デフォルメ地図の位置特定方法、デフォルメ地図の位置特定システム、計測地図の位置特定方法、及び計測地図の位置特定システム
【課題】計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にし、計測地図の座標情報をデフォルメ地図において提供することを目的とする。
【解決手段】携帯端末(20)から携帯端末(20)の第1の座標情報を受信するステップと、計測地図から第1の座標情報の近傍にある計測地図の第1の基準点を抽出するステップと、デフォルメ地図から第1の基準点に対応するデフォルメ地図の第2の基準点を選択するステップと、第1の座標情報、第1の基準点及び第2の基準点を用いて補間計算して、デフォルメ地図上の携帯端末の第2の座標情報を算定するステップとを有する。
【解決手段】携帯端末(20)から携帯端末(20)の第1の座標情報を受信するステップと、計測地図から第1の座標情報の近傍にある計測地図の第1の基準点を抽出するステップと、デフォルメ地図から第1の基準点に対応するデフォルメ地図の第2の基準点を選択するステップと、第1の座標情報、第1の基準点及び第2の基準点を用いて補間計算して、デフォルメ地図上の携帯端末の第2の座標情報を算定するステップとを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デフォルメ地図の位置特定方法、デフォルメ地図の位置特定システム、計測地図の位置特定方法、及び計測地図の位置特定システムに関し、特に、基準点により相互に座標変換可能な計測地図及びデフォルメ地図を用いたデフォルメ地図の位置特定方法、デフォルメ地図の位置特定システム、計測地図の位置特定方法、及び計測地図の位置特定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが理解し易いように簡略化されたデジタル地図では、ユーザが地理情報を認識し易いように、不要情報を排除する等の簡略化がされていた。
また、さらに認識を容易にするために、不要情報の排除に加えて、ランドマークを表示してデフォルメ化したデフォルメ地図も提供されている。このようなデフォルメ地図は、携帯電話での利用のように表示する情報量が制限される場合、特に有用である。
【0003】
ユーザが地図で示される位置から実際の位置を直感的に認識するためには、不要な情報まで示される地図よりも、デフォルメ地図の方が利用し易い場合が多い。
このようなデフォルメ地図を利用する方法として、計測地図上の位置ノードと、デフォルメ地図上の位置ノードとの関係を持たせ、カーナビゲーションシステムにおけるVICS情報のようにデフォルメ地図上においてノード間の渋滞情報を塗り潰しで表示する方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、提案されている方法は、実際の計測位置とデフォルメ地図上のある一定の領域とを関係付けているだけなので、実際の位置に1対1で対応するデフォルメ地図上の位置を、デフォルメ地図上に表示することはできなかった。
【0004】
また、デフォルメ地図上の地点名称を入力すると、その地点名称に基づいて、計測地図からデフォルメ地図を生成する方法も提案されている(特許文献2)。しかしながら、当該方法は、地点名称である検索文字列と、生成したデフォルメ地図を関係付けているだけなので、実際の位置に1対1で対応するデフォルメ地図上の位置を、デフォルメ地図上に表示することはできなかった。
そのため、GPS(Global Positioning System)等の実際の位置座標を利用して、実際の位置に1対1で対応するデフォルメ地図上の位置を、ナビゲーションシステム等におけるデフォルメ地図上でリアルタイムに表示することはできなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2005−4796号公報
【特許文献2】特開2003−263103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にすることで、計測地図上の座標情報を、デフォルメ地図上の座標情報に変換する位置特定方法及び位置特定システムを提供することを目的とする。
【0007】
さらに、本発明は、計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にすることで、GPSで取得した座標情報を、ユーザが理解し易いデフォルメ地図においてリアルタイムで提供する位置特定方法及び位置特定システムを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にすることで、デフォルメ地図上の座標情報を、計測地図上の座標情報に変換する位置特定方法及び位置特定システムを提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本発明は、計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にすることで、デフォルメ地図上の座標情報を計測地図に表示することで、計測地図に示される詳細情報を参照可能にする位置特定方法及び位置特定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで上記の目的を達成するために、本願発明に係る位置特定方法は、ネットワークを介して携帯端末にアクセス可能であり、かつ、計測地図及びデフォルメ地図を記憶部に有するサーバにおけるデフォルメ地図の位置を特定する方法であって、携帯端末から携帯端末の第1の座標情報を受信するステップと、計測地図から第1の座標情報の近傍にある計測地図の第1の基準点を抽出するステップと、デフォルメ地図から第1の基準点に対応するデフォルメ地図の第2の基準点を選択するステップと、第1の座標情報、第1の基準点及び第2の基準点を用いて補間計算して、デフォルメ地図上の携帯端末の第2の座標情報を算定するステップと、を有することを特徴とし、さらに、サーバは、デフォルメ地図上の第2の座標情報を、デフォルメ地図上に配置するステップと、第2の座標情報が配置されたデフォルメ地図を、携帯端末に送信するステップとを有することが好ましい。
【0011】
また、上記の目的を達成するために、本願発明に係る位置特定方法は、ネットワークを介して携帯端末にアクセス可能であり、かつ、計測地図及びデフォルメ地図を記憶部に有するサーバにおける計測地図の位置を特定する方法であって、携帯端末からデフォルメ地図上の確認位置を示す第1の座標情報を受信するステップと、デフォルメ地図から第1の座標情報の近傍にあるデフォルメ地図の第1の基準点を抽出するステップと、第1の基準点に対応する計測地図の第2の基準点を選択するステップと、第1の座標情報、第1の基準点及び第2の基準点を用いて補間計算して、計測地図上の確認位置を示す第2の座標情報を算定するステップと、有することを特徴とし、サーバは、第2の座標情報を、計測地図上に配置するステップと、第2の座標情報が配置された計測地図を、携帯端末又はサーバにアクセス可能に接続したコンピュータに送信するステップとを有することが好ましい。
【0012】
さらに、上記の目的を達成するために、本願発明に係る位置特定システムは、ネットワークを介して携帯端末にアクセス可能であり、かつ、計測地図及びデフォルメ地図を記憶部に有するサーバにおけるデフォルメ地図の位置を特定する位置特定システムであって、携帯端末から携帯端末の第1の座標情報を受信する座標情報受信手段と、計測地図から第1の座標情報の近傍にある計測地図の第1の基準点を抽出する基準点抽出手段と、デフォルメ地図から第1の基準点に対応するデフォルメ地図の第2の基準点を選択する基準点選択手段と、第1の座標情報、第1の基準点及び第2の基準点を用いて補間計算して、デフォルメ地図上の携帯端末の第2の座標情報を算定する座標情報算定手段と、を有することを特徴とし、第2の座標情報を、デフォルメ地図上に配置するデフォルメ地図配置手段と、第2の座標情報が配置されたデフォルメ地図を、携帯端末に送信するデフォルメ地図送信手段とを有することが好ましい。
【0013】
さらに、上記の目的を達成するために、本願発明に係る位置特定システムは、ネットワークを介して携帯端末にアクセス可能であり、かつ、計測地図及びデフォルメ地図を記憶部に有するサーバにおける計測地図の位置を特定する位置特定システムであって、携帯端末において設定されたデフォルメ地図上の確認位置を示す第1の座標情報を受信する座標情報受信手段と、デフォルメ地図から第1の座標情報の近傍にあるデフォルメ地図の第1の基準点を抽出する基準点抽出手段と、第1の基準点に対応する計測地図の第2の基準点を選択する基準点選択手段と、第1の座標情報、第1の基準点及び第2の基準点を用いて補間計算して、計測地図上の確認位置を示す第2の座標情報を算定する座標情報算定手段と、を有することを特徴とし、上記位置特定システムは、第2の座標情報を、計測地図上に配置する座標情報配置手段と、第2の座標情報が配置された計測地図を、携帯端末又はサーバにアクセス可能に接続したコンピュータに送信する計測地図送信手段とを有することが好ましい。
【0014】
さらに、基準点は、手動で設定された固定基準点と、計算基準点を有し、計測地図の計算基準点は、計測地図上の道のりに伴う座標に基づいて計測地図の固定基準点の間の所定の内分比により算定されたものであり、デフォルメ地図の計算基準点は、デフォルメ地図の固定基準点間の線分を所定の内分比により算定されたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にすることで、計測地図上の座標情報を、デフォルメ地図上の座標情報に変換する位置特定方法及び位置特定システムを提供することが可能となった。
【0016】
さらに、本発明によれば、計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にすることで、GPSで取得した座標情報を、ユーザが理解し易いデフォルメ地図においてリアルタイムで提供する位置特定方法及び位置特定システムを提供が可能となった。このように、相互変換可能とすることで、実際の位置に1対1で対応するデフォルメ地図上の位置を、デフォルメ地図上に表示することが可能となった。
【0017】
また、本発明によれば、計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にすることで、デフォルメ地図上の座標情報を、計測地図上の座標情報に変換する位置特定方法及び位置特定システムを提供することが可能となった。
【0018】
さらに、本発明によれば、計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にすることで、デフォルメ地図上の座標情報を計測地図に表示することで、計測地図に示される詳細情報を参照可能にする位置特定方法及び位置特定システムを提供することが可能となった。このように、計測地図と比較して容易に認知可能とするために計測地図上の情報を簡略化したデフォルメ地図において位置を特定した後、その特定位置に対応する位置を計測地図上で確認可能とすることで、デフォルメ地図では簡略化されていた計測地図の詳細地図情報を詳細地図上で確認することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1を用いて、本発明に係る位置特定方法及び位置特定システムの概要について説明する。インターネット、LAN等のネットワーク10に対して、サーバ30、コンピュータ40及びISP(インターネット・サービス・プロバイダ)50がアクセス可能に接続されている。また、携帯端末20は、電話会社60及び/又はISP50を介してネットワーク10にアクセスし、サーバ30及びコンピュータ40と各種データの送受信が行えるように構成されている。なお、図1では、携帯端末20、サーバ30及びコンピュータ40は、1台ずつ示されているが、これらに限られるものではない。さらに、図1では、ISP50と電話会社60とは個別に記載されているが、一方が両者の機能を有していても良い。
【0020】
携帯端末20は、少なくともインターネットへの接続機能を有しており、更に、CPU等から構成され少なくとも各種データの処理・演算を行う処理部21、無線回線を介して音声データを含む各種データの送受信を行うための送受信部22、ディスプレイ等から構成され各種データの表示を行うための表示部23、テンキー等で構成される入力部24、メモリ等から構成され各種データを記憶するための記憶部25、及びGPS(Global Positioning System)アンテナ26を有している。
【0021】
ここで、携帯端末20の記憶部25には、ネットワーク10を介して受信したデフォルメ地図を記憶することができるように構成されている。また、処理部21は、GPSアンテナ26で受信した地球周回軌道を回る複数の測定衛星70からの信号に基づいて三角測量を行い、携帯端末20の現在位置の緯度情報及び経度情報(以下「GPS情報」と言う)を得ることできるように構成されている。なお、携帯端末20は、ブラウザフォンとして機能することが好ましく、PDA(Personal Digital Assistance)等であっても良い。
なお、本実施例におけるデフォルメ地図とは、計測地図から、不要情報を排除し、ランドマークを表示して、道路を直線的に正規化することにより簡略化した地図を言う。本実施例のデフォルメ地図は、上記簡略化により、計測地図と比較して容易に認知可能(認知性が高い)であり、かつ、後述するように計測地図の座標情報と対応関係を持たせた図である。
【0022】
サーバ30は、CPU等から構成され少なくとも各種データの処理・演算を行う処理部、テンキーやキーボードから構成される入力部、ネットワーク10との接続を行うための送受信部、及びメモリやハードディスク等から構成され各種データを記憶するための記憶部を有している。さらに、記憶部には、少なくとも、サーバ30における動作を制御するためのプログラム、及び、計測地図に関連するデータを記憶するデータベースDB1、及び、デフォルメ地図に関連するデータを記憶するデータベースDB2が格納されている。
【0023】
上記制御部は、基準点抽出手段、基準点選択手段、座標情報算定手段、デフォルメ地図配置手段として演算処理を実行することが可能である。
上記送受信部は、座標情報受信手段、デフォルメ地図送信手段として機能することが可能である。
【0024】
なお、データベースDB1に登録される計測地図は、計測地図上に表示される信号機、線路、道路、建物等のオブジェクトの図形情報、そのオブジェクトの名称情報、そのオブジェクト情報の座標情報、そのオブジェクトの識別情報(ID等)、オブジェクト情報同士のつながり関係等を規定したテーブルで構成されていても良い。
また、データベースDB2に登録されるデフォルメ地図も、同様に、デフォルメ地図上に表示される信号機、線路、道路、建物等のオブジェクトの図形情報、そのオブジェクトの名称情報、そのオブジェクト情報の座標情報、そのオブジェクトの識別情報(ID等)、オブジェクト情報同士のつながり関係等を規定したテーブルで構成されていても良い。
そして、本実施例において、計測地図、デフォルメ地図と記載した場合、これらデータベースDB1、DB2に登録されたデータ全般を示すこととする。また、基準点は、計測地図又はデフォルメ地図上でユーザが入力部を用いて設定することによって、データベースDB1、DB2に登録され得る。
【0025】
基準点の配置の一例を図2A及びBに示す。図2Aでは、計測地図上に配置された、固定基準点2A〜2F、任意の点2X、計算基準点2G、2Hが示される。固定基準点2A、計算基準点2G、計算基準点2H、固定基準点2Bを通過する線は、曲率の大きな道路を示している。任意の点2Xは、曲率の大きな道路(基準点2A、2G、2H、2Bの通過線)の下方に位置している。
【0026】
図2Bでは、デフォルメ地図上に配置された、固定基準点2A〜2F、点2X、2Y、計算基準点2G、2Hが示される。ここで点2Xは、計測地図上の任意の点2Xが、計算基準点(2G、2H)を考慮してデフォルメ地図上に配置された場合を示し、点2Yは、計測地図上の任意の点2Xが、計算基準点を考慮せずに基準点(2A、2B)に基づいてデフォルメ地図上に配置された場合を示す。なお、ここでは記載しないが、任意の点をデフォルメ地図上に配置する方法は、後述するポリゴンを用いた補間方法によって説明される。
【0027】
以下にデフォルメ地図上における計算基準点の計算例を示す。
計測地図上において、計算基準点2Gは、AB間の曲線(道路)の座標情報に基づいて、AB間の区間距離を1:2の内分比で算定した座標に配置されているとする。計算基準点2Hは、AB間の曲線(道路)の座標情報に基づいて、AB間の区間距離を2:1の内分比で算定した座標に配置されているとする。
デフォルメ地図上の計算基準点は、以下のように算定される。
計算基準点X座標=デフォルメ座標基準点2AのX座標×(1−内分比)+デフォルメ座標基準点2BのX座標×内分比
計算基準点Y座標=デフォルメ座標基準点2AのY座標×(1−内分比)+デフォルメ座標基準点2BのY座標×内分比
このように、計測地図において設定した計算基準点をデフォルメ地図上に設定することが可能である。
【0028】
以下に計測地図における計算基準点の設定方法を示す。
計測地図上において、計算基準点2Gを、AB間の曲線(道路)の座標情報に基づいて、AB間の区間距離を1:2の内分比で算定した座標に配置させるとする。計算基準点2Hを、AB間の曲線(道路)の座標情報に基づいて、AB間の区間距離を2:1の内分比で算定した座標に配置させるとする。
AB間の構成点の座標情報をもとに、固定基準点2Aより2Bに向かって、各点間の距離を算出し、積算する。固定座標点2Aより、積算された距離値が内分比1:2をみたす(この場合は3分の1)箇所を計算基準点2Gとして決定する。積算された距離値が内分比2:1をみたす(この場合は3分の2)箇所を計算基準点2Hとして決定する。
【0029】
以下に計測地図における計算基準点算定のための内分比の設定方法を示す。
計測地図上において、計算基準点を算出するための内分比は、曲線の曲率半径によって定める。曲率半径の閾値を定め、閾値に従い、区間の内分比を決定する。曲率半径の値が小さい場合は、内分比を小さく定める。そのため、計算基準点を多く設定することとなる。曲率半径の値が大きい場合は、内分比を大きく定める。そのため、計算基準点を少なく設定することになる。
【0030】
デフォルメ地図では、計測地図の道路を直線的に正規化する処理を行うため、特に曲率の高い道路に対して正規化の際に必要となる基準点が少ない場合、計測地図内の座標の位置関係を正確にデフォルメ地図上に変換することができない場合がある。
そして正確に計測地図からデフォルメ地図に変換するためには、特に曲率の大きな道路に対して基準点を多く設定する必要があるため、手動による基準点の設定は、ユーザに負荷を与えることが考えられる。
しかしながら、このように、計算基準点を用いて計測地図上に基準点を多く設定することが可能であるため、曲率の高い線であっても手入力により基準点を増やすことなく、正確にデフォルメ化することが可能である。
【0031】
コンピュータ40は、ネットワークを介して、サーバ30及び携帯端末20と接続可能である。コンピュータ40は、CPU等から構成され少なくとも各種データの処理・演算を行う処理部、テンキーやキーボードから構成される入力部、ネットワーク10との接続を行うための送受信部、及びメモリ等から構成され各種データを記憶するための記憶部、各種画面を表示するための表示部を有している。さらに、記憶部には、少なくとも、コンピュータ40における動作を制御するためのプログラムが記憶されているものとする。また、コンピュータ40は、高精細度ディスプレイをもつブラウザフォンやPDAであっても良い。
【0032】
このように、コンピュータ40が、サーバ30に対してネットワーク10を介してアクセス可能に接続されているのは、携帯端末20に比してコンピュータ40の表示部のほうが大きいため、サーバ30の有する計測地図の詳細情報を確認することが容易であるからである。
一方、高精度表示部を有する携帯端末やPDAの場合は、コンピュータ40同様に計測地図の詳細情報を表示することは可能である。
【0033】
以下、図3を用いて、計測地図上の携帯端末位置をデフォルメ地図上で特定する位置特定システムの処理フローについて説明する。
【0034】
最初に、携帯端末が測定衛星70から携帯端末の座標情報としてGPS情報を受信する(ステップ301)。次に、携帯端末20は、座標情報をサーバ30に送信し(ステップ302)、サーバ30は、座標情報を受信する(ステップ303)。次に、GPS情報として受信した携帯端末20の計測地図上の座標の近傍にある基準点を抽出する(ステップ304)。
【0035】
ステップ304では、サーバ30のデータベースDB1にアクセスして、計測地図の基準点が参照される。
計測地図の一例を図4の410に示す。図4の410では、丸記号で示された基準点が25個示される。図4の410では、これらの基準点は、大通りの交差点等が選定される。
【0036】
なお、この基準点は、道路の交差点等のランドマークを考慮して、手動で設定された上述の固定基準点とする。また、携帯端末の位置を示す携帯端末位置Aが示される。
【0037】
図4に示した基準点と包括ポリゴン群の一例を図5の510に示す。図5の510では、図4に示した25個の基準点に対応する基準点ID1〜ID25、携帯端末位置Aが示される。基準点ID1〜ID25は、図4に示された基準点と同じ位置座標を有している。基準点は、他の近傍にある基準点と3角形(ポリゴン)を形成する。例えば、ID1は、ID4及びID7と1つのポリゴンを形成し、同時に、ID1は、ID7及びID2と別なポリゴンを1つ形成する。図示されるように、計測地図の全ての座標は、必ず、1つのポリゴンに包含されることになる。
【0038】
携帯端末位置Aは、ID17、ID18及びID24が形成するポリゴンに含まれる。このように、携帯端末位置Aを包含するポリゴンを形成する基準点ID17、ID18及びID24を選択することで、携帯端末20の計測地図上の座標の近傍にある基準点が抽出される。
【0039】
次に、計測地図から抽出された計測地図の基準点に対応するデフォルメ地図の基準点を選択する(ステップ305)。
【0040】
ここで、携帯端末位置Aにおける計測地図の座標を、(AX,AY)と示し、ID17,ID18、ID24の計測地図上の座標を、ID17(ID17X,ID17Y)、ID18(ID18X,ID18Y)、ID24(ID24X,ID24Y)と示し、及び、ID17、ID18、ID24のデフォルメ地図上での座標をID17(DID17X,DID17Y)、ID18(DID18X,DID18Y)、ID24(DID24X,DID24Y)と示す。
【0041】
データベースDB2にアクセスして、計測地図上で抽出された基準点に対応するデフォルメ地図上の基準点が検索される。
なお、計測地図上の基準点とデフォルメ地図上の基準点は、例えば、同じIDがデータベースDB1、DB2のテーブルに割り振られているため、いずれかの地図における基準点のIDがわかれば、他の地図の対応する基準点を、そのIDをキーとして検索することが可能である。
【0042】
例えば、抽出された計測地図上の基準点に対応するデフォルメ地図上の基準点は、以下のような座標データで示される。
携帯端末位置Aの計測地図座標:(AX,AY)=(−23323.45,−92582.082)
ID17の計測地図座標:(ID17X,ID17Y)=(−23388.97,−92523.81)
ID18の計測地図座標:(ID18X,ID18Y)=(−23280.35,−92519.04)
ID24の計測地図座標:(ID24X,ID24Y)=(−23258.18,−92738.86)
ID17のデフォルメ地図座標:(D17X,D17Y)=(1300,1850)
ID18のデフォルメ地図座標:(D18X,D18Y)=(1500,1850)
ID24のデフォルメ地図座標:(D24X,D24Y)=(1500,1400)
【0043】
次に、計測地図上の携帯端末の座標情報、抽出された計測地図の基準点及びデフォルメ地図の基準点を用いて、計測地図上の携帯端末の座標情報に対応するデフォルメ地図上の座標を補間計算する(ステップ306)。
【0044】
ここでは、例えば、補間計算式として逆距離加重法を用いて、携帯端末位置Aのデフォルメ地図座標を求める例を示す。なお、その他の補間計算式としてバイリニア法等良く知られた補間計算式が利用可能である。
【0045】
最初に、携帯端末位置Aと計測地図座標におけるID17、ID18及びID24との距離を三平方の定理により求める。
ID17とAとの距離(LDID17−A)は、87.684
ID18とAとの距離(LDID18−A)は、76.366
ID24とAとの距離(LDID24−A)は、169.822
逆距離加重法を用いると、デフォルメ座標での携帯端末位置Aの座標(DAX,DAY)は、以下の式により算定される。
DAX=(D17X/(LDID17−A)2+D18X/(LDID18−A)2+D24X/(LDID24−A)2)/(1/(LDID17−A)2+1/(LDID18−A)2+1/(LDID24−A)2)
DAY=(D17Y/(LDID17−A)2+D18Y/(LDID18−A)2+D24Y/(LDID24−A)2)/(1/(LDID17−A)2+1/(LDID18−A)2+1/(LDID24−A)2)
この式に上記の数値を代入すると、デフォルメ座標での携帯端末位置Aの座標は、(DAX,DAY)=(1422.629,1803.590)となる。
【0046】
次に、計算したデフォルメ地図上の座標を、デフォルメ地図上に配置する(ステップ307)。
デフォルメ地図の一例を図6の610に示す。図6の610では、デフォルメ地図上の基準点ID1〜ID25、及び、デフォルメ地図上の携帯端末位置Aが示される。このように、補間計算により、計測地図の携帯端末位置Aを、デフォルメ地図上の携帯端末位置Aに配置することが可能である。なお、図示していないが、基準点ID1〜ID25に名称を明記することで、よりユーザに理解が容易なデフォルメ地図を生成することができる。
【0047】
次に、携帯端末位置Aを配置したデフォルメ地図をサーバ30から、携帯端末20に送信する(ステップ308)。送信されたデフォルメ地図は、携帯端末20で受信され(ステップ309)、携帯端末20の画面上に表示され(ステップ310)、デフォルメ地図に携帯端末位置を表示する位置特定システムの処理フローは終了する。
【0048】
このように、本実施例による位置特定システムは、計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にすることで、GPSで取得した座標情報を、ユーザが理解し易いデフォルメ地図においてリアルタイムで提供することが可能となった。
【0049】
以下、図7を用いて、デフォルメ地図上に設定した確認位置を計測地図上に表示する位置特定システムの処理フローについて説明する。
【0050】
最初に、携帯端末でデフォルメ地図上に、計測地図で位置特定するための確認位置を設定する(ステップ701)。
デフォルメ地図の一例を図8の810に示す。図8の810では、デフォルメ地図上の確認位置Bと、デフォルメ地図上の基準点ID1〜ID25が示される。
確認位置Bの設定は、携帯端末20の画面上のアイコン移動と画面上の決定ボタンの選択により設定可能である。
【0051】
次に、携帯端末20からサーバ30へ確認位置のデフォルメ地図上での座標情報を送信し(ステップ702)、サーバ30は、確認位置の座標情報を受信する(ステップ703)。次に、デフォルメ地図上で、確認位置の座標の近傍にある基準点を抽出する(ステップ704)。
【0052】
図8に示した基準点と包括ポリゴン群の一例を図9の910に示す。図9の910では、基準点ID1〜ID25、確認位置Bが示される。基準点は、他の近傍にある基準点と3角形(ポリゴン)を形成する。例えば、ID5は、ID6及びID9と1つのポリゴンを形成し、同時に、ID5は、ID8及びID9と別なポリゴンを1つ形成する。図示されるように、デフォルメ地図の全ての座標は、必ず、1つのポリゴンに包含されることになる。
【0053】
確認位置Bは、ID5、ID6及びID9が形成するポリゴンに含まれる。このように、確認位置Bを包含するポリゴンを形成する基準点ID5、ID6及びID9を選択することで、デフォルメ地図上の確認位置Bの近傍にある基準点が抽出される。
【0054】
次に、サーバは、計測地図から抽出されたデフォルメ地図の基準点に対応する計測地図の基準点を選択する(ステップ705)。
上述したように、計測地図上の基準点とデフォルメ地図上の基準点は、例えば、同じIDがデータベースDB1、DB2のテーブルに割り振られており、IDをキーとして相互に対応する基準点を参照することが可能である。したがって、デフォルメ地図上で抽出された基準点に対応する計測地図上の基準点は、IDをキーとしてデータベースDB1内で検索される。
このようにして、計測地図から抽出されたデフォルメ地図の基準点に対応する計測地図の基準点が選択される。
【0055】
次に、サーバが、デフォルメ地図上の確認位置の座標情報、抽出されたデフォルメ地図の基準点及び計測地図の基準点を用いて補間計算して、計測地図上の確認位置の座標を算定する(ステップ706)。
【0056】
上述したように、逆距離加重法では、計測地図の基準点と、デフォルメ地図の基準点の座標情報を用いてそれらの変位値がわかれば、計測地図の基準点と携帯端末の座標情報との相対位置をもとに、デフォルメ地図の座標位置を算定することが可能である。
したがって、逆距離加重法を用いれば、計測地図の基準点(ID5、ID6、ID9)と、デフォルメ地図の基準点(ID5、ID6、ID9)の変位値と、デフォルメ地図の基準点(ID5、ID6、ID9)とデフォルメ地図上の確認位置Bの座標情報との相対位置をもとに、計測位置の座標位置が算定される。
【0057】
次に、計算した計測地図上の確認位置Bの座標情報を、計測地図上に配置する(ステップ707)。
計測地図の一例を図10の1010に示す。図10の1010では、基準点ID5、ID6、ID9が包含する位置に確認位置Bが示される。このように、デフォルメ地図の確認位置Bを、計測地図上の対応する確認位置Bに補間計算により配置することが可能である。
【0058】
次に、確認位置Bを配置した計測地図をサーバ30から、コンピュータ40に送信する(ステップ708)。送信された計測地図は、コンピュータ40で受信され(ステップ709)、コンピュータ40の画面上に表示され(ステップ710)、デフォルメ地図上に設定した確認位置を計測地図上に表示する位置特定システムの処理フローは終了する。
【0059】
なお、上述においては、計測地図に示される詳細情報を確認するためには、表示部の大きなコンピュータが好ましいため、コンピュータに確認位置Bを配置した計測地図が送信される例を示した。しかしながら、高精細度表示部を有する携帯端末、PDAであれば、詳細地図情報の確認が可能であるため、携帯端末等でも同様に計測地図を受信することが可能である。
【0060】
このように、本実施例による位置特定システムは、計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にし、デフォルメ地図上で設定した位置を計測地図上に表示することで、計測地図に示される詳細情報を参照可能にする位置特定方法及び位置特定システムを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る位置特定方法及び位置特定システムの概要を示す図である。
【図2A】基準点の配置の一例を示す図である。
【図2B】基準点の配置の一例を示す図である。
【図3】デフォルメ地図に携帯端末位置を特定する位置特定システムの処理フローを示す図である。
【図4】計測地図の一例を示す図である。
【図5】図4に示した基準点と包括ポリゴン群の一例を示す図である。
【図6】デフォルメ地図の一例を示す図である。
【図7】デフォルメ地図上に設定した確認位置を計測地図上に表示する位置特定システムの処理フローを示す図である。
【図8】デフォルメ地図の一例を示す図である。
【図9】図8に示した基準点と包括ポリゴン群の一例を示す図である。
【図10】計測地図の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
10 ネットワーク
20 携帯端末
30 サーバ
40 コンピュータ
50 ISP
60 電話会社
70 測定衛星
【技術分野】
【0001】
本発明は、デフォルメ地図の位置特定方法、デフォルメ地図の位置特定システム、計測地図の位置特定方法、及び計測地図の位置特定システムに関し、特に、基準点により相互に座標変換可能な計測地図及びデフォルメ地図を用いたデフォルメ地図の位置特定方法、デフォルメ地図の位置特定システム、計測地図の位置特定方法、及び計測地図の位置特定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが理解し易いように簡略化されたデジタル地図では、ユーザが地理情報を認識し易いように、不要情報を排除する等の簡略化がされていた。
また、さらに認識を容易にするために、不要情報の排除に加えて、ランドマークを表示してデフォルメ化したデフォルメ地図も提供されている。このようなデフォルメ地図は、携帯電話での利用のように表示する情報量が制限される場合、特に有用である。
【0003】
ユーザが地図で示される位置から実際の位置を直感的に認識するためには、不要な情報まで示される地図よりも、デフォルメ地図の方が利用し易い場合が多い。
このようなデフォルメ地図を利用する方法として、計測地図上の位置ノードと、デフォルメ地図上の位置ノードとの関係を持たせ、カーナビゲーションシステムにおけるVICS情報のようにデフォルメ地図上においてノード間の渋滞情報を塗り潰しで表示する方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、提案されている方法は、実際の計測位置とデフォルメ地図上のある一定の領域とを関係付けているだけなので、実際の位置に1対1で対応するデフォルメ地図上の位置を、デフォルメ地図上に表示することはできなかった。
【0004】
また、デフォルメ地図上の地点名称を入力すると、その地点名称に基づいて、計測地図からデフォルメ地図を生成する方法も提案されている(特許文献2)。しかしながら、当該方法は、地点名称である検索文字列と、生成したデフォルメ地図を関係付けているだけなので、実際の位置に1対1で対応するデフォルメ地図上の位置を、デフォルメ地図上に表示することはできなかった。
そのため、GPS(Global Positioning System)等の実際の位置座標を利用して、実際の位置に1対1で対応するデフォルメ地図上の位置を、ナビゲーションシステム等におけるデフォルメ地図上でリアルタイムに表示することはできなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2005−4796号公報
【特許文献2】特開2003−263103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にすることで、計測地図上の座標情報を、デフォルメ地図上の座標情報に変換する位置特定方法及び位置特定システムを提供することを目的とする。
【0007】
さらに、本発明は、計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にすることで、GPSで取得した座標情報を、ユーザが理解し易いデフォルメ地図においてリアルタイムで提供する位置特定方法及び位置特定システムを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にすることで、デフォルメ地図上の座標情報を、計測地図上の座標情報に変換する位置特定方法及び位置特定システムを提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本発明は、計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にすることで、デフォルメ地図上の座標情報を計測地図に表示することで、計測地図に示される詳細情報を参照可能にする位置特定方法及び位置特定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで上記の目的を達成するために、本願発明に係る位置特定方法は、ネットワークを介して携帯端末にアクセス可能であり、かつ、計測地図及びデフォルメ地図を記憶部に有するサーバにおけるデフォルメ地図の位置を特定する方法であって、携帯端末から携帯端末の第1の座標情報を受信するステップと、計測地図から第1の座標情報の近傍にある計測地図の第1の基準点を抽出するステップと、デフォルメ地図から第1の基準点に対応するデフォルメ地図の第2の基準点を選択するステップと、第1の座標情報、第1の基準点及び第2の基準点を用いて補間計算して、デフォルメ地図上の携帯端末の第2の座標情報を算定するステップと、を有することを特徴とし、さらに、サーバは、デフォルメ地図上の第2の座標情報を、デフォルメ地図上に配置するステップと、第2の座標情報が配置されたデフォルメ地図を、携帯端末に送信するステップとを有することが好ましい。
【0011】
また、上記の目的を達成するために、本願発明に係る位置特定方法は、ネットワークを介して携帯端末にアクセス可能であり、かつ、計測地図及びデフォルメ地図を記憶部に有するサーバにおける計測地図の位置を特定する方法であって、携帯端末からデフォルメ地図上の確認位置を示す第1の座標情報を受信するステップと、デフォルメ地図から第1の座標情報の近傍にあるデフォルメ地図の第1の基準点を抽出するステップと、第1の基準点に対応する計測地図の第2の基準点を選択するステップと、第1の座標情報、第1の基準点及び第2の基準点を用いて補間計算して、計測地図上の確認位置を示す第2の座標情報を算定するステップと、有することを特徴とし、サーバは、第2の座標情報を、計測地図上に配置するステップと、第2の座標情報が配置された計測地図を、携帯端末又はサーバにアクセス可能に接続したコンピュータに送信するステップとを有することが好ましい。
【0012】
さらに、上記の目的を達成するために、本願発明に係る位置特定システムは、ネットワークを介して携帯端末にアクセス可能であり、かつ、計測地図及びデフォルメ地図を記憶部に有するサーバにおけるデフォルメ地図の位置を特定する位置特定システムであって、携帯端末から携帯端末の第1の座標情報を受信する座標情報受信手段と、計測地図から第1の座標情報の近傍にある計測地図の第1の基準点を抽出する基準点抽出手段と、デフォルメ地図から第1の基準点に対応するデフォルメ地図の第2の基準点を選択する基準点選択手段と、第1の座標情報、第1の基準点及び第2の基準点を用いて補間計算して、デフォルメ地図上の携帯端末の第2の座標情報を算定する座標情報算定手段と、を有することを特徴とし、第2の座標情報を、デフォルメ地図上に配置するデフォルメ地図配置手段と、第2の座標情報が配置されたデフォルメ地図を、携帯端末に送信するデフォルメ地図送信手段とを有することが好ましい。
【0013】
さらに、上記の目的を達成するために、本願発明に係る位置特定システムは、ネットワークを介して携帯端末にアクセス可能であり、かつ、計測地図及びデフォルメ地図を記憶部に有するサーバにおける計測地図の位置を特定する位置特定システムであって、携帯端末において設定されたデフォルメ地図上の確認位置を示す第1の座標情報を受信する座標情報受信手段と、デフォルメ地図から第1の座標情報の近傍にあるデフォルメ地図の第1の基準点を抽出する基準点抽出手段と、第1の基準点に対応する計測地図の第2の基準点を選択する基準点選択手段と、第1の座標情報、第1の基準点及び第2の基準点を用いて補間計算して、計測地図上の確認位置を示す第2の座標情報を算定する座標情報算定手段と、を有することを特徴とし、上記位置特定システムは、第2の座標情報を、計測地図上に配置する座標情報配置手段と、第2の座標情報が配置された計測地図を、携帯端末又はサーバにアクセス可能に接続したコンピュータに送信する計測地図送信手段とを有することが好ましい。
【0014】
さらに、基準点は、手動で設定された固定基準点と、計算基準点を有し、計測地図の計算基準点は、計測地図上の道のりに伴う座標に基づいて計測地図の固定基準点の間の所定の内分比により算定されたものであり、デフォルメ地図の計算基準点は、デフォルメ地図の固定基準点間の線分を所定の内分比により算定されたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にすることで、計測地図上の座標情報を、デフォルメ地図上の座標情報に変換する位置特定方法及び位置特定システムを提供することが可能となった。
【0016】
さらに、本発明によれば、計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にすることで、GPSで取得した座標情報を、ユーザが理解し易いデフォルメ地図においてリアルタイムで提供する位置特定方法及び位置特定システムを提供が可能となった。このように、相互変換可能とすることで、実際の位置に1対1で対応するデフォルメ地図上の位置を、デフォルメ地図上に表示することが可能となった。
【0017】
また、本発明によれば、計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にすることで、デフォルメ地図上の座標情報を、計測地図上の座標情報に変換する位置特定方法及び位置特定システムを提供することが可能となった。
【0018】
さらに、本発明によれば、計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にすることで、デフォルメ地図上の座標情報を計測地図に表示することで、計測地図に示される詳細情報を参照可能にする位置特定方法及び位置特定システムを提供することが可能となった。このように、計測地図と比較して容易に認知可能とするために計測地図上の情報を簡略化したデフォルメ地図において位置を特定した後、その特定位置に対応する位置を計測地図上で確認可能とすることで、デフォルメ地図では簡略化されていた計測地図の詳細地図情報を詳細地図上で確認することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1を用いて、本発明に係る位置特定方法及び位置特定システムの概要について説明する。インターネット、LAN等のネットワーク10に対して、サーバ30、コンピュータ40及びISP(インターネット・サービス・プロバイダ)50がアクセス可能に接続されている。また、携帯端末20は、電話会社60及び/又はISP50を介してネットワーク10にアクセスし、サーバ30及びコンピュータ40と各種データの送受信が行えるように構成されている。なお、図1では、携帯端末20、サーバ30及びコンピュータ40は、1台ずつ示されているが、これらに限られるものではない。さらに、図1では、ISP50と電話会社60とは個別に記載されているが、一方が両者の機能を有していても良い。
【0020】
携帯端末20は、少なくともインターネットへの接続機能を有しており、更に、CPU等から構成され少なくとも各種データの処理・演算を行う処理部21、無線回線を介して音声データを含む各種データの送受信を行うための送受信部22、ディスプレイ等から構成され各種データの表示を行うための表示部23、テンキー等で構成される入力部24、メモリ等から構成され各種データを記憶するための記憶部25、及びGPS(Global Positioning System)アンテナ26を有している。
【0021】
ここで、携帯端末20の記憶部25には、ネットワーク10を介して受信したデフォルメ地図を記憶することができるように構成されている。また、処理部21は、GPSアンテナ26で受信した地球周回軌道を回る複数の測定衛星70からの信号に基づいて三角測量を行い、携帯端末20の現在位置の緯度情報及び経度情報(以下「GPS情報」と言う)を得ることできるように構成されている。なお、携帯端末20は、ブラウザフォンとして機能することが好ましく、PDA(Personal Digital Assistance)等であっても良い。
なお、本実施例におけるデフォルメ地図とは、計測地図から、不要情報を排除し、ランドマークを表示して、道路を直線的に正規化することにより簡略化した地図を言う。本実施例のデフォルメ地図は、上記簡略化により、計測地図と比較して容易に認知可能(認知性が高い)であり、かつ、後述するように計測地図の座標情報と対応関係を持たせた図である。
【0022】
サーバ30は、CPU等から構成され少なくとも各種データの処理・演算を行う処理部、テンキーやキーボードから構成される入力部、ネットワーク10との接続を行うための送受信部、及びメモリやハードディスク等から構成され各種データを記憶するための記憶部を有している。さらに、記憶部には、少なくとも、サーバ30における動作を制御するためのプログラム、及び、計測地図に関連するデータを記憶するデータベースDB1、及び、デフォルメ地図に関連するデータを記憶するデータベースDB2が格納されている。
【0023】
上記制御部は、基準点抽出手段、基準点選択手段、座標情報算定手段、デフォルメ地図配置手段として演算処理を実行することが可能である。
上記送受信部は、座標情報受信手段、デフォルメ地図送信手段として機能することが可能である。
【0024】
なお、データベースDB1に登録される計測地図は、計測地図上に表示される信号機、線路、道路、建物等のオブジェクトの図形情報、そのオブジェクトの名称情報、そのオブジェクト情報の座標情報、そのオブジェクトの識別情報(ID等)、オブジェクト情報同士のつながり関係等を規定したテーブルで構成されていても良い。
また、データベースDB2に登録されるデフォルメ地図も、同様に、デフォルメ地図上に表示される信号機、線路、道路、建物等のオブジェクトの図形情報、そのオブジェクトの名称情報、そのオブジェクト情報の座標情報、そのオブジェクトの識別情報(ID等)、オブジェクト情報同士のつながり関係等を規定したテーブルで構成されていても良い。
そして、本実施例において、計測地図、デフォルメ地図と記載した場合、これらデータベースDB1、DB2に登録されたデータ全般を示すこととする。また、基準点は、計測地図又はデフォルメ地図上でユーザが入力部を用いて設定することによって、データベースDB1、DB2に登録され得る。
【0025】
基準点の配置の一例を図2A及びBに示す。図2Aでは、計測地図上に配置された、固定基準点2A〜2F、任意の点2X、計算基準点2G、2Hが示される。固定基準点2A、計算基準点2G、計算基準点2H、固定基準点2Bを通過する線は、曲率の大きな道路を示している。任意の点2Xは、曲率の大きな道路(基準点2A、2G、2H、2Bの通過線)の下方に位置している。
【0026】
図2Bでは、デフォルメ地図上に配置された、固定基準点2A〜2F、点2X、2Y、計算基準点2G、2Hが示される。ここで点2Xは、計測地図上の任意の点2Xが、計算基準点(2G、2H)を考慮してデフォルメ地図上に配置された場合を示し、点2Yは、計測地図上の任意の点2Xが、計算基準点を考慮せずに基準点(2A、2B)に基づいてデフォルメ地図上に配置された場合を示す。なお、ここでは記載しないが、任意の点をデフォルメ地図上に配置する方法は、後述するポリゴンを用いた補間方法によって説明される。
【0027】
以下にデフォルメ地図上における計算基準点の計算例を示す。
計測地図上において、計算基準点2Gは、AB間の曲線(道路)の座標情報に基づいて、AB間の区間距離を1:2の内分比で算定した座標に配置されているとする。計算基準点2Hは、AB間の曲線(道路)の座標情報に基づいて、AB間の区間距離を2:1の内分比で算定した座標に配置されているとする。
デフォルメ地図上の計算基準点は、以下のように算定される。
計算基準点X座標=デフォルメ座標基準点2AのX座標×(1−内分比)+デフォルメ座標基準点2BのX座標×内分比
計算基準点Y座標=デフォルメ座標基準点2AのY座標×(1−内分比)+デフォルメ座標基準点2BのY座標×内分比
このように、計測地図において設定した計算基準点をデフォルメ地図上に設定することが可能である。
【0028】
以下に計測地図における計算基準点の設定方法を示す。
計測地図上において、計算基準点2Gを、AB間の曲線(道路)の座標情報に基づいて、AB間の区間距離を1:2の内分比で算定した座標に配置させるとする。計算基準点2Hを、AB間の曲線(道路)の座標情報に基づいて、AB間の区間距離を2:1の内分比で算定した座標に配置させるとする。
AB間の構成点の座標情報をもとに、固定基準点2Aより2Bに向かって、各点間の距離を算出し、積算する。固定座標点2Aより、積算された距離値が内分比1:2をみたす(この場合は3分の1)箇所を計算基準点2Gとして決定する。積算された距離値が内分比2:1をみたす(この場合は3分の2)箇所を計算基準点2Hとして決定する。
【0029】
以下に計測地図における計算基準点算定のための内分比の設定方法を示す。
計測地図上において、計算基準点を算出するための内分比は、曲線の曲率半径によって定める。曲率半径の閾値を定め、閾値に従い、区間の内分比を決定する。曲率半径の値が小さい場合は、内分比を小さく定める。そのため、計算基準点を多く設定することとなる。曲率半径の値が大きい場合は、内分比を大きく定める。そのため、計算基準点を少なく設定することになる。
【0030】
デフォルメ地図では、計測地図の道路を直線的に正規化する処理を行うため、特に曲率の高い道路に対して正規化の際に必要となる基準点が少ない場合、計測地図内の座標の位置関係を正確にデフォルメ地図上に変換することができない場合がある。
そして正確に計測地図からデフォルメ地図に変換するためには、特に曲率の大きな道路に対して基準点を多く設定する必要があるため、手動による基準点の設定は、ユーザに負荷を与えることが考えられる。
しかしながら、このように、計算基準点を用いて計測地図上に基準点を多く設定することが可能であるため、曲率の高い線であっても手入力により基準点を増やすことなく、正確にデフォルメ化することが可能である。
【0031】
コンピュータ40は、ネットワークを介して、サーバ30及び携帯端末20と接続可能である。コンピュータ40は、CPU等から構成され少なくとも各種データの処理・演算を行う処理部、テンキーやキーボードから構成される入力部、ネットワーク10との接続を行うための送受信部、及びメモリ等から構成され各種データを記憶するための記憶部、各種画面を表示するための表示部を有している。さらに、記憶部には、少なくとも、コンピュータ40における動作を制御するためのプログラムが記憶されているものとする。また、コンピュータ40は、高精細度ディスプレイをもつブラウザフォンやPDAであっても良い。
【0032】
このように、コンピュータ40が、サーバ30に対してネットワーク10を介してアクセス可能に接続されているのは、携帯端末20に比してコンピュータ40の表示部のほうが大きいため、サーバ30の有する計測地図の詳細情報を確認することが容易であるからである。
一方、高精度表示部を有する携帯端末やPDAの場合は、コンピュータ40同様に計測地図の詳細情報を表示することは可能である。
【0033】
以下、図3を用いて、計測地図上の携帯端末位置をデフォルメ地図上で特定する位置特定システムの処理フローについて説明する。
【0034】
最初に、携帯端末が測定衛星70から携帯端末の座標情報としてGPS情報を受信する(ステップ301)。次に、携帯端末20は、座標情報をサーバ30に送信し(ステップ302)、サーバ30は、座標情報を受信する(ステップ303)。次に、GPS情報として受信した携帯端末20の計測地図上の座標の近傍にある基準点を抽出する(ステップ304)。
【0035】
ステップ304では、サーバ30のデータベースDB1にアクセスして、計測地図の基準点が参照される。
計測地図の一例を図4の410に示す。図4の410では、丸記号で示された基準点が25個示される。図4の410では、これらの基準点は、大通りの交差点等が選定される。
【0036】
なお、この基準点は、道路の交差点等のランドマークを考慮して、手動で設定された上述の固定基準点とする。また、携帯端末の位置を示す携帯端末位置Aが示される。
【0037】
図4に示した基準点と包括ポリゴン群の一例を図5の510に示す。図5の510では、図4に示した25個の基準点に対応する基準点ID1〜ID25、携帯端末位置Aが示される。基準点ID1〜ID25は、図4に示された基準点と同じ位置座標を有している。基準点は、他の近傍にある基準点と3角形(ポリゴン)を形成する。例えば、ID1は、ID4及びID7と1つのポリゴンを形成し、同時に、ID1は、ID7及びID2と別なポリゴンを1つ形成する。図示されるように、計測地図の全ての座標は、必ず、1つのポリゴンに包含されることになる。
【0038】
携帯端末位置Aは、ID17、ID18及びID24が形成するポリゴンに含まれる。このように、携帯端末位置Aを包含するポリゴンを形成する基準点ID17、ID18及びID24を選択することで、携帯端末20の計測地図上の座標の近傍にある基準点が抽出される。
【0039】
次に、計測地図から抽出された計測地図の基準点に対応するデフォルメ地図の基準点を選択する(ステップ305)。
【0040】
ここで、携帯端末位置Aにおける計測地図の座標を、(AX,AY)と示し、ID17,ID18、ID24の計測地図上の座標を、ID17(ID17X,ID17Y)、ID18(ID18X,ID18Y)、ID24(ID24X,ID24Y)と示し、及び、ID17、ID18、ID24のデフォルメ地図上での座標をID17(DID17X,DID17Y)、ID18(DID18X,DID18Y)、ID24(DID24X,DID24Y)と示す。
【0041】
データベースDB2にアクセスして、計測地図上で抽出された基準点に対応するデフォルメ地図上の基準点が検索される。
なお、計測地図上の基準点とデフォルメ地図上の基準点は、例えば、同じIDがデータベースDB1、DB2のテーブルに割り振られているため、いずれかの地図における基準点のIDがわかれば、他の地図の対応する基準点を、そのIDをキーとして検索することが可能である。
【0042】
例えば、抽出された計測地図上の基準点に対応するデフォルメ地図上の基準点は、以下のような座標データで示される。
携帯端末位置Aの計測地図座標:(AX,AY)=(−23323.45,−92582.082)
ID17の計測地図座標:(ID17X,ID17Y)=(−23388.97,−92523.81)
ID18の計測地図座標:(ID18X,ID18Y)=(−23280.35,−92519.04)
ID24の計測地図座標:(ID24X,ID24Y)=(−23258.18,−92738.86)
ID17のデフォルメ地図座標:(D17X,D17Y)=(1300,1850)
ID18のデフォルメ地図座標:(D18X,D18Y)=(1500,1850)
ID24のデフォルメ地図座標:(D24X,D24Y)=(1500,1400)
【0043】
次に、計測地図上の携帯端末の座標情報、抽出された計測地図の基準点及びデフォルメ地図の基準点を用いて、計測地図上の携帯端末の座標情報に対応するデフォルメ地図上の座標を補間計算する(ステップ306)。
【0044】
ここでは、例えば、補間計算式として逆距離加重法を用いて、携帯端末位置Aのデフォルメ地図座標を求める例を示す。なお、その他の補間計算式としてバイリニア法等良く知られた補間計算式が利用可能である。
【0045】
最初に、携帯端末位置Aと計測地図座標におけるID17、ID18及びID24との距離を三平方の定理により求める。
ID17とAとの距離(LDID17−A)は、87.684
ID18とAとの距離(LDID18−A)は、76.366
ID24とAとの距離(LDID24−A)は、169.822
逆距離加重法を用いると、デフォルメ座標での携帯端末位置Aの座標(DAX,DAY)は、以下の式により算定される。
DAX=(D17X/(LDID17−A)2+D18X/(LDID18−A)2+D24X/(LDID24−A)2)/(1/(LDID17−A)2+1/(LDID18−A)2+1/(LDID24−A)2)
DAY=(D17Y/(LDID17−A)2+D18Y/(LDID18−A)2+D24Y/(LDID24−A)2)/(1/(LDID17−A)2+1/(LDID18−A)2+1/(LDID24−A)2)
この式に上記の数値を代入すると、デフォルメ座標での携帯端末位置Aの座標は、(DAX,DAY)=(1422.629,1803.590)となる。
【0046】
次に、計算したデフォルメ地図上の座標を、デフォルメ地図上に配置する(ステップ307)。
デフォルメ地図の一例を図6の610に示す。図6の610では、デフォルメ地図上の基準点ID1〜ID25、及び、デフォルメ地図上の携帯端末位置Aが示される。このように、補間計算により、計測地図の携帯端末位置Aを、デフォルメ地図上の携帯端末位置Aに配置することが可能である。なお、図示していないが、基準点ID1〜ID25に名称を明記することで、よりユーザに理解が容易なデフォルメ地図を生成することができる。
【0047】
次に、携帯端末位置Aを配置したデフォルメ地図をサーバ30から、携帯端末20に送信する(ステップ308)。送信されたデフォルメ地図は、携帯端末20で受信され(ステップ309)、携帯端末20の画面上に表示され(ステップ310)、デフォルメ地図に携帯端末位置を表示する位置特定システムの処理フローは終了する。
【0048】
このように、本実施例による位置特定システムは、計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にすることで、GPSで取得した座標情報を、ユーザが理解し易いデフォルメ地図においてリアルタイムで提供することが可能となった。
【0049】
以下、図7を用いて、デフォルメ地図上に設定した確認位置を計測地図上に表示する位置特定システムの処理フローについて説明する。
【0050】
最初に、携帯端末でデフォルメ地図上に、計測地図で位置特定するための確認位置を設定する(ステップ701)。
デフォルメ地図の一例を図8の810に示す。図8の810では、デフォルメ地図上の確認位置Bと、デフォルメ地図上の基準点ID1〜ID25が示される。
確認位置Bの設定は、携帯端末20の画面上のアイコン移動と画面上の決定ボタンの選択により設定可能である。
【0051】
次に、携帯端末20からサーバ30へ確認位置のデフォルメ地図上での座標情報を送信し(ステップ702)、サーバ30は、確認位置の座標情報を受信する(ステップ703)。次に、デフォルメ地図上で、確認位置の座標の近傍にある基準点を抽出する(ステップ704)。
【0052】
図8に示した基準点と包括ポリゴン群の一例を図9の910に示す。図9の910では、基準点ID1〜ID25、確認位置Bが示される。基準点は、他の近傍にある基準点と3角形(ポリゴン)を形成する。例えば、ID5は、ID6及びID9と1つのポリゴンを形成し、同時に、ID5は、ID8及びID9と別なポリゴンを1つ形成する。図示されるように、デフォルメ地図の全ての座標は、必ず、1つのポリゴンに包含されることになる。
【0053】
確認位置Bは、ID5、ID6及びID9が形成するポリゴンに含まれる。このように、確認位置Bを包含するポリゴンを形成する基準点ID5、ID6及びID9を選択することで、デフォルメ地図上の確認位置Bの近傍にある基準点が抽出される。
【0054】
次に、サーバは、計測地図から抽出されたデフォルメ地図の基準点に対応する計測地図の基準点を選択する(ステップ705)。
上述したように、計測地図上の基準点とデフォルメ地図上の基準点は、例えば、同じIDがデータベースDB1、DB2のテーブルに割り振られており、IDをキーとして相互に対応する基準点を参照することが可能である。したがって、デフォルメ地図上で抽出された基準点に対応する計測地図上の基準点は、IDをキーとしてデータベースDB1内で検索される。
このようにして、計測地図から抽出されたデフォルメ地図の基準点に対応する計測地図の基準点が選択される。
【0055】
次に、サーバが、デフォルメ地図上の確認位置の座標情報、抽出されたデフォルメ地図の基準点及び計測地図の基準点を用いて補間計算して、計測地図上の確認位置の座標を算定する(ステップ706)。
【0056】
上述したように、逆距離加重法では、計測地図の基準点と、デフォルメ地図の基準点の座標情報を用いてそれらの変位値がわかれば、計測地図の基準点と携帯端末の座標情報との相対位置をもとに、デフォルメ地図の座標位置を算定することが可能である。
したがって、逆距離加重法を用いれば、計測地図の基準点(ID5、ID6、ID9)と、デフォルメ地図の基準点(ID5、ID6、ID9)の変位値と、デフォルメ地図の基準点(ID5、ID6、ID9)とデフォルメ地図上の確認位置Bの座標情報との相対位置をもとに、計測位置の座標位置が算定される。
【0057】
次に、計算した計測地図上の確認位置Bの座標情報を、計測地図上に配置する(ステップ707)。
計測地図の一例を図10の1010に示す。図10の1010では、基準点ID5、ID6、ID9が包含する位置に確認位置Bが示される。このように、デフォルメ地図の確認位置Bを、計測地図上の対応する確認位置Bに補間計算により配置することが可能である。
【0058】
次に、確認位置Bを配置した計測地図をサーバ30から、コンピュータ40に送信する(ステップ708)。送信された計測地図は、コンピュータ40で受信され(ステップ709)、コンピュータ40の画面上に表示され(ステップ710)、デフォルメ地図上に設定した確認位置を計測地図上に表示する位置特定システムの処理フローは終了する。
【0059】
なお、上述においては、計測地図に示される詳細情報を確認するためには、表示部の大きなコンピュータが好ましいため、コンピュータに確認位置Bを配置した計測地図が送信される例を示した。しかしながら、高精細度表示部を有する携帯端末、PDAであれば、詳細地図情報の確認が可能であるため、携帯端末等でも同様に計測地図を受信することが可能である。
【0060】
このように、本実施例による位置特定システムは、計測地図の基準点座標とデフォルメ地図の基準点座標とを相互に変換可能にし、デフォルメ地図上で設定した位置を計測地図上に表示することで、計測地図に示される詳細情報を参照可能にする位置特定方法及び位置特定システムを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る位置特定方法及び位置特定システムの概要を示す図である。
【図2A】基準点の配置の一例を示す図である。
【図2B】基準点の配置の一例を示す図である。
【図3】デフォルメ地図に携帯端末位置を特定する位置特定システムの処理フローを示す図である。
【図4】計測地図の一例を示す図である。
【図5】図4に示した基準点と包括ポリゴン群の一例を示す図である。
【図6】デフォルメ地図の一例を示す図である。
【図7】デフォルメ地図上に設定した確認位置を計測地図上に表示する位置特定システムの処理フローを示す図である。
【図8】デフォルメ地図の一例を示す図である。
【図9】図8に示した基準点と包括ポリゴン群の一例を示す図である。
【図10】計測地図の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
10 ネットワーク
20 携帯端末
30 サーバ
40 コンピュータ
50 ISP
60 電話会社
70 測定衛星
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して携帯端末にアクセス可能であり、かつ、計測地図及びデフォルメ地図を記憶部に有するサーバにおけるデフォルメ地図の位置を特定する方法であって、
前記携帯端末から前記携帯端末の第1の座標情報を受信するステップと、
前記計測地図から前記第1の座標情報の近傍にある計測地図の第1の基準点を抽出するステップと、
前記デフォルメ地図から前記第1の基準点に対応する前記デフォルメ地図の第2の基準点を選択するステップと、
前記第1の座標情報、前記第1の基準点及び第2の基準点を用いて補間計算して、前記デフォルメ地図上の前記携帯端末の第2の座標情報を算定するステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第2の座標情報を、前記デフォルメ地図上に配置するステップと、
前記第2の座標情報が配置されたデフォルメ地図を、前記携帯端末に送信するステップとを有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の基準点は、手動設定された第1の固定基準点と、第1の計算基準点を有し、かつ、前記第2の基準点は、手動設定された第2の固定基準点と、第2の計算基準点を有し、
前記第1の計算基準点は、計測地図上の道のりに伴う座標に基づいて前記第1の固定基準点の間の所定の内分比により算定されたものであり、
前記第2の計算基準点は、前記第2の固定基準点間の線分を前記所定の内分比により算定されたものである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ネットワークを介して携帯端末にアクセス可能であり、かつ、計測地図及びデフォルメ地図を記憶部に有するサーバにおける計測地図の位置を特定する方法であって、
前記携帯端末から前記デフォルメ地図上の確認位置を示す第1の座標情報を受信するステップと、
前記デフォルメ地図から前記第1の座標情報の近傍にある前記デフォルメ地図の第1の基準点を抽出するステップと、
前記第1の基準点に対応する前記計測地図の第2の基準点を選択するステップと、
前記第1の座標情報、前記第1の基準点及び第2の基準点を用いて補間計算して、前記計測地図上の前記確認位置を示す第2の座標情報を算定するステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項5】
前記第2の座標情報を、前記計測地図上に配置するステップと、
前記第2の座標情報が配置された計測地図を、前記携帯端末又は前記サーバにアクセス可能に接続したコンピュータに送信するステップとを有する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の基準点は、手動設定された第1の固定基準点と、第1の計算基準点を有し、かつ、前記第2の基準点は、手動設定された第2の固定基準点と、第2の計算基準点を有し、
前記第2の計算基準点は、計測地図上の道のりに伴う座標に基づいて前記第2の固定基準点の間の所定の内分比により算定されたものであり、
前記第1の計算基準点は、前記第1の固定基準点間の線分を前記所定の内分比により算定されたものである請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
ネットワークを介して携帯端末にアクセス可能であり、かつ、計測地図及びデフォルメ地図を記憶部に有するサーバにおけるデフォルメ地図の位置を特定する位置特定システムであって、
前記携帯端末から前記携帯端末の第1の座標情報を受信する座標情報受信手段と、
前記計測地図から前記第1の座標情報の近傍にある計測地図の第1の基準点を抽出する基準点抽出手段と、
前記デフォルメ地図から前記第1の基準点に対応する前記デフォルメ地図の第2の基準点を選択する基準点選択手段と、
前記第1の座標情報、前記第1の基準点及び第2の基準点を用いて補間計算して、前記デフォルメ地図上の前記携帯端末の第2の座標情報を算定する座標情報算定手段と、
を有することを特徴とする位置特定システム。
【請求項8】
前記第2の座標情報を、前記デフォルメ地図上に配置するデフォルメ地図配置手段と、
前記第2の座標情報が配置されたデフォルメ地図を、前記携帯端末に送信するデフォルメ地図送信手段とを有する請求項7に記載の位置特定システム。
【請求項9】
前記第1の基準点は、手動設定された第1の固定基準点と、第1の計算基準点を有し、かつ、前記第2の基準点は、手動設定された第2の固定基準点と、第2の計算基準点を有し、
前記第1の計算基準点は、計測地図上の道のりに伴う座標に基づいて前記第1の固定基準点の間の所定の内分比により算定されたものであり、
前記第2の計算基準点は、前記第2の固定基準点間の線分を前記所定の内分比により算定されたものである請求項7又は8に記載の位置特定システム。
【請求項10】
ネットワークを介して携帯端末にアクセス可能であり、かつ、計測地図及びデフォルメ地図を記憶部に有するサーバにおける計測地図の位置を特定する位置特定システムであって、
前記携帯端末において設定された前記デフォルメ地図上の確認位置を示す第1の座標情報を受信する座標情報受信手段と、
前記デフォルメ地図から前記第1の座標情報の近傍にある前記デフォルメ地図の第1の基準点を抽出する基準点抽出手段と、
前記第1の基準点に対応する前記計測地図の第2の基準点を選択する基準点選択手段と、
前記第1の座標情報、前記第1の基準点及び第2の基準点を用いて補間計算して、前記計測地図上の前記確認位置を示す第2の座標情報を算定する座標情報算定手段と、
を有することを特徴とする位置特定システム。
【請求項11】
前記第2の座標情報を、前記計測地図上に配置する座標情報配置手段と、
前記第2の座標情報が配置された計測地図を、前記携帯端末又は前記サーバにアクセス可能に接続したコンピュータに送信する計測地図送信手段とを有する請求項10に記載の位置特定システム。
【請求項12】
前記第1の基準点は、手動設定された第1の固定基準点と、第1の計算基準点を有し、かつ、前記第2の基準点は、手動設定された第2の固定基準点と、第2の計算基準点を有し、
前記第2の計算基準点は、計測地図上の道のりに伴う座標に基づいて前記第2の固定基準点の間の所定の内分比により算定されたものであり、
前記第1の計算基準点は、前記第1の固定基準点間の線分を前記所定の内分比により算定されたものである請求項10又は11に記載の位置特定システム。
【請求項1】
ネットワークを介して携帯端末にアクセス可能であり、かつ、計測地図及びデフォルメ地図を記憶部に有するサーバにおけるデフォルメ地図の位置を特定する方法であって、
前記携帯端末から前記携帯端末の第1の座標情報を受信するステップと、
前記計測地図から前記第1の座標情報の近傍にある計測地図の第1の基準点を抽出するステップと、
前記デフォルメ地図から前記第1の基準点に対応する前記デフォルメ地図の第2の基準点を選択するステップと、
前記第1の座標情報、前記第1の基準点及び第2の基準点を用いて補間計算して、前記デフォルメ地図上の前記携帯端末の第2の座標情報を算定するステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第2の座標情報を、前記デフォルメ地図上に配置するステップと、
前記第2の座標情報が配置されたデフォルメ地図を、前記携帯端末に送信するステップとを有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の基準点は、手動設定された第1の固定基準点と、第1の計算基準点を有し、かつ、前記第2の基準点は、手動設定された第2の固定基準点と、第2の計算基準点を有し、
前記第1の計算基準点は、計測地図上の道のりに伴う座標に基づいて前記第1の固定基準点の間の所定の内分比により算定されたものであり、
前記第2の計算基準点は、前記第2の固定基準点間の線分を前記所定の内分比により算定されたものである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ネットワークを介して携帯端末にアクセス可能であり、かつ、計測地図及びデフォルメ地図を記憶部に有するサーバにおける計測地図の位置を特定する方法であって、
前記携帯端末から前記デフォルメ地図上の確認位置を示す第1の座標情報を受信するステップと、
前記デフォルメ地図から前記第1の座標情報の近傍にある前記デフォルメ地図の第1の基準点を抽出するステップと、
前記第1の基準点に対応する前記計測地図の第2の基準点を選択するステップと、
前記第1の座標情報、前記第1の基準点及び第2の基準点を用いて補間計算して、前記計測地図上の前記確認位置を示す第2の座標情報を算定するステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項5】
前記第2の座標情報を、前記計測地図上に配置するステップと、
前記第2の座標情報が配置された計測地図を、前記携帯端末又は前記サーバにアクセス可能に接続したコンピュータに送信するステップとを有する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の基準点は、手動設定された第1の固定基準点と、第1の計算基準点を有し、かつ、前記第2の基準点は、手動設定された第2の固定基準点と、第2の計算基準点を有し、
前記第2の計算基準点は、計測地図上の道のりに伴う座標に基づいて前記第2の固定基準点の間の所定の内分比により算定されたものであり、
前記第1の計算基準点は、前記第1の固定基準点間の線分を前記所定の内分比により算定されたものである請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
ネットワークを介して携帯端末にアクセス可能であり、かつ、計測地図及びデフォルメ地図を記憶部に有するサーバにおけるデフォルメ地図の位置を特定する位置特定システムであって、
前記携帯端末から前記携帯端末の第1の座標情報を受信する座標情報受信手段と、
前記計測地図から前記第1の座標情報の近傍にある計測地図の第1の基準点を抽出する基準点抽出手段と、
前記デフォルメ地図から前記第1の基準点に対応する前記デフォルメ地図の第2の基準点を選択する基準点選択手段と、
前記第1の座標情報、前記第1の基準点及び第2の基準点を用いて補間計算して、前記デフォルメ地図上の前記携帯端末の第2の座標情報を算定する座標情報算定手段と、
を有することを特徴とする位置特定システム。
【請求項8】
前記第2の座標情報を、前記デフォルメ地図上に配置するデフォルメ地図配置手段と、
前記第2の座標情報が配置されたデフォルメ地図を、前記携帯端末に送信するデフォルメ地図送信手段とを有する請求項7に記載の位置特定システム。
【請求項9】
前記第1の基準点は、手動設定された第1の固定基準点と、第1の計算基準点を有し、かつ、前記第2の基準点は、手動設定された第2の固定基準点と、第2の計算基準点を有し、
前記第1の計算基準点は、計測地図上の道のりに伴う座標に基づいて前記第1の固定基準点の間の所定の内分比により算定されたものであり、
前記第2の計算基準点は、前記第2の固定基準点間の線分を前記所定の内分比により算定されたものである請求項7又は8に記載の位置特定システム。
【請求項10】
ネットワークを介して携帯端末にアクセス可能であり、かつ、計測地図及びデフォルメ地図を記憶部に有するサーバにおける計測地図の位置を特定する位置特定システムであって、
前記携帯端末において設定された前記デフォルメ地図上の確認位置を示す第1の座標情報を受信する座標情報受信手段と、
前記デフォルメ地図から前記第1の座標情報の近傍にある前記デフォルメ地図の第1の基準点を抽出する基準点抽出手段と、
前記第1の基準点に対応する前記計測地図の第2の基準点を選択する基準点選択手段と、
前記第1の座標情報、前記第1の基準点及び第2の基準点を用いて補間計算して、前記計測地図上の前記確認位置を示す第2の座標情報を算定する座標情報算定手段と、
を有することを特徴とする位置特定システム。
【請求項11】
前記第2の座標情報を、前記計測地図上に配置する座標情報配置手段と、
前記第2の座標情報が配置された計測地図を、前記携帯端末又は前記サーバにアクセス可能に接続したコンピュータに送信する計測地図送信手段とを有する請求項10に記載の位置特定システム。
【請求項12】
前記第1の基準点は、手動設定された第1の固定基準点と、第1の計算基準点を有し、かつ、前記第2の基準点は、手動設定された第2の固定基準点と、第2の計算基準点を有し、
前記第2の計算基準点は、計測地図上の道のりに伴う座標に基づいて前記第2の固定基準点の間の所定の内分比により算定されたものであり、
前記第1の計算基準点は、前記第1の固定基準点間の線分を前記所定の内分比により算定されたものである請求項10又は11に記載の位置特定システム。
【図1】
【図3】
【図7】
【図2A】
【図2B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図3】
【図7】
【図2A】
【図2B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−191075(P2008−191075A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27876(P2007−27876)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(305003782)株式会社アルプス社 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(305003782)株式会社アルプス社 (6)
【Fターム(参考)】
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