説明

ナビゲーション装置

【課題】地図データを新たに整備することなく、料金所エリア内を走行する際の自車位置の誤表示を防止する。
【解決手段】料金所エリア内を自車が走行中であるか否かを判定し(S200)、料金所エリア内を自車が走行中であると判定された場合、料金所エリアに自車が進入する手前で算出された候補評価値を保持し、この保持した候補評価値を用いてリンクによって表される道路を走行しているか離脱して走行しているかを判定する(300、S400)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車位置を特定するための位置情報から自車位置を特定して表示するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の幅員以下の道路を予め線データ化して線形の道路データと、料金所やサービスエリアなど、車がコースを変えて自由に走行可能な所定以上の幅員または広さを持つエリアを予め面データ化した面の道路データの2種類の道路データを地図データとして記憶媒体に記憶しておき、車がコースを変えて自由に走行可能なエリア内をどのように走行しても、その面データ化されたエリア内にあればマッチング外れを起こさないようにして、実際の走行パターンに合わせたマッチングができるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、料金所や駐車場などの、道路リンクが整備されていないエリアにおいて、料金所や駐車場内に仮想的な道路リンクを設定し、この仮想的な道路リンクを利用してマップマッチングを行うようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−107163号公報
【特許文献2】特開2006−250875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した料金所のように道路幅が局所的に広くなるようなエリアでは、車がコースを変えて自由に走行することが可能なため、例えば、図11に示すように、料金所エリア内を走行する際に、走行中のリンク上に自車位置マークを表示すべきところを、走行中のリンクから外れた位置に自車位置マークが表示されたり、図12に示すように、料金所の手前に他の高速道路へ分岐する地点が存在するような場合、本線のリンク上に自車位置マークを表示すべきところを、他の高速道路上に誤マッチし、他の高速道路を表すリンク上に自車位置マークが表示されたりする場合がある。このような状況下では、料金支払いのための案内が実施されなかったり、料金支払いのための案内が誤って実施されてしまったりする場合がある。
【0005】
特許文献1に記載の装置は、新たに面の道路データを地図データとして整備する必要があり、地図データの整備費用が増加するだけでなく、地図データのデータサイズが増加してしまうといった問題がある。
【0006】
また、特許文献2に記載の装置についても、料金所や駐車場内に仮想的な道路リンクを地図データとして整備する必要があり、特許文献1に記載の装置と同様に、地図データの整備費用と地図データのデータサイズが増加してしまうといった問題がある。
【0007】
本発明は上記点に鑑みたもので、地図データを新たに整備することなく、料金所エリア内を走行する際の自車位置の誤表示を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の特徴は、自車位置を特定するための位置情報を入力する位置情報入力手段と、位置情報と地図データ入力手段から読み出した地図データに含まれる道路を表すリンクとから自車が存在しうるリンク上の位置を表す道路候補を一つ以上生成する道路候補生成手段と、道路候補に対して位置情報入力手段から入力される位置情報から求めた走行軌跡とリンクとの一致の度合いを示す候補評価値を算出する候補評価値算出手段と、候補評価値算出手段によって算出された候補評価値が予め定められた基準評価値より良好であるか否かに基づいてリンクによって表される道路を走行しているか離脱して走行しているかを判定する道路離脱走行判定手段と、候補評価値算出手段によって算出された候補評価値に基づいて自車が位置する最も確からしい道路候補を選択する道路候補選択判定手段と、を備え、道路候補選択判定手段によって選択された道路候補が道路離脱走行判定手段によりリンクによって表される道路上を走行していると判定された場合には、道路候補上の地点に自車位置を修正して表示し、道路候補選択判定手段によって選択された道路候補が道路離脱走行判定手段によりリンクによって表される道路を離脱して走行していると判定された場合には、道路候補外の地点に自車位置を表示するナビゲーション装置であって、道路候補毎に料金所エリア内を自車が走行中であるか否かを判定する料金所周辺走行判定手段を備え、候補評価値算出手段は、料金所周辺走行判定手段によって料金所エリア内を自車が走行中であると判定された道路候補の評価値を算出する場合、料金所エリア内を自車が走行中であると判定される前に算出した候補評価値を保持することである。
【0009】
このような構成では、料金所エリア内を自車が走行中であると判定された道路候補の評価値を算出する場合、料金所エリア内を自車が走行中であると判定される前に算出した候補評価値が保持され、この候補評価値を用いて道路を離脱して走行しているか否かの判定が行われるので、料金所エリア内でコースを変えて走行しても道路を離脱して走行していると判定されることがなくなり、地図データを新たに整備することなく、料金所エリア内を走行する際の自車位置の誤表示を防止することができる。
【0010】
また、本発明の第2の特徴は、目的地に至る案内経路を探索する経路探索手段を備え、候補評価値算出手段は、経路探索手段により案内経路が探索されている場合、探索された案内経路を構成するリンクに存在し、かつ、料金所周辺走行判定手段によって料金所エリア内を自車が走行中であると判定された道路候補に対してのみ、料金所エリア内を自車が走行中であると判定される前に算出した候補評価値を保持することである。
【0011】
このように、案内経路が探索されている場合、探索された案内経路を構成するリンクに存在し、かつ、料金所周辺走行判定手段によって料金所エリア内を自車が走行中であると判定された道路候補に対してのみ、料金所エリア内を自車が走行中であると判定される前に算出した候補評価値を保持すればよく、処理負荷を低減することが可能である。
【0012】
また、本発明の第3の特徴は、自車位置を特定するための位置情報を入力する位置情報入力手段と、位置情報と地図データ入力手段から読み出した地図データに含まれる道路を表すリンクとから自車が存在しうるリンク上の位置を表す道路候補を一つ以上生成する道路候補生成手段と、道路候補に対して位置情報入力手段から入力される位置情報から求めた走行軌跡とリンクとの一致の度合いを示す候補評価値を算出する候補評価値算出手段と、道路候補毎に候補評価値算出手段によって算出された候補評価値が予め定められた基準評価値より良好であるか否かに基づいてリンクによって表される道路を走行しているか離脱して走行しているかを判定する道路離脱走行判定手段と、候補評価値算出手段によって算出された候補評価値に基づいて自車が位置する最も確からしい道路候補を選択する道路候補選択判定手段と、を備え、道路候補選択判定手段によって選択された道路候補が道路離脱走行判定手段によりリンクによって表される道路上を走行していると判定された場合には、道路候補上の地点に自車位置を修正して表示し、道路候補選択判定手段によって選択された道路候補が道路離脱走行判定手段によりリンクによって表される道路を離脱して走行していると判定された場合には、道路候補外の地点に自車位置を表示するナビゲーション装置であって、道路候補毎に料金所エリア内を自車が走行中であるか否かを判定する料金所周辺走行判定手段を備え、料金所周辺走行判定手段によって料金所エリア内を自車が走行中であると判定された場合、道路候補選択判定手段は、料金所が設置されている道路候補を優先的に選択し、道路離脱走行判定手段は、料金所が設置されている道路候補の基準評価値をより悪化させてリンクによって表される道路を走行しているか離脱して走行しているかを判定することである。
【0013】
このような構成では、料金所エリア内を自車が走行中であると判定された場合、料金所が設置されている道路候補が優先的に選択され、料金所が設置されている道路候補の基準評価値をより悪化させてリンクによって表される道路を走行しているか離脱して走行しているかの判定が行われるので、料金所エリア内でコースを変えて走行しても道路を離脱して走行していると判定されることがなくなり、地図データを新たに整備することなく、料金所エリア内を走行する際の自車位置の誤表示を防止することができる。
【0014】
また、本発明の第4の特徴は、目的地に至る案内経路を探索する経路探索手段を備え、道路候補選択判定手段は、経路探索手段により案内経路が探索されている場合、経路探索手段によって探索された案内経路を構成するリンクで、かつ、料金所が設置されている道路候補を優先的に選択し、道路離脱走行判定手段は、経路探索手段によって探索された案内経路を構成するリンクで、かつ、料金所が設置されている道路候補に対してのみ、基準評価値をより悪化させることである。
【0015】
このように、案内経路が探索されている場合、案内経路を構成するリンクで、かつ、料金所が設置されている道路候補が優先的に選択され、案内経路を構成するリンクで、かつ、料金所が設置されている道路候補に対してのみ、基準評価値を悪化させてリンクによって表される道路を走行しているか離脱して走行しているかを判定すればよく、処理負荷を低減することが可能である。
【0016】
また、本発明の第5の特徴は、目的地に至る案内経路を探索する経路探索手段を備え、料金所走行判定手段は、経路探索手段によって探索された案内経路を構成するリンク上に存在する候補のみを判定対象とすることである。
【0017】
このような構成では、案内経路を構成するリンク上に存在する候補のみを判定対象として道路候補毎に料金所エリア内を自車が走行中であるか否かを判定するので、処理負荷を低減することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るナビゲーション装置の構成を図1に示す。ナビゲーション装置1は、位置検出器10、地図データ入力部16、操作スイッチ群17、送受信機18、表示装置19、記憶装置20、リモコンセンサ21および制御回路22を備えている。
【0019】
位置検出器10は、いずれも周辺の地磁気センサ11、ジャイロスコープ12、距離センサ13、GPS受信機14、加速度センサ(図中ではGセンサと記す)15を有しており、これらの各センサから自車位置を特定するための位置情報を制御回路22へ入力する。
【0020】
地図データ入力部16は、背景データ、リンクやノードを示す道路データ、各種施設を表す施設データ等を含む地図データを入力するための装置である。記憶媒体としては、ハードディスクドライブ、CD−ROM、DVD−ROM等が用いられる。
【0021】
操作スイッチ群17は、表示装置19のディスプレイの前面に重ねて設けられたタッチスイッチ、表示装置19のディスプレイの周囲に設けられたメカニカルなスイッチ等によって構成され、ユーザの操作に応じた信号を制御回路22へ入力する。
【0022】
表示装置22は、液晶等のディスプレイを有し、制御回路22から入力される映像信号に応じた映像をディスプレイに表示させる。
【0023】
記憶装置20は、制御回路22の内部に設けられるメモリとは別の記憶媒体で、各種プログラムや各種データが記憶される。
【0024】
リモコンセンサ21は、ユーザの操作に応じて赤外線等による無線信号を送信するリモコン21aから受信した信号を制御回路22へ出力する。
【0025】
制御回路22は、CPU、メモリ、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはメモリに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。
【0026】
制御回路22の処理としては、位置検出器10から入力される位置情報に基づいて走行軌跡を収集するとともに、収集した走行軌跡と地図データ入力部16から読み出した地図データに含まれる道路データのリンクとを照合して、自車位置を道路上の位置に修正するマップマッチング処理、自車位置周辺の地図上に自車位置マークを表示させる地図表示処理、ユーザの操作に応じて目的地を特定する目的地特定処理、自車位置から目的地に至る最適な案内経路を探索する経路探索処理等がある。なお、現在位置から目的地に至る最適な案内経路を探索する手法としては、ダイクストラ法等が知られている。
【0027】
次に、図2に従って、制御回路22によるマップマッチング処理について説明する。イグニッションスイッチがオンすると、ナビゲーション装置1は起動状態となり、制御回路22は、定期的(例えば、数百ミリ秒毎)に図2に示す処理を実施する。
【0028】
まず、位置検出器10から入力される位置情報から求めた走行軌跡と地図データ入力部16から読み出した地図データに含まれる道路を表すリンクに基づいて、自車が存在する可能性の高い道路上の候補を生成する道路上候補生成処理を実施する(S100)。具体的には、位置情報と地図データ入力手段から読み出した地図データに含まれる道路を表すリンクとから自車が存在しうるリンク上の位置を表す道路候補および候補地点を一つ以上生成してメモリに記憶する。なお、道路候補および候補地点が複数存在する場合には、全ての道路候補および候補地点をメモリに記憶する。また、自車が存在する可能性の高い道路候補が存在しない場合には、自車が存在する可能性の高い道路外の地点を候補地点としてメモリに記憶する。
【0029】
次に、現在位置の前後所定距離内に料金所ノードが存在するか否かによって、自車が料金所エリア内を走行中であるか否かを判定する料金所周辺走行判定処理を実施する(S200)。図3に、この料金所周辺走行判定処理のフローチャートを示す。この料金所周辺走行判定処理では、先のS100にて生成された全ての候補地点に対し、S202〜208に示すループ処理を行う。
【0030】
まず、現在位置の前方の所定距離(例えば、100メートル)内に料金所ノードが存在するか否かを判定する(S202)。
【0031】
ここで、現在位置の前方の所定距離内に料金所ノードが存在する場合、S202の判定はYESとなり、該当する道路上の候補地点が料金所周辺を移動中であるとみなす(S204)。具体的には、該当する道路候補に対し、料金所周辺を移動中であることを示すフラグをオンにする。
【0032】
また、車両が料金所を通過すると、S202の判定はNOとなり、次に、現在位置の後方の所定距離(例えば、100メートル)内に料金所ノードが存在するか否かを判定する(S206)。
【0033】
現在位置の後方の所定距離内に料金所ノードが存在する場合、S206の判定はYESとなり、S204へ進む。このとき、料金所周辺を移動中であることを示すフラグはオンのままとなる。
【0034】
また、車両が料金所エリアを通過してしまうと、S206の判定はNOとなり、該当する候補地点が料金所周辺を移動中でないとみなす(S204)。具体的には、該当する道路候補に対し、料金所周辺を移動中であることを示すフラグをオフにする。
【0035】
この料金所周辺走行判定処理により、図4に示すような料金所ノードを含む料金所エリア(図中、料金所周辺走行判定区間と記す)内を自車が走行中の場合には、料金所周辺を移動中であることを示すフラグがオンに設定され、料金所エリア外を自車が走行中の場合には、料金所周辺を移動中であることを示すフラグがオフに設定される。
【0036】
上記したS202〜S208に示す処理を該当する道路候補数分繰り返し実施し、各道路候補に対し、料金所周辺を移動中か否かの判定が実施される。
【0037】
次に、図2に示したマップマッチング処理の道路候補評価値判定処理を実施する(S300)。この道路候補評価値判定処理のフローチャートを図5に示す。この道路候補評価値判定処理では、まず、料金所周辺を移動中であることを示すフラグのオン、オフに基づいて対象候補(候補地点)が料金所周辺を移動中か否かを判定する(S302)。具体的には、料金所周辺を移動中であることを示すフラグのオン、オフに基づいて、料金所周辺を移動中であると判定された候補地点であるか否かを判定する。
【0038】
料金所周辺を移動中であることを示すフラグがオフとなっている場合、S302の判定はNOとなり、次に、通常通り、候補評価値を演算する(S306)。
【0039】
ここで、図6を参照して、走行軌跡と道路データのリンクの一致の度合いを表す候補評価値の演算について説明する。図6の上側には、車両が料金所エリア内にて本線から大きく離れて走行した場合の走行軌跡が示されている。また、図6の下側には、上側の走行軌跡に対応して、従来通りの候補評価値の演算により演算した場合の方位差iおよび候補評価値が示されている。図に示すように、一定区間毎に収集された道路iと軌跡iの方位差iおよびこの一定区間毎の方位差iの絶対値を累積した累積値が示されている。
【0040】
本実施形態では、一定区間毎の道路iと軌跡iの方位差iの累積値を候補評価値として算出する。すなわち、候補評価値=Σ方位差i(i=1〜n)として算出される。なお、車両が料金所エリア内を直進して料金所ノードを通過する場合、候補評価値は小さくなり、車両が料金所エリアの端部側へ大きく外れて料金所ノードを通過する場合、候補評価値は大きくなる。
【0041】
また、料金所周辺を移動中であることを示すフラグがオンとなっている場合、S302の判定はYESとなり、前回評価値を設定する(S304)。前回評価値は、自車が料金所エリア内に位置すると判定される直前に算出した評価値である。すなわち、自車が料金所エリアに進入する手前で算出した評価値が候補評価値として設定される。このようにして、自車が料金所エリア内を走行中の場合、評価値の悪化を抑制するようになっている。
【0042】
上記したS302〜306に示す処理を該当する道路候補数分繰り返し実施する。
【0043】
次に、図2に示したマップマッチング処理の道路離脱走行判定処理を実施する(S400)。この道路離脱走行判定処理のフローチャートを図7に示す。この道路離脱走行判定処理では、まず、該当する候補地点が道路上を移動中であるか否かを判定する(S402)。具体的には、該当する候補地点と道路候補との最短距離が予め定められた距離未満の場合に、該当する候補地点が道路上を移動中であると判定し、該当する候補地点と道路候補との最短距離が予め定められた距離以上の場合、該当する候補地点が道路外を移動中であると判定する。
【0044】
該当する候補地点と道路候補との最短距離が予め定められた距離未満の場合、S402の判定はYESとなり、次に、候補評価値が判定閾値(基準評価値)よりも大きいか否かを判定する(S404)。
【0045】
ここで、候補評価値が判定閾値よりも大きい場合、S404の判定はYESとなり、該当する候補地点が道路外を移動中であるとみなす(S406)。具体的には、道路を離脱して走行していることを示すフラグをオンにする。
【0046】
また、候補評価値が判定閾値以下の場合、S404の判定はNOとなり、該当する候補地点が道路上を移動中であるとみなし、図示してないが、道路を離脱して走行していることを示すフラグをオフにする。
【0047】
また、該当する候補地点と道路候補との最短距離が予め定められた距離以上の場合、S402の判定はNOとなり、S404の判定を実施することなく、本処理を終了する。このように上記したS402〜S406に示す処理を道路候補数分繰り返し実施する。
【0048】
次に、図2に示したマップマッチング処理の走行道路候補選択判定処理を実施する(S500)。この走行道路候補選択判定処理では、候補評価値に基づいて自車が位置する最も確からしい道路候補を選択する。本実施形態では、候補評価値の最も小さな道路を道路候補として選択する。
【0049】
更に、図示してないが、道路を離脱して走行していることを示すフラグに基づいて、選択された道路候補を走行していると判定された場合には、この道路候補上の地点に自車位置を修正し、選択された道路候補を離脱して走行していると判定された場合には、この道路候補外の地点を自車位置として特定する。すなわち、選択された道路候補について道路を離脱して走行していることを示すフラグがオンとなっている場合には、この道路候補上の地点に自車位置を修正し、選択された道路候補について道路を離脱して走行していることを示すフラグがオフとなっている場合には、この道路候補外の地点を自車位置として特定する。このように自車位置を特定しマップマッチング処理が終了する。
【0050】
なお、地図表示処理により、このマップマッチング処理によって特定された自車位置に対応する地図上の位置に自車位置マークを重ねた画像が表示装置19のディスプレイに表示される。
【0051】
上記した構成によれば、料金所エリア内を自車が走行中であると判定された道路候補の評価値を算出する場合、料金所エリア内を自車が走行中であると判定される前に算出した候補評価値が保持され、この候補評価値を用いて道路を離脱して走行しているか否かの判定が行われるので、料金所エリア内でコースを変えて走行しても道路を離脱して走行していると判定されることがなくなり、地図データを新たに整備することなく、料金所エリア内を走行する際の自車位置の誤表示を防止することができる。
【0052】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係るナビゲーション装置の構成は、図1に示した第1実施形態の構成と同じである。上記第1実施形態では、自車が料金所エリア内を走行中であることを判定した場合、自車が料金所エリアに進入する手前で算出した候補評価値を保持し、この保持した候補評価値を用いて道路を離脱して走行しているか否かを判定する例を示したが、本実施形態では、自車が料金所エリア内を走行中であると判定した場合、基準評価値をより悪化させて道路を離脱して走行しているか否かを判定する。
【0053】
本実施形態におけるマップマッチング処理は、図2に示した第1実施形態の処理と比較して、S300の道路候補評価値演算処理、S400の道路離脱走行判定処理およびS500の走行道路候補選択判定処理が異なる。なお、上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
【0054】
本実施形態における道路候補評価値演算処理(S300)のフローチャートを図8に示す。本実施形態における道路候補評価値演算処理では、全ての道路候補に対し、図5のS306と同様に「通常通り候補評価値を演算」する処理を実施し(S310)、道路離脱走行判定処理(S400)へ進む。
【0055】
本実施形態における道路離脱走行判定処理400のフローチャートを図9に示す。この道路離脱走行判定処理では、まず、該当する候補地点と道路候補との最短距離が予め定められた距離未満に基づいて候補地点が道路上にあるか否かを判定し(S402)、候補地点が道路上にある場合、S402の判定はYESとなり、次に、該当する候補地点が料金所周辺を移動中であるか否かを判定する(S410)。
【0056】
該当する候補地点が料金所周辺以外を移動している場合、S402の判定はNOとなり、次に、候補評価値が第1の判定閾値(第1の基準評価値)よりも大きいか否かを判定する(S412)。
【0057】
ここで、候補評価値が第1の判定閾値よりも小さい場合、S412の判定はNOとなり、該当する候補地点が道路上を移動中であるとみなし、図示してないが、道路を離脱して走行していることを示すフラグをオフにする。
【0058】
また、候補評価値が第1の判定閾値よりも大きい場合、S412の判定はYESとなり、該当する候補地点が道路外を移動中であるとみなし(S416)、道路を離脱して走行していることを示すフラグをオンにする。
【0059】
また、該当する候補地点が料金所周辺を移動している場合、S410の判定はYESとなり、次に、候補評価値が第1の判定閾値よりも大きな第2の判定閾値(第2の基準評価値)よりも大きいか否かを判定する(S414)。
【0060】
候補評価値が第2の判定閾値よりも大きい場合、S414の判定はYESとなり、該当の候補地点が道路外を移動中であるとみなし(S406)、道路を離脱して走行していることを示すフラグをオンにする。
【0061】
また、候補評価値が第2の判定閾値以下の場合、S414の判定はNOとなり、図示してないが、道路を離脱して走行していることを示すフラグをオフにする。上記した処理を該当する候補数分繰り返し実施し、S500の走行道路候補選択判定処理へ進む。
【0062】
本実施形態における走行道路候補選択判定処理(S500)のフローチャートを図10に示す。この走行道路候補選択判定処理では、まず、料金所周辺の道路候補が存在するか否かを判定する(S502)。具体的には、料金所が設置されている道路候補が存在するか否かを判定する。
【0063】
料金所が設置されている道路候補が存在する場合、S502の判定はYESとなり、料金所周辺の道路候補を優先的に選択する(S504)。すなわち、料金所が設置されている道路を道路候補として優先的に選択する。
【0064】
また、料金所が設置されている道路候補が存在しない場合、S502の判定はNOとなり、候補評価値から最も確からしい道路候補を最終特定する(S506)。すなわち、候補評価値の最も小さな道路候補を選択する。
【0065】
更に、図示してないが、道路を離脱して走行していることを示すフラグに基づいて、選択された道路候補を走行していると判定された場合には、この道路候補上の地点に自車位置を修正し、選択された道路候補を離脱して走行していると判定された場合には、この道路候補外の地点を自車位置として特定する。すなわち、選択された道路候補について道路を離脱して走行していることを示すフラグがオンとなっている場合には、この道路候補上の地点に自車位置を修正し、選択された道路候補について道路を離脱して走行していることを示すフラグがオフとなっている場合には、この道路候補外の地点を自車位置として特定する。このように自車位置を特定しマップマッチング処理が終了する。
【0066】
なお、地図表示処理により、このマップマッチング処理によって特定された自車位置に対応する地図上の位置に自車位置マークを重ねた画像が表示装置19のディスプレイに表示される。
【0067】
上記した構成によれば、料金所エリア内を自車が走行中であると判定された場合、料金所が設置されている道路候補が優先的に選択され、料金所が設置されている道路候補の基準評価値をより悪化させてリンクによって表される道路を走行しているか離脱して走行しているかの判定が行われるので、料金所エリア内でコースを変えて走行しても道路を離脱して走行していると判定されることがなくなり、地図データを新たに整備することなく、料金所エリア内を走行する際の自車位置の誤表示を防止することができる。
【0068】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、位置検出器10から入力される位置情報から求めた走行軌跡と地図データ入力部16から読み出した地図データに含まれる道路を表すリンクとの一致の度合いを示す評価値として、図6に示したように、一定区間毎の道路iと軌跡iの方位差iの累積値を求めた例を示したが、このような例に限定されるものではなく、例えば、走行軌跡上の地点とこの地点に対応するリンク上の地点との最短距離を評価値として求めるようにしてもよく、また、走行軌跡と道路リンクの形状の一致の度合いを評価値として求めるようにしてもよい。
【0069】
また、上記第1実施形態では、S100にて自車が存在する可能性の高い道路上の候補を抽出し、抽出した道路候補に対して候補評価値を算出する例を示したが、例えば、目的地に至る案内経路を探索する経路探索機能を備え、経路探索機能により案内経路が探索されている場合、探索された案内経路を構成するリンクに存在し、かつ、料金所周辺走行判定手段によって料金所エリア内を自車が走行中であると判定された道路候補に対してのみ、料金所エリア内を自車が走行中であると判定される前に算出した候補評価値を保持するようにしてもよい。この場合、探索された案内経路を構成するリンクに存在し、かつ、料金所エリア内を自車が走行中であると判定された道路候補に対してのみ、料金所エリア内を自車が走行中であると判定される前に算出した候補評価値を保持すればよく、処理負荷を低減することが可能である。
【0070】
また、上記第2実施形態では、S100にて自車が存在する可能性の高い道路上の候補を抽出し、抽出した道路候補に対して候補評価値を算出し、該候補評価値と基準評価地を比較して、候補評価値が基準評価値より悪化している場合に道路を離脱して走行していると判定する例を示したが、例えば、目的地に至る案内経路を探索する経路探索機能を備え、案内経路が探索されている場合、探索された案内経路を構成するリンクで、かつ、料金所が設置されている道路候補を優先的に選択し、道路離脱走行判定手段は、経路探索手段によって探索された案内経路を構成するリンクで、かつ、料金所が設置されている道路候補に対してのみ、基準評価値をより悪化させるようにしてもよい。この場合、案内経路を構成するリンクで、かつ、料金所が設置されている道路候補が優先的に選択され、案内経路を構成するリンクで、かつ、料金所が設置されている道路候補に対してのみ、基準評価値を悪化させてリンクによって表される道路を走行しているか離脱して走行しているかを判定すればよく、処理負荷を低減することが可能である。
【0071】
また、第1、第2実施形態において、目的地に至る案内経路を探索する経路探索機能を備え、経路探索手段によって探索された案内経路を構成するリンク上に存在する候補のみを判定対象として道路候補毎に料金所エリア内を自車が走行中であるか否かを判定するようにしてもよい。この場合、案内経路を構成するリンク上に存在する候補のみを判定対象として道路候補毎に料金所エリア内を自車が走行中であるか否かを判定するので、処理負荷を低減することが可能である。
【0072】
また、上記実施形態では、図2に示したマップマッチング処理を定期的に実施し、S304にて自車が料金所エリア内に位置すると判定される直前に算出した前回評価値を保持して道路を離脱して走行しているか否かを判定する例を示したが、このような前回評価値の設定方法に限定されるものではなく、例えば、料金所エリアに自車が進入する所定距離手前の地点で評価値を算出し、この評価値を用いて道路を離脱して走行しているか否かを判定するようにしてもよい。
【0073】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、位置検出器10が位置情報入力手段に相当し、料金所周辺走行判定処理200が料金所周辺走行判定手段に相当し、S300が候補評価値算出手段に相当し、S400が道路離脱走行判定手段に相当し、制御回路22による経路探索処理が経路探索手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るマップマッチング処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1実施形態に係るマップマッチング処理の料金所周辺走行判定処理を示すフローチャートである。
【図4】料金所周辺走行判定区間について説明するための図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るマップマッチング処理の道路候補評価値判定処理を示すフローチャートである。
【図6】候補評価値の演算について説明するための図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る道路離脱走行判定処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係るマップマッチング処理の道路候補評価値演算処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態に係るマップマッチング処理の道路離脱走行判定処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2実施形態に係るマップマッチング処理の走行道路候補選択判定処理を示すフローチャートである。
【図11】課題を説明するための図である。
【図12】課題を説明するための図である。
【符号の説明】
【0075】
1…ナビゲーション装置、10…位置検出器、11…地磁気センサ、
12…ジャイロスコープ、13…距離センサ、14…GPS受信機、
15…加速度センサ、16…地図データ入力部、17…操作スイッチ群、
18…送受信機、19…表示装置、20…記憶装置、21…リモコンセンサ、
22…制御回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車位置を特定するための位置情報を入力する位置情報入力手段と、
前記位置情報と地図データ入力手段から読み出した地図データに含まれる道路を表すリンクとから自車が存在しうるリンク上の位置を表す道路候補を一つ以上生成する道路候補生成手段と、
前記道路候補に対して前記位置情報入力手段から入力される前記位置情報から求めた走行軌跡と前記リンクとの一致の度合いを示す候補評価値を算出する候補評価値算出手段と、
前記候補評価値算出手段によって算出された前記候補評価値が予め定められた基準評価値より良好であるか否かに基づいて前記リンクによって表される道路を走行しているか離脱して走行しているかを判定する道路離脱走行判定手段と、
前記候補評価値算出手段によって算出された前記候補評価値に基づいて自車が位置する最も確からしい道路候補を選択する道路候補選択判定手段と、を備え、
前記道路候補選択判定手段によって選択された前記道路候補が前記道路離脱走行判定手段により前記リンクによって表される道路上を走行していると判定された場合には、前記道路候補上の地点に自車位置を修正して表示し、前記道路候補選択判定手段によって選択された前記道路候補が前記道路離脱走行判定手段により前記リンクによって表される道路を離脱して走行していると判定された場合には、前記道路候補外の地点に自車位置を表示するナビゲーション装置であって、
前記道路候補毎に料金所エリア内を自車が走行中であるか否かを判定する料金所周辺走行判定手段を備え、
前記候補評価値算出手段は、前記料金所周辺走行判定手段によって前記料金所エリア内を自車が走行中であると判定された道路候補の評価値を算出する場合、前記料金所エリア内を自車が走行中であると判定される前に算出した前記候補評価値を保持することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
目的地に至る案内経路を探索する経路探索手段を備え、
前記候補評価値算出手段は、前記経路探索手段により前記案内経路が探索されている場合、探索された前記案内経路を構成するリンクに存在し、かつ、前記料金所周辺走行判定手段によって前記料金所エリア内を自車が走行中であると判定された道路候補に対してのみ、前記料金所エリア内を自車が走行中であると判定される前に算出した前記候補評価値を保持することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
自車位置を特定するための位置情報を入力する位置情報入力手段と、
前記位置情報と地図データ入力手段から読み出した地図データに含まれる道路を表すリンクとから自車が存在しうるリンク上の位置を表す道路候補を一つ以上生成する道路候補生成手段と、
前記道路候補に対して前記位置情報入力手段から入力される前記位置情報から求めた走行軌跡と前記リンクとの一致の度合いを示す候補評価値を算出する候補評価値算出手段と、
前記道路候補毎に前記候補評価値算出手段によって算出された前記候補評価値が予め定められた基準評価値より良好であるか否かに基づいて前記リンクによって表される道路を走行しているか離脱して走行しているかを判定する道路離脱走行判定手段と、
前記候補評価値算出手段によって算出された前記候補評価値に基づいて自車が位置する最も確からしい道路候補を選択する道路候補選択判定手段と、を備え、
前記道路候補選択判定手段によって選択された前記道路候補が前記道路離脱走行判定手段により前記リンクによって表される道路上を走行していると判定された場合には、前記道路候補上の地点に自車位置を修正して表示し、前記道路候補選択判定手段によって選択された前記道路候補が前記道路離脱走行判定手段により前記リンクによって表される道路を離脱して走行していると判定された場合には、前記道路候補外の地点に自車位置を表示するナビゲーション装置であって、
前記道路候補毎に料金所エリア内を自車が走行中であるか否かを判定する料金所周辺走行判定手段を備え、
前記料金所周辺走行判定手段によって前記料金所エリア内を自車が走行中であると判定された場合、前記道路候補選択判定手段は、前記料金所が設置されている道路候補を優先的に選択し、前記道路離脱走行判定手段は、前記料金所が設置されている道路候補の前記基準評価値をより悪化させて前記リンクによって表される道路を走行しているか離脱して走行しているかを判定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
目的地に至る案内経路を探索する経路探索手段を備え、
前記道路候補選択判定手段は、前記経路探索手段により前記案内経路が探索されている場合、前記経路探索手段によって探索された前記案内経路を構成するリンクで、かつ、前記料金所が設置されている道路候補を優先的に選択し、前記道路離脱走行判定手段は、前記経路探索手段によって探索された前記案内経路を構成するリンクで、かつ、前記料金所が設置されている道路候補に対してのみ、前記基準評価値をより悪化させることを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
目的地に至る案内経路を探索する経路探索手段を備え、
前記料金所走行判定手段は、前記経路探索手段によって探索された前記案内経路を構成するリンク上に存在する候補のみを判定対象とすることを特徴とする請求項1または3に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−202941(P2008−202941A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−35869(P2007−35869)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】