説明

ストッパの長手位置を決定するための配置

本発明は、液状薬剤(M)の半透明の薬剤容器(1)のコンパートメント(5)をシールするためのストッパ(4)の長手位置を決定するための配置及び方法に関する。配置は、円形光源(8)及び光感受性センサ(7)を含み、ここで光源(8)又はセンサ(7)は、薬剤容器(1)の長さの少なくとも一部に広がる薬剤容器(1)に接して横方向に配置可能であり、ここでそれぞれの他の光源(8)及びセンサ(7)は薬剤容器(1)の先端周りに円形状に配置可能である。光源は薬剤容器中に光を放射するように配置される。光は薬剤又は薬剤容器(1)により散乱され、センサ(7)により検出される。センサ(7)はストッパ(4)の位置を検出するためにプロセッサユニットに連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤容器のコンパートメントをシールするためのストッパの長手位置を決定するための配置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリンジ又はアンプルなどの薬剤容器は通常、内部に保存されている薬剤、例えばインスリンに対して不活性で化学的に耐性のある医療用ガラスから作られている中空シリンダーを含む。容器は、薬剤を移動させそして穿孔可能膜によりシールしてもよい出口端からそれを押し出すために、シリンダーの縦軸に沿って動くことができる、シリンダーの一端でストッパ又は栓によってシールされる。ストッパ及び穿孔可能膜は通常、規定の圧力条件下での機械的気密性及び長期細菌不透過性を確保するエラストマーから作られている。ストッパ及び穿孔可能膜の材料の寸法決定及び選択に影響を与える他の重要なパラメータは、ストッパで期待される最大力及び穿孔可能膜の許容穿孔数である。
【0003】
薬剤を充填しそして容器をシールする前に、シリンダーの内面の質がシリコン処理により改善され、それでストッパの静的及び動的摩擦が減少する。更にシリコン処理は投薬精度を改善し、そして長期保存中の内面からガラス微粒子が分離するリスクを減少させる。
【0004】
特許文献1は、注入配置のためのストッパ、ストッパ本体を含むストッパ、注入配置の駆動部材に取り付けられるストッパ本体支持体、及びストッパ本体に対して注入配置の製品容器をシールするためのシール部材を開示し、ここで膜本体は、シール部材が膜本体の一部であるストッパ本体の近位端において部材がキャップ様式で配置されている。膜本体の近位端で製品によって加えられた圧力を測定するためにセンサを備えている。センサは圧力センサであってもよい。
【0005】
特許文献2は、シリンダー及び移動可能プランジャを含む薬剤カートリッジを開示している。カートリッジにはプランジャの外部面に位置する特殊な電気的性質を有する電気素子が備え付けられている。電気素子は抵抗パッドによって連結された、導電性ディスク又は2つの導電性リングの形をとることができる。デバイスは電気素子を接触させるための電気接点を備えていてよい。
【0006】
特許文献3は物質の容器を開示しており、その容器は、容器を物質の投与ユニットと連結するための結合要素、及び物質に関連する認識要素を含む。認識要素は包装上に印刷されたバーコード、包装中に同封されたチップカード又は磁気カードであってよい。
【0007】
特許文献4は、ピストンとピストンロッド間の磁気連結を有する薬剤送達デバイスを開示している。デバイスは、製品に対する保持容積(retaining volume)、及び保持容積内に及び/又は保持容積から製品を排出するために保持容積に対して可動性のピストンを有している。ピストンロッドはピストンと効果的に連結される。結合ユニットが電磁又は磁気効果を生じるためにピストンに備えられている。ピストンロッドには、電磁又は磁気効果を生じる永久磁石が備え付けられている。ピストン及びピストンロッドは結合ユニット及び永久磁石により互いに連結されている。
【0008】
特許文献5は、a)開口部を有する又はその配置のために準備されている製剤容器、b)開口部を通して容器中の製剤の少なくとも一部を送達するために操作可能な機構、c)機構へ容器を連結する取り付け手段及びd)容器又はその内容物の少なくとも1つの所定の特性を検出するように配置されるセンサシステムを含む製剤送達デバイスを開示している。デバイスは、容器位置又はその一部を照射するように配置される放射送信器、放射が容器位置によって影響された後で送信器から少なくとも1つの領域部分の放射を受信するように配置される放射受信器、該領域部分から受信された総放射を代表する出力応答を与えるように設計されている受信器を含む。デバイスを操作する方法は、放射が容器位置によって影響を受けることが可能なように放射を容器位置又はその一部の方向へ放射を送信し、影響を受けた放射の少なくとも一部を容器位置の少なくとも1つの領域部分から非イメージング式で受信し、そして容器の所定の性質が存在するかどうかを確立するために、所定の性質を代表する所定の特性を有する受信放射の特性を比較する工程を含む。
【0009】
特許文献6は、無針注入デバイスのためのノズル組立体を開示している。ノズル組立体は注入可能チャンバ及び1つ又はそれ以上の出口オリフィス並びに1つ以上の出口オリフィスの方へ注入可能チャンバを通して動くように構成されるプランジャを含むノズル体を含む。幾つかの実施態様では、プランジャは、脆弱領域により可撤性に連結された第1の部分及び第2の部分を含む。幾つかの実施態様では、プランジャは、プランジャを無針注入デバイスの駆動組立体に連結するように構成された延長部を含む。
【0010】
特許文献7は、ポータブルハウジング中のポンプシステムによって占められる空間を最小化するリニア駆動を含む、注入システムのためのポンプシステムを開示している。モータ及びモータ駆動シャフトは、シリンジ及び親ねじと並行し、そして隣接して配置される。ギアボックスは駆動シャフトと親ねじを連結してそれらの間の回転運動を移動するようにする。コーン(corn)又は駆動ナットなどのピストン駆動部材は、親ねじの回転運動をシリンジピストンの直線運動に変換する。センサは、ピストン又はコーンがそれぞれ「ホーム」位置及び「エンド」位置にあるときに、検出する。締め付け部材は、少なくとも調剤方向で直線運動に抗して親ねじを選択的に締め付ける。場合により、近接センサは、コーン及びピストンが調剤中に隣接していることを確実にするために使用される。
【0011】
特許文献8は、シリンジ中の光学的用量測定手段を開示している。シリンジ中のインスリン量の測定は、インスリン用量記録計/血糖測定器で光学的に行われる。シリンジは、用量の投与前後にホルダに置かれる。シリンジ中の液量は、シリンジの光学的応答パターンをデバイス中に保存された較正データと比較することにより測定される。用量履歴は、臨床医のコンピュータへ移すために患者コンピュータにダウンロードされる。標準又は特注シリンジ(例えば、高度のプランジャを備えた)が使用されてよい。音波などの他の波エネルギー担体も使用されてよい。
【0012】
特許文献9は、動物内に可動ピストンを有する浸透圧薬送達デバイスを埋め込み、そして動物の外側から浸透圧薬送達デバイス内の埋め込み可動ピストンの位置を測定することを含む、浸透圧薬送達システムの性能をモニタリングする方法を開示している。可動ピストンの位置は、蛍光透視法、X線法、又は磁気ゲージによるいずれかで測定してよい。浸透圧送達デバイスは、好ましくはリザーバの内部に含まれる有益な薬剤を動物の臓器に送達するための少なくとも1つの開口部を有する埋め込み型リザーバ、及び動物のリザーバ内に含まれる有益な薬剤の放出を引き起こす浸透圧エンジンを含む。
【0013】
特許文献10は、シリンジにおけるインダクタンスに基づく用量測定のための配置を開示している。シリンジ中のインスリン量の測定は、インスリン用量記録計/血糖測定器で誘導的に行われる。シリンジは、用量の投与前にホルダに入れられ、シリンジ中の液量が記録される。インダクタは、種々の形状でシリンジ内及び/又はシリンジ外に位置してよい。標準又は特注シリンジが使用されてよい。シリンジ中の液量は、シリンジの誘導応答パターンをデバイス中に保存された較正データと比較することにより測定される。インスリン用量及び血糖履歴は、臨床医のコンピュータへ移動のために患者コンピュータにダウンロードされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】DE10226643A1
【特許文献2】US2003/0125670A1
【特許文献3】WO01/56635
【特許文献4】EP1911479A1
【特許文献5】WO9800187A1
【特許文献6】US2009137949A1
【特許文献7】WO02083209A1
【特許文献8】WO9803215A1
【特許文献9】EP1260244A2
【特許文献10】US6068615
【0015】
本発明の目的は、薬剤容器のコンパートメントをシールするストッパの長手位置を決めるための改良配置を提供することである。
【0016】
本目的は独立クレーム請求項1の特徴を備えた配置によって実現される。
【0017】
有利な実施態様は従属クレームに示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
以下において、用語、近位は、出口又は注射針に取り付けることを目的とした薬剤容器の方向を意味し、一方、用語、遠位は、薬剤容器のシリンダーは開いているがストッパによりシールされる、反対方向を意味する。
【0019】
本発明によれば、液状製剤の半透明薬剤容器のコンパートメントをシールするストッパの長手位置を決めるための配置は、少なくとも1つの光源及び少なくとも1つの光感受性センサを含む。
【0020】
本明細書との関連で、用語、半透明は、光が材料により又はよらずに散乱するか否かに関係なく、少なくとも光の部分透過を可能にする材料の性質を意味する。それと対比して用語、透明は、材料の1つの側で光源から放射された光が、材料の他の側で光源像を造る、言い換えれば、材料を通して見るように送信される状態を意味する。この意味で、透明材料は半透明であるが、一方で半透明材料は必ずしも透明である必要はない。
【0021】
少なくとも1つの光源かあるいは少なくとも1つのセンサは、薬剤容器に接して横方向に配置可能であり、そして少なくとも薬剤容器の長さ部分に亘って、好ましくは少なくともほとんど全長に亘って広がっている。それぞれの他の少なくとも1つの光源及び少なくとも1つのセンサは、薬剤容器の先端周りに、即ち近位端の近くに環状に配置可能である。光源は薬剤容器へ光を放射するように配置される。薬剤容器及び/又は薬剤は、センサがそれを検出することができるようにするために光を散乱させるように配置される。少なくとも1つのセンサはセンサデータを処理するためのプロセッサユニットに連結可能である。
【0022】
1つの実施態様では、薬剤容器の先端周りに配置可能な円形光源であってよく、ここで光感受性センサのアレイは薬剤容器に接して横方向に配置される。プロセッサユニットは、横方向散乱光及び不透明ストッパに起因する明/暗境界を検出することによりストッパ位置を決定するように配置される。
【0023】
他の実施態様では、光源のアレイは薬剤容器に接して横方向に配置される。各光源は他の光源の特性と異なる特性を有する光を放射する。少なくとも1つのセンサは薬剤容器の先端周りに配置可能で、各光源の光を検出することができる。プロセッサユニットは、アレイにおける各光源の配分及びその特性及びその位置に関する情報を有する。プロセッサユニットは:
−光源の特性を検出し、
−どの光源が現在薬剤容器へ光を放射しているかを測定し、
−その特性がセンサデータ中にはない光源がストッパによって現在見えなくされていることを結論し、
−これらの結論を、アレイにおける各光源の配分、それらの特性及びそれらの位置に関する情報と比較することによってストッパ位置を決定するように配置される。
【0024】
センサは、薬剤容器の先端周りにセンサのリングとして配置されてよい。
【0025】
各光源の特性は、光の少なくとも1つの波長又は波長の範囲であってよい。また各光源の特性は、光源を区別できるようにするように、パルス光の周波数又はパターンなど光の個々の変調であってよい。
【0026】
少なくとも1つのセンサが光を検出することができるように、少なくとも1つの光源から光を散乱させるために、薬剤は濁った液体であってよい。光を散乱させるための別の手法は、不透明な薬剤容器、即ちその外面に光を散乱させるために半透明であるが透明ではない薬剤容器であってよい。
【0027】
プロセッサユニットは、ストッパの長手位置から薬剤容器中の薬剤残量を測定するように配置してよい。
【0028】
配置は注入デバイスの一部であってよい。
【0029】
例としての実施態様では、薬剤容器のコンパートメントをシールするためのストッパは、薬剤容器の側域を通して検出可能な少なくとも1つのマーカーを有する。ストッパは、縦方向に可動で薬剤容器中に配置されてよい。マーカーの長手位置を検出することにより、ストッパの長手位置は、ストッパ寸法に対してマーカーの位置が画成されると、高精度で測定することができる。それ故、薬剤容器中の薬剤残量は、薬剤容器の所定の形状及びマーカーの所定の長手位置で算出することができる。このことは薬剤の自動投薬、例えば電気機械的インスリンペンでの投薬を可能にする。
【0030】
マーカーは、ストッパ内及び/又はその側域に配置される視覚マーカーであってよく、マーカーは、ストッパ材料をその色によって、例えば、薬剤容器の外側に配置された光学センサによって区別することができる。
【0031】
視覚マーカーは、ライン又はストライプ又はパターンの形状を有してよい。1つ以上のライン又はストライプは、ストッパ上に、好ましくはストッパの側域の円周方向に配置されてよい。このようにストッパは、長手位置の測定精度に影響を与えることなしにセンサに対して回転してよい。
【0032】
視覚マーカーは、ストッパの側域に適用され、例えば、印刷され又は埋め込まれてよい。
【0033】
別の例の実施態様では、マーカーは、ストッパ中に埋め込まれた永久磁石である。磁気マーカーはホールセンサ(Hall sensor)などの磁気センサで検出してよい。視覚マーカーと対照的に、磁気マーカーは検出できるようにするために照明を必要としない。従って、長手位置もまた、弱い照明条件で又は光を当てるべきでない薬剤で測定してよい。
【0034】
尚、別の例の実施態様では、ストッパ中に埋め込まれた導電性マーカー、例えば鉄心であってよい。かかるマーカーは電流を誘導すること、及びその結果として磁場変化を測定することにより検出してよい。またこの実施態様は照明なしに使用してもよい。
【0035】
ストッパは、高速又は低速反応性薬剤の両方でインスリンペン型注入器に適用されてよい。この場合に、ストッパを備えた薬剤容器はインスリンペン内側に配置される。センサはインスリンペン内側以外の薬剤容器外側に配置され、そして適切な手段、例えばLED又はLC表示部によって表示することができる残量を算出する処理装置に連結される。ストッパは、他の注入デバイスにそして種々の薬剤、例えば抗凝固薬に適用してもよい。
【0036】
いずれかの実施態様に記載のストッパは、エラストマーなどの従来のストッパと同じ材料を含むことができる。一次包装、即ち薬剤容器のガラスシリンダーは不変であってよい。アンプル又は注入デバイスの設計改変は必要ではない。
【0037】
薬剤容器は使い捨てデバイス又は再使用デバイスであってよい。
【課題を解決するための手段】
【0038】
発明の効果
本発明の更なる適用性の範囲は、以下に記載される詳細な説明から明らかになるものである。しかし、当然のことながら、本発明の好ましい実施態様を挙げながらの詳細な説明及び具体例は説明だけにより与えられるが、本発明の精神及び範囲内の種々の変更及び改変はこの詳細な説明から当業者には明らかとなるものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】穿孔可能膜及びストッパによりシールされたガラスシリンダーを備えた従来技術の薬剤容器である。
【図2】側域に適用された視覚マーカーを備えたストッパである。
【図3】埋め込み磁気マーカーを備えたストッパである。
【図4】埋め込み導電性マーカーを備えたストッパである。
【図5】ストッパの後部に配置したレーザ三角測量センサを備えた薬剤容器である。
【図6】レーザ三角測量センサの光路を偏向するためにストッパの後部に配置したミラーを備えた薬剤容器である。
【図7】色共焦点ゲージを備えた薬剤容器である。
【図8】横方向配置光源及び横方向配置センサを備えた薬剤容器である。
【図9】積分光源を備えた薬剤容器及びストッパである。
【図10】横方向配置光源及び光源と反対側に横方向配置したセンサを備えた薬剤容器である。
【図11】ストッパの後部から横方向配置センサまで光源の光を偏向するためにストッパの後部に配置したミラーを備えた薬剤容器である。
【図12】ストッパの後部に配置したセンサまで横方向配置光源の光を偏向するためにストッパの後部に配置したミラーを備えた薬剤容器である。
【図13】薬剤容器の先端周りに配置された円形光源及び横方向配置センサを備えた薬剤容器である。
【図14】横方向配置光源及び薬剤容器の先端周りに配置された円形センサを備えた薬剤容器である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、穿孔可能膜3及びストッパ4によりシールされる中空シリンダー2を備えた従来技術の薬剤容器1である。穿孔可能膜3及びストッパ4は、物質、例えば薬剤を保持するために、間にコンパートメント5を画成する。シリンダー2はガラスから構成されてよい。ストッパ4は、薬剤を移動させそして穿孔可能膜3が穿孔されるとそれを出口から外に押し出すために、シリンダー2の縦軸に沿って動くことができる。ストッパ4及び穿孔可能膜3は、エラストマーから作られてよい。薬剤容器はその内容物、例えばインスリンを表示するラベルを有してよい。
【0041】
図2は、ストッパ4の側域に適用された多数の視覚マーカー6.1を備えたストッパ4である。視覚マーカー6.1は、このために透明又は半透明の必要がある薬剤容器1の側域を通して検出可能である。視覚マーカー6.1の長手位置を検出することにより、ストッパ4の長手位置は、ストッパ4寸法に対して視覚マーカー6.1の位置が画成されると、高精度で測定することができる。それ故、薬剤容器1中の薬剤残量は、薬剤容器1の所定の形状及び視覚マーカー6.1の所定の長手位置で算出することができる。
【0042】
マーカー6.1は、その色により、例えば薬剤容器1の外側に配置された光学センサ(図示せず)によりストッパ4材料と区別できてよい。
【0043】
視覚マーカー6.1は、図1に示されるライン若しくはストライプの形状又は別のパターンの形状を有してよい。1つ又はその他の数の視覚マーカー6.1だけであってよい。ライン又はストライプは、好ましくはストッパの側域の円周方向に配置される。
【0044】
視覚マーカー6.1は、ストッパ4の側域に適用され、例えば印刷され又は埋め込まれてよい。
【0045】
図3は、埋め込み磁気マーカー6.2、例えば永久磁石を備えたストッパ4の別の実施態様を示す。磁気マーカー6.2はホールセンサなどの磁気センサ(図示せず)により検出してよい。磁気マーカー6.2の長手位置を検出することにより、ストッパ4の長手位置は、ストッパ4寸法に対して磁気マーカー6.2の位置が画成されると、高精度で測定することができる。それ故薬剤容器1中の薬剤残量は、薬剤容器1の所定の形状及び磁気マーカー6.2の所定の長手位置で算出することができる。1つ又はその他の数の磁気マーカー6.2だけであってよい。
【0046】
図4は、埋め込み導電性マーカー6.3、例えばマーカーとしての役割を果たす鉄心を備えたストッパの尚別の実施態様を示す。かかるマーカー6.3は電流を誘導すること、及びその結果として磁場変化を測定することにより検出してよい。マーカー6.3の長手位置を検出することにより、ストッパ4の長手位置は、ストッパ4寸法に対してマーカー6.3の位置が画成されると、高精度で測定することができる。それ故、薬剤容器1中の薬剤残量は、薬剤容器1の所定の形状及びマーカー6.3の所定の長手位置で算出することができる。
【0047】
導電性要素6.3は1つだけ又はその他の数存在してよい。
【0048】
ストッパ4は、インスリンペン型注入器に適用されてよい。その上ストッパは、他の注入デバイスにそして種々の薬剤、例えば鎮痛薬、抗凝固薬、インスリン誘導体、ヘパリン、ロベノックス(Lovenox)、ワクチン、成長ホルモン、ペプチドホルモン、タンパク質及び複合糖質の1つに適用されてよい。
【0049】
薬剤容器1では、例えば2つ又はそれ以上の物質を別々に保存するが、使用前に混合する必要がある注入器において、2つ以上のコンパートメント5及び2つ以上のストッパ4があってよい。
【0050】
図2及び3の実施態様の機構は互いに組み合わされてよく、即ちストッパ4は、マイクロチップ6及び光感受性コーティングの両方を含んでよい。
【0051】
図5は、ストッパ4から遠位に配置されたレーザ三角測量センサ9を備えた薬剤容器1を示す。レーザ三角測量センサ9は、レーザビームでストッパ4の遠位側又は裏側を照明し、それにより光点を創り出す。この光点は、レーザ三角測量センサ9によって検出され、そしてレーザ三角測量センサ9とストッパ4間の距離が三角測量により算出される。レーザ三角測量センサ9はストッパ4の後部に直線状に配置される。
【0052】
図6は、図5の実施態様の変形である。レーザ三角測量センサ9からストッパ4へ及び逆向きのレーザ粒子は、シリンダーから遠位に配置されたミラー10によって偏向される。レーザ三角測量センサ9は横方向に配置される。この実施態様は、配置の全長を減少させる可能性がある。
【0053】
図7は、色共焦点ゲージ11とストッパ4間の距離を測定するために、ストッパ4から遠位に配置された色共焦点ゲージ11を備えた薬剤容器1である。その距離は白色光の放射及びストッパ4による反射光の分散を測定することによって決定される。
【0054】
図8aは、薬剤容器1の別の実施態様の横方向図である。図8bは、ストッパ4を通した関連横断面である。光感受性センサアレイ7は、シリンダー2から横方向に配置され、平行配列している。センサアレイ7はシリンダー2のほぼ全長に広がる。1つの光源8は、シリンダー2から横方向に配置され、しかしシリンダー2を照明するようにセンサアレイ7から角度補正される。2つの反射視覚マーカー6.1は、光源8からセンサアレイ7まで光を反射するようにストッパ4で周辺に配置される。センサアレイ7で検出される光の強度分布はストッパ位置を示す。視覚マーカー6.1の数は2と異なり得る。光源8は、好ましくは少なくともシリンダー2の長さ部分に広がる表面放射光源8である。
【0055】
図9aは、薬剤容器1の別の実施態様の横方向図である。図9bは、ストッパ4を通した関連横断面である。光感受性センサアレイ7は、シリンダー2から横方向に配置され、平行配列している。センサアレイ7はシリンダー2のほぼ全長に広がる。2つの光源8はセンサアレイ7を照明するようにストッパ4において配置される。センサアレイ7で検出される光の強度分布はストッパ位置を示す。ストッパ4における光源8の数は2と異なり得る。
【0056】
図10aは、薬剤容器1の別の実施態様の等角図である。図10bは、ストッパ4から遠位でシリンダー2を通した関連横断面である。図10cは、ストッパ4から近位でシリンダー2を通した関連横断面である。表面放射光源8は、シリンダー2へ差し込んで通るようにシリンダー2のほぼ全長に広がり、シリンダー2から横方向に配置される。光源8と反対に、光感受性センサアレイ7は、シリンダー2を通して送信された光源8からの光を検出するように配置される。光はシリンダー2内で屈折し、ここでストッパ4から近位に液状製剤で満たされたコンパートメント5における屈折率は、ストッパ4から遠位にシリンダー2の空気で満たされた部分の屈折率よりも高い。それ故、ストッパ4から近位でセンサアレイ7によって検出される光の強度はストッパ4から遠位の場合よりも高いことから、長手ストッパ位置を決定することが可能である。
【0057】
図11は、横方向配置センサアレイ7に遠位で配置された光源8の光を偏向するために、ストッパ4で遠位に取り付けられたミラー10を備えた薬剤容器1の尚別の実施態様である。センサアレイ7上に現れた光点はストッパ4の長手位置を示す。
【0058】
図12は、遠位に配置された光感受性センサ7へ光源8の横方向配置アレイ12の光を偏向させるために、ストッパ4で遠位に取り付けられたミラー10を備えた薬剤容器1である。光源8のアレイ12はシリンダー2のほぼ全長に広がり、多くの独立した光源8を含むが、それらの各々は独立に制御されるように配置され、そしてアレイ12のその他の光源8と異なる特性を有する。その特性は、少なくとも1つの光の波長又は波長の範囲であってよい。それは同じようにパルス周波数などの光の変調であってよい。長手ストッパ位置に応じて、センサ7は、1つの光源8又は少数の個々の光源8の光を受ける。各光源8の個々の特性に因り、ストッパ4の長手位置を測定することができる。
【0059】
図13は、近位端近くの薬剤容器1の先端周りに配置した円形光源8を備えた
薬剤容器1の別の実施態様である。光源8はシリンダー2中に光を放射し、そして近位端からコンパートメント5中の薬剤を照明する。光感受性センサアレイ7はシリンダー2から横方向に配置され、平行配列している。センサアレイ7はシリンダー2のほぼ全長に広がる。シリンダー2及び/又は薬剤は、横方向散乱光及び不透明ストッパ4に起因するセンサアレイ7上で明/暗境界を創り出すために、光を散乱するように配置される。光は、濁ったインスリンなど濁った液体である薬剤により散乱してよい。また光は、不透明シリンダー2、即ち半透明であるが透明ではないシリンダー2により散乱してよい。
【0060】
センサアレイ7上の明/暗境界の位置はストッパ位置を表示する。円形光源8は光源8のアレイ12であってよい。
【0061】
図14は、光源8の横方向配置アレイ12を備えた薬剤容器1の尚別の実施態様である。光源8のアレイ12はシリンダー2のほぼ全長に広がり、多くの独立した光源8を含むが、それらの各々は独立に制御されるように配置され、そしてアレイ12におけるその他の光源8と異なる特性を有する。その特性は、少なくとも1つの光の波長又は波長の範囲であってよい。それは同じようにパルス周波数などの光の変調であってよい。円形センサ7又はセンサ7のアレイはシリンダー2の先端周りに配置される。
【0062】
長手ストッパ位置に応じて、コンパートメント5及びコンパートメント5中の薬剤は光源8のすべて又は一部により照明される。シリンダー2及び/又は薬剤は、センサ7又はセンサアレイ7がそれを検出することができるようにするために光を散乱させるように配置される。光は、濁ったインスリンなどの濁った液体である薬剤により散乱されてよい。光はまた、不透明シリンダー2、即ち半透明であるが透明ではないシリンダー2により散乱されてよい。センサ7又はセンサ7のアレイは、少なくとも1つの光源8及び個々の光源8の一部の光を受ける。センサ7又はセンサアレイ7に連結したプロセッサユニット(図示せず)は、各光源8の配分及びアレイ12におけるその特性及びその位置に関する情報を有する。プロセッサユニットは、光源8の特性を検出し、どの光源8が現在薬剤容器1へ光を放射しているかを決定し、その特性がセンサデータにない光源8がストッパ4によって現在見えなくされていることを結論し、そしてこれらの結論を情報と比較することによりストッパ位置を決定するように配置される。
【0063】
薬剤容器1におけるストッパ4の長手位置は、ストッパ4とそれぞれのセンサ又はゲージ及びセンサ/ゲージの既知相対位置と薬剤容器1間の測定距離から算出することができる。
【0064】
参照リスト
1 薬剤容器
2 シリンダー
3 穿孔可能膜
4 ストッパ
5 コンパートメント
6.1 視覚マーカー
6.2 磁気マーカー
6.3 導電性マーカー
7 センサ、センサアレイ
8 光源
9 レーザ三角測量センサ
10 ミラー
11 色共焦点ゲージ
12 光源のアレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状製剤(M)の半透明薬剤容器(1)のコンパートメント(5)をシールするためのストッパ(4)の長手位置を決定するための配置であって、その配置は、少なくとも1つの光源(8)又は少なくとも1つのセンサ(7)を含み、少なくとも1つの光源(8)か又は少なくとも1つのセンサ(7)が、少なくとも薬剤容器(1)の長さの部分に跨る薬剤容器(1)に接して横方向に配置可能であり、少なくとも1つの光源(8)又は少なくとも1つのセンサ(7)のそれぞれの他方が、薬剤容器(1)の先端周りに円形状に配置可能であり、光源が薬剤容器(1)中に光を放射するように配置され、そして薬剤容器(1)及び/又は薬剤(M)が、センサ(7)がそれを検出することができるように光を散乱させるように配置され、ここで少なくとも1つのセンサ(7)が、センサデータを処理するためのプロセッサユニットに連結可能である、配置。
【請求項2】
光源(8)が、薬剤容器(1)の先端周りに円形状に配置可能な円形光源(8)であり、そして光感受性センサ(7)のアレイが薬剤容器(1)に接して横方向に配置可能であることを特徴とする請求項1に記載の配置であって、プロセッサユニットが、横方向散乱光及び不透明ストッパ(4)に起因するセンサ(7)のアレイ上で明/暗境界を検出することにより、ストッパ位置を決定するように配置される、配置。
【請求項3】
光源(8)のアレイが、薬剤容器(1)に接して横方向に配置可能であることを特徴とする、請求項1に記載の配置であって、各光源(8)が、他の光源(8)の特性と異なる特性を備えた光を放射し、少なくとも1つのセンサ(7)が、薬剤容器(1)の先端周りに配置可能でありそして各光源(8)の光を検出することができ、プロセッサユニットが、アレイにおける各光源(8)の配分及びその特性及びその位置に関する情報を有し、
ここでプロセッサユニットは:
−光源(8)の特性を検出し、
−どの光源(8)が現在、薬剤容器(1)へ光を放射しているかを測定し、
−その特性がセンサデータ中にはない光源(8)が、ストッパによって現在見えなくされていることを結論し、
−これらの結論を情報と比較することによってストッパ位置を決定するように配置される、配置。
【請求項4】
センサ(7)のリングが、薬剤容器(1)の先端周りに配置されることを特徴とする、請求項3に記載の配置。
【請求項5】
各光源(8)の特性が、少なくとも1つの光の波長であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の配置。
【請求項6】
各光源(8)の特性が、光の変調であることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載の配置。
【請求項7】
特性が、パルス光の周波数又はパターンであることを特徴とする、請求項6に記載の配置。
【請求項8】
薬剤が、濁った液体であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の配置。
【請求項9】
薬剤容器(1)が不透明であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の配置。
【請求項10】
プロセッサユニットが、ストッパ(4)の長手位置から薬剤容器中の薬剤(M)残量を測定するように配置されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の配置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の薬剤容器(1)及び配置を含んでなる、注入デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2013−505433(P2013−505433A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529247(P2012−529247)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063514
【国際公開番号】WO2011/032960
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】