説明

コラーゲン、キトサン、グリコシルアミノグリカンおよび細胞増殖促進ペプチドおよび/または細胞複合体よりなる、化粧品または皮膚科学的調製物

コラーゲンおよび/またはその誘導体、キトサンおよび/またはその誘導体、グリコシルアミノグリカンおよび/またはその誘導体を、皮膚細胞の増殖を促進することができるペプチドおよび/または、糖タンパク質1と2および朝鮮ニンジンとトクサ抽出物を含んでなる組成物と合わせる方法により得ることができる、化粧品または皮膚科学的調製物。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、参照によりその全開示が本願明細書に引用されたものとされる、2009年、1月30日出願の米国仮出願第61/148,711号の35 U.S.C.119(e)下の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、コラーゲンおよび/またはその誘導体、キトサンおよび/またはその誘導体並びにグリコシルアミノグリカンおよび/またはその誘導体を、皮膚細胞の増殖を促進することができる少なくとも1種のペプチドおよび/または細胞の複合体と合わせる方法により得ることができる、化粧品または皮膚科学的調製物に関する。1つの態様において、該調製物は更に、皮膚細胞または角質細胞のための少なくとも1種の栄養培質相を含んでなることができる。
【背景技術】
【0003】
人体内には様々な循環、例えば、血液循環、リンパ系および細胞内と細胞外組織液、が存在する。これらの様々な「輸送媒質」内のその鉱物および生体有機成分を含む溶媒の「水」の組成はほぼ同一であり、極めて簡略化すると、塩、アミノ酸、ビタミン、糖、タンパク質(protein and proteid)および痕跡元素に基づく。進化の過程で、我々の身体は、これらの流体内に、我々の多細胞の身体の複雑な生命を可能にする「連絡ネットワーク」および栄養戦略および同化過程に対する異化過程の平衡、を形成することを学習してきた。この環境において、我々の身体はその「単一の個体」の細胞から、直接的および媒体関連の接触の、複雑な、しかし効率のよいネットワークを構築することを学習してきた。これらの「連絡経路」は我々の身体の天然の動的平衡、いわゆる「ホメオスタシス」が維持される場合にのみ、有効にそして無害に機能する。細胞が組織の集合体から除去されるか、または組織集合体内のホメオスタシスが損なわれると、個々の細胞はもはや存在することができないか、または組織が健康に機能することができない。医学および生物科学は数十年にわたり、体外の適当な環境条件において組織または個々の細胞を培養する可能性を模索してきた。これは、培養される単一の細胞または組織成分に対する体内の生存条件をできるだけ完全に模倣することが可能な時にのみ成功であった。
【0004】
従って、細胞が生存組織から除去されると、それらは体内の天然の生存条件にできるだけ近似する環境で培養されなければならない。この必要条件は、栄養物の供給および運び去り並びに生命因子の存在である。
【0005】
これらの環境は、科学において細胞の培地として知られる、鉱物と生体物質の、明確に規定された組成物である。細胞の培地は適当な専門の小売業者から粉末または液体培地として得ることができ、培養される細胞または組織成分の性状に応じて僅かに異なる組成物を有する。細胞の培地は液体形で使用される。それらは、適当な組成により、培養液中、すなわち体外で微生物または細胞を維持または増殖すら可能にさせる。
【0006】
組織研究の過程中に、細胞の個々の需要および生存組織内の細胞を特定し、研究することが可能になってきた。これに関連して、細胞の培地の、鉱物と生体有機物質の比率は細胞の種類に応じて僅かにばらつき、そして最適な生存と増殖のために正確に突き止めなければならない。細胞の培地の組成は常に、増殖される細胞の需要に左右される。その成分が純粋な物質に基づいて正確に知られる合成培地と、その正確な組成がばらつき、一部は正確に知られていない複雑な培地との間は区別される。細胞の培地は通常、水以外に、炭
素源および窒素源、リン酸塩化合物および硫黄化合物、並びに鉱物および場合により増殖促進剤および/またはビタミンを含んでなる。
【0007】
培地の組成物が適切である場合は、細胞は増殖し、それ自体で「インサイチュー」における生存に必要な因子を生成することができる。
【0008】
細胞の良好な増殖をもたらすために、しばしば細胞の培地に血清を添加する。血清は複雑な組成をもち、細胞にとりわけ、ホルモン、接着因子およびアミノ酸を提供する。しかし、血清を含む培地は高価であり、そして熱滅菌を許さない。従って、通常は、無血清培地で済ますことが試みられる。無血清培地は、血清の組成のばらつきによる望ましくない効果を排除するように、制御され、規定された条件下で細胞を培養することを可能にさせる。更に、無血清培地を使用すると、ウイルスと細菌による細胞培地の汚染が、軽減される。
【0009】
皮膚細胞は、特に良好に保存され、長期間にわたり生存維持することができ、そして培地中の成分を最適化することにより、1次元、2次元および3次元培養物中で増殖し、分化するように誘発させることすらできることが知られている。更に、適切な培地はまた、増殖因子のインサイチューでの生成を可能にすることを示すことが可能になった。
【0010】
重篤な火傷または凍傷から結果する皮膚の極端な変化がある場合は、皮膚組織の保全性および機能が著しく損傷される可能性があるので、皮膚はもはやそれ自体再生することができない。身体は、高熱、炎症および刺激の媒介物の大量放出を伴い、そして過去に、常に、不可避に、重篤な火傷により人々の死亡をもたらしてきた体液の膨大な喪失を伴って、このような重篤な症例に反応する。皮膚組織の喪失に導いた火傷および凍傷は皮膚移植により代償することができ、従って皮膚を閉鎖することができる。しかし、これは、移植のために十分な残存皮膚が利用可能である場合にのみ成功する。総皮膚組織の60%を超える火傷の症例では、通常、それ自体の移植は助けにならない。残存皮膚細胞から生存能力のある組織を再生することが必要である。これに関しては、非HLA適合性組織間の拒絶反応のために、同種皮膚または同種皮膚細胞を採用することはできない。従って、残存する生存可能な皮膚細胞からインサイチューで新規の皮膚組織を形成することが必要である。
【0011】
角化した表皮は皮膚の保護遮蔽体を形成する。この機能が最適に実施されるためには、皮膚細胞(角化細胞)がいわゆる表皮分化の過程を通過することが必要である。基底層における細胞の分裂後に、角化細胞は皮膚の表面に移行し、それらが、死亡した、平坦な、無核の角質細胞として角質層(stratum corneum)を形成して、最終的に落屑するまで、この過程中に多数の変化を受ける。表皮の分化期間に、特定の機能をもつ様々なタンパク質の形成がある。これらは、とりわけ、ケラチン、インボルクリン、フィラグリンおよびトランスグルタミナーゼを含む。表皮と角質層の最適な形成のためには、これらのタンパク質が組織的方法で、そして十分な量を形成されることが必要である。
【0012】
先行技術分野では、皮膚の障害を代償し、または少なくともそれを軽減させる補助になる多数の化粧品、皮膚の手入れ用製品または創傷治癒製品が知られている。
【0013】
従って、例えば、老化皮膚は、表皮の基底細胞の増殖の刺激により、表皮の肥厚化および従って皮膚の平滑化をもたらす、主としてビタミンA誘導体またはヒドロキシ酸により美容的に処置される。より近年の方法は、乾燥皮膚または老化皮膚に不在の、または減少した量で存在するタンパク質の、標的を定めた置き換え、あるいは、それらを正常化するために乾燥皮膚においてまたは加齢とともに乱された代謝過程中への間接的な介入、よりなる。本明細書で言及することができる例は、皺を減少する目的をもつコラーゲン合成の
刺激である。更に、例えば、皮膚の細胞の寿命を延長するためのラミニン物質および表皮の分化を刺激するための特定の抽出物が使用される。しかし、これらの幾つかは、副作用の高い可能性を伴う薬理学的に活性な物質である。
【0014】
先行技術から知られたいずれの調製物も、望ましくない副作用を示さずに、皮膚自体を再構築/再生はさせない。
【0015】
望ましくない副作用を示さずに皮膚を自体で再生させることができる調製物を利用可能にすることは有益であると考えられる。
【0016】
参照によりそれらの全開示が本明細書に引用されたものとされる、特許文献1、2、3、4、5、6、7および8は、キトサン、コラーゲンおよびグリコシルアミノグリカンを含んでなる調製物を開示している(特許文献1、2、3、4、5、6、7および8参照)。この度、予期されなかったことには、対応する調製物が、細胞増殖を促進することができるペプチド(または皮膚細胞の受容体に結合することができる、少なくともその一部)並びに/あるいは繊維芽細胞および/または角化細胞を刺激し、そして特定の糖タンパク質および植物抽出物を含んでなる組成物、をその中に取り入れる方法により、著しく改善され得ることが見いだされた。これは、火傷した皮膚の生体外の再生を可能にする治癒皮膚因子が、ペプチドおよび/または糖タンパク質と合わされて、皮膚細胞クローンの保護および明白な分化のみならずまた、これまでは認められなかった、真皮と表皮の、一時的な増殖細胞および幹細胞(間葉幹細胞)の活性化をもたらす最初の経験である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】欧州特許第296078号明細書
【特許文献2】欧州特許第462426号明細書
【特許文献3】米国特許第5,116,824号明細書
【特許文献4】米国特許第6,541,023号明細書
【特許文献5】米国特許第5,808,050号明細書
【特許文献6】米国公開特許出願第2005/0249661号明細書
【特許文献7】米国公開特許出願第2005/0287182号明細書
【特許文献8】米国公開特許出願第2006/0182701号明細書
【発明の概要】
【0018】
発明の要約
本発明は特定の物質を組み合わせる方法により得られる化粧品または皮膚科学的調製物を提供する。これらの物質は、
(a)コラーゲンおよび/またはその誘導体、
(b)キトサンおよび/または約50%までのアセチル化度をもつそのアセチル化誘導体、
(c)グリコシルアミノグリカンおよび/またはその誘導体の少なくともいずれか、並びに
(d)細胞増殖を促進することができる少なくとも1種のペプチド、および
(e)(i)糖タンパク質1、
(ii)糖タンパク質2、
(iii)朝鮮ニンジン抽出物、および
(iv)トクサ抽出物、
を含む組成物、
の少なくともいずれか(そして好ましくは両方)、を含んでなる。
【0019】
本調製物の1つの態様において、物質(a)と(b)の少なくともいずれかは、海洋源または合成源のものであることができる。
【0020】
その他の態様において、コラーゲン(a)はタイプ1、3、4および5から選択される1種または複数のコラーゲンを含んでなることができ、そして/あるいはキトサン(b)は約80,000g/モル〜約15,000,000g/モルの分子量をもつキトサンおよび/または甲殻類および/もしくは昆虫から得られるキトサンを含んでなることができ、そして/あるいはグリコシルアミノグリカン(c)はコンドロイチン4−硫酸および/またはコンドロイチン6−硫酸を含んでなることができる。
【0021】
更にその他の態様において、ペプチド(d)は、存在する場合は、少なくとも1種の細胞増殖因子模倣ペプチドを含んでなることができる。例えば、ペプチド(d)はオリゴペプチド−21または少なくともその一部(とりわけ、少なくとも、皮膚細胞受容体に結合することができるその部分)を含んでなることができる。
【0022】
まだ更なる態様において、ペプチド(d)は、使用される場合は、それが(a)、(b)および(c)(および存在する場合は(e))と直接接触することを実質的に妨げる形態で存在することができる。例えば、(d)はナノエマルションの形態で存在することができる。
【0023】
その他の態様において、(B)中の(ii)、(iii)および(iv)の総量に対する(i)の重量比は約10:90〜約50:50、例えば、約20:80〜40:60であることができる。例えば、それは25:75であることができる。更にその他の態様において、(e)は(e)の総重量の約0.3〜約1.2重量%の総量の(i)、(ii)、(iii)および(iv)を含んでなることができる。
【0024】
その他の態様において、物質(a)〜(c)は調製物の総重量の約0.0005%〜約50重量%の総量、例えば、約0.0015%〜約30重量%、約0.005%〜約10重量%、約0.01%〜約1重量%、または約0.015%〜約0.1重量%の総量で使用することができる。
【0025】
その他の態様において、ペプチド(d)は、存在する場合は、調製物の総重量の約0.0001重量%〜約1重量%の量で、例えば、少なくとも約0.0003重量%の量で使用することができる。
【0026】
その他の態様において、組成物(e)は、存在する場合は、調製物の総重量の約0.0001重量%〜約1重量%の量で、例えば、少なくとも約0.0003重量%の量で使用することができる。
【0027】
本発明の調製物のその他の態様において、物質(a)と(c)の重量比は約35:1〜約3:1、例えば、約20:1〜約6:1、または約10:1〜約8:1であることができ、そして/あるいは物質(a)と(b)の重量比は約10:1〜約1.5:1、例えば、約7:1〜約2.5:1、または約5:1〜約3.5:1であることができ、そして/あるいは物質(b)と(c)の重量比は約10:1〜約1:1、例えば、約5:1〜約1.5:1、または約3:1〜約2:1であることができる。
【0028】
その他の態様において、本発明の調製物は更に、アミノ酸、α−ビオチン、(NHMo24、アデニン、AlCl、ビオチン、CaCl、パントテン酸カルシウム、塩化コリン、CoCl、CrK(SO、CuSO、D−パントテン酸Ca、EDTA.Na、EDTA.Na、Fe(NO、FeSO、葉酸、ブドウ
糖、HSeO、HEPES、ヒポキサンチン、ヒトインスリン、KCl、リノール酸、リポ酸、MgCl、MnCl、MnSO、ミオ−イノシトール、NaHPO、NaSeO、NaSiO、NaCl、NaHPO、NaHCO、ピルビン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、NHVO、NiCl、ニコチンアミド、フェノールレッド、ポリソルベート80、プトレッシン、プトレッシン2HCl、ピリドキシンHCl、ピリドキサールHCl、リボフラヴィン、SnCl、チアミンHCl、チミジン、ビタミンB12、セラミドおよびZnSOから選択される少なくともいずれかの物質を含んでなることができる。例えば、L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−システイン、L−シスチン、グリシン、L−グルタミン、L−グルタミン酸、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシンおよびL−ヴァリンのうちの1種以上が存在することができる。これに関して、本明細書および付記の請求項中でアミノ酸に言及される場合は常に、その言及はまた、アミノ酸の塩酸塩を含む。例えば、「L−リシン」は「L−リシンおよび/またはL−リシンHCl」を意味することが意図される。
【0029】
まだ更なる態様において、本発明の調製物は更に、1種または複数の皮膚細胞の培地を含んでなることができる。皮膚細胞の培地は例えば、DMEM/HAM F12(1:1)および/またはMCDB 153を含んでなることができる。
【0030】
更にその他の態様において、調製物は、そのマトリックスが細胞の培地中で再構築された、物質(a)〜(c)により形成されるナノスポンジマトリックスおよび/またはミクロスポンジマトリックスを含んでなることができる。限定されない例により、細胞の培地は生理食塩水、栄養培地および、初代の体細胞培養用の完全培地、例えば、初代繊維芽細胞および角化細胞用培地から選択されることができる。完全培地は例えば、血清代用物を補充することができる。
【0031】
更にその他の態様において、本発明の調製物は更に、クエン酸バッファー、Q10、アルファ−グルコシルルチン、Znオロテート、カルニチン、クレアチンおよびタウリンのうちの1種または複数および/または1種または複数のアルファ−ヒドロキシ酸を含んでなることができる。
【0032】
まだ更なる態様において、調製物は更に、例えば、調製物の総重量の少なくとも約30重量%の水、例えば、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95重量%の水を含んでなることができる。
【0033】
本発明はまた、水性ゲル、O/Wエマルション、W/O/Wエマルション、W/Oエマルション、ミクロエマルションおよび化粧品スティックから選択され、そして前記に示した本発明の調製物(それらの様々な態様を含む)を含んでなる化粧品または皮膚科学的製品を提供する。
【0034】
本発明は更に、水性界面活性調製物、エマルション、軟膏、クリーム、ゲル、散布剤、マスク、マトリックスの包帯、ゲルの包帯、発泡体調製物およびエアゾール調製物から選択され、そして前記に示した本発明の調製物(それらの様々な態様を含む)を含んでなる化粧品または皮膚科学的製品を提供する。
【0035】
本発明はまた、創傷のカバー、皮膚のカバー、パッチ、パッド、ティッシューおよび包帯から選択され、そして前記に示した本発明の調製物(それらの様々な態様を含む)を含んでなる製品を提供する。
【0036】
本発明は更に、前記に示した本発明の調製物(それらの様々な態様を含む)を含んでなるポリウレタン・マトリックスを提供する。
【0037】
本発明はまた、
(a)コラーゲンおよび/またはその誘導体、
(b)キトサンおよび/または50%までのアセチル化度をもつアセチル化キトサン、
(c)グリコシルアミノグリカンおよび/またはその誘導体の少なくともいずれか、並びに
(d)オリゴペプチド−21または、皮膚細胞受容体に結合することができる少なくともその一部、並びに/あるいは
(e)(i)糖タンパク質1、
(ii)糖タンパク質2、
(iii)朝鮮ニンジン抽出物と、
(iv)トクサ抽出物、
を含む組成物、並びに
(f)調製物の総重量の少なくとも40重量%の水、
を含んでなる種々の物質を組み合わせる方法により得られる、化粧品または皮膚科学的調製物を提供する。
【0038】
本調製物において、物質(a)〜(c)は、それぞれ調製物の総重量の約0.005%〜約10重量%の総量で使用され、(d)は、存在する場合は、約0.0001%〜約1重量%の量で使用され、そして(e)は、存在する場合は、約0.0001%〜約1重量%の量で使用される。物質(a)と(b)は約6:1〜約3:1の重量比で使用され、そして物質(a)と(c)は約15:1〜約7:1の重量比で使用される。
【0039】
1つの態様において、調製物は更に、葉酸、L−リシン、L−スレオニン、L−アルギニン、L−セリン、L−ヒスチジン、L−トリプトファンおよびグリシンを含んでなることができる。
【0040】
その他の態様において、物質(a)〜(c)は約0.015%〜約0.1重量%の総量で使用することができ、そして/または(d)は約0.0003%〜約0.1重量%の量で使用することができ、そして/または物質(a)と(c)の重量比は約10:1〜約8:1であることができ、そして/または物質(a)と(b)の重量比は約5:1〜約3.5:1であることができ、そして/または物質(b)と(c)の重量比は約3:1〜約2:1であることができる。
【0041】
調製物のまだその他の態様において、α−ビオチン、(NHMo24、アデニン、AlCl、ビオチン、CaCl、パントテン酸カルシウム、塩化コリン、CoCl、CrK(SO、CuSO、D−パントテン酸Ca、EDTA.Na、EDTA.Na、Fe(NO、FeSO、HSeO、HEPES、ヒポキサンチン、ヒトインスリン、KCl、リノール酸、リポ酸、MgCl、MnCl、MnSO、ミオ−イノシトール、NaHPO、NaSeO、NaSiO、NaCl、NaHPO、NaHCO、ピルビン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、NHVO、NiCl、ニコチンアミド、フェノールレッド、ポリソルベート80、プトレッシン、プトレッシン2HCl、ピリドキシンHCl、ピリドキサールHCl、リボフラヴィン、SnCl、チアミンHCl、チミジン、ビタミンB12、ZnSO、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−システイン、L−シスチン、グリシン、L−グルタミン、L−グルタミン酸、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−チロシンおよび
L−ヴァリンから選択される1種または複数の物質を更にその中に使用することができる。
【0042】
調製物のまだ更なる態様において、コラーゲンはタイプ1、3、4および5から選択される1種または複数のコラーゲンを含んでなることができ、そして/またはキトサンは約80,000g/モル〜約15,000,000g/モルの分子量をもつキトサンを含んでなることができ、そして/またはグリコシルアミノグリカンはコンドロイチン4−硫酸および/またはコンドロイチン6−硫酸を含んでなることができる。
【0043】
まだその他の態様において、調製物は更に1種または複数の細胞の培地を含んでなることができる。
【0044】
本発明はまた、前記の本発明の調製物(それらの様々な態様を含む)を皮膚に適用する方法を含んでなる、皮膚の手入れ法を提供する。
【0045】
本発明は更に、傷害を受けたおよび/または疾病に罹った皮膚に、前記の本発明の調製物(それらの種々の態様を含む)を適用する方法を含んでなる、皮膚の処置法を提供する。
【0046】
本発明はまた、前記の本発明の調製物(それらの種々の態様を含む)を皮膚に適用する方法を含んでなる、創傷の管理または創傷治癒法を提供する。例えば、調製物は創傷のカバー、例えば、ポリウレタンを含んでなる創傷カバー、中に含まれることができる。
【0047】
本発明はまた完全な部分皮膚を形成する方法を提供する。この方法は、前記の本発明の調製物(その様々な態様を含む)を、皮膚が取り除かれた体表に適用する方法を含んでなる。
【0048】
本発明は更に、前記の本発明の調製物(その様々な態様を含む)を創傷に適用する方法を含んでなる、瘢痕組織の形成を予防または軽減させる方法を提供する。
【0049】
本発明はまた、(i)コラーゲンとその誘導体の少なくともいずれか、(ii)キトサンと、50%までのアセチル化度をもつその誘導体の少なくともいずれか、(iii)グリコシルアミノグリカンとその誘導体の少なくともいずれか、および(iv)皮膚細胞の増殖を促進することができる少なくとも1種のペプチド、を含んでなる化粧品または皮膚科学的調製物を調製する方法を提供する。この方法は、
(a)水と(i)を含んでなる溶液を提供し、
(b)(a)の溶液に(ii)を添加して混合物を形成し、そして
(c)(b)の混合物に(iii)を添加して更なる混合物を形成し、そして
(d)(iv)を、(a)〜(c)に従う1種または複数の溶液および混合物と合わせる方法、
を含んでなる。更に、糖タンパク質1と2およびニンジンとトクサ抽出物を含んでなる組成物が存在する場合は、この組成物を工程(a)、(b)、(c)および(d)のいずれの期間中またはその後に添加することができるが、好ましくは(d)の開始より前に添加される。
【0050】
方法の1つの態様において、(iv)を(c)の混合物と合わせることができる。
【0051】
その他の態様において、(a)の溶液は1種または複数の細胞の培地を含んでなることができる。
【0052】
更にその他の態様において、(iv)はそれを(i)、(ii)および(iii)と直接接触させることを実質的に妨げる形態、例えば、ナノエマルションの形態で使用することができる。
【0053】
本発明の方法のその他の態様において、工程(d)は約40℃以下の温度で実施することができる。
【0054】
更にその他の態様において、(a)の溶液は1種または複数の細胞の培地を含んでなることができ、そして/またはグリコシルアミノグリカンはコンドロイチン4−硫酸および/またはコンドロイチン6−硫酸を含んでなることができ、そして/またはコラーゲンはタイプ1、3、4および5から選択される1種または複数のコラーゲンを含んでなることができ、そして/またはキトサンは約80,000g/モル〜約15,000,000g/モルの分子量をもつキトサンを含んでなることができる。
【0055】
その他の態様において、方法は更に(d)の混合物を凍結乾燥してエアロゲルを提供する方法を含んでなることができる。エアロゲルは更に、エアロゲルを、化粧品または皮膚科学的調製物の水相、有効成分相および/または培地相中に導入する方法により、ヒドロゲルに転化させることができる。その他の態様において、エアロゲルはポリウレタン・マトリックスに加工することができる。
【0056】
本発明はまた、
(A)皮膚細胞増殖を促進することができる少なくとも1種のペプチド、並びに
(B)(i)糖タンパク質1
(ii)糖タンパク質2
(iii)ニンジン抽出物、および
(iv)トクサ抽出物、
を含んでなる組成物、
を含んでなる、化粧品または皮膚科学的調製物を提供する。
【0057】
調製物の1つの態様において、(A)は少なくとも1種の増殖因子模倣オリゴペプチド、例えば、オリゴペプチド−21またはその一部を含んでなることができる。
【0058】
その他の態様において、(A)は、それが(B)と直接接触することを実質的に妨げる形態で存在することができる。例えば、(A)はナノエマルションとして存在することができる。
【0059】
まだその他の態様において、(B)中の(ii)、(iii)および(iv)の総量に対する(i)の重量比は約10:90〜約50:50、例えば、約20:80〜約40:60であることができる。例えば、それは約25:75であることができる。
【0060】
調製物のまだ更なる態様において、(B)は、(B)の総重量の約0.3〜約1.2重量%の総量の(i)、(ii)、(iii)および(iv)を含んでなることができる。
【0061】
その他の態様において、(A)は調製物の総重量の約0.0001重量%〜約1重量%の量で使用することができる。例えば、(A)は少なくとも約0.0003重量%の量で存在することができる。
【0062】
その他の態様において、(i)、(ii)、(iii)および(iv)は調製物の総重量の約0.0001重量%〜約1重量%の総量で存在することができる。例えば、(i)、(ii)、(iii)および(iv)は少なくとも約0.001重量%の総量で使用することができ
る。
【0063】
本発明はまた、前記の調製物(その様々な態様を含む)を含んでなり、そして水性ゲル、O/Wエマルション、W/O/Wエマルション、W/Oエマルション、ミクロエマルションおよび化粧品スティックから選択され、そして/または水性界面活性調製物、エマルション、軟膏、クリーム、ゲル、散布剤、マスク、マトリックスの包帯、ゲルの包帯、発泡体およびエアゾール調製物から選択される、化粧品または皮膚科学的製品を提供する。
【0064】
本発明はまた皮膚の手入れ法を提供する。その方法は前記の本発明の調製物(その様々な態様を含む)を皮膚に適用する方法を含んでなる。
【0065】
本発明はまた、皮膚の処置法を提供する。その方法は傷害を受けたおよび/または疾病に罹った皮膚に、前記の本発明の調製物(その様々な態様を含む)を適用する方法を含んでなる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
本発明は更に、本発明の代表的態様の限定されない実施例により、特に取り上げられた複数の図面に関して、その後の詳細な説明で詳述される。
【図1−3】図1〜3は下記の実施例9で説明される細胞増殖アッセイにおいて角化細胞、繊維芽細胞および間葉幹細胞により得た結果のグラフ表示である。
【図4a−8b】図4a〜8bは下記の実施例10で説明される細胞外マトリックス(ECM)発現実験において角化細胞と繊維芽細胞により得た結果のグラフ表示である。
【図9】図9は下記の実施例11で説明される抗アポトーシスの実験において間葉幹細胞により得た結果のグラフ表示である。
【図10−11】図10および11は下記の実施例9で説明される細胞増殖アッセイにおいて角化細胞、繊維芽細胞および間葉幹細胞により得た結果のグラフ表示である。
【図12−14】図12〜14は角化細胞、繊維芽細胞および間葉幹細胞に対する、IDP4を伴うまたはそれを伴わないGPVEとGPVE/MPCの添加の効果を示す写真である。
【図15−19】図15〜19は下記の実施例12で説明される細胞外マトリックス(ECM)発現実験において角化細胞と繊維芽細胞により得た結果のグラフ表示である。
【図20】図20はラミニンの発現に対する、角化細胞への異なる濃度のIDP4の添加の効果のグラフ表示である。
【図21−25】図21〜25は下記の実施例13で説明される細胞外マトリックス(ECM)発現実験において角化細胞と繊維芽細胞により得た結果のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本発明の詳細な説明
本明細書に示される具体例は実施例によるものであり、本発明の態様の説明的考察のみの目的のためであり、本発明の原理と概念的態様の説明を、最も有用でありそして容易に理解されると考えられるものを提供するために提示される。これに関し、本発明の基本的理解のために必要である以上に、更に詳細に本発明の詳細を示すことは試みられず、図面と合わせた説明は、当業者に、本発明の幾つかの形態が実地に以下に具体化されるかを明
確にさせる。
【0068】
本発明の調製物の成分(a)〜(c)の重量比に関し、重量比(a):(b)は通常、約10:1を超えず、例えば、約8:1を超えず、約7:1を超えず、約6:1を超えず、または約5:1を超えず、そして通常、約1.5:1以上、例えば、約2:1以上、約2.5:1以上、約3:1以上、または約3.5:1以上であろう。
【0069】
重量比(a):(c)は通常、約35:1以下、例えば、約30:1以下、約25:1以下、約20:1以下、約15:1以下、または約10:1以下であり、そして通常、約4:1以上、例えば、約5:1以上、約6:1以上、約7:1以上、または約8:1以上であろう。
【0070】
重量比(b):(c)は通常、約10:1を超えない、例えば、約8:1を超えない、約6:1を超えない、約5:1を超えない、約4:1を超えない、または約3:1を超えない、そして通常、約1:1以上、例えば、約1.5:1以上、または約2:1以上であろう。
【0071】
本発明の調製物の製造のために、ブドウ糖、葉酸、L−リシン、L−スレオニン、L−アルギニン、L−セリン、L−ヒスチジンおよび/またはグリシンの使用に加えて、L−トリプトファンおよび/またはパントテン酸カルシウムの使用も特に好都合であることができる。
【0072】
物質(a)〜(c)は通常、調製物の総重量の約0.00001重量%〜約99重量%の総量で使用されるであろう。しかし、総量はしばしば、約50重量%以下、例えば、約30重量%以下、約10重量%以下、約1重量%以下、または約0.1重量%以下、しかし約0.0001重量%以上、例えば、約0.0015重量%以上、約0.005重量%以上、約0.01重量%以上、または約0.015重量%以上であろう。
【0073】
1種または複数のペプチド(d)は通常、使用される場合は、調製物の総重量の少なくとも約0.0001重量%、例えば、少なくとも約0.0002重量%、少なくとも約0.0003重量%、または少なくとも約0.0004重量%の量で使用されるであろう。更に、(d)は通常、約5重量%以下、例えば、約1重量%以下、約0.1重量%以下、約0.01重量%以下、または約0.001重量%以下の量で使用されるであろう。
【0074】
ペプチド(d)は好ましくは、少なくとも1種の細胞増殖因子模倣ペプチドを含んでなる。特に好ましいその例はINCI名オリゴペプチド−21をもつペプチドである。このペプチドは例えば、商品名IDP−4としてCaregen Co.,Ltd.,Korea(www.caregen.co.kr)から入手できる。このペプチドは500mg/Lのオリゴペプチド−21に加えて、96.6重量%の水、1g/Lのホスファチジルコリン(レシチン)、0.1g/Lのオレイン酸ナトリウム、10ml/Lのグリセロール、10ml/Lのエタノール、2ml/Lの、グリシン・ソーヤ(大豆)油よりなる油相、0.3722g/LのEDTA二ナトリウムおよび10ml/Lの2−フェノキシエタノールを含んでなる組成物の形態で提供される。
【0075】
これに関し、例えば、オリゴペプチド−21のような、本発明の調製物中への使用のためのペプチド(d)は完全な形態および/または、少なくとも、皮膚細胞受容体に結合することができるペプチド分子のその部分を含んでなる形態のいずれかで調製物中に存在することができると考察される。更に、または代替として、ペプチドはまた、少なくとも、その修飾がペプチドの機能を発揮するペプチドの能力に実質的に悪影響を与えない限り、修飾形態で存在することができる。ペプチドの修飾の限定されない例は、アミノ酸および
/またはカルボン酸基の誘導体化、例えば、1種または複数のアミノ酸基のアシル化(例えば、アセチル化)および1種または複数のカルボン酸基のエステル化(例えば、メタノール、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノールのようなアルコールとのエステル化)を含む。従って、用語「ペプチド」が本明細書および添付の請求の範囲に使用される場合は、本用語は対応する修飾(誘導体化)ペプチドおよび/または、皮膚細胞受容体に結合可能で、そしてまだ(完全な)ペプチド分子の機能を果たすことができるペプチド分子の少なくともその部分を含んでなる、対応する部分ペプチドを包含することが意図される。
【0076】
ペプチドが自身をその他の物質と結合させる一般的な傾向をもち、それにより、少なくとも幾らか、それらの活性を喪失する可能性をもち、そして/またはそれらを含む調製物のその他の成分を幾らか不活性化する可能性があるために、1種または複数のペプチド(d)は好ましくは、本発明の調製物のその他の成分とペプチドの直接的接触を実質的に妨げる形態で使用される。これを実施するためには幾つかの方法がある。例えば、1種または複数のペプチド(d)はコロイド系、例えば、リポソームまたはミセル調製物またはミクロエマルションの形態で提供することができ、そして/または例えば、シクロデキストリンにより封入/封止することができる。
【0077】
1種または複数のペプチド(d)がその中に提供される近年好まれる形態はナノエマルションである。ナノエマルションは、その油粒子が1種または複数の乳化剤により封入される水中油型のエマルションである。油粒子は微細に分散され、油滴の平均粒度はナノメーター範囲にある。油滴の平均粒径はしばしば、約100nm以下、例えば、約50nm〜約100nmである。更に、ナノエマルションは通常、比較的狭い油滴粒径分布をもつ。ナノエマルションは例えば、1種または複数の乳化剤の存在下で、油相を機械的に破壊して、それを水相中に分散させることができる高圧ホモジナイザー中に、水相および油相の混合物を1回以上通過させることにより製造することができる。この場合、1種または複数のペプチド(d)はナノエマルションの油相中に存在し、従って本発明の調製物のその他の成分と直接接触することを実質的に妨げる。
【0078】
ナノエマルションは、特に製薬学分野で周知であり、従来から使用されており、しばしば、乳化剤としてリン脂質および油相として植物油(例えば、大豆油)を含んでなる。ナノエマルションに関する更なる情報に対しては、例えば、参照によりその全開示が本明細書に引用されたものとされる、以下の文献:米国特許第6,541,018号、第6,902,737号、第6,335,002号、第2004/0076598号、第2007/0237731号明細書、国際公開第2006/045170号、第2006/028339号および第02/80864号パンフレットを参照することができる。
【0079】
化粧品および/または皮膚科学的調製物の(場合により使用される)成分(e)は例えば、参照によりその全開示が本明細書に引用されたものとされる、米国特許第5,840,309号明細書に記載されている。なかでも、(e)は(i)糖タンパク質1、(ii)糖タンパク質2、(iii)ニンジン抽出物および(iv)トクサ抽出物を含んでなる組成物である。(e)は好都合には、(e)の100重量部に基づいて約5〜約40部、好ましくは約20重量部の(i)、約25〜約80、好ましくは約50重量部の(ii)、約1〜約10、好ましくは約5重量部の(iii)、および約1〜約10、好ましくは約5重量部の(iv)を含んでなる。(i)+(ii):(iii)+(iv)の重量比は好都合には、約1:2〜約1:4の範囲にあり、そして好ましくは約1:3である。重量比(iii):(iv)は好ましくは、約3:1〜約1:3、好ましくは約2:1〜約1:2、そしてとりわけ約1:1である。
【0080】
成分(e)は、より高いまたはより低い濃度を使用されることができるが、好ましくは
、約0.5〜約50グラム/1リットル、好ましくは約3〜約10グラム/1リットルの総量の成分(i)〜(iv)を含んでなる。
【0081】
組成物(e)の成分(i)、すなわち糖タンパク質1、は市販されており(例えば、スイスのPentapharmから)、そして酵母菌とサッカロマイセスから得た精製細胞質画分を含んでなる。それはアミノ酸、核酸、ヌクレオチド、炭水化物、脂質、オリゴ要素、ビタミンおよびホスファターゼ酵素を含んでなる。
【0082】
組成物(e)の成分(ii)、すなわち糖タンパク質2、もまた市販されており(例えば、「Revitalizing GP Extract」の商品名でフランスのSedermaから)、そしてアミノ酸、核酸、ヌクレオチド、炭水化物、脂質、オリゴ要素、ビタミンおよびホスファターゼ酵素の混合物を含んでなる、ラクトバチルスから得られる精製細胞質画分を含んでなる。
【0083】
組成物(e)の成分(iii)は、朝鮮人参(Panax ginseng)の根を、親水性溶媒(とりわけ水、エタノール、グリコールまたはそれらのあらゆる混合物)で抽出することにより得られる抽出物である。それは、サポニン、ステロール、炭水化物、ペクチン、ビタミン、鉱物および脂質を含む。
【0084】
組成物(e)の成分(iv)はエクイセツム・アルヴェンス・リンネ(Equisetum arvense Linne)のハーブ全体を親水性溶媒(例えば、水、エタノール、グリコールまたはそれらのあらゆる混合物)で抽出することにより得られる抽出物である。それはシリケート、フラボノイド、サポノシド、カフェイン酸およびフェルラ酸を含む。
【0085】
予期せぬことには、(a)コラーゲン(および/またはコラーゲン誘導体)、(b)キトサン(および/または約50%を超えないアセチル化度をもつアセチル化キトサン)並びに(c)グリコシルアミノグリカン(および/またはその誘導体)を、1種または複数のペプチド(d)および/または前記の成分(i)〜(iv)を含んでなる組成物(e)と合わせる方法により得られる混合物を含んでなる化粧品および/または皮膚科学的調製物が、どんな実質的な程度にも望ましくない副作用を示さずに、皮膚にそれを再構築させるために特に有効であることが見いだされた。例えば、オリゴペプチド−21は表皮の幹細胞の増殖を促進することが見いだされた。それは、成分(a)〜(c)と合わされると、完全に分化された皮膚細胞の真皮および表皮の発達のための完全な環境および最適な条件を提供する。
【0086】
本発明に従う調製物は好ましくは、更に、1種または複数の皮膚細胞の培地を含んでなる。DMEM/HAM F12(1:1)および/またはMCDB 153は本発明の目的に特に適する。更に、健康な、分化された皮膚(3−Dモデル)の培養を許すすべての培地およびとりわけ、初代繊維芽細胞および/または角化細胞を培養し、そして皮膚の完全な再構築を可能にさせるために使用することができる培地が、本発明に使用のための培地として適する。無血清の細胞の培養物のための血清代用物は、必須ではないが、それもまた好都合に使用することができる。
【0087】
本発明に従う特に好都合な組み合わせ物は、細胞栄養付与培地、好ましくは、コラーゲン、約50%までの、好ましくは約40%までのアセチル化度をもつアセチル化キトサン、コンドロイチン硫酸および、(少なくとも)オリゴペプチド−21を含んでなる、細胞マトリックスを含む、すべてのタイプの皮膚培養物または角膜培養物を培養するための培地を含んでなる。それ自体で、または化粧品調製物と混合された、あるいは天然または合成のポリマーマトリックス、例えば、ポリウレタン・マトリックス中に取り入れられたこの組み合わせ物は、皮膚の再生/再構築、皮膚の手入れおよび創傷の治癒に対して極めて
有効である。
【0088】
本発明の調製物は個々の細胞(真皮および表皮)から皮膚または部分的皮膚を再生して、インビトロで前以て培養されたゲルマトリックスを形成して、完全な皮膚の新生および/または創傷治癒に伴う瘢痕組織形成の予防または軽減のために、損傷組織にこのマトリックスを移動することを可能にさせる。本発明の調製物は更に、局所的適用において皮膚を再生するための理想的環境(マトリックス)を提供する。
【0089】
本発明に使用することができるマトリックスの調製法は例えば、前記の欧州特許第296078号に記載されている。
【0090】
海洋生物および/または合成素材源のみを使用することにより、欧州特許第296078号明細書に記載されたマトリックスを得ることができ、そしてその結果は欧州特許第296078号明細書のマトリックスで得たものと同様であることが見いだされた。
【0091】
1つの態様において、本発明の調製物は、タイプ3、タイプ1、タイプ4および/またはタイプ5の群から選択される海洋生物のコラーゲンまたはそれらの混合物、好ましくは、使用されるコラーゲンの量の約3%〜約15重量%の量で使用される、コンドロイチン4−および6−硫酸の混合物と混合された、好ましくは約80,000D〜約15,000,000Dの分子量および約5%〜約50%のアセチル化度をもつキトサンを含んでなる、主要(primary)微小孔のまたはナノサイズの孔をもつマトリックスを含んでなるものと記述することができる。マトリックスは微小管状またはナノサイズの管状スポンジの形態であると推定することができる。記載の分子の組成物は凍結乾燥時に、ナノ−またはミクロスポンジ(マトリックス)を形成する。
【0092】
マトリックスは、凍結乾燥により調製されるエアロゲルよりなることができ、完成化粧品または皮膚科学的調製物の水相、有効成分相および/または培地相中に導入することができる。この場合、エアロゲルはヒドロゲルに転化されることができるか、あるいは例えば、ポリウレタン・マトリックスまたはシリコーン・マトリックスとともに(そして/またはそれらの中に)エアロゲルとして加工することができる。
【0093】
特に細胞の培地と組み合わせた本発明に従う調製物は、インビトロで、若いおよび高齢の供与者からの初代のヒト角化細胞と繊維芽細胞の形態と増殖速度に好都合をもたらすことが示された。原則的に、すべての増殖および維持培地がこの目的に適するが、通常、皮膚細胞の条件に適合され、そして前記のマトリックス中の個々の真皮および/または表皮細胞からの「新規の皮膚」の構築を可能にするものが最良の結果を与える。
【0094】
適用研究により、本発明に従うマトリックスで処置されると、刺激性皮膚が緩和されることが示された。これに関し、本発明の調製物中に使用のためのコラーゲン、キトサンおよびグリコシルアミノグリカン成分が、特に欧州特許第296078号に記載のような相互に平衡された比率で使用される場合にそれは特に好都合である。言い換えると、化粧品調製物または皮膚のカバーにおけるミクロ−またはナノサイズの管状エアロゲルの形成およびこの構造の保持は通常、特定の有効成分の比率の、特定の範囲内でのみ可能であろう。
【0095】
この場合、生理食塩水、最少培地または完全培地よりなる1種または複数の分散相を含む固定バイオポリマー相がヒドロゲル相に転化される。本発明のマトリックス成分(すなわち、コラーゲン、キトサン、グリコシルアミノグリカン)は好都合なヒドロゲル相をもたらす。個々の有効成分または2種の有効成分のみ、あるいは好都合ではない割合の有効成分の組み合わせ物は、望ましい効果、例えば、水相としての細胞の培地と、またはポリ
ウレタンもしくはシリコーン・マトリックスとの好ましい相互反応、をもたらさない。
【0096】
コラーゲンとキトサン成分の好ましい重量比は約90:10〜約60:40、とりわけ約85:15〜約75:25である。
【0097】
コラーゲンは、結合組織(例えば、皮膚、軟骨、腱、靭帯、血管)、骨質(骨のタンパク質含有基礎物質)およびプロテオグリカンと一緒に象牙質内に存在する細胞外マトリックスの、長繊維の、線状−コロイド状の高分子の硬タンパク質の1属の名称である。それらは、25〜30%の割合をもち、量において最も一般的な動物タンパク質と見なされる。コラーゲン繊維と細胞の相互固着は、コラーゲンと、細胞外マトリックスのその他の成分とを結合させることができるがまた、細胞表面の受容体にも結合されるフィブロネクチンによりもたらされる。コラーゲンの組成は原料に応じてばらつく。タイプI〜XIVのコラーゲンは知られているが、タイプI〜III、VおよびXIのみが説明された繊維の構造をもつ。
【0098】
本発明の調製物の、皮膚に適用される時の利点は以下を含む:
皮膚の再生過程を支持する、
皮膚に最適な環境を提供する、
皮膚の構造改善において役立つ、
刺激性皮膚を緩和する、
皮膚の全体的状態を改善する、
皮膚の外観を実質的に改善する、
皮膚がその弾力性および健康な印象を取り戻す補助をする。
【0099】
本発明の調製物(マトリックス)は、限定されない例により、水性ゲル、O/W、W/O/WまたはW/O型のエマルション、ミクロエマルションあるいは化粧品のスティック製品の成分であることができ、そして従って従来の化粧品の適用形態で市販することができる。
【0100】
更に、本発明の調製物は皮膚のカバー、貼り薬、パッド、ティッシューまたは包帯中に含むことができる。これに関し、ポリウレタン基材の創傷カバーが特に興味深い。
【0101】
本発明の調製物の家庭内使用の適用も可能である。限定されない例により、マトリックスはエアロゲルの形態で、創傷または処置されるべき皮膚の部分に配置することができる。本発明のマトリックスの成分は、特定の混合比率により、安定なエアロゲルに転化させることができ、そして安定なヒドロゲルとして再構築させることすらできる生物学的重合体である。実験的に、このゲル・マトリックスは創傷上に配置されると、個々の皮膚細胞から完全な治癒皮膚を生成することができるが示された。角化細胞と繊維芽細胞型の初代皮膚細胞の細胞再生と増殖に対する本発明の調製物の利点が見いだされ、示された。更に、とりわけ3−D皮膚モデルにおいて皮膚細胞と相互作用するグリコシルアミノグリカン、キトサンおよびコラーゲンにより、エラスチン、フィブリリン(fibrillin)および、健康な皮膚の質に寄与する更なるバイオマーカーの生成を誘発することもできる。更に、前記のようなマトリックス分子と細胞の培地の相互作用により、真皮中の表皮の網状組み込みを著しく改善することができる。従って、本発明の調製物により、培地との相互作用においてごく僅かな皮膚細胞から完全な皮膚の理想的な再生を達成し、そして既存の皮膚に理想的な、健康な増殖環境と栄養因子を供給することができる。ポリウレタン成分との相互作用において、皮膚の再生は、とりわけケロイドとその他の瘢痕を正常化する助けをする半密閉または密閉状態下で最適化させることができる。
【0102】
記載のマトリックスを製造する方法は好都合には、更に細胞の培地を含んでなることが
できるコラーゲン/水溶液に対する、場合によりアセチル化されたキトサンの添加、並びにグリコシルアミノグリカン、好ましくは、少なくともコンドロイチン4−硫酸および/またはコンドロイチン6−硫酸のその後の添加、を含んでなることができる。1種または複数のペプチド(d)が使用される時は、それは好ましくはナノエマルションの形態であるマトリックスの生成前、その期間中そして/またはその後に添加することができる。1種または複数のペプチドの安定度に悪影響を与えないように、それらの添加は好ましくは約40℃以下、例えば、約30℃以下の温度で実施される。組成物(e)が使用される場合は、それはマトリックスの生成の前、その期間中そして/またはその後に、好ましくはペプチド(d)が使用される場合は、その添加の前に添加することができる。
【0103】
本発明に従う調製物の有効成分の好ましい割合は、有効成分、例えば、Q10、レチノール、AHA(アルファ−ヒドロキシ酸)、等の持続した、または制御された放出を許し、そして更にこれらの物質の副作用を軽減または回避することができる。
【0104】
最も重量なアルファ−ヒドロキシ酸はグリコール酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸およびサリチル酸を含む。これらの酸は角質化されたフケの除去に寄与する。皮膚は即座に滑らかで、新鮮で、柔軟になる。色素のほくろはより薄くなる。
【0105】
コエンザイムQ10またはユビキノンはほとんどすべての生体内に存在して、細胞代謝に重要な役割を果たす。Q10はまた、有効な抗酸化剤であり、フリーラジカルを捕捉し、そして細胞膜を安定化する。それによりQ10は細胞を正常に、機能的にそして元気に維持する。
【0106】
用語「皮膚細胞の培地」は、その中でまたはその上で個々の細胞が増殖するまたは培養されることができるすべての液体、粉末または固体媒質を包含することが意図される。当業者は、精製培地、例えば、リン酸バッファー食塩水、最少維持培地および、細胞がその中で健康で、代謝が活性であるいわゆる完全培地の間を区別する。完全培地は、特定の細胞の増殖を改善し、または多少なりとも、それを可能にするために、動物の血清またはいわゆる合成血清代用物から増殖因子を提供されることができる。各細胞の型に対し、しかし特に初代細胞の培養物に対し、特定の細胞の増殖、分化または代謝を特に十分に支援する媒質および媒質混合物が存在する。
【0107】
本発明のコラーゲン、キトサン、グリコシルアミノグリカン(例えば、コンドロイチン硫酸)および1種または複数のペプチドの組み合わせ物は、すべての精製、最少または完全培地と、しかし特に好都合には、皮膚細胞を培養するために含まれた、そして、とりわけ初代ヒト繊維芽細胞と角化細胞のための栄養培地として働く、そして栄養培地として、真皮が個々の繊維芽細胞から再生され、または表皮が個々の角化細胞から再生されることを可能にさせる完全培地と混合することができる。従って、本発明に従って使用される皮膚細胞の培地は皮膚細胞を培養するために特に適する。特に好ましいものは、以下の目的:
繊維芽細胞の培養、
角化細胞の培養、
角化細胞と繊維芽細胞の共存培養、
繊維芽細胞/角化細胞と、更なる、免疫細胞、メラニン細胞等のような皮膚関連細胞との共存培養、
三次元皮膚モデルを形成するための培地、
のために、それらの個々の成分の組成物中で、適切であると記載される皮膚細胞の培地である。
【0108】
本発明に従って好ましく使用される培地は、角化細胞/繊維芽細胞混合培養物および3
−D皮膚モデルに作用することができる。
【0109】
驚くべきことには、生体分子と皮膚細胞の培地との、本発明に従う混合物を含んでなる化粧品または皮膚科学的組成物は、1種または複数のペプチド(d)を含まない組成物より更に有効に、ヒトの皮膚自体内またはその上で、皮膚がホメオスタシスおよび健康な自己生成のために使用する機序を、活性化または模倣することができることが見いだされた。これに関し、繊維芽細胞または角化細胞関連の増殖培地の混合物は、直接にまたは適当な小胞技術中に使用することができ、そして医学/製薬学的目的および美容的目的のために使用することができる。とりわけ、いわゆる無血清培地は、初代角化細胞と初代繊維芽細胞の細胞画分が最適なホメオスタシスの意味で前向きに影響を受ける時に、好都合であることが判明した。
【0110】
マトリックスの生体高分子との相互作用における皮膚関連の培地の使用は、インビトロ、エックスビボおよびインビボにおける欠陥皮膚機能の、自己の、健康なそして個々の再生をもたらす。従って、皮膚の再生、皮膚の張りあるいは皮膚の手入れへの単なる貢献のみが、著しく改善されることが可能である。
【0111】
原則的に、すべての皮膚細胞の培地が化粧品調製物中への使用に適する。特に適する皮膚細胞の培地は、刺激性皮膚および火傷を処置するために皮膚細胞または皮膚関連細胞を培養するために、文献に使用されたものである。とりわけ、重篤な火傷後に残存細胞を培養するための培地は局所調製物の適用後に極めて好都合な効果を示す。
【0112】
本発明に従って特に好都合な皮膚細胞の培地は、繊維芽細胞または角化細胞のみのまたは混合培地中の新生を許し、そして/または非良性細胞の形成と通過を減少させる培地を含む。
【0113】
皮膚細胞の培地DMEM/HAM F12(1:1)とMCDB 153は、本発明における使用、とりわけ化粧品調製物中への使用に特に適する。
【0114】
参照によりその全開示が本明細書に引用されたものとされる、Barnes D.and Sato G.,Anal.Biochem.102、255[1980]に従うと、DMEM/HAM F12(1:1)はHAM F12培地の栄養物の含量がダルベッコのMEM(DMEM=ダルベッコの修正イーグルス培地)の添加により増加された1:1混合物である。この培地は例えば、赤血球生成促進因子のようなヒトタンパク質の細胞系を培養するための基質である。
【0115】
DMEM/HAM F12(1:1)培地は以下の組成(mg/L)を有する:
【表1】

【0116】
Barnes D.and Sato G.,Anal.Biochem.102,255[1980]に従うと、MCDB 153培地がヒトの角化細胞を培養するために使用される。更に、最少培地PBSとして、3.5〜8のpH値をもつリン酸バッファー食塩水が使用される。MCDB 153培地は以下の組成(mg/L)を有する:
【表2】

【0117】
【表3】

【0118】
DMEM/HAM F12(1:1)とMCDB 153培地の利点は、それらが単層の、二次元の、そして器官に特異的な(organotypical)皮膚モデルの培養のために、化粧品または皮膚科学的調製物において特に選択され、適切であり、そして皮膚に特異的な生体機能のインビトロおよびエックスビボの刺激および/または保持を許す点である。
【0119】
更に、血清代用物として以下の組成物AとBの培養液に添加することは好都合である可能性がある:
【表4】

【0120】
文献に従うと、液体培地は通常、高純度で、発熱物質を含まない水を使用することにより調製される。この水は欧州薬局方のWFI品質(注射用水)に準ずる。液体培地は濾過滅菌されて、ビンに入れられ、その製造システムと方法は、エンドトキシンと微生物の侵入が大部分除外されるようなものである。
【0121】
本発明における使用に好ましい培地は、培地の組成物が変更される、例えば塩化コリンを含むまたは含まない、HSeOを含むまたは含まない場合でも、皮膚の再生に関して好都合な特性を示す。
【0122】
皮膚細胞の培地および生体分子(コラーゲン/キトサン/グリコシルアミノグリカン/1種または複数のペプチド)の混合物および添加剤は好都合には、調製物の総重量の99.9重量%までの割合で、化粧品または皮膚科学的調製物中に混合することができる。
【0123】
活性成分のコラーゲン、キトサンおよびグリコシルアミノグリカンとの細胞の培地の特定の成分の組み合わせ物を含んでなる本発明の調製物に伴う幾つかの利点は以下の実施例において、具体的に示される。
【0124】
本明細書および添付請求の範囲における化粧品または皮膚科学的調製物またはマトリックスは、微細な分布でそして好ましくは、皮膚を通して吸収され得る形態で、皮膚に前記培地を適用するために適した局所調製物を含むことが意図される。この目的に適した適用
形態の例は、水溶液および水性アルコール溶液、スプレー、発泡体、発泡エアゾール、軟膏、水性ゲル、O/WまたはW/O型のエマルション、ミクロエマルション、親水性または親油性パッチおよび化粧品スティック製品を含む。特に適した溶媒は水性ゲル、O/Wエマルション、W/O/Wエマルションおよびミクロエマルションを含む。該調製物はまた、例えば、身体洗浄組成物、例えば、セッケン、シャワー浴剤、シャンプー等中にも使用することができる。
【0125】
好ましい化粧品調合物は、あらゆる種類のヒドロゲルおよびエマルション、とりわけO/Wエマルションを含む。
【0126】
化粧品中への使用のために知られるすべての脂質を、例えば、油状相または脂質相として使用することができる。
【0127】
エマルションの形態の本発明の調合物は通常、1種または複数の乳化剤を含んでなるであろう。これらの乳化剤は好都合には、非イオン、アニオン、カチオンおよび両親媒性乳化剤から選択することができる。
【0128】
水と生理学的に適した溶媒の外に、なかでも、手入れ用成分(care constituents)、油、ワックス、脂肪、再脂肪付与(refatting)物質、増粘剤、抗酸化剤、乳化剤、日焼け止めフィルターとして適した物質、酵素、アミノ酸、タンパク質、多糖類および/または香料を使用することができる。本発明に従うと、前記の物質とは別に、調製物は場合により、更に、化粧品中に通例の添加剤、例えば、香料、染料、抗菌物質、再脂肪添加剤、錯体形成剤および金属イオン封鎖剤、真珠光沢付与剤、植物抽出物、ビタミン、有効成分、保存剤、殺菌剤、着色顔料、増粘剤、皮膚軟化剤、保湿剤および/または湿潤化剤、並びに化粧品または皮膚科学的調合物のその他の通常の成分、例えば、アルコール、ポリオール、ポリマー、発泡安定剤、電解質、有機溶媒およびシリコーン誘導体を含んでなることができる。
【0129】
適した調製物はまた、専門的な創傷の管理および創傷の治癒のため、そして/または外科的瘢痕等の軽減のために使用することができるもの、例えば、キトサン/コラーゲン/コンドロイチン6−硫酸のスポンジまたは溶液と組み合わせたポリウレタン調製物、を含む。
【0130】
好都合な添加剤の限定されない例は、特定の活性成分、例えば、抗酸化剤を含む。これらの抗酸化剤は好都合には、非常に少量の許容投与量(例えば、pモル〜μモル/kg)における、アミノ酸(例えば、グリシン、リシン、アルギニン、システイン、シスチン、ヒスチジン、チロシン、トリプロファン)およびそれらの誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質化合物として)、イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)およびそれらの誘導体(例えば、塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび/または脂質化合物として)、ペプチド、例えば、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシン、アンセリンおよびそれらの誘導体(例えば、塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質化合物として)、カロテノイド、カロテン(例えば、α−カロテン、β−カロテン、ψ−リコペン、フィトエン)およびそれらの誘導体(例えば、塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび/または脂質化合物として)、クロロゲン酸およびその誘導体(例えば、塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび/または脂質化合物として)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよびその他のチオール(例えば、チオレドキシン、リポ酸、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン並びに、それらのグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、
オレイル、γ−リノレイル、コレステリルおよびグリセリルエステル)およびそれらの塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸およびそれらの誘導体(例えば、塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび/または脂質化合物として)並びにスルホキシイミン化合物(例えば、ホモシステイン・スルホキシイミン、ブチオニン・スルホン、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタチオニン・スルホキシイミン)、から選択することができる。更に、(金属)錯体形成剤(例えば、アポフェリチン、デスフェラール、ラクトフェリン、α−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、)およびそれらの誘導体(例えば、塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび/または脂質化合物として)、α−ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびそれらの誘導体、不飽和脂肪酸およびそれらの誘導体(例えば、γ−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、フルフリルインデンソルビトールおよびその誘導体、ユビキノン、ユビキノール、プラストキノンおよびそれらの誘導体(例えば、塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質化合物として)、ビタミンCおよび誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルMg、酢酸アスコルビル)、トコフェロールおよび誘導体(例えば、酢酸ビタミンE)およびフェノール化合物およびそれらを含む植物抽出物、例えば、フラボノイド(例えば、グリコシルルチン、フェルラ酸、カフェイン酸)、フルフリリデングルシトール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤレチン樹脂酸、ノルジヒドログアヤレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノンおよびその誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質化合物として)、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体(例えば、塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質化合物として)、亜鉛およびその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO)、セレンおよびその誘導体(例えば、セレノメチオニン、エブセレン(ebselen))、スチルベンおよびそれらの誘導体(例えば、酸化スチルベン、トランス−酸化スチルベン)並びに、本発明に従って適切なこれらの有効成分の誘導体(例えば、塩、エステル、エーテル、糖、チオール、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび/または脂質化合物)も含まれる。
【0131】
分散相の成分を安定化するために、バッファーの更なる使用が時々必要になる可能性がある。これに関し、リン酸バッファー食塩水およびクエン酸バッファーが好ましく使用されるバッファーの例である。
【0132】
抗酸化剤の外に、好ましくはQ10、AGR、オロチン酸Zn、カルニチン、クレアチンおよび/またはタウリンから選択される特定の成分との、本発明の調製物の組み合わせ物が特に好ましい。
【0133】
AGR(アルファ−グリコシルルチン)は大部分の植物に認められるフラボノイドに属する。AGRは、環境の損傷から、例えば、UV光線から、皮膚の内因性免疫系の細胞を保護することができる。
【0134】
特に好都合であることが判明した本発明の調製物の適用分野は、すべての感染性炎症を除外するすべての皮膚のタイプの手入れおよび更に特別の適用、例えば、微小な皮膚の擦り傷、酸による剥離およびレチノール処置、を含む。本発明の調製物による皮膚再生および皮膚の沈痛(soothing)がこれらの症例において明白である。
【0135】
本発明の調製物の適用の更なる好ましい分野は、とりわけ美化のための、皮膚の美容的手入れである。
【0136】
本発明の調製物の包装物は、すべての、化粧品として通例の投与システム、例えば、ビン、ポンプ付きビン、ピペット付きビン、カートリッジまたはカプセル、を含むことができる。
【0137】
細胞の培地をその中に取り込むことができない、問題をもつ調合物に対しては、特別の包装要素、例えば、2−成分接着剤から知られるような、混合ヘッドをもつ二重カートリッジ、により、使用直前にのみ、細胞の培地と化粧品を混合する可能性がある。細胞の培地の包装はまた、新鮮な製品のみが使用されるように、再充填できるようにさせることができる。
【0138】
更に、本発明のマトリックスをポリウレタン・マトリックス中に取り込んで、化粧品の皮膚カバー、石膏の創傷カバーまたは包帯としてあるいはパッドとして結果する製品を製造させることは好都合である。これらの目的に適したポリウレタン・マトリックスの限定されない例は、参照によりその全開示が本明細書に引用されたものとされる、ドイツ特許第42 33 289号、第43 08 347号、第43 08 445号、第43 28 190号および第101 28 685号明細書に記載されたものを含む。
【0139】
本発明の好都合な代表的な態様は以下である。別記されない限り、量的データは重量%に基づく。すべての調製物において、マトリックス分子のコラーゲン、キトサンおよびグリコシルルチンの比率は、調製物の総重量の約0.00001重量%〜約99重量%、好ましくは約0.0005重量%〜約50重量%、そして理想的には約0.0015%〜約30重量%の最終調合物であることができる。分散物の「培地」は好ましくは、約0.5%〜約2%の塩化ナトリウム溶液の浸透圧に対応するが、理想的には、ヒトの組織、特に皮膚の生理学的浸透圧に対応する。
【実施例】
【0140】
実施例1 日中用クリーム
【表5】

【0141】
【表6】

【0142】
実施例2 夜間用クリーム
【表7】

【0143】
【表8】

【0144】
実施例3 栄養補充日中用クリーム
【表9】

【0145】
実施例4 皮膚血清
【表10】

【0146】
実施例5 日中用クリーム
【表11】

【0147】
【表12】

【0148】
実施例6 マスタークリーム
【表13】

【0149】
【表14】

【0150】
実施例7 アイクリーム
【表15】

【0151】
【表16】

【0152】
実施例8 日中用クリーム
【表17】

【0153】
【表18】

【0154】
以下の実施例は次:
(a)(i)コラーゲン、キトサンおよびコンドロイチン硫酸ナトリウムの組み合わせ物(以後「MPC」)並びに(ii)MPC+オリゴペプチド−21(以後「MPC+IDP4」)、
(b)(i)糖タンパク質1と2およびニンジンとトクサの抽出物を含んでなる組成物(以後「GPVE」)並びに(ii)GPVE+オリゴペプチド−21(以後「GPVE+IDP4」)、
(c)(i)MPCとGPVEの組み合わせ物(以後「GPVE/MPC」)および(ii)GPVE/MPCとオリゴペプチド−21の組み合わせ物(以後「GPVE/MPC+IDP4」)、
を使用して実施された比較実験を説明する。
【0155】
MPCはフランスのLyonのColeticaから、Molecular Patch Complexとして購入できる。この製品は0.22μmのフィルターを使用して濾過され、そのまま使用された。それらの濃度は%w/wである。IDP4は1Lの水中500mgのオリゴペプチド−21の溶液として使用された。「STDEV」は標準偏差を意味する。
【0156】
実施例9 細胞増殖アッセイ
以下の細胞の増殖に対する、MPC対(MPC+IDP4)、GPVE対(GPVE+IDP4)およびGPVE/MPC対(GPVE/MPC=IDP4)の添加の効果を研究した:
1.HacaT角化細胞の細胞系
2.NIH3T3繊維芽細胞の細胞系
3.MSC(間葉幹細胞)。
【0157】
方法:
(1)細胞接種
(2)無血清DMEM培地を使用して24時間の飢餓
(3)サンプルの処理
(4)72時間培養
(5)細胞の収穫
(6)細胞増殖のアッセイ。
【0158】
得られた結果を以下の表に要約する:
【表19】

【0159】
更に、角化細胞、繊維芽細胞および間葉幹細胞の増殖に対するIDP4、GPVE、M
PC、GPVE/MPC、GPVE/MPC+IDPEおよび幾つかのその他の物質(THE TPS、CbglycおよびMEYM7)の添加の効果を比較した。結果を以下の表に示す。
【表20】

【0160】
上記の表に要約され(そして図1〜3、10および11にグラフで示された、Con=対照)データは、MPCの場合には、2%のMPCの濃度で、単独で(図1の左側の棒)そしてIDP4と組み合わせて(図1の右側の棒)双方で角化細胞の細胞系で細胞増殖の統計的に有意な増加を得、そして、繊維芽細胞の細胞系により、0.02%の低いMPCの濃度でしかしIDP4と組み合わせた時のみ(図3)細胞増殖の統計的に有意な増加を得たことを示す。GPVEの場合には(図10)、IDP4の添加を伴いそして伴わない双方で、2%の濃度で、角化細胞の細胞系と繊維芽細胞の細胞系により細胞増殖の統計的に有意な増加を得た。GPVE/MPCの場合には(図11)、IDP4の添加を伴い、そして伴わずに、2%の濃度で、角化細胞の細胞系、繊維芽細胞の細胞系および間葉幹細胞により細胞増殖の統計的に有意な増加を得た。使用された濃度(1μg)において、IDP4のみの添加はどの試験細胞によっても増殖の統計的に有意な増加を与えなかった。
【0161】
図12〜14は前記の細胞系に対する、IDP4を使用したおよび使用しないGPVEとGPVE/MPCの添加の効果を表す写真である。
【0162】
実施例10 細胞外マトリックス(ECM)の発現
以下の細胞によるプロコラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、ヒアルロン酸およびラミニンの細胞外マトリックスの発現に対するMPCとMPC+IDP4の添加の効果を研究した:
1.HacaT角化細胞の細胞系(ヒアルロン酸、ラミニン)
2.NIH3T3繊維芽細胞の細胞系(プロコラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン)。
【0163】
方法:
(1)細胞接種、
(2)無血清DMEM培地による24時間の飢餓
(3)サンプルの処理
(4)72時間の培養
(5)細胞上澄み回収、
(6)アッセイ。
【0164】
アッセイ(ELISA):
(a)捕捉抗体でコートする、
(b)阻止する(阻止溶液)、
(c)各ウェルを吸引し、5回洗浄する、
(d)各ウェルにサンプルと標準物を添加する、
(e)各ウェルを吸引し、5回洗浄する、
(f)各ウェルに複合物(conjugate)を添加する、
(g)各ウェルを吸引し、5回洗浄する、
(h)各ウェルに基質溶液を添加する、
(i)各ウェルに停止溶液を添加する、
(j)450nmの光学密度で読み取る。
【0165】
得られた結果は以下の表に要約される:
(a)繊維芽細胞によるプロコラーゲンの発現(更に図4aと4bを参照されたい、Con=対照)
【表21】

【0166】
(b)繊維芽細胞によるフィブロネクチンの発現((更に図5aと5bを参照されたい、Con=対照)
【表22】

【0167】
(c)繊維芽細胞によるエラスチンの発現((更に図6aと6bを参照されたい、Con=対照)
【表23】

【0168】
(d)角化細胞によるヒアルロン酸の発現((更に図7aと7bを参照されたい、Con
=対照)
【表24】

【0169】
(e)角化細胞によるラミニンの発現((更に図8aと8bを参照されたい、Con=対照)
【表25】

【0170】
前記の表に要約されたデータは、ヒアルロン酸の発現における統計的に有意な増加がIDP4と組み合わせて(右側の棒)2%のMPCの濃度の角化細胞で得られたことを示す。ヒアルロン酸の発現における統計的に有意な増加はMPC単独でもIDP4単独でも得られなかった。
【0171】
実施例11に対する保護効果(抗アポトーシス効果)
(フリーラジカル形成体)に対する間葉幹細胞に対するMPCとMPC+IDP4の添加の防護(抗アポトーシス)効果を試験した。
【0172】
方法:
(1)細胞の接種、
(2)無血清DMEM培地で24時間飢餓、
(3)サンプルの処理、
(4)24時間培養、
(5)5mMのHで処理、
(6)24時間保温、
(7)細胞増殖アッセイ。
【0173】
【表26】

【0174】
前記の表に要約された(そして図9にグラフで示された)データは、細胞のアポトーシ
スの統計的に有意な減少および細胞増殖の増加が、2%MPCの添加時に、しかしIDP4と組み合わせた時のみ(右側の棒)、間葉幹細胞により得られたことを示す。
【0175】
実施例12 細胞外マトリックス(ECM)の発現
以下の細胞によるプロコラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、ヒアルロン酸およびラミニンの細胞外マトリックスの発現に対するGPVEとGPVE+IDP4の添加の効果を研究した:
1.HacaT角化細胞の細胞系(ヒアルロン酸、ラミニン)
2.NIH3T3繊維芽細胞の細胞系(プロコラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン)。
【0176】
方法:
(1)細胞の接種、
(2)無血清DMEM培地で24時間飢餓、
(3)サンプルの処理、
(4)72時間培養、
(5)細胞上澄み物の回収、
(6)アッセイ。
【0177】
アッセイ(ELISA):
(a)捕捉抗体でコートする、
(b)阻止する(阻止溶液)、
(c)各ウェルを吸引し、5回洗浄する、
(d)各ウェルにサンプルと標準物を添加、
(e)各ウェルを吸引し、5回洗浄する、
(f)各ウェルに複合物(conjugate)を添加する、
(g)各ウェルを吸引し、5回洗浄する、
(h)各ウェルに基質溶液を添加する、
(i)各ウェルに停止溶液を添加する、
(j)450nmの光学密度で読み取る。
【0178】
得られた結果は以下の表に要約される:
(a)繊維芽細胞によるプロコラーゲンの発現(更に図15を参照されたい、Con=対照)
【表27】

【0179】
(b)繊維芽細胞によるフィブロネクチンの発現(更に図16を参照されたい、Con=対照)
【表28】

【0180】
(c)繊維芽細胞によるエラスチンの発現(更に図17を参照されたい、Con=対照)
【表29】

【0181】
(d)角化細胞によるヒアルロン酸の発現(更に図18を参照されたい、Con=対照)
【表30】

【0182】
(e)角化細胞によるラミニンの発現(更に図19を参照されたい、Con=対照)
【表31】

【0183】
IDP4の濃度の関数として角化細胞および繊維芽細胞によるプロコラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、ヒアルロン酸およびラミニンの発現も研究された。結果は以下の表に要約される(図20も参照されたい)。
【表32】

【0184】
前記の表に要約されたデータは、2%のGPVEが繊維芽細胞に添加される時にコラーゲンの発現の最大の増加を示し、そしてIDP4が更に添加されるとコラーゲンの発現の劇的な増加を示す。データはまた、2%のGPVE+IDP4においてフィブロネクチンの発現の増加を示す。それは更に、2%のGPVEおよび更にIDP4が存在する時に、ヒアルロン酸とラミニンの発現の、より強い増加を示す。
【0185】
実施例13 細胞外マトリックス(ECM)の発現
以下の細胞によるプロコラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、ヒアルロン酸およびラミニンの細胞外マトリックスの発現に対するGPVE/MPCとGPVE/MPC+IDP4の添加の効果を研究した:
1.HacaT角化細胞の細胞系(ヒアルロン酸、ラミニン)
2.NIH3T3繊維芽細胞の細胞系(プロコラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン)。
【0186】
方法:
(1)細胞の接種、
(2)無血清DMEM培地で24時間飢餓、
(3)サンプルの処理、
(4)72時間培養、
(5)細胞上澄み物の回収、
(6)アッセイ。
【0187】
アッセイ(ELISA):
(a)捕捉抗体でコートする、
(b)阻止する(阻止溶液)、
(c)各ウェルを吸引し、5回洗浄する、
(d)各ウェルにサンプルと標準物を添加、
(e)各ウェルを吸引し、5回洗浄する、
(f)各ウェルに複合物(conjugate)を添加する、
(g)各ウェルを吸引し、5回洗浄する、
(h)各ウェルに基質溶液を添加する、
(i)各ウェルに停止溶液を添加する、
(j)450nmの光学密度で読み取る。
【0188】
得られた結果は以下の表に要約される:
(a)繊維芽細胞によるプロコラーゲンの発現(更に図21を参照されたい、Con=対照)
【表33】

【0189】
(b)繊維芽細胞によるフィブロネクチンの発現(更に図22を参照されたい、Con=対照)
【表34】

【0190】
(c)繊維芽細胞によるエラスチンの発現(更に図23を参照されたい、Con=対照)
【表35】

【0191】
(d)角化細胞によるヒアルロン酸の発現(更に図24を参照されたい、Con=対照)
【表36】

【0192】
(e)角化細胞によるラミニンの発現(更に図25を参照されたい、Con=対照)
【表37】

【0193】
IDPE、GPVE、MPC、GPVE/MPC、GPVE/MPC+IDP4並びに幾つかのその他の物質(THE、TPS、ChglyおよびMEYM7)の存在下で角化細胞と繊維芽細胞によるプロコラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、ヒアルロン酸およびラミニンの発現を研究した。結果は以下の表に要約される。
【表38】

【0194】
前記の表に要約されたデータは、2%のGPVE/MPCが繊維芽細胞に添加される時に、140%のコラーゲンの発現の最大増加を示し、そしてIDP4が更に添加されると、350%のコラーゲン発現の劇的な増加を示す。フィブロネクチンの発現に対しても実質的に同様な傾向が適用される。データはまた、2%のGPVEと更なるIDP4が添加されると、ヒアルロン酸とラミニンの発現の最大の増加を示す。
【0195】
以上の実施例は単に説明の目的のために提供され、決して本発明の限定として考慮するべきではないことに注目される。本発明は代表的態様に関して説明されたが、使用された用語は限定の用語ではなくむしろ、説明と具体化の用語であることが理解される。その態様において、本発明の範囲と精神から逸脱せずに、現在供述され、修正されたように、添付の請求項の範囲内で変更を実施することができる。本発明は特定の手段、材料および態様に関連して説明されたが、本発明は本明細書に開示された特定物に限定されることは意図されない。その代わりに、本発明は、添付請求項の範囲内にあるすべての機能的に同等な構造物、方法および使用法に及ぶ。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)コラーゲンとその誘導体の少なくともいずれか、
(b)キトサンと約50%までのアセチル化度をもつそのアセチル誘導体の少なくともいずれか、
(c)グリコシルアミノグリカンとその誘導体の少なくともいずれか、並びに
(d)皮膚細胞の成長を促進させることができる少なくとも1種のペプチド、および
(e)(i)糖タンパク質1、
(ii)糖タンパク質2、
(iii)朝鮮ニンジン抽出物および、
(iv)トクサ抽出物、
を含む組成物、
の少なくともいずれか、
を含んでなる物質を組み合わせる方法により得られる、化粧品または皮膚科学的調製物。
【請求項2】
(a)と(b)の少なくともいずれかが海洋源または合成源のものである、請求項1の調製物。
【請求項3】
(a)がタイプ1、3、4と5から選択される1種以上のコラーゲンを含んでなる、請求項1と2のいずれかの調製物。
【請求項4】
(b)が約80,000g/モル〜約15,000,000g/モルの分子量をもつキトサンを含んでなる、請求項1〜3のいずれか1項の調製物。
【請求項5】
(b)が甲殻類と昆虫の少なくともいずれかから得られるキトサンを含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項の調製物。
【請求項6】
(c)がコンドロイチン4−硫酸とコンドロイチン6−硫酸のいずれかを含んでなる、請求項1〜5のいずれか1項の調製物。
【請求項7】
調製物が(d)を含んでなる、請求項1〜6のいずれか1項の調製物。
【請求項8】
調製物が(e)を含んでなる、請求項1〜6のいずれか1項の調製物。
【請求項9】
調製物が(d)と(e)の双方を含んでなる、請求項1〜8のいずれか1項の調製物。
【請求項10】
(d)が少なくとも1種の増殖因子模倣オリゴペプチドを含んでなる、請求項1〜9のいずれか1項の調製物。
【請求項11】
(d)がオリゴペプチド−21またはその一部を含んでなる、請求項1〜10のいずれか1項の調製物。
【請求項12】
(d)が、それが(a)、(b)、(c)および場合により(e)と直接接触することを実質的に妨げる形態で存在する、請求項1〜11のいずれか1項の調製物。
【請求項13】
(d)がナノエマルションとして存在する、請求項1〜12のいずれか1項の調製物。
【請求項14】
(ii)、(iii)および(iv)の総量に対する(i)の重量比が約25:75である、請求項1〜13のいずれか1項の調製物。
【請求項15】
(e)が、(e)の総重量の約0.3%〜約1.2重量%の総量の(i)、(ii)、(iii)および(iv)を含んでなる、請求項1〜14のいずれか1項の調製物。
【請求項16】
成分(a)〜(c)が調製物の総重量の少なくとも約0.0005重量%の総量で使用される、請求項1〜15のいずれか1項の調製物。
【請求項17】
成分(a)〜(c)の総量が少なくとも約0.0015重量%である、請求項16の調製物。
【請求項18】
成分(a)〜(c)の総量が約0.005%〜約10重量%である、請求項16の調製物。
【請求項19】
成分(a)〜(c)の総量が約0.01%〜約1重量%である、請求項16の調製物。
【請求項20】
成分(a)〜(c)が約0.015%〜約0.1重量%の総量で使用される、請求項16の調製物。
【請求項21】
(d)が調製物の総重量の約0.0001重量%〜約1重量%の量で使用される、請求項1〜20のいずれか1項の調製物。
【請求項22】
(d)が少なくとも約0.0003重量%の量で使用される、請求項21の調製物。
【請求項23】
(i)、(ii)、(iii)および(iv)が、調製物の総重量の約0.0001%〜約1重量%の総量で使用される、請求項1〜22のいずれか1項の調製物。
【請求項24】
(i)、(ii)、(iii)および(iv)が、少なくとも約0.001重量%の総量で使用される、請求項23の調製物。
【請求項25】
(a)と(c)の重量比が約35:1〜約3:1である、請求項1〜24のいずれか1項の調製物。
【請求項26】
(a)と(b)の重量比が約10:1〜約1.5:1である、請求項1〜25のいずれか1項の調製物。
【請求項27】
(a)と(c)の重量比が約10:1〜約1:1である、請求項1〜26のいずれか1項の調製物。
【請求項28】
調製物が更に、アミノ酸、α−ビオチン、(NHMo24、アデニン、AlCl、ビオチン、CaCl、パントテン酸カルシウム、塩化コリン、CoCl、CrK(SO、CuSO、D−パントテン酸Ca、EDTA.Na、EDTA.Na、Fe(NO、FeSO、葉酸、ブドウ糖、HSeO、HEPES、ヒポキサンチン、ヒトインスリン、KCl、リノール酸、リポ酸、MgCl、MnCl、MnSO、ミオ−イノシトール、NaHPO、NaSeO、NaSiO、NaCl、NaHPO、NaHCO、ピルビン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、NHVO、NiCl、ニコチンアミド、フェノールレッド、ポリソルベート80、プトレッシン、プトレッシン2HCl、ピリドキシンHCl、ピリドキサールHCl、リボフラヴィン、SnCl、チアミンHCl、チミジン、ビタミンB12、セラミドおよびZnSOから選択される少なくともいずれかの物質を含んでなる、請求項1〜27のいずれか1項の調製物。
【請求項29】
L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−システイン、L−シスチン、グリシン、L−グルタミン、L−グルタミン酸、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシンおよびL−ヴァリンのうちの1種以上が使用される請求項28の調製物。
【請求項30】
葉酸、L−リシン、L−スレオニン、L−アルギニン、L−セリン、L−ヒスチジン、L−トリプトファン、グリシンのうちの1種以上が使用される、請求項28の調製物。
【請求項31】
調製物が葉酸、L−リシン、L−スレオニン、L−アルギニン、L−セリン、L−ヒスチジン、L−トリプトファンおよびグリシンのうちの少なくとも5種を含んでなる、請求項29の調製物。
【請求項32】
調製物が更に、1種以上の皮膚細胞の培地を含んでなる、請求項1〜31のいずれか1項の調製物。
【請求項33】
皮膚細胞の培地がDMEM/HAM F12(1:1)とMCDB 153の少なくともいずれかを含んでなる、請求項32の調製物。
【請求項34】
調製物が、細胞の培地中で再構築される、物質(a)〜(c)のナノスポンジ・マトリックスとミクロスポンジ・マトリックスの少なくともいずれかを含んでなる、請求項1〜33のいずれか1項の調製物。
【請求項35】
1種以上の皮膚細胞の培地が、生理学的食塩水、栄養培地および初代の体細胞培養用完全培地のうちの1種以上から選択される、請求項32の調製物。
【請求項36】
1種以上の皮膚細胞の培地が、初代繊維芽細胞と角化細胞の少なくともいずれかのための培地を含んでなる、請求項32の調製物。
【請求項37】
完全培地が血清代用物を補給される、請求項35の調製物。
【請求項38】
調製物が更に、クエン酸バッファーを含んでなる、請求項1〜37のいずれか1項の調製物。
【請求項39】
調製物が更に、Q10、アルファ−グルコシルルチン、アルファ−ヒドロキシ酸、オロチン酸Zn、カルニチン、クレアチンおよびタウリンのうちの少なくともいずれかを含んでなる、請求項1〜38のいずれか1項の調製物。
【請求項40】
調製物が更に水を含んでなる、請求項1〜39のいずれか1項の調製物。
【請求項41】
調製物が、調製物の総重量の少なくとも約30重量%の水を含んでなる、請求項40の調製物。
【請求項42】
調製物が少なくとも約50重量%の水を含んでなる、請求項41の調製物。
【請求項43】
請求項1〜42のいずれか1項の調製物を含んでなり、そして水性ゲル、O/Wエマルション、W/O/Wエマルション、W/Oエマルション、ミクロエマルションおよび化粧品スティックから選択される、化粧品または皮膚科学的製品。
【請求項44】
請求項1〜42のいずれか1項の調製物を含んでなり、そして水性界面活性調製物、エ
マルション、軟膏、クリーム、ゲル、散布剤、マスク、マトリックスの包帯、ゲルの包帯、発泡体およびエアゾール調製物から選択される、化粧品または皮膚科学的製品。
【請求項45】
請求項1〜42のいずれか1項の調製物を含んでなり、そして創傷のカバー、皮膚のカバー、パッチ、パッド、ティッシューおよび包帯から選択される製品。
【請求項46】
請求項1〜42のいずれか1項の調製物を含んでなるポリウレタン・マトリックス。
【請求項47】
請求項1〜42のいずれか1項の調製物を皮膚に適用する方法を含んでなる、皮膚の手入れ法。
【請求項48】
請求項1〜42のいずれか1項の調製物を傷害を受けた皮膚と疾病に罹った皮膚の少なくともいずれかに適用する方法を含んでなる皮膚の処置法。
【請求項49】
請求項1〜42のいずれか1項の調製物を創傷に適用する方法を含んでなる、創傷管理または創傷治癒の方法。
【請求項50】
調製物が創傷カバー中に含まれる、請求項49の方法。
【請求項51】
創傷カバーがポリウレタンを含んでなる、請求項50の方法。
【請求項52】
請求項1〜42のいずれか1項の調製物を、皮膚が取り除かれた体表に適用する方法を含んでなる、完全な部分的皮膚を形成する方法。
【請求項53】
請求項1〜42のいずれか1項の調製物を創傷に適用する方法を含んでなる、瘢痕組織形成を予防または減少させる方法。
【請求項54】
(i)コラーゲンとその誘導体の少なくともいずれか、(ii)キトサンと、50%までのアセチル化度を有するその誘導体の少なくともいずれか、(iii)グリコシルアミノグリカンとその誘導体の少なくともいずれか、および(iv)皮膚細胞の増殖を促進することができる少なくとも1種のペプチド、を含んでなる、化粧品または皮膚科学的調製物を調製する方法であって、
(a)水と(i)とを含んでなる溶液を提供し、
(b)(ii)を(a)の溶液に添加して混合物を形成し、そして
(c)(iii)を(b)の混合物に添加して更なる混合物を形成し、そして
(d)(iv)を、(a)〜(c)に従う溶液と混合物の1種以上と混合する方法、
を含んでなる方法。
【請求項55】
(iv)が(c)の混合物と合わされる、請求項54の方法。
【請求項56】
(a)の溶液が1種以上の細胞の培地を含んでなる、請求項54と55のいずれかの方法。
【請求項57】
(iv)が、それが(i)、(ii)および(iii)と直接接触することを実質的に妨げる形態で使用される、請求項54〜56のいずれか1項の方法。
【請求項58】
(iv)がナノエマルションの形態で使用される、請求項57の方法。
【請求項59】
(d)が約40℃を超えない温度で実施される、請求項54〜58のいずれか1項の方法。
【請求項60】
更に、(e)(d)の混合物を凍結乾燥して、エアロゲルを提供する工程を含んでなる、請求項54〜59のいずれか1項の方法。
【請求項61】
更に、エアロゲルを、化粧品または皮膚科学的調製物の水相、有効成分相および培地相の少なくともいずれかの中に導入することにより、(e)のエアロゲルをヒドロゲルに転化させる工程を含んでなる、請求項60の方法。
【請求項62】
更に、(e)のエアロゲルをポリウレタン・マトリックスに加工する工程を含んでなる、請求項60の方法。
【請求項63】
(A)皮膚細胞の増殖を促進することができる少なくとも1種のペプチド、並びに
(B)(i)糖タンパク質1、
(ii)糖タンパク質2、
(iii)朝鮮ニンジン抽出物、および
(iv)トクサ抽出物、
を含んでなる組成物、
を含んでなる、化粧品または皮膚科学的調製物。
【請求項64】
(A)が少なくとも1種の増殖因子を模倣するオリゴペプチドを含んでなる、請求項63の調製物。
【請求項65】
(A)がオリゴペプチド−21またはその一部を含んでなる、請求項63と64のいずれかの調製物。
【請求項66】
(A)が、それが(B)と直接接触することを実質的に妨げる形態で存在する、請求項63〜65のいずれか1項の調製物。
【請求項67】
(A)がナノエマルションとして存在する、請求項63〜66のいずれか1項の調製物。
【請求項68】
(ii)、(iii)および(iv)の総量に対する(i)の重量比が約25:75である、請求項63〜67のいずれか1項の調製物。
【請求項69】
(B)が、(B)の総重量の約0.3〜約1.2重量%の総量の(i)、(ii)、(iii)および(iv)を含んでなる、請求項63〜68のいずれか1項の調製物。
【請求項70】
(A)が調製物の総重量の約0.0001重量%〜約1重量%の量で使用される、請求項63〜69のいずれか1項の調製物。
【請求項71】
(A)が少なくとも約0.0003重量%の量で使用される、請求項70の調製物。
【請求項72】
(i)、(ii)、(iii)および(iv)が調製物の総重量の約0.0001重量%〜約1重量%の総量で使用される請求項63〜71のいずれか1項の調製物。
【請求項73】
(i)、(ii)、(iii)および(iv)が少なくとも約0.001重量%の総量で使用される請求項72の調製物。
【請求項74】
調製物の総重量の少なくとも約30重量%の水を含んでなる、請求項63〜73のいずれか1項の調製物。
【請求項75】
請求項63〜74のいずれか1項の調製物を含んでなり、そして水性ゲル、O/Wエマルション、W/O/Wエマルション、W/Oエマルション、ミクロエマルションおよび化粧品のスティックから選択される、化粧品または皮膚科学的製品。
【請求項76】
請求項63〜74のいずれか1項の調製物を含んでなり、そして水性界面活性調製物、エマルション、軟膏、クリーム、ゲル、散布剤、マスク、マトリックスの包帯、ゲルの包帯、発泡体およびエアゾール調製物から選択される、化粧品または皮膚科学的製品。
【請求項77】
請求項63〜74のいずれか1項の調製物を皮膚に適用する方法を含んでなる、皮膚の手入れ法。
【請求項78】
請求項63〜74のいずれか1項の調製物を、傷害を受けた皮膚と疾病に罹った皮膚の少なくともいずれかに適用する方法を含んでなる、皮膚の処置法。

【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2012−516841(P2012−516841A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−547002(P2011−547002)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【国際出願番号】PCT/IB2010/000736
【国際公開番号】WO2010/086754
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(591010376)バイヤースドルフ・アクチエンゲゼルシヤフト (20)
【氏名又は名称原語表記】BEIERSDORF AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】