説明

トレイ搬送システム

【課題】 本発明では、このトレイ搬送システムを改良し、トレイ搬送システムの搬送路が占める床面積を最小限に抑えることを課題とする。
【解決手段】 板状ワーク3を載せるトレイ2と、該トレイ2が搬送される搬送路10と、該搬送路10に沿って配置された処理装置11・11・・・と、を備え、板状ワーク3を載せたトレイ2は搬送路10上を搬送されてトレイ2上の板状ワーク3が処理装置6に供給されるトレイ搬送システム1であって、前記搬送路10は、トレイ2を水平状態で搬送する実トレイ搬送路13と、トレイ2を水平状態から起こした状態で搬送する空トレイ搬送路14と、を有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状ワークを載せたトレイを搬送するトレイ搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコンやテレビの画面等に使われる電子ディスプレイ(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等)の需要が増大しており、電子ディスプレイを大量生産するシステムが要望されている。この電子ディスプレイは、原材料である板ガラスの表面にアレイ製造工程、カラーフィルタ製造工程等の各種処理工程を経て処理が施されていくのであるが、各種処理装置間を搬送する上で、表面に傷等がつかないように優しく搬送することが望ましい。
【0003】
そこで、この板ガラスを1枚ずつトレイに載せて搬送する技術が提案され、この技術は、例えば、本願と同出願人によって出願された特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示されているトレイ搬送システムは、板状のワークである板ガラスを載せるためのトレイと、該トレイを搬送する搬送手段であるローラコンベアと、該ローラコンベアに沿って配置された処理装置と、ローラコンベア上でトレイを一時的に保管する一時保管装置と、を備え、板ガラスを載せたトレイはローラコンベア上を始端から終端まで一方向に搬送されるように構成されている。
【特許文献1】特開2004−168484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では、このトレイ搬送システムを改良し、トレイ搬送システムの搬送路が占める床面積を最小限に抑えることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上のとおりであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
まず、請求項1に記載のように、板状ワークを載せるトレイと、該トレイが搬送される搬送路と、該搬送路に沿って配置された処理装置と、を備え、前記板状ワークを載せたトレイは前記搬送路上を搬送されて前記トレイ上の板状ワークが前記処理装置に供給されるトレイ搬送システムであって、前記搬送路は、前記トレイを水平状態で搬送する第1の搬送路と、前記トレイを水平状態から起こした状態で搬送する第2の搬送路と、を有する構成とする。
【0006】
また、請求項2に記載のように、前記第1の搬送路では前記板状ワークを載せたトレイが水平状態で搬送され、前記第2の搬送路では空のトレイが水平状態から起こした状態で搬送されるように構成する。
【0007】
そして、請求項3に記載のように、前記トレイ搬送システムは前記トレイに板状ワークを吸着する吸着手段を備え、前記第2の搬送路では前記吸着手段によって前記トレイに前記板状ワークを吸着して、前記板状ワークを吸着したトレイを水平状態から起こした状態で搬送するように構成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上のように構成したことにより、次のような効果を奏する。
まず、請求項1に記載の発明では、トレイを水平状態から起こした状態で搬送する第2の搬送路は、トレイを水平状態で搬送する第1の搬送路に比べて占有床面積が小さく、この第1の搬送路と第2の搬送路とを併用することで、トレイ搬送システム全体の占有床面積を必要最小限に抑えることができ、スペースを有効に利用することができて、コスト的にも有利になる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、板状ワークを載せていない空のトレイは水平状態から起こしても支障がないため、この空のトレイは第2の搬送路で水平状態から起こした状態で搬送するように構成したことで、板状ワークの搬送に支障をきたすことなく、トレイ搬送システムの占有床面積を容易に必要最小限に抑えることができ、スペースを有効に利用することができて、コスト的にも有利になる。
【0010】
そして、請求項3に記載の発明では、板状ワークを収容しているトレイであっても水平状態から起こした状態で搬送することができるためトレイ搬送システムのレイアウトの自由度が増し、この結果、トレイ搬送システムの占有床面積をより容易に必要最小限に抑えることができて、スペースをより一層有効に利用することができ、コスト的にも有利になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施の一形態を、図面を参照しながら説明する。
まず、液晶ディスプレイ等の板状ワーク3を載せたトレイ2を搬送するためのトレイ搬送システム1の構成について説明する。
【0012】
図1に示すように、このトレイ搬送システム1は、トレイ2が搬送される搬送路10と、該搬送路10に沿って配置された複数の処理装置6・6・・・と、を備え、板状ワーク3を載せたトレイ2は搬送路10上を搬送されてトレイ2上の板状ワーク3が処理装置6・6・・・に供給されるように構成されている。
この搬送路10は、例えば、ローラコンベアやベルトコンベア等の搬送コンベアで構成されており、本実施の形態では、該搬送路10は短手方向両側端部にトレイ2の搬送を案内するためのガイドを有するローラコンベアで構成されて、該ローラコンベアは長手方向にトレイ2を繰り送るための多数のローラ17・17・・・を備え(図2参照)、該ローラ17・17・・・上を板状ワーク3がトレイ2を介して搬送されるように構成されている。
【0013】
前記搬送路10は、長手方向一方向に向けてトレイ2が搬送される主搬送路11と、同じトレイ2が循環使用される、複数の閉ループ搬送路12・12・・・と、で構成されており、各閉ループ搬送路12は複数の処理装置6・6に跨って(本実施の形態では、隣り合う2つの処理装置6・6に跨って)形成されている。
【0014】
各処理装置6は、板状ワーク5が処理装置6内に入庫される入庫口61と、板状ワーク5が処理装置6内から出庫される出庫口62と、を備え、該入庫口61は主搬送路11上の出口部11aと対向して配置され、該出庫口62は主搬送路11上の入口部11bと対向して配置されている。そして、処理装置6の入庫口61と主搬送路11上の出口部11aとの間は連結路63を介して連結されており、処理装置6の出庫口62と主搬送路11上の入口部11bとの間は連結路64を介して連結されている。この連結路63・64は、例えば、ローラコンベアやベルトコンベア等の搬送コンベアで構成されており、本実施の形態では、該連結路63・64は短手方向両側端部に板状ワーク3の搬送を案内するためのガイドを有するローラコンベアで構成されて、該ローラコンベアは長手方向に板状ワーク3を繰り送るための多数のローラ67・67・・・を備え、該ローラ67・67・・・上を板状ワーク3が搬送されるように構成されている。
【0015】
次に、前記閉ループ搬送路12について説明する。
前記各閉ループ搬送路12は、板状ワーク3を載せた実トレイ2を水平状態で搬送するための実トレイ搬送路13と、空トレイ2を搬送するための空トレイ搬送路14と、で構成されており、該実トレイ搬送路14は、主搬送路11の一部で構成されている。具体的には、実トレイ搬送路13は、主搬送路11上のある処理装置6への出口部11aから該処理装置6の隣の処理装置6からの入口部11bまでの間の区間で構成され、空トレイ搬送路14は、該実トレイ搬送経路13の短手方向一側方に配置されており、該空トレイ搬送路14の戻し搬送路14aは空トレイ2を水平状態から起こした状態で搬送するように構成されている。
【0016】
この閉ループ搬送路12は、板状ワーク3を載せたトレイ2を処理装置6へ供給し、空になったトレイ2はそのまま閉ループ搬送路12内を一方向に循環させて、この空トレイ2には前記処理装置6の隣の処理装置6から出てきた板状ワーク3が載せられるように構成されている。
【0017】
図1、図2に示すように、閉ループ搬送路12の空トレイ搬送路14は、実トレイ搬送路13と平行に配置される戻し搬送路14aと、該戻し搬送路14aの長手方向両端部から実トレイ搬送路13へ向けて形成される移載搬送路14b・14bとで構成されて、該空トレイ搬送路14は、平面視で、「凹」字状に形成されている。
【0018】
本実施の形態では、空トレイ搬送路14の戻し搬送路14aで、トレイ2を水平状態から90°近くまで起こした状態で搬送するように構成しているが、このトレイ2を起こす角度θは、0°<θ≦90°の範囲内であれば、特に限定しないものとする。
【0019】
このようにトレイ2を水平状態から起こした状態で搬送する搬送路を構成することにより、例えば、θ=45°ではcos45°≒0.7071より占有床面積を約30%削減することができ、θ=60°ではcos60°=0.5より占有床面積を約50%削減することができ、θ=75°ではcos75°≒0.2588より占有床面積を約75%削減することができ、θ=90°では最も効果的に占有床面積を削減することができる。
【0020】
次に、前記空トレイ搬送路14の移載搬送路14bについて説明する。
図2、図3に示すように、前記移載搬送路14bは、トレイ2が載置される移載装置40と、該移載装置40を起こすためのアクチュエータ(例えば、油圧アクチュエータ等)41と、該移載装置40を回動自在に支持する台座フレーム42と、を有し、該アクチュエータ41を駆動することにより、移載装置40を水平状態から略垂直な状態まで回動させて、該移載装置40の上面の搬送面と、空トレイ搬送路14の戻し搬送路14aの搬送面と、を面一に一致させることができるように構成されている。
【0021】
前記台座フレーム42は箱状の筐体で、該台座フレーム42上に移載装置40が水平状態に寝かせた状態で載置されている。この台座フレーム42の移載搬送路14bの短手方向(主搬送路11の長手方向)両側面42b・42bは該台座フレーム42上に載置された移載装置49の上面の高さ位置まで延出されて、該台座フレーム42の両側面42b・42bの上端部における反処理装置6側の側端部と移載装置40の反処理装置6側の側端部とが回動軸43・43を介して回動自在に取り付けられている。
【0022】
前記アクチュエータ41は前記台座フレーム42内には収納されており、該アクチュエータは伸縮自在なロッド41aを備え、該台座フレーム42の上面の中央部付近には開口部42aが形成されて、該開口部42aを通じてアクチュエータ41のロッド41aが台座フレーム42の上方へ出没するように構成されている。そして、移載装置40の下面からはブラケット44が垂設されており、該ブラケット44にアクチュエータ41のロッド41aの先端部が回動自在に取り付けられている。
【0023】
このような構成で、アクチュエータ41のロッド41aを伸長させることで、台座フレーム42上に載置された移載装置40が押し上げられて、該移載装置40は回動軸43・43を中心に90°近く回動し、該ロッド41aによって水平状態から起こされた起立状態で支持されるように構成されている(図3(a)(b)参照)。この起立状態で移載装置40上のトレイ2が戻し搬送路14aの長手方向一端部に移載され、該トレイ2は戻し搬送路14aを水平状態から起こされた状態で搬送されるように構成されている。そして、トレイ2は戻し搬送路14aの長手方向他端部から起立状態に回動させたもう一方の移載搬送路14bの移載装置40に移載されて、該トレイ2が移載された移載装置40を水平状態に回動するように構成されている。
【0024】
図2、図4に示すように、前記移載装置40は、トレイ2を移載搬送路14bの長手方向(主搬送路11の短手方向)に向けて搬送する第1ローラユニット70と、トレイ2を移載搬送路14bの短手方向(主搬送路11の長手方向)に向けて搬送する第2ローラユニット80と、トレイ2を移載搬送路14bの短手方向に向けて案内する第3ローラユニット90と、該第3ローラユニット90を昇降するアクチュエータ46と、これらの部材を収容する移載装置フレーム45と、を備え、該移載装置フレーム45は上方が開放された箱状の筐体で、平面視で、トレイ2よりも若干大きく構成されている。
【0025】
前記第1ローラユニット70は、移載搬送路14bの長手方向に所定間隔を開けて配置された複数のローラ軸72・72・・・と、各ローラ軸72に軸方向に所定間隔を開けて取り付けられた複数の搬送ローラ71・71・・・と、前記複数のローラ軸72・72・・・を正逆回転駆動する駆動装置73と、を備え、該駆動装置73の駆動により第1ローラユニット70の多数の搬送ローラ71・71・・・を回転させてトレイ2を移載搬送路14bの長手方向に繰り送るように構成されている。
【0026】
前記駆動装置73は前記移載装置40の移載装置フレーム45の上部における移載搬送路14bの短手向一側面に取り付けられており、前記複数のローラ軸72は軸心方向を移載搬送路14bの短手方向に向けて該駆動装置73と前記移載装置フレーム45上部の移載搬送路14bの短手方向他側面との間で回転自在に軸支されている。各ローラ軸72に取り付けられた搬送ローラ71・71・・・の配置位置であるが、隣り合うローラ軸72・72の搬送ローラ71・71・・・の回転面は移載搬送路14bの短手方向にずらして配置されており、第1ローラユニット70の多数の搬送ローラ71・71・・・は移載搬送路14bの長手方向にジグザグに配置されて、トレイ2の下面に万遍なく接触して搬送するように構成されている。
【0027】
前記第2ローラユニット80は、前記移載装置フレーム45の反処理装置6側の端部に設けられており、該第2ローラユニット80は移載搬送路14bの短手方向(戻し搬送路14aの長手方向)に所定間隔を開けて配置された複数の駆動ローラ81・81・・・を備えている。この複数の駆動ローラ81・81・・・は軸心方向を移載搬送路14bの搬送面と直交する方向に向けて配置されており、第2ローラユニット80の筐体内に内装された図示せぬ駆動装置によって駆動されるように構成されている。
【0028】
前記第3ローラユニット90は、昇降台94と、昇降台94上に立設された複数のローラ支持フレーム93・93と、該ローラ支持フレーム93に軸心方向を移載搬送路14bの長手方向に向けて回転自在に取り付けられた複数の案内ローラ91・91・・・と、を備え、該昇降台94は前記アクチュエータ46によって昇降されるように構成されている。
【0029】
各ローラ支持フレーム93に軸支された案内ローラ91・91・・・はその回転面がローラ支持フレーム93の上面よりも上方へ突出されて、その回転軸に対して遊転するように構成されている。昇降台94が下降している状態の待機位置では第3ローラユニット90の案内ローラ91・91・・・の回転面は第1ローラユニット70の搬送ローラ71・71・・・の回転面よりも下方に位置している(図4(a)参照)。この第3ローラユニット90の複数のローラ支持フレーム93・93は第1ローラユニット70のローラ軸72・72の間と、該ローラ軸72と第2ローラユニット80の筐体との間に配置されており、すなわち、第3ローラユニット90の複数のローラ支持フレーム93・93と、第1ローラユニット70のローラ軸72・72・・・並びに各ローラ軸72に取り付けられた搬送ローラ71・71・・・とが、平面視で重ならないように配置されていている。
【0030】
なお、本実施の形態では、第1ローラユニット70の処理装置6側の2本のローラ軸72・72の間と、反処理装置6側の1本のローラ軸72と第2ローラユニット80の筐体との間の2箇所のスペースに、第3ローラユニット90のローラ支持フレーム93を1個ずつ配置して、合計2個のローラ支持フレーム93・93を配置しているが、前記第2ローラユニット80の駆動ローラ81・81・・・の回転面とトレイ2の短手方向他側面とが接触している状態で、トレイ2の底面(ただし、トレイ2に形成された開口部2b・2b・・・(図1、図3参照)は除く。)の下方に位置していれば、この配置構成以外であってもよい。
【0031】
そうして、前記アクチュエータ46を作動させて前記昇降台94を上昇させたときには、第3ローラユニット90のローラ支持フレーム93・93は、第1ローラユニット70のローラ軸72・72・・・及び搬送ローラ71・71・・・と干渉することなく、その隙間を通過して、該第3ローラユニット90のローラ支持フレーム93・93の案内ローラ91・91・・・の回転面が該第1ローラユニット70の搬送ローラ71・71・・・の回転面よりも上方へ突出した状態となって、処理装置6側のローラ支持フレーム93の案内ローラ91・91・・・でトレイ2の底面の短手方向一端部が支持されるとともに、反処理装置6側のローラ支持フレーム93の案内ローラ91・91・・・でトレイ2の底面の短手方向他端部が支持され、トレイ2が第3ローラユニット90の案内ローラ91・91・・・によって軽く持ち上げられるように構成されている(図4(b)参照)。
【0032】
このときの第3ローラユニット90の位置が上昇位置であり、該上昇位置では第3ローラユニット90の案内ローラ91・91・・・の回転面と後述する戻し搬送路14aの案内ローラの回転面とが面一で一直線上に並ぶように構成されている。
【0033】
以上のような構成で、第3ローラユニット90の処理装置6側のローラ支持フレーム93の案内ローラ91・91・・・は、トレイ2の底面の短手方向一端部を案内するように構成されており、第3ローラユニット90の反処理装置6側のローラ支持フレーム93の案内ローラ91・91・・・は、トレイ2の底面の短手方向他端部を案内するように構成されて、前記第2ローラユニット80の駆動ローラ81・81・・・の駆動回転によってトレイ2の短手方向他側面が繰り送られるように構成されている。
【0034】
次に、前記空トレイ搬送路14の戻し搬送路14aについて説明する。
図2、図5に示すように、戻し搬送路14aは、戻し搬送路14aの長手方向両側方の移載搬送路14b・14b間に配置された台座フレーム30と、該台座フレーム30上に立設された搬送台フレーム31と、を備え、該搬送台フレーム31の搬送面は略垂直な面となって該搬送面に沿ってトレイ2が搬送されるように構成されている。
この搬送台フレーム31は長手形状に形成されており、該搬送台フレーム31の上部と下部には搬送台フレーム31の長手方向に向けて多数の案内ローラ35・35・・・が列置されており、該搬送台フレーム31の下端部には搬送台フレーム31の長手方向に向けて多数の駆動ローラ33・33・・・が列置されている。
【0035】
駆動ローラ33・33・・・はその回転軸34・34・・・を搬送台フレーム31の搬送面に対して垂直な方向に向けて配置されており、該駆動ローラ21・21・・・は搬送台フレーム31内に内装された駆動装置37によって駆動されるように構成されている。この駆動装置は駆動源である駆動モータ38と、各駆動ローラ33の回転軸34に駆動力を伝達する駆動伝達機構39とから成り、駆動ローラ33・33・・・の回転面は、前記移載装置40を起立状態に起こしたときの第2ローラユニット80の駆動ローラ81・81・・・の回転面と、面一で一直線上に並ぶように構成されている。
【0036】
案内ローラ35・35・・・はその回転軸36・36・・・を搬送台フレーム31の短手方向に向けて配置されており、該搬送台フレーム31の上部の案内ローラ35・35・・・の回転面は、前記移載装置40を起立状態に起こしたときの上部の第3ローラユニット90の案内ローラ91・91・・・の回転面と、面一で一直線上に並ぶように構成されており、該搬送台フレーム31の下部の案内ローラ35・35・・・の回転面は、前記移載装置40を起立状態に起こしたときの下部の第3ローラユニット90の案内ローラ91・91・・・の回転面と、面一で一直線上に並ぶように構成されている。
【0037】
以上のような構成で、搬送台フレーム31の上部と下部の案内ローラ35・35・・・によって、トレイ2の底面の短手方向一端部と短手方向他端部とが案内されるように構成されており、搬送台フレーム31の下端部の駆動ローラ33・33・・・の駆動回転によってトレイ2の短手方向他側面(下側の面)が繰り送られて、トレイ2が戻し搬送路14aの長手方向に搬送されるように構成されている。
【0038】
なお、この搬送台フレーム31に、水平状態から起こされた状態のトレイ2の上面におけるトレイ2の短手方向両側端部(起立状態のトレイ2の上側の端部と下側の端部)の双方又は一方を案内する補助ローラを設けてもよい。
【0039】
次に、空トレイ搬送路14の移載搬送路14bと実トレイ搬送路13とが連結される連結部15について説明する。
図2に示すように、この連結部15は前記の主搬送路11上の入口部11aと出口部11bとに配置され、該連結部15には、主搬送路11と、主搬送路11の一部を構成する実トレイ搬送路13と、空トレイ搬送路14の移載搬送路14bと、処理装置6と連結される連結路63・64と、の4本の搬送路が連結されている。
【0040】
図6に示すように、前記連結部15は、トレイ2を主搬送路11の長手方向に向けて搬送する第1ローラユニット110と、板状ワーク3を主搬送路11の短手方向処理装置6側へ向けて搬送する第2ローラユニット120と、トレイ2を主搬送路11の短手方向反処理装置6側へ向けて搬送する第3ローラユニット130と、該第2ローラユニット120を昇降するアクチュエータと、該第3ローラユニット130を昇降するアクチュエータと、これらの部材を収容する台座フレーム150と、を備え、該台座フレーム150は上方が開放された箱状の筐体で構成され、平面視で、トレイ2よりも若干大きく構成されている。
【0041】
図6、図7に示すように、前記第1ローラユニット110は、主搬送路11の短手方向に所定間隔を開けて配置された複数のローラ支持フレーム113・113・・・と、各ローラ支持フレーム113に軸心方向を主搬送路11の短手方向に向けて回転自在に取り付けられた複数の駆動ローラ111・111・・・と、を備え、該複数の駆動ローラ111・111・・・はローラ支持フレーム113内に内装された図示せぬ駆動装置によって駆動されるように構成されている。
【0042】
この第1ローラユニット110のローラ支持フレーム113・113・・・は、平面視で、トレイ2の底面に形成された開口部2b・2b・・・と重ならない位置に配置されている。本実施の形態では、トレイ2の底面におけるトレイ2の短手方向一側部と他側部との2列に、各列3つずつ開口部2b・2b・・が配置されて、合計6つの開口部2b・2b・・・が形成されており、ローラ支持フレーム113・113・・・はこの2列の開口部2b・2b・・の短手方向両側のフレーム部分に対応して、台座フレーム150内の主搬送路11の短手方向両端部と短手方向中央部と3箇所に配置されている。このローラ支持フレーム113・113・・・の上面は台座フレーム150の上面と同じ高さに配置されており、各ローラ支持フレーム113の駆動ローラ111・111・・・はその回転面がローラ支持フレーム113の上面よりも上方へ突出されて、該駆動ローラ111・111・・・の回転面は、主搬送路11のローラ17・17・・・の回転面及び実トレイ搬送路13のローラ17・17・・・の回転面と同じ高さに配置されている。
この第1ローラユニット110の駆動ローラ111・111・・・によってトレイ2が主搬送路11の長手方向に搬送されるように構成されている。
【0043】
前記第2ローラユニット120は、主搬送路11の長手方向に所定間隔を開けて配置された複数のローラ支持フレーム123・123・・・と、各ローラ支持フレーム123に軸心方向を主搬送路11の長手方向に向けて回転自在に取り付けられた複数の駆動ローラ121・121・・・と、を備え、該複数の駆動ローラ121・121・・・はローラ支持フレーム123内に内装された図示せぬ駆動装置によって駆動されるように構成されている。
【0044】
この第2ローラユニット120のローラ支持フレーム123・123・・・は、平面視で、連結部15上で停止するトレイ2の底面の6つの開口部2b・2b・・・と重なる位置に配置されており、すなわち、台座フレーム150内における主搬送路11の短手方向一側部と他側部との2列に、各列3つずつ配置されて、合計6つのローラ支持フレーム123・123・・・が配置されている。この第2ローラユニット120のローラ支持フレーム123・123・・・の上方には、連結部15でトレイ2が停止したときに、該トレイ2の底面の開口部2b・2b・・が位置するように構成されている。
【0045】
この第2ローラユニット120のローラ支持フレーム123・123・・・は、図示せぬアクチュエータによって昇降自在に構成されており、待機位置では第2ローラユニット120の駆動ローラ121・121・・・の回転面は第1ローラユニット110の駆動ローラ111・111・・・の回転面よりも下方に位置している(図7(a)参照)。そして、アクチュエータを作動させて、第2ローラユニット120のローラ支持フレーム123・123・・・を上昇させたときには、該第2ローラユニット120のローラ支持フレーム123・123・・・は、第1ローラユニット110のローラ支持フレーム113・113・・・と干渉することなく、その間を通過するとともに、該第1ローラユニット110のローラ111・111・・・上のトレイ2の開口部2b・2b・・・を通過して、該第2ローラユニット120の駆動ローラ121・121・・・の回転面がトレイ2の底面よりも上方へ突出した状態となって、トレイ2に載置されている板状ワーク3が該第2ローラユニット120の駆動ローラ121・121・・・によって軽く持ち上げられるように構成されている(図7(b)参照)。
【0046】
このときの第2ローラユニット120の位置が上昇位置であり、該上昇位置では第2ローラユニット120の駆動ローラ121・121・・・の回転面と連結路63(64)のローラ67・67・・・の回転面とが同じ高さ位置になるように構成されている。なお、第1ローラユニット110の駆動ローラ111・111・・・の回転面と同じ高さ位置にある主搬送路11のローラ17・17・・・の回転面及び実トレイ搬送路13のローラ17・17・・・の回転面はこの連結路63(64)のローラ67・67・・・の回転面よりも若干低い位置に配置されている。
この第2ローラユニット120の駆動ローラ121・121・・・によって板状ワーク3が主搬送路11の短手方向に搬送されるように構成されている。
【0047】
前記第3ローラユニット130は、主搬送路11の長手方向に所定間隔を開けて配置された複数のローラ支持フレーム133・133・・・と、各ローラ支持フレーム133に軸心方向を主搬送路11の長手方向に向けて回転自在に取り付けられた複数の駆動ローラ131・131・・・と、を備え、該複数の駆動ローラ131・131・・・はローラ支持フレーム133内に内装された図示せぬ駆動装置によって駆動されるように構成されている。
【0048】
この第3ローラユニット130のローラ支持フレーム133・133・・・は、平面視で、連結部15上で停止するトレイ2の底面の6つの開口部2b・2b・・・と重ならない位置に配置されており、すなわち、台座フレーム150内における主搬送路11の短手方向一側部と他側部との2列に、各列4つずつ配置されて、合計8つのローラ支持フレーム133・133・・・が配置されている。この第3ローラユニット130のローラ支持フレーム133・133・・・は、前記第2ローラユニット120のローラ支持フレーム123・123・・・の主搬送路11の長手方向両側方に配置されており、この第3ローラユニット130の8つのローラ支持フレーム133・133・・・の上方には、連結部15でトレイ2が停止したときに、該トレイ2の底面の長手方向両側端部のフレームと、その間の開口部2b・2b・・間のフレームと、が位置するように構成されている。
【0049】
この第3ローラユニット130のローラ支持フレーム133・133・・・は、図示せぬアクチュエータによって昇降自在に構成されており、待機位置では第3ローラユニット130の駆動ローラ131・131・・・の回転面は第1ローラユニット110の駆動ローラ111・111・・・の回転面よりも下方に位置している(図7(a)参照)。そして、アクチュエータを作動させて、第3ローラユニット130のローラ支持フレーム133・133・・・を上昇させたときには、該第3ローラユニット130のローラ支持フレーム133・133・・・は、第1ローラユニット110のローラ支持フレーム113・113・・・と干渉することなく、その間を通過して、該第3ローラユニット130の駆動ローラ131・131・・・の回転面が該第1ローラユニット110の駆動ローラ111・111・・・の回転面よりも上方へ突出した状態となって、トレイ2底面の開口部2b・2b・・・の周囲のフレームが該第3ローラユニット130の駆動ローラ131・131・・・によって支持され、トレイ2が軽く持ち上げられるように構成されている(図7(c)参照)。
【0050】
このときの第3ローラユニット130の位置が上昇位置であり、該上昇位置では第3ローラユニット130の駆動ローラ131・131・・・の回転面と移載装置40の第1ローラユニット70のローラ71・71・・・の回転面とが同じ高さ位置になるように構成されている。この第3ローラユニット130の駆動ローラ131・131・・・によって板状ワーク3が主搬送路11の短手方向に搬送されるように構成されている。
【0051】
以上、閉ループ搬送路12の構成であり、次に、閉ループ搬送路12を循環して搬送されるトレイ2の流れについて説明する。
閉ループ搬送路12の実トレイ搬送路13上を繰り送られて搬送されてきた、板状ワーク3を載せたトレイ2は、処置装置6への連結路63との連結部15である出口部11aで一旦停止し、このトレイ2が停止した後、連結部15の第2ローラユニット120が上昇して、板状ワーク3が該第2ローラユニット120の駆動ローラ121・121・・・によって軽く持ち上げられた状態となる。この状態で、第2ローラユニット121の駆動ローラ121・121・・・及び連結路63のローラ17・17・・・・が回転駆動されて、板状ワーク3は連結路63へ繰り送られていき、前記処理装置6の入庫口61から処理装置6内へ入庫される。
【0052】
そして、板状ワーク3が搬送されてトレイ2が空になると、連結部15の第2ローラユニット120を下降させて、第3ローラユニット130を上昇させ、これにより空になったトレイ2が該第3ローラユニット130の駆動ローラ131・131・・・によって軽く持ち上げられた状態となる。この状態で、該第3ローラユニット131の駆動ローラ131・131・・・及び移載搬送路12bの第1ローラユニット70の搬送ローラ71・71・・・・が回転駆動されて、空トレイ2は移載搬送路12bへ繰り送られて、該移載搬送路12bの移載装置40上で一旦停止する。
【0053】
そして、この移載装置40上に空トレイ2が載置されている状態で前記アクチュエータ41を作動させて、該移載装置40を略垂直な状態となるまで起こしていき、このとき空トレイ2の短手方向反処理装置6側の側面が移載装置40の第2ローラユニット80の駆動ローラ81・81・・・の回転面に支持されながら、移載装置40上の空トレイ2が略垂直な状態に引き起されていく。移載装置2が略垂直な状態まで起こされると、移載装置の第3ローラユニット90を上昇させて、空トレイ2を該第3ローラユニット130の案内ローラ131・131・・・によって軽く持ち上げ、そして、この状態で、移載装置40の第2ローラユニット80の駆動ローラ81・81・・・と戻し搬送路14aの駆動ローラ33・33・・・が回転駆動されると、略垂直な状態となった空トレイ2は戻し搬送路12aを繰り送られていく。
【0054】
このとき戻し搬送路14aの搬送方向下流側の移載搬送路14bの移載装置40も略垂直な状態に引き起こされていて、該移載装置40の第3ローラユニット90の案内ローラ91・91・・・が上昇しているとともに第2ローラユニット80の駆動ローラ81・81・・・が回転駆動されている。
【0055】
そうして、空トレイ2は戻し搬送路14aの搬送方向下流側の移載装置40まで搬送されて、該移載装置40上で一旦停止し、該空トレイ2を載せた移載装置40は前記アクチュエータ41の駆動によって水平状態まで下降していく。この下降が完了した後、該移載装置40の第3ローラユニット90の案内ローラ91・91・・・も下降させて、該移載装置40の第1ローラユニットの搬送ローラ71・71・・・上に空トレイ2を載置し、この状態で、移載装置40の第1ローラユニット70の搬送ローラ71・71・・・・及び連結部15の第3ローラユニット131の駆動ローラ131・131・・・が回転駆動されると、空トレイ2は連結部15へ繰り送られて、該連結部15上で一旦停止する。
【0056】
このトレイ2が一旦停止した位置は前記板状ワーク3を入庫した処理装置6の隣の処理装置6の出庫口62と対向する主搬送路11上の入口部11bであり、該入口部11bで連結部15の第2ローラユニット120を上昇位置に上昇させて、該隣の処理装置6の出庫口62から出庫された板状ワーク3を空トレイ2上に移載するためのスタンバイをしておく。
【0057】
そして、該処理装置6の出庫口62から板状ワーク3が出庫されてくると、連結路64のローラ17・17・・・・及び連結部15の第2ローラユニット120の駆動ローラ121・121・・・を回転駆動して該板状ワーク3を搬送し、第2ローラユニット120のローラ121・121・・・上で停止させる。この第2ローラユニット120のローラ121・121・・・上の板状ワーク3はトレイ2と離間した状態にあり、該第2ローラユニット120を上昇位置から待機位置まで下降させることで、該第2ローラユニット120のローラ121・121・・・上に支持されていた板状ワーク3がトレイ2上に移載される。
【0058】
こうして板状ワーク3がトレイ2上に載置されると、連結部15の第1ローラユニット110の駆動ローラ111・111・・・及び実トレイ搬送路13のローラ17・17・・・が回転駆動されて、板状ワーク3を載せたトレイ2が実トレイ搬送路13へ搬送されるのである。
【0059】
以上のような流れで、トレイ2が閉ループ搬送路12を循環して搬送されるように構成されており、この一つの閉ループ搬送路12内には複数のトレイ2・2・・・が搬送されるように構成してもよい。
【0060】
なお、本実施の形態では、閉ループ搬送路12を構成する実トレイ搬送路13と空トレイ搬送路14とを平面視で並べて配置しているが、該実トレイ搬送路13と該空トレイ搬送路14とは、平面視で重なるように配置してもよい。
【0061】
以上のようにトレイ搬送システム1が構成されており、このトレイ搬送システム1の空トレイ2を水平状態から起こした状態で搬送する戻し搬送路14aは、トレイ2を水平状態で搬送する主搬送路11等に比べて占有床面積が小さく、このトレイ2を水平状態から起こした状態で搬送する搬送路とトレイ2を水平状態で搬送する搬送路とを併用することで、トレイ搬送システム1全体の占有床面積を必要最小限に抑えることができ、スペースを有効に利用することができて、コスト的にも有利になる。
【0062】
上記のトレイ搬送システム1では、戻し搬送路14aで、空トレイ2を水平状態から起こした状態で搬送するように構成しているが、次のようにトレイ20(21)に板状ワーク3を吸着する吸着手段を構成することで、板状ワーク3を収容しているトレイ20(21)であっても水平状態から起こした状態で搬送することができるようになる。
【0063】
次に、前記吸着手段の構成について2つの実施例を説明する。
まず、吸着手段の第1実施例について説明する。
この吸着手段を構成する吸引装置23はトレイ20に取り付けられており、図8、図9に示すように、該トレイ20は、板状のベース部材20aと、該ベース部材20aの表面に突設された板状ワーク3を載置するための複数の突起部20c・20c・・・と、該ベース部材20aの両側端部に立設されたガイド部20d・20dと、該ベース部材20aに開口された前記連結部15の第2ローラユニット120のローラ支持フレーム123・123・・・が通過するための複数の開口部20b・20b・・・と、該ベース部材20aの一側面に形成された接続口20eと、前記各突起部20cの載置面に形成された吸着口20fと、前記ベース部材20a内における前記接続口20eと前記各吸着口20fとの間に形成された空気路20gと、を備え、前記ベース部材20aの一側面には負圧発生手段である吸引装置23が取り付けられて、該吸引装置23の吸引口が前記ベース部材20aの一側面の接続口20eに接続されている。
【0064】
以上のようにして板状ワーク3を吸着するための吸着手段が構成されており、トレイ2の突起部20c・20c・・に板状ワーク3を載置した状態で、吸引装置23の吸引ポンプ23aを作動させると、空気路20g内のエアが吸引されて該空気路20g内は負圧となり、突起部20c・20c・・・の吸着口20f・20f・・・で板状ワーク3が吸着されるように構成されている。
なお、この板状ワーク3の吸着を解除するには、電磁弁で構成された吸引装置23のリリースバルブを開放することで、空気路20g内の空気圧は大気圧に戻り、トレイ20上の板状ワーク3の吸着が解除されて、該板状ワーク3は移載可能な状態となる。
【0065】
このような構成でトレイ20に板状ワーク3を吸着することで、板状ワーク3を収容しているトレイ20であっても水平状態から起こした状態で搬送することができるようになり、このように実トレイ20を起こした状態で搬送する搬送区間は、例えば、図1における実トレイ搬送路13に形成することができる。この実トレイ20を起こした状態で搬送する搬送路は前記空トレイ搬送路14と同様の構成で、前記戻し搬送路14aと同様の構成の起し搬送路と、前記移載搬送路14b・14bと同様の構成で該起し搬送路の長手方向両側に配置される移載搬送路と、で構成されている。
【0066】
板状ワーク3を載せたトレイ20の流れであるが、板状ワーク3を載せたトレイ20が起し搬送路の搬送方向上流側の移載搬送路の移載装置上で停止すると、前記吸引装置23を吸引作動させてトレイ20上に板状ワーク3を吸着し、この状態で板状ワーク3を吸着したトレイ20とともに移載装置が引き起されていく。そして、この板状ワーク3を吸着したトレイ20は起し搬送路の長手方向に搬送されていき、該起し搬送路の長手方向下流側の移載搬送路の移載装置上で一旦停止する。そうして、移載装置がその上の板状ワーク3を吸着したトレイ20とともに水平状態まで倒されていき、板状ワーク3を吸着したトレイ20が水平状態となったところで吸引装置23のリリースバルブが開放されて、板状ワーク3の吸着が解除される。
【0067】
次に、吸着手段の第2実施例について説明する。
この第2実施例に係る吸着手段を構成する吸引装置24はトレイ21と別体で構成されており、該吸引装置24は、例えば、前記起し搬送路の搬送方向上流側に配置された移載搬送路の移載装置に取り付けられている。この構成の場合、各トレイ20に個別に吸引装置を取り付けた第1実施例と比べて、トレイ搬送システム1全体に必要な吸引装置の数を削減することができ、コスト削減を図ることができる。なお、この構成の場合、前記起し搬送路の搬送方向下流側に配置された移載搬送路の移載装置には、簡単な機構の吸着解除手段が取り付けられる。
【0068】
図10に示すように、この吸引装置24と部体に構成されたトレイ21は、板状のベース部材21aと、該ベース部材21aの表面に突設された板状ワーク3を載置するための複数の突起部21c・21c・・・と、該ベース部材21aの両側端部に立設されたガイド部21d・21dと、該ベース部材21aに開口された前記連結部15の第2ローラユニット121のローラ支持フレーム123・123・・・が通過するための複数の開口部と、該ベース部材21aの一側面に形成された接続口21eと、前記各突起部21cの載置面に形成された吸着口21fと、前記ベース部材21a内における前記接続口21eと前記各吸着口21fとの間に形成された空気路21gと、を備え、前記接続口21eについては円錐状に形成されて、負圧発生手段である吸引装置24の吸引ノズル24cが挿入され易いように構成されている。この吸引装置24の吸引ノズル24cの先端は尖形に形成されており、該吸引ノズル24cが挿入方向と直交する方向に多少位置ズレしても、該接続口24eの円錐状に広がる曲面によって該接続口20eへ確実に挿入されるように構成されている。
【0069】
この吸引装置24は、吸引装置本体24b又は吸引装置24の吸引ノズル24cを起し搬送路の搬送方向上流側の移載搬送路の移載装置上で停止したトレイ21の接続口21eに対して進退させるアクチュエータを備え、この吸引装置本体24b又は吸引ノズル24cを接続口21eに向けて進出位置に移動させたには、該吸引ノズル24cが接続口21eに挿入されて(図10(b)参照)、この吸引装置本体24b又は吸引ノズル24cが退避位置に移動させたときには、該吸引ノズル24cがトレイ21の接続口21eから抜き出されるように構成されている(図10(a)参照)。
【0070】
また、トレイ21の接続口21eにはゴム等の弾性部材で形成された開閉自在なバルブ25が取り付けてられている。このバルブ25は、吸引装置24の吸引ノズル24cがトレイ21の接続口21eに挿入されるときに該吸引ノズル24cの外周面に押されて弾性変形することで強制的に開かれ、吸引ノズル24cとトレイ21の空気路21gとが連通するように構成されている。この状態で、吸引装置24の吸引ポンプを作動させると、トレイ21の空気路21g内のエアが吸引されて該空気路21g内は負圧となり、突起部21c・21c・・・の吸着口21f・21f・・・で板状ワーク3が吸着される。一方、吸引ノズル24cが接続口21eから抜き出されたときには、バルブ25は元の閉じた状態に弾性変形するように構成されている。
【0071】
前記吸着解除手段は、起し搬送路の搬送方向下流側の移載搬送路の移載装置上で停止したトレイ21の接続口21eに挿入されるノズルと、該ノズルをトレイ21の接続口21eに対して進退させるアクチュエータと、を備え、このノズルを接続口21eに向けて退避位置から進出位置へ移動させたときに、前記バルブ25が該ノズルの外周面に押されて弾性変形することで強制的に開かれて、該ノズルを介してトレイ21の空気路21gとトレイ21の外部とが連通し、これにより空気路20g内の空気圧は大気圧に戻って、トレイ20上の板状ワーク3の吸着が解除され、該板状ワーク3は移載可能な状態となる。
【0072】
板状ワーク3を載せたトレイ21の流れであるが、板状ワーク3を載せたトレイ21が起し搬送路の搬送方向上流側の移載搬送路の移載装置上で停止すると、該移載装置上の吸引装置24の吸引ノズル24cがトレイ21の接続口21eに挿入される。そして、吸引装置24を吸引作動させてトレイ21上に板状ワーク3を吸着し、この状態で板状ワーク3を吸着したトレイ21とともに移載装置が引き起されていく。そして、板状ワーク3を吸着したトレイ20は起し搬送路の長手方向に搬送されていき、該起し搬送路の長手方向下流側の移載搬送路の移載装置上で一旦停止する。そうして、移載装置がその上の板状ワーク3を吸着したトレイ21とともに水平状態まで倒されていき、板状ワーク3を吸着したトレイ21が水平状態となったところで移載装置の吸引解除手段によって、板状ワーク3の吸着が解除される。
【0073】
以上、吸着手段について2つの実施例を説明したが、この吸着手段を用いれば、実トレイ20を起した状態で搬送する搬送区間を設けることが可能となり、トレイ搬送システム1のレイアウトの自由度が増して、トレイ搬送システム1の占有床面積をより容易に必要最小限に抑えることができ、スペースをより一層有効に利用することができて、コスト的にも有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】トレイ搬送システム1の構成を示す斜視図。
【図2】主搬送路11と実トレイ搬送路13と連結路64(63)と移載搬送路14bとの連結部15を示す平面図。
【図3】移載搬送路14bの構成を示す側面断面図。
【図4】移載装置40の構成を示す側面断面図。
【図5】戻し搬送路14aの構成を示す側面断面図。
【図6】連結部15の構成を示す平面図。
【図7】同じく側面断面図。
【図8】トレイ20の構成を示す平面図。
【図9】図8におけるA−A矢視断面図。
【図10】トレイ21の構成を示す側面断面図。
【符号の説明】
【0075】
1 トレイ搬送システム
2 トレイ
3 板状ワーク
6 処理装置
10 搬送路
11 主搬送路
12 閉ループ搬送路
13 実トレイ搬送路
14 空トレイ搬送路
14a 戻し搬送路
14b 移載搬送路
20 トレイ
21 トレイ
23 吸引装置
24 吸引装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状ワークを載せるトレイと、該トレイが搬送される搬送路と、該搬送路に沿って配置された処理装置と、を備え、前記板状ワークを載せたトレイは前記搬送路上を搬送されて前記トレイ上の板状ワークが前記処理装置に供給されるトレイ搬送システムであって、
前記搬送路は、前記トレイを水平状態で搬送する第1の搬送路と、前記トレイを水平状態から起こした状態で搬送する第2の搬送路と、を有することを特徴とするトレイ搬送システム。
【請求項2】
前記第1の搬送路では前記板状ワークを載せたトレイが水平状態で搬送され、前記第2の搬送路では空のトレイが水平状態から起こした状態で搬送されるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のトレイ搬送システム。
【請求項3】
前記トレイ搬送システムは前記トレイに板状ワークを吸着する吸着手段を備え、前記第2の搬送路では前記吸着手段によって前記トレイに前記板状ワークを吸着して、前記板状ワークを吸着したトレイを水平状態から起こした状態で搬送するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のトレイ搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−182502(P2006−182502A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−377676(P2004−377676)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】