説明

クラッチおよび減速機構付モータ

【課題】部品点数を削減して組み立て作業の簡素化を図り、厚み寸法を小さくしてレイアウト性を向上させる。
【解決手段】駆動回転体50に複数の凸部54を有する貫通孔53を設け、従動回転体60に挿通隙間55に挿通される押圧脚部76を設け、ロック部材90の本体筒部91に挿通隙間55に挿通される可撓脚部94を設け、可撓脚部94に従動回転体60から駆動回転体50への駆動力伝達時に、押圧脚部76により底部31aのOリング36に押し付けられる被押圧片95を設けた。従前のように複数のコロを必要とせず、駆動回転体50をウォームホイールとして利用でき、部品点数を削減して組み立て作業を簡素化できる。ロック部材90を駆動回転体50の回転中心部分に配置でき、厚み寸法を抑えてレイアウト性を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外力によって駆動回転体が逆転するのを防止することができるクラッチおよび減速機構付モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載されるパワーウィンド装置やサンルーフ装置等における駆動源としては、小型でありながら大きな出力が得られる減速機構付モータが用いられている。この減速機構付モータは、車室内等に設けられた操作スイッチにより回転駆動され、これにより、開閉体(ウィンドガラスやサンルーフ等)を開閉駆動するようになっている。
【0003】
ところで、パワーウィンド装置やサンルーフ装置等においては、開閉体に加えられる外力によって当該開閉体が開かないようにするために、逆転防止機能を備えている。このような逆転防止機能を設けることにより、開閉体がこじ開けられるのを防止して、車両盗難等の発生を未然に防ぐことができる。
【0004】
このような逆転防止機能を備えた減速機構付モータとしては、例えば、特許文献1に記載された技術が知られている。
【0005】
特許文献1に記載された駆動装置(減速機構付モータ)は、駆動源により回転する駆動回転体および従動回転体と、複数のコロと、これらを取り囲むように収容するハウジングとを有するクラッチを備えている。クラッチは、ウォームホイールと同軸上に重なるよう配置されており、駆動回転体にはウォームホイールが一体回転可能に連結され、従動回転体には出力軸が一体回転可能に連結されている。そして、駆動回転体からの駆動力(モータ駆動力)によってはハウジングに対する従動回転体の回転が許容され、従動回転体からの駆動力(外力)によってはハウジングに対する従動回転体の回転が規制されるようになっている。
【特許文献1】国際公開第00/08349号パンフレット(図1,図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された減速機構付モータによれば、複数のコロを備えることに加えて、ウォームホイールとは別体の駆動回転体を備えているため部品点数が多く、ひいては、減速機構付モータの組み立て作業が煩雑となる問題が生じ得る。また、クラッチをウォームホイールと同軸上に重なるよう配置しているため、減速機構付モータの厚み寸法が大きくなり、ひいては、減速機構付モータの車両へのレイアウト性を低下させるといった問題が生じ得る。
【0007】
本発明の目的は、部品点数を削減して組み立て作業の簡素化を図り、厚み寸法を小さくしてレイアウト性を向上させることができるクラッチおよび減速機構付モータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のクラッチは、駆動源により回転される駆動回転体および従動回転体と、該駆動回転体の軸方向一側面と対向し、前記駆動回転体および前記従動回転体を同軸上で支持する支持部材と、前記駆動回転体と前記従動回転体との間に設けられ、前記駆動回転体から前記従動回転体への駆動力の伝達を許容し、前記従動回転体から前記駆動回転体への駆動力の伝達を規制するロック部材とを有するクラッチであって、前記駆動回転体の回転中心に設けられ、該駆動回転体の軸方向に貫通する貫通孔と、前記貫通孔に設けられ、該貫通孔の径方向内側に突出する複数の凸部と、前記従動回転体に設けられ、前記支持部材に向けて延ばされて前記駆動回転体の前記各凸部間に挿通される押圧脚部と、前記ロック部材に設けられ、前記複数の凸部の径方向内側に挿通される本体筒部と、前記本体筒部に設けられ、前記支持部材に向けて延ばされて前記駆動回転体の前記各凸部間に前記押圧脚部と対となって挿通される可撓脚部と、前記押圧脚部と前記支持部材との間に、前記可撓脚部から径方向外側に突出するよう設けられるとともに、前記従動回転体から前記駆動回転体への駆動力伝達時に、前記押圧脚部により前記支持部材に押し付けられる被押圧片とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明のクラッチは、前記押圧脚部の前記被押圧片との対向部分に凹状または凸状の第1対向面部を形成し、前記被押圧片の前記押圧脚部との対向部分に前記第1対向面部と対向する凸状または凹状の第2対向面部を形成し、前記従動回転体および前記ロック部材の相対回転により、前記第1対向面部が前記第2対向面部を押圧することで前記可撓脚部が弾性変形して、前記被押圧片が前記支持部材に押し付けられることを特徴とする。
【0010】
本発明のクラッチは、前記支持部材と前記被押圧片との間に弾性部材を設け、前記駆動回転体から前記従動回転体への駆動力伝達時に、前記弾性部材と前記被押圧片との間に隙間が形成されることを特徴とする。
【0011】
本発明のクラッチは、前記弾性部材は断面略円形の環状ゴムからなることを特徴とする。
【0012】
本発明のクラッチは、前記本体筒部の回転中心に軸方向に貫通する軸孔を設け、前記従動回転体の回転中心に軸方向に延びる中心軸を設け、前記軸孔に前記中心軸を回転自在に挿通することを特徴とする。
【0013】
本発明の減速機構付モータは、有底筒状に形成されたヨークと、前記ヨーク内に回転自在に設けられるアーマチュアと、前記アーマチュアの回転中心に設けられるアーマチュア軸と、前記アーマチュア軸と一体的に設けられたウォームと、前記ヨークの開口部に連結される有底筒状のギヤケースと、前記ギヤケースに回転自在に収容され、前記ウォームと噛み合って前記アーマチュアの回転を減速する減速ギヤ機構とを有する減速機構付モータであって、前記減速ギヤ機構は、外周面に前記ウォームと噛み合うギヤ歯を備え、軸方向一側面が前記ギヤケースの底部と対向する駆動回転体と、前記駆動回転体と同軸上に設けられ、前記アーマチュアの回転を出力する出力軸を備える従動回転体と、前記駆動回転体と前記従動回転体との間に設けられ、前記駆動回転体から前記従動回転体への駆動力の伝達を許容し、前記従動回転体から前記駆動回転体への駆動力の伝達を規制するロック部材とを備え、前記駆動回転体の回転中心に設けられ、該駆動回転体の軸方向に貫通する貫通孔と、前記貫通孔に設けられ、該貫通孔の径方向内側に突出する複数の凸部と、前記従動回転体に設けられ、前記ギヤケースの底部に向けて延ばされて前記駆動回転体の前記各凸部間に挿通される押圧脚部と、前記ロック部材に設けられ、前記複数の凸部の径方向内側に挿通される本体筒部と、前記本体筒部に設けられ、前記ギヤケースの底部に向けて延ばされて前記駆動回転体の前記各凸部間に前記押圧脚部と対となって挿通される可撓脚部と、前記押圧脚部と前記支持部材との間に、前記可撓脚部から径方向外側に突出するよう設けられ、前記従動回転体から前記駆動回転体への駆動力伝達時に、前記押圧脚部により前記ギヤケースの底部に押し付けられる被押圧片とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の減速機構付モータは、前記押圧脚部の前記被押圧片との対向部分に凹状または凸状の第1対向面部を形成し、前記被押圧片の前記押圧脚部との対向部分に前記第1対向面部と対向する凸状または凹状の第2対向面部を形成し、前記従動回転体および前記ロック部材の相対回転により、前記第1対向面部が前記第2対向面部を押圧することで前記可撓脚部が弾性変形して、前記被押圧片が前記ギヤケースの底部に押し付けられることを特徴とする。
【0015】
本発明の減速機構付モータは、前記ギヤケースの底部と前記被押圧片との間に弾性部材を設け、前記駆動回転体から前記従動回転体への駆動力伝達時に、前記弾性部材と前記被押圧片との間に隙間が形成されることを特徴とする。
【0016】
本発明の減速機構付モータは、前記弾性部材は断面略円形の環状ゴムからなることを特徴とする。
【0017】
本発明の減速機構付モータは、前記本体筒部の回転中心に軸方向に貫通する軸孔を設け、前記従動回転体の回転中心に軸方向に延びる中心軸を設け、前記軸孔に前記中心軸を回転自在に挿通することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、駆動回転体の回転中心に径方向内側に突出する複数の凸部を有する貫通孔を設け、従動回転体に支持部材に向けて延ばされて駆動回転体の各凸部間に挿通される押圧脚部を設け、ロック部材に複数の凸部の径方向内側に挿通される本体筒部を設け、本体筒部に支持部材に向けて延ばされて駆動回転体の各凸部間に押圧脚部と対となって挿通される可撓脚部を設け、押圧脚部と支持部材との間に、可撓脚部から径方向外側に突出するよう従動回転体から駆動回転体への駆動力伝達時に押圧脚部により支持部材に押し付けられる被押圧片を設けている。したがって、従前のように複数のコロを必要とせず、また、駆動回転体をウォームホイールとして利用できるので、部品点数を削減して組み立て作業を簡素化することができる。さらに、ロック部材を駆動回転体の回転中心部分に配置することができるので厚み寸法の増大を抑えることができ、減速機構付モータのレイアウト性を向上させることができる。
【0019】
本発明によれば、押圧脚部の被押圧片との対向部分に凹状または凸状の第1対向面部を形成し、被押圧片の押圧脚部との対向部分に第1対向面部と対向する凸状または凹状の第2対向面部を形成し、従動回転体およびロック部材の相対回転により、第1対向面部が第2対向面部を押圧することで可撓脚部が弾性変形して、被押圧片が支持部材に押し付けられるので、被押圧片と支持部材との接触部分の摩擦力によって、従動回転体に制動力を発生させることができる。
【0020】
本発明によれば、支持部材と被押圧片との間に弾性部材を設け、駆動回転体から従動回転体への駆動力伝達時に、弾性部材と被押圧片との間に隙間が形成されるので、駆動回転体からの駆動力によっては従動回転体をスムーズに回転させることができ、従動回転体からの駆動力によっては従動回転体を強固にロック状態とすることができる。
【0021】
本発明によれば、弾性部材は断面略円形の環状ゴムからなるので、従動回転体から駆動回転体へ回転力が加わった際には、各被押圧片の部位において弾性部材の変形がそれぞれ均一に行われることで、各被押圧片の部位において均一な制動力を発生させることができるとともに、強固に従動回転体をロック状態とすることができる。
【0022】
本発明によれば、本体筒部の回転中心に軸方向に貫通する軸孔を設け、従動回転体の回転中心に軸方向に延びる中心軸を設け、軸孔に中心軸を回転自在に挿通するので、ロック部材の従動回転体に対する軸ズレを防止することができ、従動回転体を安定してロック状態とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0024】
図1は本発明に係るクラッチを備えた減速機構付モータの平面図を、図2は図1のA−A線に沿う断面図を、図3はギヤケースの底部を部分的に示す斜視図を、図4は駆動回転体を示す斜視図を、図5は従動回転体を示す斜視図を、図6はロック部材を示す斜視図をそれぞれ表している。
【0025】
図1に示すように、電動モータとしての減速機構付モータ10は、自動車等の車両に搭載されるパワーウィンド装置(図示せず)の駆動源として用いられ、ウィンドガラスを昇降させるウィンドレギュレータ(図示せず)を駆動するものである。減速機構付モータ10は、車両のドア(図示せず)の内部に形成される幅狭の空間内に設置されるため、図2に示すように、図中上下方向の厚み寸法を抑えた形状となっている。減速機構付モータ10は、モータ部20とギヤ部30とを備えており、当該モータ部20とギヤ部30とは、複数の締結ネジ11によって一体化(ユニット化)されている。
【0026】
モータ部20は、本発明における駆動源を構成しており、磁性材料よりなる鋼板をプレス加工(深絞り加工)することにより有底筒状に形成されたヨーク21を備えている。ヨーク21の内部には、一対のマグネット22が対向配置されており、各マグネット22の内側には、コイル(図示せず)が巻装されたアーマチュア23が回転自在に設けられている。
【0027】
アーマチュア23の回転中心には、アーマチュア軸24が貫通して固定されており、アーマチュア軸24のアーマチュア23に近接する部分には、コンミテータ25が固定されている。コンミテータ25には、アーマチュア23に巻装されたコイルの端部が電気的に接続されており、コンミテータ25の外周部には、一対のブラシ26が摺接するようになっている。各ブラシ26はバネ部材27によってそれぞれコンミテータ25に所定圧で押圧されており、これにより、各ブラシ26にコントローラ(図示せず)から駆動電流を供給することでアーマチュア23に回転力(電磁力)が発生し、アーマチュア軸24が所定の回転数・回転トルクで回転するようになっている。
【0028】
ギヤ部30は、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することにより有底筒状に形成されたギヤケース31を備えている。ギヤケース31はヨーク21の開口部(図中右側)に連結されており、ギヤケース31の内部には、外周部にウォーム32aが一体成形されたウォーム軸32と、ウォーム32aと噛み合う減速ギヤ機構33とが回転自在に収容されている。ウォーム軸32は、アーマチュア軸24と同軸上に設けられており、アーマチュア軸24と一体的に設けられている。減速ギヤ機構33はウォームホイールとして機能し、アーマチュア軸24の回転を減速して高トルク化された回転を出力するようになっている。
【0029】
図2および図3に示すように、ギヤケース31の底部(支持部材)31aの略中心部分には、支持ピン34の一端側(図中下側)が固定されており、支持ピン34の他端側(図中上側)はギヤケース31の外部にまで延ばされている。底部31aの支持ピン34の外周側には環状凹部35が形成されており、環状凹部35には、弾性部材としての断面略円形の環状ゴム(Oリング)36が装着されている。底部31aの環状凹部35の外周側には、環状凸部37が形成されており、環状凸部37は駆動回転体50の軸方向一側面52が摺接するようになっている。環状凸部37は、駆動回転体50を部分的に回転自在に支持することにより、駆動回転体50のギヤケース31に対する回転抵抗の増大を抑えている。
【0030】
支持ピン34の他端側には、環状溝34aが一体に設けられている。環状溝34aには、支持ピン34から減速ギヤ機構33が抜けるのを防止する止め輪38が装着されている。なお、止め輪38と減速ギヤ機構33との間には、図2に示すようにワッシャ39が装着されており、ワッシャ39を設けることにより、減速ギヤ機構33,支持ピン34および止め輪38のがたつきを抑えるようにしている。
【0031】
減速ギヤ機構33は、ギヤケース31の底部31a側に設けられる駆動回転体50と、ギヤケース31の外部にその一部が露出された従動回転体60とを備えている。各回転体50,60は、いずれも支持ピン34を中心に同軸上に配置されて、支持ピン34を中心に回転自在となっている。
【0032】
駆動回転体50は、図2および図4に示すように、略円盤状に形成されており、駆動回転体50の外周面には、ウォーム32aと噛み合うギヤ歯51が一体に設けられている。また、駆動回転体50の軸方向一側面52には、ギヤケース31の底部31aが対向して環状凸部37が摺接するようになっている。
【0033】
駆動回転体50の回転中心には、当該駆動回転体50の軸方向に貫通する貫通孔53が一体に設けられている。貫通孔53には、駆動回転体50の径方向内側に突出する複数の凸部54(図示では4つ)が一体に設けられており、各凸部54は、駆動回転体50の周方向に沿って等間隔(90°間隔)で配置されている。駆動回転体50の周方向に沿う各凸部54間には、複数の挿通隙間55が形成されている。
【0034】
従動回転体60は、図2および図5に示すように、略円盤状に形成されており、ギヤケース31の内部に配置される大径部70と、ギヤケース31の外部に配置される小径部80とを備えている。小径部80は、本発明における出力軸を構成しており、その外周部にはピニオン81が一体に形成されている。そして、ピニオン81からは、アーマチュア23の回転がアーマチュア軸24,ウォーム軸32,駆動回転体50および従動回転体60を介して出力され、これにより、ピニオン81に噛み合わされたウィンドレギュレータを形成するギヤ(図示せず)が駆動される。
【0035】
大径部70の図中上側にある上面71には、環状凹部72が一体に設けられており、環状凹部72にはゴム製のOリング73が装着されている。Oリング73は、ギヤケース31の開口部分を閉塞するカバー部材40に摺接するようになっている。カバー部材40の径方向内側には、リップシール41が一体に設けられており、リップシール41は、小径部80の基端側にあるピニオン81が形成されていない部分に摺接するようになっている。これにより、ギヤケース31内への雨水や埃等の浸入を阻止するようにしている。
【0036】
大径部70の図中下側にある下面74には、環状凸部75が一体に設けられており、環状凸部75は、駆動回転体50の軸方向他側面56に摺接するようになっている。環状凸部75は、駆動回転体50の軸方向他側面56に部分的に接触することにより、従動回転体60の駆動回転体50に対する相対回転を容易にしている。
【0037】
環状凸部75の径方向内側には、複数の押圧脚部76(図示では4つ)が一体に設けられている。各押圧脚部76は、大径部70の周方向に沿って等間隔(90°間隔)で配置されており、図2に示すように、その軸方向先端側(図中下側)は、ギヤケース31の底部31aに向けて延ばされている。
【0038】
各押圧脚部76は、駆動回転体50に設けられた各挿通隙間55にそれぞれ挿通されるようになっており、各押圧脚部76の軸方向先端側には、その周方向に沿う中央部分が凹状となった第1対向面部76aがそれぞれ一体に設けられている。また、各押圧脚部76の径方向内側における従動回転体60の回転中心には、その軸方向に延びるよう中空の中心軸77が一体に設けられており、中心軸77は支持ピン34に回動自在に支持されている。
【0039】
駆動回転体50と従動回転体60との間には、図2および図6に示すように、ロック部材90が設けられている。ロック部材90は、その本体を形成する本体筒部91を有しており、本体筒部91は、駆動回転体50の各凸部54の径方向内側に回転自在に挿通されるようになっている。本体筒部91の内側には、その軸方向に貫通する軸孔92が形成されており、軸孔92には、従動回転体60の中心軸77が挿通されている。これによりロック部材90は、がたつくこと無く従動回転体60に回転自在に支持される。
【0040】
本体筒部91の上端側(図中上側)には、径方向外側に突出する複数の突出片93(図示では4つ)が一体に設けられており、各突出片93は、駆動回転体50に設けられた各挿通隙間55にそれぞれ配置されている。各突出片93の径方向外側には、本体筒部91の軸方向に延びる可撓脚部94の基端側がそれぞれ接続されており、各可撓脚部94の先端側は、ギヤケース31の底部31aに向けて延ばされている。各可撓脚部94と本体筒部91との間には所定の隙間が形成されており、各可撓脚部94は、各挿通隙間55に各押圧脚部76と対となってそれぞれ挿通されて本体筒部91の径方向に向けて弾性変形するようになっている。
【0041】
各押圧脚部76と底部31aとの間には、各可撓脚部94の先端側から径方向外側に突出する被押圧片95がそれぞれ一体に設けられており、各被押圧片95は、各押圧脚部76の軸方向先端側に設けられた第1対向面部76aと対向する位置にまで延ばされている。各被押圧片95の各第1対向面部76aとの対向部分(図中上側)には、その周方向に沿う中央部分が凸状となった第2対向面部95aがそれぞれ一体に設けられている。
【0042】
各被押圧片95とギヤケース31の底部31aとの間には、Oリング36が設けられており、各可撓脚部94が弾性変形していない状態においては、各被押圧片95とOリング36との間に所定の隙間が形成され、各可撓脚部94が径方向内側に弾性変形した状態においては、各被押圧片95とOリング36とが接触するようになっている。なお、Oリング36は断面略円形の環状ゴムからなるので、従動回転体60から駆動回転体50へ回転力が加わった際には、各被押圧片95の部位においてOリング36の変形がそれぞれ均一に行われることで、各被押圧片95の部位において均一な制動力を発生させることができる。
【0043】
ここで、駆動回転体50,従動回転体60およびロック部材90によって減速ギヤ機構33を構成している。また、ギヤケース31の底部31a,駆動回転体50,従動回転体60およびロック部材90によって、本発明におけるクラッチを構成している。
【0044】
次に、減速ギヤ機構33の組み立て手順について、図面を用いて詳細に説明する。図7は減速ギヤ機構の組み立て手順を説明する分解斜視図を表している。
【0045】
まず、ギヤケース31の底部31aに支持ピン34を固定したものを準備し、環状凹部35にOリング36を装着しておく(ギヤケース組立工程)。
【0046】
次いで、環状凹部72にOリング73を装着して、従動回転体60の中心軸77にロック部材90の軸孔92を装着する。このとき、従動回転体60の押圧脚部76とロック部材90の可撓脚部94とを周方向に一致させ、かつ押圧脚部76の第1対向面部76aと被押圧片95の第2対向面部95aとを対向させるようにする。その後、ロック部材90の本体筒部91に駆動回転体50の各凸部54の径方向内側が摺接するよう駆動回転体50をロック部材90に装着する。このとき、押圧脚部76および可撓脚部94が、駆動回転体50の各挿通隙間55に挿通されるようにする。これにより、従動回転体60の中心軸77に、ロック部材90および駆動回転体50が組み付けられて減速ギヤ機構33が完成する(減速ギヤ機構組立工程)。
【0047】
次いで、従動回転体60の中心軸77に支持ピン34を挿通することにより、減速ギヤ機構33をギヤケース31に支持させて、その状態のもとで、ワッシャ39を支持ピン34に装着するとともに、支持ピン34の環状溝34aに止め輪38を装着する(減速ギヤ機構組み付け工程)。
【0048】
次に、以上のように構成した減速機構付モータ10の動作について、図面を用いて詳細に説明する。図8(a),(b)は減速ギヤ機構の中立状態を説明する説明図を、図9(a),(b)は減速ギヤ機構の通常作動状態を説明する説明図を、図10(a),(b)は減速ギヤ機構の外力負荷状態を説明する説明図をそれぞれ表している。
【0049】
[中立状態]
例えば、ウィンドガラスを閉じて減速機構付モータ10を停止させると、駆動回転体50,ロック部材90および従動回転体60は、いずれも回転停止の状態となる。この状態においては、図8(a)の当接部分CP1に示すように、駆動回転体50の各凸部54における周方向一方側が、ロック部材90の各突出片93における周方向他方側に当接している。また、図8(b)に示すように、従動回転体60の各押圧脚部76およびロック部材90の各可撓脚部94の軸心Cが周方向に一致した状態にある。このとき、各押圧脚部76の第1対向面部76aの最深部分と各被押圧片95の第2対向面部95aの頂上部分とが対向して、各第1対向面部76aと各第2対向面部95aとの当接部分がCPaとなって、両者は最も近接した状態となっている。
【0050】
[通常作動状態]
例えば、ウィンドガラスを閉じるために減速機構付モータ10を作動させると、図9(a)の矢印(1)に示すように、アーマチュア23の回転に伴って駆動回転体50が正方向に回転する。すると、当接部分CP1において各凸部54と各突出片93とが当接した状態のもとで、駆動回転体50が従動回転体60に対して角度αの分だけ相対回転し、各押圧脚部76の周方向他方側が各凸部54の周方向一方側に当接部分CP2のように当接する。このとき、ロック部材90が従動回転体60に対して相対回転し、図9(b)に示すように、各可撓脚部94の軸心C1と各押圧脚部76の軸心C2とが周方向にずれて、各第1対向面部76aが各第2対向面部95aを押圧して、各第1対向面部76aと各第2対向面部95aとの接触部分がCPbとなる。
【0051】
これにより、各可撓脚部94が径方向内側に弾性変形して図中矢印に示すように各第2対向面部95aが各第1対向面部76aから離間する。このとき、各被押圧片95とOリング36との間には所定の隙間が形成されているので、ロック部材90および従動回転体60は、図中矢印(2)に示すように、駆動回転体50の回転に伴って回転することができる。このように、ロック部材90は、駆動回転体50から従動回転体60への駆動力(モータ駆動)の伝達を許容するようになっており、その結果、ウィンドガラスを閉じることができる。
【0052】
[外力負荷状態]
例えば、閉じられたウィンドガラスにこじ開ける方向に外力が加えられると、その外力は従動回転体60に伝達される。すると、図10(a)の矢印(3)に示すように、従動回転体60が逆方向に回転される。これに伴って、当接部分CP2において各押圧脚部76と各凸部54とが当接した状態のもとで、駆動回転体50も逆方向に若干回転される。このとき、従動回転体60がロック部材90に対して角度β(β>α)の分だけ相対回転し、図10(b)に示すように、各可撓脚部94の軸心C1と各押圧脚部76の軸心C2とが周方向に大きくずれて、各第1対向面部76aが各第2対向面部95aをさらに押圧して、各第1対向面部76aと各第2対向面部95aとの接触部分はCPcとなる。
【0053】
これにより、各可撓脚部94が径方向内側に大きく弾性変形して、図中矢印に示すように各第2対向面部95aが各第1対向面部76aから大きく離間し、各被押圧片95が、各押圧脚部76によって底部31aのOリング36に押し付けられて、Oリング36を圧縮変形させる。
【0054】
各被押圧片95とOリング36との間には、大きな制動力(摩擦力)が発生して、底部31aに対するロック部材90の相対回転が規制された状態となる。その後、図10(a)に示すように、当接部分CP3において各突出片93の周方向一方側が各凸部54の周方向他方側に当接して、これにより、駆動回転体50の逆方向への回転が規制されて図示の状態で停止する。このように、ロック部材90は、従動回転体60から駆動回転体50への駆動力(外力)の伝達を規制するようになっており、その結果、ウィンドガラスがこじ開けられるのを防止することができる。
【0055】
以上詳述したように、本実施の形態に係る減速機構付モータ10によれば、駆動回転体50に複数の凸部54を有する貫通孔53を設け、従動回転体60に底部31aに向けて延ばされて駆動回転体50の挿通隙間55に挿通される押圧脚部76を設け、ロック部材90に複数の凸部54の径方向内側に挿通される本体筒部91を設け、ロック部材90の本体筒部91に挿通隙間55に押圧脚部76と対となって挿通される可撓脚部94を設け、押圧脚部76と底部31aとの間に、可撓脚部94から径方向外側に突出するよう従動回転体60から駆動回転体50への駆動力伝達時に、押圧脚部76により底部31aのOリング36に押し付けられる被押圧片95を設けている。
【0056】
したがって、従前のように複数のコロを必要とせず、また、駆動回転体50をウォームホイールとして利用できるので、部品点数を削減して組み立て作業を簡素化することができる。さらに、ロック部材90を駆動回転体50の回転中心部分に配置することができるので厚み寸法の増大を抑えることができ、減速機構付モータ10のレイアウト性を向上させることができる。
【0057】
また、本実施の形態に係る減速機構付モータ10によれば、底部31aと被押圧片95との間にOリング36を設け、駆動回転体50から従動回転体60への駆動力伝達時に、Oリング36と被押圧片95との間に隙間が形成されるようにしたので、駆動回転体50からの駆動力によっては従動回転体60をスムーズに回転させることができ、従動回転体60からの駆動力によっては従動回転体60に摩擦力により大きな制動力を発生させて、従動回転体60を強固にロック状態とすることができる。
【0058】
さらに、本実施の形態に係る減速機構付モータ10によれば、本体筒部91の回転中心に軸方向に貫通する軸孔92を設け、従動回転体60の回転中心に軸方向に延びる中心軸77を設け、軸孔92に中心軸77を回転自在に挿通したので、ロック部材90の従動回転体60に対する軸ズレを防止することができ、従動回転体60を安定してロック状態とすることができる。
【0059】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態においては、凸部54(挿通隙間55),押圧脚部76および可撓脚部94をそれぞれ4つずつ設けたものを示したが、本発明はこれに限らず、それぞれ任意の個数を設けることもできる。この場合、制動力を発生させる可撓脚部には、その周方向に向けて比較的大きな力が加わるため、可撓脚部の必要とされる周方向への剛性を考慮するようにする。
【0060】
また、上記実施の形態においては、押圧脚部76の第1対向面部76aを凹状とし、可撓脚部94の第2対向面部95aを凸状としたものを示したが、本発明はこれに限らず、押圧脚部76に設ける第1対向面部を凸状とし、可撓脚部94に設ける第2対向面部を凹状としても良い。
【0061】
さらに、上記実施の形態においては、第1対向面部76aおよび第2対向面部95aのそれぞれを、図8〜図10に示すように、略円弧形状に形成したものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、三角形形状や台形形状に形成することもできる。要は、従動回転体60とロック部材90との相対回転に応じて、第1対向面部76aが第2対向面部95aを押圧して、第1対向面部76aと第2対向面部95aとが離間可能な形状であれば良い。
【0062】
また、上記実施の形態においては、ギヤケース31の底部31aに弾性部材としてのOリング36を設けたものを示したが、本発明はこれに限らず、被押圧片95と底部31aとの間で、従動回転体60の制動に必要とされる摩擦力が得られるのであれば、Oリング36を省略することもできる。また、ゴム製のOリング36に代えて他の素材よりなるリング状部材を用いることもできる。
【0063】
さらに、上記実施の形態においては、従動回転体60を支持ピン34に何も介さずに回転自在に装着したものを示したが、本発明はこれに限らず、従動回転体60の内周側と支持ピン34の外周側との間にラジアル軸受を設けるようにしても良い。
【0064】
また、上記実施の形態においては、減速ギヤ機構33を組み立てる際に、ロック部材90を従動回転体60の中心軸77に、駆動回転体50をロック部材90にそれぞれ組み付けるようにし、その後、完成した減速ギヤ機構33を支持ピン34に装着するようにしたものを示したが、本発明はこれに限らない。例えば、従動回転体60の中心軸77を省略し、駆動回転体50をロック部材90に、ロック部材90および従動回転体60をそれぞれ支持ピン34に組み付けるようにしても良い。この場合、減速ギヤ機構33は、ギヤケース31内で完成することになる。また、中心軸77を省略した分、ロック部材を大きくすることができるので、より大きな制動力が得られるようにロック部材を形成することが可能となる。
【0065】
さらに、上記実施の形態においては、電動モータとしての減速機構付モータ10を、車両に搭載されるパワーウィンド装置の駆動源として用いたものを示したが、本発明はこれに限らず、サンルーフ装置やパワーシート装置等の駆動源としても用いることができる。要は、開閉体やシート等の駆動対象物を所定の基準位置で固定する必要がある装置の駆動源、つまり、逆転防止機能を必要とする装置の駆動源として用いることができる。
【0066】
また、上記実施の形態においては、モータ部(駆動源)20として、ブラシ付の電動モータを採用したものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、ブラシレスの電動モータ等を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係るクラッチを備えた減速機構付モータの平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】ギヤケースの底部を部分的に示す斜視図である。
【図4】駆動回転体を示す斜視図である。
【図5】従動回転体を示す斜視図である。
【図6】ロック部材を示す斜視図である。
【図7】減速ギヤ機構の組み立て手順を説明する分解斜視図である。
【図8】(a),(b)は、減速ギヤ機構の中立状態を説明する説明図である。
【図9】(a),(b)は、減速ギヤ機構の通常作動状態を説明する説明図である。
【図10】(a),(b)は、減速ギヤ機構の外力負荷状態を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0068】
10 減速機構付モータ(電動モータ)
11 締結ネジ
20 モータ部(駆動源)
21 ヨーク
22 マグネット
23 アーマチュア
24 アーマチュア軸
25 コンミテータ
26 ブラシ
27 バネ部材
30 ギヤ部
31 ギヤケース
31a 底部(支持部材,クラッチ)
32 ウォーム軸
32a ウォーム
33 減速ギヤ機構
34 支持ピン
34a 環状溝
35 環状凹部
36 Oリング(弾性部材)
37 環状凸部
38 止め輪
39 ワッシャ
40 カバー部材
41 リップシール
50 駆動回転体(クラッチ,減速ギヤ機構)
51 ギヤ歯
52 軸方向一側面
53 貫通孔
54 凸部
55 挿通隙間
56 軸方向他側面
60 従動回転体(クラッチ,減速ギヤ機構)
70 大径部
71 上面
72 環状凹部
73 Oリング
74 下面
75 環状凸部
76 押圧脚部
76a 第1対向面部
77 中心軸
80 小径部(出力軸)
81 ピニオン
90 ロック部材(クラッチ,減速ギヤ機構)
91 本体筒部
92 軸孔
93 突出片
94 可撓脚部
95 被押圧片
95a 第2対向面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源により回転される駆動回転体および従動回転体と、該駆動回転体の軸方向一側面と対向し、前記駆動回転体および前記従動回転体を同軸上で支持する支持部材と、前記駆動回転体と前記従動回転体との間に設けられ、前記駆動回転体から前記従動回転体への駆動力の伝達を許容し、前記従動回転体から前記駆動回転体への駆動力の伝達を規制するロック部材とを有するクラッチであって、
前記駆動回転体の回転中心に設けられ、該駆動回転体の軸方向に貫通する貫通孔と、
前記貫通孔に設けられ、該貫通孔の径方向内側に突出する複数の凸部と、
前記従動回転体に設けられ、前記支持部材に向けて延ばされて前記駆動回転体の前記各凸部間に挿通される押圧脚部と、
前記ロック部材に設けられ、前記複数の凸部の径方向内側に挿通される本体筒部と、
前記本体筒部に設けられ、前記支持部材に向けて延ばされて前記駆動回転体の前記各凸部間に前記押圧脚部と対となって挿通される可撓脚部と、
前記押圧脚部と前記支持部材との間に、前記可撓脚部から径方向外側に突出するよう設けられるとともに、前記従動回転体から前記駆動回転体への駆動力伝達時に、前記押圧脚部により前記支持部材に押し付けられる被押圧片とを備えることを特徴とするクラッチ。
【請求項2】
請求項1記載のクラッチにおいて、前記押圧脚部の前記被押圧片との対向部分に凹状または凸状の第1対向面部を形成し、前記被押圧片の前記押圧脚部との対向部分に前記第1対向面部と対向する凸状または凹状の第2対向面部を形成し、前記従動回転体および前記ロック部材の相対回転により、前記第1対向面部が前記第2対向面部を押圧することで前記可撓脚部が弾性変形して、前記被押圧片が前記支持部材に押し付けられることを特徴とするクラッチ。
【請求項3】
請求項1または2記載のクラッチにおいて、前記支持部材と前記被押圧片との間に弾性部材を設け、前記駆動回転体から前記従動回転体への駆動力伝達時に、前記弾性部材と前記被押圧片との間に隙間が形成されることを特徴とするクラッチ。
【請求項4】
請求項3記載のクラッチにおいて、前記弾性部材は断面略円形の環状ゴムからなることを特徴とするクラッチ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のクラッチにおいて、前記本体筒部の回転中心に軸方向に貫通する軸孔を設け、前記従動回転体の回転中心に軸方向に延びる中心軸を設け、前記軸孔に前記中心軸を回転自在に挿通することを特徴とするクラッチ。
【請求項6】
有底筒状に形成されたヨークと、前記ヨーク内に回転自在に設けられるアーマチュアと、前記アーマチュアの回転中心に設けられるアーマチュア軸と、前記アーマチュア軸と一体的に設けられたウォームと、前記ヨークの開口部に連結される有底筒状のギヤケースと、前記ギヤケースに回転自在に収容され、前記ウォームと噛み合って前記アーマチュアの回転を減速する減速ギヤ機構とを有する減速機構付モータであって、
前記減速ギヤ機構は、
外周面に前記ウォームと噛み合うギヤ歯を備え、軸方向一側面が前記ギヤケースの底部と対向する駆動回転体と、
前記駆動回転体と同軸上に設けられ、前記アーマチュアの回転を出力する出力軸を備える従動回転体と、
前記駆動回転体と前記従動回転体との間に設けられ、前記駆動回転体から前記従動回転体への駆動力の伝達を許容し、前記従動回転体から前記駆動回転体への駆動力の伝達を規制するロック部材とを備え、
前記駆動回転体の回転中心に設けられ、該駆動回転体の軸方向に貫通する貫通孔と、
前記貫通孔に設けられ、該貫通孔の径方向内側に突出する複数の凸部と、
前記従動回転体に設けられ、前記ギヤケースの底部に向けて延ばされて前記駆動回転体の前記各凸部間に挿通される押圧脚部と、
前記ロック部材に設けられ、前記複数の凸部の径方向内側に挿通される本体筒部と、
前記本体筒部に設けられ、前記ギヤケースの底部に向けて延ばされて前記駆動回転体の前記各凸部間に前記押圧脚部と対となって挿通される可撓脚部と、
前記押圧脚部と前記支持部材との間に、前記可撓脚部から径方向外側に突出するよう設けられ、前記従動回転体から前記駆動回転体への駆動力伝達時に、前記押圧脚部により前記ギヤケースの底部に押し付けられる被押圧片とを備えることを特徴とする減速機構付モータ。
【請求項7】
請求項6記載の減速機構付モータにおいて、前記押圧脚部の前記被押圧片との対向部分に凹状または凸状の第1対向面部を形成し、前記被押圧片の前記押圧脚部との対向部分に前記第1対向面部と対向する凸状または凹状の第2対向面部を形成し、前記従動回転体および前記ロック部材の相対回転により、前記第1対向面部が前記第2対向面部を押圧することで前記可撓脚部が弾性変形して、前記被押圧片が前記ギヤケースの底部に押し付けられることを特徴とする減速機構付モータ。
【請求項8】
請求項6または7記載の減速機構付モータにおいて、前記ギヤケースの底部と前記被押圧片との間に弾性部材を設け、前記駆動回転体から前記従動回転体への駆動力伝達時に、前記弾性部材と前記被押圧片との間に隙間が形成されることを特徴とする減速機構付モータ。
【請求項9】
請求項8記載の減速機構付モータにおいて、前記弾性部材は断面略円形の環状ゴムからなることを特徴とする減速機構付モータ。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1項に記載の減速機構付モータにおいて、前記本体筒部の回転中心に軸方向に貫通する軸孔を設け、前記従動回転体の回転中心に軸方向に延びる中心軸を設け、前記軸孔に前記中心軸を回転自在に挿通することを特徴とする減速機構付モータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−78044(P2010−78044A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246588(P2008−246588)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】