説明

ジチエノベンゾ−チエノ[3,2−b]チオフェン−コポリマーとその溶液加工可能な高機能性半導電性ポリマーとしての利用

次式のジチエノベンゾ−チエノ[3,2−b]チオフェン−コポリマー:
【化1】


[式中、
piは、必要に応じて1〜4個のRa基で置換された単環基または多環基であり、式中
aは、それぞれ独立して、水素、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)=C(Rb2、g)C1-20アルキル基、h)C2-20アルケニル基、i)C2-20アルキニル基、j)C1-20アルコキシ基、k)C1-20アルキルチオ基、l)C1-20ハロアルキル基、m)−Y−C3-10シクロアルキル基、n)−Y−C6-14アリール基、o)−Y−3−12員環シクロヘテロアルキル基、またはp)−Y−5−14員環ヘテロアリール基であり(上記のC1-20アルキル基とC2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリールまたはハロアリール基、3−12員環シクロヘテロアルキル基、5−14員環ヘテロアリール基は、必要に応じて1〜4個のRb基で置換されていてもよい);
Yは、それぞれ独立して、2価のC1-6アルキル基、2価のC1-6ハロアルキル基、または共有結合であり;
1とR2とR3はそれぞれ、独立してH、ハロゲン、CN、C1-30アルキル基、C2-30アルケニル基、C1-30ハロアルキル基、C2-30アルキニル基、C1-30アルコキシ基、C(O)−C1-20アルキル基、C(O)−OC1-20アルケニル基、Y−C3-10シクロアルキル基、−Y−3−12員環シクロヘテロアルキル基(これらはそれぞれ、ハロゲンと−CN、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ハロアルキル基から選ばれる1〜5個の置換基で置換されていてもよい)、
−L−Ar1、−L−Ar1−Ar1、−L−Ar1−R4、または−L−Ar1−Ar1−R4であり、
Yは、それぞれ独立して、2価のC1-6アルキル基、2価のC1-6ハロアルキル基、または共有結合であり;
n=0、1、2であり;
o=1〜1000である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジチエノベンゾ−チエノ[3,2−b]チオフェン−コポリマーとその溶液加工可能な高機能性半導電性ポリマーとしての利用に関する。
【背景技術】
【0002】
20世紀後半の(マイクロ)エレクトロニクスの発展に大きな役割をはたした構成要素は、無機の電極や絶縁体や半導体を基礎とする電界効果トランジスタ(FET)である。これらの材料は信頼性が高く効率が高いこと、またその性能が有名なムーアの法則に従って定期的に増加することが証明されている。従来のケイ素技術と競合するのではなく、分子材料や高分子材料を基礎とする有機FET(OFET)が、低性能のメモリー素子や集積光電装置に、例えばアクティブマトリックス有機発光ダイオード表示におけるピクセル駆動素子やスイッチング素子や、RFIDタグ、スマートIDタグ、センサーなどに大規模な用途を見出す可能性がある。
【0003】
いくつかの導電性または半導電性の有機ポリマーの開発の結果、これらの有機薄膜トランジスタ(OTFT)中での活性層としての利用が、即ち半導体としての利用がより大きな注目を集めることとなった。
【0004】
OTFT中での有機半導体の利用には、従来の無機半導体に優る利点がいくつかある。これらは、繊維からフィルムまでいずれの形ででも加工可能であり、高い機械的柔軟性を示し、低コストで生産可能で、低重量である。しかしながら、大きな利点は、大気圧と大気温度下で、例えば印刷法により高分子担体上に溶液から層を形成することにより全体が半導体を示す部品を製造でき、その結果、安価に製造可能なFETが得られる可能性があることである。
【0005】
電子機器の性能は、実質的に半導体材料中での電荷キャリアーの移動度とオン状態とオフ状態の電流値の比(オン/オフ比)により決まる。したがって理想的な半導体は、スイッチオフの状態で最小の導電率をもち、スイッチオンの状態で最大の電荷キャリアー移動度をもつ(移動度:>10-3cm2-1-1、オン/オフ比:102)。また、酸化による劣化はその部品の性能を低下させるため、この半導体材料は酸化に対して比較的安定である必要があり、即ち十分高いイオン化ポテンシャルをもつ必要がある。
【0006】
EP1510535A1には、移動度が3・10-3または1.7・10-2cm2-1-1で、オン/オフ比が約106であるポリチエノ(2,3−b)チオフェンが記載されている。WO2006/094645A1には、一個以上のセレノフェン−2,5−ジイル基と一個以上のチオフェン−2,5−ジイル基とをもつポリマーが記載され、WO2006/131185には、ポリチエノ(3,4−d)チアゾールが、またUS2005/0082525A1にはベンゾ(1,2−b,4,5−b’)ジチオフェンが開示されている。
【0007】
WO2007/105386には、次の繰返単位をもち、
【0008】
【化1】

【0009】
重量平均分子量が最大で105g/molである置換ベンゾ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェンのホモポリマーやコポリマーが開示されている。報告された材料はともに、10-5〜10-3cm2/Vsの範囲の電荷キャリアー移動度をもつ。
【0010】
また、重量平均分子量が4100g/molに過ぎないビスチオフェンとのコポリマーが報告されている:
【0011】
【化2】

【0012】
この材料は、電界効果トランジスタ中で極めて低い性能を示した(移動度:1.6・10-5、オン/オフ比:100)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】EP1510535A1
【特許文献2】WO2007/105386
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、合成が容易で、高い移動度をもち、安定性が良く、簡単に加工が可能な有機の半導体材料用の新規化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本目的は、式(I)で表わされるA−Bコポリマーであって、モノマーAが必要に応じて置換されたジチエノベンゾ−チエノ[3,2−b]チオフェンであり、モノマーBが、必要に応じて一個以上の電子吸引性、電子供与性のまたは可溶化基で官能化されたπ共役基であるA−Bコポリマーで達成される:
【0016】
【化3】

【0017】
式中、
piは、必要に応じて1〜4個のRa基で置換された単環基または多環基であり、
式中
aは、それぞれ独立して、水素、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)=C(Rb2、g)C1-20アルキル基、h)C2-20アルケニル基、i)C2-20アルキニル基、j)C1-20アルコキシ基、k)C1-20アルキルチオ基、l)C1-20ハロアルキル基、m)−Y−C3-10シクロアルキル基、n)−Y−C6-14アリール基、o)−Y−3−12員環シクロヘテロアルキル基、またはp)−Y−5−14員環ヘテロアリール基であり(上記のC1-20アルキル基とC2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリールまたはハロアリール基、3−12員環シクロヘテロアルキル基、5−14員環ヘテロアリール基は、必要に応じて1〜4個のRb基で置換されていてもよい);
bは、それぞれ独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)−NH2、g)−NH(C1-20アルキル)、h)−N(C1-20アルキル)2、i)−N(C1-20アルキル)−C6-14アリール、j)−N(C6-14アリール)2、k)−S(O)mH、l)−S(O)m-1-20アルキル、m)−S(O)2OH、n)−S(O)m-OC1-20アルキル、o)−S(O)m-OC6-14アリール、p)−CHO、q)−C(O)−C1-20アルキル、r)−C(O)−C6-14アリール、s)−C(O)OH、t)−C(O)−OC1-20アルキル、u)−C(O)−OC6-14アリール、v)−C(O)NH2、w)−C(O)NH−C1-20アルキル、x)−C(O)N(C1-20アルキル)2、y)−C(O)NH−C6-14アリール、z)−C(O)N(C1-20アルキル)−C6-14アリール、aa)−C(O)N(C6-14アリール)2、ab)−C(S)NH2、ac)−C(S)NH−C1-20アルキル、ad)−C(S)N(C1-20アルキル)2、ae)−C(S)N(C6-14アリール)2、af)−C(S)N(C1-20アルキル)−C6-14アリール、ag)−C(S)NH−C6-14アリール、ah)−S(O)mNH2、ai)−S(O)mNH(C1-20アルキル)、aj)−S(O)mN(C1-20アルキル)2、ak)−S(O)mNH(C6-14アリール)、al)−S(O)mN(C1-20アルキル)−C6-14アリール、am)−S(O)mN(C6-14アリール)2、an)SiH3、ao)SiH(C1-20アルキル)2、ap)SiH2(C1-20アルキル)、ar)−Si(C1-20アルキル)3、as)C1-20アルキル基、at)C2-20アルケニル基、au)C2-20アルキニル基、av)C1-20アルコキシ基、aw)C1-20アルキルチオ基、ax)C1-20ハロアルキル基、ay)C3-10シクロアルキル基、az)C6-14アリールまたはハロアリール基、ba)3−12員環シクロヘテロアルキル基、またはbb)5−14員環ヘテロアリール基であり;
Yは、それぞれ独立して、2価のC1-6アルキル基、2価のC1-6ハロアルキル基、または共有結合であり;
mは、それぞれ独立して0、1または2であり;
1とR2とR3はそれぞれ、独立してH、ハロゲン、CN、C1-30アルキル基、C2-30アルケニル基、C1-30ハロアルキル基、C2-30アルキニル基、C1-30アルコキシ基、C(O)−C1-20アルキル基、C(O)−OC1-20アルケニル基、Y−C3-10シクロアルキル基、−Y−3−12員環シクロヘテロアルキル基(これらはそれぞれ、ハロゲンと−CN、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ハロアルキル基から選ばれる1〜5個の置換基で置換されていてもよい)、−L−Ar1、−L−Ar1−Ar1、−L−Ar1−R4、または−L−Ar1−Ar1−R4であり
[式中、Lは、それぞれ独立して、−O−、−Y−O−Y−、−S−、−S(O)−、−Y−S−Y−、−C(O)−、−NRcC(O)−、−NRc−、−SiRc2−、−Y−[SiRc2]−Y−、2価のC2-30アルキル基、2価のC1-30アルケニル基、2価のC1-30ハロアルキル基、または共有結合である;
(式中、Rcはそれぞれ、H、C1-20アルキル基、または−Y−C6-14アリール基であり;Ar1は、それぞれ独立して、C6-14アリール基または5−14員環ヘテロアリール基であり、これらの基は、必要ならハロゲンと−CN、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ハロアルキル基から選ばれる1〜5個の置換基で置換されていてもよい);
4は、それぞれ独立して、C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C1-20ハロアルキル基、C1-20アルコキシ基、−L’−Ar2、−L’−Ar2−Ar2、−L’−Ar2−R5、または−L’−Ar2−Ar2−R5であり;
(式中、L’は、それぞれ独立して、−O−、−Y−O−Y−、−S−、−S(O)−、−Y−S−Y−、−C(O)−、−NRcC(O)−、−NRc−、−SiRc2−、−Y−[SiRc2]−Y−、2価のC1-20アルキル基、2価のC1-20アルケニル基、2価のC1-20ハロアルキル基、または共有結合であり;
Ar2は、それぞれ独立して、C6-14アリール基または5−14員環ヘテロアリール基であり、各基は必要に応じてハロゲンと−CN、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ハロアルキル基から選ばれる1〜5個の置換基で置換されていてもよい;
5はそれぞれ、C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C1-20ハロアルキル基、またはC1-20アルコキシ基であり;
Yは、それぞれ独立して、2価のC1-6アルキル基、2価のC1-6ハロアルキル基、または共有結合である)];
n=0、1、2であり;
o=1〜1000である。
【0018】
ある実施様態においては、n=0である。他の実施様態においては、n=1である。好ましくは、o=5〜1000であり、より好ましくはo=5〜100である。
【0019】
一般に、piは、平面状で高度に共役した環状の核であり、その環原子は一重結合と二重結合で交互に共有結合している。これらの核は平面状で高度に共役しているため、π電子の非局在化が可能となり(安定性が増加しLUMOエネルギーが低下する)、また良好な分子間πスタッキングが可能となる。好適な環状核の例としては、ベンゼンや、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ペリレン、ピレン、コロネン、フルオレン、インダセン、インデノフルオレン、テトラフェニレン、またこれらの類似体で、一個以上の炭素原子がO、S、Si、Se、NまたはPなどのヘテロ原子で置換されたものがあげられる。
【0020】
好ましくは、piは、以下の基からから選ばれる、必要に応じて置換された単環基、複素環基または多環基である:
【0021】
【化4】

【0022】
式中、
kとk’、l、l’、p、p’、q、u、u’、v、v’はそれぞれ、−S−と、−O−、−CH=、=CH−、−CR6=、=CR6−、−C(O)−、−C(C(CN)2)−、−N=、=N−、−NH−、−NR3−、−SiRc=、=SiRc-、−SiR7Rc-から選ばれ;
6は、それぞれ独立して、a)ハロゲンと、b)−CN、c)−NO2、d)N(Rc2、e)−ORc、f)−C(O)Rc、g)−C(O)ORc、h)−C(O)N(Rc2、i)C1-40アルキル基、j)C2-40アルケニル基、k)C2-40アルキニル基、l)C1-40アルコキシ基、m)C1-40アルキルチオ基、n)C1-40ハロアルキル基、o)−Y−C3-14シクロアルキル基、p)−Y−C6-14アリール基、q)−Y−3−14員環シクロヘテロアルキル基、r)−Y−5−14員環ヘテロアリール基から選ばれ、上記C1-40アルキル基とC2-40アルケニル基、C2-40アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3−14員環シクロヘテロアルキル基、Y、Rcは上記定義通りである;
cは、上記定義通りであり;
rとsは独立して、−CRcc−または−C(C(CN)2)−であり;
bは1、2、3、または4である。
【0023】
特定の実施様態においては、piは、一個以上のチエニル、チアゾリル、またはフェニル基を含む単環基、二環基または複素環基であり、これらの基はそれぞれ、必要なら上述のように置換されていてもよい。例えば、piは、次の基から選ぶことができる。
【0024】
【化5−1】

【0025】
【化5−2】

【0026】
【化5−3】

【0027】
式中、RaとRcはそれぞれ、上の定義どおりである。
【0028】
ある好ましい実施様態においては、R1とR2とR3は独立して、C1-20アルキル基とC1-20アルコキシ基から選ばれる。上記C1-20アルキル基あるいはC1-20アルコキシ基は、それぞれ必要に応じてC1-20アルキル基とC1-20アルコキシ基から独立して選ばれる1〜4個の置換基で置換されていてもよい。
【0029】
特に好ましい実施様態においては、R1とR2とR3が、独立してC1-20アルキル基から選ばれ、上記C1-20アルキル基は必要に応じて、C1-6アルキル基から独立して選ばれる1〜4個の置換基で置換されていてもよい。
【0030】
特に好ましい置換基R1とR2とR3は、必要に応じて1〜4個のC1-6アルキル基で置換されたC6-20アルキル基である。
【0031】
数平均分子量Mnは、好ましくは1000〜200000g/molの範囲であり、より好ましくは10000〜100000g/molの範囲である。
【0032】
「アルケニル」は、一個以上の炭素−炭素二重結合をもつ直鎖または分岐状のアルキル基をいう。例としては、エテニルや、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル基があげられる。一個以上の炭素−炭素二重結合は、(2−ブテンのように)内部にあっても、あるいは(1−ブテンのように)末端にあってもよい。いろいろな実施様態において、アルケニル基は、2〜20個の炭素原子をもつことができる。いくつかの実施様態においては、本明細書に開示のように、アルケニル基が置換されていてもよい。一般的には、アルケニル基は他のアルケニル基、アルキル基またはアルキニル基で置換されていない。
【0033】
「アルキニル」は、一個以上の炭素−炭素三重結合をもつ直鎖または分岐状アルキル基をいう。例としては、エチニルやプロピニル、ブチニル、ペンチニルがあげられる。一個以上の炭素−炭素三重結合は、(2−ブチンのように)内部にあっても、(1−ブチンのように)末端にあってもよい。いろいろな実施様態において、アルキニル基は2〜20個の炭素原子をもつことができる。いくつかの実施様態においては、本明細書に開示のように、アルキニル基が置換されていてもよい。一般的には、アルキニル基は他のアルキニル基、アルキル基、またはアルケニル基で置換されていない。
【0034】
「シクロアルキル」は、環状のアルキル基やアルケニル基、アルキニル基などの非芳香族脂環式基をいう。好ましいシクロアルキル基は、3〜10個の炭素原子をもつことができる。シクロアルキル基は、単環式であっても(例えば、シクロヘキシル)、多環式(例えば、縮合環系、架橋環系及び/又はスピロ環系を含む)であってもよく、その炭素原子は環系の内部にあっても外部にあってもよい。このシクロアルキル基のいずれか適当な環位置が、特定の化学構造と共有結合していてもよい。シクロアルキル基の例には、シクロプロピルや、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカリル、アダマンチル、スピロ[4.5]デカニル基、またこれらの同族体や異性体等が含まれる。本明細書に開示のようにシクロアルキル基は置換されていてもよい。
【0035】
「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外のいずれかの元素の原子をいい、例えば、窒素や酸素、ケイ素、硫黄、リン、セレンがあげられる。
【0036】
「シクロヘテロアルキル」は、OとS、Se、N、P、Si(例えば、OとSとN)から選ばれる少なくとも一種の環ヘテロ原子と、必要に応じて一個以上の二重結合または三重結合を含む非芳香族シクロアルキル基をいう。シクロヘテロアルキル基は、3〜12個の環原子をもつことができる。シクロヘテロアルキル環中の一個以上のN、P、S、またはSe原子(例えば、NまたはS原子)が酸化されていてもよい(例えば、モルホリンN−オキシド、チオモルフォリンS−オキシド、チオモルフォリン、S−ジオキシド)。シクロヘテロアルキル基の窒素またはリン原子が、置換基を、特にアルキル基を有していてもよい。シクロヘテロアルキル基は、また、一個以上のオキソ基を、例えばオキソピペリジル、オキソオキサゾリジル、ジオキソ−(1H,3H)−ピリミジル、オキソ−2(1H)−ピリジル等を含むことができる。好ましいシクロヘテロアルキル基には、特に、モルホリニル、チオモルフォリニル、ピラニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、オキサゾリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、ピベラジニルが含まれる。シクロヘテロアルキル基は、置換していても非置換であってもよい。
【0037】
「アリール」は、芳香族単環式炭化水素環系または2つ以上の芳香族炭化水素環が縮合した(即ち、共有する結合を有する)縮合多環式環系、または少なくとも一個の芳香族単環式炭化水素環が一個以上のシクロアルキル環及び/又はシクロヘテロアルキルと縮合した環をいう。アリール基はその環系内に6〜14個の炭素原子を持つことができ、複数の縮合環を持つことができる。好ましい芳香族炭素環のみからなるアリール基には、フェニルや、1−ナフチル(二環式)、2−ナフチル(二環式)、アントラセニル(三環式)、フェナンスレニル(三環式)が含まれる。好ましい多環式環系で、少なくとも一種の芳香族炭素環が一個以上のシクロアルキル及び/又はシクロヘテロアルキル環に縮合したものの例としては、特に、シクロペンタンのベンゾ誘導体(即ち、インダニル基、5,6−二環式シクロアルキル/芳香族環系)、シクロヘキサンのベンゾ誘導体(即ち、テトラヒドロナフチル基、6,6−二環式シクロアルキル/芳香族環系)、イミタゾリンのベンゾ誘導体(即ち、ベンズイミダゾリニル基、5,6−二環式シクロヘテロアルキル/芳香族環系)、ピランのベンゾ誘導体(即ち、クロメニル基、6,6−二環式クロヘテロアルキル/芳香族環系)があげられる。他の好ましいアリール基には、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、クロマニル、インドリニル基等が含まれる。いくつかの実施様態においては、本明細書に開示のようにアリール基が置換されていてもよい。いくつかの実施様態においては、アリール基が一個以上のハロゲン置換基を持つことができ、これを「ハロアリール」基という。ペルハロアリール基、即ちすべての水素原子がハロゲン原子で置き換えられたアリール基(例えば、−C65)も、「ハロアリール」の定義内に含まれる。特定の実施様態においては、アリール基が他のアリール基で置換されており、これをビアリール基と呼ぶことができる。ビアリール基内の各アリール基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0038】
「ヘテロアリール」は、少なくとも一個の環ヘテロ原子を含む芳香族単環式または多環式の環系をいう。このヘテロ原子は、好ましくは酸素(O)と窒素(N)、硫黄(S)、ケイ素(Si)、セレン(Se)から選ばれるか、多環式の環系であるが、特にこれらに限定されるのではない。多環式ヘテロアリール基には、相互に縮合した2個以上のヘテロアリール環と一個以上の芳香族炭素環、非芳香族炭素環、及び/又は非芳香族シクロヘテロアルキル環と縮合した単環式ヘテロアリール環が含まれる。ヘテロアリール基は、5〜14個の環原子を持つことができ、1〜5個の環へテロ原子を持つことができる。ヘテロアリール基の具体例としては、例えば、以下に示す5−または6−員環単環式及び5−6二環式環系があげられる。
【0039】
【化6】

【0040】
式中、
Tは、O、S、NH、N−アルキル、N−アリール、N−(アリールアルキル)(例えば、N−ベンジル)、SiH2、SiH−(アルキル)、Si(アルキル)2、SiH−(アリールアルキル)、Si−(アリールアルキル)2、またはSi(アルキル)(アリールアルキル)である。これらヘテロアリール環の例としては、ピロリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、キノリル、2−メチルキノリル、イソキノリル、キノキサリル、キナゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンズオキサゾリル、シノリニル、1H−インダゾリル、2H−インダゾリル、インドリジニル、イソベンゾフリル、ナフチリジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、イミダゾピリジニル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ピリドピリミジニル、ピリドピラジニル、ピリドピリダジニル、チエノチアゾリル、チエノキサゾリル、チエノイミダゾリル基等が含まれる。他のヘテロアリール基の例としては、4,5,6,7−テトラヒドロインドリル、テトラヒドロキノリニル、ベンゾチエノピリジニル、ベンゾフロピリジニル基等が含まれる。いくつかの実施様態においては、本明細書に開示のように、ヘテロアリール基が置換されていてもよい。
【0041】
1とR2とR3が、直鎖又は分岐鎖のC6−C20アルキルであることが、例えばn−ヘキシルや、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシル、1−メチルペンチル、1−メチル−ヘキシル、2−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2,7−ジメチルオクチルであることが特に好ましい。特に好ましいのは、2,6−ジメチルオクチルと、1−エチルヘキシル、1−メチルヘキシル、2−エチルペンチル、2−メチルヘキシル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、2−エチルヘキシルであり、最も好ましいのはn−ドデシルである。
【0042】
本発明のコポリマーは、下のスキーム1に従って合成できる。
【0043】
【化7】

【0044】
本コポリマーの特定の実施様態は、スキーム1に従って、トリ−o−トリルホスフィンとPd2(dba)3(dba=ジベンジリデンアセトン)の存在下での金属触媒スティル重合で合成できる。
【0045】
1,3−ビス(トリメチルスタニル)−チエノ[3,2−b]チオフェンは、無水THF中でチエノ[3,2−b]チオフェンにt−ブチルリチウムを添加して合成できる。その際、沈殿物が形成される。この懸濁液に、トリメチルスズ塩化物を固体として添加する。1,3−ビス(3−アルキニル−2−イル)−チエノ[3,2−b]チオフェンは、無水o−ジクロロベンゼン中で、トリ−o−トリルホスフィンとPd2(dba)3の存在下で、1,3−ビス(トリメチルスタニル)−チエノ[3,2−b]チオフェンを2−ブロモ−3−ヘキサデシニルチオフェンと反応させて製造される。4,8−ビス(アルキル)−ジチエノベンゾ−チエノ[3,2−b]チオフェンは、NMP中でDBUを1,3−ビス(3−アルキニル−2−イル)−チエノ[3,2−b]チオフェンに添加して得ることができる。ビス(アルキル)−ジチエノベンゾ−チエノ[3,2−b]チオフェンは、無水THF中で、t−ブチルリチウムとの反応と、これに続くトリメチルスズ塩化物の添加で、相当するビストリメチルスタニル化合物に変換される。トリ−o−トリルホスフィンとPd2(dba)3の存在下での有機スズ化合物と適当なジブロミドとの重合で、所望のコポリマーができる。
【0046】
本発明は、本発明のポリマーの酸化型と還元型の両方を含んでいる。電子の欠乏または過剰により導電性の高い非局在化イオンが形成される。これは、通常のドーパントでのドーピングで行われる。ドーパントとドーピング方法は常識であり、例えばEP−A0528662やUS5198153、WO96/21659から公知である。適当なドーピング方法には、例えば、ドーピングガスでのドーピングや、ドーパントを含む溶液中での電気化学的ドーピング、ドーパントの半導体材料中への熱拡散とイオン注入が含まれる。
【0047】
電荷キャリアーとして電子を用いる場合、ハロゲン(例えば、I2や、Cl2、Br2、ICl、ICl3、IBr、IF)、ルイス酸(例えば、PF5や、AsF5、SbF5、BF3、BCl3、SbCl5、BBr3、SO3)、無機酸(例えば、HFや、HCl、HNO3、H2SO4、HClO4、FSO3H、ClSO3H)、有機酸またはアミノ酸、遷移金属化合物(例えば、FeCl3や、FeOCl、Fe(ClO43、Fe(4−CH3C6H4SO33、TiCl4、ZrCl4、HfCl4、NbF5、NbCl5、TaCl5、MoF5、MoCl5、WF5、WCl6、UF6、LnCl3(なお、Lnはランタノイド))、アニオン(例えば、Cl-や、Br-、I-、I3-、HSO4-、SO42-、NO3-、ClO4-、BF4-、PF6-、AsF6-、SbF6-、FeCl4-、Fe(CN)63-、またアリール−SO3-などの異なるスルホン酸のアニオン)を使用することが好ましい。電荷キャリアーとして空孔を用いる場合、ドーパントとしては、例えば、カチオン(例えば、H+や、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+)、
アルカリ金属(例えば、Liや、Na、K、Rb、Cs)、アルカリ土類金属(例えば、Caや、Sr、Ba)、O2、XeOF4、(NO2+)(SbF6-)、(NO2+)(SbCl6-)、(NO2+)(BF4-)、AgClO4、H2IrCl6、La(NO33、FSO2OOSO2F、Eu、アセチルコリン、R4+、R4+、R6As+、R3+、(式中、Rはアルキル基である)があげられる。
【0048】
本発明のコポリマーの導電性の形のものは、有機導電体として使用され、具体的には、有機発光ダイオード(OLED)中の電荷注入層とITO平坦化層や、フラットスクリーンやタッチスクリーン、静電防止フィルム、プリント回路、キャパシターなどに使用されるが、用途が特にこれらに限定されるのではない。
【0049】
本発明のコポリマーは、光学材料、電子材料、半導体材料の製造に使用可能で、特に電界効果トランジスタ(FET)中の電荷輸送材として、例えば集積回路(IC)の部品、IDタグまたはTFTとして使用できる。あるいは、これらは、有機発光ダイオード(OLED)中で、エレクトロルミネセンスディスプレイ中で、またはバックライトとして例えば液晶表示機器(LCD)中で、光発電用途に、あるいはセンサーや電子写真記録や他の半導体用途に使用できる。
【0050】
本発明のコポリマーは溶解性がよいため、溶液または分散液として基材に塗布することができる。したがって、層が安価な方法で、例えばスピンコート法や印刷で形成できる。
【0051】
好適な溶媒または溶媒混合物には、例えばアルカンや、芳香族化合物、エステル、ケトンが含まれ、特にこれらのハロゲン誘導体が含まれる。
【0052】
半導体材料を含む、例えばダイオードを含むFET等の部品は、信憑性を示すために、また有価物の偽造防止のため、例えば紙幣やクレジットカード、IDカードや運転免許書などの証明書、あるいはゴム印や切手、チケットなどの金銭的な利点をもつ文書の偽造を防止するために、IDタグやセキュリテイラベル中で好ましく使用できる。
【0053】
また、本発明のポリマーは、有機発光ダイオード(OLED)中で、例えばディスプレイ中で使用でき、また液晶ディスプレイ(LCD)用のバックライトとして使用できる。通常、OLEDは多層構造をしている。発光層は、一般に一層以上の電子及び/又は正孔輸送層の間に形成される。電圧がかかると、電子または正孔が発光層の方向に移動し、ここで再結合して励起され、続いて発光層中の発光性化合物が発光する。これらのポリマーや材料や層は、その電気的特性や光学的特性に応じて、一層以上の輸送層及び/又は発光層中で使用される。これらの化合物、材料または層がエレクトロルミネセンスを示す場合、あるいはエレクトロルミネセンス基または化合物を有する場合、これらは特に発光層に好適である。
【0054】
OLED中で使用するための適当なポリマーの加工と同様に、この選択は常識であり、例えば、Synthetic Materials, 111−112 (2000)、31−34、またはJ. Appl. Phys., 88 (2000) 7124−7128に記載されている。
【0055】
有機半導体では、いろいろな形成法が用いられ、例えばいろいろな溶液加工法による形成法が用いられている。例えば、多くの印刷法エレクトロニクス技術ではインクジェット印刷に注目が置かれているが、これは主に、この方法で、形状位置や多層構造の形成においてより大きな制御が可能であるためである。インクジェット印刷は非接触プロセスであり、これにより、事前に形成したマスターが不必要となり(接触印刷法と比較して)、またインク吐出のデジタルでの制御が可能となりため、ドロップオンデマンド印刷が可能となる。マイクロディスペンサー法は、もう一つの非接触印刷方法である。しかしながら接触印刷法は、非常に高速でのロール加工に好適であるという長所をもっている。接触印刷法の具体例としては、以下の例には限定されないが、例えばスクリーン印刷やグラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、平版印刷、パッド印刷、マイクロコンタクト印刷があげられる。なお、「印刷」には、インクジェット印刷やマイクロディスペンサー法等の非接触プロセスや、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、平版印刷、パッド印刷、マイクロコンタクト印刷等の接触プロセスがあげられる。他の溶液加工方法としては、例えば、スピンコーティング、ドロップキャスティング、ゾーンキャスティング、浸漬塗装、ブレード塗装、または吹き付けがあげられる。
【0056】
本発明に開示されている化合物を用いるいろいろな製品、具体的には電子機器や光学機器や電界効果トランジスタ(例えば、薄膜トランジスタ)などの光電装置、光起電装置、有機発光ダイオード(OLED)、相補形金属酸化膜半導体(CMOS)、相補形インバータ、Dフリップフロップ、整流器、リングオシレータもまた本発明の範囲内にあり、またこれらの製造方法も本発明の範囲内にある。
【0057】
したがって、本発明はまた、半導体材料の製造方法を提供する。本方法は、本明細書に開示されている一個以上の化合物を、液状媒体に、例えば溶媒または溶媒混合物に溶解または分散して該化合物を含む組成物を調整し、この組成物を支持体上に塗布して半導体材料前駆体を得て、この半導体前駆体を加工(例えば、加熱)して本明細書に開示の化合物を含む半導体材料(例えば、薄膜半導体)を与えることからなることができる。いろいろな実施様態においては、この液状媒体が、有機溶媒であるか、水などの無機溶媒、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施様態においては、この組成物がさらに、洗剤や分散剤、結合剤、相溶化剤、硬化剤、開始剤、湿潤剤、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、殺生剤、静菌剤から独立して選ばれる一種以上の添加物を含むことができる。例えば界面活性剤及び/又は他のポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリイソブテン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート等)が、分散剤、結合剤、相溶化剤、及び/又は消泡剤として含まれていてもよい。
【0058】
いくつかの実施様態においては、この塗布工程が、印刷により、例えばインクジェット印刷やいろいろな接触印刷法(例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、パッド印刷、平版印刷、フレキソ印刷、マイクロコンタクト印刷)により実施できる。他の実施様態においては、この塗布工程が、スピンコーティング、ドロップ−キャスティング、ゾーン−キャスティング、浸漬塗装、ブレード塗布、または吹き付けで実施できる。
【0059】
本発明はまた、本発明の半導体材料と基材成分及び/又は誘電体成分とからなる複合物を含む本明細書に記載のいろいろな装置などのような製品を提供する。この基材成分は、ドープ処理ケイ素、酸化インジウムスズ(ITO)、ITO塗装ガラス、ITO塗装ポリイミドまたは他のプラスチック、アルミニウムまたは他の金属あるいはこれをポリマーまたは他の基材に塗布したもの、ドープ処理後のポリチオフェン等から選択できる。誘電体成分は、いろいろな酸化物(例えば、SiO2、Al23、HfO2)などの無機誘電体材料や、いろいろな高分子材料(例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリハロエチレン、ポリアクリレート)などの有機誘電体材料、自己組織化規則格子/自己組織化ナノ誘電性(SAS/SAND)材料(例えば、Yoon、M−H. et al., PNAS、102 (13): 4678−4682 (2005)に記載のもの、この開示すべてを引用として本明細書に組み込む)、および複合有機/無機誘電体材料(例えば、U.S.特許出願No.11/642,504に記載のもの、この開示すべてを引用として本明細書に組み込む)から製造できる。いくつかの実施様態においては、この誘電体成分が、U.S.特許出願No.11/315,076と60/816,952と60/861,308に記載の架橋ポリマーブレンドを含むことができる。なお、これらの文献のすべてを引用として本明細書に組み込む。この複合物はまた、一個以上の電気接点を含むことができる。ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極に適当な材料には、金属(例えば、Au、Al、Ni、Cu)や、透明導電性酸化物(例えば、ITO、IZO、ZITO、GZO、GIO、GITO)、また導電性ポリマー(例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)やポリアニリン(PANI)、ポリピロール(PPy))が含まれる。本明細書に記載の複合物の一種以上は、いろいろな有機電子装置や光学装置、光電装置で、例えば有機薄膜トランジスタ(OTFT)、具体的には有機電界効果トランジスタ(OFET)として、またセンサーやキャパシター、ユニポーラ回路、相補回路(例えば、インバーター回路)などとして実施可能である。
【0060】
他の製品で本発明の材料が有用であるものは、光起電装置または太陽電池である。本発明の部品は、光吸収域が広く及び/又は正に大きくシフトした還元電位をもつためこの用途に好適である。従って、本明細書に記載の物質は、pn接合を形成するn型半導電性材料を有している光起電装置の設計において、p型半導体として用いることができる。これらの化合物は、薄膜半導体の形であってよく、支持体上に析出させて複合物とすることができる。このような装置中での本発明の小分子の利用は、当業界の専門化には常識である。
【0061】
したがって、本発明のもう一つの側面は、本発明の半導体材料を含む有機電界効果トランジスタの製作方法に関する。本発明の半導体材料は、いろいろな種類の有機電界効果トランジスタの作製に使用でき、例えばトップゲート・トップコンタクトキャパシター構造、トップゲート・ボトムコンタクトキャパシター構造、ボトムゲート・トップコンタクトキャパシター構造、ボトムゲート・ボトムコンタクトキャパシター構造の製造に使用できる。図1に四種のOFET構造を、即ちトップコンタクト・ボトムゲート構造(a)、ボトムコンタクト・ボトムゲート構造(b)、ボトムコンタクト・トップゲート構造(c)、トップコンタクト・トップゲート構造(d)を示す。図1に示すように、一つのOFETは、誘電体層(例えば、それぞれ図1a、1b、1c、1dの8、8’、8”、8’”)と、半導体層(例えば、それぞれ図1a、1b、1c、1dの6、6’、6”、6’”)と、ゲート接点(例えば、それぞれ図1a、1b、1c、1dの10、10’、10”、10”’)と、基材(例えば、それぞれ図1a、1b、1c、1dの12、12’、12”、12’”)と、ソース接点とドレイン接点(例えば、それぞれ図1a、1b、1c、1dの2、2’、2”、2’”、4、4’、4”、4’”)とをもつことができる。
【0062】
特定の実施様態においては、ドープしたケイ素基材上に、SiO2を誘電体として、トップコンタクト構造で本化合物を形成して、OTFT装置を作製することができる。特定の実施様態においては、少なくとも本発明の材料を含む活性半導電性層を、室温または高温で形成することができる。他の実施様態のおいては、少なくとも本発明の化合物を含むこの活性半導電性層が、上述のようにスピンコート法あるいは印刷で塗布される。トップコンタクト装置の製造のために、金属接点を、シャドウマスクを用いてフィルム上にパターン状に形成することができる。
【0063】
特に断らない限り、定量的なデータのすべて(%、ppm等)は、混合物の総重量に対する重量ベースの値である。
【実施例】
【0064】
実施例1.1,3−ビス(トリメチルスタニル)−チエノ[3,2−b]チオフェンの調整
【0065】
【化8】

【0066】
アルゴン下で、1g(7.1mmol)のチエノ[3,2−b]チオフェンを40mlの無水THFに溶解し、−78℃に冷却する。11ml(17.6mmol)の1.6Mのtert−ブチルリチウムのペンタン溶液をゆっくり添加する。この混合物を−78℃で2時間攪拌し、次いで4g(20mmol)のトリメチルスズ塩化物を固体として添加する。この溶液を室温まで温め、さらに1時間攪拌する。この溶液を100mlのジエチルエーテルで希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出し、乾燥、気化させる。残渣を、−20℃でアセトニトリルから結晶化させ、1.9g(58%)の無色結晶を得る。
【0067】
Mp=130℃、
MS(FD、8kV):m/z=465.4g/mol(計算値:C122OS2Sn2として465.9g/mol);
1H−NMR(300MHz、CD2Cl2、RT):δ7.28(s、2H)、δ0.41(s、2H);
13C−NMR(75MHz、CD2Cl2、RT):δ148.0、142.0、16.6、−8.0;
元素分析:実測値:30.91%C、4,48%H、13.61%S(計算値:30.94%C、4.33%H、13.77%S)
【0068】
実施例2.1,3−ビス(3−ヘキサデシニルチオフェン−2−イル)−チエノ[3,2−b]チオフェンの調整
【0069】
【化9】

【0070】
932mg(2mmol)の1,3−ビス(トリメチルスタニル)−チエノ[3,2−b]チオフェンと843mg(2.2mmol)の2−ブロモ−3−ヘキサデシニルチオフェンを、アルゴン下で20mlの無水o−ジクロロベンゼンに溶解する。61mg(0.2mmol)のトリ−o−トリルホスフィンと47mg(50μmol)のPd2(dba)3を添加する。この溶液を120℃で3時間加熱する。この溶媒を高真空下で除去する。残渣を、シリカゲル上で石油エーテル−ジクロロメタン(17:3v/v)を溶離液として用いるカラムクロマトグラフィーで精製する。0℃でヘキサンから結晶化の後、950mg(64%)のオレンジ黄色の粉末が得られる。
【0071】
Mp=71℃;
MS(FD、8kV)m/z=743.3g/mol(計算値:C46644として744.4g/mol);
1H−NMR(250MHz、CD2Cl2,RT):δ7.68(s、2H)、δ7.14(d、J=5.3Hz、2H)、δ7.02(d、J=5.3Hz、2H)、δ2.54(t、J=7.0Hz、4H)、δ1.69(quin、J=7.4Hz、4H)、δ1.6−1.1(m、48H)、δ0.89(t、J=6.5Hz、6H);
13C−NMR(62.5MHz、CD2Cl2、RT):δ140.0、138.99、138.94、132.3、123.7、119.2、117.5、97.4、76.6、32.6、30.4−30.2(複数ピーク)、30.0、29.9、29.7、29.1、23.3、14.5;
元素分析:実測値:74.00%C、8.62%H、17.30%S(計算値:74.14%C、8.66%H、17.21%S)。
【0072】
実施例3.4,8−ビス(テトラデシル)−ジチエノベンゾ−チエノ[3,2−b]チオフェンの調整
【0073】
【化10】

【0074】
500mg(0.67mmol)の1,3−ビス(3−ヘキサデシニルチオフェン−2−イル)−チエノ[3,2−b]チオフェンを15mlのNMPに溶解する。溶液を脱泡後、0.11ml(0.74mmol)のDBUを添加する。得られた溶液を一夜還流し、室温にまで冷やし、20mlのメタノールで希釈して濾過する。黄色固体をヘキサンから再結晶化させて、390mg(78%)の黄色がかった微細な針状結晶を得る。
【0075】
Mp=118℃;
MS(FD、8kV)m/z=743.5g/mol(計算値:C46644として744.4g/mol);
1H−NMR(500MHz、C22Cl4、60℃):δ7.65(s、2H)、δ7.40(d、J=5.2Hz、2H)、δ7.38(d、J=5.2Hz、2H)、δ3.20(t、J=7.9Hz、4H)、δ1.85(quin、J=7.7Hz、4H)、δ1.56(quin、J=7.6Hz、4H),)、δ1.39(quin、J=7.5Hz、4H);δ1.3−1.1(m、36H)、δ0.82(t、J=7.0Hz、6H);
13C−NMR(125MHz、C22Cl4、60℃):δ138.3、136.5、134.2、132.1、131.8、130.0、125.1、125.0、120.8、34.8、32.2、31.3、29.9(複数ピーク)、29.8、29.6、22.9、14.4; 元素分析:実測値:74.12%C、8.67%H、17.04%S(計算値:74.14%C、8.66%H、17.21%S)。
【0076】
実施例4.2,8−ビストリメチルスタニル−5,12−ビス(テトラデシル)−ジチエノ−ベンゾ−チエノ[3,2−b]チオフェンの調整
【0077】
【化11】

【0078】
74.5mg(0.1mmol)の4,8−ビス(テトラデシル)−ジチエノベンゾ−チエノ[3,2−b]チオフェンを、アルゴン雰囲気下で5mlの無水THF中に懸濁させる。この懸濁液を0℃に冷却し、ここに0.16ml(0.25mmol)のtert−ブチルリチウム(1.6M、ペンタン溶液)をゆっくりと添加する。これにより懸濁液は、明るい黄色から茶褐色となる。この混合物を0℃で2時間混合すると色が再度明るくなる。50mg(0.25mmol)のトリメチルスズ塩化物の2mlTHF溶液をゆっくりと添加し、混合物を室温まで暖めて、同温度で1時間攪拌する。20mlのメタノールを添加し、沈殿物を濾別し、2回4℃で酢酸エチルから再結晶化させて、45mgの黄色針状結晶を得る。
【0079】
Mp=67℃;
MS(FD、8kV)m/z=1070.1g/mol(計算値:C52804Sn2として1070.3g/mol);
1H−NMR(250MHz、CD2Cl2):δ7.67(s、2H)、δ7.51(s、2H)、δ3.23(t、J=7.7Hz、4H)、δ1.87(quin,、J=7.6Hz、4H)、δ1.59(quin、J=7.4Hz、4H)、δ1.4−1.1(m、40H)、)、δ0.87(t、J=6−5Hz、6H)、δ0.48(s、18H)、
13C−NMR(75MHz、CD2Cl2):δ140.2、139.6、136.8、136.2、134.2、133.2、132.1、129.5、120.4、35.3、32.5、31.7、30.3(複数ピーク)、30.2、29.9、23.3、14.5;
元素分析:実測値:58.84%C、7.66%H、11.38%S(計算値:58.33%C、7.53%H、11.98%S)。
【0080】
実施例5a.ポリ(2,8−ビス−3−テトラデシルチオフェン−2−イル)−5,12−ビス(テトラーデシル)−ジチエノベンゾ−チエノ[3,2−b]チオフェンの調整
【0081】
【化12】

【0082】
32.13mg(30μmol)の2,8−ビストリメチルスタニル−5,12−ビス(テトラデシル)−ジチエノベンゾ−チエノ[3,2−b]チオフェンと21.50mg(30μmol)の5,5’−ジブロモ−4,4’−ジドデシル−2,2’−ジチオフェンを、アルゴン下で2mlの無水1,2−ジクロロベンゼンに溶解する。1.2mg(4μmol)のトリ−o−トリルホスフィンと0.9mg(1μmol)のPd2(dba)3を添加する。得られた混合物を140℃で3日間加熱する。この溶液を1,2−ジクロロベンゼンで希釈し、メタノール中で沈殿化させる。濾過後に得られるポリマーを2回メタノール中で再結晶化させ、乾燥させる。31mgの赤色固体が得られる(80%)。ポリスチレン標準試薬を用いたGPC分析(1,2,4−トリクロロベンゼン、135℃)の結果、Mn=8kg/molで、Mw=16kg/molであることがわかる。
1H−NMR(500MHz、C22Cl4、120℃、δ(ppm)):7.6(br、2H)、7.5(br、2H)、7.2(br、2H)。
【0083】
実施例5b.他の調製方法
グローブボックス中で、107.09mg(0.1mmol)の2,8−ビストリメチルスタニル−5,12−ビス(テトラデシル)−ジチエノベンゾ−チエノ[3,2−b]チオフェンと71.68mg(0.1mmol)の5,5’−ジブロモ−4,4’−ジデシル−2,2’−ジチオフェンを、マイクロ波チューブ内の入った1mlのトルエンに溶解する。触媒として5mg(5mmol)のPd(PPh34を添加後、このチューブを封じてマイクロ波照射にかける(330W)。温度を120℃で5分間で維持し、次いで140℃でさらに5分間、最後に155℃で40分間維持する。部分的に沈殿したポリマーを1,2−ジクロロベンゼン中に溶解し、メタノールで沈殿化させ、さらに再沈殿させてから、アセトンでのソックスレー抽出に12時間かける。110mgの赤色ポリマーが得られる(85%)。ポリスチレン標準試薬を用いるGPC分析の(1,2,4−トリクロロベンゼン、135℃)結果、Mn=17kg/molであり、Mw=43kg/molであることがわかる。
【0084】
実施例6.FET装置の製作と測定
トランジスタの製作には、熱的に成長させた厚みが200nmの二酸化ケイ素層をもつ、多量にドープしたシリコンウエハーを基材に用いる。気相からヘキサメチルジシラザンを120℃で蒸着させた。この半導体高分子フィルム(約47.5nm厚)は、5mg/mlの1,2−ジクロロベンゼン溶液をスピンコートして(3000rpm、60s)、製造した。基材を100℃で5分間熱処理し、ゆっくりと冷却(1℃/min)後、シャドウマスク越しに半導体薄膜上に金を蒸着させて(3・10-6mbar、1Ås-1、約100nm厚)、ソール電極とドレイン電極を形成して、チャネル長が25〜75であり、幅が約0.5〜1.5mm(W/L=20)である装置を作製した。作製とケースレー4200半導体パラメーター測定装置を用いる電気的測定は、すべて窒素雰囲気下かつ黄灯下で行った。
【0085】
飽和時の電荷キャリアー(電界効果)移動度は、次式から計算した。
【0086】
【数1】

【0087】
結果は次のとおりである。
【0088】
電界効果移動度:μsat=1.29(±0.28)・10-3cm2/Vs(五回の測定の平均)
オンオフ比:Ion/Ioff=3.8(±0.2)・103(五回の測定の平均)
【図1a】

【図1b】

【図1c】

【図1d】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式のジチエノベンゾ−チエノ[3,2−b]チオフェン−コポリマー:
【化1】

[式中、
piは、必要に応じて1〜4個のRa基で置換された単環基または多環基であり、
式中
aは、それぞれ独立して、水素、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)=C(Rb2、g)C1-20アルキル基、h)C2-20アルケニル基、i)C2-20アルキニル基、j)C1-20アルコキシ基、k)C1-20アルキルチオ基、l)C1-20ハロアルキル基、m)−Y−C3-10シクロアルキル基、n)−Y−C6-14アリール基、o)−Y−3−12員環シクロヘテロアルキル基、またはp)−Y−5−14員環ヘテロアリール基であり(上記のC1-20アルキル基とC2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリールまたはハロアリール基、3−12員環シクロヘテロアルキル基、5−14員環ヘテロアリール基は、必要に応じて1〜4個のRb基で置換されていてもよい);
bは、それぞれ独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)−NH2、g)−NH(C1-20アルキル)、h)−N(C1-20アルキル)2、i)−N(C1-20アルキル)−C6-14アリール、j)−N(C6-14アリール)2、k)−S(O)mH、l)−S(O)m-1-20アルキル、m)−S(O)2OH、n)−S(O)m-OC1-20アルキル、o)−S(O)m-OC6-14アリール、p)−CHO、q)−C(O)−C1-20アルキル、r)−C(O)−C6-14アリール、s)−C(O)OH、t)−C(O)−OC1-20アルキル、u)−C(O)−OC6-14アリール、v)−C(O)NH2、w)−C(O)NH−C1-20アルキル、x)−C(O)N(C1-20アルキル)2、y)−C(O)NH−C6-14アリール、z)−C(O)N(C1-20アルキル)−C6-14アリール、aa)−C(O)N(C6-14アリール)2、ab)−C(S)NH2、ac)−C(S)NH−C1-20アルキル、ad)−C(S)N(C1-20アルキル)2、ae)−C(S)N(C6-14アリール)2、af)−C(S)N(C1-20アルキル)−C6-14アリール、ag)−C(S)NH−C6-14アリール、ah)−S(O)mNH2、ai)−S(O)mNH(C1-20アルキル)、aj)−S(O)mN(C1-20アルキル)2、ak)−S(O)mNH(C6-14アリール)、al)−S(O)mN(C1-20アルキル)−C6-14アリール、am)−S(O)mN(C6-14アリール)2、an)SiH3、ao)SiH(C1-20アルキル)2、ap)SiH2(C1-20アルキル)、ar)−Si(C1-20アルキル)3、as)C1-20アルキル基、at)C2-20アルケニル基、au)C2-20アルキニル基、av)C1-20アルコキシ基、aw)C1-20アルキルチオ基、ax)C1-20ハロアルキル基、ay)C3-10シクロアルキル基、az)C6-14アリールまたはハロアリール基、ba)3−12員環シクロヘテロアルキル基、またはbb)5−14員環ヘテロアリール基であり;
Yは、それぞれ独立して、2価のC1-6アルキル基、2価のC1-6ハロアルキル基、または共有結合であり;
mは、それぞれ独立して0、1または2であり;

1とR2とR3はそれぞれ、独立してH、ハロゲン、CN、C1-30アルキル基、C2-30アルケニル基、C1-30ハロアルキル基、C2-30アルキニル基、C1-30アルコキシ基、C(O)−C1-20アルキル基、C(O)−OC1-20アルケニル基、Y−C3-10シクロアルキル基、−Y−3−12員環シクロヘテロアルキル基(これらはそれぞれ、ハロゲンと−CN、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ハロアルキル基から選ばれる1〜5個の置換基で置換されていてもよい)、
−L−Ar1、−L−Ar1−Ar1、−L−Ar1−R4、または−L−Ar1−Ar1−R4であり
[式中、Lは、それぞれ独立して、−O−、−Y−O−Y−、−S−、−S(O)−、−Y−S−Y−、−C(O)−、−NRcC(O)−、−NRc−、−SiRc2−、−Y−[SiRc2]−Y−、2価のC2-30アルキル基、2価のC1-30アルケニル基、2価のC1-30ハロアルキル基、または共有結合である;
(式中、Rcはそれぞれ、H、C1-20アルキル基、または−Y−C6-14アリール基であり;Ar1は、それぞれ独立して、C6-14アリール基または5−14員環ヘテロアリール基であり、これらの基は、必要ならハロゲンと−CN、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ハロアルキル基から選ばれる1〜5個の置換基で置換されていてもよい);
4は、それぞれ独立して、C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C1-20ハロアルキル基、C1-20アルコキシ基、−L’−Ar2、−L’−Ar2−Ar2、−L’−Ar2−R5、または−L’−Ar2−Ar2-5であり;
(式中、L’は、それぞれ独立して、−O−、−Y−O−Y−、−S−、−S(O)−、−Y−S−Y−、−C(O)−、−NRcC(O)−、−NRc−、−SiRc2−、−Y−[SiRc2]−Y−、2価のC1-20アルキル基、2価のC1-20アルケニル基、2価のC1-20ハロアルキル基、または共有結合であり;
Ar2は、それぞれ独立して、C6-14アリール基または5−14員環ヘテロアリール基であり、各基は必要に応じてハロゲンと−CN、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ハロアルキル基から選ばれる1〜5個の置換基で置換されていてもよい;
5はそれぞれ、C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C1-20ハロアルキル基、またはC1-20アルコキシ基であり;
Yは、それぞれ独立して、2価のC1-6アルキル基、2価のC1-6ハロアルキル基、または共有結合である)];

n=0、1、2であり;
o=1〜1000である。
【請求項2】
請求項1のポリマーの半導体または電荷輸送材としての、薄膜トランジスタ(TFT)としての、または有機発光ダイオード(OLED)用の半導体部品中での、光起電部品用の、またはセンサー中での、電池の電極材料としての、光導波路としての、または電子写真用途への利用。
【請求項3】
一種以上の請求項1に記載のポリマーが液状媒体中に溶解あるいは分散した組成物。
【請求項4】
一種以上の請求項1に記載のポリマーを含む薄膜半導体。
【請求項5】
基材と、該基材上に形成された請求項4に記載の薄膜半導体とからなる複合物。
【請求項6】
請求項5に記載の複合物の製造方法であって、請求項1に記載のポリマーを液状媒体中に溶解または分散させて溶液をつくり、該溶液を支持体上に塗布し、溶媒を除去して該基材上の薄膜半導体を形成する方法。
【請求項7】
上記溶液が、スピンコーティング、ドロップキャスティング、浸漬塗装、または印刷により塗布される請求項6に記載の方法
【請求項8】
請求項4の薄膜半導体または請求項5の複合物を含む電界効果トランジスタ装置。
【請求項9】
請求項4の薄膜半導体または請求項5の複合物を含む光起電装置。
【請求項10】
請求項4の薄膜半導体または請求項5の複合物を含む有機発光ダイオード装置。

【公表番号】特表2013−512975(P2013−512975A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541429(P2012−541429)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068365
【国際公開番号】WO2011/067192
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【出願人】(506209857)マクス−プランク−ゲゼルシャフト、ツール、フェルデルング、デァ、ヴィセンシャフテン、イー、ファウ (5)
【Fターム(参考)】