のガスシール機構では、高速で回転駆動する蒸気タービンの出力軸を蒸気タービンの出力軸と当該出力軸を回転自在に支持する軸受部材が、ガスシール部に高圧蒸気を導入することで、出力軸を浮遊支持する静圧軸受(気体軸受)として機能するように構成されている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−171891号公報
【特許文献2】特開2002−30903号公報
【特許文献3】特開2001−174098号公報
【特許文献4】特開2006−63958号公報
【非特許文献1】「アンモニアを使用したガスエンジン排熱利用技術の開発」藤本洋、薬師寺新吾、2005年6月28日、機械学会 第10回動力エネルギ技術シンポジウム 講演論文集 OS4−05
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したような従来のガスシール機構では、例えば、ガスシール部に導入されたシールガスとしての低沸点媒体の蒸気が、軸線方向に沿って外部に放出されることで、大気汚染や出力軸に連結された発電機の故障等の問題が懸念され、一方、ガスシール部に導入されたシールガスとしての空気が、軸線方向に沿って内側にある蒸気タービンの作動蒸気に混入されることで、当該蒸気タービンの性能低下が発生することが懸念される。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、水とアンモニアとを混合してなる非共沸混合媒体の溶液を加熱してなる作動蒸気により回転駆動する蒸気タービンのガスシール機構において、シールガスの外部への放出による大気汚染や出力軸に連結された発電機の故障、シールガスの作動蒸気への混入による蒸気タービンの性能低下等の問題を回避することができる技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るガスシール機構は、水とアンモニアとを混合してなる非共沸混合媒体の溶液を加熱してなる作動蒸気により回転駆動する蒸気タービンにおいて、前記蒸気タービンの出力軸と当該出力軸を回転自在に支持する軸受部材との隙間のガスシール部にシールガスを導入して、前記蒸気タービン側の作動蒸気が前記隙間を通じて外部へ放出されることを防止するガスシール機構であって、その第1特徴構成は、前記ガスシール部における前記蒸気タービン側に配置された内側ガスシール部に、前記シールガスとして水蒸気を導入する水蒸気導入手段と、
前記ガスシール部における前記内側ガスシール部よりも前記外部側に配置された外側ガスシール部に、前記シールガスとして空気を導入する空気導入手段とを備え、
前記ガスシール部に、前記シールガスを排出するドレン部が配置されている点にある。
【0010】
上記ガスシール機構の第1特徴構成によれば、蒸気タービンの出力軸とその軸受部材との隙間のガスシール部において、蒸気タービン側から出力軸の軸線方向に沿って順に、上記内側ガスシール部と上記外側ガスシール部とが並設されることになり、更に、上記水蒸気導入手段により上記内側ガスシール部に水蒸気が導入され、上記空気導入手段により上記外側ガスシール部に空気が導入されることになる。
よって、上記内側ガスシール部の軸線方向に沿って外側に配置された外側ガスシール部に空気が導入されることで、その内側ガスシール部に導入された水蒸気が、その外側ガスシール部を超えて外部に放出されることを抑制することができ、その水蒸気の外側への放出による大気汚染や出力軸に連結された発電機の故障等の問題を回避することができる。尚、上記内側ガスシール部に導入された水蒸気の一部が、その内側ガスシール部の内側に流出して蒸気タービン側の作動蒸気に混入されたとしても、そもそもその作動蒸気が水とアンモニアとを混合してなる非共沸混合媒体の溶液を加熱してなる作動蒸気であることから、蒸気タービンの性能は殆ど低下しない。
一方、上記外側ガスシール部の軸線方向に沿って内側に配置された内側ガスシール部に水蒸気が導入されることで、上記外側ガスシール部に導入された空気が、その内側ガスシール部を超えて蒸気タービンの作動蒸気に混入されることを抑制することができ、その空気の作動蒸気への混入による蒸気タービンの性能低下の発生を回避することができる。尚、上記外側ガスシール部に導入された空気の一部が、その外側ガスシール部の外側に流出して外部に放出されたとしても、それが空気であることから、大気汚染や発電機の故障等の問題はない。
【0011】
本発明に係るガスシール機構の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記ドレン部が、前記内側ガスシール部と前記外側ガスシール部との間に位置する点にある。
【0012】
上記ガスシール機構の第2特徴構成によれば、上記内側ガスシール部から外側に流出する水蒸気が、その内側ガスシール部の外側に配置されたドレン部を通じてドレンガスとして排出されることになるので、その水蒸気がそのドレン部よりも更に外側に配置された外側ガスシール部を越えて外部に放出されることを一層抑制することができる。
一方、上記外側ガスシール部から内側に流出する空気が、その外側ガスシール部の内側に配置されたドレン部を通じてドレンガスとして排出されることになるので、その空気がそのドレン部よりも更に内側に配置された内側ガスシール部を越えて蒸気タービンの作動蒸気に混入されることを一層抑制することができる。
【0013】
本発明に係るガスシール機構の第3特徴構成は、上記第1乃至上記第2の何れかの特徴構成に加えて、前記内側ガスシール部と前記外側ガスシール部との間に、前記出力軸に設けられたスラストプレートを、前記軸受部材に設けられたスラスト軸受面に対して軸線方向に沿って内向きに当接させた状態で収容するスラストプレート収容部が配置されている点にある。
【0014】
上記ガスシール機構の第3特徴構成によれば、内側ガスシール部と外側ガスシール部との間に配置されたスラストプレート収容部において、出力軸に設けられたスラストプレートと軸受部材に設けられたスラスト軸受面との当接部により、上記内側ガスシール部と上記外側ガスシール部とが隔離されることになるので、内側ガスシール部の水蒸気がそれを超えて外側に流出することを一層抑制し、更に、外側ガスシール部の空気がそれを超えて内側に流出することを一層抑制することができる。
【0015】
本発明に係るガスシール機構の第4特徴構成は、上記第1乃至上記第3の何れかの特徴構成に加えて、前記軸受部材が、前記水蒸気導入手段により前記内側ガスシール部に高圧水蒸気を導入することで、前記出力軸を浮遊支持する静圧軸受として機能する点にある。
【0016】
上記ガスシール機構の第4特徴構成によれば、上記水蒸気導入手段が高圧水蒸気を内側ガスシール部に導入することで上記静圧軸受として機能する上記軸受部材により、高速で回転駆動する蒸気タービンの出力軸を、簡単且つ適切に回転自在に支持することができる。
【0017】
上記目的を達成するための本発明に係る動力システムは、水とアンモニアとを混合してなる非共沸混合媒体の溶液を原動機の高温排熱により加熱して前記作動蒸気を発生する作動蒸気発生器と、前記作動蒸気発生器から供給された前記作動蒸気により回転駆動する蒸気タービンと、前記蒸気タービンから流出した前記作動蒸気を冷却して前記溶液に復水させる復水器と、前記復水器から供給された前記溶液を前記作動蒸気発生器に供給する供給ポンプとを配置してなる動力回路と、
アンモニア濃度が高い濃溶液を前記原動機の低温排熱により加熱して、前記濃溶液からアンモニア蒸気を分離してアンモニア濃度が低い希溶液とする再生器と、前記復水器から前記再生器へ向けて前記濃溶液が流通する濃溶液流路において前記濃溶液を昇圧して前記再生器に送出する循環ポンプと、前記再生器から前記復水器へ向けて前記希溶液が流通する希溶液流路において前記希溶液を減圧して前記復水器に送出する減圧部とを配置してなる再生回路とを備えて、
前記再生器で分離した前記アンモニア蒸気を、前記蒸気タービンに供給される前の前記非共沸混合媒体に合流させるように構成された動力システムであって、その第1特徴構成は、前記蒸気タービンの出力軸と当該出力軸を回転自在に支持する軸受部材との隙間のガスシール部にシールガスを導入して、前記蒸気タービン側の作動蒸気が前記隙間を通じて外部へ放出されることを防止するガスシール機構として、上記第1乃至上記第4の何れかの特徴構成を有するガスシール機構を備えた点にある。
【0018】
上記動力システムの第1特徴構成によれば、水とアンモニアとを混合してなる非共沸混合媒体を利用し、上記動力回路及び上記再生回路を備えることで、原動機の高温排熱や低温排熱の2種類の排熱から効果的に軸動力を得るにあたり、本発明に係るガスシール機構を好適に適用することができ、シールガスの外部への放出による大気汚染や出力軸に連結された発電機の故障、シールガスの作動蒸気への混入による蒸気タービンの性能低下等の問題を回避することができる。
【0019】
本発明に係る動力システムの第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記水蒸気導入手段が、前記希溶液流路から取り出した希溶液を前記原動機の高温排熱により加熱してアンモニア濃度が低い水蒸気を発生させ、当該発生した水蒸気を前記内側ガスシール部に導入する点にある。
【0020】
上記動力システムの第2特徴構成によれば、上記水蒸気導入手段により、別途水や熱源を追加する必要がなく、上記再生回路における希溶液流路から取り出した希溶液と上記動力回路における原動機の高温排熱とを利用して、ガスシール機構の内側ガスシール部に水蒸気を導入することができる。
即ち、上記希溶液を上記高温排熱で加熱することで、アンモニア濃度が低い水蒸気を発生させることができ、その水蒸気をガスシール機構の内側ガスシール部に導入することができる。
【0021】
本発明に係る動力システムの第3特徴構成は、上記第第2特徴構成に加えて、前記原動機がエンジンであると共に、前記エンジンの排ガスを脱硝処理して排出する脱硝処理部を備え、
前記ドレン部から排出されたドレンガスを、前記脱硝処理部の入口側に流入させる点にある。
【0022】
上記動力システムの第4特徴構成によれば、アンモニア濃度が低い希溶液を加熱してなる水蒸気を内側ガスシール部に導入する場合において、ドレン部から排出されたドレンガスに含まれるアンモニアを、そのまま大気に放出せずに、エンジン排ガスと共に上記脱硝処理部に通過させることで無害化することができる。
【0023】
本発明に係る動力システムの第4特徴構成は、上記第1乃至上記第3の何れかの特徴構成に加えて、前記原動機が、過給機を有するエンジンであり、
前記空気導入手段が、前記過給機で加圧された空気を取り出し、当該取り出した空気を前記外側ガスシール部に導入するように構成されている点にある。
【0024】
上記動力システムの第4特徴構成によれば、上記空気導入手段により、別途空気圧縮機等を追加する必要がなく、上記エンジンの過給機の下流側から取り出した加圧後の空気を、ガスシール機構の外側ガスシール部に導入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
尚、図1は、動力システムの概略構成図であり、図2は、当該動力システムに設けられたガスシール機構の側断面図である。
【0026】
先ず、動力システムの基本構成について、図1に基づいて説明する。
動力システムは、原動機としてのエンジン21から排出されるエンジン排ガスEの排熱を高温排熱とし、エンジン21を冷却するエンジン冷却水JWの排熱を低温排熱として、これらエンジン排ガスEとエンジン冷却水JWとから効率良く排熱回収して、蒸気タービン2により発電機80を駆動するための軸動力を出力するサイクルを利用するように構成されている。
【0027】
そして、この動力システムには、夫々の詳細構成については後述するが、作動蒸気発生器1と蒸気タービン2と復水器3と供給ポンプ14及び16とを配置してなる動力回路30が備えられている。以下、その動力回路30の詳細構成について説明する。
上記作動蒸気発生器1は、排気路23を通じてエンジン21から供給されたエンジン排ガスEとの熱交換により作動流体の溶液Lを加熱して作動流体の作動蒸気Sを発生する。
上記蒸気タービン2は、上記作動蒸気発生器1から作動蒸気流入路11を通じて供給された作動蒸気Sにより出力軸2bを回転駆動する。そして、この蒸気タービン2の出力軸2bにより出力される回転動力は、発電機80を駆動するための駆動源として利用される。
【0028】
上記復水器3は、上記蒸気タービン2から流出し作動蒸気流出路12を通じて供給された作動蒸気Sを冷却水との熱交換により冷却して溶液Lに復水させる。また、この復水器3には、冷却水C1が通流する冷却管3aが配設され、その冷却管3a内に冷却水C1が通流することにより、作動蒸気S及び溶液Lと冷却水C1との間の熱交換が行われ、作動蒸気Sが凝縮して溶液Lに混合されるときに生じる凝縮潜熱及び混合熱が冷却水C1により回収することができる。
【0029】
上記供給ポンプ14及び16は、復水器3から供給された溶液Lを流路13及び15を通じて作動蒸気発生器1に供給する。詳しくは、上記供給ポンプ14は、復水器3から後述する吸収器5に溶液Lを供給するものであり、上記供給ポンプ16は、その吸収器5から作動蒸気発生器1に溶液Lを供給するものである。
そして、この動力回路30では、作動流体が、作動蒸気発生器1、蒸気タービン2、復水器3、供給ポンプ14、吸収器5、供給ポンプ16の順に夫々を循環することになる。
【0030】
更に、動力システムには、冷媒としてのアンモニアと、当該アンモニアを吸収可能な吸収液としての水との水−アンモニア系等の非共沸混合媒体を作動流体として用い、吸収式冷凍機の原理を利用して、上記エンジン排ガスEの排熱である高温排熱及び上記エンジン冷却水JWの排熱である低温排熱の2種類の排熱を効果的に回収するために、再生器4と循環ポンプ17と減圧弁20とを配置してなる再生回路35とが備えられている。以下、その上記再生回路35の詳細構成について説明する。
【0031】
上記再生器4は、アンモニア濃度が高い濃溶液L1をエンジン21の低温排熱であるエンジン冷却水JWにより加熱して、当該濃溶液L1からアンモニア蒸気Saを分離してアンモニア濃度が低い希溶液L2とする。また、この再生器4には、エンジン冷却水JWが通流する加熱管4aが配設され、その加熱管4a内に、エンジン21との間でポンプ24により循環されるエンジン冷却水JWを通流させることにより、作動流体の溶液Lとエンジン冷却水JWとの熱交換が行われる。
【0032】
上記循環ポンプ17は、復水器3から再生器4へ向けてアンモニア濃度が高い濃溶液L1が流通する濃溶液流路18において濃溶液L1を昇圧して再生器4に送出する。
上記減圧弁20(減圧部の一例)は、再生器4から復水器3へ向けて希溶液L2が流通する希溶液流路19において希溶液L2を減圧して復水器3に送出する。
【0033】
即ち、復水器3で蒸気タービン2から供給された作動蒸気Sが混合された後の比較的アンモニア濃度が高い濃溶液L1は、復水器3から濃溶液流路18を通じて循環ポンプ17により昇圧された後に再生器4に供給され、一方、再生器4でアンモニア蒸気Saが分離された後の比較的アンモニア濃度が低い希溶液L2は、再生器4から希溶液流路19を通じて減圧弁20により減圧された後に復水器3に供給されることで、高圧の再生器4と低圧の復水器3との間で、圧力差を維持しながら溶液Lが循環されることになる。
【0034】
更に、動力システムは、この再生回路35において再生器4で分離したアンモニア蒸気Saを、動力回路30において蒸気タービン2に供給される作動流体に合流させることで、蒸気タービン2の軸出力を増加させて、再生器4にエンジン冷却水JWの排熱として供給した低温排熱の熱エネルギを、蒸気タービン2の軸動力に変換して回収するように構成されており、以下、その詳細構成について説明する。
【0035】
動力システムは、再生器4で分離されアンモニア蒸気流路10に流出したアンモニア蒸気Saの少なくとも一部を、供給ポンプ14から作動蒸気発生器1に供給される溶液Lに吸収させる吸収器5が備えられている。
即ち、吸収器5において、復水器3から供給ポンプ14により流路13を通じて供給された作動流体の溶液Lに、アンモニア蒸気流路10から分岐する分岐路10aを通じて供給されたアンモニア蒸気Saが吸収されて、アンモニア濃度が非常に高い作動流体の溶液Lが生成され、その溶液Lが供給ポンプ16により一層加圧され流路15を通じて作動蒸気発生器1に供給される。
よって、再生器4で分離されたアンモニア蒸気Saが比較的低圧であっても、この吸収器5でその低圧のアンモニア蒸気Saを良好に溶液に吸収させることができ、更には、当該作動蒸気発生器1で高濃度の溶液Lにより多くのエンジン排ガスEの熱を回収することができるので、蒸気タービン2に多くの作動蒸気Sを供給して蒸気タービン2の軸出力を増加させることができる。
【0036】
更に、作動蒸気発生器1において、排気路23を流通するエンジン排ガスEは溶液Lに熱を与えることで温度が低下する。即ち、排気路23における作動蒸気発生器1の入口側と出口側との温度差は、作動蒸気発生器1におけるエンジン排ガスEに対する熱回収量に略比例する。
そして、作動蒸気発生器1は、吸収器5においてアンモニア濃度が高くなった溶液Lを、排気路23の下流側から上流側に向けて流通させて、排気路23を流通するエンジン排ガスEの熱を当該溶液Lに与えるように構成されている。
よって、作動蒸気発生器1において、排気路23における下流側(作動蒸気発生器1に対するエンジン排ガスEの出口側)付近では、溶液Lに高濃度に含まれるアンモニアが比較的低温のエンジン排ガスEとの熱交換により良好に蒸発するので、蒸気タービン2に対して多くの作動蒸気Sを供給することができ、更に、排気路23における上流側のエンジン排ガスEの温度が一定である場合でも下流側のエンジン排ガスEの温度を充分に低下させることができることから、作動蒸気発生器1におけるエンジン排ガスEに対する熱回収量を増加させることができる。
【0037】
更に、吸収器5には、冷却水C2が通流する冷却管5aが配設され、その冷却管5a内に冷却水C2が通流することにより、アンモニア蒸気Sa及び溶液Lと冷却水C2との間の熱交換が行われ、アンモニア蒸気Saが溶液Lに吸収されるときに生じる吸収熱が冷却水C2により回収することができる。
また、一般的に吸収器5が復水器3よりも高温であることから、当該吸収器5に供給する冷却水C2は、上述した復水器3で熱回収した後の冷却水C1とすることができる。尚、復水器3と吸収器5とに冷却水C1,C2を個別に供給しても構わない。
【0038】
更に、動力システムは、再生器4で分離されアンモニア蒸気流路10に流出したアンモニア蒸気Saの少なくとも一部を、蒸気タービン2の低圧段2aに供給するように構成されている。
即ち、上記吸収器5で溶液Lに吸収し得なかったアンモニア蒸気Saの残部が、アンモニア蒸気流路10から分岐する分岐路10bを通じて、蒸気タービン2の低圧段2aに供給される。
よって、再生器4で分離されたアンモニア蒸気Saが比較的低圧であっても、その低圧のアンモニア蒸気Saを良好に比較的低圧な蒸気タービン2の低圧段2aに供給して、蒸気タービン2の軸出力を増加させることができる。
【0039】
更に、この動力システムは、その蒸気タービン2の出力軸2bと当該出力軸2bを回転自在に支持する軸受部材60との隙間のガスシール部61にシールガスを導入して、蒸気タービン2側の作動蒸気Sが隙間を通じて外部へ放出されることを防止するためのガスシール機構が設けられている。
そして、このガスシール機構は、発電機80において数1000kW以下の発電を行うべく、小型の蒸気タービン2を非常に高速(例えば数万rpm)で回転駆動させる場合でも、シールガスの外部への放出による大気汚染や出力軸2bに連結された発電機80の故障、シールガスの作動蒸気Sへの混入による蒸気タービン2の性能低下等の問題を回避するように構成されている。以下、このガスシール機構の詳細構成について、図2に基づいて説明する。
【0040】
図2に示すように、ガスシール機構には、ガスシール部61における蒸気タービン2側に配置された内側ガスシール部61aに、詳細については後述するが若干のアンモニアを含む水蒸気Swをシールガスとして導入する水蒸気導入手段Xが備えられている。
尚、この水蒸気導入手段Xは、回転駆動する出力軸2bの蒸気タービン2側(即ち、図2では出力軸2bの左側)に外嵌されたスラストプレート63の外面と軸受部材60の内面との隙間を上記内側ガスシール部61aとし、その内側ガスシール部61aに水蒸気Swを供給する水蒸気導入路42により構成されている。
尚、この軸受部材60は、上記水蒸気導入手段Xにより内側ガスシール部61aに高圧で水蒸気Swを導入することで、高速で回転駆動する出力軸2bを浮遊支持する静圧軸受として機能するように構成されている。
【0041】
更に、ガスシール機構には、ガスシール部61における上記内側ガスシール部61aよりも外部側に配置された外側ガスシール部61bに、シールガスとして空気Aを導入する空気導入手段Yが備えられている。
尚、この空気導入手段Yは、軸受部材60と回転駆動する出力軸2bの上記スラストプレート63よりも発電機80側(即ち、図2では出力軸2bの右側)に外嵌されたスリーブ67の外面と軸受部材60の内面との隙間を上記外側ガスシール部61bとし、その外側ガスシール部61bに空気Aを供給する空気導入路45により構成されている。
【0042】
そして、このように構成されたガスシール機構では、上記内側ガスシール部61aの軸線方向に沿って外側(図2では右側)に配置された外側ガスシール部61bに空気Aが導入されることで、内側ガスシール部61aに導入された水蒸気Swが、その外側ガスシール部61bを超えて外部に放出されることが抑制されて、その水蒸気Swの外側への放出による大気汚染や出力軸2bに連結された発電機80の故障等が回避されている。
【0043】
一方、上記外側ガスシール部61bの軸線方向に沿って内側(図2では左側)に配置された内側ガスシール部61aに水蒸気Swが導入されることで、外側ガスシール部61bに導入された空気Aが、その内側ガスシール部61aを超えて蒸気タービン2の作動蒸気Sに混入されることが抑制されて、その空気Aの作動蒸気Sへの混入による蒸気タービン2の性能低下の発生が回避されている。
【0044】
尚、上記内側ガスシール部61aに導入された水蒸気Swの一部が、その内側ガスシール部61aの内側に流出して蒸気タービン2側の作動蒸気Sに混入されたとしても、そもそもその作動蒸気Sが水とアンモニアとを混合してなる非共沸混合媒体の溶液Lを加熱してなる作動蒸気Sであることから、蒸気タービン2の性能は殆ど低下しない。
一方、上記外側ガスシール部61bに導入された空気Aの一部が、その外側ガスシール部61bの外側に流出して外部に放出されたとしても、それが空気Aであることから、大気汚染や発電機80の故障等の問題はない。
【0045】
上記出力軸2bには、出力軸2bを外嵌する筒状部位と当該筒状部位の発電機80側の端部から径外方向に延出するフランジ状部位とからなるスラストプレート63が、当該出力軸2bと共に回転駆動するように設けられている。
一方、軸受部材60の内側ガスシール部61aと外側ガスシール部61bとの間には、出力軸2bに設けられたスラストプレート63を、当該軸受部材60に設けられたスラスト軸受面64に対して軸線方向に沿って内向き(即ち蒸気タービン2に向かう方向)に当接させた状態で収容するスラストプレート収容部65が配置されている。
よって、そのスラストプレート収容部65では、スラストプレート63とスラスト軸受面64との当接部により、内側ガスシール部61aと外側ガスシール部61bとが隔離されることで、水蒸気Swの発電機80側への流出及び空気Aの蒸気タービン2側への流出が一層抑制されている。
【0046】
上記ガスシール部61には、上記水蒸気Swや上記空気AのシールガスをドレンガスDとして外部に排出するドレン部62が配置されており、そのドレン部62は、内側ガスシール部61aと外側ガスシール部61bとの間に位置している。
よって、内側ガスシール部61aから発電機80側に向けて流れる水蒸気Sw、及び、外側ガスシール部61bから蒸気タービン2側に向けて流れる空気Aの夫々が、内側ガスシール部61aと外側ガスシール部61bとの間に位置するドレン部62を通じてドレンガスDとして排出されることになり、水蒸気Swの発電機80側への流出及び空気Aの蒸気タービン2側への流出が一層抑制されている。
【0047】
更に、上記ドレン部62は、当然1つでも構わないが、本実施形態では、スラストプレート収容部65よりも蒸気タービン2側に位置する内側ドレン部62aと、スラストプレート収容部65に位置する外側ドレン部62bとが設けられている。
よって、内側ガスシール部61aから発電機80側に向けて流れる水蒸気Swは主に内側ドレン部62aを通じて内側ドレンガスDaとして外部に排出され、一方、外側ガスシール部61bから蒸気タービン2側に向けて流れる空気Aは主に外側ドレン部62bを通じて外側ドレンガスDbとして外部に排出されることになる。尚、この夫々のドレンガスDa,Dbは、個別に処理しても、夫々を合流させて同時に処理しても構わない。
【0048】
上記のように構成されたガスシール機構を、上述した動力システムに採用するにあたり、シールガスとしての水蒸気Sw及び空気Aの供給、ドレン部62でのドレンガスDの排出を、適切に行うための構成を備えている。以下、その動力システムの特徴構成について、図1に基づいて説明する。
【0049】
図1及び図2に示す動力システムでは、上述ガスシール機構における水蒸気導入手段Xが、再生回路35における希溶液流路19から取り出した希溶液L2をエンジン21の高温排熱であるエンジン排ガスEにより加熱してアンモニア濃度が低い水蒸気Swを発生させ、その発生した水蒸気Swを、ガスシール機構における内側ガスシール部61aに導入するように構成されている。
【0050】
即ち、上記水蒸気導入手段Xは、上記希溶液流路19における減圧弁20の上流側に接続されて当該希溶液流路19から希溶液L2の一部が流入する希溶液取出流路41と、排気路23の作動蒸気発生器1よりも上流側を流通する高温のエンジン排ガスEとの熱交換により希溶液取出流路41を通じて供給された希溶液L2を加熱して若干のアンモニアを含む水蒸気Swを発生する水蒸気発生器40と、当該水蒸気発生器40が発生した水蒸気Swをガスシール機構における内側ガスシール部61aに導入する水蒸気導入路42とを備えて構成されている。
したがって、この動力システムでは、ガスシール機構で利用する水蒸気Swを発生させるために、別途水や熱源を追加する必要がない。
【0051】
上記内側ガスシール部61aに若干のアンモニアを含む水蒸気Swを導入することにより、ドレン部62から排出されるドレンガスDには若干のアンモニアが含まれることになる。
そこで、エンジン21の排気路23には、エンジン排ガスEを脱硝処理する脱硝触媒26(脱硝処理部の一例)が設けられており、更に、ドレン部62に接続されたドレン流路47の他端側を排気路23における脱硝触媒26の上流側に接続することで、ドレン部62から排出されたドレンガスDが脱硝触媒26の入口側に流入されている。
したがって、上記ドレンガスDは、そのまま大気に放出されずに、エンジン排ガスEと共に上記脱硝触媒26を通過して無害化された後に放出されることになる。
【0052】
更に、エンジン21が、吸気路22に取り込まれた空気Aを加圧して燃焼室(図示せず)に供給するための過給機25を有しており、更に、上述ガスシール機構における空気導入手段Yが、その過給機25で加圧された空気Aを取り出し、当該取り出した空気Aを、ガスシール機構における外側ガスシール部61bに導入するように構成されている。
即ち、上記空気導入手段Yは、吸気路22における過給機25の下流側に接続されて当該吸気路22から加圧された空気Aの一部が流入し、その空気Aをガスシール機構における外側ガスシール部61bに導入する空気導入路45を備えて構成されている。
したがって、この動力システムでは、ガスシール機構で利用する空気Aを加圧するために、別途空気圧縮機等を追加する必要がない。
【0053】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、蒸気タービン2の軸動力により発電機80を駆動するように構成したが、本発明において、蒸気タービン2の軸動力は、例えば圧縮式ヒートポンプの圧縮動力等のように、別の用途に利用しても構わない。
【0054】
(2)上記実施の形態では、再生器4で分離したアンモニア蒸気Saの少なくとも一部を、吸収器5により供給ポンプ14から作動蒸気発生器1に供給される溶液Lに吸収させるように構成したり、蒸気タービン2の低圧段2aに供給するように構成したが、別に、当該アンモニア蒸気Saを蒸気タービン2に供給される作動流体に合流させるものであれば、これらの構成を適宜改変しても構わない。
【0055】
(3)上記実施の形態では、作動蒸気発生器1及び再生器4の高温排熱及び低温排熱の温熱源を、エンジン21の排熱としたが、燃料電池の排熱等の別の排熱を温熱源として利用しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係るガスシール機構は、シールガスの外部への放出による大気汚染や出力軸に連結された発電機の故障、シールガスの作動蒸気への混入による蒸気タービンの性能低下等の問題を回避することができるものとして有効に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】動力システムの概略構成図
【図2】ガスシール機構の側断面図
【符号の説明】
【0058】
1:作動蒸気発生器
2b:出力軸
2:蒸気タービン
3:復水器
4:再生器
14,16:供給ポンプ
17:循環ポンプ
18:濃溶液流路
20:減圧弁
21:エンジン(原動機)
25:過給機
26:脱硝触媒(脱硝処理部)
30:動力回路
35:再生回路
60:軸受部材
61:ガスシール部
61b:外側ガスシール部
61a:内側ガスシール部
62:ドレン部
63:スラストプレート
64:スラスト軸受面
65:スラストプレート収容部
A:空気
D:ドレンガス
Db:外側ドレンガス
E:エンジン排ガス(高温排熱)
JW:エンジン冷却水(低温排熱)
L:溶液
L1:濃溶液
L2:希溶液
S:作動蒸気
Sw:水蒸気
X:水蒸気導入手段
Y:空気導入手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水とアンモニアとを混合してなる非共沸混合媒体の溶液を加熱してなる作動蒸気により回転駆動する蒸気タービンにおいて、前記蒸気タービンの出力軸と当該出力軸を回転自在に支持する軸受部材との隙間のガスシール部にシールガスを導入して、前記蒸気タービン側の作動蒸気が前記隙間を通じて外部へ放出されることを防止するガスシール機構であって、
前記ガスシール部における前記蒸気タービン側に配置された内側ガスシール部に、前記シールガスとして水蒸気を導入する水蒸気導入手段と、
前記ガスシール部における前記内側ガスシール部よりも前記外部側に配置された外側ガスシール部に、前記シールガスとして空気を導入する空気導入手段とを備え、
前記ガスシール部に、前記シールガスを排出するドレン部が配置されているガスシール機構。
【請求項2】
前記ドレン部が、前記内側ガスシール部と前記外側ガスシール部との間に位置する請求項1に記載のガスシール機構。
【請求項3】
前記内側ガスシール部と前記外側ガスシール部との間に、前記出力軸に設けられたスラストプレートを、前記軸受部材に設けられたスラスト軸受面に対して軸線方向に沿って内向きに当接させた状態で収容するスラストプレート収容部が配置されている請求項1又は2に記載のガスシール機構。
【請求項4】
前記軸受部材が、前記水蒸気導入手段により前記内側ガスシール部に高圧水蒸気を導入することで、前記出力軸を浮遊支持する静圧軸受として機能する請求項1〜3の何れか一項に記載のガスシール機構。
【請求項5】
水とアンモニアとを混合してなる非共沸混合媒体の溶液を原動機の高温排熱により加熱して前記作動蒸気を発生する作動蒸気発生器と、前記作動蒸気発生器から供給された前記作動蒸気により回転駆動する蒸気タービンと、前記蒸気タービンから流出した前記作動蒸気を冷却して前記溶液に復水させる復水器と、前記復水器から供給された前記溶液を前記作動蒸気発生器に供給する供給ポンプとを配置してなる動力回路と、
アンモニア濃度が高い濃溶液を前記原動機の低温排熱により加熱して、前記濃溶液からアンモニア蒸気を分離してアンモニア濃度が低い希溶液とする再生器と、前記復水器から前記再生器へ向けて前記濃溶液が流通する濃溶液流路において前記濃溶液を昇圧して前記再生器に送出する循環ポンプと、前記再生器から前記復水器へ向けて前記希溶液が流通する希溶液流路において前記希溶液を減圧して前記復水器に送出する減圧部とを配置してなる再生回路とを備えて、
前記再生器で分離した前記アンモニア蒸気を、前記蒸気タービンに供給される前の前記非共沸混合媒体に合流させるように構成された動力システムであって、
前記蒸気タービンの出力軸と当該出力軸を回転自在に支持する軸受部材との隙間のガスシール部にシールガスを導入して、前記蒸気タービン側の作動蒸気が前記隙間を通じて外部へ放出されることを防止するガスシール機構として、請求項1〜4の何れか一項に記載のガスシール機構を備えた動力システム。
【請求項6】
前記水蒸気導入手段が、前記希溶液流路から取り出した希溶液を前記原動機の高温排熱により加熱してアンモニア濃度が低い水蒸気を発生させ、当該発生した水蒸気を前記内側ガスシール部に導入する請求項5に記載の動力システム。
【請求項7】
前記原動機がエンジンであると共に、前記エンジンの排ガスを脱硝処理して排出する脱硝処理部を備え、
前記ドレン部から排出されたドレンガスを、前記脱硝処理部の入口側に流入させる請求項6に記載の動力システム。
【請求項8】
前記原動機が、過給機を有するエンジンであり、
前記空気導入手段が、前記過給機で加圧された空気を取り出し、当該取り出した空気を前記外側ガスシール部に導入するように構成されている請求項5〜7の何れか一項に記載の動力システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−261234(P2008−261234A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102803(P2007−102803)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】