説明

ダイアタッチフィルム

本発明は、ダイアタッチフィルム、半導体ウェーハ及び半導体パッケージング方法に関する。本発明では、ダイシング工程時にバーの発生またはチップの飛散などを防止し、ダイボンディング工程時に優れたエキスパンディング性及びピックアップ性を示すダイアタッチフィルムを提供することができる。また、本発明では、ワイヤボンディングまたはモールディング工程でのチップの剥離、押されまたは集まり現象などを防止することができるダイアタッチフィルムを提供することができる。これにより、本発明によれば、半導体パッケージ工程で埋め込み性の向上、ウェーハまたは配線基板の反りの抑制及び生産性の向上などが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイアタッチフィルム、半導体ウェーハ及び半導体パッケージング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話またはモバイル端末機などに使用される半導体メモリの高集積化及び高機能化に伴い、半導体基板に複数の半導体チップをダイアタッチフィルムを使用して積層する方式が多く採用されている。
【0003】
ダイアタッチフィルムは、ダイシング工程で半導体チップを固定するための粘着剤層及びダイボンディング工程でチップの裏面に接着され、リードフレームなどの配線基板に付着される接着剤層で構成されている。
【0004】
このようなダイアタッチフィルムを使用したパッケージング工程は、大きく、ウェーハを切断し、個別チップに分離するダイシング工程と;分離したチップを回路フィルムまたはリードフレームの搭載板に付着させるダイボンディング工程と;半導体チップ上に設けられたチップパッドとリードフレームなどの回路パターンをワイヤのような電気的接続手段で連結させるワイヤボンディング工程と;半導体チップの内部回路とその他の部品を保護するために封止材で外部を取り囲むモールディング工程などを含む。
【0005】
上記ダイシング工程時には、ダイヤモンドホイールなどでウェーハを所定の厚さにカットし、この際、過多な圧力または機械的衝撃が印加される場合、ウェーハ損傷によるチッピング(chipping)及びパターンを汚染させることができるバー(Burr)が発生する。最近、パッケージングのサイズが小さくなるにつれてウェーハの厚さが薄くなり、生産効率の増大のためにダイシング条件が苛酷になるにつれて前述のような問題の発生頻度が増加している。特にバーの場合、以前には問題にならなかった水準のバーが、ウェーハの厚さが薄くなるにつれて、ダイの上に上がる頻度が多くなり、チップの付着作業性を顕著に低下させることはもちろん、パターンを汚染させてパッケージ信頼性を悪化させる原因となっている。
【0006】
このようなバーを低減するための従来の技術は、フィルムの物性または工程条件のようなパラメータを変更させる方法が大部分であった。ところが、ダイシング工程のパラメータを調整することによって、バーの抑制を図る場合、後工程であるダイボンディング工程でエキスパンディング性が劣化するか、またはチップが容易にピックアップされない問題が発生する。また、チップがピックアップされるとしても、ダイボンディング時にポジションエラーが発生するか、または不十分なダイシングに起因してダイの上部でチッピングが発生する問題がある。
【0007】
一方、半導体パッケージング工程では、ダイシング工程後にフィルムから剥離された接着層を含むチップは、配線基板(例えば、リードフレームなど)にボンディングされた後、モールディング工程などが行われる。現在、上記のようなダイボンディング工程後には、高温で行われる前硬化(Pre−cure)工程が必ず実施されているが、その理由は、半導体チップの配線基板からの剥離、追加的なチップの積層時に下部チップの押され現象、モールディング工程でモールド樹脂の流れによるチップの集まりなどの不良を防止するためである。しかし、上記のような前硬化工程を行う場合、接着剤硬化が進行され、後工程で半導体基板に対する埋め込み性が低下し、前硬化工程中の熱に起因してウェーハまたは基板の反りなどが発生し、ワイヤボンディング時にバウンシング(Bouncing)不良などを引き起こすことができるので、半導体パッケージ信頼性が大きく低下することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ダイアタッチフィルム、これを用いた半導体ウェーハ及び半導体パッケージング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様によるダイアタッチフィルは、基材フィルムと;上記基材フィルム上に形成された粘着部と;上記粘着部上に形成された接着部と;を含み、上記基材フィルムの厚さをA、上記粘着部の厚さをB、そして上記接着部の厚さをCとするとき、B/Aが0.15〜0.5であり、B/Cが0.2〜5である。
【0010】
また、本発明の他の態様による半導体ウェーハは、本発明によるダイアタッチフィルムの接着部がウェーハ一面に付着していて、上記ダイアタッチフィルムの基材フィルムまたは粘着部がウェーハリングフレームに固定されている。
【0011】
また、本発明のさらに他の態様による半導体パッケージング方法は、本発明の半導体ウェーハをダイシングする第1段階と;第1段階を経て製造された半導体チップをピックアップする第2段階と;を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、ダイシング工程時にバーの発生またはチップの飛散などを防止し、ダイボンディング工程時に優れたエキスパンディング性及びピックアップ性を示すダイアタッチフィルムを提供することができる。また、本発明では、ワイヤボンディングまたはモールディング工程でのチップの剥離、押されまたは集まり現象などを防止することができるダイアタッチフィルムを提供することができ、これにより、半導体パッケージ工程で埋め込み性の向上、ウェーハまたは配線基板の反りの抑制及び生産性の向上などが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、基材フィルムと;上記基材フィルム上に形成された粘着部と;上記粘着部上に形成された接着部と;を含み、上記基材フィルムの厚さをA、上記粘着部の厚さをB、そして上記接着部の厚さをCとするとき、B/Aの値が0.15〜0.5であり、B/Cの値が0.2〜4であるダイアタッチフィルムに関する。
【0014】
以下、本発明のダイアタッチフィルムをさらに詳しく説明する。
本発明のダイアタッチフィルムは、含まれる基材フィルム(厚さ:A)及び粘着部(厚さ:B)の厚さの比率(B/A)が0.15〜0.5、好ましくは、0.2〜0.4の範囲である。本発明のフィルムにおいて、上記比率が0.15未満なら、基材フィルムの厚さに対して粘着部の厚さが小さすぎるので、ダイシング工程で多量のバーが発生するおそれがあり、エキスパンディングが難しくなり、ピックアップ不良が発生するおそれがある。また、上記比率が0.5を超過すれば、ダイシング工程時にチッピング現象が過度に発生するか、またはフィルムの取り扱い性が悪くなるおそれがある。
【0015】
また、本発明のダイアタッチフィルムは、ダイシング用粘着部(厚さ:B)及びダイボンディング用接着部(厚さ:C)の厚さの比率(B/C)が0.2〜5、好ましくは、0.5〜5、より好ましくは、0.5〜4、さらに好ましくは、0.5〜3の範囲である。本発明のフィルムにおいて上記比率が0.2未満なら、ダイボンディング用接着部の厚さが小さくなり、ピックアップ時にダイだけがピックアップされるおそれがあり、5を超過すれば、作業性が過度に低下するおそれがある。
【0016】
本発明のダイアタッチフィルムは、上記フィルムを構成する各層の厚さ関係が前述した範囲を満たす限り、これを構成する具体的な素材の種類は、特に限定されない。
【0017】
例えば、本発明では、ダイアタッチフィルムに含まれる基材フィルムとして、この分野において公知された一般的なプラスチックフィルムまたは金属箔などを使用することができる。上記で、プラスチックフィルムの例としては、ポリプロピレンフィルムまたはポリエチレンフィルムなどのようなオレフイン系フィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステル系フィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリ塩化ビニルフィルム;ポリテトラフルオロエチレンフィルム;ポリブテンフィルム;ポリブタジエンフィルム;塩化ビニル共重合体フィルム;エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム;エチレン−プロピレン共重合体フィルム;またはエチレン−エチルアクリレート共重合体フィルムなどの一種または二種以上の混合を挙げることができるが、これに限定されるものではない。上記で、基材フィルムの二種以上の混合とは、基材フィルムが前述した各フィルムのうち2以上の積層フィルムで構成されるか、または前述した各樹脂の共重合体から製造されるフィルムを意味する。また、このような基材フィルムには、必要に応じてマット処理、コロナ放電処理、プライマー処理または架橋処理などの慣用的な物理的または化学的処理を行うことができる。
【0018】
また、本発明では、上記基材フィルムとして、2軸延伸特性が類似なフィルムを使用することができ、より具体的には、垂直方向(MD)及び水平方向(TD)の延伸率の差異が垂直方向(MD)の延伸率の10%以内、好ましくは、5%以内であるフィルムを使用することができる。
【0019】
上記のような基材フィルムの厚さは、前述した関係を満たす限り、特に限定されるものではなく、例えば、10μm〜200μm、好ましくは80μm〜130μm、より好ましくは80μm〜100μm、さらに好ましくは80μm〜90μmであることができる。上記厚さが10μm未満なら、ダイシング工程では、切断深さ(cut depth)の調節が不安定になるおそれがあり、200μmを超過すれば、ダイシング工程でバー(burr)が多量発生するか、または延伸率が低下し、エキスパンディング工程が正確に行われないおそれがある。
【0020】
また、粘着部に紫外線硬化型粘着剤を使用する場合、上記基材フィルムは、紫外線透過率に優れたものが好ましく、例えば、70%以上、好ましくは90%以上の紫外線透過率を有することができる。
【0021】
本発明のダイアタッチフィルムにおいて、粘着部を構成する粘着剤の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、通常の紫外線硬化型粘着剤または熱硬化型粘着剤を使用することができる。紫外線硬化型粘着剤を使用する場合、基材フィルム側で紫外線を照射することによって、粘着力を低下させ、熱硬化型粘着剤の場合、適切な熱を印加し、粘着力を低下させる。
【0022】
本発明では、ピックアップ信頼性の側面において紫外線硬化型粘着剤を使用することができ、この場合、上記粘着部は、ベース樹脂、紫外線硬化型化合物、光開始剤及び架橋剤を含むことができる。本発明において、粘着部が上記成分を含むということは、粘着部が上記成分を含む組成物またはコーティング液の乾燥物、半硬化物または硬化物の形態で存在することを意味することができる。
【0023】
上記で、ベース樹脂の例としては、アクリル系樹脂を挙げることができ、このようなアクリル系樹脂は、重量平均分子量が10万〜150万、好ましくは20万〜100万であることができる。重量平均分子量が10万未満なら、コーティング性または凝集力が低下し、剥離時に被着体に残余物が残るか、または粘着剤破壊現象が生じるおそれがある。また、重量平均分子量が150万を超過すれば、ベース樹脂が紫外線硬化型化合物の反応を妨害し、剥離力減少が効率的に行われないおそれがある。
【0024】
このようなアクリル系樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び架橋性官能基含有単量体の共重合体であることができる。
【0025】
この際、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の例としては、アルキル(メタ)アクリレートを挙げることができ、より具体的には、炭素数1〜12のアルキル基を有する単量体として、ペンチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートまたはデシル(メタ)アクリレートの一種または二種以上の混合を挙げることができる。アルキルの炭素数が大きい単量体を使用するほど、最終共重合体のガラス転移温度が低くなるので、目的するガラス転移温度によって適切な単量体を選択すればよい。
【0026】
また、架橋性官能基含有単量体の例としては、ヒドロキシ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体または窒素含有単量体の一種または二種以上の混合を挙げることができる。この際、ヒドロキシル基含有化合物の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、カルボキシル基含有化合物の例としては、(メタ)アクリル酸などを挙げることができ、窒素含有単量体の例としては、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドンまたはN−ビニルカプロラクタムなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0027】
また、上記アクリル系樹脂には、相溶性などのその他の機能性向上の観点から、酢酸ビニル、スチレンまたは(メタ)アクリロニトリルなどの炭素−炭素二重結合を含有する低分子量化合物がさらに含まれることができる。
【0028】
本発明において使用することができる紫外線硬化型化合物の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、重量平均分子量が500〜300,000程度である多管能性オリゴマー化合物(例えば、多管能性アクリレート)を使用することができる。この分野における平均的技術者は、目的する用途による適切なオリゴマーを容易に選択することができる。
【0029】
上記紫外線硬化型化合物は、前述したベース樹脂100重量部に対して、5重量部〜400重量部、好ましくは10重量部〜200重量部の量で含まれることができる。紫外線硬化型化合物の含量が5重量部未満なら、硬化後に粘着力の低下が十分ではないため、ピックアップ性が劣化するおそれがあり、400重量部を超過すれば、紫外線の照射前に粘着剤の凝集力が不足するか、または離型フィルムなどとの剥離が容易に行われないおそれがある。
【0030】
また、上記光開始剤の種類は、特に限定されるものではなく、この分野において知られた一般的な開始剤の使用が可能であり、その含量は、上記紫外線硬化型化合物100重量部に対して0.05重量部〜20重量部であることができる。光開始剤の含量が0.05重量部未満なら、紫外線の照射による硬化反応が不足になり、ピックアップ性が低下するおそれがあり、20重量部を超過すれば、硬化過程で架橋反応が短い単位で行われるか、または未反応の紫外線硬化型化合物が発生し、被着物表面の残渣の原因となるか、硬化後に剥離力が過度に低くなり、ピックアップ性が低下するおそれがある。
【0031】
また、粘着部に含まれ、接着力及び凝集力を付与する架橋剤の種類は、特に限定されるものではなく、イソシアネート系化合物、アジリジン系化合物、エポキシ系化合物または金属キレート系化合物などの通常の化合物を使用することができる。上記架橋剤は、ベース樹脂100重量部に対して2重量部〜40重量部、好ましくは2重量部〜20重量部の量で含まれることができる。上記含量が2重量部未満なら、粘着剤の凝集力が不足するおそれがあり、20重量部を超過すれば、紫外線の照射前に粘着力が不足し、チップ飛散などが生じるおそれがある。
【0032】
また、本発明の粘着部には、ロジン樹脂、テルペン(terpene)樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂または脂肪族芳香族共重合石油樹脂などの粘着付与剤が適切に含まれることができる。
【0033】
上記のような成分を含む本発明の粘着部の厚さは、前述した厚さ関係を満たす限り、特に限定されるものではなく、例えば、10μm〜40μm、好ましくは、20μm〜30μmの範囲である。
【0034】
本発明において、ダイアタッチフィルムに含まれる接着部を構成する成分は、特に限定されない。但し、ダイボンディング用に使用される上記接着部は、パッケージ内でチップ及び半導体基板の反り及び応力緩和という2つの特性を共に満足させることができることが好ましい。すなわち、通常、半導体チップの熱膨脹系数(CTE)は、4ppm/℃程度であり、半導体基板の熱膨脹系数(CTE)は、10〜15ppm/℃程度であり、このような熱膨脹系数の差異に起因して、工程時に製品の反りまたはクラックなどが発生するおそれがある。したがって、本発明において使用する接着部は、上記製品の反りなどを防止しながら、接着力及び耐熱性などの物性に優れていて、且つ高温での応力緩和特性などが顕著に制御されることが好ましい。
【0035】
本発明では、接着部が前述したような特性を満たす限り、含まれる成分は、特に限定されない。例えば、本発明では、異なる弾性を有する2種以上の樹脂を混合し、接着剤内にソフトセグメント及びハードセグメントが共存するようにした組成物を使用することができ、これにより、半導体チップ及び基板の熱膨脹系数の差異による反り現象を防止することができる応力緩和特性を有すると共に、接着力及び耐熱性などの物性に優れた接着剤を提供することができる。
【0036】
例えば、上記接着部は、エポキシ樹脂、低弾性高分子量樹脂及び硬化剤を含むことができる。本発明において、接着部が上記成分を含むということは、接着部が上記成分を含む組成物またはコーティング液の乾燥物、半硬化物または硬化物の形態で存在することを意味することができる。
【0037】
本発明において使用されることができる上記エポキシ樹脂には、この分野において公知された一般的な接着剤用エポキシ樹脂が含まれることができ、例えば、分子内に2個以上のエポキシ基を含有し、重量平均分子量が300〜2,000であるエポキシ樹脂を使用することができる。上記のようなエポキシ樹脂は、硬化工程を通じてハードな架橋構造を形成し、優れた接着性、耐熱性及び機械的強度を示すことができる。より具体的に、本発明では、特に平均エポキシ当量が180〜1,000であるエポキシ樹脂を使用することが好ましい。エポキシ樹脂のエポキシ当量が180未満なら、架橋密度が過度に高くなり、接着フィルムが全体的に硬い性質を示すおそれがあり、1,000を超過すれば、耐熱性が低下するおそれがある。
【0038】
上記のようなエポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールAエポキシ樹脂またはビスフェノールFエポキシ樹脂などの二管能性エポキシ樹脂;またはクレゾールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、4官能性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂またはジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂などの3個以上の官能基を有する多管能性エポキシ樹脂の一種または二種以上を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
本発明では、特に上記エポキシ樹脂として二管能性エポキシ樹脂及び多管能性エポキシ樹脂の混合樹脂を使用することが好ましい。本明細書において使用する用語『多管能性エポキシ樹脂』は、3個以上の官能基を有するエポキシ樹脂を意味する。すなわち、一般的に二管能性エポキシ樹脂は、柔軟性及び高温での流れ性などに優れているが、耐熱性及び硬化速度が低下するが、官能基が3個以上の多管能性エポキシ樹脂は、硬化速度が早くて、架橋密度が高いため、優れた耐熱性を示すが、柔軟性及び流れ性が劣化する。したがって、上記2つの種類の樹脂を適切に混合、使用することによって、接着層の弾性率及びタック(tack)特性を制御することができると共に、ダイシング工程時にチップの飛散やバーの発生を抑制することができる。
【0040】
上記のように、二種の樹脂を混合使用する場合に、二管能性エポキシ樹脂は、多管能性エポキシ樹脂100重量部に対して10重量部〜50重量部の量で含まれることが好ましい。上記含量が10重量部未満なら、タックが低くなり、高温での接着力が低下するおそれがあり、50重量部を超過すれば、取り扱い性が低下するか、ダイシング工程時にバーの発生が増加するおそれがある。
【0041】
また、本発明の接着剤組成物において、上記エポキシ樹脂は、低弾性高分子量樹脂100重量部に対して10重量部〜200重量部、好ましくは20重量部〜100重量部の量で含まれることができる。上記含量が10重量部未満なら、耐熱性及び取り扱い性が低下するおそれがあり、200重量部を超過すれば、作業性及び信頼性が低下するおそれがある。
【0042】
上記低弾性高分子量樹脂は、接着剤内でソフトセグメントを構成し、高温での応力緩和特性を付与する役目をすることができる。本発明では、上記高分子量樹脂として、上記エポキシ樹脂とブレンディングドされ、フィルム形成時に壊れを誘発せず、架橋構造の形成後に粘弾性を示すことができ、他の成分との相溶性及び保管安定性に優れたものなら、どんな樹脂成分も使用されることができる。
【0043】
例えば、本発明では、ガラス転移温度が−20℃〜40℃、好ましくは−10℃〜30℃である樹脂を使用することができる。上記ガラス転移温度が−20℃未満なら、流れ性が過度に高くなり、取り扱い性が低下するおそれがあり、40℃を超過すれば、低温でウェーハとの付着力が低下し、ダイシング工程中にチップが飛散するか、またはチップ間に冷却水が侵透するおそれがある。
【0044】
また、上記高分子量樹脂は、重量平均分子量が10万〜100万、好ましくは20万〜90万であることができる。上記重量平均分子量が10万未満なら、取り扱い性及び耐熱性が低下し、回路充填時に流れ性の制御が難しくなるおそれがあり、100万を超過すれば、弾性率の過度な上昇などに起因して回路充填性及び信頼性などが低下するおそれがある。
【0045】
上記低弾性高分子量樹脂の具体的な種類は、前述した特性を満たす限り、特に制限されるものではない。例えば、本発明では、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリオレフイン、ポリ塩化ビニル、フェノキシ、反応性アクリロニトリルブタジエンゴムまたはアクリル系樹脂などの一種または二種以上の混合を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0046】
上記で、アクリル系樹脂の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸及びその誘導体を含むアクリル系共重合体を挙げることができ、この際、(メタ)アクリル酸及びその誘導体の例としては、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレートまたはエチル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜12のアルキル基を含有するアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリルまたは(メタ)アクリルアミド;及びその他の共重合性単量体が含まれる。
【0047】
また、上記アクリル系樹脂は、グリシジル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基及びアミン基などの一種または二種以上の官能基を含むことができ、このような官能基は、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはカルボキシ(メタ)アクリレートなどの単量体を共重合させることによって導入することができる。
【0048】
アクリル系樹脂が官能基を含む場合、その含量は、全体樹脂重量に対して0.5重量部〜10重量部であることが好ましい。官能基の含量が0.5重量部未満なら、接着力の確保が難しくなるおそれがあり、10重量部を超過すれば、作業性が低下するか、またはゲル化が誘発されるおそれがある。
【0049】
本発明の接着剤組成物に含まれることができる硬化剤は、上記エポキシ樹脂及び/または低弾性高分子量樹脂と反応し、架橋構造を形成することができるものなら特に限定されない。例えば、本発明では、上記2つの成分と同時に反応して架橋構造を形成することができる硬化剤を使用することができ、このような硬化剤は、接着剤内のソフトセグメント及びハードセグメントとそれぞれ架橋構造を構成し、耐熱性を向上させると同時に、両者の界面で2つのセグメントの架橋剤と作用し、半導体パッケージの信頼性を向上させることができる。
【0050】
本発明では、例えば、分子中に2個以上の水酸基を含有するものとして、水酸基当量が100〜1,000であるフェノール樹脂を使用することができる。上記水酸基当量が100未満なら、接着層の応力緩和特性が低下するおそれがあり、1,000を超過すれば、架橋密度の低下に起因して耐熱性が悪くなるおそれがある。
【0051】
また、上記フェノール樹脂は、軟化点が50℃〜150℃であることが好ましい。軟化点が50℃未満なら、取り扱い性が低下するおそれがあり、150℃を超過すれば、接着層及びウェーハとの付着力が劣るおそれがある。
【0052】
このような樹脂の例としては、ビスフェノールA樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック、フェノールアラルキル樹脂、多管能性ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック樹脂、アミノトリアジンフェノールノボラック樹脂、ポリブタジエンフェノールノボラック樹脂及びビフェニル型樹脂の一種または二種以上を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0053】
本発明の接着剤組成物において上記硬化剤は、エポキシ樹脂100重量部に対して30重量部〜100重量部、好ましくは50重量部〜90重量部の量で含まれることができる。上記含量が30重量部未満なら、硬化工程時に未反応のエポキシ樹脂の量が増加し、耐熱性が低下するか、または未反応の樹脂を硬化するために高温または長時間の工程を必要とするおそれがある。また、上記含量が100重量部を超過すれば、未反応の水酸基に起因して吸湿率、貯蔵安定性及び誘電特性などが上昇するおそれがある。
【0054】
また、本発明の接着剤組成物は、硬化反応の促進のために硬化促進剤をさらに含むことができる。使用されることができる硬化促進剤の例としては、イミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン(TPP)または3級アミン類などの一種または二種以上を挙げることができ、これらのうちイミダゾール化合物が好ましい。
【0055】
使用されることができるイミダゾール化合物の例としては、2−メチルイミダゾール(2MZ)、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)、2−フェニルイミダゾール(2PZ)、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール(2PZ−CN)、2−ウンデシルイミダゾール(C11Z)、2−ヘプタデシルイミダゾール(C17Z)及び1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト(2PZ−CNS)などの一種または二種以上を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0056】
硬化促進剤は、エポキシ樹脂100重量部に対して0.1重量部〜10重量部、好ましくは0.2重量部〜5重量部の量で含まれることができる。上記含量が0.1重量部未満なら、耐熱性または接着力が低下するおそれがあり、10重量部を超過すれば、硬化反応が過度に急激に生じるか、または貯蔵安定性が低下する。
【0057】
また、上記接着剤組成物は、取り扱い性、耐熱性及び溶融粘度の調節の観点から、無機充填剤をさらに含むことができる。使用されることができる無機充填剤の例としては、シリカ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、滑石または窒化アルミニウムなどの一種または二種以上を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0058】
上記のような無機充填剤は、平均粒径が0.001μm〜10μm、好ましくは0.005μm〜1μmであることができる。平均粒径が0.001μm未満なら、接着層内で充填剤が凝集するか、外観不良が発生するおそれがあり、10μmを超過すれば、接着層表面への充填剤の突出、熱圧着時にチップの損傷または接着性の向上効果の低下が発生するおそれがある。
【0059】
上記充填剤は、接着剤組成物の全体樹脂100重量部に対して0.5重量部〜100重量部、好ましくは、5重量部〜50重量部の量で含まれることができる。上記含量が0.5重量部未満なら、充填剤の添加による耐熱性及び取り扱い性の向上効果が劣化するおそれがあり、100重量部を超過すれば、作業性及び基材付着性が低下するおそれがある。
【0060】
また、本発明の接着剤組成物は、カップリング剤をさらに含むことができ、これにより、樹脂成分とウェーハまたは充填剤との界面密着性または耐湿熱特性などを改善することができる。使用されることができるカップリング剤の例としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤及びアルミニウム系カップリング剤の一種または二種以上を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0061】
上記カップリング剤は、樹脂成分100重量部に対して0.05重量部〜15重量部、好ましくは0.1重量部〜10重量部の量で含まれることができる。上記含量が0.05重量部未満なら、密着性改善効果が劣化するおそれがあり、15重量部を超過すれば、ボイドが発生するか、または耐熱性が低下するおそれがある。
【0062】
上記のような成分を含む本発明の接着部は、130℃で測定されたタック強度(tack force)が50gf〜150gfであり、150℃で測定されたせん断強度が4.0MPa以上であることが好ましい。
【0063】
接着部が上記のような物性を満足すれば、特にダイボンディング工程後に通常行われる前硬化(pre−cure)工程を進行することなく、ワイヤボンディング及びモールディング工程を行うことができる利点がある。接着部が上記のような条件を満たすことによって、半導体パッケージング工程で前硬化工程を省略しながらも、後工程でのチップの剥離または押され現象や集まり現象などを防止することができ、これにより、フィルムの埋め込み性の向上、ウェーハの反りなどの不良減少及び生産性増大を図ることができる。
【0064】
接着部のタック強度が50gf未満なら、ダイボンディング工程でチップの剥離、押されまたは集まり現象などが発生するおそれがあり、150gfを超過すれば、工程中にバーが多量発生するか、または取り扱い性または耐熱性が低下するおそれがある。また、接着部のせん断強度が4.0MPa未満なら、半導体工程時にチップの押され現象が発生するなど半導体パッケージの信頼性が劣化するおそれがある。
【0065】
一方、本発明において、前述したタック強度及びせん断強度を測定する方法は、特に制限されず、この分野において通常的に行われる方法を使用することができる。例えば、本発明において上記タック強度は、物性分析機(texture analyzer)及びボールタイプのプローブを使用した方法で測定することができ、せん断強度は、この分野の一般的な測定機器(例えば、Ball shear/wire pull test machine, DAGE 4000 series)を使用して測定すればよい。
【0066】
以上のような本発明の接着部の厚さは、前述した関係を満たす限り、特に限定されるものではなく、例えば、1μm〜200μm、好ましくは15μm〜100μm、より好ましくは、20μm〜100μm、さらに好ましくは、20μm〜70μm、さらに好ましくは20μm〜60μmの範囲である。上記厚さが1μm未満なら、高温での応力緩和特性及び埋込み性が低下するおそれがあり、200μmを超過すれば、経済性が劣化する。
【0067】
また、本発明のダイアタッチフィルムは、上記接着部上に形成された離型フィルムをさらに含むことができる。
【0068】
使用されることができる離型フィルムの例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、塩化ビニル共重合体フィルムまたはポリイミドフィルムなどの一種または二種以上のプラスチックフィルムを挙げることができる。
【0069】
上記のような離型フィルムの表面は、アルキド系、シリコン系、フッ素系、不飽和エステル系、ポリオレフイン系またはワックス系などの一種または二種以上で離型処理されてもよく、これらのうち特に耐熱性を有するアルキド系、シリコン系またはフッ素系などの離型剤が好ましい。
【0070】
離型フィルムは、通常10μm〜500μm、好ましくは20μm〜200μm程度の厚さで形成されることができる。上記厚さが10μm未満なら、コーティング後に硬化工程で過度に延伸されるおそれがあり、500μmを超過すれば、経済性が劣化する。
【0071】
以上のようなダイアタッチフィルムを製造する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、基材フィルム上に粘着部、接着部及び離型フィルムを順に形成する方法、または粘着部及び接着部を別に製造した後、これを互いにラミネートする方法などが使用されることができる。
【0072】
上記過程で接着部を製造する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、接着剤を構成するそれぞれの成分を溶剤に溶解または分散させて、樹脂ワニスを製造する第1段階と;上記樹脂ワニスを基材フィルムまたは離型フィルムに塗布する第2段階と;上記樹脂ワニスが塗布された基材フィルムまたは離型フィルムを加熱し、溶剤を除去する第3段階と;を含む方法で製造されることができる。
【0073】
上記第1段階は、接着剤成分を使用して樹脂ワニスを製造する段階であって、溶剤としては、通常メチルエチルケトン(MEK)、アセトン(Acetone)、トルエン(Toluene)、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルセロソルブ(MCS)、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチルピロリドン(NMP)またはエチルアセテートなどの一種または二種以上の混合を使用することができる。この際、基材フィルムの耐熱性を考慮して低沸点溶剤を使用するか、または塗膜性の向上のために高沸点溶剤を使用することもできる。
【0074】
また、上記第1段階では、工程時間の短縮及び分散性向上の観点から、充填剤を使用することができ、この場合、第1段階は、(1)溶剤、充填剤及びカップリング剤を混合する段階と;(2)上記(1)段階の混合物にエポキシ樹脂及び硬化剤を添加して混合する段階と;(3)上記(2)段階の混合物に低弾性高分子量樹脂及び硬化促進剤を混合する段階と;を含むことができる。
【0075】
この際に使用されることができる充填剤の例として、ボールミル(Ball Mill)、ビーズミル(Bead Mill)、3個ロール(roll)または高速分散機の単独または二種以上の組合を使用することができ、ボールまたはビーズの材質として、ガラス、アルミナまたはジルコニウムなどを挙げることができ、特に粒子の分散性側面においてジルコニウム材質のボールまたはビーズが好ましい。
【0076】
接着部製造の第2段階は、製造された樹脂ワニスを基材フィルムまたは離型フィルムに塗布する段階であって、塗布方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレイコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、コンマコート法またはリップコート法などを使用することができる。
【0077】
接着部製造の第3段階は、樹脂ワニスが塗布された基材フィルムまたは離型フィルムを加熱して溶剤を除去する段階である。この工程は、70℃〜250℃の温度で5分〜20分間行うことが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0078】
また、本発明において粘着部を製造する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル系樹脂、架橋剤、紫外線硬化性化合物及び光開始剤などの成分を溶剤に溶解または分散させて樹脂ワニスを製造した後、これを基材フィルム(または離型フィルム)に塗布及び乾燥させて製造されることができる。
【0079】
このように製造された粘着部及び接着部をラミネートする方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ホットロールラミネートまたは積層プレス法を使用することができる。これらのうち連続工程可能性及び効率性側面においてホットロールラミネート法が好ましい。ホットロールラミネート法は、10℃〜100℃の温度で0.1Kgf/cm〜10Kgf/cmの圧力で行われることができるが、これに限定されるものではない。
【0080】
また、本発明は、上記本発明によるダイアタッチフィルムの接着部がウェーハ一面に付着していて、上記ダイアタッチフィルムの基材フィルムまたは粘着部がウェーハリングフレームに固定されている半導体ウェーハに関する。
【0081】
上記のような半導体ウェーハは、半導体ウェーハの裏面にダイアタッチフィルムの接着部を温度0℃〜180℃条件で付着(ラミネート)し、上記基材フィルムまたは粘着部をウェーハリングフレームに固定させて製造することができる。
【0082】
また、本発明は、上記本発明の半導体ウェーハをダイシングする第1段階と;第1段階を経て製造された半導体チップをピックアップする第2段階と;を含む半導体パッケージング方法に関する。
【0083】
また、本発明では、上記段階に引き続いて、ピックアップされた半導体チップを半導体基板にボンディングする第3段階と;半導体チップ及び半導体基板をワイヤボンディングする第4段階と;半導体チップを封止材でモールディングする第5段階と;をさらに行うことができる。
【0084】
上記本発明の半導体パッケージング方法をより具体的に説明すれば、次の通りである。すなわち、上記方法では、前述したダイアタッチフィルムが付着した半導体ウェーハをダイシング機器を利用して完全に切断し、個々のチップに分割する。その後、紫外線の照射または熱の印加などの手段を用いて粘着部を硬化させる。上記のように、紫外線または熱によって硬化された粘着剤は、接着剤の密着力が低下し、後工程でチップのピックアップが容易になる。この際、必要に応じて、ダイアタッチフィルムを引っ張るエキスパンディング工程を実施し、チップ間の間隔を拡張し、接着部及び粘着部の界面にずれを発生させて、ピックアップを容易に行うことができる。
【0085】
上記のような状態でチップのピックアップを実施すれば、半導体ウェーハ及び接着部が粘着部から剥離し、接着層だけが付着したチップを得ることができる。収得した上記接着剤層が付着したチップを半導体用基板に付着する。チップの付着温度は、通常100℃〜180℃であり、付着時間は、0.5秒〜3秒、付着圧力は、0.5kgf/cm〜2kgf/cmである。
【0086】
上記工程を進行した後、ワイヤボンディングとモールディング工程を経て半導体装置が得られる。本発明において特に前述したような特定のタック強度及びせん断強度を有する接着部を使用する場合、上記ダイボンディング後には、前硬化工程を行うことなく、ワイヤボンディングまたはモールディング工程でチップの剥離、押されまたは集まり現象などが抑制されることができる。
【0087】
半導体装置の製造方法は、上記工程に限定されるものではなく、任意の工程を含ませてもよく、工程の手順を変えてもよい。例えば、紫外線硬化→ダイシング→エキスパンディング工程に進行してもよく、ダイシング→エキスパンディング→紫外線硬化工程に進行してもよい。チップ付着工程後に、さらに加熱または冷却工程を含むこともできる。
【0088】
以下、本発明による実施例及び比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の範囲が下記提示された実施例に限定されるものではない。
【0089】
製造例1.低弾性高分子量樹脂の製造
ブチルアクリレート100重量部、エチルアクリレート100重量部、アクリロニトリル70重量部、グリシジルメタクリルレート8重量部、アクリル酸4重量部及び脱イオン化された蒸留水750重量部を、撹拌器、窒素置換器及び温度計が備えられた4口の3L反応器に入れた。次に、懸濁化剤として水に4%に希釈したポリビニルアルコール(商品名:NH−17、Nippon ghosei社(製))2重量部及び分子量調節剤としてドデシルメルカプタン(dodecyl mercaptan)0.3重量部を投入し、混合物を製造した。製造された混合物に約1時間窒素置換を行った後、55℃に昇温し、設定温度に到達したとき、開始剤としてエチルアセテートに2%に希釈したジエチルヘキシルペルオキシジカルボネート(商品名:Trigonox EHP、Akzo Nobel社(製))2重量部を入れ、重合反応を開始した。反応開始後、4時間が経過した時点で反応を終決させ、脱イオン化された蒸留水で数回洗浄した後、遠心分離器と真空オーブンを使用して乾燥させ、重合体ビーズ(polymer bead)を収得した。収率は、90%であり、ゲル透過クロマトグラフィーで測定した重量平均分子量は、75万であり、分子量分布は、4.0であり、ガラス転移温度(Tg)は、10℃であった。製造された重合体ビーズは、メチルエチルケトンに1日間充分に溶かして使用した。
【0090】
実施例1
ダイシングフィルム(粘着フィルム)の製造
2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート及びメチルメタクリルレートを共重合して製造された重量平均分子量が80万であり、ガラス転移温度が10℃であるアクリル系共重合体100重量部、イソシアネート硬化剤5重量部及び重量平均分子量が2万である多管能性オリゴマー10重量部を含む混合物に、光開始剤としてダロクレTPO(Darocur TPO)を上記多管能性オリゴマー100重量部に対して7重量部の量で混合し、紫外線硬化型粘着剤組成物を製造した。次に、製造された紫外線硬化性粘着剤を離型処理された厚さ38μmのポリエステルフィルムの上に乾燥後の厚さが20μmとなるように塗布し、110℃で3分間乾燥した。次に、乾燥した粘着層を基材フィルムとして厚さが90μmのポリオレフインフィルムにラミネートし、ダイシング用粘着フィルムを製造した。
【0091】
ダイアタッチフィルムの製造
エポキシ樹脂としてYDCN−500−1P(KUKDO化学社(製)、クレゾールノボラックエポキシ樹脂:エポキシ当量=200、軟化点=52℃)75重量部、YD−128(KUKDO化学社(製)、ビスフェノールAエポキシ樹脂:エポキシ当量=187)25重量部、フェノール樹脂(KPHF2001、KOLON乳化社(製)、フェノールノボラック樹脂:水酸基当量=106、軟化点=88℃)60重量部、製造例1で製造された低弾性高分子量樹脂200重量部、2−フェニルイミダゾール(2PZ、四国化成社(製))0.5重量部、シランカップリング剤(KBM−403、新越化学社(製)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)2重量部及び球状シリカ充填剤(UFP−30、デンカ社(製)、平均粒径=150nm)30重量部をメチルエチルケトン(MEK)に撹拌混合し、樹脂ワニスを製造した。製造されたワニスを厚さ38μmの基材フィルム(SKC、RS−21G、シリコン離型PETフィルム)に塗布し、110℃で5分間乾燥し、塗膜の厚さが20μmのダイボンディング用接着層を製造した。製造された接着層をホットロールラミネータを利用して、上記製造された紫外線硬化型粘着層を含むダイシング用粘着フィルムと40℃、5kgf/cmで5秒間ラミネートし、ダイアタッチフィルムを製造した。
【0092】
実施例2
ダイシング用粘着フィルムの製造時に粘着層の厚さを30μm、ポリオレフインフィルムの厚さを80μmにしたことを除いて実施例1と同一の方法でダイアタッチフィルムを製造した。
【0093】
実施例3
ダイボンディング用接着層の厚さを60μmにしたことを除いて実施例2と同一の方法でダイアタッチフィルムを製造した。
【0094】
実施例4
ダイボンディング用接着層の厚さを10μmにしたことを除いて実施例2と同一の方法でダイアタッチフィルムを製造した。
【0095】
比較例1
ダイシング用粘着フィルムの製造時に粘着層の厚さを10μm、ポリオレフインフィルムの厚さを100μmにしたことを除いて実施例1と同一の方法でダイアタッチフィルムを製造した。
【0096】
比較例2
ダイシング用粘着フィルムの製造時に粘着層の厚さを40μm、ポリオレフインフィルムの厚さを70μmにしたことを除いて実施例1と同一の方法でダイアタッチフィルムを製造した。
【0097】
比較例3
ダイボンディング用接着層の厚さを5μmにしたことを除いて比較例2と同一の方法でダイアタッチフィルムを製造した。
【0098】
上記製造された実施例及び比較例のフィルムの各層の厚さ関係を下記表1に整理して記載した。
【0099】
【表1】

【0100】
上記のようなダイアタッチフィルムに対して下記提示された方法でその物性を測定し、その結果を下記表2に記載した。
【0101】
1.バー(Burr)抑制特性評価
100μmのウェーハ及びウェーハリングにマウンターを利用して50℃でダイアタッチフィルムをラミネートした後、ダイシング装備(DAD−640、Disco社製)を利用してダイシング(条件:Rpm=40K、speed=50mm/sec、チップ大きさ=5mm×5mm、総個数100個)した後、チップ上でバーが発生した個数を測定した。
【0102】
2.エキスパンディング性
ダイシング工程後にエキスパンダ(HS−1810、Huggle社製)を使用して、5mmの範囲でエキスパンディングを行いながら、エキスパンディング性を評価した。
【0103】
3.チッピング(Chipping)抑制特性
ダイシング工程後に5mm×5mmサイズのチップを剥離(総個数100個)し、チップ側面でチッピングを観察し、チップのサイズが20μm以上のものを測定した。
【0104】
4.ピックアップ性(Pick−up)評価
ダイシング工程後に光量が100mJ/cmの高圧水銀灯を照射し、ダイシングされたチップ(総個数100個)をピックアップした。接着部が付着したチップがピックアップされた場合を○で示し、クラックが発生するか、またはチップがピックアップされない場合を×で示して評価した。
【0105】
【表2】

【0106】
上記表2の結果から明らかなように、本発明による実施例の場合、優れたバー及びチッピング抑制能及びピックアップ性を示した。一方、B/Aの数値が本発明の範囲に満たない比較例1の場合、工程時に多量のバーが発生し、上記数値が本発明の範囲を超過する比較例2及び3の場合、チッピングが多量発生した。また、B/Cの数値が本発明の範囲を超過する比較例3は、多量のチッピング及びバーの発生とともに、ピックアップ性が悪いことを確認することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと;上記基材フィルム上に形成された粘着部と;上記粘着部上に形成された接着部と;を含み、
上記基材フィルムの厚さをA、粘着部の厚さをB、そして接着部の厚さをCとするとき、B/Aの値が0.15〜0.5であり、B/Cの値が0.2〜4であるダイアタッチフィルム。
【請求項2】
B/Aの値が0.2〜0.4であることを特徴とする請求項1に記載のダイアタッチフィルム。
【請求項3】
B/Cの値が0.5〜3であることを特徴とする請求項1に記載のダイアタッチフィルム。
【請求項4】
基材フィルムは、垂直方向及び水平方向の延伸率の差異が垂直方向延伸率の10%以内であることを特徴とする請求項1に記載のダイアタッチフィルム。
【請求項5】
基材フィルムの厚さが10μm〜200μmであることを特徴とする請求項1に記載のダイアタッチフィルム。
【請求項6】
粘着部は、厚さが10μm〜40μmであることを特徴とする請求項1に記載のダイアタッチフィルム。
【請求項7】
接着部は、エポキシ樹脂、低弾性高分子量樹脂及び硬化剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のダイアタッチフィルム。
【請求項8】
エポキシ樹脂は、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、4官能性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂及びジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂よりなる群から選択された1つ以上であることを特徴とする請求項7に記載のダイアタッチフィルム。
【請求項9】
エポキシ樹脂は、二管能性エポキシ樹脂及び多管能性エポキシ樹脂の混合樹脂であることを特徴とする請求項7に記載のダイアタッチフィルム。
【請求項10】
混合樹脂は、多管能性エポキシ樹脂100重量部に対して10重量部〜50重量部の二管能性エポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項9に記載のダイアタッチフィルム。
【請求項11】
エポキシ樹脂は、低弾性高分子量樹脂100重量部に対して10重量部〜200重量部の量で含まれることを特徴とする請求項7に記載のダイアタッチフィルム。
【請求項12】
低弾性高分子量樹脂は、ガラス転移温度が−20℃〜40℃であり、重量平均分子量が10万〜100万であることを特徴とする請求項7に記載のダイアタッチフィルム。
【請求項13】
低弾性高分子量樹脂は、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリオレフイン、ポリ塩化ビニル、フェノキシ、反応性アクリロニトリルブタジエンゴム及びアクリル系樹脂よりなる群から選択された1つ以上を含むことを特徴とする請求項7に記載のダイアタッチフィルム。
【請求項14】
硬化剤は、水酸基当量が100〜1,000であるフェノール樹脂であることを特徴とする請求項7に記載のダイアタッチフィルム。
【請求項15】
硬化剤は、エポキシ樹脂100重量部に対して30重量部〜100重量部の量で含まれることを特徴とする請求項7に記載のダイアタッチフィルム。
【請求項16】
接着部は、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜10重量部の硬化促進剤をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のダイアタッチフィルム。
【請求項17】
硬化促進剤は、イミダゾール化合物、トリフェニルホスフィンまたは3級アミン類であることを特徴とする請求項16に記載のダイアタッチフィルム。
【請求項18】
接着部は、130℃で測定されたタック強度が50gf〜150gfであることを特徴とする請求項1に記載のダイアタッチフィルム。
【請求項19】
接着部は、150℃で測定されたせん断強度が4.0MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載のダイアタッチフィルム。
【請求項20】
接着部は、厚さが1μm〜200μmであることを特徴とする請求項1に記載のダイアタッチフィルム。
【請求項21】
請求項1に記載のダイアタッチフィルムの接着部がウェーハの一面に付着していて、
上記ダイアタッチフィルムの基材フィルムまたは粘着部がウェーハリングフレームに固定されている半導体ウェーハ。
【請求項22】
請求項21に記載の半導体ウェーハをダイシングする第1段階と;
第1段階を経て製造された半導体チップをピックアップする第2段階と;を含む半導体パッケージング方法。

【公表番号】特表2013−508943(P2013−508943A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534084(P2012−534084)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【国際出願番号】PCT/KR2009/005974
【国際公開番号】WO2011/046238
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】