説明

シラン化合物、その製造方法及びシラン化合物を含む樹脂組成物

【課題】本発明は、耐熱性、耐圧性、耐水性、低吸湿性、低誘電性、機械的・化学的安定性、熱伝導率性に優れ、高温高圧、多湿等の過酷な環境下においても各種物性の低下が低い硬化物を形成できる樹脂組成物として、実装用途等に好適に使用することができるシラン化合物、その製造方法、及び、このようなシラン化合物を含む樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明のシラン化合物は、シロキサン結合とイミド結合とを有するシラン化合物であって、該シラン化合物は、シロキサン結合を形成するケイ素原子にイミド結合を有する有機骨格が少なくとも1個結合してなる構成単位を必須とするシラン化合物であり、該シラン化合物は、下記平均組成式:
XaYbZcSiOd
(式中、Xは、同一若しくは異なって、イミド結合を含む有機骨格を有する下記式(1)で表される基を表す。Zは、同一若しくは異なって、イミド結合を含まない有機基を表し、Yは、同一若しくは異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群より選ばれる少なくとも一つを表す。Rは、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表し、置換基があってもよい。aは、0でない3以下の数であり、bは、0又は3未満の数であり、cは、0又は3未満の数であり、dは、0でない2未満の数であり、a+b+c+2d=4である。)で表されるシラン化合物、及び、上記シラン化合物と有機樹脂とを含む樹脂組成物。である。
【化1】


(式中、Rは、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
シロキサン結合とイミド結合とを有するシラン化合物であって、
該シラン化合物は、シロキサン結合を形成するケイ素原子にイミド結合を有する有機骨格が少なくとも1個結合してなる構成単位を必須とし、
該シラン化合物は、下記平均組成式:
XaYbZcSiOd
(式中、Xは、同一若しくは異なって、イミド結合を含む有機骨格を有する下記式(1)で表される基を表す。Zは、同一若しくは異なって、イミド結合を含まない有機基を表し、Yは、同一若しくは異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群より選ばれる少なくとも一つを表す。Rは、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表し、置換基があってもよい。aは、0でない3以下の数であり、bは、0又は3未満の数であり、cは、0又は3未満の数であり、dは、0でない2未満の数であり、a+b+c+2d=4である。)で表されることを特徴とするシラン化合物。
【化1】

(式中、Rは、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)
【請求項2】
前記平均組成式におけるXの係数aは、0.5≦aを満たすことを特徴とする請求項1記載のシラン化合物。
【請求項3】
前記平均組成式におけるXが結合したケイ素原子は、酸素原子との結合数が3であることを特徴とする請求項1又は2記載のシラン化合物。
【請求項4】
前記シロキサン結合を構成するケイ素原子は、酸素原子との結合数が3であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシラン化合物。
【請求項5】
前記シラン化合物は、下記計算式(α)で求められるシラノール基量の割合が、0.1以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシラン化合物。
[Si−OH結合モル数]/[Si−O結合モル数] (α)
【請求項6】
前記シラン化合物は、かご状の分子構造を持つことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシラン化合物。
【請求項7】
前記平均組成式におけるXは、下記式(2):
【化2】

(式中、R〜Rは、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシラン化合物。
【請求項8】
前記平均組成式におけるXは、下記式(3):
【化3】

(式中、R〜R及びR6´〜R9´は、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシラン化合物。
【請求項9】
前記平均組成式におけるXは、下記式(4):
【化4】

(式中、R10〜R15は、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシラン化合物。
【請求項10】
前記平均組成式におけるXは、下記式(5):
【化5】

(式中、R16〜R21は、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシラン化合物。
【請求項11】
前記平均組成式におけるXは、下記式(6):
【化6】

(式中、R22〜R25、R22´及びR25´は、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシラン化合物。
【請求項12】
前記平均組成式におけるXは、下記式(7):
【化7】

(式中、R26は、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。)で表されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシラン化合物。
【請求項13】
シロキサン結合とアミド結合とを有するシラン化合物であって、
該シラン化合物は、下記平均組成式:
X´aYbZcSiOd
(式中、X´は、同一若しくは異なって、アミド結合を含む有機骨格を表し、Zは、同一若しくは異なって、アミド結合を含まない有機基を表し、Yは、同一若しくは異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群より選ばれる少なくとも一つを表す。Rは、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表し、置換基があってもよい。aは、0でない3以下の数であり、bは、0又は3未満の数であり、cは、0又は3未満の数であり、dは、0でない2未満の数であり、a+b+c+2d=4である。)で表されるものであり、該平均組成式におけるX´は、下記式(8):
【化8】

(式中、R27は、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されることを特徴とするシラン化合物。
【請求項14】
前記平均組成式におけるX´の係数aは、0.5≦aを満たすことを特徴とする請求項13記載のシラン化合物。
【請求項15】
前記平均組成式におけるX´が結合したケイ素原子は、酸素原子との結合数が3であることを特徴とする請求項13又は14記載のシラン化合物。
【請求項16】
前記シロキサン結合を構成するケイ素原子は、酸素原子との結合数が3であることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載のシラン化合物。
【請求項17】
前記シラン化合物は、下記計算式(α)で求められるシラノール基量の割合が、0.1以下であることを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載のシラン化合物。
[Si−OH結合モル数]/[Si−O結合モル数] (α)
【請求項18】
前記シラン化合物は、かご状の分子構造を持つことを特徴とする請求項13〜17のいずれかに記載のシラン化合物。
【請求項19】
アミド結合を有するシラン化合物であって、
該シラン化合物は、下記式(9):
【化9】

(式中、R28は、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。R29は、同一若しくは異なって、有機基を表し、R30は、同一若しくは異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR30´基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表す。ここでR30´は、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、置換基があってもよい。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1であり、pは、0以上2以下の整数である。)で表されることを特徴とするシラン化合物。
【請求項20】
イミド結合を有するシラン化合物であって、
該シラン化合物は、下記式(10):
【化10】

(式中、R31は、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。R32は、同一若しくは異なって、有機基を表し、R33は、同一若しくは異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR33´基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表す。ここでR33´は、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、置換基があってもよい。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1であり、qは、0以上2以下の整数である。)で表されることを特徴とするシラン化合物。
【請求項21】
請求項1〜12のいずれかに記載のシラン化合物を製造することを特徴とするシラン化合物の製造方法。
【請求項22】
前記製造方法は、下記平均組成式:
X´aYbZcSiOd
(式中、X´は、同一若しくは異なって、アミド結合を含む有機骨格を表し、Zは、同一若しくは異なって、アミド結合を含まない有機基を表し、Yは、同一若しくは異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群より選ばれる少なくとも一つを表す。Rは、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表し、置換基があってもよい。aは、0でない3以下の数であり、bは、0又は3未満の数であり、cは、0又は3未満の数であり、dは、0でない2未満の数であり、a+b+c+2d=4である。)におけるX´が、下記式(8):
【化11】

(式中、R27は、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されるシラン化合物からなる中間体をイミド化する工程を含むことを特徴とする請求項21記載のシラン化合物の製造方法。
【請求項23】
前記製造方法は、下記式(9):
【化12】

(式中、R28は、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。R29は、同一若しくは異なって、有機基を表し、R30は、同一若しくは異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR30´基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表す。ここでR30´は、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、置換基があってもよい。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1であり、pは、0以上2以下の整数である。)で表されるシラン化合物からなる中間体を加水分解し、重縮合する工程を含むことを特徴とする請求項22記載のシラン化合物の製造方法。
【請求項24】
前記製造方法は、下記式(10):
【化13】

(式中、R31は、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。R32は、同一若しくは異なって、有機基を表し、R33は、同一若しくは異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR33´基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表す。ここでR33´は、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、置換基があってもよい。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1であり、qは、0以上2以下の整数である。)で表されるシラン化合物からなる中間体を加水分解し、重縮合させる工程を含むことを特徴とする請求項21記載のシラン化合物の製造方法。
【請求項25】
前記製造方法は、下記式(11):
【化14】

(式中、Aは、ハロゲン原子又はイソシアネート基を表す。R34は、同一若しくは異なって、有機基を表し、R35は、同一若しくは異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR35´基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表す。ここでR35´は、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、置換基があってもよい。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1であり、rは、0以上2以下の整数である。)で表される化合物から前記式(10)で表されるシラン化合物からなる中間体を得る工程を含むことを特徴とする請求項24記載のシラン化合物の製造方法。
【請求項26】
請求項1〜20のいずれかに記載のシラン化合物と有機樹脂とを含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項27】
前記樹脂組成物は、半導体装置用樹脂組成物であることを特徴とする請求項26に記載の樹脂組成物。
【請求項28】
請求項27に記載の半導体装置用樹脂組成物を用いてなることを特徴とする半導体封止材。
【請求項29】
請求項27に記載の半導体装置用樹脂組成物を用いてなることを特徴とする半導体実装基板。
【請求項30】
前記樹脂組成物は、低誘電体材料用樹脂組成物であることを特徴とする請求項26に記載の樹脂組成物。
【請求項31】
前記樹脂組成物は、ボンド磁石用樹脂組成物であることを特徴とする請求項26に記載の樹脂組成物。

【公表番号】特表2010−518182(P2010−518182A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529453(P2009−529453)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際出願番号】PCT/JP2008/052480
【国際公開番号】WO2008/099904
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】