チャネルを空乏化する界面電荷を有するゲート絶縁層を備えたトランジスタ及び関連した製造方法
金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタ(MISFET)は、第1の導電型の離間されたソース領域とドレイン領域とをその中に有するSiC層を含む。第1のゲート絶縁層は、SiC層上にあり、SiC層との界面に沿って、ソース領域の多数キャリアと同じ極性の正味の電荷を有する。ゲートコンタクトは、ソース領域とドレイン領域との間のSiC層のチャネル領域の上方の、第1のゲート絶縁層上にある。第1のゲート絶縁層とSiC層との間の界面に沿った正味の電荷は、SiC層内のソース領域とドレイン領域との間のチャネル領域の隣接部分の多数キャリアを空乏化することができ、そのことにより、MISFETの閾値電圧を上昇させ、及び/又は内部の電子移動度を高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ電子デバイスに関し、より具体的には、例えば金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタ(MISFET)などのトランジスタ、及び関連した製造プロセスに関する。
(政府の権益の声明)
本発明は、陸軍省の支援により契約番号第W911NF−04−2−0021号の下で為されたものである。米国政府は本発明における一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体デバイスは、大電流、高電圧、及び/又は高周波数信号を調整するために広く用いられている。現代のパワーデバイスは、一般に、単結晶シリコン半導体材料から製造される。広く用いられている1つのパワーデバイスは、パワー金属酸化膜半導体電界効果型トランジスタ(MOSFET)である。パワーMOSFETにおいて、制御信号は、介在する二酸化シリコン絶縁体で半導体表面から隔てられたゲート電極に供給される。電流の伝導は、バイポーラトランジスタの動作において用いられる少数キャリア注入の存在なしに、多数キャリアの輸送により生じる。
【0003】
MOSFETは、炭化シリコン(SiC)層上に形成することができる。炭化シリコン(SiC)は、高温、高電圧、高周波数、及び/又は高出力用の電子回路のための半導体材料として魅力的なものとなる電気的特性と物理的特性との組み合わせを有する。これらの特性は、3.2eVのバンドギャップ、4MV/cmの電界破壊、4.9W/cm−Kの熱伝導率、及び2.0×107cm/秒の電子ドリフト速度を含む。
【0004】
その結果として、これらの特性により、炭化シリコンベースのMOSFETパワーデバイスは、シリコンベースのMOSFETパワーデバイスよりも高い温度、高い出力レベル、高い周波数(例えば、無線帯域、S帯域、X帯域)、及び/又は、より低い固有オン抵抗で動作することが可能になり得る。炭化シリコン内に作られたパワーMOSFETは、Palmourに付与され、かつ本発明の譲受人に譲渡された「Power MOSFET in Silicon Carbide」と題する特許文献1に記載されている。
【0005】
炭化シリコンベースのMOSFETの電子移動度を高めることにより、その出力及び周波数動作特性を改善することができる。電子移動度は、電界の存在下で電子がどれだけすばやくその飽和速度まで加速されるかの基準である。高い電子移動度を有する半導体材料は、より低い電界でより多くの電流を駆動することができるので、電界が印加されたときにより速い応答時間が得られるため、典型的には好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,506,421号明細書
【発明の概要】
【0007】
幾つかの実施形態によると、金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタ(MISFET)は、第1の導電型の離間されたソース領域とドレイン領域とをその中に有するSiC層を含む。第1のゲート絶縁層は、SiC層上にあり、SiC層との界面に沿って、ソース領域の多数キャリアと同じ極性の正味の電荷を有する。ゲートコンタクトは、ソース領域とドレイン領域との間のSiC層のチャネル領域の上方の、第1のゲート絶縁層上にある。
【0008】
第1のゲート絶縁層とSiC層との間の界面に沿った正味の電荷は、SiC層内のソース領域とドレイン領域との間のチャネル領域の隣接部分の多数キャリアを空乏化し、これによりMISFETの閾値電圧を上昇させることができる。
【0009】
金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタ(MISFET)の製造は、第1の導電型の離間されたソース領域とドレイン領域とを有する、SiC層を設けるステップを含むことができる。SiC層上に、ソース領域の多数キャリアと同じ極性の正味の電荷をSiC層との界面に沿って有する、第1のゲート絶縁層が形成される。ソース領域とドレイン領域との間のSiC層のチャネル領域の上方に、第1のゲート絶縁層上のゲートコンタクトが設けられる。
【0010】
添付図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本出願に組み入れられ、かつその一部を構成するものであり、本発明の特定の実施形態を例証する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の幾つかの実施形態による、ソース及びドレイン領域を備えたSiC層と、SiC層上にある、負の界面電荷を含むSiO2ゲート絶縁層とを有するMISFETの断面図である。
【図2】本発明の幾つかの実施形態による、SiC層のドープされたチャネル領域の上に、負の界面電荷を含むSiO2を備えたMISFETの断面図である。
【図3】本発明の幾つかの実施形態による、ゲートコンタクトとソース領域との間にゼロ電圧が存在するときに、ドープされたチャネル領域を空乏化し、かつピンチオフする、負の界面電荷を含むSiO2層を備えた図2のMISFETの断面図である。
【図4】本発明の幾つかの実施形態による、チャネル領域の空乏化されていない部分を通る伝導を誘起する閾値電圧がゲートコンタクトとソース領域との間に印加され、それによってドレインコンタクトを通って低電流が流れるようになった、図2のMISFETの断面図である。
【図5】本発明の幾つかの実施形態による、閾値電圧よりも実質的に高い電圧がゲートコンタクトとソース領域との間に印加されて、チャネル領域の少なくとも大部分を通る伝導が誘起され、ドレインコンタクトを高電流が通るようになった、図1のMISFETの断面図である。
【図6】本発明の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図7】本発明の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図8】本発明の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図9】本発明の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図10】本発明の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図11】本発明の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図12】本発明の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図13】種々のC面MISFETデバイスについてのドレイン電流対ゲート電圧を、Si面MISFETデバイスに対して比較するグラフである。
【図14】本発明のその他の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのその他の幾つかのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図15】本発明のその他の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのその他の幾つかのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図16】本発明のその他の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのその他の幾つかのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図17】本発明のその他の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのその他の幾つかのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図18】本発明のその他の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのその他の幾つかのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図19】本発明のその他の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのその他の幾つかのプロセスの一連の断面図の1つである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、本発明の実施形態が示された添付の図面を参照して、以下、より詳細に説明される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化することができ、ここに述べられた実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分かつ完全なものとなるように、そして当業者に本発明の範囲を十分に伝えられるように提供される。図面において、層及び領域の大きさ及び相対的な大きさは、分かり易くするために誇張されている場合がある。ある要素又は層が別の要素又は層「の上にある」、「に接続される」又は「に結合される」ものとして言及されている場合、これは、直接、他の要素又は層の上にあり、接続され、若しくは結合されていることもあり、又は、介在する要素又は層が存在することもあることが理解されるであろう。対照的に、ある要素が別の要素又は層「の直接上にある」、「に直接接続される」又は「に直接結合される」ものとして言及されている場合、介在する要素又は層は存在しない。ここで用いられる場合、用語「及び/又は」は、関連付けられた列挙された項目のうちの1つ又はそれ以上のいずれか及びすべての組み合わせを含む。全体を通して、同様の番号は、同様の要素を指す。
【0013】
第1及び第2のという用語が、ここでは、種々の領域、層及び/又は区域を説明するために用いられているが、これらの領域、層及び/又は区域は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの領域、層又は区域を別の領域、層又は区域と区別するために用いられているに過ぎない。したがって、本発明の教示から逸脱することなく、以下で論じられる第1の領域、層又は区域を、第2の領域、層又は区域と称することもでき、同様に、第2の領域、層又は区域を、第1の領域、層又は区域と称することもできる。
【0014】
さらに、「下」又は「下部」又は「上」又は「上部」又は「横方向」又は「垂直方向」のような相対語は、ここでは、図に示されているときの1つの要素の別の要素に対する関係を説明するために用いることができる。相対語は、図に描かれた向きに加えて、異なる向きのデバイスを包含するように意図されることが理解されるであろう。例えば、図中のデバイスが回転された場合、他の要素の「下」側にあるものとして記述された要素は、他の要素の「上」側の向きになる。したがって、例示的な用語「下」は、図の具体的な向きに応じて、「下」及び「上」の両方の向きを含むことができる。同様に、図のうちの1つにおけるデバイスが回転された場合、他の要素の「下方」又は「真下」にあるものとして記述された要素は、他の要素の「上方」の向きになる。したがって、例示的な用語「下方」又は「真下」は、上方及び下方の両方の向きを含むことができる。
【0015】
本発明の実施形態は、ここでは本発明の理想化された実施形態の概略図である断面図を参照して説明される。そのため、例えば、製造技術及び/又は公差の結果として、図の形状からの変形が予期される。したがって、本発明の実施形態は、ここで示された特定の領域の形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば製造加工の結果である、形状における偏差を含むものと解釈されるべきである。例えば、矩形として示された注入領域は、典型的には、丸みを帯びた又は湾曲した特徴を有しており、及び/又は、注入領域から非注入領域へと2成分で変化するのではなく、その縁部において注入濃度勾配を有する。同様に、注入により形成される埋め込み領域は、その埋め込み領域と、注入が行われる表面との間の領域内にある程度の注入をもたらすことがある。したがって、図中で示される領域は、本質的に概略的なものであり、それらの形状は、デバイスの領域の正確な形状を示すことを意図するものではなく、本発明の範囲を限定することを意図するものでもない。
【0016】
ここで用いられる用語は、特定の実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。ここで用いられる場合、単数形の不定冠詞及び定冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていない限り、複数形も含むことが意図される。「含む」及び/又は「含んでいる」という用語は、本明細書において用いられる場合、言及した特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は成分の存在を指定するが、1つ又はそれ以上のその他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、成分、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではないこともさらに理解されるであろう。
【0017】
特段の断りのない限り、ここで用いられるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。通常用いられる辞書で定義されているような用語は、関連のある技術分野の文脈内でのその用語の意味と矛盾しない意味を有するものと解釈されるべきであり、ここで明白にそのように定義されない限り、理想化された又は過度に形式的な意味合いで解釈されるものではないことが、さらに理解されるであろう。
【0018】
本発明の幾つかの実施形態は、MISFETデバイス、及びMISFETデバイスを製造するための関連プロセスに向けられており、その結果、MISFETデバイスがオンになる閾値電圧の上昇、及び/又はMISFETデバイスの電子移動度の増大をもたらすことができる。
【0019】
図1は、本発明の幾つかの実施形態により構成されたMISFET100の断面図である。図1を参照すると、MISFET100は、SiC層110を含む。SiC層110は、例えば、5×1015cm-3のP型C面(炭素面)4H−SiC基板とすることができる。SiC基板は、ノースカロライナ州ダラム所在のCree Incから入手可能である。n+ソース領域112及びn+ドレイン領域114が、SiC層110のC面上に、離間して形成される。ソース領域112とドレイン領域114との間に、チャネル領域が延びる。ゲートコンタクト130は、チャネル領域の上方に位置合わせされ、部分的にソース領域112及びドレイン領域114の上に重なってもよい。ゲート絶縁層120は、ゲートコンタクト130をSiC層110から分離する。ソースコンタクト132は、ソース領域112に接触し、ドレインコンタクト134は、ドレイン領域114に接触する。本体コンタクト136は、SiC層110のゲートコンタクト130とは反対側の表面上にある。ソースコンタクト132、ドレインコンタクト134、及び/又は本体コンタクト136は、ニッケル又はその他の適切な金属を含むことができる。MISET100は、分離領域140a、b(例えば、浅いトレンチ分離領域)により、SiC層110上の隣接するデバイスから隔てられていてもよい。
【0020】
MISET100がオンになる閾値電圧は、ソース領域112の多数キャリアと同じ極性である正味の電荷(例えば、図1における負電荷記号)をSiC層110との界面に沿って有するゲート絶縁層120をSiC層110上に設けることにより、上昇させることができる。正味の界面電荷は、これにより隣接するチャネル領域の電荷キャリアを空乏化し、MISET100の閾値電圧を上昇させることができる。
【0021】
正味の電荷は、ゲート絶縁層120とSiC層110の炭素面との間の界面に沿って生成され得る。本発明の幾つかの実施形態は、SiC層上に二酸化シリコン層を形成することによって負電荷が生成され得ること、及び、二酸化シリコン層に接触するSiC層の結晶面に沿って存在する炭素原子の量を増加させることによって正味の電荷を増加させることができることという目下の認識から生じ得る。特に、二酸化シリコン層を炭素面(例えば、面に沿って実質的にSi原子が存在しない)SiC層上に形成して、SiC層の隣接するチャネル領域の多数電荷キャリアを空乏化するのに十分なほど強い正味の電荷を与えることができる。
【0022】
二酸化シリコン・ゲート絶縁層120は、SiC層110の表面を熱的に酸化させることにより、及び/又は、チャネル領域上に二酸化シリコン層を堆積又は別の方法により設け、その構造体を加熱してそれらの間に界面電荷を形成することにより形成することができる。例えば、ゲート絶縁層120は、SiC層と反応してそれらの間に界面電荷を形成するように加熱された二酸化シリコンから形成することができる。対照的に、二酸化シリコン・ゲート絶縁層120がSiC層110を酸化させることにより形成される場合は、ゲートコンタクト130とSiC層110との間の絶縁性を高めるために、第2のゲート絶縁層120を、二酸化シリコン・ゲート絶縁層120上に、例えば、窒化シリコン及び/又は酸窒化シリコンから形成することができる。幾つかの例示的な実施形態において、ゲート絶縁層とSiC層との間の界面に沿った正味の電荷を与える領域は、50Åを超えない厚さを有する。SiC層110に沿って正味の負の界面電荷を有するゲート絶縁層を形成するために用いることができるこれら及びその他のプロセスは、後で、図6から図17に関してさらに説明される。
【0023】
図2は、本発明の幾つかの実施形態により構成された別のMISFET200の断面図である。図2のMISFET200は、ソース領域112とドレイン領域114との間に延びるドープされたチャネル領域116が追加されたたこと以外は、図1のMISFETと実質的に同じであり得る。図2を参照すると、ソース領域112及びドレイン領域114がn+領域である場合、ドープされたチャネル領域116は、n型とすることができる。
【0024】
チャネル領域116の電子移動度は、そのドーパント濃度を高めることにより、及び/又はチャネル厚(図2における垂直方向)を厚くすることにより増大させることが可能であり、これにより、その電気抵抗を低下させ、それに対応して電流容量を増大させることができる。しかしながら、チャネルのドーピング及び/又はチャネル領域116の厚さを厚くすることにより達成することが可能な電気移動度の増大レベルは、MISFET200が、ゲートコンタクト130とソース領域112との間の電位(VGS)が定められた閾値電圧を下回るときには非常に低い(好ましくはゼロ)ドレイン漏れ電流でオフにされなければならないという要件による制約を受けることがある。
【0025】
ゲート絶縁層120とSiC層110との間の界面は、ドープされたチャネル領域116の多数キャリアと同じ極性の正味の電荷を有しており、ドープされたチャネル領域116の隣接部分から離れるように電荷キャリアにバイアスをかける。したがって、図2において、正味の負電荷(例えば、図2における負電荷記号)は、ドープされたチャネル領域116における多数電荷キャリア(例えば、電子)と同じ極性を有し、それにより、ゲート・ソース間電圧(VGS)がゼロであるときには、ドープされたチャネル領域116の少なくとも隣接部分の多数電荷キャリア(例えば、電子)を空乏化する。したがって、ドープされたチャネル領域116を、VGSが閾値電圧を下回るときにはMISFET200がオフになることを可能にする一方で、ドープされたチャネル領域116における移動度がより高くなるように及び/又はチャネル電流容量が増大するようにするために、より高いn型ドーパント濃度を有し及び/又はより厚い厚さを有するように作ることができる。MISFET200の閾値電圧を上昇させるために、SiO2ゲート絶縁層120によって与えられる正味の固定電荷を代替的に又は付加的に用いることができる。
【0026】
単位面積当たりの正味の負電荷は、ドープされたチャネル領域116の隣接する単位面積内のドーパントにより生成される正味の電荷と少なくとも等しい高さの値を与えるように、製造プロセスを通じて調整することができる。したがって、例えば、以下の式1
N_チャネル X n_チャネル≦Ng (式1)
により定義されるように、ドープされたチャネル領域116のドーピング濃度と厚さとの積は、SiO2ゲート絶縁層120により与えられる単位面積当たりの負の固定電荷の量と等しいか又はそれより小さくなるべきである。
【0027】
式1において、項「N_チャネル」は、ドープされたチャネル領域116のn型ドーパント濃度(例えば、cm-3)を表わし、項「n_チャネル」は、ドープされたチャネル領域116の厚さ(例えば、cm)を表わし、項「Ng」は、SiO2ゲート絶縁層120により与えられる負の固定電荷密度(cm-2)を表わす。
【0028】
幾つかの実施形態において、ドープされたチャネル領域116は、約1×1016cm-3から約1×1018cm-3までのn型ドーパント濃度と、約0.1μmから約0.5×10-5μmまでの厚さを有するものとすることができる。したがって、式1に従うと、SiO2ゲート絶縁層120により与えられる負の固定電荷は、約−3×1011cm-2から約−6×1013cm-2までの範囲の正味の電荷密度を生成するように構成することができる。ソース及びドレイン領域112及び114は各々、ドープされたチャネル領域116のn型ドーパント濃度より高いn型ドーパント濃度を有し、例えば、約1×1019cm-3から約1×1021cm-3までのn型ドーパント濃度を有することができる。
【0029】
本明細書において用いられる「p型」、「p+」、「n型」及び「n+」は、同じ又は別の層又は基板の隣接する領域又は他の領域内に存在するよりキャリア濃度よりも高いキャリア濃度によって定められる領域である。本明細書においては、種々の実施形態は、SiC層上にn型チャネルとn+ソース領域とn+ドレイン領域とを含む、n型MISFETを背景として説明されているが、その他の幾つかの実施形態によれば、SiC層上にp型チャネルとp+ソース領域とP+ドレイン領域とを含む、p型MISFET構造体が提供される。p型MISFETの場合、ゲート絶縁層は、ゲートコンタクト130とソース領域112との間にゼロ電位が存在するときには、チャネル領域の少なくとも隣接部分の電荷キャリア(例えば、正孔)を空乏化する正の固定電荷を、チャネル領域に面する表面に沿って与えるように構成することができる。
【0030】
ここで、図2に示されるMISFET200がオフ状態にあるとき、部分的にオン状態であるとき、及び完全にオン状態であるときに提供され得る種々の例示的な動作特性が、図3から図5を参照して説明される。
【0031】
図3は、ゲートコンタクト130とソースコンタクト132との間にゼロ電圧が存在し、かつゲートコンタクト130とドレインコンタクト134と本体コンタクト136とが電気的に接続されているときの図2のMISFET200の断面図である。ゲート絶縁層120とSiC層110との間の界面に沿った負の固定電荷は、チャネル領域116’の電荷キャリアを効果的に空乏化し、したがって、ピンチオフする。結果的に、(存在するとしても)非常にわずかの電流しか、ドレインコンタクト134を通って流れないことになる。
【0032】
図4は、ゲートコンタクト130とソースコンタクト132との間に12V(MISFET200に対する閾値電圧)が印加され(「VGS」)、かつソースコンタクト132と本体コンタクト136とが電気的に接続されているときのMISFET200の断面図である。12VGSを印加すると、CSiO2空乏層150によりもたらされる負電荷の多くが本体コンタクト136に反映されるので、空乏領域116’がチャネル領域116の中央領域から退き、それにより、中央に位置する空乏化されていない電荷キャリア領域116’’が形成される。結果的に、電流は、中央に位置する空乏化されていない電荷キャリア領域116’’を通ってドレインコンタクト134に流れることができる。
【0033】
図5は、ゲートコンタクト130とソースコンタクト132との間に25Vが印加され、かつソースコンタクト132と本体コンタクト135とが電気的に接続されているときのMISFET200の断面図である。25VGSの電位は、空乏化されていない電荷キャリア領域116’’’をチャネル領域116の表面まで上方に延ばす。結果的に、はるかに高い電流が、空乏化されていない電荷キャリア領域116’’’を通ってドレインコンタクト134に流れることができる。
【0034】
図6から図12は、本発明の幾つかの実施形態による、図2のMISFET200を製造するために実行することができるプロセスの一連の断面図である。図6を参照すると、SiC層110が設けられる。n型ドーパント(例えば、窒素及び/又はリン原子)が約1×1016cm-3から約1×1018cm-3までの濃度で、約0.1μmから約0.5×10-5μmまでの深さまでSiC層110に注入されることにより、n型層610がSiC層110内に形成される。
【0035】
図7を参照すると、n型層610の、ドープされたチャネル領域116になる部分の上に、マスクパターン700が形成される。さらにn型ドーパントが約1×1019cm-3から約1×1021cm-3までのn型ドーパント濃度でSiC層110の中に注入され、n+ソース領域112及びn+でドレイン領域114が形成される。注入されたドーパントは、約1300℃から約2000℃までの温度でアニールされ、チャネル領域116、ソース領域112、及びドレイン領域114を形成することができる。マスクパターン700は、アニール前又はアニール後に除去することができる。
【0036】
チャネル領域116の中に注入されるドーパントの深さ及び濃度は、後で形成されるSiO2層120により与えられる負の固定電荷の量に依存する。上で説明されたように、幾つかの実施形態によれば、チャネル領域116のドーピング濃度と厚さとの積は、ゲート絶縁層120とSiC層110との間の界面に沿って与えられる負の固定電荷量と等しいか又はそれより小さいものとすべきである。
【0037】
図8を参照すると、シリコン層800が、例えば非晶質シリコンの300Å厚の層を堆積することにより、チャネル領域610を含むSiC層110の全体にわたって形成される。図9を参照すると、シリコン層800が酸化されて予備的な二酸化シリコン層902を形成し、さらにまた、C終端のSiC層110にも、すなわちSiC層110内に埋め込まれたチャネル層610の表面沿いにも、少量の酸化が生じることがある。シリコン層800を、例えば、950℃の乾燥酸素環境中で4.5時間の酸化熱処理に供して、予備的な二酸化シリコン層902を形成することができる。
【0038】
図10を参照すると、予備的な二酸化シリコン層902は、予備的な二酸化シリコン層902をアニールしてアニール処理された二酸化シリコン層1002を形成し、かつアニール処理されたSiO2ゲート絶縁層1004によってSiC層110との界面に沿って与えられる負電荷の量を制御する、アニール加熱処理に供される。アニール加熱処理は、例えば、酸化窒素環境中で、温度1100℃で2時間にわたって行うことができる。アニール加熱処理の周囲雰囲気の組成、温度、及び持続時間は、アニール処理されたSiO2ゲート絶縁層1002によって与えられる負電荷の量を制御するように調整することができる。
【0039】
図11を参照すると、アニール処理された二酸化シリコン層1002は、湿式又は乾式エッチングプロセスなどによってパターン形成され、二酸化シリコン・ゲート絶縁層120を形成する。
【0040】
図12を参照すると、ゲートコンタクト130、ソースコンタクト132、及びドレインコンタクト134が、例えば、ニッケル又はその他の適切な金属の1つ又はそれ以上の層を堆積し、その後パターン形成することにより形成される。本体コンタクト136は、例えば、ニッケル又はその他の適切な金属の層を堆積することにより、SiC層110の反対側の表面上に形成される。
【0041】
得られた構造体を、例えば850℃でさらにアニールし、コンタクト構造体130、132、134及び136の各々と、SiC層110の対応する領域との間のオーム性接触を改善することができる。アニールプロセスの温度及び持続時間は、SiO2ゲート絶縁層120とSiC層110との間の界面に沿って生成される、所望の正味の負電荷が与えられるように調整することができる。正味の負電荷は、ドープされたチャネル領域116の隣接する単位面積内のドーパントによって生成される正味の電荷の高さと少なくとも等しくになるように制御することができ、これは、上で式1に関して、チャネル領域116のドーピング濃度及び厚さによって定められるものとして説明された。
【0042】
図13は、幾つかの実施形態により構成された種々のC面MISFETについてのドレイン電流対ゲート電圧を、Si終端SiCMISFET(Si面MISFET)に対して比較するグラフである。図13を参照すると、曲線1300は、ドープされたチャネル領域を持たない(埋め込みチャネル(BC)=0)のC面MISFETデバイスに対応し、これは、図1のMISFET100に対応し得る。曲線1302は、3×1011cm-2の電荷濃度を有するドープされたチャネル領域を有する(埋め込みチャネル(BC)=3×1011cm-2)のC面MISFETデバイスに対応し、これは、図2のMISFET200の実施形態に対応し得る。曲線1304は、6×1011cm-2の電荷濃度を有するドープされたチャネルを有するC面MISFETデバイスに対応し、これは、図2のMISFET200の別の実施形態に対応し得る。曲線1306は、ドープされたチャネル領域を持たない(BC=0)Si面(シリコン基板層)MISFETデバイスに対応する。
【0043】
曲線1300のC面MISFETを、曲線1306のSi面MISFETと比較すると、C面MISFETのSiO2ゲート絶縁層における負電荷が、その閾値電圧(Vth約5V)を、Si面MISFET(Vth約−0.8V)と比べて上昇させたことが観察される。曲線1302及び1304は、ドープされたチャネル領域内のドーパント濃度を増大させることでSi面MISFETの閾値電圧が低下するが、それらの閾値電圧は依然として0Vを上回っており、かつドレイン電流を増大させることを例証する。したがって、ゲート・ソース間電圧がゼロであるときにはC面MISFETをオフにすることを可能にする一方で、チャネル電流容量を増大させるためにチャネル領域内のドーパント濃度をより高めたC面MISFETを製造することを可能にするために、SiO2ゲート絶縁層内の負の固定電荷を用いることができる。C面MISFETの閾値電圧を上昇させるために、SiO2ゲート絶縁層内の負電荷を代替的に又は付加的に用いることができる。
【0044】
図14から図19は、図2のMISFET200を製造するために実行することができる他の幾つかのプロセスの一連の断面図を示す。図14を参照すると、SiC層110が設けられる。n型ドーパント(例えば、窒素及び/又はリン原子)が約1×1016cm-3から1×1018cm-3までの濃度で、約0.1μmから約0.5×10-5μmまでの深さまでSiC層110に注入されることにより、n型層610がSiC層110に形成される。
【0045】
図15を参照すると、n型層610の、ドープされたチャネル領域116になる部分の上に、マスクパターン700が形成される。さらにn型ドーパントが約1×1019cm-3から約1×1021cm-3までのn型ドーパント濃度でSiC層110の中に注入され、n+ソース領域112及びn+ドレイン領域114が形成される。注入されたドーパントは、約1300℃から約2000℃までの温度でアニールされ、チャネル領域116、ソース領域112、及びドレイン領域114を形成することができる。マスクパターン700は、アニール前又はアニール後に除去することができる。上で説明したように、幾つかの実施形態によれば、チャネル領域116のドーピング濃度と厚さとの積は、CSiO2空乏層150によりもたらされる負の固定電荷量と等しいか又はそれより小さいものとすべきである。
【0046】
図16を参照すると、SiC層110の表面がチャネル領域610の表面を含めて酸化され、第1のSiO2ゲート絶縁層1604が形成される。酸化は、SiC層110を約800℃から約1200℃までの範囲の温度で加熱することにより行うことができる。加熱の温度及び持続時間は、第1のSiO2層1604により生成される負電荷の量を調整するように制御することができる。
【0047】
図17を参照すると、第2のゲート絶縁層1700が、第1のSiO2ゲート絶縁層1604層上に形成される。図18を参照すると、得られた構造体を、第1のゲート絶縁層1804とSiC110との間の界面に沿って与えられる負電荷量を制御するために第1のゲート絶縁層1604をアニールする、アニール加熱処理に供することができる。アニール加熱処理は、例えば、酸化窒素環境中で、温度1100℃で2時間にわたって行うことができる。アニール加熱処理の周囲雰囲気の組成、温度、及び持続時間は、第1のゲート絶縁層1804とSiC層110との間の界面に沿って与えられる正味の負電荷を制御するように調整することができる。
【0048】
図19を参照すると、第2のゲート絶縁層1700及び第1のゲート絶縁層1804は、湿式又は乾式エッチングプロセスなどによってパターン形成され、後で形成されるゲートコンタクトとSiC層110との間に積層された多層ゲート絶縁層120を形成する。
【0049】
例えば図1、図2及び図12に関して上で説明されたようにして、上述のその他のプロセスを得られた構造体に対して行って、ゲートコンタクト130、ソースコンタクト132、ドレインコンタクト134、及び本体コンタクト136を設けることができる。得られた構造体を、例えば850℃でさらにアニールし、コンタクト構造体130、132、134及び136の各々と、SiC層110の対応する領域との間のオーム性接触を改善し、かつゲート絶縁層120とSiC層110との間の界面に沿った負電荷をさらに増加させることもできる。アニールプロセスの温度及び持続時間は、所望の正味の負電荷が与えられるように調整することが可能であり、正味の負電荷は、ドープされたチャネル領域116の隣接する単位面積内のドーパントによって生成される正味の電荷の高さと少なくとも等しくなるように制御することができ、これは、上で式1に関して、チャネル領域116のドーピング濃度及び厚さによって定められるものとして説明された。
【0050】
図面及び明細書において、本発明の典型的な好ましい実施形態が開示されており、特定の用語が使用されているが、それらは、一般的かつ説明的な意味合いで用いられているに過ぎず、限定を目的とするものではなく、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲において述べられる。
【符号の説明】
【0051】
100、200:MISFET
110:SiC層
112:ソース領域
114:ドレイン領域
116:ドープされたチャネル領域
116’:空乏領域
116’’、116’’’:空乏化されていない電荷キャリア領域
120:ゲート絶縁層
130:ゲートコンタクト
132:ソースコンタクト
134:ドレインコンタクト
136:本体コンタクト
140a、b:分離領域
610:n型層
700:マスクパターン
800:シリコン層
902:予備的な二酸化シリコン層
1002:アニール処理された二酸化シリコン層
1604:第1のSiO2ゲート絶縁層
1700:第2のゲート絶縁層
1804:第1のゲート絶縁層
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ電子デバイスに関し、より具体的には、例えば金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタ(MISFET)などのトランジスタ、及び関連した製造プロセスに関する。
(政府の権益の声明)
本発明は、陸軍省の支援により契約番号第W911NF−04−2−0021号の下で為されたものである。米国政府は本発明における一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体デバイスは、大電流、高電圧、及び/又は高周波数信号を調整するために広く用いられている。現代のパワーデバイスは、一般に、単結晶シリコン半導体材料から製造される。広く用いられている1つのパワーデバイスは、パワー金属酸化膜半導体電界効果型トランジスタ(MOSFET)である。パワーMOSFETにおいて、制御信号は、介在する二酸化シリコン絶縁体で半導体表面から隔てられたゲート電極に供給される。電流の伝導は、バイポーラトランジスタの動作において用いられる少数キャリア注入の存在なしに、多数キャリアの輸送により生じる。
【0003】
MOSFETは、炭化シリコン(SiC)層上に形成することができる。炭化シリコン(SiC)は、高温、高電圧、高周波数、及び/又は高出力用の電子回路のための半導体材料として魅力的なものとなる電気的特性と物理的特性との組み合わせを有する。これらの特性は、3.2eVのバンドギャップ、4MV/cmの電界破壊、4.9W/cm−Kの熱伝導率、及び2.0×107cm/秒の電子ドリフト速度を含む。
【0004】
その結果として、これらの特性により、炭化シリコンベースのMOSFETパワーデバイスは、シリコンベースのMOSFETパワーデバイスよりも高い温度、高い出力レベル、高い周波数(例えば、無線帯域、S帯域、X帯域)、及び/又は、より低い固有オン抵抗で動作することが可能になり得る。炭化シリコン内に作られたパワーMOSFETは、Palmourに付与され、かつ本発明の譲受人に譲渡された「Power MOSFET in Silicon Carbide」と題する特許文献1に記載されている。
【0005】
炭化シリコンベースのMOSFETの電子移動度を高めることにより、その出力及び周波数動作特性を改善することができる。電子移動度は、電界の存在下で電子がどれだけすばやくその飽和速度まで加速されるかの基準である。高い電子移動度を有する半導体材料は、より低い電界でより多くの電流を駆動することができるので、電界が印加されたときにより速い応答時間が得られるため、典型的には好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,506,421号明細書
【発明の概要】
【0007】
幾つかの実施形態によると、金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタ(MISFET)は、第1の導電型の離間されたソース領域とドレイン領域とをその中に有するSiC層を含む。第1のゲート絶縁層は、SiC層上にあり、SiC層との界面に沿って、ソース領域の多数キャリアと同じ極性の正味の電荷を有する。ゲートコンタクトは、ソース領域とドレイン領域との間のSiC層のチャネル領域の上方の、第1のゲート絶縁層上にある。
【0008】
第1のゲート絶縁層とSiC層との間の界面に沿った正味の電荷は、SiC層内のソース領域とドレイン領域との間のチャネル領域の隣接部分の多数キャリアを空乏化し、これによりMISFETの閾値電圧を上昇させることができる。
【0009】
金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタ(MISFET)の製造は、第1の導電型の離間されたソース領域とドレイン領域とを有する、SiC層を設けるステップを含むことができる。SiC層上に、ソース領域の多数キャリアと同じ極性の正味の電荷をSiC層との界面に沿って有する、第1のゲート絶縁層が形成される。ソース領域とドレイン領域との間のSiC層のチャネル領域の上方に、第1のゲート絶縁層上のゲートコンタクトが設けられる。
【0010】
添付図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本出願に組み入れられ、かつその一部を構成するものであり、本発明の特定の実施形態を例証する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の幾つかの実施形態による、ソース及びドレイン領域を備えたSiC層と、SiC層上にある、負の界面電荷を含むSiO2ゲート絶縁層とを有するMISFETの断面図である。
【図2】本発明の幾つかの実施形態による、SiC層のドープされたチャネル領域の上に、負の界面電荷を含むSiO2を備えたMISFETの断面図である。
【図3】本発明の幾つかの実施形態による、ゲートコンタクトとソース領域との間にゼロ電圧が存在するときに、ドープされたチャネル領域を空乏化し、かつピンチオフする、負の界面電荷を含むSiO2層を備えた図2のMISFETの断面図である。
【図4】本発明の幾つかの実施形態による、チャネル領域の空乏化されていない部分を通る伝導を誘起する閾値電圧がゲートコンタクトとソース領域との間に印加され、それによってドレインコンタクトを通って低電流が流れるようになった、図2のMISFETの断面図である。
【図5】本発明の幾つかの実施形態による、閾値電圧よりも実質的に高い電圧がゲートコンタクトとソース領域との間に印加されて、チャネル領域の少なくとも大部分を通る伝導が誘起され、ドレインコンタクトを高電流が通るようになった、図1のMISFETの断面図である。
【図6】本発明の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図7】本発明の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図8】本発明の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図9】本発明の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図10】本発明の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図11】本発明の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図12】本発明の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図13】種々のC面MISFETデバイスについてのドレイン電流対ゲート電圧を、Si面MISFETデバイスに対して比較するグラフである。
【図14】本発明のその他の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのその他の幾つかのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図15】本発明のその他の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのその他の幾つかのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図16】本発明のその他の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのその他の幾つかのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図17】本発明のその他の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのその他の幾つかのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図18】本発明のその他の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのその他の幾つかのプロセスの一連の断面図の1つである。
【図19】本発明のその他の幾つかの実施形態による、図2のMISFETを製造するためのその他の幾つかのプロセスの一連の断面図の1つである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、本発明の実施形態が示された添付の図面を参照して、以下、より詳細に説明される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化することができ、ここに述べられた実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分かつ完全なものとなるように、そして当業者に本発明の範囲を十分に伝えられるように提供される。図面において、層及び領域の大きさ及び相対的な大きさは、分かり易くするために誇張されている場合がある。ある要素又は層が別の要素又は層「の上にある」、「に接続される」又は「に結合される」ものとして言及されている場合、これは、直接、他の要素又は層の上にあり、接続され、若しくは結合されていることもあり、又は、介在する要素又は層が存在することもあることが理解されるであろう。対照的に、ある要素が別の要素又は層「の直接上にある」、「に直接接続される」又は「に直接結合される」ものとして言及されている場合、介在する要素又は層は存在しない。ここで用いられる場合、用語「及び/又は」は、関連付けられた列挙された項目のうちの1つ又はそれ以上のいずれか及びすべての組み合わせを含む。全体を通して、同様の番号は、同様の要素を指す。
【0013】
第1及び第2のという用語が、ここでは、種々の領域、層及び/又は区域を説明するために用いられているが、これらの領域、層及び/又は区域は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの領域、層又は区域を別の領域、層又は区域と区別するために用いられているに過ぎない。したがって、本発明の教示から逸脱することなく、以下で論じられる第1の領域、層又は区域を、第2の領域、層又は区域と称することもでき、同様に、第2の領域、層又は区域を、第1の領域、層又は区域と称することもできる。
【0014】
さらに、「下」又は「下部」又は「上」又は「上部」又は「横方向」又は「垂直方向」のような相対語は、ここでは、図に示されているときの1つの要素の別の要素に対する関係を説明するために用いることができる。相対語は、図に描かれた向きに加えて、異なる向きのデバイスを包含するように意図されることが理解されるであろう。例えば、図中のデバイスが回転された場合、他の要素の「下」側にあるものとして記述された要素は、他の要素の「上」側の向きになる。したがって、例示的な用語「下」は、図の具体的な向きに応じて、「下」及び「上」の両方の向きを含むことができる。同様に、図のうちの1つにおけるデバイスが回転された場合、他の要素の「下方」又は「真下」にあるものとして記述された要素は、他の要素の「上方」の向きになる。したがって、例示的な用語「下方」又は「真下」は、上方及び下方の両方の向きを含むことができる。
【0015】
本発明の実施形態は、ここでは本発明の理想化された実施形態の概略図である断面図を参照して説明される。そのため、例えば、製造技術及び/又は公差の結果として、図の形状からの変形が予期される。したがって、本発明の実施形態は、ここで示された特定の領域の形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば製造加工の結果である、形状における偏差を含むものと解釈されるべきである。例えば、矩形として示された注入領域は、典型的には、丸みを帯びた又は湾曲した特徴を有しており、及び/又は、注入領域から非注入領域へと2成分で変化するのではなく、その縁部において注入濃度勾配を有する。同様に、注入により形成される埋め込み領域は、その埋め込み領域と、注入が行われる表面との間の領域内にある程度の注入をもたらすことがある。したがって、図中で示される領域は、本質的に概略的なものであり、それらの形状は、デバイスの領域の正確な形状を示すことを意図するものではなく、本発明の範囲を限定することを意図するものでもない。
【0016】
ここで用いられる用語は、特定の実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。ここで用いられる場合、単数形の不定冠詞及び定冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていない限り、複数形も含むことが意図される。「含む」及び/又は「含んでいる」という用語は、本明細書において用いられる場合、言及した特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は成分の存在を指定するが、1つ又はそれ以上のその他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、成分、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではないこともさらに理解されるであろう。
【0017】
特段の断りのない限り、ここで用いられるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。通常用いられる辞書で定義されているような用語は、関連のある技術分野の文脈内でのその用語の意味と矛盾しない意味を有するものと解釈されるべきであり、ここで明白にそのように定義されない限り、理想化された又は過度に形式的な意味合いで解釈されるものではないことが、さらに理解されるであろう。
【0018】
本発明の幾つかの実施形態は、MISFETデバイス、及びMISFETデバイスを製造するための関連プロセスに向けられており、その結果、MISFETデバイスがオンになる閾値電圧の上昇、及び/又はMISFETデバイスの電子移動度の増大をもたらすことができる。
【0019】
図1は、本発明の幾つかの実施形態により構成されたMISFET100の断面図である。図1を参照すると、MISFET100は、SiC層110を含む。SiC層110は、例えば、5×1015cm-3のP型C面(炭素面)4H−SiC基板とすることができる。SiC基板は、ノースカロライナ州ダラム所在のCree Incから入手可能である。n+ソース領域112及びn+ドレイン領域114が、SiC層110のC面上に、離間して形成される。ソース領域112とドレイン領域114との間に、チャネル領域が延びる。ゲートコンタクト130は、チャネル領域の上方に位置合わせされ、部分的にソース領域112及びドレイン領域114の上に重なってもよい。ゲート絶縁層120は、ゲートコンタクト130をSiC層110から分離する。ソースコンタクト132は、ソース領域112に接触し、ドレインコンタクト134は、ドレイン領域114に接触する。本体コンタクト136は、SiC層110のゲートコンタクト130とは反対側の表面上にある。ソースコンタクト132、ドレインコンタクト134、及び/又は本体コンタクト136は、ニッケル又はその他の適切な金属を含むことができる。MISET100は、分離領域140a、b(例えば、浅いトレンチ分離領域)により、SiC層110上の隣接するデバイスから隔てられていてもよい。
【0020】
MISET100がオンになる閾値電圧は、ソース領域112の多数キャリアと同じ極性である正味の電荷(例えば、図1における負電荷記号)をSiC層110との界面に沿って有するゲート絶縁層120をSiC層110上に設けることにより、上昇させることができる。正味の界面電荷は、これにより隣接するチャネル領域の電荷キャリアを空乏化し、MISET100の閾値電圧を上昇させることができる。
【0021】
正味の電荷は、ゲート絶縁層120とSiC層110の炭素面との間の界面に沿って生成され得る。本発明の幾つかの実施形態は、SiC層上に二酸化シリコン層を形成することによって負電荷が生成され得ること、及び、二酸化シリコン層に接触するSiC層の結晶面に沿って存在する炭素原子の量を増加させることによって正味の電荷を増加させることができることという目下の認識から生じ得る。特に、二酸化シリコン層を炭素面(例えば、面に沿って実質的にSi原子が存在しない)SiC層上に形成して、SiC層の隣接するチャネル領域の多数電荷キャリアを空乏化するのに十分なほど強い正味の電荷を与えることができる。
【0022】
二酸化シリコン・ゲート絶縁層120は、SiC層110の表面を熱的に酸化させることにより、及び/又は、チャネル領域上に二酸化シリコン層を堆積又は別の方法により設け、その構造体を加熱してそれらの間に界面電荷を形成することにより形成することができる。例えば、ゲート絶縁層120は、SiC層と反応してそれらの間に界面電荷を形成するように加熱された二酸化シリコンから形成することができる。対照的に、二酸化シリコン・ゲート絶縁層120がSiC層110を酸化させることにより形成される場合は、ゲートコンタクト130とSiC層110との間の絶縁性を高めるために、第2のゲート絶縁層120を、二酸化シリコン・ゲート絶縁層120上に、例えば、窒化シリコン及び/又は酸窒化シリコンから形成することができる。幾つかの例示的な実施形態において、ゲート絶縁層とSiC層との間の界面に沿った正味の電荷を与える領域は、50Åを超えない厚さを有する。SiC層110に沿って正味の負の界面電荷を有するゲート絶縁層を形成するために用いることができるこれら及びその他のプロセスは、後で、図6から図17に関してさらに説明される。
【0023】
図2は、本発明の幾つかの実施形態により構成された別のMISFET200の断面図である。図2のMISFET200は、ソース領域112とドレイン領域114との間に延びるドープされたチャネル領域116が追加されたたこと以外は、図1のMISFETと実質的に同じであり得る。図2を参照すると、ソース領域112及びドレイン領域114がn+領域である場合、ドープされたチャネル領域116は、n型とすることができる。
【0024】
チャネル領域116の電子移動度は、そのドーパント濃度を高めることにより、及び/又はチャネル厚(図2における垂直方向)を厚くすることにより増大させることが可能であり、これにより、その電気抵抗を低下させ、それに対応して電流容量を増大させることができる。しかしながら、チャネルのドーピング及び/又はチャネル領域116の厚さを厚くすることにより達成することが可能な電気移動度の増大レベルは、MISFET200が、ゲートコンタクト130とソース領域112との間の電位(VGS)が定められた閾値電圧を下回るときには非常に低い(好ましくはゼロ)ドレイン漏れ電流でオフにされなければならないという要件による制約を受けることがある。
【0025】
ゲート絶縁層120とSiC層110との間の界面は、ドープされたチャネル領域116の多数キャリアと同じ極性の正味の電荷を有しており、ドープされたチャネル領域116の隣接部分から離れるように電荷キャリアにバイアスをかける。したがって、図2において、正味の負電荷(例えば、図2における負電荷記号)は、ドープされたチャネル領域116における多数電荷キャリア(例えば、電子)と同じ極性を有し、それにより、ゲート・ソース間電圧(VGS)がゼロであるときには、ドープされたチャネル領域116の少なくとも隣接部分の多数電荷キャリア(例えば、電子)を空乏化する。したがって、ドープされたチャネル領域116を、VGSが閾値電圧を下回るときにはMISFET200がオフになることを可能にする一方で、ドープされたチャネル領域116における移動度がより高くなるように及び/又はチャネル電流容量が増大するようにするために、より高いn型ドーパント濃度を有し及び/又はより厚い厚さを有するように作ることができる。MISFET200の閾値電圧を上昇させるために、SiO2ゲート絶縁層120によって与えられる正味の固定電荷を代替的に又は付加的に用いることができる。
【0026】
単位面積当たりの正味の負電荷は、ドープされたチャネル領域116の隣接する単位面積内のドーパントにより生成される正味の電荷と少なくとも等しい高さの値を与えるように、製造プロセスを通じて調整することができる。したがって、例えば、以下の式1
N_チャネル X n_チャネル≦Ng (式1)
により定義されるように、ドープされたチャネル領域116のドーピング濃度と厚さとの積は、SiO2ゲート絶縁層120により与えられる単位面積当たりの負の固定電荷の量と等しいか又はそれより小さくなるべきである。
【0027】
式1において、項「N_チャネル」は、ドープされたチャネル領域116のn型ドーパント濃度(例えば、cm-3)を表わし、項「n_チャネル」は、ドープされたチャネル領域116の厚さ(例えば、cm)を表わし、項「Ng」は、SiO2ゲート絶縁層120により与えられる負の固定電荷密度(cm-2)を表わす。
【0028】
幾つかの実施形態において、ドープされたチャネル領域116は、約1×1016cm-3から約1×1018cm-3までのn型ドーパント濃度と、約0.1μmから約0.5×10-5μmまでの厚さを有するものとすることができる。したがって、式1に従うと、SiO2ゲート絶縁層120により与えられる負の固定電荷は、約−3×1011cm-2から約−6×1013cm-2までの範囲の正味の電荷密度を生成するように構成することができる。ソース及びドレイン領域112及び114は各々、ドープされたチャネル領域116のn型ドーパント濃度より高いn型ドーパント濃度を有し、例えば、約1×1019cm-3から約1×1021cm-3までのn型ドーパント濃度を有することができる。
【0029】
本明細書において用いられる「p型」、「p+」、「n型」及び「n+」は、同じ又は別の層又は基板の隣接する領域又は他の領域内に存在するよりキャリア濃度よりも高いキャリア濃度によって定められる領域である。本明細書においては、種々の実施形態は、SiC層上にn型チャネルとn+ソース領域とn+ドレイン領域とを含む、n型MISFETを背景として説明されているが、その他の幾つかの実施形態によれば、SiC層上にp型チャネルとp+ソース領域とP+ドレイン領域とを含む、p型MISFET構造体が提供される。p型MISFETの場合、ゲート絶縁層は、ゲートコンタクト130とソース領域112との間にゼロ電位が存在するときには、チャネル領域の少なくとも隣接部分の電荷キャリア(例えば、正孔)を空乏化する正の固定電荷を、チャネル領域に面する表面に沿って与えるように構成することができる。
【0030】
ここで、図2に示されるMISFET200がオフ状態にあるとき、部分的にオン状態であるとき、及び完全にオン状態であるときに提供され得る種々の例示的な動作特性が、図3から図5を参照して説明される。
【0031】
図3は、ゲートコンタクト130とソースコンタクト132との間にゼロ電圧が存在し、かつゲートコンタクト130とドレインコンタクト134と本体コンタクト136とが電気的に接続されているときの図2のMISFET200の断面図である。ゲート絶縁層120とSiC層110との間の界面に沿った負の固定電荷は、チャネル領域116’の電荷キャリアを効果的に空乏化し、したがって、ピンチオフする。結果的に、(存在するとしても)非常にわずかの電流しか、ドレインコンタクト134を通って流れないことになる。
【0032】
図4は、ゲートコンタクト130とソースコンタクト132との間に12V(MISFET200に対する閾値電圧)が印加され(「VGS」)、かつソースコンタクト132と本体コンタクト136とが電気的に接続されているときのMISFET200の断面図である。12VGSを印加すると、CSiO2空乏層150によりもたらされる負電荷の多くが本体コンタクト136に反映されるので、空乏領域116’がチャネル領域116の中央領域から退き、それにより、中央に位置する空乏化されていない電荷キャリア領域116’’が形成される。結果的に、電流は、中央に位置する空乏化されていない電荷キャリア領域116’’を通ってドレインコンタクト134に流れることができる。
【0033】
図5は、ゲートコンタクト130とソースコンタクト132との間に25Vが印加され、かつソースコンタクト132と本体コンタクト135とが電気的に接続されているときのMISFET200の断面図である。25VGSの電位は、空乏化されていない電荷キャリア領域116’’’をチャネル領域116の表面まで上方に延ばす。結果的に、はるかに高い電流が、空乏化されていない電荷キャリア領域116’’’を通ってドレインコンタクト134に流れることができる。
【0034】
図6から図12は、本発明の幾つかの実施形態による、図2のMISFET200を製造するために実行することができるプロセスの一連の断面図である。図6を参照すると、SiC層110が設けられる。n型ドーパント(例えば、窒素及び/又はリン原子)が約1×1016cm-3から約1×1018cm-3までの濃度で、約0.1μmから約0.5×10-5μmまでの深さまでSiC層110に注入されることにより、n型層610がSiC層110内に形成される。
【0035】
図7を参照すると、n型層610の、ドープされたチャネル領域116になる部分の上に、マスクパターン700が形成される。さらにn型ドーパントが約1×1019cm-3から約1×1021cm-3までのn型ドーパント濃度でSiC層110の中に注入され、n+ソース領域112及びn+でドレイン領域114が形成される。注入されたドーパントは、約1300℃から約2000℃までの温度でアニールされ、チャネル領域116、ソース領域112、及びドレイン領域114を形成することができる。マスクパターン700は、アニール前又はアニール後に除去することができる。
【0036】
チャネル領域116の中に注入されるドーパントの深さ及び濃度は、後で形成されるSiO2層120により与えられる負の固定電荷の量に依存する。上で説明されたように、幾つかの実施形態によれば、チャネル領域116のドーピング濃度と厚さとの積は、ゲート絶縁層120とSiC層110との間の界面に沿って与えられる負の固定電荷量と等しいか又はそれより小さいものとすべきである。
【0037】
図8を参照すると、シリコン層800が、例えば非晶質シリコンの300Å厚の層を堆積することにより、チャネル領域610を含むSiC層110の全体にわたって形成される。図9を参照すると、シリコン層800が酸化されて予備的な二酸化シリコン層902を形成し、さらにまた、C終端のSiC層110にも、すなわちSiC層110内に埋め込まれたチャネル層610の表面沿いにも、少量の酸化が生じることがある。シリコン層800を、例えば、950℃の乾燥酸素環境中で4.5時間の酸化熱処理に供して、予備的な二酸化シリコン層902を形成することができる。
【0038】
図10を参照すると、予備的な二酸化シリコン層902は、予備的な二酸化シリコン層902をアニールしてアニール処理された二酸化シリコン層1002を形成し、かつアニール処理されたSiO2ゲート絶縁層1004によってSiC層110との界面に沿って与えられる負電荷の量を制御する、アニール加熱処理に供される。アニール加熱処理は、例えば、酸化窒素環境中で、温度1100℃で2時間にわたって行うことができる。アニール加熱処理の周囲雰囲気の組成、温度、及び持続時間は、アニール処理されたSiO2ゲート絶縁層1002によって与えられる負電荷の量を制御するように調整することができる。
【0039】
図11を参照すると、アニール処理された二酸化シリコン層1002は、湿式又は乾式エッチングプロセスなどによってパターン形成され、二酸化シリコン・ゲート絶縁層120を形成する。
【0040】
図12を参照すると、ゲートコンタクト130、ソースコンタクト132、及びドレインコンタクト134が、例えば、ニッケル又はその他の適切な金属の1つ又はそれ以上の層を堆積し、その後パターン形成することにより形成される。本体コンタクト136は、例えば、ニッケル又はその他の適切な金属の層を堆積することにより、SiC層110の反対側の表面上に形成される。
【0041】
得られた構造体を、例えば850℃でさらにアニールし、コンタクト構造体130、132、134及び136の各々と、SiC層110の対応する領域との間のオーム性接触を改善することができる。アニールプロセスの温度及び持続時間は、SiO2ゲート絶縁層120とSiC層110との間の界面に沿って生成される、所望の正味の負電荷が与えられるように調整することができる。正味の負電荷は、ドープされたチャネル領域116の隣接する単位面積内のドーパントによって生成される正味の電荷の高さと少なくとも等しくになるように制御することができ、これは、上で式1に関して、チャネル領域116のドーピング濃度及び厚さによって定められるものとして説明された。
【0042】
図13は、幾つかの実施形態により構成された種々のC面MISFETについてのドレイン電流対ゲート電圧を、Si終端SiCMISFET(Si面MISFET)に対して比較するグラフである。図13を参照すると、曲線1300は、ドープされたチャネル領域を持たない(埋め込みチャネル(BC)=0)のC面MISFETデバイスに対応し、これは、図1のMISFET100に対応し得る。曲線1302は、3×1011cm-2の電荷濃度を有するドープされたチャネル領域を有する(埋め込みチャネル(BC)=3×1011cm-2)のC面MISFETデバイスに対応し、これは、図2のMISFET200の実施形態に対応し得る。曲線1304は、6×1011cm-2の電荷濃度を有するドープされたチャネルを有するC面MISFETデバイスに対応し、これは、図2のMISFET200の別の実施形態に対応し得る。曲線1306は、ドープされたチャネル領域を持たない(BC=0)Si面(シリコン基板層)MISFETデバイスに対応する。
【0043】
曲線1300のC面MISFETを、曲線1306のSi面MISFETと比較すると、C面MISFETのSiO2ゲート絶縁層における負電荷が、その閾値電圧(Vth約5V)を、Si面MISFET(Vth約−0.8V)と比べて上昇させたことが観察される。曲線1302及び1304は、ドープされたチャネル領域内のドーパント濃度を増大させることでSi面MISFETの閾値電圧が低下するが、それらの閾値電圧は依然として0Vを上回っており、かつドレイン電流を増大させることを例証する。したがって、ゲート・ソース間電圧がゼロであるときにはC面MISFETをオフにすることを可能にする一方で、チャネル電流容量を増大させるためにチャネル領域内のドーパント濃度をより高めたC面MISFETを製造することを可能にするために、SiO2ゲート絶縁層内の負の固定電荷を用いることができる。C面MISFETの閾値電圧を上昇させるために、SiO2ゲート絶縁層内の負電荷を代替的に又は付加的に用いることができる。
【0044】
図14から図19は、図2のMISFET200を製造するために実行することができる他の幾つかのプロセスの一連の断面図を示す。図14を参照すると、SiC層110が設けられる。n型ドーパント(例えば、窒素及び/又はリン原子)が約1×1016cm-3から1×1018cm-3までの濃度で、約0.1μmから約0.5×10-5μmまでの深さまでSiC層110に注入されることにより、n型層610がSiC層110に形成される。
【0045】
図15を参照すると、n型層610の、ドープされたチャネル領域116になる部分の上に、マスクパターン700が形成される。さらにn型ドーパントが約1×1019cm-3から約1×1021cm-3までのn型ドーパント濃度でSiC層110の中に注入され、n+ソース領域112及びn+ドレイン領域114が形成される。注入されたドーパントは、約1300℃から約2000℃までの温度でアニールされ、チャネル領域116、ソース領域112、及びドレイン領域114を形成することができる。マスクパターン700は、アニール前又はアニール後に除去することができる。上で説明したように、幾つかの実施形態によれば、チャネル領域116のドーピング濃度と厚さとの積は、CSiO2空乏層150によりもたらされる負の固定電荷量と等しいか又はそれより小さいものとすべきである。
【0046】
図16を参照すると、SiC層110の表面がチャネル領域610の表面を含めて酸化され、第1のSiO2ゲート絶縁層1604が形成される。酸化は、SiC層110を約800℃から約1200℃までの範囲の温度で加熱することにより行うことができる。加熱の温度及び持続時間は、第1のSiO2層1604により生成される負電荷の量を調整するように制御することができる。
【0047】
図17を参照すると、第2のゲート絶縁層1700が、第1のSiO2ゲート絶縁層1604層上に形成される。図18を参照すると、得られた構造体を、第1のゲート絶縁層1804とSiC110との間の界面に沿って与えられる負電荷量を制御するために第1のゲート絶縁層1604をアニールする、アニール加熱処理に供することができる。アニール加熱処理は、例えば、酸化窒素環境中で、温度1100℃で2時間にわたって行うことができる。アニール加熱処理の周囲雰囲気の組成、温度、及び持続時間は、第1のゲート絶縁層1804とSiC層110との間の界面に沿って与えられる正味の負電荷を制御するように調整することができる。
【0048】
図19を参照すると、第2のゲート絶縁層1700及び第1のゲート絶縁層1804は、湿式又は乾式エッチングプロセスなどによってパターン形成され、後で形成されるゲートコンタクトとSiC層110との間に積層された多層ゲート絶縁層120を形成する。
【0049】
例えば図1、図2及び図12に関して上で説明されたようにして、上述のその他のプロセスを得られた構造体に対して行って、ゲートコンタクト130、ソースコンタクト132、ドレインコンタクト134、及び本体コンタクト136を設けることができる。得られた構造体を、例えば850℃でさらにアニールし、コンタクト構造体130、132、134及び136の各々と、SiC層110の対応する領域との間のオーム性接触を改善し、かつゲート絶縁層120とSiC層110との間の界面に沿った負電荷をさらに増加させることもできる。アニールプロセスの温度及び持続時間は、所望の正味の負電荷が与えられるように調整することが可能であり、正味の負電荷は、ドープされたチャネル領域116の隣接する単位面積内のドーパントによって生成される正味の電荷の高さと少なくとも等しくなるように制御することができ、これは、上で式1に関して、チャネル領域116のドーピング濃度及び厚さによって定められるものとして説明された。
【0050】
図面及び明細書において、本発明の典型的な好ましい実施形態が開示されており、特定の用語が使用されているが、それらは、一般的かつ説明的な意味合いで用いられているに過ぎず、限定を目的とするものではなく、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲において述べられる。
【符号の説明】
【0051】
100、200:MISFET
110:SiC層
112:ソース領域
114:ドレイン領域
116:ドープされたチャネル領域
116’:空乏領域
116’’、116’’’:空乏化されていない電荷キャリア領域
120:ゲート絶縁層
130:ゲートコンタクト
132:ソースコンタクト
134:ドレインコンタクト
136:本体コンタクト
140a、b:分離領域
610:n型層
700:マスクパターン
800:シリコン層
902:予備的な二酸化シリコン層
1002:アニール処理された二酸化シリコン層
1604:第1のSiO2ゲート絶縁層
1700:第2のゲート絶縁層
1804:第1のゲート絶縁層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電型の離間されたソース領域とドレイン領域とをその中に有する炭化シリコンSiC層と、
前記ソース領域の多数キャリアと同じ極性の正味の電荷を前記SiC層との界面に沿って有する、該SiC層上の第1のゲート絶縁層と、
前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記SiC層のチャネル領域の上方の、前記第1のゲート絶縁層上のゲートコンタクトと、
を含むことを特徴とする、金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタ(MISFET)。
【請求項2】
前記ゲートコンタクトと前記ソース領域との間の電位がゼロであるときに、前記第1のゲート絶縁層の前記正味の電荷が、前記チャネル領域の隣接部分の前記多数キャリアを空乏化することを特徴とする請求項1に記載のMISFET。
【請求項3】
前記正味の電荷を与える前記第1ゲート絶縁層と前記SiC層との前記界面に沿った領域が、50Åを上回らない厚さを有することを特徴とする請求項1に記載のMISFET。
【請求項4】
前記第1のゲート絶縁層が、二酸化シリコン(SiO2)を含むことを特徴とする請求項1に記載のMISFET。
【請求項5】
前記ゲートコンタクトと前記第1のゲート絶縁層との間に第2のゲート絶縁層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のMISFET。
【請求項6】
前記第2のゲート絶縁層が、窒化シリコン及び/又は酸窒化シリコンを含むことを特徴とする請求項5に記載のMISFET。
【請求項7】
前記SiC層の前記チャネル領域が、第1の導電型を有する埋め込みチャネル領域を含み、
前記CSiO2空乏層が、前記埋め込みチャネル領域の隣接部分の多数電荷キャリアを空乏化する正味の電荷を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のMISFET。
【請求項8】
前記チャネル領域は、n型領域であり、前記ソース領域及び前記ドレイン領域は、n+領域であり、
前記第1のゲート絶縁層は、前記埋め込みチャネル領域の隣接部分の負のキャリアを空乏化する正味の負電荷を有する
ことを特徴とする請求項7に記載のMISFET。
【請求項9】
前記埋め込みチャネル領域が、約1×1016cm-3から約1×1018cm-3までのn型ドーパント濃度、及び約0.1μmから約0.5×10-5μmまでの厚さを有し、
前記ソース領域及び前記ドレイン領域が各々、約1×1019cm-3から約1×1021cm-3までのn型ドーパント濃度を有する
ことを特徴とする請求項8に記載のMISFET。
【請求項10】
金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタ(MISFET)を製造する方法であって、
第1の導電型の離間されたソース領域とドレイン領域とをその中に有する炭化シリコンSiC層を設けるステップと、
前記SiC層上に、前記ソース領域の多数キャリアと同じ極性の正味の電荷を該SiC層との界面に沿って有する第1のゲート絶縁層を設けるステップと、
前記第1のゲート絶縁層上に、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記SiC層のチャネル領域の上方にゲートコンタクトを設けるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記第1のゲート絶縁層を設ける前記ステップが、
前記SiC層上にシリコン層を形成するステップと、
前記ソース領域の多数キャリアと同じ極性の正味の電荷を前記SiC層との界面に沿って有する二酸化シリコン層を形成するように、前記シリコン層を酸化するステップと
を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記シリコン層を酸化するステップが、約800℃から約1200℃までの範囲の温度で該シリコン層を加熱して、該シリコン層を、前記ソース領域の多数キャリアと同じ極性の正味の電荷を前記SiC層との界面に沿って有する二酸化シリコン層に変換するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記二酸化シリコン層を、酸化窒素雰囲気中、約800℃から約1200℃までの範囲の温度で加熱して、前記二酸化シリコン層と前記SiC層との間の前記界面に沿った前記正味の電荷を増加させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記二酸化シリコン層と前記SiC層との間の前記界面に沿った正味の電荷の量を制御するために、前記窒化酸素雰囲気中での該二酸化シリコン層の加熱の持続時間を調整するステップをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記SiC層上に第1のゲート絶縁層を設ける前記ステップが、前記ゲートコンタクトを形成するステップの前に、該SiC層の表面領域を酸化して、そこから前記第1のゲート絶縁層を形成するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のゲート絶縁層上に第2のゲート絶縁層を形成するステップと、
前記第1のゲート絶縁層とは反対側の前記第2のゲート絶縁層上に前記ゲートコンタクトを形成するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のゲート絶縁層を形成するステップが、前記第1のゲート絶縁層上に二酸化シリコン層を形成するステップを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のゲート絶縁層を形成するステップが、前記第1のゲート絶縁層上に、窒化シリコン層及び/又は酸窒化シリコン層を形成するステップを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記SiC層内の離間された前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に第1の導電型の不純物原子を注入することにより前記チャネル領域を形成するステップをさらに含み、前記第1のゲート絶縁層は、SiC層との界面に沿って、前記埋め込みチャネル領域の隣接部分の多数電荷キャリアを空乏化する正味の電荷を有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記チャネル領域を形成するステップが、約1×1016cm-3から約1×1018cm-3までの濃度のn型ドーパントを約0.1μmから約0.5×10-5μmまでの深さまで前記SiC層に注入するステップを含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項1】
第1の導電型の離間されたソース領域とドレイン領域とをその中に有する炭化シリコンSiC層と、
前記ソース領域の多数キャリアと同じ極性の正味の電荷を前記SiC層との界面に沿って有する、該SiC層上の第1のゲート絶縁層と、
前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記SiC層のチャネル領域の上方の、前記第1のゲート絶縁層上のゲートコンタクトと、
を含むことを特徴とする、金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタ(MISFET)。
【請求項2】
前記ゲートコンタクトと前記ソース領域との間の電位がゼロであるときに、前記第1のゲート絶縁層の前記正味の電荷が、前記チャネル領域の隣接部分の前記多数キャリアを空乏化することを特徴とする請求項1に記載のMISFET。
【請求項3】
前記正味の電荷を与える前記第1ゲート絶縁層と前記SiC層との前記界面に沿った領域が、50Åを上回らない厚さを有することを特徴とする請求項1に記載のMISFET。
【請求項4】
前記第1のゲート絶縁層が、二酸化シリコン(SiO2)を含むことを特徴とする請求項1に記載のMISFET。
【請求項5】
前記ゲートコンタクトと前記第1のゲート絶縁層との間に第2のゲート絶縁層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のMISFET。
【請求項6】
前記第2のゲート絶縁層が、窒化シリコン及び/又は酸窒化シリコンを含むことを特徴とする請求項5に記載のMISFET。
【請求項7】
前記SiC層の前記チャネル領域が、第1の導電型を有する埋め込みチャネル領域を含み、
前記CSiO2空乏層が、前記埋め込みチャネル領域の隣接部分の多数電荷キャリアを空乏化する正味の電荷を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のMISFET。
【請求項8】
前記チャネル領域は、n型領域であり、前記ソース領域及び前記ドレイン領域は、n+領域であり、
前記第1のゲート絶縁層は、前記埋め込みチャネル領域の隣接部分の負のキャリアを空乏化する正味の負電荷を有する
ことを特徴とする請求項7に記載のMISFET。
【請求項9】
前記埋め込みチャネル領域が、約1×1016cm-3から約1×1018cm-3までのn型ドーパント濃度、及び約0.1μmから約0.5×10-5μmまでの厚さを有し、
前記ソース領域及び前記ドレイン領域が各々、約1×1019cm-3から約1×1021cm-3までのn型ドーパント濃度を有する
ことを特徴とする請求項8に記載のMISFET。
【請求項10】
金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスタ(MISFET)を製造する方法であって、
第1の導電型の離間されたソース領域とドレイン領域とをその中に有する炭化シリコンSiC層を設けるステップと、
前記SiC層上に、前記ソース領域の多数キャリアと同じ極性の正味の電荷を該SiC層との界面に沿って有する第1のゲート絶縁層を設けるステップと、
前記第1のゲート絶縁層上に、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の前記SiC層のチャネル領域の上方にゲートコンタクトを設けるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記第1のゲート絶縁層を設ける前記ステップが、
前記SiC層上にシリコン層を形成するステップと、
前記ソース領域の多数キャリアと同じ極性の正味の電荷を前記SiC層との界面に沿って有する二酸化シリコン層を形成するように、前記シリコン層を酸化するステップと
を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記シリコン層を酸化するステップが、約800℃から約1200℃までの範囲の温度で該シリコン層を加熱して、該シリコン層を、前記ソース領域の多数キャリアと同じ極性の正味の電荷を前記SiC層との界面に沿って有する二酸化シリコン層に変換するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記二酸化シリコン層を、酸化窒素雰囲気中、約800℃から約1200℃までの範囲の温度で加熱して、前記二酸化シリコン層と前記SiC層との間の前記界面に沿った前記正味の電荷を増加させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記二酸化シリコン層と前記SiC層との間の前記界面に沿った正味の電荷の量を制御するために、前記窒化酸素雰囲気中での該二酸化シリコン層の加熱の持続時間を調整するステップをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記SiC層上に第1のゲート絶縁層を設ける前記ステップが、前記ゲートコンタクトを形成するステップの前に、該SiC層の表面領域を酸化して、そこから前記第1のゲート絶縁層を形成するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のゲート絶縁層上に第2のゲート絶縁層を形成するステップと、
前記第1のゲート絶縁層とは反対側の前記第2のゲート絶縁層上に前記ゲートコンタクトを形成するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のゲート絶縁層を形成するステップが、前記第1のゲート絶縁層上に二酸化シリコン層を形成するステップを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のゲート絶縁層を形成するステップが、前記第1のゲート絶縁層上に、窒化シリコン層及び/又は酸窒化シリコン層を形成するステップを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記SiC層内の離間された前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に第1の導電型の不純物原子を注入することにより前記チャネル領域を形成するステップをさらに含み、前記第1のゲート絶縁層は、SiC層との界面に沿って、前記埋め込みチャネル領域の隣接部分の多数電荷キャリアを空乏化する正味の電荷を有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記チャネル領域を形成するステップが、約1×1016cm-3から約1×1018cm-3までの濃度のn型ドーパントを約0.1μmから約0.5×10-5μmまでの深さまで前記SiC層に注入するステップを含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2013−502739(P2013−502739A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526750(P2012−526750)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/039439
【国際公開番号】WO2011/025577
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/039439
【国際公開番号】WO2011/025577
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】
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