説明

ナビゲーション装置および経路提示方法

【課題】 複数のジャンルの施設を含む経路の設定を支援するナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 ナビゲーション装置1は、施設の属性を示すジャンル相互の地理的な近接度であって、ジャンルに含まれる施設の位置に基づいて求められた地理的な近接度を記憶した地理的近接度DB58と、ジャンルの入力を受け付けるジャンル入力部12と、地理的近接度DB58に記憶された情報に基づいて、ジャンル入力部12にて入力された第1のジャンルに所定の閾値以上近接する近接ジャンルを求める近接ジャンル算出部14と、近接ジャンルを表示するジャンル表示部16と、第1のジャンルの施設と、近接ジャンルの中から選択されジャンル入力部12にて入力された第2のジャンルの施設とを含む経路を求める経路探索部18と、経路探索部にて探索された経路をドライバに提示する経路表示部20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地の設定を支援するナビゲーション装置に関し、特に、指定されたジャンルの施設を含む経路を提示する経路提示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、目的地の設定を支援するジャンル検索機能を備えたナビゲーション装置が知られている。ジャンル検索とは、以下のような機能である。例えば、食事、遊び、観光といったジャンルのうちからドライバが希望する目的地のジャンルと行きたい地域を選択すると、ナビゲーション装置は、指定されたジャンルおよび地域に属する複数の施設や店の名称を表示画面に表示する。これにより、ドライバは、表示された施設や店の中から行きたい施設を選ぶことができる。
【0003】
ジャンル検索では、ドライバが所望のジャンルを設定する必要があるが、特許文献1は、ドライバがジャンルを設定しなくても目的地の支援を行うことができる「おまかせナビモード」と呼ばれる機能を有するナビゲーション装置を開示している。おまかせナビモードでは、ドライバは、トータルの走行距離あるいは所要時間を設定することにより、ナビゲーション装置が、設定された走行距離あるいは所要時間内で回ることができる景観地、遊楽地等の各種施設を検索し、表示画面に表示する。
【特許文献1】特開2004−132884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、ナビゲーション装置においては、目的地の設定を支援する様々な機能が提案されている。しかしながら、従来のナビゲーション装置は、例えば、スキーと温泉のように複数の旅目的を有するドライブプラン、すなわちドライバが所望する複数のジャンルの施設を含むドライブプランの作成を支援する機能を有していなかった。
【0005】
従来のジャンル検索機能は、ドライバが指定したジャンルの施設を検索することができるが、この機能を使って複数の異なるジャンルの施設を検索する場合には、それぞれのジャンルごとに検索を行う必要があるので、操作が煩わしかった。また、複数回のジャンル検索によって異なるジャンルに含まれるそれぞれの施設の検索を行なっても、一回一回の検索処理は独立しているので、検索された施設どうしが遠く離れていて、ドライブプランを作成できない場合がある。例えば、スキーというジャンルで検索された施設が新潟にあり、温泉地というジャンルで検索された施設が伊豆にある場合には、両方の施設を含むドライブの経路を設定することが困難である。この例のように極端に離れていない場合にも、地理的に乖離した施設を含むことによって、効率の悪いドライブプランになってしまうおそれがある。逆に、先に行きたい地域を絞ってしまうと、ドライバの望むジャンルの施設が見つからない可能性がある。
【0006】
特許文献1に記載されたおまかせナビモードは、周辺にある施設から適当な施設を選択してドライブプランを提示する。しかし、提示されたプランはドライバの希望に基づくものではないので、所望のドライブプランが得られず、条件を変更して何度もやり直さなければならない可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記背景に鑑み、ドライバが希望する複数のジャンルの施設を含むドライブプランの作成を支援するナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のナビゲーション装置は、施設の属性を示すジャンル相互の地理的な近接度であって、前記ジャンルに含まれる施設の位置に基づいて求められた地理的な近接度を記憶した地理的近接度記憶部と、ジャンルの入力を受け付けるジャンル入力部と、前記地理的近接度記憶部に記憶された情報に基づいて、前記ジャンル入力部にて入力された第1のジャンルに所定の閾値以上近接する近接ジャンルを求める近接ジャンル算出部と、前記近接ジャンルを表示する近接ジャンル表示部と、前記第1のジャンルの施設と、前記近接ジャンルの中から選択され前記ジャンル入力部にて入力された第2のジャンルの施設とを含む経路を求める経路探索部と、前記経路探索部にて探索された経路をドライバに提示する経路提示部とを備える。
【0009】
この構成により、ナビゲーション装置は、ドライバが入力した第1のジャンルに地理的に近接する近接ジャンルを表示し、ドライバに近接ジャンルの中から第2のジャンルを選択させる。従って、ナビゲーション装置は、地理的に近接した第1のジャンルと第2のジャンルの施設を含む経路を探索することが可能となる。これにより、ドライバが希望するジャンルの施設を含んだ適切な経路、すなわち距離的に無理のない経路をドライバに提示できる。また、第1のジャンルに対して意味的に近接するジャンルを表示するのではなく地理的に近接するジャンルを表示するので、ドライバのそれまでの嗜好にはなかった新しい視点を提供できる。
【0010】
本発明のナビゲーション装置において、前記近接ジャンル表示部は、前記第1のジャンルを示すノードと前記近接ジャンルを示すノードとを、その近接度合いに応じた重なりをもって表示してもよいし、その近接度合いに応じた距離を隔てて表示してもよい。
【0011】
この構成により、第1のジャンルと近接ジャンルとの近接の度合いを感覚的に把握できる。なお、ノードどうしを離して配置する場合には、ノード間をリンクによって接続することとしてもよい。
【0012】
本発明のナビゲーション装置において、前記近接ジャンル表示部は、前記第1のジャンルに近接する順番に応じて、前記近接ジャンルを示すノードを整列して表示してもよい。
【0013】
このように近接する順番に応じて近接ジャンルを示すノードを整列して表示することにより、近接する順番を容易に把握できる。
【0014】
本発明のナビゲーション装置において、前記近接ジャンル表示部は、前記第1のジャンルおよび前記近接ジャンルのそれぞれに含まれる施設の地理的な分布に応じた形状で、前記第1のジャンルを示すノードおよび前記近接ジャンルのノードを表示してもよい。
【0015】
この構成により、地理的な近接度に加えて、施設の地理的な分布を把握することができる。例えば、画面の上下左右と東西南北とを合わせた画面表示では、ノードの形状により施設が南北に分布しているのか東西に分布しているのか等を把握できる。また、車両の進行方向を上とした画面表示では、ノードの形状により施設が進行方向に対して左右に分布しているのか前後に分布しているのか等を把握できる。
【0016】
本発明のナビゲーション装置において、前記近接ジャンル表示部は、前記第1のジャンルおよび前記近接ジャンルのそれぞれに含まれる施設数に応じた大きさで、前記第1のジャンルを示すノードおよび前記近接ジャンルを示すノードを表示してもよい。
【0017】
この構成により、地理的な近接度に加えて、ジャンルに含まれる施設数を把握することができる。これにより、ドライバは表示された近接ジャンルの施設が、どこにでもある施設か珍しい施設かを知ることができる。
【0018】
本発明のナビゲーション装置において、前記近接ジャンル表示部は、前記地理的な近接度を示す第1の軸と、前記第1のジャンルとの意味的な関連度を示す第2の軸を有するグラフ上に、前記近接ジャンルを示すノードを表示してもよい。また、前記近接ジャンル表示部は、前記第1のジャンルを示すノードを中心とし、前記地理的な近接度を半径方向の距離によって示し、前記第1のジャンルとの意味的な関連度を円周方向の角度によって示すレーダーチャート上に、前記近接ジャンルを示すノードを表示してもよい。
【0019】
この構成により、2つのパラメータを表現したグラフによって地理的な近接度と意味的な関連度を把握することができるので、ドライバは地理的な近接度と意味的な関連度の兼ね合いに基づいて近接ジャンルを選択することができる。
【0020】
本発明のナビゲーション装置において、前記近接ジャンル表示部は、前記第1のジャンルとの意味的な関連度に応じて、前記近接ジャンルを示すノードに色を付して表示してもよい。
【0021】
このように、地理的な近接度を表した画面上でのノードの配置とは異なる表現手法である色を用いることにより、ノードの配置にかかわらず、ジャンルを示すノードの意味的な関連度を容易に把握することができる。例えば、表示されるノード数が多い場合にも、意味的な関連度の高いノードと低いノードを色によって容易に見分けることができる。
【0022】
本発明のナビゲーション装置は、施設の位置及びジャンルを記憶した施設情報記憶部と、前記施設情報記憶部に記憶された情報に基づいて、一のジャンルに含まれる全施設と、他のジャンルに含まれる全施設とのすべての組み合わせについて距離を求め、求めた距離に基づいて一のジャンルと他のジャンルとの地理的な近接度を求める地理的近接度算出部とを備え、前記地理的近接度算出部にて求めた地理的な近接度を前記地理的近接度記憶部に記憶してもよい。
【0023】
この構成により、異なるジャンルの間の距離を規定することができる。このジャンル間の距離に基づいて、ジャンル相互の地理的な近接度を適切に求めることができる。
【0024】
本発明のナビゲーション装置は、施設の位置及びジャンルを記憶した施設情報記憶部と、地図を複数の区画に分割し、前記施設情報記憶部に記憶された情報に基づいて、各区画に存在するジャンルの組み合わせの相関を求めることにより、地理的な近接度を求める地理的近接度算出部とを備え、前記地理的近接度算出部にて求めた地理的な近接度を前記地理的近接度記憶部に記憶してもよい。
【0025】
この構成により、ジャンルの組み合わせの相関の高さに応じて、一の区画内に存在する確率の高いジャンルの組み合わせか否かを求めることができ、ジャンル相互の地理的な近接度を適切に求めることができる。
【0026】
本発明のナビゲーション装置は、ジャンルを階層毎に分類したジャンル分類情報を記憶したジャンル分類情報記憶部と、前記ジャンル分類情報記憶部に記憶された情報に基づいて、対比されるジャンルが同じグループに分類される階層を求めることによって、ジャンル相互の意味的な関連度を求める意味的関連度算出部とを備えてもよい。
【0027】
ジャンル分類情報は、例えば、「食べる」「遊ぶ」などの大分類、「遊ぶ」の中の「アウトドア」「インドア」等の中分類、「アウトドア」の中の「トレッキング」「スキー」「サーフィン」等の小分類といったように、ジャンルを階層毎に分類した情報である。本発明では、このジャンル分類情報を利用することにより、意味的な関連度を求める。例えば、小分類において同一グループに含まれる場合には関連度「1」、例えば、「スキー」と「トレッキング」のように「アウトドア」という中分類において同一グループに含まれる場合には関連度「0.5」、例えば、「ゲームセンター」と「スキー」のように「遊ぶ」という大分類において同一グループに含まれる場合には関連度「0.25」といったように、どの階層で同一のグループに分類されるかに基づいて、意味的な関連度を適切に求めることができる。
【0028】
本発明のナビゲーション装置は、施設について記述した文書データを取得する施設データ取得部と、一のジャンルに含まれる施設の文書データと、他のジャンルに含まれる施設の文書データとの類似度を求めることによって、ジャンル相互の意味的な関連度を求める意味的関連度算出部とを備える。
【0029】
この構成により、意味的な関連度を適切に求めることができる。文書データを例えばウェブサイトから取得する構成を採用すれば、ウェブサイトのデータは逐次更新されるので、流行に合わせて意味的な関連度を更新することができる。
【0030】
本発明の別の態様に係るナビゲーション装置は、施設の属性を示すジャンル相互の地理的な近接度であって、前記ジャンルに含まれる施設の位置に基づいて求められた地理的な近接度を記憶した地理的近接度記憶部と、前記地理的近接度記憶部に記憶されたジャンル相互の地理的な近接度に基づいて、各ジャンルについて当該ジャンルに所定の閾値以上近接するジャンルを求める近接ジャンル算出部と、各ジャンルを示すノードと当該ジャンルに所定の閾値以上近接するジャンルを示すノードとをその近接度合いに応じた重なりをもって表示するジャンル表示部と、ジャンルの入力を受け付けるジャンル入力部と、前記ジャンル表示部にて表示されたジャンルの中から選択され前記ジャンル入力部にて入力されたジャンルの施設を含む経路を求める経路探索部と、前記経路探索部にて探索された経路をドライバに提示する経路提示部とを備える。
【0031】
本発明の別の態様に係るナビゲーション装置は、施設の属性を示すジャンル相互の地理的な近接度であって、前記ジャンルに含まれる施設の位置に基づいて求められた地理的な近接度を記憶した地理的近接度記憶部と、前記地理的近接度記憶部に記憶されたジャンル相互の地理的な近接度に基づいて、各ジャンルについて当該ジャンルに所定の閾値以上近接するジャンルを求める近接ジャンル算出部と、各ジャンルを示すノードと当該ジャンルに近接するジャンルを示すノードとをその近接度合いに応じた長さのリンクで接続して表示するジャンル表示部と、ジャンルの入力を受け付けるジャンル入力部と、前記ジャンル表示部にて表示されたジャンルの中から選択され前記ジャンル入力部にて入力されたジャンルの施設を含む経路を求める経路探索部と、前記経路探索部にて探索された経路をドライバに提示する経路提示部とを備える。
【0032】
このように近接するジャンルどうしを重なりをもって表示する、あるいは、近接するジャンルどうしを近接度に応じた長さのリンクで接続して表示することにより、ジャンルどうしの地理的な位置関係を把握でき、ドライバは、近接するジャンルを選択することができる。これにより、ナビゲーション装置は、地理的に近接したジャンルから選ばれた施設を含む経路を探索することができ、ドライバが希望するジャンルの施設を含んだ経路をドライバに提示できる。
【0033】
本発明の別の態様に係るナビゲーション装置は、ジャンルの入力を受け付けるジャンル入力部と、前記ジャンル入力部にて入力された第1のジャンルに所定の閾値以上近接する近接ジャンルを表示する近接ジャンル表示部と、前記第1のジャンルの施設と、前記近接ジャンルの中から選択され前記ジャンル入力部にて入力された第2のジャンルの施設とを含む経路を求める経路探索部と、前記経路探索部にて探索された経路をドライバに提示する経路提示部とを備える。
【0034】
この構成により、ナビゲーション装置は、ドライバが入力した第1のジャンルに地理的に近接する近接ジャンルを表示し、ドライバに近接ジャンルの中から第2のジャンルを選択させる。従って、ナビゲーション装置は、地理的に近接した第1のジャンルと第2のジャンルの施設を含む経路を探索することが可能となり、ドライバが希望するジャンルの施設を含んだ適切な経路をドライバに提示できる。
【0035】
本発明の経路提示方法は、第1のジャンルの入力を受け付けるステップと、地理的近接度記憶部に記憶された施設の属性を示すジャンル相互の地理的な近接度の情報に基づいて、前記第1のジャンルに所定の閾値以上近接する近接ジャンルを求めるステップと、前記近接ジャンルを表示するステップと、前記近接ジャンルの中から選択された第2のジャンルの入力を受け付けるステップと、前記第1のジャンルの施設と前記第2のジャンルの施設とを含む経路を求めるステップと、探索された経路をドライバに提示するステップとを備える。
【0036】
この構成により、ドライバが入力した第1のジャンルに地理的に近接する近接ジャンルを表示し、ドライバに近接ジャンルの中から第2のジャンルを選択させる。従って、ナビゲーション装置は、地理的に近接した第1のジャンルと第2のジャンルの施設を含む経路を探索することが可能となり、ドライバが希望するジャンルの施設を含んだ適切な経路をドライバに提示できる。なお、本発明のナビゲーション装置の各種の構成を、本発明の経路提示方法に適用することが可能である。
【0037】
本発明のプログラムは、ジャンルの指定によって経路を提示するためのプログラムであって、コンピュータに、第1のジャンルの入力を受け付けるステップと、地理的近接度記憶部に記憶された施設の属性を示すジャンル相互の地理的な近接度の情報に基づいて、前記第1のジャンルに所定の閾値以上近接する近接ジャンルを求めるステップと、前記近接ジャンルを表示するステップと、前記近接ジャンルの中から選択された第2のジャンルの入力を受け付けるステップと、前記第1のジャンルの施設と前記第2のジャンルの施設とを含む経路を求めるステップと、探索された経路をドライバに提示するステップとを実行させる。
【0038】
この構成により、ドライバが入力した第1のジャンルに地理的に近接する近接ジャンルを表示し、ドライバに近接ジャンルの中から第2のジャンルを選択させる。従って、ナビゲーション装置は、地理的に近接した第1のジャンルと第2のジャンルの施設を含む経路を探索することが可能となり、ドライバが希望するジャンルの施設を含んだ適切な経路をドライバに提示できる。なお、本発明のナビゲーション装置の各種の構成を、本発明のプログラムに適用することが可能である。
【発明の効果】
【0039】
本発明は、ドライバが入力した第1のジャンルに地理的に近接する近接ジャンルが表示することによって、第1のジャンルに近接する第2のジャンルを選択させるので、ナビゲーション装置は、地理的に近接した第1のジャンルと第2のジャンルの施設を含む経路を探索して、ドライバが希望するジャンルの施設を含んだ適切な経路を提示できるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態のナビゲーション装置について図面を参照しながら説明する。
[ナビゲーション装置の構成]
図1は、ナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。同図に示すように、ナビゲーション装置1は、制御装置10と、車両の位置を検出する位置検出装置26と、ドライバに対して情報を出力する出力部36と、ドライバからの入力を受け付ける入力部42と、道路地図を記憶した地図データベース(以下、「地図DB」という)52と、外部メモリ54と、VICS受信機56とを備えている。
【0041】
位置検出装置26は、地磁気センサ28、ジャイロスコープ30、距離センサ32およびGPS(Global Positioning System)受信機34を有している。これらのセンサはそれぞれ性質の異なる検出誤差を有するので、位置検出装置26は、これらのセンサを組み合わせることにより、互いに検出誤差を補正しながら精度の高い位置検出を行ない得るようにしている。なお、要求される検出精度レベルによっては、すべてのセンサを備える必要はなく、必要なセンサを適宜選択して設ける構成とすることができる。上記したセンサ以外に、ステアリングの回転センサや各タイヤの回転を検出する車輪センサなどを組み合わせて位置検出装置26を構成してもよい。
【0042】
出力部36は、表示装置38と、音声発生装置40とを有している。表示装置38は、地図データや文字或いは記号などを表示するための表示画面としてフルカラーの液晶ディスプレイを備えて構成されており、その液晶ディスプレイの表面には透明な前記タッチパネル46が貼り付けられている。
【0043】
入力部42は、操作スイッチ群44と、前述したタッチパネル46と、リモコンセンサ48とを有している。リモコンセンサ48は、リモコン50から送信される入力信号を受信して、受信した入力信号を制御装置10に伝える構成を有している。操作スイッチ群44、タッチパネル46、リモコン50は、データを入力したり、設定事項を入力したりするために使用される。操作スイッチ群44は、例えば液晶ディスプレイの周辺に設けられた押釦スイッチなどから構成されている。
【0044】
地図DB52は、表示装置38の液晶ディスプレイに表示する地図データを記憶している。地図上の道路は、交差点、分岐点、合流点、所定角度以上のカーブなどの屈曲点を示すノードにより分割される。地図データは、それぞれのノード間をリンクとして規定し、リンクを接続することにより構成されている。従って、地図DB52には、リンク、ノードのデータを記憶している。リンクデータは、各リンクについて、リンクの固有ID、リンク(道路)の長さを示すリンク長、リンクの始端と終端の座標、リンクの道路幅、道路種別(高速道路等)などの属性情報を有している。
【0045】
地図DB52は、例えばDVD−ROMなどの情報記録媒体と、この情報記録媒体からデータを読み取る読取装置とから構成されている。読取装置により情報記録媒体から地図データを読み取って制御装置10に入力する。ここで、地図DB52が備えているデータとしては、地図データ、マップマッチング用データ、経路を音声で案内するためのデータ、地名、施設名などから地図上の位置を検索する地図索引データ、施設についてのデータ(以下、「施設データ」という)などがある。
【0046】
図2は、地図DB52に記憶された施設データの例を示す図である。図2に示すように、施設データは、施設IDと施設の位置データとジャンルを示すデータとから構成されている。このように施設IDに対してジャンルを関連付けて記憶しているので、ジャンルをキーとして施設を検索することが可能となる。なお、本実施の形態では、地図DB52の中に施設データを記憶する例を説明したが、施設データを記憶した専用のデータベースを設けてもよい。
【0047】
VICS受信機56は、外部情報源であるVICSから送信される道路交通情報を受信して制御装置10に入力する。制御装置10は、VICS受信機56から入力された道路交通情報により、交通規制地点、渋滞している道路、渋滞区間などを検出する。
【0048】
制御装置10は、ナビゲーション装置1の動作全般を制御する機能を有しており、マイクロコンピュータを主体として構成されている。制御装置10は、CPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらを接続するバスなど(いずれも図示せず)を備えて構成されている。このうち、ROMにはナビゲーション装置1を動作させるための実行プログラムが格納され、RAMにはプログラム実行時の一時データや地図DB52から取得した地図データ、VICS受信機56から取得した情報などが一時的に格納される。
【0049】
制御装置10は、表示制御機能を有し、位置検出装置26から入力される情報に基づいて自動車の現在位置を演算して、現在位置周辺の道路地図を表示装置38に表示すると共に、表示した道路地図に重ねて自動車の現在位置および進行方向を示すポインタを表示する。画面に表示される道路地図の縮尺は、操作スイッチ群44の操作によって変更することができる。
【0050】
制御装置10は、目的地までの案内経路を設定する機能や、案内経路に従って自動車の進行すべき方向を音声発生装置40から出力する音声で指示する走行案内機能を有している。操作スイッチ群44、タッチパネル46或いはリモコン50を操作して目的地、或いは経由地を設定すると、現在位置から目的地までの最適経路を案内経路として自動設定し、設定した案内経路を表示装置38に表示されている道路地図上に通常の道路色とは異なる色で表示する。制御装置10は、案内経路に従って自動車の進行方向を音声などで案内する。なお、最適経路を設定する方法としては、ダイクストラ法などが用いられる。
【0051】
本実施の形態のナビゲーション装置1は、ドライバが入力したジャンルの施設を含むドライブプランの作成を支援する構成として、地理的近接度データベース(以下、「地理的近接度DB」という)58と、意味的関連度データベース(以下、「意味的関連度DB」という)60とを備えている。また、制御装置10は、これらのデータベースを用いてドライバにジャンルの選択を促し、選択されたジャンルの施設を含む経路を提示する機能を備えている。すなわち、制御装置10は、ジャンル入力部12と、近接ジャンル算出部14と、ジャンル表示部16と、経路探索部18と、経路表示部20とを有している。また、制御装置10は、地理的近接度DB58に記憶するデータを算出する地理的近接度算出部22と、意味的関連度DB60に記憶するデータを算出する意味的関連度算出部24とを有している。なお、地理的近接度DB58および意味的関連度DB60にあらかじめデータを記憶させておく場合には、地理的近接度算出部22および意味的関連度算出部24はなくてもよい。制御装置10の各構成は、図示しないROMに記憶されたプログラムを実行することによって実現される。なお、制御装置10の各機能を実現するプログラムも本発明の範囲に含まれる。
【0052】
図3(a)は地理的近接度DB58に記憶されたデータの例を示す図、図3(b)は意味的関連度DB60に記憶されたデータの例を示す図である。地理的近接度DB58は、ジャンル相互の地理的な近接度を示すデータを記憶している。ジャンル相互の地理的な近接度とは、異なるジャンルに含まれる施設がどの程度近接して存在するかを示す指標である。本実施の形態では、図3(a)に示すように、地理的近接度を0〜1の範囲で示している。同一ジャンルの地理的近接度を「1」とし、地理的近接度が低くなるに従って「0」に近い値を設定している。地理的近接度DB58に記憶するデータは、地理的近接度算出部22によって求める。
【0053】
地理的な近接度を求める一つの方法としては、異なるジャンルのそれぞれに含まれる全施設のすべての組合せについて、施設間の距離を求める方法がある。例えば、ジャンルAに含まれる施設が10個あり、ジャンルBに含まれる施設が10個あるとした場合、10×10=100通りのすべての組合せについての施設間の距離を求める。この計算によって求めた各ジャンルの施設間の距離に基づいて、ジャンル相互の地理的な近接度を求める。また、地理的な近接度を求める別の方法としては、地図を行政区画等の単位で複数の区画に分割し、各区画に存在するジャンルの組み合わせの相関に基づいて地理的な近接度を求める方法がある。例えば、ジャンルAとジャンルBの組み合わせが多くの区画に存在し、相関が高いという場合には、ジャンルAとジャンルBの地理的な近接度が高いと判断できる。なお、ここでは地図を行政区画の単位で地図を分割する例について説明しているが、地図を分割する際に必ずしも行政区画を単位とする必要はなく、例えば、単純にグリッド状に分割してもよい。以上、地理的な近接度を求める方法の例について説明したが、上記は地理的な近接度の求め方の一例であり、他の方法を採用することも可能である。
【0054】
図3(b)に示すように、意味的関連度DB60は、ジャンル相互の意味的な関連度を示すデータを記憶している。本実施の形態では、意味的関連度を0〜1の範囲で示している。同一ジャンルの意味的関連度を「1」とし、意味的関連度が低くなるに従って「0」に近い値を設定している。意味的関連度DB60に記憶するデータは、意味的関連度算出部24によって求める。
【0055】
意味的な関連度を求める一つの方法は、ジャンルの分類情報を利用して求める方法である。
図4は、ジャンルの分類情報の例を示す図である。この情報は、図示しないROMに記憶してもよい。図4に示すように、ジャンルは大分類、中分類、小分類のそれぞれの階層において分類されている。本実施の形態では、施設データ(図2参照)のジャンルは、小分類で示すジャンルに該当する。このジャンルの分類情報を利用して、対比されるジャンルがどの階層で同一グループに分類されるかに基づいて関連度を求める。図4に示す例では、「スキー」と「サーフィン」は共に「アウトドア」という中分類に含まれ、「スキー」と「美術館」は共に「遊ぶ」という大分類に含まれる。このように、どの階層でジャンルが同一グループに含まれるかを判断することにより、ジャンル相互の意味的な関連度を求めることができる。例えば、大分類で同一グループに含まれるジャンルは関連度「0.25」、中分類で同一グループに含まれる場合には関連度「0.5」、小分類で同一グループに含まれる場合、すなわちジャンルが一致する場合には関連度「1」というように数値化することにより、図3(b)に示す意味的関連度DB60を生成することができる。
【0056】
意味的な関連度を求める別の方法としては、ジャンルに含まれる施設について記述した文書データを比較する方法がある。施設の文書データを例えばウェブサイトから収集し、文書間のベクトル空間モデルのコサイン類似度等を用いて文書間の類似度を求め、この類似度によってジャンル相互の意味的な関連度を求めることができる。
【0057】
図1を再び参照して、制御装置10の機能について説明する。ジャンル入力部12は、入力部42からジャンルの入力を受け付ける機能を有する。近接ジャンル算出部14は、所定のジャンルに近接するジャンルを求める機能を有する。以下、近接するジャンルを求める対象となるジャンルを「対象ジャンル」といい、対象ジャンルに近接するジャンルを「近接ジャンル」という。近接ジャンル算出部14は、対象ジャンルとの近接度が所定の閾値以上のジャンルを近接ジャンルとして求める。近接ジャンル算出部14は、例えば、図3(a)に示す地理的近接度DB58に記憶されたデータを参照して、近接度が「0.8」以上のジャンルを近接ジャンルとして求める。なお、近接度が「1」のジャンルの場合には、対象ジャンル自体であるので、近接ジャンルと判断しない。
【0058】
ジャンル表示部16は、近接ジャンル算出部14にて近接ジャンルを算出した結果に基づいて、ジャンルが地理的に近接する度合いを視覚的に表示する機能を有する。ジャンル表示部16は、対象ジャンルとその近接ジャンルを表示することもできるし、対象ジャンルを決めないで複数のジャンルを地理的な近接度と共に表示することもできる。後者のように表示されたジャンルの関係図を「ジャンルマップ」という。また、本実施の形態では、ジャンル表示部16は、ジャンルが意味的に関連する度合いも視覚的に表示する。これにより、地理的な近接度と共に意味的な関連度も把握することができる。ジャンル表示部16によるジャンルの表示の仕方としては様々な態様が考えられる。ジャンル表示部16によるジャンルの表示態様については、後に詳しく説明する。
【0059】
経路探索部18は、ドライバから入力されたジャンルの施設を含む経路を探索する機能を有する。経路探索部18は、ドライバによって複数のジャンルが入力された場合には、入力された全ジャンルの施設を含む経路を探索する。経路表示部20は、経路探索部18にて探索された経路を表示することによってドライバに提示する。
【0060】
[ナビゲーション装置の動作]
図5(a)および図5(b)は、本実施の形態のナビゲーション装置1の動作を示すフローチャートである。以下では、地理的に近接するジャンルを表示してジャンルを選択させる2つの例を挙げて説明する。第1の例は、ドライバから入力された第1のジャンルに近接するジャンルを表示して、表示したジャンルから第2のジャンルを選択させる例、第2の例は、ジャンルマップを表示してジャンルマップの中からドライバにジャンルを選択させる例である。
【0061】
図5(a)は、ナビゲーション装置1の動作の第1の例を示すフローチャートである。第1の例では、ナビゲーション装置1は、ドライバに対し、ドライブの主目的となる第1のジャンルの入力を促し、ドライバから第1のジャンルの入力を受け付ける(S10)。ナビゲーション装置1は、第1のジャンルに近接する近接ジャンルを求め(S12)、第1のジャンルと共に近接ジャンルを表示する(S14)。
【0062】
図6は、近接ジャンルの表示例を示す図である。図6では、「スキー」が第1のジャンルであり、「温泉」「キャンプ」「牧場」が「スキー」の近接ジャンルである。各ノードの重なりの大きさは近接の度合いを示し、各ノードの大きさはそのジャンルに含まれる施設数を示している。また、各ノードには、第1のジャンルとの意味的な関連度に応じた色が付されている。各ノードに付された色は、図面では括弧内に記載した。第1のジャンルと意味的関連度が高い場合に、第1のジャンルに付した色に近い色を付し、意味的関連度が低い場合に、第1のジャンルに付した色から遠い色を付している。この例では、赤で示された「スキー」と薄水色で示された「温泉」は意味的な関連度が低いことが分かる。このように、ナビゲーション装置1は、ジャンルの地理的な近接の度合いと意味的な関連の度合いを容易に把握できるように表示し、ドライバによるジャンルの選択を支援する。また、ナビゲーション装置1は、「別荘地」や「物産店」のように、近接ジャンルにさらに近接するジャンルを表示する。これにより、近接ジャンルに近接するジャンルも視野に入れてドライブのプランを立てることができる。
【0063】
ナビゲーション装置1は、表示された近接ジャンルの中からドライブの副目的となる第2のジャンルが入力されると(S16)、第1のジャンルの施設と第2のジャンルの施設とを目的地あるいは立寄地として含む経路を探索し(S18)、探索した経路を表示する(S20)。ナビゲーション装置1は、提示した経路をドライブプランとして経路設定するか否かの入力を待ち、ドライブプランとして経路設定するとの入力がなされると(S22)、ナビゲーション装置1は、設定した経路に従って経路案内を行う。
【0064】
図5(b)は、ナビゲーション装置1の動作の第2の例を示すフローチャートである。第2の例では、ナビゲーション装置1は、地理的近接度DB58に記憶されたデータに基づいて、それぞれのジャンルについて、所定の閾値以上近接するジャンルを求める(S30)。次に、ナビゲーション装置1は、ジャンルを地理的な近接の度合いに応じて重ねて生成したジャンルマップを表示する(S32)。
【0065】
図7は、ジャンルマップの表示例を示す図である。各ノードの重なりや大きさについては、図6に示した近接ジャンルの表示例と同じであるが、図7に示すジャンルマップでは第1のジャンルが存在しない点が異なる。図7に示すように、ジャンルマップにより、ドライバは、それぞれのジャンルの地理的な近接度を一覧できる。
【0066】
ドライバが表示されたジャンルマップの中から複数のジャンルを選択し、ナビゲーション装置1が選択されたジャンルの入力を受け付けると(S34)、入力された複数のジャンルのそれぞれの施設を目的地あるいは立寄地として含む経路を探索し(S36)、探索した経路を表示する(S38)。ナビゲーション装置1は、提示した経路をドライブプランとして経路設定するか否かの入力を待ち、ドライブプランとして経路設定するとの入力がなされると(S40)、ナビゲーション装置1は、設定した経路に従って経路案内を行う。
【0067】
第2の例において、ジャンルマップからどのジャンルを選択するかはドライバの任意であるが、近接するジャンルを選択した場合の方が、選択したジャンルの施設を含む適切な経路が探索される可能性が高い。なお、地理的に離れたジャンルを選択できないように、ジャンルの選択に制限をかける構成を採用することも可能である。例えば、ジャンルマップの中から一のジャンルが選択されたときに、当該一のジャンルに近接するジャンルだけを選択可能とする構成としてもよい。
【0068】
本実施の形態のナビゲーション装置は、ドライバが入力した第1のジャンルに地理的に近接する近接ジャンルを表示し、ドライバに近接ジャンルの中から第2のジャンルを選択させる。あるいは、ジャンルマップを表示してジャンルマップの中から近接した複数のジャンルを選択させる。従って、ナビゲーション装置は、地理的に近接した複数のジャンルの施設を含む距離的に適切な経路を探索することができ、ドライバが希望するジャンルの施設を含んだ適切な経路をドライバに提示できる。
【0069】
本実施の形態のナビゲーション装置は、第1のジャンルに対して意味的に近接するジャンルを表示するのではなく地理的に近接するジャンルを表示するので、ドライバのそれまでの嗜好にはなかった新しい視点を提供できる。また、地理的なオーバーラップをもとにしたジャンルの表示を行うので、ジャンルについての知識が増える。
【0070】
[表示例]
次に、近接ジャンルおよびジャンルマップの表示例について説明する。なお、以下に説明する表示例は、近接ジャンルおよびジャンルマップの表示態様を例示したものであって、本発明は以下に説明する表示例に限定されない。本発明は、ジャンル相互の地理的な近接度を容易に把握できるように表示する構成であれば、どのような構成を採用してもよい。
【0071】
図8は、近接ジャンルの表示例を示す図である。図8に示す表示例では、第1のジャンル「スキー」に地理的に近接する順に近接ジャンルを整列して表示している。図8に示す例では、地理的な近接度が最も高いのは「スノーボード」であり、「温泉」「キャンプ」「サーフィン」がこれに続いている。また、図8に示す表示例では、各ノードに意味的関連度に応じた色を付している。このように地理的近接度の順位によって整列すると共に、意味的関連度に応じた色を付すことにより、地理的近接度と意味的関連度を一目で把握できる。意味的関連度を表示することにより、例えば、地理的に近接するジャンルの中から、第1のジャンルとは興趣の異なるジャンルを選択する場合に有用である。なお、意味的な関連度を表示しなくてもよい場合には、各ノードに色を付さない構成としてもよい。
【0072】
図9は、近接ジャンルの表示例を示す図である。図9に示す例では、第1のジャンル「スキー」の近接ジャンルを2次元平面上に配置して表示している。縦軸方向の位置によって第1のジャンルに対する地理的な近接の度合いを示し、横軸方向の位置によって第1のジャンルに対する意味的な関連度の高さを示している。すなわち、縦軸方向における第1のジャンルとの距離が小さいほど、第1のジャンルと近接ジャンルとは地理的に近接しており、横軸方向における第1のジャンルとの距離が小さいほど、第1のジャンルと近接ジャンルとは意味的な関連度が高い。図9に示す例では、「スノーボード」は、第1のジャンル「スキー」に対して、地理的近接度も意味的関連度も共に高いことが分かる。「温泉」は、第1のジャンル「スキー」との意味的関連度は低いが、地理的近接度が高いことが分かる。
【0073】
また、図9に示す表示例では、各ノードに、第1のジャンルとの意味的な関連度の高さに応じて色を付している。これにより、横軸方向の距離のみならず、色によっても意味的な関連度を把握することができる。
【0074】
図10は、近接ジャンルの表示例を示す図である。図10に示す例では、ジャンルを2次元平面上に配置し、縦軸は地理的な近接度を示し、横軸は意味的な関連度を示している。各ノードは立体的に表示され、縦軸方向があたかも奥行きを有しているように見せている。これにより、ノードが上に配置されるに従って地理的に遠くなっていくことを感覚的に把握できるので、上に行くほど地理的に遠くなるという表示画面のルールを覚えていなくても表示内容を理解できる。図10に示す例では、第1のジャンル「スキー」に対して意味的な関連度が高いジャンルが横軸方向に列挙され、列挙された各ジャンルに対して地理的な近接度が高いジャンルから順に縦軸方向に整列されている。この表示例によれば、意味的に関連するジャンルを確認しながら、第2のジャンルを決定することができる。なお、縦軸方向のジャンルを選択し、選択されたジャンルを第1のジャンルとして、再度、近接ジャンル算出を行うことができるようにしてもよい。
【0075】
図11は、近接ジャンルの表示例を示す図である。図11に示す例では、レーダーチャートによって、第1のジャンルに対する地理的な近接度と意味的な関連度とを表示している。第1のジャンル「スキー」をレーダーチャートの中心に配置し、中心からの距離によって地理的な近接度を示し、x軸(中心から右方向に延びる軸)からの角度によって意味的な関連度を示している。また、図11に示す表示例では、各ノードに、第1のジャンルとの意味的な関連度の高さに応じて色を付している。これにより、角度のみならず、色によっても意味的な関連度を把握することができる。
【0076】
図12は、近接ジャンルの表示例を示す図である。図12に示す例では、レーダーチャートによって、第1のジャンルに対する地理的な近接度と意味的な関連度とを表示している。第1のジャンル「スキー」をレーダーチャートの中心に配置し、中心からの距離によって地理的な近接度を示している点は、図11に示す例と同じである。図12に示す例では、y軸(中心から上方向に延びる軸)からの角度で意味的な関連度を示している。また、図12に示す例では、各ジャンルを示すノードを円周に沿った形状で表示している。各ノードに、第1のジャンルとの意味的な関連度の高さに応じて色を付している。
【0077】
図13は、ジャンルマップの表示例を示す図である。図13に示すジャンルマップは、各ジャンルを接続するリンクの長さによってジャンル相互の地理的な近接度を示している。また、各ノードには、意味的な関連度に応じた色を付している。これにより、ジャンル相互の地理的な近接度と意味的な関連度とを容易に把握することができる。意味的な関連度を色で表した場合には、表示された全ジャンルの意味的関連度を把握することができる。全ジャンルの相互の関連度に応じて色を表示する図13の表示例より簡単な表示方法として、近接するジャンル間での意味的な関連度を示す構成を採用してもよい。この場合、例えば、地理的に近接する2つのジャンルの意味的な関連度に応じて、ジャンル間を接続しているリンクの太さを変える構成することができる。また、ジャンルに含まれる施設数や分布に応じて、ノードの大きさや形状を変えてもよい。
【0078】
図14は、ジャンルマップの表示例を示す図である。図14に示すジャンルマップは、図7に示すジャンルマップと同様にノード間の重なりの大きさによって、ジャンル相互の地理的な近接度を表している。画面の背景には、日本地図が重畳されている。各ノードは、ジャンルに含まれる施設の分布に応じた位置に配置されると共に、分布に応じた形状を有している。例えば、「温泉」を示すノードは画面の上側に配置されているので、他のジャンルの施設に比べて北の方に分布していることが分かる。例えば、「キャンプ」を示すノードは東西に長い楕円の形状を有しているので、「キャンプ」施設は東西に分布していることが分かる。図14に示す表示例において、背景の日本地図と各ノードは直接的な位置の相関はないが、各ノードを背景の日本地図に重ね合わせることによって、各ジャンルを示すノードの位置および形状がそのジャンルに含まれる施設の分布に対応していることを感覚的に理解することができる。
【0079】
以上、本発明のナビゲーション装置の構成および動作とジャンルの表示例について実施の形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【0080】
上記した実施の形態およびジャンルの表示例においては、ジャンルの意味的な関連度に応じてノードに色を付す例について説明したが、ノードに色を付さない構成とすることも可能である。ノードの地理的な近接度を把握できれば、ドライバは近接するジャンルを選択することが可能である。
【0081】
上記した実施の形態では、ナビゲーション装置1が地理的近接度DB58を有し、ナビゲーション装置1の制御装置10によって近接ジャンルの算出を行う例について説明したが、ネットワークを用いて構成したシステムによって、近接ジャンル表示のサービスを提供してもよい。例えば、ネットワークによってナビゲーション装置と情報センターとを接続したシステムを構成する。ナビゲーション装置は、入力された第1のジャンルの情報を情報センターに送信し、これを受信した情報センターが第1のジャンルに近接する近接ジャンルを求め、ナビゲーション装置に返信する。このような構成を採用することにより、ナビゲーション装置に近接ジャンルを表示することができる。また、この構成によれば、地理的近接度DBおよび意味的関連度DBを情報センターで一括管理できるので、地理的近接度DBおよび意味的関連度DBの更新を容易に行うことができる。
【0082】
また、例えばスキーや海水浴等のジャンルは季節的な要因があるので、季節的要因を考慮してジャンルを表示することとしてもよい。例えば、ナビゲーション装置は、ジャンルと季節的要因とを関連付けたデータベースを準備しておく。ナビゲーション装置は、近接ジャンルを求めた後、データベースを参照して、現在の季節に対応するジャンルを選択し、選択されたジャンルを表示することとしてもよい。これにより、例えば、冬にドライブのプランを立てる場合には、初めから、海水浴やサーフィン等のジャンルが除かれることになるので、ドライブの目的となるジャンルを効率良く選択することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上説明したように、本発明によれば、ナビゲーション装置は、ドライバに適切なジャンルを選択させることによって、選択されたジャンルを含む適切な経路を探索し、ドライバに提示することができるという効果を有し、目的地の設定を支援する機能を有するナビゲーション装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】実施の形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図2】地図DBに記憶された施設データの例を示す図である。
【図3】(a)地理的近接度DBに記憶されたデータの例を示す図である。(b)意味的関連度DBに記憶されたデータの例を示す図である。
【図4】ジャンルの分類情報の例を示す図である。
【図5】(a)ナビゲーション装置の動作の第1の例を示す図である。(b)ナビゲーション装置の動作の第2の例を示す図である。
【図6】近接ジャンルの表示例を示す図である。
【図7】ジャンルマップの表示例を示す図である。
【図8】近接ジャンルの表示例を示す図である。
【図9】近接ジャンルの表示例を示す図である。
【図10】近接ジャンルの表示例を示す図である。
【図11】近接ジャンルの表示例を示す図である。
【図12】近接ジャンルの表示例を示す図である。
【図13】ジャンルマップの表示例を示す図である。
【図14】ジャンルマップの表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
1 ナビゲーション装置
10 制御装置
12 ジャンル入力部
14 近接ジャンル算出部
16 ジャンル表示部
18 経路探索部
20 経路表示部
22 地理的近接度算出部
24 意味的関連度算出部
26 位置検出装置
28 地磁気センサ
30 ジャイロスコープ
32 距離センサ
34 GPS受信機
36 出力部
38 音声発生装置
40 表示装置
42 入力部
44 操作スイッチ群
46 タッチパネル
48 リモコンセンサ
50 リモコン
52 地図DB
54 外部メモリ
56 VICS受信機
58 地理的近接度DB
60 意味的関連度DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の属性を示すジャンル相互の地理的な近接度であって、前記ジャンルに含まれる施設の位置に基づいて求められた地理的な近接度を記憶した地理的近接度記憶部と、
ジャンルの入力を受け付けるジャンル入力部と、
前記地理的近接度記憶部に記憶された情報に基づいて、前記ジャンル入力部にて入力された第1のジャンルに所定の閾値以上近接する近接ジャンルを求める近接ジャンル算出部と、
前記近接ジャンルを表示する近接ジャンル表示部と、
前記第1のジャンルの施設と、前記近接ジャンルの中から選択され前記ジャンル入力部にて入力された第2のジャンルの施設とを含む経路を求める経路探索部と、
前記経路探索部にて探索された経路をドライバに提示する経路提示部と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記近接ジャンル表示部は、前記第1のジャンルを示すノードと前記近接ジャンルを示すノードとを、その近接度合いに応じた重なりをもって表示する請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記近接ジャンル表示部は、前記第1のジャンルを示すノードと前記近接ジャンルを示すノードとを、その近接度合いに応じた距離を隔てて表示する請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記近接ジャンル表示部は、前記第1のジャンルに近接する順番に応じて、前記近接ジャンルを示すノードを整列して表示する請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記近接ジャンル表示部は、前記第1のジャンルおよび前記近接ジャンルのそれぞれに含まれる施設の地理的な分布に応じた形状で、前記第1のジャンルを示すノードおよび前記近接ジャンルを示すノードを表示する請求項2〜4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記近接ジャンル表示部は、前記第1のジャンルおよび前記近接ジャンルのそれぞれに含まれる施設数に応じた大きさで、前記第1のジャンルを示すノードおよび前記近接ジャンルを示すノードを表示する請求項2〜5のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記近接ジャンル表示部は、前記地理的な近接度を示す第1の軸と、前記第1のジャンルとの意味的な関連度を示す第2の軸を有するグラフ上に、前記近接ジャンルを示すノードを表示する請求項3または4に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記近接ジャンル表示部は、前記第1のジャンルを示すノードを中心とし、前記地理的な近接度を半径方向の距離によって示し、前記第1のジャンルとの意味的な関連度を円周方向の角度によって示すレーダーチャート上に、前記近接ジャンルを示すノードを表示する請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記近接ジャンル表示部は、前記第1のジャンルとの意味的な関連度に応じて、前記近接ジャンルを示すノードに色を付して表示する請求項2〜8のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
施設の位置及びジャンルを記憶した施設情報記憶部と、
前記施設情報記憶部に記憶された情報に基づいて、一のジャンルに含まれる全施設と、他のジャンルに含まれる全施設とのすべての組み合わせについて距離を求め、求めた距離に基づいて一のジャンルと他のジャンルとの地理的な近接度を求める地理的近接度算出部とを備え、
前記地理的近接度算出部にて求めた地理的な近接度を前記地理的近接度記憶部に記憶する請求項1〜9のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
施設の位置及びジャンルを記憶した施設情報記憶部と、
地図を複数の区画に分割し、前記施設情報記憶部に記憶された情報に基づいて、各区画に存在するジャンルの組み合わせの相関を求めることにより、地理的な近接度を求める地理的近接度算出部とを備え、
前記地理的近接度算出部にて求めた地理的な近接度を前記地理的近接度記憶部に記憶する請求項1〜9のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項12】
ジャンルを階層毎に分類したジャンル分類情報を記憶したジャンル分類情報記憶部と、
前記ジャンル分類情報記憶部に記憶された情報に基づいて、対比されるジャンルが同じグループに分類される階層を求めることによって、ジャンル相互の意味的な関連度を求める意味的関連度算出部と、
を備える請求項7〜9のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項13】
施設について記述した文書データを取得する施設データ取得部と、
一のジャンルに含まれる施設の文書データと、他のジャンルに含まれる施設の文書データとの類似度を求めることによって、ジャンル相互の意味的な関連度を求める意味的関連度算出部と、
を備える請求項7〜9のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項14】
施設の属性を示すジャンル相互の地理的な近接度であって、前記ジャンルに含まれる施設の位置に基づいて求められた地理的な近接度を記憶した地理的近接度記憶部と、
前記地理的近接度記憶部に記憶されたジャンル相互の地理的な近接度に基づいて、各ジャンルについて当該ジャンルに所定の閾値以上近接するジャンルを求める近接ジャンル算出部と、
各ジャンルを示すノードと当該ジャンルに近接するジャンルを示すノードとをその近接度合いに応じた重なりをもって表示するジャンル表示部と、
ジャンルの入力を受け付けるジャンル入力部と、
前記ジャンル表示部にて表示されたジャンルの中から選択され前記ジャンル入力部にて入力されたジャンルの施設を含む経路を求める経路探索部と、
前記経路探索部にて探索された経路をドライバに提示する経路提示部と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項15】
施設の属性を示すジャンル相互の地理的な近接度であって、前記ジャンルに含まれる施設の位置に基づいて求められた地理的な近接度を記憶した地理的近接度記憶部と、
前記地理的近接度記憶部に記憶されたジャンル相互の地理的な近接度に基づいて、各ジャンルについて当該ジャンルに所定の閾値以上近接するジャンルを求める近接ジャンル算出部と、
各ジャンルを示すノードと当該ジャンルに近接するジャンルを示すノードとをその近接度合いに応じた長さのリンクで接続して表示するジャンル表示部と、
ジャンルの入力を受け付けるジャンル入力部と、
前記ジャンル表示部にて表示されたジャンルの中から選択され前記ジャンル入力部にて入力されたジャンルの施設とを含む経路を求める経路探索部と、
前記経路探索部にて探索された経路をドライバに提示する経路提示部と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項16】
ジャンルの入力を受け付けるジャンル入力部と、
前記ジャンル入力部にて入力された第1のジャンルに所定の閾値以上近接する近接ジャンルを表示する近接ジャンル表示部と、
前記第1のジャンルの施設と、前記近接ジャンルの中から選択され前記ジャンル入力部にて入力された第2のジャンルの施設とを含む経路を求める経路探索部と、
前記経路探索部にて探索された経路をドライバに提示する経路提示部と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項17】
第1のジャンルの入力を受け付けるステップと、
地理的近接度記憶部に記憶された施設の属性を示すジャンル相互の地理的な近接度の情報に基づいて、前記第1のジャンルに所定の閾値以上近接する近接ジャンルを求めるステップと、
前記近接ジャンルを表示するステップと、
前記近接ジャンルの中から選択された第2のジャンルの入力を受け付けるステップと、
前記第1のジャンルの施設と前記第2のジャンルの施設とを含む経路を求めるステップと、
探索された経路をドライバに提示するステップと、
を備える経路提示方法。
【請求項18】
指定されたジャンルの施設を含む経路を提示するためのプログラムであって、コンピュータに、
第1のジャンルの入力を受け付けるステップと、
地理的近接度記憶部に記憶された施設の属性を示すジャンル相互の地理的な近接度の情報に基づいて、前記第1のジャンルに所定の閾値以上近接する近接ジャンルを求めるステップと、
前記近接ジャンルを表示するステップと、
前記近接ジャンルの中から選択された第2のジャンルの入力を受け付けるステップと、
前記第1のジャンルの施設と前記第2のジャンルの施設とを含む経路を求めるステップと、
探索された経路をドライバに提示するステップと、
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−63534(P2009−63534A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233677(P2007−233677)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】