ナノセンサ
【課題】タンパク質、核酸、炭水化物、脂質およびステロイド等の検体を検知する。
【解決手段】ナノワイヤを含む電子デバイスが、その製造方法および用途とともに記載される。ナノワイヤはナノチューブおよびナノワイヤでよい。ナノワイヤの表面は選択的に官能基化されている。ナノ検出器デバイスが記載される。タンパク質、核酸、炭水化物、脂質およびステロイド等の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタのアレイより構成されたナノセンサである。
【解決手段】ナノワイヤを含む電子デバイスが、その製造方法および用途とともに記載される。ナノワイヤはナノチューブおよびナノワイヤでよい。ナノワイヤの表面は選択的に官能基化されている。ナノ検出器デバイスが記載される。タンパク質、核酸、炭水化物、脂質およびステロイド等の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタのアレイより構成されたナノセンサである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全米科学基金許可番号第981226号および海軍研究契約局第N00014−00−0−0476号による資金援助を受けた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0002】
関連出願
本願は、米国特許法第119条(e)項の規定により、同一出願人の所有に係り同時係属している「ナノワイヤおよびナノチューブナノセンサ」(「Nanowire and Nanotube Nanosensors」)と題する米国仮出願シリアル番号60/292,035号(出願日:2001年5月18日)および「ナノワイヤおよびナノチューブナノセンサ」(「Nanowire and Nanotube Nanosensors」)と題する60/254,745号(出願日:2000年12月11日)に基づく優先権を主張する。これらは各々、言及によってその全体が本願に組み込まれる。
【0003】
本発明は、概括的にはナノワイヤおよびナノスケールデバイス、より具体的には、ナノワイヤまたは官能基化されたナノワイヤを有する、試料中の存在が疑われる検体の有無を検出するためのナノスケールデバイスならびにこれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
ナノワイヤは、電荷キャリアおよび励起子の効率的な輸送に理想的に適しており、したがって、ナノスケールのエレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスのための重要な構成単位として期待されている。カーボンナノチューブにおける電気的輸送に関する研究により、電界効果トランジスタ、単一電子トランジスタおよび整流結合が作られている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は一連のナノスケールデバイスおよびその使用方法を提供する。
1つの側面では、本発明はナノスケールデバイスを提供する。デバイスは試料露出領域とナノワイヤとによって規定され、ナノワイヤの少なくとも一部は、試料露出領域中の試料によってアドレス可能である。1つの実施態様では、デバイスはさらにナノワイヤに関する性質を決定できる検出器を含んでもよい。
【0006】
別の実施態様では、デバイスは試料露出領域とナノワイヤとを含む試料カセットである。ナノワイヤの少なくとも一部は、試料露出領域中の試料によってアドレス可能であり、試料カセットは、ナノワイヤに関する性質を決定できる検出器デバイスに動作可能なように接続可能である。
【0007】
別の実施態様では、デバイスは、少なくとも1本のナノワイヤとその少なくとも1本のナノワイヤの特性変化を測定するための手段とを含むセンサである。
別の実施態様では、デバイスは、バルクナノワイヤのコア領域と官能性部位である外部領域部分とを含む、官能基化されたナノワイヤを含む。
【0008】
本発明の別の側面は、検体を含有する疑いのある試料にナノワイヤを接触させる際にナノワイヤの特性変化を決定する工程を伴う方法を提供する。
別の方法は、ナノワイヤを約10マイクロリットル未満の容積の試料と接触させる場合に、ナノワイヤに関する特性の変化を測定する工程を伴う。
【0009】
別の方法は、検体を含有する疑いのある試料中の検体の存在や量を決定する工程を伴う。ナノワイヤを試料と接触させることに起因するナノワイヤの特性変化を測定する。
【0010】
検体を検出する別の方法は、ナノワイヤを試料と接触させ;ナノワイヤに関する性質を決定する;工程を含む。ナノワイヤの特性変化は、試料中の検体の存在または量を示す。
【0011】
別の方法は、導電体を試料と接触させ;接触により生じる導体の特性の変化を測定することにより、試料中の検体の存在または量を決定する;工程を含む。10個未満の検体分子が特性変化に寄与する。
【0012】
本発明の別の側面は、ナノワイヤセンサ、信号インタープリタ、信号フィードバックコンポーネントおよび介入デリバリー・コンポーネントを備えた統合された多機能システムを提供する。
【0013】
本発明の別の側面は、半導体ナノワイヤおよび選択された部位に特異性を有する結合パートナーを備えたナノワイヤセンサデバイスを提供する。ナノワイヤはその上に形成された外表面を有し、ゲート電極を形成する。ナノワイヤはまた、導体と電気的に接触してソース電極を形成する第1の端部、および、導体と接触してドレイン電極を形成する第2の端部をさらに有する。
【0014】
本発明の別の側面は、所定の電流−電圧特性を有し化学的または生物学的センサとして使用できる、検体によってゲート制御される電界効果トランジスタを提供する。電界効果トランジスタは、第1の絶縁材料で形成される基板、ソース電極、ドレイン電極およびソース電極とドレイン電極との間に配設された半導体ナノワイヤ、ならびにナノワイヤ表面上に配置される検体に特異的な結合パートナーを備える。目標検体と結合パートナーとの間に結合事象が起こると、電界効果トランジスタの電流−電圧特性に検出可能な変化が起こる。発明の別の側面は少なくとも100個の検体ゲート制御電界効果トランジスタのアレイを提供する。
【0015】
本発明の他の利点、新規な特徴および目的は、添付図面とあわせて考慮すれば、本発明の実施態様(但し、限定的なものではない)に関する以下の詳細な説明から明白になるであろう。但し、添付図面は概略的なものであり、その縮尺通りであることを意図するものではない。各種図面に示される同一またはほぼ同一のコンポーネントはそれぞれ一つの数字によって表わされる。明確さのため、当業者が発明を理解する上で説明する必要がない場合には、すべての図ですべてのコンポーネントに符号を付してはいないし、また、発明の各実施態様においても付しているわけではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、ナノワイヤを伴う一連の技術およびデバイスを提供する。本発明の1つの側面では官能基化されたナノワイヤを提供する。ナノワイヤについては多数の用途が開発されているが、本発明では、ナノワイヤをその表面またはその表面に近接した部分で官能基化しており、これにより、より多彩で重要な応用が可能になる。特に1つのケースを挙げると、(例えば反応体(reaction entity)による)官能基化により、官能基化されたナノワイヤが分子物質などの様々な実体(entity)と均一または不均一に相互作用可能となり、この相互作用により、官能基化されたナノワイヤの特性変化を引き起こし、それはナノスケールのセンサデバイスにメカニズムをもたらす。発明の別の側面はナノワイヤまたは官能基化されたナノワイヤを備えたセンサである。発明の様々な側面を、以下、より詳細に説明する。
【0017】
本願において「ナノワイヤ」は細長いナノスケールの半導体であり、これはその長さに沿った任意の点で、断面に少なくとも1つの寸法(dimension)、実施態様によっては2つの直交する寸法を有し、これは500ナノメートル未満、好ましくは200ナノメートル未満、より好ましくは150ナノメートル未満、さらに好ましくは100ナノメートル未満、さらに好ましくは70未満、さらに好ましくは50ナノメートル未満、さらに好ましくは20ナノメートル未満、さらに好ましくは10ナノメートル未満、またさらに好ましくは5ナノメートルである。他の実施態様では、断面寸法は2ナノメートルまたは1ナノメートル未満である。実施態様の1つのセットでは、ナノワイヤは断面に関する少なくとも1つの寸法が0.5〜200ナノメートルの範囲である。ナノワイヤがコアと外部領域とを有するものとして記述される場合、上記の寸法はコアに関する。細長半導体の断面は任意の形状を有するものでよく、環状、正方形、長方形、楕円および管状を含むが、これらに限定されない。規則的な形状も不規則的な形状も含まれる。本発明のナノワイヤを作成し得る材料の例を挙げたリスト(但し、これらに限定されない)は後述の通りである。ナノチューブは本発明で使用できるナノワイヤの1つの種類であり、1つの実施態様では、本発明のデバイスは、ナノチューブに相当するスケールのワイヤを含む。本願において「ナノチューブ」は中空のコアを有するナノワイヤであり、当業者に知られたナノチューブを含む。「非ナノチューブナノワイヤ」はナノチューブではないすべてのナノワイヤである。発明の一つの実施態様のセットでは、表面が修飾されていない(それが位置する環境中のナノチューブに本来見られない補助的な反応体を含まない)非ナノチューブナノワイヤが、本願に記載するナノワイヤまたはナノチューブが使用可能な本発明の任意の配置において使用される。「ワイヤ」は、少なくとも半導体または金属の伝導性を有する任意の材料を指す。例えば、「導電性の」という用語または「導体」もしくは「導電体」は、「伝導性」ワイヤまたはナノワイヤに関して使用された時は、そのワイヤがそれ自体を通して電荷を通す能力を意味する。好ましい導電性材料は、抵抗率が約10-3Ω・m未満、より好ましくは約10-4Ω・m未満、最も好ましく約10-6または10-7Ω・m未満である。
【0018】
本発明は、ナノワイヤ(単数または複数)を露出した試料中の検体を決定すべく構築され配置されたシステムの一部を好ましくは形成するナノワイヤを提供する。この文脈において「決定する」とは、試料中の検体の量および/または存在を決定することを意味する。検体の存在は、ナノワイヤの特性、典型的にはその電気的特性または光学的特性の変化を測定することにより決定することができる。例えば、検体は、ナノワイヤの導電性や光学的特性に検出可能な変化を起こす。1つの実施態様では、ナノワイヤは本来的に検体を決定する能力を有する。ナノワイヤは官能基化、つまり表面に官能性部位(これに、検体が結合してナノワイヤに測定可能な性質変化を起こす)を含むようにしてもよい。結合事象は特異的でもよいし非特異的でもよい。官能性部位は、−OH、−CHO、−COOH、−SO3H、−CN、−NH2、−SH、−COSH、COOR、ハロゲンを含む(但しこれらに限定されない)群から選択される単純な基;アミノ酸、タンパク質、糖、DNA、抗体、抗原、または酵素を含む(但しこれらに限定されない)生体分子;ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアクリル酸を含む(但しこれらに限定されない)ポリマー群から選択されるナノワイヤコアの直径未満の鎖長を有するグラフトポリマー鎖;ナノワイヤコアの表面を覆う薄い被覆(以下の群:金属、半導体および絶縁体(これらは金属元素、酸化物、硫化物、窒化物、セレン化物、ポリマーおよびポリマーゲルでもよい)の材料を含むが、これらに限定されない)を含んでもよい。別の実施態様では、本発明は、ナノワイヤおよび反応体を提供し、その反応体は、検体と相互作用しナノワイヤの特徴の変化を決定することによって検体を決定できるようにナノワイヤに関して配置される。
【0019】
「反応体(reaction entity)」という用語は、検体と相互作用してナノワイヤの特性に検出可能な変化を起こし得るすべての実体を指す。反応体は、ナノワイヤと検体との間の相互作用を増強するか、またはナノワイヤにより高い親和性を有する新たな化学種を生成したり、もしくはナノワイヤの周囲に検体を増加させるものでもよい。反応体は、検体が結合する結合パートナーを含むことができる。反応体が結合パートナーである場合は、検体の特異的結合パートナーを含むことができる。例えば、反応体は、核酸、抗体、糖、炭水化物またはタンパク質でもよい。あるいは、反応体はポリマー、触媒または量子ドットでもよい。触媒である反応体は、検体を伴う反応に触媒作用を及ぼし、ナノワイヤに(例えば、ナノワイヤに電気的に結合する生成物の補助的結合パートナーと結合することによって)検出可能な変化を起こす生成物をもたらす。別の例示的な反応体は、検体と反応してナノワイヤに検出可能な変化を起こすことができる生成物を生産する反応物質である。反応体は、ナノワイヤ上の被覆(例えば、気体試料中の分子を認識するポリマーの被覆であって、ポリマーの伝導性の変化を引き起こし、それがナノワイヤの検出可能な変化を引き起こす)を構成することができる。
【0020】
「量子ドット」という用語は当業者に知られており、光を吸収しドットのサイズによって異なる色の光を迅速に再放射する半導体または金属のナノ粒子を一般に指す。例えば、2ナノメートル量子ドットは緑色の発光を行い、5ナノメートル量子ドットは赤色の発光をする。セレン化カドミウム量子ドットナノ結晶は、カリフォルニア州ヘイワードのQuantum Dot Corporationから入手できる。
【0021】
「結合パートナー(binding partner)」という用語は、特定の検体と結合し得る分子つまりその「結合パートナー」を指し、当業者に知られているような特異的、半特異的および非特異的な結合パートナーを含む。例えば、プロテインAは通常、「非特異性」または半特異的なバインダと見なされる。「特異的に結合する」という用語は、結合パートナー(例えばタンパク質、核酸、抗体など)に関して言う場合、異種分子(例えばタンパク質および他の生物学的分子)の混合物において結合性ペアの一方または他方の存在を決定でき及び/またはそれを同定し得る反応を指す。したがって、例えば、受容体/配位子結合ペアの場合には、配位子は分子の複雑な混合物から特異的および/または優先的にその受容体と対になり、またその逆も同様である。酵素は、その基質に特異的に結合するであろうし、核酸は、その相補鎖に特異的に結合するであろうし、抗体はその抗原に特異的に結合するであろう。他の例には、相補鎖に特異的に結合(ハイブリダイズ)する核酸、抗原に特異的に結合する抗体などが含まれる。
【0022】
結合は、1種または複数の様々なメカニズムによるものでもよく、イオン相互作用および/または共有結合相互作用および/または疎水性相互作用および/またはファンデルワールス力相互作用などを含むが、これらに限定されない。
【0023】
「流体」という用語は、流動し容器の外形に形状を合わせる傾向がある物質として定義される。典型的には、流体は静止剪断応力に耐えることができない材料である。剪断応力が流体に加えられる場合、それは持続的で恒久的な変形を被る。典型的な流体には、液体と気体が含まれるが、自由流動性の固体粒子も含まれ得る。
【0024】
「試料」という用語は、任意の細胞、組織または生物由来の流体(「生物試料」)、または本発明に従って評価することができる生物由来または非生物由来の他の媒体(例えば、血清や水)を指す。試料には、生物体(例えば、ヒト、ヒト以外の哺乳動物、無脊椎動物、植物、菌類、藻類、バクテリア、ウィルスなど)から取り出された生物試料;人間が消費するように設計された食物から取り出された試料;家畜飼料などの動物消費のために設計された食物;ミルク;器官提供試料、血液供給用に予定された血液試料;水道設備からの試料などが含まれるが、これらに制限されない。試料の1つの例は、特定の核酸配列の有無を決定するために人間または動物から取り出された試料である。
【0025】
特定の成分を「含有する疑いがある試料」は、その成分の含有量が未知である試料を意味する。例えば、神経組織変成性疾病または非神経組織変成性疾病などの疾病を有する疑いがあるがその疾病を有するとは知られていない人間からの液体試料は、神経組織変成の疾病を含有する疑いがある試料を定義する。この文脈において「試料」には、ヒトまたは他の動物から得られる生理学的試料などの天然に産出する試料、食物、家畜飼料などから得られる試料が含まれる。ヒトまたは他の動物から得られる典型的な試料は、組織生検;細胞;全血;血清または他の血液分画;尿;眼球液;唾液;脳脊髄液;扁桃腺、リンパ節、針生検などから得られる流体;その他の試料を含む。
【0026】
「電気的に連結された(electrically coupled)」という用語は、ナノワイヤおよび検体または他の部位(反応体など)に関して使用する場合は、検体、他の部分およびナノワイヤのいずれかの間の連関(association)であって、電子が一方から他方に移動するもの、あるいは一方の電気的特性の変化が他方によって決せられ得るものである。これは、これらの実体間の電子流、またはナノワイヤによって決定可能な電荷、酸化状態その他の変化を含むことができる。例えば、電気的な連結は、検体または他の部分とナノワイヤとの間の直接的な共有結合、間接的な共有結合(例えば、リンカーを介するもの)、検体(または他の部分)とナノワイヤとの間の直接又は間接のイオン結合、或いは他の結合(例えば、疎水性結合)が含まれうる。場合によっては、実際の結合までは要求されず、検体または他の部位がナノワイヤ表面に接触しているだけでもよい。ナノワイヤが検体に十分に接近しており、検体とナノワイヤの間の電子トンネリングが可能な場合は、ナノワイヤと検体または他の部位との間には必ずしもの何らかの接触がある必要はない。
【0027】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本願では交換可能に使用され、アミノ酸残基のポリマーを指す。この用語は、天然アミノ酸ポリマーについてもあてはまるだけでなく、1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の人工的な化学的アナログであるアミノ酸ポリマーにも当てはまる。この用語はまた、ポリペプチドを構成するアミノ酸を連結する従来のペプチド結合の変形物も含む。
【0028】
「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または本明細書において文法的に等価な用語は、少なくとも2個のヌクレオチドが共有結合で結合されたものを指す。本発明の核酸は好ましくは1本鎖または2本鎖であり、一般にホスホジエステル結合を含むが、場合によっては、下記に概説するように核酸アナログを含んで代替的な骨格をなすものでもよく、これは例えば、ホスホルアミド(phosphoramide(Beaucage他(1993)Tetrahedron 49(10):1925)およびその参照文献;Letsinger(1970)J.Org.Chem.35:3800;Sprinzl他(1977)Eur.J.Biochem.81:579;Letsinger他(1986)Nucl.Acids Res.14:3487;Sawai他(1984)Chem.Lett.805、Letsinger他(1988)J.Am.Chem.Soc.110:4470;およびPauwels他(1986)Chemica Scripta 26:1419)、ホスホロチオエート(phosphorothioate)(Mag他(1991)Nucleic Acids Res.19:1437;および米国特許第5,644,048号)、ホスホロジチオエート(phosphorodithioate(Briu他(1989)J.Am.Chem.Soc.111:2321、O−メチルホホロアミダイト(O−methylphophoroamidite)結合(Eckstein,Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach、Oxford University Press参照)、およびペプチド核酸骨格および結合(Egholm(1992)J.Am.Chem.Soc.114:1895;Meier他(1992)Chem.Int.Ed.Engl.31:1008;Nielsen(1993)Nature、365:566;Carlsson他(1996)Nature 380:207参照)を含む。他のアナログ核酸は、陽性骨格(positive backbones)を備えたもの(Denpcy他(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:6097;非イオン性骨格を備えたもの(米国特許第5,386,023号、第5,637,684号、第5,602,240号、第5,216,141号および第4,469,863号;Angew.(1991)Chem.Intl.Ed.English 30:423;Letsinger他(1988)J.Am.Chem.Soc.110:4470;Letsinger他(1994)Nucleoside
& Nucleotide 13:1597;Chapters 2 and
3、ASC Symposium Series 580、「Carbohydrate Modifications in Antisense Research」Y.S.SanghuiおよびP.Dan Cook編;Mesmaeker他(1994)、Bioorganic & Medicinal Chem.Lett.4:395;Jeffs他(1994)J.Biomolecular NMR 34:17;Tetrahedron Lett.37:743(1996))、および非リボース骨格を備えたものを含み、非リボース骨核の例として米国特許第5,235,033号および第5,034,506号ならびにChapters 6 and 7、ASC Symposium Series 580、Carbohydrate Modifications in Antisense Research、Y.S.SanghuiおよびP.Dan Cook編に記載されたものを含む。1つまたは複数の炭素環の糖を含む核酸も、核酸の定義内に含まれる(Jenkins他(1995)、Chem.Soc.Rev.pp.169〜176参照)。いくつかの核酸アナログはRawls,C & E News June 2、1997第35頁に記載されている。リボース−ホスフェート骨格のこれらの修飾は、ラベルなどの追加部位の付加を容易にするため、または生理学的環境中でのそうした分子の安定性および半減期を増加させるために行ってもよい。
【0029】
本願において「抗体」とは、実質的に免疫グロブリン遺伝子または免疫グロブリン遺伝子断片によってコードされた1個または複数のポリペプチドからなるタンパク質または糖タンパク質を指す。認識されている免疫グロブリン遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロンおよびミュー不変領域ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖はカッパまたはラムダのいずれかとして分類される。重鎖はガンマ、ミュー、アルファ、デルタまたはイプシロンとして分類され、これらはさらに免疫グロブリンクラスIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEをそれぞれ定義する。典型的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は4量体を構成することが知られている。各4量体は、同一の2対のポリペプチド鎖からなり、各対は1本の「軽」鎖(約25kD)および1本の「重」鎖(約50〜70kD)を有する。各鎖のN−末端側は、約100〜110個またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を規定し、これらが主として抗原認識の原因である。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)という用語は、これらの軽鎖と重鎖をそれぞれ指す。
【0030】
抗体は、完全な免疫グロブリンとして、または様々なペプチダーゼによる消化によって生成される多数のよく特徴付けられた断片として存在する。したがって、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域のジスルフィド結合より下(すなわち、Fc領域に向けて)の抗体を消化してF(ab)’2(それ自体はジスルフィド結合によってVH−CH1に連結した軽鎖)を生じる。F(ab)’2は、穏やかな条件下で還元してヒンジ領域のジスルフィド結合を開裂させ、これによってF(ab)’2ダイマーをFab’モノマーに変換してもよい。Fab’モノマーは実質的にはヒンジ領域部分を備えたFabである(他の抗体断片についてのより詳細な記述についてはPaul(1993)Fundamental Immunology、Raven Press、N.Y.参照)。様々な抗体断片が完全な抗体の消化では定義されているが、当業者はこのような断片が新たに(de novo)化学的に合成されたものでも、組み換えDNA法の利用によるものでも、または「ファージディスプレイ」法(例えば、Vaughan他(1996)Nature Biotechnology、14(3):309〜314およびPCT/US96/10287参照)によるものでもよいことを認識するであろう。好ましい抗体は単一鎖抗体、例えば、可変重鎖と可変軽鎖が互いに(直接またはペプチドリンカーによって)連結されて連続的なポリペプチドを形成している単一鎖Fv(scFv)抗体)を含む。
【0031】
本発明の1つの側面はセンサ素子(sensing element)(電子的センサ素子でもよい)、および、検体を含有するか含有すると疑われる試料(例えば、流動性の試料)中の検体の存在または非存在を検出することができるナノワイヤを含む。本発明のナノスケールセンサは、例えば、pHまたは金属イオンの存在を検出する化学的用途:タンパク質、核酸(例えば、DNA、RNAなど)、糖または炭水化物、および/または金属イオンを検出する生物学的用途;およびpH、金属イオンあるいは他の興味のある検体を検出する環境用途に用いることができる。
【0032】
本発明の別の側面は、ナノワイヤの電気的特性の変化を決定できるように構築され配置された、ナノワイヤおよび検出器を含む物品を提供する。ナノワイヤの少なくとも一部は、検体を含むか含むと疑われる試料によりアドレス可能である。「流体によりアドレス可能(addressable by a fluid)」という文言は、流体中に存在するのではないかと疑われる検体がナノワイヤと相互作用することができるように、流体がナノワイヤに対して位置されうる能力として定義される。流体は、ナノワイヤに近接してもよいし接触してもよい。
【0033】
本願に例として記載される実施態様のすべてにおいて、ナノワイヤは、別段の定めがない限り、カーボンナノチューブ、ナノロッド、ナノワイヤ、有機および無機の伝導性および半導体性ポリマーその他を含めて任意のものを使用することができる。分子ワイヤではないが、様々な微小なナノスコピックスケールの寸法である他の伝導性または半導体要素も場合によっては使用することができ、例えば、主族元素および金属原子に基づくワイヤ状のシリコン、遷移金属を有するワイヤ、ガリウムヒ素、窒化ガリウム、リン化インジウム、ゲルマニウム、セレン化カドミウム構造などの無機の構造が挙げられる。種々様々のこれらおよび他のナノワイヤは表面上に成長させおよび/または表面に加えることができ、過度な実験を行わず、ナノワイヤを伴う本願に記述された技術と同様の方式で電子デバイスとして有用なパターンにすることができる。ナノワイヤは、その長さが少なくとも1ミクロン、好ましくは少なくとも3ミクロン、より好ましく少なくとも5ミクロン、さらに好ましくは少なくとも10または20ミクロンとすべきであり、また厚さ(高さおよび幅)が、好ましくは約100ナノメートル未満、より好ましくは約75ナノメートル未満、より好ましくは約50ナノメートル未満であり、さらに好ましくは約25ナノメートル未満である。ワイヤはアスペクト比(厚さ:長さ)が、少なくとも約2:1、好ましくは約10:1以上、より好ましくは約1000:1以上である。本発明のデバイスで使用される好ましいナノワイヤは、ナノチューブまたはナノワイヤのいずれでもよい。ナノチューブ(例えば、カーボンナノチューブ)は中空である。ナノワイヤ(例えばシリコンナノワイヤ)は中実である。
【0034】
ナノチューブとナノワイヤのいずれを選択するか、発明で使用されるナノワイヤおよび他の導体または半導体の選択の基準は、場合によっては、主としてナノワイヤがそれ自身で検体と相互作用できるかどうか、あるいは、適当な反応体(例えば結合パートナー)をナノワイヤの表面に容易に付着させることができるか、または適当な反応体(例えば結合パートナー)がナノワイヤの表面近くに位置するかに基づく。ナノワイヤを含む適当な導体または半導体の選択は、この開示がもたらす利益を用いれば当業者には明白であり、容易に再現可能である。
【0035】
本発明において使用し得るナノチューブは、分子エレクトロニクスに特に適している独特の電子的および化学的特性を示す単層ナノチューブ(SWNT)を含む。構造的には、SWNTは、1枚のグラフェンシートをシームレスのチューブとして形成され、約0.5nm〜約5nm程度の直径を有し、長さは約10ミクロンを超えることもある。直径と螺旋度(ヘリシティ)に応じて、SWNTは一次元金属または半導体として振る舞うことができ、現在は、金属と半導体のナノチューブの混合物として入手可能である。SWNTを含むナノチューブの製造方法およびそのキャラクタリゼーションは知られている。ナノチューブの端部および側面の選択的な官能基化方法も知られており、本発明は、分子エレクトロニクスに対するこれらの能力を利用する。ナノチューブの基礎的な構造/電子特性は、接続または入力/出力信号を作成するために使用することができ、ナノチューブは分子スケールのアーキテクチャと一致するサイズを有する。
【0036】
本発明の好ましいナノワイヤは個別ナノワイヤである。本願において「個別ナノワイヤ」は他のナノワイヤとの接触がないナノワイヤを意味する(しかし、クロスバーアレイにおいて個別ナノワイヤ間に望み得るタイプの接触は排除されない)。例えば、典型的な個別ナノワイヤは約0.5nm程度の小さな厚さを有することができる。これは、主としてレーザ気化技術によって生産されたナノワイヤと対照的であり、レーザ気化技術は高品質材料を生産するものの、直径が約2〜約50ナノメートルあるいはそれ以上であり多数の個別ナノワイヤを含有するロープとしての材料を形成する。(例えば、Thess他「Crystalline Ropes of Metallic Carbon Nanotubes」Science 273、483〜486(1996))参照。その内容は言及によって本願に組込まれる)である。本発明ではナノワイヤロープを使用することができるが、個別ナノワイヤが好ましい。
【0037】
本発明では、金属触媒CVDを利用して分子エレクトロニクス用のナノチューブなどの高品質個別ナノワイヤを合成してもよい。個別ワイヤを直接に表面に、およびバルク状態で製造するために必要とされるCVDの合成手順は知られており、当業者によって容易に行うことができる。例えば、Kong他「Synthesis of Individual Single−Walled Carbon Nanotubes on Patterned Silicon Wafers」、Nature 395、878〜881(1998);Kong他「Chemical Vapor Deposition of Methane for Single−Walled Carbon Nanotubes」Chem.Phys.Lett.292,567〜574(1998)参照。これらはいずれも言及によって本願に組み込まれる。ナノワイヤは、さらにレーザ触媒成長によっても成長させてもよい。例えば、Morales他「A Laser Ablation Method for the Synthesis of Crystalline Semiconductor Nanowires」Science 279、208〜211(1998)参照。その内容は言及によって本願に組み込まれる。
【0038】
あるいは、ナノワイヤは、所望のn型またはp型半導体を作成するための適当なドーパントでドープした半導体で構成されてもよい。例えば、シリコンはホウ素、アルミニウム、リン、またはヒ素でドープしてもよい。レーザ触媒成長は、シリコンナノワイヤの気相成長中にドーパントを制御可能な方式で導入するために使用してもよい。
【0039】
ナノワイヤの制御されたドーピングを行って、例えば、n型またはp型半導体を形成することができる。様々な実施態様において、本発明は、リン化インジウム、ガリウムひ素、窒化ガリウム、セレン化カドミウムおよびセレン化亜鉛の中から選択される半導体の制御されたドーピングを含む。亜鉛、カドミウムまたはマグネシウム(但し、これらに限定されない)を含むドーパントは、実施態様のこのセットではp型半導体を形成するために使用することができ、テルル、硫黄、セレン、またはゲルマニウム(但し、これらに限定されない)を含むドーパントは、これらの材料からn型半導体を形成するためのドーパントとして使用することができる。これらの材料は、ダイレクトバンドギャップ半導体材料を定義し、これらおよびドープシリコンは当業者にはよく知られている。本発明では、様々な用途のための任意のドープシリコンまたはダイレクトバンドギャップ半導体材料の使用が考えられる。
【0040】
ナノワイヤ成長、配置およびドーピングの例として、SiNWs(細長ナノスケール半導体)をレーザ支援触媒成長(Laser-assited Catalytic Grwoth;LCG)を使用して合成してもよい。図2および3に示すように、所望の材料(例えばInP)および触媒材料(例えばAu)から構成される複合ターゲットのレーザ気化は、高温で高密度の蒸気を生成し、これはバッファガスとの衝突によって液体ナノクラスタに迅速に凝縮する。液体ナノクラスタが所望の相で過飽和されると成長が始まり、反応物が利用可能な限り継続する。ナノワイヤが高温反応ゾーンを通過して出てくるか温度を下げると成長は終了する。Auは、広範囲の細長ナノスケール半導体を成長させるために一般に触媒として使用される。しかし、触媒はAuのみに限定されない。Ag、Cu、Zn、Cd、Fe、Ni、Coなどの広い範囲の材料を触媒として使用することができる。一般に、所望の半導体材料との合金を形成し得るが、所望の半導体の元素よりも安定した化合物を形成しないどのような金属も、触媒として用い得る。バッファガスはAr、N2および他の不活性ガスでよい。残留酸素による望ましくない酸化を回避するためにH2とバッファガスの混合物が使用される場合もある。望ましい場合には反応的なガス(例えばGaNのためのアンモニア)も導入することができる。このプロセスのキーポイントはレーザアブレーションが液体ナノクラスタを生成し、その結果、結晶性ナノワイヤのサイズおよび成長方向を規定するという点である。生じるナノワイヤの直径はその触媒クラスタのサイズ(これは、成長条件(例えば背圧、温度、流速など)の制御により変えることができる)によって決定される。例えば、圧力を低くすると、一般にはより小さな直径を備えたナノワイヤが生じる。さらに直径制御を行うには均一直径触媒クラスタの使用により行うことができる。
【0041】
LCGと同じ基本原理により、均一直径のナノクラスタ(ナノクラスタがどれくらい均一かにより10〜20%未満のばらつき)を触媒クラスタとして使用する場合、均一サイズ(直径)分布を有するナノワイヤの生産が可能で、この場合、図4に示すように、ナノワイヤの直径は触媒クラスタのサイズによって決定される。成長時間の制御によって、異なる長さを有するナノワイヤを成長させることができる。
【0042】
LCGでは、ナノワイヤは、複合ターゲットへの1種または複数のドーパント(例えば、InPのn型ドーピング用のGe)を導入することにより柔軟にドープすることができる。ドープ濃度は、複合ターゲットに導入するドープ元素の相対量(典型的には0〜20%)を制御することにより制御可能である。
【0043】
ナノワイヤ及び他の関連する細長ナノスケール構造成長のための触媒クラスタおよび気相反応物を生成する方法としてレーザアブレーションを使用してもよいが、レーザアブレーションによる製造には限定されない。ナノワイヤ成長のために気相および触媒クラスタを生成するためには多くの方法(例えば熱による気化)を使用することができる。
【0044】
ナノワイヤを成長させるために使用し得る別の技術は触媒的化学気相成長法(C−CVD)である。C−CVDは、反応物分子(例えばシランおよびドーパント)が気相分子に由来する(この点でレーザ気化からの蒸着源とは異なる)以外は、LCGと同じ基本原理を利用する。
【0045】
C−CVDでは、気相反応物にドープ元素(例えば、p型およびn型ドープナノワイヤについてはジボランおよびホスファン)を導入することによりナノワイヤをドープできる。ドープ濃度は、複合ターゲットに導入されるドープ元素の相対量の制御により制御することができる。ガス反応物中と同じドープ比の細長ナノスケール半導体を得る必要はない。しかし、成長条件(例えば温度、圧力など)の制御によって同じドープ濃度を有するナノワイヤを再現できる。また、ドープ濃度は、ガス反応物の比率を変えるだけ(例えば1ppm〜10%)で、大きな範囲で変化させることができる。
【0046】
ナノワイヤなどの細長ナノスケール半導体を成長させるために使用可能な技術は他にもいくつかのものがある。例えば、様々な材料からなる任意のナノワイヤが、気固プロセスによって気相から直接成長させることができる。また、図5に示すように、表面のステップのエッジまたは他のタイプのパターン形成した表面に堆積させてナノワイヤを気相から直接生産することができる。さらに、例えば、図6に示すように、任意の一般的な細長テンプレート中/上に蒸着させてナノワイヤを成長させることができる。多孔性薄膜は、多孔性のシリコン、陽極アルミナ、またはジブロック(diblock)コポリマーおよび他の同様の構造とすることができる。天然繊維は、DNA分子、タンパク質分子、カーボンナノチューブその他の細長構造でありうる。上記手法のいずれについても、ソース材料を蒸気相ではなく溶液相由来とすることもできる。溶液相では、テンプレートは上記テンプレートに加え、界面活性剤分子によって形成されたカラム状ミセルとすることもできる。
【0047】
上記技術の1種または複数を使用することにより、半導体ナノワイヤおよびドープした半導体ナノワイヤを含む細長ナノスケール半導体を成長させることができる。そのようなバルクドープした半導体には、半導体とドーパントとを含む材料の様々な組合せが含まれる。下記は包括的でないがそのような材料のリストである。他の材料を使用してもよい。そのような材料は以下のもの(但し、これらに限定されない)を含む。
【0048】
単体半導体:
Si、Ge、Sn、Se、Te、B、ダイヤモンド、P
単体半導体の固溶体:
B−C、B−P(BP6)、B−Si、Si−C、Si−Ge、Si−Sn、Ge−Sn
IV−IV族半導体:
SiC
III−V半導体:
BN/BP/BAs、AlN/AlP/AlAs/AlSb、GaN/GaP/GaAs/GaSb、InN/InP/InAs/InSb、
III−V族合金:
上記の化合物(例えば:AlGaN、GaPAs、InPA、GaInN、AlGaInN、GaInAsPなど)の2種以上の任意の組合せ
II−VI半導体:
ZnO/ZnS/ZnSe/ZnTe、CdS/CdSe/CdTe、HgS/HgSe/HgTe、BeS/BeSe/BeTe/MgS/MgSe
II−VI族の合金:
上記化合物の2種または複数の任意の組合せ(例えば(ZnCd)Se、Zn(SSe)など)
II−VIおよびIII−V半導体:
任意の1種のII−VIおよび1種のIII−V化合物の組合せ(例えば(GaAs)x(ZnS)1-x
IV−VI半導体:
GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe
I−VII半導体:
CuF、CuCl、CuBr、CuI、AgF、AgCl、AgBr、AgI
他の半導体化合物:
II−IV−V2:BeSiN2、CaCN2、ZnGeP2、CdSnAs2、ZnSnSb2など
I−IV2−V3:CuGeP3、CuSi2P3など
I−III−VI2:Cu,Ag)(Al,Ga,In,T1,Fe)(S,Se,Te)2
IV3−V4:Si3N4、Ge3N4など
III2−VI3:Al203、(Al,Ga,In)2(S,Se,Te)3など
III2−IV−VI:Al2COなど
IV族半導体材料については、p型のドーパントはIII族から、また、n型ドーパントはV族から選ぶことができる。シリコン半導体材料については、p型のドーパントはB、AlおよびInからなる群から、また、n型ドーパントはP、AsおよびSbからなる群から選ぶことができる。III−V族半導体材料については、p型ドーパントは、Mg、Zn、CdおよびHgを含むII族から、またはCとSiを含むIV族から選ぶことができる。n型ドーパントは、Si、Ge、Sn、S、SeおよびTeからなる群から選ぶことができる。本発明がこれらのドーパントに限定されないことは理解されるであろう。
【0049】
ナノワイヤはその場で成長させてもよいし成長後に堆積させてもよい。成長後における表面上のナノワイヤの制御された配置、すなわちアセンブリー(assembly)は、ナノワイヤを電場を使用して整列させることにより実行できる。電極間で電場を発生させ、ナノワイヤを電極間に置き(場合によっては懸濁させた流体を電極間領域に流し入れ)、電場で整列させ、これにより、電極各々の間の距離を結んでそれらに接触することができる。
【0050】
別の配置では、個々の接点(contact point)が互いに向かい合って配置され、個々の接点は先細となって互いの方向を指す点を形成するように配置される。このような点間で発生した電場は、電極間の距離を結んでそれらに接触する単一ナノワイヤを引き付けるであろう。このように、個別ナノワイヤは容易に個々のペアの電気的接点間にアセンブリーすることができる。多数の交差(第1の方向を向く多数の平行ワイヤが、これと垂直またはほぼ垂直の第2の方向を向く多数の平行ワイヤと交差する)を含む十字型ワイヤ配置は、交差ワイヤの反対の端が位置されることが望ましい場所に接点をまず位置決めすることにより容易に形成できる。電極(すなわち接触ポイント)は典型的な微細組立技術によって作り上げることができる。
【0051】
これらの組み立て技術は、流体フロー配向装置(ナノワイヤが望ましく位置決めされる配置で整列する向きに、懸濁されたナノワイヤを含有する流体を方向付ける)を設置することを伴う位置決め処置により代替することもでき、補強することもできる。
【0052】
別の配置は、ナノワイヤを選択的に引き付けない領域によって囲まれたナノワイヤを選択的に引き付ける領域を含む表面の形成を含む。例えば、−NH2を特定のパターンで表面に存在させることができ、そのパターンは、アミンを引き付ける官能性を表面に有するナノワイヤまたはナノチューブを引き付けるであろう。表面は、電子線パターニングなどの知られた手法、国際特許出願公開公報WO96/29629(1996年7月26日公開)または米国特許第5,512,131号(1996年4月30日発行)(これらは各々、言及によって本願に組み込まれる)に記載されているような「ソフトリソグラフィ」でパターン形成できる。
【0053】
予備形成したナノワイヤを化学的にパターンづけした自己組織化単分子層上でアセンブリーすることを対象とする技術も知られている。ナノスケール回路のアセンブリーに向けたSAMパターンニングの1つの例では、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて高解像度でSAM中にパターンを書いてその場所のSAMを除去する。パターンは、例えば、平行アレイ用に線状でもよいし、またはナノスコピックな交差アレイを作る実施態様においては直線の交差アレイでもよい。別の技術では、基板にパターンの施されたSAMを加えるに微小接触(microcontact)印刷を使用することができる。次いで、パターンの施された表面の空所(線状SAM間のSAMのない領域)アミノ末端SAM(ナノチューブのようなナノワイヤと非常に特異的に相互作用する)で満たす。結果として、アミノ末端SAM材料によって分離された線状SAM部分を含むパターンの施されたSAMが基板上に生じ、アミノ末端SAM材料の線で隔てられた線状SAM部分が含まれる。もちろん、アミノ末端SAM材料領域は、ワイヤ堆積が望まれる領域に一致させて任意の所望パターンとしても形成できる。次いで、パターンの施された表面をワイヤ(例えばナノチューブ)の懸濁液に浸漬しすすぐことにより、ワイヤがSAMの領域に位置するアレイを作成する。ナノチューブを使用する場合、ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒がナノチューブ懸濁液の調製に使用できる。他のナノワイヤの懸濁液および堆積は容易に選択される溶媒で達成可能である。
【0054】
様々な基板およびSAM形成材料は、1996年6月26日に公表され、かつ、言及によって本願に組み込まれたWhitesides他に対する国際特許出願公開WO96/29629に記載されているような微小接触印刷技術とともに使用することができる。パターンの施されたSAM表面は様々なナノワイヤまたはナノスケールの電子素子を配向させるために使用することができる。SAM形成材料は様々な電子素子のアセンブリーを配向させるため、適当な露出される化学的官能性とともに選択できる。ナノチューブを含む電子素子は、具体的に所定形状にパターンの施されたSAM表面に特異的に引き付けられるように化学的に調整できる。適当な官能基にはSH、NH3などを含まれるが、これらに限定されない。よく知られているように、ナノチューブは、その外表面を化学的に官能基化するのに特に適している。
【0055】
SAM−誘導表面以外の化学的にパターンの施された表面が使用可能であり、化学的に表面にパターンを施すための多くの技術が知られている。化学的に表面にパターンを施すための適当な典型的な化学および技術は、とりわけ、「触媒コロイドの微小接触印刷」(「Microcontact Printing of Catalytic Colloids」)と題するHidber他の国際特許出願公開WO 97/34025、およびいずれもLandoによる米国特許第3,873,359号、第3,873,360号および第3,900,614号に記載されており、これらの文書の内容は言及によって本願に組み込まれる。化学的にパターンの施された表面の別の例はミクロ相分離されたブロックコポリマー構造である。これらの構造は、濃厚な層状の相のスタックを提供する。これらの相の断面は、一連の「レーン」が含まれていることを明らかにし、ここで各レーンは単一の層を表わす。ブロックコポリマーは典型的に交互ブロックで、ナノワイヤの成長およびアセンブリーを規定する領域を変えることができる。さらなる技術は、2001年1月11日に公表されたLieber他による国際特許出願公開WO 01/03208に記載されており、その内容は言及によって本願に組み込まれる。
【0056】
本発明において使用されるナノワイヤに関連した化学変化により、ワイヤの特性を変調し、様々なタイプの電子デバイスを作成することができる。検体の存在は、ナノワイヤの結合剤と電気的に結合することによってナノワイヤの電気的特性を変化させ得る。必要な場合は、特定の検体への化学的または生物学的特異性によって選択される特異的な反応体、結合パートナーまたは特異的結合パートナーでナノワイヤを被覆してもよい。
【0057】
ナノワイヤに検出可能な変化を起こさせるよう、反応体はナノワイヤに対して位置させる。反応体を、ナノワイヤの100ナノメートル以内、好ましくはナノワイヤの50ナノメートル以内、より好ましくはナノワイヤの10ナノメートル以内に位置させ、近接度は当業者によって決定することができる。1つの実施態様では、反応体はナノスコピックなワイヤから5ナノメートル未満に位置する。別の実施態様では、反応体はナノワイヤの4nm、3nm、2nmおよび1nm以内に位置する。好ましい実施態様では、反応体がリンカーによってナノワイヤに付けられる。
【0058】
本願において、ある化学種(化学物質)が他の化学種に対してまたは物品の表面に対し「付着する(attached)」と言う場合、化学種が共有性の付着を介して結合(link)すること、特異的な生物学的結合(binding)(例えばビオチン/ストレプトアビジン)を介した付着、キレート化合物/金属結合などの配位結合(coordinate binding)などを意味する。例えば、この意味における「付着する」は、多数の化学的連結、多数の化学的/生物学的な結合などを含み、ポリスチレンビーズ上で合成されたペプチド、タンパク質A(これはビーズに共有結合で結合させる)などのタンパク質に結合する抗体に生物学的に特異的に連結する結合種、GSTなどの分子の一部を(遺伝子工学により)形成するか、表面に共有結合的に固定された結合パートナー(例えばGSTの場合のグルタチオン)に生物学的に特異的に連結する結合種などを含むが、これらに限定されない。別の例としては、チオールに共有結合的に結合する部位は、チオールが金に共有結合的に結合するので、金表面に固定することができる。「共有結合的に付着する」とは1以上の共有結合によって付着することを意味する。例えば、EDC/NHS化学を介してカルボキシレートを含む(carboxylate-presenting)アルキルチオール(これは金表面に付着する)に共有結合的に結合する化学種は、その表面へ共有結合的に結合する。
【0059】
本発明の別の側面は、試料露出領域と検体の有無を検出できるナノワイヤを含む物品を含む。試料露出領域は、ナノワイヤのすぐ近くの任意の領域でよく、試料露出領域中の試料がナノワイヤの少なくとも一部にアドレスする。試料露出領域の例は、ウェル、チャネル、マイクロチャネルおよびゲルを含むが、これらに限定されない。好ましい実施態様では、試料露出領域は試料をナノワイヤに近接して保持し、あるいは試料中の検体を測定するために試料をナノワイヤに向けるようにしてもよい。ナノワイヤは、試料露出領域に隣接してまたはその領域内に位置させてもよい。あるいは、ナノワイヤは流体または流体の流路に挿入されるプローブでもよい。ナノワイヤプローブはさらに微小針を含み、試料露出領域は生物試料によってアドレス可能でもよい。この配置では、微小針状プローブを生物試料中に挿入するように構築され配置されたデバイスは、試料露出領域を確定する微小針を取り囲む領域を含み、試料露出領域中の試料はナノワイヤによってアドレス可能であり、その逆も可である。流体のフローチャネルは、1997年9月18日に公表された国際特許出願公開WO97/33737(その内容は言及によって本願に組み込まれる)に記載されているような種々の方法を用いて本発明(マイクロチャネル)で使用するのに有利な大きさおよび規模で形成できる。
【0060】
本発明の別の側面では、物品は、1以上の検体の多数の有無を検出することができる多数のナノワイヤを含んでもよい。個別ナノワイヤは上記のように、別々にドープされていてもよく、これにより各ナノワイヤの検体に対する感度は変化する。あるいは、個別ナノワイヤを特定の検体と相互作用するその能力に基づいて選択し、これにより、様々な検体の検出を可能としてもよい。複数のナノワイヤが、ランダムな方向を向いていてもよいし互いに平行でもよい。あるいは、多数のナノワイヤが基板上のアレイとして配向されていてもよい。
【0061】
図1aは、本発明の物品の1例を示す。図1a中、ナノスケール検出器デバイス10は、基板16の上部表面18上に位置決めされた単一のナノワイヤ38を備える。チップキャリア12は、基板16および電気的接続部22を支持するために上部表面14を有する。チップキャリア12は、電気的な接続部22を電極36に接続させる任意の絶縁材料で作られていてもよい。好ましい実施態様では、チップキャリアはエポキシ樹脂である。チップキャリアの上部表面14は、例えば、平面、凸面、および凹面を含む任意の形状でよい。好ましい実施態様では、チップキャリアの上部の表面14は平面である。
【0062】
図1aに示すように、基板16の下部表面20は、チップキャリアの上部表面14に隣接して位置し、電気的接続部22を支持する。基板16は典型的には、例えば、ポリマー、シリコン、クオーツまたはガラスで作られていてもよい。好ましい実施態様では、基板16は、600nmのシリコン酸化物で被覆されたシリコンで作られている。基板16の上部表面18および下部表面20は、平面、凸面、および凹面などの任意の形状でよい。好ましい実施態様では、基板16の下部表面20はチップキャリア12の上部表面14と同一外形である。同様に、型24は上部表面26と下部表面28(そのいずれも任意の形状でよい)を有する。好ましい実施態様では、型24の下部表面26は基板16の上部表面18と同一外形である。
【0063】
型24は、試料露出領域30(ここではマイクロチャネルとして示す)を有し、領域30は、図1aに示すように型24の上部表面26上に流体入口32と流体出口34を有する。ナノワイヤ38は、ナノワイヤの少なくとも一部が試料露出領域30内に位置するように位置される。電極36は電気的接続部22にナノワイヤ38を接続する。電気的接続部22は、場合によっては、ナノワイヤの電気的または他の特性の変化を測定する検出器(図示していない)に接続される。図3a及び3bは、本発明の1つの実施態様についての、それぞれ低解像度および高解像度の走査型電子顕微鏡写真である。単一のシリコンナノワイヤ38が2つの金属電極36に接続されている。図7は、2つの電極に関して位置した典型的なSWNTの原子間力顕微鏡像を示す。図7に見られるように、電極36間の距離は約500nmである。ある好ましい実施態様では、電極距離は、50nm〜約20000nm1の範囲であり、より好ましくは約100nm〜約10000nm、最も好ましくは約500nm〜約5000nmの範囲である。
【0064】
検出器が存在する場合、ナノワイヤに関する性質を決定できるどのような検出器も使用できる。特性は電子的なものでも、光学的なものなどでもよい。ナノワイヤの電子的特性は、例えばその伝導性、抵抗率などでもよい。ナノワイヤが発光性(emissive)ナノワイヤである場合(放射はp−n接合部で生じる)、ナノワイヤに関連する光学的性質はその発光強度、または発光波長を含むことができる。例えば、検出器は電子的または磁気特性(例えば、電圧、電流、伝導性、抵抗、インピーダンス、インダクタンス、電荷など)の変化を測定するように構成でき、使用できる。検出器は典型的には電源および電圧計または電流計を含む。1つの実施態様では、1nS未満のコンダクタンスが検出できる。好ましい実施態様においては、数千分の1nSの範囲のコンダクタンスが検出できる。化学種(すなわち検体)の濃度は、マイクロモル未満からモル濃度以上まで検出できる。従来の検出器を有するナノワイヤの使用によって、感度は単一分子まで拡張できる。1つの実施態様では、本発明の物品はナノワイヤに刺激を伝達でき、検出器は刺激に起因する信号を決定できるように構築され配置される。例えば、p−n接合を含むナノワイヤは、刺激(電流)を伝達されるようにでき、検出器は刺激に起因する信号(電磁放射)を測定できるように構築され配置される。このような配置では、検体とナノワイヤとの相互作用、または検体とナノワイヤに近接して位置させた反応体との相互作用は、検出可能な方式で信号に影響し得る。別の例で反応体が量子ドットである場合、量子ドットは1つの波長の電磁放射を受け取り、かつ異なる波長の電磁放射を放射するように構成することができる。刺激が電磁放射である場合、それは検体との相互作用に影響され得るため、検出器は、そこから生じる信号の変化を検出できる。刺激の例には直流電流/電圧、交流電圧、および光などの電磁放射が含まれる。
【0065】
1つの例において、検出されるかおよび/または定量されるべき検体(例えば、特定の化学物質)を含有すると疑われる流体などの試料は、ナノスコピックワイヤ38に接触し、またはその近傍に対応する反応体を有するナノスコピックワイヤ38に接触する。流体中に存在する検体は対応する反応体と結合し、ナノワイヤの電気的な特性の変化を引き起こして、これが、例えば従来のエレクトロニクスを使用して検出される。検体が流体の中にない場合、ナノワイヤの電気的な特性は変化せず、検出器は変化なしと測定するであろう。特定の化学物質の有無はナノワイヤの電気的特性における変化または変化の欠如をモニタすることにより決定できる。「決定」という用語は、圧電測定、電気化学的測定、電磁的測定、光検出、機械的測定、音響的測定、重量測定などを介して化学種の定量的または定性的分析を指す。「決定」はさらに化学種間の相互作用(例えば2つの化学種間の結合の検出)の検出または定量を意味する。
【0066】
本発明で使用される特に好ましいフローチャネル30は「マイクロチャネル」である。マイクロチャネルという用語は、本願明細書では、低レイノルズ数操作、すなわち、流体力学が慣性力ではなく粘性力によって支配されるような寸法を有するチャネルについて使用する。レイノルズ数は、粘性力に対する慣性力の比率と呼ばれることがあり、以下:
Re=ρd2/ητ+ρud/η
で与えられる(ここで、uは速度ベクトルであり、ρは流体の粘度であり、ηは流体の粘性であり、dはチャネルの固有寸法であり、τは速度変化に対する時間スケールである(ここで、u/τ=δu/dτ))。本願において「固有寸法(characteristic dimension)」という用語は、当業者に知られているようにレイノルズ数を決定する寸法である。円筒状のチャネルについては、それは直径である。矩形チャネルについては、それは主として幅および深さのより小さな方に依存する。V字形のチャネルについては、それは、「V」の頂上部分の幅に依存するなどである。様々な形状のチャネルについてのReの計算は、流体力学についての標準的テキストに見られる(例えば、Granger(1995)Fluid Mechanics、Dover,N.Y.;Meyer(1982)Introduction to Mathematical Fluid Dynamics、Dover、N.Y.)。
【0067】
定常状態(τ→∞)における流体フローの挙動は、レイノルズ数、Re=ρud/ηによって特徴付けられる。微細加工された流体システムは、サイズが小さく低速であるため、多くの場合、低レイノルズ数領域(Re約1未満)である。この領域において、慣性の効果(それは乱流と二次流を起こし、そのためフロー内に混合を起こす)したがって流れ内での混合は無視できる程度で、粘性の効果が力学を支配する。これらの条件の下では、チャネルを通る流れは一般に層流である。特に好ましい実施態様では、検体を含む流体を有する典型的なチャネルは、約0.001未満のレイノルズ数、より好ましくは約0.0001未満のレイノルズ数をもたらす。
【0068】
レイノルズ数はチャネル寸法だけでなく流体の密度、流体の粘性、流体の速度、および速度変化の時間スケールにも依存するので、チャネル直径の絶対的な上限は明確には認められない。実際、よく設計されたチャネル形状では、乱流はR<100、またR<1000でも回避でき、その結果、比較的大きなチャネルサイズを有する高い処理能力のシステムが可能である。好ましいチャネル固有寸法の範囲は約1ミリメートル未満であり、好ましくは約0.5mm未満、最も好ましくは約200ミクロン未満である。
【0069】
1つの実施態様では、流体フローチャネル30などの試料露出領域は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)型を使用して形成できる。チャネルを作り表面に適用することができ、型を除去できる。一定の実施態様では、チャネルは、上記の特許出願および国際特許公報に記載されるように、マスター上でフォトリソグラフィおよびPDMSのキャスティングを使用することにより、マスターを製造することによって容易に形成できる。より大規模な製造も同様に可能である。
【0070】
図1bでは、図1aのナノスケール検出器デバイス10がさらに多重(multiple)ナノワイヤ38a−h(図示していない)を含む、本発明の別の実施態様を示す。図1bにおいて、ワイヤ内部接続40a−hは、対応するナノワイヤ38a−hを電気的接続部22a−h(図示していない)にそれぞれ接続する。好ましい実施態様では、各ナノワイヤ38a−hは流体中の様々な検体を検出するために選択された独自のな反応体を有する。このように、1つの試験を実行する間に1つの試料を使用して、いくつかの検体の有無を決定してもよい。
【0071】
図2aは、検体44を検出するための結合パートナー42である反応体で修飾されたナノワイヤ38におけるナノスケール検出器デバイスの一部を概略的に示す。図2bは、図2aのナノスケール検出器デバイスの一部を概略的に示し、ここで、検体44は特異的結合パートナー42に付着する。ナノワイヤの表面の選択的官能基化は、例えばシロキサン誘導体によってナノワイヤを官能基化することにより行ってもよい。例えば、ナノワイヤは、被覆しようとする修飾用化学物質含有溶液にデバイスを浸漬することにより、ナノスケール検出器デバイスの構成後に修飾してもよい。あるいはマイクロ流体チャネルを使用してナノワイヤに化学物質を送達してもよい。例えば、最初にナノスケール検出器デバイスを酸素プラズマ、あるいは酸および/または酸化剤によって親水性にし、次いでアミノシラン含有溶液にナノスケール検出器デバイスを浸漬することによりアミン基を付着させてもよい。例として、上記のように最初にアミン基を付着させ、修飾済のナノスケール検出器デバイスを二官能性の架橋剤含有溶液に浸漬し、必要な場合には、DNAプローブ含有溶液に修飾済のナノスケール検出器デバイスを浸漬することにより、DNAプローブを付着させることができる。このプロセスはナノワイヤにバイアス電圧を印加することにより加速し促進することができ、バイアス電圧は反応種の性質により正であっても負であってもよく、例えば、正のバイアス電圧は、負に帯電しているDNAプローブ種をナノワイヤ表面に接近させて表面アミノ基との反応の機会を増すことに役立つ。
【0072】
図4aは、バックゲート46を有するナノスケールセンサの別の実施態様を概略的に示す。図4bは、バックゲート電圧−10V〜+10Vの範囲でのコンダクタンス対時間を示す。図4cは、コンダクタンス対バックゲート電圧を示す。バックゲートは、ナノワイヤから電荷キャリアを注入または引き出すために使用できる。したがって、それは、ナノワイヤセンサの感度およびダイナミックレンジを制御し、かつナノワイヤに検体を引きつけるために使用してもよい。
【0073】
図5aと5bは、単一のシリコンナノワイヤについて、本来のままおよび被覆した状態でそれぞれコンダクタンスをpHの関数として示す。図4に見られるように、試料を変えるとシリコンナノワイヤのコンダクタンスは7から2.5まで変化する。図5のシリコンナノワイヤはナノワイヤ表面にアミン基を露出するように修飾されている。図5は図4における応答と比較した場合、pHに対する変化を示す。図5の被修飾ナノワイヤは、例えば血液中の生理学的状態といった、より穏やかな条件への応答反応を示す。
【0074】
図6は、オリゴヌクレオチド剤反応体で表面を修飾したシリコンナノワイヤのコンダクタンスを示す。付着させたオリゴヌクレオチド剤に相補的なオリゴヌクレオチド検体が結合すると、そのコンダクタンスは劇的に変化する。
【0075】
図8aは、単層ナノチューブについてのゲート電圧変化に対する静電環境の変化を示す。図8bおよびcは、NaCLおよびCrClxの存在によって生じる単層壁カーボンナノチューブのコンダクタンス変化を示す。
【0076】
図9aは、表面水酸基を有するナノセンサを2〜9までのpHレベルに露出する際のコンダクタンス変化を示す。図9bは、アミン基で修飾されたナノセンサが2〜9までのpHレベルに露出された際のコンダクタンス変化を示す。図9cは、pHレベルの変化を対するナノセンサの相対コンダクタンスを示す。結果は、広範囲のpHで線形応答を示し、本デバイスが生理学的流体のpH条件の測定またはモニタリングに適していることを明白に実証した。
【0077】
図10aは、反応体BSAビオチンで修飾されたシリコンナノワイヤ(SiNW)を、最初にブランクの緩衝液、次いで検体(250nMストレプトアビジン)含有溶液に露出した際のコンダクタンスの増加を示す。図10bは、最初にブランクの緩衝液、次いで25pMストレプトアビジン含有溶液に露出した際のBSAビオチンで修飾されたSiNWのコンダクタンスの増加を示す。図10cは、最初にブランクの緩衝液、次いでストレプトアビジン含有溶液に露出した際の未修飾SiNWではコンダクタンスに変化がないことを示す。図10dは、緩衝液、次いでd−ビオチンストレプトアビジン含有溶液に露出した際のBSAビオチンで修飾されたSiNWのコンダクタンスを示す。図10eは、ブランクの緩衝液、次いでストレプトアビジン含有溶液、次いで再びブランクの緩衝液に露出した際のビオチンで修飾されたナノセンサのコンダクタンス変化を示す。ストレプトアビジンをブランクの緩衝液に代えてもコンダクタンスに変化はなく、BSAビオチンで修飾したナノセンサにはストレプトアビジンが不可逆的に結合していることを示している。図10fは、緩衝液とストレプトアビジン含有緩衝液に交互に露出した場合、未修飾SiNWのコンダクタンスには変化がないことを示す。これらの結果は、ナノワイヤセンサが生体マーカーの特異的検出に非常に高感度で適していることを示す。
【0078】
図11aは、最初にブランクの緩衝液に、次いで抗ビオチン含有溶液に露出した際に、BSAビオチンで修飾されたSiNWのコンダクタンスが減少したことを示す。次いで、抗ビオチン含有溶液をブランクの緩衝液に代えるとコンダクタンスは増加し、次いでナノセンサを再び抗ビオチン含有溶液に露出すると減少する。図11aは、ビオチンと抗ビオチンの間の可逆的な結合を示している。図11bは、ブランクの緩衝液に、次いで抗ビオチン含有溶液に露出する間の未修飾SiNWのコンダクタンスを示す。図11cは、緩衝液、他のIgGタイプ抗体、次に抗ビオチン、ビオチンのIgG1タイプ抗体に露出する間にBSA−ビオチン修飾SiNWのコンダクタンスが変化したことを示す。図11cは、BSA−ビオチン修飾SiNWが、他の免疫グロブリンGタイプ抗体の存在によって妨害されることなく抗ビオチンの存在を検出することを示す。これらの結果は、実際の生理学的条件下での動的な生体マーカーモニタリング用途におけるナノワイヤセンサの大きな可能性を示す。
【0079】
アミン修飾SiNWでは金属イオンの存在も検出し得る。図12aは、ブランクの緩衝液と1mM Cu(II)を含むおよび溶液とに交互に露出した時、アミン修飾SiNWのコンダクタンスが変化したことを示す。図12bは、アミン修飾SiNWが、0.1mMからlmMまでの濃度のCu(II)に露出された際のコンダクタンスの増加を示す。図12cは、Cu(II)濃度に対するコンダクタンスの増加を示す。図12dは、ブランクの緩衝液、次いでlmMCu(II)に露出した際、未修飾SiNWのコンダクタンスが変化を示さないことを示す。図12eは、最初にブランクの緩衝液、次いで1mM Cu(II)−EDTAに露出した際、アミン修飾SiNWのコンダクタンスが変化しなかったことを示し、ここで、EDTAはCu(II)の修飾済SiNWに結合する能力を妨害している。これらの結果は、無機化学分析での用途におけるナノワイヤセンサの可能性を示す。
【0080】
図13aは、カルシウム結合タンパク質であるカルモジュリンによって修飾したシリコンナノワイヤのコンダクタンスを示す。図13aにおいて、領域1はカルモジュリン修飾したシリコンがブランクの緩衝液に露出された際のコンダクタンスを示す。領域2は、カルシウムイオン含有溶液に露出した場合に同じナノワイヤのコンダクタンスの低下を示す(図中、下向き矢印)。領域3は、同じナノワイヤを再びブランクの緩衝液に接触させた際のコンダクタンスの増加を上向きの矢印で示す。その後、コンダクタンスは本来のレベルに復帰するが、これは、カルシウムイオンがカルモジュリン修飾ナノワイヤに可逆的に結合することを示す。図13bは、未修飾ナノワイヤを最初にブランクの緩衝液に、次いでカルシウムイオン含有溶液に露出された時、そのコンダクタンスが変化しないことを示す。
【0081】
上記の開示によって示されるように、1つの実施態様では、本発明は、試料中での存在が疑われる検体の有無の決定のために電気的作用に基づくナノスケールのセンサを提供する。ナノスケールであるため、マクロスケールのセンサと比較して検出における感度が高い。さらに、ナノスケールセンサで使用される試料サイズは約10マイクロリットル以下、好ましくは約1マイクロリットル以下、より好ましくは約0.1マイクロリットル以下である。試料サイズは約10ナノリットルまたはそれ以下でもよい。ナノスケールセンサにより、生物学的種に特異な方法でアクセスすることもでき、in vivo及びin vitro用途の両方での利用にも使用できる。生体内で使用する場合、ナノスケールセンサおよび対応する方法は侵襲度の最小化された操作となる。
【0082】
図14aは、ドープ濃度およびナノワイヤ直径と比較して、5個までの電荷を検出するために感度の計算を示す。図に示すように、ナノワイヤの感度は、ドープ濃度の変更により、またはナノワイヤの直径の制御により制御できる。例えば、ナノワイヤのドープ濃度を増加させると、ナノワイヤがより多くの電荷を検出する能力を増す。また、20nmのワイヤは同数の電荷を検出するために5nmのナノワイヤより少ないドーピングでよい。図14bは、ナノワイヤの直径と比較して、1個の電荷を検出するために閾値ドープ密度の計算を示す。ここでも、20nmのナノワイヤは、1個の電荷を検出するために5nmのナノワイヤより少ないドーピングでよい。
【0083】
図15は、InPナノワイヤの概略図を示す。ナノワイヤは均質でもよいし、またはn型およびp型のドーパントの個別セグメントを含んでもよい。図15bは、pHを変化させた時の、15aのナノワイヤのルミネセンスの時間変化を示す。図に示すように、ナノワイヤの発光強度は、結合レベルに相関して変化する。pHが増加すると光強度は低下し、pHが減少すると光強度は増加する。発明の1つの実施態様としては、マイクロアレイ中の各電極を掃引することにより光信号検出を個別にアドレスすることが考えられる。発明の別の実施態様としては、2種類の信号検出器、例えば、電気的な検出器と組み合わされた光学センサが考えられる。
【0084】
図16aは、ナノワイヤセンサの1つの実施態様を示す。図16aに示すように、本発明のナノワイヤセンサは、ドープシリコン50の単一分子を含む。ドープシリコンはチューブとして形成され、ドーピングはnドープもpドープもできる。いずれの場合も、ドープシリコンナノワイヤは高抵抗半導体材料を形成し、これをはさんで電圧を印加できる。チューブの外表面および内表面には酸化物が形成されるであろうし、また、チューブの表面は、FETデバイスのゲート52として作用することができ、チューブの各端部での電気的な接触により、チューブ端部がドレイン56およびソース58として作用可能である。図示する実施態様では、デバイスは対称的であり、デバイスのいずれの端部もドレインまたはソースと考えることができる。説明のため、図16aのナノワイヤでは左手側をソース、右手側をドレインとしている。図16aは、ナノワイヤデバイスが2つの導体要素54と電気的に接続されるように配設されることを示す。
【0085】
図16aおよび16bは、化学物質/配位子でゲート制御された電界効果トランジスタ(FET)の例を示す。FETはエレクトロニクスの技術分野ではよく知られている。簡単に言えば、FETは3端子デバイスであり、2つの電極(一つはドレインに、一つはソースに接続される)間の導体は、ソースとドレインの間のチャネル中の電荷キャリアの利用可能性に依存している。FETはThe Art of Electronics、Second Edition by
Paul Horowitz and Winfield Hill、Cambridge University Press、1989、第113〜174頁により詳細に記述されており、その内容全体は言及によって本願によって組み込まれる。電荷キャリアのこの利用可能性は第3の「制御電極」(ゲート電極としても知られる)に印加された電圧によって制御される。チャネルの導電性は、チャネルを横切って電界を生じさせるゲート電極に印加された電圧によって制御される。図16aおよび16bのデバイスは、化学物質または配位子−FETと考えることができ、その理由は、化学物質または配位子がゲートで電圧をもたらし、これが電界を生じてチャネルの伝導性を変化させるからである。このチャネルの伝導性の変化は、チャネルを通る電流の流れに影響を及ぼす。このため、FETはソースおよびドレインを通じてチャネルを通る電流をゲート上の電圧が制御する相互コンダクタンスデバイスと呼ばれることも多い。FETのゲートは、例えば、接合FET(JFET)中でのような半導体接合の使用または金属酸化膜半導体FET(MOSFET)の中でのような酸化物絶縁体の使用によって伝導チャネルから絶縁される。したがって、図AおよびBでは、ナノワイヤセンサのSiO2外表面はゲートのためのゲート絶縁部としても機能し得る。
【0086】
適用に際しては、図Aに図示されるナノワイヤデバイスは、試料に接触するか、試料フローの経路内に配設してもよいFETデバイスを提供する。試料内の対象要素は、ナノワイヤデバイスの表面に接触させることができ、ある条件の下では、表面に結合するか付着できる。
【0087】
この目的のために、デバイスの外表面は反応体(例えば対象要素に特異的な結合パートナー)を有してもよい。結合パートナーは当該部分を引き付けるか、当該部分に結合して試料内の対象部位をナノワイヤデバイスの外表面に付着または結合させるであろう。この例は図16cに示され、対象部位60がナノワイヤデバイスの表面に結合して描かれている(一定の縮尺で描かれているわけではない)。
【0088】
また図16cで示すように、付着部位が増すにつれ、ワイヤを通る電流を制限する空乏領域62がナノワイヤデバイス内に生じる。空乏領域ではチャネルのタイプによって、ホールまたは電子が欠乏する。これは、図16dに概略的に示される。この部位は、ゲート/ドレイン接合はさんだ電圧差をもたらす電荷を有する。
【0089】
本発明のナノスケールセンサはリアルタイムデータを収集することができる。リアルタイムデータは例えば、特定の化学物質または生体反応の反応速度をモニタするために使用してもよい。in vivoの生理学的条件または薬剤濃度もリアルタイムな信号を生じ得るが、この信号はドラッグデリバリシステムを制御するために使用できる。例えば、本発明には、1つの側面では、ナノワイヤ検出器、リーダおよびコンピュータ制御応答システムを備えた統合システムが含まれる。この例において、ナノワイヤは、試料中の検体の平衡の変化を見出し、コンピュータ制御応答システムに信号を送り、化学物質または薬剤を抑止または放出させる。これは、そのサイズが小さくわずかなエネルギーしか必要としないため、インプラント薬や化学物質送達システムなどでは特に有用である。当業者は、本発明に関する使用に適している埋込み可能な(implantable)デバイス、リーダ、およびコンピュータ制御応答システムを構築するためのパラメータおよび必要条件をよく知っている。すなわち、当業者の知識をセンサとしてのナノワイヤについての本願における開示と組み合わせれば、埋込み可能なデバイス、リアルタイム測定デバイス、統合システムなどが実施可能である。このようなシステムは1種類または複数の生理学的特性を個々にまたは同時にモニタできる。このような生理学的特性は例えば、酸素濃度、二酸化炭素濃度、グルコースレベル、特定の薬剤の濃度、特定の薬副産物の濃度などを含むことができる。本発明のセンサによって感知される条件に応じた機能を実行するように、統合された生理学的デバイスを構築できる。例えば、本発明のナノワイヤセンサはグルコースレベルを感知できるが、決定されたグルコースレベルに基づいて、適切な制御メカニズムを介して対象者にインシュリンを放出することができる。
【0090】
別の実施態様では、物品は、試料露出領域及びナノワイヤを備えたカセットを含んでもよい。カセットが検出器デバイスから分離されていても、試料露出領域中の試料中の検体を検出でき、これにより試料を1箇所に集め、そして別の場所で検出できる。カセットは、ナノワイヤに関する特性を決定できる検出器デバイスに、動作可能であるように接続可能である。本願において、デバイスが別の装置に取り付けたり相互作用できる場合、そのデバイスは「動作可能であるように接続可能である。」
別の実施態様では、1以上のナノワイヤを微小流(microfluidic)チャネルに配設してもよい。1以上の異なるナノワイヤを同じマイクロチャネルと交差させ、異なる検体を検出したり、同じ検体の流速を異なる位置で測定することができる。別の実施態様では、微小流チャネル内に配置された1以上のナノワイヤが、微小針プローブまたは読み取りプローブ中の複数の分析素子のうちの1つを形成してもよい。微小針プローブは埋め込むことができて、リアルタイムでいくつかの検体を同時に検出できる。別の実施態様では、微小流チャネル中に配設した1以上のナノワイヤが、チップデバイス上のカセットまたはラボのためののマイクロアレイにおける分析素子のうちの1つを形成できる。当業者であれば、チップデバイス上のこのようなカセットまたはラボが、高処理能力の化学分析およびコンビナトリアルな創薬に特に適することを理解するであろう。さらに、ナノスケールセンサを使用する関連する方法は、他のセンシング技術のようにラベリングを行う必要がないという点で、迅速かつ単純である。1つのナノスケールセンサに多数のナノワイヤを含め得ることから、単一試料中で存在が疑われる異なる検体を同時に検出できる。例えば、ナノスケールのpHセンサは、それぞれ異なるpHレベルを検出する複数のナノスケールワイヤを含んでもよく、多数のナノスケールワイヤを有するナノスケールのオリゴセンサは多数の配列または配列の組合せを検出するために使用してもよい。
【0091】
当業者であれば、ここに挙げたパラメータはすべて例示的なものであり、実際のパラメータは、本発明の方法および装置が使用される具体的用途に依存することを容易に認識するであろう。したがって、前記実施態様は例示のためのものであって、添付する請求項およびそれと均等な範囲内で、本発明をここに具体的に記述したこととは別の方式で実施できることを理解するであろう。
【0092】
本発明の各種態様は以下の通りである。
1.試料露出領域とナノワイヤを含む物品であって、ナノワイヤの少なくとも一部が試料露出領域において試料によってアドレス可能である物品。
2.ナノワイヤに関する性質を決定するために構築され配置された検出器をさらに含む上記第1に記載の物品。
3.試料露出領域がマイクロチャネルを含む上記第1に記載の物品。
4.試料露出領域がウェルを含む上記第1に記載の物品。
5.ナノワイヤが半導体ナノワイヤである上記第1に記載の物品。
6.半導体ナノワイヤがシリコンナノワイヤである上記第5に記載の物品。
7.半導体ナノワイヤがP−N接合を含む上記第5に記載の物品。
8.半導体ナノワイヤが多重p−n接合を含む上記第5に記載の物品。
9.半導体ナノワイヤが、それぞれ異なる濃度のドーパントでドープされた複数のナノワイヤのうちの1本である上記第5に記載の物品。
10.ナノワイヤがカーボンナノチューブである上記第1に記載の物品。
11.ナノチューブが単層ナノチューブである上記第10に記載の物品。
12.ナノチューブが多層ナノチューブである上記第10に記載の物品。
13.ナノワイヤが未修飾のナノワイヤである上記第1に記載の物品。
14.反応体が、検体の結合パートナーを含む上記第24に記載の物品。
15.結合パートナーが非特異的である上記第14に記載の物品。
16.結合パートナーが特異的である上記第14に記載の物品。
17.結合パートナーがナノワイヤ表面上の化学基を含み、その組合せが、−OH、−CHO、−COOH、−SO3H、−CN、−NH2、−SH、−COSH、COOR、ハロゲン化物からなる群から選択される上記第14に記載の物品。
18.結合パートナーが、DNA、DNA断片、抗体、抗原、タンパク質および酵素からなる群から選択される特異的な生体分子受容体を含む上記第14に記載の物品。
19.結合パートナーがナノワイヤ表面にグラフトされた短いポリマー鎖を含み、その鎖がポリアミド、ポリエステル、ポリアクリル酸、ポリイミドからなるポリマーの群から選択される上記第14に記載の物品、
20.結合パートナーがナノワイヤ表面に被覆された薄いヒドロゲル層を含む上記第14に記載の物品。
21.結合パートナーがナノワイヤ表面の薄い被覆を含み、被覆が酸化物、硫化物およびセレン化物からなる群から選択される上記第14に記載の物品。
22.ナノワイヤの電気的特性がナノワイヤ表面の化学的変化に敏感であり、ナノワイヤが化学物質によってゲート制御されるナノワイヤ電界効果トランジスタを含む上記第1に記載の物品。
23.ナノワイヤがエレクトロルミネセンス材料、フォトルミネセンス材料およびダイオードからなる群から選択される材料を含み、ナノワイヤの発光特性がナノワイヤ表面の化学的変化に敏感である上記第1に記載の物品。
24.さらに反応体を含み、反応体と試料中の検体の間の相互作用がナノワイヤの特性に検出可能な変化をもたらすように、反応体がナノワイヤに対して位置する上記第1に記載の物品。
25.反応体が核酸、抗体、糖、炭水化物およびタンパク質からなる群から選択される上記第24に記載の物品。
26.反応体が触媒を含む上記第24に記載の物品。
27.反応体が量子ドットを含む上記第24に記載の物品。
28.反応体がポリマーを含む上記第24に記載の物品。
29.反応体がナノワイヤに固定されている上記第24に記載の物品。
30.反応体がナノワイヤの5ナノメートル以内に位置する上記第24に記載の物品。
31.反応体がナノワイヤの3ナノメートル以内に位置する上記第24に記載の物品。
32.反応体がナノワイヤの1ナノメートル以内に位置する上記第24に記載の物品。
33.反応体がリンカーによってナノワイヤに付着される上記第24に記載の物品。
34.反応体が、ナノワイヤに直接付着される上記第24に記載の物品。
35.反応体がナノワイヤに電気的に結合されるようにナノワイヤに対して位置し、試料中の検体と反応体との間の検出可能な相互作用が、ナノワイヤの電気的特性に検出可能な変化を起こす上記第24に記載の物品。
36.マイクロチャネルの最小の横方向寸法が1mm未満である上記第3に記載の物品。
37.マイクロチャネルの最小の横方向寸法が0.5mm未満である上記第3に記載の物品。
38.マイクロチャネルの最小の横方向寸法が200ミクロン未満である上記第3に記載の物品。
39.ナノワイヤが、センサを含む複数のナノワイヤのうちの1本である上記第1に記載の物品。
40.複数のナノワイヤのそれぞれが、試料露出領域に位置する少なくとも一部分を含む上記第39に記載の物品。
41.複数のナノワイヤが少なくとも10本のナノワイヤを含む上記第39に記載の物品。
42.多数のナノワイヤが平行に配置され、1対の電極によってアドレスされる上記第41に記載の物品。
43.多数のナノワイヤが互いに平行に配列され、多数対の電極によって個別にアドレスされる上記第41に記載の物品。
44.多数のナノワイヤが異なるもので、それぞれが異なる検体を検出できる上記第43に記載の物品。
45.多数のナノワイヤがランダムな方向を向いている上記第41に記載の物品。
46.ナノワイヤが基板の表面に位置する上記第1に記載の物品。
47.試料露出領域がマイクロチャネルを含み、ナノワイヤがマイクロチャネルの中で懸濁される上記第1に記載の物品。
48.物品が、基板の表面に形成されたセンサアレイ中の複数のナノワイヤセンサのうちの1つである上記第1に記載の物品。
49.基板がガラス、二酸化ケイ素被覆したシリコンおよびポリマーからなる群から選択される上記第48に記載の物品。
50.マイクロチャネルが、試料を含む流体についてレイノルズ数(Re)約1未満となるような寸法である上記第3に記載の物品。
51.レイノルズ数が約0.01未満である上記第42に記載の物品。
52.試料露出領域に流体試料を受容するように構築され配置された上記第1に記載の物品。
53.試料が気体ストリームである上記第44に記載の物品。
54.試料が液体である上記第44に記載の物品。
55.物品が複数のナノワイヤおよび複数の反応体を含み、少なくとも反応体の一部は、反応体と検体の間の相互作用がナノワイヤの特性に検出可能な変化をもたらすようにナノワイヤに対して位置する、上記第1に記載の物品。
56.少なくとも1つの反応体がナノワイヤの100ナノメートル以内に位置する上記第55に記載の物品。
57.少なくとも1つの反応体がナノワイヤの50ナノメートル以内に位置する上記第55に記載の物品。
58.少なくとも1つの反応体がナノワイヤの10ナノメートル以内に位置する上記第55に記載の物品。
59.試料露出領域が、生物試料によってアドレス可能である上記第1に記載の物品。
60.物品が微小針プローブ用のセンサ素子を形成する上記第1に記載の物品。
61.微小針が生物対象中に埋込み可能である上記第60に記載の物品。
62.物品が生理学的特性をモニタできるセンサである上記第60に記載の物品。
63.センサが複数の生理学的特性をモニタできる上記第60に記載の物品。
64.物品が同時に複数の生理学的特性をモニタできる上記第60に記載の物品。
65.対象中の酸素濃度、二酸化炭素濃度およびグルコースレベルの少なくとも1つを決定できる上記第60に記載の物品。
66.統合浸漬プローブセンサ用のセンサ素子を形成する上記第1に記載の物品。
67.プラグアンドプレーのセンサアレイ用のセンサ素子を形成する上記第1に記載の物品。
68.物品がナノワイヤに刺激を伝達でき、検出器が刺激に起因する信号を決定するように構築され配置される上記第2に記載の物品。
69.刺激が直流電流/電圧、交流電圧および電磁放射からなる群から選択される上記第68に記載の物品。
70.検出器がナノワイヤに関する電気的な性質を決定するように構築され配置される上記第2に記載の物品。
71.検出器がナノワイヤに関する電磁的性質の変化を決定するように構築され配置される上記第2に記載の物品。
72.検出器がナノワイヤに関する発光特性の変化を決定するように構築され配置される上記第2に記載の物品。
73.検体を含有すると疑われる試料にナノワイヤを接触させ;
ナノワイヤの特性変化を決定する;
工程を含む方法。
74.最初にナノワイヤの特性を測定し;
次いでナノワイヤを試料に接触させ;
次いでナノワイヤに関する性質の変化を決定する;
工程を含む、上記第73に記載の方法。
75.ナノワイヤを準備し、そのナノワイヤを容積が約10マイクロリットル未満の試料と接触させ;
その接触に起因するナノワイヤの特性の変化を測定する;
工程を含む方法。
76.検体を含むと疑われる試料にナノワイヤを接触させ;
その接触に起因するナノワイヤの特性変化の測定により、検体の存在または量を決定する;
工程を含み、10個未満の検体の分子が検出される特性の変化に寄与する方法。
77.5個未満の化学種分子が電気的特性の変化に寄与する上記第76の方法。
78.1個の化学種分子が電気的特性の検出される変化に寄与する上記第77の方法。
79.試料露出領域及びナノワイヤを備えた試料カセットを含む物品であって、ナノワイヤの少なくとも一部が試料露出領域の試料によってアドレス可能であり;試料カセットが、ナノワイヤに関する特性を決定できる検出器装置に動作可能なように接続可能である、物品。
80.少なくとも1つのナノワイヤと、該少なくとも1つのナノワイヤの特性の変化を測定するための手段とを備えたセンサ。
81.ナノワイヤを試料に接触させ;
ナノワイヤに関する性質を決定する;
工程を含み、ナノワイヤを試料に接触させる際の特性の変化が試料中の検体の存在または量を示す、検体の検出方法。
82.導電体を試料に接触させ;
接触に起因する導体特性の変化の測定により、試料中の検体の存在または量を決定する;
工程を含み、検体の10個未満の分子が前記特性の変化に寄与するものである方法。
83.ナノワイヤコア領域、および外部領域を含み、外部領域がナノワイヤコアに化学的にまたは物理的に結合される官能性部位を含む物品。
84.コアがSi、GaN、AlN、InN、GaAs、AlAs、InAs、InP、GaP、SiC、CdSe、ZnSe、ZnTe、ZnO、SnO2およびTiO2からなる群から選択される材料を含む、半導体ナノワイヤである上記第83に記載の物品。
85.ナノワイヤコアが0.5〜200nmの範囲の直径を有する上記第83に記載の物品。
86.ナノワイヤコアが2を超えるアスペクト比を有する上記第83に記載の物品。
87.外部領域における官能性部位が、−OH、−CHO、−COOH、−SO3H、−CN、−NH2、−SH、−COSH、COOR、ハロゲン化物からなる群から選択される基または基の組合せである上記第83に記載の物品。
88.官能性部位が、アミノ酸、タンパク質、DNA、抗体、抗原および酵素からなる群から選択される基である上記第83に記載の物品。
89.官能性部位がナノワイヤコアの直径未満の鎖長のグラフトポリマー鎖を含み、そのポリマーがポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアクリル酸を含むポリマーの群から選択される、上記第83に記載の物品。
90.官能性部位がナノワイヤコアの表面を覆う薄い被覆を含み、その被膜が金属、半導体および絶縁体からなる群から選択される、上記第83に記載の物品。
91.被覆が金属元素、酸化物、硫化物、窒化物、セレン化物、ポリマーおよびポリマーゲルからなる群から選択される上記第90に記載の物品。
92.導体と電気的に接触してソース電極を形成する第1の端部と、導体と電気的に接触してドレイン電極を形成する第2の端部と、その上に酸化物を有してゲート電極を形成する外表面とを有する半導体ナノワイヤ、ならびに、
選択された部位について特異性を有し、外表面に結合した結合剤であって、前記部位が結合剤に結合するのに応じてゲート電極における電圧が変化して、化学的にゲート制御される電界効果センサデバイスを提供する結合剤
を備えたナノワイヤセンサデバイス。
93.所定の電流−電圧特性を有し、化学的または生物学的センサとしての使用に適合した、検体によりゲート制御される電界効果トランジスタであって:
(a)第1の絶縁材料から形成された基板;
(b)基板上に配設されたソース電極;
(c)基板上に配設されたドレイン電極、
(d)ソースおよびドレイン電極間に配設され、所定の電流−電圧特性を有する電界効果トランジスタを形成する半導体ナノワイヤ、および
(e)ナノワイヤの表面上に配設され、目標検体との間に生じる結合事象が前記電界効果トランジスタの電流−電圧特性に検出可能な変化を起こす、検体に特異的な結合剤
を含む電界効果トランジスタ。
94.検体が化学的部位である、上記第93記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタ。
95.化学的部位が小さな有機化合物である、上記第94記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタ。
96.化学的部位がイオンである、上記第94記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタ。
97.検体が生物学的部位である、上記第93記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタ。
98.検体がタンパク質、核酸、炭水化物、脂質およびステロイドからなる群から選択される、上記第97記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタ。
99.少なくとも100個の前記検体によりゲート制御される電界効果トランジスタのアレイを含む上記第93の物品。
100.物品に結合する検体特異的結合剤の集団に関して同質である上記第99の物品。
101.物品に結合する検体特異的結合剤の集団に関して異質である上記第99の物品。
102.反応体がナノワイヤに光学的に結合するよう、反応体がナノワイヤに対して位置し;試料中の検体と反応体との間の検出可能な相互作用が、ナノワイヤの特性の検出可能な変化を起こす;上記第24に記載の物品。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1aは、ナノスケール検出器デバイスを概略的に示す。 図1bは、ナノワイヤの並列アレイを有するナノスケール検出器デバイスを概略的に示す。
【図2】図2aは、相補的結合パートナーを検出するために、ナノワイヤが結合剤で修飾されたナノスケール検出器デバイスを概略的に示す。 図2bは、相補的結合パートナーが結合剤に固定された状態の図2aのナノスケール検出器デバイスを概略的に示す。
【図3a】図3aは、2つの金属電極に接続された単一のシリコンナノワイヤの低解像度走査型電子顕微鏡写真である。
【図3b】図3bは、2つの金属電極に接続された単一のシリコンナノワイヤデバイスの高解像度走査電子顕微鏡写真である。
【図4】図4aは、バックゲートを備えたナノスケールセンサの別の実施態様を概略的に示す。 図4bは、様々なバックゲート電圧におけるコンダクタンス対時間を示す。 図4cは、コンダクタンス対バックゲート電圧を示す。
【図5】図5aは、単一シリコンナノワイヤについてコンダクタンスをpHの関数として示す。 図5bは、表面にアミン基が露出するように修飾した単一シリコンナノワイヤについてコンダクタンス対pHを示す。
【図6】オリゴヌクレオチド剤で修飾した表面を有するシリコンナノワイヤについてコンダクタンス対時間を示す。
【図7】典型的な単層ナノチューブ検出器デバイスの原子間力顕微鏡像である。
【図8】図8aは、空気中における単層ナノチューブデバイスの電流−電圧(I−V)測定結果を示す。 図8bは、NaCl中における図8aの単層ナノチューブデバイスの電流−電圧(I−V)測定結果を示す。 図8cは、CrClx中における図8aの単層ナノチューブデバイスの電流−電圧(I−V)測定結果を示す。
【図9a】図9aは、pHレベル2から9までに露出した場合の表面水酸基を有するナノセンサのコンダクタンスを示す。
【図9b】図9bは、pHレベル2から9までに露出した時の、アミン基で修飾したナノセンサのコンダクタンスを示す。
【図9c】図9cは、pHレベルの変化に伴うナノセンサの相対的なコンダクタンスを示す。
【図10abcd】図10aは、最初にブランクの緩衝液に、次いで250nM ストレプトアビジン含有溶液に露出した、BSAビオチン修飾SiNWのコンダクタンスを示す。 図10bは、最初にブランクの緩衝液に、次いで25pMストレプトアビジン含有溶液に露出した、BSAビオチン修飾SiNWのコンダクタンスを示す。 図10cは、最初にブランクの緩衝液に、次いでストレプトアビジン含有溶液に露出した、未修飾SiNWのコンダクタンスを示す。 図10dは、緩衝液に、次いでd−ビオチンストレプトアビジン含有溶液に露出した、BSAビオチン修飾SiNWのコンダクタンスを示す。
【図10ef】図10eは、ブランクの緩衝液に、次いでストレプトアビジン含有溶液に、さらに次いでブランクの緩衝液に露出した、ビオチン修飾ナノセンサのコンダクタンスを示す。 図10fは、緩衝液とストレプトアビジン含有溶液に交互に露出した未修飾SiNWのコンダクタンスを示す。
【図11】図11aは、最初にブランクの緩衝液に、次いで抗ビオチン(Antibiotin)含有溶液に露出した、BSA−ビオチン修飾SiNWのコンダクタンスを示す。 図11bは、緩衝液に、次いで抗ビオチン含有溶液に露出した、未修飾SiNWのコンダクタンスを示す。 図11cは、緩衝液、他の免疫グロブリンGタイプ抗体、次いで抗ビオチン含有溶液に露出する間のBSA−ビオチン修飾SiNWのコンダクタンスを示す。
【図12】図12aは、ブランクの緩衝液と1mM Cu(II)含有溶液に交互に露出したアミン修飾SiNWのコンダクタンスを示す。 図12bは、0.1mMから1mMまでの濃度のCu(II)含有溶液に交互に露出したアミン修飾SiNWのコンダクタンスを示す。 図12cは、コンダクタンス対Cu(II)濃度を示す。 図12dは、最初にブランクの緩衝液に、次いで1mMCu(II)含有溶液に露出した未修飾SiNWのコンダクタンスを示す。 図12eは、最初にブランクの緩衝液に、次いで1mMCu(II)−EDTA含有溶液に露出したアミン修飾SiNWのコンダクタンスを示す。
【図13】図13aは、緩衝液、次いでカルシウムイオン含有溶液に露出したカルモジュリン修飾シリコンナノワイヤのコンダクタンスを示す。 図13bは、緩衝液、次いでカルシウムイオン含有溶液に露出した未修飾シリコンナノワイヤのコンダクタンスを示す。
【図14】図14aは、ドープ濃度およびナノワイヤ直径で比較した際に、5個までの電荷を検出するための感度の計算結果を示す。 図14bは、単一電荷検出のためのナノワイヤ直径で比較した際に、閾値ドープ濃度の計算結果を示す。
【図15】図15はInPナノワイヤの模式図である。 図15bが、pHを変動させた際の図15aのナノワイヤのルミネセンスの時間変化を示すグラフである。
【図16a】図16aは、ナノワイヤセンサ、特に化学物質又は配位子によりゲート制御された電界効果トランジスタ(FET)の1つの実施態様を描いた図である。
【図16bcd】図16bは、図16aのナノワイヤを示す別の図である。 図16cは、表面部位を有する図16aのナノワイヤを示す図である。 図16dは、空乏領域を有する図16aのナノワイヤを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、全米科学基金許可番号第981226号および海軍研究契約局第N00014−00−0−0476号による資金援助を受けた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0002】
関連出願
本願は、米国特許法第119条(e)項の規定により、同一出願人の所有に係り同時係属している「ナノワイヤおよびナノチューブナノセンサ」(「Nanowire and Nanotube Nanosensors」)と題する米国仮出願シリアル番号60/292,035号(出願日:2001年5月18日)および「ナノワイヤおよびナノチューブナノセンサ」(「Nanowire and Nanotube Nanosensors」)と題する60/254,745号(出願日:2000年12月11日)に基づく優先権を主張する。これらは各々、言及によってその全体が本願に組み込まれる。
【0003】
本発明は、概括的にはナノワイヤおよびナノスケールデバイス、より具体的には、ナノワイヤまたは官能基化されたナノワイヤを有する、試料中の存在が疑われる検体の有無を検出するためのナノスケールデバイスならびにこれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
ナノワイヤは、電荷キャリアおよび励起子の効率的な輸送に理想的に適しており、したがって、ナノスケールのエレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスのための重要な構成単位として期待されている。カーボンナノチューブにおける電気的輸送に関する研究により、電界効果トランジスタ、単一電子トランジスタおよび整流結合が作られている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は一連のナノスケールデバイスおよびその使用方法を提供する。
1つの側面では、本発明はナノスケールデバイスを提供する。デバイスは試料露出領域とナノワイヤとによって規定され、ナノワイヤの少なくとも一部は、試料露出領域中の試料によってアドレス可能である。1つの実施態様では、デバイスはさらにナノワイヤに関する性質を決定できる検出器を含んでもよい。
【0006】
別の実施態様では、デバイスは試料露出領域とナノワイヤとを含む試料カセットである。ナノワイヤの少なくとも一部は、試料露出領域中の試料によってアドレス可能であり、試料カセットは、ナノワイヤに関する性質を決定できる検出器デバイスに動作可能なように接続可能である。
【0007】
別の実施態様では、デバイスは、少なくとも1本のナノワイヤとその少なくとも1本のナノワイヤの特性変化を測定するための手段とを含むセンサである。
別の実施態様では、デバイスは、バルクナノワイヤのコア領域と官能性部位である外部領域部分とを含む、官能基化されたナノワイヤを含む。
【0008】
本発明の別の側面は、検体を含有する疑いのある試料にナノワイヤを接触させる際にナノワイヤの特性変化を決定する工程を伴う方法を提供する。
別の方法は、ナノワイヤを約10マイクロリットル未満の容積の試料と接触させる場合に、ナノワイヤに関する特性の変化を測定する工程を伴う。
【0009】
別の方法は、検体を含有する疑いのある試料中の検体の存在や量を決定する工程を伴う。ナノワイヤを試料と接触させることに起因するナノワイヤの特性変化を測定する。
【0010】
検体を検出する別の方法は、ナノワイヤを試料と接触させ;ナノワイヤに関する性質を決定する;工程を含む。ナノワイヤの特性変化は、試料中の検体の存在または量を示す。
【0011】
別の方法は、導電体を試料と接触させ;接触により生じる導体の特性の変化を測定することにより、試料中の検体の存在または量を決定する;工程を含む。10個未満の検体分子が特性変化に寄与する。
【0012】
本発明の別の側面は、ナノワイヤセンサ、信号インタープリタ、信号フィードバックコンポーネントおよび介入デリバリー・コンポーネントを備えた統合された多機能システムを提供する。
【0013】
本発明の別の側面は、半導体ナノワイヤおよび選択された部位に特異性を有する結合パートナーを備えたナノワイヤセンサデバイスを提供する。ナノワイヤはその上に形成された外表面を有し、ゲート電極を形成する。ナノワイヤはまた、導体と電気的に接触してソース電極を形成する第1の端部、および、導体と接触してドレイン電極を形成する第2の端部をさらに有する。
【0014】
本発明の別の側面は、所定の電流−電圧特性を有し化学的または生物学的センサとして使用できる、検体によってゲート制御される電界効果トランジスタを提供する。電界効果トランジスタは、第1の絶縁材料で形成される基板、ソース電極、ドレイン電極およびソース電極とドレイン電極との間に配設された半導体ナノワイヤ、ならびにナノワイヤ表面上に配置される検体に特異的な結合パートナーを備える。目標検体と結合パートナーとの間に結合事象が起こると、電界効果トランジスタの電流−電圧特性に検出可能な変化が起こる。発明の別の側面は少なくとも100個の検体ゲート制御電界効果トランジスタのアレイを提供する。
【0015】
本発明の他の利点、新規な特徴および目的は、添付図面とあわせて考慮すれば、本発明の実施態様(但し、限定的なものではない)に関する以下の詳細な説明から明白になるであろう。但し、添付図面は概略的なものであり、その縮尺通りであることを意図するものではない。各種図面に示される同一またはほぼ同一のコンポーネントはそれぞれ一つの数字によって表わされる。明確さのため、当業者が発明を理解する上で説明する必要がない場合には、すべての図ですべてのコンポーネントに符号を付してはいないし、また、発明の各実施態様においても付しているわけではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、ナノワイヤを伴う一連の技術およびデバイスを提供する。本発明の1つの側面では官能基化されたナノワイヤを提供する。ナノワイヤについては多数の用途が開発されているが、本発明では、ナノワイヤをその表面またはその表面に近接した部分で官能基化しており、これにより、より多彩で重要な応用が可能になる。特に1つのケースを挙げると、(例えば反応体(reaction entity)による)官能基化により、官能基化されたナノワイヤが分子物質などの様々な実体(entity)と均一または不均一に相互作用可能となり、この相互作用により、官能基化されたナノワイヤの特性変化を引き起こし、それはナノスケールのセンサデバイスにメカニズムをもたらす。発明の別の側面はナノワイヤまたは官能基化されたナノワイヤを備えたセンサである。発明の様々な側面を、以下、より詳細に説明する。
【0017】
本願において「ナノワイヤ」は細長いナノスケールの半導体であり、これはその長さに沿った任意の点で、断面に少なくとも1つの寸法(dimension)、実施態様によっては2つの直交する寸法を有し、これは500ナノメートル未満、好ましくは200ナノメートル未満、より好ましくは150ナノメートル未満、さらに好ましくは100ナノメートル未満、さらに好ましくは70未満、さらに好ましくは50ナノメートル未満、さらに好ましくは20ナノメートル未満、さらに好ましくは10ナノメートル未満、またさらに好ましくは5ナノメートルである。他の実施態様では、断面寸法は2ナノメートルまたは1ナノメートル未満である。実施態様の1つのセットでは、ナノワイヤは断面に関する少なくとも1つの寸法が0.5〜200ナノメートルの範囲である。ナノワイヤがコアと外部領域とを有するものとして記述される場合、上記の寸法はコアに関する。細長半導体の断面は任意の形状を有するものでよく、環状、正方形、長方形、楕円および管状を含むが、これらに限定されない。規則的な形状も不規則的な形状も含まれる。本発明のナノワイヤを作成し得る材料の例を挙げたリスト(但し、これらに限定されない)は後述の通りである。ナノチューブは本発明で使用できるナノワイヤの1つの種類であり、1つの実施態様では、本発明のデバイスは、ナノチューブに相当するスケールのワイヤを含む。本願において「ナノチューブ」は中空のコアを有するナノワイヤであり、当業者に知られたナノチューブを含む。「非ナノチューブナノワイヤ」はナノチューブではないすべてのナノワイヤである。発明の一つの実施態様のセットでは、表面が修飾されていない(それが位置する環境中のナノチューブに本来見られない補助的な反応体を含まない)非ナノチューブナノワイヤが、本願に記載するナノワイヤまたはナノチューブが使用可能な本発明の任意の配置において使用される。「ワイヤ」は、少なくとも半導体または金属の伝導性を有する任意の材料を指す。例えば、「導電性の」という用語または「導体」もしくは「導電体」は、「伝導性」ワイヤまたはナノワイヤに関して使用された時は、そのワイヤがそれ自体を通して電荷を通す能力を意味する。好ましい導電性材料は、抵抗率が約10-3Ω・m未満、より好ましくは約10-4Ω・m未満、最も好ましく約10-6または10-7Ω・m未満である。
【0018】
本発明は、ナノワイヤ(単数または複数)を露出した試料中の検体を決定すべく構築され配置されたシステムの一部を好ましくは形成するナノワイヤを提供する。この文脈において「決定する」とは、試料中の検体の量および/または存在を決定することを意味する。検体の存在は、ナノワイヤの特性、典型的にはその電気的特性または光学的特性の変化を測定することにより決定することができる。例えば、検体は、ナノワイヤの導電性や光学的特性に検出可能な変化を起こす。1つの実施態様では、ナノワイヤは本来的に検体を決定する能力を有する。ナノワイヤは官能基化、つまり表面に官能性部位(これに、検体が結合してナノワイヤに測定可能な性質変化を起こす)を含むようにしてもよい。結合事象は特異的でもよいし非特異的でもよい。官能性部位は、−OH、−CHO、−COOH、−SO3H、−CN、−NH2、−SH、−COSH、COOR、ハロゲンを含む(但しこれらに限定されない)群から選択される単純な基;アミノ酸、タンパク質、糖、DNA、抗体、抗原、または酵素を含む(但しこれらに限定されない)生体分子;ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアクリル酸を含む(但しこれらに限定されない)ポリマー群から選択されるナノワイヤコアの直径未満の鎖長を有するグラフトポリマー鎖;ナノワイヤコアの表面を覆う薄い被覆(以下の群:金属、半導体および絶縁体(これらは金属元素、酸化物、硫化物、窒化物、セレン化物、ポリマーおよびポリマーゲルでもよい)の材料を含むが、これらに限定されない)を含んでもよい。別の実施態様では、本発明は、ナノワイヤおよび反応体を提供し、その反応体は、検体と相互作用しナノワイヤの特徴の変化を決定することによって検体を決定できるようにナノワイヤに関して配置される。
【0019】
「反応体(reaction entity)」という用語は、検体と相互作用してナノワイヤの特性に検出可能な変化を起こし得るすべての実体を指す。反応体は、ナノワイヤと検体との間の相互作用を増強するか、またはナノワイヤにより高い親和性を有する新たな化学種を生成したり、もしくはナノワイヤの周囲に検体を増加させるものでもよい。反応体は、検体が結合する結合パートナーを含むことができる。反応体が結合パートナーである場合は、検体の特異的結合パートナーを含むことができる。例えば、反応体は、核酸、抗体、糖、炭水化物またはタンパク質でもよい。あるいは、反応体はポリマー、触媒または量子ドットでもよい。触媒である反応体は、検体を伴う反応に触媒作用を及ぼし、ナノワイヤに(例えば、ナノワイヤに電気的に結合する生成物の補助的結合パートナーと結合することによって)検出可能な変化を起こす生成物をもたらす。別の例示的な反応体は、検体と反応してナノワイヤに検出可能な変化を起こすことができる生成物を生産する反応物質である。反応体は、ナノワイヤ上の被覆(例えば、気体試料中の分子を認識するポリマーの被覆であって、ポリマーの伝導性の変化を引き起こし、それがナノワイヤの検出可能な変化を引き起こす)を構成することができる。
【0020】
「量子ドット」という用語は当業者に知られており、光を吸収しドットのサイズによって異なる色の光を迅速に再放射する半導体または金属のナノ粒子を一般に指す。例えば、2ナノメートル量子ドットは緑色の発光を行い、5ナノメートル量子ドットは赤色の発光をする。セレン化カドミウム量子ドットナノ結晶は、カリフォルニア州ヘイワードのQuantum Dot Corporationから入手できる。
【0021】
「結合パートナー(binding partner)」という用語は、特定の検体と結合し得る分子つまりその「結合パートナー」を指し、当業者に知られているような特異的、半特異的および非特異的な結合パートナーを含む。例えば、プロテインAは通常、「非特異性」または半特異的なバインダと見なされる。「特異的に結合する」という用語は、結合パートナー(例えばタンパク質、核酸、抗体など)に関して言う場合、異種分子(例えばタンパク質および他の生物学的分子)の混合物において結合性ペアの一方または他方の存在を決定でき及び/またはそれを同定し得る反応を指す。したがって、例えば、受容体/配位子結合ペアの場合には、配位子は分子の複雑な混合物から特異的および/または優先的にその受容体と対になり、またその逆も同様である。酵素は、その基質に特異的に結合するであろうし、核酸は、その相補鎖に特異的に結合するであろうし、抗体はその抗原に特異的に結合するであろう。他の例には、相補鎖に特異的に結合(ハイブリダイズ)する核酸、抗原に特異的に結合する抗体などが含まれる。
【0022】
結合は、1種または複数の様々なメカニズムによるものでもよく、イオン相互作用および/または共有結合相互作用および/または疎水性相互作用および/またはファンデルワールス力相互作用などを含むが、これらに限定されない。
【0023】
「流体」という用語は、流動し容器の外形に形状を合わせる傾向がある物質として定義される。典型的には、流体は静止剪断応力に耐えることができない材料である。剪断応力が流体に加えられる場合、それは持続的で恒久的な変形を被る。典型的な流体には、液体と気体が含まれるが、自由流動性の固体粒子も含まれ得る。
【0024】
「試料」という用語は、任意の細胞、組織または生物由来の流体(「生物試料」)、または本発明に従って評価することができる生物由来または非生物由来の他の媒体(例えば、血清や水)を指す。試料には、生物体(例えば、ヒト、ヒト以外の哺乳動物、無脊椎動物、植物、菌類、藻類、バクテリア、ウィルスなど)から取り出された生物試料;人間が消費するように設計された食物から取り出された試料;家畜飼料などの動物消費のために設計された食物;ミルク;器官提供試料、血液供給用に予定された血液試料;水道設備からの試料などが含まれるが、これらに制限されない。試料の1つの例は、特定の核酸配列の有無を決定するために人間または動物から取り出された試料である。
【0025】
特定の成分を「含有する疑いがある試料」は、その成分の含有量が未知である試料を意味する。例えば、神経組織変成性疾病または非神経組織変成性疾病などの疾病を有する疑いがあるがその疾病を有するとは知られていない人間からの液体試料は、神経組織変成の疾病を含有する疑いがある試料を定義する。この文脈において「試料」には、ヒトまたは他の動物から得られる生理学的試料などの天然に産出する試料、食物、家畜飼料などから得られる試料が含まれる。ヒトまたは他の動物から得られる典型的な試料は、組織生検;細胞;全血;血清または他の血液分画;尿;眼球液;唾液;脳脊髄液;扁桃腺、リンパ節、針生検などから得られる流体;その他の試料を含む。
【0026】
「電気的に連結された(electrically coupled)」という用語は、ナノワイヤおよび検体または他の部位(反応体など)に関して使用する場合は、検体、他の部分およびナノワイヤのいずれかの間の連関(association)であって、電子が一方から他方に移動するもの、あるいは一方の電気的特性の変化が他方によって決せられ得るものである。これは、これらの実体間の電子流、またはナノワイヤによって決定可能な電荷、酸化状態その他の変化を含むことができる。例えば、電気的な連結は、検体または他の部分とナノワイヤとの間の直接的な共有結合、間接的な共有結合(例えば、リンカーを介するもの)、検体(または他の部分)とナノワイヤとの間の直接又は間接のイオン結合、或いは他の結合(例えば、疎水性結合)が含まれうる。場合によっては、実際の結合までは要求されず、検体または他の部位がナノワイヤ表面に接触しているだけでもよい。ナノワイヤが検体に十分に接近しており、検体とナノワイヤの間の電子トンネリングが可能な場合は、ナノワイヤと検体または他の部位との間には必ずしもの何らかの接触がある必要はない。
【0027】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本願では交換可能に使用され、アミノ酸残基のポリマーを指す。この用語は、天然アミノ酸ポリマーについてもあてはまるだけでなく、1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の人工的な化学的アナログであるアミノ酸ポリマーにも当てはまる。この用語はまた、ポリペプチドを構成するアミノ酸を連結する従来のペプチド結合の変形物も含む。
【0028】
「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または本明細書において文法的に等価な用語は、少なくとも2個のヌクレオチドが共有結合で結合されたものを指す。本発明の核酸は好ましくは1本鎖または2本鎖であり、一般にホスホジエステル結合を含むが、場合によっては、下記に概説するように核酸アナログを含んで代替的な骨格をなすものでもよく、これは例えば、ホスホルアミド(phosphoramide(Beaucage他(1993)Tetrahedron 49(10):1925)およびその参照文献;Letsinger(1970)J.Org.Chem.35:3800;Sprinzl他(1977)Eur.J.Biochem.81:579;Letsinger他(1986)Nucl.Acids Res.14:3487;Sawai他(1984)Chem.Lett.805、Letsinger他(1988)J.Am.Chem.Soc.110:4470;およびPauwels他(1986)Chemica Scripta 26:1419)、ホスホロチオエート(phosphorothioate)(Mag他(1991)Nucleic Acids Res.19:1437;および米国特許第5,644,048号)、ホスホロジチオエート(phosphorodithioate(Briu他(1989)J.Am.Chem.Soc.111:2321、O−メチルホホロアミダイト(O−methylphophoroamidite)結合(Eckstein,Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach、Oxford University Press参照)、およびペプチド核酸骨格および結合(Egholm(1992)J.Am.Chem.Soc.114:1895;Meier他(1992)Chem.Int.Ed.Engl.31:1008;Nielsen(1993)Nature、365:566;Carlsson他(1996)Nature 380:207参照)を含む。他のアナログ核酸は、陽性骨格(positive backbones)を備えたもの(Denpcy他(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:6097;非イオン性骨格を備えたもの(米国特許第5,386,023号、第5,637,684号、第5,602,240号、第5,216,141号および第4,469,863号;Angew.(1991)Chem.Intl.Ed.English 30:423;Letsinger他(1988)J.Am.Chem.Soc.110:4470;Letsinger他(1994)Nucleoside
& Nucleotide 13:1597;Chapters 2 and
3、ASC Symposium Series 580、「Carbohydrate Modifications in Antisense Research」Y.S.SanghuiおよびP.Dan Cook編;Mesmaeker他(1994)、Bioorganic & Medicinal Chem.Lett.4:395;Jeffs他(1994)J.Biomolecular NMR 34:17;Tetrahedron Lett.37:743(1996))、および非リボース骨格を備えたものを含み、非リボース骨核の例として米国特許第5,235,033号および第5,034,506号ならびにChapters 6 and 7、ASC Symposium Series 580、Carbohydrate Modifications in Antisense Research、Y.S.SanghuiおよびP.Dan Cook編に記載されたものを含む。1つまたは複数の炭素環の糖を含む核酸も、核酸の定義内に含まれる(Jenkins他(1995)、Chem.Soc.Rev.pp.169〜176参照)。いくつかの核酸アナログはRawls,C & E News June 2、1997第35頁に記載されている。リボース−ホスフェート骨格のこれらの修飾は、ラベルなどの追加部位の付加を容易にするため、または生理学的環境中でのそうした分子の安定性および半減期を増加させるために行ってもよい。
【0029】
本願において「抗体」とは、実質的に免疫グロブリン遺伝子または免疫グロブリン遺伝子断片によってコードされた1個または複数のポリペプチドからなるタンパク質または糖タンパク質を指す。認識されている免疫グロブリン遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロンおよびミュー不変領域ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖はカッパまたはラムダのいずれかとして分類される。重鎖はガンマ、ミュー、アルファ、デルタまたはイプシロンとして分類され、これらはさらに免疫グロブリンクラスIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEをそれぞれ定義する。典型的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は4量体を構成することが知られている。各4量体は、同一の2対のポリペプチド鎖からなり、各対は1本の「軽」鎖(約25kD)および1本の「重」鎖(約50〜70kD)を有する。各鎖のN−末端側は、約100〜110個またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を規定し、これらが主として抗原認識の原因である。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)という用語は、これらの軽鎖と重鎖をそれぞれ指す。
【0030】
抗体は、完全な免疫グロブリンとして、または様々なペプチダーゼによる消化によって生成される多数のよく特徴付けられた断片として存在する。したがって、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域のジスルフィド結合より下(すなわち、Fc領域に向けて)の抗体を消化してF(ab)’2(それ自体はジスルフィド結合によってVH−CH1に連結した軽鎖)を生じる。F(ab)’2は、穏やかな条件下で還元してヒンジ領域のジスルフィド結合を開裂させ、これによってF(ab)’2ダイマーをFab’モノマーに変換してもよい。Fab’モノマーは実質的にはヒンジ領域部分を備えたFabである(他の抗体断片についてのより詳細な記述についてはPaul(1993)Fundamental Immunology、Raven Press、N.Y.参照)。様々な抗体断片が完全な抗体の消化では定義されているが、当業者はこのような断片が新たに(de novo)化学的に合成されたものでも、組み換えDNA法の利用によるものでも、または「ファージディスプレイ」法(例えば、Vaughan他(1996)Nature Biotechnology、14(3):309〜314およびPCT/US96/10287参照)によるものでもよいことを認識するであろう。好ましい抗体は単一鎖抗体、例えば、可変重鎖と可変軽鎖が互いに(直接またはペプチドリンカーによって)連結されて連続的なポリペプチドを形成している単一鎖Fv(scFv)抗体)を含む。
【0031】
本発明の1つの側面はセンサ素子(sensing element)(電子的センサ素子でもよい)、および、検体を含有するか含有すると疑われる試料(例えば、流動性の試料)中の検体の存在または非存在を検出することができるナノワイヤを含む。本発明のナノスケールセンサは、例えば、pHまたは金属イオンの存在を検出する化学的用途:タンパク質、核酸(例えば、DNA、RNAなど)、糖または炭水化物、および/または金属イオンを検出する生物学的用途;およびpH、金属イオンあるいは他の興味のある検体を検出する環境用途に用いることができる。
【0032】
本発明の別の側面は、ナノワイヤの電気的特性の変化を決定できるように構築され配置された、ナノワイヤおよび検出器を含む物品を提供する。ナノワイヤの少なくとも一部は、検体を含むか含むと疑われる試料によりアドレス可能である。「流体によりアドレス可能(addressable by a fluid)」という文言は、流体中に存在するのではないかと疑われる検体がナノワイヤと相互作用することができるように、流体がナノワイヤに対して位置されうる能力として定義される。流体は、ナノワイヤに近接してもよいし接触してもよい。
【0033】
本願に例として記載される実施態様のすべてにおいて、ナノワイヤは、別段の定めがない限り、カーボンナノチューブ、ナノロッド、ナノワイヤ、有機および無機の伝導性および半導体性ポリマーその他を含めて任意のものを使用することができる。分子ワイヤではないが、様々な微小なナノスコピックスケールの寸法である他の伝導性または半導体要素も場合によっては使用することができ、例えば、主族元素および金属原子に基づくワイヤ状のシリコン、遷移金属を有するワイヤ、ガリウムヒ素、窒化ガリウム、リン化インジウム、ゲルマニウム、セレン化カドミウム構造などの無機の構造が挙げられる。種々様々のこれらおよび他のナノワイヤは表面上に成長させおよび/または表面に加えることができ、過度な実験を行わず、ナノワイヤを伴う本願に記述された技術と同様の方式で電子デバイスとして有用なパターンにすることができる。ナノワイヤは、その長さが少なくとも1ミクロン、好ましくは少なくとも3ミクロン、より好ましく少なくとも5ミクロン、さらに好ましくは少なくとも10または20ミクロンとすべきであり、また厚さ(高さおよび幅)が、好ましくは約100ナノメートル未満、より好ましくは約75ナノメートル未満、より好ましくは約50ナノメートル未満であり、さらに好ましくは約25ナノメートル未満である。ワイヤはアスペクト比(厚さ:長さ)が、少なくとも約2:1、好ましくは約10:1以上、より好ましくは約1000:1以上である。本発明のデバイスで使用される好ましいナノワイヤは、ナノチューブまたはナノワイヤのいずれでもよい。ナノチューブ(例えば、カーボンナノチューブ)は中空である。ナノワイヤ(例えばシリコンナノワイヤ)は中実である。
【0034】
ナノチューブとナノワイヤのいずれを選択するか、発明で使用されるナノワイヤおよび他の導体または半導体の選択の基準は、場合によっては、主としてナノワイヤがそれ自身で検体と相互作用できるかどうか、あるいは、適当な反応体(例えば結合パートナー)をナノワイヤの表面に容易に付着させることができるか、または適当な反応体(例えば結合パートナー)がナノワイヤの表面近くに位置するかに基づく。ナノワイヤを含む適当な導体または半導体の選択は、この開示がもたらす利益を用いれば当業者には明白であり、容易に再現可能である。
【0035】
本発明において使用し得るナノチューブは、分子エレクトロニクスに特に適している独特の電子的および化学的特性を示す単層ナノチューブ(SWNT)を含む。構造的には、SWNTは、1枚のグラフェンシートをシームレスのチューブとして形成され、約0.5nm〜約5nm程度の直径を有し、長さは約10ミクロンを超えることもある。直径と螺旋度(ヘリシティ)に応じて、SWNTは一次元金属または半導体として振る舞うことができ、現在は、金属と半導体のナノチューブの混合物として入手可能である。SWNTを含むナノチューブの製造方法およびそのキャラクタリゼーションは知られている。ナノチューブの端部および側面の選択的な官能基化方法も知られており、本発明は、分子エレクトロニクスに対するこれらの能力を利用する。ナノチューブの基礎的な構造/電子特性は、接続または入力/出力信号を作成するために使用することができ、ナノチューブは分子スケールのアーキテクチャと一致するサイズを有する。
【0036】
本発明の好ましいナノワイヤは個別ナノワイヤである。本願において「個別ナノワイヤ」は他のナノワイヤとの接触がないナノワイヤを意味する(しかし、クロスバーアレイにおいて個別ナノワイヤ間に望み得るタイプの接触は排除されない)。例えば、典型的な個別ナノワイヤは約0.5nm程度の小さな厚さを有することができる。これは、主としてレーザ気化技術によって生産されたナノワイヤと対照的であり、レーザ気化技術は高品質材料を生産するものの、直径が約2〜約50ナノメートルあるいはそれ以上であり多数の個別ナノワイヤを含有するロープとしての材料を形成する。(例えば、Thess他「Crystalline Ropes of Metallic Carbon Nanotubes」Science 273、483〜486(1996))参照。その内容は言及によって本願に組込まれる)である。本発明ではナノワイヤロープを使用することができるが、個別ナノワイヤが好ましい。
【0037】
本発明では、金属触媒CVDを利用して分子エレクトロニクス用のナノチューブなどの高品質個別ナノワイヤを合成してもよい。個別ワイヤを直接に表面に、およびバルク状態で製造するために必要とされるCVDの合成手順は知られており、当業者によって容易に行うことができる。例えば、Kong他「Synthesis of Individual Single−Walled Carbon Nanotubes on Patterned Silicon Wafers」、Nature 395、878〜881(1998);Kong他「Chemical Vapor Deposition of Methane for Single−Walled Carbon Nanotubes」Chem.Phys.Lett.292,567〜574(1998)参照。これらはいずれも言及によって本願に組み込まれる。ナノワイヤは、さらにレーザ触媒成長によっても成長させてもよい。例えば、Morales他「A Laser Ablation Method for the Synthesis of Crystalline Semiconductor Nanowires」Science 279、208〜211(1998)参照。その内容は言及によって本願に組み込まれる。
【0038】
あるいは、ナノワイヤは、所望のn型またはp型半導体を作成するための適当なドーパントでドープした半導体で構成されてもよい。例えば、シリコンはホウ素、アルミニウム、リン、またはヒ素でドープしてもよい。レーザ触媒成長は、シリコンナノワイヤの気相成長中にドーパントを制御可能な方式で導入するために使用してもよい。
【0039】
ナノワイヤの制御されたドーピングを行って、例えば、n型またはp型半導体を形成することができる。様々な実施態様において、本発明は、リン化インジウム、ガリウムひ素、窒化ガリウム、セレン化カドミウムおよびセレン化亜鉛の中から選択される半導体の制御されたドーピングを含む。亜鉛、カドミウムまたはマグネシウム(但し、これらに限定されない)を含むドーパントは、実施態様のこのセットではp型半導体を形成するために使用することができ、テルル、硫黄、セレン、またはゲルマニウム(但し、これらに限定されない)を含むドーパントは、これらの材料からn型半導体を形成するためのドーパントとして使用することができる。これらの材料は、ダイレクトバンドギャップ半導体材料を定義し、これらおよびドープシリコンは当業者にはよく知られている。本発明では、様々な用途のための任意のドープシリコンまたはダイレクトバンドギャップ半導体材料の使用が考えられる。
【0040】
ナノワイヤ成長、配置およびドーピングの例として、SiNWs(細長ナノスケール半導体)をレーザ支援触媒成長(Laser-assited Catalytic Grwoth;LCG)を使用して合成してもよい。図2および3に示すように、所望の材料(例えばInP)および触媒材料(例えばAu)から構成される複合ターゲットのレーザ気化は、高温で高密度の蒸気を生成し、これはバッファガスとの衝突によって液体ナノクラスタに迅速に凝縮する。液体ナノクラスタが所望の相で過飽和されると成長が始まり、反応物が利用可能な限り継続する。ナノワイヤが高温反応ゾーンを通過して出てくるか温度を下げると成長は終了する。Auは、広範囲の細長ナノスケール半導体を成長させるために一般に触媒として使用される。しかし、触媒はAuのみに限定されない。Ag、Cu、Zn、Cd、Fe、Ni、Coなどの広い範囲の材料を触媒として使用することができる。一般に、所望の半導体材料との合金を形成し得るが、所望の半導体の元素よりも安定した化合物を形成しないどのような金属も、触媒として用い得る。バッファガスはAr、N2および他の不活性ガスでよい。残留酸素による望ましくない酸化を回避するためにH2とバッファガスの混合物が使用される場合もある。望ましい場合には反応的なガス(例えばGaNのためのアンモニア)も導入することができる。このプロセスのキーポイントはレーザアブレーションが液体ナノクラスタを生成し、その結果、結晶性ナノワイヤのサイズおよび成長方向を規定するという点である。生じるナノワイヤの直径はその触媒クラスタのサイズ(これは、成長条件(例えば背圧、温度、流速など)の制御により変えることができる)によって決定される。例えば、圧力を低くすると、一般にはより小さな直径を備えたナノワイヤが生じる。さらに直径制御を行うには均一直径触媒クラスタの使用により行うことができる。
【0041】
LCGと同じ基本原理により、均一直径のナノクラスタ(ナノクラスタがどれくらい均一かにより10〜20%未満のばらつき)を触媒クラスタとして使用する場合、均一サイズ(直径)分布を有するナノワイヤの生産が可能で、この場合、図4に示すように、ナノワイヤの直径は触媒クラスタのサイズによって決定される。成長時間の制御によって、異なる長さを有するナノワイヤを成長させることができる。
【0042】
LCGでは、ナノワイヤは、複合ターゲットへの1種または複数のドーパント(例えば、InPのn型ドーピング用のGe)を導入することにより柔軟にドープすることができる。ドープ濃度は、複合ターゲットに導入するドープ元素の相対量(典型的には0〜20%)を制御することにより制御可能である。
【0043】
ナノワイヤ及び他の関連する細長ナノスケール構造成長のための触媒クラスタおよび気相反応物を生成する方法としてレーザアブレーションを使用してもよいが、レーザアブレーションによる製造には限定されない。ナノワイヤ成長のために気相および触媒クラスタを生成するためには多くの方法(例えば熱による気化)を使用することができる。
【0044】
ナノワイヤを成長させるために使用し得る別の技術は触媒的化学気相成長法(C−CVD)である。C−CVDは、反応物分子(例えばシランおよびドーパント)が気相分子に由来する(この点でレーザ気化からの蒸着源とは異なる)以外は、LCGと同じ基本原理を利用する。
【0045】
C−CVDでは、気相反応物にドープ元素(例えば、p型およびn型ドープナノワイヤについてはジボランおよびホスファン)を導入することによりナノワイヤをドープできる。ドープ濃度は、複合ターゲットに導入されるドープ元素の相対量の制御により制御することができる。ガス反応物中と同じドープ比の細長ナノスケール半導体を得る必要はない。しかし、成長条件(例えば温度、圧力など)の制御によって同じドープ濃度を有するナノワイヤを再現できる。また、ドープ濃度は、ガス反応物の比率を変えるだけ(例えば1ppm〜10%)で、大きな範囲で変化させることができる。
【0046】
ナノワイヤなどの細長ナノスケール半導体を成長させるために使用可能な技術は他にもいくつかのものがある。例えば、様々な材料からなる任意のナノワイヤが、気固プロセスによって気相から直接成長させることができる。また、図5に示すように、表面のステップのエッジまたは他のタイプのパターン形成した表面に堆積させてナノワイヤを気相から直接生産することができる。さらに、例えば、図6に示すように、任意の一般的な細長テンプレート中/上に蒸着させてナノワイヤを成長させることができる。多孔性薄膜は、多孔性のシリコン、陽極アルミナ、またはジブロック(diblock)コポリマーおよび他の同様の構造とすることができる。天然繊維は、DNA分子、タンパク質分子、カーボンナノチューブその他の細長構造でありうる。上記手法のいずれについても、ソース材料を蒸気相ではなく溶液相由来とすることもできる。溶液相では、テンプレートは上記テンプレートに加え、界面活性剤分子によって形成されたカラム状ミセルとすることもできる。
【0047】
上記技術の1種または複数を使用することにより、半導体ナノワイヤおよびドープした半導体ナノワイヤを含む細長ナノスケール半導体を成長させることができる。そのようなバルクドープした半導体には、半導体とドーパントとを含む材料の様々な組合せが含まれる。下記は包括的でないがそのような材料のリストである。他の材料を使用してもよい。そのような材料は以下のもの(但し、これらに限定されない)を含む。
【0048】
単体半導体:
Si、Ge、Sn、Se、Te、B、ダイヤモンド、P
単体半導体の固溶体:
B−C、B−P(BP6)、B−Si、Si−C、Si−Ge、Si−Sn、Ge−Sn
IV−IV族半導体:
SiC
III−V半導体:
BN/BP/BAs、AlN/AlP/AlAs/AlSb、GaN/GaP/GaAs/GaSb、InN/InP/InAs/InSb、
III−V族合金:
上記の化合物(例えば:AlGaN、GaPAs、InPA、GaInN、AlGaInN、GaInAsPなど)の2種以上の任意の組合せ
II−VI半導体:
ZnO/ZnS/ZnSe/ZnTe、CdS/CdSe/CdTe、HgS/HgSe/HgTe、BeS/BeSe/BeTe/MgS/MgSe
II−VI族の合金:
上記化合物の2種または複数の任意の組合せ(例えば(ZnCd)Se、Zn(SSe)など)
II−VIおよびIII−V半導体:
任意の1種のII−VIおよび1種のIII−V化合物の組合せ(例えば(GaAs)x(ZnS)1-x
IV−VI半導体:
GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe
I−VII半導体:
CuF、CuCl、CuBr、CuI、AgF、AgCl、AgBr、AgI
他の半導体化合物:
II−IV−V2:BeSiN2、CaCN2、ZnGeP2、CdSnAs2、ZnSnSb2など
I−IV2−V3:CuGeP3、CuSi2P3など
I−III−VI2:Cu,Ag)(Al,Ga,In,T1,Fe)(S,Se,Te)2
IV3−V4:Si3N4、Ge3N4など
III2−VI3:Al203、(Al,Ga,In)2(S,Se,Te)3など
III2−IV−VI:Al2COなど
IV族半導体材料については、p型のドーパントはIII族から、また、n型ドーパントはV族から選ぶことができる。シリコン半導体材料については、p型のドーパントはB、AlおよびInからなる群から、また、n型ドーパントはP、AsおよびSbからなる群から選ぶことができる。III−V族半導体材料については、p型ドーパントは、Mg、Zn、CdおよびHgを含むII族から、またはCとSiを含むIV族から選ぶことができる。n型ドーパントは、Si、Ge、Sn、S、SeおよびTeからなる群から選ぶことができる。本発明がこれらのドーパントに限定されないことは理解されるであろう。
【0049】
ナノワイヤはその場で成長させてもよいし成長後に堆積させてもよい。成長後における表面上のナノワイヤの制御された配置、すなわちアセンブリー(assembly)は、ナノワイヤを電場を使用して整列させることにより実行できる。電極間で電場を発生させ、ナノワイヤを電極間に置き(場合によっては懸濁させた流体を電極間領域に流し入れ)、電場で整列させ、これにより、電極各々の間の距離を結んでそれらに接触することができる。
【0050】
別の配置では、個々の接点(contact point)が互いに向かい合って配置され、個々の接点は先細となって互いの方向を指す点を形成するように配置される。このような点間で発生した電場は、電極間の距離を結んでそれらに接触する単一ナノワイヤを引き付けるであろう。このように、個別ナノワイヤは容易に個々のペアの電気的接点間にアセンブリーすることができる。多数の交差(第1の方向を向く多数の平行ワイヤが、これと垂直またはほぼ垂直の第2の方向を向く多数の平行ワイヤと交差する)を含む十字型ワイヤ配置は、交差ワイヤの反対の端が位置されることが望ましい場所に接点をまず位置決めすることにより容易に形成できる。電極(すなわち接触ポイント)は典型的な微細組立技術によって作り上げることができる。
【0051】
これらの組み立て技術は、流体フロー配向装置(ナノワイヤが望ましく位置決めされる配置で整列する向きに、懸濁されたナノワイヤを含有する流体を方向付ける)を設置することを伴う位置決め処置により代替することもでき、補強することもできる。
【0052】
別の配置は、ナノワイヤを選択的に引き付けない領域によって囲まれたナノワイヤを選択的に引き付ける領域を含む表面の形成を含む。例えば、−NH2を特定のパターンで表面に存在させることができ、そのパターンは、アミンを引き付ける官能性を表面に有するナノワイヤまたはナノチューブを引き付けるであろう。表面は、電子線パターニングなどの知られた手法、国際特許出願公開公報WO96/29629(1996年7月26日公開)または米国特許第5,512,131号(1996年4月30日発行)(これらは各々、言及によって本願に組み込まれる)に記載されているような「ソフトリソグラフィ」でパターン形成できる。
【0053】
予備形成したナノワイヤを化学的にパターンづけした自己組織化単分子層上でアセンブリーすることを対象とする技術も知られている。ナノスケール回路のアセンブリーに向けたSAMパターンニングの1つの例では、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて高解像度でSAM中にパターンを書いてその場所のSAMを除去する。パターンは、例えば、平行アレイ用に線状でもよいし、またはナノスコピックな交差アレイを作る実施態様においては直線の交差アレイでもよい。別の技術では、基板にパターンの施されたSAMを加えるに微小接触(microcontact)印刷を使用することができる。次いで、パターンの施された表面の空所(線状SAM間のSAMのない領域)アミノ末端SAM(ナノチューブのようなナノワイヤと非常に特異的に相互作用する)で満たす。結果として、アミノ末端SAM材料によって分離された線状SAM部分を含むパターンの施されたSAMが基板上に生じ、アミノ末端SAM材料の線で隔てられた線状SAM部分が含まれる。もちろん、アミノ末端SAM材料領域は、ワイヤ堆積が望まれる領域に一致させて任意の所望パターンとしても形成できる。次いで、パターンの施された表面をワイヤ(例えばナノチューブ)の懸濁液に浸漬しすすぐことにより、ワイヤがSAMの領域に位置するアレイを作成する。ナノチューブを使用する場合、ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒がナノチューブ懸濁液の調製に使用できる。他のナノワイヤの懸濁液および堆積は容易に選択される溶媒で達成可能である。
【0054】
様々な基板およびSAM形成材料は、1996年6月26日に公表され、かつ、言及によって本願に組み込まれたWhitesides他に対する国際特許出願公開WO96/29629に記載されているような微小接触印刷技術とともに使用することができる。パターンの施されたSAM表面は様々なナノワイヤまたはナノスケールの電子素子を配向させるために使用することができる。SAM形成材料は様々な電子素子のアセンブリーを配向させるため、適当な露出される化学的官能性とともに選択できる。ナノチューブを含む電子素子は、具体的に所定形状にパターンの施されたSAM表面に特異的に引き付けられるように化学的に調整できる。適当な官能基にはSH、NH3などを含まれるが、これらに限定されない。よく知られているように、ナノチューブは、その外表面を化学的に官能基化するのに特に適している。
【0055】
SAM−誘導表面以外の化学的にパターンの施された表面が使用可能であり、化学的に表面にパターンを施すための多くの技術が知られている。化学的に表面にパターンを施すための適当な典型的な化学および技術は、とりわけ、「触媒コロイドの微小接触印刷」(「Microcontact Printing of Catalytic Colloids」)と題するHidber他の国際特許出願公開WO 97/34025、およびいずれもLandoによる米国特許第3,873,359号、第3,873,360号および第3,900,614号に記載されており、これらの文書の内容は言及によって本願に組み込まれる。化学的にパターンの施された表面の別の例はミクロ相分離されたブロックコポリマー構造である。これらの構造は、濃厚な層状の相のスタックを提供する。これらの相の断面は、一連の「レーン」が含まれていることを明らかにし、ここで各レーンは単一の層を表わす。ブロックコポリマーは典型的に交互ブロックで、ナノワイヤの成長およびアセンブリーを規定する領域を変えることができる。さらなる技術は、2001年1月11日に公表されたLieber他による国際特許出願公開WO 01/03208に記載されており、その内容は言及によって本願に組み込まれる。
【0056】
本発明において使用されるナノワイヤに関連した化学変化により、ワイヤの特性を変調し、様々なタイプの電子デバイスを作成することができる。検体の存在は、ナノワイヤの結合剤と電気的に結合することによってナノワイヤの電気的特性を変化させ得る。必要な場合は、特定の検体への化学的または生物学的特異性によって選択される特異的な反応体、結合パートナーまたは特異的結合パートナーでナノワイヤを被覆してもよい。
【0057】
ナノワイヤに検出可能な変化を起こさせるよう、反応体はナノワイヤに対して位置させる。反応体を、ナノワイヤの100ナノメートル以内、好ましくはナノワイヤの50ナノメートル以内、より好ましくはナノワイヤの10ナノメートル以内に位置させ、近接度は当業者によって決定することができる。1つの実施態様では、反応体はナノスコピックなワイヤから5ナノメートル未満に位置する。別の実施態様では、反応体はナノワイヤの4nm、3nm、2nmおよび1nm以内に位置する。好ましい実施態様では、反応体がリンカーによってナノワイヤに付けられる。
【0058】
本願において、ある化学種(化学物質)が他の化学種に対してまたは物品の表面に対し「付着する(attached)」と言う場合、化学種が共有性の付着を介して結合(link)すること、特異的な生物学的結合(binding)(例えばビオチン/ストレプトアビジン)を介した付着、キレート化合物/金属結合などの配位結合(coordinate binding)などを意味する。例えば、この意味における「付着する」は、多数の化学的連結、多数の化学的/生物学的な結合などを含み、ポリスチレンビーズ上で合成されたペプチド、タンパク質A(これはビーズに共有結合で結合させる)などのタンパク質に結合する抗体に生物学的に特異的に連結する結合種、GSTなどの分子の一部を(遺伝子工学により)形成するか、表面に共有結合的に固定された結合パートナー(例えばGSTの場合のグルタチオン)に生物学的に特異的に連結する結合種などを含むが、これらに限定されない。別の例としては、チオールに共有結合的に結合する部位は、チオールが金に共有結合的に結合するので、金表面に固定することができる。「共有結合的に付着する」とは1以上の共有結合によって付着することを意味する。例えば、EDC/NHS化学を介してカルボキシレートを含む(carboxylate-presenting)アルキルチオール(これは金表面に付着する)に共有結合的に結合する化学種は、その表面へ共有結合的に結合する。
【0059】
本発明の別の側面は、試料露出領域と検体の有無を検出できるナノワイヤを含む物品を含む。試料露出領域は、ナノワイヤのすぐ近くの任意の領域でよく、試料露出領域中の試料がナノワイヤの少なくとも一部にアドレスする。試料露出領域の例は、ウェル、チャネル、マイクロチャネルおよびゲルを含むが、これらに限定されない。好ましい実施態様では、試料露出領域は試料をナノワイヤに近接して保持し、あるいは試料中の検体を測定するために試料をナノワイヤに向けるようにしてもよい。ナノワイヤは、試料露出領域に隣接してまたはその領域内に位置させてもよい。あるいは、ナノワイヤは流体または流体の流路に挿入されるプローブでもよい。ナノワイヤプローブはさらに微小針を含み、試料露出領域は生物試料によってアドレス可能でもよい。この配置では、微小針状プローブを生物試料中に挿入するように構築され配置されたデバイスは、試料露出領域を確定する微小針を取り囲む領域を含み、試料露出領域中の試料はナノワイヤによってアドレス可能であり、その逆も可である。流体のフローチャネルは、1997年9月18日に公表された国際特許出願公開WO97/33737(その内容は言及によって本願に組み込まれる)に記載されているような種々の方法を用いて本発明(マイクロチャネル)で使用するのに有利な大きさおよび規模で形成できる。
【0060】
本発明の別の側面では、物品は、1以上の検体の多数の有無を検出することができる多数のナノワイヤを含んでもよい。個別ナノワイヤは上記のように、別々にドープされていてもよく、これにより各ナノワイヤの検体に対する感度は変化する。あるいは、個別ナノワイヤを特定の検体と相互作用するその能力に基づいて選択し、これにより、様々な検体の検出を可能としてもよい。複数のナノワイヤが、ランダムな方向を向いていてもよいし互いに平行でもよい。あるいは、多数のナノワイヤが基板上のアレイとして配向されていてもよい。
【0061】
図1aは、本発明の物品の1例を示す。図1a中、ナノスケール検出器デバイス10は、基板16の上部表面18上に位置決めされた単一のナノワイヤ38を備える。チップキャリア12は、基板16および電気的接続部22を支持するために上部表面14を有する。チップキャリア12は、電気的な接続部22を電極36に接続させる任意の絶縁材料で作られていてもよい。好ましい実施態様では、チップキャリアはエポキシ樹脂である。チップキャリアの上部表面14は、例えば、平面、凸面、および凹面を含む任意の形状でよい。好ましい実施態様では、チップキャリアの上部の表面14は平面である。
【0062】
図1aに示すように、基板16の下部表面20は、チップキャリアの上部表面14に隣接して位置し、電気的接続部22を支持する。基板16は典型的には、例えば、ポリマー、シリコン、クオーツまたはガラスで作られていてもよい。好ましい実施態様では、基板16は、600nmのシリコン酸化物で被覆されたシリコンで作られている。基板16の上部表面18および下部表面20は、平面、凸面、および凹面などの任意の形状でよい。好ましい実施態様では、基板16の下部表面20はチップキャリア12の上部表面14と同一外形である。同様に、型24は上部表面26と下部表面28(そのいずれも任意の形状でよい)を有する。好ましい実施態様では、型24の下部表面26は基板16の上部表面18と同一外形である。
【0063】
型24は、試料露出領域30(ここではマイクロチャネルとして示す)を有し、領域30は、図1aに示すように型24の上部表面26上に流体入口32と流体出口34を有する。ナノワイヤ38は、ナノワイヤの少なくとも一部が試料露出領域30内に位置するように位置される。電極36は電気的接続部22にナノワイヤ38を接続する。電気的接続部22は、場合によっては、ナノワイヤの電気的または他の特性の変化を測定する検出器(図示していない)に接続される。図3a及び3bは、本発明の1つの実施態様についての、それぞれ低解像度および高解像度の走査型電子顕微鏡写真である。単一のシリコンナノワイヤ38が2つの金属電極36に接続されている。図7は、2つの電極に関して位置した典型的なSWNTの原子間力顕微鏡像を示す。図7に見られるように、電極36間の距離は約500nmである。ある好ましい実施態様では、電極距離は、50nm〜約20000nm1の範囲であり、より好ましくは約100nm〜約10000nm、最も好ましくは約500nm〜約5000nmの範囲である。
【0064】
検出器が存在する場合、ナノワイヤに関する性質を決定できるどのような検出器も使用できる。特性は電子的なものでも、光学的なものなどでもよい。ナノワイヤの電子的特性は、例えばその伝導性、抵抗率などでもよい。ナノワイヤが発光性(emissive)ナノワイヤである場合(放射はp−n接合部で生じる)、ナノワイヤに関連する光学的性質はその発光強度、または発光波長を含むことができる。例えば、検出器は電子的または磁気特性(例えば、電圧、電流、伝導性、抵抗、インピーダンス、インダクタンス、電荷など)の変化を測定するように構成でき、使用できる。検出器は典型的には電源および電圧計または電流計を含む。1つの実施態様では、1nS未満のコンダクタンスが検出できる。好ましい実施態様においては、数千分の1nSの範囲のコンダクタンスが検出できる。化学種(すなわち検体)の濃度は、マイクロモル未満からモル濃度以上まで検出できる。従来の検出器を有するナノワイヤの使用によって、感度は単一分子まで拡張できる。1つの実施態様では、本発明の物品はナノワイヤに刺激を伝達でき、検出器は刺激に起因する信号を決定できるように構築され配置される。例えば、p−n接合を含むナノワイヤは、刺激(電流)を伝達されるようにでき、検出器は刺激に起因する信号(電磁放射)を測定できるように構築され配置される。このような配置では、検体とナノワイヤとの相互作用、または検体とナノワイヤに近接して位置させた反応体との相互作用は、検出可能な方式で信号に影響し得る。別の例で反応体が量子ドットである場合、量子ドットは1つの波長の電磁放射を受け取り、かつ異なる波長の電磁放射を放射するように構成することができる。刺激が電磁放射である場合、それは検体との相互作用に影響され得るため、検出器は、そこから生じる信号の変化を検出できる。刺激の例には直流電流/電圧、交流電圧、および光などの電磁放射が含まれる。
【0065】
1つの例において、検出されるかおよび/または定量されるべき検体(例えば、特定の化学物質)を含有すると疑われる流体などの試料は、ナノスコピックワイヤ38に接触し、またはその近傍に対応する反応体を有するナノスコピックワイヤ38に接触する。流体中に存在する検体は対応する反応体と結合し、ナノワイヤの電気的な特性の変化を引き起こして、これが、例えば従来のエレクトロニクスを使用して検出される。検体が流体の中にない場合、ナノワイヤの電気的な特性は変化せず、検出器は変化なしと測定するであろう。特定の化学物質の有無はナノワイヤの電気的特性における変化または変化の欠如をモニタすることにより決定できる。「決定」という用語は、圧電測定、電気化学的測定、電磁的測定、光検出、機械的測定、音響的測定、重量測定などを介して化学種の定量的または定性的分析を指す。「決定」はさらに化学種間の相互作用(例えば2つの化学種間の結合の検出)の検出または定量を意味する。
【0066】
本発明で使用される特に好ましいフローチャネル30は「マイクロチャネル」である。マイクロチャネルという用語は、本願明細書では、低レイノルズ数操作、すなわち、流体力学が慣性力ではなく粘性力によって支配されるような寸法を有するチャネルについて使用する。レイノルズ数は、粘性力に対する慣性力の比率と呼ばれることがあり、以下:
Re=ρd2/ητ+ρud/η
で与えられる(ここで、uは速度ベクトルであり、ρは流体の粘度であり、ηは流体の粘性であり、dはチャネルの固有寸法であり、τは速度変化に対する時間スケールである(ここで、u/τ=δu/dτ))。本願において「固有寸法(characteristic dimension)」という用語は、当業者に知られているようにレイノルズ数を決定する寸法である。円筒状のチャネルについては、それは直径である。矩形チャネルについては、それは主として幅および深さのより小さな方に依存する。V字形のチャネルについては、それは、「V」の頂上部分の幅に依存するなどである。様々な形状のチャネルについてのReの計算は、流体力学についての標準的テキストに見られる(例えば、Granger(1995)Fluid Mechanics、Dover,N.Y.;Meyer(1982)Introduction to Mathematical Fluid Dynamics、Dover、N.Y.)。
【0067】
定常状態(τ→∞)における流体フローの挙動は、レイノルズ数、Re=ρud/ηによって特徴付けられる。微細加工された流体システムは、サイズが小さく低速であるため、多くの場合、低レイノルズ数領域(Re約1未満)である。この領域において、慣性の効果(それは乱流と二次流を起こし、そのためフロー内に混合を起こす)したがって流れ内での混合は無視できる程度で、粘性の効果が力学を支配する。これらの条件の下では、チャネルを通る流れは一般に層流である。特に好ましい実施態様では、検体を含む流体を有する典型的なチャネルは、約0.001未満のレイノルズ数、より好ましくは約0.0001未満のレイノルズ数をもたらす。
【0068】
レイノルズ数はチャネル寸法だけでなく流体の密度、流体の粘性、流体の速度、および速度変化の時間スケールにも依存するので、チャネル直径の絶対的な上限は明確には認められない。実際、よく設計されたチャネル形状では、乱流はR<100、またR<1000でも回避でき、その結果、比較的大きなチャネルサイズを有する高い処理能力のシステムが可能である。好ましいチャネル固有寸法の範囲は約1ミリメートル未満であり、好ましくは約0.5mm未満、最も好ましくは約200ミクロン未満である。
【0069】
1つの実施態様では、流体フローチャネル30などの試料露出領域は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)型を使用して形成できる。チャネルを作り表面に適用することができ、型を除去できる。一定の実施態様では、チャネルは、上記の特許出願および国際特許公報に記載されるように、マスター上でフォトリソグラフィおよびPDMSのキャスティングを使用することにより、マスターを製造することによって容易に形成できる。より大規模な製造も同様に可能である。
【0070】
図1bでは、図1aのナノスケール検出器デバイス10がさらに多重(multiple)ナノワイヤ38a−h(図示していない)を含む、本発明の別の実施態様を示す。図1bにおいて、ワイヤ内部接続40a−hは、対応するナノワイヤ38a−hを電気的接続部22a−h(図示していない)にそれぞれ接続する。好ましい実施態様では、各ナノワイヤ38a−hは流体中の様々な検体を検出するために選択された独自のな反応体を有する。このように、1つの試験を実行する間に1つの試料を使用して、いくつかの検体の有無を決定してもよい。
【0071】
図2aは、検体44を検出するための結合パートナー42である反応体で修飾されたナノワイヤ38におけるナノスケール検出器デバイスの一部を概略的に示す。図2bは、図2aのナノスケール検出器デバイスの一部を概略的に示し、ここで、検体44は特異的結合パートナー42に付着する。ナノワイヤの表面の選択的官能基化は、例えばシロキサン誘導体によってナノワイヤを官能基化することにより行ってもよい。例えば、ナノワイヤは、被覆しようとする修飾用化学物質含有溶液にデバイスを浸漬することにより、ナノスケール検出器デバイスの構成後に修飾してもよい。あるいはマイクロ流体チャネルを使用してナノワイヤに化学物質を送達してもよい。例えば、最初にナノスケール検出器デバイスを酸素プラズマ、あるいは酸および/または酸化剤によって親水性にし、次いでアミノシラン含有溶液にナノスケール検出器デバイスを浸漬することによりアミン基を付着させてもよい。例として、上記のように最初にアミン基を付着させ、修飾済のナノスケール検出器デバイスを二官能性の架橋剤含有溶液に浸漬し、必要な場合には、DNAプローブ含有溶液に修飾済のナノスケール検出器デバイスを浸漬することにより、DNAプローブを付着させることができる。このプロセスはナノワイヤにバイアス電圧を印加することにより加速し促進することができ、バイアス電圧は反応種の性質により正であっても負であってもよく、例えば、正のバイアス電圧は、負に帯電しているDNAプローブ種をナノワイヤ表面に接近させて表面アミノ基との反応の機会を増すことに役立つ。
【0072】
図4aは、バックゲート46を有するナノスケールセンサの別の実施態様を概略的に示す。図4bは、バックゲート電圧−10V〜+10Vの範囲でのコンダクタンス対時間を示す。図4cは、コンダクタンス対バックゲート電圧を示す。バックゲートは、ナノワイヤから電荷キャリアを注入または引き出すために使用できる。したがって、それは、ナノワイヤセンサの感度およびダイナミックレンジを制御し、かつナノワイヤに検体を引きつけるために使用してもよい。
【0073】
図5aと5bは、単一のシリコンナノワイヤについて、本来のままおよび被覆した状態でそれぞれコンダクタンスをpHの関数として示す。図4に見られるように、試料を変えるとシリコンナノワイヤのコンダクタンスは7から2.5まで変化する。図5のシリコンナノワイヤはナノワイヤ表面にアミン基を露出するように修飾されている。図5は図4における応答と比較した場合、pHに対する変化を示す。図5の被修飾ナノワイヤは、例えば血液中の生理学的状態といった、より穏やかな条件への応答反応を示す。
【0074】
図6は、オリゴヌクレオチド剤反応体で表面を修飾したシリコンナノワイヤのコンダクタンスを示す。付着させたオリゴヌクレオチド剤に相補的なオリゴヌクレオチド検体が結合すると、そのコンダクタンスは劇的に変化する。
【0075】
図8aは、単層ナノチューブについてのゲート電圧変化に対する静電環境の変化を示す。図8bおよびcは、NaCLおよびCrClxの存在によって生じる単層壁カーボンナノチューブのコンダクタンス変化を示す。
【0076】
図9aは、表面水酸基を有するナノセンサを2〜9までのpHレベルに露出する際のコンダクタンス変化を示す。図9bは、アミン基で修飾されたナノセンサが2〜9までのpHレベルに露出された際のコンダクタンス変化を示す。図9cは、pHレベルの変化を対するナノセンサの相対コンダクタンスを示す。結果は、広範囲のpHで線形応答を示し、本デバイスが生理学的流体のpH条件の測定またはモニタリングに適していることを明白に実証した。
【0077】
図10aは、反応体BSAビオチンで修飾されたシリコンナノワイヤ(SiNW)を、最初にブランクの緩衝液、次いで検体(250nMストレプトアビジン)含有溶液に露出した際のコンダクタンスの増加を示す。図10bは、最初にブランクの緩衝液、次いで25pMストレプトアビジン含有溶液に露出した際のBSAビオチンで修飾されたSiNWのコンダクタンスの増加を示す。図10cは、最初にブランクの緩衝液、次いでストレプトアビジン含有溶液に露出した際の未修飾SiNWではコンダクタンスに変化がないことを示す。図10dは、緩衝液、次いでd−ビオチンストレプトアビジン含有溶液に露出した際のBSAビオチンで修飾されたSiNWのコンダクタンスを示す。図10eは、ブランクの緩衝液、次いでストレプトアビジン含有溶液、次いで再びブランクの緩衝液に露出した際のビオチンで修飾されたナノセンサのコンダクタンス変化を示す。ストレプトアビジンをブランクの緩衝液に代えてもコンダクタンスに変化はなく、BSAビオチンで修飾したナノセンサにはストレプトアビジンが不可逆的に結合していることを示している。図10fは、緩衝液とストレプトアビジン含有緩衝液に交互に露出した場合、未修飾SiNWのコンダクタンスには変化がないことを示す。これらの結果は、ナノワイヤセンサが生体マーカーの特異的検出に非常に高感度で適していることを示す。
【0078】
図11aは、最初にブランクの緩衝液に、次いで抗ビオチン含有溶液に露出した際に、BSAビオチンで修飾されたSiNWのコンダクタンスが減少したことを示す。次いで、抗ビオチン含有溶液をブランクの緩衝液に代えるとコンダクタンスは増加し、次いでナノセンサを再び抗ビオチン含有溶液に露出すると減少する。図11aは、ビオチンと抗ビオチンの間の可逆的な結合を示している。図11bは、ブランクの緩衝液に、次いで抗ビオチン含有溶液に露出する間の未修飾SiNWのコンダクタンスを示す。図11cは、緩衝液、他のIgGタイプ抗体、次に抗ビオチン、ビオチンのIgG1タイプ抗体に露出する間にBSA−ビオチン修飾SiNWのコンダクタンスが変化したことを示す。図11cは、BSA−ビオチン修飾SiNWが、他の免疫グロブリンGタイプ抗体の存在によって妨害されることなく抗ビオチンの存在を検出することを示す。これらの結果は、実際の生理学的条件下での動的な生体マーカーモニタリング用途におけるナノワイヤセンサの大きな可能性を示す。
【0079】
アミン修飾SiNWでは金属イオンの存在も検出し得る。図12aは、ブランクの緩衝液と1mM Cu(II)を含むおよび溶液とに交互に露出した時、アミン修飾SiNWのコンダクタンスが変化したことを示す。図12bは、アミン修飾SiNWが、0.1mMからlmMまでの濃度のCu(II)に露出された際のコンダクタンスの増加を示す。図12cは、Cu(II)濃度に対するコンダクタンスの増加を示す。図12dは、ブランクの緩衝液、次いでlmMCu(II)に露出した際、未修飾SiNWのコンダクタンスが変化を示さないことを示す。図12eは、最初にブランクの緩衝液、次いで1mM Cu(II)−EDTAに露出した際、アミン修飾SiNWのコンダクタンスが変化しなかったことを示し、ここで、EDTAはCu(II)の修飾済SiNWに結合する能力を妨害している。これらの結果は、無機化学分析での用途におけるナノワイヤセンサの可能性を示す。
【0080】
図13aは、カルシウム結合タンパク質であるカルモジュリンによって修飾したシリコンナノワイヤのコンダクタンスを示す。図13aにおいて、領域1はカルモジュリン修飾したシリコンがブランクの緩衝液に露出された際のコンダクタンスを示す。領域2は、カルシウムイオン含有溶液に露出した場合に同じナノワイヤのコンダクタンスの低下を示す(図中、下向き矢印)。領域3は、同じナノワイヤを再びブランクの緩衝液に接触させた際のコンダクタンスの増加を上向きの矢印で示す。その後、コンダクタンスは本来のレベルに復帰するが、これは、カルシウムイオンがカルモジュリン修飾ナノワイヤに可逆的に結合することを示す。図13bは、未修飾ナノワイヤを最初にブランクの緩衝液に、次いでカルシウムイオン含有溶液に露出された時、そのコンダクタンスが変化しないことを示す。
【0081】
上記の開示によって示されるように、1つの実施態様では、本発明は、試料中での存在が疑われる検体の有無の決定のために電気的作用に基づくナノスケールのセンサを提供する。ナノスケールであるため、マクロスケールのセンサと比較して検出における感度が高い。さらに、ナノスケールセンサで使用される試料サイズは約10マイクロリットル以下、好ましくは約1マイクロリットル以下、より好ましくは約0.1マイクロリットル以下である。試料サイズは約10ナノリットルまたはそれ以下でもよい。ナノスケールセンサにより、生物学的種に特異な方法でアクセスすることもでき、in vivo及びin vitro用途の両方での利用にも使用できる。生体内で使用する場合、ナノスケールセンサおよび対応する方法は侵襲度の最小化された操作となる。
【0082】
図14aは、ドープ濃度およびナノワイヤ直径と比較して、5個までの電荷を検出するために感度の計算を示す。図に示すように、ナノワイヤの感度は、ドープ濃度の変更により、またはナノワイヤの直径の制御により制御できる。例えば、ナノワイヤのドープ濃度を増加させると、ナノワイヤがより多くの電荷を検出する能力を増す。また、20nmのワイヤは同数の電荷を検出するために5nmのナノワイヤより少ないドーピングでよい。図14bは、ナノワイヤの直径と比較して、1個の電荷を検出するために閾値ドープ密度の計算を示す。ここでも、20nmのナノワイヤは、1個の電荷を検出するために5nmのナノワイヤより少ないドーピングでよい。
【0083】
図15は、InPナノワイヤの概略図を示す。ナノワイヤは均質でもよいし、またはn型およびp型のドーパントの個別セグメントを含んでもよい。図15bは、pHを変化させた時の、15aのナノワイヤのルミネセンスの時間変化を示す。図に示すように、ナノワイヤの発光強度は、結合レベルに相関して変化する。pHが増加すると光強度は低下し、pHが減少すると光強度は増加する。発明の1つの実施態様としては、マイクロアレイ中の各電極を掃引することにより光信号検出を個別にアドレスすることが考えられる。発明の別の実施態様としては、2種類の信号検出器、例えば、電気的な検出器と組み合わされた光学センサが考えられる。
【0084】
図16aは、ナノワイヤセンサの1つの実施態様を示す。図16aに示すように、本発明のナノワイヤセンサは、ドープシリコン50の単一分子を含む。ドープシリコンはチューブとして形成され、ドーピングはnドープもpドープもできる。いずれの場合も、ドープシリコンナノワイヤは高抵抗半導体材料を形成し、これをはさんで電圧を印加できる。チューブの外表面および内表面には酸化物が形成されるであろうし、また、チューブの表面は、FETデバイスのゲート52として作用することができ、チューブの各端部での電気的な接触により、チューブ端部がドレイン56およびソース58として作用可能である。図示する実施態様では、デバイスは対称的であり、デバイスのいずれの端部もドレインまたはソースと考えることができる。説明のため、図16aのナノワイヤでは左手側をソース、右手側をドレインとしている。図16aは、ナノワイヤデバイスが2つの導体要素54と電気的に接続されるように配設されることを示す。
【0085】
図16aおよび16bは、化学物質/配位子でゲート制御された電界効果トランジスタ(FET)の例を示す。FETはエレクトロニクスの技術分野ではよく知られている。簡単に言えば、FETは3端子デバイスであり、2つの電極(一つはドレインに、一つはソースに接続される)間の導体は、ソースとドレインの間のチャネル中の電荷キャリアの利用可能性に依存している。FETはThe Art of Electronics、Second Edition by
Paul Horowitz and Winfield Hill、Cambridge University Press、1989、第113〜174頁により詳細に記述されており、その内容全体は言及によって本願によって組み込まれる。電荷キャリアのこの利用可能性は第3の「制御電極」(ゲート電極としても知られる)に印加された電圧によって制御される。チャネルの導電性は、チャネルを横切って電界を生じさせるゲート電極に印加された電圧によって制御される。図16aおよび16bのデバイスは、化学物質または配位子−FETと考えることができ、その理由は、化学物質または配位子がゲートで電圧をもたらし、これが電界を生じてチャネルの伝導性を変化させるからである。このチャネルの伝導性の変化は、チャネルを通る電流の流れに影響を及ぼす。このため、FETはソースおよびドレインを通じてチャネルを通る電流をゲート上の電圧が制御する相互コンダクタンスデバイスと呼ばれることも多い。FETのゲートは、例えば、接合FET(JFET)中でのような半導体接合の使用または金属酸化膜半導体FET(MOSFET)の中でのような酸化物絶縁体の使用によって伝導チャネルから絶縁される。したがって、図AおよびBでは、ナノワイヤセンサのSiO2外表面はゲートのためのゲート絶縁部としても機能し得る。
【0086】
適用に際しては、図Aに図示されるナノワイヤデバイスは、試料に接触するか、試料フローの経路内に配設してもよいFETデバイスを提供する。試料内の対象要素は、ナノワイヤデバイスの表面に接触させることができ、ある条件の下では、表面に結合するか付着できる。
【0087】
この目的のために、デバイスの外表面は反応体(例えば対象要素に特異的な結合パートナー)を有してもよい。結合パートナーは当該部分を引き付けるか、当該部分に結合して試料内の対象部位をナノワイヤデバイスの外表面に付着または結合させるであろう。この例は図16cに示され、対象部位60がナノワイヤデバイスの表面に結合して描かれている(一定の縮尺で描かれているわけではない)。
【0088】
また図16cで示すように、付着部位が増すにつれ、ワイヤを通る電流を制限する空乏領域62がナノワイヤデバイス内に生じる。空乏領域ではチャネルのタイプによって、ホールまたは電子が欠乏する。これは、図16dに概略的に示される。この部位は、ゲート/ドレイン接合はさんだ電圧差をもたらす電荷を有する。
【0089】
本発明のナノスケールセンサはリアルタイムデータを収集することができる。リアルタイムデータは例えば、特定の化学物質または生体反応の反応速度をモニタするために使用してもよい。in vivoの生理学的条件または薬剤濃度もリアルタイムな信号を生じ得るが、この信号はドラッグデリバリシステムを制御するために使用できる。例えば、本発明には、1つの側面では、ナノワイヤ検出器、リーダおよびコンピュータ制御応答システムを備えた統合システムが含まれる。この例において、ナノワイヤは、試料中の検体の平衡の変化を見出し、コンピュータ制御応答システムに信号を送り、化学物質または薬剤を抑止または放出させる。これは、そのサイズが小さくわずかなエネルギーしか必要としないため、インプラント薬や化学物質送達システムなどでは特に有用である。当業者は、本発明に関する使用に適している埋込み可能な(implantable)デバイス、リーダ、およびコンピュータ制御応答システムを構築するためのパラメータおよび必要条件をよく知っている。すなわち、当業者の知識をセンサとしてのナノワイヤについての本願における開示と組み合わせれば、埋込み可能なデバイス、リアルタイム測定デバイス、統合システムなどが実施可能である。このようなシステムは1種類または複数の生理学的特性を個々にまたは同時にモニタできる。このような生理学的特性は例えば、酸素濃度、二酸化炭素濃度、グルコースレベル、特定の薬剤の濃度、特定の薬副産物の濃度などを含むことができる。本発明のセンサによって感知される条件に応じた機能を実行するように、統合された生理学的デバイスを構築できる。例えば、本発明のナノワイヤセンサはグルコースレベルを感知できるが、決定されたグルコースレベルに基づいて、適切な制御メカニズムを介して対象者にインシュリンを放出することができる。
【0090】
別の実施態様では、物品は、試料露出領域及びナノワイヤを備えたカセットを含んでもよい。カセットが検出器デバイスから分離されていても、試料露出領域中の試料中の検体を検出でき、これにより試料を1箇所に集め、そして別の場所で検出できる。カセットは、ナノワイヤに関する特性を決定できる検出器デバイスに、動作可能であるように接続可能である。本願において、デバイスが別の装置に取り付けたり相互作用できる場合、そのデバイスは「動作可能であるように接続可能である。」
別の実施態様では、1以上のナノワイヤを微小流(microfluidic)チャネルに配設してもよい。1以上の異なるナノワイヤを同じマイクロチャネルと交差させ、異なる検体を検出したり、同じ検体の流速を異なる位置で測定することができる。別の実施態様では、微小流チャネル内に配置された1以上のナノワイヤが、微小針プローブまたは読み取りプローブ中の複数の分析素子のうちの1つを形成してもよい。微小針プローブは埋め込むことができて、リアルタイムでいくつかの検体を同時に検出できる。別の実施態様では、微小流チャネル中に配設した1以上のナノワイヤが、チップデバイス上のカセットまたはラボのためののマイクロアレイにおける分析素子のうちの1つを形成できる。当業者であれば、チップデバイス上のこのようなカセットまたはラボが、高処理能力の化学分析およびコンビナトリアルな創薬に特に適することを理解するであろう。さらに、ナノスケールセンサを使用する関連する方法は、他のセンシング技術のようにラベリングを行う必要がないという点で、迅速かつ単純である。1つのナノスケールセンサに多数のナノワイヤを含め得ることから、単一試料中で存在が疑われる異なる検体を同時に検出できる。例えば、ナノスケールのpHセンサは、それぞれ異なるpHレベルを検出する複数のナノスケールワイヤを含んでもよく、多数のナノスケールワイヤを有するナノスケールのオリゴセンサは多数の配列または配列の組合せを検出するために使用してもよい。
【0091】
当業者であれば、ここに挙げたパラメータはすべて例示的なものであり、実際のパラメータは、本発明の方法および装置が使用される具体的用途に依存することを容易に認識するであろう。したがって、前記実施態様は例示のためのものであって、添付する請求項およびそれと均等な範囲内で、本発明をここに具体的に記述したこととは別の方式で実施できることを理解するであろう。
【0092】
本発明の各種態様は以下の通りである。
1.試料露出領域とナノワイヤを含む物品であって、ナノワイヤの少なくとも一部が試料露出領域において試料によってアドレス可能である物品。
2.ナノワイヤに関する性質を決定するために構築され配置された検出器をさらに含む上記第1に記載の物品。
3.試料露出領域がマイクロチャネルを含む上記第1に記載の物品。
4.試料露出領域がウェルを含む上記第1に記載の物品。
5.ナノワイヤが半導体ナノワイヤである上記第1に記載の物品。
6.半導体ナノワイヤがシリコンナノワイヤである上記第5に記載の物品。
7.半導体ナノワイヤがP−N接合を含む上記第5に記載の物品。
8.半導体ナノワイヤが多重p−n接合を含む上記第5に記載の物品。
9.半導体ナノワイヤが、それぞれ異なる濃度のドーパントでドープされた複数のナノワイヤのうちの1本である上記第5に記載の物品。
10.ナノワイヤがカーボンナノチューブである上記第1に記載の物品。
11.ナノチューブが単層ナノチューブである上記第10に記載の物品。
12.ナノチューブが多層ナノチューブである上記第10に記載の物品。
13.ナノワイヤが未修飾のナノワイヤである上記第1に記載の物品。
14.反応体が、検体の結合パートナーを含む上記第24に記載の物品。
15.結合パートナーが非特異的である上記第14に記載の物品。
16.結合パートナーが特異的である上記第14に記載の物品。
17.結合パートナーがナノワイヤ表面上の化学基を含み、その組合せが、−OH、−CHO、−COOH、−SO3H、−CN、−NH2、−SH、−COSH、COOR、ハロゲン化物からなる群から選択される上記第14に記載の物品。
18.結合パートナーが、DNA、DNA断片、抗体、抗原、タンパク質および酵素からなる群から選択される特異的な生体分子受容体を含む上記第14に記載の物品。
19.結合パートナーがナノワイヤ表面にグラフトされた短いポリマー鎖を含み、その鎖がポリアミド、ポリエステル、ポリアクリル酸、ポリイミドからなるポリマーの群から選択される上記第14に記載の物品、
20.結合パートナーがナノワイヤ表面に被覆された薄いヒドロゲル層を含む上記第14に記載の物品。
21.結合パートナーがナノワイヤ表面の薄い被覆を含み、被覆が酸化物、硫化物およびセレン化物からなる群から選択される上記第14に記載の物品。
22.ナノワイヤの電気的特性がナノワイヤ表面の化学的変化に敏感であり、ナノワイヤが化学物質によってゲート制御されるナノワイヤ電界効果トランジスタを含む上記第1に記載の物品。
23.ナノワイヤがエレクトロルミネセンス材料、フォトルミネセンス材料およびダイオードからなる群から選択される材料を含み、ナノワイヤの発光特性がナノワイヤ表面の化学的変化に敏感である上記第1に記載の物品。
24.さらに反応体を含み、反応体と試料中の検体の間の相互作用がナノワイヤの特性に検出可能な変化をもたらすように、反応体がナノワイヤに対して位置する上記第1に記載の物品。
25.反応体が核酸、抗体、糖、炭水化物およびタンパク質からなる群から選択される上記第24に記載の物品。
26.反応体が触媒を含む上記第24に記載の物品。
27.反応体が量子ドットを含む上記第24に記載の物品。
28.反応体がポリマーを含む上記第24に記載の物品。
29.反応体がナノワイヤに固定されている上記第24に記載の物品。
30.反応体がナノワイヤの5ナノメートル以内に位置する上記第24に記載の物品。
31.反応体がナノワイヤの3ナノメートル以内に位置する上記第24に記載の物品。
32.反応体がナノワイヤの1ナノメートル以内に位置する上記第24に記載の物品。
33.反応体がリンカーによってナノワイヤに付着される上記第24に記載の物品。
34.反応体が、ナノワイヤに直接付着される上記第24に記載の物品。
35.反応体がナノワイヤに電気的に結合されるようにナノワイヤに対して位置し、試料中の検体と反応体との間の検出可能な相互作用が、ナノワイヤの電気的特性に検出可能な変化を起こす上記第24に記載の物品。
36.マイクロチャネルの最小の横方向寸法が1mm未満である上記第3に記載の物品。
37.マイクロチャネルの最小の横方向寸法が0.5mm未満である上記第3に記載の物品。
38.マイクロチャネルの最小の横方向寸法が200ミクロン未満である上記第3に記載の物品。
39.ナノワイヤが、センサを含む複数のナノワイヤのうちの1本である上記第1に記載の物品。
40.複数のナノワイヤのそれぞれが、試料露出領域に位置する少なくとも一部分を含む上記第39に記載の物品。
41.複数のナノワイヤが少なくとも10本のナノワイヤを含む上記第39に記載の物品。
42.多数のナノワイヤが平行に配置され、1対の電極によってアドレスされる上記第41に記載の物品。
43.多数のナノワイヤが互いに平行に配列され、多数対の電極によって個別にアドレスされる上記第41に記載の物品。
44.多数のナノワイヤが異なるもので、それぞれが異なる検体を検出できる上記第43に記載の物品。
45.多数のナノワイヤがランダムな方向を向いている上記第41に記載の物品。
46.ナノワイヤが基板の表面に位置する上記第1に記載の物品。
47.試料露出領域がマイクロチャネルを含み、ナノワイヤがマイクロチャネルの中で懸濁される上記第1に記載の物品。
48.物品が、基板の表面に形成されたセンサアレイ中の複数のナノワイヤセンサのうちの1つである上記第1に記載の物品。
49.基板がガラス、二酸化ケイ素被覆したシリコンおよびポリマーからなる群から選択される上記第48に記載の物品。
50.マイクロチャネルが、試料を含む流体についてレイノルズ数(Re)約1未満となるような寸法である上記第3に記載の物品。
51.レイノルズ数が約0.01未満である上記第42に記載の物品。
52.試料露出領域に流体試料を受容するように構築され配置された上記第1に記載の物品。
53.試料が気体ストリームである上記第44に記載の物品。
54.試料が液体である上記第44に記載の物品。
55.物品が複数のナノワイヤおよび複数の反応体を含み、少なくとも反応体の一部は、反応体と検体の間の相互作用がナノワイヤの特性に検出可能な変化をもたらすようにナノワイヤに対して位置する、上記第1に記載の物品。
56.少なくとも1つの反応体がナノワイヤの100ナノメートル以内に位置する上記第55に記載の物品。
57.少なくとも1つの反応体がナノワイヤの50ナノメートル以内に位置する上記第55に記載の物品。
58.少なくとも1つの反応体がナノワイヤの10ナノメートル以内に位置する上記第55に記載の物品。
59.試料露出領域が、生物試料によってアドレス可能である上記第1に記載の物品。
60.物品が微小針プローブ用のセンサ素子を形成する上記第1に記載の物品。
61.微小針が生物対象中に埋込み可能である上記第60に記載の物品。
62.物品が生理学的特性をモニタできるセンサである上記第60に記載の物品。
63.センサが複数の生理学的特性をモニタできる上記第60に記載の物品。
64.物品が同時に複数の生理学的特性をモニタできる上記第60に記載の物品。
65.対象中の酸素濃度、二酸化炭素濃度およびグルコースレベルの少なくとも1つを決定できる上記第60に記載の物品。
66.統合浸漬プローブセンサ用のセンサ素子を形成する上記第1に記載の物品。
67.プラグアンドプレーのセンサアレイ用のセンサ素子を形成する上記第1に記載の物品。
68.物品がナノワイヤに刺激を伝達でき、検出器が刺激に起因する信号を決定するように構築され配置される上記第2に記載の物品。
69.刺激が直流電流/電圧、交流電圧および電磁放射からなる群から選択される上記第68に記載の物品。
70.検出器がナノワイヤに関する電気的な性質を決定するように構築され配置される上記第2に記載の物品。
71.検出器がナノワイヤに関する電磁的性質の変化を決定するように構築され配置される上記第2に記載の物品。
72.検出器がナノワイヤに関する発光特性の変化を決定するように構築され配置される上記第2に記載の物品。
73.検体を含有すると疑われる試料にナノワイヤを接触させ;
ナノワイヤの特性変化を決定する;
工程を含む方法。
74.最初にナノワイヤの特性を測定し;
次いでナノワイヤを試料に接触させ;
次いでナノワイヤに関する性質の変化を決定する;
工程を含む、上記第73に記載の方法。
75.ナノワイヤを準備し、そのナノワイヤを容積が約10マイクロリットル未満の試料と接触させ;
その接触に起因するナノワイヤの特性の変化を測定する;
工程を含む方法。
76.検体を含むと疑われる試料にナノワイヤを接触させ;
その接触に起因するナノワイヤの特性変化の測定により、検体の存在または量を決定する;
工程を含み、10個未満の検体の分子が検出される特性の変化に寄与する方法。
77.5個未満の化学種分子が電気的特性の変化に寄与する上記第76の方法。
78.1個の化学種分子が電気的特性の検出される変化に寄与する上記第77の方法。
79.試料露出領域及びナノワイヤを備えた試料カセットを含む物品であって、ナノワイヤの少なくとも一部が試料露出領域の試料によってアドレス可能であり;試料カセットが、ナノワイヤに関する特性を決定できる検出器装置に動作可能なように接続可能である、物品。
80.少なくとも1つのナノワイヤと、該少なくとも1つのナノワイヤの特性の変化を測定するための手段とを備えたセンサ。
81.ナノワイヤを試料に接触させ;
ナノワイヤに関する性質を決定する;
工程を含み、ナノワイヤを試料に接触させる際の特性の変化が試料中の検体の存在または量を示す、検体の検出方法。
82.導電体を試料に接触させ;
接触に起因する導体特性の変化の測定により、試料中の検体の存在または量を決定する;
工程を含み、検体の10個未満の分子が前記特性の変化に寄与するものである方法。
83.ナノワイヤコア領域、および外部領域を含み、外部領域がナノワイヤコアに化学的にまたは物理的に結合される官能性部位を含む物品。
84.コアがSi、GaN、AlN、InN、GaAs、AlAs、InAs、InP、GaP、SiC、CdSe、ZnSe、ZnTe、ZnO、SnO2およびTiO2からなる群から選択される材料を含む、半導体ナノワイヤである上記第83に記載の物品。
85.ナノワイヤコアが0.5〜200nmの範囲の直径を有する上記第83に記載の物品。
86.ナノワイヤコアが2を超えるアスペクト比を有する上記第83に記載の物品。
87.外部領域における官能性部位が、−OH、−CHO、−COOH、−SO3H、−CN、−NH2、−SH、−COSH、COOR、ハロゲン化物からなる群から選択される基または基の組合せである上記第83に記載の物品。
88.官能性部位が、アミノ酸、タンパク質、DNA、抗体、抗原および酵素からなる群から選択される基である上記第83に記載の物品。
89.官能性部位がナノワイヤコアの直径未満の鎖長のグラフトポリマー鎖を含み、そのポリマーがポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアクリル酸を含むポリマーの群から選択される、上記第83に記載の物品。
90.官能性部位がナノワイヤコアの表面を覆う薄い被覆を含み、その被膜が金属、半導体および絶縁体からなる群から選択される、上記第83に記載の物品。
91.被覆が金属元素、酸化物、硫化物、窒化物、セレン化物、ポリマーおよびポリマーゲルからなる群から選択される上記第90に記載の物品。
92.導体と電気的に接触してソース電極を形成する第1の端部と、導体と電気的に接触してドレイン電極を形成する第2の端部と、その上に酸化物を有してゲート電極を形成する外表面とを有する半導体ナノワイヤ、ならびに、
選択された部位について特異性を有し、外表面に結合した結合剤であって、前記部位が結合剤に結合するのに応じてゲート電極における電圧が変化して、化学的にゲート制御される電界効果センサデバイスを提供する結合剤
を備えたナノワイヤセンサデバイス。
93.所定の電流−電圧特性を有し、化学的または生物学的センサとしての使用に適合した、検体によりゲート制御される電界効果トランジスタであって:
(a)第1の絶縁材料から形成された基板;
(b)基板上に配設されたソース電極;
(c)基板上に配設されたドレイン電極、
(d)ソースおよびドレイン電極間に配設され、所定の電流−電圧特性を有する電界効果トランジスタを形成する半導体ナノワイヤ、および
(e)ナノワイヤの表面上に配設され、目標検体との間に生じる結合事象が前記電界効果トランジスタの電流−電圧特性に検出可能な変化を起こす、検体に特異的な結合剤
を含む電界効果トランジスタ。
94.検体が化学的部位である、上記第93記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタ。
95.化学的部位が小さな有機化合物である、上記第94記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタ。
96.化学的部位がイオンである、上記第94記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタ。
97.検体が生物学的部位である、上記第93記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタ。
98.検体がタンパク質、核酸、炭水化物、脂質およびステロイドからなる群から選択される、上記第97記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタ。
99.少なくとも100個の前記検体によりゲート制御される電界効果トランジスタのアレイを含む上記第93の物品。
100.物品に結合する検体特異的結合剤の集団に関して同質である上記第99の物品。
101.物品に結合する検体特異的結合剤の集団に関して異質である上記第99の物品。
102.反応体がナノワイヤに光学的に結合するよう、反応体がナノワイヤに対して位置し;試料中の検体と反応体との間の検出可能な相互作用が、ナノワイヤの特性の検出可能な変化を起こす;上記第24に記載の物品。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1aは、ナノスケール検出器デバイスを概略的に示す。 図1bは、ナノワイヤの並列アレイを有するナノスケール検出器デバイスを概略的に示す。
【図2】図2aは、相補的結合パートナーを検出するために、ナノワイヤが結合剤で修飾されたナノスケール検出器デバイスを概略的に示す。 図2bは、相補的結合パートナーが結合剤に固定された状態の図2aのナノスケール検出器デバイスを概略的に示す。
【図3a】図3aは、2つの金属電極に接続された単一のシリコンナノワイヤの低解像度走査型電子顕微鏡写真である。
【図3b】図3bは、2つの金属電極に接続された単一のシリコンナノワイヤデバイスの高解像度走査電子顕微鏡写真である。
【図4】図4aは、バックゲートを備えたナノスケールセンサの別の実施態様を概略的に示す。 図4bは、様々なバックゲート電圧におけるコンダクタンス対時間を示す。 図4cは、コンダクタンス対バックゲート電圧を示す。
【図5】図5aは、単一シリコンナノワイヤについてコンダクタンスをpHの関数として示す。 図5bは、表面にアミン基が露出するように修飾した単一シリコンナノワイヤについてコンダクタンス対pHを示す。
【図6】オリゴヌクレオチド剤で修飾した表面を有するシリコンナノワイヤについてコンダクタンス対時間を示す。
【図7】典型的な単層ナノチューブ検出器デバイスの原子間力顕微鏡像である。
【図8】図8aは、空気中における単層ナノチューブデバイスの電流−電圧(I−V)測定結果を示す。 図8bは、NaCl中における図8aの単層ナノチューブデバイスの電流−電圧(I−V)測定結果を示す。 図8cは、CrClx中における図8aの単層ナノチューブデバイスの電流−電圧(I−V)測定結果を示す。
【図9a】図9aは、pHレベル2から9までに露出した場合の表面水酸基を有するナノセンサのコンダクタンスを示す。
【図9b】図9bは、pHレベル2から9までに露出した時の、アミン基で修飾したナノセンサのコンダクタンスを示す。
【図9c】図9cは、pHレベルの変化に伴うナノセンサの相対的なコンダクタンスを示す。
【図10abcd】図10aは、最初にブランクの緩衝液に、次いで250nM ストレプトアビジン含有溶液に露出した、BSAビオチン修飾SiNWのコンダクタンスを示す。 図10bは、最初にブランクの緩衝液に、次いで25pMストレプトアビジン含有溶液に露出した、BSAビオチン修飾SiNWのコンダクタンスを示す。 図10cは、最初にブランクの緩衝液に、次いでストレプトアビジン含有溶液に露出した、未修飾SiNWのコンダクタンスを示す。 図10dは、緩衝液に、次いでd−ビオチンストレプトアビジン含有溶液に露出した、BSAビオチン修飾SiNWのコンダクタンスを示す。
【図10ef】図10eは、ブランクの緩衝液に、次いでストレプトアビジン含有溶液に、さらに次いでブランクの緩衝液に露出した、ビオチン修飾ナノセンサのコンダクタンスを示す。 図10fは、緩衝液とストレプトアビジン含有溶液に交互に露出した未修飾SiNWのコンダクタンスを示す。
【図11】図11aは、最初にブランクの緩衝液に、次いで抗ビオチン(Antibiotin)含有溶液に露出した、BSA−ビオチン修飾SiNWのコンダクタンスを示す。 図11bは、緩衝液に、次いで抗ビオチン含有溶液に露出した、未修飾SiNWのコンダクタンスを示す。 図11cは、緩衝液、他の免疫グロブリンGタイプ抗体、次いで抗ビオチン含有溶液に露出する間のBSA−ビオチン修飾SiNWのコンダクタンスを示す。
【図12】図12aは、ブランクの緩衝液と1mM Cu(II)含有溶液に交互に露出したアミン修飾SiNWのコンダクタンスを示す。 図12bは、0.1mMから1mMまでの濃度のCu(II)含有溶液に交互に露出したアミン修飾SiNWのコンダクタンスを示す。 図12cは、コンダクタンス対Cu(II)濃度を示す。 図12dは、最初にブランクの緩衝液に、次いで1mMCu(II)含有溶液に露出した未修飾SiNWのコンダクタンスを示す。 図12eは、最初にブランクの緩衝液に、次いで1mMCu(II)−EDTA含有溶液に露出したアミン修飾SiNWのコンダクタンスを示す。
【図13】図13aは、緩衝液、次いでカルシウムイオン含有溶液に露出したカルモジュリン修飾シリコンナノワイヤのコンダクタンスを示す。 図13bは、緩衝液、次いでカルシウムイオン含有溶液に露出した未修飾シリコンナノワイヤのコンダクタンスを示す。
【図14】図14aは、ドープ濃度およびナノワイヤ直径で比較した際に、5個までの電荷を検出するための感度の計算結果を示す。 図14bは、単一電荷検出のためのナノワイヤ直径で比較した際に、閾値ドープ濃度の計算結果を示す。
【図15】図15はInPナノワイヤの模式図である。 図15bが、pHを変動させた際の図15aのナノワイヤのルミネセンスの時間変化を示すグラフである。
【図16a】図16aは、ナノワイヤセンサ、特に化学物質又は配位子によりゲート制御された電界効果トランジスタ(FET)の1つの実施態様を描いた図である。
【図16bcd】図16bは、図16aのナノワイヤを示す別の図である。 図16cは、表面部位を有する図16aのナノワイヤを示す図である。 図16dは、空乏領域を有する図16aのナノワイヤを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア領域と該コア領域を取り囲む外側領域とを含む中実の半導体ナノワイヤを含み、
該外側領域は、該中実の半導体ナノワイヤの構築後に該中実の半導体ナノワイヤに付加される化学又は生物学結合種により選択的に官能基化される、
物品。
【請求項2】
該中実の半導体ナノワイヤがシリコンナノワイヤである請求項1記載の物品。
【請求項3】
該中実の半導体ナノワイヤがドープされている請求項1記載の物品。
【請求項4】
コア領域と、外側領域とを含む中実の半導体ナノワイヤを含み、
該外側領域は該コア領域上の被覆を形成する官能性部位を含み、該官能性部位の少なくとも一部はそれに付着する化学又は生物学種を有する、
物品。
【請求項5】
該中実の半導体ナノワイヤが半導体ナノワイヤである請求項4記載の物品。
【請求項6】
該中実の半導体ナノワイヤがドープされている請求項4記載の物品。
【請求項7】
所定の電流−電圧特性を有し、化学的および/または生物学的センサとしての使用に適合した、検体によりゲート制御される電界効果トランジスタであって:
(a)第1の絶縁材料から形成された基板;
(b)基板上に配設されたソース電極;
(c)基板上に配設されたドレイン電極、
(d)ソースおよびドレイン電極間に配設され、所定の電流−電圧特性を有する電界効果トランジスタを形成する半導体ナノワイヤ、および
(e)ナノワイヤの表面上に配設され、目標検体との間に生じる結合事象が前記電界効果トランジスタの電流−電圧特性に検出可能な変化を起こす、検体に特異的な結合剤
を含む電界効果トランジスタ。
【請求項8】
前記検体が化学的部位である、請求項7記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタ。
【請求項9】
前記化学的部位が小さな有機化合物である、請求項8記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタ。
【請求項10】
前記化学的部位がイオンである、請求項8記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタ。
【請求項11】
前記検体が生物学的部位である、請求項7記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタ。
【請求項12】
前記検体がタンパク質、核酸、炭水化物、脂質およびステロイドからなる群から選択される、請求項11記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタ。
【請求項13】
少なくとも100個の前記請求項7に記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタのアレイを含む物品。
【請求項14】
物品に結合する検体特異的結合剤の集団に関して同質である請求項13記載の物品。
【請求項15】
物品に結合する検体特異的結合剤の集団に関して異質である請求項13記載の物品。
【請求項1】
コア領域と該コア領域を取り囲む外側領域とを含む中実の半導体ナノワイヤを含み、
該外側領域は、該中実の半導体ナノワイヤの構築後に該中実の半導体ナノワイヤに付加される化学又は生物学結合種により選択的に官能基化される、
物品。
【請求項2】
該中実の半導体ナノワイヤがシリコンナノワイヤである請求項1記載の物品。
【請求項3】
該中実の半導体ナノワイヤがドープされている請求項1記載の物品。
【請求項4】
コア領域と、外側領域とを含む中実の半導体ナノワイヤを含み、
該外側領域は該コア領域上の被覆を形成する官能性部位を含み、該官能性部位の少なくとも一部はそれに付着する化学又は生物学種を有する、
物品。
【請求項5】
該中実の半導体ナノワイヤが半導体ナノワイヤである請求項4記載の物品。
【請求項6】
該中実の半導体ナノワイヤがドープされている請求項4記載の物品。
【請求項7】
所定の電流−電圧特性を有し、化学的および/または生物学的センサとしての使用に適合した、検体によりゲート制御される電界効果トランジスタであって:
(a)第1の絶縁材料から形成された基板;
(b)基板上に配設されたソース電極;
(c)基板上に配設されたドレイン電極、
(d)ソースおよびドレイン電極間に配設され、所定の電流−電圧特性を有する電界効果トランジスタを形成する半導体ナノワイヤ、および
(e)ナノワイヤの表面上に配設され、目標検体との間に生じる結合事象が前記電界効果トランジスタの電流−電圧特性に検出可能な変化を起こす、検体に特異的な結合剤
を含む電界効果トランジスタ。
【請求項8】
前記検体が化学的部位である、請求項7記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタ。
【請求項9】
前記化学的部位が小さな有機化合物である、請求項8記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタ。
【請求項10】
前記化学的部位がイオンである、請求項8記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタ。
【請求項11】
前記検体が生物学的部位である、請求項7記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタ。
【請求項12】
前記検体がタンパク質、核酸、炭水化物、脂質およびステロイドからなる群から選択される、請求項11記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタ。
【請求項13】
少なくとも100個の前記請求項7に記載の検体によりゲート制御される電界効果トランジスタのアレイを含む物品。
【請求項14】
物品に結合する検体特異的結合剤の集団に関して同質である請求項13記載の物品。
【請求項15】
物品に結合する検体特異的結合剤の集団に関して異質である請求項13記載の物品。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10abcd】
【図10ef】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16a】
【図16bcd】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10abcd】
【図10ef】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16a】
【図16bcd】
【公開番号】特開2009−42232(P2009−42232A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209206(P2008−209206)
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【分割の表示】特願2002−549958(P2002−549958)の分割
【原出願日】平成13年12月11日(2001.12.11)
【出願人】(500491786)プレジデント・アンド・フェローズ・オブ・ハーバード・カレッジ (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【分割の表示】特願2002−549958(P2002−549958)の分割
【原出願日】平成13年12月11日(2001.12.11)
【出願人】(500491786)プレジデント・アンド・フェローズ・オブ・ハーバード・カレッジ (8)
【Fターム(参考)】
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