説明

ナビゲーション装置およびそのプログラム

【課題】提示した経路探索結果に対して納得させることができ、かつストレスを感じさせずに安全運転を支援するナビゲーション装置およびそのプログラムを提供する。
【解決手段】経路探索をするための情報を格納する記憶手段12と、記憶手段12に格納された情報から各ノード間のリンクコストを算出するリンクコスト算出手段15と、リンクコスト算出手段15により算出されたリンクコストに基づいて複数の経路より一の経路を選択する経路探索手段16と、経路探索手段16によって選択されなかったノードのリンク切断要因に関連する情報および/またはリンクが切断されたノード区間に関連する情報を抽出して格納するリンク切断要因・区間格納手段17と、リンク切断要因・区間格納手段17により抽出して格納された情報を出力して表示する入出力表示手段13と、を有するナビゲーション装置10とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置において、たとえば車に使用されるカーナビゲーション装置の経路探索方法には、有料道路優先、一般道路優先、有料道路回避、距離優先、時間優先等がある。また、歩行ナビゲーション装置の経路探索方法には、距離優先、屋根の多い道路優先、階段が少ない道路優先、坂道のなだらかな道路優先等がある。このような経路探索方法を採用したナビゲーション装置を使用するユーザーは、自分の知っている道より遠回りとなる結果が当該ナビゲーション装置から提示されると、提示されたルートに対してなぜそのようなルートが提示されるのかという疑義が生じる。更に、このような疑義が一度生じてしまうとそのユーザーの知っている情報が正しいか否かに関わらず、当該ナビゲーション装置の性能に対しても不信感を募らせるため、CS(Customer Satisfaction:顧客満足)の観点から好ましくない。このような状況を未然に防止するため、特定区間の経路について設定条件を変更しながら経路探索を完結させる区間条件設定機能を備えたカーナビゲーション装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−200981号公報(特許請求の範囲、発明の実施の形態、段落0017など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているカーナビゲーション装置は、特定区間の道路条件について十分な情報を持っているユーザーでなければ、上述した区間条件設定機能を用いて適切に設定し直すことができない。また、仮に特定区間の道路条件について十分な情報を持っているユーザーであっても、交通規制や混雑状況などは時々刻々とダイナミックに変化するため、知り得ない情報が存在する場合もある。したがって、特定区間の道路条件について十分な情報を持っていないユーザーであるか否かに関わらず、提示された経路に対して何らかの疑問を抱いてそれを解消することができないときは、ストレスとなって間接的に安全運転上の支障をきたす恐れがある。
【0005】
本発明の目的は、このような課題を解決すべく、ユーザーが特定区間の道路条件について十分な情報を持っているか否かに関わらず、提示した経路探索結果に対して納得させることができ、かつストレスを感じさせずに安全運転を支援するナビゲーション装置およびそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述した目的を達成するために、経路探索をするための情報を格納する記憶手段と、記憶手段に格納された情報から各ノード間のリンクコストを算出するリンクコスト算出手段と、リンクコスト算出手段により算出されたリンクコストに基づいて複数の経路より一の経路を選択する経路探索手段と、経路探索手段によって選択されなかったノードのリンク切断要因に関連する情報および/またはリンクが切断されたノード区間に関連する情報を抽出して格納するリンク切断要因・区間格納手段と、リンク切断要因・区間格納手段により抽出して格納された情報を経路探索結果と共に表示する入出力表示手段と、を有するナビゲーション装置である。
【0007】
他の発明は、経路探索をするための情報を格納する記憶手段と、記憶手段に格納された情報から各ノード間のリンクコストを算出するリンクコスト算出手段と、リンクコスト算出手段により算出されたリンクコストに基づいて複数の経路より一の経路を選択する経路探索手段と、経路探索手段によって選択されなかったノードのリンク切断要因に関連する情報および/またはリンクが切断されたノード区間に関連する情報を抽出して格納するリンク切断要因・区間格納手段と、リンク切断要因・区間格納手段に抽出して格納された情報を出力するように指示する経路探索根拠出力要求手段と、を有するナビゲーション装置である。
【0008】
また他の発明は、上述した発明に加えて、経路探索手段により選択された一の経路を構成する各ノード情報および/または各ノード区間のリンクコストを記憶手段へ格納する探索経路登録保持手段と、探索経路登録保持手段に格納された一の経路が呼び出されたときに一の経路のリンクコストを再計算するリンクコスト再計算手段と、リンクコスト再計算手段に基づいて決定された経路が一の経路と異なることとなったとき、一の経路を構成する各ノードのうちリンクが切断された切断要因に関連する情報および/またはリンクが切断されたノード区間に関連する情報を抽出して格納する経路変更根拠格納手段と、経路変更根拠格納手段により抽出して格納された情報を経路探索結果と共に表示する入出力表示手段と、を有するナビゲーション装置である。
【0009】
また他の発明は、上述した発明に加えて、経路探索手段により選択された一の経路を構成する各ノード情報および/または各ノード区間のリンクコストを記憶手段に格納する探索経路登録保持手段と、探索経路登録保持手段に格納された一の経路が呼び出されたときに一の経路のリンクコストを再計算するリンクコスト再計算手段と、リンクコスト再計算手段に基づいて決定された経路が一の経路と異なることとなったとき、一の経路を構成する各ノードのうちリンクが切断された切断要因に関連する情報および/またはリンクが切断されたノード区間に関連する情報を抽出して格納する経路変更根拠格納手段と、経路変更根拠格納手段により抽出して格納された情報を出力するように指示できる経路探索根拠出力要求手段と、を有するナビゲーション装置である。
【0010】
また他の発明は、上述したナビゲーション装置のいずれか一つの装置として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ユーザーが特定区間の道路条件について十分な情報を持っているか否かに関わらず、提示した経路探索結果に対して納得させることができ、かつストレスを感じさせずに安全運転を支援するナビゲーション装置およびそのプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る第1の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る第1の実施形態であるカーナビゲーション装置10の概要構成を示したブロック図である。
【0013】
図1に示すようにカーナビゲーション装置10は、演算制御手段11と、記憶手段12と、入出力表示手段13と、自己位置検出手段14と、リンクコスト算出手段15と、経路探索手段16と、リンク切断要因・区間格納手段17と、を有する。以下、カーナビゲーション装置10を構成する各手段について説明する。
【0014】
演算制御手段11は、カーナビゲーション装置10を搭載している車両の現在地についての算出処理,地図の描画処理,目的地検索処理,経路検索処理などの各種演算処理や、それらの各処理の制御処理を行なう機能を備えている。演算制御手段11を構成するものとして、たとえばCPU(Central Processing Unit)などが具体例として挙げられる。
【0015】
記憶手段12は、道路網の様々な情報を格納する機能を備えている。たとえば、高速自動車国道,都市高速道路,一般国道,主要地方道,一般都道府県道,市町村道,農道,林道などの道路種別情報、車線数,歩道の有無,交通規制,渋滞具合などの道路属性情報と、Mランク(自動車専用道路),Sランク(とても走りやすい),Aランク(走りやすい),Bランク(やや走りやすい),Cランク(やや走りにくい),Dランク(走りにくい)といった走りやすさのランク情報、全長,全幅,全高などの車両情報、「幅の広めの一車線道路を好む」,「複数車線道路を好む」などのドライバーの特性情報等を格納している。これらの情報は、後述するリンクコストを決定する要素として用られる。なお、記憶手段12を構成するものとして、たとえばハードディスク,フレキシブルディスク,USB(Universal Serial Bus)メモリなどの外部記憶装置や、磁気テープ,CD(Compact Disc),MD(Mini Disk),DVD(Digital Versatile Disk),光ディスクなどの外部記憶媒体、ROM(Read Only Memory)、RAM(Randam Access Memory)などが具体例として挙げられる。
【0016】
入出力表示手段13は、地図や案内情報を出力表示する機能や、カーナビゲーション装置10を操作するための信号を入力する機能を備えている。入出力表示手段13は、たとえばディスプレイやタッチパネル、これらの画面上に表示されたブラウザ,ウィンドウ,ラジオボタン,アイコンなどが具体例として挙げられる。
【0017】
自己位置検出手段14は、カーナビゲーション装置10を搭載している車両の位置を検出する機能を備えている。自己位置検出手段14は、GPS(Global Positioning System),ジャイロスコープ(gyroscope),車速パルスなどのカーナビゲーションに用いられる加速度センサが具体例として挙げられる。
【0018】
リンクコスト算出手段15は、選択可能な地点のリンクコストをそれぞれの区間において算出する機能を備えている。ここでリンクコストとは、道路を構成するそれぞれの地点間の各種情報を加味した相対的な数値情報である。たとえば、上述した道路種別情報,道路属性情報,走りやすさのランク情報,車両情報,ユーザーの特性情報などから各地点間のリンクコストを算出する。なお、リンクコストの具体的な算出方法については本発明の主旨から外れるため、割愛する。
【0019】
経路探索手段16は、スタート地点と目的地(ゴール地点)を取得して、リンクコスト手段15によって算出されたリンクコストに基づいて当該区間におけるリンクコストが最も小さくなる経路(ある設定条件下における経路の中でもっとも条件を満たす経路=最短となる経路)を求める機能を備えている。また、経路探索手段16は、自己位置検出手段14により取得した座標データ(スタート地点)と、入出力表示手段13によって指示された目的地情報(ゴール地点)を取得した時点で最短経路探索処理を開始する機能を備えている。また、スタート地点は上記データ以外に入出力表示手段13をユーザーが直接操作して、入力された地点情報や座標データとしてもよい。
【0020】
リンク切断要因・区間格納手段17は、経路探索手段16による探索でリンク切断要因となった情報と、リンク切断該当区間情報を抽出して記憶手段12に格納する機能を備えている。具体的な処理の説明については、続いて行なうカーナビゲーション装置10の動作説明の中で説明する。
【0021】
なお、上述した自己位置検出手段14、リンクコスト算出手段15、経路探索手段16、リンク切断要因・区間格納手段17が行なう情報処理は、それぞれ演算制御手段11,記憶手段12,入出力表示手段13といったハードウェア資源を用いて実行され、演算処理、制御処理、記憶処理、入出力処理といった各種の処理を行ない、協働して動作することによりカーナビゲーション装置10を構成している。また、自己位置検出手段14、リンクコスト算出手段15、経路探索手段16、リンク切断要因・区間格納手段17は、上記のハードウェア資源において各種のデータ・プログラムが実行されることにより機能的に実現されるが、専用の処理回路によって実現するようにしてもよい。
【0022】
続いて、上述した各手段に基づいて本発明の第1の実施形態に係るカーナビゲーション装置10の動作説明を行なう。なお、本発明の第1の実施形態であるカーナビゲーション装置10はダイクストラ法に基づく経路の探索処理方法を採用している。しかし、本実施形態の各手段は、その探索処理の結果として生成されるリンクツリーに対応した情報処理を実現するために構築される。したがって、ダイクストラ法そのもののアルゴリズムについての詳細な説明は本発明の主旨から外れるため、割愛する。
【0023】
図1に示す記憶手段12には、上述した最短経路探索処理を行なうにあたって必要なデータが蓄積されており、これらのデータに基づいて、有料道路優先、一般道路優先、有料道路回避、距離優先、時間優先等の条件設定されたいくつかのカテゴリ規準に基づいてリンクコストを算出して、最短経路探索処理を実行していく。その処理過程においていくつかの候補となる経路が生成される。
【0024】
はじめに上述した条件設定の詳細については考えずに、単純にリンクコストが算出された後の最短経路探索処理について説明する。図2は、単純モデル化したある道路網を示す図である。図3は、図2で示す道路網についてダイクストラ法に基づいた最短経路探索処理結果を示す図である。
【0025】
以下に、カーナビゲーション装置10の入出力表示手段13に経路探索処理結果が提示されるまでの過程を説明する。図2に示す道路網では、経路探索処理過程で候補となるスタート地点Bからゴール地点Gまでのルートは、下記〔1〕〜〔6〕の6つの経路が考えられる。下記の通り、各ルートの矢印の下に該当リンクコストを明示してそれぞれの総和を求めると、
〔1〕B → A → C → E → G
2 + 2 + 1 + 2 =7
〔2〕B → D → C → E → G
1 + 4 + 1 + 2 =8
〔3〕B → D → E → G
1 + 3 + 2 = 6
〔4〕B → D → E → F → J → G
1 + 3 + 3 + 2 + 1 =10
〔5〕B → D → F → J → G
1 + 6 + 2 + 1 =10
〔6〕B → D → F → E → G
1 + 6 + 3 + 2 =12
となり、〔3〕の経路が最もリンクコストが小さくなる。したがって、カーナビゲーション装置10の入出力表示手段13から、図3に示すように〔3〕の経路である「B→D→E→G」のルートが最短の経路探索処理結果として提示される。
【0026】
続いて、図2で示した道路網にダイナミックに交通規制が発生してリンクコストが変化した場合を考える。図4は、図2で示したある道路網に特定の状況変化が生じた図である。具体的にはA−C間で工事による通行規制が実施されており、D−E間、E−G間に大渋滞が発生して走行時間が過大になったという状況を想定している。図5は、図4で示した特定の状況変化が生じたある道路網についてダイクストラ法に基づいた最短の経路探索結果を示す図である。
【0027】
リンクコストが変更になった地点およびリンクコストの総和が変化したルートについては下線を引いて表すものとして、それぞれの総和を前述した〔1〕〜〔6〕の経路におけるリンクコストの総和を計算したときと同様に求めると、
〔11〕B → A → C → E → G
2 + 7 + 1 + 8 =18
〔12〕B → D → C → E → G
1 + 4 + 1 + 8 =14
〔13〕B → D → E → G
1 + 9 + 8 = 18
〔14〕B → D → E → F → J → G
1 + 9 + 3 + 2 + 1 =16
〔15〕B → D → F → J → G
1 + 6 + 2 + 1 =10
〔16〕B → D → F → E → G
1 + 6 + 3 + 8 =18
となり、〔15〕の経路が最もリンクコストが小さくなる。したがって、図5に示すようにカーナビゲーション装置10の入出力表示手段13から、この〔15〕の経路である「B−D−F−J−G」のルートが経路探索処理結果として提示される。
【0028】
図6は、図5に示す最短経路探索処理によりリンクが切断された地点を除いて整理したリンクツリーを示す図である。図8および図9は、図6で示すリンクツリーに対応したリンクツリーコントロールテーブルを示す図である。
【0029】
カーナビゲーション装置10では、図6に示すリンクツリーに対応した各リンクツリーコントロールテーブルが生成される。なお、ここでリンクツリーとは、ダイクストラ法による経路探索により生成された最短ルートを概念的に示したものである。また、リンクツリーコントロールテーブルとは、そのリンクツリーに対応してカーナビゲーション装置10内で生成される論理構造データである。したがって、記憶手段12には、図8及び図9に示すリンクツリーコントロールテーブルの論理構造データと共に、論理構造データにしたがって各地点に関連する情報が格納されることになる。なお、以下の説明では経路探索上の各地点のことを「ノードA、ノードB、ノードC・・・」という形式で表現し、ノードが格納される各論理アドレスについては「アドレス記号×××××」という表現形式を用いて説明する。
【0030】
図7は、リンクツリーコントロールテーブル20の基本構造を説明するための図である。リンクツリーコントロールテーブル20は、各ノードに対応して生成される論理構造データである。個々のノードのリンクツリーコントロールテーブル20は、図7に示すようにヘッダ部21と複数のリンクエントリ部22から構成される。リンクツリーコントロールテーブル20では、ヘッダ部21がはじめに生成される。そして、ヘッダ部21が生成された後に、はじめてリンクエントリ部22を複数生成することができる。なお、これらの論理構造データは、カーナビゲーション装置10の演算処理手段11を用いて生成または更新され、記憶手段12に適切に格納される。以下の説明においてもこのような情報処理が適宜なされていることを前提に説明する。
【0031】
ヘッダ部21は、主にノード属性情報を格納するための領域であり、図7に示すように4つのパラメータから構成される。すなわちヘッダ部21は、ノード自体を識別する「ノードID」(アドレス記号0LHNID)と、当該ノードに接続されている他のノードの数を示す「リンク数n」(アドレス記号0LHNoL)と、当該ノードの前ノードのアドレスを示す「前ノードリンクテーブルポインタBP1」(アドレス記号0LHBP)と、当該ノードに接続されている他のノードがすべて切断されているか否かを判別するための「全リンク切断フラグF」(アドレス記号0LHF)と、から構成される。
【0032】
リンクエントリ部22は、主に当該ノードに関連するノード情報について格納される領域であり、当該ノードに接続されているリンクに対応してその数だけ生成される。リンクエントリ部22は、図7に示すように4つのパラメータで構成される。すなわち、リンクエントリ部22は、当該ノードの次に接続されているノードを示す「次ノードID」(アドレス記号0LLE1−1)と、次ノードIDによって構成されるリンクツリーコントロールテーブルの先頭アドレスを示す「次ノードリンクテーブルポインタ」(アドレス記号0LLE1−2)と、最短経路探索処理過程において次のノードへのリンクの接続有無を格納する「次リンク評価結果フラグ」(アドレス記号0LLE1−3)と、リンク切断に至った理由を格納する「次リンク評価結果内容」(アドレス記号0LLE1−4)と、から構成される。なお、次リンク評価結果内容に格納されるリンク切断理由についてはリンクコストを形成する要因の大きいものから一つまたは複数個を格納することができる。また、その格納できる個数は別途定義してもよい。更に経路探索をおこなった結果求められたリンクコストの総和に対して上述した要因が占めるリンクコストの割合に所定の閾値を設定して、その所定の閾値以上であるリンクコストの値をもつ要因であれば次リンク評価結果内容に格納するといった方法を採用してもよい。
【0033】
続いて、ダイクストラ法に基づく最短経路探索処理フローについて図27を参照しながら説明する。図27は、ダイクストラ法に基づく最短経路探索処理フローを簡単に示した図である。
【0034】
まず、経路探索手段16は、スタート地点とゴール地点が決定されると経路探索処理を開始する(START)。
【0035】
経路探索手段16は、スタート地点に接続されているノードのリンクコストをリンクコスト算出手段15によって算出された値を参照して設定する。なお、スタート地点のリンクコストは「0」と設定し、他のノードのリンクコストは最大値(∞)と設定する(ステップS1)。
【0036】
そして、経路探索手段16は、スタート地点のノードからミニマムリンクコストであるノードを決定する(ステップS2)。
【0037】
続いて、経路探索手段16は、スタート地点からのリンクコストの総和を算出して、経路比較を行い、不要なリンクを切断する(ステップS3)。
【0038】
最後に、経路探索手段16は、未確定ノードのなかでミニマムリンクコストであるノードを確定ノードとする(ステップS4)。
【0039】
経路探索手段16は、上述したステップS1〜ステップS4までの処理を目的地(ゴール地点)のノードにたどり着くまで繰り返す(ステップS5)。
【0040】
一方、ステップS1〜ステップS5に示す処理に対応して、経路探索手段16は、各ノードのリンクツリーコントロールテーブルを構成する図示しないヘッダ部とリンクエントリ部を生成、または更新する。そして、経路探索手段16は、最終的に上述した図6に示すリンクツリーに対応した図8および図9に示すリンクツリーコントロールテーブルを生成する。以下に、図8および図9に示すリンクツリーコントロールテーブルが生成されるまでの処理過程を具体的に説明する。
【0041】
図10は、図4に示した道路網であり、最短経路探索処理結果を単純モデル化して示した図である。図10に示すようにノードBのリンクコストは、スタート地点であるため「0」と設定される。また、他のノードのリンクコストは、「最大値(∞)」として設定される。
【0042】
図11は、図10に示す最短経路探索処理結果に次の処理ステップ(S1)を反映した図である。この処理ステップでは、スタート地点であるノードBに接続されている各ノードのリンクコストを求める。すなわちノードBに接続されているノードは、図11に示すようにノードAとノードDであるから、ノードAとノードDのリンクコストを求める。図11よりノードDのリンクコストは「1」、ノードAのリンクコストは「2」である。なお、これらのリンクコストは、上述したリンクコスト算出手段15により算出されて記憶手段12に適切に格納されているものとする。
【0043】
図18は、スタート地点であるノードB、ノードBに接続されているノードD、ノードBに接続されているノードAの各リンクツリーコントロールテーブルを示す図である。
【0044】
図18に示される各リンクツリーコントロールテーブルは、上述した図11に示す最短経路探索処理結果までを反映した図である。以下、ノードBのリンクツリーコントロールテーブル30、ノードDのリンクツリーコントロールテーブル40、ノードAのリンクツリーコントロールテーブル50について具体的に説明する。
【0045】
図18に示すノードBのヘッダ部31におけるノードID(アドレス記号0LHNID)には、ノードID=Bが格納されている。リンク数n(アドレス記号0LHNoL)には、「2」が格納されている。これはノードBに、ノードAとノードDが接続されているため、リンクエントリ(接続)が2つ存在することを宣言(意味)している。前ノードリンクテーブルポインタ(アドレス記号0LHBP)には、初期値である「0」が格納されている。ノードBは、スタート地点のノードであり、前リンクが存在しないためである。なお、カーナビゲーション装置10のプログラミング規約に則って設定されていればこの値は何でも良いことは言うまでもない。全リンク切断フラグF(アドレス記号0LHF)には、初期値である「0」が格納されている。なお、ノードBへのリンク全てが未接続または切断されているときに「切断」と、一つのノードでもノードBへ接続されていれば「接続」という値に変更される。このようにしてリンクツリーコントロールテーブル30のヘッダ部31について生成が行なわれる。
【0046】
次に、ノードBのリンクエントリ部32について生成が行なわれる。リンクエントリ部32は、上述したリンク数n(アドレス記号0LHNoL)に格納されている値「2」に従って、2エントリ生成される。一つ目のエントリである次ノードID(アドレス記号0LLE1−1)には、次ノードを示すDが格納されている。二つ目のエントリである次ノードID(アドレス記号0LLE2−1)には、次ノードのID=Aが格納されている。
【0047】
続いて、リンクツリーコントロールテーブル40のヘッダ部41が生成される。そして、リンクツリーコントロールテーブル30の次ノードリンクテーブルポインタ(アドレス記号0LLE1−2)には、アドレス記号1LHNIDが格納される。これによりノードBのリンクツリーコントロールテーブル30とノードDのリンクツリーコントロールテーブル40とのコントロールテーブルリンクが確立される。
【0048】
ヘッダ部31の次リンク評価結果フラグ(アドレス記号0LLE1−3)には、ノードID=Dのヘッダ部41が生成されたため、初期値である「0」から「接続」に値が変更される。次リンク評価結果内容(アドレス記号0LLE1−4)は、次ノードのリンク評価をしていないため、初期値の「0」が格納されている。
【0049】
一方、前述のノードID=Dのヘッダ部41におけるリンク数(アドレス記号1L1HNoL)は、まだヘッダ部41のみしか生成されていないため、初期値である「0」が格納される。ヘッダ部41の前ノードリンクテーブルポインタ(アドレス記号1L1HBP)には、ノードID=Bのテーブルの先頭アドレス記号0LHNIDが格納される。これにより、ノードBのリンクツリーコントロールテーブル30とノードDのリンクツリーコントロールテーブル40とのリバースリンクが確立される。尚、全リンク切断フラグ(アドレス記号1LHF)は、この時点で図示しないリンクエントリ部が生成されていないため、初期値である「0」が格納される。続いて、ノードID=Aのリンクツリーコントロールテーブル50のヘッダ部51が生成されるが、ノードID=Dのヘッダ部41と同様に生成されるため、生成の詳細な説明は割愛する。
【0050】
図12は、図11に示す最短経路探索処理結果に次の処理ステップ(S2)を反映した図である。この処理ステップではノードBからリンクコストが最小(ミニマムリンクコスト)となるノードを求める。すなわち、ノードBからのリンクコストが最小となるノードを確定ノードとする処理である。図11に示すようにノードAのリンクコストが「2」であり、ノードDのリンクコストが「1」であるため、ミニマムリンクコストとなるノードすなわち確定ノードは、ノードDとなる。このように、最小のリンクコストとなるノードを確定ノードとしていくことで、最短経路を決定していく。
【0051】
図13は、図12に示す最短経路探索処理結果に次の処理ステップ(S3)を反映した図である。この処理ステップでは、ノードDに接続されている各ノードについてスタートノードBからのリンクコストを求める。すなわち、ノードC,ノードE、ノードFについてノードBからのリンクコストを算出する処理である。図13に示すようにノードCが1+4=5、ノードEが1+9=10、ノードF1+6=7である。
【0052】
図19は、図10〜図13に示す最短経路探索処理結果を反映した各リンクツリーコントロールテーブルを示す図である。なお、図18ではノードID=Dのリンクツリーコントロールテーブル40はヘッダ部41のみまでしか生成されていない。しかし、この時点でリンクエントリが3エントリ(次ノードID=C リンクエントリ部42、次ノードID=E リンクエントリ部43、次ノードID=F リンクエントリ部44)生成される。
【0053】
生成プロセスは、図18を参照して説明したノードID=Bのリンクエントリ部32と同様であるため割愛する。この時点では各エントリの次ノードリンクテーブルポインタ(1L1LE1−2、1L1LE2−2、1L1LE3−2)には、いずれも初期値である「0」が格納されている。
【0054】
また、次リンクの評価結果フラグ(1L1LE1−3、1L1LE2−3、1L1LE3−3)には、次ノードのヘッダも作成されていないため、いずれも初期値の「0」が格納されている。そして、3つのリンクエントリ部42,43,44が生成されると、ヘッダ部41のリンク数(アドレス記号1L1HNoL)が0から3に更新される。
【0055】
また、全リンク切断フラグ(アドレス記号1L1HF)には、初期値の「0」を「接続」に更新される。なお、ノードID=Aのリンクツリーコントロールテーブル50は、図18で生成したヘッダ部51のみであり、格納されている値は更新されない。
【0056】
図14は、図13に示す最短経路探索処理結果に次の処理ステップ(S3)を反映した図である。この処理ステップでは、スタート地点から接続されている各確定ノードに接続されている未確定ノードの中でミニマムリンクコストであるノードを決定する。まず、この時点で上記の条件を満たすノードは、ノードAおよびノードCである。ここで、更にミニマムリンクコストであるノードは、ノードAのリンクコストが「2」で、ノードCのリンクコストが「5」であるからノードAである。したがって、ノードAを確定ノードとして決定する。なお、ここで未確定ノードとは、当該ノードの経路探索処理が終了していないノードのことである。
【0057】
図20は、図14に示した最短経路探索処理結果を反映したノードB,ノードD,ノードAの各リンクツリーコントロールテーブルを示す図である。ノードAが確定ノードになったことに伴い、各リンクツリーコントロールテーブルでは次のような更新処理がなされる。図20に示すノードID=Aのリンクエントリ部50が生成され、次ノードID=C(アドレス記号1L2LE1−1)が格納される。リンク数(アドレス記号1L2HNoL)は「1」に更新され、全リンク切断フラグ(アドレス記号1L2HF)は、「0」から「接続」に更新される。
【0058】
図15は、図14に示す最短経路探索処理結果に次の処理ステップ(S3)を反映した図である。この処理ステップでは、ノードAに接続されているノードについてスタート地点であるノードBからリンクコストを計算する。すなわち、図15に示すようにノードAに接続されている未確定ノードはノードCのみであるから、「B―C」間までのリンクコストを考える。ここで、「B―C」間までの選択可能な経路は「B−A−C」ルートと、「B−D−C」ルートの2通りある。それぞれのリンクコストを計算すると、「B−A−C」ルートは「9(2+7)」、「B−D−C」ルートは「5(1+4)」であるから、「B−D−C」ルートが最短となるため、現状を維持することになる。したがって「B−A−C」ルートは不要であるため、「A−C」間のリンクを切断する。
【0059】
図21は、図15に示した最短経路探索処理結果を反映したノードB,ノードD,ノードAの各リンクツリーコントロールテーブルを示す図である。ノードAのリンクエントリ部52の次リンク評価フラグ(アドレス記号1L2LE1−3)は、ノード「A−C」間のリンクが切断されたため初期値の「0」から「切断」に更新される。また、ノードAのリンクエントリ部52の次リンク評価結果内容(アドレス記号1L2LE1−4)には、図1に示した記憶手段12に格納されている地図データ(図示せず)から取得した「工事による通行規制」が格納される。
【0060】
これらの更新処理に伴って、ノードAが全てのリンクから切断されている状態(不活性状態)となる更新処理を行なう必要がある。また、ノードA自身も不活性状態と同等であるため、接続されている全ノードのリンクエントリに対して更新処理を行なう必要がある。すなわち、図21に示すようにノードAのヘッダ部51の全リンク切断フラグ(アドレス記号1L2HBP)を「0」から「切断」に更新され、ノードBのリンクエントリ部33の次リンク評価結果フラグ(アドレス記号0LLE2−3)も「0」から「切断」に更新される。
【0061】
また、それに伴いノードBのリンクエントリ部33の次リンク評価結果内容(アドレス記号0LLE2−4)に「A−C間工事による通行規制」という情報が更新される。なお、このような更新処理を行なうことで、不要ノードの接続情報が残らず、後述するリンク切断根拠・区間を抽出する判定処理において必要な接続ノード情報を参照するだけで、判定することができる。したがって、当該判定処理をより高速化することができる。
【0062】
図16は、図15に示す最短経路探索処理結果に次の処理ステップ(S4)を反映した図である。この処理ステップでは、未確定のノードの中でミニマムリンクコストを決定する。すなわち未確定ノードであって、かつミニマムリンクコストであるノードは、この時点でノードCのみであるからノードCを確定ノードとして決定する。
【0063】
図22は、図16に示した最短経路探索処理結果を反映したノードB,ノードD,ノードA,ノードCの各リンクツリーコントロールテーブルを示す図である。図16を参照して説明したノードCの確定処理は、ノードID=Dからのルートに基づく確定処理である。したがって、図22に示すようにノードID=Dのリンクエントリ部42の次ノードリンクテーブルポインタ(アドレス記号1L1LE1−2)にノードID=Cを示す「2L1HNID」が格納される。
【0064】
また、ノードID=Dのリンクエントリ部42の次リンク評価結果フラグ(アドレス記号1L1LE1−3)を「0」から「接続」に更新される。なお、ノードCのリンクコントロールテーブル60のヘッダ部61は、上述したヘッダ部31、41、51と同様に生成されるため、説明は割愛する。
【0065】
図17は、図16に示す探索処理の次の処理ステップ(一度S5でNoと判断され、S1〜S4を行なう状態)を反映した図である。この処理ステップでは、ノードCに接続されているノードのリンクコストを求める。すなわち、スタート地点のノードBからノードEまでのリンクコストは、「B−D−E」ルートの総和が「10」であり、「B−D−C−E」ルートの総和は「6」であるため、「B−D−C−E」ルートの方が最短経路となる。したがって、「B−D−C−E」ルートのリンクコストの経路を維持し、「D−E」間のリンクを切断する。そして、上述した確定処理と同様に未確定ノードでミニマムリンクコストであるノードEを確定ノードとして決定する。
【0066】
図23は、図17に示した最短経路探索処理結果を反映したノードB,ノードD,ノードA,ノードC,ノードEの各リンクツリーコントロールテーブルを示す図である。図17を参照して説明したノードEの確定処理は、ノードID=Cからのルートに基づく確定処理である。したがって、図23に示すようにノードID=Cのリンクエントリ部47の次ノードリンクテーブルポインタ(アドレス記号2L1LE1−2)にノードID=Eを示す「3L1HNID」を格納して活性化する。また、ノードID=Cのリンクエントリ部47の次リンク評価結果フラグ(アドレス記号2L1LE1−3)を「0」から「接続」に更新する。なお、ノードEのリンクコントロールテーブル48のヘッダ部49は、上述したヘッダ部31、41、46、51と同様に生成されるため、説明は割愛する。
【0067】
なお、この処理時点以降の未確定ノードF、J、Gについての経路探索処理については、図27に示すダイクストラ法に基づく最短経路探索処理フローや上述したリンクツリーコントロールテーブルの生成、更新処理と同様になされるため割愛するが、最終的には図5および図6に示すリンクツリーに対応した図8および図9に示す各リンクツリーコントロールテーブルが生成される。
【0068】
続いて、リンク切断要因・区間を抽出する処理フローの概要について、図28を参照しながら説明する。図28は、リンク切断要因・区間を抽出する処理のフローチャートを示した図である。
【0069】
まず、ユーザーが経路探索結果に疑問を抱いてルート選定の根拠を確認するために、経路探索根拠表示要求アイコンをクリックするなどして経路探索根拠表示要求が行なわれる(START)。
【0070】
すると、図1に示すリンク切断要因・区間格納手段17は、スタートノードのリンクツリーコントロールテーブルにおける「リンク数」を参照する(ステップS10)。
【0071】
リンク切断要因・区間格納手段17は、「リンク数」を参照して得た値だけリンクエントリの次ノード毎に「次リンク評価結果フラグ」の値を参照する(ステップS11)。
【0072】
そして、リンク切断要因・区間格納手段17は、参照した「次リンク評価結果フラグ」の値の判定を行なう(ステップS12)。リンク切断要因・区間格納手段17は、参照した「次リンク評価結果フラグ」の値が「切断」となっていた場合には、「次リンク評価内容」の値を取得して図1に示した記憶手段12に格納する(ステップS14)。一方、リンク切断要因・区間格納手段17は、参照した「次リンク評価結果フラグ」の値が「接続」となっていた場合には、更に「次リンクテーブルポインタ」の値を参照する(ステップS13)。
【0073】
リンク切断要因・区間格納手段17は、「次リンクテーブルポインタ」の値に示されるアドレスにしたがって、次ノードの先頭アドレスを参照して次ノードの「全リンク切断フラグ」の値を参照する(ステップS15)。そして、リンク切断要因・区間格納手段17は、参照した「全リンク切断フラグ」の値の判定を行なう(ステップS16)。
【0074】
リンク切断要因・区間格納手段17は、「全リンク切断フラグ」の値が「切断」となっていた場合には、「次リンク評価内容」の値を取得して図1に示した記憶手段12に格納する(ステップS14)。リンク切断要因・区間格納手段17は、「全リンク切断フラグ」の値が「接続」となっていた場合には、更に当該次ノードの「リンク数」を参照する(ステップS17)。
【0075】
当該次ノードの「リンク数」を参照したリンク切断要因・区間格納手段17は、判定処理を当該次ノードの「次リンク評価結果フラグ」を参照して同様に判定処理を続ける(ステップS11)。
【0076】
このようにして、リンク切断要因・区間格納手段17は、リンク切断要因とリンク切断区間の情報を抽出して各々図1に示した記憶手段12に適切に格納していく。そして図1に示した入出力表示手段13に適切に表示させる。
【0077】
以下に、リンク切断要因・区間格納手段17を用いて格納された情報を利用して、経路探索結果の根拠情報をユーザーに対して提示する処理について図8および図9に示す各リンクツリーコントロールテーブルを参照しながら具体的に説明する。
【0078】
まず、上述した最短経路探索処理により経路探索結果の表示が行なわれ、ユーザーがその経路探索結果に疑義が生じた場合を想定する。なお、カーナビゲーション装置10の入出力表示手段13によって経路探索結果が表示されると共に、図示しない経路探索根拠出力要求手段が表示されているものとする。たとえば、入出力表示手段13は、カーナビゲーション装置10の一部を構成するディスプレイであり、経路探索根拠出力要求手段は経路探索根拠出力要求アイコンがディスプレイに表示されているとする。
【0079】
ユーザーが経路探索結果に疑問を抱いてルート選定の根拠を確認するために、経路探索根拠出力要求アイコンをクリックする。経路探索根拠出力要求アイコンがクリックされると、経路探索根拠出力表示要求信号が生成され、演算制御手段11は、記憶手段12に格納されているリンクツリーコントロールテーブル30のリンク数(アドレス記号0LHNoL)を参照して「2」を得る。
【0080】
これは、スタート地点であるノードBには2つのリンクエントリがあることを示すので、リンクエントリ部32の次ノードについて次リンク評価結果フラグ(アドレス記号0LLE1−3およびアドレス記号0LLE2−3)についてそれぞれリンク切断要因やリンク切断区間情報等を抽出するための判定処理を行なう。
【0081】
まず、次ノードID=Dについての次リンク評価結果フラグ(アドレス記号0LLE1−3)を確認する。次リンク評価結果フラグ(アドレス記号0LLE1−3)に格納されている値は、「接続」であるため、接続されている次ノードについて更に判定処理を行なう。そこで、ヘッダ部31の次ノードリンクテーブルポインタ(アドレス記号0LLE1−2)を確認する。
【0082】
次ノードリンクテーブルポインタ(アドレス記号0LLE1−2)は、アドレス記号「1LHNID」となっているため、ノードID=Dであるリンクツリーコントロールテーブル40へ判定処理を移行して、ヘッダ部41にある全リンク切断フラグ(アドレス記号1LHF)の値を確認する。
【0083】
ヘッダ部41の全リンク切断フラグ(アドレス記号1LHF)の値は、「接続」であるため、リンク数(アドレス記号1LHNoL)の値「3」を取得して、リンクエントリ部42の次リンク評価結果フラグ(アドレス記号1L1LE1−3、1L1LE2−3、1L1LE3−3)についてそれぞれ判定処理を行なう。
【0084】
次リンク評価結果フラグ(アドレス記号1L1LE1−3)の値は、「切断」となっており、次リンク評価結果内容(アドレス記号1L1LE1−4)が初期値(=0)でなければ、切断要因があると判定する。次リンク評価結果内容(アドレス記号1L1LE1−4)に格納されているデータ内容が「E−G間大渋滞」であるため、これを取得して図1に示した記憶手段12に格納する。
【0085】
同様に、次リンク評価結果フラグ(アドレス記号1L1LE2−3)についても判定を行なう。次リンク評価結果フラグ(アドレス記号1L1LE2−3)の値も、「切断」であるから、次リンク評価結果内容(アドレス記号1L1LE2−4)が、初期値(=0)でなければ、切断要因があると判定する。次リンク評価結果内容(アドレス記号1L1E2−4)に格納されているデータ内容は「D−E間大渋滞」であるため、これを抽出して図1に示した記憶手段12に格納する。
【0086】
更に、次リンク評価結果フラグ(アドレス記号1L1LE3−3)の判定を行なう。次リンク評価結果フラグ(アドレス記号1L1LE3−3)は、「接続」となっているため、前述した処理と同様に、接続されている次ノードについて更に判定処理を行なっていく。
【0087】
このようにして目的地までの全ての残存リンクエントリの判定処理を繰り返して「次リンク評価結果フラグ」の値が「切断」ならば「次リンク評価結果内容」を抽出して図1に示した記憶手段12に格納する処理を繰り返す。
【0088】
このような判定処理を繰り返すことで、ユーザーに対してリンク切断要因に関連する情報および/またはリンク切断区間に関連する情報を抽出して、経路探索結果と共に提供することができる。なお、抽出されたリンク切断要因に関連する情報および/またはリンク切断区間に関連する情報は、抽出順に入出力表示手段13に表示してもよいし、所定数だけ表示させる制御をしてもよい。
【0089】
たとえば、上述した判定処理により抽出した情報のはじめの3件だけを表示させる制御を行なう。このように制御することで、たくさんのリンク切断要因等の情報があったとしても、ユーザーが一見して把握することができる出力件数に絞ることができる。また無駄にカーナビゲーション装置10を注視することがなくなる。
【0090】
なお、これらの判定処理によって抽出されたリンク切断要因等の情報について、当該リンクツリーの総和となるリンクコストの値のなかでリンク切断要因等の情報が占めるリンクコストの割合によって出力表示の制御を行なってもよい。たとえば、当該リンクコストが一定の閾値以上(たとえばリンクコスト値の総和の20%以上を占める値をもつリンク切断要因など)である情報のみを表示させる制御を行なってもよい。
【0091】
また、車速センサから車両速度を周期的に取得して、取得した速度データが一定の速度以上となった場合には、表示する件数を減少させたり、一定の速度未満となった場合には表示する件数を増加させたりする制御をおこなってもよい。このような制御をすることで、安全運転に配慮した好ましいナビゲーション装置を提供することができる。
【0092】
上述したように本発明に係る第1の実施形態であるナビゲーション装置10は、ユーザーが仮に経路探索結果に疑問を感じたとしても、的確にその根拠情報を抽出して経路探索結果と共に提示することができるため、ユーザーが特定区間の道路条件について十分な情報を持っているか否かに関わらず、提示した経路探索結果に対して納得させることができ、かつストレスを感じさせずに安全運転を支援することができる。
【0093】
続いて、本発明に係る第2の実施形態であるナビゲーション装置70について説明する。図24は、本発明に係る第2の実施形態であるナビゲーション装置70の概要構成を示したブロック図である。
【0094】
ナビゲーション装置70は、本発明に係る第1の実施形態であるカーナビゲーション装置10の有する手段に加えて、経路探索根拠出力要求手段78を有する。なお、図24に示された他の各手段についてはカーナビゲーション装置10と同じ機能であること、最短経路探索処理やリンクツリーコントロールテーブルの生成方法やリンク切断要因・区間を抽出して格納する処理についても同様であることから、これらの説明は割愛する。
【0095】
経路探索根拠出力要求手段78は、ユーザー側から経路探索根拠を要求することができる機能を備えている。たとえばカーナビゲーション装置70の入出力表示手段73に常に経路探索根拠出力要求手段78を表示させておく。具体的には、経路探索根拠出力要求ボタンや経路探索根拠出力要求アイコンをディスプレイに備えさせるなどの具体例が挙げられる。なお、本発明に係る第2の実施形態における経路探索根拠出力要求手段78は、カーナビゲーション装置70に内蔵されているまたは機能的に内包されているが、外部に経路探索根拠出力要求ができるリモコン、通信端末機器などを設けて双方向通信を行なって機能させてもよい。
【0096】
なお、経路探索根拠出力要求手段78に加えて、過去に行なった経路探索結果を参照できるように経路探索履歴保持手段を更に設けて、過去の経路探索根拠を記憶手段72に記録して、ユーザー側から参照できるように構成してもよい。
【0097】
このような手段を設けることにより、経路探索表示結果を出力するタイミングでそのリンク切断要因等の根拠を知ることができるという態様ではなく、ユーザー自身が経路探索に疑義が生じたとき(たとえば経路探索が終了してしばらく経路に即して走行していたが不意に疑問を感じたとき)いつでもその経路探索結果の根拠を知ることができる。したがって、本発明に係る第1の実施形態の有する効果に加えて、よりユーザー側の視点に基づいたカーナビゲーション装置を提供することができる。
【0098】
更に、本発明に係る第3の実施形態であるカーナビゲーション装置80について説明する。図25は、本発明に係る第3の実施形態であるカーナビゲーション装置80の概要構成を示したブロック図である。
【0099】
カーナビゲーション装置80は、本発明に係る第1の実施形態であるカーナビゲーション装置10と同じ機能を有する手段に加えて、探索経路登録保持手段88と、リンクコスト再計算手段89と、経路変更根拠格納手段90と、を有する。
【0100】
探索経路登録保持手段88は、一度最短経路探索処理を行なって生成されたリンクツリーコントロールテーブルを記憶手段82に格納しておく機能を備えている。
【0101】
リンクコスト再計算手段89は、再度同じ最短経路探索処理がユーザーの操作により行なわれたときに、自動的に再度選択可能な各ノード間のリンクコストを再計算する機能を備えている。
【0102】
経路変更根拠格納手段90は、リンクコスト再計算手段89により再計算した結果に基づいて最短経路探索処理を行なった結果であるリンクツリーコントロールテーブルが、探索経路登録保持手段88に登録されているリンクツリーコントロールテーブルと比較して異なる構成となった場合に、その異なる構成となった根拠を抽出して記憶手段82に格納する機能を備えている。なお、その異なる構成となった根拠を抽出する場合に、抽出した根拠の順に表示する、抽出した根拠のうち所定数のみ表示する、所定の閾値以上のリンクコストである根拠だけを表示する、車速により表示する根拠の表示件数を変更するといった制御を行なってもよい。
【0103】
このような手段を設けることにより、再度同じ最短経路探索処理がユーザーの操作により選択されたときに、同じ経路であってもリンクコストに変化が生じていないかをチェックでき、かつ仮に、経路に変化が生じていた場合であっても、その根拠を抽出して経路探索処理結果と共にその根拠情報を提供することができる。したがって、カーナビゲーション装置80は、同一の経路について過去に提示した探索経路結果と異なる結果を提示することになるような特殊な状況が発生したとしても、ユーザーがそのような特殊な状況について十分な情報を持っているか否かに関わらず、提示した経路探索結果に対して納得させることができ、かつストレスを感じさせずに安全運転を支援することができる。
【0104】
更に、本発明に係る第4の実施形態であるカーナビゲーション装置100について説明する。図26は、本発明に係る第4の実施形態であるカーナビゲーション装置100の概要構成を示したブロック図である。
【0105】
カーナビゲーション装置100は、本発明に係る第2の実施形態であるカーナビゲーション装置70と同じ機能を有する手段に加えて、探索経路登録保持手段108と、リンクコスト再計算手段109と、経路変更根拠格納手段110と、経路探索根拠出力要求手段111と、を有する。
【0106】
なお、探索経路登録保持手段108,リンクコスト再計算手段109および経路変更根拠格納手段110の機能説明および効果は、上述した探索経路登録保持手段88,リンクコスト再計算手段89および経路変更根拠抽出手段90と同様であるため、これらの説明は割愛する。また、経路探索根拠出力要求手段111の機能説明および効果は、上述した経路探索根拠出力要求手段78と同様であるため、説明は割愛する。
【0107】
これらの手段を設けることによって、カーナビゲーション装置100は、よりユーザー側の視点に基づいた仕様となる。また、カーナビゲーション装置100は、ユーザーが特定区間の道路条件について十分な情報を持っているか否かに関わらず、いつでも提示された経路探索結果に対してその根拠を知って納得させることができる。したがって、カーナビゲーション装置100は、ユーザーにストレスを感じさせずに安全運転を支援することができる。
【0108】
以上、本発明に係る第1の実施形態から第4の実施形態について説明をしたが、本発明はその要旨を逸脱しない限り種々変更実施できる。
【0109】
たとえば、本発明に係る第1の実施形態から第4の実施形態における特定の2点間における最短経路探索アルゴリズムとしてダイクストラ法を採用しているが、実施形態によって他のアルゴリズムを採用して構築しても勿論よい。
【0110】
また、上述した本発明に係る第1の実施形態から第4の実施形態では、カーナビゲーション装置の各機能を特定のハードウェアを指定して機能別手段として行なわせているが、全ての機能手段または一部の機能手段をプログラムからなるソフトウェアで処理・実行させるようにしても勿論よい。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、全てのナビゲーション装置に適用できる。本発明は、特に車に搭載されたカーナビゲーション装置として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明に係る第1の実施形態であるカーナビゲーション装置の概要構成を示したブロック図である。
【図2】単純モデル化したある道路網を示す図である。
【図3】図2で示した道路網についてダイクストラ法に基づいて最短経路探索処理結果を示した図である。
【図4】図2で示した道路網であって、特定の状況変化が生じた道路網を示す図である。
【図5】図4で示した特定の状況変化が生じた道路網についてダイクストラ法に基づいて最短経路探索処理結果を示した図である。
【図6】図5に示す最短経路探索処理結果に基づくリンクツリーを示す図である。
【図7】リンクツリーコントロールテーブルの基本構造を説明するための図である。
【図8】図6に示すリンクツリーに対応したリンクツリーコントロールテーブルを示す図である。
【図9】図6に示すリンクツリーに対応したリンクツリーコントロールテーブルを示す図である。
【図10】図4に示した道路網であり、最短経路探索処理結果を単純モデル化して示した図である。
【図11】図4に示した道路網であり、図10に示す最短経路探索処理結果に次の処理ステップ(S1)を反映した図である。
【図12】図4に示した道路網であり、図11に示す最短経路探索処理結果に次の処理ステップ(S2)を反映した図である。
【図13】図4に示した道路網であり、図12に示す最短経路探索処理結果に次の処理ステップ(S3)を反映した図である。
【図14】図4に示した道路網であり、図13に示す最短経路探索処理結果に次の処理ステップ(S3)を反映した図である。
【図15】図4に示した道路網であり、図14に示す最短経路探索処理結果に次の処理ステップ(S3)を反映した図である。
【図16】図4に示した道路網であり、図15に示す最短経路探索処理結果に次の処理ステップ(S4)を反映した図である。
【図17】図4に示した道路網であり、図16に示す最短経路探索処理結果に次の処理ステップ(一度S5でNoと判断され、S1〜S4を行なう状態)を反映した図である。
【図18】スタート地点であるノードBのリンクツリーコントロールテーブルと、ノードBに接続されているノードDのリンクツリーコントロールテーブルと、ノードBに接続されているノードAのリンクツリーコントロールテーブルと、を示す図である。
【図19】図10〜図13までの最短経路探索処理結果を反映したノードB,ノードD,ノードAの各リンクツリーコントロールテーブルを示す図である。
【図20】図14に示した最短経路探索処理結果を反映したノードB,ノードD,ノードAの各リンクツリーコントロールテーブルを示す図である。
【図21】図15に示した最短経路探索処理結果を反映したノードB,ノードD,ノードAの各リンクツリーコントロールテーブルを示す図である。
【図22】図16に示した最短経路探索処理結果を反映したノードB,ノードD,ノードA,ノードCの各リンクツリーコントロールテーブルを示す図である。
【図23】図17に示した最短経路探索処理結果を反映したノードB,ノードD,ノードA,ノードC,ノードEの各リンクツリーコントロールテーブルを示す図である。
【図24】本発明に係る第2の実施形態であるカーナビゲーション装置の概要構成を示したブロック図である。
【図25】本発明に係る第3の実施形態であるカーナビゲーション装置の概要構成を示したブロック図である。
【図26】本発明に係る第4の実施形態であるカーナビゲーション装置の概要構成を示したブロック図である。
【図27】ダイクストラ法に基づく最短経路探索処理フローを簡単に示した図である。
【図28】リンク切断要因・区間を抽出する処理のフローチャートを示した図である。
【符号の説明】
【0113】
ナビゲーション装置 10、70、80、100
演算制御部 11、71、81、101
記憶手段 12、72、82、102
入出力表示手段13、73、83、103
リンクコスト算出手段 15、75、85、105
リンクコスト再計算手段 89,109
経路探索手段 16、76、86、106
探索経路登録保持手段 88、108
リンク切断要因・区間格納手段 17、77、87、107
経路探索根拠出力要求手段 78、111
経路変更根拠格納手段 90,110

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路探索をするための情報を格納する記憶手段と、
上記記憶手段に格納された情報から各ノード間のリンクコストを算出するリンクコスト算出手段と、
上記リンクコスト算出手段により算出されたリンクコストに基づいて複数の経路より一の経路を選択する経路探索手段と、
上記経路探索手段によって選択されなかったノードのリンク切断要因に関連する情報および/またはリンクが切断されたノード区間に関連する情報を抽出して格納するリンク切断要因・区間格納手段と、
上記リンク切断要因・区間格納手段により抽出して格納された情報を上記経路探索結果と共に表示する入出力表示手段と、を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
経路探索をするための情報を格納する記憶手段と、
上記記憶手段に格納された情報から各ノード間のリンクコストを算出するリンクコスト算出手段と、
上記リンクコスト算出手段により算出されたリンクコストに基づいて複数の経路より一の経路を選択する経路探索手段と、
上記経路探索手段によって選択されなかったノードのリンク切断要因に関連する情報および/またはリンクが切断されたノード区間に関連する情報を抽出して格納するリンク切断要因・区間格納手段と、
上記リンク切断要因・区間格納手段に抽出して格納された情報を出力するように指示する経路探索根拠出力要求手段と、を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
前記経路探索手段により選択された前記一の経路を構成する各ノード情報および/または各ノード区間のリンクコストを前記記憶手段へ格納する探索経路登録保持手段と、
上記探索経路登録保持手段に格納された前記一の経路が呼び出されたときに前記一の経路のリンクコストを再計算するリンクコスト再計算手段と、
上記リンクコスト再計算手段に基づいて決定された経路が前記一の経路と異なることとなったとき、前記一の経路を構成する各ノードのうちリンクが切断された切断要因に関連する情報および/またはリンクが切断されたノード区間に関連する情報を抽出して格納する経路変更根拠格納手段と、
上記経路変更根拠格納手段により抽出して格納された情報を前記経路探索結果と共に表示する入出力表示手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記経路探索手段により選択された前記一の経路を構成する各ノード情報および/または各ノード区間のリンクコストを前記記憶手段に格納する探索経路登録保持手段と、
上記探索経路登録保持手段に抽出して格納された前記一の経路が呼び出されたときに前記一の経路のリンクコストを再計算するリンクコスト再計算手段と、
上記リンクコスト再計算手段に基づいて決定された経路が前記一の経路と異なることとなったとき、前記一の経路を構成する各ノードのうちリンクが切断された切断要因に関連する情報および/またはリンクが切断されたノード区間に関連する情報を抽出して格納する経路変更根拠格納手段と、
上記経路変更根拠格納手段により抽出して格納された情報を出力するように指示できる経路探索根拠出力要求手段と、を有することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
コンピュータを請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2009−244209(P2009−244209A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93727(P2008−93727)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】