説明

デカル転写リソグラフィ

マイクロ構造体を形成する方法は、シリコン含有エラストマーの表面の一部分を選択的に活性化するステップと、その活性化された部分を物質に接触させるステップと、その活性化された部分と物質とを結合させて、その表面の活性化された部分及びその活性化された部分に接触する物質が不可逆に接着されるようにするステップと、を備えている。前記選択的な活性化は、シリコン含有エラストマーの表面にマスクを配置し、そして前記露出部分にUV放射線を照射することにより達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良されたソフトリソグラフィ技術に係る。
連邦後援リサーチ又は開発:本出願の要旨は、ナショナル・サイエンス・ファウンデーション(NSF)認可番号CHE0097096;ディフェンス・アドバンスト・リサーチ・プロジェクト・エージェンシー(DARPA)認可番号FA8650−04−C−7101;及びデパートメント・オブ・エナージー(DOE)認可番号DEFG02−91ER45439により一部資金提供されたものである。政府は、本発明において幾つかの権利をもつことができる。
【背景技術】
【0002】
ソフトリソグラフィは、マイクロ製造に使用してマイクロ構造体を形成するための多様性のあるパターン化技術である。この技術は、パターン化されたエラストマーを使用して、マスターから基板へパターンを転写するものである。パターン化されたエラストマーは、例えば、物質を転写するためのスタンプとして、物質が充填される型として、或いは基板に材料を選択的に堆積し及び/又は基板から材料を選択的に除去するためのマスクとして、使用することができる。例えば、Xia、Y. and Whitesides、G. M. Annu. Rev. Mater. Sci. (1998) 28:153-184を参照されたい。
【0003】
対照的に、従来のホトリソグラフィは、格子ホトマスクを使用して、ホトレジスト層をパターン化し、そのパターン化されたホトレジストが、次いで、その後のエッチング及び堆積ステップ中にパターンの下の材料を保護する。ソフトリソグラフィは、従来のホトリソグラフィに勝る多数の効果を発揮する。ソフトリソグラフィは、個々の層の段階的アッセンブリを必要とするのではなく、三次元構造体及び非平坦構造体を単一の堆積ステップで形成することができる。エラストマーの機械的な柔軟性により、非平坦な基板をパターン化することができる。又、種々のソフトリソグラフィ技術は、ホトリソグラフィで利用できる以上の様々な範囲の材料と共に使用でき、且つソフトリソグラフィに使用される材料及び技術は、通常、コストがかなり低い。これらの効果があるために、ソフトリソグラフィは、集積光学系、マイクロ電気機械的システム(MEMS)、マイクロ流体工学、並びにたんぱく質、核酸及び細胞のような生物学的材料のパターン化を含む用途に有用であることが分かっている。
【0004】
一例において、パターン化されたエラストマースタンプは、これを基板に接触させて、2次元又は3次元のパターンを示すチャンネルを形成することができる。次いで、チャンネルに、ポリマーやセラミックのような固体物質のための液体先駆体を充填することができる。又、チャンネルは、異なる流体物質を混合するのに使用することもでき、従って、マイクロリアクタ又はマイクロ分析ツールとして機能することができる。この技術で固体パターン化構造体を形成することは、毛管におけるマイクロ成形(Micromolding In Capillaries)即ち“MIMIC”と称される。この技術の欠点は、パターン全体の充填を許すためにパターンを連続させる必要があることを含む。又、チャンネルは、パターンの充填に使用される液体の粘性を受け容れるに充分なほど大きくなければならず、これは、得られる解像度を制限することになる。
【0005】
別の例では、パターン化されたエラストマースタンプは、これに物質を被覆し、次いで、基板に接触させることができる。スタンプを取り去ると、スタンプのパターンで基板に物質が堆積される。従って、転写された物質は、基板に印刷されるインクとして働く。この技術は、マイクロ接触印刷即ち“μCP”と称されるが、これを使用して、不連続なパターンを形成できると共に、MIMICより解像度の高いパターンを形成することができる。マイクロ接触印刷の用途は、通常、パターン化されたインク又は露出された基板に別の物質を選択的に堆積する加算的リソグラフィを含む。この技術の欠点は、基板及びインクとして使用できる材料の範囲が限定されることである。
【0006】
更に別の例において、パターン化されたエラストマーのメンブレーンを基板に付着することができる。従って、このメンブレーンは、露出された基板の選択的除去(減算的リソグラフィ)又は加算的リソグラフィのためのマスクとして働くことができる。メンブレーン及び基板に使用される材料に基づいて、両者の間の可逆ボンディングを使用し、望ましいマイクロ製造中にメンブレーンを安定化すると共に、メンブレーンがその意図された目的を果たしたときにそれを除去することができる。この技術の欠点は、薄いエラストマーのメンブレーンを付着し、除去し及び操作することが極めて困難なことを含む。又、メンブレーンは、連続的でなければならず、個別の形態及びパターンを像形成するのに使用できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、平坦及び非平坦な基板上で連続的又は個別の2次元又は3次元のものであって且つ加算的又は減算的リソグラフィに対してチャンネル又はマスクの形態でよいパターンを形成するのに使用できる改良されたソフトリソグラフィ技術を提供することが要望される。又、これらのパターンは、当該材料の繊細な取り扱いを必要とせずに、広範囲な物質と共に且つその上に形成できることも要望される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の実施形態において、マイクロ構造体を形成する方法であって、シリコン含有エラストマーの表面の一部分を選択的に活性化するステップと、その活性化された部分を物質に接触させるステップと、その活性化された部分と物質とを結合させて、その活性化された部分、及びその活性化された部分に接触する物質が不可逆に接着されるようにするステップと、を備えた方法が提供される。
【0009】
これらの実施形態は、前記選択的に活性化するステップが、表面を部分的にカバーして、表面の保護部分及び表面の非保護部分を設ける段階と、その非保護部分に活性化処理を施す段階とを備えた方法を含むことができる。これらの実施形態は、更に、活性化処理を施す前記段階が、非保護部分にUV放射線を照射することを備えた方法も含むことができる。これらの実施形態は、更に、表面を部分的にカバーする前記段階が、シリコン含有エラストマーの表面にマスクを位置させることを備えた方法を含むことができる。このマスクは、UV不透過部分及びUV透過部分のパターンを備え、且つUV不透過部分の下にスペーサ材料を備え、前記表面の非保護部分は、UV透過部分の下にあってそこから離間されている。
【0010】
本発明の第2の実施形態において、マイクロ構造体を形成する方法であって、シリコン含有エラストマーの非パターン化表面にマスクを位置させるステップを備えた方法が提供される。このマスクは、UV不透過部分及びUV透過部分のパターンを備え、且つUV不透過部分の下にスペーサ材料を備え、又、非パターン化表面は、その露出部分がUV透過部分の下にあってそこから離間されている。この方法は、更に、前記非パターン化表面の露出部分にUV放射線を照射するステップと、表面からマスクを除去するステップと、表面を基板に接触させるステップと、シリコン含有エラストマー及び基板を分離させて、基板及び表面の露出部分が接触を保つようにするステップと、を備えている。
【0011】
本発明の第3の実施形態において、マイクロ構造体を形成する方法であって、高いエリア及び低いエリアのパターンを含むシリコン含有エラストマーの表面にマスクを位置させるステップを備えた方法が提供される。このマスクは、UV不透過部分及びUV透過部分のパターンを備え、且つUV不透過部分の下にスペーサ材料を備え、又、表面は、高いエリアの露出部分がUV透過部分の下にあってそこから離間されている。この方法は、更に、高いエリアの露出部分をUV放射線で照射するステップと、表面からマスクを除去するステップと、高いエリアを基板に接触させるステップと、シリコン含有エラストマー及び基板を分離させて、基板及び高いエリアの露出部分が接触を保つようにするステップと、を備えている。
【0012】
これらの実施形態は、分離の後に、エッチング剤を基板に塗布して、表面の露出部分に接触していない基板の部分を除去するステップと、シリコン含有エラストマーを基板から除去するステップとを更に備えた方法を含むことができる。
【0013】
これら実施形態は、分離の後に、基板に材料を堆積するステップと、基板からシリコン含有エラストマーを除去して、堆積した材料のパターンを設けるステップとを更に備えた方法を含むことができる。
【0014】
本発明の第4の実施形態において、マイクロ構造体を形成する方法であって、シリコン含有エラストマーの表面にマスクを位置させるステップを備えた方法が提供される。このマスクは、UV不透過部分及びUV透過部分のパターンを備え、且つUV不透過部分の下にスペーサ材料を備え、又、表面は、その露出部分がUV透過部分の下にあってそこから離間されている。この方法は、更に、前記露出部分にUV放射線を照射するステップと、表面からマスクを除去するステップと、表面を個別の材料に接触させるステップと、非結合の個別材料を表面から除去して、露出部分と、露出部分に接触した個別材料が接着を保つようにするステップと、を備えている。
【0015】
本発明の第5の実施形態において、マイクロ構造体を形成する方法であって、シリコン含有エラストマーの表面にマスクを位置させるステップを備えた方法が提供される。このマスクは、UV不透過部分及びUV透過部分のパターンを備え、且つUV不透過部分の下にスペーサ材料を備え、又、表面は、その露出部分がUV透過部分の下にあってそこから離間されている。この方法は、更に、前記露出部分にUV放射線を照射するステップと、表面からマスクを除去するステップと、表面を化学的化合物に接触させるステップと、シリコン含有エラストマーをすすぎ洗いして、シリコン含有エラストマーと、表面の活性化部分に接触する化学的化合物とが接着を保つようにするステップと、を備えている。
【0016】
本発明の第6の実施形態において、表面を選択的に活性化する方法であって、シリコン含有エラストマーの表面にマスクを位置させるステップを備えた方法が提供される。このマスクは、UV不透過部分及びUV透過部分のパターンを備え、且つUV不透過部分の下にスペーサ材料を備え、又、表面は、その露出部分がUV透過部分の下にあってそこから離間されている。この方法は、更に、表面の露出部分にUV放射線を照射するステップを備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の第1の態様において、マイクロ構造体を形成する方法は、シリコン含有エラストマーの表面の一部分を選択的に活性化するステップと、その活性化された部分を物質に接触させるステップと、その活性化された部分と物質とを結合するステップとを備えている。表面の活性化された部分と、その活性化された部分に接触する物質は、不可逆に接着される。
【0018】
これらの態様は、選択的に活性化する前記ステップが、表面を部分的にカバーして、表面の保護部分及び表面の非保護部分を設ける段階と、その非保護部分に活性化処理を施す段階とを備えた方法を含むことができる。これらの態様は、更に、活性化処理を施す前記段階が、非保護部分にUV放射線を照射することを備えた方法も含むことができる。これらの態様は、更に、表面を部分的にカバーする前記段階が、シリコン含有エラストマーの表面にマスクを位置させることを備えた方法を含むことができる。このマスクは、UV不透過部分及びUV透過部分のパターンを備え、且つUV不透過部分の下にスペーサ材料を備えている。表面の非保護部分は、UV透過部分の下にあってそこから離間されている。
【0019】
本発明の第2の態様において、マイクロ構造体を形成する方法は、シリコン含有エラストマーの非パターン化表面に上述したマスクを位置させるステップであって、非パターン化表面は、その露出部分がUV透過部分の下にあってそこから離間されるようにしたステップと、前記非パターン化表面の露出部分にUV放射線を照射するステップと、表面からマスクを除去するステップと、表面を基板に接触させるステップと、シリコン含有エラストマー及び基板を分離させるステップとを備えている。基板及び表面の露出部分は、接触を保つ。
【0020】
本発明の第3の態様において、マイクロ構造体を形成する方法は、高いエリア及び低いエリアのパターンを有するシリコン含有エラストマーの表面に上述したマスクを位置させるステップであって、表面は、高いエリアの露出部分がUV透過部分の下にあってそこから離間されるようにしたステップと、高いエリアの露出部分をUV放射線で照射するステップと、表面からマスクを除去するステップと、高いエリアを基板に接触させるステップと、シリコン含有エラストマー及び基板を分離させるステップとを備えている。基板及び高いエリアの露出部分は、接触を保つ。
【0021】
又、これらの態様は、分離の後に、エッチング剤を基板に塗布して、表面の露出部分に接触していない基板の部分を除去する方法も含むことができる。次いで、シリコン含有エラストマーを基板から除去することができる。又、これらの実施形態は、分離の後に、基板に材料を堆積する方法も含むことができる。次いで、基板からシリコン含有エラストマーを除去して、堆積した材料のパターンを設けることができる。
【0022】
本発明の第4の態様において、マイクロ構造体を形成する方法は、シリコン含有エラストマーの表面に上述したマスクを位置させるステップであって、表面は、その露出部分がUV透過部分の下にあってそこから離間されるようにしたステップと、露出部分にUV放射線を照射するステップと、表面からマスクを除去するステップと、表面を個別の材料に接触させるステップと、非結合の個別材料を表面から除去するステップとを備えている。露出部分と、露出部分に接触した個別材料は、接着を保つ。
【0023】
本発明の第5の態様において、マイクロ構造体を形成する方法は、シリコン含有エラストマーの表面に上述したマスクを位置させるステップであって、表面は、その露出部分がUV透過部分の下にあってそこから離間されるようにしたステップと、露出部分にUV放射線を照射するステップと、表面からマスクを除去するステップと、表面を化学的化合物に接触させるステップと、シリコン含有エラストマーをすすぎ洗いするステップとを備えている。シリコン含有エラストマーと、表面の活性化部分に接触する化学的化合物とは、接着を保つ。
【0024】
本発明の第6の態様において、表面を選択的に活性化する方法は、シリコン含有エラストマーの表面に上述したマスクを位置させるステップであって、表面は、その露出部分がUV透過部分の下にあってそこから離間されるようにしたステップと、表面の露出部分にUV放射線を照射するステップとを備えている。
【0025】
ここで使用する「マイクロ構造体」という語は、1000マイクロメーター(μm)以下の特徴部を含む構造体又はパターンとして定義される。マイクロ構造体の形成は、ここでは、「マイクロ製造」と称され、マイクロリソグラフィ、ソフトリソグラフィ、MIMIC、及び自己アッセンブリのような技術を含むが、それに限定されない。
【0026】
シリコン含有エラストマーに対してここで使用する「活性化」という語は、不活性な表面を、反応性の表面へと変換することとして定義される。例えば、表面は、その通常の非活性化状態では、基板に接着しないが、この表面を活性化すると、表面とその同じ基板との間に強力な接着力が与えられる。
【0027】
ここで使用する「選択的活性化」という語は、表面の特定の部分を活性化しながら、表面の残りを非活性化状態に維持することとして定義される。
【0028】
ここで使用する「不可逆に接着される」という語は、2つの物質間の結合が充分に強力であって、それら物質の一方又は両方にダメージを及ぼすか又は破壊しなければそれら物質を機械的に分離できないことを意味する。不可逆に接着された物質は、化学的試薬又は照射のような適当な化学的環境に露出することにより分離することができる。
【0029】
「上(on)」という語は、説明されている向きに対して「その上(above)」として定義される。例えば、第1要素が第2要素の少なくとも一部分の上に位置される場合には、第1要素が第2要素「上に位置される」と言える。別の例において、第1要素が第2要素の少なくとも一部分の上に存在する場合には、第1要素が第2要素「上」にあると言える。「上」という語の使用は、説明されている上部要素と下部要素との間に物質が存在することを除外するものではない。例えば、第1要素は、その上面の上に被覆を有してもよく、更に、第1要素及びその上部被覆の少なくとも一部分の上にある第2要素は、第1要素「上」として説明することができる。従って、「上」という語の使用は、関連する2つの要素が互いに物理的に接触することを意味してもよいし、しなくてもよい。
【0030】
同様に、「下(under)」という語は、説明されている向きに対して「その下(below)」として定義される。「下」という語の使用は、説明されている要素間に物質が存在することを除外するものではなく、要素が互いに物理的に接触することを意味してもよいし、しなくてもよい。
【0031】
ここで使用する「エラストマー」という語は、外力により変形されたときにその最初の寸法に戻ることができるポリマーとして定義される。ポリマーは、次の規格を満足するときにエラストマーとみなされる。固体状態にあって初期の直線寸法Doを有するポリマーのサンプルは、寸法が10%変化する力を受ける。力がもはや加わらないと、寸法はDeの値をとり、ここで、De=Do±0.01Doである。
【0032】
ここで使用する「シリコン含有エラストマー」という語は、シリコン(Si)原子を含むエラストマーである。例えば、シリコン含有エラストマーは、ポリシロキサン、例えば、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(メチルシロキサン)、部分的にアルキル化されたポリ(メチルシロキサン)、ポリ(アルキルメチルシロキサン)及びポリ(フェニルメチルシロキサン);ポリシロキサン及び別のポリマーのセグメントを含むブロックコポリマー;シリコン変性エラストマー、例えば、シリコン変性天然ゴム、シリコン変性ポリオレフィン(シリコン変性ポリイソプレン、シリコン変性ポリブタジエン、及びシリコン変性ポリイソブチレンを含む)、シリコン変性ポリイミド、シリコン変性クロスリンクフェノル−ホルムアルデヒド樹脂(Si変性NOVOLAC)、及びシリコン変性ポリウレタンエラストマーを含むが、これらに限定されない。エラストマーのシリコン変性は、ヒドロシレーション(hydrosilation)及び凝縮を含むシラン及びシロキサンとの反応により行われてもよい。好ましくは、シリコン含有エラストマーは、ポリシロキサンである。更に好ましくは、シリコン含有エラストマーは、“PDMS”と称されるポリ(ジメチルシロキサン)である。
【0033】
シリコン含有エラストマーは、更に、例えば、ポリシロキサンと他のポリマーとのブロックコポリマーを含む。例えば、ポリシロキサンを含むブロックコポリマーは、ポリエチレンのようなポリオレフィン(参考としてここに援用する米国特許第5,618,903号)、ポリ(イソブチレン)(参考としてここに援用する米国特許第5,741,859号)、ポリプロピレン(参考としてここに援用する米国特許第5,744,541号)、ポリスチレン及び種々のポリジエン(参考としてここに援用する米国特許第5,932,649号)、並びにポリイソプレン及びポリブタジエン(参考としてここに援用する米国特許第6,362,288号)とで形成することができる。別の例では、ポリシロキサンを含むブロックコポリマーは、アクリレート(参考としてここに援用する米国特許第6,090,902号)、不飽和モノマーのポリマー化により形成される種々様々なポリマー(参考としてここに援用する米国特許第6,124,411号)、並びに種々の形式のシロキサン(参考としてここに援用する米国特許第5,637,668号)とで形成することができる。別の例では、ポリシロキサンを含むブロックコポリマーは、ポリカーボネートのような凝縮ポリマー(参考としてここに援用する米国特許第6,072,011号)、及びポリ(アリレンエーテル)(参考としてここに援用する米国特許第6,339,131号)とで形成することができ、又、酸化ポリエチレン及び酸化ポリプロピレンのようなポリエーテル(参考としてここに援用する米国特許第6,013,711号)とで形成することもできる。シリコン含有エラストマーは、更に、例えば、ポリシロキサン反復ユニットがポリエステル及び/又はポリカーボネート反復ユニットに組み合わされたものを含むコポリマー(参考としてここに援用する米国特許第6,407,193号)を含むと共に、ポリシロキサンとポリアミドとの混合物(参考としてここに援用する米国特許第6,344,521号)、及びポリシロキサンとポリオレフィン、ポリウレタン又はスチレンポリマーとの混合物(参考としてここに援用する米国特許第6,153,691号)も含む。シリコン含有エラストマーは、更に、例えば、シラン化合物で処理することによりシリコンを含むように変性されたポリマーを含む(参考としてここに援用する米国特許第6,136,926号)。
【0034】
シリコン含有エラストマーを含むマイクロ構造体は、活性化されたシリコン含有エラストマーと別の材料を不可逆に結合することで準備することができる。例えば、シリコン含有エラストマーの一部分を活性化した後に、その活性化された部分の表面をモノリシック基板に接触させて結合すると、エラストマーの活性化された部分と基板との間に不可逆な接着を形成することができる。エラストマーが基板から引き剥がされるか、他の仕方で分離されると、エラストマーは、粘着破壊(cohesive failure)を受け、活性化部分からバルク部分を分離することができる。好ましくは、この粘着破壊は、エラストマーの表面が活性化されて基板に接触配置された領域のみにおいてエラストマー材料の膜が基板との結合を保つと言うものである。別の例では、活性化された部分を有するシリコン含有エラストマーを、化学的化合物又は個別の材料に接触させ結合すると、エラストマーの表面に化合物又は材料のパターンを形成することができる。
【0035】
シリコン含有エラストマーの一部分を選択的に活性化することは、シリコン含有エラストマーの一部分を保護し、次いで、非保護の部分に活性化処理を施すことで達成できる。例えば、シリコン含有エラストマーの表面に硬いマスクを形成し、そしてエラストマー表面の露出部分に活性化処理を受けさせることができる。次いで、硬いマスクを除去した後に、エラストマーを別の材料に結合しなければならない。別の例では、シリコン含有エラストマーの表面に、独立したマスクを位置させて、活性化処理の後にマスクとエラストマーを容易に分離させることもできる。
【0036】
活性化処理は、エラストマーの希望の部分をその処理から保護できるならば、この技術知られた種々の処理のいずれでもよい。例えば、1つの方法では、エラストマーを酸素処理プラズマに露出させて、エラストマーの露出表面を活性化することができる。この活性化は、酸素の流れを、40℃程度の低い温度のプラズマへと変換させることで実行できる。別の方法では、シリコン含有エラストマーは、UV/オゾン処理を通して酸化することにより活性化される。“UVO”と称されるこの処理プロセスは、例えば、参考としてここに援用する米国特許出願第10/230,882号(米国特許第6,805,809号)に説明されている。このUVOプロセスは、周囲の雰囲気から、オゾン及び/又は他の酸化種子、例えば、一量(singlet)酸素を発生するに充分な紫外線にシリコン含有エラストマーの表面を露出させることにより、表面を酸化させることを含む。又、UVOによる活性化は、分子状酸素(O2)又はオゾン(O3)に富んだ雰囲気に表面を露出させることも含む。UVOにより活性化する1つの効果は、穏やかな条件のもとでシリコン含有エラストマーを充分に活性化できることである。
【0037】
UVO処理の量は、シリコン含有エラストマーの形式、及びエラストマーを結合させるべき材料の形式に基づいて変化させてもよい。例えば、PDMSのメチルグループより揮発性が低いアルキル又はアリール有機側グループを含むポリシロキサンの場合には、より長い時間周期にわたってUVOを適用する必要がある。又、シリコン変性エラストマー及びポリシロキサン含有ブロックコポリマーの場合にも、PDMSよりもシリコン原子の密度が低いので、UVOの時間延長が必要となる。UVO処理のUV光源は、種々のUV光源のいずれでもよい。UV光源は、例えば、水銀放電灯、及び重水素放電灯を含む。UV光源は、重水素放電灯であるのが好ましい。
【0038】
シリコン含有エラストマーは、マスクでカバーされたエラストマーにUVO処理を施すことにより、UVOを使用して選択的に活性化することができる。UVO処理用のマスクは、エラストマーの露出領域にUV放射線を伝送すると共に、その露出領域を酸素含有雰囲気に接触させるのが好ましい。この雰囲気中に存在する酸素が、UV放射線と組み合わされて、エラストマーの露出部分を活性化することができる。
【0039】
選択的UVO活性化のためのマスク100の一般的な設計が図1−4に示されており、UV透過レンズ110がUV不透過層120で部分的にカバーされている。パターン化されたUV不透過層は、スペーサ材料130でカバーされる。UV透過材料110、シリコン含有エラストマー150の露出部分152、及びスペーサ130により画成されたギャップ140は、UVO処理中にエラストマーを雰囲気に接触させるのを許す。UVOマスクの特定例において、UV透過レンズは、石英レンズであり、そしてUV不透過フィルムは、パターン化された金フィルムである。石英と金フィルムとの間にはチタン層を設けるのが望ましく、この場合に、チタンは、金フィルムと同じパターンを有するのが好ましい。
【0040】
スペーサ材料は、UV不透過フィルムをパターン化するのに使用されるホトレジスト材料であるのが好ましい。ホトレジスト材料は、通常、その下の層(1つ又は複数)がパターン化された後に除去されるが、スペーサ材料としてのホトレジストの使用は、多数の効果を発揮することができる。ホトレジストは、通常、均一な制御可能な厚みの層に堆積され、従って、それにより生じるスペーサ材料も同様に、必要に応じて変更できる均一な厚みをもつことになる。更に、ホトレジストは、元々、UV不透過層をパターン化するのに使用されるので、スペーサ材料は、マスクのUV不透過部分に予め整列しており、マスクにおけるUV透過開口の正確な画成を与える。ホトレジスト材料は、UV放射線を制限し、おそらく、光発生される反応性種子の移動を防止するように選択することができる。スペーサ材料としても使用できるホトレジストの特定例は、1μm以下から200μm以上までの特徴部のパターン化を許すことのできるSU−8シリーズのホトレジストである。
【0041】
スペーサ材料の厚みは、変化させることができる。ホトレジスト材料をスペーサとして使用する例では、パターン化プロセスの始めに、UV不透過層に堆積されるホトレジストの初期厚みを制御することにより、厚みを制御することができる。スペーサ材料は、マスクのUV透過部分とエラストマーとの間のギャップ領域に適切な量の酸素を許すに充分な厚みであるのが好ましい。スペーサの厚みは、好ましくは、少なくとも100ナノメーターであり、より好ましくは、少なくとも0.5ミクロンであり、更に好ましくは、少なくとも3ミクロンである。
【0042】
シリコン含有エラストマーの選択的活性化を使用して、基板上にエラストマーのパターンを堆積することができる。シリコン含有エラストマーの活性化された表面は、その活性化された表面と基板を接触させてその表面と基板を一緒に結合することにより、基板材料の表面に不可逆に接着させることができる。適当な基板は、シリコン;セラミック材料、例えば、酸化シリコン、石英及びガラス;ポリマー、例えば、PDMSも含めて、ポリスチレン及びシリコン含有エラストマー;並びに金属、例えば、チタン、クロム、タングステン及び金を含むが、これらに限定されない。シリコン含有エラストマーの表面は、適当な長さの時間中、周囲温度において、UVOで処理され、次いで、丁度洗浄された基板に直ちに接触されるのが好ましい。
【0043】
エラストマー及び基板は、不可逆結合の形成を許すために接触状態に保たれる。接触されたエラストマー及び基板は、結合の形成を助けるために加熱及び/又は補足的紫外線を受けてもよい。例えば、UVO処理されたPDMSをシリコン基板に接触させた後に、周囲温度で約16時間その接触を維持するか、70℃に少なくとも20分間材料を維持するか、或いは少なくとも30分間PDMSへUV放射線を当てることにより、不可逆結合を得ることができる。非酸化のシリコン含有エラストマーを、熱、オゾン又はUV放射線の1つに露出するだけでは、通常、基板への不可逆の付着を与えない。
【0044】
シリコン含有エラストマーのUVO活性化表面と基板表面との間の初期の接触は、通常、不可逆の結合を生じさせない。この現象は、エラストマーと基板との正確な位置付けを許す。従って、不可逆の結合を形成する前に、エラストマー及び/又は基板のパターンを整列又は位置合わせすることができる。又、光学的に透過なシリコン含有エラストマー(PDMSのような)の使用は、光学的な観察を利用してフィルム及びパターンの整列又は位置合わせを実行できるという点でも望ましい。
【0045】
UVO活性化されたシリコン含有エラストマーに基板を接触させる前に基板の表面を洗浄することが望ましい。基板は、従来の方法で洗浄することができる。例えば、シリコン又は酸化シリコンの表面を、ヘクサン及びエタノールのような溶媒ですすぎ洗いし、そして窒素のような不活性ガスのもとで乾燥させることができる。別の例では、ガラス及び石英をピラニア(硫酸及び過酸化水素)のような試薬ですすぎ洗いすることができる。又、UVOや、アルゴンプラズマ又は他のプラズマのようなプラズマや、他の化学的処理に露出させることにより、基板を清掃及び/又は活性化することもできる。又、活性化されたエラストマーに基板を接触させる直前に、基板の表面をUVOで処理することも望ましい。基板の処理は、エラストマーの表面及び基板の表面に同じUVO露出を受けさせることで行なうのが便利である。金のようなメタル基板については、メタル表面及び/又はエラストマー表面にチオール化合物のような付着促進剤を塗布するのが有用である。チオール化合物は、例えば、(チオールプロピル)−トリメトキシシランのようなチオール・シラン化合物を含む。
【0046】
図1を参照すれば、シリコン含有エラストマーの選択的活性化は、エラストマーの予め形成されたパターンの一部分を基板上に堆積するのに使用できる。「光画成粘着機械的破壊(Photodefined Cohesive Mechanical Failure)」(P−CMF)と称されるこのプロセスは、パターン化スタンプ160を使用して、シリコン含有エラストマーの基本的パターンを与える。この基本的パターンは、次いで、スタンプにおけるパターンの高い部分の選択的活性化により更に画成される。パターン化スタンプ160は、UVOホトマスク100のパターン化面に接触配置され、次いで、UV光源によりマスクを通して照射される。UV照射の後に、スタンプがUVOホトマスクから剥離され、そしてスタンプのパターン化面が即座に基板材料180に接触配置される。照射の終了と、基板との接触との間の時間は、1分以内であるのが好ましい。接触を維持する間に、スタンプ及び基板は、エラストマーと基板との間に不可逆の結合を形成するのに必要な条件を受ける。角からスタートして、ピンセットを使用してスタンプを剥離し、パターン化されたフィルム190を基板に残す。
【0047】
図2を参照すれば、シリコン含有エラストマーの選択的活性化を使用して、非パターン化エラストマーの一部分を基板上に堆積することができる。「直接リソグラフィ」と称されるこのプロセスは、エラストマー250の平坦なブランクを使用し、全てのパターン化が選択的活性化プロセスの結果であるようにする。エラストマーブランクは、UVOホトマスク100のパターン化面に接触配置され、UV光源によりマスクを通して照射される。UV照射の後に、エラストマーがUVOホトマスクから剥離され、ブランクの照射面が即座に基板材料280に接触配置される。照射の終了と、基板との接触との間の時間は、1分以内であるのが好ましい。接触を維持する間に、エラストマー及び基板は、エラストマーと基板との間に不可逆の結合を形成するのに必要な条件を受ける。角からスタートして、ピンセットを使用してエラストマーを剥離し、パターン化されたフィルム290を基板に残す。
【0048】
これらP−CMF及び直接リソグラフィ方法のエラストマーパターン転写は、化学的に活性化される接着結合及び粘着材料破壊プロセスの貢献を含む。基板から剥がされるときのパターン化エラストマーの降伏強さは、全エラストマー接触面積及び特徴部サイズの両方により影響受ける。従って、粘着破壊に基づくパターン化方法は、比較的広い面積にわたり特徴部サイズが小さい(100μm以下)のパターンを転写するのに特に有用である。この方法の1つの効果は、多数のパターンの位置合わせを許すと共に広い面積にわたってミクロンスケールのパターン化を可能にする仕方でパターンを転写できることである。エラストマーの粘着破壊の軌跡は、特徴部のサイズが1ミクロンレベルに近付くにつれて特徴部の表面の軌跡に次第に接近する。特定例として1μm特徴部高さをもつマスターをベースとして、1.0μmの最小特徴部サイズに対して厚み範囲が10−100nmのパターン転写を達成することができる。又、これらの小さな特徴部サイズに対するバルクエラストマーの除去は、弱い力を必要とする傾向になる。
【0049】
特に、直接リソグラフィプロセスは、サブミクロンスケールのパターンを形成することができる。これらの寸法においてエラストマーとマスクとの間に形成されるギャップは、非常に小さいが(ナノリットル程度)、有効なUVO活性化を与えるに充分な酸素が存在する。サブミクロンパターン化構造体の一例が、図8A及び8Bの原子間力顕微鏡(AFM)映像に示されている。図示された線パターンは、約300nmの巾及び分離を有する線を含む。
【0050】
特に、P−CMFプロセスは、パターンのアレーを形成することができる。マスクパターンの最小寸法が初期エラストマースタンプにおけるパターンの最小寸法より大きい場合には、スタンプにおけるパターンのサブセットを基板へ転写することができる。円筒状パターンのアレーの一例が図5Aの光学顕微鏡写真に示されている。線のパターンのアレーの一例が図6A及び6Cの光学顕微鏡写真に示されている。この線のパターンは、図6Dにおける金の線のパターンへ転写されて示されている。
【0051】
デカル(decal)転写方法は、顕著な範囲の特徴部サイズをもつ正確に設計されたポリマー薄膜の堆積を許す。これらのパターンにおける最小特徴部サイズは、100マイクロメーター未満でよい。好ましくは、最小特徴部サイズは、1ナノメーターから100マイクロメーターであり、より好ましくは、10ナノメーターから10マイクロメーターである。一例において、最小特徴部サイズは、1マイクロメーター未満である。
【0052】
シリコン含有エラストマーの選択的活性化を使用して、別の材料のパターンを形成することができる。例えば、エッチング剤を基板に塗布して、パターン化エラストマーに接着しない基板の部分を除去することができる。その後にエラストマーを除去すると、基板にパターンを形成することができる。別の例では、基板及びパターン化エラストマー上に個別の材料を堆積することができる。その後にエラストマーを除去すると、堆積材料のパターンを形成することができる。これらのリソグラフィ技術に加えて、シリコン含有エラストマーの活性化表面を、エラストマーより粘着力が弱い個々の化学的化合物、個別の材料又はモノリシック材料に接着させることにより、他の材料のパターン化を行うことができる。
【0053】
図3を参照すれば、シリコン含有エラストマーの選択的活性化を使用して、個別材料の一部分を別の基板から除去することができる。エラストマーの平坦なブランク350が示されているが、パターン化スタンプを使用することもできる。エラストマーがUVOホトマスク100のパターン化面に接触配置され、次いで、UV光源によりマスクを通して照射される。UV照射の後に、エラストマーがUVOホトマスクから剥がされ、そしてブランクの照射面が即座に基板380上の個別材料370の層に接触配置される。接触を維持する間に、エラストマー、個別材料及び基板は、エラストマーと個別材料との間に不可逆の結合を形成するに必要な条件を受ける。次いで、エラストマーを基板から取り去って、個別材料のパターン390を表面にもつ基板とすることができる。又、このプロセスは、シリコン含有エラストマー上に個別材料のパターン360も形成する。
【0054】
個別材料は、種々の形態をとり得る。例えば、個別材料は、シリコンのような材料の粉末、粒子、小板、ナノチューブ、ファイバー又はワイヤ;酸化シリコン、石英及びガラスのようなセラミック材料;PDMSを含むポリスチレン及びシリコン含有エラストマーのようなポリマー;並びにチタン、クロム、タングステン及び金のような金属を含む。
【0055】
図4を参照すれば、シリコン含有エラストマーの選択的活性化を使用して、シリコン含有エラストマーの表面上に化合物のパターンを形成することができる。この場合も、エラストマー又はパターン化スタンプの平坦なブランク450を使用することができる。エラストマーは、UVOホトマスク100のパターン化面に接触配置され、次いで、UV光源によりマスクを通して照射される。UV照射の後に、エラストマーがUVOホトマスクから剥がされ、そしてブランクの照射面が即座に液体キャリア付近又はその中で化合物に接触される。ある場合には、化合物は、エラストマーの活性化部分に素早く吸着する。他の場合には、エラストマー及び化合物は、パターン490に化合物を維持するために後処理を受けねばならない。シリコン含有エラストマーの活性化面に吸着し得る化合物は、例えば、アルコール、カルボニル含有化合物、及び1つ以上のシリコン/ハロゲン結合を有する化合物を含む。
【実施例】
【0056】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)先駆体が、DOW CORNING(ミシガン州ミッドランド)からSYLGARD184として入手された。ボロンドープのシリコンウェハ(<100>)がSILICON SENSE,INC(ニューハンプシャー州ナシュア)から入手された。石英スライドがCHEMGLASS,INC(ニュージャージー州ビネランド)から入手された。(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン(TFOTS)がGELEST(ペンシルバニア州モリスビル)から入手された。テトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF、テトラヒドロフランが1モル)、(メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(MPTMS)、及び2,2,2−トリフルオロエタノールがALDRICH(ウィスコンシン州ミルウオーキー)から入手された。緩衝フッ化水素酸(6:1、NH4F/HF)がASHLAND(オハイオ州ダブリン)から入手された。金のエッチング剤がTRANSENE(マサチューセッツ州デンバー)からTFAとして入手された。硫酸、フッ化水素酸(49%)、及び過酸化水素(30%)がFISHER(ニュージャージー州スプリングフィールド)から入手された。溶媒は、Fisher及びAldrichから入手された。
【0057】
シリコンウェハを周囲の雰囲気のもとで約800℃に数時間加熱することによりシリコンウェハ上に酸化シリコンを成長させ、〜2500Å厚みの酸化物層を形成した。Deng氏等のAnal.Chem.73:3176−3180(2000)及びDeng氏等のLangmuir15:6575−6581(1999)に説明されたように、マスターを形成した。接触ホトリソグラフィを使用し、5080dpi透過板を露出マスクとして用いて、AZ5214(ニュージャージー州サマービルのCLARIANT)又はSU−85(マサチューセッツ州ニュートンのMICROCHEM)ホトレジストをパターン化することによりマスターパターンを形成した。型として使用した全てのホトレジストマスターは、UVO処理を使用して清掃し、約〜150mTorrまでの閉じた容器内においてTFOTS(離型剤として)で2時間処理した。サンプルの処理に使用した溶媒は、分析グレード以上のものであり、浄化せずに使用した。
【0058】
UVO処理に使用するUV光源は、低圧力水銀灯(カリフォルニア州クラレモンのBHK)又は重水素灯(ハママツD101BS)であった。MIMIR光学電力計モデル100を使用して230−250nmから測定された各電球の強度は、水銀電球から3cmの距離で100μW/cm2であり、そして重水素電球から1cmで530μW/cm2であると決定された。03V5−5オゾン発生器(オハイオ州アクロンのOREC)がUV独立のオゾン源として使用された。
【0059】
OLYMPUS BH−2光学顕微鏡(ニューヨーク州メルビルのOLYMPUS AMERICA)を、PANASONIC GP−KR222デジタルカラーカメラ(ニュージャージー州シーカーカスのPANASONIC USA)と共に使用して、光学顕微鏡写真が記録された。表面特徴部の高さ及びフィルム厚みは、SLOAN DEKTAK3ST(英国、キャムス、ヒストンのVEECO INSTRUMENTS)を使用して表面プロフィルメーターにより決定された。原子間力顕微鏡検査(AFM)は、ディメンション3100(VEECO)を使用して遂行され、そして映像は、製造者のV5.12r2ソフトウェアにより処理された。エリア走査は、チップ速度が2Hz以下のタッピングモードにおいて非変更シリコンチップで記録された。
【0060】
例1−マスクの準備
石英スライドを、ピラニア溶液(3:1 H2SO4:過酸化水素30%)中で10分間洗浄し、脱イオン水で洗浄し、窒素で乾燥させた。TEMESCAL FC−1800電子ビームエバポレーター(マサチューセッツ州ウイルミントンのBOC EDWARDS)を使用した蒸発により石英スライドの表面に30Åのチタン層及び1000Å厚みの金フィルムを堆積させた。この堆積した金属層を、寸法が45ミクロンx55ミクロンの長方形空洞の方形平坦アレーへとパターン化した。このパターン化は、SU8−5ホトレジストを使用して接触ホトリソグラフィにより実行した。パターン化した石英スライドを酸素プラズマ中で15秒間清掃し、露出した金のエリアをTFA金エッチングの希釈(4:1)溶液でエッチングし、そして露出したチタン層を1%HF溶液でエッチングした。ホトレジストの非剥離層を最終的なマスクとして保持し、SU8−5レジストのスペーサに1のピッチを与える。レジスト層は、17μmの均一厚みを有するものであった。
【0061】
例2−光画成粘着機械的破壊(P−CMF)を使用するパターン化
DOW CORNINGによりSYLGARD184キットにおいて推奨されたように、オリゴマー及び開始剤を10:1の比で混合することにより、成形PDMSスタンプを準備した。推奨される手順は、真空オーブンで室温において数分間圧力を減少して(50torr)、随伴ガス気泡を除去することにより、変更した。プレポリマー混合物をマスターへ鋳込み、混合物が水平になるのを10分間待機した後に、混合物を70℃で2時間硬化した。次いで、パターン化されたPDMSエラストマーをマスターから抽出し、エタノールで洗浄し、そして純度の高い窒素の流れのもとで乾燥して、PDMSスタンプを形成した。最終的なPDMSスタンプは、直径が2μmで、中心対中心の分離が2.7μmのポストの方形アレーのパターンを有するものであった。
【0062】
PDMSスタンプを、例1のUVOホトマスクのパターン化面に接触配置させ、重水素灯を使用してマスクを通して4分間照射した。マスターを除去し、PDMSパターンをガラス基板に接触配置し、70℃に20分間加熱した。次いで、ピンセットを使用してPDMSスタンプをガラス基板の角から剥がすことにより、スタンプをガラス基板から除去した。
【0063】
図5Aは、それにより生じるマイクロ構造体、即ちマスクのUV透過部分と同じパターンを有するPDMSポストのアレーの光学顕微鏡写真である。図5Aには、マスクのUV透過開口の像が同じ倍率で挿入されている。PDMSポストの領域のサイズ及び間隔がマスクにおける45x55ミクロン開口に一致し、縁の解像度は、PDMSポストの2.0ミクロンピクセルサイズより低い。図5Bは、ポストの領域にわたる原子間力顕微鏡(AFM)線走査で、本質的に全てのポストが約800nmのピーク高さを有することを示している。
【0064】
例3−P−CMFパターンをレジストとして使用
PDMSスタンプを例2で述べたように形成したが、線は2μm巾で且つ2μm間隔で分離された非分断パターンであった。このスタンプを、例1のUVOホトマスクのパターン化面に接触配置させ、重水素灯を使用してマスクを通して4分間照射した。マスクを除去し、金の厚みが100nmのMPTMSシラン処理金表面にPDMSパターンを接触配置して、70℃に20分間加熱した。次いで、ピンセットを使用してPDMSスタンプを基板の角から剥がすことにより、スタンプを基板から除去した。図6A及び6Cは、それにより生じるマイクロ構造体の光学顕微鏡写真であり、金表面の各円領域(45x55ミクロン)は、PDMSの2μm巾の線のパターンを含む。図6BのAFM線走査は、PDMS線の高さをほぼ1.6μmと測定した。
【0065】
露出した金層及びその下のチタン層を湿式エッチングすることによりPDMSパターンを金フィルムへ転写した。PDMSレジストを剥離すると、図6Dの光学顕微鏡写真に示す金線のパターンが得られた。金線は、巾が2μmで、1のピッチで分離されたものであった。これらの線は、個別の領域内に配列され、これは、図6A及び6CのPDMSパターンに一致するものであった。
【0066】
例4−直接リソグラフィを使用したパターン化
厚さ3mmのペトリ皿にSylgard184を鋳込み、次いで、プレポリマーを70℃で最低2時間硬化することにより、フラットな非パターン化PDMSスラブを形成した。寸法がほぼ2cmx3cmのPDMSブランクを、このスラブからカットし、エタノールで洗浄し、そして窒素で乾燥させた。UVOホトマスクを例1のように準備したが、金属層は、4μm巾の線を4μm間隔で分離したものとしてパターン化した。このパターン化は、450nmの均一厚みを有するShipley1805レジストを使用してホトリソグラフィにより実行した。
【0067】
平坦なPDMSブランクを、UVO露出マスクのパターン化面に接触配置し、重水素灯を使用してマスクを通して6分間照射した。マスクを除去し、PDMSブランクをガラス基板に接触配置し、70℃に20分間加熱した。ピンセットを使用してブランクを角から引っ張ることによりPDMSをガラス基板から除去した。
【0068】
図7Aは、それにより生じたマイクロ構造体のAFM映像であり、それに対応するAFM線走査が図7Bに示されている。マイクロ構造体は、巾が4μmで、高さが約700nmで、分離が4μmの、テーパー付けされたPDMS線のパターンである。図7C及び7Dは、PDMSがガラス基板から除去された後のそのAFM映像及びそれに対応するAFM線走査である。PDMSブランクは、マイクロ構造体に対して逆のパターンを有し、トレンチは約800nm深さであり、開口は4μm巾であり、4μmの間隔を有している。
【0069】
例5−直接リソグラフィを使用したサブミクロンパターン化
ガラス基板上のPDMSのマイクロ構造体が、例4に述べたように形成されたが、異なるUVOホトマスクを使用して形成された。UVOホトマスクは、例4のように準備されたが、金属層は、300nmの間隔をもつ300nmの線としてパターン化された。図8Aは、それにより生じたマイクロ構造体のAFM映像であり、それに対応するAFM線走査が図7Bに示されている。マイクロ構造体は、巾が約250nmで、分離が350nmで、高さが可変の、テーパー付けされたPDMS線のパターンである。
【0070】
例6−直接リソグラフィパターンをレジストとして使用
UVOホトマスクは、例4のように準備されたが、金属層は、10μmの間隔で分離された4μm巾の線としてパターン化された。平坦なPDMSブランクがUVOホトマスクと接触配置され、重水素灯を使用してマスクを通して6分間照射された。次いで、ブランクを、金の厚みが100nmのMPTMSシラン処理金表面に接触配置させ、70℃に20分間加熱した。ピンセットを使用してブランクを角から剥離することによりPDMSを基板から除去した。図9Aは、それにより生じるマイクロ構造体の光学顕微鏡写真であり、PDMS線は巾が4.1μmで、ピーク高さが698nmである。図9Aには、このマイクロ構造体内の単一のPDMS線のAFM映像が挿入されている。
【0071】
PDMSパターンは、露出した金の層及びその下のチタン層を湿式エッチングすることにより金フィルムへと転写された。PDMSレジストを剥離すると、図9Bの光学顕微鏡写真で示す金の線のパターンが得られた。
【0072】
例7−直接リソグラフィを3次元パターン化に使用
UVOホトマスクを例4のように準備したが、金属層は、3μm間隔で分離された3μm巾の線としてパターン化された。平坦なPDMSブランクをUVOホトマスクに接触配置し、そして重水素灯を使用してマスクを通して30分間照射した。次いで、ブランクをガラス基板に接触配置して、70℃に20分間加熱した。ピンセットを使用してブランクを角から剥離することによりPDMSを基板から除去した。
【0073】
第2の平坦なPDMSブランクを同じUVOホトマスクに接触配置し、そして重水素灯を使用してマスクを通して15分間照射した。次いで、ガラス基板上のPDMSパターンもUVOに15分間露出させたが、介在するマスクはなかった。第2の処理されたブランクは、PDMSパターンを有するガラス基板に接触配置したが、第2のブランクは、その表面上の活性化線が、ガラス表面上に既にあるPDMS線に垂直となるような向きにした。全アッセンブリを140℃に40分間加熱し、ピンセットを使用してブランクを角から剥離することにより第2のPDMSブランクを除去した。図10Aは、それにより得られた、約3μm巾のPDMS線の垂直セットを有するマイクロ構造体の光学顕微鏡写真である。図10Bは、このマイクロ構造体のAFM映像であり、線の交点においてマイクロ構造体の高さが2倍であることを示している。
【0074】
例8−直接リソグラフィを個別材料のパターン化に使用
UVOホトマスクを例4のように準備したが、金属層は、100μm間隔で分離された100μmx100μmの方形としてパターン化された。二酸化シリコン層上に約10μmx3μmのシリコン構造体の長方形アレーを形成するようにシリコン・オン・インスレータウェア(SOI、Janus)をパターン化した。
【0075】
平坦なPDMSブランクをUVOホトマスクに接触配置し、ブランクから約3cmに配置した水銀灯を使用してマスクを通して6分間照射した。この照射時間中に、パターン化されたSOIウェハは、かき混ぜた49%HF溶液中で、1分35秒間エッチングされて、シリコン構造体をアンダーカットすると共に、寸法が約10μmx3μmの単結晶シリコンワイヤを形成した。HF溶液から取り出した後に、SOIウェハを水ですすぎ洗いし、窒素で緩やかに送風乾燥した。エッチングステップは、6分のUVO露出が終わる45秒前に終了するタイミングとした。この時間長さは、サンプルをすすぎ洗いし、乾燥し、そして接触ステップのための位置へ移動するのに充分であった。
【0076】
次いで、ブランクをSOIウェアのパターン化面に接触配置させ、オーブンで70℃に30分間加熱した。アッセンブリをオーブンから取り出して、SOI側を下にして、300℃にセットされたホットプレートに20分間配置した。次いで、アッセンブリを液体窒素に10秒間浸漬した。アッセンブリを室温に数秒間暖めるのを許した後に、PDMSは、充分に柔軟なものとなり、ピンセットを使用してブランクを角から剥離することにより基板から除去した。
【0077】
図11A及び11Bは、直接リソグラフィによりパターン化した後のSOIウェハの光学顕微鏡写真である。100μmx100μmの方形は、シリコンウェハを伴わない領域に対応する。図11C及び11Dは、単結晶シリコンワイヤのアレーを含む100μmx100μmの方形のパターンを有するPDMSブランクの光学顕微鏡写真である。
【0078】
それ故、以上の詳細な説明は、本発明を例示するもので、本発明をそれに限定するものではなく、且つ特許請求の範囲が、全ての等効物を含めて、本発明の精神及び範囲を定義するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】光画成粘着機械的破壊(P−CMF)を使用するパターン転写方法を示す図である。
【図2】直接リソグラフィを使用したパターン転写方法を示す図である。
【図3】個別材料をパターン化する方法を示す図である。
【図4】化学的化合物をパターン化する方法を示す図である。
【図5A】P−CMFを使用して形成されたエラストマーパターンの光学顕微鏡写真である。
【図5B】P−CMFを使用して形成されたエラストマーパターンの原子間力顕微鏡(AFM)線走査を示す図である。
【図6A】P−CMFを使用して形成されたエラストマーパターンの光学顕微鏡写真である。
【図6B】P−CMFを使用して形成されたエラストマーパターンのAFM線走査を示す図である。
【図6C】P−CMFを使用して形成されたエラストマーパターンの光学顕微鏡写真である。
【図6D】エラストマーパターンから導出された金パターンの光学顕微鏡写真である。
【図7A】直接リソグラフィを使用して形成されるエラストマーパターンのAFM映像を示す図である。
【図7B】直接リソグラフィを使用して形成されるエラストマーパターンの線走査の図である。
【図7C】パターン化プロセス後のエラストマーのAFM映像を示す図である。
【図7D】パターン化プロセス後のエラストマーの線走査の図である。
【図8A】直接リソグラフィを使用して形成されたサブミクロンエラストマーパターンのAFM映像を示す図である。
【図8B】直接リソグラフィを使用して形成されたサブミクロンエラストマーパターンの線走査の図である。
【図9A】直接リソグラフィを使用して形成されたエラストマーパターンの光学顕微鏡写真で、AFM映像が挿入された図である。
【図9B】エラストマーパターンから形成された金パターンの光学顕微鏡写真である。
【図10A】直接リソグラフィを使用して形成されたエラストマーパターンの光学顕微鏡写真である。
【図10B】直接リソグラフィを使用して形成されたエラストマーパターンのAFM映像を示す図である。
【図11A】SOIウェハの光学顕微鏡写真である。
【図11B】SOIウェハの光学顕微鏡写真である。
【図11C】シリコンワイヤのパターンを各々有する対応するシリコン含有エラストマーの光学顕微鏡写真である。
【図11D】シリコンワイヤのパターンを各々有する対応するシリコン含有エラストマーの光学顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ構造体を形成する方法において、
シリコン含有エラストマーの表面の一部分を選択的に活性化するステップと、
前記活性化された部分を物質に接触させるステップと、
前記活性化された部分と前記物質とを結合させて、前記活性化された部分と、前記活性化された部分に接触する前記物質とが不可逆に接着されるようにするステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
前記選択的に活性化するステップは、
前記表面を部分的にカバーして、前記表面の保護部分及び前記表面の非保護部分を設ける段階と、
前記非保護部分に活性化処理を施す段階と、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
表面を部分的にカバーする前記段階は、前記表面の前記保護部分にハードマスクを形成することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
表面を部分的にカバーする前記段階は、前記シリコン含有エラストマーの前記表面にマスクを位置させることを含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
活性化処理を施す前記段階は、前記非保護部分にUV放射線を照射することを含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
表面を部分的にカバーする前記段階は、前記シリコン含有エラストマーの前記表面にマスクを位置させることを含み、前記マスクは、UV不透過部分及びUV透過部分のパターンを備え、且つ前記UV不透過部分の下にスペーサ材料を備え、
前記表面の非保護部分は、前記UV透過部分の下にあってそこから離間される、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
少なくとも前記非保護部分は、前記照射中に分子状酸素に富んだ雰囲気に接触される、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
少なくとも前記非保護部分は、前記照射中にオゾンに富んだ雰囲気に接触される、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記結合は、前記シリコン含有エラストマー及び前記物質を加熱することを含む、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記シリコン含有エラストマーの表面は、平坦である、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記シリコン含有エラストマーの表面は、高いエリア及び低いエリアのパターンを含む、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記物質は、基板であり、
前記シリコン含有エラストマーと前記基板を分離するステップを更に備えた、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記基板と前記表面の活性化された部分とは、接触状態のままである、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記シリコン含有エラストマーと、前記表面の活性化された部分に接触する前記基板の部分とは、接触状態のままである、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記物質は、個別材料であり、
前記表面から非結合の個別材料を除去して、前記シリコン含有エラストマーと、前記表面の活性化された部分に接触する前記個別材料とが接着状態のままであるようにするステップを更に備えた、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記個別材料は、基板上にあり、前記除去は、前記シリコン含有エラストマーと前記基板を分離することを含む、請求項1から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記物質は、化学的化合物であり、
前記シリコン含有エラストマーをすすぎ洗いして、前記シリコン含有エラストマーと、前記表面の活性化された部分に接触する前記化学的化合物とが接着状態のままであるようにするステップを更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
マイクロ構造体を形成する方法において、
シリコン含有エラストマーの非パターン化表面上にマスクを位置させるステップであって、前記マスクは、UV不透過部分及びUV透過部分のパターンを備え、且つUV不透過部分の下にスペーサ材料を備え、前記表面は、前記UV透過部分の下にあってそこから離間された露出部分を含むものであるステップと、
前記非パターン化表面の前記露出部分にUV放射線を照射するステップと、
前記表面から前記マスクを除去するステップと、
前記表面を基板に接触させるステップと、
前記シリコン含有エラストマー及び前記基板を分離させて、前記基板及び前記表面の前記露出部分が接触を保つようにするステップと、
を備えた方法。
【請求項19】
前記分離は、前記シリコン含有エラストマー内に粘着破壊を誘起することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記シリコン含有エラストマーの層は、前記分離の後に前記表面の露出部分に接続されたままとなる、請求項18又は19の記載の方法。
【請求項21】
前記照射の時間巾を調整することにより前記層の厚みを制御するステップを更に備えた、請求項18から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記分離後の前記基板上の表面の露出部分の最小特徴部サイズは、1マイクロメーター未満である、請求項18から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記シリコン含有エラストマーは、ポリシロキサン、ポリシロキサンのセグメントを含むブロックコポリマー、及びシリコン変性エラストマー、より成るグループから選択された部材を含む、請求項18から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記基板は、シリコン、酸化シリコン、石英、ガラス、ポリマー及び金属より成るグループから選択された部材を含む、請求項18から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記分離の後に、
前記基板にエッチング剤を塗布して、前記表面の露出部分に接触しない基板の部分を除去するステップと、
前記シリコン含有エラストマーを前記基板から除去するステップと、
を更に備えた請求項18から24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記分離の後に、
前記基板に材料を堆積するステップと、
前記シリコン含有エラストマーを前記基板から除去して、堆積された材料のパターンを形成するステップと、
を備えた請求項18から25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記基板は、非平坦である、請求項18から26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
マイクロ構造体を形成する方法において、
高いエリア及び低いエリアのパターンを含むシリコン含有エラストマーの表面にマスクを配置するステップであって、前記マスクは、UV不透過部分及びUV透過部分のパターンを備え、且つ前記UV不透過部分の下にスペーサ材料を備え、前記表面は、高いエリアの露出部分が前記UV透過部分の下にあってそこから離間されているものであるステップと、
前記高いエリアの露出部分をUV放射線で照射するステップと、
前記表面から前記マスクを除去するステップと、
前記高いエリアを基板に接触させるステップと、
前記シリコン含有エラストマー及び前記基板を分離させて、前記基板及び前記高いエリアの露出部分が接触を保つようにするステップと、
を備えた方法。
【請求項29】
高いエリア及び低いエリアのパターンを含むシリコン含有エラストマーを形成するステップを更に備えた、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記分離は、前記シリコン含有エラストマー内に粘着破壊を誘起することを含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記低いエリアより上のシリコン含有エラストマーの部分は、前記分離の後に前記高いエリアの露出部分に接続されたままとなる、請求項28から30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記高いエリア及び低いエリアのパターンは、アレーとして構成される、請求項28から31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記シリコン含有エラストマーは、ポリシロキサン、ポリシロキサンのセグメントを含むブロックコポリマー、及びシリコン変性エラストマー、より成るグループから選択された部材を含む、請求項28から32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記基板は、シリコン、酸化シリコン、石英、ガラス、ポリマー及び金属より成るグループから選択された部材を含む、請求項28から33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記分離の後に、
エッチング剤を前記基板に塗布して、前記高いエリアの露出部分に接触していない前記基板の部分を除去するステップと、
前記シリコン含有エラストマーを前記基板から除去するステップと、
を更に備えた請求項28から34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記分離の後に、
前記基板に材料を堆積するステップと、
前記基板から前記シリコン含有エラストマーを除去して、前記堆積した材料のパターンを形成するステップと、
を更に備えた請求項28から35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記基板は、非平坦である、請求項28から36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
マイクロ構造体を形成する方法において、
シリコン含有エラストマーの表面にマスクを配置するステップであって、前記マスクは、UV不透過部分及びUV透過部分のパターンを備え、且つ前記UV不透過部分の下にスペーサ材料を備え、前記表面は、UV透過部分の下にあってそこから離間された露出部分を含むものであるステップと、
前記露出部分にUV放射線を照射するステップと、
前記表面から前記マスクを除去するステップと、
前記表面を個別の材料に接触させるステップと、
非結合の個別材料を前記表面から除去して、前記露出部分と、前記露出部分に接触した個別材料とが接着を保つようにするステップと、
を備えた方法。
【請求項39】
前記個別材料は、粉末、粒子、小板、ナノチューブ、ファイバー及びワイヤより成るグループから選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記個別材料は、シリコン、セラミック材料、ポリマー及び金属より成るグループから選択された材料を含む、請求項38又は39に記載の方法。
【請求項41】
前記個別材料はシリコンワイヤを含む、請求項38から40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記個別材料は、接触の前に基板上にあり、前記除去は、前記シリコン含有エラストマー及び基板を分離することを含む、請求項38から41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記分離の後に、前記基板は、前記マスクのUV不透過部分のパターンに対応する前記個別材料のパターンを含む、請求項38から42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記基板は、シリコン、酸化シリコン、石英、ガラス、ポリマー及び金属より成るグループから選択された部材を含む、請求項38から43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記シリコン含有エラストマーは、ポリシロキサン、ポリシロキサンのセグメントを含むブロックコポリマー、及びシリコン変性エラストマー、より成るグループから選択された部材を含む、請求項38から44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
マイクロ構造体を形成する方法において、
シリコン含有エラストマーの表面にマスクを配置するステップであって、前記マスクは、UV不透過部分及びUV透過部分のパターンを備え、且つ前記UV不透過部分の下にスペーサ材料を備え、前記表面は、前記UV透過部分の下にあってそこから離間された露出部分を含むものであるステップと、
前記露出部分にUV放射線を照射するステップと、
前記表面から前記マスクを除去するステップと、
前記表面を化学的化合物に接触させるステップと、
前記シリコン含有エラストマーをすすぎ洗いして、前記シリコン含有エラストマーと、前記表面の活性化部分に接触する化学的化合物とが接着を保つようにするステップと、
を備えた方法。
【請求項47】
前記接触は、前記表面を、前記化学的化合物及び液体キャリアの混合物に接触させることを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記化学的化合物は、アルコール、カルボニル含有化合物、及び1つ以上のシリコン/ハロゲン結合を有する化合物より成るグループから選択される、請求項46又は47に記載の方法。
【請求項49】
前記シリコン含有エラストマーは、ポリシロキサン、ポリシロキサンのセグメントを含むブロックコポリマー、及びシリコン変性エラストマー、より成るグループから選択された部材を含む、請求項46から48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
表面を選択的に活性化する方法において、
シリコン含有エラストマーの表面にマスクを配置するステップであって、前記マスクは、UV不透過部分及びUV透過部分のパターンを備え、且つ前記UV不透過部分の下にスペーサ材料を備え、前記表面は、前記UV透過部分の下にあってそこから離間された露出部分を含むものであるステップと、
前記表面の露出部分にUV放射線を照射するステップと、
を備えた方法。
【請求項51】
前記露出部分を前記照射中に分子状酸素に富んだ雰囲気に接触させるステップを更に備えた、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記露出部分を前記照射中にオゾンに富んだ雰囲気に接触させるステップを更に備えた、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項53】
前記照射は、重水素灯からのUV放射線で照射することを含む、請求項50から52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
前記照射は、水銀灯からのUV放射線で照射することを含む、請求項50から53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記スペーサ材料は、少なくとも100nmの厚みを有する、請求項50から54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記スペーサ材料は、少なくとも0.5μmの厚みを有する、請求項50から55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
前記スペーサ材料は、少なくとも3μmの厚みを有する、請求項50から56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
前記スペーサ材料は、ホトレジストを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項59】
前記シリコン含有エラストマーは、ポリシロキサン、ポリシロキサンのセグメントを含むブロックコポリマー、及びシリコン変性エラストマー、より成るグループから選択された部材を含む、請求項50から58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記シリコン含有エラストマーは、ポリシロキサンを含む、請求項50から59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記シリコン含有エラストマーは、ポリ(ジメチルシロキサン)を含む、請求項50から60のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【公表番号】特表2008−517329(P2008−517329A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536880(P2007−536880)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/036812
【国際公開番号】WO2006/132664
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(500033634)ザ・ボード・オブ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・イリノイ (21)
【氏名又は名称原語表記】THE BOARD OF TRUSTEES OF THE UNIVERSITY OF ILLINOIS
【住所又は居所原語表記】506 South Wright Street, Urbana, IL 61801
【Fターム(参考)】