説明

ディーゼルエンジン制御装置

【課題】自動変速機のシフトダウン時にディーゼルエンジンの回転数上昇を迅速に実施すると共に、排気浄化触媒の触媒床温低下を防止する。
【解決手段】自動変速機のシフトダウン時には(S102でyes)、ステップS104〜S108によりエンジン回転数NEがシフトダウン状態に応じた目標エンジン回転数(吹上目標エンジン回転数NEupt)になる。これと共に、ステップS110〜S114により吸気量が増加してスモークが防止される。更にステップS116,S118により還元剤(ここでは燃料使用)を排気中に添加するので、ステップS110〜S114による吸気量増加時に排気浄化触媒の触媒床温低下を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力を自動変速機を備えた動力伝達系を介して出力すると共に、吸気系に吸気量を調節する吸気量調節弁を備え、排気系に排気中に還元剤を添加する添加弁と該添加弁からの還元剤の供給を受ける排気浄化触媒とを備えたディーゼルエンジンの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動変速機を備えたガソリンエンジンにおいて、減速時のシフトダウンを迅速に完了するために、予め吸気量を増大させることにより、シフト時の初期にエンジン出力を増大して早期にエンジン回転数が上昇するようにしている技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−247874号公報(第3−4頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1では、ガソリンエンジンであるため減速時に吸気量を増大させることにより、燃焼室内への混合気の流入量を増大させて、この結果、エンジン出力を増大させている。
【0004】
一方、ディーゼルエンジンにおいては燃焼室内への燃料噴射量を増大させることができるので、迅速にエンジン出力を増大させることができる。しかしディーゼルエンジンにおいては、減速時などで燃料噴射量が少なくあるいは燃料カットがなされている場合に、大量に吸気されると排気系に設けられている排気浄化触媒が低温化してエミッションの悪化を生じるおそれがある。このため減速時などでは、吸気系に設けた吸気量調節弁、いわゆるディーゼルスロットル弁を絞ることにより、吸気量を制限している。
【0005】
ところがシフトダウン時に、要求される目標エンジン回転数に上昇するように燃料噴射量を制御する場合、ディーゼルスロットルが絞られていると、燃料噴射量の増加によりスモークを生じるおそれがある。このためディーゼルスロットルについても開度を大きくして、吸気量の増大を図る必要がある。
【0006】
しかしこのような場合にも吸気量増大を実行すると、排気系での排気流量が増加して排気浄化触媒の触媒床温が低下する事態を招き、排気浄化が困難となるおそれがあった。
本発明は、自動変速機のシフトダウン時にディーゼルエンジンの回転数上昇を迅速に実施すると共に、排気浄化触媒の触媒床温低下を防止できるディーゼルエンジン制御装置を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載のディーゼルエンジン制御装置は、動力を自動変速機を備えた動力伝達系を介して出力すると共に、吸気系に吸気量を調節する吸気量調節弁を備え、排気系に排気中に還元剤を添加する添加弁と該添加弁からの還元剤の供給を受ける排気浄化触媒とを備えたディーゼルエンジンの制御装置であって、前記自動変速機のシフトダウン時に、ディーゼルエンジンの回転数を、シフトダウン状態に応じて要求される目標エンジン回転数とするための必要燃料噴射量を設定して燃料噴射量を制御する吹上燃料噴射制御手段と、前記吹上燃料噴射制御手段にて設定した必要燃料噴射量に基づいて吹上時要求吸気量を設定して、ディーゼルエンジンの吸気量が前記吹上時要求吸気量となるように前記吸気量調節弁の開度を制御する吹上時吸気量制御手段と、前記吹上時吸気量制御手段による前記吸気量調節弁の開度制御時に、排気浄化触媒の触媒床温低下を抑制する還元剤を排気中に添加する還元剤添加手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
吹上燃料噴射制御手段と吹上時吸気量制御手段とにより、自動変速機のシフトダウン時にエンジン回転数がシフトダウン状態に応じた目標エンジン回転数になると共に、吸気量の増加によりスモークが防止される。
【0009】
更に還元剤添加手段が、吹上時吸気量制御手段による吸気量調節弁の開度制御時に、排気浄化触媒の触媒床温低下を抑制する還元剤を排気中に添加するので、排気浄化触媒の触媒床温低下を防止できる。
【0010】
請求項2に記載のディーゼルエンジン制御装置は、請求項1に記載のディーゼルエンジン制御装置と、前記吹上時吸気量制御手段にて設定された吹上時要求吸気量と、前記還元剤添加手段による排気中への還元剤添加量との関係が、前記排気浄化触媒の触媒床温低下を引き起こす状態か否かを判定する触媒床温低下判定手段と、前記触媒床温低下判定手段にて前記排気浄化触媒の触媒床温低下を引き起こす状態にあると判定された場合には、前記吹上時吸気量制御手段にて設定される前記吹上時要求吸気量を減少補正する吹上時要求吸気量減少手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
更に吹上時要求吸気量と還元剤添加量との関係から排気浄化触媒の触媒床温低下を引き起こす状態にあると触媒床温低下判定手段にて判定された場合には、吹上時要求吸気量減少手段は吹上時要求吸気量を減少補正している。このため、触媒床温低下を、より確実に防止でき、排気浄化状態を良好に維持させることができる。
【0012】
請求項3に記載のディーゼルエンジン制御装置では、請求項2において、前記排気浄化触媒の触媒床温を検出する触媒床温検出手段と、前記吸気系での吸気量を検出する吸気量検出手段とを備え、前記吹上時要求吸気量減少手段は、前記触媒床温検出手段にて検出された触媒床温と、前記吸気量検出手段にて検出された吸気量とに基づいて、前記吹上時吸気量制御手段にて設定される前記吹上時要求吸気量を減少補正することを特徴とする。
【0013】
このように触媒床温と吸気量とに基づいて吹上時要求吸気量を減少補正することで、より確実にスモーク防止と触媒床温低下防止との両方の効果を生じさせることができる。
請求項4に記載のディーゼルエンジン制御装置では、請求項2において、前記排気浄化触媒の触媒床温を検出する触媒床温検出手段を備え、前記吹上時要求吸気量減少手段は、前記触媒床温検出手段にて検出された触媒床温と前記還元剤添加手段にて前記添加弁から排気中へ添加された還元剤添加量とに基づいて前記排気浄化触媒の触媒床温低下を引き起こさない供給可能吸気量を設定し、該供給可能吸気量を、前記吹上時吸気量制御手段にて設定される前記吹上時要求吸気量として設定することにより、前記減少補正することを特徴とする。
【0014】
このように触媒床温と還元剤添加量とに基づいて排気浄化触媒の触媒床温低下を引き起こさない供給可能吸気量を設定している。この供給可能吸気量を、吹上時要求吸気量減少手段が吹上時要求吸気量として設定することで、吹上時吸気量制御手段にて設定される吹上時要求吸気量を減少補正することとしても良い。このことにより、より確実にスモーク防止と触媒床温低下防止との両方の効果を生じさせることができる。
【0015】
請求項5に記載のディーゼルエンジン制御装置では、請求項2〜4のいずれかにおいて、前記吹上時要求吸気量減少手段にて前記吹上時要求吸気量が減少補正された場合には、該減少補正に対応して前記吹上燃料噴射制御手段にて噴射量を制御するための前記必要燃料噴射量を減少させる吹上燃料減少手段を設けたことを特徴とする。
【0016】
このように吹上燃料減少手段が、燃料噴射量側についても、吹上時要求吸気量の減少補正に対応して減少させているので、スモーク発生などのエミッション悪化を、より効果的に防止できる。
【0017】
請求項6に記載のディーゼルエンジン制御装置では、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記排気浄化触媒の触媒床温を検出する触媒床温検出手段と、前記吸気系での吸気量を検出する吸気量検出手段とを備え、前記還元剤添加手段は、前記触媒床温検出手段にて検出された触媒床温と、前記吸気量検出手段にて検出された吸気量とに基づいて還元剤の添加量を設定することを特徴とする。
【0018】
このようにして還元剤の添加量は、触媒床温と吸気量とから設定することで、触媒床温低下を防止する還元剤添加を実行することができる。
請求項7に記載のディーゼルエンジン制御装置では、請求項6において、前記還元剤添加手段は、前記排気浄化触媒にて浄化可能な最大添加量を上限として、前記添加量を設定することを特徴とする。
【0019】
更に、このように添加量としては単に触媒床温低下防止のみの観点からでなく、排気浄化触媒にて浄化可能な最大添加量を上限とすることで、より確実にスモーク防止と触媒床温低下防止との両方の効果を生じさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[実施の形態1]
図1は上述した発明が適用された車両用ディーゼルエンジン及びディーゼルエンジン制御装置の機能を果たす制御システムの概略構成を表すブロック図である。
【0021】
ディーゼルエンジン2は複数気筒、ここでは4気筒#1,#2,#3,#4からなる。ディーゼルエンジン2の吸気系について説明する。各気筒#1〜#4の燃焼室4は、吸気弁6にて開閉される吸気ポート8及び吸気マニホールド10を介してサージタンク12に連結されている。サージタンク12は、吸気経路14を介して、インタークーラ16及び過給機、ここでは排気ターボチャージャ18のコンプレッサ18aにおける出口側に連結されている。コンプレッサ18aの入口側はエアクリーナ20に連結されている。サージタンク12には、排気再循環(以下、「EGR」と称する)経路22のEGRガス供給口22aが開口している。サージタンク12とインタークーラ16との間にはディーゼルスロットル弁(以下、「Dスロットル」と称する)24(吸気量調節弁に相当)が配置され、コンプレッサ18aとエアクリーナ20との間には、吸入空気量センサ26(吸気量検出手段に相当)及び吸気温センサ28が配置されている。
【0022】
ディーゼルエンジン2の排気系について説明する。各気筒#1〜#4の燃焼室4は、排気弁30にて開閉される排気ポート32及び排気マニホールド34を介して排気ターボチャージャ18の排気タービン18bにおける入口側に連結され、排気タービン18bの出口側は排気経路36に接続されている。尚、排気タービン18bは排気マニホールド34において第4気筒#4側から排気を導入している。
【0023】
この排気経路36には2つの排気浄化装置40,42が配置されている。上流側の第1排気浄化装置40はDPF(Diesel Particulate Filter)として構成されている。すなわち、内部に酸化触媒が担持されたフィルタ40a,40bを配置して、排気中の粒子状物質(以下「PM」と称する)を捕捉する。PMが捕捉されて或程度蓄積すると高温の酸化雰囲気にて触媒により酸化されることによりPMは除去され浄化される。下流側の第2排気浄化装置42は、酸化触媒42aが収納され、ここではHCやCOが酸化されて浄化される。これらフィルタ40a,40b及び酸化触媒42aが排気浄化触媒に相当する。
【0024】
尚、第1排気浄化装置40内の2つのフィルタ40a,40bの間には第1排気温センサ44が配置され、入口排気温Texinを検出している。又、フィルタ40bと酸化触媒42aとの間において、フィルタ40bの直下には第2排気温センサ46が配置され出口排気温Texoutを検出し、更に空燃比センサ48が配置されて空燃比A/Fを検出している。
【0025】
フィルタ40bの上流側と下流側には差圧センサ50の配管がそれぞれ設けられている。差圧センサ50は、第1排気浄化装置40内でのフィルタ40a,40bの目詰まりの程度、すなわちPMの堆積度合を検出するために、フィルタ40bの上下流での差圧ΔPを検出している。
【0026】
尚、排気マニホールド34には、EGR経路22のEGRガス吸入口22bが開口している。このEGRガス吸入口22bは第1気筒#1側で開口しており、排気タービン18bが排気を導入している第4気筒#4側とは反対側である。EGR経路22の途中には、EGRガス吸入口22b側から、EGRガスを改質するための鉄系EGR触媒52、EGRガスを冷却するためのEGRクーラ54、及びEGR弁56が配置されている。
【0027】
各気筒#1〜#4に配置されて、各燃焼室4内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁58は、燃料供給管58aを介してコモンレール60に連結されている。このコモンレール60内へは電気制御式の吐出量可変燃料ポンプ62から燃料が供給される。そして燃料ポンプ62からコモンレール60内に供給された高圧燃料は、各燃料供給管58aを介して各燃料噴射弁58に分配供給される。コモンレール60には燃料圧力を検出するための燃料圧センサ64が取り付けられている。
【0028】
更に燃料ポンプ62からは別途、低圧燃料が燃料供給管66を介して添加弁68に供給されている。この添加弁68は第4気筒#4の排気ポート32に設けられて、排気タービン18b側に向けて燃料を噴射することにより、排気中に還元剤としての燃料を添加するものである。この燃料添加によりPM再生制御や後述する触媒床温低下防止が実行される。
【0029】
ディーゼルエンジン2を制御するための電子制御ユニット(以下「EG−ECU」と称する)70はCPU、ROM、RAM等を備えたデジタルコンピュータと、各種装置を駆動するための駆動回路とを主体として構成されている。EG−ECU70は吸入空気量センサ26、吸気温センサ28、第1排気温センサ44、第2排気温センサ46、空燃比センサ48、差圧センサ50、EGR弁56内のEGR開度センサ、燃料圧センサ64及びDスロットル開度センサ24aの各信号を読み込んでいる。更にアクセルペダル72の踏み込み量(アクセル開度ACCP)を検出するアクセル開度センサ74、及びディーゼルエンジン2の冷却水温THWを検出する冷却水温センサ76から信号を読み込んでいる。更にクランク軸78におけるエンジン回転数NEを検出するエンジン回転数センサ80、クランク軸78の回転位相あるいは吸気カムの回転位相を検出して気筒判別を行う気筒判別センサ82からの信号、その他、大気圧センサなどのセンサやスイッチ類から信号を読み込んでいる。
【0030】
そしてこれらの信号から得られるエンジン運転状態、更に後述する変速用電子制御ユニット(以下「AT−ECU」と称する)84とのデータ通信の内容に基づいて、EG−ECU70は燃料噴射弁58による燃料噴射量制御や燃料噴射時期制御を実行する。更にEGR弁56の開度制御、モータ24bによるスロットル開度制御、燃料ポンプ62の吐出量制御、及び添加弁68の開弁制御によるPM再生制御・触媒床温制御といった処理を実行する。
【0031】
ディーゼルエンジン2のクランク軸78は自動変速機86を介して駆動輪側に駆動力を出力している。自動変速機86はAT−ECU84により油圧制御装置86aが制御されて変速が実行される有段変速機である。AT−ECU84はEG−ECU70と同様にデジタルコンピュータとしての構成と、各種装置を駆動するための駆動回路とを主体として構成されている。変速制御のために、AT−ECU84は、シフトセンサ88からのシフトポジション信号、トルクコンバータ86bのタービン翼車の回転数NT を検出する入力軸回転数センサ90からの回転信号、出力軸86cの回転数NOを検出する出力軸回転数センサ92からの回転信号を検出している。更にAT−ECU84は、ブレーキスイッチ94、その他、油圧制御装置86a内の油温(AT油温)を検出する油温センサなどのセンサ・スイッチ類や、EG−ECU70とのデータ通信によっても必要なデータや演算結果を得ている。
【0032】
次にEG−ECU70により実行されるディーゼルエンジン制御処理の内で、シフトダウン時に行われる触媒床温制御処理について図2のフローチャートに基づいて説明する。本処理は一定の時間毎に割り込み実行される処理である。尚、個々の処理に対応するフローチャート中のステップを「S〜」で表す。
【0033】
本処理が開始されると、まずAT−ECU84がシフトダウンを実施する状態か否かが判定される(S102)。ここではAT−ECU84側からシフトダウンのためのエンジン回転数上昇の要求があったか否かを判定する。シフトダウン実施時でなければ(S102でno)、このまま一旦本処理を出る。
【0034】
AT−ECU84側からシフトダウンのためのエンジン回転数上昇要求があった場合には(S102でyes)、次に吹上目標エンジン回転数NEuptが算出される(S104)。これはAT−ECU84が検出している出力軸86cの回転数NOとシフトダウン後の変速比との関係から算出される。この吹上目標エンジン回転数NEuptはEG−ECU70が計算しなくてもAT−ECU84が計算した値を読み込んでも良い。
【0035】
次にこのようにして求めた吹上目標エンジン回転数NEuptと、実際のエンジン回転数NE(トルクコンバータ86bのタービン翼車の回転数NT でも良い)とに基づいて、図3に示すマップMAPqupから吹上要求燃料噴射量Qupを算出する(S106)。この吹上要求燃料噴射量Qupは現在のディーゼルエンジン2において吹上目標エンジン回転数NEuptを達成するための燃料噴射量に相当する。
【0036】
尚、更に高精度に算出するためにマップMAPqupから得られた値に対して、冷却水温THW、AT油温、吸気温及び大気圧により補正したものを、吹上要求燃料噴射量Qupとして算出しても良い。
【0037】
次にこの吹上要求燃料噴射量Qupが燃料噴射弁58からの燃料噴射量として設定される(S108)。このことによりEG−ECU70にて別途実行されている燃料噴射量制御により各燃焼室4内に燃料噴射が実行される。
【0038】
次にこのようにして求めた吹上要求燃料噴射量Qupと、吹上目標エンジン回転数NEuptとに基づいて、図4に示すマップMAPgaupから吹上要求吸気量GAupを算出する(S110)。この吹上要求吸気量GAupは、吹上要求燃料噴射量Qupの燃料噴射を燃料噴射弁58から実行しても、スモークが生じない吸気量として設定される。
【0039】
尚、更に高精度に算出するためにマップMAPgaupから得られた値に対して、吸気温及び大気圧により補正したものを、吹上要求吸気量GAupとして算出しても良い。
次にこのようにして求めた吹上要求吸気量GAupと実際のエンジン回転数NEとに基づいて図5に示すマップMAPdtaからDスロットル開度Dtaが算出される(S112)。このDスロットル開度Dtaは現在のディーゼルエンジン2において吹上要求吸気量GAupを実現するDスロットル24の開度(%)として設定される。
【0040】
尚、更に高精度に算出するためにマップMAPdtaから得られた値に対して、吸気温及び大気圧により補正したものを、Dスロットル開度Dtaとして算出しても良い。
このように求められたDスロットル開度Dtaとなるように、Dスロットル24のモータ24bが駆動される(S114)。
【0041】
そして吸入空気量センサ26にて検出された吸気量GAと、触媒床温Tcatとに基づいて、図6に示すマップMAPqcatから触媒床温上昇燃料添加量Qcatを算出する(S116)。このマップMAPqcatは、排気浄化装置40,42内の排気浄化触媒により浄化可能な最大添加量を限界として、触媒床温を低下させずに触媒活性状態を維持できる燃料添加量を触媒床温上昇燃料添加量Qcatとして算出するものである。したがって触媒床温を活性状態に維持するために必要な添加量であっても、浄化可能な最大添加量よりも多量であれば、触媒床温を維持するために必要な添加量よりも少ない触媒床温上昇燃料添加量Qcatが設定されることになる。尚、本実施の形態のディーゼルエンジン2では、触媒床温を活性状態に維持するために必要な添加量は、浄化可能な最大添加量以内にあるものとする。したがってマップMAPqcatにて求められた触媒床温上昇燃料添加量Qcatは、いずれも触媒床温低下を十分に防止できる値となっている。
【0042】
ここで触媒床温Tcatはディーゼルエンジン2の運転状態と入口排気温Texinあるいは出口排気温Texoutとに基づいて計算されている排気浄化装置40内の触媒床温の推定値が用いられる。この触媒床温Tcatの推定計算が触媒床温検出手段としての処理に相当する。尚、触媒床温Tcatとしては、入口排気温Texinあるいは出口排気温Texoutの値を用いても良い。この場合には第1排気温センサ44あるいは第2排気温センサ46が触媒床温検出手段に相当する。
【0043】
この触媒床温上昇燃料添加量Qcatの添加が添加弁68から排気中になされる(S118)。こうして一旦本処理を出る。
シフトダウン時には(S102でyes)、上述した処理(S104〜S118)が繰り返されることにより、ディーゼルエンジン2の回転数上昇と排気浄化装置40,42内の排気浄化触媒の温度が活性状態に維持されることになる。
【0044】
図7に本実施の形態による制御の一例を示す。ディーゼルエンジン2が減速時の燃料カット状態にある期間において、AT−ECU84がシフトダウンが必要と判定すると(t0〜t1)、燃料噴射弁58からの燃料噴射と共にDスロットル24の開度も増加する。このことにより、燃料噴射量の増加によりエンジン回転数NEを迅速に上昇させることができ、スモークの発生も防止できる。しかも、添加弁68からは排気浄化触媒の床温低下を防止するための燃料添加が行われるので、触媒床温低下が防止され排気浄化触媒が不活性化するおそれはない。
【0045】
上述した構成において、請求項との関係は、ステップS104〜S108が吹上燃料噴射制御手段としての処理に、ステップS110〜S114が吹上時吸気量制御手段としての処理に、ステップS116,S118が還元剤添加手段としての処理に相当する。
【0046】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).自動変速機86のシフトダウン時には(S102でyes)、ステップS104〜S108によりエンジン回転数NEがシフトダウン状態に応じた目標エンジン回転数(吹上目標エンジン回転数NEupt)になる。これと共に、ステップS110〜S114により吸気量が増加してスモークが防止される。
【0047】
そして更にステップS116,S118により還元剤(ここでは燃料使用)を排気中に添加するので、ステップS110〜S114による吸気量増加時に排気浄化触媒の触媒床温低下を防止できる。
【0048】
[実施の形態2]
図8のフローチャートに本実施の形態のシフトダウン時触媒床温制御処理を示す。他の構成は前記実施の形態1と同じであるので、図1,3〜6を参照して説明する。
【0049】
シフトダウン時触媒床温制御処理(図8)が開始されると、まずシフトダウン実施か否かが判定される(S202)。本処理は前記図2のステップS102と同じである。したがってシフトダウン実施時でなければ(S202でno)、このまま一旦本処理を出る。
【0050】
AT−ECU84側からシフトダウンのためのエンジン回転数上昇要求があった場合には(S202でyes)、次に前記図2のステップS104,S106,S110,S112,S116,S118が実行される(S204)。すなわち吹上目標エンジン回転数NEupt(図2:S104)、吹上要求燃料噴射量Qup(図2:S106)、吹上要求吸気量GAup(図2:S110)、Dスロットル開度Dta(図2:S112)、触媒床温上昇燃料添加量Qcat(図2:S116)の各算出がなされる。そして燃料添加(図2:S118)が実行される。
【0051】
尚、本実施の形態のディーゼルエンジン2では、触媒床温低下を防止して活性状態に維持するために必要な添加量は、浄化可能な最大添加量より多量となる部分も存在する。したがって本実施の形態にて用いられる前記図6に示したマップMAPqcatでは、前記実施の形態1の場合と異なり、触媒床温低下を防止するために必要な添加量よりも少ない触媒床温上昇燃料添加量Qcatが設定される領域が存在する。
【0052】
次にステップS204で求めた触媒床温上昇燃料添加量Qcatが、ステップS204にて求めた吹上要求吸気量GAupと前記実施の形態1にて説明したごとく求められている触媒床温Tcatとに基づいて、図9に示すマップMAPcから算出された燃料添加量よりも少ないか否かが判定される(S206)。
【0053】
この図9のマップMAPcは、排気浄化装置40,42内の排気浄化触媒における触媒床温低下を防止して活性状態に維持する燃料添加量を算出するものである。図6と異なるのは、排気浄化触媒により浄化可能な最大添加量を限界としていない点である。
【0054】
したがってステップS206の判定は、触媒床温上昇燃料添加量Qcatが、実際に触媒床温低下を防止して活性状態に維持するのに不足か否かを判定していることになる。Qcat<MAPc(GAup,Tcat)ではない場合、すなわち添加量が不足ではない場合(S206でno)、Dスロットル開度補正係数KDに1.0が設定される(S210)。
【0055】
Qcat<MAPc(GAup,Tcat)である場合、すなわち燃料添加量が不足している場合(S206でyes)、Dスロットル開度補正係数KDが、触媒床温Tcatと実測されている吸気量GAとに基づいて図10に示すマップMAPkdから求められる(S208)。ここで図10に示すMAPkdから算出される値の範囲は、0<MAPkd(Tcat,GA)<1.0とされている。
【0056】
ステップS208又はステップS210にてDスロットル開度補正係数KDが設定されると、次に式1によりステップS204にて求められているDスロットル開度Dtaが補正されて新たなDスロットル開度Dtaが算出される(S212)。
【0057】
[式1] Dta ← Dta × KD
このようにして補正されたDスロットル開度Dtaとなるように、Dスロットル24のモータ24bが駆動される(S214)。
【0058】
次にDスロットル開度補正係数KDが1.0より小さいか否かが判定される(S216)。ここでKD<1.0でなければ(S216でno)、Dスロットル開度Dtaは減少補正されない、すなわち実際の吸気量は吹上要求吸気量GAupにされることが判るので、ステップS204にて求められている吹上要求燃料噴射量Qupが燃料噴射弁58から噴射される燃料量として設定される(S220)。こうして一旦本処理を出る。
【0059】
一方、KD<1.0であれば(S216でyes)、Dスロットル開度Dtaの減少補正に伴って、ステップS204にて求められている吹上要求燃料噴射量Qupの減少補正がなされる(S218)。すなわちDスロットル開度補正係数KD<1.0であることによりDスロットル開度DtaがステップS204にて算出された値より小さくされ、これに伴って実際の吸気量は少なくなるので燃料噴射弁58からの燃料噴射量も少なくする必要がある。このような予定している吸気量が低下することによるエミッション悪化を防止するために吹上要求燃料噴射量Qupの減少補正を実行する。
【0060】
この吹上要求燃料噴射量Qupの減少補正としては、Dスロットル開度補正係数KDによって吹上要求燃料噴射量Qupを補正しても良く、実際の吸気量GAとエンジン回転数NEとに基づいて吹上要求燃料噴射量Qupを算出しても良い。
【0061】
ステップS218の次にはステップS218にて減少補正された吹上要求燃料噴射量Qupが燃料噴射弁58から噴射される燃料量として設定される(S220)。こうして一旦本処理を出る。
【0062】
図11に本実施の形態による制御の一例を示す。ディーゼルエンジン2が減速時の燃料カット状態にある期間においてAT−ECU84がシフトダウンが必要と判定すると(t10〜t12)、燃料噴射弁58からの燃料噴射と共にDスロットル24の開度も増加する。シフトダウン実施期間の初期においては、Dスロットル開度補正係数KD<1.0であるが次第に上昇してKD=1.0となる(t11)。このことにより、燃料噴射量の増加によりエンジン回転数NEを迅速に上昇させることができると共に、スモークの発生も防止できる。しかも、添加弁68からは排気浄化触媒の床温低下を防止するための燃料添加が行われるので、触媒床温も低下が防止されて、不活性化するおそれはない。
【0063】
上述した構成において、請求項との関係は、ステップS204,S210,S214,S220が、吹上燃料噴射制御手段、吹上時吸気量制御手段及び還元剤添加手段としての処理に相当する。ステップS206が触媒床温低下判定手段としての処理に、ステップS208,S212が吹上時要求吸気量減少手段としての処理に、ステップS216,S218が吹上燃料減少手段としての処理に相当する。
【0064】
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(イ).自動変速機86のシフトダウン時には(S202でyes)、ステップS204,S210,S214,S220によりエンジン回転数NEがシフトダウン状態に応じた目標エンジン回転数(吹上目標エンジン回転数NEupt)になり、これと共に吸気量が増加してスモークが防止される。更に還元剤(ここでは燃料)を排気中に添加するので吸気量増加時に排気浄化触媒の触媒床温低下を防止できる。
【0065】
更に触媒床温上昇燃料添加量Qcat自体が排気浄化の点から触媒床温維持に十分でなかった場合には、ステップS208,S212によりDスロットル開度Dtaが減少補正されることで、触媒床温低下を確実に防止でき、排気浄化状態を良好に維持させることができる。
【0066】
(ロ).更にDスロットル開度Dtaの減少補正に対応して、吹上要求燃料噴射量Qupも減少させているので、スモーク発生などのエミッション悪化を、より効果的に防止できる。
【0067】
[実施の形態3]
図12のフローチャートに本実施の形態のシフトダウン時触媒床温制御処理を示す。他の構成は前記実施の形態2と同じであるので、図1,3〜6を参照して説明する。
【0068】
シフトダウン時触媒床温制御処理(図12)が開始されると、まずシフトダウン実施か否かが判定される(S302)。本処理は前記図2のステップS102と同じである。したがってシフトダウン実施時でなければ(S302でno)、このまま一旦本処理を出る。
【0069】
AT−ECU84側からシフトダウンのためのエンジン回転数上昇要求があった場合には(S302でyes)、次に前記図2のステップS104,S106,S110,S112,S116,S118が実行される(S304)。すなわち前記実施の形態2の図8におけるステップS204にて説明したごとく、吹上目標エンジン回転数NEupt、吹上要求燃料噴射量Qup、吹上要求吸気量GAup、Dスロットル開度Dta及び触媒床温上昇燃料添加量Qcatの算出と、燃料添加実行がなされる。
【0070】
次にステップS304で求めた触媒床温上昇燃料添加量Qcatが実際に触媒床温低下を防止して活性状態に維持するのに不足か否かが判定される(S306)。この判定処理は前記図8のステップS206にて説明したごとくの判定処理である。
【0071】
Qcat<MAPc(GAup,Tcat)ではない場合、すなわち燃料添加量が触媒床温低下防止のためには十分である場合は(S306でno)、ステップS304にて求めたDスロットル開度Dtaとなるように、Dスロットル24のモータ24bが駆動される(S314)。そしてステップS304にて求められている吹上要求燃料噴射量Qupが燃料噴射弁58から噴射される燃料量として設定されることになる(S316)。こうして一旦本処理を出る。
【0072】
Qcat<MAPc(GAup,Tcat)である場合、すなわち燃料添加量が不足している場合は(S306でyes)、触媒床温低下を引き起こさない最大の吸気量である供給可能吸気量GAxが算出される(S308)。この供給可能吸気量GAxは、触媒床温上昇燃料添加量Qcatと触媒床温Tcatとに基づいて図13に示すマップMAPgaxから算出される。
【0073】
そしてこの供給可能吸気量GAxが得られるDスロットル開度Dtaが、前記実施の形態1で説明したマップMAPdta(図5)により、供給可能吸気量GAxとエンジン回転数NEとに基づいて算出される(S310)。
【0074】
次にステップS304にて求められている吹上要求燃料噴射量Qupの減少補正がなされる(S312)。すなわちステップS310にて新たに求められたDスロットル開度Dtaは、吸気量GAが供給可能吸気量GAxとなるようにステップS304にて算出された値より小さくされている。したがって燃料噴射弁58からの燃料噴射量も少なくしてエミッション悪化を防止するために吹上要求燃料噴射量Qupの減少補正を実行する。
【0075】
この吹上要求燃料噴射量Qupの減少補正としては、実際の吸気量GAあるいは供給可能吸気量GAxとエンジン回転数NEとに基づいて吹上要求燃料噴射量Qupを算出して行うことができる。
【0076】
そしてステップS310にて求めたDスロットル開度Dtaとなるように、Dスロットル24のモータ24bが駆動され(S314)、ステップS312にて減少補正された吹上要求燃料噴射量Qupが燃料噴射弁58にて噴射される燃料量として設定されることになる(S316)。こうして一旦本処理を出る。
【0077】
このことにより前記実施の形態2の図11にて説明したごとくに制御を実行することができる。
上述した構成において、請求項との関係は、ステップS304,S314,S316が吹上燃料噴射制御手段、吹上時吸気量制御手段及び還元剤添加手段としての処理に相当する。ステップS306が触媒床温低下判定手段としての処理に、ステップS308,S310が吹上時要求吸気量減少手段としての処理に、ステップS312が吹上燃料減少手段としての処理に相当する。
【0078】
以上説明した本実施の形態3によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態2と同様な効果が得られる。
[その他の実施の形態]
(a).前記実施の形態2,3では、Dスロットル開度Dtaの減少補正に対応して吹上要求燃料噴射量Qupについても減少補正した。マップMAPgaupによる吹上要求吸気量GAupの設定がスモークには十分に余裕もって大きめに設定されている場合には、吹上要求燃料噴射量Qupの減少補正(S218,S312)は実行しなくても良い。
【0079】
(b).前記各実施の形態においては、前記図1に示したごとく第1排気浄化装置40内にはフィルタ40a,40bとしてDPFが配置されていた。このDPF以外に、PMとNOxとを同時浄化するDPNR(Diesel Particulate-NOx Reduction system)が配置されている場合にも本発明を適用でき、同様な効果を生じさせることができる。
【0080】
(c).前記各実施の形態のごとくに、2つのフィルタ40a,40bの間、あるいは下流側のフィルタ40bの直下に排気温センサ44,46を配置する以外に、上流側のフィルタ40aよりも上流側に排気温センサを配置して排気温度を検出し判定に用いても良い。
【0081】
(d).吸気量と共に更に吸気温センサ28にて検出される吸気温及び冷却水温センサ76にて検出される冷却水温THWも、各マップでの算出処理に反映させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】実施の形態1の車両用ディーゼルエンジン及びディーゼルエンジン制御装置の機能を果たす制御システムの概略構成を表すブロック図。
【図2】実施の形態1のECUが実行するシフトダウン時触媒床温制御処理のフローチャート。
【図3】吹上要求燃料噴射量Qupを求めるマップMAPqupの構成説明図。
【図4】吹上要求吸気量GAupを求めるマップMAPgaupの構成説明図。
【図5】Dスロットル開度Dtaを求めるマップMAPdtaの構成説明図。
【図6】触媒床温上昇燃料添加量Qcatを求めるマップMAPqcatの構成説明図。
【図7】実施の形態1における制御の一例を示すタイミングチャート。
【図8】実施の形態2のシフトダウン時触媒床温制御処理のフローチャート。
【図9】燃料添加量を求めるマップMAPcの構成説明図。
【図10】Dスロットル開度補正係数KDを求めるマップMAPkdの構成説明図。
【図11】実施の形態2における制御の一例を示すタイミングチャート。
【図12】実施の形態3のシフトダウン時触媒床温制御処理のフローチャート。
【図13】供給可能吸気量GAxを求めるマップMAPgaxの構成説明図。
【符号の説明】
【0083】
2…ディーゼルエンジン、4…燃焼室、6…吸気弁、8…吸気ポート、10…吸気マニホールド、12…サージタンク、14…吸気経路、16…インタークーラ、18…排気ターボチャージャ、18a…コンプレッサ、18b…排気タービン、20…エアクリーナ、22…EGR経路、22a…EGRガス供給口、22b…EGRガス吸入口、24…Dスロットル、24a…Dスロットル開度センサ、24b…モータ、26…吸入空気量センサ、28…吸気温センサ、30…排気弁、32…排気ポート、34…排気マニホールド、36…排気経路、40…第1排気浄化装置、40a,40b…フィルタ、42…第2排気浄化装置、42a…酸化触媒、44…第1排気温センサ、46…第2排気温センサ、48…空燃比センサ、50…差圧センサ、52…鉄系EGR触媒、54…EGRクーラ、56…EGR弁、58…燃料噴射弁、58a…燃料供給管、60…コモンレール、62…燃料ポンプ、64…燃料圧センサ、66…燃料供給管、68…添加弁、70…EG−ECU、72…アクセルペダル、74…アクセル開度センサ、76…冷却水温センサ、78…クランク軸、80…エンジン回転数センサ、82…気筒判別センサ、84…AT−ECU、86…自動変速機、86a…油圧制御装置、86b…トルクコンバータ、86c…出力軸、88…シフトセンサ、90…入力軸回転数センサ、92…出力軸回転数センサ、94…ブレーキスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力を自動変速機を備えた動力伝達系を介して出力すると共に、吸気系に吸気量を調節する吸気量調節弁を備え、排気系に排気中に還元剤を添加する添加弁と該添加弁からの還元剤の供給を受ける排気浄化触媒とを備えたディーゼルエンジンの制御装置であって、
前記自動変速機のシフトダウン時に、ディーゼルエンジンの回転数を、シフトダウン状態に応じて要求される目標エンジン回転数とするための必要燃料噴射量を設定して燃料噴射量を制御する吹上燃料噴射制御手段と、
前記吹上燃料噴射制御手段にて設定した必要燃料噴射量に基づいて吹上時要求吸気量を設定して、ディーゼルエンジンの吸気量が前記吹上時要求吸気量となるように前記吸気量調節弁の開度を制御する吹上時吸気量制御手段と、
前記吹上時吸気量制御手段による前記吸気量調節弁の開度制御時に、排気浄化触媒の触媒床温低下を抑制する還元剤を排気中に添加する還元剤添加手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジン制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のディーゼルエンジン制御装置と、
前記吹上時吸気量制御手段にて設定された吹上時要求吸気量と、前記還元剤添加手段による排気中への還元剤添加量との関係が、前記排気浄化触媒の触媒床温低下を引き起こす状態か否かを判定する触媒床温低下判定手段と、
前記触媒床温低下判定手段にて前記排気浄化触媒の触媒床温低下を引き起こす状態にあると判定された場合には、前記吹上時吸気量制御手段にて設定される前記吹上時要求吸気量を減少補正する吹上時要求吸気量減少手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジン制御装置。
【請求項3】
請求項2において、前記排気浄化触媒の触媒床温を検出する触媒床温検出手段と、前記吸気系での吸気量を検出する吸気量検出手段とを備え、前記吹上時要求吸気量減少手段は、前記触媒床温検出手段にて検出された触媒床温と、前記吸気量検出手段にて検出された吸気量とに基づいて、前記吹上時吸気量制御手段にて設定される前記吹上時要求吸気量を減少補正することを特徴とするディーゼルエンジン制御装置。
【請求項4】
請求項2において、前記排気浄化触媒の触媒床温を検出する触媒床温検出手段を備え、前記吹上時要求吸気量減少手段は、前記触媒床温検出手段にて検出された触媒床温と前記還元剤添加手段にて前記添加弁から排気中へ添加された還元剤添加量とに基づいて前記排気浄化触媒の触媒床温低下を引き起こさない供給可能吸気量を設定し、該供給可能吸気量を、前記吹上時吸気量制御手段にて設定される前記吹上時要求吸気量として設定することにより、前記減少補正することを特徴とするディーゼルエンジン制御装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれかにおいて、前記吹上時要求吸気量減少手段にて前記吹上時要求吸気量が減少補正された場合には、該減少補正に対応して前記吹上燃料噴射制御手段にて噴射量を制御するための前記必要燃料噴射量を減少させる吹上燃料減少手段を設けたことを特徴とするディーゼルエンジン制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、前記排気浄化触媒の触媒床温を検出する触媒床温検出手段と、前記吸気系での吸気量を検出する吸気量検出手段とを備え、前記還元剤添加手段は、前記触媒床温検出手段にて検出された触媒床温と、前記吸気量検出手段にて検出された吸気量とに基づいて還元剤の添加量を設定することを特徴とするディーゼルエンジン制御装置。
【請求項7】
請求項6において、前記還元剤添加手段は、前記排気浄化触媒にて浄化可能な最大添加量を上限として、前記添加量を設定することを特徴とするディーゼルエンジン制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−208742(P2008−208742A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44399(P2007−44399)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】