説明

サービス提供システム及びサービス提供方法

【課題】無人あるいは通常よりも少ない人員であってもより多様な商品及び役務を提供することができるようにしたサービス提供システムを提供する。
【解決手段】インターフェイスにより注文入力情報の入力を受け付け、インターフェイスにより入力された注文入力情報に基づいて、ロボットユニットに加工作業を実行させロボットユニットにより加工作業を施した商品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットを用いてサービスを提供するサービス提供システム及びサービス提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、販売業務の省人化や販売時間等の拡大のために自動販売機や無人店舗等により物品の販売を無人で行なうための技術が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、注文した飲食物をカウンターテーブルまで運ぶ機能を有する無人店舗が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−109072
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の自動販売機や無人店舗等の無人販売システムでは、特許文献1のごとく商品をテーブルまで搬送するサービスを行えるものは提案されているが、取引される商品は完成品あるいは略完成された状態のものであり、無人販売システムでは、商品をその場で調理したり組立等の加工を行なったりするものは少なく、提供できる商品やサービスは限られたものであるという課題がある。
一方でより多様な商品や役務(サービス)を店員等の人手にたよることなく提供できるようにして、販売業務の省人化や販売時間等の拡大を図ることが望まれている。
【0005】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであって、無人あるいは通常よりも少ない人員であってもより多様なサービスを提供することができるようにしたサービス提供システム及びサービス提供方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は次のように構成した。
本願発明にかかるサービス提供システムは、ロボットユニットと、ロボットユニットを囲む筐体と、注文入力情報の入力を受け付けるインターフェイスと、ロボットユニット及びインターフェイスと接続された制御手段と、ロボットユニットの周囲に配置された商品の加工のための備品または材料をそれぞれ格納した単数または複数の商品加工ユニットと、筐体の内外に物品を搬入・搬出可能な搬出入口と、を有し、制御手段は、少なくとも1以上の加工作業を記憶した作業記憶部と、インターフェイスからの入力に応じて決済処理を行なう決済手段と、インターフェイスからの注文入力情報に基づいて、作業記憶部から加工作業を選択する加工選択部と、決済手段により決済処理が完了すると、加工選択部にて選択された加工作業に沿ってロボットユニットを動作させ、商品加工ユニットに格納された備品及び材料を用いてロボットによる加工作業を実行させる加工作業指令部と、加工作業が実行完了すると、加工作業により加工が施された商品を搬出入口を介して筐体に搬出する商品搬出司令部と、を有していることを特徴としている。
【0007】
また、インターフェイスは、制御手段に記憶された複数種類の商品の仕様を表示させる表示画面と、表示画面から商品の仕様の入力を受け付ける注文入力画面とを有していることが好ましい。
また、注文入力情報は、1つの商品に対して1つ以上の設定情報を含んでおり、注文入力画面では、1つの商品に対して1つ以上の設定情報を入力可能に構成されていることが好ましい。
【0008】
また、ロボットユニットは、基台と、複数の関節部を有する第1アームと、第1のアームと別体に複数の関節部を有する第2アームと、基台に旋回可能に設置され第1アーム及び第2アームを支持する胴体部と、を有していることが好ましい。
また、ロボットユニットは7自由度を有するマニピュレータを少なくとも有していることが好ましい。
【0009】
また、商品加工ユニットは、製品の母材を収納する母材収納部と、母材に貼付ける1種類以上の装飾用部材を収納する小部材収納部と、接着剤供給工具を収納する接着剤供給工具収納部と、母材を予め設定された位置に位置決めして載置可能な作業ステージと、を有し、制御手段の加工作業指令部は、母材収納部から母材を取り出し、作業ステージに載置させる動作と、加工選択部にて選択された加工作業に基づいて作業ステージ上の母材に接着剤供給工具により接着剤を付ける動作と、接着剤が付けられた箇所に小部材収納部から取り出した装飾用部材を置く動作と、をロボットユニットに実行させることが好ましい。
また、加工選択部は、インターフェイスに装飾部材の母材への配置絵柄を複数種類表示させて所望の配置絵柄を選択させることが好ましい。
また、インターフェイスには、配置絵柄のデータの入力を受け付ける入力ポートが設けられ、加工選択部は、入力ポートから入力される配置絵柄のデータを母材への配置絵柄として選択可能に構成されていることが好ましい。
【0010】
また、商品加工ユニットは、飲食物の容器を収納する容器収納部と、飲食物を供給する飲食物供給器と、飲食物にトッピングする1種類以上のトッピング品を収納するトッピング収納部と、を有し、制御手段の加工作業指令部は、容器収納部から取り出した容器に飲食物供給器からの飲食物を容れる動作と、加工選択部にて選択された加工作業に基づいて飲食物が容れられた容器または飲食物にトッピング品を配置させる動作と、をロボットユニットに実行させることが好ましい。
また、加工選択部は、インターフェイスにトッピング品の配置絵柄を複数種類表示させて所望の配置絵柄を選択させることが好ましい。
【0011】
また、本願発明にかかるサービス提供システムは、ロボットユニットと、注文入力情報の入力を受け付けるインターフェイスと、ロボットユニット及びインターフェイスに接続された制御手段と、を有し、制御手段は、インターフェイスにより入力された注文入力情報に基づいて、ロボットユニットに作業を実行させることを特徴としている。
また、本願発明にかかるサービス提供方法は、ロボットユニットにより加工作業を施した商品を提供するサービス提供方法であって、インターフェイスにより注文入力情報の入力を受け付けるステップと、インターフェイスにより入力された注文入力情報に基づいて、ロボットユニットに加工作業を実行させるステップと、を有していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、注文から品物の提供まで、無人あるいは通常よりも少ない人員であってもより多様な商品及び役務を提供することができる。
また、ロボットユニットに熟練した作業者の動作を予め教示しておくことで、商品への加工作業をより安定した品質で精度良く行なうことができるという利点もある。
さらに、ロボットユニットへの加工作業の内容を新たに追加あるいは変更することで、設備を大きく入れ替えることなく、設備提供する商品及びサービスの内容を比較的容易に変更することができ、流行等に沿った商品及びサービスを少ない設備費用で提供することができるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係るサービス提供システムを説明するための模式的な上面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るロボットユニットの要部を説明するための模式的な図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るサービス提供システムを説明するための模式的な正面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るサービス提供システムを説明するための模式的な上面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るロボットユニットの要部を説明するための模式的な図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る小部材収納部を説明するための模式的な上面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る配置絵柄の一例を説明するための模式的な上面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る実施形態に係るサービス提供システムを説明するための模式的な上面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る配置絵柄の一例を説明するための模式的な上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。
【0015】
本実施形態では、サービス提供システムの一例としてソフトクリームを注文に沿って調理する無人ソフトクリーム調理提供システムについて説明する。
図1〜図3に示すように、本実施形態に係るサービス提供システム100は、ロボットユニット101,筐体102,商品加工ユニットの一つとしての各種の材料供給装置103A〜103D,商品受渡し部(搬出入口)104,入力タッチパネル(インターフェイス,決済手段)105,現金投入機(決済手段)106,統括コンピュータシステム107を有して構成されている。
【0016】
図2に示すように、ロボットユニット101は、基台1が図示しないアンカーボルトでフロアに固定され、この基台1の上には、アクチュエータを介して胴部2が基台1に対して旋回自在に設けられている。
この胴部2には、第1アーム3L及び第2アーム3Rがそれぞれ左右に設けられている。
第2アーム3Rには、右肩部4Rが水平面(フロアと平行な面)に沿って旋回可能に設けてある。この右肩部4Rには右上腕A部5Rを揺動可能に設けている。この右上腕A部5R先端には右上腕B部6Rを設けている。なお、この右上腕B部6Rは旋回する捻り動作が付与されている。
【0017】
さらに、右上腕B部6R先端に右下腕部7Rを揺動可能に設けている。この右下腕部7R先端には右手首A部8R、その先端に右手首B部9Rを設けている。
なお、この右手首A部8Rは旋回する捻り動作、右手首B部9Rは曲げ動作を行う旋回動作が付与されている。
右手首B部9Rの先端には右フランジ10Rが設けてあり、右フランジ10Rには、右ハンド11が取り付けられている。
【0018】
第1アーム3Lは第2アーム3Rと左右対称であり、第1アーム3Lには、左肩部4L、左上腕A部5L、左上腕B部6L、左下腕部7L、左手首A部8L、左手首B部9L、左フランジ10Lから構成されている。
左フランジ10Lには、左ハンド12が取り付けられている。ロボットユニット101の各関節部(旋回部,揺動部,ハンド)には、それぞれサーボモータを有するアクチュエータ(図示省略)が内蔵されており、各可動部の回転位置は、アクチュエータに内蔵のエンコーダからの信号としてロボットコントローラ107Aに入力されるようになっている。
【0019】
即ち、胴部2と右肩部4R,右肩部4Rと右上腕A部5R,右上腕A部5Rと右上腕B部6R,右上腕B部6Rと右下腕部7R,右下腕部7Rと右手首A部8R,右手首A部8Rと右手首B部9R,右手首B部9Rと右フランジ10Rは、それぞれアクチュエータの駆動により相対回転するようになっている。同様に胴部2と左肩部4L,左肩部4Lと左上腕A部5L,左上腕A部5Lと左上腕B部6L,左上腕B部6Lと左下腕部7L,左下腕部7Lと左手首A部8L,左手首A部8Lと左手首B部9L,左手首B部9Lと左フランジ10Lは、それぞれアクチュエータの駆動により相対回転するようになっている。
【0020】
つまり、第1アーム3L及び第2アーム3Rは7自由度を有する垂直多関節ロボットであり、基台1と胴部2とを旋回するアクチュエータと合わせてロボットユニット101全体で15自由度を有している。
なお、ロボットユニット101を冗長自由度を有する各7自由度の垂直多関節ロボットとすることにより、筐体102の限られた空間の中で周囲の物体及びロボットユニット101自身との干渉を回避しやすく、筐体102をよりコンパクトに構成することができるが、ロボットユニット101の自由度は必ずしも本実施形態のものには限られず1つ以上の自由度を有するものであればよい。
【0021】
筐体102は、ロボットユニット101と、ロボットユニット101を囲むとともにロボットユニット101が存在する空間(内部空間)と外部とを隔離するように設けられており、ロボットユニット101および材料103A〜103Dを固定すると共に、周囲をポリカーボネートなどの透明で割れにくい板で覆う事で顧客Gへの安全対策としての防護板としての機能と、ロボットユニット101による調理作業を顧客Gが視認できるという機能とを有している。
なお、筐体102には本システムの管理作業者が筐体102の内部のメンテナンス作業を行なうための通行口102Aが設けられている。通行口102Aは、通常のサービス提供時には閉じられ施錠されるようになっている。
また、筐体102は各材料供給装置103A〜103Dを取り外した後、折りたたみ可能に構成されており、運搬が可能になるよう、下面にキャスター102Bが備わっている。
【0022】
材料供給装置103A〜103Dはそれぞれ筐体102の内部空間に設置されている。
本実施形態では、材料供給装置103Aは複数種類のソフトクリーム用コーンをストックしたコーンディスペンサーである。材料供給装置103Bは、ソフトクリームサーバであり一般業務用のソフトクリームサーバが適用されている。
材料供給装置103Cは複数種類のトッピング(コーンフレーク,フルーツ等)を入れたトッピングディスペンサーである。材料供給装置103Dは複数種類のフルーツソースを入れたソースディスペンサーである。
商品受渡し部104は、ロボットユニット101が作成したトッピングされたソフトクリームを顧客Gに渡すための装置であり、筺体102のポリカーボネート板により、顧客Gとの空間が分離され、商品の受け渡しの際にロボットユニット101と顧客Gとが直接接触しないようになっている。
【0023】
入力タッチパネル105は表示モニタを有しており、当該表示画面にふれることで情報入力可能に構成されている。表示モニタには商品の仕様の入力を受け付ける注文入力画面が表示されるようになっている。
より具体的には注文入力画面は、ソフトクリームの容器(分量)・クリームの種類・トッピング材料・ソースの種類を入力タッチパネル105から選択し入力可能するように構成されている。即ち、ソフトクリームの容器(分量)・クリームの種類・トッピング材料・ソースの種類が1つの商品に対する設定情報(顧客により指定可能な情報)に相当し、かかる複数の設定情報の組み合わせにより注文入力情報が構成される。
【0024】
統括コンピュータシステム107は、ロボットユニット101の動作を制御するロボットコントローラ107Aと外部コンピュータ107Bとから構成されており、それぞれ演算装置,入力装置及び表示装置を有しロボットコントローラ107Aと外部コンピュータ107Bとが命令等を受け渡し可能に接続されている。また、入力タッチパネル105は外部コンピュータ107Bに接続されている。
外部コンピュータ107Bは機能として、作業記憶部108A,決済処理部(決済手段)108B,加工選択部108C,加工作業司令部108D及び商品搬出司令部108Eを有している。
【0025】
作業記憶部108Aは、少なくとも1以上の加工作業を記憶した記憶装置であり、加工作業は、ロボットユニット101の動作態様を記した教示データとして加工作業の種類毎に記憶されている。
決済処理部108Bは、現金投入器106への所定の金額の投入あるいは入力タッチパネル105への所定の決済情報の入力を受けると、ロボットユニット101に対する作業を許可する決済処理を実行するようになっている。
【0026】
加工選択部108Cは決済処理が完了すると、入力タッチパネル105に入力された注文入力情報に基づいて、作業記憶部108Aに記憶された加工作業から注文入力情報に適合する加工作業を選択する。加工作業指令部108Dは加工選択部108Cにて選択された加工作業に従ってロボットコントローラ107Aに指令を生成する。
ロボットコントローラ107Aは指令に沿ってロボットユニット101を動作させ、後述するように各材料供給装置103A〜103Dの材料に調理加工を施すようになっている。
商品搬出司令部108Eは、加工作業指令部108Dによる指令が完了し、ロボットユニット101の加工作業が実行完了したと判定すると、調理加工された商品(ここではソフトクリーム)を商品受渡し部104に載置するようになっている。
【0027】
本実施形態に係るサービス提供システム100は、上述のように構成されており、以下のように動作する。
顧客Gが現金投入機106に入金するまではロボットユニット101が品物を作成する作業を開始せず、待機している。現金投入機106が入金を検出してから、入力タッチパネル105は注文入力画面(容器・ソフトクリーム・トッピング・ソースの種類など)を表示する。
顧客Gが入力タッチパネル105を通じてトッピングなどの商品の仕様を選択し終えていたら、ロボットユニット101が材料を取り出してソフトクリームを作る調理加工作業に取り掛かる。
ここでは、容器としてデザートコーン、ソフトクリームの種類としてバニラ、トッピングとしてコーンフレーク、ソースとしてイチゴが選択された場合を例に手順の一例を説明する。
【0028】
外部コンピュータ107Bは、入力タッチパネル105により設定された注文入力情報に応じてロボットコントローラ107Aに指令を送りロボットコントローラ107Aはロボットユニット101へ動作開始の指令を与える。
ロボットユニット101は、左右のハンド11,12に備わる図示しないセンサにより材料供給装置103Aに積まれたデザートコーン(以下、コーンと記す)の底面を検出し、コーン底面から一定量の位置をコーン把持位置として認識して把持動作を行う。
コーンを把持できた後はコーンを引き上げ、把持したコーンが筐体102や各材料供給装置103と干渉しないようにロボットユニット101の左右のアーム3R,3Lを動かしながら、胴部2を旋回させて材料供給装置103Bへ向く。
【0029】
次にロボットコントローラ107Aは、材料供給装置103のバニラ味のソフトクリームサーバへ向き終わった事を確認した後、コーンを把持していない方のハンド(例えば、コーン把持を左ハンド12、レバー操作を右ハンド11とする)に備わる、図示省略リング状の係合部に、ソフトクリームサーバに備わるレバー(以下、ソフトクリームレバーと記す)を係合させる(挿通させる)動作を実行させる。
右ハンド11のリング状の係合部にソフトクリームレバーが通った後、ロボットユニット101はソフトクリームレバーを下げる動作を行ってソフトクリームを出して、左ハンド12の動作によりソフトクリームを整形する。
一定量のソフトクリームが出たと判断したら、右ハンド11によりソフトクリームレバーを上げてソフトクリームが出るのを止める。
ソフトクリームレバーがソフトクリームが出ない位置まで上がったら、右ハンド11のリング状の係合部をソフトクリームレバーから外し、胴部2を旋回させて材料供給装置103Cの方向へ向く。
【0030】
次にロボットコントローラ107Aは、コーンフレークの材料供給装置103Cへ向き終わった事を確認した後、左ハンド12で把持したソフトクリームをトッピングディスペンサーのトッピング排出部へ移動させ、右ハンド11でトッピングディスペンサーのダイヤルを回す事で、トッピングディスペンサーの中身(ここではコーンフレーク)を一定量排出し、ソフトクリームの上にコーンフレークを振り掛ける。
トッピングが一定量排出されたら、右ハンド11をトッピングディスペンサーから外し、右ハンド11および左ハンド12に把持したソフトクリームが筐体102および各材料103と干渉しないように両アームを動作させながら、材料供給装置103Dの方向へ向く。
【0031】
次にロボットコントローラ107Aは、イチゴ味のソースディスペンサー103Dへ向き終わった事を確認した後、左ハンド12で把持したソフトクリームをソースディスペンサーのソース抽出位置へ移動させ、右ハンド11でソースディスペンサー103Dを把持し、ソースディスペンサー103Dをソース抽出位置の上へ移動させ、左ハンド12で把持しているソフトクリームの上にイチゴ味のソースを一定量だけ掛ける。
ソースがソフトクリームに掛かったら、右ハンド11で把持したソースディスペンサー103Dを元の位置へ戻す。
ここまでの過程で商品としてのソフトクリームの調理加工作業が終了となる。
その後、右ハンド11および左ハンド12に把持したソフトクリームが筐体102および各材料103と干渉しないように両アームを動作させながら、商品受渡し部104の方向へ向く。
【0032】
次にロボットコントローラ107Aは、商品受渡し部104へ向き終わった事を確認した後、左ハンド12で把持したソフトクリームを、商品受渡し部104の中に備わる図示しないソフトクリーム置き台にセットするように左アームを移動させてソフトクリームを台に置く。ロボットコントローラ107Aは、ソフトクリームが置かれたのを確認した後、左アームが筐体102などと干渉しない位置へ移動したのを確認し、右ハンド11に備わるリングを商品受渡し部104に備わる突起へ引っ掛け、突起と連動させてソフトクリーム置き台を筐体102のポリカーボネート板外側(顧客G側)へ移動させる。ロボットコントローラ107Aは、ソフトクリーム置き台が筐体102のポリカーボネート板外側(顧客G側)へ移動したのを確認したら、右ハンド11が筐体102などに干渉しないように、右アームを待機姿勢へ移動させる。
【0033】
次に統括コンピュータシステム107は、顧客Gがソフトクリームを取ったと判断した(例えば、入力タッチパネル105によって顧客Gが受取った事を操作するなど)後に、右ハンド11に備わるリングを商品受渡し部104に備わる突起へ引っ掛け、ソフトクリーム置き台を筐体102のポリカーボネート板内側(ロボット側)へ引き寄せる。ソフトクリーム置き台が筐体102のポリカーボネート板内側(ロボット側)へ引き寄せ終わった事をロボットコントローラ107Aが判断した後は、右ハンド11が筐体102などに干渉しないように、右アームを待機姿勢へ移動させ、次に現金投入機106へ入金されるのを待つ。
【0034】
このように、本実施形態にかかるサービス提供システム100によれば、顧客Gは他の人間(例えば店の従業員)が介在しなくても、現金投入機106へ入金して入力タッチパネル105に表示される選択画面を操作するだけで、自分が選んだ通りの組み合わせ(本実施例では、容器としてデザートコーン、ソフトクリームの種類としてバニラ、トッピングとしてコーンフレーク、ソースとしてイチゴ)の品物を購入することができると共に、料理屋の調理実演のように品物が組み上がる(出来上がる)過程を見ることができ、顧客への訴求度を向上することができる。
また、加工作業を構成するロボットユニット101の動作態様(教示データ)をより熟練したソフトクリーム調理人の動作を模して設定するなどすれば、熟練したソフトクリーム調理人により近い調理加工を反復して高精度に再現することができ、提供する商品の価値を向上させることができる。
【0035】
なお、左ハンド12でのコーン把持動作の方法としては、エアチャックやサーボグリッパなどが考えられるが、限定はしない。また、右ハンド11でのソフトクリームレバー操作、受渡し部の操作方法としてリングを用いているが、他の方法としてエアチャックやサーボグリッパなどでも良い。さらに、ソースディスペンサー103Dを把持する方法やソースを一定量だけ抽出方法については明記していないが、ソースが一定量だけ抽出できるのであれば、方法は限定されるものではない。また、本実施形態ではコーン、ソフトクリーム、トッピング、ソースの順で組み合わせているが、トッピングとソースの順番は逆でも良く、トッピングおよびソースともに複数の種類を組み合わせても良い。
【0036】
[第2実施形態]
続いて第2実施形態について説明する。本実施形態では、サービス提供システムの一例として注文(選択)された配置絵柄に沿って商品としての手鏡(製品,母材)にガラス粒子等の装飾材を貼りつけてデコレーション加工を施して顧客に提供するロボットデコレーションシステムについて説明する。
なお、上述の第1実施形態と同様に構成されているものについては説明を省略し、同じ符号を用いる。
図4に示すように、本実施形態に係るサービス提供システム200は、ロボットユニット201,筐体102,作業ステージ203,商品受渡し部204,入力タッチパネル(インターフェイス,決済手段)205,現金投入機(決済手段)106,統括コンピュータ207,装飾材収納エリア(小部材収納部)209,作業用装飾材置き場210,手鏡収納棚(母材収納部)211,接着剤ガン置き場(接着剤供給工具収納部)212を有して構成されている。
【0037】
ロボットユニット201は、第1実施形態のロボットユニット101とほぼ同様に構成されている。詳細な構成について改めて説明すると、ロボットユニット201は第1実施形態のロボットユニット101と同様に基台51が図示しないアンカーボルトで設置面に固定され、この基台51の上には、アクチュエータ52Aを介して胴部52が基台51に対してアクチュエータ52Aの回転軸Abを中心に旋回自在に設けられており、胴部52には、第1アーム53L及び第2アーム53Rがそれぞれ左右に設けられている。
なお、アクチュエータ52Aの回転軸Abと、第1アーム53L及び第2アーム53Rの第1アクチュエータの回転軸A1とは、設置面と水平な方向に長さD1だけずれるように、基台51に対して胴部52が水平前方にせり出すように胴部52の形状が設定されている。
【0038】
第1アーム53Lは、図5に示すように、胴部52側から先端にかけて順々に第1構造材41,第2構造材42,第3構造材43,第4構造材44,第5構造材45,第6構造材46,フランジ47がそれぞれ回転駆動するアクチュエータ(回転関節)を介して連結されている。
【0039】
胴部52と第1構造材41とは、第1アクチュエータ(第1関節)41Aを介して連結されており、第1アクチュエータ41Aの駆動により、第1構造材41が回転するようになっている。第1構造材41と第4構造材42とは、第2アクチュエータ(第2関節)42Aを介して連結されており、第2アクチュエータ42Aの駆動により、第2構造材42が旋回するようになっている。
【0040】
第2構造材42と第3構造材43とは、第3アクチュエータ(第3関節)43Aを介して連結されており、第3アクチュエータ43Aの駆動により、第3構造材43が回転する
ようになっている。第3構造材43と第4構造材44とは、第4アクチュエータ(第4関節)44Aを介して連結されており、第4アクチュエータ44Aの駆動により、第4構造材44が旋回するようになっている。
【0041】
第4構造材44と第5構造材45とは、第5アクチュエータ(第5関節)45Aを介して連結されており、第5アクチュエータ45Aの駆動により、第5構造材45が回転するようになっている。第5構造材45と第6構造材46とは、第6アクチュエータ(第6関節)46Aを介して連結されており、第6アクチュエータ46Aの駆動により、第6構造材46が旋回するようになっている。
第6構造材46とフランジ47とは、第7アクチュエータ(第7関節)47Aを介して連結されており、第7アクチュエータ47Aの駆動により、フランジ47が回転するようになっている。
【0042】
フランジ47には、図示省略のアクチュエータの駆動により一対の指部の間隔を拡縮可能な左ハンド48が設けられている。
なお、第3アクチュエータ43Aの回転軸A3と第4アクチュエータ44Aの回転軸A4とは、上面視で長さD2だけずれるように第3構造材43の形状が設定されている。そして第4アクチュエータ44Aの回転軸A4と第5アクチュエータ45Aの回転軸A5とは、上面視で長さD3だけずれるように第4構造材43の形状が設定されており、第4アクチュエータ44Aの回動により第1アーム3Lが屈曲し第2構造材42と第5構造材45とが並んだときに、第3アクチュエータ43Aの回転軸A3と第5アクチュエータ45Aの回転軸A5とが長さ(D2+D3)だけずれるように各構造材の形状が設定されており、第4アクチュエータ44Aを屈曲させたときの第2〜第5構造材42〜45同士の干渉を抑制して、基台51及び胴部52の近傍でのロボットユニット201の動作領域を確保している。
【0043】
第2アーム53Rは、上述の第1アーム53Lと同様に構成されており、胴部52への設置方向が180度ずれて配置されている。第2アーム53Rには、左ハンド48と同様に拡縮する1対の指部材と、後述する装飾材カセットから装飾材を1個ずつ吸着しうるように先端に吸引装置とを有する右ハンド49が取り付けられている。
【0044】
作業ステージ203は実質的に水平な作業面と位置合わせ用の位置規制冶具203Aを有しており、手鏡Wを位置規制冶具203Aに当接させることで、手鏡Wが予め統括コンピュータ207に記憶された位置に位置決めされて載置されるようになっている。
商品受渡し部204は、ロボットユニット201により装飾加工が施された手鏡Wを顧客Gに渡すための装置であり、ポリカーボネート板により、顧客Gとの空間が分離されている。なお、常時は施錠させており商品の受け渡しの際にロボットユニット201により受け渡し動作が行われ、ロボットユニット201と顧客Gとが直接接触できないように構成されている。
【0045】
入力タッチパネル205は表示モニタを有しており、統括コンピュータ207と情報通信可能に接続されている。そして顧客Gは表示モニタにふれることで統括コンピュータ207側に情報入力可能に構成されている。また、入力タッチパネル205には、装飾材の配置絵柄のデータを読み取り可能なデータ読み取り装置(入力ポート)205Aが設けられており、顧客Gが準備する配置絵柄データを受け付けることができる。
なお、読み取り装置205Aは、もっとも単純には、記録媒体からの電子データの読み取り装置でよく、さらに、顧客がその場で描いた絵柄の情報をデータ化する絵柄入力機能を有してもよい。
【0046】
入力タッチパネル205の表示モニタには商品の仕様の入力を受け付ける注文入力画面が表示されるようになっている。
より具体的に説明すると、注文入力画面には、まず複数種類の手鏡を表示させて所望の種類を選択させる手鏡選択画面が表示される。
そして、予め統括コンピュータ207に記憶されたカスタム配置絵柄を選択するか、データ読み取り装置205から顧客Gのオリジナル配置絵柄を入力するかのカスタム/オリジナル選択画面が表示される。
【0047】
カスタム/オリジナル選択画面でカスタム配置絵柄が選択されると、選択された手鏡に対応した配置絵柄が複数種類表示され所望の種類の配置絵柄を選択させる配置絵柄選択画面が表示される。
オリジナル配置絵柄の配置絵柄データが入力されると、統括コンピュータ207の配置絵柄作成部208Fは、入力された配置絵柄データに基づいて装飾材の配置座標データを作成する。このとき、配置絵柄作成部208Fでは選択された手鏡の種類と入力された配置絵柄データとの不一致等、ロボットユニット201による加工作業が可能であるか否かの判定が行われ、加工作業が不可能な配置絵柄データと判定された場合、表示モニタにその旨の表示がなされて1つ前のカスタム/オリジナル選択画面が再び表示されるようになっている。
【0048】
装飾材収納エリア209はロボットユニット201の第2アーム53Rの近傍に設けられており、装飾材収納エリア209には図6に示すように、縦横に整列された複数の収納小部屋を有する装飾材カセットDC1,DC2が複数個、位置決めされて載置されている。各装飾材カセットの収納小部屋には、それぞれ、装飾材Dec1,Dec2が1個ずつ収納されている。なお、装飾材カセットの各収納小部屋のサイズや位置、または、各種の装飾材のサイズの情報は予め統括コンピュータ207に記憶されている。
装飾材カセットDC1には同種類の装飾材Dec1が収納されており、装飾材収納エリア209には同種類の装飾材を収納した装飾材カセットがそれぞれ2個ずつ載置されている。同種類の装飾材カセットを2個ずつ配置することにより、単一の手鏡Wへの作業中に装飾材が不足することが回避される。
なお、図6では装飾材及び装飾材カセットの種類は2種類のみを図示しているが、装飾材の種類や個数は装飾材となるラインストーン等の種類に応じて適宜設定可能である。
【0049】
作業用装飾材置き場210は、装飾材収納エリア209よりも作業ステージ203に近い位置に設けられており、2個の装飾材カセットを位置決めして載置できるように形成されている。
手鏡収納棚211には、製品となる複数種類の手鏡Wが収納されており、手鏡Wの種類と収納位置は予め統括コンピュータ207に記憶されている。
接着剤ガン置き場211には、接着剤を供給する接着剤ガン(図示省略)が置かれている。接着剤ガンは左ハンド48により保持可能であるとともに、左ハンド48の動作により先端からの接着剤の供給の開始/停止を操作可能となっている。
【0050】
本実施形態では制御手段の構成例として、第1実施形態と異なり、ロボットコントローラを含めた制御系を一体の演算装置である統括コンピュータ207によって構成している。ただし、本実施形態においても第1実施形態と同様に機能を分担する別体の演算装置群により制御装置を構成してもよい。
統括コンピュータ207は機能として、作業記憶部208A,決済処理部(決済手段)208B,加工選択部208C,ロボットコントロール部208D,商品搬出司令部208E,配置絵柄作成部208Fを有している。
【0051】
作業記憶部208Aは、選択された手鏡とこれに対応する配置絵柄毎に、手鏡Wに対する加工作業の作業手順が記憶されている。加工作業は、ロボットユニット201の動作態様を記した教示データとして記憶されており、教示データには配置絵柄に使用される装飾材の種類と、各種装飾材の手鏡Wに対する配置位置(配置座標)情報が含まれている。
決済処理部208Bは、現金投入器106への所定の金額の投入あるいは入力タッチパネル205への所定の決済情報の入力を受けると、ロボットユニット201に対する作業を許可する決済処理を実行するようになっている。
【0052】
加工選択部208Cは、決済処理部208Bによる決済処理が完了すると、入力タッチパネル205に入力された注文入力情報に基づいて、作業記憶部208Aに記憶された加工作業から注文入力情報に適合する加工作業を選択する。ロボットコントロール208Dは加工選択部208Cにて選択された加工作業に従ってロボットユニット201の各アクチュエータに対する動作指令を生成し、ロボットユニット201を動作させるようになっている。
商品搬出司令部208Eは、ロボットユニット201による加工作業が実行完了したと判定すると、装飾加工された製品(ここでは手鏡W)を商品受渡し部204に載置するようになっている。
配置絵柄作成部208Fは、上述のようにデータ読み取り装置205Aから入力された配置絵柄データに基づいて装飾材の配置座標データを作成する。
なお、統括コンピュータ207には、予め全種類の装飾材に対する配置間隔情報が記憶されており配置絵柄作成部208Fは配置絵柄データを各種類の装飾材の配置座標に置き換えて装飾材の配置座標データを作成するようになっている。
【0053】
本実施形態に係るサービス提供システム200は、上述のように構成されており、以下のように動作する。
顧客Gが現金投入機106に入金するまではロボットユニット201は待機している。現金投入機106が入金を検出すると、入力タッチパネル205は注文入力画面(手鏡選択画面,カスタム/オリジナル選択画面,配置絵柄選択画面など)を表示する。
顧客Gが入力タッチパネル205を通じて商品の仕様を選択し終えると、加工選択部208Cにより加工作業が選択され、作業記憶部208Aに記憶された複数の加工作業の作業手順から該当する作業手順が選択される。
【0054】
ここでは、図7に示すような配置絵柄が選択された場合を例に作業手順について説明する。
ロボットコントロール部208Dからの動作指令に基づいて、第1アーム53Lが動作して選択された種類の手鏡Wを左ハンド48で把持して手鏡収納棚211から取り出し、作業ステージ203の位置規制冶具203Aに把持した手鏡Wを当接させて、手鏡Wの位置を位置決めした状態で作業ステージ203に載置する。
手鏡Wを作業ステージ203に載置すると、第1アーム53Lは接着剤ガン置き場212に移動し、左ハンド48により接着剤ガンを把持して作業ステージ203近傍の待機位置で停止する。
【0055】
第2アーム53Rは、第1アーム53Lの動作と並行して動作し、選択された配置絵柄データに基づいて、装飾材収納エリア209から直近の作業に用いる種類(最初はDec1)の装飾材カセットDC1を右ハンド49の指部材で把持して作業用装飾材置き場210に位置決めして載置する。この際、同種類の装飾材カセットDC1を2個、装飾材収納エリア209から作業用装飾材置き場210に移し替える。
【0056】
そして、装飾材の手鏡Wに対する配置位置情報に基づいて第1アーム53Lが接着剤ガンから接着剤を手鏡Wの所定位置に付けて再び待機位置に戻る。待機位置は第2アーム53Rが装飾材の載置作業時に第1アーム53Lと第2アーム53Rとが干渉しない位置に予め設定されている。
そして第2アーム53Rの右ハンド49の吸引装置により、作業用装飾材置き場210に置かれた装飾材カセットDC1の収納小部屋から装飾材Dec1を1つ吸引し、接着剤ガンにより手鏡Wに付けられた接着剤の位置に装飾材Dec1を置く。
なお、統括コンピュータ207には、各装飾材カセットの各収納小部屋の使用順番と位置、及び、過去の装飾材の使用回数が記録されており、順番に沿って装飾材を取り出して手鏡Wに貼り付ける作業が実行される。
このように、第1アーム53Lによる接着剤の塗布動作と第2アーム53Rによる装飾材の配置動作が配置絵柄に含まれる装飾材Dec1の個数分だけ交互に繰り返し実行される。
【0057】
装飾材Dec1の手鏡Wへの配置作業が完了すると、第2アーム53Rが作業用装飾材置き場210の装飾材カセットDC1を装飾材収納エリア209に移送し、装飾材収納エリア209から次の作業に用いる装飾材カセットDC2を取り出し、作業用装飾材置き場210に移送する。この作業を繰り返し、作業用装飾材置き場210に位置決めされた2個の装飾材カセットを装飾材カセットDC1から装飾材カセットDC2に入れ替え、第1アーム53Lによる接着剤の塗布と第2アーム53Rによる装飾材の配置の作業が配置絵柄に含まれる装飾材Dec2の個数分だけ繰り返し実行される。
装飾材Dec3についても同様の作業が繰り返され、図7に示すように装飾材の配置作業が完了する。
【0058】
配置作業が完了すると、第1アーム53Lが動作され装飾材が配置された手鏡Wを左ハンド48で把持し、商品受渡し部204に移送され、そこで、予め設定された時間(接着剤の乾燥に要する時間)が経過すると第1アーム53Lが動作されて左ハンド48により商品受渡し部204が開錠操作されて、手鏡Wは商品として顧客Gに受渡される。
【0059】
このように本実施形態にかかるサービス提供システムによれば、より熟練と精密な作業を要する装飾加工作業をより高精度で、且つ、顧客の要求に応じて再現することができ、提供する商品の価値を向上させることができる。また、配置絵柄等のデータのストックを増やすことでより多様な絵柄の装飾加工を行なうことができる。
【0060】
[第3実施形態]
続いて第3実施形態について説明する。本実施形態では、サービス提供システムの一例としてカップに注がれたコーヒー飲料に対して注文された絵柄に沿ってデコレーション加工を施して顧客に提供するロボットバリスタシステムを具体例として説明する。
なお、本実施形態は、材料供給装置の内容構成とロボットの動作態様が上述の第1実施形態と異なっている他は第1実施形態と同趣旨で構成されており、同様のものについては説明を省略し、同じ符号を用いる。
【0061】
図8に示すように、本実施形態に係るサービス提供システム300において、材料供給装置303Aは複数のサイズの飲料カップCをストックしたカップディスペンサーである。材料供給装置303Bは、一般業務用のコーヒーメーカである。
材料供給装置303Cは複数種類のトッピング品(ココアパウダー,ホイップクリーム等)を入れたトッピングディスペンサーである。
統括コンピュータシステム307は第1実施形態のものと同様に構成されているが、作業記憶部308には、選択されるカップCの種類に対応した複数種類のトッピング品による装飾絵柄データがロボットユニット101の動作情報として記憶されている。
【0062】
また、入力タッチパネル105に表示される注文入力画面には、カップCのサイズ(分量)の選択を受け付けるサイズ選択画面と、図9に例示するようにコーヒー飲料に対して、クリームやココアパウダー等のトッピング品の配置による盛りつけ態様(配置絵柄)を複数種類表示させて所望の配置態様を選択させるデコレーション選択画面が表示されるようになっている。
【0063】
本実施形態に係るサービス提供システム300は上述のように構成されており、顧客Gのが確定すると、ロボットユニット101が動作して第2アーム3Rの右ハンド11により材料供給装置303Aから選択された内容に応じたサイズの飲料カップCを取り出し、材料供給装置303Bを操作して選択されたサイズに対応したコーヒー飲料を飲料カップCに容れる。
【0064】
第2アーム3Rの動作と並行して第1アーム3Lが動作して材料供給装置303Cから顧客Gの選択内容にあったトッピング品ディスペンサーを左ハンド3Lにより把持する。
その後、飲料カップCを把持した状態で第2アーム3Rが予め設定された姿勢をとって飲料カップCを位置決めし、トッピング品ディスペンサーを把持した第1アーム3Lにより、顧客Gにより選択された盛りつけ態様に沿って飲料カップCにトッピング品による盛りつけ作業を実行する。なお、本実施形態では、先ず左ハンド3Lの動作によりホイップクリームを飲料カップC内のコーヒー飲料の上に一様に注ぎ、次に左ハンド3Lの動作により材料供給装置303Cからトッピング品ディスペンサーを持ち替えてホイップクリームWCの上から図9に示すような絵柄に沿ってココアパウダーCPを配置する作業が実行される。
【0065】
このように本実施形態にかかるサービス提供システムによれば、熟練された職人(バリスタ)の動作を予め記憶させておくことにより、高精密な作業を要するコーヒー商品の加工作業を高精度に安定して再現することができ、提供する商品の価値を向上させることができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して適用することができる。
例えば、実施形態では顧客に提供する商品あるいはサービスとしてソフトクリームの調理及び顧客への提供,手鏡への装飾加工及び顧客への提供,カップ飲料へのデコレーション作業と顧客への提供を例として説明しているが、本発明はこれらの商品の提供に限定されることなく、種々の役務の提供に用いることができる。
例えば、顧客が所有する携帯電話やTシャツなどの物品を搬出入口を通じて筐体内部に供給し、インターフェイスを通じて注文入力情報を入力することで、供給された物品に装飾品等の設置加工を施すように構成してもよい。また、カクテル飲料の調理と提供など実施形態に例示した商品以外のものを加工(調理)し提供するように構成してもより。
また、決済手段についても現金投入装置のみでなく、種々の決済方法を選択できるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0067】
100,200,300 サービス提供システム
101,201 ロボットユニット
102 筐体
103A〜103D,303A〜303C 材料供給装置
104,204 商品受渡し部(搬出入口)
105,205 入力タッチパネル
106 入金システム(インターフェイス,決済手段)
107,207,307 統括コンピュータシステム(制御手段)
107A ロボットコントローラ
107B,207B,307B 外部コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットユニットと、
前記ロボットユニットを囲む筐体と、
注文入力情報の入力を受け付けるインターフェイスと、
前記ロボットユニット及び前記インターフェイスと接続された制御手段と、
前記ロボットユニットの周囲に配置された商品の加工のための備品または材料をそれぞれ格納した単数または複数の商品加工ユニットと、
前記筐体の内外に物品を搬入・搬出可能な搬出入口と、を有し、
前記制御手段は、
少なくとも1以上の加工作業を記憶した作業記憶部と、
前記インターフェイスからの入力に応じて決済処理を行なう決済手段と、
前記インターフェイスからの前記注文入力情報に基づいて、前記作業記憶部から前記加工作業を選択する加工選択部と、
前記決済手段により決済処理が完了すると、前記加工選択部にて選択された前記加工作業に沿って前記ロボットユニットを動作させ、前記商品加工ユニットに格納された前記備品及び前記材料を用いてロボットによる加工作業を実行させる加工作業指令部と、
前記加工作業が実行完了すると、前記加工作業により加工が施された商品を前記搬出入口を介して前記筐体に搬出する商品搬出司令部と、を有している
ことを特徴とする、サービス提供システム。
【請求項2】
前記インターフェイスは、
前記制御手段に記憶された複数種類の前記商品の仕様を表示させる表示画面と、
前記表示画面から前記商品の仕様の入力を受け付ける注文入力画面とを有している
ことを特徴とする、請求項1記載のサービス提供システム。
【請求項3】
前記注文入力情報は、1つの商品に対して1つ以上の設定情報を含んでおり、
前記注文入力画面では、前記1つの商品に対して1つ以上の前記設定情報を入力可能に構成されている
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のサービス提供システム。
【請求項4】
前記ロボットユニットは、
基台と、
複数の関節部を有する第1アームと、
前記第1のアームと別体に複数の関節部を有する第2アームと、
前記基台に旋回可能に設置され前記第1アーム及び前記第2アームを支持する胴体部と、を有している
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のサービス提供システム。
【請求項5】
前記ロボットユニットは
7自由度を有するマニピュレータを少なくとも有している
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のサービス提供システム。
【請求項6】
前記商品加工ユニットは、
製品の母材を収納する母材収納部と、
前記母材に貼付ける1種類以上の装飾用部材を収納する小部材収納部と、
接着剤供給工具を収納する接着剤供給工具収納部と、
前記母材を予め設定された位置に位置決めして載置可能な作業ステージと、を有し、
前記制御手段の加工作業指令部は、
前記母材収納部から前記母材を取り出し、前記作業ステージに載置させる動作と、前記加工選択部にて選択された前記加工作業に基づいて前記作業ステージ上の前記母材に接着剤供給工具により接着剤を付ける動作と、前記接着剤が付けられた箇所に前記小部材収納部から取り出した前記装飾用部材を置く動作と、を前記ロボットユニットに実行させる
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のサービス提供システム。
【請求項7】
前記加工選択部は、
前記インターフェイスに前記装飾部材の前記母材への配置絵柄を複数種類表示させて所望の配置絵柄を選択させる
ことを特徴とする、請求項6記載のサービス提供システム。
【請求項8】
前記インターフェイスには、前記配置絵柄のデータの入力を受け付ける入力ポートが設けられ、
前記加工選択部は、
前記入力ポートから入力される前記配置絵柄のデータを前記母材への配置絵柄として選択可能に構成されている
ことを特徴とする、請求項6記載のサービス提供システム。
【請求項9】
前記商品加工ユニットは、
飲食物の容器を収納する容器収納部と、
飲食物を供給する飲食物供給器と、
前記飲食物にトッピングする1種類以上のトッピング品を収納するトッピング収納部と、を有し、
前記制御手段の加工作業指令部は、
前記容器収納部から取り出した前記容器に前記飲食物供給器からの前記飲食物を容れる動作と、前記加工選択部にて選択された前記加工作業に基づいて前記飲食物が容れられた前記容器または前記飲食物に前記トッピング品を配置させる動作と、を前記ロボットユニットに実行させる
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のサービス提供システム。
【請求項10】
前記加工選択部は、
前記インターフェイスに前記トッピング品の配置絵柄を複数種類表示させて所望の配置絵柄を選択させる
ことを特徴とする、請求項9記載のサービス提供システム。
【請求項11】
ロボットユニットと、
注文入力情報の入力を受け付けるインターフェイスと、
前記ロボットユニット及び前記インターフェイスに接続された制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記インターフェイスにより入力された前記注文入力情報に基づいて、前記ロボットユニットに作業を実行させる
ことを特徴とする、サービス提供システム。
【請求項12】
ロボットユニットにより加工作業を施した商品を提供するサービス提供方法であって、
インターフェイスにより注文入力情報の入力を受け付けるステップと、
前記インターフェイスにより入力された前記注文入力情報に基づいて、前記ロボットユニットに加工作業を実行させるステップと、を有している
ことを特徴とする、サービス提供方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−18661(P2012−18661A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261275(P2010−261275)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】