ダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車
【課題】ドッグクラッチ歯の歯形状或いは歯形精度を向上させたダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車を提供する。
【解決手段】鍛造成形の後に浸炭熱処理を施した外歯ブロック体W01に、同様に鍛造成形の後に浸炭熱処理を施した内歯ブロック体W02を合体したダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車Wにおいて、前記外歯ブロック体W01は、内側から外周側へ軸孔3、コーン5、フランジ8及び外歯1が夫々同軸上に構成され、一方、前記内歯ブロック体W02は、内側から外周側へ単体孔、フランジ及びドッグクラッチ歯が夫々同軸上に構成されるとともに、前記単体孔の内周面に沿ってクローズドポケット型の窓溝63を複数箇所備え、次に、前記窓溝63を経て前記内周面にオープンポケット型の欠け溝を複数箇所形成し、前記外歯ブロック体W01の前記コーン5の外周面に、前記内歯ブロック体W02の前記内周面を固着したことを特徴とする。
【解決手段】鍛造成形の後に浸炭熱処理を施した外歯ブロック体W01に、同様に鍛造成形の後に浸炭熱処理を施した内歯ブロック体W02を合体したダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車Wにおいて、前記外歯ブロック体W01は、内側から外周側へ軸孔3、コーン5、フランジ8及び外歯1が夫々同軸上に構成され、一方、前記内歯ブロック体W02は、内側から外周側へ単体孔、フランジ及びドッグクラッチ歯が夫々同軸上に構成されるとともに、前記単体孔の内周面に沿ってクローズドポケット型の窓溝63を複数箇所備え、次に、前記窓溝63を経て前記内周面にオープンポケット型の欠け溝を複数箇所形成し、前記外歯ブロック体W01の前記コーン5の外周面に、前記内歯ブロック体W02の前記内周面を固着したことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主として自動車のマニュアルトランスミッションに使用されるダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車に関する。詳しくは、外周のヘリカル歯又はスパー歯の周列の内側に、別個に形成したドッグクラッチ歯を一体化結合し、かつ、ドッグクラッチ歯周列の内側に複数個の窓溝を設けたクラッチ歯車であって、薄物ドッグクラッチ歯の浸炭熱処理後の歪を極力減少させることによって、ドッグクラッチ歯の歯形状或いは歯形精度を向上させたダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なマニュアルトランスミッション用のクラッチ歯車の製造方法として二種類ある。一つは、減速或いは増速用のヘリカル歯及びこの内周のドッグクラッチ歯を同体にして一体クラッチ歯車を形成する。もう一つは、外歯のヘリカル歯と内歯のドッグクラッチ歯とを別個に形成し、これらを合体して複合クラッチ歯車を形成する。これらの、一体或いは複合歯車について以下に説明する。ドッグクラッチ歯車の種類として、シングルコーン型又はマルチコーン型がある。先ず、コーン摩擦面が一箇所のシングルコーン型のクラッチ歯車の全体図を図7に示し、外周のヘリカル歯1が軸方向に対して捩じれて形成され、この内周に軸方向に対して逆テーパの歯を有するドッグクラッチ歯2が形成される。これらの外周歯と内側の歯との間は、例えば窪んだ沈み溝4が同心円上に形成され、ドッグクラッチ歯2の歯根元24は沈み溝4の底板面まで形成される。ドッグクラッチ歯2の内周側には円錐台状のコーン5が同軸上に突設され、この内周は上下に軸孔3が貫通する。なお、このコーン5の円錐台状の外周面は冷間鍛造後旋削、熱処理、次いで研削により摩擦面として仕上げられる。次に、マルチコーン型のクラッチ歯車について以下に説明する。コーン摩擦面が三箇所のトリプルコーン型のクラッチ歯車の全体図を図8に示し、コーン5の先端面51の肉厚断面を貫通する複数の切欠け溝61を備える。また、コーン摩擦面が二個所のダブルコーン型を図9に示し、ドッグクラッチ歯2の周列において、例えばドッグクラッチ歯2の三歯分に相当する分を除いて欠け溝62を形成する。他に、コーン摩擦面が二個所のダブルコーン型のクラッチ歯車を図10に示し、ドッグクラッチ歯2とコーン5との間に平坦な同心円状のフランジ8を設け、この面にほぼ矩形状に刳り抜いた窓溝63を備える。図11は、他のダブルコーン型のクラッチ歯車を示し、フランジ8の面にほぼ円形状に刳り抜いた窓溝64を備える。これらの欠け溝又は窓溝は、ドリル加工或いは鍛造によって形成される。なお、図9のクラッチ歯車の欠け溝はオープンポケット型と称し、図10、11のクラッチ歯車の窓溝はクローズドポケット型と称する。これらクラッチ歯車のマルチコーン化によってコーン部の総面積が大になり、このことに伴ってシンクロ容量が増大する。換言すればクラッチ歯車のマルチコーン化によってシフト操作力とシフト操作時間との力積が小さくなり、この結果変速操作力の軽減が図られるのでシフトフィーリング性が向上する。高性能エンジンになるほどシフト操作性に対するニーズが高く、軽くかつ素早い操作を可能にするために、同期時間を短縮する大きなシンクロ容量が求められる。シングルコーンからダブルコーン、更にトリプルコーン化によって大きなシンクロ容量が得られ、同期時間が短縮されるのに伴ってエンジンの高速化、高出力化のニーズに対応できる。このように、シフト性能に対する市場の要求からマルチコーン化の傾向にある。しかしながら、最もシンクロ性能が高いとされるトリプルコーンにおいては、構造の複雑化から製造コスト高になる。このトリプルコーンの製造コストとそれから得られるシンクロ性能を勘案すると、シンクロ性能は劣るがコスト安になるダブルコーン化が見直され、むしろ現状では、この方が採用される傾向にある。一方、外歯と内歯の一体歯車の場合は製造コスト面では有利であるが、外歯と内歯を機械加工によって歯切りする場合、外歯の外形寸法と内歯の外形寸法との関係で歯切り工具が干渉し、歯切り加工が困難である。
【0003】
次に、外歯のヘリカル歯とドッグクラッチ歯を夫々別個に形成し、これらを合体した複合クラッチ歯車について説明する。図12を参照しながら説明し、本図では、ドッグクラッチ歯2を有するリング状の内歯ブロック体W02の平面を図(a)に示し、この断面を図(b)に示す。図示のように複数個の欠け溝65がリング状の内周に沿って設けられる。この例では別個に形成したヘリカル歯を有する外歯ブロック体に、この内歯ブロック体W02を例えばレーザ又は電子ビーム溶接或いはスプライン結合を施すことによって合体する。ここで、窓溝64は断面円形状或いは矩形状があり、ドリル加工又は鍛造によって成形或いは打ち抜きによって形成される。
【0004】
外歯のヘリカル歯とドッグクラッチ歯を夫々別個に形成し、以下に、これらを合体した複合クラッチ歯車の製造プロセスの詳細について図13及び14の工程図に基づき以下に説明する。工程の前半を図13に示し、後半を図14に示す。先ず、図13の工程(1)に示すように、クラッチ歯車に適した円柱の素材W1を、工程(2)のように所定の軸長に例えばビレットシャーによって切断した円盤状の素材W2を得る。次に、工程(3)に示すように、素材W2を例えば1150℃に加熱して熱間鍛造を施すことによって中央に穴が穿孔されたリングの素材W3を得る。次に、工程(4)に示すように素材W3を焼鈍して素材W4、次いで工程(5)に示すように素材W4にショットブラスト処理を施して素材W5、次いで工程(6)に示すように素材W5に潤滑剤を塗布するボンデライト処理を施して素材W6を得る。次に、工程(7)に示すように、素材W6に冷間鍛造を施すことによって上方に凸部W71が形成された素材W7を得る。以下、後工程を図14に基づいて説明する。工程(8)に示すように、同じく冷間鍛造によってフランジ部の外周に内歯のドッグクラッチ歯2が形成された素材W8を得る。次に、工程(9)に示すように、素材W8にターニング加工を施すことによって上方の凸部W71を削り取った素材W9を得る。次いで、工程(10)に示すように、素材W9にブローチ加工を施すことによって内周にオープンポケット型の欠け溝W101を複数箇所設けた素材W10を得る。次に、工程(11)に示すように素材W10に浸炭熱処理焼を施して素材W11を得る。次に、工程(12)に示すように、素材W11にハードターニング加工を施すことによって内径面取り等を施して仕上げた内歯ブロック体W02を得、外周にドッグクラッチ歯2の周列が形成され、内周にオープンポケット型の欠け溝W021が複数箇所形成される。最後に、工程(13)に示すように、別個に製作した下側の外歯ブロック体W01に、上から内歯ブロック体W02に電子ビーム溶接を施すことによって合体し、クラッチ歯車Wを得る。外周にヘリカル歯1の周列、この内周にドッグクラッチ歯の周列、この内側に窓溝63が設けられている。
【0005】
ここで、工程(10)のW101は内周側が欠けたオープンポケット型の溝であり、工程(11)で内周側が欠けた状態で浸炭熱処理を施す。ところが、浸炭熱処理する前の内歯ブロック体W10は、薄い円盤状であって、しかも、内周側が欠けている。そのため、浸炭熱処理の際に内歯ブロック体W10の全体的に歪み、これに伴って、特に、ドッグクラッチ歯2の歯形或いは歯形精度が悪い内歯ブロック体W02が形成される。
【0006】
これらのクラッチ歯車に関し、本件出願人は内側のドッグクラッチ歯の歯根元が軸方向に対して外周のヘリカル歯の歯端面より沈んだ複合の歯車ブロック体(以下沈みヘリカルモノブロック体)に関する次のような提案をしている。マルチコーン型のクラッチ歯車であり、例えば、ドッグクラッチ歯の周列に複数の欠け溝を設け、これらの欠け溝は熱間鍛造及び冷間鍛造によって成形する。或いは、フランジ面にほぼ矩形状に複数の窓溝を設け、これらの窓溝は熱間鍛造及び冷間鍛造によって成形する(例えば、特許文献1参照)。他に、他の出願人はクラッチ歯車の製造装置に関し、引っ掛かり部として凹んだ孔を形成する次のような提案をしている。即ち、マルチコーン式シンクロ装置に用いるクラッチ歯車を製造するクラッチ歯車製造装置であって、チャンファを有するスプライン歯が外周面に形成された前記クラッチ歯車の前記チャンファを鉛直方向上向きで設置可能であるとともに、前記スプライン歯に逆テーパを成形可能な逆テーパ歯を有するダイスと、前記スプライン歯が前記逆テーパ歯に押圧されるよう前記ダイスに設置された前記クラッチ歯車を押し下げ可能なパンチと、該パンチにより押し下げられる前記クラッチ歯車を受けるノックアウトスリーブと、前記スプライン歯が前記逆テーパ歯に押圧された状態で前記クラッチ歯車の側面にコーン孔を形成するパンチピンと、を備えるクラッチ歯車製造装置である(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3155682号
【特許文献2】特開2009−39781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の通りであって、特許文献に代表されるように、従来のダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車には以下のような問題点がある。
【0009】
ドリル加工により欠け溝又は窓溝を形成する場合は、加工に時間が掛るとともに、切り粉が発生するのでこれを完全に除去するのに手間暇を要する。一方、鍛造によって欠け溝或いは窓溝を形成する場合は、ドッグクラッチ歯周列の内側に窓溝を形成しなければならないので、外側のドッグクラッチ歯と窓溝との間の断面肉厚が薄くなり、ドッグクラッチ歯を鍛造成形する加圧力をバックアップする壁が弱体化する。その結果、歯形に加わる加圧力が逃げてこの部位のドッグクラッチ歯の歯形状及び歯形精度を確保することが困難である。特に、図13及び14の製造プロセスによりドッグクラッチ歯の周列を有する内歯ブロック体を鍛造により形成する場合に問題がある。即ち、この内周側にオープンポケット型の複数の欠け溝を機械加工により形成し、次いでこの状態で浸炭熱処理を施す場合、内歯ブロック体は薄い円盤状であって、しかも、内周側が欠けている。そのため、浸炭熱処理の際に内歯ブロック体が全体的に歪み、これに伴って、特に、ドッグクラッチ歯2歯形或いは歯形精度が悪化する。
【0010】
そこで、本出願発明は以上のような課題に着目してなされたもので、外周のヘリカル歯又はスパー歯を備える外歯ブロック体を単独で形成し、次いでこの周列の内側に、ドッグクラッチ歯を備える薄物の内歯ブロック体を一体化結合することを基本とする。ここで、薄物の内歯ブロック体におけるワーク剛性不足による歪発生を解消するために、結合する前の薄物の内歯ブロック体の内径に鍛造によるクローズドポケット型の窓溝を複数個形成し、この窓溝の枠又は底板を有する状態で浸炭熱処理を施し、その後で内周枠又は/及び底板を削り取ることによって、薄物の内歯ブロック体の歪を極力減少させる。即ち、内歯ブロック体におけるクローズドポケット型の窓溝の内周枠又は/及び底板を削り落してオープンポケット型の欠け溝を形成し、この状態の薄物の内歯ブロック体を外歯ブロック体の内側に合体することによって、ドッグクラッチ歯の歯形状或いは歯形精度を向上させたダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
近年では鍛造技術の進歩によって種々の形状の歯形の精度が良いことに着目するとともに、し、ダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車の窓溝の枠又は底板を有するままで浸炭熱処理をすることによって歯形の歪発生が減少することに着目し、歯車を試作したところドッグクラッチ歯の歯形状及び歯形精度に優れるという知見を得た。本出願発明のクラッチ歯車はかかる知見を基に具現化したもので、請求項1の発明は、鍛造成形の後に浸炭熱処理を施した外歯ブロック体に、同様に鍛造成形の後に浸炭熱処理を施した内歯ブロック体を合体したダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車において、前記外歯ブロック体は、内側から外周側へ軸孔、コーン、フランジ及び外歯が夫々同軸上に構成され、一方、前記内歯ブロック体は、内側から外周側へ単体孔、フランジ及びドッグクラッチ歯が夫々同軸上に構成されるとともに、前記単体孔の内周面に沿ってクローズドポケット型の窓溝を複数箇所備え、次に、前記窓溝を経て前記内周面にオープンポケット型の欠け溝を複数箇所形成し、前記外歯ブロック体の前記コーンの外周面に、前記内歯ブロック体の前記内周面を固着したことを特徴とするダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車である。請求項2の発明は、前記請求項1の特徴に加えて、前記内歯ブロック体において、クローズドポケット型の前記窓溝の内周枠を除くことにより、オープンポケット型の前記欠け溝を形成することを特徴とするダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車である。請求項3の発明は、前記請求項1の特徴に加えて、前記内歯ブロック体において、クローズドポケット型の前記窓溝の底板及び内周枠を除くことにより、オープンポケット型の前記欠け溝を形成することを特徴とするダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車である。請求項4の発明は、前記請求項1の特徴に加えて、前記外歯は、スパー歯又はヘリカル歯であることを特徴とするダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車である。
【発明の効果】
【0012】
本出願発明によれば、外周のヘリカル歯又はスパー歯を有する外歯ブロック体の内側に、別個に形成したドッグクラッチ歯ブロック体を一体化結合し、かつ、ドッグクラッチ歯周列の内側に複数個の窓溝を設けたダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車なので以下の作用効果を奏するものである。薄物ドッグクラッチ歯ブロック体において、窓溝の枠又は底板が有る状態で浸炭熱処理を施し、その後で枠又は底板を削り取る製造プロセスによって、ドッグクラッチ歯の歪を極力減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本出願発明の実施例1におけるダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車製造の前工程図である。
【図2】本出願発明の実施例1におけるダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車製造の後工程図である。
【図3】同上、クラッチ歯車の全体斜視図および、内周側から窓溝、ドッグクラッチ歯、外歯を通るA―B断面図である。
【図4】同上、他のクラッチ歯車におけるドッグクラッチ歯ブロック体を示す斜視図である。
【図5】同上、実施例2におけるダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車製造の前工程図である。
【図6】同上、実施例2におけるダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車製造の後工程図である。
【図7】従来例によるシングルコーン用の同期クラッチ歯車の斜視図である。
【図8】同上、トリプルコーン用の同期クラッチ歯車の斜視図である。
【図9】同上、ダブルコーン用の同期クラッチ歯車の斜視図である。
【図10】同上、他のダブルコーン用の同期クラッチ歯車の斜視図である。
【図11】同上、他のダブルコーン用の同期クラッチ歯車の斜視図である。
【図12】同上、他のダブルコーン用の同期クラッチ歯車におけるドッグクラッチ歯のみを示す平面図および断面図である。
【図13】同上、ダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車製造の前工程図である。
【図14】同上、ダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車製造の後工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本出願発明の実施の形態を、添付図面に例示した本出願発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【実施例1】
【0015】
本実施例について、図1〜図4を参照しながら説明する。図1は、本実施例1におけるダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車製造の前工程図である。図2は、本実施例1におけるダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車製造の後工程図である。図3は、クラッチ歯車の全体斜視図および、内周側から窓溝、ドッグクラッチ歯、外歯を通るA―B断面図である。図4は、他のクラッチ歯車におけるドッグクラッチ歯ブロック体を示す斜視図である。
【0016】
本実施例のクラッチ歯車の製造プロセスを、図1及び2の工程図に基づき説明する。上工程を図1に示し、下工程を図2に示す。先ず、図1の工程(1)に示すように、クラッチ歯車に適した円柱の素材W1を、工程(2)のように所定の軸長に例えばビレットシャーによって切断した円盤状の素材W2を得る。この場合、素材の材質としてクラッチ歯車に適した鋼材、例えば、SC鋼、SCR鋼、SCM鋼、SNC鋼、SNCM鋼等を使用することができる。次に、工程(3)に示すように、素材W2を例えば1150℃に加熱して熱間鍛造を施すことによって中央に穴が穿孔されたリングの素材W3を得る。次に、工程(4)に示すように素材W3を焼鈍して素材W4、次いで工程(5)に示すように素材W4にショットブラスト処理を施して素材W5、次いで工程(6)に示すように素材W5に潤滑剤を塗布するボンデライト処理を施して素材W6を得る。次に、工程(7)に示すように、素材W6に冷間鍛造を施すことによって上方に凸部W71が形成された素材W7を得る。以下、後工程を図2に基づいて説明する。工程(8)に示すように、同じく冷間鍛造によってフランジ部の外周にドッグクラッチ歯2が形成され、かつ、フランジ部に枠を備える窓溝W81を複数箇所設けた素材W8を得る。次に、工程(9)に示すように、素材W8にターニング加工を施すことによって上方の凸部W71を削り取った素材W9を得、フランジ部に内周枠W911を備えたクローズドポケット型の窓溝W91を、ブロック体の内周面に沿って複数箇所設けた素材W9を得る。次に、工程(10)に示すように素材W9に浸炭熱処理焼を施して素材W10を得る。次に、工程(11)に示すように、素材W10にハードターニング加工を施すことによって内周枠W911を削り落してクローズドポケット型の窓溝の内周枠を除く。このようにして、内周面に開口を有するオープンポケット型の欠け溝W021を、ブロック体の内周面に複数箇所形成し、内径面取り等を施して仕上げた内歯ブロック体W02を得る。内歯ブロック体W02は、内側から外周側へ中央の単体孔W022、その外周のフランジW023及びその外周のドッグクラッチ歯2が夫々同軸上に構成されるとともに、前記単体孔の内周面に沿ってオープンポケット型の欠け溝W021を複数箇所備える。最後に、工程(12)に示すように、別途製作して機械加工及び浸炭処理を施し済の外歯ブロック体W01に、内歯ブロック体W02を電子ビーム溶接或いはレーザ溶接を施すことによって合体し、クラッチ歯車Wを得る。即ち、外歯ブロック体の前記コーンの外周面に、内歯ブロック体の内周面を固着する。図示のように、外周にヘリカル歯1の周列、この内周にドッグクラッチ歯の周列、この内側に窓溝63が設けられている。外歯ブロック体W01は、内側から外周側へ軸孔、コーン、フランジ及び外歯が夫々同軸上に構成される。以上の工程をまとめると、工程(3)は熱間鍛造であり、工程(7)及び(8)は冷間鍛造である。ここで、クローズドポケット型の溝はブロック体の内周面側も閉鎖されて全周囲が囲まれた窓溝であり、一方、オープンポケット型の溝はブロック体の内周面側に開口を有し他の周囲が囲まれた欠け溝である。以下、他の実施例についても同様である。
【0017】
工程(11)において形成された内歯ブロック体W02に、外側から外歯ブロック体W01を合体したダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車Wの詳細形状を図3に示す。同図(a)では、内歯のドッグクラッチ歯の歯根元が軸方向に対して外周のヘリカル歯の歯端面より沈んだ沈みヘリカルモノブロック体におけるダブルコーン型のクラッチ歯車Wの斜視図を示し、外周のヘリカル歯1が軸方向に対して捩じれて形成され、この内周に軸方向に対して逆テーパの歯を有するドッグクラッチ歯2が形成される。これらの歯の間には窪んだ沈み溝4が同心円上に形成され、ドッグクラッチ歯2の歯根元24は沈み溝4の底板面まで形成される。ドッグクラッチ歯2の内周側には円錐台状のコーン5が同軸上に突設され、この内周は上下に軸孔3が貫通する。そして、本実施例で要部となる窓溝63をドッグクラッチ歯2の周列の内側に設け、窓溝63の個数は3或いは6箇所でもよい。なお、このコーン5の円錐台状の周面は冷間鍛造後旋削、熱処理、次いで研削仕上げが施され摩擦面として仕上げられる。コーン5とフランジ8が接する円弧部位に溶接部Jにおいて電子ビーム溶接或いはレーザ溶接を施すことによって、外歯ブロック体W01に内歯ブロック体W02を固着、合体する。図(a)の矢視A−Bによる一部断面を同図(b)に示し、ドッグクラッチ歯2の歯根元が沈み溝4の底板面まで沈み直立して形成されている。なお、説明の外歯ブロック体W01の歯周列は、歯筋方向が軸方向に捩れたヘリカル歯、或いは歯筋方向が軸方向に平行なスパー歯車でもよい。
【0018】
内歯ブロック体W02の他の実施態様を図4に示す。内歯ブロック体W02のドッグクラッチ歯2は、チャンファ部の下側に段差28を設ける。この段差28は噛合い相手スリーブ歯の先端が当接してストップさせる機能を有する。
【0019】
本実施例によるダブルコーン型のクラッチ歯車は以上のように構成され、作用について説明する。薄物ドッグクラッチ歯ブロック体において、窓溝に内周枠を備える状態で浸炭熱処理を施し、その後で内周枠削り取る製造プロセスを採用したので、ドッグクラッチ歯の歪を極力減少させることができた。薄物ドッグクラッチ歯ブロック体を1000℃の高熱による熱処理を施す際、ドッグクラッチ歯に近接する窓溝が、周枠によって補強されるのでドッグクラッチ歯の歪を極力減少させることができた。
【実施例2】
【0020】
本実施例について、図5及び6のダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車の製造工程図を参照しながら説明する。浸炭熱処理を施す状態の内歯ブロック体の窓溝が、底板を有するところにある。以下実施例1と相違する箇所について主に説明する。
【0021】
工程の前半を図5に示し、後半を図6に示す。工程(7)までは、実施例1と同じなので工程(8)以降について説明する。工程(8)に示すように、冷間鍛造によってフランジ部の外周に内歯のドッグクラッチ歯2が形成され、かつ、フランジ部にクローズドポケット型の窓溝W81を複数箇所設けた素材W8を得る。この窓溝W81には、底板812を有し、このことが実施例1と異なる。次に、工程(9)に示すように、素材W8にターニング加工を施すことによって上方の凸部W71を削り取った素材W9を得る。この素材W9には、内周面に沿ってクローズドポケット型の窓溝W91を複数個備える。次に、工程(10)に示すように素材W9に浸炭熱処理焼を施して素材W10を得る。次に、工程(11)に示すように、素材W9における窓溝W910の内周枠W911及び底板912を有する窓溝91から底板を削り落して除いた素材W11を得、この素材W11はクローズドポケット型の窓溝W111をブロック体の内周面に沿って複数箇所備える。次に、工程(12)に示すように、素材W11にハードターニング加工を施すことによって内径面取り等を施して仕上げ、クローズドポケット型の窓溝の内周枠を除ことによって、内周面に開口を有するオープンポケット型の欠け溝W021を内周面に複数箇所形成した内歯ブロック体W02を得る。内歯ブロック体W02は、内側から外周側へ単体孔W022、その外周のフランジW023及びその外周のドッグクラッチ歯2が夫々同軸上に構成されるとともに、単体孔単体孔W022の内周面に沿ってオープンポケット型の欠け溝W021を複数箇所備える。最後に、工程(13)に示すように、別途製作して機械加工及び浸炭処理を施した外歯ブロック体W01に、内歯ブロック体W02を電子ビーム溶接或いはレーザ溶接を施すことによって固着、合体し、クラッチ歯車Wを得る。即ち、外歯ブロック体の前記コーンの外周面に、内歯ブロック体の内周面を固着する。図示のように、外周にヘリカル歯1の周列、この内周にドッグクラッチ歯の周列、この内側に窓溝63が設けられている。外歯ブロック体W01は、内側から外周側へ軸孔、コーン、フランジ及び外歯が夫々同軸上に構成される。
【0022】
本実施例によるダブルコーン型のクラッチ歯車は以上のように構成され、次に作用について説明する。薄物ドッグクラッチ歯ブロック体において、窓溝の内周枠及び底板を備える状態で浸炭熱処理を施し、その後で内周枠及び底板を削り取る製造プロセスを採用したので、ドッグクラッチ歯の歪を極力減少させることができた。薄物ドッグクラッチ歯ブロック体を1000℃の高熱による熱処理を施す際、ドッグクラッチ歯に近接する窓溝が、周枠及び底板によって補強されるのでドッグクラッチ歯の歪を極力減少させることができた。
【符号の説明】
【0023】
J 溶接部
W クラッチ歯車
W01 外歯ブロック体
W02 内歯ブロック体、W021 欠け溝、W022 単体孔、W023 フランジ
W1、W2、W3、W4、W5、W6、W7、W8、W9、W10、W11 素材
W71 凸部
W81 窓溝、W811 内周枠、W812 底板
W91 窓溝、W911 内周枠、W912 底板
W111 窓溝、W101 欠け溝、W111 窓溝、W112 内周枠
1 ヘリカル歯
12 歯面、14 歯端面
2 ドッグクラッチ歯
23 チャンファ、24 歯根元、28 段差
3 軸孔、30 荒軸孔
4 沈み溝
5 コーン
61 切欠け溝、62 欠け溝、63 窓溝、64 窓溝、65 欠け溝
8 フランジ
【技術分野】
【0001】
この発明は、主として自動車のマニュアルトランスミッションに使用されるダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車に関する。詳しくは、外周のヘリカル歯又はスパー歯の周列の内側に、別個に形成したドッグクラッチ歯を一体化結合し、かつ、ドッグクラッチ歯周列の内側に複数個の窓溝を設けたクラッチ歯車であって、薄物ドッグクラッチ歯の浸炭熱処理後の歪を極力減少させることによって、ドッグクラッチ歯の歯形状或いは歯形精度を向上させたダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なマニュアルトランスミッション用のクラッチ歯車の製造方法として二種類ある。一つは、減速或いは増速用のヘリカル歯及びこの内周のドッグクラッチ歯を同体にして一体クラッチ歯車を形成する。もう一つは、外歯のヘリカル歯と内歯のドッグクラッチ歯とを別個に形成し、これらを合体して複合クラッチ歯車を形成する。これらの、一体或いは複合歯車について以下に説明する。ドッグクラッチ歯車の種類として、シングルコーン型又はマルチコーン型がある。先ず、コーン摩擦面が一箇所のシングルコーン型のクラッチ歯車の全体図を図7に示し、外周のヘリカル歯1が軸方向に対して捩じれて形成され、この内周に軸方向に対して逆テーパの歯を有するドッグクラッチ歯2が形成される。これらの外周歯と内側の歯との間は、例えば窪んだ沈み溝4が同心円上に形成され、ドッグクラッチ歯2の歯根元24は沈み溝4の底板面まで形成される。ドッグクラッチ歯2の内周側には円錐台状のコーン5が同軸上に突設され、この内周は上下に軸孔3が貫通する。なお、このコーン5の円錐台状の外周面は冷間鍛造後旋削、熱処理、次いで研削により摩擦面として仕上げられる。次に、マルチコーン型のクラッチ歯車について以下に説明する。コーン摩擦面が三箇所のトリプルコーン型のクラッチ歯車の全体図を図8に示し、コーン5の先端面51の肉厚断面を貫通する複数の切欠け溝61を備える。また、コーン摩擦面が二個所のダブルコーン型を図9に示し、ドッグクラッチ歯2の周列において、例えばドッグクラッチ歯2の三歯分に相当する分を除いて欠け溝62を形成する。他に、コーン摩擦面が二個所のダブルコーン型のクラッチ歯車を図10に示し、ドッグクラッチ歯2とコーン5との間に平坦な同心円状のフランジ8を設け、この面にほぼ矩形状に刳り抜いた窓溝63を備える。図11は、他のダブルコーン型のクラッチ歯車を示し、フランジ8の面にほぼ円形状に刳り抜いた窓溝64を備える。これらの欠け溝又は窓溝は、ドリル加工或いは鍛造によって形成される。なお、図9のクラッチ歯車の欠け溝はオープンポケット型と称し、図10、11のクラッチ歯車の窓溝はクローズドポケット型と称する。これらクラッチ歯車のマルチコーン化によってコーン部の総面積が大になり、このことに伴ってシンクロ容量が増大する。換言すればクラッチ歯車のマルチコーン化によってシフト操作力とシフト操作時間との力積が小さくなり、この結果変速操作力の軽減が図られるのでシフトフィーリング性が向上する。高性能エンジンになるほどシフト操作性に対するニーズが高く、軽くかつ素早い操作を可能にするために、同期時間を短縮する大きなシンクロ容量が求められる。シングルコーンからダブルコーン、更にトリプルコーン化によって大きなシンクロ容量が得られ、同期時間が短縮されるのに伴ってエンジンの高速化、高出力化のニーズに対応できる。このように、シフト性能に対する市場の要求からマルチコーン化の傾向にある。しかしながら、最もシンクロ性能が高いとされるトリプルコーンにおいては、構造の複雑化から製造コスト高になる。このトリプルコーンの製造コストとそれから得られるシンクロ性能を勘案すると、シンクロ性能は劣るがコスト安になるダブルコーン化が見直され、むしろ現状では、この方が採用される傾向にある。一方、外歯と内歯の一体歯車の場合は製造コスト面では有利であるが、外歯と内歯を機械加工によって歯切りする場合、外歯の外形寸法と内歯の外形寸法との関係で歯切り工具が干渉し、歯切り加工が困難である。
【0003】
次に、外歯のヘリカル歯とドッグクラッチ歯を夫々別個に形成し、これらを合体した複合クラッチ歯車について説明する。図12を参照しながら説明し、本図では、ドッグクラッチ歯2を有するリング状の内歯ブロック体W02の平面を図(a)に示し、この断面を図(b)に示す。図示のように複数個の欠け溝65がリング状の内周に沿って設けられる。この例では別個に形成したヘリカル歯を有する外歯ブロック体に、この内歯ブロック体W02を例えばレーザ又は電子ビーム溶接或いはスプライン結合を施すことによって合体する。ここで、窓溝64は断面円形状或いは矩形状があり、ドリル加工又は鍛造によって成形或いは打ち抜きによって形成される。
【0004】
外歯のヘリカル歯とドッグクラッチ歯を夫々別個に形成し、以下に、これらを合体した複合クラッチ歯車の製造プロセスの詳細について図13及び14の工程図に基づき以下に説明する。工程の前半を図13に示し、後半を図14に示す。先ず、図13の工程(1)に示すように、クラッチ歯車に適した円柱の素材W1を、工程(2)のように所定の軸長に例えばビレットシャーによって切断した円盤状の素材W2を得る。次に、工程(3)に示すように、素材W2を例えば1150℃に加熱して熱間鍛造を施すことによって中央に穴が穿孔されたリングの素材W3を得る。次に、工程(4)に示すように素材W3を焼鈍して素材W4、次いで工程(5)に示すように素材W4にショットブラスト処理を施して素材W5、次いで工程(6)に示すように素材W5に潤滑剤を塗布するボンデライト処理を施して素材W6を得る。次に、工程(7)に示すように、素材W6に冷間鍛造を施すことによって上方に凸部W71が形成された素材W7を得る。以下、後工程を図14に基づいて説明する。工程(8)に示すように、同じく冷間鍛造によってフランジ部の外周に内歯のドッグクラッチ歯2が形成された素材W8を得る。次に、工程(9)に示すように、素材W8にターニング加工を施すことによって上方の凸部W71を削り取った素材W9を得る。次いで、工程(10)に示すように、素材W9にブローチ加工を施すことによって内周にオープンポケット型の欠け溝W101を複数箇所設けた素材W10を得る。次に、工程(11)に示すように素材W10に浸炭熱処理焼を施して素材W11を得る。次に、工程(12)に示すように、素材W11にハードターニング加工を施すことによって内径面取り等を施して仕上げた内歯ブロック体W02を得、外周にドッグクラッチ歯2の周列が形成され、内周にオープンポケット型の欠け溝W021が複数箇所形成される。最後に、工程(13)に示すように、別個に製作した下側の外歯ブロック体W01に、上から内歯ブロック体W02に電子ビーム溶接を施すことによって合体し、クラッチ歯車Wを得る。外周にヘリカル歯1の周列、この内周にドッグクラッチ歯の周列、この内側に窓溝63が設けられている。
【0005】
ここで、工程(10)のW101は内周側が欠けたオープンポケット型の溝であり、工程(11)で内周側が欠けた状態で浸炭熱処理を施す。ところが、浸炭熱処理する前の内歯ブロック体W10は、薄い円盤状であって、しかも、内周側が欠けている。そのため、浸炭熱処理の際に内歯ブロック体W10の全体的に歪み、これに伴って、特に、ドッグクラッチ歯2の歯形或いは歯形精度が悪い内歯ブロック体W02が形成される。
【0006】
これらのクラッチ歯車に関し、本件出願人は内側のドッグクラッチ歯の歯根元が軸方向に対して外周のヘリカル歯の歯端面より沈んだ複合の歯車ブロック体(以下沈みヘリカルモノブロック体)に関する次のような提案をしている。マルチコーン型のクラッチ歯車であり、例えば、ドッグクラッチ歯の周列に複数の欠け溝を設け、これらの欠け溝は熱間鍛造及び冷間鍛造によって成形する。或いは、フランジ面にほぼ矩形状に複数の窓溝を設け、これらの窓溝は熱間鍛造及び冷間鍛造によって成形する(例えば、特許文献1参照)。他に、他の出願人はクラッチ歯車の製造装置に関し、引っ掛かり部として凹んだ孔を形成する次のような提案をしている。即ち、マルチコーン式シンクロ装置に用いるクラッチ歯車を製造するクラッチ歯車製造装置であって、チャンファを有するスプライン歯が外周面に形成された前記クラッチ歯車の前記チャンファを鉛直方向上向きで設置可能であるとともに、前記スプライン歯に逆テーパを成形可能な逆テーパ歯を有するダイスと、前記スプライン歯が前記逆テーパ歯に押圧されるよう前記ダイスに設置された前記クラッチ歯車を押し下げ可能なパンチと、該パンチにより押し下げられる前記クラッチ歯車を受けるノックアウトスリーブと、前記スプライン歯が前記逆テーパ歯に押圧された状態で前記クラッチ歯車の側面にコーン孔を形成するパンチピンと、を備えるクラッチ歯車製造装置である(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3155682号
【特許文献2】特開2009−39781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の通りであって、特許文献に代表されるように、従来のダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車には以下のような問題点がある。
【0009】
ドリル加工により欠け溝又は窓溝を形成する場合は、加工に時間が掛るとともに、切り粉が発生するのでこれを完全に除去するのに手間暇を要する。一方、鍛造によって欠け溝或いは窓溝を形成する場合は、ドッグクラッチ歯周列の内側に窓溝を形成しなければならないので、外側のドッグクラッチ歯と窓溝との間の断面肉厚が薄くなり、ドッグクラッチ歯を鍛造成形する加圧力をバックアップする壁が弱体化する。その結果、歯形に加わる加圧力が逃げてこの部位のドッグクラッチ歯の歯形状及び歯形精度を確保することが困難である。特に、図13及び14の製造プロセスによりドッグクラッチ歯の周列を有する内歯ブロック体を鍛造により形成する場合に問題がある。即ち、この内周側にオープンポケット型の複数の欠け溝を機械加工により形成し、次いでこの状態で浸炭熱処理を施す場合、内歯ブロック体は薄い円盤状であって、しかも、内周側が欠けている。そのため、浸炭熱処理の際に内歯ブロック体が全体的に歪み、これに伴って、特に、ドッグクラッチ歯2歯形或いは歯形精度が悪化する。
【0010】
そこで、本出願発明は以上のような課題に着目してなされたもので、外周のヘリカル歯又はスパー歯を備える外歯ブロック体を単独で形成し、次いでこの周列の内側に、ドッグクラッチ歯を備える薄物の内歯ブロック体を一体化結合することを基本とする。ここで、薄物の内歯ブロック体におけるワーク剛性不足による歪発生を解消するために、結合する前の薄物の内歯ブロック体の内径に鍛造によるクローズドポケット型の窓溝を複数個形成し、この窓溝の枠又は底板を有する状態で浸炭熱処理を施し、その後で内周枠又は/及び底板を削り取ることによって、薄物の内歯ブロック体の歪を極力減少させる。即ち、内歯ブロック体におけるクローズドポケット型の窓溝の内周枠又は/及び底板を削り落してオープンポケット型の欠け溝を形成し、この状態の薄物の内歯ブロック体を外歯ブロック体の内側に合体することによって、ドッグクラッチ歯の歯形状或いは歯形精度を向上させたダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
近年では鍛造技術の進歩によって種々の形状の歯形の精度が良いことに着目するとともに、し、ダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車の窓溝の枠又は底板を有するままで浸炭熱処理をすることによって歯形の歪発生が減少することに着目し、歯車を試作したところドッグクラッチ歯の歯形状及び歯形精度に優れるという知見を得た。本出願発明のクラッチ歯車はかかる知見を基に具現化したもので、請求項1の発明は、鍛造成形の後に浸炭熱処理を施した外歯ブロック体に、同様に鍛造成形の後に浸炭熱処理を施した内歯ブロック体を合体したダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車において、前記外歯ブロック体は、内側から外周側へ軸孔、コーン、フランジ及び外歯が夫々同軸上に構成され、一方、前記内歯ブロック体は、内側から外周側へ単体孔、フランジ及びドッグクラッチ歯が夫々同軸上に構成されるとともに、前記単体孔の内周面に沿ってクローズドポケット型の窓溝を複数箇所備え、次に、前記窓溝を経て前記内周面にオープンポケット型の欠け溝を複数箇所形成し、前記外歯ブロック体の前記コーンの外周面に、前記内歯ブロック体の前記内周面を固着したことを特徴とするダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車である。請求項2の発明は、前記請求項1の特徴に加えて、前記内歯ブロック体において、クローズドポケット型の前記窓溝の内周枠を除くことにより、オープンポケット型の前記欠け溝を形成することを特徴とするダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車である。請求項3の発明は、前記請求項1の特徴に加えて、前記内歯ブロック体において、クローズドポケット型の前記窓溝の底板及び内周枠を除くことにより、オープンポケット型の前記欠け溝を形成することを特徴とするダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車である。請求項4の発明は、前記請求項1の特徴に加えて、前記外歯は、スパー歯又はヘリカル歯であることを特徴とするダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車である。
【発明の効果】
【0012】
本出願発明によれば、外周のヘリカル歯又はスパー歯を有する外歯ブロック体の内側に、別個に形成したドッグクラッチ歯ブロック体を一体化結合し、かつ、ドッグクラッチ歯周列の内側に複数個の窓溝を設けたダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車なので以下の作用効果を奏するものである。薄物ドッグクラッチ歯ブロック体において、窓溝の枠又は底板が有る状態で浸炭熱処理を施し、その後で枠又は底板を削り取る製造プロセスによって、ドッグクラッチ歯の歪を極力減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本出願発明の実施例1におけるダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車製造の前工程図である。
【図2】本出願発明の実施例1におけるダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車製造の後工程図である。
【図3】同上、クラッチ歯車の全体斜視図および、内周側から窓溝、ドッグクラッチ歯、外歯を通るA―B断面図である。
【図4】同上、他のクラッチ歯車におけるドッグクラッチ歯ブロック体を示す斜視図である。
【図5】同上、実施例2におけるダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車製造の前工程図である。
【図6】同上、実施例2におけるダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車製造の後工程図である。
【図7】従来例によるシングルコーン用の同期クラッチ歯車の斜視図である。
【図8】同上、トリプルコーン用の同期クラッチ歯車の斜視図である。
【図9】同上、ダブルコーン用の同期クラッチ歯車の斜視図である。
【図10】同上、他のダブルコーン用の同期クラッチ歯車の斜視図である。
【図11】同上、他のダブルコーン用の同期クラッチ歯車の斜視図である。
【図12】同上、他のダブルコーン用の同期クラッチ歯車におけるドッグクラッチ歯のみを示す平面図および断面図である。
【図13】同上、ダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車製造の前工程図である。
【図14】同上、ダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車製造の後工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本出願発明の実施の形態を、添付図面に例示した本出願発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【実施例1】
【0015】
本実施例について、図1〜図4を参照しながら説明する。図1は、本実施例1におけるダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車製造の前工程図である。図2は、本実施例1におけるダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車製造の後工程図である。図3は、クラッチ歯車の全体斜視図および、内周側から窓溝、ドッグクラッチ歯、外歯を通るA―B断面図である。図4は、他のクラッチ歯車におけるドッグクラッチ歯ブロック体を示す斜視図である。
【0016】
本実施例のクラッチ歯車の製造プロセスを、図1及び2の工程図に基づき説明する。上工程を図1に示し、下工程を図2に示す。先ず、図1の工程(1)に示すように、クラッチ歯車に適した円柱の素材W1を、工程(2)のように所定の軸長に例えばビレットシャーによって切断した円盤状の素材W2を得る。この場合、素材の材質としてクラッチ歯車に適した鋼材、例えば、SC鋼、SCR鋼、SCM鋼、SNC鋼、SNCM鋼等を使用することができる。次に、工程(3)に示すように、素材W2を例えば1150℃に加熱して熱間鍛造を施すことによって中央に穴が穿孔されたリングの素材W3を得る。次に、工程(4)に示すように素材W3を焼鈍して素材W4、次いで工程(5)に示すように素材W4にショットブラスト処理を施して素材W5、次いで工程(6)に示すように素材W5に潤滑剤を塗布するボンデライト処理を施して素材W6を得る。次に、工程(7)に示すように、素材W6に冷間鍛造を施すことによって上方に凸部W71が形成された素材W7を得る。以下、後工程を図2に基づいて説明する。工程(8)に示すように、同じく冷間鍛造によってフランジ部の外周にドッグクラッチ歯2が形成され、かつ、フランジ部に枠を備える窓溝W81を複数箇所設けた素材W8を得る。次に、工程(9)に示すように、素材W8にターニング加工を施すことによって上方の凸部W71を削り取った素材W9を得、フランジ部に内周枠W911を備えたクローズドポケット型の窓溝W91を、ブロック体の内周面に沿って複数箇所設けた素材W9を得る。次に、工程(10)に示すように素材W9に浸炭熱処理焼を施して素材W10を得る。次に、工程(11)に示すように、素材W10にハードターニング加工を施すことによって内周枠W911を削り落してクローズドポケット型の窓溝の内周枠を除く。このようにして、内周面に開口を有するオープンポケット型の欠け溝W021を、ブロック体の内周面に複数箇所形成し、内径面取り等を施して仕上げた内歯ブロック体W02を得る。内歯ブロック体W02は、内側から外周側へ中央の単体孔W022、その外周のフランジW023及びその外周のドッグクラッチ歯2が夫々同軸上に構成されるとともに、前記単体孔の内周面に沿ってオープンポケット型の欠け溝W021を複数箇所備える。最後に、工程(12)に示すように、別途製作して機械加工及び浸炭処理を施し済の外歯ブロック体W01に、内歯ブロック体W02を電子ビーム溶接或いはレーザ溶接を施すことによって合体し、クラッチ歯車Wを得る。即ち、外歯ブロック体の前記コーンの外周面に、内歯ブロック体の内周面を固着する。図示のように、外周にヘリカル歯1の周列、この内周にドッグクラッチ歯の周列、この内側に窓溝63が設けられている。外歯ブロック体W01は、内側から外周側へ軸孔、コーン、フランジ及び外歯が夫々同軸上に構成される。以上の工程をまとめると、工程(3)は熱間鍛造であり、工程(7)及び(8)は冷間鍛造である。ここで、クローズドポケット型の溝はブロック体の内周面側も閉鎖されて全周囲が囲まれた窓溝であり、一方、オープンポケット型の溝はブロック体の内周面側に開口を有し他の周囲が囲まれた欠け溝である。以下、他の実施例についても同様である。
【0017】
工程(11)において形成された内歯ブロック体W02に、外側から外歯ブロック体W01を合体したダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車Wの詳細形状を図3に示す。同図(a)では、内歯のドッグクラッチ歯の歯根元が軸方向に対して外周のヘリカル歯の歯端面より沈んだ沈みヘリカルモノブロック体におけるダブルコーン型のクラッチ歯車Wの斜視図を示し、外周のヘリカル歯1が軸方向に対して捩じれて形成され、この内周に軸方向に対して逆テーパの歯を有するドッグクラッチ歯2が形成される。これらの歯の間には窪んだ沈み溝4が同心円上に形成され、ドッグクラッチ歯2の歯根元24は沈み溝4の底板面まで形成される。ドッグクラッチ歯2の内周側には円錐台状のコーン5が同軸上に突設され、この内周は上下に軸孔3が貫通する。そして、本実施例で要部となる窓溝63をドッグクラッチ歯2の周列の内側に設け、窓溝63の個数は3或いは6箇所でもよい。なお、このコーン5の円錐台状の周面は冷間鍛造後旋削、熱処理、次いで研削仕上げが施され摩擦面として仕上げられる。コーン5とフランジ8が接する円弧部位に溶接部Jにおいて電子ビーム溶接或いはレーザ溶接を施すことによって、外歯ブロック体W01に内歯ブロック体W02を固着、合体する。図(a)の矢視A−Bによる一部断面を同図(b)に示し、ドッグクラッチ歯2の歯根元が沈み溝4の底板面まで沈み直立して形成されている。なお、説明の外歯ブロック体W01の歯周列は、歯筋方向が軸方向に捩れたヘリカル歯、或いは歯筋方向が軸方向に平行なスパー歯車でもよい。
【0018】
内歯ブロック体W02の他の実施態様を図4に示す。内歯ブロック体W02のドッグクラッチ歯2は、チャンファ部の下側に段差28を設ける。この段差28は噛合い相手スリーブ歯の先端が当接してストップさせる機能を有する。
【0019】
本実施例によるダブルコーン型のクラッチ歯車は以上のように構成され、作用について説明する。薄物ドッグクラッチ歯ブロック体において、窓溝に内周枠を備える状態で浸炭熱処理を施し、その後で内周枠削り取る製造プロセスを採用したので、ドッグクラッチ歯の歪を極力減少させることができた。薄物ドッグクラッチ歯ブロック体を1000℃の高熱による熱処理を施す際、ドッグクラッチ歯に近接する窓溝が、周枠によって補強されるのでドッグクラッチ歯の歪を極力減少させることができた。
【実施例2】
【0020】
本実施例について、図5及び6のダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車の製造工程図を参照しながら説明する。浸炭熱処理を施す状態の内歯ブロック体の窓溝が、底板を有するところにある。以下実施例1と相違する箇所について主に説明する。
【0021】
工程の前半を図5に示し、後半を図6に示す。工程(7)までは、実施例1と同じなので工程(8)以降について説明する。工程(8)に示すように、冷間鍛造によってフランジ部の外周に内歯のドッグクラッチ歯2が形成され、かつ、フランジ部にクローズドポケット型の窓溝W81を複数箇所設けた素材W8を得る。この窓溝W81には、底板812を有し、このことが実施例1と異なる。次に、工程(9)に示すように、素材W8にターニング加工を施すことによって上方の凸部W71を削り取った素材W9を得る。この素材W9には、内周面に沿ってクローズドポケット型の窓溝W91を複数個備える。次に、工程(10)に示すように素材W9に浸炭熱処理焼を施して素材W10を得る。次に、工程(11)に示すように、素材W9における窓溝W910の内周枠W911及び底板912を有する窓溝91から底板を削り落して除いた素材W11を得、この素材W11はクローズドポケット型の窓溝W111をブロック体の内周面に沿って複数箇所備える。次に、工程(12)に示すように、素材W11にハードターニング加工を施すことによって内径面取り等を施して仕上げ、クローズドポケット型の窓溝の内周枠を除ことによって、内周面に開口を有するオープンポケット型の欠け溝W021を内周面に複数箇所形成した内歯ブロック体W02を得る。内歯ブロック体W02は、内側から外周側へ単体孔W022、その外周のフランジW023及びその外周のドッグクラッチ歯2が夫々同軸上に構成されるとともに、単体孔単体孔W022の内周面に沿ってオープンポケット型の欠け溝W021を複数箇所備える。最後に、工程(13)に示すように、別途製作して機械加工及び浸炭処理を施した外歯ブロック体W01に、内歯ブロック体W02を電子ビーム溶接或いはレーザ溶接を施すことによって固着、合体し、クラッチ歯車Wを得る。即ち、外歯ブロック体の前記コーンの外周面に、内歯ブロック体の内周面を固着する。図示のように、外周にヘリカル歯1の周列、この内周にドッグクラッチ歯の周列、この内側に窓溝63が設けられている。外歯ブロック体W01は、内側から外周側へ軸孔、コーン、フランジ及び外歯が夫々同軸上に構成される。
【0022】
本実施例によるダブルコーン型のクラッチ歯車は以上のように構成され、次に作用について説明する。薄物ドッグクラッチ歯ブロック体において、窓溝の内周枠及び底板を備える状態で浸炭熱処理を施し、その後で内周枠及び底板を削り取る製造プロセスを採用したので、ドッグクラッチ歯の歪を極力減少させることができた。薄物ドッグクラッチ歯ブロック体を1000℃の高熱による熱処理を施す際、ドッグクラッチ歯に近接する窓溝が、周枠及び底板によって補強されるのでドッグクラッチ歯の歪を極力減少させることができた。
【符号の説明】
【0023】
J 溶接部
W クラッチ歯車
W01 外歯ブロック体
W02 内歯ブロック体、W021 欠け溝、W022 単体孔、W023 フランジ
W1、W2、W3、W4、W5、W6、W7、W8、W9、W10、W11 素材
W71 凸部
W81 窓溝、W811 内周枠、W812 底板
W91 窓溝、W911 内周枠、W912 底板
W111 窓溝、W101 欠け溝、W111 窓溝、W112 内周枠
1 ヘリカル歯
12 歯面、14 歯端面
2 ドッグクラッチ歯
23 チャンファ、24 歯根元、28 段差
3 軸孔、30 荒軸孔
4 沈み溝
5 コーン
61 切欠け溝、62 欠け溝、63 窓溝、64 窓溝、65 欠け溝
8 フランジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍛造成形の後に浸炭熱処理を施した外歯ブロック体に、
同様に鍛造成形の後に浸炭熱処理を施した内歯ブロック体を合体したダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車において、
前記外歯ブロック体は、内側から外周側へ軸孔、コーン、フランジ及び外歯が夫々同軸上に構成され、
一方、前記内歯ブロック体は、内側から外周側へ単体孔、フランジ及びドッグクラッチ歯が夫々同軸上に構成されるとともに、
前記単体孔の内周面に沿ってクローズドポケット型の窓溝を複数箇所備え、
次に、前記窓溝を経て前記内周面にオープンポケット型の欠け溝を複数箇所形成し、
前記外歯ブロック体の前記コーンの外周面に、
前記内歯ブロック体の前記内周面を固着したことを特徴とするダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車。
【請求項2】
前記内歯ブロック体において、クローズドポケット型の前記窓溝の内周枠を除くことにより、
オープンポケット型の前記欠け溝を形成することを特徴とする請求項1記載のダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車。
【請求項3】
前記内歯ブロック体において、クローズドポケット型の前記窓溝の底板及び内周枠を除くことにより、
オープンポケット型の前記欠け溝を形成することを特徴とする請求項1記載のダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車。
【請求項4】
前記外歯は、スパー歯又はヘリカル歯であることを特徴とする請求項1記載のダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車。
【請求項1】
鍛造成形の後に浸炭熱処理を施した外歯ブロック体に、
同様に鍛造成形の後に浸炭熱処理を施した内歯ブロック体を合体したダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車において、
前記外歯ブロック体は、内側から外周側へ軸孔、コーン、フランジ及び外歯が夫々同軸上に構成され、
一方、前記内歯ブロック体は、内側から外周側へ単体孔、フランジ及びドッグクラッチ歯が夫々同軸上に構成されるとともに、
前記単体孔の内周面に沿ってクローズドポケット型の窓溝を複数箇所備え、
次に、前記窓溝を経て前記内周面にオープンポケット型の欠け溝を複数箇所形成し、
前記外歯ブロック体の前記コーンの外周面に、
前記内歯ブロック体の前記内周面を固着したことを特徴とするダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車。
【請求項2】
前記内歯ブロック体において、クローズドポケット型の前記窓溝の内周枠を除くことにより、
オープンポケット型の前記欠け溝を形成することを特徴とする請求項1記載のダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車。
【請求項3】
前記内歯ブロック体において、クローズドポケット型の前記窓溝の底板及び内周枠を除くことにより、
オープンポケット型の前記欠け溝を形成することを特徴とする請求項1記載のダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車。
【請求項4】
前記外歯は、スパー歯又はヘリカル歯であることを特徴とする請求項1記載のダブルコーンシンクロ用の同期クラッチ歯車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−40652(P2013−40652A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178319(P2011−178319)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(390035770)大岡技研株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(390035770)大岡技研株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
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