説明

ジェネレータとして動作し得る少なくとも1つの電気機械を有する車両

【課題】 ジェネレータとして動作し得る少なくとも1つの電気機械を有する車両を提供する。
【解決手段】 ジェネレータとして動作し得る少なくとも1つの電気機械と、電気エネルギー蓄積器と、少なくとも1つの電気機械および電気エネルギー蓄積器を制御するための制御ユニットとを有する車両であって、回収フェーズにおいて、車両を、ジェネレータとして動作する少なくとも1つの電気機械のジェネレータ負荷によって減速でき(2:a)、得られる電気エネルギー(1:E)を電気エネルギー蓄積器に蓄えることができる車両において、回収フェーズにおいてジェネレータとして動作する少なくとも1つの電気機械を、予め設定可能な過負荷(2’:a、2’’:a、2’’’:a)で制御ユニットによって経時的に無制限に動作させるように、前記制御ユニットを構成することを特徴とする車両。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段による、ジェネレータ(発電機)として動作し得る少なくとも1つの電気機械を有する車両に関する。これに関連して、用語「車両」は常に、軌道に縛られない(non−track−bound)車両、特に道路車両を指すものと理解される。
【背景技術】
【0002】
例えば、ハイブリッド車や電気自動車などの車両は、車両の各運転状況に応じて異なる動作モードがもたらされる1つ以上の電気機械を有する。例えば、車両に少なくとも追加的な駆動力を提供するために少なくとも1つの電気機械がモータとして動作し得る。フルハイブリッド車と称するものおよび電気自動車では、車両は、少なくとも所定期間、電気機械によってのみ駆動される一方、マイルドハイブリッド車と称するものでは、内燃機関に加えて補助的な駆動装置のみが設けられる。電気機械がモータとして動作する場合、車載電気エネルギー蓄積器から電気エネルギーが供給される。電気エネルギー蓄積器は、例えばリチウムイオン高電圧電池として具体化される。この場合、電気機械をモータとして動作させることにより得られる駆動力は、具体的には、使用する電気機械のサイズに依存する。例えば、大型車両を駆動させるために必要とされるものなど高い駆動力の場合、比較的大きく、それゆえ重い電気機械が必要となる。それゆえ、これを改善するために、既に特許文献1に、車両を駆動するためのそのようなモータを過負荷で動作させる必要があることが提案されている。しかしながら、そのような過負荷モードは電気機械を損傷させる原因となるため、過負荷モードにおいては、モータの温度または期間を監視するための複雑な手段が必要となる。
【0003】
少なくとも1つの電気機械をモータとして動作させるほか、少なくとも1つの電気機械のジェネレータとしての動作モードも、一般的にハイブリッド車や電気自動車に提供される。これに関連して、ジェネレータまたはモータ用の各動作モードに別個の電気機械が設けられる駆動構成、例えばシリアルハイブリッド駆動(シリーズハイブリッド駆動)またはパワースプリットハイブリッド駆動が知られている。さらに、モータまたはジェネレータのいずれかとして同じ電気機械が動作する駆動構成、例えばパラレルハイブリッド駆動が知られている。これに関連して、そのような電気機械のジェネレータとしての動作モードは、特に、車両を駆動させるためにモータへ電気エネルギーを供給するだけの十分な電気エネルギーを電気エネルギー蓄積器がもはや蓄えていない場合に必要である。そのような場合には、ハイブリッド車では、車両を駆動させるためにおよび/またはジェネレータを動作させて電気エネルギー蓄積器に電気エネルギーを充電するために内燃機関を作動させる。
【0004】
加えて、電気機械のジェネレータとしての動作は、走行車両から運動エネルギーを回収するために提供されていることが多い。電気機械のジェネレータとしての動作時にかけられるジェネレータ負荷によって車両を制動し、かつ、得られるエネルギーを少なくとも部分的に電気エネルギーに変換する。次いでこの電気エネルギーを電気エネルギー蓄積器に蓄え、例えば、車両を駆動するために再び使用することができる。それゆえ、ハイブリッド車における回収中、電気機械は、内燃機関を作動させる必要なく、ジェネレータとして動作する。車両の運動エネルギーをできるだけ回収するために、少なくとも1つの電気機械をジェネレータとして動作させることにより、車両の運転者によってそのとき減速要求を行うことが提供される。これは、この要求された減速が、発生するジェネレータ負荷によって達成できる場合である。要求された減速が、電気機械をジェネレータとして動作させることによって得ることができる減速よりも大きくなるまで、車両の常用ブレーキは作動されず、かつ車両の運動エネルギーは熱に変換される。そのような車両は、例えば、一般的なタイプを形成する特許文献2から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2007/125743号パンフレット
【特許文献2】DE第10 2006 034 936号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、この一般的なタイプの車両をさらに改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴によって達成される。従属請求項は、本発明の有利な実施形態および発展形態に関する。
【0008】
本発明によれば制御ユニットが設けられ、その制御ユニットは、車両が回収フェーズにある場合に、ジェネレータとして動作し得る少なくとも1つの電気機械が、前記制御ユニットによって、予め設定可能な過負荷でジェネレータとして経時的にもしくは時間的に無制限に動作されるように構成される。本発明は、車両の回収フェーズにあるジェネレータとしての電気機械の過負荷モードにおいて、この電気機械のタイミングまたは温度の複雑な制御が全く必要ないという認識に基づく。これは、車両の回収フェーズ中の電気機械のジェネレータとしての動作が、当然のことながら、発生するジェネレータ負荷によって車両が制動されることを特徴としているためである。これにより、いかなる場合でも、過負荷モードを限られた時間内のみ、具体的には最大で車両の停止状態までまたは回収フェーズの終わりまでしか、持続しないことが確実である。換言すれば、車両の回収フェーズでは、車両動力(Vehicle dynamics)が、電気機械が過負荷モードになる時間を制限する。これは、車両が、当然のことながら、ジェネレータ負荷によって制動され、かつその結果、ジェネレータとして動作する電気機械の過負荷を準自動的に低減するためである。そのため、回収モードにおける電気機械の複雑なタイミング制御または温度制御が必要ない。なぜならこの制御が、言わば、車両動力(Vehicle dynamics)によって実施されるからである。すなわち、電気機械が過負荷で動作する時間を監視する複雑な手段を必要としない。その代わり、ジェネレータにより印加される負荷が、停止するまで車両を減速し続けるので、この時間は制限される。よって、制御は、車両動力、例えば、停止までの減速によって実現される。なお、車両の停止で過負荷モードは終了する。それゆえ、過負荷が車両の動的条件に従い予め設定され得る値であるため、電気機械の過負荷モードは、複雑な制御または監視なしに実施可能である。確実にするために必要なことは、ジェネレータとして動作する電気機械の過負荷モードを回収フェーズにおいてのみもたらすことであるが、これは、制御ユニットによって簡単に実施できる。これに関連して、1つ以上の電気機械は、回収フェーズにおいて、各車両の形態に応じて予め設定可能な過負荷で、経時的にまたは時間的に無制限に、ジェネレータとして動作することができ、かつ当然ながら、これに関連して、異なる電気機械の各過負荷を、異なるようにもたらしてもよい。
【0009】
過負荷に対して予め設定され得る値は、電気機械の定格負荷の値よりも好ましくは約30〜50%高い。それゆえ、電気機械に損傷を与えずに、回収フェーズにおいてジェネレータ負荷によって車両を停止状態まで確実に制動できることが明白である。これに関連して、過負荷が、永続的にまたは可変に予め設定されうる。例えば、予め設定可能な過負荷の値を、車両の瞬時速度、電気エネルギー蓄積器の現在温度および/または電気エネルギー蓄積器の充電状態(SOC)に応じて予め設定できる。これに関連して、いかなる場合でも電気機械の別の閉ループ制御または監視は必要なく、確実にするために必要なことは、車両の回収フェーズにおいて電気機械がジェネレータとして動作している場合にのみ、過負荷を発生させることだけである。
【0010】
車両の運転者が適切な制御を行うことを許可するために、回収フェーズをトリガするために車載操作者制御エレメントが好ましくは設けられる。回収フェーズは、車両の運転者が操作者制御エレメントによって所望の減速を入力することにより、トリガされる。操作者制御エレメントの起動によって、車両を制動するための予め設定可能な過負荷で少なくとも1つの電気機械がジェネレータとして動作するようになることを提供する。ジェネレータ負荷によって生成される電気エネルギーは、電気エネルギー蓄積器に蓄えられる。当然のことながら、例えば車両走行時にブレーキペダルもアクセルペダルも作動されていない場合の従来のモータブレーキと類似した方法で、回収フェーズを自動的に開始することも可能である。
【0011】
操作者制御エレメントは特に好ましくはブレーキペダルで実現され、ここで制御ユニットは、回収フェーズにおいてジェネレータとして動作する電気機械のジェネレータ負荷を、予め設定可能な過負荷までの少なくともある領域において、ブレーキペダルの位置に応じて設定する。これにより、走行車両に蓄えられている運動エネルギーの回収を最適にし、そのジェネレータ負荷は、車両の運転者が所望する減速にしたがって提供される。これに関連して、予め設定可能な過負荷は、ジェネレータとして動作する電気機械によって車両を制動できる最大限度を構成する。車両の運転者が所望する減速の値がより低くなると、対応するより低いジェネレータ負荷が設定され、それにより、運動エネルギーを最大限にそれぞれ回収可能となる。
【0012】
本発明の第1の好ましい実施形態では、ブレーキペダルを、車両の直接結合されたブレーキ系を作動するために設け、ここで、制御ユニットの構成を、回収フェーズにおいてジェネレータとして動作する少なくとも1つの電気機械のジェネレータ負荷を、ブレーキペダルの第1の作動範囲において予め設定可能な過負荷まで設定し、かつブレーキペダルの第2の作動範囲において車両の常用ブレーキを適用するような構成とする。これは、ブレーキペダルの作動の第1の範囲においてジェネレータ負荷を単に加えるという、車両の結合された従来のブレーキ系の単純な修正方法に相当する。このブレーキペダルの作動の第1の範囲では、特に好ましくは車両の常用ブレーキはまだ作動させない。これは、運動エネルギーを最大限可能な割合で回収できるという利点がある。
【0013】
本発明の第2の好ましい実施形態では、ブレーキペダルを、重畳(superimposition)ブレーキ系を作動させるために設け、ここで、制御ユニットの構成を、予め設定可能な過負荷までジェネレータ負荷を設定し、かつ車両の常用ブレーキによって、おそらく必要な残りの減速成分をまかなうような構成とする。そのような重畳ブレーキ系、例えば電気−液圧式ブレーキ系は、ブレーキペダルの作動を実際の常用ブレーキから切り離すので、ジェネレータとして動作する電気機械と、常用ブレーキとの間で、柔軟に、すなわち状況に応じて減速を所望に分割することを可能とする。これに関連して、回収フェーズでは、ジェネレータとして動作する電気機械は常に、予め設定可能な過負荷まで作動される。このジェネレータ負荷が、車両の運転者が所望する減速を実施するために十分でない場合には、おそらく依然として必要な残りの減速成分は常用ブレーキによって得られる。回収は、対応する大きくて重い電気機械を必要とすることなく、ジェネレータとしての電気機械の過負荷モードによって可能な最適な方法で行われ、その過負荷モードには、車両動力が時間制限を与える。
【0014】
本発明の特に好ましい一実施形態では、車両を、トルク付加型パラレルハイブリッドとして提供し、ここで、電気機械は、内燃機関と共に、電気機械の回転速度および内燃機関の回転速度が永続的に互いに結合されるように車両を駆動させる。電気機械および内燃機関へのトルク、すなわち負荷を、トルク付加型パラレルハイブリッドでは互いに独立して設定できるので、回収フェーズにおいて本発明による過負荷モードを実施するためには特に単純な方法でよい。ここで、パラレルハイブリッドを単一軸または多軸ハイブリッドとして設けることができる。
【0015】
本発明の、予め設定可能な過負荷を用いる電気機械のジェネレータとしての動作により、車両の回収フェーズにおいて比較的大量の電気エネルギーを利用できる。この電気エネルギーは、好ましくは電気エネルギー蓄積器、例えば高電圧電池に蓄えられる。電気エネルギー量が高電圧電池の容量を上回った場合、この電気エネルギーを車両の他の箇所に使用できる。例えば、既存のDC/DCコンバータにより、低電圧の車載電力系統電池に蓄えることができる。その代わりにまたはそれに加えて、高性能コンデンサ(ウルトラキャップス(ultracaps))に蓄電装置を設ける。その代わりにまたはそれに加えて、この電気エネルギーを他の形態のエネルギー、例えば液圧アキュムレータの液圧に変換することも提供する。ここで、そのような液圧アキュムレータを、別の車両部品の構成部品、例えばロールスタビライザまたはクローズドセンターステアリング装置(closed center steering system)として供してもよい。その代わりにまたはそれに加えて、車両の別の電力消費部品、例えばエンジン室のファン、エンジン冷却水加熱装置または排気ガス後処理装置加熱装置を作動するものが提供される。
【0016】
本発明を以下、図面を参照して詳細に説明する。単一の図面は、それぞれ線図によって、電気機械が定格負荷においてまたは車両の回収フェーズにおいてジェネレータとして過負荷で動作される場合の、車両の各速度vにおいて生成される電気エネルギー最大量Eまたは生成される車両の最大減速aを示す図である。
【0017】
本明細書において、回収フェーズとは、回生制動により車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換することで車両の運動エネルギーを回収するフェーズを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】電気機械が定格負荷においてまたは車両の回収フェーズにおいてジェネレータとして過負荷で動作される場合の、車両の各速度vにおいて生成される電気エネルギー最大量Eまたは生成される最大減速aを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
車両の各速度vにおける、電気機械のジェネレータ負荷によって生成される電気エネルギーの最大(回収可能)量を右側の縦座標にプロットして図面に一例として示す。曲線1:Eは、定格負荷における電気エネルギーの回収可能な最大量を示し、曲線1’:Eは、電気機械の予め設定可能な過負荷が発生する場合の電気エネルギーの回収可能な最大量を示す。一般的に、曲線1:E、1’:Eからまず明らかになることは、車両速度が高い場合、比較的低速の場合よりもかなり多くのエネルギーを回収することができることである。回収可能なエネルギー量を完全に使用することができるようにするために、高速の車両では大きくてそれゆえ重い電気機械が必要となる。本発明は、回収フェーズにおける過負荷での電気機械のジェネレータとしての動作によって、定格負荷時よりも、より大量の電気エネルギーが回収可能となることにより、これを改善する。それゆえ、電気機械の過負荷モードによって、比較的大きくかつ比較的重い電気機械を使用するものと同じ効果を回収フェーズにおいて達成し、同時に、車両動力が過負荷モードの時間を制限することで、過負荷モードにある電気機械のタイミングまたは温度のいずれの複雑な制御の必要性もなくすことができる。その代わりに、ジェネレータ負荷に基づいた車両の制動によって、過負荷が、準自動的に、さらに低減される。
【0020】
一例として、過負荷モードでは、E1のエネルギー量をv1の車両速度において回収でき、E2のエネルギー量をv2の速度において回収できることを示す。これらそれぞれのE1’およびE2’の割合は過負荷モードによる、すなわち定格負荷モードではそれぞれE1−E1’およびE2−E2’のエネルギー量のみ回収できる。わずか半分の速度v2=(1/2)*v1では、過負荷モードに基づいてもかなり少ないエネルギー量E2’<(1/2)*E1’(定格負荷との差分エネルギー)しか回収できない。それゆえ、車両の回収フェーズにおいてジェネレータとして動作中の電気機械の予め設定可能な過負荷が、車両を減速するジェネレータの負荷を通じて車両動力によって自動的に低減され、従って電気機械への損傷を回避することができる。
【0021】
過負荷で電気機械を動作させることは、ジェネレータ負荷を高くし、それゆえより大量のエネルギーを回収するだけでなく、車両の制動減速をより大きくする。これを、曲線2:aおよび2’:aによって概略的に示す。ここで、曲線2:aは、ジェネレータとして動作する電気機械の定格負荷におけるジェネレータ負荷による車両の減速度を示し、曲線2’:aは、予め設定可能な過負荷におけるジェネレータ負荷による車両の減速度を示す。それゆえ、速度v1では、定格負荷における減速a1−a1’ではなく、左側の縦座標にプロットする過負荷における最大減速a1を実施できる。それゆえ、過負荷モードでは、依然として、ジェネレータ負荷によって、定格負荷モードにおけるよりも高い、運転者が望む車両の減速を実施することが可能である。
【0022】
可能な最大減速をそれぞれ回収フェーズにおいて実施できるなら、曲線2’:aに従う非線形的に上昇する制動減速が、減少する車両の速度において、永続的に予め設定可能な過負荷によって得られるであろう。しかしながら、このペダル位置が一定な「サッキング(sucking)」制動は、車両の運転者が慣れるのにある程度時間がかかるおよび/または快適でない。このサッキング制動は、運転者によりブレーキペダルが一定に維持されているにもかかわらず車両が低速になればなるほどより強く減速される制動動作である。例えば、曲線2’:aに示されるとおりである。それゆえ、過負荷を瞬間的な車両の速度に応じて様々に予め設定することが好ましい。それゆえ、車両の速度が低下する場合には、車両の回収フェーズにおいてジェネレータとしてのモードにある電気機械の予め設定可能な過負荷がそれに応じて低減される。例えば、減速度特性が曲線2’’:aに従う線形的な水平特性曲線がある場合には、印象の良い減速を車両の運転者に与える。減速度特性が曲線2’’’:aに従うわずかに上昇する線形的な特性曲線も可能である。
【0023】
上記の実施の形態において、ブレーキペダルがゼロからある中間値の間の第1の作動範囲内で押し下げられた場合は、ジェネレータのみが車両への制動トルクを与えるために使用され、それにより回生制動によって得られる電気エネルギーを最大化することができる。ブレーキペダルがさらに押し下げられて、ペダルが強く押し下げられる第2の作動範囲の場合は、ジェネレータによりその強い制動力を与えることができないので、ジェネレータの回生制動に加えて常用ブレーキも適用される。そして、運転者が、回生制動フェーズで予め設定可能な過負荷のジェネレータが与えることができる負荷を越える減速度要求を、運転者制御エレメントにより入力した場合は、残りの部分が常用ブレーキによって実現される。
【0024】
図示の値は単に概略的なものであり、それらは、具体的には、使用される電気機械の種類、前記電気機械の数および車両の重量に応じるものであることを理解されたい。これに関連して、本発明を、ジェネレータとして動作し得る1つ以上の電気機械を備える多くの異なる車両に使用できる。それゆえ、例えば、車両の車輪毎または車軸毎に1つの電気機械を設けることも可能である。さらに、1つ以上の電気機械は、例えばサミングギヤによって、車両の複数の車軸または車輪に作用することができる。いかなる場合でも、ジェネレータとして動作し得る電気機械または各電気機械の過負荷モードは、車両の回収フェーズにおいてのみ設けられ、車両動力が電気機械または各電気機械を確実に損傷から保護する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジェネレータとして動作し得る少なくとも1つの電気機械と、電気エネルギー蓄積器と、前記少なくとも1つの電気機械および前記電気エネルギー蓄積器を制御するための制御ユニットとを有する車両であって、回収フェーズにおいて、ジェネレータとして動作する前記少なくとも1つの電気機械のジェネレータ負荷によって前記車両を減速でき(2:a)、かつ得られる電気エネルギー(1:E)を前記電気エネルギー蓄積器に蓄えることができる車両において、
回収フェーズにおいてジェネレータとして動作する少なくとも1つの電気機械を、前記制御ユニットによって予め設定可能な過負荷(2’:a、2’’:a、2’’’:a)で時間的に無制限に動作させるように、前記制御ユニットが構成されることを特徴とする車両。
【請求項2】
前記予め設定可能な過負荷が、ジェネレータとして動作する電気機械の定格負荷より約30〜50%多い請求項1に記載の車両。
【請求項3】
回収フェーズをトリガするための、運転者が所望の減速を入力するための車載操作者制御エレメントが設けられている請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
前記操作者制御エレメントがブレーキペダルとして設けられており、前記制御ユニットが、少なくともある領域における前記ブレーキペダルの位置に応じかつ前記所望の減速に従って、前記回収フェーズにおいてジェネレータとして動作する前記少なくとも1つの電気機械のジェネレータ負荷を設定するように構成されている請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記ブレーキペダルが、前記車両の直接結合されたブレーキ系を作動させるために設けられており、前記制御ユニットが、前記ブレーキペダルの第1の作動範囲において前記予め設定可能な過負荷まで前記ジェネレータ負荷を設定し、かつ前記ブレーキペダルの第2の作動範囲において前記車両の常用ブレーキを適用するように構成されている請求項4に記載の車両。
【請求項6】
前記ブレーキペダルが、重畳ブレーキ系を作動させるために設けられており、
前記制御ユニットが、前記予め設定可能な過負荷まで前記ジェネレータ負荷を設定し、かつ前記車両の常用ブレーキによって必要な残りの減速成分を適用するように構成されている請求項4に記載の車両。
【請求項7】
任意にモータまたはジェネレータとして動作し得る電気機械が内燃機関と共に、トルク付加型パラレルハイブリッド駆動として、前記車両を、前記電気機械の回転速度および前記内燃機関の回転速度が永続的に互いに結合されるように駆動する請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両。
【請求項8】
車両の減速方法であって、前記車両が、ジェネレータとして動作し得る少なくとも1つの電気機械と、1つの常用ブレーキと、所望の減速を入力するための1つの操作者制御エレメントとを含み、
前記車両の前記運転者によって入力される所望の減速を確認するステップと、
前記所望の減速が、前記回収フェーズにおいてジェネレータとして動作する前記電気機械によって設定できる最大定格負荷以下である場合、この減速を前記電気機械での対応するジェネレータ負荷として設定するステップと、
前記所望の減速が、回収フェーズにおいて予め設定可能な過負荷でジェネレータとして動作する前記電気機械によって設定できる負荷以下である場合、この減速を、前記電気機械での対応するジェネレータ負荷として設定するステップと、上記以外の場合、
前記所望の減速が、前記予め設定可能な過負荷で動作される前記電気機械でのジェネレータ負荷として設定されと共に、入力される前記減速と、回収フェーズにおいて予め設定可能な過負荷でジェネレータとして動作する前記電気機械において設定できる前記ジェネレータ負荷との間の差の分を、前記車両の前記常用ブレーキに設定するステップと
を有する車両の減速方法。
【請求項9】
前記回収フェーズにおいてジェネレータとして動作する前記電気機械の前記予め設定可能な過負荷が、前記定格負荷よりも約30〜50%多くもたらされる請求項8に記載の車両の減速方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−41915(P2010−41915A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167357(P2009−167357)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(508174975)ドクトル イング ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト (134)
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D−70435 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】