説明

ナビゲーション装置

【課題】ナビゲーション装置において、車両旅行を計画する際、移動予算や移動時間等に合った目的地を簡単に迅速に精度よく探索できるようにする。
【解決手段】ナビゲーション装置は、移動料金設定部、ジャンル選択部、目的地選択部を有する入力操作部、ルートを探索する制御部、ルート表示する表示部、目的地の候補、道路区分別のガソリン消費率及び道路区分別の平均移動速度を記憶する情報記憶部を備える。ユーザが入力操作部で出発地を入力し(S1)、希望移動料金Aを設定し(S2)、行き先希望ジャンルを選択すると(S3)、CPU11は出発地からの複数の移動ルートの予想移動料金Bを算出し(S4)、予想移動料金B≦Aとなる目的地の候補をリストアップする(S5)。ユーザはこのリストから目的地を選択する(S6)。これにより、移動予算や移動時間等に合った目的地を簡単に迅速に精度よく探索することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが希望する条件に合う目的地を探索することのできる車両のナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車を利用して旅行やレジャーに出かける場合、雑誌やインターネット等を利用して目的地の候補までの交通費、移動時間等を調べ、予算や到着予定時間等に合った目的地を探し、地図等を用いて目的地まで出かけていた。
【0003】
しかし、雑誌やインターネット等を利用して予算や到着予定時間に合った目的地を探すのは、予め順序立てて計画をたてなければならないため、非常に手間が掛かっていた。そのため、例えば、休日などに、急に日帰りできる時間内で、予算に合ったドライブ旅行をしたい場合などには、不都合であった。
【0004】
また、従来のナビゲーション装置において、カテゴリ別に目的地探索を行う装置があるが、このカテゴリ別の目的地探索では、探索エリアの中心(駅等のスポット、現在地等)とこの中心からの半径を指定してその半径内で探索する方法や、行政区分等(県、市等)の指定により目的地候補の絞り込みを行う方法が採られていた。その為、例えば移動料金5000円で、午後からの日帰り温泉旅行などを行おうとした場合、この従来方法でカテゴリの中から目的地の候補を調べても、移動時間が希望に合わなかったり、予算が希望料金より外れたりして、希望に沿わない目的地の候補がリストアップされる場合が多かった。さらに、このような場合には、条件を変えて再度設定し直して目的地を何回も探索する必要があり、探索に時間が掛かっていた。
【0005】
また、車による移動料金は、ガソリン料金と有料道路料金でほぼ決まるが、ガソリン料金については、通常、その車種の平均燃費と走行距離等で計算するため、長いドライブにおいて、一般道路、幹線道路、細道路(一般道路よりも道幅の狭い道路)、高速道路等の異なる種類の道路を走行する場合には、道路毎にガソリンの燃費が異なるので、燃費算出の誤差が大きかった。
【0006】
ところで、特許文献1に示されるように、車輌に搭載され、目的地までのルートを案内するナビゲーション装置であって、予め設定された予算に合った目的地を探索して、設定された時間間隔で、車輌の平均燃費と走行距離、及び有料道路の利用等から車輌の走行に伴って必要とされる費用を提示するものが知られている。しかし、この装置は、ガソリン料金を車両の平均燃費と走行距離で算出するので、異なる種類の道路では、走行する道路毎に平均燃費が異なることにより、算出された燃費と実燃費との差が大きくなる場合があり、予算をオーバすることがあった。
【0007】
また、特許文献2に示されるように、ユーザに行きたい方面、旅行期間、旅費の予算を入力させ、メモリ地点や目的地履歴地点の施設からユーザの好む施設のジャンルを特定し、ユーザの各条件を満足し、かつ、特定されたジャンルの施設を目的地として設定するナビゲーション装置が知られている。しかしながら、この装置では、ガソリン料金を目的地までの距離だけで算出するので、算出された燃費の実燃費からのずれが大きかった。
【0008】
また、特許文献3に示されるように、予め登録した目的地の経路を案内するナビゲーション装置において、予め記憶した複数の目的地の各々に対して予め定めた条件を付加した代替地をそれぞれ記憶すると共に、選択した目的地に対して、例えば、目的地で費やされる予算が許容範囲に入らない場合に、代替地を提案するナビゲーション装置が知られている。この装置は、予め記憶した目的地に対する代替地を提案するものであり、予め移動予算に合った目的地を探索することが困難であった。
【0009】
また、特許文献4に示されるように、希望の到着予想時間や費用を予め設定し、これに沿った探索行う車両経路の誘導装置が知られている。しかし、移動予算の算出において、車両の燃料費を単に走行距離に比例して算出するので、前記同様に各種道路における燃費の差により、算出された燃費において実燃費との差が大きくなることがあった。
【特許文献1】特開2003‐194563号公報
【特許文献2】特開2004‐340757号公報
【特許文献3】特開2005‐315660号公報
【特許文献4】特開2000‐121378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、目的地までの道案内を行うナビゲーション装置において、ユーザが車で旅行する際、予算や移動時間等に合った目的地を簡単に迅速に精度よく探索することができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、車輌に搭載され、データベースに登録されている複数の目的地の候補の中からユーザにより選択された目的地までのルートを案内するナビゲーション装置において、現在地から前記目的地の候補までのルートを探索するルート探索手段と、前記ルート探索手段で探索されたルートを移動した場合に通過する道路の種類を検出する道路種類検出手段と、前記道路種類検出手段で検出された道路種類毎に移動する距離を算出する道路別移動距離算出手段と、道路別ガソリン消費率を記憶するガソリン消費率記憶手段と、前記道路別移動距離算出手段で算出された道路別移動距離と前記道路別ガソリン消費率とから、前記ルート探索手段で探索されたルートを移動した場合における燃費料金を算出する燃費料金算出手段と、前記ルート探索手段で探索されたルートを移動した場合における目的地の候補までの高速道路の高速料金を算出する高速料金算出手段と、前記高速料金算出手段で算出された高速料金と、前記燃費料金算出手段で算出された燃費料金とから、目的地の候補までの予想移動料金を算出する移動料金算出手段と、ユーザの希望移動料金を設定する移動料金設定手段と、前記データベースに登録されている複数の目的地の候補のうち、前記移動料金算出手段で算出された予想移動料金が前記移動料金設定手段で設定された希望移動料金を越えない目的地の候補をリストアップする目的地提示手段と、前記目的地提示手段で提示された目的地の候補を選択するための目的地選択手段と、装置全体を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、ユーザが前記目的地選択手段で選択した目的地までのルートを案内するように制御するものである。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1のナビゲーション装置において、ユーザが希望移動時間を設定するための移動時間設定手段と、道路区分毎の平均移動速度を記憶する移動速度記憶手段と、前記移動速度記憶手段に記憶された道路区分毎の平均移動速度と前記道路別移動距離算出手段で算出された移動距離とから移動時間を算出する移動時間算出手段と、をさらに備え、前記目的地提示手段は、前記予想移動料金が前記希望移動料金を超えない目的地の候補のうち、前記移動時間算出手段で算出された移動時間が、ユーザが前記移動時間設定手段で設定した希望移動時間を越えない目的地の候補をリストアップするものである。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置において、ユーザの希望する行き先のジャンルを選択するジャンル選択手段を、さらに備え、前記目的地提示手段は、ユーザが前記ジャンル選択手段で選択したジャンルに関する目的地の候補地をリストアップするものである。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3の少なくともいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、前記道路別ガソリン消費率及び目的地までの移動時間は、車両の過去におけるガソリン消費量及び移動時間の実績データにより随時、修正されるものである。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4の少なくともいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、予めデータベースに登録されている複数の目的地の候補について、それぞれ所定のポイントからの移動料金、及び移動時間を算出してテーブル化した目的地候補リストを、さらに備え、前記目的地提示手段は、前記目的地候補リストに登録されている複数の目的地の候補の中から目的地の候補をリストアップするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、道路別ガソリン消費率に基いて、移動する道路種類別に燃費料金を算出できるので、高速道路料金を含めた移動料金を精度良く求めることができ、予算により合った目的地を選択することができる。また、ユーザが希望移動料金を設定するだけで希望する目的地を選択することができ、予めインターネットや雑誌で時間を掛けて目的地を調べることなく、行きたい時に、簡単に、かつ、迅速に目的地を探すことができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、ユーザが希望する移動時間をさらに設定することができるので、ユーザは、希望する移動料金を越えない目的地の候補の中から、さらに、ユーザの希望移動時間を越えずに行ける目的地を探索することができる。これにより、ユーザは、希望移動料金と希望移動時間の両方を満たす目的地を簡単に選択することができ、利便性が高まる。
【0018】
請求項3の発明によれば、行き先のジャンルを選択することができるので、より好みにあった目的地を選択することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、ガソリン消費率、目的地までの移動時間を実際に近い値に修正できるので、より正確な燃料費と移動時間を得ることができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、目的地候補リスト内のデータを用いて、目的地の候補をより迅速に求めることができる。また、制御部は、リアルタイムで設定条件に合った目的地を探索する演算処理を必要としないため、制御部で演算する計算量が少なく、演算処理速度の遅い低コストのCPUを使用することができ、低廉化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明のナビゲーション装置1のブロック構成を示す。本実施形態のナビゲーション装置1は、入力操作部(移動料金設定手段、ジャンル選択手段、目的地選択手段、移動時間設定手段、)2、位置検出部3、情報記憶部(ガソリン消費率記憶手段、移動速度記憶手段)4、表示部5、音声案内部6、交通情報受信部7、ETC車載機8、及び装置全体を制御する制御部(制御手段)10を備える。
【0022】
入力操作部2は、出発地、目的地などルート案内に関する情報の入力に用いられる。入力操作部2は、それぞれタッチ操作、キー操作で、目的地を電話番号や地図上の座標などにて入力したり、ルート探索条件を入力したり、ルート案内をリクエストしたりできる操作パネル21、リモコン22を有する。さらに、入力操作部2は、リモコン22により、ユーザが目的地の探索のための条件である移動料金を設定する移動料金設定部23、ユーザが目的地を選択する際の目的地の希望ジャンル(温泉、遊園地、美術館等)を選択するジャンル選択部24、目的地の候補の中から目的地を選択する目的地選択部25を備える。操作パネル21は、後述の表示部5の表示画面上にタッチパネルを設けて構成される。この入力操作部2の操作により、ユーザは、目的地の候補の探索、ディスプレイ画面の設定変更等の各種の指示や設定を行うことができる。なお、移動料金設定部23、ジャンル選択部24、目的地選択部25は、リモコン22の中に選択キーのようにして設けてもよい。
【0023】
位置検出部3は、衛星航法システム(GPS)を利用して車両の緯度経度等の現在位置情報をGPSアンテナから入手するGPS受信機31、車両の進行方位を、地磁気を利用することにより絶対方位で検出する地磁気センサ32、車両の進行方位を相対方位で検出するジャイロセンサ33、車輪の回転数等から車両の走行距離を検出する距離センサ34を備えている。この位置検出部3は、上記GPS受信機31をはじめ各センサからの位置情報、方位情報、距離情報等を用いて車両の現在位置を検出する。これにより、実車走行での距離測定等による実績距離データ等を収集することもできる。
【0024】
情報記憶部4は、ナビゲーション用のプログラム及びデータなどルート探索に必要な情報であるルート探索情報を記憶した外部記憶装置で、例えばCD−ROMやDVD−ROM等からなっている。情報記憶部4には、ルート探索などの処理を行うためのプログラム、ルート案内に必要な表示出力制御用のプログラム及びデータ、音声案内に必要な音声出力制御を行うためのプログラム及びそれに必要なデータが格納されている。情報記憶部4に記憶されるルート探索情報のデータは、地図データ、道路データ、道路別ガソリン消費率データ、有料道路/フェリー利用料金データ、道路区分毎の平均移動速度データ、探索データ、案内データ、マップマッチングデータ、目的地データ、登録地点データ(住所、電話番号等)、ジャンル別データ、カレンダーデータ等のファイルから構成される。なお、CD−ROMにデータのみを格納し、プログラムを制御部10に格納することも可能である。
【0025】
ここで、上記道路データには、車両が走行するルートに含まれる各種道路(一般道路、幹線道路、高速道路、細道路、特定ルート等)の道路区分のデータが含まれる。特定ルートとは、例えば、高速道路で制限速度80kmのところが、いつも40kmでしか走れないような混雑が常に著しいルートや、多種類の道路区分の道路が細切れで繋がったルートを言い、この特定ルートでは、後述のガソリン消費率、平均移動速度の予測が難しいので、これらを特別にデータベース化して登録する。
【0026】
上記道路別ガソリン消費率データは、道路区分の種類によりガソリンの消費量が異なる点を考慮して設定されたデータであり、車種毎の平均燃費(例えば、メーカ公表値)をk(円/km)として、一般道路、幹線道路、高速道路、細道路及び特定ルートに分けて、平均燃費kに対する道路区分別のガソリン消費率(この道路区分別のガソリン消費率を、道路別ガソリン消費率という)を設定したデータである。また、道路区分毎の平均移動速度データは、一般道路、幹線道路、高速道路、細道路、特定ルートにおいて、それらの平均移動速度をそれぞれ設定したデータである。
【0027】
また、この道路別ガソリン消費率データには、実車による過去のデータを用いるか、又は、例えば車種毎にメーカが公表している定値燃費(60km/hの一定速度で走行したとき1リットルの燃料で何km走行できるかを表した数字)を基にし、これに道路区分別のガソリン消費度合いを加味したものを用いることができる。また、公表されている車種毎の10・15モード燃費(10の走行パターンを想定したテストを3回行った後、15の走行パターンのテストを1回加えたテストの結果による燃費の表示方法、10モードはやや市街地に近い走行パターン、15モードは郊外で条件の良い道路を走ったときを想定したパターン)の値を道路別ガソリン消費率データの元データとして用いることもできる。また、インターネットのサービス(例えば、給油の度に、携帯電話から走行距離と給油量を入力して登録しておけば、燃費データを継続的に知らせてくれるサービス)を利用して、過去の燃費データを蓄積し、これらのデータを基に、いつどの道路を走ったかを記録しておけば、道路区分毎のガソリン燃費をより実際に近い値として算出することができ、設定精度を高めることができる。また、道路区分別の平均移動速度は、例えば、各道路の制限速度を加味して算出することや、上記10・15モードのデータにおける道路区分毎の平均移動速度を参考にして算出すること等により得られ、さらに、実車走行による道路別のデータ集積しておき、これらを用いて修正することにより、より精度の高い平均移動速度を得ることができる。
【0028】
表示部5は、簡易型の液晶表示器等により構成されており、ユーザに必要な案内情報を表示画面に表示する。ここでは、表示部5は、制御部10の制御により、ユーザが設定する希望移動料金設定画面と希望移動時間設定画面、ユーザが選択する目的地の希望ジャンルの選択画面とリストアップされた目的地の選択画面を表示する。また制御部10が処理する地図データや案内データに基づき、リストアップされた目的地の候補に関する情報、目的地名、時刻、距離及び目的地へのルート等を表示する。また、表示部5は、表示画面に設けたタッチパネル等を使用して入力操作部2の操作パネル21として使用することができ、ユーザが画面に触れる、或いは画面をなぞることにより、地点入力、道路入力等を行えるように構成されている。
【0029】
音声案内部6は、ルート案内を音声により行うものであり、後述の制御部10で形成された案内音声信号を出力する音声出力部61と、音声出力部61からの出力音声を拡声するスピーカ62を備えている。この音声案内部6の音声案内により、運転者は、表示部5を見ずにルート情報を知ることができる。
【0030】
交通情報受信部7は、車両外部の現在の道路交通情報を逐次受信するVICS・FM多重受信機71を備える。VICS(Vehicle Information & Communication System)は、道路交通情報をリアルタイムで提供するもので、FM多重(文字放送)、電波ビーコン、光ビーコンにより情報を送信する。このVICSからの交通渋滞情報や交通事故情報などの最新の道路交通情報は、制御部10に伝達され、制御部10は、この道路交通情報を加味して、目的地への移動時間等の計算を行うことができる。
【0031】
ETC車載機8は、高速道路等の有料道路の出入口で通行料金を電子的に支払う自動料金収受(ETC:Electronic Toll Collection)システムにおいて、料金所に設置された据置型送受信装置(路上機)との間で通信を行なって、自動的に料金を支払うための車両に取り付けられた送受信機である。このETC車載機8を備えたことにより、走行中に自動的に有料道路料金を記憶することができ、有料道路の移動料金を直ぐに算出することができる。このETC車載機8で得られた有料道路料金は、制御部10に伝達され、制御部10における移動料金計算の実績データとして用いられる。
【0032】
制御部10は、CPU11、フラッシュメモリ12、ROM13、及びRAM14を有する。CPU11は、ルート探索部(ルート探索手段)11a、道路種類検出部(道路種類検出)11b、移動距離算出部(道路別移動距離算出手段)11c、燃費料金算出部(燃費料金算出手段)11d、高速料金算出部(高速料金算出手段)11e、移動料金算出部(移動料金算出手段)11f、及び目的地提示部11gを有する。
【0033】
CPU11において、ルート探索部11aは、情報記憶部4のルート探索情報に基くルート探索処理、ルート案内情報の出力、出力案内情報の表示制御の他、種々の演算処理を実行する。道路種類検出部11bは、情報記憶部4の道路データの中に含まれる各種道路(一般道路、幹線道路、高速道路、細道路等)の道路区分の情報から、ルート探索部11aで探索されたルートを移動した場合に通過する道路区分の種類(以下、道路種類という)を検出する。移動距離算出部11cは、道路種類検出部11bで検出された道路種類毎に移動する距離を算出する。燃費料金算出部11dは、移動距離算出部11cで算出された道路区分別移動距離と道路区分別のガソリン消費率とから、ルート探索部11aで探索されたルートを移動した場合における燃費料金を算出する。高速料金算出部11eは、ルート探索部11aで探索されたルートを移動した場合における目的地の候補までの高速道路の高速料金を算出する。移動料金算出部11fは、高速料金算出部11eで算出された高速料金と、燃費料金算出部11dで算出された燃費料金とから目的地の候補までの予想移動料金を算出する。これにより、道路区分別の細かい移動料金から予想移動料金が算出されるので、予想移動料金の予測精度を高めることができる。
【0034】
フラッシュメモリ12は、情報記憶部4のCD−ROMからプログラムを読み込んで格納する。ROM13は、フラッシュメモリ12のプログラムチェック、更新処理を行うプログラムを格納し、RAM14は、探索された目的地の地点座標、道路名等の探索されたルート案内情報や演算処理中のデータを一時的に格納する。また、制御部10は、CPU11からの音声出力制御信号に基づいて情報記憶部4から読み出した音声をアナログ信号に変換して音声案内信号として音声出力部61に出力する音声プロセッサ、位置検出部3の各センサからのセンサ信号を取り込むためのセンサ入力インタフェース、及び移動時間等の時間計測のための時計などを備えている。なお、本実施形態で使用するプログラムは全て情報記憶部4に格納されてもよいし、または、それらプログラムの一部または全てが制御部10のROM13に格納されていてもよい。
【0035】
本実施形態のナビゲーション装置のシステム全体の流れを説明する。ユーザは、予め道路区分別の、ガソリン消費率及び平均移動速度を設定し、データベースとして情報記憶部4に記憶しておく。ユーザが移動料金設定部23で希望移動料金を設定すると、CPU11は、表示部5に目的地のジャンル(遊園地、温泉、美術館等)選択画面を表示し、ユーザがジャンル選択部24により希望のジャンルをジャンル選択画面で選択する。ルート探索部11aは、選択されたジャンルにおける現在地から目的地の候補までのルートを探索し、道路種類検出部11bは、ルート探索部11aが探索したルートを車両が移動した場合に通過する道路の種類を検出し、移動距離算出部11cにより道路種類検出部11bで検出された道路種類毎の移動距離が算出される。この道路種類毎の移動距離を基に、燃費料金算出部11dでガソリン料金(燃費)を算出し、高速料金算出部11eで高速料金を算出して移動料金算出部11fで予想移動料金を算出する。ここでの高速料金とは、高速道路に加え、全ての有料道路、橋等の料金を含む。CPU11は、ユーザが選択したジャンルのデータベースに登録されている目的地の候補のうち、移動料金算出部11fで算出された予想移動料金が移動料金設定部23で設定された希望移動料金を越えない目的地の候補を目的地提示部11gによりリストアップし、表示部5に表示する。ユーザは、目的地選択部25により、このリストアップされた目的地の候補の中から希望移動料金を越えない目的地を容易に選択することができる。
【0036】
【表1】

【0037】
上記表1は、道路区分別のガソリン料金を説明するための表であり、縦方向に道路区分(1は一般道路、2は幹線道路、3は高速道路、4は細道路、5は特定ルートを示す)、横方向に、前述の道路区分別のガソリン消費率Gn(nは道路区分別番号)と、道路区分別移動距離Rnと、これらに基く道路区分別のガソリン料金Qnとを示す。表1に示すように、燃費料金算出部11d(図1参照)は、道路区分別(ここでは、道路別という)(一般道路、幹線道路、高速道路、細道路、特定ルート)の移動距離算出部11cで算出された道路別の移動距離(R1、R2、R3、R4、R5)と道路別ガソリン消費率(G1、G2、G3、G4、G5)とから、ルート探索部11aで探索されたルートを車両が移動した場合におけるルート上の各道路区分別の燃費料金(Q1、Q2、Q3、Q4、Q5)と、これらの合計の燃費料金Q(Q=Q1+Q2+Q3+Q4+Q5)を算出する。ここで、Qn=k・Gn・Rn(kは前述の平均燃費)。高速料金算出部11eは、ルート探索部11aで探索されたルートを移動した場合における目的地の候補までの高速道路の高速料金を算出する。移動料金算出部11fは、この高速料金算出部11eで算出された高速料金と、燃費料金算出部11dで算出されたガソリン料金Q(燃費料金)から目的地の候補まで積算した予想移動料金を詳細に算出することができ、特にガソリン料金を道路別に算出できるので予想移動料金の予測精度を高めることができる。
【0038】
次に、本実施形態のナビゲーション装置1の動作手順について、図2のフローチャートを参照して説明する。ユーザが、入力操作部2で出発地を入力し(S1)、続いて移動料金設定部23において、ルート探索条件として、予算の希望移動料金Aを設定し(S2)、さらにジャンル選択部24で目的地の希望ジャンルを選択すると(S3)、ルート探索部11aは、出発地から希望ジャンルにおける目的地の候補までの複数の移動ルートを探索し、これらのルートにおける積算された予想移動料金Bを計算する(S4)。次に、CPU11は、探索ルートにおける予想移動料金Bが希望移動料金Aを超えない範囲における目的地の候補をリストアップする(S5)。ユーザが、このリストアップされた目的地の候補からユーザが行きたい目的地の候補を選択すると(S6)、CPU11は、ユーザが選択した目的地の候補のルート案内を行う(S7)。
【0039】
上述のように、本実施形態のナビゲーション装置1によれば、道路別ガソリン消費率を導入したことにより、車両の移動する道路区分別に燃費料金を算出できるので、燃費料金を精度良く求めることができ、ユーザの希望移動料金により合った目的地を選択することができる。また、ユーザが希望移動料金を設定するだけで希望する目的地を選択することができ、インナーネットや雑誌で予め調べる必要がなく、行きたいときに簡単に、迅速に目的地を探すことができる。
【0040】
次に、本発明の第2の実施形態に係るナビゲーション装置について、図面を参照して説明する。図3は、本実施形態のナビゲーション装置1の構成を示す。本実施形態のナビゲーション装置1は、基本的には、前記第1の実施形態と同様な構成であり、情報記憶部(移動速度記憶手段)4に道路区分毎の平均移動速度を記憶し、ユーザが希望移動時間を設定するために入力操作部2に設けた移動時間設定部26と、移動時間を算出するためにCPU11に設けた移動時間算出部11hとをさらに備えた点で異なる。
【0041】
図3に示すように、本実施形態のナビゲーション装置1において、情報記憶部4は、道路区分別(一般道路、幹線道路、高速道路、細道路、特定ルート)の制限速度等を基準にして設定された道路区分別の平均移動速度を記憶している。入力操作部2において、ユーザが移動時間設定部26で希望する移動時間を設定すると、目的地提示部11gは、予想移動料金が希望移動料金を超えない目的地の候補のうち、移動時間算出部11hで算出された移動時間が、ユーザが移動時間設定部26で設定した希望移動時間内で行ける目的地の候補をリストアップする。これにより、ユーザは、このリストから希望移動料金を越えずに、かつ、希望移動時間を越えずに行ける目的地を選択することができる。
【0042】
【表2】

【0043】
表2は、道路区分別の移動時間を説明するための表であり、縦方向に、表1と同様に道路区分を示し、横方向に、道路区分別平均移動速度Vn(nは道路区分別番号)と、道路区分別移動距離Rnと、これらに基く道路区分別移動時間Tnとを示す。表2に示すように、道路区分別移動時間Tnは、移動時間算出部11hにおいて、移動距離算出部11cで算出された道路区分別の移動距離(R1、R2、R3、R4、R5)を、情報記憶部4に予め記憶されている道路区分別の平均移動速度(V1、V2、V3、V4、V5)で割算することにより、ルート探索部11aで探索されたルートを移動した場合における移動時間Tn(T1、T2、T3、T4、T5)を算出して求めることができる。ここで、Tn=Rn/Vn(n=1乃至5の整数)。これにより、道路区分別の移動時間が得られ、全移動時間T(T=T1+T2+T3+T4+T5)が算出されるので、移動時間の予測精度を高めることができる。
【0044】
次に、本実施形態のナビゲーション装置1の動作手順について、図4のフローチャートを参照して説明する。ここでは、前記第1の実施形態と異なるステップについて主に説明する。ユーザが、S2で希望移動料金Aを設定した後、さらに、希望移動時間Cを設定し(S21)、行き先希望ジャンルを選択すると(S3)、CPU11の移動時間算出部11hは、ステップ5においてリストアップされた予想移動料金Bが希望移動料金Aを越えない行き先希望ジャンルの目的候補地について、それらの目的候補地までの予想移動時間Dをそれぞれ計算する(S22)。続いて、CPU11の目的地提示部11gは、これらの目的候補地の中から予想移動時間Dが希望移動時間Cを越えない目的候補地をさらにリストアップする。
【0045】
【表3】

【0046】
上記表3は、上記動作手順に基き、希望移動料金が5000円で、希望移動時間が4時間の場合において、行き先の希望ジャンルを温泉地とした場合の探索された目的地の候補の探索例を示す。ユーザは、この目的地の候補リストから、予算と移動時間を考慮して、希望する目的地を容易に選択することができる。そして、ユーザが、表示部5で温泉の目的地を選択すると、CPU11は、その温泉施設へのルートを案内する。
【0047】
上述のように、第2の実施形態のナビゲーション装置1によれば、ユーザは、希望する移動料金とジャンルの設定に加えて、希望する移動時間を設定することができる。これにより、ユーザは、ユーザが希望する移動料金越えない、希望ジャンルの目的地の候補から、さらに、希望移動時間を越えずに行けるところを探索することができる。これにより、ユーザは、希望移動料金と希望移動時間の両方を満たす好みの目的地を簡単に選択することができ、利便性が高い。
【0048】
このように、上述の各実施形態のナビゲーション装置1によれば、道路区分別のガソリン消費率と道路区分別の平均移動速度を導入したことにより、道路区分別のガゾリン燃費と、道路区分別の移動時間とを算出できるので、ユーザは、より精度の高い予想移動料金と予想移動時間を容易に得る。また、これら予想移動料金と予想移動時間は、過去の実車データにより随時補正されるので、走行距離、走行回数が増えるにしたがって、より精度を高めることができる。これにより、設定した予想移動料金と予想移動時間に基く、目的地の候補の中から、ユーザの希望する目的地が簡単に提示されるので、ユーザは、日帰り旅行などの突然の旅行計画に対しても、予算とジャンル、及び希望移動時間の設定だけで、迅速に目的地の候補を探索することができ、利便性が高い。
【0049】
また、予め情報記憶部4のデータベースに登録されている目的地の候補について、所定のポイントからの移動料金、移動時間及び移動距離を算出してデータベースに登録しておくことにより、これらの移動料金、移動時間、及び移動距離のデータを用いて、目的地の候補をより迅速に求めることができる。また、演算する計算量が少ない分、演算処理速度の遅い、低コストのCPU11を使用することができ、低廉化できる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を変更しない範囲で適宜に種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、予め道路区分毎の平均移動速度を設定しているので、走行中に車速がその平均移動速度よりオーバしたときは、ディスプレイにおける表示や、スピーカからの音声により運転者に警告を発することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るナビゲーション装置のブロック構成図。
【図2】同上装置の動作手順を説明するためのフローチャート。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るナビゲーション装置のブロック構成図。
【図4】同上装置の動作手順を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0052】
1 ナビゲーション装置
2 入力操作部(入力手段)
3 位置検出部
4 情報記憶部(ガソリン消費率記憶手段、移動速度記憶手段)
5 表示部(表示手段、案内手段)
6 音声案内部(音声案内手段、案内手段)
7 交通情報受信部(交通情報受信手段)
10 制御部(制御手段)
11 CPU(制御手段)
11a ルート探索部(ルート探索手段)
11b 道路種類検出部(道路種類検出手段)
11c 移動距離検出部(移動距離検出手段)
11d 燃費料金算出部(燃費料金算出手段)
11e 高速料金算出部(高速料金算出手段)
11f 移動料金算出部(移動料金算出手段)
11g 目的地提示部(目的地提示手段)
11h 移動時間算出部(移動時間算出手段)
23 移動料金設定部(移動料金設定手段)
24 ジャンル選択部(ジャンル選択手段)
25 目的地選択部(目的地選択手段)
26 移動時間設定部(移動時間設定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌に搭載され、データベースに登録されている複数の目的地の候補の中からユーザにより選択された目的地までのルートを案内するナビゲーション装置において、
現在地から前記目的地の候補までのルートを探索するルート探索手段と、
前記ルート探索手段で探索されたルートを移動した場合に通過する道路の種類を検出する道路種類検出手段と、
前記道路種類検出手段で検出された道路種類毎に移動する距離を算出する道路別移動距離算出手段と、
道路別ガソリン消費率を記憶するガソリン消費率記憶手段と、
前記道路別移動距離算出手段で算出された道路別移動距離と前記道路別ガソリン消費率とから、前記ルート探索手段で探索されたルートを移動した場合における燃費料金を算出する燃費料金算出手段と、
前記ルート探索手段で探索されたルートを移動した場合における目的地の候補までの高速道路の高速料金を算出する高速料金算出手段と、
前記高速料金算出手段で算出された高速料金と、前記燃費料金算出手段で算出された燃費料金とから、目的地の候補までの予想移動料金を算出する移動料金算出手段と、
ユーザの希望移動料金を設定する移動料金設定手段と、
前記データベースに登録されている複数の目的地の候補のうち、前記移動料金算出手段で算出された予想移動料金が前記移動料金設定手段で設定された希望移動料金を越えない目的地の候補をリストアップする目的地提示手段と、
前記目的地提示手段で提示された目的地の候補を選択するための目的地選択手段と、
装置全体を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、ユーザが前記目的地選択手段で選択した目的地までのルートを案内するように制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
ユーザが希望移動時間を設定するための移動時間設定手段と、
道路区分毎の平均移動速度を記憶する移動速度記憶手段と、
前記移動速度記憶手段に記憶された道路区分毎の平均移動速度と前記道路別移動距離算出手段で算出された移動距離とから移動時間を算出する移動時間算出手段と、をさらに備え、
前記目的地提示手段は、前記予想移動料金が前記希望移動料金を超えない目的地の候補のうち、前記移動時間算出手段で算出された移動時間が、ユーザが前記移動時間設定手段で設定した希望移動時間を越えない目的地の候補をリストアップすることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
ユーザの希望する行き先のジャンルを選択するジャンル選択手段を、さらに備え、
前記目的地提示手段は、ユーザが前記ジャンル選択手段で選択したジャンルに関する目的地の候補地をリストアップすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記道路別ガソリン消費率及び目的地までの移動時間は、車両の過去におけるガソリン消費量及び移動時間の実績データにより随時、修正されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
予めデータベースに登録されている複数の目的地の候補について、それぞれ所定のポイントからの移動料金、及び移動時間を算出してテーブル化した目的地候補リストを、さらに備え、
前記目的地提示手段は、前記目的地候補リストに登録されている複数の目的地の候補の中から目的地の候補をリストアップすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−292417(P2008−292417A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140890(P2007−140890)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】