説明

デジタル制御発振器のためのダイナミック較正技法

デジタル制御発振器(DCO)を較正するための技法を開示する。本開示の一態様では、DCOを動作させるための制御コードの初期セットを判断する。初期セットから生成された出力周波数レンジを識別する。周波数レンジにおけるギャップまたはオーバーラップインスタンスを識別する。オーバーラップの場合、修正されたセットを確立するためにオーバーラップインスタンスに対応する制御コードを初期セットから除去する。ギャップの場合、ギャップを充填する周波数値を生成するために、制御コードを初期セットに追加する。同じことを実行するための装置も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に電子回路の分野に関し、より詳細には、限定はしないが、デジタル制御発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
数値的に制御される発振器とも呼ばれることがあるデジタル制御発振器(DCO)は、固定基準クロックからの一連の周波数を合成するための電子回路である。特定の時間にDCOによって発生される出力周波数はデジタル入力または制御コードの値の関数である。DCOは、様々な電子回路ベースの適用例のための波形を発生するための周波数シンセサイザとして使用できる。DCOは、たとえば、ワイヤレス通信、高解像度イメージング、高速ネットワーキング、ディスプレイ技術、デジタル信号処理、および他の回路集約的分野のホストの領域においてますます採用されている。
【0003】
携帯電話およびポータブルコンピュータを含む従来のワイヤレス通信デバイスに関連する適用例の場合、クロックおよびデータの復元、搬送波合成、信号符号化/復号および変調/復調、プログラマブル波形生成などの機能を実装するために、DCOが生成する波形を使用することができる。ワイヤレス通信に関連する多くの最近の適用例では、デジタル位相ロックループ(DPLL)内に実装されたDCOが広く使用されるようになった。そのデジタル的な性質により、DCOは、出力周波数と、高分解能と、広い周波数スペクトルにわたる動作との間の高速切替えを提供することができる。DCOはまた、アナログ回路構成要素の数を減らし、発振器制御電圧などのような雑音感受性パラメータを低減するかまたはなくすことによって、従来の回路技法よりも優れた雑音除去を提供することができる。
【0004】
より粒度の細かい出力周波数間の高速切替えのためのより小さいDCOに対する需要が拡大し続けると、DCOを構成する様々な回路要素の寄生回路値およびインピーダンス不整合に関連する問題も拡大する。実際の実装形態では、線形入力コードは、DCOからの非線形出力周波数、特に、出力周波数対入力制御コードのプロットにおけるギャップまたはオーバーラップインスタンスを生じる傾向がある。
【0005】
DCOにおける非線形性のこれらのインスタンスを効果的に識別し、補正する必要が当技術分野において存続する。
【発明の概要】
【0006】
デジタル制御発振器(DCO)を較正するための技法を開示する。DCOを動作させるための制御コードの初期セットを判断することができる。初期セットから生成された出力周波数レンジを識別することができる。該周波数レンジにおけるギャップまたはオーバーラップインスタンスを識別することができる。オーバーラップの場合、修正されたセットを確立するために、オーバーラップインスタンスに対応する制御コードを初期セットから除去することができる。ギャップの場合、該ギャップを充填する周波数値を生成するために、制御コードを初期セットに追加することができる。
【0007】
本開示の一態様では、デジタル制御発振器(DCO)を較正する方法は、DCOを動作させるための制御コードの初期セットを決定することと、初期セットから生成された出力周波数レンジを識別することと、周波数レンジにおける少なくとも1つのオーバーラップインスタンスを識別することと、修正されたセットを確立するために少なくとも1つのオーバーラップインスタンスに対応する制御コードを初期セットから除去することとを含む。
【0008】
本開示の別の態様では、デジタル制御発振器(DCO)を較正する方法は、DCOを動作させるための制御コードの初期セットを判断することと、初期セットから生成された出力周波数レンジを識別することと、該周波数レンジにおける少なくとも1つのギャップを識別することと、該少なくとも1つのギャップを実質的に充填する出力周波数値に対応する制御コードを初期セットに追加することとを含む。
【0009】
本開示のさらに別の態様では、ワイヤレス通信デバイスは、デジタル制御発振器(DCO)と、DCOを動作させるための制御コードの初期セットを決定することと、初期セットから生成された出力周波数レンジを識別することと、該周波数レンジにおける少なくとも1つのオーバーラップインスタンスを識別することと、修正されたセットを確立するために少なくとも1つのオーバーラップインスタンスに対応する制御コードを初期セットから除去することとを行うように構成された処理システムとを含む。
【0010】
本開示のさらに別の態様では、ワイヤレス通信デバイスは、デジタル制御発振器(DCO)と、DCOを動作させるための制御コードの初期セットを決定することと、初期セットから生成された出力周波数レンジを識別することと、該周波数レンジにおける少なくとも1つのギャップを識別することと、該少なくとも1つのギャップを実質的に充填する出力周波数値に対応する制御コードを初期セットに追加することとを行うように構成された処理システムとを含む。
【0011】
本開示のさらなる態様では、装置は、デジタル制御発振器(DCO)と、DCOを動作させるための制御コードの初期セットを決定するための手段と、対応する出力周波数レンジを識別するための手段と、該周波数レンジにおける少なくとも1つのオーバーラップインスタンスを識別するための手段と、修正されたセットを確立するために該少なくとも1つのオーバーラップインスタンスに対応する制御コードを初期セットから除去するための手段とを含む。
【0012】
本開示のまたさらなる態様では、装置は、デジタル制御発振器(DCO)と、DCOを動作させるための制御コードの初期セットを決定するための手段と、初期セットから生成された出力周波数レンジを識別するための手段と、該周波数レンジにおける少なくとも1つのギャップを識別するための手段と、該少なくとも1つのギャップを実質的に充填する出力周波数値に対応する制御コードを初期セットに追加するための手段とを含む。
【0013】
本開示の別の態様では、デジタル制御発振器(DCO)を較正する方法を実行するための機械によって実行可能な命令を含む機械可読媒体を含むコンピュータプログラム製品は、DCOを動作させるための制御コードの初期セットを決定することと、初期セットから生成された出力周波数レンジを識別することと、該周波数レンジにおける少なくとも1つのオーバーラップインスタンスを識別することと、修正されたセットを確立するために該少なくとも1つのオーバーラップインスタンスに対応する制御コードを初期セットから除去することを含む。
【0014】
本開示のさらなる態様では、デジタル制御発振器(DCO)を較正する方法を実行するための機械によって実行可能な命令を含む機械可読媒体を含むコンピュータプログラム製品は、DCOを動作させるための制御コードの初期セットを決定することと、初期セットから生成された出力周波数レンジを識別することと、該周波数レンジにおける少なくとも1つのギャップを識別することと、該少なくとも1つのギャップを実質的に充填する出力周波数値に対応する制御コードを初期セットに追加することとを含む。
【0015】
本発明の様々な態様を例として図示および説明する以下の詳細な説明から、本発明の他の態様が当業者には容易に明らかになることを理解されたい。了解されるように、すべて本開示の範囲を逸脱しなければ、本発明では、他の様々な構成および実装形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、様々な他の点で変更形態が可能である。したがって、図面および詳細な説明は、本質的に例示的なものと見なされるべきであり、限定的なものと見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】ワイヤレス受信機を組み込んだワイヤレス通信デバイスのブロック図。
【図1B】ワイヤレス送信機を組み込んだワイヤレス通信デバイスのブロック図。
【図2A】デジタル制御発振器(DCO)のブロック図。
【図2B】例示的なDCOの回路図。
【図2C】例示的なチューニングユニットの回路図。
【図2D】例示的なチューニング要素の回路図。
【図3】理想的な場合のDCO出力周波数対DCO制御コードを示すプロット。
【図4】ギャップを表すDCO出力周波数対DCO制御コードを示すプロット。
【図5】オーバーラップインスタンスを表すDCO出力周波数対DCO制御コードを示すプロット。
【図6】ギャップとオーバーラップインスタンスとを表すDCO出力周波数対DCO制御コードを示すプロット。
【図7】オーバーラップ補正を表すDCO出力周波数対DCO制御コードを示すプロット。
【図8】ギャップ補正を表すDCO出力周波数対DCO制御コードを示すプロット。
【図9A】閉ループPLLを使用してDCO不連続性を測定するための回路の図。
【図9B】図9Aの回路に関する波形を示す一連のプロット。
【図10A】開ループDCO周波数を使用してDCO不連続性を測定するための回路の図。
【図10B】図10Aの回路に関する波形を示す図。
【図11】DCOをチューニングするための構成要素のブロック図。
【図12】DCOをチューニングするための方法の流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付の図面とともに以下に示す詳細な説明は、本発明の様々な構成を説明するものであり、本発明を実施できる唯一の構成を表すものではない。この詳細な説明は、本発明の完全な理解を与える目的で具体的な詳細を含む。ただし、本発明はこれらの具体的な詳細なしに実施できることが当業者には明らかであろう。いくつかの例では、本発明の概念を不明瞭にしないように、よく知られている構造および構成要素をブロック図の形式で示す。
【0018】
DCOは、ワイヤレス信号を送信および受信するワイヤレス通信デバイス内にますます実装されるようになってきた。DCOを使用して搬送波形を発生する場合、ベースバンド信号で搬送波形を変調し、次いで、変調された搬送波形をワイヤレス信号として他のデバイスに送信する。今度は、受信デバイスはDCOを使用して、搬送波を合成し、復調のためにベースバンド信号を除去する。
【0019】
図1Aおよび図1Bは、それぞれ、ワイヤレス信号受信およびワイヤレス信号送信に関連するワイヤレス通信デバイス100Aおよび100Bのブロック図である。ワイヤレス通信デバイス100Aおよび100Bの各々は、それぞれの周波数シンセサイザ160Aおよび160Bを含んでいる。それぞれの周波数シンセサイザ160Aおよび160Bは、それぞれのDCO(図示せず)へのデジタル制御コード入力の関数である特定の周波数の出力波形を発生するためのDCO145Aおよび145Bを含む。一態様では、DCOは、特定の設計に応じて、複数のチューニング要素およびインダクタ容量「タンク」構成を含むことができる。本開示によるDCOの例示的なアーキテクチャについて以下で説明する。
【0020】
図1Aのワイヤレス通信デバイス100Aはいわゆる「ゼロIF」アーキテクチャを実装することができるが、本開示はこの点について限定されない。ゼロIFアーキテクチャでは、WCD100Aは、入来信号を直接ベースバンド信号に変換し、特に、最初に受信信号を中間周波数(IF)信号に変換しない。
【0021】
ワイヤレス通信デバイス100Aは、入来するワイヤレス信号を受信するアンテナ120Aを含む。例として、入来するワイヤレス信号は、符号分割多元接続(CDMA)基地局から送信されたCDMA変調信号を備えることができる。しかしながら、GSM(登録商標)信号または他のタイプのワイヤレス信号もサポートすることができる。図示の例では、アンテナ120Aによって受信されたワイヤレス信号を低雑音増幅器(LNA)および1つまたは複数のフィルタに通すことなどによって、その信号をRF受信機140Aによって処理することができる。次いで、ワイヤレス信号は、(「ダウンミキサ」または「デミキサ」と呼ばれることがある)ミキサ150Aによってベースバンドにミックスダウンされる。ミキサ150Aは、発振周波数を発生するためにDCOを実装することができる周波数シンセサイザ160Aによって生成された基準波形を受信することができる。DCOのアナログ信号に基づく均等物である電圧制御発振器に比較して、DCOは周波数合成プロセスを改善し、場合によってはシステムにおける雑音を低減し、周波数シンセサイザ160Aおよびデバイス100Aの様々な構成要素の簡略化を可能にすることができる。
【0022】
ミキサ150Aがベースバンド信号を生成し、それをアナログデジタル(A/D)変換器170Aがフィルタ処理しサンプリングして、信号の対応するデジタルサンプルを生成することができる。デジタル電圧利得増幅器(VGA)または別の適切な増幅器のタイプなど、1つまたは複数の増幅器180Aを使用して、自動利得制御ユニット(図示せず)から受信した利得値に従ってデジタル値を増幅することまたは減衰させることによって、デジタルベースバンド信号を適宜にスケーリングすることができる。
【0023】
増幅器180Aによるスケーリング後、スケーリングされたデジタルベースバンド信号は、復調器を備えることができるモデムユニット190Aに与えられる。CDMAベースの適用例の場合、モデム190Aは、異なるソース、たとえば、異なる基地局信号から受信した信号、または複数の伝搬経路を介して同じソースから受信した信号、すなわち、マルチパス信号を分離し追跡する、いわゆる「RAKE」受信機を含むことができる。
【0024】
たとえば、モデムユニット190Aは、拡散、ウォルシュデカバリングおよび蓄積、パイロット時間追跡および周波数追跡を実行するいくつかの「フィンガ」を含むことができる。モデムユニット190Aの各フィンガは、対応する経路のためのパイロットおよびデータシンボルを出力する。次いで、パイロットおよびデータシンボルに対してシンボル復調および/または他の信号処理を実行することができる。
【0025】
必要に応じて、ワイヤレス通信デバイス100Aはまた、フィルタおよび様々なデジタルまたはアナログ信号処理構成要素など、追加の構成要素(図示せず)を含むことができる。ワイヤレス通信デバイスは、代替または追加として、時分割多元接続(TDMA)、または周波数分割多元接続(FDMA)、またはCDMA、あるいはこれらのプロトコルの何らかの組合せを使用して信号を処理することを採用することができる。
【0026】
もちろん、他の規格または技法の場合、RAKEフィンガが使用されないことがあるが、本明細書で説明するDCOはそのような規格または技法に等しく有用である。
【0027】
図1Bは、ワイヤレス送信機を組み込んだワイヤレス通信デバイスのブロック図である。図1Aおよび図1B中のデバイスは、同じワイヤレス通信デバイスの一部(たとえば、ワイヤレス送受信器の一部)とすることができ、代替的に、別々のデバイスまたは同じデバイス上の個別モジュールとすることができる。図1B中のワイヤレス通信デバイス100Bは、送信機能が実行されることを除いて図1Aのワイヤレス通信デバイスと同様に機能することができる。
【0028】
モデムユニット190Bからワイヤレス信号を出力でき、モデムユニット190Bは、アンテナ120Bを介した送信用の信号を変調するための変調器を備えることができる。たとえば、CDMAシステムでは、モデムユニット190BにおいてPN符号を用いて信号を変調すること、および/またはウォルシュ符号を用いて信号を拡散すること、または両方を行って、デジタルベースバンド信号を生成することができる。その結果、モデムユニット190Bから出力されたデジタル信号を、デジタルアナログ変換器(DAC)170によってアナログ波形に変換して、アナログベースバンド信号を生成することができる。
【0029】
周波数シンセサイザ160Bは、搬送波形を(「アップミキサ」と呼ばれることがある)ミキサ150Bに与える。周波数シンセサイザ160BはDCO145Bを含む。ミキサ150Bは、アナログベースバンド信号を結合して搬送波信号にし、変調された搬送波信号をスケーリングのために増幅器180Bに転送する。増幅器180Bは、回路のタイプおよび適用例に応じて1つまたは複数の電圧利得増幅器(VGA)、ドライバ増幅器(DA)、および電力増幅器(PA)を含むことができる。異なる増幅器は、同じ集積回路チップ、あるいは複数の異なるチップまたはモジュールに常駐することができる。変調された信号が適切に増幅または減衰されると、RF送信機140Bは、アンテナ120Bを介してワイヤレス通信デバイス100Bから変調されたRF信号を送信することができる。
【0030】
図1Aおよび図1Bのワイヤレス通信デバイス100Aおよび100Bは、本明細書で説明するDCO較正技法を利用することができる例示的なデバイスにすぎないことを諒解されよう。他のタイプのワイヤレス通信デバイス、あるいはより一般的には、DCOを使用する任意のワイヤレスまたはワイヤードデバイスを含む、多くの他のタイプのデバイスも本開示の教示から等しく利益を得ることができる。
【0031】
上記のように、いくつかのワイヤレス規格は、TDMAおよびFDMA変調の組合せを使用するGSM(登録商標)システムなど、2つ以上の通信技法を利用する。GSM(登録商標)は、Global System for Mobile Communicationsを表す。いくつかのIEEE802.11規格、Bluetooth(登録商標)規格、ならびに新生の超広帯域(UWB)技法および規格を含み、いくつかのワイヤレスネットワーキング規格ならびに、他のワイヤレス通信規格および技法も開発された。これらの規格および技法を採用している回路は、ワイヤレス信号の生成および復調において、一般に発振器、特にDCOを使用することができる。
【0032】
例示的なワイヤレス通信デバイスは、セルラーまたは衛星無線電話、無線電話基地局、1つまたは複数のワイヤレスネットワーキング規格をサポートするコンピュータ、ワイヤレスネットワーキングのためのワイヤレスアクセスポイント、ポータブルコンピュータ内に組み込まれたPCMCIAカード、直接双方向通信デバイス、ワイヤレス通信機能を備えた携帯情報端末(PDA)などを含む。
【0033】
本開示で説明するDCO較正技法から等しく利益を得ることができる、ワイヤレスネットワークにおいて使用されるコンピューティングデバイスの例は、ラップトップまたはデスクトップコンピュータ、セルラー無線電話および衛星無線電話など携帯電話、データ端末、データ収集デバイス、PDAおよび他のポータブルおよび非ポータブルコンピューティングデバイスを含むことができる。
【0034】
図2Aは例示的なデジタル制御発振器(DCO)200のブロック図である。この例では、DCO200は、LC回路に応じた周波数を有する発振出力を生成することを行なうインダクタ−キャパシタ回路である。たとえば、出力周波数は、DCO200の構成要素のキャパシタンスを変更することによって変更できる。DCO200は2つの入力を含む。第1の入力202において、DCO200はnビット幅デジタルワードまたはチューニングコードを受信する。基準クロック信号がクロック入力206にストリーミングされる。出力204において、周波数の信号FOUTが生成される。FOUTは、入力202においてチューニングコードの値を変更することによって調整される。この例では、FOUTは入力チューニングコードに直線的に反比例する。したがって、n=4であり、入力チューニングコードが0100である場合、周波数F1が生成される。次いでチューニングコードが0101に変更された場合、理想的な場合では、その結果、F1よりもわずかに低い周波数F2が生成される。
【0035】
出力信号は、DCOの特定の回路構成に応じて、(図示の)方形波、正弦波、または他の形とすることができる。
【0036】
実際には、DCOは、デジタル入力のセットに応答して周波数を漸進的に調整するためのいくつかのチューニングユニットおよびチューニング要素を備える。
【0037】
図2Bは、本開示の一態様によるDCO203の回路図である。DCOは、適用例に応じて様々な方法で構成できることを諒解されよう。DCO203への入力はチューニングコードであり、この例では12ビット2進数である。DCO出力は、以下で説明するように、チューニングコードによって部分的に決定された周波数の(たとえば、ノード271および277における)電圧波形である。
【0038】
図2Bの例は複数の復号器を使用する。ただし、構成に応じて、別の数の復号器、またはいくつかの例では1つの復号器が使用できることを当業者なら諒解されよう。代替的に、復号機能は、ソフトウェアにおいて、1つまたは複数のデジタル信号プロセッサによって、または他のハードウェアにおいて実行できる。この例では、12ビットチューニングコードの4つの最上位ビットは復号器211に入力され、これは、復号された信号をROW0〜ROW15ならびにROW(AUX)に与えるために使用される。DCO203は、16行(ROW0〜ROW15)と16列(COL0〜COL15)との行列を含む。COL0〜COL15の各々は、16個のXチューニングユニットの1つに関連する(明示的に図示されていないが、スラッシュ281は、XおよびXチューニングユニットが中間列にわたって反復されることを示す)。16個のXチューニングユニットの各々はまた、16行ROW0〜ROW15の1つで見つかる。したがって、この構成では、16×16=256Xチューニングユニットの各々は、特定の行および列によってアドレス指定できる。16個のXチューニングユニットに加えて、ROW0〜ROW15からの各行はA0チューニングユニットとB0チューニングユニットとを含む。復号器211からのROW0〜ROW15出力の各出力は、それぞれ1つの対応するAユニット、16個のXユニット、および1つのBユニットに供給する。さらに、16個のX補助チューニングユニットは、マルチビット信号を備えることができる復号器211からの信号ROW(AUX)によって制御される。
【0039】
この例では、全12ビットチューニングコードはまた、チューニングユニットA0およびB0を制御するための16ビットの復号データを生成する復号器209に入力される。12ビットチューニングコードの4つの中間ビットは、COL0〜COL15を制御するための復号ビットを生成する復号器207に入力される。
【0040】
図2Bの構成では、DCO203は、相互コンダクタンス279(−Gm)を発生するインダクタ−キャパシタ回路を含む。要素201はインダクタ−キャパシタ回路のインダクタコイルを表す。DCO203の出力は、正の電圧VP(ノード271)と負の電圧VN(ノード277)との間をトグルする。このトグリングの周波数は、粗デジタルチューニングユニット205および微デジタルチューニング要素の複数のセット、たとえば、A0〜A15、X、X、およびB0〜B15によってデジタル制御される。共に、セットA0〜A15、X、X、およびB0〜B15は、以下で説明するようにDCOの個々のセグメントのための出力波形を駆動するようにさらに編成できる微チューニング要素の行列を構成する。
【0041】
一態様では、粗デジタルチューニングユニット205は、たとえば、ステップあたり5MHz程度の(またはLSB、合計8ビット2進制御で、粗チューニングレンジが約256×5MHz=1.28GHzである)より大きい出力周波数調整を行うために使用でき、微チューニング要素は、たとえば、ステップあたり4KHz以下程度の(またはLSB、12ビット2進制御で、全微チューニングレンジは約4096×4KHz=16.384MHzである)微チューニングを行うために使用できる。
【0042】
上記の例では、復号器は、入力制御コードの1つまたは複数のビット(または各ビット)と1つまたは複数の微チューニング要素との間のマッピングを行うために使用できる。復号器のマッピングは、以下で説明するように、ギャップおよびオーバーラップ測定の得られた値によって行われる。本明細書を読めば、これらのマッピングが本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な知られている技法によって達成できることを当業者は諒解されよう。
【0043】
他の実施形態では、ギャップの場合、また(下記の)オーバーラップの場合、補助構成要素を与えるために、(Xなど)微チューニングユニットの補助「ミラー」アレイが、図112中の微チューニングユニットのアレイに隣接して常駐することができる。他の場合には、これらの要素は、DCOの回路レイアウトの外側、半導体ダイの外側、またはDCO回路が常駐するモジュールの外側に常駐することができる。
【0044】
図2Cに、それぞれ、チューニングユニットA0、X、ならびにB0およびXに対応する、個々のユニット212、214、216、および218を示す。各チューニングユニットは出力VPと出力VNとに結合される。入力INPは、DCO出力周波数の粒度レベル調整のためのチューニングユニット中の1つまたは複数のスイッチ(たとえば、CMOSトランジスタのゲート)を制御する、入力制御コードの1つまたは複数のビットに対応する。入力INPは、チューニングユニット212、214、216、および218のチューニング要素(図2D参照)中のどのキャパシタがオンおよびオフであるかを制御し、それによって、キャパシタンスの増分量を回路に追加するか、またはそこから除去して、所望の出力周波数を達成することができる。図示の回路では、スイッチをアクティブにすることによってチューニングユニットに追加のキャパシタンスを追加し、それによって出力波形の周波数を漸進的に低減する。一例では、論理1(「高」電圧レベル)はNMOSトランジスタをオンにし、それによってスイッチをアクティブにし、この目的を達成する。このために、一態様では、論理1がより多くなると、したがってチューニングコードがより高くなると、周波数がより低くなる。
【0045】
図2Cの例では、チューニングユニット212、214、216、および218の各々は構造的に同じであるが、そうである必要はない。各々は、例として、それぞれ調整を行うために使用される2つの主キャパシタ(図2D参照)を備えることができる、16個の個々のチューニング要素を含んでいる。図示の簡略図では、別々のビットを使用して16個の個々のチューニング要素の1つを制御することができるように、16ビットがチューニングユニットA0に入力される。チューニングユニットXの場合、単一のビットを使用して、チューニングユニットX中のすべてのスイッチが同時にオンまたはオフのいずれかになるように全16個の要素を制御することができる。他の実施形態では、2つ以上のビットを使用して、チューニング要素X中のチューニング要素を制御することができる。チューニングユニットB0は、この例では、チューニングユニットA0と同様の様式で機能する。異なるタイプおよび異なる数のチューニングユニットおよびチューニング要素が等しく好適であることを諒解されよう。
【0046】
チューニングユニットXは、本開示で説明する出力周波数対入力チューニングコードのプロットにおける非線形性(ギャップまたはオーバーラップ)の場合をカバーするために使用できる補助チューニングユニットである。一態様では、補助チューニングユニットXは16個の補助チューニング要素を含み、各チューニング要素は16個の小さいキャパシタを含む。したがって、この例では、16個のユニットXは、制御すべき16=256個のユニットキャパシタを有し、図2Cに示すように復号器からの8ビット2進制御を必要とする。この場合、16Xユニット制御へのチューニングコードの例示的な復号器マッピングは、以下の通りである。
【0047】
Aux MSB(ビット7)は8つのXユニットを制御する
ビット6は4つのXユニットを制御する
ビット5は2つのXユニットを制御する
ビット4は1つのXユニットを制御する
ビット3は残りのXユニット中のキャパシタの半分(8)を制御する
ビット2は残りのXユニット中の4つのキャパシタを制御する
ビット1は残りのXユニット中の2つのキャパシタを制御する
ビット0は残りのXユニット中の1つのキャパシタを制御する
図2Dは、図2C中のチューニングユニットの1つ(たとえば、X)の内で見つかるものなど、DCOのための例示的なデジタルチューニング要素213の回路図である。そのようなチューニング要素の多くは、図2Bおよび図2Cを参照しながら論じるように、DCO中のチューニング要素のアレイ中に含めることができる。場合によっては、4096個以上のデジタルチューニング要素213を、そのようなアレイ中に含めることができる。デジタルチューニング要素213が微チューニング要素を備える場合、各追加された微チューニング要素213は、1つの構成では、VPとVNとの間のトグリングの周波数に対する約4KHzの制御を行うことができる。これらのデジタルチューニング要素は、4KHz未満の増分でのDCOの周波数の制御のために十分な分解能を与える限り、極めて有用である。もちろん、所与のDCOの分解能レベルは、適用例の性質に応じて変動する設計問題上の詳細事項として残される。
【0048】
一態様での各デジタルチューニング要素213は、プレートキャパシタ215Aおよび215B、ならびにプレートキャパシタ215Aとプレートキャパシタ215Bとの間の3つのトランジスタ217A、217B、および217Cを備えることができる。3つのトランジスタ217A、217B、および217Cはnチャネル金属酸化物半導体(NMOS)トランジスタを備えることができる。より詳細には、デジタルチューニング要素213は、第1のプレートキャパシタ215Aと、第2のプレートキャパシタ215Bと、第1のプレートキャパシタ215Aを第2のプレートキャパシタ215Bに結合する第1のトランジスタ217Aと、第2のプレートキャパシタ215Bを接地に結合する第2のトランジスタ217Bと、第1のプレートキャパシタ215Aを接地に結合する第3のトランジスタ217Cとを備える。
【0049】
3つのトランジスタ217A、217B、および217Cは、この例では、共通ゲート電圧Vgによって制御される。第1のトランジスタ217Aのドレインはプレートキャパシタ215Aの第1の側に結合され、第1のトランジスタ217Aのソースはプレートキャパシタ215Bの第2の側に結合される。第2のトランジスタ217Bのドレインはプレートキャパシタ215Bの第2の側に結合され、第2のトランジスタ217Bのソースは接地電圧に結合される。第3のトランジスタ217Cのドレインは第1のプレートキャパシタ215Aに結合され、第3のトランジスタ217Cのソースは接地電圧に結合される。
【0050】
制御ビット(すなわち、トランジスタへのゲート電圧Vg)が高(デジタルビット=1)であるとき、すべての3つのトランジスタ217A、217B、および217Cはオン状態になる。このとき、2つのキャパシタ215Aおよび215Bは接地に効果的に分路され、キャパシタの電圧を放電する。制御電圧(Vg)が低(デジタルビット=0)であるとき、すべての3つのトランジスタ217A、217B、および217Cはオフになる。このとき、2つのキャパシタ215Aおよび215Bはトランジスタ217A、217B、および217Cの両側で浮動し、回路への装荷を効果的に行わない。2つの状態間の差は、VPとVNとの間のトグリングの出力周波数を極めて微細な増分で調整するためにデジタルチューニングアレイにおけるキャパシタンスを効果的に変化させる。この例での2つのトランジスタ217Bおよび217Cは、キャパシタ215Bとキャパシタ215Aとの間の2つのノードをほぼ接地レベルに維持するために、制御電圧が低から高に切り替わるとき、その2つのノードの高速復元を行う。
【0051】
図3は、理想的な場合のDCO出力周波数対DCO制御コードを示すプロットである。プロットは、水平軸にDCO制御コードを、垂直軸にMHz単位のDCO出力周波数を示す。左から右への水平軸は一連の上方に進行するデジタル制御コードを表す。この例では、制御コードは、4つの最上位ビット(MSB)と8つの最下位ビット(LSB)とを備える12ビットデジタルワードである。0000、0001、0010、0011、および0100を含む、複数の線またはセグメントが示されている。簡単のために、各セグメントを上位4つのMSBのみによって参照する。1つのセグメントは、この例では、単一の4ビットMSB値内の入力制御コードの全範囲に対応する。たとえば、セグメント0000は、(0000,0000,0000)〜(0000,1111,1111)の12ビット制御コードの範囲を含んでいる。次のセグメント0001は範囲(0001,0000,0000)〜(0001,1111,1111)を含んでおり、以下同様である。
【0052】
一実施形態では、各セグメントは、入力コードに基づいて出力周波数を調整するためのチューニング要素の別々のグループに対応する。たとえば、図3によって特徴づけられる例示的なDCOでは、4つのMSBが2=16個のセグメントに対応する。16個のセグメントの各々は、(8LSBの場合)256個の温度計符号化要素のアレイを含むことができる。1つのアレイを1つのセグメントに使用し、別のアレイを別のセグメントに使用し、以下同様とすることができる。入力制御コードがnビット長を有する場合、2チューニング要素が使用される。この例では、12ビットDCOが使用される場合、構造は少なくとも212=4096個のチューニング要素を含むことができる。図3に示す例は、図2の回路と同様に、負のKVの場合を表す。すなわち、デジタル入力が増加するにつれて回路の全キャパシタンスが増加するので、出力周波数は、増加するチューニングコードに応じて低下する。他の態様では、逆の場合もそのようになる。
【0053】
概して、この実施形態では、4つのMSBにおける変化は出力周波数におけるより高いレベルの調整に対応し、8つのMSBにおける変化は出力周波数におけるより低いレベルの調整に対応する。セグメントは、様々な手段によってDCO中で実装できる。さらに以下で論じる一態様では、DCOは、(たとえば、上記の図2に関して論じた1つまたは複数の回路構成要素など)残りのDCO回路構成要素とともに、デジタル入力に基づいて出力周波数波形の調整を集合的に行う、チューニング要素のアレイを用いて構成される。
【0054】
ポイント106は、セグメント(0000,1111,1111)〜(0001,0000,0000)のコード切替えポイントに対応する。この理想的な場合、コードがこの第1の切替えポイントからこの次の切替えポイントまで連続的に増加するので、周波数プロットは線形のままであり、セグメント間にチューニングステップの不連続性がない。同様に、周波数は、ポイント108において、連続する切替えポイント(0011,1111,1111)と(0100,0000,0000)との間を円滑に遷移する。実際の実装形態におけるDCOがこの線形関係に近似することができる場合、実質的に増加した回路パフォーマンスを実現することができる。
【0055】
図3は、入力制御コードに応じた線形チューニング周波数を表す直線を示すが、実際には、DCOは連続的ではない。アナログVCOとは異なり、DCOのデジタル性質は、周波数出力が離散的ステップでのみ生じ得ることを意味する。しかしながら、大部分の適用例では、ステップを、連続する制御コード間で数KHz以下程度の周波数差など、非常に小さくすることができる。
【0056】
図3によって特徴づけられるDCOの理想的な場合では、周波数チューニングは制御コードにわたって単調である。出力波形FOUTは、デジタル入力コードに応じて線形的に減少する。残念ながら、(1)DCO回路レイアウトにおける不整合、(2)異なるコードセグメントに対応する制御線インピーダンスおよび寄生値の差、ならびに(3)プロセス変動などの問題のいずれかまたは組合せにより、周波数対制御コードの線形関係を破壊するチューニング不連続性が生じる。
【0057】
図3の例では、レイアウト不整合、インピーダンスおよび寄生変動は、異なるセグメントに対応するグループ間でより顕著に生じる場合がある。図4は、ギャップを示すDCO出力周波数対DCO制御コードを示すプロットである。図3の場合のように、左から右への水平軸は、一連の上方に進行するデジタル制御コードを表す。垂直軸は、MHz単位のDCOの出力周波数を示す。4つのギャップG、G、G、およびGが4つのセグメント0001と0010と0011と0100との間に生じる。例示するために、ポイント419はセグメント0001上の最右ポイント、すなわち制御コード(0001,1111,1111)を表し、ポイント423はセグメント0010上の最左ポイント、すなわち制御コード(0010,0000,0000)を表す。理想的な場合では、ポイント419の周波数f0は、次の連続する制御コードに対応するポイント423において、セグメント内の他の場所にある連続する制御コード間で周波数が変化するのと同じ量(たとえば、4KHz)だけ、f1に低下する。しかしながら、上述のように実際の設計制限により、周波数ギャップGが存在し、それにより、DCO出力周波数は、連続する制御コードに対して、より大きい量(たとえば、4KHzではなく20KHz)だけ変化する。ギャップの存在は、一般に、DCOが通常動作状態下で出力し得ない周波数ポイントの消失が存在することを意味する。そのようなギャップにより、回路パフォーマンスが低下し、しばしば予測不可能になる。
【0058】
図5は、オーバーラップの発生を示すDCO出力周波数対DCO制御コードを示すプロットである。セグメント0000および0001はオーバーラップインスタンスO1を含んでおり、セグメント0001および0010はオーバーラップインスタンスO2を含んでおり、セグメント0010および0011はオーバーラップインスタンスO3を含んでおり、セグメント0011および0100はオーバーラップインスタンスO4を含んでいる。オーバーラップの場合、2つ以上の制御コードが同じ周波数に対応することがある。たとえば、ポイント506は(0010,1111,1110)の制御コードに対応し、ポイント508は(0011,0000,0011)に対応する。オーバーラップの場合の両方の制御コードは、破線f0によって示されるように、同じ周波数に対応することがある。これらの重複周波数は、周波数シンセサイザにおける信頼できないパフォーマンスを生じ、PLLに位相誤差を導入する傾向がある。
【0059】
図6は、ギャップG1と、オーバーラップインスタンスO1、O2、およびO3の両方の形態の不連続性を示すDCO出力周波数対DCO制御コードを示すプロットである。たとえば、シリコンCMOSプロセス中に集積回路として実装される図1Aのワイヤレス通信デバイス100Aなどの実際の回路では、不連続性は、ギャップまたはオーバーラップのいずれか、あるいはその両方の形態で存在することがある。一方または他方(または両方)の存在は、連続する制御コードを有するセグメントを駆動するチューニング要素のアレイ間のレイアウトおよび回路不整合の性質によって部分的に判断される。
【0060】
図7は、オーバーラップ補正を示すDCO出力周波数対DCO制御コードを示すプロットである。明快のために、この図では、12ビットの制御コードの各々を3つのセグメント702、704、および706について示している。図7のプロットによって特徴づけられるDCOでは、2つのオーバーラップインスタンスが示され、それぞれ、値(Δx,Δオーバーラップ1)および(Δx,Δオーバーラップ2)によって特徴づけられる。
【0061】
一態様では、オーバーラップの場合のDCOは、その入力を動的に再定義することによって較正できる。DCOの切替えポイントをセグメント間で変更することができ、新しいマッピングテーブルを新しい切替えポイントに基づいて作成することができる。たとえば、図7において、セグメント702〜704の間およびセグメント704〜706の間の既存の切替えポイントは、以下の通りである。
【数1】

【0062】
3つのセグメントの新しいコード切替えポイントは、以下の通りである。
【数2】

【0063】
上式で、Δxは、Δオーバーラップに対する制御コードの値の対応する変化の量を表し、Δオーバーラップは、セグメント間の周波数オーバーラップの量(たとえば、MHz単位)である。
【0064】
以下で図9〜図14に関連して論じる一実施形態では、PLLが埋め込まれた集積回路の初期化または始動時に不連続性を識別するための処理システムがDCOに結合される。オーバーラップインスタンスを識別した後、処理システムは、新しいコード切替えポイントを作成し、その新しい切替えポイントをマッピングテーブルに動的に記憶する。
【0065】
図8は、ギャップ補正を示すDCO出力周波数対DCO制御コードを示すプロットである。3つのセグメント802、804、および806が示されている。制御コードは12ビットである。ここで再び、制御コードの特定の長さは単に説明のためのものであり、適用例に応じて別の長さを企図することができる。
【0066】
一態様による較正手順は、前述のように、DCO入力を再定義することによって開始する。しかしながら、ギャップの場合、DCOは、通常動作中に一定の出力周波数を生成することができないので、補助チューニング要素(図12〜図13)を使用して、DCO出力波形に必要な周波数調整を行うことによって、DCO中の既存のチューニング要素を補完することができる。以下で説明する一実施形態では、補助チューニング要素は、DCO回路モジュールに隣接した整合トランジスタ素子のアレイまたはその一部として与えられる。
【0067】
3つのセグメントの新しいコード切替えポイントは、以下の通りである。
【0068】
元のチューニングコード行切替えポイントの場合:(0000,1111,1111)−(0001,0000,0000)、周波数ステップギャップΔギャップ1は、この周波数ギャップを補償するためにAUX(Δギャップ1)要素をオフにすることによって補助チューニング要素によって補償される必要があり、全体としてこの切替えの場合、チューニングステップは線形になる(803a〜803b)。元のチューニングコード行切替えポイントの場合:(0001,1111,1111)−(0010,0000,0000)、周波数ステップギャップΔギャップ2は、この周波数ギャップを補償するためにAUX(Δギャップ2)要素をオフにすることによって補助チューニング要素によって補償される必要があり、全体としてこの切替えの場合、チューニングステップは線形になる(805a〜805b)。
【0069】
チューニングの非線形性に関する16個の行からの15個の切替えポイントを有するこの例では、ギャップの場合を補償するために合計15個の補助チューニング要素がある。15個の補助チューニング要素は、その必要はないが、別個のものであるとすることができ、また、たとえば、異なる切替えポイントに対して異なる制御を用いる大きい補助チューニング要素から得ることができる。これについて以下で説明する。
【0070】
この図では、採用すべき補助要素の数は、ギャップの幅、DCOの周波数分解能、および他のファクタなど、いくつかのファクタに依存することができる。一般に、DCOの周波数分解能が小さいほど、出力周波数消失を補償するためにより多くの補助チューニング要素が必要になることを意味する。
【0071】
図7および図8に記載した上記のコード切替え技法は、新しいマッピングを含んでいる符号器として実装でき、(1)式(1.3)および式(1.4)は、すべてのDCOセグメントについてのオーバーラップのy回の発生について一般化でき、(2)式(1.7)および式(1.8)は、すべてのDCOセグメントについてのギャップのz回の発生について一般化できる。ギャップの場合の新しい出力周波数波形は、補助入力コードアレイの選択されたチューニング要素を使用して実現できる。
【0072】
以下の式は、一態様では、図2Bを参照しながら示したものなど、1つまたは複数の復号器を使用してDCO行チューニング非線形性を補正する、ギャップおよびオーバーラップの一般化された場合を提示する。この例では、合計16個の行を考え、行0000,0001,0010,......0111,1000,1001,1010,...1111が数値的に割り当てられる。さらに、この例では、各隣接行間の不連続性が識別され、測定された(図9および図10参照)と仮定する。
【0073】
一態様では、オーバーラップの場合、チューニングステップのOVRの4つの最下位ビット(lsb)、すなわちOVR(0000,0001)に対応する隣接行間のオーバーラップ周波数を、行0000と行0001との切替え間のオーバーラップコードとして示す。GAPの場合、チューニングステップのGAPlsb、すなわちGAP(0000,0001)に対応する隣接行間のギャップ周波数を、行0000と行0001との切替え間のギャップコードとして示す。切替えポイントごとに、GAPまたはOVRのいずれかのただ1つの場合が存在する。
【0074】
この例示的な復号器機能の場合、中間コード1000から開始する。制御コードが行1000にあるとき、補正を実行することなしにデフォルト値を使用することができる。以下の式は、復号器がどのように動作するかを記述する。
【0075】
入力<11:0>[12ビット]
Output_aux<7:0>[8ビット]、補助チューニング要素のための制御である。簡単のために、これのlsbが主DCOチューニングコードlsbのlsbに一致すると仮定する。
【0076】
ケース(行):
1000:output_aux=1000,0000(行1000において、補助チューニング要素ブロックコードは中心1000,0000にあり、半分のチューニング要素はオンであり、半分のチューニング要素はオフである。この構成は、すべての状態の最適なカバレージを与える)
1001:output_aux=1000,0000+OVR(1000,1001)−GAP(1000,1001)
1010:output_aux=1000,0000+OVR(1000,1001)−GAP(1000,1001)+OVR(1001,1010)−GAP(1001,1010)
1011:output_aux=1000,0000+OVR(1000,1001)−GAP(1000,1001)+OVR(1001,1010)−GAP(1001,1010)+OVR(1010,1011)−GAP(1010,1011)...
......(同じ原理をもつ行1100、1101、1110、1111についても同様の式である)
0111:output_aux=1000,0000−OVR(0111,1000)+GAP(0111,1000)
0110:output_aux=1000,0000−OVR(0111,1000)+GAP(0111,1000)−OVR(0110,0111)+GAP(0110,0111)
0101:output_aux=1000,0000−OVR(0111,1000)+GAP(0111,1000)−OVR(0110,0111)+GAP(0110,0111)−OVR(0101,0110)+GAP(0101,0110)
......(同じ原理をもつ行0100,0011,0010,0001,0000についても同様の式である)
図9Aは、閉ループPLLを使用してDCO不連続性を測定するための較正回路の図である。本明細書で示した技法は、DPLLを使用した集積回路を必要とする適用例に十分に好適であるが、本技法は、PLLが必要とされ、少なくとも1つのDCOがPLLの発振器機能を与えるどんな適用例にも使用できる。本技法は、「工場」手順として(またはチップサプライヤなどによって)、あるいは代替的に、デバイス始動時またはチップ初期化時の自動プロセスとして採用できる。較正回路は、「オンボード」処理回路とともに作動して、較正機能(図13参照)を実装することができる。代替的に、オフチップモジュールまたは外部コンピュータを使用して、デバイスを較正することができる。
【0077】
図9A中のチューニング機構は、PLLを動作させること、およびループフィルタの電圧または電流測定を行うことに依拠する。しかしながら、閉ループPLLシステム中の他のポイントが、本明細書に記載の測定を行うのに等しく好適であることを当業者は諒解されよう。図9Aの較正回路を使用して、閉ループ動作中にループフィルタにおいて対応するDCO RMS制御値を測定することによって、DCOセグメントにわたる周波数応答を定量化することができる。一般に、DCO制御コードは、オーバーラップまたはギャップが存在するときにPLL閉ループ動作中に明らかなRMS誤差を有する傾向がある。そのような誤差の大きさの測定は必要な補正量の定量化を与える。
【0078】
低域フィルタ(LPF)902の入力に結合された制御線912は、較正すべきDCOに関連するPLLからのループフィルタ(図示せず)の出力にも結合される。したがって、線912は閉ループDCO制御コードを表す。(LPF902を介した)制御コードのフィルタ処理されたバージョン913がコンパレータ904においてそれ自体と比較されて、出力波形915を生じる。RMS検出器906は、波形915のDCO制御RMS値を値919として測定する。値がフィルタ処理され(917)、次いでコンパレータ910においてプログラムしきい値914と比較されて、ギャップまたはオーバーラップの存在を出力916として判断する。
【0079】
図9Bは、図9Aの回路に関する波形を示す一連のプロットである。破線波形918は、DCO不連続性が存在する場合のDCO制御コード912を示し、波形920は、実質的に不連続性がない制御コード912を示す。波形918は、著しくより大きい発振量を有し、不連続性をなくすためにそれ自体を位相補正しようと試みたときの閉ループの不安定性を反映する。LPF902は波形912から高周波雑音を除去するために使用され、得られた比較は波形915を生成する。波形915は、比較に照らして0電圧を中心とする、912の波形と同様の波形を生成する。
【0080】
RMS検出器906は、不連続性の対応するRMS値を測定する。閉ループシステムの電圧出力は一般にフィードバックループに固有の雑音により発振するという点で、RMS測定はより有用な場合がある。チューニング範囲内に不連続性があり、DCOがこの範囲の近くにロックされた場合、DCOはこの不連続性を方々に動かし、ループは、不連続性に応じて補償を試みるために飛び回る際に、より雑音が多くなる。したがって、RMS検出器を使用して、不連続性の大きさを定量化することができる。RMS検出器は、様々な手段を使用して実装できる。一般に、RMS検出器906は、不揮発性メモリに記憶できる、PLLループフィルタの出力における電圧の絶対値またはAC RMS値のいずれかを測定することが可能な任意の回路を備えることができる。一態様では、RMS検出器906は、電流コンパレータ904の出力値を記録し、その出力値を2乗し、それを前の2乗値に加算し、次いで規定数のサンプルの平方根をとるデジタル信号プロセッサとして実装される。波形917は、RMS検出器906の出力を絶対値として示す。ギャップが存在する場合、波形917は、一般に、より高いまたはより低い帯域幅にジャンプする。
【0081】
次に、不連続性が実際に存在するかどうかを判断するために、コンパレータ910において不連続性の測定値919をプログラムされたしきい値914と比較する。一般に、プログラムされたしきい値914は、ある程度の許容差を規定するために定義され、それを超えると、適用例にとって重要であると考えられる基準に照らしてパフォーマンスに過度に影響を及ぼさないと考えられる、極めて小さい不連続性は容認できると見なされる。プログラムされたしきい値914は、適用例のニーズおよびデバイスの所望の精度に基づいて変動することができる。
【0082】
トライアルコードごとに、DPLL制御コードは、DCOセグメントにわたって掃引して、ギャップとオーバーラップの両方の対応するチューニングRMS値を測定するようにプログラムできる。DCOは、最小限に抑えられたトライアルコード範囲を得るように特徴づけることができる。RMS値測定はDPLLにおける組込み関数である。すなわち、測定はDPLLの内部構成の関数である。異なる周波数帯域は異なる補正コードを有することができる。一般に、図9A中の回路から得られたRMS値を使用して、ギャップおよび/またはオーバーラップ測定値の大きさの推定値を得ることができる。1つの構成では、推定された値と再測定された出力値とを使用してDCOを掃引することができる。この試行錯誤手法を使用して、ギャップおよびオーバーラップの正確な補正値を得ることができる。
【0083】
別の態様では、DCOの開ループ周波数を測定して、オーバーラップおよびギャップの発生を判断し、較正のためにこれらの値を定量化することができる。PLLは不要であり、すなわち、この手法を使用して任意の回路適用例におけるDCOを較正することができる。それぞれ、整数サイクルカウントおよび分数サイクルカウントを与えるためのアキュムレータおよび時間デジタル変換器を使用して、DCO周波数を測定することができる。図10Aは、開ループDCO周波数を使用してDCO不連続性を測定するための較正回路の図である。DCO制御コードの範囲は、1002においてRFアキュムレータ1003と時間デジタル変換器(TDC)1009とに入力され、その両方はタイプ1010(図10B)の基準周波数1004によって駆動される。周波数カウンタ構成は、サイクルカウントに基づく周波数の決定を可能にする。RFアキュムレータ1003は整数カウントを測定し、TDC1004は分数カウントを測定する。いくつかの構成では、アキュムレータオーバーフローの場合に加算器を使用することができる。図示の例では、RFアキュムレータ1003は20ビットアキュムレータである。
【0084】
RFアキュムレータ1003およびTDC1009の出力はアキュムレータおよびデグリッチブロック1007に与えられる。また、アキュムレータおよびデグリッチブロック1007には、基準周波数1004およびイネーブル/ディセーブル入力1006(図10B)が供給される。イネーブル/ディセーブル入力1006は、サイクルカウントの開始をトリガする立上りエッジSTRと、サイクルカウントを終了する立下りエッジSTPとを含む。出力波形1008が生成される。
【0085】
一態様では、RFアキュムレータ1003の出力はモジュロアキュムレータ出力であり、負帰還要素1005の出力はアキュムレータステップ出力である。アキュムレータおよびデグリッチブロック1007は、整数波形と分数波形との間のタイミングオフセットを解決することができる。この方法では、ブロック1007は、サイクルカウントを時間的に整列させる検出回路を含むことができる。出力1008は、規定の測定期間の間のDCOサイクルの測定値である。異なるチューニングコードの異なるサイクルカウントを識別したことに基づいて不連続性を判断し、定量化することができる。DCOの出力周波数は、サイクルカウントの逆をとることによって得られる。非線形性を補正するために、入力コードの範囲を入力し、DCOにわたって対応する測定を行うことができる。
【0086】
図11は、DCOをチューニングするための構成要素のブロック図である。構成要素セット1124は、位相アキュムレータ1104と、位相レジスタ1104と、DAC1106と、チューニング要素1108と、補助チューニング要素1110と、ループフィルタ1111とを含む。構成要素セット1126は、基準クロック1114と、処理システム1116と、メモリ1118と、較正回路1120とを含む。基準クロック1114は、DCOのために使用される水晶発振器を備えることができる。一態様では、構成要素セット1124および1126は、図1のワイヤレス通信デバイス100Aまたは100Bなどの集積回路に実装される。たとえば、構成要素セット1124および1126は、基地局との間でワイヤレス信号を送信および受信するための移動局内で使用するためのCDMAトランシーバチップ上に常駐することができる。トランシーバチップは、様々なデジタル信号処理機能を含むデジタルブロック、ならびにアプリケーションプロセッサを含むことができる。これらのブロックのうちの1つまたは複数は処理システム1116として働く。メモリ1118は1つまたは複数のオンチップバッファまたはレジスタとして含めることができる。較正回路1120は、ギャップおよびオーバーラップのための値を判断するための図9Aおよび図10Aに示した回路構成要素のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0087】
他の態様では、構成要素セット1126の機能は別のチップまたはモジュール上で実現できる。たとえば、処理システム1116はチップセット中の別のチップとして含めることができる。代替的に、処理は、ベンチ局におけるローカルコンピュータによってソフトウェアで実行できる。メモリ1118は、RAM、ROM、PROM、ハードドライブ、リムーバブル記憶装置または別の適切な媒体など、DCOが常駐するチップとは別個のメモリとすることができる。較正回路1120は、デジタル信号処理回路、またはソフトウェアアルゴリズムに統合できる。代替的に、別のモジュールに与えることができる。一態様では、オンチップアプリケーションプロセッサ、メモリバッファ、コンパレータセット、アキュムレータ、時間デジタル変換器およびアキュムレータデグリッチャはすべて、DCOとともにDPLLを含んでいる、1つのCDMAトランシーバチップ上に与えられる。しかしながら、DCOを使用する任意のタイプの回路デバイスを使用することができ、DPLLは必要とされないことを諒解されよう。
【0088】
セット1124中の構成要素は、必ずしも物理的に近位である、またはセット1126が機能的に別個であることを示すのではなく、単にDPLLの機能的部分としてこれらの構成要素間の対話を示すためにグループ化される。線1119は、2つのリンクされた構成要素間の特定の関係ではなくセット1126中の構成要素間の一般的機能的関係を示す役割をはたす。線1122は、一態様では、2つの構成要素セット(またはそのいくつかの変形体)が異なるセットまたはモジュールに分離できることを示す。また、線1121、1125、1127、および1123は、セット1126の構成要素とセット1124の構成要素との間の対話を示す。
【0089】
補助チューニング要素1110はセット1124中に示されている。ギャップの場合、1つまたは複数のそのようなチューニング要素は、上述のように選択される。
【0090】
図12は、本開示の一態様によるDCOを較正するための方法の流れ図である。1202において、DCOとともに使用するDCOコードの初期セットを判断する。この初期セットの判断は、単に製造業者またはチップサプライヤによって指示された指定されたコードのセットの識別(1202A)とすることができる。代替的に、判断は、試験施設において、またはサプライヤによって行われる手順においてなど、コードの新しいセットを判断すること(1202B)に関連することがある。判断は、知られているコードを使用することとカスタム判断を行うこととの組合せなど、他の方法(1202C)で行われることがある。一態様では、初期セットはオンチップメモリ1118に記憶される。
【0091】
その結果、出力周波数レンジを識別する(1204)。一態様では、このステップは、オンチップメモリ1118に書き込まれ、記憶されたコードによって処理システム1116によって自動化され、図9および図10を参照して論じた技法のうちの1つまたは複数を使用する較正回路1120とともに、処理システム1316によって実行される。たとえば、周波数カウンタは図9中のアキュムレータ1007の出力において、サイクルの数をカウントするために使用され、これは入力コードごとに出力周波数を決定するために使用される。
【0092】
周波数レンジにおけるギャップおよびオーバーラップの存在を判断する(1206)。いくつかの態様では、ステップ1204およびステップ1206は連続しておらず、むしろ初期セット中の複数の入力コードごとに順に繰り返す。他の態様では、ステップ1204が最初に行われる場合がある。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な構成が可能である。オーバーラップが存在する場合、オーバーラップ周波数に対応する制御コードを除去し(1208)、制御コードの修正されたセットを記録する(1211)。ギャップが存在する場合、ギャップを充填する周波数を生成するために制御コードを追加し(1210)、修正されたセットを記録する。制御コードの1つ、サブセット、またはセグメントを一度に分析する構成において、制御は1206に戻る。
【0093】
もはや不連続性が識別されなくなった後、不揮発性メモリを備えることができるDCOマッピングテーブルに新しいセットを記憶する。その時点で、較正は完了し、プロセスが終了する(1212)。
【0094】
1つまたは複数の例示的な実施形態では、説明した機能はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはその任意の組合せで実装できる。ソフトウェアで実装する場合、機能は、1つまたは複数の命令またはコードとしてコンピュータ可読媒体上に記憶するか、あるいはコンピュータ可読媒体を介して送信することができる。コンピュータ可読媒体は、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を可能にする任意の媒体を含む、コンピュータ記憶媒体と通信媒体の両方を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスできる任意の利用可能な媒体でよい。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMもしくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶デバイス、または命令もしくはデータ構造の形態の所望のプログラムコードを担持または記憶するために使用でき、コンピュータによってアクセスできる任意の他の媒体を備えることができる。また、いかなる接続もコンピュータ可読媒体と適切に呼ばれる。たとえば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術は、媒体の定義に含まれる。本明細書で使用するディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(disc)(CD)、レーザディスク(disc)、光ディスク(disc)、デジタル多用途ディスク(disc)(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク(disk)およびブルーレイディスク(disc)を含み、ディスク(disk)は、通常、データを磁気的に再生し、ディスク(disc)は、データをレーザで光学的に再生する。上記の組合せもコンピュータ可読媒体の範囲内に含めるべきである。
【0095】
図13の処理システム1316を含む、本明細書で開示した態様に関して説明した様々な例示的な論理ブロック、モジュールおよび回路は、集積回路(「IC」)、アクセス端末、またはアクセスポイント内に実装できるか、またはそれらによって実行できる。ICは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲートもしくはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、電子的構成要素、光学的構成要素、機械的構成要素、または本明細書に記載の機能を実行するように設計されたそれらの任意の組合せを備えることができ、ICの内部に、ICの外側に、またはその両方に常駐するコードまたは命令を実行することができる。汎用プロセッサはマイクロプロセッサとすることができるが、代替として、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械とすることができる。プロセッサは、コンピューティングデバイスの組合せ、たとえば、DSPとマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つまたは複数のマイクロプロセッサ、あるいは任意の他のそのような構成として実装することもできる。
【0096】
本明細書の教示は、様々な装置(たとえば、デバイス)に組み込む(たとえば、装置内に実装する、または装置によって実行する)ことができる。たとえば、本明細書で教示した1つまたは複数の態様は、電話(たとえば、セルラー電話)、携帯情報端末(「PDA」)、娯楽デバイス(たとえば、音楽またはビデオデバイス)、ヘッドセット(たとえば、ヘッドフォン、イヤピースなど)、マイクロフォン、医療デバイス(たとえば、生体センサ、心拍数モニタ、歩数計、EKGデバイスなど)、ユーザI/Oデバイス(たとえば、時計、遠隔制御装置、照明スイッチ、キーボード、マウスなど)、タイヤ空気圧モニタ、コンピュータ、販売時点管理デバイス、娯楽デバイス、補聴器、セットトップボックス、または他の好適なデバイスに組み込むことができる。
【0097】
本明細書の教示はワイヤレスデバイスに限定されず、DCOが実装されたまたは実装できる、任意の電子デバイス、モジュール、または回路に拡大することができる。「スタンドアロン」構成要素またはモジュールあるいは別のモジュールまたは電子デバイスの統合部分であるかどうかにかかわらず、そのようなデバイスは、それ自体の中にICまたはプロセッサを含むか、あるいは別の電気回路構成要素を含むことができる。
【0098】
以上の説明は、当業者が本明細書で説明した様々な態様を実行できるようにするために提供したものである。これらの態様に対する様々な変更は当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義した一般的原理は他の態様に適用することができる。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示された態様に限定されるものではなく、言語的主張に矛盾しない最大限の範囲を与えられるべきであり、単数形の要素への言及は、明確にそう明記されていない限り、「ただ1つの」を意味するものではなく、「1つまたは複数の」を意味するものである。別段に明記されていない限り、「いくつかの」という語は「1つまたは複数の」を表す。当業者に知られている、または後に知られることになる、本開示全体にわたって説明した様々な態様の要素のすべての構造的および機能的均等物は、参照により本明細書に明白に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されるものである。さらに、本明細書に開示したいかなることも、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に具陳されているかどうかにかかわらず、公に供するものではない。いかなるクレーム要素も、その要素が「手段」という語句を使用して明白に具陳されていない限り、または方法クレームの場合には、その要素が「ステップ」という語句を使用して具陳されていない限り、米国特許法第112条第6項の規定に基づいて解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DCOを較正する方法であって、
前記DCOを動作させるためのチューニングコードの初期セットを決定することと、
前記初期セットから生成された出力周波数レンジを識別することと、
前記周波数レンジにおける少なくとも1つのオーバーラップインスタンスを識別することと、
修正されたセットを確立するために前記少なくとも1つのオーバーラップインスタンスに対応するチューニングコードを前記初期セットから除去することと
を備える方法。
【請求項2】
前記周波数レンジにおける少なくとも1つのギャップを識別することと、
前記少なくとも1つのギャップを実質的に充填する出力周波数値に対応するチューニングコードを前記初期セットに追加することと
をさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項3】
前記初期セットと前記修正されたセットとがマッピングテーブルに符号化される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記DCOがPLLの一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つのオーバーラップインスタンスを前記識別することが、前記PLLの交流RMS制御値を測定することを備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つのオーバーラップインスタンスを前記識別することが、前記初期セットの複数の連続するチューニングコードの前記対応する出力周波数を測定することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つのオーバーラップインスタンスを前記識別することが、チップ初期化時に実行される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
DCOと、
前記DCOを動作させるためのチューニングコードの初期セットを決定することと、前記初期セットから生成された出力周波数レンジを識別することと、前記周波数レンジにおける少なくとも1つのオーバーラップインスタンスを識別することと、修正されたセットを確立するために前記少なくとも1つのオーバーラップインスタンスに対応するチューニングコードを前記初期セットから除去することとを行うように構成された処理システムと
を備えるワイヤレス通信デバイス。
【請求項9】
前記処理システムが、前記周波数レンジにおける少なくとも1つのギャップを識別することと、前記少なくとも1つのギャップを実質的に充填する出力周波数値に対応するチューニングコードを前記初期セットに追加することとを行うようにさらに構成された、請求項8に記載のワイヤレス通信デバイス。
【請求項10】
前記初期セットと前記修正されたセットとがマッピングテーブルに記憶される、請求項8に記載のワイヤレス通信デバイス。
【請求項11】
前記DCOがPLLの一部である、請求項8に記載のワイヤレス通信デバイス。
【請求項12】
少なくとも1つのオーバーラップインスタンスを前記識別することが、前記PLLの交流RMS制御値を測定することを備える、請求項11に記載のワイヤレス通信デバイス。
【請求項13】
少なくとも1つのオーバーラップインスタンスを前記識別することが、前記初期セットの複数の連続するチューニングコードの前記対応する出力周波数を測定することを備える、請求項8に記載のワイヤレス通信デバイス。
【請求項14】
少なくとも1つのオーバーラップインスタンスを前記識別することが、チップ初期化時に実行される、請求項13に記載のワイヤレス通信デバイス。
【請求項15】
DCOと、
前記DCOを動作させるためのチューニングコードの初期セットを決定するための手段と、
対応する出力周波数レンジを識別するための手段と、
前記周波数レンジにおける少なくとも1つのオーバーラップインスタンスを識別するための手段と、
修正されたセットを確立するために前記少なくとも1つのオーバーラップインスタンスに対応するチューニングコードを前記初期セットから除去するための手段と
を備える装置。
【請求項16】
前記周波数レンジにおける少なくとも1つのギャップを識別するための手段と、
前記少なくとも1つのギャップを実質的に充填する出力周波数値に対応するチューニングコードを前記初期セットに追加するための手段と
をさらに備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記初期セットと前記修正されたセットとがマッピングテーブルに記憶される、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記DCOがPLLの一部である、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
少なくとも1つのオーバーラップインスタンスを識別するための前記手段が、前記PLLの交流RMS制御値を測定するための手段を備える、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
少なくとも1つのオーバーラップインスタンスを識別するための前記手段が、前記初期セットの複数の連続するチューニングコードの前記対応する出力周波数を測定するための手段を備える、請求項15に記載の装置。
【請求項21】
少なくとも1つのオーバーラップインスタンスを前記識別することが、チップ初期化時に実行される、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
DCOをチューニングする方法を実行するための機械によって実行可能な命令を備える機械可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品であって、
前記DCOを動作させるためのチューニングコードの初期セットを決定することと、前記初期セットから生成された出力周波数レンジを識別することと、前記周波数レンジにおける少なくとも1つのオーバーラップインスタンスを識別することと、修正されたセットを確立するために前記少なくとも1つのオーバーラップインスタンスに対応するチューニングコードを前記初期セットから除去することと
を備えるコンピュータプログラム製品。
【請求項23】
DCOを較正する方法であって、
前記DCOを動作させるためのチューニングコードの初期セットを決定することと、
前記初期セットから生成された出力周波数レンジを識別することと、
前記周波数レンジにおける少なくとも1つのギャップを識別することと、
前記少なくとも1つのギャップを実質的に充填する出力周波数値に対応するチューニングコードを前記初期セットに追加することと
を備える方法。
【請求項24】
1つまたは複数のチューニング要素が、前記初期セットから生成された前記出力周波数を発生するために使用される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
1つまたは複数の補助チューニング要素が、前記追加されたチューニングコードから生成された前記周波数値を発生するために使用される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記周波数レンジにおける少なくとも1つのオーバーラップインスタンスを識別することと、
前記少なくとも1つのオーバーラップインスタンスに対応するチューニングコードを前記初期セットから除去することと
をさらに備える、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
チューニングコードの前記初期セットと前記追加されたチューニングコードとに基づいてチューニングコードの修正されたセットを確立することをさらに備え、前記初期セットと前記修正されたセットとがマッピングテーブルに符号化される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記DCOがPLLの一部である、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つのギャップを前記識別することが、交流RMS制御値を測定することを備える、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
DCOと、
前記DCOを動作させるためのチューニングコードの初期セットを決定することと、前記初期セットから生成された出力周波数レンジを識別することと、前記周波数レンジにおける少なくとも1つのギャップを識別することと、前記少なくとも1つのギャップを実質的に充填する出力周波数値に対応するチューニングコードを前記初期セットに追加することとを行うように構成された処理システムと
を備えるワイヤレス通信デバイス。
【請求項31】
前記初期セットから生成された前記出力周波数を発生するように構成された1つまたは複数のチューニング要素をさらに備える、請求項30に記載のワイヤレス通信デバイス。
【請求項32】
前記追加されたチューニングコードから生成された前記周波数値を発生するように構成された1つまたは複数の補助チューニング要素をさらに備える、請求項31に記載のワイヤレス通信デバイス。
【請求項33】
前記処理システムが、前記周波数レンジにおける少なくとも1つのオーバーラップインスタンスを識別することと、前記少なくとも1つのオーバーラップインスタンスに対応するチューニングコードを前記初期セットから除去することとを行うようにさらに構成された、請求項30に記載のワイヤレス通信デバイス。
【請求項34】
前記処理システムが、チューニングコードの前記初期セットと前記追加されたチューニングコードとに基づいてチューニングコードの修正されたセットを確立するようにさらに構成され、前記初期セットと前記修正されたセットとがマッピングテーブルに符号化される、請求項33に記載のワイヤレス通信デバイス。
【請求項35】
前記DCOがPLLの一部である、請求項30に記載のワイヤレス通信デバイス。
【請求項36】
少なくとも1つのギャップを前記識別することが、交流RMS制御値を測定することを備える、請求項30に記載のワイヤレス通信デバイス。
【請求項37】
DCOと、
前記DCOを動作させるためのチューニングコードの初期セットを決定するための手段と、
前記初期セットから生成された出力周波数レンジを識別するための手段と、
前記周波数レンジにおける少なくとも1つのギャップを識別するための手段と、
前記少なくとも1つのギャップを実質的に充填する出力周波数値に対応するチューニングコードを前記初期セットに追加するための手段と
を備える装置。
【請求項38】
前記初期セットから生成された前記出力周波数を発生するために使用される1つまたは複数のチューニング要素をさらに備える、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記追加されたチューニングコードから生成された前記周波数値を発生するために使用される1つまたは複数の補助チューニング要素をさらに備える、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記周波数レンジにおける少なくとも1つのオーバーラップインスタンスを識別するための手段と、
前記少なくとも1つのオーバーラップインスタンスに対応するチューニングコードを前記初期セットから除去するための手段と
をさらに備える、請求項37に記載の装置。
【請求項41】
チューニングコードの前記初期セットと前記追加されたチューニングコードとに基づいてチューニングコードの修正されたセットを確立するための手段をさらに備え、前記初期セットと前記修正されたセットとがマッピングテーブルに符号化される、請求項37に記載の装置。
【請求項42】
前記DCOがPLLの一部である、請求項37に記載の装置。
【請求項43】
少なくとも1つのギャップを識別するための前記手段が、交流RMS制御値を測定するための手段を備える、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
DCOをチューニングする方法を実行するための機械によって実行可能な命令を備える機械可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品であって、前記DCOを動作させるためのチューニングコードの初期セットを決定することと、前記初期セットから生成された出力周波数レンジを識別することと、前記周波数レンジにおける少なくとも1つのギャップを識別することと、前記少なくとも1つのギャップを実質的に充填する出力周波数値に対応するチューニングコードを前記初期セットに追加することとを備える、コンピュータプログラム製品。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−524687(P2011−524687A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513616(P2011−513616)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/046642
【国際公開番号】WO2009/152105
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】