説明

ナビゲーション装置

【課題】通行を回避すべき地域等を予め個別に指定して記憶させておく必要が無く、より簡単に製造でき、且つ、ユーザに対してより安全な経路案内をすることが出来るナビゲーション装置を提供することである。
【解決手段】本発明にかかるナビゲーション装置1において、CPU11は、設定プログラム18bの実行により目的地が使用者によって入力されると、危険地域特定プログラム18cの実行によって、出発地から目的地までの間に存在する各地域に対して、HDD部19に記憶された人口統計データ19aに基づいて車両の通行を回避すべき危険地域が特定され、回避経路検索プログラム18dの実行によってその危険地域を回避する経路が検索されるので、ナビゲーション装置1は、ユーザにその経路に基づく経路案内を行うことが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CD−ROM等の地図データに、時間帯や季節、曜日等の時間的要素によっては通行を避けるべき施設や地域(例えば、商店街や公園等)の座標や時間要素に関する情報を記憶させておき、当該施設や地域を避ける経路によりユーザを誘導案内する車載用ナビゲーション装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、経路案内に用いる各経路区間の犯罪率、渋滞可能性、事故率等から経路の危険指数を算出し、ユーザの設定した危険指数の閾値を越える経路を回避し、最適な経路案内を実行できる車両ナビゲーションシステムが知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−261781号公報
【特許文献2】特開2000−55690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、時間帯や季節、曜日等の時間的要素によっては通行を避けるべき施設や地域に関する情報を記憶させておかなければならないので煩雑であるとともに、特定の施設等が存在するからといってどの時間帯でも通行を避けなければならない訳ではないので、必ずしも最適な経路となっていない場合があった。また、上記特許文献2の場合、犯罪率や事故率等が予め把握できる地域はよいが、生活道路や高齢者層の占める割合の高い地域等の場合、未必的に存在する危険性は考慮されないため、ユーザに安全な経路案内をすることができないという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、通行を回避すべき地域等を予め個別に指定して記憶させておく必要が無く、より簡単に製造でき、且つ、ユーザに対してより安全な経路案内をすることが出来るナビゲーション装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
現在位置を測位する測位手段と、地図に関する情報を記憶する地図情報記憶手段と、画像を出力する出力部と、を備え、車両に取付可能なナビゲーション装置において、
出発地と目的地を設定する設定手段と、
所定の地域ごとに、複数の項目の人口統計データを記憶する人口統計データ記憶手段と、
前記人口統計データ記憶手段により記憶された人口統計データに基づいて、前記設定手段により設定された出発地から目的地までの間で、所定の条件に該当する前記項目の人口が所定値以上の地域を前記車両の通行を回避すべき危険地域として特定する危険地域特定手段と、
前記危険地域特定手段により特定された地域を回避して前記設定手段により設定された出発地から目的地までの経路を検索する回避経路検索手段と、
前記回避経路検索手段にて検索された経路と、前記測位手段により測位された現在位置とを、前記地図情報記憶手段に記憶された地図とともに出力部に出力して経路案内させる経路案内手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のナビゲーション装置において、前記危険地域特定手段は、時間帯と、前記項目とを対応付けて記憶する条件記憶手段と、現在時刻を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された現在時刻に基づいて、前記設定手段により設定された出発地から目的地までの間にある各地域への到着時刻を予想する予想手段と、前記予想手段により予想された到着時刻が前記条件記憶手段に記憶された時間帯に含まれるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により前記時間帯に含まれると判断した場合に、前記時間帯に該当する項目を、各地域ごとに前記条件記憶手段から抽出する項目抽出手段と、前記項目抽出手段により抽出された項目の各地域ごとの人口統計データを前記人口統計データ記憶手段から抽出する人口統計データ抽出手段と、を備え、前記人口統計データ抽出手段により抽出された各地域ごとの人口統計データに基づく人口が所定値以上の地域を危険地域として特定することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のナビゲーション装置において、所定の時間帯に車両の通行を回避すべき施設に関する情報を前記地図情報における位置情報と対応付けて記憶する施設情報記憶手段を備え、前記危険地域特定手段は、前記予想手段により予想された出発地から目的地までの間にある各地域への到着時刻に基づいて、車両の通行を回避すべき施設を有する地域への到着時刻を予想する施設到着予想手段と、前記施設到着予想手段により予想された到着時刻が、前記所定の時間帯に含まれるか否かを判断する施設到着判断手段と、前記施設到着判断手段により所定の時間帯に含まれると判断された場合に、前記車両の通行を回避すべき施設を有する地域を特定する地域特定手段を備え、前記地域特定手段により特定された地域の中から危険地域を特定することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載のナビゲーション装置において、前記危険地域特定手段により特定された地域を、前記地図情報記憶手段に記憶された地図上に明示して出力部に出力する危険地域出力手段を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載のナビゲーション装置において、前記測位手段により測位された現在位置が、前記危険地域特定手段により特定された危険地域内であるか否かを判別する判別手段と、前記判別手段により現在位置が危険地域内であると判別された場合に、現在位置が危険地域内である旨を出力部にて報知する報知手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、
現在位置を測位する測位手段と、地図に関する情報を記憶する地図情報記憶手段と、画像を出力する出力部と、を備え、車両に取付可能なナビゲーション装置において、
出発地と目的地を設定する設定手段と、
所定の地域ごとに、複数の項目の人口統計データを記憶する人口統計データ記憶手段と、
前記人口統計データ記憶手段により記憶された人口統計データに基づいて、前記設定手段により設定された出発地から目的地までの間で、所定の条件に該当する前記項目の人口が所定値以上の地域を前記車両の通行を回避すべき危険地域として特定する危険地域特定手段と、
前記危険地域特定手段により特定された地域を回避して前記設定手段により設定された出発地から目的地までの経路を検索する回避経路検索手段と、
前記回避経路検索手段にて検索された経路と、前記測位手段により測位された現在位置とを、前記地図情報記憶手段に記憶された地図とともに出力部に出力して経路案内させる経路案内手段と、
前記危険地域特定手段により特定された地域を、前記地図情報記憶手段に記憶された地図上に明示して出力部に出力する危険地域出力手段と、
前記測位手段により測位された現在位置が、前記危険地域特定手段により特定された危険地域内であるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により現在位置が危険地域内であると判別された場合に、現在位置が危険地域内である旨を出力部にて報知する報知手段と、を備え、
前記危険地域特定手段は、さらに、
時間帯と、前記項目とを対応付けて記憶する条件記憶手段と、
現在時刻を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された現在時刻に基づいて、前記設定手段により設定された出発地から目的地までの間にある地域への到着時刻を予想する予想手段と、
前記予想手段により予想された到着時刻が前記条件記憶手段に記憶された時間帯に含まれるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記時間帯に含まれると判断した場合に、前記時間帯に該当する項目を、各地域ごとに前記条件記憶手段から抽出する項目抽出手段と、
前記項目抽出手段により抽出された項目の各地域ごとの人口統計データを前記人口統計データ記憶手段から抽出する人口統計データ抽出手段と、
前記人口統計データ抽出手段により抽出された各地域ごとの人口統計データに基づく人口が所定値以上の地域を危険地域として特定する特定手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ナビゲーション装置に所定の地域ごとの複数の項目からなる人口統計データが記憶されており、その人口統計データに基づいてユーザの設定した出発地から目的地までの間で、所定の条件に該当する項目の人口が所定値以上である地域を、車両の通行を回避すべき危険地域として特定し、その地域を回避した経路が検索されるため、ユーザは安全な経路案内を受けることができる。
したがって、本発明は、通行を回避すべき地域等を予め個別に指定して記憶させておく必要が無く、より簡単に製造でき、且つ、ユーザに対してより安全な経路案内をすることが出来るナビゲーション装置であるといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図を参照して、本発明に係るナビゲーション装置の実施形態を詳細に説明する。なお、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0014】
ナビゲーション装置1は、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)11と、GPSアンテナ12と、出力部13と、入力部15と、RAM(Random Access Memory)17と、ROM(Read Only Memory)18と、HDD部19と、計時部20と、通信部21と、等を備えている。また、上記各部はバス10によって接続されている。
このナビゲーション装置1は、車両に着脱可能に構成されており、車両に搭載して使用することと、使用者が携帯して使用することが可能なポータブル型のナビゲーション装置である。
ここで、本発明に係る人口統計データは、例えば、図2に示すように、各年代に対して、職業項目(就業、家事、学生、無職等)別にどの程度の人口が各地域内に存在するのかが把握できるようになっているデータとする。また地域とは、例えば、市町村単位、町丁単位、番地単位等からなる領域を指すものとする。
【0015】
CPU11は、ROM18に記憶されたナビゲーション装置用の各種処理プログラムに従って各種の制御動作を行う。
【0016】
GPSアンテナ12は、地球低軌道に打ち上げられた複数のGPS衛星から送信されるGPS信号(アルマナック(概略軌道情報)やエフェメリス(詳細軌道情報)など)を受信して、その受信したGPS信号をCPU11に出力する。
【0017】
出力部13は、例えば、液晶表示機器等から構成され、地図情報データ19cに基づく道路地図や、地図上に示されるナビゲーション装置1の現在位置に対応する地点の道路名や地域名などを表示する。
【0018】
入力部15は、例えば、文字/数字キー、各種機能キー、出力部13と一体的に設けられたタッチパネル等から構成され、使用者により操作されると、その操作に伴う押下信号をCPU11に出力する。また、入力部15は、例えば、リモートコントローラのように装置を遠隔操作可能な構成であってもよい。
【0019】
RAM17は、例えば、CPU11により実行される処理プログラム等を展開するためのプログラム格納領域や、入力データや処理プログラムが実行される際に生じる処理結果等を格納するデータ格納領域などを備える。
【0020】
ROM18は、例えば、ナビゲーション装置1で実行可能なシステムプログラム、そのシステムプログラムで実行可能な各種処理プログラム、これら各種処理プログラムを実行する際に使用されるデータ、CPU11により演算処理された処理結果のデータ等を記憶する。なお、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形でROM18に記憶されている。
具体的には、ROM18は、例えば、測位プログラム18aと、設定プログラム18bと、危険地域特定プログラム18cと、回避経路検索プログラム18dと、経路案内プログラム18eと、取得プログラム18gと、項目抽出プログラム18hと、人口統計データ抽出プログラム18iと、地域特定プログラム18jと、危険地域出力プログラム18kと、判別プログラム18lと、報知プログラム18mと、予想プログラム18oと、施設到着予想プログラム18pと、判断プログラム18qと、施設到着判断プログラム18r等を記憶している。また、ROM18は、条件テーブル18nを記憶する条件記憶手段として機能する。
【0021】
条件テーブル18nは、時間帯と人口統計データを構成する複数の項目とを対応付けたテーブルである。つまり、条件テーブル18nは、人口統計データを構成する複数の項目と、所定の時間帯とによって、車両の通行を回避すべき危険地域となる条件を記載したテーブルであり、この条件テーブル記載の条件に該当する人口が所定値を超えた場合に、その地域は危険地域と判断される。
具体的には、例えば、図3に示す年齢層と職業項目から構成されるテーブルにおいて、職業項目が就業で、凡そ年齢が20歳以上であれば、出社/帰社時間帯である、7時〜9時、17時〜20時の時間帯は、地域内の経路が渋滞し、歩行者が増え交通事故の生じる可能性が高くなる、として条件テーブルに記載される。同様に、職業項目が家事で、凡そ年齢が20歳以上であれば、夕刻の買い物を行う(商店街や食料品店で買い物を行うために外出する)時間帯(16時〜19時)が条件テーブルに記載される。次いで、職業項目が学生で、凡そ年齢が20歳未満であれば、通学の時間帯(7時〜9時、14時〜17時、16時〜19時)が条件テーブルに記載される。そして、凡そ年齢が60歳以上であれば、職業項目に関わりなく、早朝の散歩に出かける時間帯(4時〜7時)が条件テーブルに記載される。
【0022】
測位プログラム18aは、GPSアンテナ12から出力されたGPS信号に基づいて、ナビゲーション装置1が設置されている車両や、ナビゲーション装置1を所持する使用者の2次元的な現在位置(緯度、経度)を測位する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が測位プログラム18aを実行することによって、ナビゲーション装置1の現在位置を測位する測位手段として機能する。なお、GPSアンテナ12は測位手段の一部として機能する。
【0023】
設定プログラム18bは、現在位置をナビゲーション装置1の経路案内における出発地として設定し、目的地をナビゲーション装置1のユーザの入力操作により設定させる機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が設定プログラム18bを実行することにより、現在位置を測位プログラム18aの実行によって取得し、それを出発地として設定し、ユーザに入力部15を操作させることにより目的地を設定させる設定手段として機能する。
なお、出発地を現在位置とせずに、目的地と同様に入力部15における操作入力などにより指定するようにしてもよい。
【0024】
危険地域特定プログラム18cは、後述の人口統計データ抽出プログラム18iの実行により抽出された各地域ごとの人口統計データに基づく人口が所定値以上の地域を危険地域として特定する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が危険地域特定プログラム18cを実行することにより、地域特定プログラム18jの実行により特定された地域の中で、人口統計データ抽出プログラム18iの実行により抽出された人口統計データ19aに基づく人口が所定値以上である場合に、その地域を危険地域として特定する特定手段として機能する。
具体的な危険地域の特定方法は、後述の<危険地域の特定及び危険地域を回避する経路の検索方法>で詳しく述べる。
【0025】
回避経路検索プログラム18dは、危険地域特定プログラム18cを実行することにより危険地域として特定された地域を回避する経路を検索する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が回避経路検索プログラム18dを実行することにより、設定プログラム18bによって設定された出発地と目的地の間に、危険地域特定プログラム18cの実行により危険地域として特定された地域が存在する場合、その地域を回避した経路を検索する検索手段として機能する。
なお、回避経路検索プログラム18dを実行しても、回避する経路を発見できない場合は、危険地域を含む最短経路の検索を実行し、経路案内中に危険地域を走行することになる旨を出力部13を介してユーザに報知し、後述の危険地域出力プログラム18kの実行により、通行する予定の危険地域を地図上に表示してユーザに事前の注意を促す。
具体的な回避経路の検索方法は、後述の<危険地域の特定及び危険地域を回避する経路の検索方法>で詳しく述べる。
【0026】
経路案内プログラム18eは、回避経路検索プログラム18dの実行によって検索された経路を、HDD部19に記憶された地図情報データ19cに基づいて地図上に表示し、出力部13にて経路案内する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が経路案内プログラム18eを実行することにより、回避経路検索プログラム18dの実行によって検索された経路を、出力部13を介して地図上に示して、ユーザに経路の表示案内を行う経路案内手段として機能する。
【0027】
取得プログラム18gは、現在時刻を計時部20から取得する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が取得プログラム18gを実行することにより、計時部20にて取得する現在時刻を時刻信号としてCPU11に出力する手段として機能する。
【0028】
予想プログラム18oは、設定プログラム18bにより設定された出発地から目的地までの間にある各地域への到着時刻を予想する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が予想プログラム18oを実行することにより、出発時刻を現在時刻とした場合の、設定プログラム18bにより設定された出発地から目的地までの間にある各地域への到着時刻を予想する予想手段として機能する。
さらに、CPU11が予想プログラム18oを実行すると、後述の地域特定プログラム18jの実行によりRAM17に一時的に記憶されている、特定された各地域と、その各地域への到着予想時刻を取得し、後述の判断プログラム18qの実行時に各地域への到着時刻として用いることが出来る。
具体的な到着時刻の予想方法は、後述の<危険地域の特定及び危険地域を回避する経路の検索方法>で詳しく述べる。
【0029】
判断プログラム18qは、予想プログラム18oの実行による到着時刻が、条件テーブル18nの所定の項目ごとに記載された時間帯に含まれるか否かを判断する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が判断プログラム18qを実行することにより、地域特定プログラム18jの実行により特定された地域ごとに、予想プログラム18oの実行による到着時刻が、条件テーブル18nの所定の項目ごとに記載された時間帯に含まれるか否かを判断する判断手段として機能する。
具体的な判断方法は、後述の<危険地域の特定及び危険地域を回避する経路の検索方法>で詳しく述べる。
【0030】
項目抽出プログラム18hは、判断プログラム18qの実行により予想された到着時刻が、条件テーブル18nの所定の項目ごとに記載された時間帯に含まれる、と判断された場合に、各地域ごとに条件テーブル18nの項目を抽出する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が項目抽出プログラム18hを実行することにより、判断プログラム18qの実行により、予想された到着時刻が条件テーブル18nの所定の項目ごとに記載された時間帯に含まれる、と判断された場合に、各地域ごとに条件テーブル18nより該当する項目を全て抽出する抽出手段として機能する。
具体的な項目抽出の方法は、後述の<危険地域の特定及び危険地域を回避する経路の検索方法>で詳しく述べる。
【0031】
人口統計データ抽出プログラム18iは、項目抽出プログラム18hにより抽出された項目の各地域ごとの人口統計データを、人口統計データ19aから抽出する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が人口統計データ抽出プログラム18iを実行することにより、項目抽出プログラム18hにより抽出された項目の各地域ごとの人口統計データを、HDD部19に記憶された人口統計データ19aから抽出する抽出手段として機能する。
【0032】
施設到着予想プログラム18pは、予想プログラム18oの実行により予想された出発地から目的地までの間にある地域への到着時刻に基づいて、車両の通行を回避すべき施設を有する各地域への到着時刻を予想する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が施設到着予想プログラム18pを実行することにより、車両の通行を回避すべき施設が属する地域を施設情報データ19bと地図データ19cより判断し、予想プログラム18oの実行により予想された出発地から目的地までの間にある地域への到着時刻に基づいて、その地域への到着時刻を予想する予想手段として機能する。
具体的な到着時刻の予想方法は、後述の<危険地域の特定及び危険地域を回避する経路の検索方法>で詳しく述べる。
【0033】
施設到着判断プログラム18rは、施設到着予想プログラム18pの実行により予想された到着時刻が、施設情報データ19bに記載された所定の時間帯に含まれるか否かを判断する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が施設到着判断プログラム18rを実行することにより、施設到着予想プログラム18pの実行により予想された到着時刻が、HDD部19の施設情報データ19bの車両の通行を回避すべき施設を有する地域ごとに記載された、所定の時間帯に含まれるか否かを判断する判断手段として機能する。
ここで、施設情報データ19bに記載された所定の時間帯とは、例えば、当該施設周辺の道路の渋滞や交通事故の生じる可能性の高い時間帯(車両の通行を回避すべき時間帯)を指すものとする。
具体的な判断方法は、後述の<危険地域の特定及び危険地域を回避する経路の検索方法>で詳しく述べる。
【0034】
地域特定プログラム18jは、施設到着判断プログラム18rの実行により、所定の時間帯に含まれると判断した場合に、その車両の通行を回避すべき施設を有する地域を特定する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が地域特定プログラム18jを実行することにより、施設到着判断プログラム18rの実行により、所定の時間帯に含まれると判断した場合に、その車両の通行を回避すべき施設を有する地域を全て特定する特定手段として機能する。さらに、CPU11は地域特定プログラム18jの実行により、その特定された各地域と、その各地域への到着予想時刻をRAM17に一時的に記憶し、それを予想プログラム18oの実行時に利用する。
【0035】
危険地域出力プログラム18kは、危険地域特定プログラム18cにより特定された危険地域を、地図上に明示して出力部13に出力する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が危険地域出力プログラム18kを実行することにより、危険地域特定プログラム18cの実行により特定された危険地域を、後述の地図データ19cの地図上に、他の地域と区別して表示し(例えば、危険地域を破線で囲う、他の地域と表示色を変更する等)、出力部13を介して出力する出力手段として機能しており、ナビゲーション装置1が経路案内する際に、ユーザへ危険地域に対する注意を促す役割を果たしている。
【0036】
判別プログラム18lは、測位プログラム18aの実行により測位される現在位置が、危険地域特定プログラム18cの実行により特定された危険地域内であるか否かを判別する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が判別プログラム18lを実行することにより、ユーザ(ナビゲーション装置1)の現在位置が、危険地域内にあるか否かを判別する判別手段として機能する。
【0037】
報知プログラム18mは、判別プログラム18lにより測位される現在位置が、危険地域内であると判別された場合に、その旨を出力部13によりユーザに報知する機能をCPU11に実現させるプログラムである。
つまり、CPU11が報知プログラム18mを実行することにより、ユーザ(ナビゲーション装置1)の現在位置が、危険地域内にあると判別された場合、例えば、現在位置が危険地域内であるため、注意して運転すべき旨を出力部13により報知し、ユーザに危険地域内における車両の走行への注意を促す報知手段として機能する。
【0038】
HDD部19は、人口統計データ19aと、施設情報データ19bと、地図データ19cと、等を記憶しており、後述の通信部21を介して上記データを取得し、データの種別に応じてフォルダごとに格納出来るようになっており、人口統計データ記憶手段、施設情報記憶手段、地図情報記憶手段として機能している。
具体的に、HDD部19は、例えば、ATA(AT Attachment)規格を採用し、内蔵されたハードディスク(図示省略)と、HDD部19に対するデータの記憶或いはハードディスクに記憶された動画データの読み出しを行う磁気ヘッド(図示省略)と、ハードディスクを回転駆動させるとともに、磁気ヘッド(図示省略)をハードディスクの半径方向に移動させるための駆動部(図示省略)等を備えて構成されている。ハードディスクは、非磁性体のディスク基板(図示省略)と、その上に設けられた磁性層(図示省略)と、を備えて成り、磁気ヘッド(図示省略)とハードディスクとの間に、電流を供給することにより磁界を発生する微小なギャップを有している。
【0039】
人口統計データ19aは、例えば、図2に示すように、各年代に対して、職業(就業、家事、学生、無職等)別にどの程度の人口が各地域内に存在するのか、が把握できるようになっているデータである。
施設データ19bは、例えば、施設の名称、地図データ19cに対応する施設の座標、当該施設周辺道路の歩行者や車両が増加し、道路の渋滞や交通事故の生じる可能性の高い時間帯(車両の通行を回避すべき時間帯)等が記載されているデータである。
地図データ19cは、当該ナビゲーション装置1の経路案内処理を実行する上で、出力部13で表示される道路地図を構成するデータである。また、地図データ19cは、緯度経度などの座標と、その座標が属する地域が対応付けられており、CPU11が施設到着予想プログラム18pを実行する際に、車両の通行を回避すべき施設の座標から、その施設の属する地域が把握できるようになっている。
【0040】
計時部20は、現在時刻を計時し、CPU11の取得プログラム18gの実行により、計時した現在時刻データをCPU11に対して出力する。
【0041】
通信部21は、有線/無線のLANポート等によって構成され、LAN通信回線や無線通信を介して外部機器から人口統計データ19aと、施設情報データ19bと、地図データ19cなどのデータを入手可能にしている。
【0042】
<危険地域の特定及び危険地域を回避する経路の検索方法>
危険地域の特定及び危険地域を回避する経路の検索方法は、例えば、図2〜図5を参照して以下の様にして行われる。
【0043】
まず、CPU11は、設定プログラム18bの実行によって出発地と目的地が設定されると、図4に示されるように、その出発地P1と目的地P2を端点とした線分を所定数倍(例えば、1.5倍)した線分の2つの端点(P3及びP4)を対角線上の2頂点とする矩形を、経路検索における検索範囲として設定する。
【0044】
次いで、上記のようにして検索範囲が決定されると、CPU11は、予想プログラム18oの実行により、その検索範囲に含まれる地域を地図データ19cの座標値に基づいて取得し、その取得された各地域ついて、出発地からの到着時刻が予想される。
【0045】
具体的には、例えば、図4に示すように、検索地域内に実線で表示された、A地域、B地域、C地域が存在し、出発地P1よりA地域内への到達時刻を予想する場合を考える。
この場合、例えば、出発地P1より、A地域内のP5へと直線的に到達するまでに要する時間と、B地域内のP6を経由した後にA地域内のP5へ到達するまでに要する時間とでは大きな差が生じる可能性がある。即ち、CPU11によって回避経路検索プログラム18dが実行されると、危険地域を回避する経路が検索されるため、必ずしも各地域への到着時刻は、CPU11が最短経路を検索した際に予想出来る到着時刻とは一致しない。
そのため、CPU11が、予想プログラム18oを実行する場合に予想する到着時刻は、例えば、出発地からその目的とする地域への最短経路を検索した際に予想出来る到着時刻(最短到着時刻)と、検索地域内で出発地から最も遠方にある点を経由してその目的とする地域へ到達する経路を検索し、それに要する時刻(迂回到着時刻)と、の2つの到着時刻からなるものとする。
したがって、例えば、図4において、CPU11が、予想プログラム18oを実行すると、出発地P1よりA地域内への到達時刻は、P1からA地域への最短経路を検索して予想する最短到着時刻と、P1からC地域のP4を経由してA地域へ到達する経路を検索して予想する迂回到着時刻の2つが予想される。
【0046】
次いで、上記のようにして各地域への到着時刻が予想されると、CPU11は、施設到着予想プログラム18pの実行により、施設情報データ19bに記載された車両の通行を回避すべき施設の座標と、地図データ19cに基づいて、各施設を有する地域ごとに、到着時刻が予想される。
【0047】
そして、上記のようにして到着時刻が予想されると、CPU11は施設到着判断プログラム18rを実行し、施設到着予想プログラム18pの実行により予想された、各危険を回避すべき施設を有する地域への最短到着時刻と迂回到着時刻の両方が、施設情報データ19bに記載された所定の時間帯に含まれている場合にのみ、到着時刻が施設情報データ19bに記載された所定の時間帯に含まれていると判断する。
さらに、CPU11は、地域特定プログラム18jを実行することにより、出発地と目的地までの間で、施設到着判断プログラム18rの実行により所定の時間帯に含まれていると判断された車両の通行を回避すべき施設を有する地域を全て特定する。
【0048】
次いで、上記のようにして車両の通行を回避すべき施設を有する地域が特定されると、CPU11は、予想プログラム18oの実行により、その各地域と、その各地域についての施設到着予想プログラム18pの実行により予想された到着時刻をRAM17より取得する。
【0049】
そして、CPU11は判断プログラム18qを実行し、施設到着判断プログラム18rを実行した場合と同様に、予想プログラム18oの実行による各地域への最短到着時刻と迂回到着時刻の両方が、条件テーブル18nの各要素に記載された時間帯に含まれている場合にのみ、到着時刻が条件テーブル18nの各要素に記載された時間帯に含まれていると判断する。
さらに、CPU11は項目抽出プログラム18hを実行することにより、地域特定プログラム18jの実行により特定される地域ごとに、判断プログラム18qの実行により条件テーブル18nの各要素に記載された時間帯に含まれていると判断された条件テーブル18nの各要素を全て抽出する。
具体的には、例えば、CPU11の地域特定プログラム18jの実行により特定されたA地域において、A地域に対する最短到着時刻が7時で、迂回到着時刻が8時30分であった場合、図3の条件テーブルにおいて、7時及び8時30分を含む時間帯からなる行列要素(年齢19歳以下かつ職業項目が学生、及び、年齢20歳以上かつ職業項目が就業、の行列要素)について、到着時刻が条件テーブル18nの各要素に記載された時間帯に含まれていると判断し、その要素が全て抽出される。一方で、A地域に対する最短到着時刻が7時で、迂回到着時刻が9時30分であった場合、到着時刻が条件テーブル18nの全ての要素に記載された時間帯に含まれていないと判断する。
【0050】
次いで、CPU11は人口統計データ抽出プログラム18iを実行し、項目抽出プログラム18hの実行によって抽出された行列要素に相当する人口を、地域ごとに、人口統計データ19aから抽出する。
そして、CPU11は危険地域特定プログラム18cを実行することにより、抽出された行列要素に相当する人口が所定値(例えば、地域内の全人口の10%)以上である行列要素が1以上存在する場合、その地域を危険地域として特定する。例えば、最短到着時刻が7時で、迂回到着時刻が8時30分であった場合、図3で、年齢19歳以下かつ職業項目が学生、及び、年齢20歳以上かつ職業項目が就業、の行列要素が抽出されるので、図2のA地域(総人口5000人)においては、年齢が13〜19歳かつ職業項目が学生の行列要素(700人)、及び、年齢が40〜49歳かつ職業項目が就業の行列要素(600人)が所定値以上と判断される。従って、この場合のA地域は危険地域として特定されることになる。
【0051】
次に、図4を用いて、検索範囲に存在する各地域の経路検索上の設定について述べる。
例えば、図4に示すように、検索地域内に実線で表示された、隣接する多角形からなるA地域とB地域が存在する場合、回避経路検索プログラム18dを実行する上で、各地域は、その地域を包含する矩形に近似されて回避経路が検索される。その結果、図4の破線で表示される矩形化されたA地域とB地域は重複する領域を形成する。この重複領域について、CPU11が回避経路検索プログラム18dを実行する時は、例えば、重複領域を構成する全ての地域が危険地域では無い場合(A地域及びB地域が危険地域では無い場合)、その重複領域内の経路を回避経路として選択するが、重複領域を構成するいずれか1以上の地域が危険地域である場合(A地域又はB地域のいずれか、又は両地域が危険地域である場合)、その重複領域内は危険地域として扱い、その重複領域内の経路を回避経路として選択しないものとする。
【0052】
次に、図5を用いて、危険地域を含む検索範囲における回避経路検索について述べる。ここで、図5の検索範囲は、地域D1〜D8から構成され、D2及びD6を危険地域とし、出発地をP1、目的地をP2、各道路の分岐点をB1〜B9とする。ここで、地域が重複する重複領域における回避経路検索については上記設定に基づくものとする。また、地域D3は駅を包含しており、車両の通行を回避すべき施設を有する地域として危険地域になり得るが、現在時刻が車両の通行を回避すべき時間帯では無かった、或いは、地域D3における所定の項目の人口が所定値に満たなかった、などの理由により危険地域として特定されていないものとする。
【0053】
CPU11が回避経路検索プログラム18dを実行することにより、以下の経路が決定される。
まず、出発地P1から次の分岐点に移動するにはB1又はB6を辿る経路が存在するが、D6が危険地域であるためB6を回避し、B1を辿る経路が選択される。次いで、B1から次の分岐点に移動するにはB2又はB9を辿る経路が存在するが、D2が危険地域であるためB9を回避し、B2を辿る経路が選択される。同様にして、B2からB3又はB7を辿る経路ではB3が、B3からB4又はB8を辿る経路ではB4が選択される。
従って、出発地P1より、B1、B2、B3、B4、B5を辿り、目的地P2に到達するという、危険地域を回避する安全な経路が検索されることになる。
【0054】
<危険地域回避経路設定及び経路案内処理>
次に、当該ナビゲーション装置1における、危険地域回避経路設定及び経路案内処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0055】
前提として、事前のユーザ操作により、人口統計データ19a及び施設情報データ19bと、地図データ19cは通信部21を介して取得されており、HDD部19に格納されているものとする。
【0056】
まず、CPU11は、設定プログラム18bを実行することによって、出発地を測位プログラム18aの実行により取得し、ユーザに目的地を入力させ、出発地と目的地の設定を行う(ステップS1)。
【0057】
次いで、CPU11は、取得プログラム18gの実行によって現在時刻を計時する(ステップS2)。
【0058】
次いで、CPU11は、予想プログラム18o、施設到着予想プログラム18p、施設到着判断プログラム18r、地域特定プログラム18jを実行することにより、ステップS2で取得した現在時刻に基づいて、出発地と目的地の間で通行を回避すべき施設を有する地域を特定する(ステップS3)。
【0059】
次いで、CPU11は、予想プログラム18o、判断プログラム18q、項目抽出プログラム18h、人口統計データ抽出プログラム18i、危険地域特定プログラム18cを実行することにより、ステップS2で取得した現在時刻及びステップS3で特定した地域に基づいて危険地域を特定する(ステップS4)。
【0060】
次いで、CPU11は、回避経路検索プログラム18dを実行することにより、ステップS4で特定された危険地域を回避する経路の検索を実行する(ステップS5)。
【0061】
次いで、CPU11が、ステップS5により危険地域を回避する経路が検索した場合(ステップS6;Yes)、ステップS8に移行する。一方で、CPU11が、ステップS5により危険地域を回避する経路を検索出来なかった場合(ステップS6;No)、危険地域を含む経路からなる経路検索を実行する(ステップS7)。
【0062】
次いで、CPU11が、ステップS5で検索された危険地域を回避する経路(ステップS6;Yes)、又は危険地域を含む経路(ステップS7)を、ナビゲーション装置1の経路案内に用いる経路として設定する(ステップS8)。
【0063】
次いで、CPU11は経路案内プログラム18eを実行し、ステップS8で設定された経路に基づいて、出力部13にて経路案内処理を開始する(ステップS9)。
【0064】
次いで、CPU11が、危険地域出力プログラム18kを実行することにより、ステップS4で特定された危険地域を、出力部13を介して地図上に表示し、ユーザへ危険地域に対する注意を促す(ステップS10)。
【0065】
次いで、当該ナビゲーション装置1の経路案内中、CPU11が判別プログラム18lを実行することにより、現在位置が危険地域内にあるか否かが判断される(ステップS11)。
【0066】
そして、CPU11が、現在位置が危険地域内にあると判断した場合(ステップS11;Yes)、即ち、ステップS7にて危険地域を含む経路が検索されていた場合、又は、ステップS6にて危険地域を回避する経路が検索されていた場合であっても、誤ってユーザが危険地域内に経路を変更した場合、報知プログラム18mを実行し、出力部13にて、現在位置が危険地域内であるため、注意して運転すべき旨をユーザに報知し、ユーザに危険地域内の走行への注意を促し(ステップS12)、ステップS13に移行する。
【0067】
一方で、当該ナビゲーション装置1の経路案内中に危険地域内を通行しない場合(ステップS11;No)、即ちステップS6にて危険地域を回避する経路が検索されており、ユーザがその回避経路に従って通行する場合はステップS13に移行する。
【0068】
そして、ナビゲーション装置1が目的地に到達すると(ステップS13)、危険地域回避経路設定及び経路案内処理が終了する。
【0069】
以上のように、本発明にかかるナビゲーション装置1において、使用者が目的地を入力すると、出発地から目的地までの間に存在する各地域に対して、HDD部19に記憶された人口統計データ19aに基づいて車両の通行を回避すべき危険地域が特定され、その危険地域を回避する経路が検索され、ナビゲーション装置1は、ユーザにその経路に基づく経路案内を行う。
したがって、当該ナビゲーション装置1は、通行を回避すべき地域等を予め個別に指定して記憶させておく必要の無い、より簡単に製造でき、且つ、ユーザに対してより安全な経路案内をすることが出来るナビゲーション装置といえる。
【0070】
つまり、ナビゲーション装置1は、危険地域に該当するか否かを、記憶部に記憶した各地域の人口統計データに基づく同一の判断基準により行うので、事前に全ての地域について危険地域に該当するか否かを調査しておく必要がなく、また、その調査結果を記憶部に記憶しておく必要もない。そのため、ナビゲーション装置1は、簡単に製造することが出来、かつ、ユーザに手間や労力を掛けさせずに、安全な経路案内を実現できるナビゲーション装置である。
【0071】
また、ナビゲーション装置1は、時間帯と、その時間帯における人口統計データの複数の項目を記憶し、現在時刻がその時間帯に含まれ、かつその複数の項目に該当する人口が所定値を超えている場合に、その地域を危険地域として判断することが出来る。
【0072】
つまり、ナビゲーション装置1は、例えば、職業や年齢層などの人口統計データの所定の項目に該当する人口が所定値以上存在し、かつ、その人口が屋外にいる可能性が高い所定の時間帯に該当すること、を危険地域に該当するか否かの判断に用いるので、より正確に危険地域の判別を行うことが出来る。
【0073】
また、ナビゲーション装置1は、所定の時間帯に車両の通行を回避すべき施設に関する情報を記憶し、ナビゲーション装置1がその施設を含む地域を所定の時間帯に通過する場合は、その地域を特定し、その中から危険地域を特定することが出来る。
【0074】
つまり、ナビゲーション装置1は、所定の時間帯に車両の通行を回避すべき施設を含む地域であり、かつ、人口統計データに基づいて車両の通行を回避すべき地域を、危険地域として特定することができるので、より正確に危険地域の判別を行うことが出来る。
【0075】
また、ナビゲーション装置1は、特定した危険地域を地図上に明示して出力部13に出力することが出来る。
【0076】
つまり、ナビゲーション装置1が経路案内を実行する際に、ユーザへ危険地域に対する注意を促すことが出来る。
【0077】
また、ナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1の現在位置が危険地域内にあると判断すると、ユーザにその旨を報知することが出来る。
【0078】
つまり、ナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1は現在位置が危険地域内に至ると同時に、ユーザに危険地域内における車両の走行への注意を促すことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明にかかるナビゲーション装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明における項目別の人口統計データの一例を示す図表である。
【図3】本発明における条件テーブルの一例を示す図表である。
【図4】本発明における経路検索の検索範囲及び検索範囲に含まれる地域を説明するための図である。
【図5】本発明における危険地域を回避する経路の検索を説明するための図である。
【図6】本発明における危険地域回避経路設定及び経路案内処理の実行による動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0080】
1 ナビゲーション装置
11 CPU(測位手段、設定手段、危険地域特定手段、回避経路検索手段、経路案内手段、取得手段、項目抽出手段、人口統計データ抽出手段、地域特定手段、危険地域出力手段、判別手段、報知手段、予想手段、施設到着予想手段、判断手段、施設到着判断手段)
13 出力部
18 ROM(条件記憶手段)
18a 測位プログラム(測位手段)
18b 設定プログラム(設定手段)
18c 危険地域特定プログラム(危険地域特定手段)
18d 回避経路検索プログラム(回避経路検索手段)
18e 経路案内プログラム(経路案内手段)
18g 取得プログラム(取得手段)
18h 項目抽出プログラム(項目抽出手段)
18i 人口統計データ抽出プログラム(人口統計データ抽出手段)
18j 地域特定プログラム(地域特定手段)
18k 危険地域出力プログラム(危険地域出力手段)
18l 判別プログラム(判別手段)
18m 報知プログラム(報知手段)
18n 条件テーブル(条件記憶手段)
18o 予想プログラム(予想手段)
18p 施設到着予想プログラム(施設到着予想手段)
18q 判断プログラム(判断手段)
18r 施設到着判断プログラム(施設到着判断手段)
19 HDD部(地図情報記憶手段、人口統計データ記憶手段、施設情報記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を測位する測位手段と、地図に関する情報を記憶する地図情報記憶手段と、画像を出力する出力部と、を備え、車両に取付可能なナビゲーション装置において、
出発地と目的地を設定する設定手段と、
所定の地域ごとに、複数の項目の人口統計データを記憶する人口統計データ記憶手段と、
前記人口統計データ記憶手段により記憶された人口統計データに基づいて、前記設定手段により設定された出発地から目的地までの間で、所定の条件に該当する前記項目の人口が所定値以上の地域を前記車両の通行を回避すべき危険地域として特定する危険地域特定手段と、
前記危険地域特定手段により特定された地域を回避して前記設定手段により設定された出発地から目的地までの経路を検索する回避経路検索手段と、
前記回避経路検索手段にて検索された経路と、前記測位手段により測位された現在位置とを、前記地図情報記憶手段に記憶された地図とともに出力部に出力して経路案内させる経路案内手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1記載のナビゲーション装置において、
前記危険地域特定手段は、
時間帯と、前記項目とを対応付けて記憶する条件記憶手段と、
現在時刻を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された現在時刻に基づいて、前記設定手段により設定された出発地から目的地までの間にある各地域への到着時刻を予想する予想手段と、
前記予想手段により予想された到着時刻が前記条件記憶手段に記憶された時間帯に含まれるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記時間帯に含まれると判断した場合に、前記時間帯に該当する項目を、各地域ごとに前記条件記憶手段から抽出する項目抽出手段と、
前記項目抽出手段により抽出された項目の各地域ごとの人口統計データを前記人口統計データ記憶手段から抽出する人口統計データ抽出手段と、を備え、
前記人口統計データ抽出手段により抽出された各地域ごとの人口統計データに基づく人口が所定値以上の地域を危険地域として特定することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
所定の時間帯に車両の通行を回避すべき施設に関する情報を前記地図情報における位置情報と対応付けて記憶する施設情報記憶手段を備え、
前記危険地域特定手段は、
前記予想手段により予想された出発地から目的地までの間にある各地域への到着時刻に基づいて、車両の通行を回避すべき施設を有する地域への到着時刻を予想する施設到着予想手段と、
前記施設到着予想手段により予想された到着時刻が、前記所定の時間帯に含まれるか否かを判断する施設到着判断手段と、
前記施設到着判断手段により所定の時間帯に含まれると判断された場合に、前記車両の通行を回避すべき施設を有する地域を特定する地域特定手段を備え、
前記地域特定手段により特定された地域の中から危険地域を特定することを特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記危険地域特定手段により特定された地域を、前記地図情報記憶手段に記憶された地図上に明示して出力部に出力する危険地域出力手段を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記測位手段により測位された現在位置が、前記危険地域特定手段により特定された危険地域内であるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により現在位置が危険地域内であると判別された場合に、現在位置が危険地域内である旨を出力部にて報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
現在位置を測位する測位手段と、地図に関する情報を記憶する地図情報記憶手段と、画像を出力する出力部と、を備え、車両に取付可能なナビゲーション装置において、
出発地と目的地を設定する設定手段と、
所定の地域ごとに、複数の項目の人口統計データを記憶する人口統計データ記憶手段と、
前記人口統計データ記憶手段により記憶された人口統計データに基づいて、前記設定手段により設定された出発地から目的地までの間で、所定の条件に該当する前記項目の人口が所定値以上の地域を前記車両の通行を回避すべき危険地域として特定する危険地域特定手段と、
前記危険地域特定手段により特定された地域を回避して前記設定手段により設定された出発地から目的地までの経路を検索する回避経路検索手段と、
前記回避経路検索手段にて検索された経路と、前記測位手段により測位された現在位置とを、前記地図情報記憶手段に記憶された地図とともに出力部に出力して経路案内させる経路案内手段と、
前記危険地域特定手段により特定された地域を、前記地図情報記憶手段に記憶された地図上に明示して出力部に出力する危険地域出力手段と、
前記測位手段により測位された現在位置が、前記危険地域特定手段により特定された危険地域内であるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により現在位置が危険地域内であると判別された場合に、現在位置が危険地域内である旨を出力部にて報知する報知手段と、を備え、
前記危険地域特定手段は、さらに、
時間帯と、前記項目とを対応付けて記憶する条件記憶手段と、
現在時刻を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された現在時刻に基づいて、前記設定手段により設定された出発地から目的地までの間にある地域への到着時刻を予想する予想手段と、
前記予想手段により予想された到着時刻が前記条件記憶手段に記憶された時間帯に含まれるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記時間帯に含まれると判断した場合に、前記時間帯に該当する項目を、各地域ごとに前記条件記憶手段から抽出する項目抽出手段と、
前記項目抽出手段により抽出された項目の各地域ごとの人口統計データを前記人口統計データ記憶手段から抽出する人口統計データ抽出手段と、
前記人口統計データ抽出手段により抽出された各地域ごとの人口統計データに基づく人口が所定値以上の地域を危険地域として特定する特定手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−145215(P2009−145215A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323266(P2007−323266)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】