説明

ハイブリッド現像用キャリア、ハイブリッド現像装置および画像形成装置

【課題】ハイブリッド現像方式において現像ローラ上の残留トナーの回収を十分に行い、画像メモリーの発生を防止するハイブリッド現像用キャリアを提供すること。
【解決手段】バインダー樹脂2中に磁性粉3が分散されたコア粒子4の表面に樹脂コート層5を有することを特徴とするハイブリッド現像用キャリア1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置、該画像形成装置に使用されるハイブリッド現像装置、および該現像装置で使用されるハイブリッド現像用キャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置に採用されている現像方式として、現像剤の主成分としてトナーのみを用いる一成分現像方式と、現像剤の主成分としてトナーとキャリアを用いる二成分現像方式が知られている。
【0003】
一成分現像方式の現像装置は、トナーを担持して搬送するトナー担持体と該トナー担持体のトナー担持面に接触する摩擦荷電部材を備えている。トナー担持体に担持されているトナーは、摩擦荷電部材の接触位置を通過する際、摩擦荷電部材と摩擦接触して薄層化されると共に所定の極性に帯電される。このように、一成分現像装置は、トナーの帯電を摩擦荷電部材との摩擦接触によって行っているため、構成が簡単・小型・安価であるという利点がある。しかし、摩擦荷電部材の接触位置で強いストレスを受けることからトナーが劣化し易く、そのためにトナーの帯電性が比較的早期に損なわれる。また、トナー担持体と摩擦荷電部材との接触圧によって両者にトナーが付着してトナーを帯電する能力が低下し、結果的に、現像装置の寿命が比較的短くなる。
【0004】
二成分現像方式の現像装置は、トナーとキャリアを摩擦接触させることによって両者を所定の極性に荷電するため、トナーの受けるストレスは一成分現像装置に比べて少ない。キャリアは表面積がトナーに比べて大きいことから、トナーが付着して汚れることも少ない。しかし、現像領域においてキャリアが存在するため、潜像担持体にキャリアが移行し、画像上にキャリアに起因する画像劣化が生じ易い。
【0005】
そこで、これらの現像方式における利点を組み合わせて享受できるハイブリッド現像方式が提案されている(例えば特許文献1)。ハイブリッド現像方式は、図9に示すように、磁気ローラ201の外周面に保持されたトナー202とキャリア203を含む現像剤からトナーだけを選択的に現像ローラ204の外周面に供給し、この現像ローラの外周面に保持されたトナーを用いて感光体205上の静電潜像(静電潜像画像部)を現像するものである。キャリアは通常、フェライト等の磁性体粒子、磁性体粒子の表面に単に樹脂被膜を設けたコート型キャリア、バインダー樹脂中に磁性粉末を分散させたバインダー型キャリアが使用される。
【0006】
ハイブリッド現像方式においては、磁気ローラ201と現像ローラ204との間のトナー供給・回収領域において、キャリアはトナーを供給するとともに、現像ローラ204上の残留トナーを回収しなければならない。しかしながら、キャリアによる残留トナーの回収が十分に行われない、という問題が生じていた。残留トナーの回収が不十分であると、現像ローラ上において現像されずにトナーが残っている領域と、現像されて新しいトナーが供給された領域との間でトナー量やトナー帯電量に差が生じるので、画像上に画像メモリーが発生した。画像メモリーとは、直前に印字された画像の影響を受けて、本来的に印字されるべき画像に濃度差が生じる現象である。例えば、連続してベタ画像を印字した場合と、白紙通過後にベタ画像を印字した場合とで、ベタ画像に濃度差が生じた。また例えば、現像ローラ上において、画像の印字によるトナー消費領域と、トナーが消費されない領域とが存在する場合、現像ローラの1周後にベタ画像やハーフトーン画像を印字すると、濃度差が生じた。
【0007】
そこで、現像ローラにトナーを供給するトナー供給用ローラと、現像ローラからトナーを回収するトナー回収用ローラとを別個に設け、トナー回収用ローラにより、現像ローラ上の残留トナーを回収する技術が提案されている(特許文献2)。これによって、現像に使用されなかったトナーも現像ローラから必ず剥離されるため、画像メモリーは抑制できる。しかし、トナー掻き取り時に過度にストレスがかかるため、トナーの劣化が問題となった。
【特許文献1】特開2003−167441号公報
【特許文献2】特開2000−8178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ハイブリッド現像方式において現像ローラ上の残留トナーの回収を十分に行い、画像メモリーの発生を防止するハイブリッド現像用キャリア、ハイブリッド現像装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、バインダー樹脂中に磁性粉が分散されたコア粒子の表面に樹脂コート層を有することを特徴とするハイブリッド現像用キャリアに関する。
【0010】
本発明はまた、トナーおよび上記ハイブリッド現像用キャリアを含む現像剤を備えたことを特徴とするハイブリッド現像装置、および該ハイブリッド現像装置を備えた画像形成装置に関する。
【0011】
本発明は特に、
トナーとキャリアを含む現像剤を用いて、静電潜像担持体上の静電潜像を可視像化する現像装置であって、
トナーおよび上記ハイブリッド現像用キャリアを含む現像剤;
該現像剤を収容する現像槽の開口部に配置された第1の搬送部材;
第1の領域を介して該第1の搬送部材に対向し、第2の領域を介して静電潜像担持体に対向する第2の搬送部材;
第1の搬送部材と第2の搬送部材との間に第1の電界を形成して、第1の搬送部材が保持している現像剤中のトナーを第2の搬送部材に移動させる第1の電界形成手段;および
第2の搬送部材と静電潜像担持体との間に第2の電界を形成して、第2の搬送部材が保持しているトナーを静電潜像担持体の静電潜像に移動させて静電潜像を可視像化する第2の電界形成手段
を備えたことを特徴とするハイブリッド現像装置、および該ハイブリッド現像装置を備えた画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のハイブリッド現像用キャリアは、表面に樹脂コート層を有するので、現像ローラへのトナー供給後において、トナー帯電極性とは逆極性の比較的大きな電荷を保持でき、しかもリークが起こり難い。そのため、現像ローラ上の残留トナーの回収を十分に行うことができ、画像メモリーの発生を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
〔ハイブリッド現像用キャリア〕
本発明のハイブリッド現像用キャリア(以下、単に「キャリア」という)は、バインダー樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型コア粒子の表面に樹脂コート層を有するものである。図1に本発明のキャリアの概略断面図の一例を示す。図1に示すように、本発明のキャリア1は、最表面に樹脂コート層5を有し、その内部のコア粒子4はバインダー樹脂2中に磁性粉3が分散された構成を有するものである。そのような構成を有するため、現像ローラへのトナー供給後においてキャリアはトナー帯電極性とは逆極性の比較的大きな電荷を保持でき、しかもリークを防止できる。その結果、現像ローラ上の残留トナーの回収を十分に行うことができ、画像メモリーの発生を防止できる。樹脂コート層を有しないと、比較的大きな逆極性電荷がキャリア表面に発生したとしても、継続して保持できないために、当該逆極性電荷は比較的小さくなる。そのため、残留トナーの回収性が低下し、画像メモリーを十分に抑制できない。またキャリアが樹脂コート層を有していたとしても、コア粒子が磁性体であると、バインダー型と比較し、帯電性が高くならないので、トナー帯電極性とは逆極性の比較的大きな電荷が発生しにくい。
【0014】
キャリアのコア粒子を構成するバインダー樹脂としては、特に制限されるものではなく、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂およびポリオレフィン系樹脂に代表されるビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が例示される。
【0015】
バインダー樹脂中に分散される磁性粉としては、キャリアの分野で磁性粉として使用されているものであれば特に制限されず、例えば、マグネタイト、ガンマ酸化鉄等のスピネルフェライト、鉄以外の金属(Mn、Ni、Mg、Cu等)を一種または二種以上含有するスピネルフェライト、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライト、表面に酸化層を有する鉄や合金の粒子を用いることができる。磁性粉の形状は、粒状、球状、針状のいずれであってもよい。特に高磁化を要する場合には、鉄系の強磁性微粒子を用いることが好ましい。化学的な安定性を考慮すると、マグネタイト、ガンマ酸化鉄を含むスピネルフェライトやバリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライトの強磁性微粒子を用いることが好ましい。強磁性微粒子の種類及び含有量を適宜選択することにより、所望の磁化を有するキャリアを得ることができる。
【0016】
磁性粉の平均粒径は特に制限されず、通常、100〜1000nm、特に200〜600nmが好適である。磁性粉の平均粒径は、電子顕微鏡で撮影したときの任意の100個の磁性粉粒子についての最長径の平均値である。
【0017】
磁性粉の含有量は特に制限されるものではなく、通常はキャリア総重量に対して30〜90重量%、特に75〜90重量%であってよい。
【0018】
コア粒子の平均粒径は本発明の目的が達成される限り特に制限されず、例えば10〜50μm、特に20〜40μmが好適である。
コア粒子の平均粒径は、コールターマルチサイザー(ベックマンコールター社製)を用い、280μmのアパチャーチューブで粒径別相対重量分布を求めることにより測定できる。
【0019】
コア粒子には導電性物質、流動化剤等が分散されてもよい。
導電性物質としては、例えば、カーボンブラック、金属微粒子等が挙げられる。
流動化剤としては、例えば、シリカ等が挙げられる。
【0020】
コア粒子表面に形成される樹脂コート層は樹脂のみからなるものであって、他の添加剤が含有されるものではない。他の添加剤が含有されると、キャリアがトナーと逆極性の電荷を比較的大きくな量で保持し難いためである。
樹脂コート層を構成する樹脂としては、コート型キャリアの分野で従来よりコート層を構成する樹脂として使用されているものであれば特に制限されず、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素含有樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
【0021】
樹脂コート層のコート樹脂を選択することによって、トナーに対するキャリアの帯電極性を制御できる。例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂を用いると、トナーを負極性に帯電させる傾向が強い。また例えば、ポリスチレンアミノアクリル酸エステル共重合体、ポリスチレンメタクリル酸エステル共重合体を用いると、トナーを正極性に帯電させる傾向が強い。コート樹脂の分子量は本発明の目的が達成される限り特に制限されず、例えば、数平均分子量は8000〜10000が好ましく、重量平均分子量は20万〜30万が好ましい。
【0022】
樹脂コート層のコート量は本発明の目的が達成される限り特に制限されず、例えば、キャリア総重量に対して0.01〜10重量%、特に0.01〜7重量%が好ましい。画像メモリー防止の観点から、より好ましいコート量は0.04〜5.5重量%である。
そのようなコート量に対応する樹脂コート層の厚みは通常、0.001〜1.5μm、特に0.001〜1.0μmであり、より好ましくは0.005〜1.0μmである。
【0023】
本発明のキャリアは、上記したコア粒子−樹脂コート層の構成を有する限り、いかなる方法によって製造されてよい。
まずコア粒子を得る。例えば、熱可塑性バインダー樹脂、磁性粉および所望により添加される添加剤を含む混合物を溶融混練し、冷却した混練物を微粉砕および分級することによってコア粒子を得ることができる。好ましくは後処理として、さらに加熱による表面処理を行う。また例えば、熱硬化性バインダー樹脂の原料、磁性粉および所望により添加される添加剤を含む混合物を水系媒体中に分散し、造粒を行った後、加熱することによって反応・硬化させる。硬化粒子を水洗および乾燥し、コア粒子を得ることができる。
【0024】
次いでコア粒子表面に樹脂コート層を形成する。例えば、樹脂コート層用樹脂を有機溶媒に溶解してコート溶液を調製し、当該コート溶液をコア粒子表面に従来から公知のコート法によって塗布し、乾燥することによって、キャリアを製造できる。
【0025】
本発明のキャリアは、画像メモリーの発生をより有効に防止し、しかもガサツキ、ハキメ、キャリア現像、階調性、中間調再現性、トナー飛散等に関する画像品質を向上する観点から、平均粒径が20〜40μm、特に20〜35μmであることが好ましく、電気抵抗が1×1012Ω以上、特に1×1012〜1×1014Ωであることが好ましく、飽和磁化が20〜80Am/kg、特に30〜45Am/kgであることが好ましい。平均粒径、電気抵抗および飽和磁化を上記範囲内とすると、本発明のキャリアは低磁力で、電気抵抗が高く、小径であるために、単位面積あたりのキャリア密度が高くなり、残留トナーの掻き取り性が適度に向上し、残留トナーの回収性が物理的および電気的により一層向上する。そのため、画像メモリーの発生をより有効に防止でき、長期にわたって安定した画像を得ることができる。
【0026】
キャリアの平均粒径は、上記したコア粒子の平均粒径の測定方法と同様の方法により測定できる。
【0027】
キャリアの電気抵抗は、以下の方法によって測定できる。
図8に示すように、内部にマグネットローラ301が設けられて磁束密度が1000ガウスになったスリーブローラ302上に各キャリア303をそれぞれ5g供給すると共に、このスリーブローラ302と電極管304との間隔を1mmに設定し、上記マグネットローラ301を50rpmで回転させると共に、電源305から500Vのバイアス電圧を印加し、各キャリア303を通して電極管304に流れた電流値(I)を電流計306により測定し、その電気抵抗R(Ω)を下記の式に従って求める。
R(Ω)=500/I
【0028】
キャリアの飽和磁化は、直流磁化特性自動記録装置(横河北辰電機社製;TYPE−3257)を用いて測定した。
【0029】
キャリアとトナーとの混合比は所望のトナー帯電量が得られるよう調整されれば良く、トナー混合比はトナーとキャリアとの合計量に対して3〜50重量%、好ましくは6〜30重量%が好ましい。
【0030】
〔トナー〕
トナーはキャリアとの摩擦接触によって負または正に帯電されるものであり、バインダー樹脂中に少なくとも着色剤および所望により負または正の荷電制御剤や離型剤等の添加剤が含有されてなるものである。
【0031】
トナーに使用されるバインダー樹脂は、トナーの分野で従来からトナー用バインダー樹脂として使用されているものが使用可能であり、例えば、スチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、ポリエステル樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂およびそれらの樹脂を任意に混ぜ合わせたものが挙げられる。バインダー樹脂は、軟化温度が約80〜160℃の範囲、ガラス転移点が約50〜75℃の範囲であることが好ましい。
【0032】
着色剤は、トナーの分野で公知の材料が使用され、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、活性炭、マグネタイト、ベンジンイエロー、パーマネントイエロー、ナフトールイエロー、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ウルトラマリンブルー、ローズベンガル、レーキーレッド等を用いることができる。着色剤の含有量は、一般に、バインダー樹脂100重量部に対して、2〜20重量部であることが好ましい。
【0033】
荷電制御剤は、トナーの分野で従来から荷電制御剤として知られている材料が使用できる。具体的には、正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂等が挙げられる。負荷電制御剤としては、例えば、Cr、Co、Al、Fe等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレーン化合物等が挙げられる。荷電制御剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の割合で用いることが好ましい。
【0034】
離型剤は、トナーの分野で従来から離型剤として使用されている公知のものを使用できる。離型剤の材料には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、カルナバワックス、サゾールワックス、又はそれらを適宜組み合わせた混合物が用いられる。離型剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の割合で用いることが好ましい。
【0035】
トナーはトナーの分野で公知の製造方法、例えば、粉砕法等の乾式法、乳化重合法、懸濁重合法等の湿式造粒法によって製造できる。
トナーの平均粒径は、例えば約3〜15μmである。トナーの平均粒径は、100μmのアパチャーチューブを使用すること以外、上記したコア粒子の平均粒径の測定方法と同様の方法により測定できる。
【0036】
トナーには流動化を促進する流動化剤を添加してもよい。流動化剤には、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粒子や、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂微粒子が使用できる。特にシランカップリング剤、チタンカップリング剤、およびシリコーンオイル等で疎水化した流動化剤を用いるのが好ましい。流動化剤は、トナー100重量部に対して、0.1〜5重量部の割合で添加させることが好ましい。これら添加剤の平均一次粒径は10〜100nmであることが好ましい。
【0037】
トナーにはさらに帯電性の改善を目的として荷電粒子が添加されてもよい。
荷電粒子は、トナーの帯電極性に応じて適宜選択され、トナーとの摩擦接触によりトナーの帯電極性とは逆の極性に帯電される粒子が使用され、通常はキャリアとの摩擦接触により、トナーの帯電極性と逆極性に帯電される粒子が使用される。荷電粒子の平均一次粒径は、例えば、100〜850nmである。
【0038】
例えば、キャリアとの摩擦接触により負極性に帯電されるトナーを用いる場合、荷電粒子は、トナーとの接触により正極性に帯電される粒子が用いられ、通常はキャリアとの摩擦接触により正極性に帯電される粒子が使用される。そのような粒子は、例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、アルミナ等の無機粒子やアクリル樹脂、ベンゾグァナミン樹脂、ナイロン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂で構成された粒子を使用できる。荷電粒子を構成する樹脂にトナーとの接触により正極性に帯電する正荷電制御剤を含有させてもよい。正荷電制御剤には、例えば、ニグロシン染料、四級アンモニウム塩等が使用できる。荷電粒子は含窒素モノマーの共重合体で構成してもよい。
【0039】
また例えば、キャリアとの摩擦接触により正極性に帯電されるトナーの場合、荷電粒子は、トナーとの接触により負極性に帯電される粒子が用いられ、通常はキャリアとの摩擦接触により、負極性に帯電される粒子が使用される。このような粒子は、例えば、シリカ、酸化チタン等の無機粒子、また、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等の、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂で構成された粒子が使用できる。トナーとの接触により負極性に帯電する負荷電制御剤を、荷電粒子を構成する樹脂に含有させてもよい。負荷電制御剤には、例えば、サリチル酸系、ナフトール系のクロム錯体、アルミニウム錯体、鉄錯体、亜鉛錯体等を使用できる。荷電粒子は、含フッ素アクリル系モノマーや含フッ素メタクリル系モノマーの共重合体であってもよい。
【0040】
荷電粒子の含有量は、本発明の目的が達成される限り特に制限されず、例えば、トナー100重量部に対して0.1〜3重量が好適である。
【0041】
〔画像形成装置〕
本発明のキャリアはハイブリッド現像装置および当該現像装置を備えた画像形成装置に使用される。ハイブリッド現像方式とは、二成分現像剤を第1の搬送部材(搬送ローラ)の外周面に保持して、第2の搬送部材(現像ローラ)との対向領域まで搬送し、トナーだけを選択的に第2の搬送部材の外周面に供給して、第2の搬送部材の外周面にトナー薄層を形成し、該トナー薄層を用いて静電潜像担持体上の静電潜像を現像するものである。
【0042】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。なお、以下の説明では、特定の方向を意味する用語(例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、およびそれらを含む他の用語、「時計回り方向」、「反時計回り方向」)を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明は限定的に解釈されるべきものでない。また、以下に説明する画像形成装置及び現像装置では、同一又は類似の構成部分には同一の符号を用いている。
【0043】
図2は、本発明に係る電子写真式画像形成装置の画像形成に関連する部分を示す。画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、およびそれらの機能を複合的に備えた複合機のいずれであってもよい。画像形成装置11は、静電潜像坦持体である感光体12を有する。実施形態において、感光体12は円筒体で構成されているが、本発明はそのような形態に限定されるものでなく、代わりに無端ベルト式の感光体も使用可能である。感光体12は、図示しないモータに駆動連結されており、モータの駆動に基づいて矢印14方向に回転するようにしてある。感光体12の周囲には、感光体12の回転方向に沿って、帯電ステーション16、露光ステーション18、現像ステーション20、転写ステーション22、およびクリーニングステーション24が配置されている。
【0044】
帯電ステーション16は、感光体12の外周面である感光体層を所定の電位に帯電する帯電装置26を備えている。実施形態では、帯電装置26は円筒形状のローラとして表されているが、これに代えて他の形態の帯電装置(例えば、回転型又は固定型のブラシ式帯電装置、ワイヤ放電式帯電装置)も使用できる。露光ステーション18は、感光体12の近傍又は感光体12から離れた場所に配置された露光装置28から出射された画像光30が、帯電された感光体12の外周面に向けて進行するための通路32を有する。露光ステーション18を通過した感光体12の外周面には、画像光が投射されて電位の減衰した部分とほぼ帯電電位を維持する部分からなる、静電潜像が形成される。実施形態では、電位の減衰した部分が静電潜像画像部、ほぼ帯電電位を維持する部分が静電潜像非画像部である。現像ステーション20は、粉体現像剤を用いて静電潜像を可視像化する現像装置34を有する。現像装置34の詳細は後に説明する。転写ステーション22は、感光体12の外周面に形成された可視像を紙やフィルムなどのシート38に転写する転写装置36を有する。実施形態では、転写装置36は円筒形状のローラとして表されているが、他の形態の転写装置(例えば、ワイヤ放電式転写装置)も使用できる。クリーニングステーション24は、転写ステーション22でシート38に転写されることなく感光体12の外周面に残留する未転写トナーを感光体12の外周面から回収するクリーニング装置40を有する。実施形態では、クリーニング装置40は板状のブレードとして示されているが、代わりに他の形態のクリーニング装置(例えば、回転型又は固定型のブラシ式クリーニング装置)も使用できる。
【0045】
このような構成を備えた画像形成装置11の画像形成時、感光体12はモータ(図示せず)の駆動に基づいて時計周り方向に回転する。このとき、帯電ステーション16を通過する感光体外周部分は、帯電装置26で所定の電位に帯電される。帯電された感光体外周部分は、露光ステーション18で画像光30が露光されて静電潜像が形成される。静電潜像は、感光体12の回転と共に現像ステーション20に搬送され、そこで現像装置34によって現像剤像として可視像化される。可視像化された現像剤像は、感光体12の回転と共に転写ステーション22に搬送され、そこで転写装置36によりシート38に転写される。現像剤像が転写されたシート38は図示しない定着ステーションに搬送され、そこでシート38に現像剤像が固定される。転写ステーション22を通過した感光体外周部分はクリーニングステーション24に搬送され、そこでシート38に転写されることなく感光体12の外周面に残存する現像剤が回収される。
【0046】
〔現像装置〕
現像装置34は、第1の成分粒子である非磁性トナーと第2の成分粒子である磁性キャリア(本発明の前記キャリア)を含む2成分現像剤と以下に説明する種々の部材を収容する現像槽(ハウジング)42を備えている。図面を簡略化することで発明の理解を容易にするため、現像槽42の一部は削除してある。現像槽42は感光体12に向けて開放された一連の開口部(44、52)を備えており、この開口部44の近傍に形成された空間46にトナー搬送部材(第2の搬送部材)である現像ローラ48が設けてある。現像ローラ48は、円筒状の部材(第2の回転円筒体)であり、感光体12と平行に且つ感光体12の外周面と所定の現像ギャップ50を介して、回転可能に配置されている。
【0047】
現像ローラ48の背後には、開口部としての別の空間52が形成されている。空間52には、現像剤搬送部材(第1の搬送部材)である搬送ローラ54が、現像ローラ48と平行に且つ現像ローラ48の外周面と所定の供給回収ギャップ56を介して配置されている。搬送ローラ54は、回転不能に固定された磁石体58と、磁石体58の周囲を回転可能に支持された円筒スリーブ60(第1の回転円筒体)を有する。スリーブ60の上方には、現像槽42に固定され、スリーブ60の中心軸と平行に伸びる規制板62が、所定の規制ギャップ64を介して対向配置されている。
【0048】
磁石体58は、搬送ローラ54の内面に対向し、搬送ローラ54の中心軸方向に伸びる、複数の磁極を有する。実施形態では、複数の磁極は、規制板62の近傍にある搬送ローラ54の上部内周面部分に対向する磁極S1、供給回収ギャップ56の近傍にある搬送ローラ54の左側内周面部分に対向する磁極N1、搬送ローラ54の下部内周面部分に対向する磁極S2、搬送ローラ54の右側内周面部分に対向する、2つの隣接する同極性の磁極N2,N3を含む。
【0049】
搬送ローラ54の背後には、現像剤撹拌室66が形成されている。撹拌室66は、搬送ローラ54の近傍に形成された前室68と搬送ローラ54から離れた後室70を有する。前室68には図面の表面から裏面に向かって現像剤を攪拌しながら搬送する前攪拌搬送部材である前スクリュー72が回転可能に配置され、後室70には図面の裏面から表面に向かって現像剤を攪拌しながら搬送する後攪拌部材搬送部材である後スクリュー74が回転可能に配置されている。図示するように、前室68と後室70は、両者の間に設けた隔壁76で分離してもよい。この場合、前室68と後室70の両端近傍にある隔壁部分は除かれて連絡通路が形成されており、前室68の下流側端部に到達した現像剤が連絡通路を介して後室70へ送り込まれ、また後室70の下流側端部に到達した現像剤が連絡通路を介して前室68に送り込まれるようにしてある。
【0050】
このように構成された現像装置34の動作を説明する。画像形成時、図示しないモータの駆動に基づいて、現像ローラ48とスリーブ60はそれぞれ矢印78,80方向に回転する。前スクリュー72は矢印82方向に回転し、後スクリュー74は矢印84方向に回転する。これにより、現像剤撹拌室66に収容されている現像剤10は、前室68と後室70を循環搬送されながら、攪拌される。その結果、現像剤に含まれるトナーとキャリアが摩擦接触し、互いに逆の極性に帯電される。
【0051】
帯電された現像剤10は、前スクリュー72によって前室68を搬送される過程で搬送ローラ54に供給される。前スクリュー72から搬送ローラ54に供給された現像剤10は、磁極N3の近傍で、磁極N3の磁力によって、スリーブ60の外周面に保持される。スリーブ60に保持された現像剤10は、磁石体58によって形成された磁力線に沿って磁気ブラシを構成しており、スリーブ60の回転に基づいて反時計周り方向に搬送される。規制板62の対向領域(規制領域86)で磁極S1に保持されている現像剤10は、規制板62により、規制ギャップ64を通過する量が所定量に規制される。規制ギャップ64を通過した現像剤10は、磁極N1が対向する、現像ローラ48と搬送ローラ54が対向する領域(供給回収領域)88に搬送される。供給回収領域88のうち、主にスリーブ60の回転方向に関して上流側の領域(供給領域)90では、現像ローラ48とスリーブ60との間に形成された電界の存在により、キャリアに付着しているトナーが現像ローラ48に電気的に供給される。また、供給回収領域88のうち、主にスリーブ60の回転方向に関して下流側の領域(回収領域)92では、現像に寄与することなく供給回収領域88に送り戻された現像ローラ48上のトナーが、磁極N1の磁力線に沿って形成されている磁気ブラシに掻き取られてスリーブ60に回収される。キャリアは磁石体58の磁力によってスリーブ60の外周面に保持されており、スリーブ60から現像ローラ48に移動することはない。本発明において使用されるキャリアは、スリーブ60上において、供給領域90でトナーを供給した後、トナー帯電極性とは逆極性の比較的大きな電荷を保持でき、しかもリークが起こり難い。そのため、回収領域92においてキャリアは残留トナーをより有効に電気的に吸引・回収するので、画像メモリーの発生を防止できる。
【0052】
供給回収領域88を通過した現像剤10は、磁石体58の磁力に保持され、スリーブ60の回転と共に磁極S2の対向部を通過して磁極N2とN3の対向領域(放出領域94)に到達すると、磁極N2とN3によって形成される反発磁界によってスリーブ60の外周面から前室68に放出され、前室68を搬送されている現像剤10に混合される。
【0053】
供給領域90で現像ローラ48に保持されたトナーは、現像ローラ48の回転と共に反時計周り方向に搬送され、感光体12と現像ローラ48が対向する領域(現像領域)96で、感光体12の外周面に形成されている静電潜像画像部に付着する。実施形態の画像形成装置では、感光体12の外周面は帯電装置26で負極性の所定の電位Vが付与され、露光装置28で画像光30が投射された静電潜像画像部が所定の電位Vまで減衰し、露光装置28で画像光30が投射されていない静電潜像非画像部はほぼ帯電電位Vを維持している。したがって、現像領域96では、感光体12と現像ローラ48との間に形成されている電界の作用を受けて、負極性に帯電したトナーが静電潜像画像部に付着し、この静電潜像を現像剤像として可視像化する。
【0054】
このようにして現像剤10からトナーが消費されると、消費された量に見合う量のトナーが現像剤10に補給されることが好ましい。そのために、現像装置34は、現像槽42に収容されているトナーとキャリアの混合比を測定する手段を備えている。また、後室70の上方にはトナー補給部98が設けてある。トナー補給部98は、トナーを収容するための容器100を有する。容器100の底部には開口部102が形成されており、この開口部102に補給ローラ104が配置されている。補給ローラ104は図示しないモータに駆動連結されており、トナーとキャリアの混合比を測定する手段の出力に基づいてモータが駆動し、トナーが後室70に落下補給するようにしてある。
【0055】
〔電界形成手段〕
供給領域90でスリーブ60から現像ローラ48にトナーを効率的に移動させるために、現像ローラ48とスリーブ60は電界形成装置110と電気的に接続されている。電源の具体例が図3A〜図7に示してある。
【0056】
図3Aに示す実施形態1の電界形成装置110は、現像ローラ48に接続された第1の電源112(第2の電界形成手段に相当する)とスリーブ60に接続された第2の電源114(第1の電界形成手段に相当する)を有する。第1の電源112は、現像ローラ48とグランド116との間に接続された直流電源118を有し、トナーの帯電極性と同一極性の第1の直流電圧VDC1(例えば、−200ボルト)を現像ローラ48に印加している。第2の電源114は、スリーブ60とグランド116との間に接続された直流電源120を有し、トナーの帯電極性と同一極性で且つ第1の直流電圧よりも高圧の第2の直流電圧VDC2(例えば、−400ボルト)をスリーブ60に印加する。この結果、供給領域90では、現像ローラ48とスリーブ60との間に形成された直流電界の作用を受けて、負極性に帯電しているトナーがスリーブ60から現像ローラ48に電気的に吸引される。このとき、正極性に帯電しているキャリアは、スリーブ60から現像ローラ48に吸引されることはない。また、現像領域96では、現像ローラ48に保持されている負極性トナーが、図3Bに示すように、現像ローラ48(VDC1:−200ボルト)と静電潜像画像部(V:−80ボルト)との電位差に基づき、静電潜像画像部に付着する。このとき、負極性トナーは、現像ローラ48(VDC1:−200ボルト)と静電潜像非画像部(V:−600ボルト)との電位差により、静電潜像非画像部に付着することはない。
【0057】
実施形態2に係る図4Aの電界形成装置122において、第1の電源124(第2の電界形成手段に相当する)は、実施形態1の電源と同様に、現像ローラ48とグランド126との間に接続された直流電源128を有し、トナーの帯電極性と同一極性の第1の直流電圧VDC1(例えば、−200ボルト)を現像ローラ48に印加している。第2の電源130(第1の電界形成手段に相当する)は、スリーブ60とグランド126との間に直流電源132と交流電源134を有する。直流電源132は、トナーの帯電極性と同一極性で且つ第1の直流電圧よりも高圧の第2の直流電圧VDC2(例えば、−400ボルト)をスリーブ60に印加している。図4Bに示すように、交流電源134は、スリーブ60とグランド126との間にピーク・ツー・ピーク電圧VP−Pが例えば300ボルトの交流電圧VACを印加する。その結果、供給領域90では、現像ローラ48とスリーブ60との間に形成された脈流電界の作用を受けて、負極性に帯電しているトナーがスリーブ60から現像ローラ48に電気的に吸引される。このとき、正極性に帯電しているキャリアは、スリーブ60の内部の固定磁石の磁力によってスリーブ60に保持され、現像ローラ48に供給されることはない。また、現像領域96では、現像ローラ48に保持されている負極性トナーは、現像ローラ48(VDC1:−200ボルト)と静電潜像画像部(V:−80ボルト)との電位差に基づき、静電潜像画像部に付着する。
【0058】
図5Aに示す電界形成装置136において、第1の電源138は、現像ローラ48とグランド140との間に直流電源142と交流電源144を有する。直流電源142は、トナーの帯電極性と同一極性の第1の直流電圧VDC1(例えば、−200ボルト)をスリーブ60および現像ローラ48に印加する。交流電源144は、スリーブ60および現像ローラ48とグランド146との間に振幅(ピーク・ツー・ピーク電圧)VP−Pが例えば1,600ボルトの交流電圧VACを印加する。第2の電源146(第1の電界形成手段に相当する)は、現像ローラ48と交流電源144との間の端子148とスリーブ60との間に接続された直流電源150を有する。直流電源150は、所定の直流電圧VDC2を出力することができ、陽極が端子148、陰極がスリーブ60に接続されており、これにより、スリーブ60が現像ローラ48に対して負極性にバイアスされている(図5B参照)。したがって、供給領域90では、現像ローラ48とスリーブ60との間に形成された脈流電界の作用を受けて、負極性に帯電しているトナーがスリーブ60から現像ローラ48に電気的に吸引される。また、現像領域96では、現像ローラ48上の負極性トナーが、現像ローラ48(VDC1:−200ボルト)と静電潜像画像部(V:−80ボルト)との電位差に基づき、静電潜像画像部に付着する。
【0059】
図6に示す電界形成装置152は、図3Aに示す実施形態1の電界形成装置110において、第1の電源112と第2の電源114にそれぞれ交流電源154,156を追加したものである。交流電源154,156の出力電圧はVAC1,VAC2である。電圧VAC1,VAC2は同一であってもよいし、違ってもよい。図7に示す電界形成装置158は、図3Aに示す実施形態の電源において、第1の電源112に交流電源160を追加したものである。交流電源160の出力電圧はVACである。これらの形態の電界形成装置152,158も、電界形成装置110,122,136と同様に、現像ローラ48とスリーブ60との間に形成された脈流電界の作用を受けて、供給領域90では負極性に帯電しているトナーをスリーブ60から現像ローラ48に供給し、現像領域96では負極性に帯電しているトナーを現像ローラ48から静電潜像画像部(V:−80ボルト)との電位差に基づき、静電潜像画像部に供給する。
【実施例】
【0060】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されるべきでないことは明らかである。
<キャリアの製造>
(実施例1)
軟化点Tmが125°C,ガラス転移点Tgが66℃のポリエステル樹脂を100重量部、フェライト微粉末(TDK(株))を400重量部、カーボンブラック(三菱化学社製:#970)を2重量部、シリカ(日本アエロジル社製:#200)を2重量部の割合にし、ヘンシにルミキサーで充分混合した後、ベント二軸押し出し混練機(PCM−65:池貝鉄工社製)により200℃で溶融混線した。この混練物をフェザーミルで粗粉砕、続いて機械式粉砕機(ACM−10型:ホソカワミクロン社製)で微粉砕し、これを風力分級機(MS−1型:ホソカワミクロン社製)で分級した。分級物をサフュージングシステム(SFS−2型:日本ニューマチックエ業社製)により350℃で加熱処理を行い、体積平均粒径が20μmのキャリア用コア粒子を得た。
【0061】
アクリル樹脂(Mn8000、Mw240000)10重量部およびメチルエチルケトン(MEK)100重量部をホモミキサーで20分間撹拌し、コート液を調製した。キャリア総重量に対するコート量(乾燥後)が0.05重量%となるように、コート液を流動床形型塗布装置を用いてコア粒子に塗布した。ついで、200℃にて5時間乾燥し、キャリアAを得た。
【0062】
(実施例2)
キャリア総重量に対するコート量(乾燥後)が3重量%となるように、コート液をコア粒子に塗布したこと以外、実施例1と同じ製法でキャリアBを製造した。
【0063】
(実施例3)
キャリア総重量に対するコート量(乾燥後)が5重量%となるように、コート液をコア粒子に塗布したこと以外、実施例1と同じ製法でキャリアCを製造した。
【0064】
(実施例4)
キャリア総重量に対するコート量(乾燥後)が0.03重量%となるように、コート液をコア粒子に塗布したこと以外、実施例1と同じ製法でキャリアDを製造した。
【0065】
(実施例5)
キャリア総重量に対するコート量(乾燥後)が6重量%となるように、コート液をコア粒子に塗布したこと以外、実施例1と同じ製法でキャリアEを製造した。
【0066】
(実施例6)
軟化点Tmが122℃、ガラス転移点Tgが63℃のスチレン−アクリル樹脂を100重量部、マグネタイト微粉末(チタン工業社製:RB−BL)を350重量部、カーボンブラック(ライオン油脂社製:ケッチェンブラックEC)を3重量部、シリカ(日本アエロジル社製:R−972)を2重量部の割合にし、これらをヘンシェルミキサーで混合した後、この混合物を加圧ニーダーで溶融混練し、この混練物を冷却させた後、フェザーミルで粗粉砕し、さらにジェットミルで微粉砕し、これを風力分級機により分級した後、熱処理装置(日本ニューマチック工業社製:サフュージョンシステムSFS−2型)を用いて250℃で加熱処理を行い、体積平均粒径が20μmのキャリア用コア粒子を得た。
【0067】
アクリル樹脂(Mn8000、Mw240000)10重量部およびメチルエチルケトン(MEK)100重量部をホモミキサーで20分間撹拌し、コート液を調製した。キャリア総重量に対するコート量(乾燥後)が0.05重量%となるように、コート液を流動床形型塗布装置を用いてコア粒子に塗布した。ついで、200℃にて5時間乾燥し、キャリアFを得た。
【0068】
(実施例7)
フェノール15重量部、ホルムアルデヒド溶液(9重量%)100重量部、マグネタイト粉(粒径0.20μm)80重量部と、塩基性触媒としてアンモニア、重合安定化剤としてフッ化カルシウムを用いて、水相中で撹拌混合しながら60分間で85℃まで昇温保持し、120分間反応・硬化させた。その後25℃まで冷却し600部の水を添加した後、上澄み液を除去したあと、沈殿物を水洗し、160℃で24時間乾燥して、フェノール樹脂をバインダー樹脂とする体積平均粒径20μmのキャリア用コア粒子を得た。
その後は、実施例1と同じ方法で、コート層を設け、キャリアGを得た。
【0069】
(比較例1)
軟化点Tmが125℃、ガラス転移点Tgが66℃のポリエステル樹脂を100重量部、フェライト微粉末(TDK(株)RB−BL)を400重量部、カーボンブラック(三菱化学社製:#970)を2重量部、シリカ(日本アエロジル社製:#200)を2重量部の割合にし、ヘンシェルミキサーで充分混合した後、ベント二軸押し出し混練機(PCM−65:池貝鉄工社製)により200℃で溶融混練した。この混練物をフェザーミルで粗粉砕、続いて機械式粉砕機(ACM−10型:ホソカワミクロン社製)で微粉砕し、これを風力分級機(MS−1型:ホソカワミクロン社製)で分級した。分級物をサフュージングシステム(SFS−2型:日本ニューマチック工業社製)により350℃で加熱処理を行い、キャリアHを得た。
【0070】
(比較例2)
・キャリアコート用樹脂微粒子
CHMA(シクロヘキシルメタクリレート)/MMA(メチルメタクリレート)/ST(スチレン)=45/45/10(モノマー重量比)を用いて公知の乳化重合法で重合を行い、その後水洗、乾燥を行い、平均粒径100nmの樹脂微粒子a(Tg;102℃、Tm;220℃)を得た。
・乾式コートキャリアの製造側
コア材(Mn−Mg系フェライトコア粒子)とコート剤(樹脂微粒子)を使用して、以下の方法に従ってコートキャリアを製造した。
Mn−Mg系フェライトコア粒子5kgおよびコート剤150gを温度調整が可能な9Lヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)に投入し、品温が90℃以下になる様に注意しながらブレード回転数200rpmで20分撹拌する。その後、ジャッケットに温調したオイルを流しながらブレードを回転数200rpmで回転させ、品温を115℃まで上昇させその温度を維持しながら15分さらに撹拌し、コート剤をコア粒子にコーティングする。その後、品温が70℃以下になるまで低速で撹拌し、キャリアIを得た。
【0071】
<負帯電性トナーの製造>
・トナー粒子
(樹脂粒子Aの製造)
第一段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5L(リットル)の反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8gとイオン交換水3Lを仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10gをイオン交換水200gに溶解させたものを添加し、再度液温80℃とし、下記単量体混合液を1時間かけて滴下した後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子を調製した。これを「樹脂粒子(1H)」とする。
【0072】
スチレン 480g
n−ブチルアクリレート 250g
メタクリル酸 68.0g
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 16.0g
【0073】
第二段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7gをイオン交換水800mlに溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱後、前記樹脂粒子(1H)を260gと、下記単量体溶液を90℃にて溶解させた溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機CLEARMIX(エム・テクニック社製)により、1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
【0074】
スチレン 240g
n−ブチルアクリレート 125g
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 1.5g
ポリエチレンワックス 190g
【0075】
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6gをイオン交換水200mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子を得た。これを「樹脂粒子(1HM)」とする。
【0076】
第三段重合
さらに、過硫酸カリウム11gをイオン交換水400mlに溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、
スチレン 430g
n−ブチルアクリレート 130g
メタクリル酸 33g
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8g
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し樹脂粒子を得た。これを「樹脂粒子A」とする。
【0077】
(樹脂粒子Bの製造)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム2.3gをイオン交換水3Lを仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10gをイオン交換水200gに溶解させたものを添加し、再度液温80℃とし、下記単量体混合液を1時間かけて滴下後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子を調製した。これを「樹脂粒子B」とする。
【0078】
スチレン 520g
n−ブチルアクリレート 210g
メタクリル酸 68.0g
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 16.0g
【0079】
(着色剤分散液の作製)
ドデシル硫酸ナトリウム90gをイオン交換水1600mlに撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック(リーガル330R:キャボット社製)420gを徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液を調製した。これを、「着色剤分散液1」とする。この着色剤分散液1における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
【0080】
(凝集・融着工程)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、樹脂粒子Aを固形分換算で300gと、イオン交換水1400gと、「着色剤分散液1」120gと、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3gをイオン交換水120mlに溶解させた溶液を仕込み、液温を30℃に調整した後、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム35gをイオン交換水35mlに溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて90℃まで昇温し、90℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。
【0081】
この状態で、「コールターマルチサイザーIII」にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン径が3.1μmになった時点で、樹脂粒子Bを260g添加し、さらに粒子成長反応を継続させた。所望の粒子径になった時点で、塩化ナトリウム150gをイオン交換水600mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、融着工程として液温度98℃にて加熱撹拌することにより、FPIA−2100による測定で円形度0.965になるまで、粒子間の融着を進行させた。その後、液温30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを4.0に調整し、撹拌を停止した。
【0082】
(洗浄・乾燥工程)
凝集・融着工程にて生成した粒子をバスケット型遠心分離機「MARKIII型式番号60×40」(松本機械社製)で固液分離し、トナー粒子のウェットケーキを形成した。該ウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥してトナー粒子を作製した。
【0083】
・トナー
体積平均粒径約6.5μmの上記トナー粒子100重量部に対し、第1の疎水性シリカ0.2重量部、第2の疎水性シリカ0.5重量部、疎水性酸化チタン0.5重量部、および個数平均粒径350nmのチタン酸ストロンチウム2重量部を、ヘンシェルミキサ(三井金属鉱山社製)を用いて40m/sの速度で3分間表面処理を行って外添処理し、負帯電性トナーを得た。
【0084】
ここで用いた第1の疎水性シリカは、個数平均一次粒径16nmのシリカ(#130:日本アエロジル社製)を疎水化剤であるヘキサメチルジシラザン(HMDS)により表面処理を施したものである。
第2の疎水性シリカは、個数平均一次粒径20nmのシリカ(#90:日本アエロジル社製)をHMDSにより表面処理したものである。
疎水性酸化チタンは、個数平均一次粒径30nmのアナターゼ型酸化チタンを水系湿式中で疎水化剤であるイソブチルトリメトキシシランにより表面処理をしたものである。
【0085】
<評価>
上記負帯電性トナーと実施例/比較例で得られたキャリアを重量混合比(トナー/キャリア)8/92で混合して得られた現像剤を、図2に示す形態のハイブリッド現像装置を組み込んだ画像形成装置(bizhub C350改造機;コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)に搭載した。この画像形成装置を用いて、所定の画像を印字し、評価した。トナーは、現像剤のトナー濃度検出結果に基づいて補給するよう制御している。
【0086】
現像条件は以下の通りである。電界形成装置は、図7に示す形態を採用し、搬送ローラに直流電圧VDC2:−500ボルトを印加し、現像ローラには、直流電圧VDC1:−300ボルトと交流電圧を印加した。交流電圧は、周波数:2kHz、振幅VP−P:1,500ボルト、マイナスデューティ比(トナー回収デューティ比):40%、プラスデューティ比(トナー供給デューティ比):60%の矩形波であった。現像ギャップ50は0.3mmに設定し、供給回収ギャップ56は0.6mmに設定し、搬送ローラの現像剤搬送量は50mg/cmとなるように規制部を設定した。感光体の帯電電位(非画像部)は−550ボルト、感光体に形成された静電潜像像(画像部)の電位は−60ボルトであった。
【0087】
(画像メモリー)
図10に示すようなベタ領域401とハーフ領域402の存在する画像パターン400を出力・印字し、印字画像における画像メモリーの発生度合いに基づいて評価した。詳しくは、下記の判断基準で評価した。ネガ像とは、ハーフ領域の中に現れる比較的低い濃度の画像部である。ポジ画像とは、ハーフ領域の中に現れる比較的高い濃度の画像部である。
◎:ネガ/ポジ像の発生が全く無かった;
○:濃度差が0.03未満のネガ/ポジ像の発生が、一部有るも画像全体としては実用上には問題なかった;
△:濃度差が0.05未満のネガ/ポジ残の発生があるが、実用上問題なかった;
×:濃度差が0.05以上のネガ/ポジ像の発生があり、実用上問題あり。
【0088】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明のキャリアの一実施形態の概略断面図。
【図2】本発明に係る画像形成装置の概略構成と本発明に係る現像装置の断面を示す図。
【図3A】電界形成装置の一実施形態を示す図。
【図3B】図3Aに示す電界形成装置からスリーブと現像スリーブに供給されている電圧の関係を示す図。
【図4A】電界形成装置の他の実施形態を示す図。
【図4B】図4Aに示す電界形成装置からスリーブと現像スリーブに供給されている電圧の関係を示す図。
【図5A】電界形成装置の他の実施形態を示す図。
【図5B】図5Aに示す電界形成装置からスリーブと現像スリーブに供給されている電圧の関係を示す図。
【図6】電界形成装置の他の実施形態を示す図。
【図7】電界形成装置の他の実施形態を示す図。
【図8】キャリアの電気抵抗の測定方法を説明するための概略図。
【図9】ハイブリッド現像方式の一例を示す概略図。
【図10】画像メモリーを評価するときに使用した画像パターンの概略図である。
【符号の説明】
【0090】
1:キャリア、2:バインダー樹脂、3:磁性粉、4:コア粒子、5:樹脂コート層、10:現像剤、11:画像形成装置、12:感光体、16:帯電ステーション、18:露光ステーション、20:現像ステーション、22:転写ステーション、24:クリーニングステーション、26:帯電装置、28:露光装置、30:画像光、32:通路、34:現像装置、36:転写装置、38:シート、40:クリーニング装置、42:現像槽(ハウジング)、44:開口部、46:第2の空間、48:現像ローラ、50:現像ギャップ、52:開口部(第2の空間)、54:搬送ローラ、56:供給回収ギャップ、58:磁石体、60:スリーブ、62:規制板、64:規制ギャップ、66:現像剤攪拌室、68:前室、70:後室、72:前スクリュー、74:後スクリュー、76:隔壁、86:規制領域、88:供給回収領域、90:供給領域、92:回収領域、94:放出領域、96:現像領域、98:トナー補給部、100:容器、102:開口部、104:補給ローラ、110:電界形成装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー樹脂中に磁性粉が分散されたコア粒子の表面に樹脂コート層を有することを特徴とするハイブリッド現像用キャリア。
【請求項2】
樹脂コート層のコート量がキャリア総重量に対して0.01〜10重量%である請求項1に記載のハイブリッド現像用キャリア。
【請求項3】
平均粒径が20〜40μmであり、電気抵抗が1×1012Ω以上であり、飽和磁化が30〜45Am/kgである請求項1または2に記載のハイブリッド現像用キャリア。
【請求項4】
トナーおよび請求項1〜3のいずれかに記載のキャリアを含む現像剤を備えたことを特徴とするハイブリッド現像装置。
【請求項5】
請求項4に記載のハイブリッド現像装置を備えた画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−151049(P2009−151049A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328243(P2007−328243)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】