説明

シリカ粒子含有縮合反応物、樹脂組成物、封止樹脂、レンズ及びアンダーフィル材

【課題】高硬度でタック性が無く、耐熱黄変性及び耐光黄変性に優れた樹脂硬化物を与える樹脂組成物及び該樹脂組成物の材料を提供する。
【解決手段】シラノール基を含有するポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)とが縮合されてなる構造を少なくとも有し、該ポリシロキサン化合物(a)が、水酸基及び加水分解性基から選ばれる1つ以上の基を有するシラン化合物又はその縮合物の重合生成物であり、該ポリシロキサン化合物(a)中のシラノール基含有率が1〜90mol%である、シリカ粒子含有縮合反応物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性を維持したままシロキサンとシリカとが縮合反応してなるシリカ粒子含有縮合反応物に関する。本発明は更に、該シリカ粒子含有縮合反応物を含み、光半導体素子の封止に有用な高耐熱性、高耐光性の硬化物を与える樹脂組成物、該樹脂組成物を含む封止樹脂、レンズ及びアンダーフィル材に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDに代表される光半導体装置は、一般的に、発光部分であるチップ周辺部分を保護するため透明な封止樹脂で覆われた構造を有する。この封止樹脂は、蛍光体を分散させるための分散媒としての役割の他、外部からの衝撃、大気中の水分等から発光部分を保護する役割を担っている。また、封止樹脂は、取り出し効率向上及び集光コントロールの目的でレンズとしても使用される。
【0003】
従来、このような封止樹脂として、主にエポキシ樹脂が使われていた。しかし、エポキシ樹脂では、近年のLEDの高輝度化に伴う発熱量の増大、並びに、蛍光体の励起波長及び発光波長の短波長化により、封止樹脂自体の黄変、クラックが生じることにより、輝度低下が生じたり、寿命が短くなっている。
【0004】
封止樹脂の輝度や寿命の低下を防ぐ方法として、オルガノシロキサンを主成分とするシリコーン樹脂が使用されている。その中でも、ヒドロシリル化を利用した付加硬化型のオルガノシロキサン樹脂は、耐熱・耐光性が高く、高輝度LEDにも使用されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、SiO4/2構造をMQレジン(4官能のSiO4/2成分と、1官能のSiO1/2成分とからなる構造)として導入しているオルガノシロキサン組成物が記載されている。また、例えば特許文献2では、無機材料をシリコーン樹脂に混合してなる組成物が報告されている。また、例えば特許文献3では、SiO4/2構造であるシリカ成分と、オルガノシロキサンとを混和し、加熱することでシリカ表面を修飾した組成物が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−198930号公報
【特許文献2】特開2008−78521号公報
【特許文献3】特開2009−120437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の技術では、硬化後の樹脂が軟質であるため、封止樹脂表面のタック性があり、埃の付着による輝度低下、加熱時の熱膨張による体積及び形状の変化といった課題がある。一方、特許文献2の技術では、樹脂の硬度を改善できる可能性があるが、十分な硬度を得ようとすると組成物の粘度及びチキソ性が高くなり、樹脂を混合する際の脱泡が困難になる。また、無機材料である蛍光体を組成物に混合する際にさらに増粘してしまう。十分な硬度を得られるだけの無機材料を導入してしまうと、増粘、あるいは硬化物の白濁等が生じてしまうという問題がある。そして、特許文献3の技術では、粘度及びチクソ性を改善できる可能性があるが、この組成物では、修飾後に、耐熱性の低い未修飾のオルガノシロキサンを除去する操作が必要となっている。このような未反応のシロキサンは、硬化前の封止樹脂中、又は硬化物中に残留していると、脱離成分となるため、封止樹脂の収縮の原因となり、クラックを発生させる恐れがあり、硬度という点においても十分ではない。このようなことから、耐熱性及び耐光性に優れ、かつタック性の無い高硬度な封止樹脂が強く望まれている。
【0008】
本発明は、高硬度でタック性が無く、耐熱黄変性及び耐光黄変性に優れた樹脂硬化物を与える樹脂組成物及び該樹脂組成物の材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1] シラノール基を含有するポリシロキサン化合物(a)と、シリカ粒子(b)と、が縮合されてなる構造を少なくとも有し、
該ポリシロキサン化合物(a)と該シリカ粒子(b)とを少なくとも含む反応成分の縮合反応により得られ、
該ポリシロキサン化合物(a)が、水酸基及び加水分解性基から選ばれる1つ以上の基を有するシラン化合物又はその縮合物の重合生成物であり、
該加水分解性基が、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基及びアセトキシ基の少なくともいずれかであり、
該ポリシロキサン化合物(a)中の珪素の、シロキサン結合、該水酸基との直接結合、及び該加水分解性基との直接結合のいずれかを形成している結合手の合計数に対する、該水酸基との直接結合を形成している結合手の数の割合として定義されるシラノール基含有率が、1〜90mol%である、シリカ粒子含有縮合反応物。
[2] 上記ポリシロキサン化合物(a)が、不飽和炭化水素基及び/又はSiH基を有する、上記[1]に記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
[3] 上記反応成分がシランカップリング剤を更に含み、
上記縮合反応が、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)とを縮合させて得られる縮合生成物にシランカップリング剤を更に反応させること、又は、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)とシランカップリング剤とを同時に縮合させることにより行われたものである、上記[1]又は[2]に記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
[4] 上記ポリシロキサン化合物(a)及び/又は上記シランカップリング剤が、不飽和炭化水素基及び/又はSiH基を有する、上記[3]に記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
[5] 上記シランカップリング剤が、下記一般式(1):
1n1SiX14-n1 (1)
{式中、n1は、1〜3の整数であり、R1は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、X1は、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる基であり、複数存在する場合のR1及びX1はそれぞれ同一でも異なっていても構わない}
で表されるシラン化合物である、上記[3]又は[4]に記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
[6] 上記反応成分中の上記シリカ粒子(b)の含有率が1質量%以上70質量%以下である、上記「1」〜[5]のいずれかに記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
[7] 上記シリカ粒子(b)の平均一次粒子径が1nm以上120nm以下である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
[8] 上記ポリシロキサン化合物(a)中の珪素の、シロキサン結合、水酸基との直接結合、及び加水分解性基との直接結合をそれぞれ形成している結合手の合計数に対する、該シロキサン結合を形成している結合手の数の割合として定義される縮合率が、5mol%以上95mol%以下である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
[9] 上記シラノール基含有率が、5mol%以上90mol%以下である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
[10] 上記[1]〜[9]のいずれかに記載のシリカ粒子含有縮合反応物(A)と、ヒドロシリル化触媒(B)とを含み、該シリカ粒子含有縮合反応物(A)が不飽和炭化水素基及び/又はSiH基を含有し、該シリカ粒子含有縮合反応物(A)の含有率が20質量%以上であり、かつ不飽和炭化水素基及びSiH基を含有する、樹脂組成物。
[11] 上記[1]〜[9]のいずれかに記載のシリカ粒子含有縮合反応物(A)と、ヒドロシリル化触媒(B)と、不飽和炭化水素基及び/又はSiH基を含有する成分(C)とを含み、該シリカ粒子含有縮合反応物(A)の含有率が20質量%以上であり、かつ不飽和炭化水素基及びSiH基を含有する、樹脂組成物。
[12] 樹脂組成物中の、全不飽和炭化水素基数Z1及び全SiH数Z2が、0.25≦Z1/Z2≦2を満たす、上記[10]又は[11]に記載の樹脂組成物。
[13] 上記[10]〜[12]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、封止樹脂。
[14] 上記[10]〜[12]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む硬化性組成物を用いて形成されてなる、レンズ。
[15] 上記[10]〜[12]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、アンダーフィル材。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、高硬度でタック性が無く、耐熱黄変性及び耐光黄変性に優れた樹脂硬化物を与える樹脂組成物及び該樹脂組成物の材料を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0012】
[シリカ粒子含有縮合反応物]
本発明の一態様は、シラノール基を含有するポリシロキサン化合物(a)と、シリカ粒子(b)と、が縮合されてなる構造を少なくとも有し、該ポリシロキサン化合物(a)と該シリカ粒子(b)とを少なくとも含む反応成分の縮合反応により得られ、該ポリシロキサン化合物(a)が、水酸基及び加水分解性基から選ばれる1つ以上の基を有するシラン化合物又はその縮合物の重合生成物であり、該加水分解性基が、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基及びアセトキシ基の少なくともいずれかであり、該ポリシロキサン化合物(a)中の珪素の、シロキサン結合、該水酸基との直接結合、及び該加水分解性基との直接結合のいずれかを形成している結合手の合計数に対する、該水酸基との直接結合を形成している結合手の数の割合として定義されるシラノール基含有率が、1〜90%である、シリカ粒子含有縮合反応物を提供する。
【0013】
本発明のシリカ粒子含有縮合生成物は、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)とが縮合してなる構造を少なくとも有する。本発明の縮合反応物を用いて形成される樹脂は、ポリシロキサン系樹脂の特徴である良好な耐熱黄変性及び耐光黄変性を有している。また、本発明においては、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)とが縮合しているため、高硬度でタック性が低減された樹脂を形成できる一方で、シリカ粒子含有縮合反応物を含む樹脂組成物の粘度及びチクソ性を低く抑えることができる。
【0014】
<ポリシロキサン化合物(a)>
本発明において用いるポリシロキサン化合物(a)は、上述で定義されるシラノール基含有率が1〜90mol%であるポリシロキサン化合物である。シラノール基はシリカ粒子(b)との縮合反応にあずかる。シラノール基含有率は、好ましくは5〜90mol%、より好ましくは10〜90mol%、さらに好ましくは10〜80mol%、さらに好ましくは10〜70mol%、さらに好ましくは15〜70mol%である。シラノール基含有率は、シリカ粒子(b)との結合のしやすさの観点から1mol%以上であり、分子量制御の観点から90mol%以下である。シラノール基含有率は29SiNMR分析、及びガスクロマトグラム分析により算出できる。
【0015】
ポリシロキサン化合物(a)は、不飽和炭化水素基及び/又はSiH基を有することが好ましい。不飽和炭化水素基及び/又はSiH基を有することにより、より高硬度の樹脂硬化物が形成されるという利点が得られる。不飽和炭化水素基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキセニルエチル基、ノルボルネニルエチル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、スチレニル基等の非環式及び環式のアルケニル基、PhCH=CH−基等のアラアルケニル基、等が挙げられる。不飽和炭化水素基及び/又はSiH基の存在の有無は、1HNMR分析、フーリエ変換型赤外分光分析(FT−IR)等によって評価できる。
【0016】
<ポリシロキサン化合物(a)の合成>
ポリシロキサン化合物(a)は、水酸基及び加水分解性基から選ばれる1つ以上の基を有するシラン化合物又はその縮合物の重合生成物である。ここで加水分解性基とは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基及びアセトキシ基の少なくともいずれかである。典型的には、ポリシロキサン化合物(a)は、例えば、下記一般式(2)、(3)及び(4)でそれぞれ表されるシラン化合物並びにこれらの縮合物から選ばれる1種以上の成分を加水分解(但し該成分がシラノール基を有する場合は必須ではない)及び縮合させることによって得ることができる。
【0017】
2n23n3SiX24-n2-n3 (2)
{式中、n2は、1〜3の整数であり、n3は、1≦n2+n3≦3を満たす整数であり、R2は、不飽和炭化水素を含有する1価の有機基であり、R3は、飽和炭化水素基及び芳香族基から選ばれる有機基であり、X2は、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる基であり、複数存在する場合のR2、R3及びX2はそれぞれ同一でも異なっていても構わない。}
n44n5SiX34-n4-n5 (3)
{式中、n4は、1〜3の整数であり、n5は、1≦n4+n5≦3を満たす整数であり、R4は、1価の有機基であり、X3は、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる基であり、複数存在する場合のR4及びX3はそれぞれ同一でも異なっていても構わない。}
5n6SiX44-n6 (4)
{式中、n6は、0〜3の整数であり、R5は、1価の有機基であり、X4は、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる基であり、複数存在する場合のR5及びX4はそれぞれ同一でも異なっていても構わない。}
【0018】
一般式(2)中のR2は、不飽和炭化水素基を含んでいればよく、具体的には、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキセニルエチル基、ノルボルネニルエチル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、スチレニル基等の非環式及び環式のアルケニル基、PhCH=CH−基等のアラアルケニル基、等が挙げられる。中でも、耐熱性、耐光性の観点からビニル基が好ましい。不飽和炭化水素基は、ポリシロキサン化合物(a)中に不飽和炭化水素基を与え、樹脂硬化物の硬度の向上に寄与する。
【0019】
3は、飽和炭化水素基及び芳香族基から選ばれ、複数存在する場合には互いに独立に選ばれる。R3として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、iso−ヘプチル基、n−オクチル基、iso−オクチル基、t―オクチル基、n−ノニル基、iso−ノニル基、n−デシル基、iso−デシル基等の非環式又は環式の脂肪族炭化水素基、ベンジル基、フェネチル基、2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基等のアラルキル基、及びフェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基が挙げられる。中でも、炭素数1〜10の有機基が耐熱性の観点から好ましく、より好ましくはメチル基、エチル基及びフェニル基である。
【0020】
一般式(3)及び(4)中のR4及びR5は、それぞれ独立に1価の有機基であり、具体的には、R2について例示した不飽和炭化水素基並びにR3について例示した飽和炭化水素基及び芳香族基から選ばれる1種以上を含む有機基が挙げられる。中でも、炭素数1〜10の有機基が耐熱性の観点から好ましく、より好ましくは、メチル基、エチル基及びフェニル基である。
【0021】
2、X3及びX4は、それぞれ独立に、水酸基、並びに加水分解可能な置換基であるハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる。具体的には、例えば水酸基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等のアルコキシ基、及びアセトキシ基等が挙げられる。この中でも塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基及びアセトキシ基は、ポリシロキサン化合物(a)合成時の縮合反応の反応性が高いため好ましい。
【0022】
以下、上記一般式(2)、(3)及び(4)で表されるシラン化合物及び/又はその縮合物を用いる場合を例にポリシロキサン化合物(a)の製造について説明するが、本発明はこれに限定するものではない。ポリシロキサン化合物(a)は、上述したようなシラン化合物及び/又はその縮合物に、水を添加することによって製造することが好ましい。水の添加量としては、上記一般式(2)で表されるシラン化合物のX2、上記一般式(3)で表されるシラン化合物のX3、及び上記一般式(4)で表されるシラン化合物のX4の合計モル数に対して0.1当量〜10当量(モル基準)の範囲が好ましく、更に好ましくは0.4当量〜8当量の範囲である。水の添加量が0.1当量以上であると、ポリシロキサン化合物(a)の分子量が上がるため好ましく、10当量以下であることは、縮合反応により得られるポリシロキサン化合物(a)生成物の溶液のポットライフを長くする観点から好ましい。
【0023】
ポリシロキサン化合物(a)を触媒の存在下での縮合反応により製造する場合、加水分解及び縮合の速度が速くなるため好ましい。
【0024】
触媒の種類としては、具体的には、酸触媒として無機酸及び有機酸が挙げられる。上記無機酸としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。上記有機酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、シトラコン酸、リンゴ酸、グルタル酸等が挙げられる。
【0025】
これらの触媒は、1種で又は2種以上を混合して用いることができる。また使用される酸触媒の量が、ポリシロキサン化合物(a)を製造する際の反応系のpHを0.01〜6.0の範囲に調整する量である場合、ポリシロキサン化合物(a)の重量平均分子量を良好に制御できるため好ましい。
【0026】
ポリシロキサン化合物(a)を製造するための縮合反応は、有機溶媒中で行うことができる。縮合反応に使用できる有機溶媒としては、例えばアルコール、エステル、ケトン、エーテル、脂肪族炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物、アミド化合物等が挙げられる。
【0027】
上記アルコール類としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールのような一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールのような多価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルのような多価アルコールのモノエーテル類等が挙げられる。
【0028】
上記エステル類としては例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。ケトン類としては例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン等が挙げられる。
【0029】
上記エーテル類としては上記の多価アルコールのモノエーテル類の他に、例えばエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルのような多価アルコールの水酸基の全てをアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル類、及び、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール等が挙げられる。
【0030】
上記脂肪族炭化水素化合物としては例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等が挙げられる。
【0031】
上記芳香族炭化水素化合物としては例えばベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0032】
上記アミド化合物としては例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0033】
以上の溶媒の中でもメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が水と混合しやすく、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合反応時に、ポリシロキサン化合物(a)中にシリカ粒子(b)を分散させやすいため好ましい。
【0034】
これらの溶媒は単独で使用してもよいし、複数の溶媒を組み合わせて使用しても構わない。また上記溶媒を用いずにバルク中で反応を行ってもよい。
【0035】
ポリシロキサン化合物(a)を製造する際の反応温度は特に制限は無いが、好ましくは−50℃以上200℃以下、より好ましくは0℃以上150℃以下の範囲である。上記の範囲で反応を行うことにより、ポリシロキサン化合物(a)の分子量を良好に制御することができる。
【0036】
本発明においては、ポリシロキサン化合物(a)中の珪素の、シロキサン結合、水酸基との直接結合、及び加水分解性基との直接結合をそれぞれ形成している結合手の合計数に対する、該シロキサン結合を形成している結合手の数の割合として定義される縮合率が、5mol%以上95mol%以下であることが好ましく、10mol%以上95mol%以下であることが好ましく、より好ましくは20mol%以上90mol%以下であり、さらに好ましくは30mol%以上85mol%以下である。上記縮合率は、ポリシロキサン化合物(a)の分子量を上げる観点から5mol%以上であることが好ましく、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合のしやすさから5mol%以上、95mol%以下であることが好ましい。
【0037】
上記縮合率は、より典型的には、ポリシロキサン化合物(a)の製造に用いる上記一般式(2)、(3)及び(4)で表される成分におけるX2、X3及びX4のうち、Si−O−Si結合に変わったものの割合である。
【0038】
上記縮合率は、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応生成物液から、50℃以下で真空ポンプを用いて溶媒を除去したものや、ポリシロキサン化合物(a)を重溶媒中で合成して得られた反応生成物液を、29SiNMRで分析することにより、M0、M1、D0、D1、D2、T0、T1、T2、T3、Q0、Q1、Q2、Q3、Q4成分を確認することによって算出できる。なお、(SiO1/2)成分のうち、Si−O−Si結合を持たない珪素原子のことをM0成分と表し、Si−O−Si結合を1つ持つ珪素原子のことをM1と表す。(SiO2/2)成分のうち、Si−O−Si結合を持たない珪素原子のことをD0成分と表し、Si−O−Si結合を1つ持つ珪素原子のことをD1成分と表し、Si−O−Si結合を2つ持つ珪素原子のことをD2成分と表す。(SiO3/2)成分のうち、Si−O−Si結合を持たない珪素原子のことをT0成分と表し、Si−O−Si結合を1つ持つ珪素原子のことをT1成分と表し、Si−O−Si結合を2つ持つ珪素原子のことをT2成分と表し、Si−O−Si結合を3つ持つ珪素原子のことをT3成分と表す。(SiO4/2)成分のうち、Si−O−Si結合を持たない珪素原子のことをQ0成分と表し、Si−O−Si結合を1つ持つ珪素原子のことをQ1成分と表し、Si−O−Si結合を2つ持つ珪素原子のことをQ2成分と表し、Si−O−Si結合を3つ持つ珪素原子のことをQ3成分と表し、Si−O−Si結合を4つ持つ珪素原子のことをQ4成分と表す。
【0039】
ポリシロキサン化合物(a)の縮合率は、29SiNMRの各珪素ピークの面積比より下記のように算出できる。
例えば、D1成分のピーク面積を(D1)と表す。
縮合した珪素面積:
{(M1)+(D1)+(D2)×2+(T1)+(T2)×2+(T3)×3+(Q1)+(Q2)×2+(Q3)×3+(Q4)×4}
全珪素面積:
{(M0)+(M1)}+{(D0)+(D1)+(D2)}×2+{(T0)+(T1)+(T2)+(T3)}×3+{(Q0)+(Q1)+(Q2)+(Q3)+(Q4)}×4
ポリシロキサン化合物(a)縮合率=(縮合した珪素面積)/(全珪素面積)×100
【0040】
ポリシロキサン化合物(a)の合成に際して得られる、ポリシロキサン化合物(a)を含有する反応液を、ガスクロマトグラムで分析すると、加水分解により遊離したX2、X3、及びX4を検出することができる。遊離した加水分解基の質量は、例えば各成分の検量線を引くことで算出することができる。反応前のX2、X3及びX4の総モル数を(M1)[mol]、該ポリシロキサン化合物(a)を含有する反応液量を加味して算出された、遊離した加水分解基の総量を(M2)[mol]とすると、加水分解率は、下記のように算出することができる。
加水分解率=(M2)/(M1)×100
シラノール基含有率は、ポリシロキサン化合物(a)の縮合率、及び加水分解率から、下記のように算出することができる。
シラノール基含有率=(加水分解率)−(ポリシロキサン化合物(a)の縮合率)
【0041】
加水分解率は、好ましくは10〜100mol%、より好ましくは20〜100mol%、さらに好ましくは40〜100mol%、最も好ましくは50〜100mol%である。加水分解率は縮合反応のためのシラノール基を良好に供給する観点から10mol%以上であることが好ましい。
【0042】
<シリカ粒子(b)>
本発明において使用されるシリカ粒子(b)としては、例えばヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。
【0043】
上記ヒュームドシリカは、珪素原子を含む化合物を気相中で酸素及び水素と反応させることによって得ることができる。原料となるケイ素化合物としては、例えばハロゲン化ケイ素(例えば塩化ケイ素等)等が挙げられる。
【0044】
コロイダルシリカは、原料化合物を加水分解・縮合するゾルゲル法により合成することができる。コロイダルシリカの原料化合物としては、例えば、アルコキシケイ素(例えばテトラエトキシシラン等)、ハロゲン化シラン化合物(例えばジフェニルジクロロシラン等)等が挙げられる。中でも、金属やハロゲン等の不純物は少ないことが好ましいため、アルコキシケイ素から得られたコロイダルシリカがより好ましい。
【0045】
本発明のシリカ粒子含有縮合反応物は、ポリシロキサン化合物(a)と該シリカ粒子(b)とを少なくとも含む反応成分の縮合反応により得られる。ここで反応成分とは、シリカ粒子含有縮合反応物において縮合構造を形成することになる成分を意味する。反応成分中のシリカ粒子(b)の含有率は、1質量%以上70質量%以下であることが好ましい。上記含有率は、硬化膜の硬度向上の観点から、1質量%以上が好ましく、該縮合反応物の粘度の観点から、70質量%以下が好ましい。上記含有率は、より好ましくは、5質量%以上60質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上50質量%以下である。反応成分中のシリカ粒子含有率は、例えば反応に使用した原料と、29SiNMR測定から算出することができる。反応に使用したD成分、T成分、Q成分、シリカ粒子は、使用した原料から算出し、M成分については、29SiNMR測定の面積比より、シリカ粒子含有縮合反応物中のM成分の存在比を算出することができる。シリカ粒子含有縮合反応物中のM成分、D成分、T成分、Q成分が持つ結合手は、全てSi−O−Si結合に使われたとして、反応成分中のシリカ粒子含有率を算出できる。内標を添加して、29SiNMRを測定することにより、算出することもできる。
【0046】
シリカ粒子の平均一次粒子径は、1nm以上120nm以下であることが好ましく、1nm以上40nm以下であることがより好ましい。上記平均一次粒子系が1nm以上である場合、硬度が向上するため好ましく、120nm以下である場合、硬化物の300nm以下の透明性が向上するため好ましい。
【0047】
シリカ粒子の平均二次粒子径は、2nm以上250nm以下であることが好ましく、2nm以上80nm以下であることがより好ましい。上記平均二次粒子径が2nm以上である場合、硬度が向上するため好ましく、250nm以下である場合、硬化物の300nm以下の透明性が向上するため好ましい。
【0048】
上記平均一次粒子径は、BETの比表面積から計算で求められる値であり、平均二次粒子径は、動的光散乱光度計で測定される値である。
【0049】
シリカ粒子(b)の形状は、球状、棒状、板状若しくは繊維状又はこれらの2種類以上が合体した形状であることができるが、好ましくは球状である。なお、ここでいう球状とは、真球状の他、回転楕円体や卵形等の略球状である場合も含むものである。
【0050】
シリカ粒子(b)の比表面積は、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合反応物の粘度と、硬化物の硬度との観点から、BET比表面積で、1,000m2/g以下であることが好ましく、800m2/g以下であることがより好ましい。上記BET比表面積は、N2分子の圧力とガス吸着量とから計算される方法で測定される値である。
【0051】
シリカ粒子(b)としては、上記の要件に適合するものを好ましく使用できるが、制限は無く、市販品を使用することもできる。
【0052】
市販品としては、コロイダルシリカとして、例えばLEVASILシリーズ(H.C.Starck(株)製)、メタノールシリカゾルIPA−ST、同MEK−ST、同NBA−ST、同XBA−ST、同DMAC−ST、同ST−UP、同ST−OUP、同ST−20、同ST−40、同ST−C、同ST−N、同ST−O、同ST−50、同ST−OL(以上、日産化学工業(株)製)、クオートロンP Lシリーズ(扶桑化学(株)製)、OSCALシリーズ(触媒化成工業(株)製)等;粉体状のシリカ粒子として、例えばアエロジル130、同300、同380、同TT600、同OX50(以上、日本アエロジル(株)製)、シルデックスH31、同H32、同H51、同H52、同H121、同H122(以上、旭硝子(株)製)、E220A、E220(以上、日本シリカ工業(株))、SYLYSIA470(富士シリシア(株)製)、SGフレーク(日本板硝子(株)製)等;粉体状のシリカ粒子として、例えばアエロジル130、同300、同380、同TT600、同OX50(以上、日本アエロジル(株)製)、シルデックスH31、同H32、同H51、同H52、同H121、同H122(以上、旭硝子(株)製)、E220A、E220(以上、日本シリカ工業(株)製)、SYLYSIA470(富士シリシア(株)製)、SGフレーク(日本板硝子(株)製)等が、それぞれ挙げられる。
【0053】
<シリカ粒子含有縮合反応物の特性>
【0054】
シリカ粒子含有縮合反応物においては、該縮合反応物中の珪素の、シロキサン結合、水酸基との直接結合、及び前述の加水分解性基との直接結合をそれぞれ形成している結合手の合計数に対する、該シロキサン結合を形成している結合手の数の割合として定義される、縮合反応物縮合率が、50mol%以上100mol%以下であることが好ましい。上記縮合反応物縮合率は、縮合構造形成による高硬度化及びタック性低減の効果を良好に得る観点から50mol%以上であることが好ましい。シランカップリング剤が用いられていないシリカ粒子含有縮合反応物(又は、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合生成物にさらにシランカップリング剤を反応させる場合における該縮合生成物)においては、上記縮合反応物縮合率は、より好ましくは60mol%以上100mol%以下、さらに好ましくは70mol%以上100mol%以下である。また、シランカップリング剤が用いられているシリカ粒子含有縮合反応物においては、上記縮合反応物縮合率は、より好ましくは75mol%以上100mol%以下、さらに好ましくは85mol%以上100mol%以下である。
【0055】
<シリカ粒子含有縮合反応物の製造>
本発明のシリカ粒子含有縮合反応物は、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)とを縮合反応させて得られる。縮合反応の際には、溶媒中に分散した状態でのシリカ粒子(b)をポリシロキサン化合物(a)と反応させることができる。溶媒としては、水若しくは有機溶媒又はこれらの混合溶媒を使用することができる。使用される有機溶媒の種類は、使用されるシリカ粒子(b)の分散媒によって変わる。使用されるシリカ粒子(b)の分散媒が水系の場合は、水及び/又はアルコール系溶媒をシリカ粒子(b)の水分散媒に加えてからシリカ粒子(b)をポリシロキサン化合物(a)と反応させてもよいし、シリカ粒子(b)の水溶液中の溶媒を一度アルコール系溶媒に置換してから、シリカ粒子(b)をポリシロキサン化合物(a)と反応させてもよい。使用できるアルコール系溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール等挙げられ、これらは、水と容易に混合するため好ましい。
【0056】
使用されるシリカ粒子(b)の分散媒がアルコール、ケトン、エステル、炭化水素等の溶媒である場合は、水又はアルコール、エーテル、ケトン、エステル等の溶媒を使用することができる。アルコール類としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えばジメトキシエタンが挙げられる。ケトン系溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エステル系溶媒としては、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0057】
シリカ粒子(b)とポリシロキサン化合物(a)との縮合反応は、酸性雰囲気下で行われることが好ましい。酸触媒としてはポリシロキサン化合物(a)の製造に用いるものと同じ酸触媒を挙げることができる。ポリシロキサン化合物(a)の製造後に酸触媒を取り除く場合には、シリカ粒子(b)とポリシロキサン化合物(a)とを反応させる際に酸触媒を再度加える必要があるが、ポリシロキサン化合物(a)製造後に酸触媒を取り除かずそのままシリカ粒子(b)を反応させる場合は、酸触媒を再度加えなくても、ポリシロキサン化合物(a)を反応させる際に使用した酸触媒でポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との反応を行うことができる。しかし、この場合、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との反応時に改めて酸触媒を加えても構わない。
【0058】
また、シリカ粒子(b)とポリシロキサン化合物(a)とを酸触媒で縮合反応させた後、さらに縮合を進めるために、塩基触媒を添加してもよい。塩基触媒としては、無機塩基及び有機塩基が挙げられる。無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ又はアルカリ土類金属炭酸塩、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等の金属炭酸水素塩が挙げられる。有機塩基としては、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等のトリアルキルアミン;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の炭素数1〜4のN,N−ジアルキルアニリン誘導体;ピリジン、2,6−ルチジン等の、炭素数1〜4のアルキル置換基を有していてもよいピリジン誘導体等を挙げられる。
【0059】
ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合反応物を製造する際の反応温度は特に制限は無いが、好ましくは−50℃以上200℃以下、より好ましくは0℃以上150℃以下の範囲で行う。上記の範囲で反応を行うことにより、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合率(ポリシロキサン−シリカ縮合率)を制御することができる。
【0060】
ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)の縮合反応の際に使用される水は、上記から選ばれる溶媒を加えた後に、例えば蒸留等の方法によって取り除き、縮合反応物中における水分及び/又はアルコールを1質量%以下にすることが好ましい。水分及び/又はアルコールの含有量が上記範囲内であると、本発明のシリカ粒子含有縮合反応物を硬化させる際に、収縮が低減され、クラックが入りにくくなるために好ましい。
【0061】
本発明においては、ポリシロキサン化合物(a)合成時の縮合反応後、及び/又は、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合反応後に、蒸留、抽出による洗浄、又はイオン交換等の方法により、触媒を取り除くことで、本発明のシリカ粒子含有縮合反応物のpHを6以上8以下に調整することが好ましい。pHが上記範囲内であると、本発明の縮合反応物のポットライフが長くなるため好ましい。
【0062】
<シランカップリング剤>
本発明のシリカ粒子含有縮合反応物は、シランカップリング剤を更に反応させて得られるものであることが好ましい。シランカップリング剤は、反応成分中に含有させることができる。この場合、縮合反応を、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)とを縮合させて得られる縮合生成物(以下、これを単に縮合生成物ということもある)にシランカップリング剤を更に反応させることによって行ってもよいし、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合反応時にシランカップリング剤を共存させてこれらを同時に縮合させることにより行ってもよい。特に前者の場合には、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)の縮合生成物をシランカップリング剤モノマーで封止できる。この場合、具体的には、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合反応を終えた後に、反応系中にシランカップリング剤を添加して反応させることができる。
【0063】
シランカップリング剤は、シラノール基と反応してSi−O−Si結合を形成することができれば特に限定されないが、好ましい例としては、例えば、下記一般式(1)及び(5)に示す化合物が挙げられる。
【0064】
1n1SiX14-n1 (1)
{式中、n1は、1〜3の整数であり、R1は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、X1は、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる基であり、複数存在する場合のR1及びX1はそれぞれ同一でも異なっていても構わない}
6n77n8Si−NX5−SiR6n77n8 (5)
{式中、n7は、0〜3の整数であり、n8は、n7+n8=3を満たす整数であり、R6は、水素原子又は、不飽和炭化水素を含有する1価の有機基であり、R7は、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を有するか又は芳香族基を含有する1価の有機基であり、X5は、水素原子、Li、Na及びKから選ばれる原子である。}
【0065】
上記シランカップリング剤は、1種で又は2種以上の組み合わせで使用できる。また上記シランカップリング剤は、ニートで加えてもよく、後述の活性水素を持たない溶媒中に希釈して加えてもよい。
【0066】
上記一般式(1)中のR1は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、例えば、具体的には、R2について例示した不飽和炭化水素基並びにR3について例示した飽和炭化水素基及び芳香族基から選ばれる1種以上を含む有機基が挙げられる。中でも、炭素数1〜10の有機基が耐熱性の観点から好ましく、より好ましくは、水素原子、ビニル基、メチル基、エチル基及びフェニル基である。
【0067】
上記一般式(1)中のX1は、水酸基、又は加水分解可能な置換基であり、X2、X3及びX4について前述で例示した置換基を用いることができる。中でもSi−O−Si結合の形成しやすさの観点から塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基及びアセトキシ基が好ましい。
【0068】
シランカップリング剤として使用できる一般式(1)の化合物においては、シラノールとの反応性の観点から、X1がハロゲン原子であることが好ましく、特にCl原子であることが好ましい。
【0069】
1がCl(塩素)原子であるシランカップリング剤としては、具体的には、トリメチルクロロシラン、ジメチルクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルクロロシラン、ジクロロメチルシラン、トリクロロシラン等のアルキルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン等の不飽和炭化水素基含有クロロシラン、トリフェニルクロロシラン、ジフェニルメチルクロロシラン、ジメチルフェニルクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン等の芳香族基含有クロロシラン、ジメチルシクロヘキシルクロロシラン、ジシクロヘキシルメチルクロロシラン、ジシクロヘキシルジクロロシラン、メチルシクロヘキシルジクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、ジメチルシクロペンチルクロロシラン、ジシクロペンチルメチルクロロシラン、ジシクロペンチルジクロロシラン、メチルシクロペンチルジクロロシラン、シクロペンチルトリクロロシラン等の脂肪族基含有クロロシラン等が挙げられる。
【0070】
一般式(5)中のR6は、水素原子又は、不飽和炭化水素を含有する1価の有機基である。不飽和炭化水素を含有する1価の有機基としては、具体的には、水素原子及びR2について例示した不飽和炭化水素含有基から選ばれる1種類以上を含む有機基が挙げられる。中でも、炭素数1〜10の有機基が耐熱性の観点から好ましく、より好ましくは、水素原子及びビニル基である。
【0071】
一般式(5)中のR7は、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を有するか又は芳香族基を含有する1価の有機基であり、具体的にはR3について例示した飽和炭化水素基及び芳香族基から選ばれる1種以上を含む有機基が挙げられる。中でも、炭素数1〜10の有機基が耐熱性の観点から好ましく、より好ましくは、メチル基、エチル基及びフェニル基である。
【0072】
一般式(5)中のX5は、水素原子、Li、Na及びKから選ばれる原子であり、ポリマーの精製の観点から水素原子が好ましい。
【0073】
一般式(5)式で表されるシランカップリング剤としては、具体的には、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザンリチウム、テトラメチルジシラザンリチウム、ジビニルテトラメチルジシラザンリチウム、ヘキサメチルジシラザンナトリウム、テトラメチルジシラザンナトリウム、ジビニルテトラメチルジシラザンナトリウム、ヘキサメチルジシラザンカリウム、テトラメチルジシラザンカリウム、ジビニルテトラメチルジシラザンカリウムが挙げられる。
【0074】
シランカップリング剤の使用量は、ポリシロキサン化合物(a)(ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合時にシランカップリング剤も反応させる場合)、又は、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合生成物(該縮合生成物に対してシランカップリング剤を更に反応させる場合)が持つシラノール含有量に対して(モル当量で)、好ましくは0.1倍〜10倍、より好ましくは0.5倍〜5倍、さらに好ましくは0.7倍〜2倍、最も好ましくは0.7倍〜1.5倍である。上記使用量は、耐熱性の観点から0.1倍以上であることが好ましく、収率の観点から10倍以下であることが好ましい。なお、上記シラノール含有量は下記の方法で測定できる。すなわちガスクロマトグラム分析により加水分解率を算出し、29SiNMR分析より縮合率を算出し、ポリシロキサン化合物(a)中、又はポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合生成物中に含まれるシラノール量(M3)molを算出する。
【0075】
シランカップリング剤が、アルコキシシランである場合は、上記ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との反応と同様の方法を用いてシランカップリング剤を縮合反応させることが出来る。
【0076】
シランカップリング剤が、ハロゲン化シラン、ジシラザン誘導体等のように活性水素との反応性が高いものである場合は、シランカップリング剤の反応を、水、アルコール等の活性水素を持たない溶媒中で行うことが好ましい。好ましい溶媒としては、例えば、エステル、ケトン、エーテル、脂肪族炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物、アミド化合物等が挙げられる。
【0077】
上記エステル類としては例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。ケトン類としては例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン等が挙げられる。
【0078】
上記エーテル類としては例えばエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルのような多価アルコールの水酸基の全てをアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル類、多価アルコールの水酸基のすべてをアルキルエーテル化及び/又はエステル化した多価アルコールエステル類、並びに、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール等が挙げられる。
【0079】
上記脂肪族炭化水素化合物としては例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等が挙げられる。
【0080】
上記芳香族炭化水素化合物としては例えばベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0081】
上記アミド化合物としては例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0082】
これらの溶媒は単独で使用してもよいし、複数の溶媒を組み合わせて使用しても構わない。また上記溶媒を用いずにバルク中で反応を行ってもよい。
【0083】
シランカップリング剤の反応は、水、アルコール等の活性水素を持つ溶媒の含有量が1質量%以下である反応系中で行うことが好ましい。低分子量成分のポリマー生成が少なく、耐熱性が良好な樹脂を得られる点で1質量%以下が好ましい。
【0084】
シランカップリング剤の反応には、縮合速度の観点から、有機塩基を触媒として用いることが好ましい。
【0085】
有機塩基としては、例えば、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等が挙げられる。これらの有機塩基は、1種で又は2種以上を混合して使用できる。
【0086】
シランカップリング剤を反応させる際の反応温度には特に制限は無いが、好ましくは−78℃以上200℃以下、より好ましくは−20℃以上150℃以下の範囲で行う。
【0087】
シランカップリング剤の反応後は、水洗、抽出、析出、イオン交換等の方法で、発生した塩酸塩、及び反応系中の有機塩基を除去、精製することが好ましい。これらの方法により、本発明のシリカ粒子含有縮合反応物のpHを6以上8以下に調整することが好ましい。pHが上記範囲内であると、本発明の縮合反応物のポットライフが長くなるため好ましい。
【0088】
シリカ粒子含有縮合反応物の精製の際には、上記から選ばれる溶媒を加えた後に蒸留する方法等によって系中の水を取り除くことが好ましい。
【0089】
本発明のシリカ粒子含有縮合反応物中に含まれる水分は1質量%以下であることが好ましい。この場合、本発明の縮合反応物を硬化させる際に、収縮が低減され、クラックが入りにくくなるため好ましい。水分の含有量は、例えばカールフィッシャー法で測定できる。
【0090】
また、本発明のシリカ粒子含有縮合反応物中に含まれる溶媒は1質量%以下であることが好ましい。この場合、本発明の縮合反応物を硬化させる際に、収縮が低減され、クラックが入りにくくなるため好ましい。溶媒の含有量は、例えばガスクロマトグラムを用いて測定できる。
【0091】
本発明においては、ポリシロキサン化合物(a)及び/又はシランカップリング剤が、不飽和炭化水素基及び/又はSiH基を含有することが好ましい。特に、シランカップリング剤が上記一般式(1)で表されるシラン化合物であり、かつポリシロキサン化合物(a)及び/又はシランカップリング剤が不飽和炭化水素基及び/又はSiH基を含有することが好ましい。これらの場合、より高硬度の樹脂硬化物が得られる。これらの場合の不飽和炭化水素基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキセニルエチル基、ノルボルネニルエチル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、スチレニル基等の非環式及び環式のアルケニル基、PhCH=CH−基等のアラアルケニル基、等が挙げられる。
【0092】
特に、上記一般式(2)〜(4)でそれぞれ表されるシラン化合物及びその縮合物、並びに一般式(1)及び(5)でそれぞれ表されるシランカップリング剤のうち少なくともいずれかが不飽和炭化水素基及び/又はSiH基を含有し、該不飽和炭化水素基及び/又はSiH基が結合している珪素原子の割合が、これらの成分に含まれる全珪素原子のうち5mol%以上80mol%以下であることが好ましく、より好ましくは10mol%以上70mol%以下であり、さらに好ましくは15mol%以上50mol%以下である。上記割合は、本発明の樹脂を用いた硬化物の硬度の観点から5mol%以上であることが好ましく、硬化物の耐熱性及び耐光性の観点から80mol%以下であることが好ましい。
【0093】
上記割合は、シリカ粒子含有縮合反応物を、溶液又は固体で1HNMR分析及び29SiNMR分析することによっても算出することができる。
【0094】
本発明のシリカ粒子含有縮合反応物中に含まれるQ成分は、ポットライフ及び粘度の観点から縮合率が高いものであることが好ましい。シリカ粒子含有縮合反応物のQ成分とは、シリカ粒子含有縮合反応物中の、シリカ粒子(b)、上記一般式(4)で表されるシラン化合物のうちn6=0であるもの、及び一般式(1)で表されるシラン化合物のうちn1=0であるもの、に由来する部分である。Q成分の縮合率は、溶液又は固体の29SiNMR分析よりシロキサン結合数が0〜4に相当する成分量を求めることによって評価できる。シリカ粒子含有縮合反応物のシロキサン結合数が0に相当する成分(Q0成分)、シロキサン結合数が1つに相当する成分(Q1成分)、シロキサン結合数が2つに相当する成分(Q2成分)、シロキサン結合数が3つに相当する成分(Q3成分)、及びシロキサン結合数が4つに相当する成分(Q4成分)のピーク強度のトータルに占めるQ4成分のピーク強度の割合が、50%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上である。上記割合が上記範囲内であると、ヒドロシリル基、アルコキシ基等の末端基が少ないため、樹脂の硬化収縮率を小さくできるとともに、シリカ粒子含有縮合反応物のポットライフが長くなることから好ましい。なお、各Q成分のピーク強度はピーク面積から算出する。
【0095】
本発明のシリカ粒子含有縮合反応物の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による標準ポリメチルメタクリレート換算での重量平均分子量は、好ましくは1,000以上200,000以下の範囲、更に好ましくは1,000以上100,000以下である。該縮合反応物の重量平均分子量が1,000以上であると、耐熱性、及びシリカ粒子含有縮合反応物のポットライフが長く、重量平均分子量が200,000以下であると、シリカ粒子含有縮合反応物の粘度が低くなるため好ましい。
【0096】
本発明の別の態様は、上述した本発明のシリカ粒子含有縮合反応物(A)と、ヒドロシリル化触媒(B)とを含み、該シリカ粒子含有縮合反応物(A)が不飽和炭化水素基及び/又はSiH基を含有し、該シリカ粒子含有縮合反応物(A)の含有率が20質量%以上であり、かつ不飽和炭化水素基及びSiH基を含有する、樹脂組成物を提供する。
【0097】
本発明の更に別の態様は、上述した本発明のシリカ粒子含有縮合反応物(A)と、ヒドロシリル化触媒(B)と、不飽和炭化水素基及び/又はSiH基を含有する成分(C)とを含み、該シリカ粒子含有縮合反応物(A)の含有率が20質量%以上であり、かつ不飽和炭化水素基及びSiH基を含有する、樹脂組成物を提供する。
【0098】
本発明の樹脂組成物は、上記いずれの態様においても、不飽和炭化水素基とSiH基とを含有するため、加熱によってこれらが付加反応して樹脂組成物を硬化させることができる。すなわち、シリカ粒子含有縮合反応物(A)が不飽和炭化水素基及びSiH基を有する態様においては、これらの不飽和炭化水素基及びSiH基が付加反応できる。一方、樹脂組成物が、不飽和炭化水素基及びSiH基を含有する成分(C)を含有する場合には、該成分(C)中の不飽和炭化水素基及びSiH基が付加反応できる。なお、成分(C)を含有する樹脂組成物の態様において、更にシリカ粒子含有縮合反応物(A)が不飽和炭化水素基及び/又はSiH基を含有していてもよい。
【0099】
成分(C)を構成する、不飽和炭化水素基を有する化合物、及び/又はSiH基を有する(すなわち珪素原子に直接結合した水素原子を含有する)化合物として、例えば、上記一般式(2)〜(4)でそれぞれ表されるシラン化合物から選ばれる1種以上を加水分解及び縮合してなるポリオルガノシロキサンを挙げることができる。これは、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合反応における未縮合のポリシロキサン化合物(a)であってもよい。樹脂組成物の好ましい例としては、シリカ粒子含有縮合反応物(A)、ヒドロシリル化触媒(B)、並びに成分(C)として、不飽和炭化水素を含有する化合物、及び/又は珪素原子に直接結合した水素原子を含有する化合物、からなる樹脂組成物が挙げられる。
【0100】
樹脂組成物においては、シリカ粒子含有縮合反応物(A)の含有率が、20質量%以上100質量%以下であることが好ましく、より好ましくは30質量%以上100質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以上100質量%以下である。上記含有率は、得られる硬化膜の硬度の観点から、20質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
【0101】
樹脂組成物中の、全不飽和炭化水素基数Z1及び全SiH基数Z2が、0.25≦Z1/Z2≦2を満たすことが好ましく、より好ましくは0.5≦Z1/Z2≦1.5を満たし、さらに好ましくは0.7≦Z1/Z2≦1.5を満たす。Z1/Z2は、硬化物の透明性の観点から0.25以上、特に0.7以上であることが好ましく、収縮率の観点から2以下、特に1.5以下であることが好ましい。
【0102】
ヒドロシリル化触媒(B)は、不飽和炭化水素基における不飽和炭化水素と、SiH基における珪素原子に直接結合した水素原子との付加反応を促進するための触媒であり、周知のヒドロシリル化触媒を使用できる。具体的には、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H2PtCl4・nH2O、H2PtCl6・nH2O、NaHPtCl6・nH2O、KHPtCl6・nH2O、Na2PtCl6・nH2O、K2PtCl4・nH2O、PtCl4・nH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・nH2O(上式中、nは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である。)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号明細書参照);塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(米国特許第3,159,601号明細書、同第3,159,662号明細書、同第3,775,452号明細書参照);白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィンコンプレックス;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、例えば、ジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体、ビニル基含有環状シロキサンとのコンプレックス等が挙げられる。これらのヒドロシリル化触媒は、1種類で用いてもよいし、2種以上のヒドロシリル化触媒を混合して用いてもよい。ヒドロシリル化触媒(B)は有効量用いればよく、通常、樹脂組成物の合計量に対し、白金族金属の質量換算で、0.01〜1000ppm、好ましくは0.2〜100ppmである。硬化速度の観点から、0.01ppm以上が好ましく、硬化物の透明性の観点から1000ppm以下が好ましい。
【0103】
本発明の樹脂組成物には、各種支持基材との接着性を向上させる目的で、接着補助剤を添加してもよい。接着補助剤としては、シランカップリング剤、より具体的には、例えば珪素原子に直接結合した水素原子を含有するアルコキシシラン、エポキシ基を含有するアルコキシシラン、ビニル基等の不飽和結合を含有するアルコキシシラン等の有機アルコキシシラン化合物、並びに、これらの有機アルコキシシラン化合物の一部又は全てのアルコキシシランが加水分解された化合物、及びその縮合物が挙げられる。
【0104】
上記シランカップリング剤の添加量は、本発明の樹脂組成物100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下が好ましく、0.05質量部以上5質量部以下がより好ましい。シランカップリング剤の添加量は、接着性が向上する観点から0.01質量部以上が好ましく、保存安定性の観点から10質量部以下が好ましい。
【0105】
本発明の樹脂組成物に、無機フィラーを添加してもよい。無機フィラーは、光透過性への悪影響を避けるため、目的の用途において使用する波長以下の平均粒子径を有するものが好ましく、平均粒子径は、より好ましくは100nm以下である。無機フィラーは、樹脂において、例えば機械的物性を改善する場合及び熱伝導性を向上させる場合がある。無機フィラーの平均粒子径の下限は特に限定はないが、樹脂組成物の粘度が低く良好な成形性を有するため、0.1nm以上であることが好ましい。なお上記平均粒子径は、BETの比表面積から計算で求められる値である。無機フィラーの添加量は、目的に応じて選択できるが、樹脂組成物100質量部に対して、例えば1〜60質量部、より好ましくは5〜60質量部、さらに好ましくは5〜40質量部であることができる。
【0106】
本発明の樹脂組成物には、発光波長の色を変換させる目的で、蛍光体又は燐光体を添加することもできる。これらの材料は公知の方法、例えば遠心分離等を用いて樹脂組成物及び任意の他の成分と混合し、得られた混合物を公知の方法、例えば真空脱泡等で泡抜きすることが好ましい。
【0107】
本発明の樹脂組成物は公知の方法を用いて硬化させることができる。具体的には、加熱によって硬化させる方法、及び紫外線(UV)を照射することによって硬化させる方法が挙げられる。加熱により硬化させる際の温度は、20〜200℃の範囲が好ましい。
【0108】
前記の硬化反応は、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス等の不活性ガス、又は低級飽和炭化水素系ガス若しくは空気等の雰囲気下、減圧下又は加圧下で行うことができる。これらのガスは、1種又は2種以上の混合ガスとして用いることができる。
【0109】
本発明の別の態様は、上述した本発明の樹脂組成物を含む封止樹脂を提供する。封止樹脂は、典型的には、上述の本発明の樹脂組成物に、任意に、蛍光体、密着補助剤等を添加したものである。該封止樹脂は、発光素子を封止して発光ダイオードを形成するために特に有用である。
【0110】
使用される発光素子の具体例としては、例えば、基板上に半導体材料を積層して形成した発光素子を例示することができる。この場合、半導体材料としては、例えば、GaAs、GaP、GaAlAs、GaAsP、AlGaInP、GaN、InN、AlN、InGaAlN、SiC等が挙げられる。
【0111】
本発明の樹脂組成物を含む本発明の封止樹脂で発光素子を封止する方法としては、例えば、モールド型枠中に封止樹脂を予め注入し、そこに発光素子が固定されたリードフレーム等を浸漬した後に該封止樹脂を硬化させる方法、発光素子を挿入した型枠中に封止樹脂を注入した後、該封止樹脂を硬化させる方法等が挙げられる。この際、封止樹脂を注入する方法としては、ディスペンサーによる注入、トランスファー成形、射出成形等が挙げられる。さらに、その他の封止方法としては、封止樹脂を発光素子上へ滴下、孔版印刷、スクリーン印刷、又は、マスクを介して塗布して硬化させる方法、低部に発光素子を配置したカップ等に封止樹脂をディスペンサー等により注入し、硬化させる方法等が挙げられる。
【0112】
封止部分の形状としては、例えば、凹レンズ形状、凸レンズ形状、砲弾形状、板状、薄膜状等が挙げられる。
【0113】
本発明の別の態様は、上述した本発明の樹脂組成物を含む硬化性組成物を用いて形成されてなるレンズを提供する。このような硬化性組成物を従来公知の方法で硬化させてレンズを形成できる。
【0114】
また、本発明の樹脂組成物を含む硬化性組成物は、発光素子をリード端子又はパッケージに固定するダイボンド材、発光素子上のパッシベーション膜、パッケージ基板等の材料として用いることもできる。
【0115】
本発明の別の態様は、上述した本発明の樹脂組成物を含むアンダーフィル材を提供する。このようなアンダーフィル材は、例えば応力緩和及び接合補強の目的でチップ−基板間に挿入し、従来公知の方法により硬化させることができる。
【0116】
本発明の樹脂組成物を用いて得られた発光ダイオードは、従来公知の方法で性能の向上を図ることができる。性能の向上方法としては、例えば、発光素子背面に光の反射層又は集光層を設ける方法、補色着色部を底部に形成する方法、主発光ピークより短波長の光を吸収する層を発光素子上に設ける方法、発光素子を封止した後さらに硬質材料でモールディングする方法、発光ダイオードを貫通孔に挿入して固定する方法、発光素子をフリップチップ接続等によってリード部材等と接続して基板方向から光を取り出す方法等が挙げられる。
【0117】
本発明の樹脂組成物を用いて得られた発光ダイオードは、例えば、液晶ディスプレイ等のバックライト、照明、各種センサー、プリンター、コピー機等の光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等として有用である。
【実施例】
【0118】
以下、実施例及び比較例により本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。
【0119】
実施例1〜実施例10、製造例1〜製造例4、比較例1〜比較例2によるサンプルについて、(1)〜(5)についての測定を行った。
【0120】
(1)NMR測定(縮合率評価)
サンプル調製:縮合反応物濃度30質量%の重アセトン溶液にトリス(2,4−ペンタンジオナト)クロム(III)を0.5質量%添加し、サンプル調製を行った。
測定条件:
29SiNMR
日本電子製のNMR(核磁気共鳴)装置 GSX400を使用し、積算回数を2048回として積算を行った。
得られたデータから、以下の手順で、ポリシロキサン化合物(a)の縮合率を算出した。
ポリシロキサン化合物(a)の縮合率は、29SiNMRの各珪素ピークの面積比より、各成分(M0、M1、D0、D1、D2、T0、T1、T2、T3、Q0、Q1、Q2、Q3、Q4)の珪素存在率を測定することによって算出した。
具体的には下記のように算出した。
前述のD1成分のピーク面積を(D1)と表す。
縮合した珪素面積:
{(M1)+(D1)+(D2)×2+(T1)+(T2)×2+(T3)×3+(Q1)+(Q2)×2+(Q3)×3+(Q4)×4}
全珪素面積:
{(M0)+(M1)}+{(D0)+(D1)+(D2)}×2+{(T0)+(T1)+(T2)+(T3)}×3+{(Q0)+(Q1)+(Q2)+(Q3)+(Q4)}×4
ポリシロキサン化合物(a)縮合率=(縮合した珪素面積)/(全珪素面積)×100
【0121】
(2)ガスクロマトグラム測定(加水分解率評価、及びシラノール基含有率評価)
縮合反応物の反応液を、イソプロピルアルコールで希釈し、標準物質を1wt%になるように加えた溶液を、ガスクロマトグラフィー分析装置(アジレント・テクノロジー株式会社製HP6890、カラム:DB−WAX 30m×0.250mm 0.25μm厚)を用いて測定した。得られた結果から、別途作成した内部標準法による検量線を用いて、メタノール、及びエタノールの含有量を定量し、加水分解率を算出した。
前述の方法で算出した縮合率、及び加水分解率から、ポリシロキサン化合物(a)中のシラノール基含有率を算出した。
【0122】
(3)分子量測定
東ソー製のゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)、HLC−8220、及びTSKgelGMHHR−Mカラムを使用し、アセトン溶媒中、縮合反応物を1質量%溶液にして測定し、示差屈折率計(RI)により標準ポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。
【0123】
(4)粘度測定
東機産業株式会社製のRE80型粘度計を用いて、製造した各ポリマーについての粘度測定を行った。100poise以下のポリマーを○、100poiseより粘度が高いポリマーを×として、表2にまとめた。
【0124】
(5)ポットライフ
得られたポリマーを、ガラス製のサンプル瓶に5g取り、室温で1ヶ月間静置した時に、流動性を保っているポリマーを○、ゲル化したポリマーを×として、表2にまとめた。
【0125】
[ポリマーの調製]
[実施例1]
200mLのナス型フラスコに、エチルトリメトキシシラン 3.76g(25mmol)、ジメチルジメトキシシラン 4.00g(33mmol)、メトキシジメチルビニルシラン 4.92g(42mmol)、イソプロピルアルコール 12.5gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水 9.88g、37%塩酸 1μLを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、200mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、100℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液1を得た。反応液1の一部を回収し、キシレンを追加し、エバポレーターを用いて溶媒を除去した後、29SiNMR、ガスクロマトグラムを測定したところ、縮合率は63.1mol%、シラノール基含有率は33.7mol%であった。
【0126】
300mLのナス型フラスコに、PL−2L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径20nm、20質量%濃度の水分散シリカ粒子) 10.0g(シリカ粒子(b))、イソプロピルアルコール 12.5gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液1を、上記ナスフラスコへ10分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で100℃4時間還流させた。
【0127】
還流後、さらにプロピレングリコールメチルエチルアセテート(以下PGMEAと呼ぶ)40gを投入し、蒸留塔をセットし、イソプロピルアルコールと水を除去した。続いて、真空ポンプを用いて、減圧下でPEGMEAを除去し、最終的にオイルバス温度を120℃まで昇温させて、シリカ粒子含有縮合反応物であるポリマー1を得た。
【0128】
ポリマー1の反応成分中のシリカ粒子含有率は19質量%であった。ポリマー1をGPCにより分子量測定すると、標準ポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)は2200であった。
【0129】
[実施例2]
200mLのナス型フラスコに、エチルトリメトキシシラン 8.23g(55mmol)、ジメチルジメトキシシラン 8.78g(73mmol)、ジメトキシメチルビニルシラン 7.24g(55mmol)、イソプロピルアルコール 25gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水 22.7g、37%塩酸 1μLを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、200mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、100℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液2を得た。反応液2の一部を回収し、キシレンを追加し、エバポレーターを用いて溶媒を除去した後、29SiNMR、ガスクロマトグラムを測定したところ、縮合率は64.6mol%、シラノール基含有率は32.3mol%であった。
【0130】
300mLのナス型フラスコに、PL−2L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径20nm、20質量%濃度の水分散シリカ粒子) 30.0g(シリカ粒子(b))))、イソプロピルアルコール 25gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液2を、上記ナスフラスコへ10分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で100℃4時間還流させた。
【0131】
還流後、さらにPGMEA 80gを投入し、蒸留塔をセットし、イソプロピルアルコールと水を除去した。続いて、真空ポンプを用いて、減圧下でPEGMEAを除去し、最終的にオイルバス温度を120℃まで昇温させて、シリカ粒子含有縮合反応物であるポリマー2を得た。
【0132】
ポリマー2の反応成分中のシリカ粒子含有率は29質量%であった。。ポリマー2をGPCにより分子量測定すると、標準ポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)は2300であった。
【0133】
[実施例3]
200mLのナス型フラスコに、エチルトリメトキシシラン 11.27g(75mmol)、ジメチルジメトキシシラン 6.37g(53mmol)、ジメトキシメチルビニルシラン 7.24g(55mmol)、イソプロピルアルコール 25gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水 23.8g、37%塩酸 1μLを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、200mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、100℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液3を得た。反応液3の一部を回収し、キシレンを追加し、エバポレーターを用いて溶媒を除去した後、29SiNMR、ガスクロマトグラムを測定したところ、縮合率は64.2mol%、シラノール基含有率は32.5mol%であった。
【0134】
300mLのナス型フラスコに、PL−2L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径20nm、20質量%濃度の水分散シリカ粒子) 30g(シリカ粒子(b))、イソプロピルアルコール 25gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液3を、上記ナスフラスコへ10分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で100℃4時間還流させた。
【0135】
還流後、さらにPGMEA 80gを投入し、蒸留塔をセットし、イソプロピルアルコールと水を除去した。続いて、真空ポンプを用いて、減圧下でPEGMEAを除去し、最終的にオイルバス温度を120℃まで昇温させて、シリカ粒子含有縮合反応物であるポリマー3を得た。
【0136】
ポリマー3の反応成分中のシリカ粒子含有率は29質量%であった。ポリマー3をGPCにより分子量測定すると、標準ポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)は2100であった。
【0137】
[実施例4]
200mLのナス型フラスコに、エチルトリメトキシシラン 8.23g(55mmol)、ジメチルジメトキシシラン 6.37g(53mmol)、ジメトキシメチルビニルシラン 9.91g(75mmol)、イソプロピルアルコール 25gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水 22.7g、37%塩酸 1μLを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、200mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、100℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液4を得た。反応液4の一部を回収し、キシレンを追加し、エバポレーターを用いて溶媒を除去した後、29SiNMR、ガスクロマトグラムを測定したところ、縮合率は62.1mol%、シラノール基含有率は34.5mol%であった。
【0138】
300mLのナス型フラスコに、PL−2L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径20nm、20質量%濃度の水分散シリカ粒子) 30g(シリカ粒子(b))、イソプロピルアルコール 25gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液4を、上記ナスフラスコへ10分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で100℃4時間還流させた。
【0139】
還流後、さらにPGMEA 80gを投入し、蒸留塔をセットし、イソプロピルアルコールと水を除去した。続いて、真空ポンプを用いて、減圧下でPEGMEAを除去し、最終的にオイルバス温度を120℃まで昇温させて、シリカ粒子含有縮合反応物であるポリマー4を得た。
【0140】
ポリマー4の反応成分中のシリカ粒子含有率は29質量%であった。ポリマー4をGPCにより分子量測定すると、標準ポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)は2200であった。
【0141】
[実施例5]
200mLのナス型フラスコに、エチルトリメトキシシラン 8.23g(55mmol)、ジメチルジメトキシシラン 8.78g(73mmol)、ジメトキシメチルビニルシラン 7.24g(55mmol)、イソプロピルアルコール 25gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水 22.7g、37%塩酸 1μLを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、200mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、100℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液5を得た。反応液5の一部を回収し、キシレンを追加し、エバポレーターを用いて溶媒を除去した後、29SiNMR、ガスクロマトグラムを測定したところ、縮合率は67.2mol%、シラノール基含有率は29.8mol%であった。
【0142】
300mLのナス型フラスコに、PL−1(扶桑化学工業製の平均一次粒子径12nm、12質量%濃度の水分散シリカ粒子) 50.0g(シリカ粒子(b))、イソプロピルアルコール 25gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液5を、上記ナスフラスコへ10分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で100℃4時間還流させた。
【0143】
還流後、さらにPGMEA 80gを投入し、蒸留塔をセットし、イソプロピルアルコールと水を除去した。続いて、真空ポンプを用いて、減圧下でPEGMEAを除去し、最終的にオイルバス温度を120℃まで昇温させて、シリカ粒子含有縮合反応物であるポリマー5を得た。
【0144】
ポリマー5の反応成分中のシリカ粒子含有率は29質量%であった。ポリマー5をGPCにより分子量測定すると、標準ポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)は2200であった。
【0145】
[実施例6]
200mLのナス型フラスコに、エチルトリメトキシシラン 8.23g(55mmol)、ジメチルジメトキシシラン 8.78g(73mmol)、ジメトキシメチルビニルシラン 7.24g(55mmol)、イソプロピルアルコール 25gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水 22.7g、37%塩酸 1μLを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、200mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、100℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液6を得た。反応液6の一部を回収し、キシレンを追加し、エバポレーターを用いて溶媒を除去した後、29SiNMR、ガスクロマトグラムを測定したところ、縮合率は63.6mol%、シラノール基含有率は33.1mol%であった。
【0146】
300mLのナス型フラスコに、PL−2L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径20nm、20質量%濃度の水分散シリカ粒子) 30.0g(シリカ粒子(b))、イソプロピルアルコール 25gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液6を、上記ナスフラスコへ10分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で100℃4時間還流させた。
【0147】
還流後、さらにPGMEA 80gを投入し、蒸留塔をセットし、イソプロピルアルコールと水を除去した。続いて、真空ポンプを用いて、減圧下でPEGMEAを除去した。
【0148】
このポリマーに、PEGMEA 80g、ピリジン 25g(315mmol)を加えて混合し、攪拌しながらトリメチルクロロシラン22.8g(210mmol)(シランカップリング剤)を5分かけて滴下した。続いて、50℃で3時間加熱した後、室温まで冷却した。得られた反応液に、水 50g、トルエン 20gを加え、抽出する操作を3回繰り返し、洗浄し、真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリカ粒子含有縮合反応物であるポリマー6を得た。
【0149】
ポリマー6の反応成分中のシリカ粒子含有率は28質量%であった。ポリマー6をGPCにより分子量測定すると、標準ポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)は2400であった。
【0150】
[実施例7]
200mLのナス型フラスコに、エチルトリメトキシシラン 8.15g(54mmol)、ジエトキシメチルシラン 8.70g(65mmol)、イソプロピルアルコール 25gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水 15.7g、37%塩酸 1μLを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、200mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、100℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液7を得た。反応液7の一部を回収し、キシレンを追加し、エバポレーターを用いて溶媒を除去した後、29SiNMR、ガスクロマトグラムを測定したところ、縮合率は62.4mol%、シラノール基含有率は35.2mol%であった。
【0151】
300mLのナス型フラスコに、PL−2L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径20nm、20質量%濃度の水分散シリカ粒子) 20g(シリカ粒子(b))、イソプロピルアルコール 25gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液7と、トリメチルエトキシシラン 20.51g(175mmol)(シランカップリング剤)を、上記ナスフラスコへ10分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で100℃4時間還流させた。
【0152】
還流後、さらにPGMEA 80gを投入し、蒸留塔をセットし、イソプロピルアルコールと水を除去した。続いて、真空ポンプを用いて、減圧下でPEGMEAを除去し、最終的にオイルバス温度を120℃まで昇温させて、シリカ粒子含有縮合反応物であるポリマー7を得た。
【0153】
ポリマー7の反応成分中のシリカ粒子含有率は26質量%であった。ポリマー7をGPCにより分子量測定すると、標準ポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)は5300であった。
【0154】
[実施例8]
200mLのナス型フラスコに、エチルトリメトキシシラン 6.01g(40mmol)、ジエトキシメチルシラン 10.74g(80mmol)、イソプロピルアルコール 25gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水 15.1g、37%塩酸 1μLを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、200mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、100℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液8を得た。反応液8の一部を回収し、キシレンを追加し、エバポレーターを用いて溶媒を除去した後、29SiNMR、ガスクロマトグラムを測定したところ、縮合率は66.2mol%、シラノール基含有率は30.8mol%であった。
【0155】
300mLのナス型フラスコに、PL−2L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径20nm、20質量%濃度の水分散シリカ粒子) 20g(シリカ粒子(b))、イソプロピルアルコール 25gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液8と、トリメチルエトキシシラン 20.51g(175mmol)(シランカップリング剤)を、上記ナスフラスコへ10分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で100℃4時間還流させた。
【0156】
還流後、さらにPGMEA 80gを投入し、蒸留塔をセットし、イソプロピルアルコールと水を除去した。続いて、真空ポンプを用いて、減圧下でPEGMEAを除去し、最終的にオイルバス温度を120℃まで昇温させて、シリカ粒子含有縮合反応物であるポリマー8を得た。
【0157】
ポリマー8の反応成分中のシリカ粒子含有率は27質量%であった。ポリマー8をGPCにより分子量測定すると、標準ポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)は5500であった。
【0158】
[実施例9]
200mLのナス型フラスコに、エチルトリメトキシシラン 8.15g(54mmol)、ジエトキシメチルシラン 8.70g(65mmol)、イソプロピルアルコール 25gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水 15.7g、37%塩酸 1μLを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、200mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、100℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液9を得た。反応液2の一部を回収し、キシレンを追加し、エバポレーターを用いて溶媒を除去した後、29SiNMR、ガスクロマトグラムを測定したところ、縮合率は64.3mol%、シラノール基含有率は32.6mol%であった。
【0159】
300mLのナス型フラスコに、PL−1(扶桑化学工業製の平均一次粒子径12nm、12質量%濃度の水分散シリカ粒子) 33g(シリカ粒子(b))(反応成分中の含有量26質量%)、イソプロピルアルコール 25gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液9と、トリメチルエトキシシラン 20.51g(175mmol)(シランカップリング剤)を、上記ナスフラスコへ10分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で100℃4時間還流させた。
【0160】
還流後、さらにPGMEA 80gを投入し、蒸留塔をセットし、イソプロピルアルコールと水を除去した。続いて、真空ポンプを用いて、減圧下でPEGMEAを除去し、最終的にオイルバス温度を120℃まで昇温させて、シリカ粒子含有縮合反応物であるポリマー9を得た。
【0161】
ポリマー9の反応成分中のシリカ粒子含有率は26質量%であった。ポリマー9をGPCにより分子量測定すると、標準ポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)は5300であった。
【0162】
[実施例10]
200mLのナス型フラスコに、エチルトリメトキシシラン 8.23g(55mmol)、ジメチルジメトキシシラン 7.81g(65mmol)、イソプロピルアルコール 25gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水 22.7g、37%塩酸 1μLを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、200mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、100℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液10を得た。反応液10の一部を回収し、キシレンを追加し、エバポレーターを用いて溶媒を除去した後、29SiNMR、ガスクロマトグラムを測定したところ、縮合率は65.6mol%、シラノール基含有率は31.6mol%であった。
【0163】
300mLのナス型フラスコに、PL−2L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径20nm、20質量%濃度の水分散シリカ粒子) 20.0g(シリカ粒子(b))、イソプロピルアルコール 25gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液10を、上記ナスフラスコへ10分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で100℃4時間還流させた。
【0164】
還流後、さらにPGMEA 80gを投入し、蒸留塔をセットし、イソプロピルアルコールと水を除去した。続いて、真空ポンプを用いて、減圧下でPEGMEAを除去した。
【0165】
このポリマーに、PEGMEA 80g、ピリジン 25g(315mmol)を加えて混合し、攪拌しながらジメチルクロロシラン 19.8g(210mmol)(シランカップリング剤)を5分かけて滴下した。続いて、室温で3時間攪拌した。
【0166】
得られた反応液に、水 50g、トルエン 20gを加え、抽出する操作を3回繰り返し、洗浄し、真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリカ粒子含有縮合反応物であるポリマー10を得た。
【0167】
ポリマー10の反応成分中のシリカ粒子含有率は23質量%であった。ポリマー10をGPCにより分子量測定すると、標準ポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)は5500であった。
【0168】
[製造例1]
300mLナスフ型フラスコに、ジメチルジメトキシシラン 25.41g(211mmol)、エチルトリメトキシシラン 7.93g(53mmol)、エトキシトリメチルシラン 2.01g(17mmol)、イソプロピルアルコール 25gを入れ、攪拌した。この容器に、氷浴下、10℃を越えないように調節しながら、37%塩酸 17.4gを、滴下ロートを用いて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、窒素気流下で100℃6時間還流させた。室温に冷却した後、水20g、アセトニトリル5gを加え、抽出する操作を3回繰り返した。水層が、pH試験紙で中性であることを確認した後、シリコーン層と、PEGMEA54gを300mLナス型フラスコに入れ、蒸留塔と真空ポンプをセットした。最終的にオイルバスを140℃まで昇温し、減圧下でPEGMEAを除去することで、ポリマー11を得た。縮合率は96.2mol%、シラノール基含有率は0.7mol%であった。
得られたポリマー11をGPCにより分子量測定すると、標準ポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)は8900であった。
【0169】
[製造例2]
300mLナスフ型フラスコに、ジメチルジメトキシシラン 19.03g(158mmol)、ジメトキシメチルビニルシラン 6.98g(53mmol)、エチルトリメトキシシラン 7.93g(53mmol)、ジメチルメトキシビニルシラン 1.97g(17mmol)、イソプロピルアルコール 25gを入れ、攪拌した。この容器に、氷浴下、10℃を越えないように調節しながら、37%塩酸 17.4gを、滴下ロートを用いて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、窒素気流下で100℃6時間還流させた。室温に冷却した後、水20g、アセトニトリル5gを加え、抽出する操作を3回繰り返した。水層が、pH試験紙で中性であることを確認した後、シリコーン層と、PEGMEA54gを300mLナス型フラスコに入れ、蒸留塔と真空ポンプをセットした。最終的にオイルバスを140℃まで昇温し、減圧下でPEGMEAを除去することで、ポリマー12を得た。縮合率は97.5mol%、シラノール基含有率は0.5mol%であった。
【0170】
得られたポリマー12をGPCにより分子量測定すると、標準ポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)は9300であった。
【0171】
[製造例3]
300mLナスフ型フラスコに、ジメチルジメトキシシラン 19.03g(158mmol)、ジメトキシメチルビニルシラン 6.98g(53mmol)、エチルトリメトキシシラン 7.93g(53mmol)、イソプロピルアルコール 25gを入れ、攪拌した。この容器に、氷浴下、10℃を越えないように調節しながら、37%塩酸 16.6gを、滴下ロートを用いて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、窒素気流下で100℃6時間還流させた。室温に冷却した後、水20g、アセトニトリル5gを加え、抽出する操作を3回繰り返した。水層が、pH試験紙で中性であることを確認した後、シリコーン層と、PEGMEA 50gを300mLナス型フラスコに入れ、蒸留塔と真空ポンプをセットした。最終的にオイルバスを140℃まで昇温し、減圧下でPEGMEAを除去することで、ポリマー13を得た。縮合率は97.8mol%、シラノール基含有率は0.3mol%であった。
【0172】
得られたポリマー13をGPCにより分子量測定すると、標準ポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)は12000であった。
【0173】
[製造例4]
300mLナスフ型フラスコに、ジメチルジメトキシシラン 29.81g(248mmol)、ジメトキシメチルシラン 11.10g(104mmol)、エチルトリメトキシシラン 12.42g(83mmol)、トリメチルエトキシシラン 10.75g(91mmol)、イソプロピルアルコール 37.5gを入れ、攪拌した。この容器に、氷浴下、10℃を越えないように調節しながら、37%塩酸 28.5gを、滴下ロートを用いて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、窒素気流下で50℃6時間加熱した。室温に冷却した後、水20g、アセトニトリル5gを加え、抽出する操作を3回繰り返した。水層が、pH試験紙で中性であることを確認した後、シリコーン層と、PEGMEA 50gを300mLナス型フラスコに入れ、蒸留塔と真空ポンプをセットした。最終的にオイルバスを140℃まで昇温し、減圧下でPEGMEAを除去することで、ポリマー14を得た。縮合率は97.6mol%、シラノール基含有率は0.5mol%であった。
【0174】
得られたポリマー14をGPCにより分子量測定すると、標準ポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)は9000であった。
【0175】
[比較例1]
200mLのナス型フラスコに、エチルトリメトキシシラン 8.23g(55mmol)、ジメチルジメトキシシラン 8.78g(73mmol)、ジメトキシメチルビニルシラン 7.24g(55mmol)、エチルシリケート40(コルコート株式会社製 固形分濃度40%) 15g、イソプロピルアルコール 25gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水 22.7g、37%塩酸 1μLを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、200mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、100℃4時間還流させた。還流後、さらにPGMEA 80gを投入し、蒸留塔をセットし、イソプロピルアルコールと水を除去した。続いて、真空ポンプを用いて、減圧下でPEGMEAを除去し、最終的にオイルバス温度を120℃まで昇温させたところ、ゲル化した。得られたゲルの縮合率は83.1mol%、シラノール基含有率は15.4mol%であった。
【0176】
[比較例2]
100mlナス型フラスコに、製造例−2で作製したポリマー12を3g、イソプロピルアルコール 25g、PEGMEA 25gを取り、混合した後、PL−2L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径20nm、20質量%濃度の水分散シリカ粒子)3gを投入し、混合した。蒸留塔をセットし、イソプロピルアルコールと水を除去した。続いて、真空ポンプを用いて、減圧下でPEGMEAを除去し、最終的にオイルバス温度を120℃まで昇温させたところ、ゲル化した。なおポリマー12は、合成時に37%塩酸17.4gを使用したため、シラノール基がほとんど残っていない。
【0177】
[樹脂組成物の調製]
[実施例11]
ポリマー2を100質量部、ポリマー8を168質量部、ジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体を組成物全体に対して白金質量で3ppmになるように均一に混合した。混合後、真空脱泡し、熱硬化型樹脂組成物を調製した。
【0178】
この樹脂組成物を下記(6)に示す方法で硬化させ、得られた硬化物について下記(7)〜(11)の評価を行った。なお樹脂組成物におけるZ1/Z2(全不飽和炭化水素基数Z1の、全SiH基数Z2に対する比)は下記(11)に示す方法で算出した。結果を表3にまとめた。
【0179】
[実施例12〜24、比較例3〜5]
ポリマー1〜ポリマー14、及びジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体を、表3に示す比率で配合したこと以外は実施例11と同様に操作し、熱硬化型樹脂組成物を調製した。
【0180】
これらの樹脂組成物を下記(6)に示す方法で硬化させ、得られた硬化物について下記(7)〜(11)の評価を行った。結果を表3にまとめた。
【0181】
比較例4、比較例5については、両サンプルとも硬化しなかったため、測定不能であった。
【0182】
(6)硬化
サイズ30mm×30mm×1mm又は10mm×10mm×5mmの型に、熱硬化型樹脂組成物を満たし、オーブンで、100℃30分加熱した後、140℃に昇温し30分間加熱し、さらに150℃に昇温し1時間加熱した後、室温まで冷却して硬化物サンプルを作製した。
【0183】
(7)耐熱黄変性測定
50mm×50mmのガラス板の上に、上記30mm×30mm×1mmの型を用いて硬化物サンプルを形成し、島津製作所製の紫外可視光分光光度計 UV−1600PCを用いて、波長800nm〜300nmにおける透過率を測定した。続いて、硬化物サンプルを、ホットプレートを用いて260℃×30分間大気下で加熱した。加熱後の透過率を、同様に測定した。硬化直後のサンプルの800nm〜300nmの各波長の透過率を100%とし、260℃加熱後の透過率の変化率が、90%以上あるものを○、90%未満のものを×と評価した。
【0184】
(8)耐光黄変性測定
50mm×50mmのガラス板の上に、上記30mm×30mm×1mmの型を用いて硬化物サンプルを形成し島津製作所製の紫外可視光分光光度計 UV−1600PCを用いて、800nm〜300nmの透過率を測定した。続いて、硬化物サンプルを、センエンジニアリング株式会社製 HC−98(高圧水銀ランプ:HL400DL−1)を用いて、190時間UV照射した。このとき、PETフィルムを用いて、300nm以下の波長をカットした光を照射した。UV照射後の透過率を、同様に測定した。硬化直後のサンプルの800nm〜300nmの各波長の透過率を100%とし、UV照射後の透過率の変化率が、90%以上あるものを○、90%未満のものを×と評価した。
【0185】
(9)硬度測定
上記の10mm×10mm×5mmの型に、調製した熱硬化型樹脂組成物を満たし、オーブンを用いて100℃×30分、140℃×30分、150℃×1時間で加熱硬化させた。硬化物を室温まで冷却し、型から取り出した後、株式会社テクロック製 GS−702N TYPE D(テクロック・デュロメータ)を用いて、硬度を測定した。測定値がShoreD 30以上のサンプルを○、30未満のものを×と評価した。
【0186】
(10)タック性測定
50mm×50mmのガラス板の上に、上記30mm×30mm×1mmの型を用いて硬化物サンプルを形成した。サンプルを室温まで冷却した後、硬化物サンプル表面を下向きにして、アルミナ粉末の上に乗せた。硬化物サンプルを取り出し、エアガンを用いて表面に空気を吹きかけ、表面に粉末が残っていないサンプルを○、表面に付着したままのものを×と評価した。
【0187】
(11)Z1/Z2
ポリマー1〜14につき、下記の方法にて1HNMRを測定し、ポリマー1gに対するビニル基量(mmol)、及びSiH基量(mmol)を算出した。計算によって得られたZ1/Z2を表3にまとめた。
サンプル調製:各ポリマーを秤量し、キシレンを10wt%となるように秤量した。さらに1%テトラメチルシラン含有重溶媒で、ポリマー濃度が5質量%となるように希釈した。
調製したサンプル溶液の1HNMR測定を行い、ビニル基の水素原子のピーク面積(3H)、SiH基の水素原子のピーク面積(1H)、キシレンの芳香族環に直結する水素原子のピーク面積(4H)の比より、ポリマー1gあたりの架橋基(すなわちビニル基及びSiH基)の濃度を算出した。
1HNMR測定
日本電子製のNMR(核磁気共鳴)装置 GSX400を使用し、パルス幅を0.5秒、待ち時間を2秒、積算回数を2048回として積算を行った。
なお、表3の配合からヒドロシリル化触媒を除いた成分についても同様に1HNMRを測定し、算出値が大きくずれていないことを確認した。
【0188】
【表1】

【0189】
【表2】

【0190】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0191】
本発明は、例えば、液晶ディスプレイ等のバックライト、照明、各種センサー、プリンター、コピー機等の光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等に使用できる発光ダイオードにおいて、発光素子をリード端子又はパッケージに固定するダイボンド材、アンダーフィル材、発光素子上のパッシベーション膜、パッケージ基板等に好適に適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラノール基を含有するポリシロキサン化合物(a)と、シリカ粒子(b)と、が縮合されてなる構造を少なくとも有し、
該ポリシロキサン化合物(a)と該シリカ粒子(b)とを少なくとも含む反応成分の縮合反応により得られ、
該ポリシロキサン化合物(a)が、水酸基及び加水分解性基から選ばれる1つ以上の基を有するシラン化合物又はその縮合物の重合生成物であり、
該加水分解性基が、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基及びアセトキシ基の少なくともいずれかであり、
該ポリシロキサン化合物(a)中の珪素の、シロキサン結合、該水酸基との直接結合、及び該加水分解性基との直接結合のいずれかを形成している結合手の合計数に対する、該水酸基との直接結合を形成している結合手の数の割合として定義されるシラノール基含有率が、1〜90mol%である、シリカ粒子含有縮合反応物。
【請求項2】
前記ポリシロキサン化合物(a)が、不飽和炭化水素基及び/又はSiH基を有する、請求項1に記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
【請求項3】
前記反応成分がシランカップリング剤を更に含み、
前記縮合反応が、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)とを縮合させて得られる縮合生成物にシランカップリング剤を更に反応させること、又は、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)とシランカップリング剤とを同時に縮合させることにより行われたものである、請求項1又は2に記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
【請求項4】
前記ポリシロキサン化合物(a)及び/又は前記シランカップリング剤が、不飽和炭化水素基及び/又はSiH基を有する、請求項3に記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
【請求項5】
前記シランカップリング剤が、下記一般式(1):
1n1SiX14-n1 (1)
{式中、n1は、1〜3の整数であり、R1は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、X1は、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる基であり、複数存在する場合のR1及びX1はそれぞれ同一でも異なっていても構わない}
で表されるシラン化合物である、請求項3又は4に記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
【請求項6】
前記反応成分中の前記シリカ粒子(b)の含有率が1質量%以上70質量%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
【請求項7】
前記シリカ粒子(b)の平均一次粒子径が1nm以上120nm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
【請求項8】
前記ポリシロキサン化合物(a)中の珪素の、シロキサン結合、水酸基との直接結合、及び加水分解性基との直接結合をそれぞれ形成している結合手の合計数に対する、該シロキサン結合を形成している結合手の数の割合として定義される縮合率が、5mol%以上95mol%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
【請求項9】
前記シラノール基含有率が、5mol%以上90mol%以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のシリカ粒子含有縮合反応物(A)と、ヒドロシリル化触媒(B)とを含み、該シリカ粒子含有縮合反応物(A)が不飽和炭化水素基及び/又はSiH基を含有し、該シリカ粒子含有縮合反応物(A)の含有率が20質量%以上であり、かつ不飽和炭化水素基及びSiH基を含有する、樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のシリカ粒子含有縮合反応物(A)と、ヒドロシリル化触媒(B)と、不飽和炭化水素基及び/又はSiH基を含有する成分(C)とを含み、該シリカ粒子含有縮合反応物(A)の含有率が20質量%以上であり、かつ不飽和炭化水素基及びSiH基を含有する、樹脂組成物。
【請求項12】
樹脂組成物中の、全不飽和炭化水素基数Z1及び全SiH数Z2が、0.25≦Z1/Z2≦2を満たす、請求項10又は11に記載の樹脂組成物。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む、封止樹脂。
【請求項14】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む硬化性組成物を用いて形成されてなる、レンズ。
【請求項15】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む、アンダーフィル材。

【公開番号】特開2011−126994(P2011−126994A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286648(P2009−286648)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】