説明

ソリッドステートリレー

【課題】コストの上昇を抑制すると共に、異常動作を防止し、且つスナバ回路の抵抗近傍部品が故障してしまうことを防止することが可能なソリッドステートリレーを提供する。
【解決手段】ソリッドステートリレー20は、スナバ回路Sを構成するコンデンサCと抵抗Rとの接続点dと、トライアックTAのゲート端子Gとを接続する第3接続ライン28cを備えている。さらに、ソリッドステートリレー20は、第3接続ライン28c上に設けられた抵抗Rと、接続点eと接続点bとの間に設けられたコンデンサCとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソリッドステートリレーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光素子と、受光素子と、トライアックと、スナバ回路とを備えたソリッドステートリレーが知られている。このソリッドステートリレーでは、パルス状の制御電流が発光素子に供給されると、発光素子が発光して受光素子に受光される。これにより、受光素子はオン状態となってトライアックのゲート端子に電流を供給して、トライアックはオン状態となる。また、スナバ回路はコンデンサと抵抗とが直列接続された構成であり、トライアックと並列に設けられており、急峻な電圧変化やサージ電圧に対して保護を図っている(特許文献1〜5参照)。
【0003】
また、このようなソリッドステートリレーにおいては、スナバ回路のコンデンサが永年使用により短絡してしまう可能性があり得る。この場合、電源電流はスナバ回路を構成する抵抗に対して常時流れ、この抵抗が発熱することにより抵抗近傍部品を故障させてしまうことがある。
【0004】
そこで、フィルムタイプ等のコンデンサと抵抗とが近接配置され一体複合された複合部品が、スナバ回路として用いられている。このスナバ回路において、コンデンサは固有の耐熱温度の限界点を超えると両端子間をオープン状態とする性質を有している。このため、コンデンサが短絡して抵抗が発熱した場合、コンデンサは、抵抗からの熱を受けてオープン状態となり、抵抗近傍部品が故障してしまうことを防止することができる。
【特許文献1】実開平6−26320号公報
【特許文献2】実公平6−44078号公報
【特許文献3】特開平5−299992号公報
【特許文献4】特開平7−15307号公報
【特許文献5】特開平9−246937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のソリッドステートリレーでは、コンデンサと抵抗とが近接配置された複合部品を用いなければならず、この部品が高価であるため、コストの上昇を招いてしまう。また、複合部品を用いないとすると、抵抗近傍部品の故障防止のために回路構成を変更する必要があり、回路変更したことによりトライアックが不用意にオンして、ソリッドステートリレーが異常動作してしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、コストの上昇を抑制すると共に、異常動作を防止し、且つスナバ回路の抵抗近傍部品が故障してしまうことを防止することが可能なソリッドステートリレーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るソリッドステートリレーは、入力端子と、入力端子間を接続する接続ラインと、接続ライン上に設けられ、電流供給時に発光する発光素子と、負荷及び負荷用の電源が接続される出力端子と、発光素子からの光を受光することにより導通状態となる受光素子と、出力端子のうち1つと受光素子の一端側とを接続する第1接続ラインと、出力端子のうち他の1つと受光素子の他端側とを接続する第2接続ラインと、ゲート端子が受光素子の他端側に接続されると共に、残り2端子のうち第1端子が第1接続ラインに接続され、且つ残り2端子のうち第1端子と異なる第2端子が第2接続ラインに接続されて、受光素子と並列配置されるトライアックと、一端側が第1接続ラインに接続され、他端側が第2接続ラインに接続されて、受光素子と並列接続されると共に、コンデンサと抵抗とが直列接続されて構成されたスナバ回路と、を備えたソリッドステートリレーであって、スナバ回路を構成するコンデンサと抵抗との接続点と、トライアックのゲート端子とを接続する第3接続ラインと、第3接続ライン上に設けられた第2の抵抗と、第2接続ラインのうち、トライアックのゲート端子と受光素子の他端側との接続点と、第2端子と第2接続ラインとの接続点との間に設けられた第2のコンデンサと、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、第2接続ラインのうち、第3接続ラインと第2のコンデンサとの接続点と、第2接続ラインとトライアックのゲート端子との接続点との間に設けられた第3の抵抗をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るソリッドステートリレーによれば、スナバ回路を構成するコンデンサと抵抗との接続点と、トライアックのゲート端子とを接続する第3接続ラインを備えるため、コンデンサが短絡した場合に電源電流は第3接続ラインを介してゲート端子に入力され、トライアックが導通状態となる。これにより、電源電流は、トライアックを通じて流れることとなり、コンデンサ短絡時に電源電流が抵抗に流れて抵抗近傍部品が故障してしまうことを防止することができる。しかも、第2の抵抗と第2のコンデンサによって積分回路が形成され、コンデンサが短絡していない通常時においては、スナバ回路と積分回路の減衰率により不用意にトライアックを導通状態としてしまう事態を防止することができる。また、コンデンサと抵抗とを近接配置した複合部品を用いる必要が無く、コストの上昇を抑制することができる。従って、コストの上昇を抑制すると共に、異常動作を防止し、且つスナバ回路の抵抗近傍部品が故障してしまうことを防止することができる。
【0010】
また、第2接続ラインのうち、第3接続ラインと第2のコンデンサとの接続点と、第2接続ラインとトライアックのゲート端子との接続点との間に設けられた第3の抵抗をさらに備えるため、トライアックのゲートオン電流の値が比較的高い場合に、ゲートオン電流を好適にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るソリッドステートリレーを含む負荷駆動回路の構成図である。図1に示すように、負荷駆動回路1は、直流電源10と、ソリッドステートリレー20と、交流電源30と、負荷40とからなっている。
【0012】
直流電源10は、ソリッドステートリレー20に電流供給するものである。ソリッドステートリレー20は、負荷40を駆動制御するために用いられるものであり、可動接点部分が存在しない無接点リレーである。交流電源30は負荷40に電流供給するものである。負荷40は、例えばモータであり、交流電源30に対して直列接続されている。なお、負荷40は、モータに限らず他のものであってもよい。また、負荷40の駆動電源は交流電源30に限らず、直流電源であってもよい。
【0013】
ソリッドステートリレー20は、入力端子21〜23と、入力側回路24と、出力端子25,26と、出力側回路27とからなっている。入力端子21〜23は3つからなっており、第1入力端子21には直流電源10が接続されている。また、第2入力端子22には負荷40を駆動制御するための制御信号が入力され、第3入力端子23はアース接続されている。
【0014】
入力側回路24は、接続ライン28と、発光ダイオード(発光素子)Dと、抵抗Rと、トランジスタTRとを有している。接続ライン28は第1入力端子21と第3入力端子23との間を接続するものである。この接続ライン28上には、発光ダイオードDと抵抗RとトランジスタTRとが設けられている。
【0015】
このうち、発光ダイオードDは、アノードが第1入力端子21に接続されており、カソードが抵抗Rに接続されている。抵抗Rは、一端が発光ダイオードDに接続され、他端がトランジスタTRのコレクタに接続されている。トランジスタTRは、NPNトランジスタであって、コレクタが抵抗Rに接続され、エミッタが第3入力端子23に接続されている。また、トランジスタTRのベースは第2入力端子22に接続されて、制御信号が入力されるようになっている。
【0016】
ここで、第2入力端子22に制御信号が入力されたとする。この場合、トランジスタTRがオンして直流電源10からの電流が発光ダイオードDに供給される。これにより、発光ダイオードDは発光する。なお、制御信号はパルス電流としてトランジスタTRのベースに供給されるため、発光ダイオードDにもパルス状の制御電流が供給され、発光ダイオードDは間欠的に発光することとなる。
【0017】
出力端子25,26は2つからなり、第1出力端子25には負荷40が接続され、第2出力端子26には交流電源30が接続されている。出力側回路27は、フォトトライアック(受光素子)PTAと、第1接続ライン28aと、第2接続ライン28bと、トライアックTAと、スナバ回路Sとを有している。
【0018】
フォトトライアックPTAは発光ダイオードDから光を受光することにより導通状態となるものである。このフォトトライアックPTAと発光ダイオードDとによりフォトカプラが構成されている。また、第1接続ライン28aは第1出力端子25とフォトトライアックPTAの一端側の端子とを接続するものである。第2接続ライン28bは第2出力端子26とフォトトライアックPTAの他端側の端子とを接続するものである。具体的に、第2接続ライン28bは、後述する接続点c、接続点e及び接続点bを通過するラインである。
【0019】
トライアックTAは、ゲート端子Gに所定の電流値を有する電流が入力されることでオンする双方向サイリスタである。このトライアックTAは、ゲート端子Gが第2接続ライン28bに接続されることにより、フォトトライアックPTAの他端側の端子に接続された状態となっている。また、トライアックTAは、残り2端子のうち第1端子が第1接続ライン28aに接続され、且つ残り2端子のうち第1端子と異なる第2端子が第2接続ライン28bに接続されている。これにより、トライアックTAは、フォトトライアックPTAと並列配置されている。なお、トライアックTAの第1端子と第1接続ライン28aとの接続点を以下接続点aとし、トライアックTAの第2端子と第2接続ライン28bとの接続点を以下接続点bとする。さらに、トライアックTAのゲート端子Gと第2接続ライン28bとの接続点を以下接続点cとする。
【0020】
ここで、発光ダイオードDが発光したとすると、フォトトライアックPTAがオンして、電流IがトライアックTAのゲート端子Gに供給される。そして、トライアックTAは導通状態となる。これにより、交流電源30、負荷40及びトライアックTAを介した閉回路が形成されることとなり、負荷40は駆動することとなる。
【0021】
抵抗Rは、第1接続ライン28aのうち、接続点aとフォトトライアックPTAの一端側の端子との間に設けられ、接続点aからの電流をトライアックTAのゲート端子Gに供給するために設けられている。
【0022】
スナバ回路Sは、急峻な電圧変化やサージ電圧から保護するためのものであり、一端側が第1接続ライン28aに接続され、他端側が第2接続ライン28bに接続されている。これにより、スナバ回路Sは、フォトトライアックPTAと並列接続されている。このスナバ回路Sは、コンデンサCと抵抗Rとが直列接続された構成となっている。
【0023】
さらに、本実施形態に係るソリッドステートリレー20は、第3接続ライン28cと、抵抗(第2の抵抗)Rと、コンデンサ(第2のコンデンサ)Cとを有している。第3接続ライン28cは、スナバ回路Sを構成するコンデンサCと抵抗Rとの接続点(以下接続点dという)と、トライアックTAのゲート端子Gとを接続するためのものである。詳細に第3接続ライン28cは、一端が接続点dに接続され、他端が第2接続ライン28bに接続されている。なお、第3接続ライン28cの他端は、接続点cと等電位となるように、抵抗等を介することなく第2接続ライン28bに接続されている。以下、第3接続ライン28cの他端と、第2接続ライン28bの接続点を接続点eとする。
【0024】
抵抗Rは、第3接続ライン28c上に設けられている。コンデンサCは、第2接続ライン28b上に設けられ、詳細には接続点eと接続点bとの間に設けられている。上記のように構成されるため、抵抗RとコンデンサCとで積分回路が構成されている。なお、本実施形態において、スナバ回路Sを構成するコンデンサC及び抵抗Rから求まる時定数Cと、積分回路を構成するコンデンサC及び抵抗Rから求まる時定数CRとの関係は、CR>10・Cとなっているものとする。
【0025】
次に、本実施形態に係るソリッドステートリレー20の動作を説明する。図2は、図1に示したソリッドステートリレー20の基本動作を示すタイミングチャートである。なお、図2において、Vb−aは、接続点aと接続点bとの電位差を示し、負荷40間の電圧は負荷40に印加される電圧値を示している。
【0026】
まず、図2に示すように、まず、時刻0から時刻T1の期間において制御信号が入力されていないとする。この場合、発光ダイオードDは発光せず、フォトトライアックPTAは導通状態とならない。これにより、電流Iは流れず、トライアックTAはオンしないこととなる。また、負荷40間の電圧は「0」近傍の値となり、負荷40は駆動しないこととなる。
【0027】
その後、交流電源30の電圧が最も高くなった時刻T1において、制御信号が入力されたとする。このとき、発光ダイオードDは発光し、フォトトライアックPTAは導通状態となる。これにより、トライアックTAのゲート端子Gに電流Iが流れ、トライアックTAはオンする。そして、トライアックTAがオンしたことにより、接続点aと接続点bとは等電位となる。また、トライアックTAがオンしたことにより、トライアックTAを介して電流が流れる。これにより、負荷40に電圧が加わって、負荷40が駆動することとなる。
【0028】
その後、時刻T2において交流電源30の電圧が「0」近傍となると、トライアックTAがオフして負荷40は駆動しないこととなる。ここで、トライアックTAは、一度オンするとゲート端子Gを除く2端子間に流れる電流が最低電流を下回らない限り、オン状態を継続する性質がある。このため、トライアックTAは、2端子間に流れる電流が最低電流を下回る「0」近傍でオフすることとなる。その後、時刻T2〜T6において、時刻T0〜T2までの動作が繰り返されることとなる。
【0029】
また、交流電源30の電圧が「0」近傍となる時刻T7において、制御信号が入力されたとする。この場合も同様にトライアックTAがオンして負荷40は駆動することとなる。そして、時刻T8において、再び交流電源30の電圧が「0」近傍となると、トライアックTAはオフして負荷40は駆動しないこととなる。その後、時刻T8〜T10において、時刻T7〜T8までの動作が繰り返されることとなる。
【0030】
ここで、図2に示す負荷40間の電圧から明らかなように、制御信号を入力するタイミングに応じて負荷40に加わる電圧の実効値を変化させることができる。これにより、負荷40がモータである場合、モータの回転数を制御できることとなる。すなわち、時刻T0〜T6においてモータは中速回転し、時刻T7〜T10においてモータは高速回転することとなる。
【0031】
なお、図2に示すように、制御信号が入力されない場合、接続点aと接続点bとの電位差が変化するのみで、負荷40は停止したままとなる。
【0032】
次に、第3接続ライン28c、抵抗R、コンデンサCを有しないソリッドステートリレーについて説明する。このようなソリッドステートリレーでは、スナバ回路Sを構成するコンデンサCが永年使用により短絡してしまうことがある。この場合、交流電源30、負荷40及び抵抗Rを介し、且つコンデンサCを介することがない閉回路が形成される。これにより、抵抗Rは発熱し、抵抗Rの近傍部品が故障してしまうことがある。
【0033】
図3は、第3接続ライン28c、抵抗R、及びコンデンサCを有しないソリッドステートリレーのコンデンサC短絡時の動作を示すタイミングチャートである。図3に示すように、第3接続ライン28c、抵抗R、コンデンサCを有しないソリッドステートリレーでは、コンデンサCが短絡すると、交流電源30、負荷40及び抵抗Rとを介した閉回路が形成されてしまう。このため、制御信号の入力タイミングに拘わらず、負荷40には電圧が加わることとなり、常時高速駆動することとなる(図3のI及び負荷40間の電圧参照)。
【0034】
また、制御信号が入力されない場合、トライアックTAを介して電流が流れることなく、抵抗Rを介して電流が流れ続けることとなる。このため、抵抗Rは発熱し続けることとなる。
【0035】
このような場合、スナバ回路Sの抵抗Rに消費される電力P0は、負荷40であるモータの内部インピーダンスをRmとし、交流電源30の電圧をVacとすると、
P0=R(Vac/Rm+R
なる式で表すことができる。この式で表される電力が抵抗Rにおいて消費され、抵抗Rは発熱して近傍部品を故障させてしまうことがある。
【0036】
ところが、本実施形態に係るソリッドステートリレー20は、図1に示すように第3接続ライン28cを備えている。このため、コンデンサCの短絡時には、交流電源30からの電流が第3接続ライン28cを介してトライアックTAのゲート端子Gに入力される。これにより、トライアックTAがオンして、電流はトライアックTAを流れることとなり、抵抗Rでの発熱が抑制されることとなる。
【0037】
図4は、図1に示したソリッドステートリレー20のコンデンサC短絡時であり、制御信号が入力されないときの動作を示すタイミングチャートである。まず、図4に示す時刻0において既にコンデンサCが短絡している。このため、抵抗Rを介して電流が流れる。その後、時刻T21において、|Vb−a|≧|V+R・I|となったとすると、トライアックTAはオンする。ここで、VはトライアックTAのゲートオン電圧とする。
【0038】
そして、トライアックTAが時刻T21においてオンした場合、トライアックTAを介して電流が流れることとなり、抵抗Rに電流が流れないこととなる。これにより、抵抗Rの発熱が抑えられる。その後、時刻T22において交流電源30の電圧が「0」近傍となると、トライアックTAがオフすることとなり、再度抵抗Rに電流が流れることとなる。そして、時刻T22〜T28において、時刻T0〜T22までの動作が繰り返されることとなる。
【0039】
以上のように、本実施形態では、コンデンサC短絡時において、制御信号が入力されなくとも抵抗Rに電流が常時流れることなく、抵抗Rの発熱が抑えられることとなる。具体的に抵抗Rの消費電力をP1とすると、
P1=(Vb−arms/R
となり、消費電力を抑えることができる。なお、rmsは実効値を意味している。
【0040】
さらに、本実施形態に係るソリッドステートリレー20は抵抗Rを備えているため、交流電源30からの電流が第3接続ライン28cを介して流れた場合に、第3接続ライン28cを介して流れる電流の値がトライアックTAの耐電流以上の値であったとしても、トライアックTAのゲート端子Gに加わる電流の値を下げることができる。
【0041】
加えて、本実施形態に係るソリッドステートリレー20はコンデンサCを備えているため、抵抗RとコンデンサCとで積分回路が形成され、通常時(すなわちコンデンサCが短絡していない場合)に、制御信号が入力されていないにも拘わらず、トライアックTAがオンしてしまう事態を防止している。
【0042】
図5は、周波数に対する減衰率を示す相関図である。図5に示すように、スナバ回路Sと第2接続ライン28bとの接続点を接続点fとすると、通常時において接続点f−d間の減衰率は、周波数が高くなるほど高くなる性質を有している。一方、通常時において接続点d−e間の減衰率は、周波数が高くなるほど低くなる性質を有している。
【0043】
通常時では、これらの合成により接続点f−e間の減衰率は図5に示すようになり、トライアックTAのゲート端子Gにはゲートオン電流I以上の電流が供給されないようになる。一方、コンデンサCの短絡時には、接続点f−e間の減衰率は、接続点d−e間の減衰率と等しくなり、図5に示すf−eのように大きく減衰しないこととなって、トライアックTAをオンすることができる。なお、本実施形態では、商用電源の周波数50Hz及び60Hzについて上記の動作が実現できるように、減衰率を設定している。
【0044】
次に、本発明に係るソリッドステートリレー20の変形例を説明する。図6は、変形例に係るソリッドステートリレー20を含む負荷駆動回路2の構成図である。図6に示すように、変形例に係るソリッドステートリレー20は、抵抗(第3の抵抗)Rをさらに備えている。抵抗Rは、第2接続ライン28b上に設けられ、詳細には接続点eと接続点cとの間に設けられている。この抵抗Rは、トライアックTAのゲートオン電流の値が比較的高い場合に、ゲートオン電流を好適にする作用がある。
【0045】
このようにして、本実施形態に係るソリッドステートリレー20によれば、スナバ回路Sを構成するコンデンサCと抵抗Rとの接続点dと、トライアックTAのゲート端子Gとを接続する第3接続ライン28cを備えるため、コンデンサCが短絡した場合に交流電源30の電流は第3接続ライン28cを介してゲート端子Gに入力され、トライアックTAが導通状態となる。これにより、交流電源30の電流は、トライアックTAを通じて流れることとなり、コンデンサC短絡時に電源電流が抵抗Rに流れて抵抗Rの近傍部品が故障してしまうことを防止することができる。しかも、抵抗RとコンデンサCによって積分回路が形成され、コンデンサCが短絡していない通常時においては、スナバ回路Sと積分回路の減衰率により不用意にトライアックTAを導通状態としてしまう事態を防止することができる。また、コンデンサCと抵抗Rとを近接配置した複合部品を用いる必要が無く、コストの上昇を抑制することができる。従って、コストの上昇を抑制すると共に、異常動作を防止し、且つスナバ回路Sの抵抗Rの近傍部品が故障してしまうことを防止することができる。
【0046】
また、変形例に係るソリッドステートリレー20によれば、上記効果に加えて、第2接続ライン28bのうち、接続点eと接続点cとの間に設けられた抵抗Rをさらに備えるため、トライアックTAのゲートオン電流の値が比較的高い場合に、ゲートオン電流を好適にすることができる。
【0047】
以上、本発明に係るソリッドステートリレーを実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0048】
例えば、上記実施形態では、負荷40の駆動用に交流電源30を用いているが、直流電源を用いてもよい。特に、この場合、トライアックTAに代えて一方向サイリスタを用いてもよい。さらに、上記実施形態のトライアックTAは、ゼロクロストライアックであってもよいし、非ゼロクロストライアックであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態に係るソリッドステートリレーを含む負荷駆動回路の構成図である。
【図2】図1に示したソリッドステートリレーの基本動作を示すタイミングチャートである。
【図3】第3接続ライン、抵抗、及びコンデンサを有しないソリッドステートリレーのコンデンサ短絡時の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】図1に示したソリッドステートリレーのコンデンサ短絡時であり、制御信号が入力されないときの動作を示すタイミングチャートである。
【図5】周波数に対する減衰率を示す相関図である。
【図6】変形例に係るソリッドステートリレーを含む負荷駆動回路の構成図である。
【符号の説明】
【0050】
1,2 負荷駆動回路
10 直流電源
20 ソリッドステートリレー
21〜23 入力端子
24 入力側回路
25,26 出力端子
27 出力側回路
28 接続ライン
28a 第1接続ライン
28b 第2接続ライン
28c 第3接続ライン
30 交流電源
40 負荷
a〜f 接続点
C,C コンデンサ
D 発光ダイオード
G ゲート端子
PTA フォトトライアック
R,R,R,R,R 抵抗
S スナバ回路
TA トライアック
TR トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子と、
前記入力端子間を接続する接続ラインと、
前記接続ライン上に設けられ、電流供給時に発光する発光素子と、
負荷及び負荷用の電源が接続される出力端子と、
前記発光素子からの光を受光することにより導通状態となる受光素子と、
前記出力端子のうち1つと前記受光素子の一端側とを接続する第1接続ラインと、
前記出力端子のうち他の1つと前記受光素子の他端側とを接続する第2接続ラインと、
ゲート端子が前記受光素子の他端側に接続されると共に、残り2端子のうち第1端子が前記第1接続ラインに接続され、且つ残り2端子のうち前記第1端子と異なる第2端子が前記第2接続ラインに接続されて、受光素子と並列配置されるトライアックと、
一端側が前記第1接続ラインに接続され、他端側が第2接続ラインに接続されて、前記受光素子と並列接続されると共に、コンデンサと抵抗とが直列接続されて構成されたスナバ回路と、を備えたソリッドステートリレーであって、
前記スナバ回路を構成するコンデンサと抵抗との接続点と、前記トライアックのゲート端子とを接続する第3接続ラインと、
前記第3接続ライン上に設けられた第2の抵抗と、
前記第2接続ラインのうち、前記トライアックのゲート端子と前記受光素子の他端側との接続点と、前記第2端子と前記第2接続ラインとの接続点との間に設けられた第2のコンデンサと、
を備えることを特徴とするソリッドステートリレー。
【請求項2】
前記第2接続ラインのうち、前記第3接続ラインと前記第2のコンデンサとの接続点と、前記第2接続ラインと前記トライアックのゲート端子との接続点との間に設けられた第3の抵抗をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載のソリッドステートリレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−60322(P2009−60322A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225159(P2007−225159)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(390022437)株式会社テーケィアール (10)
【Fターム(参考)】