サイドブレーキかけ忘れ防止装置
【課題】簡単で安価な構成で、サイドブレーキを正しくかけるように運転者に知らせることが可能なサイドブレーキかけ忘れ防止装置を提供する。
【解決手段】 車両が停止中であるかを判定する停止判定手段と、車両のサイドブレーキの作動状態を検出するサイドブレーキ状態検出手段と、車両の状態を取得する車両状態取得手段と、取得された車両の状態を判定する車両状態判定手段と、車両が停止中であると判定されサイドブレーキが非作動状態であることが検出されたときに、車両の状態が所定の状態にあると判定された場合、サイドブレーキを作動させることを促す旨の報知を行なう報知手段と、を有することを特徴とするサイドブレーキかけ忘れ防止装置として提供可能である。
【解決手段】 車両が停止中であるかを判定する停止判定手段と、車両のサイドブレーキの作動状態を検出するサイドブレーキ状態検出手段と、車両の状態を取得する車両状態取得手段と、取得された車両の状態を判定する車両状態判定手段と、車両が停止中であると判定されサイドブレーキが非作動状態であることが検出されたときに、車両の状態が所定の状態にあると判定された場合、サイドブレーキを作動させることを促す旨の報知を行なう報知手段と、を有することを特徴とするサイドブレーキかけ忘れ防止装置として提供可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車両のサイドブレーキのかけ忘れを防止するためのサイドブレーキかけ忘れ防止装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
車両を駐車場等に駐車する場合には、サイドブレーキをかけて車両が勝手に動かないようにする。サイドブレーキをかけたかどうかは、車両の計器パネルにあるブレーキ表示灯によって確認することができる。しかし、ブレーキ表示灯が点灯していても、サイドブレーキが正しくかけられていない（いわゆる、引きがあまい）ことも起こりうる。この場合は、車の停止状態を保つという、サイドブレーキとしての用をなさない恐れがある。
【０００３】
そこで、サイドブレーキがかけられた状態で車が動いていることを運転者に警告する自動車用サイドブレーキ警報装置が考案されている（特許文献１参照）。
【０００４】
【特許文献１】特開平０８−５８５７１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
特許文献１の例では、車内に乗員がいて車両を運転中の場合を想定しており、車両が動いた後で警告が発せられるため、運転者が駐車して車両から離れてしまった場合などは、何の対応もとれなくなるという問題がある。
【０００６】
上記問題を背景として、本発明の課題は、簡単で安価な構成で、サイドブレーキを正しくかけるように運転者に知らせることが可能なサイドブレーキかけ忘れ防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【０００７】
本発明は、上記課題を解決するためのサイドブレーキかけ忘れ防止装置を提供するものである。即ち、請求項１によれば、車両が停止中であるかを判定する停止判定手段と、車両のサイドブレーキの作動状態を検出するサイドブレーキ状態検出手段と、車両の状態を取得する車両状態取得手段と、取得された車両の状態を判定する車両状態判定手段と、車両が停止中であると判定されサイドブレーキが非作動状態であることが検出されたときに、車両の状態が所定の状態にあると判定された場合、サイドブレーキを作動させることを促す旨の報知を行なう報知手段と、を有することを特徴とするサイドブレーキかけ忘れ防止装置として構成される。
【０００８】
上記構成によって、従来技術とは異なり、駐車して車両から離れる前、すなわちサイドブレーキをかけ忘れて車両が動き始める前に報知を行なうので、適切なタイミングでユーザに報知を行なうことができる。また、サイドブレーキが非作動状態時かつ車両が所定の状態にある場合のみに報知を行なうので、ユーザが報知を煩わしく思うことはない。また、駐車中の車両が動いてしまうこともない。
【０００９】
請求項２によれば、本発明のサイドブレーキかけ忘れ防止装置における車両状態取得手段は車両の傾斜角を検出する傾斜角検出手段を含み、車両状態判定手段は検出された傾斜角が所定の値を上回る場合に、車両の状態が所定の状態であると判定する構成をとることができる。
【００１０】
サイドブレーキのかけ忘れで車両が動いてしまうのは坂道である場合が多い。上記構成によって、必要な場合にのみに報知を行なうことができるので、ユーザが報知を煩わしく思うことはない。
【００１１】
請求項３によれば、本発明のサイドブレーキかけ忘れ防止装置における停止判定手段は車両の速度を検出する車速検出手段を含み、検出された速度が所定の値を下回る場合に、車両が停止中であると判定する構成をとることができる。
【００１２】
車両が停止中かを判定するためには車速の値を調べればよい。例えば広く普及しているアンチロックブレーキシステム等の他の車載制御装置では、車速検出手段を用いて車速をパラメータとした制御を行なっている。これらの車載制御装置に含まれる車速検出手段を用いることで、低コストで本発明の構成を実現することが可能となる。
【００１３】
請求項４によれば、本発明のサイドブレーキかけ忘れ防止装置は、車両の現在位置を検出する位置検出手段を含み、検出された現在位置が所定の地点である場合に、報知手段は報知を行なわない構成をとることができる。
【００１４】
上記構成は、交差点付近及び踏切手前のような、停止していても駐車のために停止しているのではないと考えられる場所では、報知を行なわないようにするものである。上記構成によって、必要な場所においてのみ報知を行なうため、ユーザが報知を煩わしく思うことはない。
【００１５】
請求項５によれば、本発明のサイドブレーキかけ忘れ防止装置は、所定の地点を設定する地点設定手段を有する構成をとることができる。
【００１６】
上記構成によって、例えば自宅のようなユーザが駐車場所の状況をよく知っていて、報知が不要と思われる場所をユーザが任意に設定できるので、必要な場所においてのみ報知を行なうことが可能となる。
【００１７】
請求項６によれば、本発明のサイドブレーキかけ忘れ防止装置における報知手段は音声メッセージにより報知を行なう構成をとることができる。
【００１８】
上記構成によって、ユーザは例えば表示器にメッセージが表示される場合に比べて、サイドブレーキをかけなければならないことに、より気付きやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
簡単で安価な構成で、サイドブレーキを正しくかけるように運転者に知らせることが可能なサイドブレーキかけ忘れ防止装置を提供するという目的を、車両の駐車場所の傾斜角が所定の値を上回る場合にサイドブレーキをかけるよう報知を行なう構成により実現した。
【実施例】
【００２０】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例を参照しながら説明する。図１に本発明のサイドブレーキかけ忘れ防止装置の全体構成を示す。サイドブレーキかけ忘れ防止装置は、車載用ナビゲーション装置（以下、ナビゲーション装置と略称する）１００およびサイドブレーキスイッチ２５を含んで構成されている。
【００２１】
ナビゲーション装置１００は、位置検出器１，地図データ入力器６，操作スイッチ群７，リモートコントロール（以下リモコンと称する）センサ１１，音声案内などを行なう音声合成回路２４およびスピーカ１５，不揮発メモリ９，表示器１０，ハードディスク装置（ＨＤＤ）２１，これらの接続された制御回路８，リモコン端末１２を備えている。
【００２２】
本発明の位置検出手段である位置検出器１は、周知の地磁気センサ２，ジャイロスコープ３，距離センサ４，および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するＧＰＳ受信機５を有している。これらのセンサ等２，３，４，５は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ２３等を用いてもよい。
【００２３】
本発明の車両状態取得手段，傾斜角検出手段であるジャイロスコープ３は物体に働く角速度を検出するものである。圧電素子を用いて振動する物体に加わるコリオリの力を検出する振動型、いわゆる「こま」を用いた回転型などのように、力学的な慣性を利用して角速度を検出する。ジャイロスコープ３を用いて、車両の鉛直軸周りの回転角であるヨー，左右方向の傾き角であるロール，前後方向の傾き角であるピッチを求めることができる。
【００２４】
操作スイッチ群７は、例えば表示器１０と一体になったタッチパネル２２もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル２２は、表示器１０の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してＸ軸方向、Ｙ軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを２次元座標値（Ｘ，Ｙ）として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、透明な導電性基盤のガラス面に電気信号を受ける物質を塗布し、指をガラス面に近づけると静電容量の変化を電気信号としてセンサで検知する、いわゆる静電容量方式を用いてもよい。
【００２５】
メカニカルスイッチ，タッチパネル２２の他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。また、マイク３１および音声認識ユニット３０を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク３１から入力された音声信号を、音声認識ユニット３０において周知の音声認識技術により処理を行ない、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。音声認識ユニット３０は、マイク３１から入力された音声信号を適切なレベルに増幅する増幅器と、増幅後の音声信号をＡ／Ｄ変換した後、周知の隠れマルコフモデル等の音声認識アルゴリズムにより音声を識別するための音声信号処理装置（ＤＳＰ：Digital Signal Processor）、音声を識別するための基準データが記憶されているメモリ等で構成されており、ＤＳＰにより音声信号がその音声に対応した数値情報に変換された後、制御回路８に送られる。これら本発明の地点設定手段でもある操作スイッチ群７、リモコン端末１２、マイク３１によって、種々の指示を入力することが可能である。
【００２６】
送受信機１３は、例えばＶＩＣＳ（Vehicle Information and Communication System：道路交通情報通信システム）センタ１４から道路交通情報を受信するための装置である。
【００２７】
また、ＥＴＣ（自動料金収受システム，ＥＴＣ：Electronic Toll Collection）車載器１６と通信することにより、ＥＴＣ車載器１６がＥＴＣ路上器から受信した料金情報などを本ナビゲーション装置１００に取り込むことができる。また、ＥＴＣ車載器１６によって外部ネットワークと接続し、ＶＩＣＳセンタ１４との通信を行なう構成をとってもよい。
【００２８】
本発明の停止判定手段,車両状態判定手段，地点設定手段である制御回路８は通常のコンピュータとして構成されており、周知のＣＰＵ８１，ＲＯＭ８２，ＲＡＭ８３，入出力回路であるＩ／Ｏ８４およびこれらの構成を接続するバスライン８５が備えられている。ＣＰＵ８１は、ＨＤＤ２１に記憶されたナビプログラム２１ｐおよびデータにより制御を行なう。また、ＨＤＤ２１へのデータの読み書きの制御はＣＰＵ８１によって行なわれる。Ａ／Ｄ変換部８６は周知のＡ／Ｄ（アナログ／デジタル）変換回路を含み、例えば位置検出器１などから制御回路８に入力されるアナログデータをＣＰＵ８１で演算可能なデジタルデータに変換するものである。ＲＯＭ８２に、ＨＤＤ２１が故障した場合にナビゲーション機能のうちで必要最低限の動作を行なうためのプログラムを記憶しておいてもよい。
【００２９】
ＨＤＤ２１には、ナビプログラム２１ｐの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データ２１ｍが記憶される。地図データ２１ｍは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶すると共に、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点（分岐路）等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。
【００３０】
また、ＨＤＤ２１には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ２１ｕとして記憶される。これらのユーザデータ２１ｕは、操作スイッチ群７，タッチパネル２２およびリモコン端末１２の操作あるいはマイク３１からの音声入力によって内容の書き換えが可能である。また、ナビゲーション装置１００の動作に必要なデータや各種情報を統合使用可能とするためにデータベース２１ｄを構築してもよい。
【００３１】
また、地図データ２１ｍおよびユーザデータ２１ｕは、地図データ入力器６を介して記憶媒体２０からそのデータの追加・更新を行なうことが可能である。記憶媒体２０は、そのデータ量からＣＤ−ＲＯＭやＤＶＤを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、外部ネットワークから各データをダウンロードする構成を用いてもよい。
【００３２】
不揮発メモリ９はＥＥＰＲＯＭ（Electrically Erasable ＆ Programmable Read Only Memory：電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ）やフラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリによって構成され、ナビゲーション装置１００の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、不揮発メモリ９は、車両のアクセサリスイッチがオフ状態すなわち、ナビゲーション装置１００がオフ状態になっても、記憶内容が保持されるようになっている。
【００３３】
また、不揮発メモリ９の代わりにナビゲーション装置１００の動作に必要な情報およびデータをＨＤＤ２１に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置１００の動作に必要な情報およびデータを不揮発メモリ９とＨＤＤ２１に分けて記憶してもよい。
【００３４】
表示器１０は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスＬＣＤ（Liquid Crystal Display）およびＬＣＤ表示制御を行なうための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路８から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行なう。また、表示器として有機ＥＬ（ElectroLuminescence：電界発光）表示器，プラズマ表示器を用いてもよい。
【００３５】
本発明の報知手段であるスピーカ１５は制御回路８のＩ／Ｏ８４に接続される周知の音声合成回路２４に接続され、ナビプログラム２１ｐの指令によって不揮発メモリ９あるいはＨＤＤ２１に記憶されるデジタル音声データを音声合成回路２４においてアナログ音声に変換したものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき、必要に応じて繋ぎあわせる録音編集方式などがある。
【００３６】
本発明の車速検出手段である車速センサ２３は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路８に送るものである。制御回路８では、その車輪の回転数を車両の速度に換算して、車両の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両の走行区間毎の平均車速を算出する。
【００３７】
外部機器接続装置２６は、センサや他の制御機器等の外部機器とデータ伝送可能に接続するための入出力回路，コネクタを含むものである。以下の機能の少なくとも一つ以上を実現可能な構成となっている。
（１）不揮発メモリ９あるいはＨＤＤ２１に記憶された内容をバックアップするためのデータバックアップ装置の接続。
（２）他の車載機器とデータ伝送を行なうための車内ＬＡＮ（Local Area Network）の通信インターフェース回路。
（３）携帯電話機１７等を介しての外部ネットワーク接続。
【００３８】
また、外部機器接続装置２６を介して車速センサ２３からのデータ取り込み、あるいはＥＴＣ車載器１６との接続を行なってもよい。
【００３９】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置１００は、制御回路８のＣＰＵ８１によりナビプログラム２１ｐが起動されると、ユーザが操作スイッチ群７，タッチパネル２２、リモコン端末１２の操作あるいはマイク３１からの音声入力によって、表示器１０上に表示されるメニューから目的地経路を表示器１０に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【００４０】
すなわち、ユーザが地図上の任意の地点あるいは施設検索や住所検索、電話番号、ユーザが設定した登録地などから地点を選択して目的地として設定すると、位置検出器１により車両の現在位置が求められ、該現在位置から目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器１０上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器１０およびスピーカ１５の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行なう。
【００４１】
図３に本発明のサイドブレーキ状態検出手段であるサイドブレーキスイッチ２５およびその周辺回路を示す。サイドブレーキインジケータ４２が、一方の端子がイグニッションスイッチ４３とヒューズ４４とを介してバッテリの＋端子につながるバッテリ線４５に接続され、他方の端子がサイドブレーキスイッチ２５を介してグランドＧＮＤに接地されている。イグニッションスイッチ４３がオン（閉）状態となって、サイドブレーキが作動状態となり、サイドブレーキスイッチ２５がオン（閉）状態となると、バッテリ線４５から電流が流れサイドブレーキインジケータ４２が点灯する仕組みになっている。
【００４２】
サイドブレーキスイッチ２５のサイドブレーキインジケータ４２側の端子の電位は、サイドブレーキスイッチ２５がオン状態のときにはＧＮＤとほぼ同電位となり、オフ状態の場合にはバッテリ線４５とほぼ同電位となる。よって、制御回路８でサイドブレーキスイッチ２５のサイドブレーキインジケータ４２側の端子の電位を例えば一定周期のような適切なタイミングで監視すれば、サイドブレーキスイッチ２５の状態を把握することができる。
【００４３】
図２のフロー図を用いて、サイドブレーキかけ忘れ防止処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム２１ｐに含まれ他の処理とともに繰り返し実行される。車速センサ２３から取得した車速データを基に、車両が停止中であるかを判定する。車速が例えば５ｋｍ／ｈを下回る場合は車両が停止中であると判定する。車両が停止中でない場合（Ｓ１：Ｎｏ）は、車両が停止中となるまで待つが、所謂無限ループではなく、その間にはナビプログラム２１ｐの他の処理が実行される。
【００４４】
車両が停止中であると判定された場合（Ｓ１：Ｙｅｓ）は、サイドブレーキスイッチ２５の状態を取得する。サイドブレーキが作動状態ではなくサイドブレーキスイッチ２５がオフ（開）状態の場合（Ｓ２：Ｙｅｓ）、ジャイロスコープ３からピッチ情報を取得し、Ａ／Ｄ変換部８６によりＡ／Ｄ変換を行なう等の演算を行ない、車両の前後方向の傾き角を求める。そして、車両の前後方向の傾き角が例えば１０度以上のような所定の角度以上となった場合（Ｓ３：Ｙｅｓ）、位置検出器１により車両の現在位置を検出する。
【００４５】
また、車両のシフトレバー位置を検出する図示しないシフトポジションセンサを用い、シフトレバーの位置が「Ｐ（パーキング）」の場合は、車両が停止中であると判定してもよい。
【００４６】
地図データ２１ｍを参照して、検出された車両の現在位置が所定の地点以外である場合（Ｓ４：Ｙｅｓ）、スピーカ１５から「サイドブレーキを忘れずにかけて下さい」のような音声メッセージを送出する（Ｓ５）。また、表示器１０に同様のメッセージを表示してもよい。
【００４７】
所定の地点は、以下のように、駐車のために停止しているのではないと考えられる地点である。これらの場所では上記音声メッセージを送出しない。
（１）信号のある交差点手前付近（例えば手前１００ｍ以内）：信号待ちをしていると考えられる。
（２）信号のない交差点手前：一時停止し、交差点進入のための安全確認をしていると考えられる。
（３）踏切手前付近（例えば手前１００ｍ以内）：遮断機の開き待ち、または、一時停止し安全確認をしていると考えられる。
【００４８】
また、上記以外に、上記音声メッセージを送出させない所定の地点として自宅等のユーザが指定する地点を含めてもよい。例えば自宅は、ユーザが勾配の程度などの道路状況を十分認識しているので、上記音声メッセージを送出するとかえって煩わしく感じるのを防ぐことができる。
【００４９】
上記音声メッセージを送出しない所定の地点は、ユーザが設定可能である。操作スイッチ群７，タッチパネル２２、リモコン端末１２の操作あるいはマイク３１からの音声入力によって、表示器１０上に表示されるメニューから上記音声メッセージを送出しない所定の地点を設定する画面を表示させる。所定の地点の設定方法は、経路案内を行なうための目的地の設定方法と同様で、ユーザが地図上の任意の地点あるいは施設検索や住所検索、電話番号、ユーザが設定した登録地などから地点を選択して所定の地点として設定する。設定された内容は、不揮発メモリ９あるいはＨＤＤ２１に記憶される。
【００５０】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【００５１】
【図１】サイドブレーキかけ忘れ防止装置の構成を示すブロック図。
【図２】サイドブレーキかけ忘れ防止処理について説明するためのフロー図。
【図３】サイドブレーキおよびその周辺回路を示す図。
【符号の説明】
【００５２】
１ 位置検出器（位置検出手段）
３ ジャイロスコープ（車両状態取得手段，傾斜角検出手段）
７ 操作スイッチ群
８ 制御回路（停止判定手段,車両状態判定手段，地点設定手段）
９ 不揮発メモリ
１０ 表示器
１２ リモコン端末（地点設定手段）
１５ スピーカ（報知手段）
２１ ハードディスク装置
２２ タッチパネル（地点設定手段）
２３ 車速センサ（車速検出手段）
２５ サイドブレーキスイッチ（サイドブレーキ状態検出手段）
３０ 音声認識ユニット
３１ マイク（地点設定手段）
１００ 車載用ナビゲーション装置
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車両のサイドブレーキのかけ忘れを防止するためのサイドブレーキかけ忘れ防止装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
車両を駐車場等に駐車する場合には、サイドブレーキをかけて車両が勝手に動かないようにする。サイドブレーキをかけたかどうかは、車両の計器パネルにあるブレーキ表示灯によって確認することができる。しかし、ブレーキ表示灯が点灯していても、サイドブレーキが正しくかけられていない（いわゆる、引きがあまい）ことも起こりうる。この場合は、車の停止状態を保つという、サイドブレーキとしての用をなさない恐れがある。
【０００３】
そこで、サイドブレーキがかけられた状態で車が動いていることを運転者に警告する自動車用サイドブレーキ警報装置が考案されている（特許文献１参照）。
【０００４】
【特許文献１】特開平０８−５８５７１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
特許文献１の例では、車内に乗員がいて車両を運転中の場合を想定しており、車両が動いた後で警告が発せられるため、運転者が駐車して車両から離れてしまった場合などは、何の対応もとれなくなるという問題がある。
【０００６】
上記問題を背景として、本発明の課題は、簡単で安価な構成で、サイドブレーキを正しくかけるように運転者に知らせることが可能なサイドブレーキかけ忘れ防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【０００７】
本発明は、上記課題を解決するためのサイドブレーキかけ忘れ防止装置を提供するものである。即ち、請求項１によれば、車両が停止中であるかを判定する停止判定手段と、車両のサイドブレーキの作動状態を検出するサイドブレーキ状態検出手段と、車両の状態を取得する車両状態取得手段と、取得された車両の状態を判定する車両状態判定手段と、車両が停止中であると判定されサイドブレーキが非作動状態であることが検出されたときに、車両の状態が所定の状態にあると判定された場合、サイドブレーキを作動させることを促す旨の報知を行なう報知手段と、を有することを特徴とするサイドブレーキかけ忘れ防止装置として構成される。
【０００８】
上記構成によって、従来技術とは異なり、駐車して車両から離れる前、すなわちサイドブレーキをかけ忘れて車両が動き始める前に報知を行なうので、適切なタイミングでユーザに報知を行なうことができる。また、サイドブレーキが非作動状態時かつ車両が所定の状態にある場合のみに報知を行なうので、ユーザが報知を煩わしく思うことはない。また、駐車中の車両が動いてしまうこともない。
【０００９】
請求項２によれば、本発明のサイドブレーキかけ忘れ防止装置における車両状態取得手段は車両の傾斜角を検出する傾斜角検出手段を含み、車両状態判定手段は検出された傾斜角が所定の値を上回る場合に、車両の状態が所定の状態であると判定する構成をとることができる。
【００１０】
サイドブレーキのかけ忘れで車両が動いてしまうのは坂道である場合が多い。上記構成によって、必要な場合にのみに報知を行なうことができるので、ユーザが報知を煩わしく思うことはない。
【００１１】
請求項３によれば、本発明のサイドブレーキかけ忘れ防止装置における停止判定手段は車両の速度を検出する車速検出手段を含み、検出された速度が所定の値を下回る場合に、車両が停止中であると判定する構成をとることができる。
【００１２】
車両が停止中かを判定するためには車速の値を調べればよい。例えば広く普及しているアンチロックブレーキシステム等の他の車載制御装置では、車速検出手段を用いて車速をパラメータとした制御を行なっている。これらの車載制御装置に含まれる車速検出手段を用いることで、低コストで本発明の構成を実現することが可能となる。
【００１３】
請求項４によれば、本発明のサイドブレーキかけ忘れ防止装置は、車両の現在位置を検出する位置検出手段を含み、検出された現在位置が所定の地点である場合に、報知手段は報知を行なわない構成をとることができる。
【００１４】
上記構成は、交差点付近及び踏切手前のような、停止していても駐車のために停止しているのではないと考えられる場所では、報知を行なわないようにするものである。上記構成によって、必要な場所においてのみ報知を行なうため、ユーザが報知を煩わしく思うことはない。
【００１５】
請求項５によれば、本発明のサイドブレーキかけ忘れ防止装置は、所定の地点を設定する地点設定手段を有する構成をとることができる。
【００１６】
上記構成によって、例えば自宅のようなユーザが駐車場所の状況をよく知っていて、報知が不要と思われる場所をユーザが任意に設定できるので、必要な場所においてのみ報知を行なうことが可能となる。
【００１７】
請求項６によれば、本発明のサイドブレーキかけ忘れ防止装置における報知手段は音声メッセージにより報知を行なう構成をとることができる。
【００１８】
上記構成によって、ユーザは例えば表示器にメッセージが表示される場合に比べて、サイドブレーキをかけなければならないことに、より気付きやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
簡単で安価な構成で、サイドブレーキを正しくかけるように運転者に知らせることが可能なサイドブレーキかけ忘れ防止装置を提供するという目的を、車両の駐車場所の傾斜角が所定の値を上回る場合にサイドブレーキをかけるよう報知を行なう構成により実現した。
【実施例】
【００２０】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例を参照しながら説明する。図１に本発明のサイドブレーキかけ忘れ防止装置の全体構成を示す。サイドブレーキかけ忘れ防止装置は、車載用ナビゲーション装置（以下、ナビゲーション装置と略称する）１００およびサイドブレーキスイッチ２５を含んで構成されている。
【００２１】
ナビゲーション装置１００は、位置検出器１，地図データ入力器６，操作スイッチ群７，リモートコントロール（以下リモコンと称する）センサ１１，音声案内などを行なう音声合成回路２４およびスピーカ１５，不揮発メモリ９，表示器１０，ハードディスク装置（ＨＤＤ）２１，これらの接続された制御回路８，リモコン端末１２を備えている。
【００２２】
本発明の位置検出手段である位置検出器１は、周知の地磁気センサ２，ジャイロスコープ３，距離センサ４，および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するＧＰＳ受信機５を有している。これらのセンサ等２，３，４，５は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ２３等を用いてもよい。
【００２３】
本発明の車両状態取得手段，傾斜角検出手段であるジャイロスコープ３は物体に働く角速度を検出するものである。圧電素子を用いて振動する物体に加わるコリオリの力を検出する振動型、いわゆる「こま」を用いた回転型などのように、力学的な慣性を利用して角速度を検出する。ジャイロスコープ３を用いて、車両の鉛直軸周りの回転角であるヨー，左右方向の傾き角であるロール，前後方向の傾き角であるピッチを求めることができる。
【００２４】
操作スイッチ群７は、例えば表示器１０と一体になったタッチパネル２２もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル２２は、表示器１０の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してＸ軸方向、Ｙ軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを２次元座標値（Ｘ，Ｙ）として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、透明な導電性基盤のガラス面に電気信号を受ける物質を塗布し、指をガラス面に近づけると静電容量の変化を電気信号としてセンサで検知する、いわゆる静電容量方式を用いてもよい。
【００２５】
メカニカルスイッチ，タッチパネル２２の他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。また、マイク３１および音声認識ユニット３０を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク３１から入力された音声信号を、音声認識ユニット３０において周知の音声認識技術により処理を行ない、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。音声認識ユニット３０は、マイク３１から入力された音声信号を適切なレベルに増幅する増幅器と、増幅後の音声信号をＡ／Ｄ変換した後、周知の隠れマルコフモデル等の音声認識アルゴリズムにより音声を識別するための音声信号処理装置（ＤＳＰ：Digital Signal Processor）、音声を識別するための基準データが記憶されているメモリ等で構成されており、ＤＳＰにより音声信号がその音声に対応した数値情報に変換された後、制御回路８に送られる。これら本発明の地点設定手段でもある操作スイッチ群７、リモコン端末１２、マイク３１によって、種々の指示を入力することが可能である。
【００２６】
送受信機１３は、例えばＶＩＣＳ（Vehicle Information and Communication System：道路交通情報通信システム）センタ１４から道路交通情報を受信するための装置である。
【００２７】
また、ＥＴＣ（自動料金収受システム，ＥＴＣ：Electronic Toll Collection）車載器１６と通信することにより、ＥＴＣ車載器１６がＥＴＣ路上器から受信した料金情報などを本ナビゲーション装置１００に取り込むことができる。また、ＥＴＣ車載器１６によって外部ネットワークと接続し、ＶＩＣＳセンタ１４との通信を行なう構成をとってもよい。
【００２８】
本発明の停止判定手段,車両状態判定手段，地点設定手段である制御回路８は通常のコンピュータとして構成されており、周知のＣＰＵ８１，ＲＯＭ８２，ＲＡＭ８３，入出力回路であるＩ／Ｏ８４およびこれらの構成を接続するバスライン８５が備えられている。ＣＰＵ８１は、ＨＤＤ２１に記憶されたナビプログラム２１ｐおよびデータにより制御を行なう。また、ＨＤＤ２１へのデータの読み書きの制御はＣＰＵ８１によって行なわれる。Ａ／Ｄ変換部８６は周知のＡ／Ｄ（アナログ／デジタル）変換回路を含み、例えば位置検出器１などから制御回路８に入力されるアナログデータをＣＰＵ８１で演算可能なデジタルデータに変換するものである。ＲＯＭ８２に、ＨＤＤ２１が故障した場合にナビゲーション機能のうちで必要最低限の動作を行なうためのプログラムを記憶しておいてもよい。
【００２９】
ＨＤＤ２１には、ナビプログラム２１ｐの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データ２１ｍが記憶される。地図データ２１ｍは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶すると共に、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点（分岐路）等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。
【００３０】
また、ＨＤＤ２１には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ２１ｕとして記憶される。これらのユーザデータ２１ｕは、操作スイッチ群７，タッチパネル２２およびリモコン端末１２の操作あるいはマイク３１からの音声入力によって内容の書き換えが可能である。また、ナビゲーション装置１００の動作に必要なデータや各種情報を統合使用可能とするためにデータベース２１ｄを構築してもよい。
【００３１】
また、地図データ２１ｍおよびユーザデータ２１ｕは、地図データ入力器６を介して記憶媒体２０からそのデータの追加・更新を行なうことが可能である。記憶媒体２０は、そのデータ量からＣＤ−ＲＯＭやＤＶＤを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、外部ネットワークから各データをダウンロードする構成を用いてもよい。
【００３２】
不揮発メモリ９はＥＥＰＲＯＭ（Electrically Erasable ＆ Programmable Read Only Memory：電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ）やフラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリによって構成され、ナビゲーション装置１００の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、不揮発メモリ９は、車両のアクセサリスイッチがオフ状態すなわち、ナビゲーション装置１００がオフ状態になっても、記憶内容が保持されるようになっている。
【００３３】
また、不揮発メモリ９の代わりにナビゲーション装置１００の動作に必要な情報およびデータをＨＤＤ２１に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置１００の動作に必要な情報およびデータを不揮発メモリ９とＨＤＤ２１に分けて記憶してもよい。
【００３４】
表示器１０は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスＬＣＤ（Liquid Crystal Display）およびＬＣＤ表示制御を行なうための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路８から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行なう。また、表示器として有機ＥＬ（ElectroLuminescence：電界発光）表示器，プラズマ表示器を用いてもよい。
【００３５】
本発明の報知手段であるスピーカ１５は制御回路８のＩ／Ｏ８４に接続される周知の音声合成回路２４に接続され、ナビプログラム２１ｐの指令によって不揮発メモリ９あるいはＨＤＤ２１に記憶されるデジタル音声データを音声合成回路２４においてアナログ音声に変換したものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき、必要に応じて繋ぎあわせる録音編集方式などがある。
【００３６】
本発明の車速検出手段である車速センサ２３は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路８に送るものである。制御回路８では、その車輪の回転数を車両の速度に換算して、車両の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両の走行区間毎の平均車速を算出する。
【００３７】
外部機器接続装置２６は、センサや他の制御機器等の外部機器とデータ伝送可能に接続するための入出力回路，コネクタを含むものである。以下の機能の少なくとも一つ以上を実現可能な構成となっている。
（１）不揮発メモリ９あるいはＨＤＤ２１に記憶された内容をバックアップするためのデータバックアップ装置の接続。
（２）他の車載機器とデータ伝送を行なうための車内ＬＡＮ（Local Area Network）の通信インターフェース回路。
（３）携帯電話機１７等を介しての外部ネットワーク接続。
【００３８】
また、外部機器接続装置２６を介して車速センサ２３からのデータ取り込み、あるいはＥＴＣ車載器１６との接続を行なってもよい。
【００３９】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置１００は、制御回路８のＣＰＵ８１によりナビプログラム２１ｐが起動されると、ユーザが操作スイッチ群７，タッチパネル２２、リモコン端末１２の操作あるいはマイク３１からの音声入力によって、表示器１０上に表示されるメニューから目的地経路を表示器１０に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【００４０】
すなわち、ユーザが地図上の任意の地点あるいは施設検索や住所検索、電話番号、ユーザが設定した登録地などから地点を選択して目的地として設定すると、位置検出器１により車両の現在位置が求められ、該現在位置から目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器１０上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器１０およびスピーカ１５の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行なう。
【００４１】
図３に本発明のサイドブレーキ状態検出手段であるサイドブレーキスイッチ２５およびその周辺回路を示す。サイドブレーキインジケータ４２が、一方の端子がイグニッションスイッチ４３とヒューズ４４とを介してバッテリの＋端子につながるバッテリ線４５に接続され、他方の端子がサイドブレーキスイッチ２５を介してグランドＧＮＤに接地されている。イグニッションスイッチ４３がオン（閉）状態となって、サイドブレーキが作動状態となり、サイドブレーキスイッチ２５がオン（閉）状態となると、バッテリ線４５から電流が流れサイドブレーキインジケータ４２が点灯する仕組みになっている。
【００４２】
サイドブレーキスイッチ２５のサイドブレーキインジケータ４２側の端子の電位は、サイドブレーキスイッチ２５がオン状態のときにはＧＮＤとほぼ同電位となり、オフ状態の場合にはバッテリ線４５とほぼ同電位となる。よって、制御回路８でサイドブレーキスイッチ２５のサイドブレーキインジケータ４２側の端子の電位を例えば一定周期のような適切なタイミングで監視すれば、サイドブレーキスイッチ２５の状態を把握することができる。
【００４３】
図２のフロー図を用いて、サイドブレーキかけ忘れ防止処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム２１ｐに含まれ他の処理とともに繰り返し実行される。車速センサ２３から取得した車速データを基に、車両が停止中であるかを判定する。車速が例えば５ｋｍ／ｈを下回る場合は車両が停止中であると判定する。車両が停止中でない場合（Ｓ１：Ｎｏ）は、車両が停止中となるまで待つが、所謂無限ループではなく、その間にはナビプログラム２１ｐの他の処理が実行される。
【００４４】
車両が停止中であると判定された場合（Ｓ１：Ｙｅｓ）は、サイドブレーキスイッチ２５の状態を取得する。サイドブレーキが作動状態ではなくサイドブレーキスイッチ２５がオフ（開）状態の場合（Ｓ２：Ｙｅｓ）、ジャイロスコープ３からピッチ情報を取得し、Ａ／Ｄ変換部８６によりＡ／Ｄ変換を行なう等の演算を行ない、車両の前後方向の傾き角を求める。そして、車両の前後方向の傾き角が例えば１０度以上のような所定の角度以上となった場合（Ｓ３：Ｙｅｓ）、位置検出器１により車両の現在位置を検出する。
【００４５】
また、車両のシフトレバー位置を検出する図示しないシフトポジションセンサを用い、シフトレバーの位置が「Ｐ（パーキング）」の場合は、車両が停止中であると判定してもよい。
【００４６】
地図データ２１ｍを参照して、検出された車両の現在位置が所定の地点以外である場合（Ｓ４：Ｙｅｓ）、スピーカ１５から「サイドブレーキを忘れずにかけて下さい」のような音声メッセージを送出する（Ｓ５）。また、表示器１０に同様のメッセージを表示してもよい。
【００４７】
所定の地点は、以下のように、駐車のために停止しているのではないと考えられる地点である。これらの場所では上記音声メッセージを送出しない。
（１）信号のある交差点手前付近（例えば手前１００ｍ以内）：信号待ちをしていると考えられる。
（２）信号のない交差点手前：一時停止し、交差点進入のための安全確認をしていると考えられる。
（３）踏切手前付近（例えば手前１００ｍ以内）：遮断機の開き待ち、または、一時停止し安全確認をしていると考えられる。
【００４８】
また、上記以外に、上記音声メッセージを送出させない所定の地点として自宅等のユーザが指定する地点を含めてもよい。例えば自宅は、ユーザが勾配の程度などの道路状況を十分認識しているので、上記音声メッセージを送出するとかえって煩わしく感じるのを防ぐことができる。
【００４９】
上記音声メッセージを送出しない所定の地点は、ユーザが設定可能である。操作スイッチ群７，タッチパネル２２、リモコン端末１２の操作あるいはマイク３１からの音声入力によって、表示器１０上に表示されるメニューから上記音声メッセージを送出しない所定の地点を設定する画面を表示させる。所定の地点の設定方法は、経路案内を行なうための目的地の設定方法と同様で、ユーザが地図上の任意の地点あるいは施設検索や住所検索、電話番号、ユーザが設定した登録地などから地点を選択して所定の地点として設定する。設定された内容は、不揮発メモリ９あるいはＨＤＤ２１に記憶される。
【００５０】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【００５１】
【図１】サイドブレーキかけ忘れ防止装置の構成を示すブロック図。
【図２】サイドブレーキかけ忘れ防止処理について説明するためのフロー図。
【図３】サイドブレーキおよびその周辺回路を示す図。
【符号の説明】
【００５２】
１ 位置検出器（位置検出手段）
３ ジャイロスコープ（車両状態取得手段，傾斜角検出手段）
７ 操作スイッチ群
８ 制御回路（停止判定手段,車両状態判定手段，地点設定手段）
９ 不揮発メモリ
１０ 表示器
１２ リモコン端末（地点設定手段）
１５ スピーカ（報知手段）
２１ ハードディスク装置
２２ タッチパネル（地点設定手段）
２３ 車速センサ（車速検出手段）
２５ サイドブレーキスイッチ（サイドブレーキ状態検出手段）
３０ 音声認識ユニット
３１ マイク（地点設定手段）
１００ 車載用ナビゲーション装置
【特許請求の範囲】
【請求項１】
車両が停止中であるかを判定する停止判定手段と、
前記車両のサイドブレーキの作動状態を検出するサイドブレーキ状態検出手段と、
前記車両の状態を取得する車両状態取得手段と、
前記取得された車両の状態を判定する車両状態判定手段と、
前記車両が停止中であると判定され前記サイドブレーキが非作動状態であることが検出されたときに、前記車両の状態が所定の状態にあると判定された場合、前記サイドブレーキを作動させることを促す旨の報知を行なう報知手段と、
を有することを特徴とするサイドブレーキかけ忘れ防止装置。
【請求項２】
前記車両状態取得手段は前記車両の傾斜角を検出する傾斜角検出手段を含み、
前記車両状態判定手段は前記検出された傾斜角が所定の値を上回る場合に、前記車両の状態が前記所定の状態であると判定する請求項１に記載のサイドブレーキかけ忘れ防止装置。
【請求項３】
前記停止判定手段は前記車両の速度を検出する車速検出手段を含み、
前記検出された速度が所定の値を下回る場合に、前記車両が停止中であると判定する請求項１または２に記載のサイドブレーキかけ忘れ防止装置。
【請求項４】
前記車両の現在位置を検出する位置検出手段を含み、
前記検出された現在位置が所定の地点である場合に、前記報知手段は前記報知を行なわない請求項１ないし３のいずれか１項に記載のサイドブレーキかけ忘れ防止装置。
【請求項５】
前記所定の地点を設定する地点設定手段を有する請求項４に記載のサイドブレーキかけ忘れ防止装置。
【請求項６】
前記報知手段は音声メッセージにより報知を行なう請求項１ないし５のいずれか１項に記載のサイドブレーキかけ忘れ防止装置。
【請求項１】
車両が停止中であるかを判定する停止判定手段と、
前記車両のサイドブレーキの作動状態を検出するサイドブレーキ状態検出手段と、
前記車両の状態を取得する車両状態取得手段と、
前記取得された車両の状態を判定する車両状態判定手段と、
前記車両が停止中であると判定され前記サイドブレーキが非作動状態であることが検出されたときに、前記車両の状態が所定の状態にあると判定された場合、前記サイドブレーキを作動させることを促す旨の報知を行なう報知手段と、
を有することを特徴とするサイドブレーキかけ忘れ防止装置。
【請求項２】
前記車両状態取得手段は前記車両の傾斜角を検出する傾斜角検出手段を含み、
前記車両状態判定手段は前記検出された傾斜角が所定の値を上回る場合に、前記車両の状態が前記所定の状態であると判定する請求項１に記載のサイドブレーキかけ忘れ防止装置。
【請求項３】
前記停止判定手段は前記車両の速度を検出する車速検出手段を含み、
前記検出された速度が所定の値を下回る場合に、前記車両が停止中であると判定する請求項１または２に記載のサイドブレーキかけ忘れ防止装置。
【請求項４】
前記車両の現在位置を検出する位置検出手段を含み、
前記検出された現在位置が所定の地点である場合に、前記報知手段は前記報知を行なわない請求項１ないし３のいずれか１項に記載のサイドブレーキかけ忘れ防止装置。
【請求項５】
前記所定の地点を設定する地点設定手段を有する請求項４に記載のサイドブレーキかけ忘れ防止装置。
【請求項６】
前記報知手段は音声メッセージにより報知を行なう請求項１ないし５のいずれか１項に記載のサイドブレーキかけ忘れ防止装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２００７−３８９３１（Ｐ２００７−３８９３１Ａ）
【公開日】平成１９年２月１５日（２００７．２．１５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−２２６９６８（Ｐ２００５−２２６９６８）
【出願日】平成１７年８月４日（２００５．８．４）
【出願人】（０００００４２６０）株式会社デンソー (27,639)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年２月１５日（２００７．２．１５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年８月４日（２００５．８．４）
【出願人】（０００００４２６０）株式会社デンソー (27,639)
【Ｆターム（参考）】
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