説明

ナビゲーションシステム及び方法並びにナビゲーション用ソフトウェアを記録した記録媒体

【課題】ナビゲーションシステムにおいて、ETCに関する案内を行う。
【解決手段】追加ETC設置情報記憶部44は、ETC処理部13によってETC料金関連情報が処理された場合に、ETCの設置を表すETC設置情報を、現在位置を表す位置情報と対応させて記憶する。ETC接近判定部45は、追加ETC設置情報記憶部44に記憶された前記位置情報についても、現在位置に基づいて、前記位置情報に対応する有料道路を通ろうとすることを判定する。第2の案内部43は、このようなETCが設置された有料道路を通ろうとする場合についても、追加ETC設置情報記憶部44に記憶されたETC設置情報に基づいて、ETCに関する案内を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の道案内を行うためのナビゲーションの技術の改良に関するもので、特に、ETCに関する案内を行うようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子技術の発達に伴い、自動車の走行に関する情報をコンピュータで処理するための各種技術が登場している。例えば、自動車などの移動体に搭載され道案内を行うための装置として、ナビゲーションシステムが知られている。
【0003】
このナビゲーションシステムは、与えられた目的地までの最適な経路を、CD−ROMなどに記録された道路のデータに基づいて検索し、自車の現在位置(自車位置と呼ぶ)をGPSなどで逐次計算する。そして、自車位置周囲の経路や道路を液晶画面などにリアルタイムに表示しながら、右左折点などを表示や合成音声などで知らせる。このような情報処理をナビゲーションと呼び、このようなナビゲーションシステムを使えば、初めて走る場所や地域でも、正しい道をスムースに走ることが容易になる。
【0004】
また、高速道路などの有料道路の料金を、車両を停止させることなく収受するための技術として、ノンストップ自動料金収受システム(Electronic Toll Collection system 、本出願において「ETC」と呼ぶ)が知られている。このETCは、有料道路の入口や出口などに設置された電子機器と、各車両に搭載された電子機器との間で、従来の通行券受渡に代わる必要な情報を無線通信することで、各車両に通行料金を課金するものである。
【0005】
具体的には、例えば、有料道路側では、無線通信用アンテナを備えた路上機を、入口ゲート、出口ゲート、途中のチェックバリアなどにそれぞれ設置するとともに、情報処理用のコンピュータやそのネットワークに接続して料金徴収システムを構築する。また、各車両には、識別コードなどの情報を路上機との間で送受信するための車載機を搭載しておく。
【0006】
そして、有料道路入口の路上機は、車両検知センサで車両の接近を検知すると、車種判別装置で車種を識別し、車載機との無線通信によって必要な情報を交換する。このとき、例えば、入った入口やその時刻、車種などの情報が路上機から車載機へ送られて記憶され、車載機から出口の路上機に渡されることによって料金が課金される。このように課金された料金は、予め決められたクレジットカード、口座引き落とし、前払い、後日の請求書払いなどによって決済される。
【0007】
このようなETCは、車両を停止させずに料金収受を行うので、料金所の単位時間あたりの処理能力を例えば4倍にも高めて渋滞を緩和する効果が期待され、実運用に向けて試験運用中である。
【0008】
なお、従来の料金所には、個々の係員や自動発券機に対応してレーンが複数あるが、ETCの運用にあたっては当面、そのうち一部のレーンをETC専用の入口や出口(ETC専用レーンと呼ぶ)とすることが考えられ、車載機を搭載していない車両が誤ってETC専用レーンに侵入した場合への対応策なども準備されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、前記のような従来のナビゲーションシステムは、ETCを前提としていないため、ETCに関する案内ができないという問題点があった。このため、運転者は、これから通過する料金所がETCの設備を備えているかどうか、ETC専用レーンがどこか、といった判断を自分で行わなければならず、煩雑という問題点があった。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するために提案されたもので、その目的は、ETCに関する案内を行うナビゲーションの技術すなわちナビゲーションシステム及び方法並びにナビゲーション用ソフトウェアを記録した記録媒体を提供することである。
【0011】
また、道路情報などを記録するCD−ROMなどのデータベースに、どの料金所にETCの設備が導入されているかや、ETC専用レーンが右寄りか左寄りかといったETC設置情報を予め記録しておき、この情報に基づいてETCに関する案内を行う場合でも、料金所にETC専用レーンが設置されているにもかかわらず、ETC専用レーンを通るように案内できない場合が考えられる。
【0012】
このような事態は、データベースにそもそもETC設置情報が記録されていない場合でなくとも、ETCが普及に伴って次々と新しい料金所に設置されるためデータベースの更新が追い付かない場合に発生する。この場合、ETC設置情報ではETCの設備がないはずの料金所で、実際に通ってみるとETC専用レーンができていた、ということになり、この問題点を解決する必要があった。
【0013】
また、有料道路での料金収受の収受方式は2種類あり、入口で発券した通行券に基づいて出口で料金を収受するものを入口発券出口収受方式と呼び、入口で定額の料金を収受して完了するものを単純収受方式と呼ぶ。そして、前者では出口でもETC専用レーンを通る必要があるが、後者ではその必要はないため、この点に関する案内が必要であった。
【0014】
また、ETCによる課金額など道路利用に関する料金情報を、ナビゲーションシステムが外部から得られる場合、そのような料金情報を単に記録するだけでなく、例えばGPSを使って計算された自車位置や現在時刻などの情報と関連づけて記録したり表示すれば、運行管理など情報の利用が容易になる。
【0015】
すなわち、本発明の他の目的は、CD−ROMなどのデータベースに予めETCに関するETC設置情報がなくてもETC専用レーンを案内するナビゲーションシステムの技術を提供することである。また、本発明の他の目的は、通行する有料道路の料金収受方式に応じて、出口でもETC専用レーンを通る必要があるかどうかに関して音声や表示などで案内指示するナビゲーションの技術を提供することである。さらに、本発明の他の目的は、外部から得られた料金に関する料金情報を、ナビゲーションから得られる走行記録などの情報と関連付けて記憶し表示するナビゲーションの技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、車両に搭載して道案内を行うためのナビゲーションシステムにおいて、前記車両の現在位置を計算するための手段と、車両の外部と通信することによって有料道路のETCによる料金に関する料金関連情報を処理するための料金処理手段と、前記料金処理手段によって処理された前記料金関連情報を、前記車両の走行に関する情報である走行記録と関連づけて記憶するための記憶手段と、記憶された前記料金関連情報及び前記走行記録を出力するための手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1の発明を方法という見方からとらえたもので、車両において道案内を行うためのナビゲーション方法において、前記車両の現在位置を計算するためのステップと、車両の外部と通信することによって有料道路のETCによる料金に関する料金関連情報を処理するための料金処理ステップと、前記料金処理ステップによって処理された前記料金関連情報を、前記車両の走行に関する情報である走行記録と関連づけて記憶するためのステップと、記憶された前記料金関連情報及び前記走行記録を出力するためのステップと、を含むことを特徴とする
【0018】
請求項5の発明は、請求項1、3の発明をナビゲーション用ソフトウェアを記録した記録媒体という見方からとらえたもので、コンピュータを使って、車両において道案内を行うためのナビゲーション用ソフトウェアを記録した記録媒体において、そのソフトウェアは前記コンピュータに、前記車両の現在位置を計算させ、車両の外部と通信することによって有料道路のETCによる料金に関する料金関連情報を処理させ、処理された前記料金関連情報を、前記車両の走行に関する情報である走行記録と関連づけて記憶させ、記憶された前記料金関連情報及び前記走行記録を出力させることを特徴とする。
【0019】
以上の態様では、ナビゲーションシステムが外部から得た道路利用に関する料金関連情報を、そのときの現在位置といった走行記録と関連付けて記憶及び出力できるので、後日料金情報を確実に確認することができる。なお、走行記録とは、ナビゲーションシステムによるナビゲーションから得られる情報であり、例えば現在位置、現在時刻、目的地を設定した地点からの走行距離、走行時間、目的地までの距離などである。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1記載のナビゲーションシステムにおいて、前記走行記録は少なくとも、前記料金関連情報が処理された時点において計算された前記車両の現在位置を含むことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項2の発明を方法という見方からとらえたもので、請求項3記載のナビゲーション方法において、前記走行記録は少なくとも、前記料金関連情報が処理された時点において計算された前記車両の現在位置を含むことを特徴とする。
以上の態様では、課金された時点の現在位置を料金関連情報と共に記憶しておくことによって、後で、その課金がどの料金所で行われたものかを特定することが容易になる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、ETCに関する案内を行うナビゲーションの技術すなわちナビゲーションシステム及び方法並びにナビゲーション用ソフトウェアを記録した記録媒体を提供することができるので、ナビゲーションがスムースになり、ETCの利用が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、この発明のナビゲーションシステムの実施の形態(以下「実施形態」又は本システムと呼ぶ)について、図面を参照して具体的に説明する。なお、この実施形態は、いろいろなハードウェア装置と、ソフトウェアによって制御されるコンピュータとを使って実現される。この場合、そのソフトウェアは、この明細書の記載にしたがった命令を組み合わせることで作られ、上に述べた従来技術と共通の部分には従来技術で説明した手法も使われる。また、そのソフトウェアは、プログラムコードだけでなく、プログラムコードの実行のときに使うために予め用意されたデータも含む。そして、そのソフトウェアは、本システムに組み込まれたCPU、各種チップセットといった物理的な処理装置を活用することでこの発明の作用効果を実現する。
【0023】
但し、この発明を実現する具体的なハードウェアやソフトウェアの構成はいろいろ変更することができる。例えば、回路の構成やCPUの処理能力に応じて、ある機能を、LSIなどの物理的な電子回路で実現する場合も、ソフトウェアによって実現する場合も考えられる。また、ソフトウェアを使う部分についても、ソフトウェアの形式として、コンパイラ、アセンブラなどいろいろ考えられる。また、この発明を実現するソフトウェアを記録した記録媒体は、それ単独でもこの発明の一態様である。
【0024】
以上のように、コンピュータを使ってこの発明を実現する態様はいろいろ考えられるので、以下では、この発明や実施形態に含まれる個々の機能を実現する仮想的回路ブロックを使って、この発明と実施形態とを説明する。
【0025】
〔1.構成〕
まず、図1は、本実施形態の構成を示す機能ブロック図である。
〔1−1.全体の構成〕
すなわち、本実施形態は、移動体である自動車に搭載して経路を案内するためのナビゲーションシステムであり、絶対位置・方位検出部1と、相対方位検出部2と、車速検出部3と、メインCPU及びその周辺回路4と、メモリ群Mと、ユーザインタフェース部9と、表示部10と、入力部11と、CD−ROM制御部12と、ETC処理部13と、を備えている。
【0026】
このうち、絶対位置・方位検出部1は、GPS衛星から送られてくるGPS電波を受信することで、本システムが搭載された自動車(自車)の現在位置について、地表での絶対的な位置座標や方位を計算するための手段である。また、相対方位検出部2は、ジャイロなどを使って自車の相対的な方位を検出するための部分である。また、車速検出部3は、自動車より得られる車速パルスを処理することで、自車の速度を計算するための部分である。
【0027】
また、メインCPU及びその周辺回路4は、本システム全体を制御する制御回路の役割を果たす部分である。また、メモリ群Mは、本システムが動作するのに必要な各種のメモリであり、例えば、BIOSやブートアッププログラムなどを格納しているROM5、ワークエリアなどに使うDRAM6、登録ファイル等の情報を記録する不揮発性メモリとしてのSRAM7、ビデオ表示などに使うVRAM8と、を含んでいる。
【0028】
また、表示部10は、地図や操作メニューなど各種の情報を、図示しない液晶表示パネルや音声合成装置などを使って出力するための部分であり、入力部11は、ユーザがキースイッチなどを使って命令や目的地などさまざまな情報を本システムに入力するための部分である。また、ユーザインタフェース部9は、I/O制御回路やドライバなどを使って、表示部10及び入力部11と、メインCPU及びその周辺回路4とを結ぶユーザインタフェースである。
【0029】
また、CD−ROM制御部12は、どこにどのような道路があるかを表す検索用の道路情報、地図表示用の地図情報などを格納するための手段であり、具体的には、ナビゲーションシステム用のソフトウェアや前記のような道路情報など各種の情報をCD−ROMから読み出す部分である。なお、CD−ROMに記録されたこれらの情報を合わせてデータベースと呼ぶ。
【0030】
また、ETC処理部13は、車両の外部と通信することによって有料道路のETCによる料金に関する料金関連情報を処理するための料金処理手段であり、車載機と呼ばれる。具体的には、このETC処理部13は、有料道路の入口や出口などに設置されたETCの路上機との間で、従来の通行券受渡に代わる必要な情報を無線通信によって送受信することで、通行料金の課金に関する処理を行うための部分である。
【0031】
すなわち、ETC処理部13がこのように路上機とやり取りする情報は料金関連情報と呼ばれ、典型的には、有料道路入口料金所のETC専用レーンに設置された路上機から受信する入口情報と、有料道路出口料金所のETC専用レーンに設置された路上機から受信する料金情報を含む。
【0032】
より具体的には、入口情報は、自車が有料道路に入ったときの料金所や路上機の識別情報、時刻、車種などを表す情報であり、自車が有料道路から出るとき、ETC処理部13から、有料道路出口料金所のETC専用レーンに設置された路上機に送信される。また、料金情報は、例えば、自車が有料道路を出るときの料金所や路上機の識別情報、時刻、利用料金の課金額などを表す情報である。本システムは、これらの料金関連情報を、ETC処理部13から得るように構成されている。
【0033】
〔1−2.メインCPU及びその周辺回路の役割〕
さらに、メインCPU及びその周辺回路4は、上記のようなソフトウェアの作用によって、現在位置計算部41と、案内部42と、第2の案内部43と、追加ETC設置情報記憶部44と、ETC接近判定部45と、収受方式判定部46と、課金待ち記憶部47と、料金関連情報記憶部48と、料金関連情報出力部49と、の役割を果たすように構成されている。
【0034】
このうち現在位置計算部41は、自車の現在位置(自車位置とも呼ぶ)を計算するための手段である。また、案内部42は、与えられた目的地までの経路を、現在位置計算部41によって計算された現在位置(以下単に現在位置と呼ぶ)及びCD−ROM制御部12によって読み出される前記道路情報に基づいて、表示画面や音声などで案内するための手段である。
【0035】
この案内部42は、現在位置と、CD−ROM制御部12によって読み出された道路情報や地図情報などを使って、目的地までの経路やその周囲の道路、自車位置などを表示部10に表示し、また、右左折点などを表示や合成音声などで案内するように構成されている。
【0036】
〔1−2−1.ETC設置情報に基づく案内に関する構成〕
また、本実施形態では、CD−ROM制御部12によって読み出される前記道路情報は、どの有料道路のどの料金所にETCの設備が設置されているかを表すETC設置情報を含むものとする。そして、ETC接近判定部45は、このETC設置情報と、現在位置と、に基づいて、ETC処理部13の設備がある有料道路を通ろうとすることを判定するための手段である。
【0037】
また、第2の案内部43は、ETCが設置された料金所を通ろうとするとき、CD−ROM制御部12から読み出されるETC設置情報に基づいて、ETC専用レーンの位置など、ETCに関する案内を行うための手段である。
【0038】
〔1−2−2.新規ETC設置情報の記憶と案内に関する構成〕
また、追加ETC設置情報記憶部44は、ETC処理部13によってETC料金関連情報が処理された場合に、ETCの設置を表すETC設置情報を、現在位置を表す位置情報と対応させて記憶するための記憶手段である。また、ETC接近判定部45は、追加ETC設置情報記憶部44に記憶された前記位置情報に対応する有料道路についても、現在位置に基づいて、通ろうとすることを判定するための手段としての役割を果たすように構成されている。
【0039】
また、第2の案内部43は、このようなETCが設置された有料道路を通ろうとする場合についても、その有料道路について追加ETC設置情報記憶部44に記憶されたETC設置情報に基づいて、ETCに関する案内を行うための案内手段としての役割を果たすように構成されている。
【0040】
また、収受方式判定部46は、ETCが設置された有料道路の入口で料金を課金されたかどうかに応じて、その有料道路における料金収受方式を判定するための手段である。また、追加ETC設置情報記憶部44は、このように判定された料金収受方式も記憶するように構成されている。また、第2の案内部43は、このように記憶された料金収受方式についても前記案内を行うように構成されている。
【0041】
〔1−2−3.料金収受方式に応じた出口の案内に関する構成〕
また、課金待ち記憶部47は、ETCが設置された有料道路の入口を通過したときに料金が課金されたかどうかを記憶するための記憶手段である。また、第2の案内部43は、このように入口で前記料金が課金されたかどうかに応じて、その有料道路の出口でETC専用レーンを通過する必要があるかどうかに関する案内を行うための手段としての役割も果たすように構成されている。
【0042】
より具体的には、課金待ち記憶部47は、有料道路の入口を通過したときに料金が課金されなかった場合にこの入口の通過を記憶するように構成されている。また、ETC接近判定部45は、現在位置に基づいて、有料道路の出口を通ろうとすることを検出するための手段としての役割も果たすように構成されている。また、第2の案内部43は、このように有料道路の出口を通ろうとするときに、課金待ち記憶部47に入口の通過が記憶されている場合、ETC専用レーンから出るべきことを案内するための手段としての役割も果たすように構成されている。
【0043】
〔1−2−4.料金関連情報の記憶と出力に関する構成〕
また、料金関連情報記憶部48は、ETC処理部13によって処理された料金関連情報を、自車の走行に関する情報である走行記録と関連づけて記憶するための記憶手段である。また、料金関連情報出力部49は、このように料金関連情報記憶部48に記憶された料金関連情報及び走行記録とを出力するための手段である。なお、ここで走行記録とは、ナビゲーションシステムによるナビゲーションから得られる情報であり、例えば現在位置、現在時刻、目的地を設定した地点からの走行距離、走行時間、目的地までの距離などであり自由に決めることができるが、ここでは少なくとも、料金関連情報が処理された時点において計算された自車の現在位置を含むものとする。
【0044】
なお、メインCPU及びその周辺回路4は、図示はしないが、上記の他に、与えられた目的地までの経路の計算その他の必要な処理を行うように構成されている。
【0045】
〔2.作用〕
上記のように構成された本実施形態は、次のように作用する。
〔2−1.ETC設置情報に基づく案内〕
まず、本実施形態では、通ろうとする料金所にETCの設備があることが、CD−ROM制御部12によってデータベースから読み出されるETC設置情報から予めわかっていれば、ETC接近判定部45が、このETC設置情報と、現在位置と、に基づいて、ETCの設備がある有料道路の特に料金所を通ろうとすることを判定する。この場合、第2の案内部43は、通ろうとする料金所にETCの設備があることや、ETC専用レーンが右寄りか左寄りかといったレーンの位置など、ETCに関する案内を行う。
【0046】
〔2−2.新規ETC設置情報の記憶と案内〕
しかし、ETCが普及に伴って次々と新しい料金所に設置されるためデータベースの更新が追い付かない場合などは、料金所に実際にはETC専用レーンが設置されているにもかかわらず、ETC専用レーンを通るように案内できない事態が発生する。このような場合、ETC設置情報ではETCの設備がないはずの料金所で、実際に通ってみるとETC専用レーンができていた、ということになる。そこで、本実施形態では、新しいETC設置情報を記憶し、次回以降はそれに基づいて案内を行う。
【0047】
ここで、図2は、有料道路入口料金所に設置された路上機のアンテナ(料金所アンテナと呼ぶ)Aと、ETC専用レーンを通過する自車CのETC処理部13とが、無線通信によって入口情報などの料金関連情報をやり取りする状態を示す概念図である。また、図3は、ETC設置情報ではまだETCの設備がないはずの有料道路入口料金所で、このようにETC処理部13が入口情報を受信した場合の処理手順を示すフローチャートである。
【0048】
すなわち、ETC設置情報ではまだETCの設備がないはずの有料道路入口料金所で、このようにETC処理部13が入口情報を受信すると(ステップ31)、まず、収受方式判定部46が、この入口で料金を課金されたかどうかに応じて、その有料道路における料金収受方式(課金方式とも呼ぶ)を判定する。
【0049】
すなわち、入口で課金されなければ入口発券出口収受方式の有料道路であり(ステップ32)、入口で課金された場合は単純収受方式の有料道路であるから、追加ETC設置情報記憶部44は、このように判定された入口発券出口収受方式(ステップ33)又は単純収受方式(ステップ34)の別と共に、有料道路入口料金所に、ETCの設備が設置されていることを、現在位置に対応する位置情報すなわち道路情報に関連づけた追加のETC設置情報として記憶する(ステップ33,34)。ただし、このような料金収受方式の判定や記憶は必須ではなく、ETCが設置されている入口料金所の位置だけをETC設置情報として記憶してもよい。
【0050】
そして、これ以降、ETC接近判定部45は、上記のように追加ETC設置情報記憶部44に記憶された位置情報に対応する有料道路を通ろうとする場合も、そのことを判定する。ここで、図4は、追加ETC設置情報記憶部44に記憶されたETC設置情報に基づいてETCに関する案内を行う場合の処理手順を示すフローチャートである。
【0051】
すなわち、予め計算された目的地までの経路中に、追加ETC設置情報記憶部44に記憶されたETC情報に対応する有料道路入口が含まれている場合、この経路に沿って自車を誘導中、ETC接近判定部45は、自車が記憶した入口に来たことを判定する(ステップ41)。
【0052】
このとき、第2の案内部43は、追加ETC設置情報記憶部44内のETC設置情報に含まれる道路情報に関連づけて、課金方式が記憶されていない場合は(ステップ42)、入口のETC専用レーン(ETC専用入口とも呼ぶ)を通過するように使用者に案内する(ステップ43)。また、このとき、有料道路の入口についてETC設置情報自体が存在しない場合は、従来と同様に、有料道路に入るべきことだけを案内するようにしてもよい。
【0053】
また、ステップ42の判定において、課金方式も記憶されている場合は、課金方式が入口発券出口収受方式か単純収受方式かの判定(ステップ44)に応じて、ETC専用入口を通過するように案内すると共に(ステップ45,46)、入口発券出口収受方式であること(ステップ45)又は単純収受方式であること(ステップ46)を使用者に知らせる。
【0054】
〔2−3.料金収受方式に応じた出口の案内〕
また、本実施形態では、課金待ち記憶部47のフラグを使って、料金収受方式に応じた出口の案内を行う。まず、図5は、入口情報を受信したときに料金収受方式を判定しフラグを操作する処理手順を示すフローチャートである。すなわち、図2に示したように料金所の入口を通過した時、入口情報を受信すると(ステップ51)、収受方式判定部46が、入口で課金されたかどうかに応じて料金収受方式を判定する(ステップ52)。
【0055】
また、課金待ち記憶部47は、ETCが設置された有料道路の入口を通過したときに料金が課金されたかどうかを記憶するが、ここでは、料金が課金されなかった場合にこの入口の通過を記憶するものとする。すなわち、入口情報を受信してときに課金されなければ入口発券出口収受方式の有料道路なので、課金待ち記憶部47は、入口通過課金待ちフラグをセットする(ステップ53)。一方、入口で課金された場合は単純収受方式の有料道路なので入口通過課金待ちフラグをクリアする(ステップ54)。
【0056】
ここで、入口通過課金待ちフラグは、有料道路のETC専用入口を通過したがまだ課金されていないために、出るときは出口料金所のETC専用レーン(ETC専用出口と呼ぶ)を通るべきことを表すフラグであり、その役割は、従来技術において、運転車が受け取った通行券を目に付きやすいところに置いておくことにあたる。
【0057】
次に、図6は、このような入口通過課金待ちフラグの状態に応じて、出口に関する案内をする場合の処理手順を示すフローチャートである。すなわち、予め計算された経路が、高速道路などの有料道路から一般道へ出るように誘導する部分を含む場合、このような経路にしたがって誘導中、有料道路から一般道への出口案内をするポイントに自車が到達すると、ETC接近判定部45は、現在位置に基づいて、有料道路の出口を通ろうとしていることを検出する(ステップ61)。
【0058】
この場合、第2の案内部43は、入口で前記料金が課金されたかどうかに応じて、その有料道路の出口でETC専用レーンを通過する必要があるかどうかに関する案内を行うことによって、運転者を出口に誘導する。ここでは、第2の案内部43は、課金待ち記憶部47に入口の通過が記憶されている場合、ETC専用レーンから出るべきことを案内するものとする。
【0059】
すなわち、第2の案内部43は、課金待ち記憶部47の入口通過課金待ちフラグがセットされているかどうかを判定し(ステップ62)、セットされていれば、入口通過課金待ちフラグをクリアしたうえ(ステップ63)ETC専用出口を通過するように指示案内を行う(ステップ64)。一方、課金待ち記憶部47の入口通過課金待ちフラグがセットされていなければ、ETC専用出口に限定しない通常の誘導案内を行う(ステップ65)。
【0060】
〔2−4.料金関連情報の記憶と出力〕 また、本実施形態では、ETCの料金関連情報を走行記録と共に記憶し、後で出力することができる。ここで、ETC処理部13によって処理される料金関連情報には、入口情報や料金情報があるが、ここでは、ETC処理部13が路上機から受信した料金情報を走行記録(走行データとも呼ぶ)とともに記録するものとし、この処理手順を示すフローチャートを図7に示す。
【0061】
すなわち、料金関連情報記憶部48は、料金情報の受信を適宜チェックし(ステップ71)、ETC処理部13が料金情報を受信すると、この料金情報を、自車の走行に関する情報である走行データと関連づけて記憶する(ステップ72)。
【0062】
ここで走行データとは、ナビゲーションシステムによるナビゲーションから得られる情報であり、例えば現在位置、現在時刻、目的地を設定した地点からの走行距離、走行時間、目的地までの距離などであり自由に決めることができるが、ここでは少なくとも、料金関連情報が処理された時点において計算された自車の現在位置を含むものとする。
【0063】
そして、このように料金関連情報記憶部48に記憶された料金関連情報及び走行記録は、後でいつでも料金関連情報出力部49から出力することができる。
【0064】
〔3.効果〕
以上のように、本実施形態では、第2の案内部43などの作用により、通ろうとする料金所にETCの設備があることやETC専用レーンが右寄りか左寄りかといった案内が行われる。このため、運転者は、これから通過する料金所がETCの設備を備えているかどうか、ETC専用レーンがどこか、といった判断を自分で行なう必要がなく、ETCの利用が容易になり、運転の安全性も一層向上する。
【0065】
また、本実施形態では、高速道路等の有料道路について、ナビゲーションシステムのデータベースに予めETC設置情報がなく、ETCの設備があることが予めわからない場合でも、追加ETC設置情報記憶部44、ETC接近判定部45、第2の案内部43などの作用により、料金所入口で車載機が動作し、ETCの入口情報や料金情報を受信すると、その位置を座標や道路の情報と関連付けて記憶する。
【0066】
そして、記憶された有料道路についてはそれ以後、計算した目的地までの経路に含まれる場合や、同じ料金所を通ろうとするときはETC専用レーンを通るように音声や表示などで案内する。このため、運転者はETC専用レーンを通ることを予め認識でき、ETCが有効活用できると共に、運転の安全性も一層向上する。
【0067】
特に、本実施形態では、収受方式判定部46などの作用により、入口で課金されたかどうかで料金収受方式を判定して記憶しておき、料金収受方式についても使用者に知らせるので、ETCの利用がよりスムースになる。
【0068】
また、本実施形態では、収受方式判定部46、課金待ち記憶部47などの作用により、入口で料金を課金されたかどうかに応じて、出口でETC専用レーンを通る必要があるかどうかを案内するので、運転者は出口でもETC専用レーンを通るべきかどうかを予め認識しておくことができ、ETCの利用がスムースになると共に、運転の安全性が一層向上する。
【0069】
また、本実施形態では、料金関連情報記憶部48、料金関連情報出力部49などの作用により、ナビゲーションシステムが外部から得た道路利用に関する料金関連情報を、そのときの現在位置といった走行記録と関連付けて記憶及び出力できるので、後日料金情報を確実に確認することができる。
【0070】
特に、本実施形態では、課金された時点の現在位置を料金関連情報と共に記憶しておくことによって、後で、その課金がどの料金所で行われたものかを特定することが容易になる。
【0071】
〔4.他の実施の形態〕
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、次に例示するような他の実施形態も包含するものである。例えば、ETC設置情報に基づく案内は、当初はETC設置情報が全く存在せず、新しいETCに関するETC設置情報に基づいて案内を行う場合だけでなく、有料道路にETCの設備があることが既存のETC設置情報により予めわかっている場合にも適用することが可能である。
【0072】
また、上記実施形態では、入口で課金されなかった場合にそのことを記憶しておき、出口でETC専用レーンを通るべきことを案内する例を示したが、逆に、例えば、入口で課金された場合にそのことを記憶しておき、出口でETC専用レーンを通らなくてよいことを案内したり、課金されてもされなくても記憶し、どちらの場合も出口でETC専用レーンを通るか通らないかを案内するような例も本発明に含まれる。また、ETC用のレーンとは、ETC専用レーンだけでなく、他の収受方式と兼用のレーンも含む。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の実施形態において、自車が有料道路入口料金所を通過しながら、料金所アンテナと無線通信する状態を示す概念図。
【図3】本発明の実施形態において、入口情報を受信した場合に、判定された料金収受方式とともにETC設置情報を記憶する処理手順を示すフローチャート。
【図4】本発明の実施形態において、ETC設置情報に基づいてETC専用入口や料金収受方式を案内する処理手順を示すフローチャート。
【図5】本発明の実施形態において、入口情報を受信した場合に、判定した料金収受方式に応じてフラグを操作する処理手順を示すフローチャート。
【図6】本発明の実施形態において、フラグの状態に応じて出口に関する案内を行う処理手順を示すフローチャート。
【図7】本発明の実施形態において、料金情報を受信し、走行データと共に記憶する処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0074】
1…絶対位置・方位検出部
2…相対方位検出部
3…車速検出部
4…メインCPU及びその周辺回路
M…メモリ群
5…ROM
6…DRAM
7…SRAM
8…VRAM
9…ユーザインタフェース部
10…表示部
11…入力部
12…CD−ROM制御部
13…ETC処理部
41…現在位置計算部
42…案内部
43…第2の案内部
44…追加ETC設置情報記憶部
45…ETC接近判定部
46…収受方式判定部
47…課金待ち記憶部
48…料金関連情報記憶部
49…料金関連情報出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載して道案内を行うためのナビゲーションシステムにおいて、
前記車両の現在位置を計算するための手段と、
車両の外部と通信することによって有料道路のETCによる料金に関する料金関連情報を処理するための料金処理手段と、
前記料金処理手段によって処理された前記料金関連情報を、前記車両の走行に関する情報である走行記録と関連づけて記憶するための記憶手段と、
記憶された前記料金関連情報及び前記走行記録を出力するための手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記走行記録は少なくとも、前記料金関連情報が処理された時点において計算された前記車両の現在位置を含むことを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
車両において道案内を行うためのナビゲーション方法において、
前記車両の現在位置を計算するためのステップと、
車両の外部と通信することによって有料道路のETCによる料金に関する料金関連情報を処理するための料金処理ステップと、
前記料金処理ステップによって処理された前記料金関連情報を、前記車両の走行に関する情報である走行記録と関連づけて記憶するためのステップと、
記憶された前記料金関連情報及び前記走行記録を出力するためのステップと、
を含むことを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項4】
前記走行記録は少なくとも、前記料金関連情報が処理された時点において計算された前記車両の現在位置を含むことを特徴とする請求項3記載のナビゲーション方法。
【請求項5】
コンピュータを使って、車両において道案内を行うためのナビゲーション用ソフトウェアを記録した記録媒体において、
そのソフトウェアは前記コンピュータに、
前記車両の現在位置を計算させ、
車両の外部と通信することによって有料道路のETCによる料金に関する料金関連情報を処理させ、
処理された前記料金関連情報を、前記車両の走行に関する情報である走行記録と関連づけて記憶させ、
記憶された前記料金関連情報及び前記走行記録を出力させることを特徴とするナビゲーション用ソフトウェアを記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−85962(P2009−85962A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293953(P2008−293953)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【分割の表示】特願平11−109945の分割
【原出願日】平成11年4月16日(1999.4.16)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】