説明

ケイ素含有膜形成用組成物、ケイ素含有絶縁膜、およびケイ素含有絶縁膜の形成方法

【課題】加工耐性が高いケイ素含有絶縁膜ならびにその形成方法、および当該膜を形成することができるケイ素含有膜形成用組成物の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるシラン化合物と、下記一般式(2)ないし(4)のうちから選ばれた少なくとも1種のシラン化合物と、を含む化学気相成長法に用いられるケイ素含有膜形成用組成物である。


・・・・・(1)(式中、R〜Rは、同一または異なり、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、フェニル基を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基、アセチル基、フェニル基を示し、nは1〜3の整数を示し、mは1〜2の整数を示す。)RSi(OR4−a・・・・(2)R(RO)3−bSi−(R12−O−Si(OR103−c11・・・(3)−{R13(R14O)2−fSi−(R15−・・・(4)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケイ素含有膜形成用組成物、ケイ素含有絶縁膜、およびケイ素含有絶縁膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模半導体集積回路(ULSI)は、増大する情報処理量や機能の複雑さに対応するため、さらなる高速処理が強く望まれている。ULSIの高速化は、チップ内素子の微細化・高集積化や膜の多層化により実現されてきている。しかしながら、素子の微細化に伴い配線抵抗や配線間寄生容量が増大し、配線遅延がデバイス全体の信号遅延の支配的要因となりつつある。この問題を回避するために、低抵抗率配線材料や低誘電率(Low−k)層間絶縁膜材料の導入が必須の技術となっている。
【0003】
低誘電率の層間絶縁膜としては、例えば、シリカ(SiO)の膜密度を低下させたポーラスシリカ膜、Fをドープしたシリカ膜であるFSG、CをドープしたSiOC膜等の無機系層間絶縁膜や、ポリイミド、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテル等の有機系層間絶縁膜が挙げられる。汎用されている層間絶縁膜の多くが化学気相成長(CVD)法によって成膜されているため、化学的気相成長法による提案が多数なされている。とりわけ、反応に使用するシラン化合物に特徴があるものが多数提案されている。例えば、ジアルコキシシランを用いたもの(特開平11−288931号公報、特開2002−329718号公報)が提案されている。このような材料を用いることで、低誘電率でかつバリアメタル等との密着性が十分確保された膜が得られるとしている。
【0004】
しかしながら、従来のシラン化合物は、化学的に安定であるため化学的気相成長法による成膜時に極度な条件を必要とするものや、逆に化学的に不安定であり、チャンバー内に供給する配管中で反応を起こすものや、さらにはシラン化合物自身の貯蔵安定性が悪いものが存在する。また、選択する化合物によっては、成膜後の絶縁膜の吸湿性が高く、これに伴いリーク電流が高くなる弊害も生じる。さらに、実際の半導体装置の製造工程においては、層間絶縁膜をRIE(Reactive Ion Etching)を用いて加工する工程が多く用いられており、このRIEの際に膜の誘電率が上昇する問題や、その後の洗浄工程で用いられるフッ素酸系の薬液により層間絶縁膜にダメージが入る問題が存在しており、加工耐性が高い層間絶縁膜が求められている。
【特許文献1】特開平11−288931号公報
【特許文献2】特開2002−329718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高集積化および多層化が望まれている半導体素子などにおいて好適に用いることができ、化学的に安定でありながら化学的気相成長法に最適であり、機械的強度に優れ、低比誘電率でかつ吸湿性が低く、加工耐性が高いケイ素含有絶縁膜ならびにその形成方法、および当該膜を形成することができるケイ素含有膜形成用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかるケイ素含有膜形成用組成物は、化学気相成長法に用いられる組成物であって、
下記一般式(1)で表されるシラン化合物と、
下記一般式(2)ないし(4)のうちから選ばれた少なくとも1種のシラン化合物と、を含む。
【0007】
【化3】

・・・・・(1)
(式中、R〜Rは、同一または異なり、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、フェニル基を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基、アセチル基、フェニル基を示し、nは1〜3の整数を示し、mは1〜2の整数を示す。)
Si(OR4−a ・・・・・(2)
(式中、Rは同一または異なり水素原子、フッ素原子または1価の有機基を示し、Rは同一または異なり、1価の有機基を示し、aは0〜3の整数を示す。)
(RO)3−bSi−(R12−O−Si(OR103−c11
・・・(3)
(式中、R〜R11は同一または異なり、それぞれ水素原子、フッ素原子、1価の有機基を示し、bおよびcは同一または異なり、それぞれ0〜3の数を示し、R12はフェニレン基または−(CH−で表される基(ここで、mは1〜6の整数である)を示し、dならびにeは0または1を示す。)
【0008】
【化4】

・・・・・(4)
(式中、R13およびR14は同一または異なり、水素原子、フッ素原子、または1価の有機基より選ばれる基を示し、R15は酸素原子、フェニレン基または−(CH−で表される基(ここで、nは1〜6の整数である)を示し、fは0〜2の整数を,gは0または1を、hは2〜30の数を示す。)
上記ケイ素含有膜形成用組成物は、空孔形成剤として有機分子をさらに含むことができる。
【0009】
本発明の一態様にかかるケイ素含有絶縁膜は、上記ケイ素含有膜形成用組成物を用いて化学気相成長法によって形成される。
【0010】
本発明の一態様にかかるケイ素含有絶縁膜の形成方法は、
上記ケイ素含有膜形成用組成物を化学気相成長法により基板に堆積させる工程を含む。
【0011】
上記ケイ素含有絶縁膜の形成方法は、
加熱、電子線照射、紫外線照射、および酸素プラズマから選ばれる少なくとも1種によって、前記堆積膜の硬化処理を行う工程、をさらに含む。
【発明の効果】
【0012】
上記ケイ素含有膜形成用組成物は、上記一般式(1)で表される有機シラン化合物と、
上記一般式(2)ないし(4)のうちから選ばれた少なくとも1種のシラン化合物とを含
むことにより、高集積化および多層化が望まれている半導体素子などにおいて好適に用いることができ、化学的に安定でありながら化学的気相成長法に最適であり、機械的強度に優れ、低比誘電率でかつ吸湿性が低く、加工耐性が高い絶縁膜を形成するために用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明について具体的に説明する。
【0014】
1.ケイ素含有膜形成用組成物
本発明の一実施形態に係るケイ素含有膜形成用組成物は、下記一般式(1)で表される有機シラン化合物(以下、「(I)成分」ともいう。)と、下記一般式(2)ないし(4)のうちから選ばれた少なくとも1種のシラン化合物(以下、「(II)成分」ともいう。
)と、を含む。また、ケイ素含有膜形成用組成物は、空孔形成剤としての有機分子(以下、「(III)成分」ともいう。)をさらに含んでもよい。
【0015】
【化5】

・・・・・(1)
(式中、R〜Rは、同一または異なり、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、フェニル基を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基、アセチル基、フェニル基を示し、nは1〜3の整数を示し、mは1〜2の整数を示す。)
Si(OR4−a ・・・・・(2)
(式中、Rは同一または異なり水素原子、フッ素原子または1価の有機基を示し、Rは同一または異なり、1価の有機基を示し、aは0〜3の整数を示す。)
(RO)3−bSi−(R12−O−Si(OR103−c11
・・・(3)
(式中、R〜R11は同一または異なり、それぞれ水素原子、フッ素原子、1価の有機基を示し、bおよびcは同一または異なり、それぞれ0〜3の数を示し、R12はフェニレン基または−(CH−で表される基(ここで、mは1〜6の整数である)を示し、dならびにeは0または1を示す。)
【0016】
【化6】

・・・・・(4)
(式中、R13およびR14は同一または異なり、水素原子、フッ素原子、または1価の有機基より選ばれる基を示し、R15は酸素原子、フェニレン基または−(CH−で表される基(ここで、nは1〜6の整数である)を示し、fは0〜2の整数を,gは0または1を、hは2〜30の数を示す。)
本実施の形態に係るケイ素含有膜形成用組成物において、(I)成分と(II)成分のモル比は、(I)成分および(II)成分の合計を100モル%としたとき、(I)成分が10モル%〜90モル%であり、15モル%〜85モル%であることがより好ましい。
【0017】
本実施形態に係るケイ素含有膜形成用組成物は、上記一般式(1)で表される有機シラン化合物を含有するため、ケイ素、炭素、酸素、および水素を含む絶縁膜を形成するために用いることができる。このような絶縁膜は、半導体製造工程中の洗浄工程で汎用されているフッ酸系の薬液に対して高い耐性を有するため、加工耐性が高いという特徴を有する。また、本実施形態に係るケイ素含有膜形成用組成物は、上記一般式(1)で表される有機シラン化合物に比べて架橋性の置換基が多い上記一般式(2)〜(4)で表されるシラン化合物のいずれかをさらに含有するものであるため、かかる組成物を用いることによって、さらに機械的強度に優れ、低比誘電率の絶縁膜を形成することができる。
【0018】
また、本実施形態に係るケイ素含有膜形成用組成物は、ケイ素、炭素、酸素、および水素以外の元素(以下、「不純物」ともいう。)の含有量が10ppb未満であり、かつ含水分量が100ppm未満であることものが好ましい。このような絶縁膜形成用組成物を用いて絶縁膜を形成することにより、低比誘電率でかつ加工耐性に優れた絶縁膜を収率良く得ることができる。
【0019】
以下、本実施の形態に係るケイ素含有膜形成用組成物を構成する各成分について詳細に説明する。
【0020】
1.1.(I)成分
1.1.1.(I)成分の構造
本実施の形態に係る(I)成分としての有機シラン化合物は、上記一般式(1)で示される。
【0021】
上記一般式(1)において、R〜Rは、同一または異なり、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、フェニル基を示す。ここで、炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基を挙げることができる。R〜Rとしては、メチル基、ビニル基、水素原子が特に好ましい。
【0022】
また、上記一般式(1)において、Rは炭素数1〜4のアルキル基、アセチル基、フェニル基を示す。ここで、炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、上記R〜Rとして例示したものと同様のアルキル基を挙げることができる。Rとしては、メチル基、エチル基が特に好ましい。
【0023】
さらに、上記一般式(1)において、nは1〜3の整数を示し、mは1〜2の整数を示す。
【0024】
上記一般式(1)において、n=1でかつm=1の有機シラン化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0025】
【化7】

【0026】
【化8】

【0027】
上記一般式(1)において、n=1でかつm=2の有機シラン化合物としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。
【0028】
【化9】

【0029】
【化10】

【0030】
上記一般式(1)において、n=2でかつm=1の有機シラン化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0031】
【化11】

【0032】
【化12】

【0033】
上記一般式(1)において、n=2でかつm=2の有機シラン化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0034】
【化13】

【0035】
【化14】

【0036】
上記一般式(1)において、n=3でかつm=1の有機シラン化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0037】
【化15】

【0038】
上記一般式(1)において、n=3でかつm=2の有機シラン化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0039】
【化16】

【0040】
上記一般式(1)で表される有機シラン化合物において、合成および精製の容易性、取り扱いの容易性の観点から、R〜Rにおいて水素原子の総数が0〜2であるのが好ましく、0〜1であるのがより好ましい。
【0041】
上記一般式(1)で表される有機シラン化合物において、ケイ素含有膜の機械的強度の観点から、m=1、2であるのが好ましく、m=1であることがより好ましい。
【0042】
1.1.2.(I)成分の製造方法
上記一般式(1)で表される有機シラン化合物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、下記一般式(5)で表される有機シラン化合物と下記一般式(6)で示される有機シラン化合物とを金属存在下でカップリング反応させる方法を挙げることができる。金属としては、通常マグネシウムが用いられる。
【0043】
【化17】

・・・・・(5)
(式中、R〜Rは、同一または異なり、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、フェニル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、aは0〜2の整数を示す。)
【0044】
【化18】

・・・・・(6)
(式中、Rは、同一または異なり、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、フェニル基を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基、アセチル基、フェニル基を示し、Yはハロゲン原子、水素原子、アルコキシ基を示し、mは1〜2の整数を示す。)
上記一般式(5)および(6)において、R〜Rで示される炭素数1〜4のアルキル基としては、上記一般式(1)においてR〜Rで示される炭素数1〜4のアルキル基として例示したものが挙げられ、X,Yで示されるハロゲン原子としては、例えば、臭素原子、塩素原子が挙げられ、Yで示されるアルコキシ基としては、上記一般式(1)において−ORで示されるアルコキシ基として例示されるものが挙げられる。
【0045】
1.2.(II)成分
本実施の形態に係る(II)成分としてのシラン化合物は、上記一般式(2)で示される化合物1、上記一般式(3)で示される化合物2、および上記一般式(4)で示される化合物3のうちから選ばれた少なくとも1種である。化合物1〜3については、1種または2種以上を同時に使用してもよい。
【0046】
以下に、化合物1〜3の詳細について説明する。
【0047】
1.2.1.化合物1
上記一般式(2)において、R,Rで示される1価の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリル基、グリシジル基等を挙げることができる。なかでも、R,Rで表される1価の有機基は、アルキル基またはフェニル基であることが好ましい。
【0048】
ここで、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜5であり、これらのアルキル基は鎖状でも、分岐していてもよく、さらに水素原子がフッ素原子等に置換されていてもよい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基等を挙げることができる。アルケニル基としては、例えばビニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、3−ヘキセニル基を挙げることができる。
【0049】
一般式(2)において、a=0の化合物1の具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシランなどを挙げることができ、特に好ましい化合物としてはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが挙げられる。
【0050】
一般式(2)において、a=1の化合物1の具体例としては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ−n−プロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、
トリフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシ
ラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリ−n−プロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリ−n−ブトキシシラン、イソプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、イソプロピルトリ−tert−ブトキシシラン、イソプロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリイソプロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルイソトリエトキシシラン、sec−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチルトリイソプロポキシシラン、sec−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチルトリフェノキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルト−n−プロポキシシラン、tert−ブチルトリイソプロポキシシラン、tert−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、tert−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、tert−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、tert−ブチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシランなどを挙げることができ、特に好ましい化合物としては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランが挙げられる。
【0051】
一般式(2)において、a=2の化合物1の具体例としては、例えば、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジ−n−プロポキシシラン、メチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ−n−プロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジ−sec−ブトキシシラン、ジエチルジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジイソプロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−フェノキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジ−n−プロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジイソプロピルジ−n−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジイソプロピルジフェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジイソプロポキシシラン、
ジ−n−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−フェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−フェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−フェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−プロポキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、ジフェニルジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニルジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン挙げることができ、特に好ましい化合物としては、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0052】
一般式(2)において、a=3の化合物1の具体例としては、例えば、ジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチル−n−プロポキシシラン、ジメチル−iso−プロポキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチル−n−プロポキシシラン、トリメチル−iso−プロポキシシラン、トリメチル−n−ブトキシシラン、トリメチル−sec−ブトキシシラン、トリメチル−tert−ブトキシシラン、トリメチルフェノキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチル−n−プロポキシシラン、トリエチル−iso−プロポキシシラン、トリエチル−n−ブトキシシラン、トリエチル−sec−ブトキシシラン、トリエチル−tert−ブトキシシラン、トリエチルフェノキシシラン、トリ−n−プロピルメトキシシラン、トリ−n−プロピルエトキシシラン、トリ−n−プロピル−n−プロポキシシラン、トリ−n−プロピル−iso−プロポキシシラン、トリ−n−プロピル−n−ブトキシシラン、トリ−n−プロピル−sec−ブトキシシラン、トリ−n−プロピル−tert−ブトキシシラン、トリ−n−プロピル−フェノキシシラン、トリ−iso−プロピルメトキシシラン、トリ−iso−プロピルエトキシシラン、トリ−iso−プロピル−n−プロポキシシラン、トリ−iso−プロピル−iso−プロポキシシラン、トリ−iso−プロピル−n−ブトキシシラン、トリ−iso−プロピル−sec−ブトキシシラン、トリ−iso−プロピル−tert−ブトキシシラン、トリ−iso−プロピル−フェノキシシラン、トリ−n−ブチルメトキシシラン、トリ−n−ブチルエトキシシラン、トリ−n−ブチル−n−プロポキシシラン、トリ−n−ブチル−iso−プロポキシシラン、トリ−n−ブチル−n−ブトキシシラン、トリ−n−ブチル−sec−ブトキシシラン、トリ−n−ブチル−tert−ブトキシシラン、トリ−n−ブチル−フェノキシシラン、トリ−sec−ブチルメトキシシラン、トリ−sec−ブチルエトキシシラン、トリ−sec−ブチル−n−プロポキシシラン、トリ−sec−ブチル−iso−プロポキシシラン、トリ−sec−ブチル−n−ブトキシシラン、トリ−sec−ブチル−sec−ブトキシシラン、トリ−sec−ブチル−tert−ブトキシシラン、トリ−sec−ブチル−フェノキシシラン、トリ−tert−ブチルメトキシシラン、トリ−tert−ブチルエトキシシラン、トリ−tert−ブチル−n−プロポキシシラン、トリ−tert−ブチル−iso−プロポキシシラン、トリ−tert−ブチル−n−ブトキシシラン、トリ−tert−ブチル−sec−ブトキシシラン、トリ−tert−ブチル−tert−ブトキシシラン、トリ−tert−ブチル−フェノキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニル−エトキシシラン、トリフェニル−n−プロポキシシラン、トリ
フェニル−iso−プロポキシシラン、トリフェニル−n−ブトキシシラン、トリフェニル−sec−ブトキシシラン、トリフェニル−tert−ブトキシシラン、トリフェニルフェノキシシランなどが挙げることができ、特に好ましい化合物としてはジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチル-n-プロポキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキ
シシラン、トリエチル−n−プロポキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニル−エトキシシラン、トリフェニル−n−プロポキシシラン等が挙げられる。
【0053】
これらは1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0054】
1.2.2.化合物2
上記一般式(3)において、R〜R11で示される1価の有機基としては、上記一般式(2)のR,Rとして例示したものと同様の基を挙げることができる。
【0055】
上記一般式(3)において、d=e=0の化合物2としては、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ヘキサフェノキシジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−フェニルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン等を挙げることができる。
【0056】
これらのうち、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフ
ェニルジシラン等を好ましい例として挙げることができる。
【0057】
上記一般式(3)において、d=1,e=0の化合物2としては、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−iso−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−tert−ブトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−iso−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−tert−ブトキシシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン等を挙げることができる。
【0058】
これらのうち、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)
エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン等を好ましい例として挙げることができる。
【0059】
上記一般式(3)において、d=0,e=1の化合物2としては、例えばヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、ヘキサフェノキシジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタフェノキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−エチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−エチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタフェノキシ−3−エチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−フェニルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−フェニルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタフェノキシ−3−フェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジエチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジエチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ジエチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,1,3−トリメトキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリフェノキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリメトキシ−1,3,3−トリエチルジシロキサン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリエチルジシロキサン、1,1,3−トリフェノキシ−1,3,3−トリエチルジシロキサン、1,1,3−トリメトキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、1,1,3−トリフェノキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェノキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,3−ジフェノキシ−1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ジフェノキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサンなどを挙げることができる。これらのうち、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサンなどを、好ましい例として挙げることができる。
【0060】
上記一般式(3)において、d=1,e=1の化合物2としては、例えば、1−(トリメトキシシリル)−1−(トリメトキシシロキシ)メタン、1−(トリメトキシシリル)−2−(トリメトキシシロキシ)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシロキシ)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシロキシ)エタン、1−(メトキシジメチルシリル)−1−(トリメトキシシロキシ)メタン、1−(メトキシジメチルシリル)−2−(トリメトキシシロキシ)エタン、1−(トリメトキシシリル)−1−(ジメトキシメチルシロキシ)メタン、1−(トリメトキシシリル)−2−(ジメトキシメチルシロキシ)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(ジメトキシメチルシロキシ)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(ジメトキシメチルシロキシ)エタン、1−(メトキシジメチルシリル)−1−(ジメトキシメチルシロキシ)メタン、1−(メトキシジメチルシリル)−2−(ジメトキシメチルシロキシ)エタン、1−(トリメトキシシリル)−1−(メトキシジメチルシロキシ)メタン、1−(トリメトキシシリル)−2−(メトキシジメチルシロキシ)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(メトキシジメチルシロキシ)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(メトキシジメチルシロキシ)エタン、1−(メトキシジメチルシリル)−1−(メトキシジメチルシロキシ)メタン、1−(メトキシジメチルシリル)−2−(メトキシジメチルシロキシ)エタン、1−(トリエトキシシリル)−1−(トリメトキシシロキシ)メタン、1−(トリエトキシシリル)−2−(トリメトキシシロキシ)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシロキシ)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシロキシ)エタン、1−(エトキシジメチルシリル)−1−(トリメトキシシロキシ)メタン、1−(エトキシジメチルシリル)−2−(トリメトキシシロキシ)エタン、1−(トリエトキシシリル)−1−(ジメトキシメチルシロキシ)メタン、1−(トリエトキシシリル)−2−(ジメトキシメチルシロキシ)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(ジメトキシメチルシロキシ)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(ジメトキシメチルシロキシ)エタン、1−(エトキシジメチルシリル)−1−(ジメトキシメチルシロキシ)メタン、1−(エトキシジメチルシリル)−2−(ジメトキシメチルシロキシ)エタン、1−(トリエトキシシリル)−1−(メトキシジメチルシロキシ)メタン、1−(トリエトキシシリル)−2−(メトキシジメチルシロキシ)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(メトキシジメチルシロキシ)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(メトキシジメチルシロキシ)エタン、1−(エトキシジメチルシリル)−1−(メトキシジメチルシロキシ)メタン、1−(エトキシジメチルシリル)−2−(メトキシジメチルシロキシ)エタン、1−(トリフェノキシシリル)−1−(トリメトキシシロキシ)メタン、1−(トリフェノキシシリル)−2−(トリメトキシシロキシ)エタン、1−(ジフェノキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシロキシ)メタン、1−(ジフェノキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシロキシ)エタン、1−(フェノキシジメチルシリル)−1−(トリメトキシシロキシ)メタン、1−(フェノキシジメチルシリル)−2−(トリメトキシシロキシ)エタン、1−(トリフェノキシシリル)−1−(ジメトキシメチルシロキシ)メタン、1−(トリフェノキシシリル)−2−(ジメトキシメチルシロキシ)エタン、1−(ジフェノキシメチルシリル)−1−(ジメトキシメチルシロキシ)メタン、1−(ジフェノキシメチルシリル)−2−(ジメトキシメチルシロキシ)エタン、1−(フェノキシジメチルシリル)−1−(ジメトキシメチルシロキシ)メタン、1−(フェノキシジメチルシリル)−2−(ジメトキシメチルシロキシ)エタン、1−(トリフェノキシシリル)−1−(メトキシジメチルシロキシ)メタン、1−(トリフェノキシシリル)−2−(メトキシジメチルシロキシ)エタン、1−(ジフェノキシメチルシリル)−1−(メトキシジメチルシロキシ)メタン、1−(ジフェノキシメチルシリル)−2−(メトキシジメチルシロキシ)エタン、1−(フェノキシジメチルシリル)−1−(メトキシジメチルシロキシ)メタン、1−(フェノキシジメチルシリル)−2−(メトキシジメチルシロキシ)エタン等を挙げることができる。これらのうち、1−(トリメトキシシリル)−1−(トリメトキシシロキシ)メタン、1−(トリメトキシシリル)−2−(トリメトキシシロ
キシ)エタン、1−(トリエトキシシリル)−1−(トリメトキシシロキシ)メタン、1−(トリエトキシシリル)−2−(トリメトキシシロキシ)エタンを好ましい例としてあげることができる。
【0061】
上述した化合物2は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0062】
1.2.3.化合物3
本実施の形態に係る化合物3は、上記一般式(4)で示される繰り返し構造を有するオリゴマーであり、環状構造を有していてもよい。
【0063】
上記一般式(4)において、R13、R14で示される1価の有機基としては、上記一般式(2)のR,Rとして例示したものと同様の基を挙げることができる。
【0064】
上記一般式(4)において、化合物3としては、例えば、オクタメチルトリシラン、オクタエチルトリシラン、オクタフェニルトリシラン、2,2,4,4,6,6−ヘキサメチル−2,4,6−トリシラヘプタン、2,2,4,4,6,6−ヘキサエチル−2,4,6−トリシラヘプタン、2,2,4,4,6,6−ヘキサフェニル−2,4,6−トリシラヘプタン、1,1,1,3,3,5,5,5−オクタメチルトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,5,5−オクタエチルトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,5,5−オクタフェニルトリシロキサン、1,2,3−トリメトキシ−1,1,2,3,3−ペンタメチルトリシラン、1,2,3−トリメトキシ−1,1,2,3,3−ペンタエチルトリシラン、1,2,3−トリフェノキシ−1,1,2,3,3−ペンタメチルトリシラン、2,4,6−トリメトキシ−2,4,6−トリメチルトリシラヘプタン、2,4,6−トリメトキシ−2,4,6−トリエチルトリシラヘプタン、2,2,4,4,6,6−ヘキサフェニル−2,4,6−トリシラヘプタン、1,3,5−トリメトキシ−1,1,3,5,5−ペンタメチルトリシロキサン、1,3,5−トリメトキシ−1,1,3,5,5−ペンタエチルトリシロキサン、1,3,5−トリメトキシ−1,1,3,5,5−ペンタフェニルトリシロキサン、オクタメトキシトリシラン、オクタエトキシトリシラン、オクタフェノキシトリシラン、2,2,4,4,6,6−ヘキサメトキシ−2,4,6−トリシラヘプタン、2,2,4,4,6,6−ヘキサエトキシ−2,4,6−トリシラヘプタン、2,2,4,4,6,6−ヘキサフェノキシ−2,4,6−トリシラヘプタン、1,1,1,3,3,5,5,5−オクタメトキシトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,5,5−オクタエトキシトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,5,5−オクタフェノキシトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラエトキシ‐1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメトキシ‐1,3,5−トリシラシクロヘキサン、1,3,5−トリメトキシ‐1,3,5−トリメチル‐1,3,5−トリシラシクロヘキサンなどを挙げることができる。特にオクタメチルトリシラン、オクタエチルトリシラン、1,2,3−トリメトキシ−1,1,2,3,3−ペンタメチルトリシラン、1,2,3−トリメトキシ−1,1,2,3,3−ペンタエチルトリシラン、オクタメトキシトリシラン、オクタエトキシトリシラン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシロキサンを好ましい例としてあげることができる。
【0065】
上述した化合物3は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0066】
1.3.(III)成分
上記ケイ素含有膜形成用組成物は、空孔形成剤として有機分子をさらに含むことができる。
【0067】
空孔形成剤としては、例えば、環構造を有する化合物が挙げられ、好ましくは、分子中に2以上の環を有する化合物(多環性化合物)であり、より好ましくは縮合環を有する化合物であり、例えば、多環性炭化水素または単環性炭化水素や、ヘテロ原子(酸素原子、窒素原子、またはフッ素原子、好ましくは酸素原子)を含む化合物が挙げられる。
【0068】
比誘電率が低く十分な機械的強度を有する絶縁膜を得るためには、絶縁膜に存在する多孔質の孔の大きさおよび数が重要であり、多孔質の孔の大きさを決定する要素のひとつは、使用する空孔形成剤の種類である。
【0069】
比誘電率が低く十分な機械的強度を有する絶縁膜を得るためには、空孔形成剤は多環性化合物であることが好ましく、多環性化合物は例えば、3員環化合物または4員環化合物および/または7員環以上の環構造を有する化合物であり、例えば、シクロペンテンオキサイドなどのオキサビシクロ化合物またはビジクロヘプタジエン(BCHD)である。
【0070】
本実施形態に係るケイ素含有膜形成用組成物は、全有機シラン化合物100重量部に対して0.05〜10000重量部の空孔形成剤を含むことが好ましく、0.1〜5000重量部の空孔形成剤を含むことがより好ましい。本実施形態に係るケイ素含有膜形成用組成物において、空孔形成剤の含有量が全有機シラン化合物100重量部に対して0.05未満であると比誘電率を低下させることが困難である場合があり、一方、10000重量部を超えると、均一な膜が得られない場合がある。
【0071】
1.3.1.オキサビシクロ化合物
オキサビシクロ化合物としては、例えば、6−オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン(シクロペンテンオキサイド)、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン(シクロヘキセンオキサイド)、9−オキサビシクロ[6.1.0]ノナン(シクロオクテンオキサイド)、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(1,4−エポキシシクロヘキサン)が挙げられる。
【0072】
また、オキサビシクロ化合物としては、例えば、9−オキサビシクロ[6.1.0]ノン−4−エン化合物が挙げられる。また、オキサビシクロ化合物は例えば、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−2−オンや3−オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,4−ジオンなどのように、限定されないが例えば、ケトン、アルデヒド、アミン、アミド、イミド、エーテル、エステル、無水物、カーボネート、チオール、チオエーテルなどの付加的な官能基を有する化合物であってもよい。
【0073】
1.3.2.多環性炭化水素
多環性炭化水素は、炭素数が6〜12であることが好ましく、例えば、2,5−ノルボマジエン(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン)、ノルボミレン 2,5−ノルボルナジエン(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン)、ノルボルナン(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン)、トリシクロ[3.2.1.0]オクタン、トリシクロ[3.2.2.0]ノナン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[4.5]ノナン、スピロ[5.6]デカンなどの結合環炭化水素が挙げられる。
【0074】
1.3.3.単環性炭化水素
単環性炭化水素としては、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの炭素数が5〜12の脂環式炭化水素や、ベンゼン、トルエン、キシレン(o−キシレン、m−キシレン、n−キシレン)などの炭素数が6〜12の芳香族炭化水素が挙げられる。
【0075】
2.ケイ素含有絶縁膜の形成方法
本発明の一実施形態に係るケイ素含有絶縁膜の形成方法は、化学気相成長法(CVD法
)によって行う。特にプラズマ励起CVD法(PECVD法)により行うことが好ましい。PECVD法装置において、上記一般式(1)で表される有機シラン化合物、上記一般式(2)ないし(4)のうちから選ばれた少なくとも1種のシラン化合物と、必要に応じて空孔形成剤を含む、ケイ素含有膜形成用組成物を気化器により気化させて、成膜チャンバー内に導入し、高周波電源により成膜チャンバー内の電極に印加し、プラズマを発生させることにより、成膜チャンバー内の基材にプラズマCVD膜を形成することができる。
【0076】
本実施形態に係るケイ素含有絶縁膜が形成される基材としては、Si、SiO、SiN、SiC、SiCN等のSi含有層が挙げられる。この際、成膜チャンバー内には、プラズマを発生させる目的でアルゴン、ヘリウム等のガス、酸素、亜酸化窒素等の酸化剤を導入することができる。PECVD装置によって上述したケイ素含有膜形成組成物を用いて成膜することにより、半導体デバイス用の低誘電率材料として好適な薄膜(堆積膜)を形成できる。
【0077】
PECVD装置のプラズマ発生方法については、特に限定されず、例えば、誘導結合型プラズマ、容量結合型プラズマ、ECRプラズマ等を用いることができる。
【0078】
このようにして得られたケイ素含有堆積膜の膜厚は0.05〜5.0μmであることが好ましい。その後、得られた該堆積膜に対して硬化処理を施すことにより、ケイ素含有膜(絶縁膜)を形成することができる。
【0079】
硬化処理としては、加熱、電子線照射、紫外線照射、および酸素プラズマから選ばれる少なくとも1種であることができ、これらの中から複数の処理を選択して同時に行ってもよい。
【0080】
加熱により硬化を行う場合は、例えば、化学気相成長法により形成された堆積膜を不活性雰囲気下または減圧下で80℃〜450℃に加熱する。この際の加熱方法としては、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することができ、加熱雰囲気としては、不活性雰囲気下または減圧下で行うことができる。
【0081】
また、堆積膜の硬化速度を制御するため、必要に応じて、段階的に加熱したり、あるいは、窒素、空気、酸素、減圧などの雰囲気を選択したりすることができる。以上の工程により、ケイ素含有膜を形成することができる。
【0082】
また、硬化を行う際、例えば加熱しながら紫外線を照射してもよい。このような硬化処理によって、絶縁膜の比誘電率をさらに低減し、機械的強度を向上させることができる。
【0083】
3.ケイ素含有絶縁膜
本発明の一実施形態に係るケイ素含有絶縁膜は上記形成方法により得ることができる。
【0084】
本実施形態に係るケイ素含有絶縁膜は低誘電率でありかつ表面平坦性および薬液耐性に優れるため、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAMなどの半導体素子用層間絶縁膜として特に優れており、かつ、エッチングストッパー膜、半導体素子の表面コート膜などの保護膜、多層レジストを用いた半導体作製工程の中間層、多層配線基板の層間絶縁膜、液晶表示素子用の保護膜や絶縁膜などに好適に用いることができる。また、本実施形態に係るケイ素含有絶縁膜は例えば、銅ダマシンプロセスによって形成される半導体装置に好適である。
【0085】
本実施の形態に係るケイ素含有絶縁膜は、機械的強度に優れ、比誘電率が低く、さらには耐吸湿性、薬液耐性においても優れているため、半導体素子などの層間絶縁膜として好
適に用いることができる。
【0086】
4.実施例および比較例
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の「部」および「%」は、特記しない限り、それぞれ重量部および重量%であることを示している。
【0087】
4.1.評価方法
各種の評価は、次のようにして行った。
【0088】
4.1.1.比誘電率測定
8インチシリコンウエハ上に、PECVD法により後述する条件によりケイ素含有絶縁膜を形成した。得られた膜に、蒸着法によりアルミニウム電極パターンを形成し、比誘電率測定用サンプルを作成した。該サンプルについて、周波数100kHzの周波数で、横河・ヒューレットパッカード(株)製、HP16451B電極およびHP4284AプレシジョンLCRメータを用いてCV法により当該絶縁膜の比誘電率を測定した。Δkは、24℃、40%RHの雰囲気で測定した比誘電率(k@RT)と、200℃、乾燥窒素雰囲気下で測定した比誘電率(k@200℃)との差(Δk=k@RT−k@200℃)である。かかるΔkにより、主に、膜の吸湿による比誘電率の上昇分を評価することができる。通常、Δkが0.15以上であると、吸水性の高いケイ素含有絶縁膜であるといえる。
【0089】
4.1.2.ケイ素含有絶縁膜の硬度および弾性率(ヤング率)評価
MTS社製超微少硬度計(Nanoindentator XP)にバーコビッチ型圧子
を取り付け、得られた絶縁膜のユニバーサル硬度を求めた。また、弾性率は連続剛性測定法により測定した。
【0090】
4.1.3.薬液耐性
ケイ素含有絶縁膜が形成された8インチウエハを、室温で0.2%の希フッ酸水溶液中に3分間浸漬し、浸漬前後のケイ素含有膜の膜厚変化を観察した。下記に定義する残膜率が99%以上であれば、薬液耐性が良好であると判断する。
【0091】
残膜率(%)=(浸漬後の膜の膜厚)÷(浸漬前の膜の膜厚)×100
A:残膜率が99%以上である。
【0092】
B:残膜率が99%未満である。
【0093】
4.2.ケイ素含有膜形成用組成物の製造
4.2.1.(I)成分の合成例1
冷却コンデンサーおよび滴下ロートを備えた3つ口フラスコを50℃で減圧乾燥した後、窒素充填した。次いで、フラスコ内にマグネシウム20gおよびTHF500mlを加え、室温で撹拌しながら(クロロメチル)トリメチルシラン25gを加えた。しばらく撹拌し、発熱を確認した後、滴下ロートから(クロロメチル)トリメチルシラン55gを30分かけて加えた。滴下終了後、液温が室温に戻ったのを確認した後、フラスコにTHF250mlおよびメチルトリメトキシシラン237gの混合液を加え、続いて、70℃で6時間加熱還流することにより、反応を完結させた。反応液を室温まで冷却した後、生成したマグネシウム塩および未反応のマグネシウムを濾別し、濾液を分留することで、[(トリメチルシリル)メチル]メチルジメトキシシラン75g(収率70%)を得た(GC法で確認)。得られた(I)成分を化合物Aとする。
【0094】
4.2.2.(I)成分の合成例2
冷却コンデンサーおよび滴下ロートを備えた3つ口フラスコを50℃で減圧乾燥した後、窒素充填した。次いで、フラスコ内にマグネシウム20gおよびTHF500mlを加え、室温で撹拌しながら(クロロメチル)トリメチルシラン25gを加えた。しばらく撹拌し、発熱を確認した後、滴下ロートから(クロロメチル)トリメチルシラン55gを30分かけて加えた。滴下終了後、液温が室温に戻ったのを確認した後、フラスコにTHF250mlおよびビニルトリメトキシシラン258gの混合液を加え、続いて、70℃で6時間加熱還流することにより、反応を完結させた。反応液を室温まで冷却した後、生成したマグネシウム塩および未反応のマグネシウムを濾別し、濾液を分留することで、[(トリメチルシリル)メチル]ビニルジメトキシシラン80g(収率65%)を得た(GC法で確認)。得られた(I)成分を化合物Bとする。
【0095】
4.2.3.実施例1〜11および比較例1〜3
合成例1,2で得られた化合物AまたはBと、表1に示す(II)成分とを、表1に示すモル比で混合してケイ素含有膜形成用組成物を調製した。また実施例10および11では、(I)成分および(II)成分に加えて、(III)成分を混合してケイ素含有膜形成用組
成物を調製した。(I)成分および(II)成分の総重量を100としたときの(III)成
分の重量を表1に示す。
【0096】
【表1】

【0097】
4.3.ケイ素含有絶縁膜の形成
実施例1〜11および比較例1〜3で製造したケイ素含有膜形成用組成物の各々を用いて、ケイ素含有絶縁膜を形成した。具体的には、サムコ社製プラズマCVD装置PD−220Nを用い、ケイ素含有膜形成用組成物のガス流量25sccm、Arのガス流量3sccm、RF電力250W、基板温度380℃、反応圧力10Torrの条件でプラズマCVD法により、シリコン基板上にケイ素含有絶縁膜0.5μmを成膜した。
【0098】
4.4.評価結果
それぞれの絶縁膜について、「4.1.評価方法」に記載の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0099】
【表2】

【0100】
実施例1−9で得られたケイ素含有絶縁膜は、機械的強度に優れ、比誘電率および吸湿性を示す指標であるΔkが低く、さらには薬液耐性においても優れていた。
【0101】
具体的には、実施例1−9で得られたケイ素含有絶縁膜は、(I)成分のみから形成された絶縁膜(比較例1,2)に比べて、機械的強度が高い上に比誘電率が低かった。これは、比較例1、2において組成物が、架橋性の置換基が少ないケイ素化合物のみから構成されていることによるものと考えられる。
【0102】
また実施例1−11で得られたケイ素含有絶縁膜は、(II)成分のみから得られた絶縁膜(比較例3)に比べて、薬液耐性が非常に優れていた。
【0103】
また(III)成分としてBCHDを加えて形成された絶縁膜(実施例10,11)は、
(III)成分を加えない絶縁膜に比べて、比誘電率および吸湿性を示す指標であるΔkが
低く、薬液耐性においても優れていた。
【0104】
以上により、本発明に係るケイ素含有絶縁膜は、機械的強度に優れ、比誘電率が低く、さらには耐吸湿性、薬液耐性においても優れているため、半導体素子などの層間絶縁膜として好適に用いることができる。
【0105】
4.5 ケイ素含有絶縁膜の形成後の紫外線照射処理
実施例1−4ならびに比較例1については、4.3で示すプラズマCVD成膜後、酸素分圧0.01kPaのチャンバー内にて、ホットプレート上で塗膜を400℃で加熱しながら、紫外線を照射した。紫外線源は、波長250nm以下の波長を含む白色紫外線を用いた。なお、この紫外線は白色紫外光のため、有効な方法で照度の測定は行なえなかった。
【0106】
本処理によって得られた絶縁膜の評価結果を表3に示す。
【0107】
【表3】

【0108】
表3の結果から明らかなように、紫外線照射はかかる絶縁膜の比誘電率を維持もしくは低減させつつ、機械的強度を向上するのに効果があることがわかった。
【0109】
本発明に係る実施の形態の説明は以上である。本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるシラン化合物と、
下記一般式(2)ないし(4)のうちから選ばれた少なくとも1種のシラン化合物と、を含む、化学気相成長法に用いられるケイ素含有膜形成用組成物。
【化1】

・・・・・(1)
(式中、R〜Rは、同一または異なり、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、フェニル基を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基、アセチル基、フェニル基を示し、nは1〜3の整数を示し、mは1〜2の整数を示す。)
Si(OR4−a ・・・・・(2)
(式中、Rは同一または異なり水素原子、フッ素原子または1価の有機基を示し、Rは同一または異なり、1価の有機基を示し、aは0〜3の整数を示す。)
(RO)3−bSi−(R12−O−Si(OR103−c11
・・・(3)
(式中、R〜R11は同一または異なり、それぞれ水素原子、フッ素原子、1価の有機基を示し、bおよびcは同一または異なり、それぞれ0〜3の数を示し、R12はフェニレン基または−(CH−で表される基(ここで、mは1〜6の整数である)を示し、dならびにeは0または1を示す。)
【化2】

・・・・・(4)
(式中、R13およびR14は同一または異なり、水素原子、フッ素原子、または1価の有機基より選ばれる基を示し、R15は酸素原子、フェニレン基または−(CH−で表される基(ここで、nは1〜6の整数である)を示し、fは0〜2の整数を,gは0または1を、hは2〜30の数を示す。)
【請求項2】
空孔形成剤として有機分子をさらに含む、請求項1に記載の化学気相成長法に用いられるケイ素含有膜形成用組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のケイ素含有膜形成用組成物を用いて化学気相成長法によって形成された、ケイ素含有絶縁膜。
【請求項4】
請求項1または2に記載のケイ素含有膜形成用組成物を化学気相成長法により基板に堆積させる工程を含む、ケイ素含有絶縁膜の形成方法。
【請求項5】
加熱、電子線照射、紫外線照射、および酸素プラズマから選ばれる少なくとも1種によって、前記基板に堆積させた堆積膜の硬化処理を行う工程、をさらに含む、請求項4に記載のケイ素含有絶縁膜の形成方法。

【公開番号】特開2009−132855(P2009−132855A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31897(P2008−31897)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】