説明

ナビゲーション装置及び消費電流制御方法

【課題】外部から供給可能な制限電流が変わる場合でも、確実に動作し得るナビゲーション装置及び消費電流制御方法を実現する。
【解決手段】PND1の本体部3では、本体部3の消費電流が外部から供給可能な制限電流以下となるよう、CPU23が、少なくとも、液晶ディスプレイ2及びGPS受信部27の消費電流を低減させるこれらを制御するようにしたことにより、例えば、外部の電力供給元がシガーソケットからUSB接続されたパーソナルコンピュータ11に変わるなどして、外部から供給可能な制限電流がより小さな値に変わった場合でも、ナビゲーション装置の消費電流が外部から供給可能な制限電流を超えて動作を途中で終了してしまうような状況を未然に回避することができ、かくして、外部から供給可能な制限電流が変わる場合でも、確実に動作することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置及び消費電流制御方法に関し、例えば、小型で持ち運び可能なナビゲーション装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ナビゲーション装置として、小型で持ち運び可能なポータブルナビゲーションデバイス(これをPND(Portable Navigation Device)とも呼ぶ)が普及しつつある。このPNDは、例えば、車内に取り付けられたクレードルに載置されることで、このクレードルを介して、シガーソケットから供給される電力により動作する。
【0003】
また、このPNDは、フラッシュメモリなどの記憶部に地図データを記憶するようになされ、この地図データを更新する場合、クレードルから取り外されて、例えば、USBケーブルを介してパーソナルコンピュータと接続される。そして、このPNDは、接続されたパーソナルコンピュータから転送されてくる最新の地図データにより、記憶部に記憶している地図データを書き換える。
【0004】
このとき、PNDが、例えば、USB(Universal Serial Bus)方式によるケーブル(以下、これをUSBケーブルとも呼ぶ)を介してパーソナルコンピュータから供給される電力により動作できれば、別途電源ケーブルを介して電源コンセントから電力を供給する必要がなくなり、地図データ更新時の利便性が高まる。
【0005】
しかしながら、USBケーブルを介して供給される電流は、例えば1ポート当たり最大500mAのように、電源コンセントやシガーソケットから供給される電流よりも小さい。
【0006】
このため、通常、電源コンセントやシガーソケットから供給可能な制限電流で動作し得るようになされたPNDを、USBケーブルを介して供給可能な制限電流により動作させようとすると、PNDの消費電流が供給可能な制限電流を超え、地図データの更新が途中で終了してしまうなどの不具合が生じる恐れがあった。
【0007】
ここで、例えば、内蔵されたバッテリにより動作する装置で、特定の処理を実行しているときに、この処理に関与しないデバイスの動作を停止することで、装置の消費電流を下げる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−221626公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような技術を用いて、バッテリによりPNDを動作させるようにすれば、地図データ更新時に、別途電源ケーブルを介して電力を供給する必要がなくなる。しかしながら、この場合、装置の消費電流を下げることで動作時間を長くすることはできるものの、結局のところ、地図データの更新中にバッテリがきれてしまうと、地図データの更新が途中で終了することになる。
【0009】
つまり、PNDでは、地図データの更新のように時間のかかる処理を行うときには、途中で動作が停止することのないよう、外部から安定して供給されつづける電力で動作することが望ましいが、上述したようにシガーソケットなどから供給可能な制限電流と、USBケーブルを介して供給可能な制限電流とのように、供給可能な制限電流が変わる場合、消費電流が供給可能な制限電流を超えてしまうことがあり、結果として、確実に動作できるとは言えなかった。
【0010】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、外部から供給可能な制限電流が変わる場合でも、確実に動作し得るナビゲーション装置及び消費電流制御方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を解決するため本発明においては、外部から供給される電力により動作可能なナビゲーション装置に、各種情報を表示する表示部と、装置の現在位置を測位する測位部と、装置の消費電流が外部から供給可能な制限電流以下となるよう、表示部及び測位部の消費電流を低減させる制御部とを設けるようにした。
【0012】
こうすることで、例えば、外部の電力供給元が変わるなどして、外部から供給可能な制限電流がより小さな値に変わるような場合でも、ナビゲーション装置の消費電流が外部から供給可能な制限電流を超えて動作が途中で終了してしまうような状況を未然に回避することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外部から供給される電力により動作可能なナビゲーション装置に、各種情報を表示する表示部と、装置の現在位置を測位する測位部と、装置の消費電流が外部から供給可能な制限電流以下となるよう、表示部及び測位部の消費電流を低減させる制御部とを設けるようにしたことにより、例えば、外部から供給可能な制限電流がより小さな値に変わるような場合でも、ナビゲーション装置の消費電流が外部から供給可能な制限電流を超えて動作が途中で終了してしまうような状況を未然に回避することができ、かくして、外部から供給可能な制限電流が変わる場合でも、確実に動作し得るナビゲーション装置及び消費電流制御方法を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面について、本発明の実施の形態を詳述する。
【0015】
(1)第1の実施の形態
(1−1)PNDの外観構成
まず、第1の実施の形態について説明する。図1において1は、全体として本実施の形態のPNDを示す。このPND1は、例えば表面にタッチパネルが配された液晶ディスプレイ2を有する本体部3と、当該本体部3が載置されるクレードル部4とで構成される。クレードル部4は、その底面に設けられた吸盤4Aにより、車内のダッシュボードに対して容易に装着し得、かつ容易に取り外しでき、図示しないシガーソケットから得られる電力を、載置された本体部3に供給するようになされている。
【0016】
このPND1は、GPS(Global Positioning System)により車両の現在位置を測位して、この現在位置を地図上に示すナビゲーション画面を液晶ディスプレイに表示し、さらに出発地から目的地までの走行経路を探索した後、この走行経路をもとに、ナビゲーション画面を介して、ユーザを目的地までナビゲーションするようになされている。
【0017】
またこのPND1は、本体部3に内蔵されたフラッシュメモリに地図データを記憶するようになされ、この地図データを更新する場合、図2に示すように、本体部3がクレードル部4から取り外されて、USBケーブル10を介してパーソナルコンピュータ11とUSB接続される。そして、このPND1の本体部3は、USB接続されたパーソナルコンピュータ11から転送されてくる最新の地図データにより、フラッシュメモリに記憶している地図データを書き換えるようになされている。
【0018】
このとき、本体部3は、USBケーブル10を介してパーソナルコンピュータから供給される電力により動作するようになされている。
【0019】
(1−2)本体部の回路構成
次に、PND1の本体部3の回路構成について図3を用いて詳述する。PND1の本体部3は、クレードルインタフェース20を介してクレードル部4と接続されている場合には、このクレードル部4から供給される電力により動作する。また本体部3は、クレードル部4から取り外されてUSBインタフェース21を介してパーソナルコンピュータ11とUSB接続されている場合には、このパーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給される電力により動作する。
【0020】
さらに本体部3は、クレードル部4またはパーソナルコンピュータ11と接続しているときに、これらから供給される電力により充電されるバッテリ22を内蔵しており、クレードル部4にもパーソナルコンピュータ11にも接続されていない場合には、このバッテリ22から得られる電力で動作し得るようになされている。
【0021】
このようにして動作する本体部3は、CPU23が全体を統括的に制御するとともに、ROM(Read Only Memory)24またはフラッシュメモリ25に格納された種々のプログラムをRAM(Random Access Memory)26に読み出して実行することにより、ナビゲーション、地図データの更新、消費電流の制御(後述する)などにかかわる各種処理を実行するようになされている。
【0022】
実際上、本体部3は、ナビゲーション時、GPS受信部27によって複数のGPS衛星のそれぞれから送信されるGPS信号を受信する。GPS受信部27は、受信したGPS信号を復調することで各GPS衛星の軌道上の位置を示す軌道情報を得るとともに、各GPS衛星からのGPS信号の到達時間を測定することで各GPS衛星との距離を算出する。
【0023】
そしてGPS受信部27は、このようにして得られた軌道情報と各GPS衛星との距離とに基づいて、本体部3の現在位置(本体部3が車内に取り付けられたクレードル部4に載置されているのであれば車両の現在位置)を測位し、測位した現在位置を示す位置情報をCPU23に送る。
【0024】
CPU23は、GPS受信部27から送られてくる位置情報をRAM26に記憶するとともに、この位置情報と、フラッシュメモリ25に格納された地図データとに基づいて、車両の現在位置が地図上に示されたナビゲーション画面のデータ(これをナビゲーション画面データとも呼ぶ)を生成する。そしてCPU23は、このナビゲーション画面データに基づくナビゲーション画面を液晶ディスプレイ2に表示させることで、車両の現在位置をユーザに提示する。
【0025】
さらにCPU23は、液晶ディスプレイ2の表面に配されたタッチパネルなどでなる操作部28を介して経路探索命令が入力されると、これに応じて、GPS受信部27から送られてくる位置情報と、フラッシュメモリ25に格納された地図データとに基づき、車両の現在位置から、設定された目的地までの走行経路を探索して、この走行経路が地図上に示されたナビゲーション画像データを生成する。そしてCPU23は、このナビゲーション画像データに基づくナビゲーション画像を液晶ディスプレイ2に表示させることで、現在位置から目的地までの走行経路をユーザに提示する。
【0026】
このようにして、PND1の本体部3は、ユーザを目的地までナビゲーションするようになされている。
【0027】
また本体部3は、地図データ更新時、USBインタフェース21及びUSBケーブル10を介してUSB接続されたパーソナルコンピュータ11から転送されてくる最新の地図データにより、フラッシュメモリ25に記憶している地図データを書き換える。
【0028】
このようにして、PND1の本体部3は、フラッシュメモリ25に記憶している地図データを更新するようになされている。
【0029】
ところで、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給される電力は、入力装置(例えばキーボード)や小型の記憶装置(例えばポータブルハードディスク)など、比較的消費電力の小さい(数百ミリワット程度の)機器を動作させることを前提としている。これに対して、シガーソケットから供給される電力は、比較的消費電力の大きい(数十ワット程度の)機器も十分動作させることができるようになされている。
【0030】
つまり、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給される電力は、シガーソケットからクレードル部4を介して供給される電力よりも小さい。実際上、供給される電圧はほぼ一定であるので、供給可能な制限電流が小さいことになる。
【0031】
ここで、本体部3は、ナビゲーション時など、通常、シガーソケットからクレードル部4を介して供給される電力により動作するよう設計されているので、例えば、通常の消費電流(例えば600mA)は、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流(例えば500mA)よりも大きい。
【0032】
したがって、そのままの消費電流では、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給される電力により動作して地図データを更新しようとした場合に、消費電流が供給可能な制限電流を超えてしまい、地図データの更新が正常に行えない恐れがある。
【0033】
そこで、本体部3は、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給可される電力により動作する場合には、このとき供給可能な制限電流でも確実に地図データを更新できるよう、本体部3の消費電流を制御(つまり抑制)するようになされている。
【0034】
(1−3)第1の実施の形態による消費電流制御処理手順
ここで、図4に示すフローチャートを用いて、上述した本体部3による消費電流制御の処理手順(これを消費電流制御処理手順とも呼ぶ)RT1について詳述する。この消費電流制御処理手順RT1は、主として、本体部3のCPU23が、ROM24またはフラッシュメモリ25に記憶されているプログラムにしたがって実行する処理の手順である。
【0035】
CPU23は、USBケーブル10によりパーソナルコンピュータ11とUSB接続されたことを、USBインタフェース21を介して認識すると、この消費電流制御処理手順RT1を開始して、ステップSP1に移る。
【0036】
ステップSP1においてCPU23は、液晶ディスプレイ2のバックライトの輝度を、あらかじめ設定された値にまで低減させることにより、液晶ディスプレイ2の消費電流を低減させて、次のステップSP2に移る。ステップSP2においてCPU23は、自身の動作クロックの周波数をあらかじめ設定された値にまで低減させる(例えば520MHzから312MHzに低減させる)ことにより、自身の消費電流を低減させて、次のステップSP3に移る。ステップSP3においてCPU23は、GPS受信部27の動作を停止することにより、GPS受信部27の消費電流を0にする。
【0037】
この結果、このときの本体部3の消費電流は、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流以下に抑制される。また、この場合、液晶ディスプレイ2のバックライトの輝度、CPU23の動作クロックの周波数、GPS受信部27の動作のように、地図データの更新には影響を及ぼさない部分の消費電流を低減させるようにしたことで、本体部3の消費電流が低減しても、地図データの更新は確実に実行することができる。
【0038】
このようにして、本体部3の消費電流を抑制した後、CPU23は、この消費電流制御処理手順RT1を終了する。このような消費電流制御処理手順RT1を実行したうえで、地図データの更新が行われる。
【0039】
ちなみに、液晶ディスプレイ2のバックライトの輝度を低減するときの設定値、及びCPU23の動作クロックの周波数を低減するときの設定値は、本体部3の消費電流がパーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流以下(ただし地図データの更新に必要な消費電流以上)となるよう算出された値であり、あらかじめROM24またはフラッシュメモリ25に記憶されている。
【0040】
したがって、CPU23は、例えば、本体部3の消費電流と、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流とを比較して、本体部3の消費電流がパーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流以下となるように、バックライトの輝度や動作クロックの周波数を調整しなくてもよく、短時間で容易に、本体部3の消費電流をパーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流以下に抑制することができる。
【0041】
(1−4)第1の実施の形態による動作及び効果
以上の構成においてPND1の本体部3は、クレードル部4に載置されているときには、シガーソケットからクレードル部4を介して供給される電力により動作する一方で、地図データを更新するために、クレードル部4から取り外されて、パーソナルコンピュータ11にUSB接続されているときには、このパーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給される電力により動作する。
【0042】
ここで、USBケーブル10を介して供給可能な制限電流は、クレードル部4を介して供給可能な制限電流よりも小さい。
【0043】
そこで、PND1の本体部3は、地図データ更新時の消費電流がUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流を超えないよう、地図データの更新に必ずしも必要ではない部分の消費電流を低減させる。
【0044】
具体的に、本体部3は、液晶ディスプレイ2のバックライトの輝度を低減させるとともに、CPU23の動作クロックの周波数を低減し、さらにGPS受信部27の動作を停止することで、消費電流を低減させる。
【0045】
これによりPND1の本体部3は、クレードル部4を介して供給可能な制限電流よりも小さい、USBケーブル10を介して供給可能な制限電流でも、確実に動作(つまり地図データを更新)することができる。
【0046】
また本体部3では、地図データの更新に必ずしも必要ではなく、且つ消費電流が他の部分と比して大きい、液晶ディスプレイ2、CPU23、GPS受信部27の消費電流を低減させるようにしたことにより、本体部3の各部のうち、消費電流を制御する部を、必要最小限にすることができる。
【0047】
以上の構成によれば、PND1の本体部3では、本体部3の消費電流が外部から供給可能な制限電流以下となるよう、CPU23が、少なくとも、液晶ディスプレイ2及びGPS受信部27の消費電流を低減させるようにしたことにより、例えば、外部の電力供給元がシガーソケットからUSB接続されたパーソナルコンピュータ11に変わるなどして、外部から供給可能な制限電流がより小さな値に変わった場合でも、ナビゲーション装置の消費電流が外部から供給可能な制限電流を超えて動作を途中で終了してしまうような状況を未然に回避することができ、かくして、外部から供給可能な制限電流が変わる場合でも、確実に動作することができる。
【0048】
(2)第2の実施の形態
次に、第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、第1の実施の形態とは異なる消費電流制御を行う実施の形態であり、以下、この点を中心に説明する。なお、PND1の構成については、第1の実施の形態と同一であるので、第1の実施の形態を参照とする。
【0049】
ただし、本実施の形態では、本体部3が、パーソナルコンピュータ11とUSB接続されているとき、このパーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給される電力によりバッテリ22を充電しつつ、このバッテリ22から得られる電力により動作するようになされている。
【0050】
(2−1)第2の実施の形態による消費電流制御処理手順
図5に示すフローチャートを用いて、本実施の形態による消費電流制御処理手順RT2について詳述する。この消費電流制御処理手順RT2も、主として、本体部3のCPU23が、ROM24またはフラッシュメモリ25に記憶されているプログラムにしたがって実行する処理の手順である。
【0051】
CPU23は、USBケーブル10によりパーソナルコンピュータ11とUSB接続されたことを、USBインタフェース21を介して認識すると、この消費電流制御処理手順RT2を開始して、ステップSP10に移る。
【0052】
ステップSP10においてCPU23は、バッテリ22の電圧を検知する検知部(図示せず)から得られる値を所定時間(例えば数秒)監視することにより、バッテリ22の電圧が減っているかどうかを判別する。
【0053】
ここでバッテリ22の電圧が変わらないもしくは増えていることにより否定結果を得ると、このことは、バッテリ22の残容量が変わらないもしくは増えていることにより、バッテリ22から供給される電力よりも、バッテリ22を充電する電力のほうが大きいこと、つまり、このときの本体部3の消費電流が、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流以下であることを意味している。このときCPU23は、このときの本体部3の消費電流が、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流以下であると判断して、この消費電流制御処理手順RT2を終了する。
【0054】
これに対してこのステップSP10で肯定結果を得ると、このことは、バッテリ22の残容量が減っていることにより、バッテリ22から供給される電力よりも、バッテリ22を充電する電力のほうが小さいこと、つまり、このときの本体部3の消費電流が、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流よりも大きいことを意味している。このときCPU23は、このときの本体部3の消費電流が、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流より大きいと判断して、ステップSP11に移る。
【0055】
ステップSP11においてCPU23は、液晶ディスプレイ2のバックライトの輝度を、あらかじめ設定された値にまで低減させて、次のステップSP12に移る。
【0056】
ステップSP12においてCPU23は、再度、バッテリ22の電圧が減っているかどうかを判別する。
【0057】
ここでバッテリ22の電圧が変わらないもしくは増えていることにより否定結果を得ると、このことは、バッテリ22から供給される電力が、バッテリ22を充電する電力以下であること、つまり、バックライトの輝度を低減させたことにより、このときの本体部3の消費電流が、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流以下になったことを意味している。このときCPU23は、このときの本体部3の消費電流が、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流以下になったと判断して、この消費電流制御処理手順RT2を終了する。
【0058】
これに対してこのステップSP12で肯定結果を得ると、このことは、バッテリ22から供給される電力よりも、バッテリ22を充電する電力のほうが小さいこと、つまり、このときの本体部3の消費電流が、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流よりもまだ大きいことを意味している。このときCPU23は、このときの本体部3の消費電流が、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流よりまだ大きいと判断して、ステップSP13に移る。
【0059】
ステップSP13においてCPU23は、GPS受信部27の動作を停止して、次のステップSP14に移る。
【0060】
ステップSP14においてCPU23は、再度、バッテリ22の電圧が減っているかどうかを判別する。
【0061】
ここでバッテリ22の電圧が変わらないもしくは増えていることにより否定結果を得ると、このことは、バッテリ22から供給される電力が、バッテリ22を充電する電力以下であること、つまり、バックライトの輝度を低減させてGPS受信部27の動作を停止したことにより、このときの本体部3の消費電流が、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流以下になったことを意味している。このときCPU23は、このときの本体部3の消費電流が、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流以下になったと判断して、この消費電流制御処理手順RT2を終了する。
【0062】
これに対してこのステップSP14で肯定結果を得ると、このことは、バッテリ22から供給される電力よりも、バッテリ22を充電する電力のほうが小さいこと、つまり、このときの本体部3の消費電流が、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流よりもまだ大きいことを意味している。このときCPU23は、このときの本体部3の消費電流が、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流よりまだ大きいと判断して、ステップSP15に移る。
【0063】
ステップSP15においてCPU23は、自身の動作クロックの周波数をあらかじめ設定された値にまで低減することで、最終的に、本体部3の消費電流をUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流以下になるまで低減させた後、この消費電流制御処理手順RT2を終了する。このような消費電流制御処理手順RT2を実行したうえで、地図データの更新が行われる。
【0064】
このように、本実施の形態では、本体部3の消費電流が、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流以下になるまで、段階的に、本体部3の消費電流を低減させるようになされている。
【0065】
(2−2)第2の実施の形態による動作及び効果
以上の構成においてPND1の本体部3は、クレードル部4から取り外されて、パーソナルコンピュータ11にUSB接続されているとき、このパーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給される電力によりバッテリ22を充電しつつ、このバッテリ22から得られる電力により動作する。
【0066】
このとき、PND1の本体部3は、消費電流とUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流とを比較して、消費電流がUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流以下となるよう、段階的に、地図データの更新に必ずしも必要ではない部分の消費電流を低減させる。
【0067】
具体的に、本体部3は、バッテリ22の電圧が減っているかどうかで、消費電流がUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流以下であるかどうかを判断する。そして本体部3は、消費電流がUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流を超えている場合には、まず、液晶ディスプレイ2のバックライトの輝度を低減させ、それでも消費電流がUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流を超えていると判断した場合には、GPS受信部27の動作を停止し、それでも消費電流がUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流を超えていると判断した場合には、CPU23の動作クロックの周波数を低減する。
【0068】
こうすることで本体部3は、地図データを更新するにあたり、例えば無駄にCPU23の動作クロックの周波数を低減するようなことを回避して、供給可能な制限電流に対して最適な消費電流で動作することができ、結果として、確実かつ高速に地図データを更新することができる。
【0069】
また、本体部3は、バッテリ22の電圧が減っているかどうかで、つまりバッテリ22の残容量が減っているかどうかで、消費電流がUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流以下であるかどうかを判別するようにしたことにより、例えば、現在の消費電流を演算により求めるような場合と比して、はるかに容易かつ正確に、消費電流がUSBケーブル10を介して供給可能な消費電流以下であるかどうかを判別できる。
【0070】
以上の構成によれば、PND1の本体部3では、CPU23が、消費電流とUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流とを比較して、消費電流がUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流以下となるよう、段階的に、液晶ディスプレイ2、GPS受信部27、CPU23の消費電流を低減させるようにしたことにより、例えば、無駄にCPU23の動作クロックの周波数を低減させるようなことを回避して、供給可能な制限電流に対して最適な消費電流で動作することができ、かくして、確実かつ高速に地図データを更新することができる。
【0071】
(3)他の実施の形態
なお、上述した第1及び第2の実施の形態では、PND1の本体部3に、GPSにより現在位置を測位するGPS受信部27を設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、GPS受信部27にくわえて、GPSによる測位ができないときに、現在位置を推測する各種センサを本体部3に設けるようにしてもよい。
【0072】
具体的には、車両の右左折による方位変化を検出するジャイロセンサや、車両の上下方向の変化を検出する気圧センサ、車両の進行方向の加速度を検出する加速度センサを設けるようにしてもよい。これら各種センサから得られる情報をもとに、現在位置を推測するようにすれば、GPSのみで現在位置を測位する場合と比して、より確実に現在位置を特定することができる。
【0073】
さらに道路交通情報を受信するためのビーコン受信部を本体部3に設けるようにしてもよい。
【0074】
このような各種センサ及びビーコン受信部が設けられた場合、本体部3は、GPS受信部27と同様に、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して電力が供給されているときには、これらの動作を停止することで、消費電流を低減させるようにしてもよい。
【0075】
また、これらGPS受信部27、各種センサ及びビーコン受信部の動作を一度に停止させるのではなく、第2の実施の形態と同じように、例えば、各種センサ、ビーコン受信部、GPS受信部27のそれぞれの動作を、段階的に、停止させるようにしてもよい。
【0076】
ここで、GPS受信部27は、一旦動作を停止すると、次に動作を開始したときにGPS衛星の捕捉に時間がかかるので、動作を停止させる優先度を、各種センサ及びビーコン受信部よりも小さくするとよい。
【0077】
同様の考え方により、第2の実施の形態でのGPS受信部27の動作の停止と、CPU23の動作クロックの周波数の低減とを入れ換えるようにしてもよい。また、これに限らず、液晶ディスプレイ2の輝度の低減と、GPS受信部27の動作の停止と、CPU23の動作クロックの周波数の低減との順番を適宜入れ換えるようにしてもよい。
【0078】
さらに上述した第1の実施の形態では、USB接続されると、液晶ディスプレイ2の輝度を低減させるとともに、GPS受信部27の動作を停止して、さらにCPU23の動作クロックの周波数も低減するようにした場合について述べたが、例えば、もともとの本体部3の消費電流が小さく、液晶ディスプレイ2の輝度を低減するとともに、GPS受信部27の動作を停止するだけで、消費電流がUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流以下となるのであれば、CPU23の動作クロックの周波数を低減しなくてもよい。
【0079】
さらに上述した第2の実施の形態では、消費電流がUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流を超えている場合に、まず、液晶ディスプレイ2のバックライトの輝度を低減させ、それでも消費電流がUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流を超えている場合には、GPS受信部27の動作を停止し、それでも消費電流がUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流を超えている場合には、CPU23の動作クロックの周波数を低減するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、CPU23の動作クロックの周波数を設定値まで低減しても、消費電流がUSBケーブル10を介して供給可能な制限電流を超えている場合には、さらに液晶ディスプレイ2のバックライトの輝度を低減させ、それでも超えている場合には、さらにCPU23の動作クロックの周波数を低減するようにしてもよい。
【0080】
ただし、この場合、CPU23の動作クロックの周波数は、少なくとも地図データの更新については確実に行える程度までしか低減しないようにする。一方、液晶ディスプレイ2のバックライトについては、完全に消しても構わない。
【0081】
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態では、液晶ディスプレイ2のバックライトの輝度を低減させることにより、液晶ディスプレイ2の消費電流を低減させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、液晶ディスプレイ2の動作を停止することで、液晶ディスプレイ2の消費電流を低減させるようにしてもよい。
【0082】
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態では、GPS受信部27の動作を停止することで、GPS受信部27での消費電流を低減させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、GPS受信部27で実行される処理のうちの一部を停止することで、GPS受信部27での消費電流を低減させるようにしてもよい。例えば、GPS受信部27で実行される処理のうち、受信したGPS信号を復調して、各GPS衛星の軌道上の位置を示す軌道情報を得る処理は残して、それ以外の処理を停止させるなどしてもよい。
【0083】
さらに、上述した第2の実施の形態では、バッテリ22の電圧が減っている場合に、つまりバッテリ22の残容量が減っている場合に、本体部3の消費電流を低減させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、バッテリ22の電圧が所定値以下になってから、つまりバッテリ22の残容量が所定量以下になってから、バッテリ22の電圧が減っているかどうかを判別して、減っている場合に、本体部3の消費電流を低減させるようにしてもよい。このようにしても、地図データの更新は確実に行うことができる。
【0084】
さらに、上述した第2の実施の形態では、バッテリ22の電圧を検知することで、バッテリ22の残容量を特定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、バッテリ22の残容量を特定し得る手法であれば、他の手法を用いるようにしてもよい。
【0085】
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態では、USB接続されたときに実行する処理が、地図データの更新である場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、プログラムの更新などであってもよい。実際上、USB接続されたときに実行する処理が、時間がかかる処理、つまり途中で停止してしまうことよる被害が甚大な処理であるほど、本発明による効果が大きい。
【0086】
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態では、シガーソケットからクレードル部4を介して供給される電力と、パーソナルコンピュータ11からUSBケーブル10を介して供給される電力とで動作するPND1に本発明を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これら以外の供給元から供給される様々な電力により動作するPNDに適用してもよい。
【0087】
さらにPNDに限らず、ナビゲーション機能を有する、ノートブック型のパーソナルコンピュータや、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機、ポータブル型ゲーム機などに適用してもよい。
【0088】
さらに、本発明は、上述した第1及び第2の実施の形態及びここまで説明した他の実施の形態に限定されるものではなく、上述した第1及び第2の実施の形態及びここまで説明した他の実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた形態、もしくは一部を抽出した形態であってもよい。
【0089】
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態では、消費電流制御処理手順RT1及びRT2を実行するためのプログラムを、ROM24またはフラッシュメモリ25にあらかじめ記憶しておくようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、このプログラムを例えば光ディスクや磁気ディスク、メモリカードなどの記録媒体に記録しておき、このプログラムをパーソナルコンピュータ11が記録媒体から読み出して、USB接続された本体部3に転送することで、フラッシュメモリ25にインストールするようにしてもよい。またこのプログラムをパーソナルコンピュータ11がネットワーク上のサーバからダウンロードして、USB接続された本体部3に転送することで、フラッシュメモリ25にインストールするようにしてもよい。
【0090】
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態では、主として、表示部としての液晶ディスプレイ2、測位部としてのGPS受信部27、制御部としてのCPU23、バッテリ22により、ナビゲーション装置としてのPND1を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、同様の機能を有するものであれば、ハードウェア、ソフトウェアに依らず、これら以外の表示部、測位部、制御部、バッテリによってPND1を構成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、例えば、PNDで広く有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】PNDの外観構成を示す略線図である。
【図2】PNDとパーソナルコンピュータとの接続を示す略線図である。
【図3】PNDの本体部の回路構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施の形態による消費電流制御処理手順を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態による消費電流制御処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0093】
1……PND、2……液晶ディスプレイ、3……本体部、4……クレードル部、4A……吸盤、10……USBケーブル、11……パーソナルコンピュータ、22……バッテリ、23……CPU、25……フラッシュメモリ、27……GPS受信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給される電力により動作可能なナビゲーション装置であって、
各種情報を表示する表示部と、
装置の現在位置を測位する測位部と、
装置の消費電流が外部から供給可能な制限電流以下となるよう、上記表示部及び上記測位部の消費電流を低減するように制御する制御部と
を具えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
上記制御部は、
上記表示部の消費電流を低減させても装置の消費電流が外部から供給可能な制限電流以下にならないと判断した場合に、上記測位部の消費電流を低減させる
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
上記制御部は、
上記表示部のバックライトの輝度を低減させることで当該表示部の消費電流を低減させ、上記測位部の動作を停止させることで当該測位部の消費電流を低減させる
ことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
上記制御部は、
上記表示部及び上記測位部の消費電流を低減させても装置の消費電流が外部から供給可能な制限電流以下にならないと判断した場合に、さらに自身の消費電流を低減させる
ことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
上記制御部は、
動作クロックの周波数を低減することで自身の消費電流を低減させる
ことを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
外部から供給される電力により充電されるとともに、装置を動作させる電力が得られるバッテリを具え、
上記制御部は、上記バッテリの残容量をもとに、装置の消費電流と外部から供給可能な制限電流とを比較して、装置の消費電流が外部から供給可能な制限電流以下となるよう、上記表示部及び上記測位部の消費電流を低減させる
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
上記外部からの電流はUSB(Universal Serial Bus)方式で供給される
ことを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
上記測位部は、
GPS(Global Positioning System)信号を受信する測位部である
ことを特徴とする請求項7に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
外部から供給される電力により動作可能なナビゲーション装置の消費電流を制御する消費電流制御方法であって、
装置の消費電流が外部から供給可能な制限電流以下となるよう、各種情報を表示する表示部及び装置の現在位置を測位する測位部の消費電流を低減させる
ことを特徴とする消費電流制御方法。
【請求項10】
外部から供給される電流により動作可能なナビゲーション装置の消費電流を制御する消費電流制御方法であって、
装置の消費電流が外部から供給可能な制限電流以下となるよう、各種情報を表示する表示部のバックライトの輝度を低減させることで当該表示部の消費電流を低減させ、
上記表示部の消費電流を低減させても装置の消費電流が当該外部から供給可能な制限電流以下にならないと制御部が判断した場合に、装置の現在位置を測位する測位部の動作を停止することで当該測位部の消費電流を低減させ、
上記表示部及び上記測位部の消費電流を低減させても装置の消費電流が上記外部から供給可能な制限電流以下にならないと制御部が判断した場合に、さらに当該制御部の動作クロックの周波数を低減することで当該制御部の消費電流を低減させる
ことを特徴とする消費電流制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−115721(P2009−115721A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291368(P2007−291368)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】