サンプルホールド回路、ドライバ、電気光学装置、及び電子機器
【課題】回路の大規模化を抑えながら適正な位相補償を実現する。
【解決手段】演算増幅器OP1と、サンプルホールド回路の入力ノードNIと、接続ノードNSとの間に設けられたサンプリング用スイッチ素子SSと、接続ノードと、演算増幅器の第1の入力端子のノードであるサミングノードNEGとの間に設けられたサンプリング用キャパシタCSと、演算増幅器の出力端子とサミングノードとの間に設けられた帰還用スイッチ素子SFと、接続ノードと、演算増幅器の出力端子との間に設けられたフリップアラウンド用スイッチ素子SAと、サンプリング用キャパシタのサミングノード側の端子NCと演算増幅器の出力端子との間に設けられた位相補償用抵抗素子RPと、を含む。
【解決手段】演算増幅器OP1と、サンプルホールド回路の入力ノードNIと、接続ノードNSとの間に設けられたサンプリング用スイッチ素子SSと、接続ノードと、演算増幅器の第1の入力端子のノードであるサミングノードNEGとの間に設けられたサンプリング用キャパシタCSと、演算増幅器の出力端子とサミングノードとの間に設けられた帰還用スイッチ素子SFと、接続ノードと、演算増幅器の出力端子との間に設けられたフリップアラウンド用スイッチ素子SAと、サンプリング用キャパシタのサミングノード側の端子NCと演算増幅器の出力端子との間に設けられた位相補償用抵抗素子RPと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプルホールド回路、ドライバ、電気光学装置、及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話機、テレビ、プロジェクタ(投写型表示装置)などの電子機器に用いられる電気光学パネルでは、アナログの入力信号をサンプリングしてホールドするサンプルホールド回路が使用されている。このサンプルホールド回路では、演算増幅器の出力端子と入力端子(例えば反転入力端子)との間に設けられた帰還用スイッチ素子を、サンプリング期間においてオンにし、入力信号の電圧に対応する電荷をサンプリング用キャパシタに蓄積する。そして、ホールド期間において、帰還用スイッチ素子をオフにし、サンプリング用キャパシタに蓄積された電荷に対応する電圧を演算増幅器の出力端子に出力する。
【0003】
サンプルホールド回路の従来例として、複数の動作状態を有するサンプルホールド回路等において用いられる演算増幅回路において、それぞれの動作状態において安定して高速に動作できるサンプルホールド回路が特許文献1に開示されている。当該サンプルホールド回路は、スイッチ手段を介して、演算増幅器の出力端子に負荷としてインピーダンス回路を接続し、複数の動作状態を有する演算増幅回路の個々の動作状態に応じて、適宜スイッチ手段の開閉を制御することにより、演算増幅回路の個々の動作状態ごとに最適な負荷が演算増幅器の出力端子に接続される構成となっている。
【特許文献1】特開2002−309503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のサンプルホールド回路では、演算増幅器の出力端子に負荷として接続されるインピーダンス回路として位相補償用のキャパシタを接続しているが、これは回路の大面積化を招いてしまうという問題があった。
【0005】
本発明に係る幾つかの態様によれば、回路の大規模化を抑えながら適正な位相補償を実現できるサンプルホールド回路、ドライバ、電気光学装置及び電子機器を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、演算増幅器と、サンプルホールド回路の入力ノードと、接続ノードとの間に設けられたサンプリング用スイッチ素子と、前記接続ノードと、前記演算増幅器の第1の入力端子のノードであるサミングノードとの間に設けられたサンプリング用キャパシタと、前記演算増幅器の出力端子と前記サミングノードとの間に設けられた帰還用スイッチ素子と、前記接続ノードと、前記演算増幅器の前記出力端子との間に設けられたフリップアラウンド用スイッチ素子と、前記サンプリング用キャパシタの前記サミングノード側の端子と前記演算増幅器の前記出力端子との間に設けられた位相補償用抵抗素子と、を含むことを特徴とするサンプルホールド回路に関係する。
【0007】
本発明のサンプルホールド回路によれば、サンプリング期間中は、位相補償用抵抗素子とサンプリング用キャパシタにより位相補償が行われるので、演算増幅器の出力の発振が防止されるようになる。
【0008】
また、本発明では、前記サミングノードと第1の電源との間に設けられる補助キャパシタを含むこととしてもよい。
【0009】
このようにすれば、サミングノードの電位変動を安定化させることができる。
【0010】
このとき、本発明では、前記位相補償用抵抗素子は、前記サンプリング用キャパシタの前記サミングノード側の端子と前記サミングノードとの間に設けられることとしてもよい。
【0011】
このようにすれば、位相補償用抵抗素子とサンプリング用キャパシタにより位相補償が行われるので、演算増幅器の出力の発振が防止されるようになる。
【0012】
また、本発明では、前記サンプリング用キャパシタの前記サミングノード側端子と第1の電源との間に設けられる補助キャパシタを含むこととしてもよい。
【0013】
このようにすれば、サミングノードの電位変動を安定化させることができる。
【0014】
また、本発明では、前記演算増幅器の出力端子とサンプルホールド回路の出力ノードとの間に設けられ、その抵抗値が可変に設定される可変抵抗回路を含むこととしてもよい。
【0015】
このようにすれば、サンプルホールド回路のホールド期間における演算増幅器の発振を防止することができる。
【0016】
また、本発明では、前記サンプルホールド回路は電気光学パネルを駆動するドライバに設けられ、前記可変抵抗回路は、前記サンプルホールド回路が駆動する前記電気光学パネルのデータ線の容量に応じて、前記抵抗値が可変に設定されることとしてもよい。
【0017】
このようにすれば、様々なサイズの電気光学パネルに応じて、可変抵抗回路の抵抗値を可変にすることで、演算増幅器の発振を防止できるようになる。
【0018】
このとき、本発明では、前記可変抵抗回路は、前記サンプルホールド回路の前記出力ノードと前記演算増幅器の前記出力端子との間に設けられた複数のトランジスタを含み、前記複数のトランジスタのオン・オフを設定することで、前記抵抗値が可変に設定されることとしてもよい。
【0019】
このようにすれば、電気光学パネルのサイズに応じて、各トランジスタのオン・オフを設定することによって、可変抵抗回路の抵抗値を可変にすることができるようになる。
【0020】
このとき、本発明では、前記演算増幅器はAB級の演算増幅器であることとしてもよい。
【0021】
このようにすれば、ホールド期間における演算増幅器の出力をフルスイングさせることができる。
【0022】
また、本発明では、第1の方向に直交する方向を第2の方向とした場合に、前記演算増幅器が設けられる演算増幅器領域と、前記サンプリング用スイッチ素子、前記帰還用スイッチ素子、及び前記フリップアラウンド用スイッチ素子が設けられるスイッチ素子領域と、前記サンプリング用キャパシタが設けられるキャパシタ領域とが、前記第2の方向に沿って配置されることとしてもよい。
【0023】
このようにすれば、サンプルホールド回路の大規模化を抑制しながら、適正なサンプルホールド動作を実現できるようになる。
【0024】
また、本発明では、前記スイッチ素子領域と前記演算増幅器領域との間に前記位相補償用抵抗素子が設けられていることとしてもよい。
【0025】
このようにすれば、回路のコンパクト化を図りながら、位相補償用抵抗素子による演算増幅器の発振防止を実現できる。
【0026】
また、本発明では、前記帰還用スイッチ素子は、前記サミングノードのラインであるサミングノードラインがそのドレインに電気的に接続される帰還用P型トランジスタと、前記サミングノードラインがそのドレインに電気的に接続される帰還用N型トランジスタを含み、前記帰還用P型トランジスタ、前記帰還用N型トランジスタのドレインコンタクトと、前記帰還用P型トランジスタ、前記帰還用N型トランジスタのソースコンタクトとの間の領域に、シールドパターンが形成されることとしてもよい。
【0027】
このようにすれば、シールドパターンによってサミングノードのラインの保護をすることができる。
【0028】
また、本発明は、上記のいずれかに記載のサンプルホールド回路を含み、電気光学パネルを駆動するドライバに関係する。
【0029】
また、本発明は、上記に記載のドライバを含む電気光学装置に関係する。
【0030】
また、本発明は、上記に記載の電気光学装置を含む電子機器に関係する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0032】
1.サンプルホールド回路
まず、本実施形態のサンプルホールド回路の構成について説明する。本実施形態のサンプルホールド回路は、電気光学パネルを駆動するドライバ等に設けられ、例えば、サンプリング期間において、入力信号のサンプリングを行い、ホールド期間において、サンプリングされた信号をホールドする回路である。このサンプルホールド回路としては、いわゆるフリップアラウンド型のサンプルホールド回路を用いることができる。ここでフリップアラウンド型のサンプルホールド回路は、例えば、サンプリング期間において、入力電圧(入力信号)に応じた電荷をサンプリング用キャパシタにサンプリングし、ホールド期間において、このサンプリング用キャパシタのフリップアラウンド動作を行って、蓄積された電荷に対応する電圧をその出力ノードに出力する回路である。このフリップアラウンド型のサンプルホールド回路は、例えばデータ線駆動回路に含まれる階調生成アンプや駆動アンプなどに用いることができる。
【0033】
図1(A)、図1(B)を用いてフリップアラウンド型のサンプルホールド回路について更に詳細に説明する。
【0034】
図1(A)、図1(B)において、サンプルホールド回路は、演算増幅器OP1と、サンプリング用キャパシタCSを含む。サンプリング用キャパシタCSは、演算増幅器OP1の反転入力端子(広義には第1の入力端子)のノードであるサミングノードNEG(ネガティブノード、基準ノード)と、サンプルホールド回路の入力ノードNIとの間に設けられる。そして図1(A)に示すようにキャパシタCSには、サンプリング期間において入力ノードNIの入力電圧VIに応じた電荷が蓄積される。
【0035】
なお図1(A)に示すようにサンプリング期間では、演算増幅器OP1の出力がOP1の反転入力端子のノードNEGに帰還される。また、演算増幅器OP1の非反転入力端子(広義には第2の入力端子)には、アナログ基準電源電圧であるAGNDが供給される。従って、演算増幅器OP1のイマジナリーショート機能により、キャパシタCSの一端が接続されるノードNEGは、AGNDに設定される。これによりキャパシタCSには、入力電圧VIに応じた電荷が蓄積されるようになる。
【0036】
ここでAGNDは、演算増幅器OP1の高電位側電源電圧VDDと低電位側電源電圧VSSの間(中間)の電圧に設定(調整)される。具体的には、例えばAGND=VSS+(VDD+VSS)/MLに設定される。そしてVSS=0V、ML=2とすると、AGND=(VDD+VSS)/2になる。なお、係数MLは必ずしもML=2である必要はなく、表示特性等に応じて適宜調整することができ、少なくともML>1であればよい。
【0037】
また電源電圧VDDは、例えば演算増幅器OP1が有する高電位側のP型トランジスタのソースに供給される電圧であり、電源電圧VSSは、低電位側のN型トランジスタのソースに供給される電圧である。演算増幅器OP1は、これらのVDD、VSSを動作電源電圧として動作する。
【0038】
図1(B)に示すようにホールド期間においては、サンプルホールド回路は、サンプリング期間においてサンプリング用キャパシタCSに蓄積された電荷に応じた出力電圧VQを、その出力ノードNQに出力する。具体的には、その一端にノードNEGが接続されるキャパシタCSの他端を、演算増幅器OP1の出力端子に接続するフリップアラウンド動作を行うことで、CSに蓄積された電荷に応じた出力電圧VQを出力する。
【0039】
以上のようなフリップアラウンド型のサンプルホールド回路を用いれば、後に詳述するように、いわゆるオフセットフリーを実現できる。従って、例えば本実施形態のサンプルホールド回路をデータ線駆動回路に適用した場合には、データ線間での出力電圧のバラツキを最小限に抑えることができる。これにより、バラツキの少ない高精度の電圧をデータ線に供給でき、表示品質を向上できる。また、D/A変換回路によりデータ線を直接駆動するDAC駆動が不要になるため、高速駆動や制御の簡素化を実現できる。
【0040】
図2に本実施形態のサンプルホールド回路の詳細な構成例を示す。このサンプルホールド回路は、演算増幅器OP1と、サンプリング用スイッチ素子SSと、サンプリング用キャパシタCSと、帰還用スイッチ素子SFと、フリップアラウンド用スイッチ素子SAと、位相補償用抵抗素子RPと、補助キャパシタCAを含む。なお、これらの一部の構成要素(例えば補助キャパシタCA)を省略したり、他の構成要素を追加するなどの変形実施も可能である。また、スイッチ素子SS、SA、SFは、例えばトランスファーゲートなどのCMOSトランジスタにより構成できる。
【0041】
演算増幅器OP1の非反転入力端子(第2の入力端子)には、アナログ基準電源電圧AGNDが設定される。
【0042】
サンプリング用スイッチ素子SSは、サンプルホールド回路の入力ノードNIと、接続ノードNSとの間に設けられる。サンプリング用キャパシタCSは、接続ノードNSとサミングノードNEGとの間に設けられる。帰還用スイッチ素子SFは、演算増幅器OP1の出力端子のノードNQとサミングノードNEGとの間に設けられる。フリップアラウンド用スイッチ素子SAは、接続ノードNSと、演算増幅器OP1の出力端子のノードNQとの間に設けられる。
【0043】
そしてサンプリング期間においては、サンプリング用スイッチ素子SS及び帰還用スイッチ素子SFがオンになると共に、フリップアラウンド用スイッチ素子SAがオフになる。これにより、図1(A)で説明したフリップアラウンド型サンプルホールド回路のサンプリング動作を実現できる。
【0044】
一方、ホールド期間においては、サンプリング用スイッチ素子SS及び帰還用スイッチ素子SFがオフになると共に、フリップアラウンド用スイッチ素子SAがオンになる。これにより、図1(B)で説明したフリップアラウンド型サンプルホールド回路のホールド動作を実現できる。
【0045】
フリップアラウンド型のサンプルホールド回路では、サンプリング期間に帰還用スイッチSFがオンになり、演算増幅器OP1に負帰還がかかる。その際に、演算増幅器OP1の出力側に十分な容量と抵抗が付加されて所定の大きさの時定数CRが確保されていれば、演算増幅器OP1は発振しないが、容量が十分に付加されていないと発振してしまうおそれがある。特に、サンプリング期間には、サンプルホールド回路の出力ノード側に有する出力スイッチ(可変抵抗回路70、図8参照)がオフになり、サンプルホールド回路の出力電圧VQが供給され容量素子として機能するLCDパネル(電気光学パネル)に接続されない。このため、演算増幅器OP1の出力に付加される容量が足りない場合に、負帰還の演算増幅器OP1が発振してしまうおそれがある。
【0046】
このように、演算増幅器OP1に負帰還がかかった際に、演算増幅器OP1が発振しないようにするために、本実施形態では、サンプリング用キャパシタCSのサミングノード側の端子NCとサミングノードNEGとの間に位相補償を行うための位相補償用抵抗素子RPが設けられている。すなわち、サンプリング期間中に位相補償用抵抗素子RPの抵抗値とサンプリング用キャパシタCSや補助キャパシタCAの容量値により決まる時定数CRにより位相補償を行うことにより、演算増幅器OP1に負帰還がかかった際に、演算増幅器OP1の発振を防止できる。
【0047】
なお、位相補償用抵抗素子RPの設置場所は、サンプリング用キャパシタCSのサミングノード側の端子NCとサミングノードNEGとの間に限定されない。すなわち、位相補償用抵抗素子RPは、サンプリング用キャパシタCSのサミングノード側の端子NCと演算増幅器OP1の出力端子のノードNQとの間に設けられていればよく、例えば帰還用スイッチ素子SFと演算増幅器OP1の出力端子のノードNQとの間に設けたり、帰還用スイッチ素子SFとサミングノードNEGとの間に設ける構成としてもよい。
【0048】
また、サミングノードNEGの電位変動を安定化させて、帰還用スイッチ素子SFのチャージインジェクションの悪影響を軽減するために、本実施形態では、サミングノードNEGとVSS(第1の電源)との間に補助キャパシタCAが設けられている。このように本実施形態では、位相補償用抵抗素子RPとサンプリング用キャパシタCS、補助キャパシタCAにより位相補償が行われて演算増幅器OP1の発振が防止される。即ち補助キャパシタCAに、チャージインジェクションの悪影響を軽減するための安定化用キャパシタの機能と、位相補償用のキャパシタの機能の両方を持たせている。
【0049】
なお、演算増幅器OP1の出力を演算増幅器OP1の反転入力に帰還した場合には、出力と入力の位相差が180度になると発振してしまう。
【0050】
このように、演算増幅器OP1に負帰還がかかった際に、演算増幅器OP1が発振しないようにするために、図3の比較例では、サンプリング時に演算増幅器OP1の出力にキャパシタCQを接続し、演算増幅器OP1の出力インピーダンスのRとキャパシタの容量Cで決まる時定数CRによって、位相補償を行っている。
【0051】
しかしながら、このような余分なキャパシタCQを別途設けるのは、回路のレイアウト面積も大きくなり好ましくない。
【0052】
このため、本実施形態では、元来フリップアラウンド型のサンプルホールド回路に含まれるサンプリング用キャパシタCSや、チャージインジェクションの悪影響の軽減用の補助キャパシタCAを有効利用して、サンプリング期間中の演算増幅器OP1の位相補償を行っている。
【0053】
図4(A)に本実施形態のサンプルホールド回路に含まれる演算増幅器の構成例を示す。本実施形態のサンプルホールド回路の演算増幅器については、演算増幅器の出力をフルスイングさせるために、AB級増幅動作が可能な増幅器により構成する。
【0054】
本実施形態の演算増幅器OP1は、トランジスタTA1〜TA5を含む差動部DIF(差動段)とトランジスタTA6〜TA11を含む出力部QQ(出力段)から構成される。
【0055】
演算増幅器OP1の差動部DIFの高電位側には、バイアス電圧BS5がゲートに入力されて電流源として機能するP型のトランジスタTA1が設けられている。また、差動部DIFには、演算増幅器OP1の一方の入力端子IN1がゲートに接続されるP型のトランジスタTA2と、演算増幅器OP1の他方の入力端子IN2がゲートに接続されるP型のトランジスタTA3が設けられている。一方、差動部DIFの低電位側には、カレントミラー回路を構成するN型のトランジスタTA4、TA5が設けられ、トランジスタTA4、TA5のゲートがノードNA2に共通接続される。
【0056】
演算増幅器OP1の出力部QQには、バイアス電圧BS3がゲートに入力されて電流源として機能するP型のトランジスタTA6が高電位側に設けられ、バイアス電圧BS4がゲートに入力されて電流源として機能するN型のトランジスタTA9が低電位側に設けられる。また、トランジスタTA6、TA9との間には、バイアス電圧BS1がゲートに入力されてノードNA3、NA4間の電位差を一定にするための抵抗として機能するP型のトランジスタTA7と、バイアス電圧BS2がゲートに入力されてノードNA3、NA4間の電位差を一定にするための抵抗として機能するN型のトランジスタTA8が設けられている。
【0057】
そして、そのドレインが演算増幅器OP1の出力ノードNOPQに接続されるP型のトランジスタTA10のゲートには、トランジスタTA6のドレインノードであるノードNA3が接続される。また、そのドレインが演算増幅器OP1の出力ノードNOPQに接続されるN型トランジスタTA11のゲートには、トランジスタTA9のドレインノードであるノードNA4が接続される。
【0058】
図4(B)に示すように、出力部QQにバイアス電圧BS1を供給するバイアス電圧生成回路は、直列接続されたダイオード接続のP型のトランジスタTB1、TB2と、電流源ISBを含み、トランジスタTB2のドレインノードNB1にバイアス電圧BS1を出力する。
【0059】
図4(C)に示すように、出力部QQにバイアス電圧BS2を供給するバイアス電圧生成回路は、電流源ISCと、直列接続されたダイオード接続のN型のトランジスタTC1、TC2を含み、トランジスタTC1のドレインノードNC1にバイアス電圧BS2を出力する。
【0060】
図4(D)に示すように、出力部QQにバイアス電圧BS3、BS4を供給するバイアス電圧生成回路は、ダイオード接続されたP型のトランジスタTD1と、ダイオード接続されたN型のトランジスタTD4と、トランジスタTD1、TD4の間に設けられ、そのゲートにバイアス電圧BS1、BS2が各々入力されるトランジスタTD2、TD3を含む。そしてトランジスタTD1のドレインノードND1にバイス電圧BS3を出力し、トランジスタTD4のドレインノードND2にバイアス電圧BS4を出力する。
【0061】
図4(A)のAB級の演算増幅器OP1では、出力段のP型及びN型トランジスタTA10、TA11のゲート電圧を最適に制御することでAB級動作を実現している。
【0062】
また、一般的には、演算増幅器の発振を防止するためには、演算増幅器中に位相補償用のキャパシタを設けるが、本実施形態では、演算増幅器OP1は、このようなキャパシタを含まない構成となっている。このため、本実施形態のフリップアラウンド型のサンプルホールド回路では、サンプリング用キャパシタCSと、補助キャパシタCAが存在すると共に、サンプリング時に帰還用スイッチ素子SFがオンになることに着目して、サンプリング期間中では、位相補償用抵抗素子RPと、帰還用スイッチ素子SFを介して接続されるサンプリング用キャパシタCSと補助用キャパシタCAとを用いて位相補償を実現している。
【0063】
なお、演算増幅器OP1は図4(A)の構成に限定されず、例えばサンプリング期間においてはA級動作を行い、ホールド期間においてはAB級動作を行うような増幅器であってもよい。
【0064】
2.帰還スイッチ素子のレイアウト配置
図5に、本実施形態のサンプルホールド回路のスイッチ素子の詳細な構成例を示す。図5に示すようにサンプリング用スイッチ素子SSは、サンプリング用のP型のトランジスタTSPとサンプリング用のN型のトランジスタTSNとからなるトランスファーゲートにより構成される。フリップアラウンド用スイッチ素子SAは、フリップアラウンド用のP型のトランジスタTAPとフリップアラウンド用のN型のトランジスタTANとからなるトランスファーゲートにより構成される。帰還用スイッチ素子SFは、帰還用のP型のトランジスタTFPと帰還用のN型のトランジスタTFNとからなるトランスファーゲートにより構成される。
【0065】
図5に示すように、サンプリング用のP型トランジスタTSPのゲート、N型トランジスタTSNのゲートと、接続ノードNSとの間には、各々、寄生容量(ゲート・ドレイン間容量)CP1、CP2が存在する。またフリップアラウンド用のP型トランジスタTAPのゲート、N型トランジスタTANのゲートと、接続ノードNSとの間には、各々、寄生容量CP3、CP4が存在する。また帰還用のP型トランジスタTFPのゲート、N型トランジスタTFNのゲートと、サミングノードNEGとの間には、各々、寄生容量CP5、CP6が存在する。
【0066】
例えば、サンプリング用のP型のトランジスタTSPのゲートには、負論理のサンプリング用制御信号が入力され、N型のトランジスタTSNのゲートには、正論理のサンプリング用制御信号が入力される。従って、CP1とCP2の間に寄生容量値差CP1−CP2が存在すると、サンプリング用制御信号の電圧レベルが変化した時に、クロックフィードスルー等を原因として、蓄積電荷の誤差(アンバランス)が生じ、正しいサンプルホールド動作を実現できなくなる。CP3とCP4の間に寄生容量値差CP3−CP4が存在したり、CP5とCP6の間に寄生容量値差CP5−CP6が存在する場合も同様である。従って、これらの寄生容量値差を所定値よりも小さくなるように、トランジスタTSP、TSN、TAP、TAN等のレイアウト配置を行うことが望ましい。また出力ノードNQとサミングノードNEGの間の寄生容量CP7の容量値が大きい場合にも、正しいサンプルホールド動作を実現できなくなるおそれがある。従って、この寄生容量値を所定値よりも小さくするようにレイアウト配置を行うことが望ましい。
【0067】
即ち帰還用のP型のトランジスタTFPのゲートには、ホールド期間においてLレベルになる負論理のホールド用制御信号が入力され、帰還用のN型のトランジスタTFNのゲートには、ホールド期間においてHレベルになる正論理のホールド用制御信号が入力される。従って、CP5とCP6の間に寄生容量値差CP5−CP6が存在すると、ホールド用制御信号の電圧レベルが変化した時に、クロックフィードスルー、チャージインジェクションを原因として、蓄積電荷の誤差(アンバランス)が生じ、正しいサンプルホールド動作を実現できなくなるという問題がある。
【0068】
このような問題を、例えば回路的な工夫により解決する手法も考えられる。しかしながら、この手法によると、新たな付加回路等が必要になり、回路が大規模化する。特に、サンプルホールド回路をデータ線駆動回路等に用いた場合には、集積回路装置内に多数のサンプルホールド回路を設ける必要があるため、回路規模の増大は深刻な問題となる。
【0069】
そこで本実施形態では、以下に説明するようなレイアウト配置手法を採用して、上記の問題を解決している。
【0070】
例えば図6に、帰還用スイッチ素子SFのレイアウト配置例を示す。この帰還用スイッチ素子SFは、P型トランジスタTFPとN型トランジスタTFNにより構成される。そしてP型トランジスタTFPのドレインDPと、N型トランジスタTFNのドレインDNは、サミングノードNEGのラインであるサミングノードラインLNEGに電気的に接続される。P型トランジスタTFPのソースSPと、N型トランジスタTFNのソースSNは、サンプルホールド回路の出力ノードNQのラインに電気的に接続される。P型トランジスタTFPのゲートGPは、負論理のホールド用制御信号ラインに電気的に接続され、N型トランジスタTFNのゲートGNは、正論理のホールド用制御信号ラインに電気的に接続される。
【0071】
そして図6では、シールドパターンSLA1が形成されている。具体的には、P型トランジスタTFP、N型トランジスタTFNのドレインコンタクトCDP、CDNと、P型トランジスタTFP、N型トランジスタTFNのソースコンタクトCSP、CSNとの間の領域に、シールドパターンSLA1(シールドライン)が形成(配線)されている。
【0072】
なお以下に説明する本実施形態のシールドパターン(シールド線)は、例えば低電位側電源電圧(VSS)に設定される。
【0073】
例えば図6において、P型トランジスタTFPのソースSPからドレインDPへと向かう方向(TFNのソースSNからドレインDNへと向かう方向)を、D1方向(第1の方向)とし、D1方向に直交する方向をD2方向(第2の方向)としたとする。またD1方向の反対方向をD3方向(第3の方向)とし、D2方向の反対方向をD4方向(第4の方向)としたとする。
【0074】
この場合に図6では、帰還用のP型トランジスタTFP、N型トランジスタTFNのドレインコンタクトCDP、CDNに接続されるドレイン接続ラインLDA1が、D2方向に沿って配線される。即ちLDA1の長手方向がD2方向に沿うように配線される。またP型トランジスタTFP、N型トランジスタTFNのソースコンタクトCSP、CSNに接続されるソース接続ラインLSA1が、D2方向に沿って配線される。即ちLSA1の長手方向がD2方向に沿うように配線される。
【0075】
そして、これらのドレイン接続ラインLDA1とソース接続ラインLSA1との間の領域において、シールパターンSLA1であるシールドラインが、D2方向に沿って配線される。即ち、ドレイン接続ラインLDA1やソース接続ラインLSA1と、少なくともデザインルール上の最小間隔以上の距離を離して、LDA1、LSA1と平行に、その長手方向がD2方向に沿うように、シールパターンSLA1が配線される。このようにシールドパターンSLA1を配線することで、SLA1によるシールドを、より確実なものにすることができる。
【0076】
なお、ドレイン接続ラインLDA1、ソース接続ラインLSA1、シールパターンSLA1は、必ずしも直線のラインである必要はなく、その一部が屈曲していてもよい。
【0077】
また図6では、サミングノードラインLNEGの両サイドにおいて、LNEGを囲むようにシールドパターンSLA2、SLA3が配線されている。このようにすれば、シールドパターンSLA1、SLA2、SLA3により、サミングノードラインLNEGを、その周囲を囲むようにシールドすることが可能になる。
【0078】
また図6では、シールドパターンSLA1は、ドレイン接続ラインLDA1と同層の金属層により形成される。更に具体的には、シールドパターンSLA1、SLA2、SLA3は、第1の金属層M1により形成され、ドレイン接続ラインLDA1やソース接続ラインLSA1も第1の金属層M1により形成される。このように同層の金属層で形成することで、平面方向でのシールドを、より確実なものにすることができる。なお、これらのラインを、第1の金属層M1よりも上層の金属層で形成してもよい。
【0079】
また図6では、シールドパターンSLA1が、P型トランジスタTFP、N型トランジスタTFNのゲートGP、GNにオーバーラップするように形成される。例えばゲートGP、GNは、その長手方向がD2方向に沿うように配線される。そして、これらのゲートGP、GNの少なくとも一部に、平面視においてオーバーラップするように、ゲートGP、GNのポリシリコン層よりも上層の第1の金属層M1で形成されるシールドパターンSLA1が配線される。
【0080】
図7に、第1の金属層M1よりも上層の金属層M2、M3、M4の配線パターン例を示す。図7では、シールドパターンSLA1等を形成する金属層M1よりも上層の金属層M2で形成されるシールドパターンSLA4(第2のシールドパターン)が、配線されている。具体的には、このシールドパターンSLA4は、シールドパターンSLA1やドレイン接続ラインLDA1にオーバーラップするように形成される。即ちシールドパターンSLA1やドレイン接続ラインLDA1に対して平面視においてオーバーラップするように、SLA1、LDA1よりも上層の第2の金属層M2で形成されるシールドパターンSLA4が配線される。なおシールドパターンSLA4は、サミングノードラインLNEGや、LNEGの両サイドに形成される第1の金属層のM1のシールドパターンSLA2、SLA3に対しても、平面視においてオーバーラップするように形成されている。
【0081】
以上の本実施形態のレイアウト手法によれば、サミングノードラインLNEGに対する平面方向(水平方向)での効果的なシールドが可能になる。即ち、図6に示すようにサミングノードラインLNEGの周囲にシールドパターンSLA1、SLA2、SLA3が形成されるため、他の信号線とLNEGとの間の寄生容量を最小限に抑えることができる。
【0082】
例えばトランジスタTFP、TFNのゲートGP、GNに接続されるゲート接続ラインLGP、LGNは、サミングノードラインLNEGと同層の金属層M1で形成される。従って、シールドパターンSLA1が存在しないと、これらのゲート接続ラインLGP、LGNとサミングノードラインLNEGの間の寄生容量を無視できなくなる。従って、図5の寄生容量値差CP5−CP6に配線パターン依存性が生じてしまう。この結果、ゲート接続ラインLGP、LGNに供給されるホールド用制御信号の電圧レベルが変化した時に、クロックフィードスルー、チャージインジェクションを原因として、蓄積電荷の誤差が生じ、正しいサンプルホールド動作を実現できなくなる。
【0083】
この点、本実施形態のレイアウト手法によれば、ドレインコンタクトCDP、CDNとソースコンタクトCSP、CSNの間にシールドパターンSLA1が形成されるため、サミングノードラインLNEGとゲート接続ラインLGP、LGNとの間の寄生容量を最小限に抑えることができ、寄生容量の絶対値を小さくできる。従って、図5の寄生容量値差CP5−CP6を小さくでき、寄生容量値差CP5−CP6の配線パターン依存性を無くすことができる。これにより、蓄積電荷の誤差の発生を防止でき、正しいサンプルホールド動作を実現できる。更に図7では、シールドパターンSLA4がトランジスタTFP、TFNのゲートGP、GNにオーバーラップするように形成されるため、これらのゲートGP、GNとサミングノードラインLNEGとの間の寄生容量の低減も図れる。
【0084】
また本実施形態のレイアウト手法によれば、ゲートGP、GNとドレインコンタクトCDP、CDNとの間の距離を少しだけ離し、これにより生じたスペースにシールドパターンSLA1を配線するだけで良い。従って、例えば付加回路を設けて回路的工夫によりクロックフィードスルー等を防止する手法に比べて、回路の大規模化を最小限に抑えながら、適正なサンプルホールド動作を実現できるという利点がある。
【0085】
また図7に示すように、シールドパターンSLA1、SLA2、SLA3やドレイン接続ラインLDA1やサミングノードラインLNEGの上層に更にシールドパターンSLA4を形成することで、LNEGに対する上方向での効果的なシールドが可能になる。即ちサミングノードラインLNEGを、平面方向のみならず上方向においてもシールドすることができ、他の信号線とLNEGとの間の寄生容量を最小限に抑えることが可能になる。
【0086】
3.可変抵抗回路
図8に本実施形態の可変抵抗回路の構成例を示す。可変抵抗回路70は、サンプルホールド回路の出力段側に設けられ、具体的には演算増幅器OP1の出力端子(ノードNQ)とサンプルホールド回路の出力ノードNSQとの間に設けられる。すなわち、図8に示すように、演算増幅器OP1の出力端子(ノードNQ)と電気光学パネル12との間に設けられている。
【0087】
可変抵抗回路70は、スイッチとなるトランジスタを複数並列に接続して構成され、具体的には、サンプルホールド回路の出力ノードNSQと演算増幅器OP1の出力端子との間に設けられた複数のトランジスタTE1、TE2、TE3を含む。これらのトランジスタTE1、TE2、TE3は、図8に示すように、それぞれが並列に接続されており、当該トランジスタTE1、TE2、TE3のオン抵抗が可変抵抗となる。すなわち、これらのトランジスタTE1、TE2、TE3のオン・オフを設定することで、可変抵抗回路70の抵抗値が可変に設定される。
【0088】
可変抵抗回路70の各トランジスタTE1、TE2、TE3は、サンプリング期間中では、図9(A)に示すようにオフになる。これにより、サンプリング期間中の不安定な電圧が電気光学パネル12に伝わるのが防止される。そして、ホールド期間中では、図9(B)に示すように、トランジスタTE1、TE2、TE3はオンになって、サンプリング期間中にサンプリング用キャパシタCSに蓄積された電荷に応じた出力電圧VQを、サンプルホールド回路の出力ノードNSQに出力する。すなわち、可変抵抗回路70は、トランジスタTE1、TE2、TE3のオン・オフを設定することで、サンプリング期間においてサンプリング用キャパシタCSに蓄積された電荷に応じた出力電圧VQを、ホールド期間においてサンプルホールド回路の出力ノードNSQに出力する出力スイッチとして機能する。そして、当該出力電圧VQを電気光学パネル12のデータ線に供給する。
【0089】
また、本実施形態では、前述したようにスイッチ素子となるトランジスタTE1〜TE3を並列に設けている。LCD等の電気光学パネル12の容量は、パネルサイズが大きくなるにつれて大きくなり、パネルサイズに応じて変化する。
【0090】
このため、図10(A)のように、パネルサイズ即ちデータ線の容量が小さい電気光学パネル12aが接続される場合には、オンになるトランジスタTE1〜TE3の個数を減らして、可変抵抗回路70の全体のオン抵抗を高くする。これにより、容量が小さな電気光学パネル12aが接続された場合にも、演算増幅器OP1が発振してしまう事態を防止できる。
【0091】
一方、図10(B)のように、パネルサイズ即ちデータ線の容量が大きい電気光学パネル12bが接続される場合には、オンになるトランジスタTE1〜TE3の個数を増やして、可変抵抗回路70の全体のオン抵抗を低くする。これにより演算増幅器OP1の最適な位相補償を実現できる。
【0092】
すなわち、可変抵抗回路70は、サンプルホールド回路が駆動する電気光学パネル12のデータ線の容量に応じて、抵抗値が可変に設定されるので、電気光学パネル12のパネルサイズに応じて、可変抵抗回路70のスイッチをオン・オフしてオン抵抗を変化させて、ホールド時における演算増幅器OP1の位相補償を行う。
【0093】
このように本実施形態では、サンプリング期間の位相補償は位相補償用抵抗素子RPとサンプリング用キャパシタCSで行い、ホールド期間の位相補償は可変抵抗回路70と電気光学パネル12のデータ線の容量で行うことで、サンプリング期間とホールド期間の両方の期間において演算増幅器OP1の発振を防止することに成功している。
【0094】
4.サンプルホールド回路の動作
次に、本実施形態のサンプルホールド回路の位相補償についてシミュレーション波形図を用いて説明する。図11(A)、(B)は、サンプルホールド回路のサンプリング期間のシミュレーション波形図であり、図12(A)、(B)は、サンプルホールド回路のホールド期間のシミュレーション波形図である。
【0095】
図11(A)の太線グラフA1は、位相補償用抵抗素子が設けられていない従来のサンプルホールド回路における周波数−ゲイン特性のシミュレーション波形であり、点線グラフA2は、従来のサンプルホールド回路における周波数−位相特性のシミュレーション波形である。
【0096】
一方、図11(B)の太線グラフB1は、位相補償用抵抗素子を設けた本実施形態のサンプルホールド回路における周波数−ゲイン特性のシミュレーション波形であり、点線グラフB2は、本実施形態のサンプルホールド回路における周波数−位相特性のシミュレーション波形である。
【0097】
演算増幅器OP1の出力を演算増幅器OP1のマイナス側入力端子(第1の入力端子)に帰還する負帰還では、入力と出力の間の位相差が180°になると発振する。サンプリング期間中では、図11(A)のA3に示すように、従来におけるサンプルホールド回路では、演算増幅器OP1の出力電圧VQのゲインが0の場合に、A4に示すように、出力電圧VQの位相が略180°回っていること、すなわち演算増幅器OP1の出力電圧VQが発振していることが分かる。
【0098】
これに対して、図11(B)のB3に示すように、本実施形態におけるサンプルホールド回路では、演算増幅器OP1の出力電圧VQのゲインが0の場合に、B4に示すように、出力電圧VQの位相が略(180°−45°)である。すなわち、位相が180°回っておらず、位相余裕が十分ある状態なので、演算増幅器OP1の出力電圧VQを発振しないことが保証される。
【0099】
図12(A)の太線グラフC1は、位相補償用抵抗素子が設けられていない従来のサンプルホールド回路における周波数−ゲイン特性のシミュレーション波形であり、点線グラフC2は、従来のサンプルホールド回路における周波数−位相特性のシミュレーション波形である。
【0100】
一方、図12(B)の太線グラフE1は、位相補償用抵抗素子を設けた本実施形態のサンプルホールド回路における周波数−ゲイン特性のシミュレーション波形であり、点線グラフE2は、本実施形態のサンプルホールド回路における周波数−位相特性のシミュレーション波形である。
【0101】
演算増幅器OP1の出力を演算増幅器OP1のマイナス側入力端子(第1の入力端子)に帰還する負帰還では、入力と出力の間の位相差が180°になると発振する。サンプリング期間中では、図12(A)のC3に示すように、従来におけるサンプルホールド回路では、演算増幅器OP1の出力電圧VQのゲインが0の場合に、C4に示すように、出力電圧VQの位相が略180°回っていること、すなわち演算増幅器OP1の出力電圧VQが発振していることが分かる。
【0102】
これに対して、図12(B)のE3に示すように、本実施形態におけるサンプルホールド回路では、演算増幅器OP1の出力電圧VQのゲインが0の場合に、E4に示すように、出力電圧VQの位相が略(180°−45°)である。すなわち、位相が180°回っておらず、位相余裕が十分ある状態なので、演算増幅器OP1の出力電圧VQを発振しないことが保証される。
【0103】
5.ドライバのレイアウト配置
図13に本実施形態のサンプルホールド回路を含むドライバのレイアウト配置例を示す。本実施形態では、電気光学パネル12を駆動するデータ線を駆動するデータドライバに含まれるサンプルホールド回路は、図13に示すように、演算増幅器OP1が設けられる演算増幅器領域OPRのうち、出力部QQが設けられる出力部領域OPQRのD2方向(第2の方向)に可変抵抗回路領域VRRが形成される。一方、演算増幅器領域OPRの差動部DIFが設けられる差動部領域OPDRのD4方向には、位相補償用抵抗素子RPが設けられる位相補償用抵抗回路領域RPRが形成される。
【0104】
位相補償用抵抗回路領域RPRのD4方向には、サンプリング用スイッチ素子SS、帰還用スイッチ素子SF、及びフリップアラウンド用スイッチ素子SAが設けられるスイッチ素子領域SWRが配置される。すなわち、スイッチ素子領域SWRと演算増幅器領域OPRとの間に位相補償用抵抗素子RPが設けられる。そして、スイッチ素子領域SWRのD4方向には、サンプリング用キャパシタCS、及び補助キャパシタCAが設けられるキャパシタ領域CCRが配置される。このため、サンプリング用キャパシタCSと演算増幅器OP1の第1の入力端子との間のNEGを最短距離で結べるようになり、NEGに対して負荷となる寄生容量を低減できる。
【0105】
キャパシタ領域CCRのD4方向には、D/A変換回路が設けられるDAC領域DACRが配置され、DAC領域DACRのD4方向には、論理回路が設けられる論理回路領域LOGRが配置される。このようにして、電気光学パネル12を駆動する各データ線に対応するデータドライバがD1方向(第1の方向)にそれぞれ配置されている。本実施形態のサンプルホールド回路を含むドライバを構成する各領域を、このように配置することによって、ドライバのレイアウトのコンパクト化が図れるようになる。
【0106】
6.電気光学装置
図14に、本実施形態における電気光学装置の構成の概要を示す。
電気光学装置10(液晶装置。広義には表示装置)は、電気光学パネル12(狭義には液晶パネル、LCD(Liquid Crystal Display)パネル)、ソースドライバ20(広義にはデータ線駆動回路)、ゲートドライバ38(広義には走査線駆動回路)、表示コントローラ40、電源回路50を含む。なお、電気光学装置10にこれらのすべての回路ブロックを含める必要はなく、その一部の回路ブロックを省略する構成にしてもよい。
【0107】
ここで電気光学パネル12(広義には電気光学装置)は、複数のゲート線(広義には走査線)と、複数のソース線(広義にはデータ線)と、ゲート線及びソース線により特定される画素電極を含む。この場合、ソース線に薄膜トランジスタTFT(Thin Film Transistor、広義にはスイッチング素子)を接続し、このTFTに画素電極を接続することで、アクティブマトリクス型の液晶装置を構成できる。
【0108】
より具体的には、電気光学パネル12は、アクティブマトリクス基板(例えばガラス基板)上に形成された液晶パネルである。アクティブマトリクス基板には、図14のY方向に複数配列されそれぞれX方向に伸びるゲート線G1〜GM(Mは2以上の自然数)と、X方向に複数配列されそれぞれY方向に伸びるソース線SR1、SG1、SB1、SR2、SG2、SB2、・・・、SRN、SGN、SBN(Nは2以上の自然数)とが配置されている。また、アクティブマトリクス基板には、ソース電圧供給線S1〜SNが設けられている。更に、このアクティブマトリクス基板には、各ソース電圧供給線に対応してデマルチプレクサが設けられている。
【0109】
また、ゲート線GK(1≦K≦M、Kは自然数)とソース線SRL(ソース線SGL、SBL)(1≦L≦N、Lは自然数)との交差点に対応する位置に、薄膜トランジスタTFTKL−R(薄膜トランジスタTFTKL−G、TFTKL−B)(広義にはスイッチング素子)が設けられている。
【0110】
例えば、TFTKL−Rのゲート電極はゲート線GKに接続され、TFTKL−Rのソース電極はソース線SRLに接続され、TFTKL−Rのドレイン電極は画素電極PEKL−Rに接続されている。この画素電極PEKL−Rと、画素電極PEKL−Rと液晶(広義には電気光学物質)を挟んで対向する対向電極CE(共通電極、コモン電極)との間には、液晶容量CLKL−R(液晶素子)及び補助容量CSKL−Rが形成されている。そして、TFTKL−R、画素電極PEKL−R等が形成されるアクティブマトリクス基板と対向電極CEが形成される対向基板との間に液晶が封入されるように形成され、画素電極PEKL−Rと対向電極CEとの間の印加電圧に応じて画素の透過率が変化するようになっている。
【0111】
デマルチプレクサDMUXLは、ソース電圧供給線SLに時分割で供給された階調電圧を、ソース線SRL、SGL、SBLに分割して供給する。デマルチプレクサDMUXLは、ソースドライバ20からのマルチプレクス制御信号に基づいて、ソース電圧供給線SLの階調電圧を各ソース線に分離する。
【0112】
なお、対向電極CEに与えられる対向電極電圧VCOMの電圧レベル(高電位側電圧VCOMH、低電位側電圧VCOML)は、電源回路50に含まれる対向電極電圧生成回路により生成される。例えば、対向電極CEは、対向基板上に一面に形成される。
【0113】
ソースドライバ20は、階調データに基づいて電気光学パネル12のソース電圧供給線S1〜SNを駆動する。ソースドライバ20がソース電圧供給線S1〜SNを駆動するとき、上述のようにデマルチプレクサDMUX1〜DMUXNにより分離制御されるため、ソースドライバ20は、ソース線SR1、SG1、SB1、SR2、SG2、SB2、・・・、SRN、SGN、SBNを駆動できる。一方、ゲートドライバ38は、電気光学パネル12のゲート線G1〜GMを走査(順次駆動)する。
【0114】
表示コントローラ40は、図示しない中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)等のホストにより設定された内容に従って、ソースドライバ20、ゲートドライバ38及び電源回路50を制御する。より具体的には、表示コントローラ40は、ソースドライバ20及びゲートドライバ38に対しては、例えば動作モードの設定や内部で生成した垂直同期信号や水平同期信号の供給を行い、電源回路50に対しては、対向電極CEに印加する対向電極電圧VCOMの電圧レベルの極性反転タイミングの制御を行う。
【0115】
電源回路50は、外部から供給される基準電圧に基づいて、電気光学パネル12の駆動に必要な各種の電圧レベル(階調電圧)や、対向電極CEの対向電極電圧VCOMの電圧レベルを生成する。
【0116】
このような構成の電気光学装置10は、表示コントローラ40の制御の下、外部から供給される階調データに基づいて、ソースドライバ20、ゲートドライバ38及び電源回路50が協調して電気光学パネル12を駆動する。
【0117】
図14では、RGBの各色成分を表示するために1画素が3ドットで構成され、各色成分毎にソース線が設けられているものとして説明したが、1画素が2ドット、4ドット以上のドット数で構成されていてもよい。
【0118】
なお、図14では、電気光学装置10が表示コントローラ40を含む構成になっているが、表示コントローラ40を電気光学装置10の外部に設けてもよい。或いは、表示コントローラ40と共にホストを電気光学装置10に含めるようにしてもよい。また、ソースドライバ20、ゲートドライバ38、表示コントローラ40、電源回路50の一部又は全部を電気光学パネル12上に形成してもよい。
【0119】
また図14において、ソースドライバ20、ゲートドライバ38及び電源回路50を集積化して、半導体装置(集積回路、IC)として表示ドライバ60を構成してもよい。
【0120】
7.電子機器
次に、上述の電気光学装置(ソースドライバ、電源回路等)が適用される電子機器について説明する。
【0121】
7.1.投写型表示装置
上述の電気光学装置を用いて構成される電子機器として、投写型表示装置がある。図15に、上述の実施形態における電気光学装置が適用された投写型表示装置の構成例のブロック図を示す。
【0122】
投写型表示装置700は、表示情報出力源710、表示情報処理回路720、表示駆動回路730(表示ドライバ)、液晶パネル740(広義には電気光学パネル)、クロック発生回路750及び電源回路760を含んで構成される。表示情報出力源710は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)、光ディスク装置等のメモリ、画像信号を同調して出力する同調回路等を含み、クロック発生回路750からのクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等の表示情報を表示情報処理回路720に出力する。表示情報処理回路720は、増幅・極性反転回路、相展開回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、或いはクランプ回路等を含むことができる。表示駆動回路730は、ゲートドライバ及びソースドライバを含んで構成され、液晶パネル740を駆動する。電源回路760は、上述の各回路に電力を供給する。
【0123】
7.2.携帯電話機
また上述の電気光学装置を用いて構成される電子機器として、携帯電話機がある。図16に、上述の実施形態における電気光学装置が適用された携帯電話機の構成例のブロック図を示す。図16において、図14又は図15と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0124】
携帯電話機900は、カメラモジュール910を含む。カメラモジュール910は、CCDカメラを含み、CCDカメラで撮像した画像のデータを、YUVフォーマットで表示コントローラ40に供給する。
【0125】
携帯電話機900は、電気光学パネル12を含む。電気光学パネル12は、ソースドライバ20及びゲートドライバ38によって駆動される。電気光学パネル12は、複数のゲート線、複数のソース線、複数の画素を含む。
【0126】
表示コントローラ40は、ソースドライバ20及びゲートドライバ38に接続され、ソースドライバ20に対してRGBフォーマットの階調データを供給する。
【0127】
電源回路50は、ソースドライバ20及びゲートドライバ38に接続され、各ドライバに対して、駆動用の電源電圧を供給する。また電気光学パネル12の対向電極に、対向電極電圧VCOMを供給する。
【0128】
ホスト940は、表示コントローラ40に接続される。ホスト940は、表示コントローラ40を制御する。またホスト940は、アンテナ960を介して受信された階調データを、変復調部950で復調した後、表示コントローラ40に供給できる。表示コントローラ40は、この階調データに基づき、ソースドライバ20及びゲートドライバ38により電気光学パネル12に表示させる。
【0129】
ホスト940は、カメラモジュール910で生成された階調データを変復調部950で変調した後、アンテナ960を介して他の通信装置への送信を指示できる。
【0130】
ホスト940は、操作入力部970からの操作情報に基づいて階調データの送受信処理、カメラモジュール910の撮像、電気光学パネル12の表示処理を行う。
【0131】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【0132】
例えば、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(第1の入力端子、第2の入力端子、アナログ基準電源電圧、第1の電源、第2の電源等)と共に記載された用語(反転入力端子、非反転入力端子、AGND、VSS、VDD等)は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、サンプルホールド回路、演算増幅器、可変抵抗回路、電気光学蔵置、電子機器等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。さらに、本発明は上述の液晶の電気光学パネルの駆動に適用されるものに限らず、エレクトロルミネッセンス、プラズマディスプレイ装置の駆動にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】図1(A)、図1(B)は本実施形態のサンプルホールド回路の説明図。
【図2】本実施形態のサンプルホールド回路の構成例。
【図3】サンプルホールド回路の比較例。
【図4】図4(A)〜図4(D)は演算増幅器の構成例。
【図5】サンプルホールド回路のスイッチ素子の詳細な構成例。
【図6】帰還用スイッチ素子のレイアウト配置例。
【図7】帰還用スイッチ素子のレイアウト配置例。
【図8】可変抵抗回路の構成例。
【図9】図9(A)、図9(B)は本実施形態の可変抵抗回路の説明図。
【図10】図10(A)、図10(B)は本実施形態の可変抵抗回路の説明図。
【図11】図11(A)、図11(B)は本実施形態のサンプルホールド回路のシミュレーション波形図。
【図12】図12(A)、図12(B)は本実施形態のサンプルホールド回路のシミュレーション波形図。
【図13】ドライバのレイアウト配置例。
【図14】本実施形態における電気光学装置の構成の概要を示す図。
【図15】本実施形態における電気光学装置が適用された投写型表示装置の構成例のブロック図。
【図16】本実施形態における電気光学装置が適用された携帯電話機の構成例のブロック図。
【符号の説明】
【0134】
10 電気光学装置、12 電気光学パネル、20 ソースドライバ、
38 ゲートドライバ、40 表示コントローラ、 50 電源回路、
60 表示ドライバ、70 可変抵抗回路、
RP 位相補償用抵抗素子、OP1 演算増幅器、DIF 差動部、QQ 出力部、
OPR 演算増幅器領域、CCR キャパシタ領域、SWR スイッチ素子領域、
RPR 位相補償用抵抗回路領域、VRR 可変抵抗回路領域、
NEG サミングノード、LNEG サミングノードライン、
CS サンプリング用キャパシタ、CA 補助キャパシタ、CP 位相補償用キャパシタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプルホールド回路、ドライバ、電気光学装置、及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話機、テレビ、プロジェクタ(投写型表示装置)などの電子機器に用いられる電気光学パネルでは、アナログの入力信号をサンプリングしてホールドするサンプルホールド回路が使用されている。このサンプルホールド回路では、演算増幅器の出力端子と入力端子(例えば反転入力端子)との間に設けられた帰還用スイッチ素子を、サンプリング期間においてオンにし、入力信号の電圧に対応する電荷をサンプリング用キャパシタに蓄積する。そして、ホールド期間において、帰還用スイッチ素子をオフにし、サンプリング用キャパシタに蓄積された電荷に対応する電圧を演算増幅器の出力端子に出力する。
【0003】
サンプルホールド回路の従来例として、複数の動作状態を有するサンプルホールド回路等において用いられる演算増幅回路において、それぞれの動作状態において安定して高速に動作できるサンプルホールド回路が特許文献1に開示されている。当該サンプルホールド回路は、スイッチ手段を介して、演算増幅器の出力端子に負荷としてインピーダンス回路を接続し、複数の動作状態を有する演算増幅回路の個々の動作状態に応じて、適宜スイッチ手段の開閉を制御することにより、演算増幅回路の個々の動作状態ごとに最適な負荷が演算増幅器の出力端子に接続される構成となっている。
【特許文献1】特開2002−309503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のサンプルホールド回路では、演算増幅器の出力端子に負荷として接続されるインピーダンス回路として位相補償用のキャパシタを接続しているが、これは回路の大面積化を招いてしまうという問題があった。
【0005】
本発明に係る幾つかの態様によれば、回路の大規模化を抑えながら適正な位相補償を実現できるサンプルホールド回路、ドライバ、電気光学装置及び電子機器を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、演算増幅器と、サンプルホールド回路の入力ノードと、接続ノードとの間に設けられたサンプリング用スイッチ素子と、前記接続ノードと、前記演算増幅器の第1の入力端子のノードであるサミングノードとの間に設けられたサンプリング用キャパシタと、前記演算増幅器の出力端子と前記サミングノードとの間に設けられた帰還用スイッチ素子と、前記接続ノードと、前記演算増幅器の前記出力端子との間に設けられたフリップアラウンド用スイッチ素子と、前記サンプリング用キャパシタの前記サミングノード側の端子と前記演算増幅器の前記出力端子との間に設けられた位相補償用抵抗素子と、を含むことを特徴とするサンプルホールド回路に関係する。
【0007】
本発明のサンプルホールド回路によれば、サンプリング期間中は、位相補償用抵抗素子とサンプリング用キャパシタにより位相補償が行われるので、演算増幅器の出力の発振が防止されるようになる。
【0008】
また、本発明では、前記サミングノードと第1の電源との間に設けられる補助キャパシタを含むこととしてもよい。
【0009】
このようにすれば、サミングノードの電位変動を安定化させることができる。
【0010】
このとき、本発明では、前記位相補償用抵抗素子は、前記サンプリング用キャパシタの前記サミングノード側の端子と前記サミングノードとの間に設けられることとしてもよい。
【0011】
このようにすれば、位相補償用抵抗素子とサンプリング用キャパシタにより位相補償が行われるので、演算増幅器の出力の発振が防止されるようになる。
【0012】
また、本発明では、前記サンプリング用キャパシタの前記サミングノード側端子と第1の電源との間に設けられる補助キャパシタを含むこととしてもよい。
【0013】
このようにすれば、サミングノードの電位変動を安定化させることができる。
【0014】
また、本発明では、前記演算増幅器の出力端子とサンプルホールド回路の出力ノードとの間に設けられ、その抵抗値が可変に設定される可変抵抗回路を含むこととしてもよい。
【0015】
このようにすれば、サンプルホールド回路のホールド期間における演算増幅器の発振を防止することができる。
【0016】
また、本発明では、前記サンプルホールド回路は電気光学パネルを駆動するドライバに設けられ、前記可変抵抗回路は、前記サンプルホールド回路が駆動する前記電気光学パネルのデータ線の容量に応じて、前記抵抗値が可変に設定されることとしてもよい。
【0017】
このようにすれば、様々なサイズの電気光学パネルに応じて、可変抵抗回路の抵抗値を可変にすることで、演算増幅器の発振を防止できるようになる。
【0018】
このとき、本発明では、前記可変抵抗回路は、前記サンプルホールド回路の前記出力ノードと前記演算増幅器の前記出力端子との間に設けられた複数のトランジスタを含み、前記複数のトランジスタのオン・オフを設定することで、前記抵抗値が可変に設定されることとしてもよい。
【0019】
このようにすれば、電気光学パネルのサイズに応じて、各トランジスタのオン・オフを設定することによって、可変抵抗回路の抵抗値を可変にすることができるようになる。
【0020】
このとき、本発明では、前記演算増幅器はAB級の演算増幅器であることとしてもよい。
【0021】
このようにすれば、ホールド期間における演算増幅器の出力をフルスイングさせることができる。
【0022】
また、本発明では、第1の方向に直交する方向を第2の方向とした場合に、前記演算増幅器が設けられる演算増幅器領域と、前記サンプリング用スイッチ素子、前記帰還用スイッチ素子、及び前記フリップアラウンド用スイッチ素子が設けられるスイッチ素子領域と、前記サンプリング用キャパシタが設けられるキャパシタ領域とが、前記第2の方向に沿って配置されることとしてもよい。
【0023】
このようにすれば、サンプルホールド回路の大規模化を抑制しながら、適正なサンプルホールド動作を実現できるようになる。
【0024】
また、本発明では、前記スイッチ素子領域と前記演算増幅器領域との間に前記位相補償用抵抗素子が設けられていることとしてもよい。
【0025】
このようにすれば、回路のコンパクト化を図りながら、位相補償用抵抗素子による演算増幅器の発振防止を実現できる。
【0026】
また、本発明では、前記帰還用スイッチ素子は、前記サミングノードのラインであるサミングノードラインがそのドレインに電気的に接続される帰還用P型トランジスタと、前記サミングノードラインがそのドレインに電気的に接続される帰還用N型トランジスタを含み、前記帰還用P型トランジスタ、前記帰還用N型トランジスタのドレインコンタクトと、前記帰還用P型トランジスタ、前記帰還用N型トランジスタのソースコンタクトとの間の領域に、シールドパターンが形成されることとしてもよい。
【0027】
このようにすれば、シールドパターンによってサミングノードのラインの保護をすることができる。
【0028】
また、本発明は、上記のいずれかに記載のサンプルホールド回路を含み、電気光学パネルを駆動するドライバに関係する。
【0029】
また、本発明は、上記に記載のドライバを含む電気光学装置に関係する。
【0030】
また、本発明は、上記に記載の電気光学装置を含む電子機器に関係する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0032】
1.サンプルホールド回路
まず、本実施形態のサンプルホールド回路の構成について説明する。本実施形態のサンプルホールド回路は、電気光学パネルを駆動するドライバ等に設けられ、例えば、サンプリング期間において、入力信号のサンプリングを行い、ホールド期間において、サンプリングされた信号をホールドする回路である。このサンプルホールド回路としては、いわゆるフリップアラウンド型のサンプルホールド回路を用いることができる。ここでフリップアラウンド型のサンプルホールド回路は、例えば、サンプリング期間において、入力電圧(入力信号)に応じた電荷をサンプリング用キャパシタにサンプリングし、ホールド期間において、このサンプリング用キャパシタのフリップアラウンド動作を行って、蓄積された電荷に対応する電圧をその出力ノードに出力する回路である。このフリップアラウンド型のサンプルホールド回路は、例えばデータ線駆動回路に含まれる階調生成アンプや駆動アンプなどに用いることができる。
【0033】
図1(A)、図1(B)を用いてフリップアラウンド型のサンプルホールド回路について更に詳細に説明する。
【0034】
図1(A)、図1(B)において、サンプルホールド回路は、演算増幅器OP1と、サンプリング用キャパシタCSを含む。サンプリング用キャパシタCSは、演算増幅器OP1の反転入力端子(広義には第1の入力端子)のノードであるサミングノードNEG(ネガティブノード、基準ノード)と、サンプルホールド回路の入力ノードNIとの間に設けられる。そして図1(A)に示すようにキャパシタCSには、サンプリング期間において入力ノードNIの入力電圧VIに応じた電荷が蓄積される。
【0035】
なお図1(A)に示すようにサンプリング期間では、演算増幅器OP1の出力がOP1の反転入力端子のノードNEGに帰還される。また、演算増幅器OP1の非反転入力端子(広義には第2の入力端子)には、アナログ基準電源電圧であるAGNDが供給される。従って、演算増幅器OP1のイマジナリーショート機能により、キャパシタCSの一端が接続されるノードNEGは、AGNDに設定される。これによりキャパシタCSには、入力電圧VIに応じた電荷が蓄積されるようになる。
【0036】
ここでAGNDは、演算増幅器OP1の高電位側電源電圧VDDと低電位側電源電圧VSSの間(中間)の電圧に設定(調整)される。具体的には、例えばAGND=VSS+(VDD+VSS)/MLに設定される。そしてVSS=0V、ML=2とすると、AGND=(VDD+VSS)/2になる。なお、係数MLは必ずしもML=2である必要はなく、表示特性等に応じて適宜調整することができ、少なくともML>1であればよい。
【0037】
また電源電圧VDDは、例えば演算増幅器OP1が有する高電位側のP型トランジスタのソースに供給される電圧であり、電源電圧VSSは、低電位側のN型トランジスタのソースに供給される電圧である。演算増幅器OP1は、これらのVDD、VSSを動作電源電圧として動作する。
【0038】
図1(B)に示すようにホールド期間においては、サンプルホールド回路は、サンプリング期間においてサンプリング用キャパシタCSに蓄積された電荷に応じた出力電圧VQを、その出力ノードNQに出力する。具体的には、その一端にノードNEGが接続されるキャパシタCSの他端を、演算増幅器OP1の出力端子に接続するフリップアラウンド動作を行うことで、CSに蓄積された電荷に応じた出力電圧VQを出力する。
【0039】
以上のようなフリップアラウンド型のサンプルホールド回路を用いれば、後に詳述するように、いわゆるオフセットフリーを実現できる。従って、例えば本実施形態のサンプルホールド回路をデータ線駆動回路に適用した場合には、データ線間での出力電圧のバラツキを最小限に抑えることができる。これにより、バラツキの少ない高精度の電圧をデータ線に供給でき、表示品質を向上できる。また、D/A変換回路によりデータ線を直接駆動するDAC駆動が不要になるため、高速駆動や制御の簡素化を実現できる。
【0040】
図2に本実施形態のサンプルホールド回路の詳細な構成例を示す。このサンプルホールド回路は、演算増幅器OP1と、サンプリング用スイッチ素子SSと、サンプリング用キャパシタCSと、帰還用スイッチ素子SFと、フリップアラウンド用スイッチ素子SAと、位相補償用抵抗素子RPと、補助キャパシタCAを含む。なお、これらの一部の構成要素(例えば補助キャパシタCA)を省略したり、他の構成要素を追加するなどの変形実施も可能である。また、スイッチ素子SS、SA、SFは、例えばトランスファーゲートなどのCMOSトランジスタにより構成できる。
【0041】
演算増幅器OP1の非反転入力端子(第2の入力端子)には、アナログ基準電源電圧AGNDが設定される。
【0042】
サンプリング用スイッチ素子SSは、サンプルホールド回路の入力ノードNIと、接続ノードNSとの間に設けられる。サンプリング用キャパシタCSは、接続ノードNSとサミングノードNEGとの間に設けられる。帰還用スイッチ素子SFは、演算増幅器OP1の出力端子のノードNQとサミングノードNEGとの間に設けられる。フリップアラウンド用スイッチ素子SAは、接続ノードNSと、演算増幅器OP1の出力端子のノードNQとの間に設けられる。
【0043】
そしてサンプリング期間においては、サンプリング用スイッチ素子SS及び帰還用スイッチ素子SFがオンになると共に、フリップアラウンド用スイッチ素子SAがオフになる。これにより、図1(A)で説明したフリップアラウンド型サンプルホールド回路のサンプリング動作を実現できる。
【0044】
一方、ホールド期間においては、サンプリング用スイッチ素子SS及び帰還用スイッチ素子SFがオフになると共に、フリップアラウンド用スイッチ素子SAがオンになる。これにより、図1(B)で説明したフリップアラウンド型サンプルホールド回路のホールド動作を実現できる。
【0045】
フリップアラウンド型のサンプルホールド回路では、サンプリング期間に帰還用スイッチSFがオンになり、演算増幅器OP1に負帰還がかかる。その際に、演算増幅器OP1の出力側に十分な容量と抵抗が付加されて所定の大きさの時定数CRが確保されていれば、演算増幅器OP1は発振しないが、容量が十分に付加されていないと発振してしまうおそれがある。特に、サンプリング期間には、サンプルホールド回路の出力ノード側に有する出力スイッチ(可変抵抗回路70、図8参照)がオフになり、サンプルホールド回路の出力電圧VQが供給され容量素子として機能するLCDパネル(電気光学パネル)に接続されない。このため、演算増幅器OP1の出力に付加される容量が足りない場合に、負帰還の演算増幅器OP1が発振してしまうおそれがある。
【0046】
このように、演算増幅器OP1に負帰還がかかった際に、演算増幅器OP1が発振しないようにするために、本実施形態では、サンプリング用キャパシタCSのサミングノード側の端子NCとサミングノードNEGとの間に位相補償を行うための位相補償用抵抗素子RPが設けられている。すなわち、サンプリング期間中に位相補償用抵抗素子RPの抵抗値とサンプリング用キャパシタCSや補助キャパシタCAの容量値により決まる時定数CRにより位相補償を行うことにより、演算増幅器OP1に負帰還がかかった際に、演算増幅器OP1の発振を防止できる。
【0047】
なお、位相補償用抵抗素子RPの設置場所は、サンプリング用キャパシタCSのサミングノード側の端子NCとサミングノードNEGとの間に限定されない。すなわち、位相補償用抵抗素子RPは、サンプリング用キャパシタCSのサミングノード側の端子NCと演算増幅器OP1の出力端子のノードNQとの間に設けられていればよく、例えば帰還用スイッチ素子SFと演算増幅器OP1の出力端子のノードNQとの間に設けたり、帰還用スイッチ素子SFとサミングノードNEGとの間に設ける構成としてもよい。
【0048】
また、サミングノードNEGの電位変動を安定化させて、帰還用スイッチ素子SFのチャージインジェクションの悪影響を軽減するために、本実施形態では、サミングノードNEGとVSS(第1の電源)との間に補助キャパシタCAが設けられている。このように本実施形態では、位相補償用抵抗素子RPとサンプリング用キャパシタCS、補助キャパシタCAにより位相補償が行われて演算増幅器OP1の発振が防止される。即ち補助キャパシタCAに、チャージインジェクションの悪影響を軽減するための安定化用キャパシタの機能と、位相補償用のキャパシタの機能の両方を持たせている。
【0049】
なお、演算増幅器OP1の出力を演算増幅器OP1の反転入力に帰還した場合には、出力と入力の位相差が180度になると発振してしまう。
【0050】
このように、演算増幅器OP1に負帰還がかかった際に、演算増幅器OP1が発振しないようにするために、図3の比較例では、サンプリング時に演算増幅器OP1の出力にキャパシタCQを接続し、演算増幅器OP1の出力インピーダンスのRとキャパシタの容量Cで決まる時定数CRによって、位相補償を行っている。
【0051】
しかしながら、このような余分なキャパシタCQを別途設けるのは、回路のレイアウト面積も大きくなり好ましくない。
【0052】
このため、本実施形態では、元来フリップアラウンド型のサンプルホールド回路に含まれるサンプリング用キャパシタCSや、チャージインジェクションの悪影響の軽減用の補助キャパシタCAを有効利用して、サンプリング期間中の演算増幅器OP1の位相補償を行っている。
【0053】
図4(A)に本実施形態のサンプルホールド回路に含まれる演算増幅器の構成例を示す。本実施形態のサンプルホールド回路の演算増幅器については、演算増幅器の出力をフルスイングさせるために、AB級増幅動作が可能な増幅器により構成する。
【0054】
本実施形態の演算増幅器OP1は、トランジスタTA1〜TA5を含む差動部DIF(差動段)とトランジスタTA6〜TA11を含む出力部QQ(出力段)から構成される。
【0055】
演算増幅器OP1の差動部DIFの高電位側には、バイアス電圧BS5がゲートに入力されて電流源として機能するP型のトランジスタTA1が設けられている。また、差動部DIFには、演算増幅器OP1の一方の入力端子IN1がゲートに接続されるP型のトランジスタTA2と、演算増幅器OP1の他方の入力端子IN2がゲートに接続されるP型のトランジスタTA3が設けられている。一方、差動部DIFの低電位側には、カレントミラー回路を構成するN型のトランジスタTA4、TA5が設けられ、トランジスタTA4、TA5のゲートがノードNA2に共通接続される。
【0056】
演算増幅器OP1の出力部QQには、バイアス電圧BS3がゲートに入力されて電流源として機能するP型のトランジスタTA6が高電位側に設けられ、バイアス電圧BS4がゲートに入力されて電流源として機能するN型のトランジスタTA9が低電位側に設けられる。また、トランジスタTA6、TA9との間には、バイアス電圧BS1がゲートに入力されてノードNA3、NA4間の電位差を一定にするための抵抗として機能するP型のトランジスタTA7と、バイアス電圧BS2がゲートに入力されてノードNA3、NA4間の電位差を一定にするための抵抗として機能するN型のトランジスタTA8が設けられている。
【0057】
そして、そのドレインが演算増幅器OP1の出力ノードNOPQに接続されるP型のトランジスタTA10のゲートには、トランジスタTA6のドレインノードであるノードNA3が接続される。また、そのドレインが演算増幅器OP1の出力ノードNOPQに接続されるN型トランジスタTA11のゲートには、トランジスタTA9のドレインノードであるノードNA4が接続される。
【0058】
図4(B)に示すように、出力部QQにバイアス電圧BS1を供給するバイアス電圧生成回路は、直列接続されたダイオード接続のP型のトランジスタTB1、TB2と、電流源ISBを含み、トランジスタTB2のドレインノードNB1にバイアス電圧BS1を出力する。
【0059】
図4(C)に示すように、出力部QQにバイアス電圧BS2を供給するバイアス電圧生成回路は、電流源ISCと、直列接続されたダイオード接続のN型のトランジスタTC1、TC2を含み、トランジスタTC1のドレインノードNC1にバイアス電圧BS2を出力する。
【0060】
図4(D)に示すように、出力部QQにバイアス電圧BS3、BS4を供給するバイアス電圧生成回路は、ダイオード接続されたP型のトランジスタTD1と、ダイオード接続されたN型のトランジスタTD4と、トランジスタTD1、TD4の間に設けられ、そのゲートにバイアス電圧BS1、BS2が各々入力されるトランジスタTD2、TD3を含む。そしてトランジスタTD1のドレインノードND1にバイス電圧BS3を出力し、トランジスタTD4のドレインノードND2にバイアス電圧BS4を出力する。
【0061】
図4(A)のAB級の演算増幅器OP1では、出力段のP型及びN型トランジスタTA10、TA11のゲート電圧を最適に制御することでAB級動作を実現している。
【0062】
また、一般的には、演算増幅器の発振を防止するためには、演算増幅器中に位相補償用のキャパシタを設けるが、本実施形態では、演算増幅器OP1は、このようなキャパシタを含まない構成となっている。このため、本実施形態のフリップアラウンド型のサンプルホールド回路では、サンプリング用キャパシタCSと、補助キャパシタCAが存在すると共に、サンプリング時に帰還用スイッチ素子SFがオンになることに着目して、サンプリング期間中では、位相補償用抵抗素子RPと、帰還用スイッチ素子SFを介して接続されるサンプリング用キャパシタCSと補助用キャパシタCAとを用いて位相補償を実現している。
【0063】
なお、演算増幅器OP1は図4(A)の構成に限定されず、例えばサンプリング期間においてはA級動作を行い、ホールド期間においてはAB級動作を行うような増幅器であってもよい。
【0064】
2.帰還スイッチ素子のレイアウト配置
図5に、本実施形態のサンプルホールド回路のスイッチ素子の詳細な構成例を示す。図5に示すようにサンプリング用スイッチ素子SSは、サンプリング用のP型のトランジスタTSPとサンプリング用のN型のトランジスタTSNとからなるトランスファーゲートにより構成される。フリップアラウンド用スイッチ素子SAは、フリップアラウンド用のP型のトランジスタTAPとフリップアラウンド用のN型のトランジスタTANとからなるトランスファーゲートにより構成される。帰還用スイッチ素子SFは、帰還用のP型のトランジスタTFPと帰還用のN型のトランジスタTFNとからなるトランスファーゲートにより構成される。
【0065】
図5に示すように、サンプリング用のP型トランジスタTSPのゲート、N型トランジスタTSNのゲートと、接続ノードNSとの間には、各々、寄生容量(ゲート・ドレイン間容量)CP1、CP2が存在する。またフリップアラウンド用のP型トランジスタTAPのゲート、N型トランジスタTANのゲートと、接続ノードNSとの間には、各々、寄生容量CP3、CP4が存在する。また帰還用のP型トランジスタTFPのゲート、N型トランジスタTFNのゲートと、サミングノードNEGとの間には、各々、寄生容量CP5、CP6が存在する。
【0066】
例えば、サンプリング用のP型のトランジスタTSPのゲートには、負論理のサンプリング用制御信号が入力され、N型のトランジスタTSNのゲートには、正論理のサンプリング用制御信号が入力される。従って、CP1とCP2の間に寄生容量値差CP1−CP2が存在すると、サンプリング用制御信号の電圧レベルが変化した時に、クロックフィードスルー等を原因として、蓄積電荷の誤差(アンバランス)が生じ、正しいサンプルホールド動作を実現できなくなる。CP3とCP4の間に寄生容量値差CP3−CP4が存在したり、CP5とCP6の間に寄生容量値差CP5−CP6が存在する場合も同様である。従って、これらの寄生容量値差を所定値よりも小さくなるように、トランジスタTSP、TSN、TAP、TAN等のレイアウト配置を行うことが望ましい。また出力ノードNQとサミングノードNEGの間の寄生容量CP7の容量値が大きい場合にも、正しいサンプルホールド動作を実現できなくなるおそれがある。従って、この寄生容量値を所定値よりも小さくするようにレイアウト配置を行うことが望ましい。
【0067】
即ち帰還用のP型のトランジスタTFPのゲートには、ホールド期間においてLレベルになる負論理のホールド用制御信号が入力され、帰還用のN型のトランジスタTFNのゲートには、ホールド期間においてHレベルになる正論理のホールド用制御信号が入力される。従って、CP5とCP6の間に寄生容量値差CP5−CP6が存在すると、ホールド用制御信号の電圧レベルが変化した時に、クロックフィードスルー、チャージインジェクションを原因として、蓄積電荷の誤差(アンバランス)が生じ、正しいサンプルホールド動作を実現できなくなるという問題がある。
【0068】
このような問題を、例えば回路的な工夫により解決する手法も考えられる。しかしながら、この手法によると、新たな付加回路等が必要になり、回路が大規模化する。特に、サンプルホールド回路をデータ線駆動回路等に用いた場合には、集積回路装置内に多数のサンプルホールド回路を設ける必要があるため、回路規模の増大は深刻な問題となる。
【0069】
そこで本実施形態では、以下に説明するようなレイアウト配置手法を採用して、上記の問題を解決している。
【0070】
例えば図6に、帰還用スイッチ素子SFのレイアウト配置例を示す。この帰還用スイッチ素子SFは、P型トランジスタTFPとN型トランジスタTFNにより構成される。そしてP型トランジスタTFPのドレインDPと、N型トランジスタTFNのドレインDNは、サミングノードNEGのラインであるサミングノードラインLNEGに電気的に接続される。P型トランジスタTFPのソースSPと、N型トランジスタTFNのソースSNは、サンプルホールド回路の出力ノードNQのラインに電気的に接続される。P型トランジスタTFPのゲートGPは、負論理のホールド用制御信号ラインに電気的に接続され、N型トランジスタTFNのゲートGNは、正論理のホールド用制御信号ラインに電気的に接続される。
【0071】
そして図6では、シールドパターンSLA1が形成されている。具体的には、P型トランジスタTFP、N型トランジスタTFNのドレインコンタクトCDP、CDNと、P型トランジスタTFP、N型トランジスタTFNのソースコンタクトCSP、CSNとの間の領域に、シールドパターンSLA1(シールドライン)が形成(配線)されている。
【0072】
なお以下に説明する本実施形態のシールドパターン(シールド線)は、例えば低電位側電源電圧(VSS)に設定される。
【0073】
例えば図6において、P型トランジスタTFPのソースSPからドレインDPへと向かう方向(TFNのソースSNからドレインDNへと向かう方向)を、D1方向(第1の方向)とし、D1方向に直交する方向をD2方向(第2の方向)としたとする。またD1方向の反対方向をD3方向(第3の方向)とし、D2方向の反対方向をD4方向(第4の方向)としたとする。
【0074】
この場合に図6では、帰還用のP型トランジスタTFP、N型トランジスタTFNのドレインコンタクトCDP、CDNに接続されるドレイン接続ラインLDA1が、D2方向に沿って配線される。即ちLDA1の長手方向がD2方向に沿うように配線される。またP型トランジスタTFP、N型トランジスタTFNのソースコンタクトCSP、CSNに接続されるソース接続ラインLSA1が、D2方向に沿って配線される。即ちLSA1の長手方向がD2方向に沿うように配線される。
【0075】
そして、これらのドレイン接続ラインLDA1とソース接続ラインLSA1との間の領域において、シールパターンSLA1であるシールドラインが、D2方向に沿って配線される。即ち、ドレイン接続ラインLDA1やソース接続ラインLSA1と、少なくともデザインルール上の最小間隔以上の距離を離して、LDA1、LSA1と平行に、その長手方向がD2方向に沿うように、シールパターンSLA1が配線される。このようにシールドパターンSLA1を配線することで、SLA1によるシールドを、より確実なものにすることができる。
【0076】
なお、ドレイン接続ラインLDA1、ソース接続ラインLSA1、シールパターンSLA1は、必ずしも直線のラインである必要はなく、その一部が屈曲していてもよい。
【0077】
また図6では、サミングノードラインLNEGの両サイドにおいて、LNEGを囲むようにシールドパターンSLA2、SLA3が配線されている。このようにすれば、シールドパターンSLA1、SLA2、SLA3により、サミングノードラインLNEGを、その周囲を囲むようにシールドすることが可能になる。
【0078】
また図6では、シールドパターンSLA1は、ドレイン接続ラインLDA1と同層の金属層により形成される。更に具体的には、シールドパターンSLA1、SLA2、SLA3は、第1の金属層M1により形成され、ドレイン接続ラインLDA1やソース接続ラインLSA1も第1の金属層M1により形成される。このように同層の金属層で形成することで、平面方向でのシールドを、より確実なものにすることができる。なお、これらのラインを、第1の金属層M1よりも上層の金属層で形成してもよい。
【0079】
また図6では、シールドパターンSLA1が、P型トランジスタTFP、N型トランジスタTFNのゲートGP、GNにオーバーラップするように形成される。例えばゲートGP、GNは、その長手方向がD2方向に沿うように配線される。そして、これらのゲートGP、GNの少なくとも一部に、平面視においてオーバーラップするように、ゲートGP、GNのポリシリコン層よりも上層の第1の金属層M1で形成されるシールドパターンSLA1が配線される。
【0080】
図7に、第1の金属層M1よりも上層の金属層M2、M3、M4の配線パターン例を示す。図7では、シールドパターンSLA1等を形成する金属層M1よりも上層の金属層M2で形成されるシールドパターンSLA4(第2のシールドパターン)が、配線されている。具体的には、このシールドパターンSLA4は、シールドパターンSLA1やドレイン接続ラインLDA1にオーバーラップするように形成される。即ちシールドパターンSLA1やドレイン接続ラインLDA1に対して平面視においてオーバーラップするように、SLA1、LDA1よりも上層の第2の金属層M2で形成されるシールドパターンSLA4が配線される。なおシールドパターンSLA4は、サミングノードラインLNEGや、LNEGの両サイドに形成される第1の金属層のM1のシールドパターンSLA2、SLA3に対しても、平面視においてオーバーラップするように形成されている。
【0081】
以上の本実施形態のレイアウト手法によれば、サミングノードラインLNEGに対する平面方向(水平方向)での効果的なシールドが可能になる。即ち、図6に示すようにサミングノードラインLNEGの周囲にシールドパターンSLA1、SLA2、SLA3が形成されるため、他の信号線とLNEGとの間の寄生容量を最小限に抑えることができる。
【0082】
例えばトランジスタTFP、TFNのゲートGP、GNに接続されるゲート接続ラインLGP、LGNは、サミングノードラインLNEGと同層の金属層M1で形成される。従って、シールドパターンSLA1が存在しないと、これらのゲート接続ラインLGP、LGNとサミングノードラインLNEGの間の寄生容量を無視できなくなる。従って、図5の寄生容量値差CP5−CP6に配線パターン依存性が生じてしまう。この結果、ゲート接続ラインLGP、LGNに供給されるホールド用制御信号の電圧レベルが変化した時に、クロックフィードスルー、チャージインジェクションを原因として、蓄積電荷の誤差が生じ、正しいサンプルホールド動作を実現できなくなる。
【0083】
この点、本実施形態のレイアウト手法によれば、ドレインコンタクトCDP、CDNとソースコンタクトCSP、CSNの間にシールドパターンSLA1が形成されるため、サミングノードラインLNEGとゲート接続ラインLGP、LGNとの間の寄生容量を最小限に抑えることができ、寄生容量の絶対値を小さくできる。従って、図5の寄生容量値差CP5−CP6を小さくでき、寄生容量値差CP5−CP6の配線パターン依存性を無くすことができる。これにより、蓄積電荷の誤差の発生を防止でき、正しいサンプルホールド動作を実現できる。更に図7では、シールドパターンSLA4がトランジスタTFP、TFNのゲートGP、GNにオーバーラップするように形成されるため、これらのゲートGP、GNとサミングノードラインLNEGとの間の寄生容量の低減も図れる。
【0084】
また本実施形態のレイアウト手法によれば、ゲートGP、GNとドレインコンタクトCDP、CDNとの間の距離を少しだけ離し、これにより生じたスペースにシールドパターンSLA1を配線するだけで良い。従って、例えば付加回路を設けて回路的工夫によりクロックフィードスルー等を防止する手法に比べて、回路の大規模化を最小限に抑えながら、適正なサンプルホールド動作を実現できるという利点がある。
【0085】
また図7に示すように、シールドパターンSLA1、SLA2、SLA3やドレイン接続ラインLDA1やサミングノードラインLNEGの上層に更にシールドパターンSLA4を形成することで、LNEGに対する上方向での効果的なシールドが可能になる。即ちサミングノードラインLNEGを、平面方向のみならず上方向においてもシールドすることができ、他の信号線とLNEGとの間の寄生容量を最小限に抑えることが可能になる。
【0086】
3.可変抵抗回路
図8に本実施形態の可変抵抗回路の構成例を示す。可変抵抗回路70は、サンプルホールド回路の出力段側に設けられ、具体的には演算増幅器OP1の出力端子(ノードNQ)とサンプルホールド回路の出力ノードNSQとの間に設けられる。すなわち、図8に示すように、演算増幅器OP1の出力端子(ノードNQ)と電気光学パネル12との間に設けられている。
【0087】
可変抵抗回路70は、スイッチとなるトランジスタを複数並列に接続して構成され、具体的には、サンプルホールド回路の出力ノードNSQと演算増幅器OP1の出力端子との間に設けられた複数のトランジスタTE1、TE2、TE3を含む。これらのトランジスタTE1、TE2、TE3は、図8に示すように、それぞれが並列に接続されており、当該トランジスタTE1、TE2、TE3のオン抵抗が可変抵抗となる。すなわち、これらのトランジスタTE1、TE2、TE3のオン・オフを設定することで、可変抵抗回路70の抵抗値が可変に設定される。
【0088】
可変抵抗回路70の各トランジスタTE1、TE2、TE3は、サンプリング期間中では、図9(A)に示すようにオフになる。これにより、サンプリング期間中の不安定な電圧が電気光学パネル12に伝わるのが防止される。そして、ホールド期間中では、図9(B)に示すように、トランジスタTE1、TE2、TE3はオンになって、サンプリング期間中にサンプリング用キャパシタCSに蓄積された電荷に応じた出力電圧VQを、サンプルホールド回路の出力ノードNSQに出力する。すなわち、可変抵抗回路70は、トランジスタTE1、TE2、TE3のオン・オフを設定することで、サンプリング期間においてサンプリング用キャパシタCSに蓄積された電荷に応じた出力電圧VQを、ホールド期間においてサンプルホールド回路の出力ノードNSQに出力する出力スイッチとして機能する。そして、当該出力電圧VQを電気光学パネル12のデータ線に供給する。
【0089】
また、本実施形態では、前述したようにスイッチ素子となるトランジスタTE1〜TE3を並列に設けている。LCD等の電気光学パネル12の容量は、パネルサイズが大きくなるにつれて大きくなり、パネルサイズに応じて変化する。
【0090】
このため、図10(A)のように、パネルサイズ即ちデータ線の容量が小さい電気光学パネル12aが接続される場合には、オンになるトランジスタTE1〜TE3の個数を減らして、可変抵抗回路70の全体のオン抵抗を高くする。これにより、容量が小さな電気光学パネル12aが接続された場合にも、演算増幅器OP1が発振してしまう事態を防止できる。
【0091】
一方、図10(B)のように、パネルサイズ即ちデータ線の容量が大きい電気光学パネル12bが接続される場合には、オンになるトランジスタTE1〜TE3の個数を増やして、可変抵抗回路70の全体のオン抵抗を低くする。これにより演算増幅器OP1の最適な位相補償を実現できる。
【0092】
すなわち、可変抵抗回路70は、サンプルホールド回路が駆動する電気光学パネル12のデータ線の容量に応じて、抵抗値が可変に設定されるので、電気光学パネル12のパネルサイズに応じて、可変抵抗回路70のスイッチをオン・オフしてオン抵抗を変化させて、ホールド時における演算増幅器OP1の位相補償を行う。
【0093】
このように本実施形態では、サンプリング期間の位相補償は位相補償用抵抗素子RPとサンプリング用キャパシタCSで行い、ホールド期間の位相補償は可変抵抗回路70と電気光学パネル12のデータ線の容量で行うことで、サンプリング期間とホールド期間の両方の期間において演算増幅器OP1の発振を防止することに成功している。
【0094】
4.サンプルホールド回路の動作
次に、本実施形態のサンプルホールド回路の位相補償についてシミュレーション波形図を用いて説明する。図11(A)、(B)は、サンプルホールド回路のサンプリング期間のシミュレーション波形図であり、図12(A)、(B)は、サンプルホールド回路のホールド期間のシミュレーション波形図である。
【0095】
図11(A)の太線グラフA1は、位相補償用抵抗素子が設けられていない従来のサンプルホールド回路における周波数−ゲイン特性のシミュレーション波形であり、点線グラフA2は、従来のサンプルホールド回路における周波数−位相特性のシミュレーション波形である。
【0096】
一方、図11(B)の太線グラフB1は、位相補償用抵抗素子を設けた本実施形態のサンプルホールド回路における周波数−ゲイン特性のシミュレーション波形であり、点線グラフB2は、本実施形態のサンプルホールド回路における周波数−位相特性のシミュレーション波形である。
【0097】
演算増幅器OP1の出力を演算増幅器OP1のマイナス側入力端子(第1の入力端子)に帰還する負帰還では、入力と出力の間の位相差が180°になると発振する。サンプリング期間中では、図11(A)のA3に示すように、従来におけるサンプルホールド回路では、演算増幅器OP1の出力電圧VQのゲインが0の場合に、A4に示すように、出力電圧VQの位相が略180°回っていること、すなわち演算増幅器OP1の出力電圧VQが発振していることが分かる。
【0098】
これに対して、図11(B)のB3に示すように、本実施形態におけるサンプルホールド回路では、演算増幅器OP1の出力電圧VQのゲインが0の場合に、B4に示すように、出力電圧VQの位相が略(180°−45°)である。すなわち、位相が180°回っておらず、位相余裕が十分ある状態なので、演算増幅器OP1の出力電圧VQを発振しないことが保証される。
【0099】
図12(A)の太線グラフC1は、位相補償用抵抗素子が設けられていない従来のサンプルホールド回路における周波数−ゲイン特性のシミュレーション波形であり、点線グラフC2は、従来のサンプルホールド回路における周波数−位相特性のシミュレーション波形である。
【0100】
一方、図12(B)の太線グラフE1は、位相補償用抵抗素子を設けた本実施形態のサンプルホールド回路における周波数−ゲイン特性のシミュレーション波形であり、点線グラフE2は、本実施形態のサンプルホールド回路における周波数−位相特性のシミュレーション波形である。
【0101】
演算増幅器OP1の出力を演算増幅器OP1のマイナス側入力端子(第1の入力端子)に帰還する負帰還では、入力と出力の間の位相差が180°になると発振する。サンプリング期間中では、図12(A)のC3に示すように、従来におけるサンプルホールド回路では、演算増幅器OP1の出力電圧VQのゲインが0の場合に、C4に示すように、出力電圧VQの位相が略180°回っていること、すなわち演算増幅器OP1の出力電圧VQが発振していることが分かる。
【0102】
これに対して、図12(B)のE3に示すように、本実施形態におけるサンプルホールド回路では、演算増幅器OP1の出力電圧VQのゲインが0の場合に、E4に示すように、出力電圧VQの位相が略(180°−45°)である。すなわち、位相が180°回っておらず、位相余裕が十分ある状態なので、演算増幅器OP1の出力電圧VQを発振しないことが保証される。
【0103】
5.ドライバのレイアウト配置
図13に本実施形態のサンプルホールド回路を含むドライバのレイアウト配置例を示す。本実施形態では、電気光学パネル12を駆動するデータ線を駆動するデータドライバに含まれるサンプルホールド回路は、図13に示すように、演算増幅器OP1が設けられる演算増幅器領域OPRのうち、出力部QQが設けられる出力部領域OPQRのD2方向(第2の方向)に可変抵抗回路領域VRRが形成される。一方、演算増幅器領域OPRの差動部DIFが設けられる差動部領域OPDRのD4方向には、位相補償用抵抗素子RPが設けられる位相補償用抵抗回路領域RPRが形成される。
【0104】
位相補償用抵抗回路領域RPRのD4方向には、サンプリング用スイッチ素子SS、帰還用スイッチ素子SF、及びフリップアラウンド用スイッチ素子SAが設けられるスイッチ素子領域SWRが配置される。すなわち、スイッチ素子領域SWRと演算増幅器領域OPRとの間に位相補償用抵抗素子RPが設けられる。そして、スイッチ素子領域SWRのD4方向には、サンプリング用キャパシタCS、及び補助キャパシタCAが設けられるキャパシタ領域CCRが配置される。このため、サンプリング用キャパシタCSと演算増幅器OP1の第1の入力端子との間のNEGを最短距離で結べるようになり、NEGに対して負荷となる寄生容量を低減できる。
【0105】
キャパシタ領域CCRのD4方向には、D/A変換回路が設けられるDAC領域DACRが配置され、DAC領域DACRのD4方向には、論理回路が設けられる論理回路領域LOGRが配置される。このようにして、電気光学パネル12を駆動する各データ線に対応するデータドライバがD1方向(第1の方向)にそれぞれ配置されている。本実施形態のサンプルホールド回路を含むドライバを構成する各領域を、このように配置することによって、ドライバのレイアウトのコンパクト化が図れるようになる。
【0106】
6.電気光学装置
図14に、本実施形態における電気光学装置の構成の概要を示す。
電気光学装置10(液晶装置。広義には表示装置)は、電気光学パネル12(狭義には液晶パネル、LCD(Liquid Crystal Display)パネル)、ソースドライバ20(広義にはデータ線駆動回路)、ゲートドライバ38(広義には走査線駆動回路)、表示コントローラ40、電源回路50を含む。なお、電気光学装置10にこれらのすべての回路ブロックを含める必要はなく、その一部の回路ブロックを省略する構成にしてもよい。
【0107】
ここで電気光学パネル12(広義には電気光学装置)は、複数のゲート線(広義には走査線)と、複数のソース線(広義にはデータ線)と、ゲート線及びソース線により特定される画素電極を含む。この場合、ソース線に薄膜トランジスタTFT(Thin Film Transistor、広義にはスイッチング素子)を接続し、このTFTに画素電極を接続することで、アクティブマトリクス型の液晶装置を構成できる。
【0108】
より具体的には、電気光学パネル12は、アクティブマトリクス基板(例えばガラス基板)上に形成された液晶パネルである。アクティブマトリクス基板には、図14のY方向に複数配列されそれぞれX方向に伸びるゲート線G1〜GM(Mは2以上の自然数)と、X方向に複数配列されそれぞれY方向に伸びるソース線SR1、SG1、SB1、SR2、SG2、SB2、・・・、SRN、SGN、SBN(Nは2以上の自然数)とが配置されている。また、アクティブマトリクス基板には、ソース電圧供給線S1〜SNが設けられている。更に、このアクティブマトリクス基板には、各ソース電圧供給線に対応してデマルチプレクサが設けられている。
【0109】
また、ゲート線GK(1≦K≦M、Kは自然数)とソース線SRL(ソース線SGL、SBL)(1≦L≦N、Lは自然数)との交差点に対応する位置に、薄膜トランジスタTFTKL−R(薄膜トランジスタTFTKL−G、TFTKL−B)(広義にはスイッチング素子)が設けられている。
【0110】
例えば、TFTKL−Rのゲート電極はゲート線GKに接続され、TFTKL−Rのソース電極はソース線SRLに接続され、TFTKL−Rのドレイン電極は画素電極PEKL−Rに接続されている。この画素電極PEKL−Rと、画素電極PEKL−Rと液晶(広義には電気光学物質)を挟んで対向する対向電極CE(共通電極、コモン電極)との間には、液晶容量CLKL−R(液晶素子)及び補助容量CSKL−Rが形成されている。そして、TFTKL−R、画素電極PEKL−R等が形成されるアクティブマトリクス基板と対向電極CEが形成される対向基板との間に液晶が封入されるように形成され、画素電極PEKL−Rと対向電極CEとの間の印加電圧に応じて画素の透過率が変化するようになっている。
【0111】
デマルチプレクサDMUXLは、ソース電圧供給線SLに時分割で供給された階調電圧を、ソース線SRL、SGL、SBLに分割して供給する。デマルチプレクサDMUXLは、ソースドライバ20からのマルチプレクス制御信号に基づいて、ソース電圧供給線SLの階調電圧を各ソース線に分離する。
【0112】
なお、対向電極CEに与えられる対向電極電圧VCOMの電圧レベル(高電位側電圧VCOMH、低電位側電圧VCOML)は、電源回路50に含まれる対向電極電圧生成回路により生成される。例えば、対向電極CEは、対向基板上に一面に形成される。
【0113】
ソースドライバ20は、階調データに基づいて電気光学パネル12のソース電圧供給線S1〜SNを駆動する。ソースドライバ20がソース電圧供給線S1〜SNを駆動するとき、上述のようにデマルチプレクサDMUX1〜DMUXNにより分離制御されるため、ソースドライバ20は、ソース線SR1、SG1、SB1、SR2、SG2、SB2、・・・、SRN、SGN、SBNを駆動できる。一方、ゲートドライバ38は、電気光学パネル12のゲート線G1〜GMを走査(順次駆動)する。
【0114】
表示コントローラ40は、図示しない中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)等のホストにより設定された内容に従って、ソースドライバ20、ゲートドライバ38及び電源回路50を制御する。より具体的には、表示コントローラ40は、ソースドライバ20及びゲートドライバ38に対しては、例えば動作モードの設定や内部で生成した垂直同期信号や水平同期信号の供給を行い、電源回路50に対しては、対向電極CEに印加する対向電極電圧VCOMの電圧レベルの極性反転タイミングの制御を行う。
【0115】
電源回路50は、外部から供給される基準電圧に基づいて、電気光学パネル12の駆動に必要な各種の電圧レベル(階調電圧)や、対向電極CEの対向電極電圧VCOMの電圧レベルを生成する。
【0116】
このような構成の電気光学装置10は、表示コントローラ40の制御の下、外部から供給される階調データに基づいて、ソースドライバ20、ゲートドライバ38及び電源回路50が協調して電気光学パネル12を駆動する。
【0117】
図14では、RGBの各色成分を表示するために1画素が3ドットで構成され、各色成分毎にソース線が設けられているものとして説明したが、1画素が2ドット、4ドット以上のドット数で構成されていてもよい。
【0118】
なお、図14では、電気光学装置10が表示コントローラ40を含む構成になっているが、表示コントローラ40を電気光学装置10の外部に設けてもよい。或いは、表示コントローラ40と共にホストを電気光学装置10に含めるようにしてもよい。また、ソースドライバ20、ゲートドライバ38、表示コントローラ40、電源回路50の一部又は全部を電気光学パネル12上に形成してもよい。
【0119】
また図14において、ソースドライバ20、ゲートドライバ38及び電源回路50を集積化して、半導体装置(集積回路、IC)として表示ドライバ60を構成してもよい。
【0120】
7.電子機器
次に、上述の電気光学装置(ソースドライバ、電源回路等)が適用される電子機器について説明する。
【0121】
7.1.投写型表示装置
上述の電気光学装置を用いて構成される電子機器として、投写型表示装置がある。図15に、上述の実施形態における電気光学装置が適用された投写型表示装置の構成例のブロック図を示す。
【0122】
投写型表示装置700は、表示情報出力源710、表示情報処理回路720、表示駆動回路730(表示ドライバ)、液晶パネル740(広義には電気光学パネル)、クロック発生回路750及び電源回路760を含んで構成される。表示情報出力源710は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)、光ディスク装置等のメモリ、画像信号を同調して出力する同調回路等を含み、クロック発生回路750からのクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等の表示情報を表示情報処理回路720に出力する。表示情報処理回路720は、増幅・極性反転回路、相展開回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、或いはクランプ回路等を含むことができる。表示駆動回路730は、ゲートドライバ及びソースドライバを含んで構成され、液晶パネル740を駆動する。電源回路760は、上述の各回路に電力を供給する。
【0123】
7.2.携帯電話機
また上述の電気光学装置を用いて構成される電子機器として、携帯電話機がある。図16に、上述の実施形態における電気光学装置が適用された携帯電話機の構成例のブロック図を示す。図16において、図14又は図15と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0124】
携帯電話機900は、カメラモジュール910を含む。カメラモジュール910は、CCDカメラを含み、CCDカメラで撮像した画像のデータを、YUVフォーマットで表示コントローラ40に供給する。
【0125】
携帯電話機900は、電気光学パネル12を含む。電気光学パネル12は、ソースドライバ20及びゲートドライバ38によって駆動される。電気光学パネル12は、複数のゲート線、複数のソース線、複数の画素を含む。
【0126】
表示コントローラ40は、ソースドライバ20及びゲートドライバ38に接続され、ソースドライバ20に対してRGBフォーマットの階調データを供給する。
【0127】
電源回路50は、ソースドライバ20及びゲートドライバ38に接続され、各ドライバに対して、駆動用の電源電圧を供給する。また電気光学パネル12の対向電極に、対向電極電圧VCOMを供給する。
【0128】
ホスト940は、表示コントローラ40に接続される。ホスト940は、表示コントローラ40を制御する。またホスト940は、アンテナ960を介して受信された階調データを、変復調部950で復調した後、表示コントローラ40に供給できる。表示コントローラ40は、この階調データに基づき、ソースドライバ20及びゲートドライバ38により電気光学パネル12に表示させる。
【0129】
ホスト940は、カメラモジュール910で生成された階調データを変復調部950で変調した後、アンテナ960を介して他の通信装置への送信を指示できる。
【0130】
ホスト940は、操作入力部970からの操作情報に基づいて階調データの送受信処理、カメラモジュール910の撮像、電気光学パネル12の表示処理を行う。
【0131】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【0132】
例えば、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(第1の入力端子、第2の入力端子、アナログ基準電源電圧、第1の電源、第2の電源等)と共に記載された用語(反転入力端子、非反転入力端子、AGND、VSS、VDD等)は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、サンプルホールド回路、演算増幅器、可変抵抗回路、電気光学蔵置、電子機器等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。さらに、本発明は上述の液晶の電気光学パネルの駆動に適用されるものに限らず、エレクトロルミネッセンス、プラズマディスプレイ装置の駆動にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】図1(A)、図1(B)は本実施形態のサンプルホールド回路の説明図。
【図2】本実施形態のサンプルホールド回路の構成例。
【図3】サンプルホールド回路の比較例。
【図4】図4(A)〜図4(D)は演算増幅器の構成例。
【図5】サンプルホールド回路のスイッチ素子の詳細な構成例。
【図6】帰還用スイッチ素子のレイアウト配置例。
【図7】帰還用スイッチ素子のレイアウト配置例。
【図8】可変抵抗回路の構成例。
【図9】図9(A)、図9(B)は本実施形態の可変抵抗回路の説明図。
【図10】図10(A)、図10(B)は本実施形態の可変抵抗回路の説明図。
【図11】図11(A)、図11(B)は本実施形態のサンプルホールド回路のシミュレーション波形図。
【図12】図12(A)、図12(B)は本実施形態のサンプルホールド回路のシミュレーション波形図。
【図13】ドライバのレイアウト配置例。
【図14】本実施形態における電気光学装置の構成の概要を示す図。
【図15】本実施形態における電気光学装置が適用された投写型表示装置の構成例のブロック図。
【図16】本実施形態における電気光学装置が適用された携帯電話機の構成例のブロック図。
【符号の説明】
【0134】
10 電気光学装置、12 電気光学パネル、20 ソースドライバ、
38 ゲートドライバ、40 表示コントローラ、 50 電源回路、
60 表示ドライバ、70 可変抵抗回路、
RP 位相補償用抵抗素子、OP1 演算増幅器、DIF 差動部、QQ 出力部、
OPR 演算増幅器領域、CCR キャパシタ領域、SWR スイッチ素子領域、
RPR 位相補償用抵抗回路領域、VRR 可変抵抗回路領域、
NEG サミングノード、LNEG サミングノードライン、
CS サンプリング用キャパシタ、CA 補助キャパシタ、CP 位相補償用キャパシタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
演算増幅器と、
サンプルホールド回路の入力ノードと、接続ノードとの間に設けられたサンプリング用スイッチ素子と、
前記接続ノードと、前記演算増幅器の第1の入力端子のノードであるサミングノードとの間に設けられたサンプリング用キャパシタと、
前記演算増幅器の出力端子と前記サミングノードとの間に設けられた帰還用スイッチ素子と、
前記接続ノードと、前記演算増幅器の前記出力端子との間に設けられたフリップアラウンド用スイッチ素子と、
前記サンプリング用キャパシタの前記サミングノード側の端子と前記演算増幅器の前記出力端子との間に設けられた位相補償用抵抗素子と、
を含むことを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記サミングノードと第1の電源との間に設けられる補助キャパシタを含むことを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項3】
請求項1において、
前記位相補償用抵抗素子は、
前記サンプリング用キャパシタの前記サミングノード側の端子と前記サミングノードとの間に設けられることを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項4】
請求項3において、
前記サンプリング用キャパシタの前記サミングノード側端子と第1の電源との間に設けられる補助キャパシタを含むことを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記演算増幅器の出力端子とサンプルホールド回路の出力ノードとの間に設けられ、その抵抗値が可変に設定される可変抵抗回路を含むことを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項6】
請求項5において、
前記サンプルホールド回路は電気光学パネルを駆動するドライバに設けられ、
前記可変抵抗回路は、
前記サンプルホールド回路が駆動する前記電気光学パネルのデータ線の容量に応じて、前記抵抗値が可変に設定されることを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項7】
請求項5又は6において、
前記可変抵抗回路は、前記サンプルホールド回路の前記出力ノードと前記演算増幅器の前記出力端子との間に設けられた複数のトランジスタを含み、
前記複数のトランジスタのオン・オフを設定することで、前記抵抗値が可変に設定されることを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記演算増幅器はAB級の演算増幅器であることを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかにおいて、
第1の方向に直交する方向を第2の方向とした場合に、前記演算増幅器が設けられる演算増幅器領域と、前記サンプリング用スイッチ素子、前記帰還用スイッチ素子、及び前記フリップアラウンド用スイッチ素子が設けられるスイッチ素子領域と、前記サンプリング用キャパシタが設けられるキャパシタ領域とが、前記第2の方向に沿って配置されることを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項10】
請求項9において、
前記スイッチ素子領域と前記演算増幅器領域との間に前記位相補償用抵抗素子が設けられていることを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記帰還用スイッチ素子は、
前記サミングノードのラインであるサミングノードラインがそのドレインに電気的に接続される帰還用P型トランジスタと、
前記サミングノードラインがそのドレインに電気的に接続される帰還用N型トランジスタを含み、
前記帰還用P型トランジスタ、前記帰還用N型トランジスタのドレインコンタクトと、前記帰還用P型トランジスタ、前記帰還用N型トランジスタのソースコンタクトとの間の領域に、シールドパターンが形成されることを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載のサンプルホールド回路を含み、電気光学パネルを駆動することを特徴とするドライバ。
【請求項13】
請求項12に記載のドライバを含むことを特徴とする電気光学装置。
【請求項14】
請求項13に記載の電気光学装置を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
演算増幅器と、
サンプルホールド回路の入力ノードと、接続ノードとの間に設けられたサンプリング用スイッチ素子と、
前記接続ノードと、前記演算増幅器の第1の入力端子のノードであるサミングノードとの間に設けられたサンプリング用キャパシタと、
前記演算増幅器の出力端子と前記サミングノードとの間に設けられた帰還用スイッチ素子と、
前記接続ノードと、前記演算増幅器の前記出力端子との間に設けられたフリップアラウンド用スイッチ素子と、
前記サンプリング用キャパシタの前記サミングノード側の端子と前記演算増幅器の前記出力端子との間に設けられた位相補償用抵抗素子と、
を含むことを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記サミングノードと第1の電源との間に設けられる補助キャパシタを含むことを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項3】
請求項1において、
前記位相補償用抵抗素子は、
前記サンプリング用キャパシタの前記サミングノード側の端子と前記サミングノードとの間に設けられることを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項4】
請求項3において、
前記サンプリング用キャパシタの前記サミングノード側端子と第1の電源との間に設けられる補助キャパシタを含むことを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記演算増幅器の出力端子とサンプルホールド回路の出力ノードとの間に設けられ、その抵抗値が可変に設定される可変抵抗回路を含むことを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項6】
請求項5において、
前記サンプルホールド回路は電気光学パネルを駆動するドライバに設けられ、
前記可変抵抗回路は、
前記サンプルホールド回路が駆動する前記電気光学パネルのデータ線の容量に応じて、前記抵抗値が可変に設定されることを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項7】
請求項5又は6において、
前記可変抵抗回路は、前記サンプルホールド回路の前記出力ノードと前記演算増幅器の前記出力端子との間に設けられた複数のトランジスタを含み、
前記複数のトランジスタのオン・オフを設定することで、前記抵抗値が可変に設定されることを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記演算増幅器はAB級の演算増幅器であることを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかにおいて、
第1の方向に直交する方向を第2の方向とした場合に、前記演算増幅器が設けられる演算増幅器領域と、前記サンプリング用スイッチ素子、前記帰還用スイッチ素子、及び前記フリップアラウンド用スイッチ素子が設けられるスイッチ素子領域と、前記サンプリング用キャパシタが設けられるキャパシタ領域とが、前記第2の方向に沿って配置されることを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項10】
請求項9において、
前記スイッチ素子領域と前記演算増幅器領域との間に前記位相補償用抵抗素子が設けられていることを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記帰還用スイッチ素子は、
前記サミングノードのラインであるサミングノードラインがそのドレインに電気的に接続される帰還用P型トランジスタと、
前記サミングノードラインがそのドレインに電気的に接続される帰還用N型トランジスタを含み、
前記帰還用P型トランジスタ、前記帰還用N型トランジスタのドレインコンタクトと、前記帰還用P型トランジスタ、前記帰還用N型トランジスタのソースコンタクトとの間の領域に、シールドパターンが形成されることを特徴とするサンプルホールド回路。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載のサンプルホールド回路を含み、電気光学パネルを駆動することを特徴とするドライバ。
【請求項13】
請求項12に記載のドライバを含むことを特徴とする電気光学装置。
【請求項14】
請求項13に記載の電気光学装置を含むことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−50563(P2010−50563A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211068(P2008−211068)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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