説明

スピンドライヤで用いるためのエンドエフェクタ

【課題】半導体基板を速やかに、かつ高い信頼性をもってリンスおよび乾燥する装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るスピンドライヤ101は、スピンドライヤ内に配置された縦向きの基板201から移動した流体を受けるように配置されたシールドシステムを有する。このシールドシステムは、流体がシールドに衝突すると少なくとも部分的に流体を跳ね返すように配置された一以上のシールド213、215、217を有している。このシールドは、シールドに沿った流体の流れを促進するように傾斜しており、液滴が生じないように好ましくは親水性である。スピンドライヤの内部にわたって圧力勾配を加えることにより、流体をシールドシステムに沿って所望の方向に移動させる空気流を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板、フラットパネルディスプレイ、パターン形成済またはパターン形成されていない半導体基板等の薄ディスクを洗浄および乾燥させる方法に関する。本発明は、特に、半導体基板をリンスおよび乾燥する改良型スピン−リンス−ドライヤに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの形状寸法が減少を続けるにつれて、超洗浄処理の重要性が増している。流体タンク(または槽)中での水性洗浄と、それに続くリンスプロセス(例えば、リンス流体に基板を浸漬するものや、リンス流体を基板に噴射するもの)は、望ましい清浄度レベルを達成する。しかしながら、リンスが完了した後に乾燥装置を使わないと、リンス流体が基板表面から蒸発し、ストリーキング、スポッティングが生じ、および/または基板の表面上に槽残渣が残ることになる。このようなストリーキング、スポッティングおよび残渣は、後でデバイス欠陥を引き起こす。従って、最終リンスステップ後に基板を乾燥する方法を改良することに多くの注意が向けられてきた。
【0003】
ストリークのない乾燥を行うことに加えて、このような方法は、スループットを高めるように基板を速やかに乾燥できなければならず、基板処理システム全体にボトルネックを与えてはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、半導体基板などの基板を速やかに、かつ高い信頼性をもってリンスおよび乾燥する方法および装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、改良型スピンリンスドライヤ(spin−rinse−drier:SRD)を提供する。このスピンリンスドライヤは、縦向きの基板を保持および回転させる基板支持体と、基板支持体上に配置された基板の好ましくは両面に流体を供給することができる流体ソースと、を備えている。さらに第1の態様では、このスピンリンスドライヤは、基板の周辺からリンス流体を除去するように設計された少なくとも一つの第1シールドを備えている。このシールドは、特に、下に位置する基板上に液滴を落としうる領域からリンス流体を除去するように設計される。従って、この第1態様において、シールドは、基板支持体上で回転する基板から移動した流体を受けるように配置され、基板から受けた流体を跳ね返すようになっている。第2の態様では、シールドは、基板支持体上で回転する基板から移動した流体を受けるように配置されており、親水性の基板対向面を含んでいる。シールドの基板対向面全体を親水性としてもよいし、親水性ウェーハ対向面を(例えば、基板よりも上の領域で)非親水性のシールドに装着してもよい。第3の態様では、本発明のSRDは、垂直および水平に互い違いに配置された複数のシールドを有するシールドシステムを備えている。これらのシールドは、基板支持体上で回転する基板から移動した流体を受けるように配置され、基板上方の領域から流体を運んで除去することができる。本明細書で用いられているが、垂直に互い違いに配置されている、または様々な高さおよび傾斜を有していると記載されたシールドまたはシールドシステムは、シールドの上部領域を指す。シールドの側部および下部領域は、他の形状を有することができる。
【0006】
本発明の他の態様は、上記態様の様々な組合わせを含み、かつ/または更に有利な特徴を含むことがある。例えば、本発明のSRDは、基板表面を横切る層気流を誘起して乾燥を促進するために印加される圧力勾配を有していてもよい。複数のシールドは、基板に向かって気流をさらに送るように配置することができ、また、シールドに沿った望ましい方向への流体の移動を気流が促進するように、垂直方向に狭い間隔を有していてもよい。本発明のSRDのリッドは、(液滴の形成ではなく流体の激しい流れを促進するために)親水性であってもよく、かつ/または望ましい方向に流体の流れを導くために傾斜していてもよい。更に別の態様は、所望の位置のフライホイルを検知することの可能なセンサおよびフラグを含み、少なくとも毎分400回転の速さで基板を回転しつつリンス流体を基板に供給するステップを含み、閉配置に向かって付勢された複数の開閉自在なグリッパであって、グリッパと基板とが接触する箇所に配置された穴またはスロットを有するグリッパを選択的に開くことができるリモートピンを有するグリッパを含み、および/または複数の方向で丸みを帯びていることが好ましい丸みつきグリッパを備えている。
【0007】
本発明の他の特徴および利点は、下記の好適な実施形態の詳細な説明、特許請求の範囲および添付の図面から更に十分に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のSRDの正面斜視図である。
【図2】本発明のSRDの背面斜視図である。
【図3】図1の本発明に係るSRDの側断面図である。
【図4】図1の本発明に係るSRDのシールドシステムの側断面図である。
【図5】図1の本発明に係るSRDの正面断面図である。
【図6】図1の本発明に係るSRDのグリッパエンドエフェクタの側面図である。
【図7】図1の本発明に係るSRDのグリッパエンドエフェクタの正面図である。
【図8】エンドエフェクタ407の斜視図である。
【図9】図6〜8のグリッパの側面図であり、(a)は開位置におけるグリッパを示し、(b)は閉位置におけるグリッパを示している。
【図10】(a)は、図1の本発明に係るSRD内で用いられるオプションの乾燥機構を示す側断面図であり、(b)は、この乾燥機構を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
便宜上、図面全体を通して、符号の左の数字は符号が最初に出てくる図面を識別するものである。
【0010】
図1および図2は、それぞれ半導体基板などの縦向きの薄ディスクをリンス、回転および乾燥させる本発明のSRD101を示す正面図および背面斜視図である。SRD101は、ハウジング103を含んでおり、ハウジング103の前面103aは、清浄な空気がハウジング103に入ることができるようにする複数の開口または通気孔105a〜fを有している。プレナム107は、ハウジング103の背面103bに沿って配置されている。プレナム107は、排気ライン109を介して排気され、ポンプに連結されている(図示せず)。ハウジング103の上面103cは、ハウジング103の側壁にボルト締めされているので、SRD101の内部部品がアフターサービスを必要とする場合、上面103cをハウジングから取り外すことができる。SRDハウジング103の上面103cは、第1側壁103dから第2側壁103eまで傾斜しているので、上面103c上に集まる流体は上面103cの低い側に流れ、第2側壁103eに沿って流れ落ちる。加熱ランプアセンブリ111は、SRDハウジング103の前面103aに取付けられたハウジング113、ハウジング113内に収容された加熱ランプ115、および石英シールド117を含んでいる。石英シールド117は、SRDハウジング103の前面103aの一部を構成しており、加熱ランプ115から基板201(図2を参照)へ光が透過できるように石英でつくられている。加熱ランプアセンブリ111は、基板201の直径の長さにわたって延び、基板201が回転すると基板201全体が加熱されるようになっている。
【0011】
SRDハウジング103の上面103cは、基板を挿入および引出すことができるような大きさの開口118を有する。スライド可能なドア120は、開口111を開閉するために前後にスライドするように一対のトラック123a、123b上に取付けられている。SRDハウジングの底壁103fは、低位点117に向かって傾斜している。排水管119は、その低位点117で底壁103fに連結され、リンス流体を底壁から除去する。SRDハウジングの底壁103fに連結された一対の脚121a、121bは、SRD101を支持している。本発明のSRD101の内部部品については、図3を参照して説明する。
【0012】
図3は、図1の本発明に係るSRD101の関係部分を示す側断面図である。本発明のSRD101の中の基板201は、回転可能なフライホイル205から延びている一対のグリッパGによって支持されているように図示されている。別のグリッパ(403a〜cおよび405a〜bとして示されている)は、図5に示される。フライホイル205は、SRDハウジングの背面103bの開口を介してモータ207に連結される。一対のリンス流体ノズル208a、208bは、リンス流体のソース(図示せず)に連結され、それぞれ基板201の前面および背面の中心にリンス流体を供給するように配置される。近接センサ209(例えば、容量性または誘導性近接センサ)は、フライホイル205に取り付けられた金属フラグ211の存在を検出するように、SRDハウジングの背面を貫通している。主シールド213、下方シールド215、および上方シールド217を含むシールドシステムが基板201を取り囲んでいる。これは図4に別個に示されており、図4を参照しながら更に説明する。
【0013】
図4は、図1の本発明に係るSRDのシールドシステムの側断面図である。好ましい主シールド213は、フライホイル205上に配置された基板201の外周全体を取り囲んでいる円錐の切片と説明することができる(図3)。従って、主シールド213は、大きな直径からフライホイル205に最も近い小さな直径まで傾斜している(図3)。これらの直径は、主シールド213の基板対向面の角度が好ましくは5〜45°(法線から)の範囲、最も好ましくは18°となるように選択されることが好ましい。主シールド213の基板対向面は、主シールド213の基板対向面に衝突する基板201からの流体が基板対向面から跳ね返されるように、および/または基板対向面に沿って流れ、液滴が発生して基板201上に落下することを防ぐように、円滑で親水性であることが好ましい。親水性材料(例えば、石英)が高価であることから、非親水性シールド(例えば、プラスチックシールド)を用いることも可能であり、親水性のウェーハ対向面またはライナーを形成するように、石英などの親水性材料が非親水性シールドの所望の部分の内側に取り付けられる。例えば、図4に示されるように、石英ライナー213aを基板上方の領域(例えば、主シールド213の上半分)に用いてもよい。好適な実施形態では、主シールドの基板対向面と外面は平行であり、外面と基板対向面が共通の勾配を共有するようになっている。主シールド213の外面は、両縁部に沿って隆起領域301a、301bを有しており、リンス流体が主シールド213の上外面の各縁部を越えて逃げ、その下に配置された基板201上に流れることを防止する。
【0014】
主シールド213が基板201を取り囲んでいることから、主シールド213は、一対の空気圧駆動リンク401a、401b(図5)によってSRDハウジングの第1側壁103d(図1)と第2側壁103e(図3)に連結される。従って、主シールド213は、基板201の挿入および引出しができるように移動して、グリッパG(図3)から離れる。主シールド213はグリッパGから前方に一様に移動してもよいし、あるいは主シールド213の上部領域が、基板201の挿入および引出しが可能になるように十分に前方に傾いていてもよい。
【0015】
図4について再び説明する。好ましい下方シールド215も、基板201の外周の上半分を取り囲む円錐形の切片と説明することができる。下方シールド215は、大きな半径からフライホイル205に最も近い小さな半径まで傾斜している(図3)。これらの半径は、下方シールド215の基板対向面の角度が5〜45°の範囲、最も好ましくは36°であるように選ばれるので、リンス流体は、基板対向面に沿って流れ、基板201から離れる。好適な実施形態では、下方シールド215の基板対向面と外面は平行である。下方シールド215は、ブラケット303を介してSRDハウジングの背面103bに連結されている。
【0016】
主シールド213および下方シールド215と同様に、上方シールド217は円錐形切片と説明することができ、基板201の外周の上部1/4を取り囲んでいる。上方シールド217は、大きな半径からフライホイル205(図3)に最も近い小さな半径まで傾斜している。これらの半径は、上方シールド217の基板対向面の角度が5〜45°の範囲、最も好ましくは10°となるように選択されるので、リンス流体は基板対向面に沿って主シールド213の方に流れる(更に後述する)。上方シールド217は、SRDハウジングの前面103a(図1)にブラケットを介して連結されている。
【0017】
主シールド213、下方シールド215および上方シールド217は、フライホイルが回転するときにフライホイル205(図3)から移動した流体を受けるように垂直および水平に互い違いに配置され、基板201の上方の領域から流体を移動させるようになっている。好適な実施形態では、図示されているように、上方シールド217の高さの低い方の縁部(または直径の小さい縁部)は主シールド213の高さの高い方の縁部(または直径の大きい縁部)と重なり、主シールド213の高さの低い方の縁部は下方シールド215の高さの高い方の縁部と重なっている。隣接するシールドの縁部は、垂直に近接して隔置されている(例えば、0.3インチ)ので、基板201の上方の領域では、高さの高いシールドの基板対向面から、最も近くに位置する高さのより低いシールドの外面へ、飛沫を最小限に抑えながら流体が流れる。シールド213、215および217の接近した垂直方向の間隔は、シールドシステムに沿った流体の移動を容易にする(本発明のSRD101の動作全体については更に後述する)。好ましい上方および下方シールドは基板の上部の周りにのみ延在しているが、いずれか一方または双方が基板の任意の部分、または外周全体を囲むように延びていてもよい。このような延在は、基板の外周全体の周囲における空気の流れを促進し、乱流を防止する。同様に、主シールド213は、基板201の上部だけに沿って延びている場合に、望ましい流体流や流体反射を提供することができる。
【0018】
図5は、図1の本発明に係るSRDの正面断面図である。基板201を支持する複数のグリッパ(図3の「G」)には、三つの固定グリッパ403a〜cと二つの可動グリッパ405a〜bが含まれている。固定グリッパ403a〜cと可動グリッパ405a〜bはフライホイル205に連結されている。各グリッパ403a〜c、405a〜bの各々は、エンドエフェクタ407とフィンガ部分409を含んでいる。フィンガ部分409は、図9(a)および(b)によって記載されるように、フライホイル205に固定連結または可動連結されるように構成されている。固定グリッパ403a〜cおよび可動グリッパ405の双方のエンドエフェクタ407は、最小限の接触で基板201を支持すると共に、流体を捕捉して基板201に付着させることを避けるように構成されている。エンドエフェクタ407の構成は、図6および図7によって最も良く理解される。
【0019】
図6および図7は、それぞれ本発明に係るSRD101のエンドエフェクタ407の側面図と正面図である。図8は、エンドエフェクタ407の斜視図である。エンドエフェクタ407は、二つの先端領域411a、411bから構成され、これらは谷をなすように接合しており、最小限の接触で基板201を支持するようになっている。先端領域411a、411bが接合する領域にスロットまたは穴413を配置し、流体が基板201から離れ、穴413を通って流れることができるようにしてもよい。
【0020】
固定グリッパ403a〜cは、基板を下げた場合に水平方向および垂直方向の双方で固定された位置に基板201を支持するようにフライホイル205の底に沿って隔置される。先端領域411a、411bは、図6および図7にそれぞれ示されるように、縦方向(フィンガ部分409と基板201の間)および横方向(図6の紙面に出入りする方向)の双方に丸みを帯びている。先端領域411a、411bの表面は、円滑であり、好ましくは親水性である。従って、フライホイル205が回転すると、流体は、先端領域411a、411bの円滑な丸みつき表面に沿って流れ、基板201と接触したままではいない。理想的には、複数のグリッパ403a〜c、405a〜bは、それによって支持された基板201の中心が固定グリッパ403a〜cの方向でフライホイル205の中心より下(例えば、フライホイルの中心より0.1〜3mm下、最も好ましくは1mm下)になるように配置される。このようにすることで、基板201が回転すると、基板201が固定グリッパ403a〜cの方へ押される。固定グリッパ403a〜cは開かないので、フライホイル205が回転しても基板201は外れにくい。
【0021】
図9(a)および(b)は、それぞれ開位置および閉位置における可動グリッパ405a、405bの側面斜視図である。可動グリッパ405a、405bの各々は、それぞれベース部分601a、601bを含む。可動グリッパ405a、405bを開くため、空気圧駆動ピン603a、603bは、それぞれ可動グリッパ405a、405bのベース部分601a、601bに接触し、ベース部分601a、601bを前方に(SRDハウジングの前壁103aに向かって)押出すので、フィンガ部分409a、409bを図9(a)に示されるように後方に移動させる。ピン603a、603b用の空気圧アクチュエータ(図示せず)がプレナム107内に収容されており、ピン603a、603bは、SRDハウジングの背面103b内の開口(図示せず)を通ってスライドし、可動グリッパ405a、405bのベース部分601a、601bに接触する。一対のばね605a、605bは、閉位置(図9(b))に可動グリッパ405a、405bを付勢する。この閉位置では、可動グリッパ405a、405bのベース部分601a、601bとそれぞれ接触するピン603a、603bが存在しない。
【0022】
図10(a)および(b)は、それぞれ図1の本発明に係るSRD内に用いられるオプションの乾燥機構を示す側断面図および正面断面図である。図10(a)および(b)に示されるように、オプションの乾燥機構は、好ましくは基板201の垂直方向の直径に沿って延びているテフロン(登録商標)管701を含む。テフロン管701の第1の端部は、半導体グレードクリーンドライ不活性ガス(例えば、窒素、CO2、AR、HE等)のソース702に連結され、テフロン管701の第2の端部はキャップ703を有し、あるいは別の方法でシールされて管を通るガス流を防ぐ。テフロン管701は、基板201の前面に近接させて取り付けられる。基板201に対向するテフロン管701の面には、複数の穴705が存在する。テフロン管701または同様の乾燥機構は、通気孔105a〜fを通じて引き込まれプレナム107を介して基板201の表面上を流される空気流と基板201の表面の大部分が接触することを阻止しないように、また、主シールド213の移動を妨害しないように、大きさを突出させずに構成することが好ましい(例えば、テフロン管701は前壁に取付けられる)。複数の穴705間の数と間隔、不活性ガスの流量、およびテフロン管701と基板201との間隔は、不活性ガスの滑らかな低流動性層流が基板201の表面から流体を流し、および/または蒸発させることを補助するように選ばれる。流体を基板210の縁部から除去することはより困難な可能性があるので、穴705間の間隔は、基板201の縁部に対応するテフロン管701の領域において減少する。薄い管状の乾燥機構が好ましいが、他の形も用いることができる(シャワーヘッド、正方形、長方形等)。同様に、乾燥機構は任意の大きさとすることができる(例えば、乾燥すべき基板に面積が等しい)。
【0023】
作動中、基板201をリンスおよび乾燥するために、スライドドア120は、図1および図2に示されるように、開口118が露出する開位置までトラック123a、123bに沿ってスライドする。フライホイル205は、可動グリッパ405a、405bのベース部分601a、601bがピン603a、603bの前方に位置合わせされるように、近接センサ209が金属フラグ211を検出する所定の位置にある。図9(a)に示されるように、ピン603a、603bは、前方に送られ、可動グリッパ405a、405bのベース部分601a、601bに接触して可動グリッパ405a、405bを開き、リンク401a、401bは、前方に移動して主シールド213を前方に送り、主シールドがもはやグリッパ403a〜c、405a〜bを包囲しないようにする。基板ハンドラ(図示せず)は、開口111を通して基板201を下降させ、基板201を固定グリッパ403a〜c上に載置する。固定グリッパ403a〜cは、基板201の中心がフライホイル205の中心の下に位置する固定位置に基板201を支持する。空気圧アクチュエータ(図示せず)は、可動グリッパ405a、405bが徐々に閉じるようにピン603a、603bを徐々に後退させ、閉位置までドア121がスライドすると、先端領域411a、411b(図5および図6)を基板201と接触させた状態におく。
【0024】
その後、フライホイル205が回転し始める。基板201の中心は、フライホイル205の中心から固定グリッパ403a〜cの方向にずれているので、回転は、基板201を固定グリッパ403a〜cの方向にしっかりと押し込む。従って、可動グリッパ405a、405bは最小限の力を受け、基板201はグリッパ403a〜c、405a〜bから外れにくい。
【0025】
フライホイル205は、始めは低速(例えば、100〜500回転/分(rpm))で回転し、リンス流体ノズル208a、208bは基板201の前面および背面の中心にリンス流体を供給する。重力に打ち勝つために追加のエネルギーを必要とすることから、400rpmは、縦向きの基板の最適なリンスをもたらすことが分かった。即ち、400rpm以上の基板回転度で、リンス流体は基板の中心から上方に基板の上縁部まで移動することができる。基板201が十分に洗浄された後(例えば、約12秒)、リンス流体ノズル208a、208bは停止し、オプションの加熱ランプ115が点灯し、窒素流がチューブ701を介して基板201の表面に導入され、モータ207がフライホイル205の回転速度を上げることにより(例えば、約1000〜2500rpmまで)、リンス流体が高回転速度によって基板201から除去され、かつ/または加熱ランプ115および/または窒素流によって基板201から乾燥されるようにする。
【0026】
洗浄ステップおよび乾燥ステップの双方の間、リンス流体は基板201からシールドシステムの基板対向面まで散布される。流体の大部分は、主シールド213が受け止めるが、流体は下方シールド215、上方シールド217、ハウジング下部のシールドされていない部分にも付着し、あるいはSRDハウジング103の上面103c上で凝縮することがある。
【0027】
好適な実施形態では、主シールド213は、主シールド213に衝突する流体がSRDハウジングの正面に向かってそこから少なくとも部分的に跳ね返され、これにより、流体が主シールド213上に集らず、下に配置された基板201上に落ちるかもしれない液滴を形成しないように傾斜がつけられている。更に、シールド213、215および217は、好ましくは親水性であるので、跳ね返されない流体は、基板201に落ちるかもしれない液滴を発生せずに、シールドに沿って広がりながら移動する。
【0028】
流体は、上方シールド217の基板対向面から主シールド213の上面/非基板対向面へ流れる。流体は、主シールド213の非基板対向面から下方シールド215の非基板対向面へ、および下方シールド215の非基板対向面からSRDハウジング103の背面103bへ流れる。リンス流体は、SRDハウジングの背面103bに沿ってSRDハウジングの底部103fへ流れる。流体は、この底部からポンプ(図示せず)によって除去される。
【0029】
同様に、流体は主シールド213の基板対向面から下方シールド215の非基板対向面へ流れる。下方シールド215の好適な急角度のために、下方シールド215の基板対向面または非基板対向面のいずれかに付着する流体は、SRDハウジングの背面103bへ速やかに流れる。SRDハウジングの上面103cに達する流体は、上面103cに沿ってハウジングの第2側壁103eへ流れる傾向をもつ(ハウジングの上面の勾配のため)。好ましくは、ハウジングの上面103cも親水性である。しかしながら、流体の液滴がSRDハウジングの上面103c上で生じても、それらの液滴は、基板201に接触せずにシールドシステムの非基板対向面上に落ち、その面に沿って移動する。
【0030】
基板201が回転すると、流体は基板201の表面に沿って流れ、そこから残渣をリンスする。一部の流体は、複数のグリッパのエンドエフェクタ407に入る。しかしながら、エンドエフェクタ407内では、流体は、先端領域411a、411bの円滑で丸みを帯びた、好ましくは親水性の面に沿って流れるので、フライホイルと基板201が回転すると、流体は回転力によってそこから容易に移動する。先端領域411a、411bが接合する点に達する流体も、穴413を介してそこから流れることができる。従って、基板201の表面全体(複数のグリッパ403a〜c、405a〜bと接触した領域でさえ)が乾燥する。
【0031】
基板201の乾燥を更に支援するため、およびSRDハウジング103の背面103bに向かうシールドシステムに沿った流体の流れを促進するために、プレナム107はSRD内やSRDを取り囲む環境(例えば、ほぼ大気圧)よりも低い圧力(例えば、2水柱インチ)に維持される。従って、空気層流が通気孔105a〜dを通って引き込まれ、基板201の表面上を流れて、SRDハウジングの背面103b中の開口を通ってプレナム107に入る。この空気流は、基板の乾燥を補助し、また、シールド213、215および217の縦の間隔が密接であるために、流体をこれらの表面に沿ってSRDハウジング103の背面103bに向かって流す傾向がある。
【0032】
基板201が十分に乾いた後(例えば、加熱ランプ115と窒素流が約5〜20秒間オンであった後)、モータ207はフライホイル205の回転を約5rpmに遅くするので、SRDハウジングの背面103b上に配置された近接センサ209は、フラグ211が近接センサ209の前にあるとき、フラグ211を検出することができる。フラグ211が近接センサ209で検出されると、近接センサ209はモータ207に信号を出して止める。従って、フライホイル205と基板201が既知の位置にあるときにフライホイル205が回転を停止する。特に、基板は、SRD101内に配置されたときの位置にある。基板201は、理想的には、SRD101に入る前に向きを決められる。
【0033】
この既知の位置では、可動グリッパ405a、405bのベース部分601a、601bは、ピン603a、603bの前に配置され、空気圧アクチュエータ(図示せず)は、ピン603a、603bを前方へ駆動して可動グリッパ405a、405bのベース部分601a、601bと接触するので可動グリッパ405a、405bを開く。ドア113がスライドして開き、基板ハンドラ(図示せず)が、リンスおよび乾燥された基板201を引き出す。
【0034】
上記の説明は、本発明の好適な実施形態のみを開示しており、本発明の範囲内に含まれる上述の装置および方法の変形は、当業者には容易に明らかになるであろう。例えば、シールドシステムは、親水性で、流体を跳ね返して気流を基板へ送るように設計され、および/または垂直に近接させて隔置して流体の流れを促進する(空気層流の存在下で)1または任意の数のシールドを含んでいる。シールドシステムは、流体を前面へ送るように傾斜してもよいし、SRDハウジングの第1または第2側壁へ流体を送るように傾斜していてもよい。シールドの基板対向面および非基板対向面は平行である必要はない。更に、シールドシステムは、大きな直径から小さな直径まで傾斜する複数の円錐形のシールドを有するように記載されている。この構成によれば、シールドシステムの上面に沿って所望の流体流が得られ、また、基板の主表面に向かって空気流が流されて主表面の乾燥を補助する。所望の流体流が得られるように、シールドの上部が、別の垂直および/または水平に互い違いの構成をとってもよいことが分かる。同様に、基板への気流が必要な場合には、これを他のシールド構成または側壁構成を用いて達成してもよい。シールドの非基板対向面に沿って(側壁の方向に、例えば垂直に延在する)リブを設けることにより更に利益を得ることができる。最後に、本発明に係るシールドシステムは単一の基板乾燥に好適に用いられるが、本発明の態様は複数の基板バッチにも同様に好適である。基板の方向決めに用いられるフラグ/センサも変えることができる。不活性ガス乾燥機構、および圧力変化を誘起して乾燥を促進させる機構も変えることができる。グリッパの数およびグリッパの配置も同様に変えることができる。通常は閉位置に可動グリッパを付勢し、回転しているグリッパから開いているアクチュエータを分離するという本発明の原理は、多くの構成によって達成することができ、依然として本発明の範囲内にある。実際に、本発明に係るSRDの任意の数の発明態様は単独でまたは組合わせて使用することができる。すなわち、1個または複数のシールド、不活性ガス乾燥機構、グリッパ、エンドエフェクタ、偏心位置決め、好ましいRPMリンス、基板オリエンタ等である。実際に、これらの発明態様の多くは、たいていの基板スピナに適用でき、開示されたSRD(例えば、偏心位置決め、グリッパ設計、基板オリエンタ)での使用に限定される必要はなく、あるいはスピンリンサやスピンドライヤ内で使用することもできる。従って、本明細書で用いられるように、スピナは、スピンリンサおよびSRDを含み、スピンリンサは、回転およびリンスを行う装置であって乾燥を行っても行わなくてもよい装置(SRD)を含んでいる。本発明の流体流態様(例えば、好ましいRPMリンス、および流体流用シールド設計)のほかに、残りの発明は、任意の向き(水平等)のスピナ、スピンリンサまたはSRDに適用できることは当然のことである。シールドは、基板の向き(例えば、水平、垂直等)に関係なく、空気流を方向付けるために等しく適用することができる。
【0035】
このように、本発明を好適な実施形態との関連で開示してきたが、他の実施形態が特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨および範囲内に含まれうることは理解されるべきである。
【符号の説明】
【0036】
101…SRD、103…ハウジング、105a〜f…通気孔、107…プレナム、109…排気ライン、111…加熱ランプアセンブリ、118…開口、201…基板、205…フライホイル、207…モータ、208a、208b…リンス流体ノズル、209…近接センサ、211…金属フラグ、213…主シールド、213a…石英ライナー、215…下方シールド、217…上方シールド、301a、301b…隆起領域、403a〜c、405a〜b…グリッパ、407…エンドエフェクタ、409…フィンガ部分、411a、411b…先端領域、413…スロット、601a、601b…ベース部分、603a、603b…空気式ピン、605a、605b…ばね。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄ディスクを支持するスピンドライヤで用いるためのエンドエフェクタであって、
縦方向に丸みを帯びた第1の表面と、
前記第1表面に対向して配置され、基板を支持することができる谷を形成するように前記第1表面に連結された、縦方向に丸みを帯びた第2の表面と、を備えるエンドエフェクタ。
【請求項2】
前記第1表面と前記第2表面が接する箇所に配置され、流体を排出することのできる穴を更に備える請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第1表面および前記第2表面が親水性である請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記第1表面が親水性である請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記第1表面が横方向に丸みを帯びており、前記第2表面が横方向に丸みを帯びている、請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
薄ディスクを支持するスピンドライヤで用いるためのエンドエフェクタであって、
横方向に丸みを帯びた第1の表面と、
前記第1表面に対向して配置され、基板を支持することができる谷を形成するように前記第1表面に連結された、横方向に丸みを帯びた第2の表面と、を備えるエンドエフェクタ。
【請求項7】
前記第1表面と前記第2表面が接する箇所に配置され、流体を排出することができる穴を更に備える請求項6記載のエンドエフェクタ。
【請求項8】
前記第1表面および前記第2表面が親水性である請求項6記載の装置。
【請求項9】
前記第1表面が親水性である請求項6記載の装置。
【請求項10】
薄ディスクを支持するスピンドライヤで用いるためのエンドエフェクタであって、
親水性の第1の表面と、
前記第1表面に対向して配置され、基板を支持することができる谷を形成するように前記第1表面に連結された第2の表面と、を備えるエンドエフェクタ。
【請求項11】
前記第1表面と前記第2表面が接する箇所に配置され、流体を排出することができる穴を更に備える請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記第2表面が親水性である請求項10又は11記載の装置。
【請求項13】
薄ディスクを支持するスピンドライヤで用いるためのエンドエフェクタであって、
第1の表面と、
前記第1表面に対向して配置され、基板を支持することができる谷を形成するように前記第1表面に連結された第2の表面と、
前記第1表面と前記第2表面が接する箇所に配置され、流体を排出することができる穴と、を備えるエンドエフェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−56563(P2010−56563A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−269182(P2009−269182)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【分割の表示】特願2000−108450(P2000−108450)の分割
【原出願日】平成12年4月10日(2000.4.10)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】