説明

ナビゲーション装置

【課題】 より一層適切な経路案内を受けることができるナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】 まず、ナビ制御回路10は位置検出器20にて車両の現在位置を検出し、この現在位置から所定範囲内に存在する目印候補(施設)の重要度データを地図データ入力器30から読み込む(ステップS10〜ステップS11)。次に、ナビ制御回路10は、車両の現在位置と重要度データとによって目印係数データを算出することによって目印を決定して、車両の現在位置を説明するために説明データを設定する(ステップS12〜ステップS14)。そして、ナビ制御回路10は、説明データを外部局側通信装置210にて受信可能な音声データに変換して、その音声データを車両側通信装置90にて送信する(ステップS15〜ステップS16)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置として特許文献1に示すものがあった。特許文献1に示すナビゲーション装置は、カメラにて車両の前方を撮影して、その撮影した画像データを通信装置にて相手に送信することによって、相手側から経路案内を受けることができるものである。
【特許文献1】特開2004−53323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に示すナビゲーション装置においては、経路案内を受けるために画像データを送信するものである。しかしながら、相手側が画像データを受信できないような場合、適切な経路案内を受けることができない可能性があった。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、より一層適切な経路案内を受けることができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1に記載のナビゲーション装置は、現在位置に関する説明データを音声にて外部に送信するナビゲーション装置であって、外部との間で音声通信を行う通信手段と、現在位置を検出する現在位置検出手段と、施設データを含む道路地図に関する地図データを記憶する地図データ記憶手段と、現在位置と施設データとに基づいて目印を決定する目印決定手段と、現在位置を説明するための現在位置と目印との位置関係からなる説明データを設定する説明データ設定手段と、説明データを音声データに変換し、音声データを前記通信手段にて送信する音声変換手段とを備えることを特徴とするものである。
【0006】
このように、現在位置を説明するための現在位置と目印との位置関係からなる説明データを設定し、その説明データを音声データに変換して送信することによって、画像データを受信できないような場合でも、外部に対して適切に現在位置を説明することができるので、より一層適切な経路案内を受けることができる。
【0007】
また、目印を決定する場合、請求項2に示すように、現在位置から所定範囲に含まれる施設を目印候補として選定し、現在位置から目印候補である施設までの距離と目印候補である施設の施設データに含まれる重要度データとに基づいて目印を決定することができる。また、重要度データに関しては、請求項3に示すように、各施設の知名度データと所定範囲内に存在する同一施設の個数を示す個数データとによって決定することができる。
【0008】
また、外部としては、請求項4及び請求項5に示すように、目的地としての施設や、現在位置から目的地までの案内経路データを提供する事業所とすることができる。外部が現在位置から目的地までの案内経路データを提供する事業所である場合、目的地に関する目的地データを音声データに変換し、その音声データを説明データに対応する音声データと共に通信手段にて送信することによって、適切な経路案内を受けることができる。
【0009】
また、請求項6に示すように、説明データの送信を指示する指示信号を出力する送信指示手段を備え、指示信号が出力されると、説明データ設定手段は説明データを設定し、音声変換手段は説明データを音声データに変換し、その音声データを通信手段にて送信するようにしてもよい。
【0010】
また、請求項7に示すように、説明データは、目印と現在位置との距離を含むものとすることができる。このように、説明データが目印と現在位置との距離を含むことによって、より適切な現在位置を送信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。図2は、本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の目印候補と重要度データとの関係を示す表である。なお、本実施の形態においては、車両に搭載されるナビゲーション装置に適用した例を用いて説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態におけるナビゲーション装置は、外部局200と通信接続されている。
【0013】
ナビゲーション装置100は、ナビ制御回路10、位置検出器20、地図データ入力器30、操作デバイス40、外部メモリ50、表示装置60、音声コントローラ70、スピーカー71、音声認識装置72、マイク73、リモコンセンサ80、リモコン81、車両側通信装置90などを備える。
【0014】
ナビ制御回路10は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周辺のCPU、ROM、RAM、EEPROM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも不図示)が備えられている。ナビ制御回路10は、位置検出器20、地図データ入力器30、操作デバイス40、外部メモリ50、音声コントローラ70、リモコンセンサ80、車両側通信装置90から入力された各種情報に基づいて説明データの設定処理などを実行する。
【0015】
位置検出器20は、いずれも周辺のGPS受信機21、ジャイロスコープ22、距離センサ23、地磁気センサ24を有している。これらのセンサは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては上述した内の一部で構成してもよく、更にステアリングの回転センサ、各転動輪の車両センサ等を用いてもよい。
【0016】
地図データ入力器30は、記憶媒体(不図示)が装着され、この記憶媒体に記憶される地図表示や経路案内等に用いる道路地図データ、各施設の知名度データなどを含む施設データ等の道路系データと目的地検索や周辺施設検索等に用いる施設名や電話番号などの検索データ系などの地図データをナビ制御回路10に入力するための装置である。知名度データとは、各施設の規模などによって予めランク付けされたものである。本実施の形態における知名度データは、各施設の知名度を10段階にランク付けしたものであり、値が大きいほど知名度が高いものとする。なお、地図データ入力器30の記憶媒体としては、そのデータ量からCD−ROMまたはDVD−ROMを用いるのが一般的であるが、メモリカード、HDD等を用いてもよい。
【0017】
また、記憶媒体には、図2に示すように、目印候補である施設データと重要度データとが関連付けて記憶されている。この重要度データとは、記憶媒体に記憶されている施設データの中から目印を決定する際に用いるデータであり、施設データが示す施設が目印として重要であるか否かを表すデータである。
【0018】
この重要度データは、各施設の知名度データを目印候補から所定範囲内に存在する同一施設の個数で割って算出される。この重要度データの値が大きいほど重要度高いものである。例えば、図2におけるレストランAの場合、知名度データが7、レストランAから所定範囲内に存在する同一レストラン(レストランA)の個数2であるので、重要度データは3.5である。また、図2における百貨店Aの場合、知名度データが10、百貨店Aから所定範囲内に存在する同一百貨店(百貨店A)の個数1であるので、重要度データは10である。また、図2における洋服店Aの場合、知名度データが1、洋服店Aから所定範囲内に存在する同一洋服店(洋服店A)の個数1であるので、重要度データは1である。
【0019】
なお、ナビ制御回路10は、この重要度データと車両の現在位置とに基づいて目印係数データを算出することによって、目印を決定する。そして、ナビ制御回路10は、決定した目印と車両の現在位置との位置関係に基づいて、決定した目印と車両の現在位置との位置関係からなる車両の現在位置を説明する説明データを設定する。さらに、ナビ制御回路10は、設定した説明データを外部局側通信装置210にて受信可能な音声データに変換し、この音声データを車両側通信装置90にて送信する。なお、目印の決定方法については後ほど詳しく説明する。
【0020】
操作デバイス40は、例えば表示装置60と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、スイッチ操作によりナビ制御回路10へ説明データの設定などを示す操作信号を出力する。
【0021】
外部メモリ50は、HDD等の書き込み可能な大容量記憶装置である。外部メモリ50には大量のデータや電源の通電を遮断しても消去してはいけないデータを記憶したり、頻繁に使用するデータを地図データ入力器30からコピーして利用したりする。なお、外部メモリ50は、比較的記憶容量の小さいリムーバルなメモリであってもよい。
【0022】
表示装置60は、経路案内のための地図画面、目的地選択画面等を表示するものであって、フルカラー表示が可能なものであり、液晶、有機EL等を用いて構成することができる。
【0023】
音声コントローラ70は、マイク73から音声入力された際の音声認識装置72を制御すると共に、ユーザに対してスピーカー71を通じてトークバック出力制御(音声出力)する。また、音声コントローラ70は、音声認識装置72の認識結果をナビ制御回路10に入力する処理も行う。
【0024】
スピーカー71は、音声コントローラ70から入力された音声出力信号に基づき所定の音声(経路案内のための音声、音声認識結果等)を外部に報知する。マイク73は、ユーザが発声した音声を電気信号(音声データ)として音声認識装置72に入力する。音声認識装置72は、マイク73を介し発声されたユーザの入力音声を示す電気信号(音声データ)と、内部に記憶する認識辞書(不図示)中の語彙データ(比較対象パターン)とを照合し、最も一致度の高いものを認識結果として音声コントローラ70に出力する。
【0025】
また、マイク73にナビ制御回路10への目印の設定などの各種機能の実行を示す音声が発せられると、音声認識装置72は認識結果を音声コントローラに出力する。そして、音声コントローラ72は、各種機能の実行を示す操作信号をナビ制御回路10へ出力する。リモコンセンサ80は、リモコン81のスイッチ操作によりナビ制御回路10へ目印の設定などの各種機能の実行を示す操作信号を出力する。
【0026】
車両側通信装置90は、例えば、携帯電話や据付の通信端末などからなり、携帯電話網等のネットワークとの通信接続を行うことによって音声通信が可能な通信装置である。
【0027】
次に、外部局200について説明する。外部局200は、目的地としての施設などであり、車両側通信装置90との間で音声通信が可能な固定電話などからなる外部局側通信装置210などを備える。外部局側通信装置210は、外部局200の従業員などによって通信操作されるものである。
【0028】
外部局200の従業員は、外部局側通信装置210によってナビゲーション装置100の車両側通信装置90から送信される説明データを受信すると、その説明データに対応する案内経路を外部局側通信装置210にて送信する。すなわち、外部局200の従業員は、外部局側通信装置210を用いてナビゲーション装置100のユーザに対して経路案内を行う。
【0029】
ここで、本実施の形態におけるナビゲーション装置100の動作について説明する。図3は、本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフロー図である。図4は、本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の目印候補と目印係数データとの関係を示す表である。図3に示すフローは、操作デバイス40、音声コントローラ70、リモコンセンサ80から説明データの設定を示す操作信号が出力されるとスタートする。
【0030】
ステップS10では、ナビ制御回路10は、車両の現在位置を説明する説明データを設定するために位置検出器20にて車両の現在位置を検出する。
【0031】
ステップS11では、ナビ制御回路10は、説明データに用いる目印を決定するために、車両の現在位置から所定範囲内に存在する目印候補(施設)の重要度データを地図データ入力器30から読み込む。
【0032】
ステップS12では、ナビ制御回路10は、ステップS10で検出した車両の現在位置とステップS11で読み込んだ重要度データとによって目印係数データを算出する。この目印係数データを算出する場合、ナビ制御回路10は、車両の現在位置から各目印候補までの距離を算出する。そして、ナビ制御回路10は、重要度データを車両の現在位置から各目印候補までの距離で割って目印係数データを算出する。
【0033】
例えば、図3におけるレストランAの場合、重要度データが3.5、現在位置からレストランA(目印候補)までの距離が0.2kmであるので、目印係数データは17.5である。また、図3における百貨店Aの場合、重要度データが10、現在位置から百貨店A(目印候補)までの距離が0.1kmであるので、目印係数データは100である。また、図3における洋服店Aの場合、重要度データが1、現在位置から洋服店A(目印候補)までの距離が0.1kmであるので、目印係数データは20である。
【0034】
ステップS13では、ナビ制御回路10は、ステップS12で算出した目印係数データから最も高い値となる目印候補を目印として決定する。図3の例の場合、目印係数データの値が最も高い百貨店Aを目印として決定する。
【0035】
ステップS14では、ナビ制御回路10は、外部局200へ車両の現在位置を説明するために説明データを設定する。ナビ制御回路10は、ステップS10で検出した車両の現在位置とステップS13で決定した目印との位置関係から説明データを設定する。例えば、「現在位置は、百貨店Aの南側50mです」など。
【0036】
ステップS15では、ナビ制御回路10は、ステップS14で設定した説明データを外部局側通信装置210にて受信可能な音声データに変換する。そして、ステップS16では、ナビ制御回路10は、ステップS15で変換した説明データに対応する音声データを車両側通信装置90にて送信する。
【0037】
このように、ナビゲーション装置100は、車両の現在位置を説明するための現在位置と目印との位置関係からなる説明データを設定し、その説明データを外部局側通信装置210にて受信可能な音声データに変換して送信することによって、外部局側通信装置210が画像データを受信できないような場合でも、外部局200に対して適切に車両の現在位置を説明することができるので、より一層適切な経路案内を受けることができる。
【0038】
なお、本実施の形態においては、外部局200が目的地である場合を例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、外部局としては、車両の現在位置から目的地までの案内経路データを提供する事業所などであってもよい。この場合は、ナビゲーション装置100は、説明データに加えて目的地に関する目的地データを車両側通信装置90にて送信する。
【0039】
また、本実施の形態においては、車両に搭載されるナビゲーション装置に適用した例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、携帯電話やPDAなどに適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の目印候補と重要度との関係を示す表である。
【図3】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフロー図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の目印候補と目印係数データとの関係を示す表である。
【符号の説明】
【0041】
10 ナビ制御回路、20 位置検出器、21 GPS受信機、22 ジャイロスコープ、23 距離センサ、24 地磁気センサ、30 地図データ入力器、40 操作デバイス、50 外部メモリ、60 表示装置、70 音声コントローラ、71 スピーカー、72 音声認識装置、73 マイク、80 リモコンセンサ、81 リモコン、90 車両側通信装置、100 ナビゲーション装置、200 外部局、210 外部局側通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置に関する説明データを音声にて外部に送信するナビゲーション装置であって、
前記外部との間で音声通信を行う通信手段と、
前記現在位置を検出する現在位置検出手段と、
施設データを含む道路地図に関する地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
前記現在位置と前記施設データとに基づいて目印を決定する目印決定手段と、
前記現在位置を説明するための当該現在位置と前記目印との位置関係からなる前記説明データを設定する説明データ設定手段と、
前記説明データを音声データに変換し、当該音声データを前記通信手段にて送信する音声変換手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記施設データは、各施設の重要度を示す重要度データを含むものであり、前記目印決定手段は、前記現在位置から所定範囲に含まれる施設を目印候補として選定し、前記現在位置から前記目印候補である施設までの距離と前記目印候補である施設の施設データに含まれる前記重要度データとに基づいて目印を決定することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記施設データは、各施設の知名度に関する知名度データを備えるものであり、前記重要度データは、前記知名度データと所定範囲内に存在する同一施設の個数を示す個数データとによって決定されることを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記外部とは、目的地としての施設であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
ユーザの操作によって目的地に関する目的地データを出力する目的地出力手段を備え、前記外部として現在位置から目的地までの案内経路データを提供する事業所である場合、前記音声変換手段は、前記目的地データを前記音声データに変換し、当該音声データを前記説明データに対応する音声データと共に前記通信手段にて送信することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記説明データの送信を指示する指示信号を出力する送信指示手段を備え、前記指示信号が出力されると、前記説明データ設定手段は、前記説明データを設定し、前記音声変換手段は、前記説明データを音声データに変換し、当該音声データを前記通信手段にて送信することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記説明データは、目印と現在位置との距離を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−292374(P2006−292374A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−109052(P2005−109052)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】